(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005306
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体製造装置用バルブ及びそのダイヤフラムバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 31/44 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
F16K31/44 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105429
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】501417929
【氏名又は名称】株式会社キッツエスシーティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】堀口 肇
【テーマコード(参考)】
3H063
【Fターム(参考)】
3H063AA07
3H063BB32
3H063DA15
3H063DB02
3H063EE05
3H063GG15
(57)【要約】
【課題】従来よりも耐久性に優れかつ安定した弁閉性能を発揮し、コンパクト化を図ると共に性能評価が容易な半導体製造装置用バルブ及びそのダイヤフラムバルブを提供すること。
【解決手段】半導体製造装置用バルブは、ピストン7から入力された軸方向の垂直荷重を螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体16のピッチ差を利用して増力する増力機構8を備えた高圧用自動弁のアクチュエータ部3と弁体を有するボデー部2とを連結した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンから入力された軸方向の垂直荷重を螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体のピッチ差を利用して増力する増力機構を備えた高圧用自動弁のアクチュエータ部と弁体を有するボデー部とを連結したことを特徴とする半導体製造装置用バルブ。
【請求項2】
高圧用自動弁のアクチュエータであり、このアクチュエータの軸方向に沿って発生した垂直荷重を伝達するピストンと、このピストンと同軸に配置された回転子とを連結して垂直荷重を回転トルクに変換し、前記回転子に連結された螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体のピッチ差を利用して増力する増力機構で軸力として回転トルクを垂直荷重に変換するようにしたことを特徴とする半導体製造装置用バルブ。
【請求項3】
前記回転子は、円筒回転体に設けた螺旋状の溝を介して前記ピストンと同軸に設けたプッシュロッドの垂直荷重を回転トルクに変換するようにした請求項2に記載の半導体製造装置用バルブ。
【請求項4】
前記ネジのセルフロック現象を利用して、弁閉時に増力機構によって発生した軸力を超えた弁閉方向に掛かる流路からの逆圧力に抗して弁閉状態を維持できるようにした請求項1又は請求項2に記載の半導体製造装置用バルブ。
【請求項5】
前記ネジの回転により発生した軸力を用いて直接あるいは間接的に前記ボデー内に設けたダイヤフラムを押下させて弁の開閉を行う請求項1又は請求項2に記載の半導体製造装置用ダイヤフラムバルブ。
【請求項6】
前記螺合体の溝のピッチ角あるいは前記回転子の回転量を任意に設定して弁機構の開閉ストローク量や弁機構の締め付け荷重を適宜設定するようにした請求項1又は請求項2に記載の半導体製造装置用バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程の装置に用いられるバルブ、特に、高圧流体が流れる流路を弁閉する荷重を増力する増力装置を備えた半導体製造装置用バルブ及びそのダイヤフラムバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程の装置に用いられるバルブには外部からの空圧によってアクチュエータを動作させ、内蔵されたピストン等の動作を利用して弁の開閉を行う自動弁が使用されている。
【0003】
特に高圧ガスに使用するこの種のバルブには、流路を流れる高圧ガスに対して弁閉して流路を封止するためには、強い締め付け力が必要になる。そのため半導体製造工程で使用される高圧用バルブには、流路を流れる高圧ガスに対して、十分余裕を持った荷重で弁閉状態とするため、スプリングなどからの荷重を機械的な増力機構(倍力機構など)で増幅することでガスの圧力に負けない高い荷重(締付荷重)を発生させて弁閉する増力装置を備えている。
【0004】
増力装置は一般的にスプリングなどの圧縮荷重を梃子(テコ)の原理を利用して増幅することで、高い出力荷重が得られる装置で、ローラーやボールにピストンに設けた平面や傾斜面を利用し、シーソーの様に動作するカムなどを組み合わせた構造となっている。
【0005】
例えば、特許文献1の
図14に開示されるように、スプリングによって押下げられたニードルが鋼鉄製のボールなどにより、筒状部材の傾斜面の角度比等によって入力された荷重を増力するボール式の倍力機構が知られている。
また、特許文献1の
図1などに開示されるように、スプリングの入力荷重を、鋼鉄製のボールとシャフトに連結するプレートの傾斜面及びピストンのテーパ面の角度比等によって出力荷重を増力するボール式の倍力機構が知られている。
【0006】
他には、特許文献2の
図11に開示されるように、梃子の原理を利用し、スプリングの圧縮荷重を略L字形状のカムにより伝達して圧縮荷重を増幅したカム式の倍力機構が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-37048号公報
【特許文献2】国際公開第2015/020209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のボール式の倍力機構は、ボールを押圧するとボールが摺動する構造であるから、ボールの移動方向とボールが回転しようとする方向が異なることで摩擦が生じる。また、複数のボールが同時に協調動作しないことによっても摩擦が生じる。このため生じた摩擦によって、伝達ロスが大きくなったり、伝達された出力荷重にバラつきが生じたりする問題があった。
そして、ボールの摺動によって伝達する荷重がバラつき弁閉の際の締付荷重が変化して、設計時の出力荷重とは異なっていた。加えて、荷重のバラつきや摩擦により、特定の部位に摩耗が集中して耐久性に問題があった。
【0009】
また、特許文献2のカム式の倍力機構においても、梃子の原理によって高い荷重が掛かる部位(作用点にあたる部分)が摺動する構造であり、相手部品と線接触した状態でスライドするため摩擦による伝達ロスが大きく、荷重の集中により生じる摩耗によって短期間でカムの寸法が変わり、倍率が低下することで出力荷重が低下する。
また、カムの倒れた角度によって変換比率が曲線的に変動するため、弁閉となるピストン位置で、設計当初の出力荷重が発生しているのかが分かりづらく、実機を製作して性能試験しないと分からないため設計時に性能予測が難しかった。
【0010】
高い変換比率が必要な場合は、梃子の原理でいうところの支点から力点の距離と、支点から作用点までの距離の比を大きく設計することが必要となることから、比を大きくすると、カムそのものが長く大きくなり、アクチュエータを大型化しなければ、アクチュエータの動作ストロークを確保できないため、結果バルブが大型化してしまう。
【0011】
いずれの構造も、弁開状態と弁閉状態の間で荷重の作用する方向や変換比率の変化が直線的になっていない為、弁閉位置が変わってしまうような場合に出力荷重(締付荷重)がどれだけ変わるのかが把握しづらく、複雑な機構によって出力された締付荷重がバラついて不安定となるほか、強い摩耗によって締付荷重が低下しやすく設計当初の弁閉性能が低下して、バルブの製品寿命が短くなるなどの問題があった。
【0012】
また、高圧向け自動弁に内蔵される増力装置の構造的な問題によって、製品サイズが大きくなりがちとなり、バルブの小型化の要望により増力装置を大きくできない場合には、充分なストローク量を確保できないため、充分な弁閉性能を発揮できない。
【0013】
よって、高圧流体用バルブの小型化を図ると共に、高圧流体の流路を弁閉する増力機構に必要な増幅量の計算や設計が容易な増力機構と、この増力機構を備えた半導体製造装置用バルブの開発が望まれていた。
【0014】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、従来よりも耐久性に優れかつ安定した弁閉性能を発揮し、コンパクト化を図ると共に性能評価が容易な半導体製造装置用バルブ及びそのダイヤフラムバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ピストンから入力された軸方向の垂直荷重を螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体のピッチ差を利用して増力する増力機構を備えた高圧用自動弁のアクチュエータ部と弁体を有するボデー部とを連結した半導体製造装置用バルブである。
【0016】
請求項2に係る発明は、高圧用自動弁のアクチュエータであり、このアクチュエータの軸方向に沿って発生した垂直荷重を伝達するピストンと、このピストンと同軸に配置された回転子とを連結して垂直荷重を回転トルクに変換し、回転子に連結された螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体のピッチ差を利用して増力する増力機構で軸力として回転トルクを垂直荷重に変換するようにした半導体製造装置用バルブである。
【0017】
請求項3に係る発明は、回転子は、円筒回転体に設けた螺旋状の溝を介してピストンと同軸に設けたプッシュロッドの垂直荷重を回転トルクに変換するようにした半導体製造装置用バルブである。
【0018】
請求項4に係る発明は、ネジのセルフロック現象を利用して、弁閉時に増力機構によって発生した軸力を超えた弁閉方向に掛かる流路からの逆圧力に抗して弁閉状態を維持できるようにした半導体製造装置用バルブである。
【0019】
請求項5に係る発明は、ネジの回転により発生した軸力を用いて直接あるいは間接的にボデー内に設けたダイヤフラムを押下させて弁の開閉を行う半導体製造装置用ダイヤフラムバルブである。
【0020】
請求項6に係る発明は、螺合体の溝のピッチ角あるいは回転子の回転量を任意に設定して弁機構の開閉ストローク量や弁機構の締め付け荷重を適宜設定するようにした半導体製造装置用バルブである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によると、ピストンから入力された軸方向の荷重を螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体のピッチ差を利用して増力する増力機構を備えた高圧用自動弁のアクチュエータ部と弁体を有するボデー部とを連結したことにより、ピッチ差を利用して荷重を増幅した螺合体の推進力により、弁体を弁座シートに密着させる締付荷重を発生させることができる。
しかも、出力荷重は、直線的な締付荷重でありかつ移動方向の荷重(リニア的荷重)であるから、入力された荷重の伝達ロスなどによるバラつきがなく、安定した締付荷重を発生することができる。
【0022】
特に、回転部品の回転量を変えるだけでアクチュエータの弁の開閉ストローク量を増やしたり締付荷重を変更することも可能なので、バルブ径を大きく設計する必要が無いため、決められた面積に多数のバルブを配置する様な用途にも適した省スペースに対応した製品を提供する事が可能となる。
また、ピッチ差を利用しているので、出力荷重の計算が容易であり、出力荷重の変換倍率を自由に設計できる。ピッチ差を利用して必要な締付荷重を生じさせているから、可動部材の特定の部位に荷重が集中することがなく、可動部材の摩耗を低減することができ耐久性を高めることができる。
さらには、ピッチ差を利用して必要な締付荷重を生じさせることができるから、必要な荷重を得るために、増力機構を大きくする必要がなくコンパクト化を図ることができる。
【0023】
請求項2に係る発明によると、アクチュエータの軸方向に沿って発生した垂直荷重を伝達するピストンと、このピストンと同軸に配置された回転子とを連結して垂直荷重を回転トルクに変換し、回転子に連結された螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体のピッチ差を利用して増力する増力機構で軸力として回転トルクを垂直荷重に変換するようにしたことにより、ピストンからの入力荷重を、一旦、回転運動に変換した後に回転運動により生じた回転トルクを推進力に変換して、増幅された垂直荷重として出力して、弁閉するための締付荷重を発生させることができる。
特に、本発明によれば、入力荷重を回転する方向に変換して利用する増力機構を採用したことにより、従来製品に比べてコンパクトで長寿命の半導体向け高圧ガスバルブを提供することが可能となる。
【0024】
また、ピッチ差を利用して垂直荷重とすることで、出力荷重が不均一とならず、安定した締付荷重を発生させることができる。加えて、可動部位の特定の部位に荷重が集中することがないから摩耗を低減して耐久性を高めることができる。
【0025】
また、ピッチ差を利用しているので、出力荷重の計算が容易であり、出力荷重の変換倍率を自由に設計できる。
さらには、ピッチ差を利用して必要な締付荷重を生じさせることができるから、必要な荷重を得るために、増力機構を大きくする必要がなくコンパクト化を図ることができる。
【0026】
請求項3に係る発明によると、回転子は、円筒回転体に設けた螺旋状の溝を介してピストンと同軸に設けたプッシュロッドの垂直荷重を回転トルクに変換するようにしたことにより、従来のカム式やボール式の増力機構と比較すると、構造を複雑にすることなく増力機構をアクチュエータに内蔵することができると共に、垂直荷重を確実にかつ高精度に回転トルクに変換可能となる。
このため、垂直荷重と回転トルクの変換倍率などを大きくするために増力機構を大きくする必要がないのでアクチュエータ並びにバルブのコンパクト化を図ることができる。
【0027】
請求項4に係る発明によると、ネジのセルフロック現象を利用して、弁閉時に増力機構によって発生した軸力を超えた弁閉方向に掛かる流路からの逆圧力に抗して弁閉状態を維持することにより、仮に弁閉状態で過剰な内圧が発生したとしても、ネジが反転して、弁開方向に動くことがないから、安定した弁閉状態を保持できバルブ製品の安全性を高めることができる。
【0028】
換言すると、一般的なダイヤフラムバルブでは設計された弁閉荷重よりも大きな反力を受けるような事故が起こった場合、簡単にバルブが弁開状態となってしまうが、本発明では、ウォームギヤの様に、ネジ山に対して直交に近い軸方向からの荷重に対しては、高い摩擦力によってセルフロックが掛かるので、弁閉動作によって発生した締付け荷重を大きく超えた反力が無いとネジが逆転しないため、結果として事故等によってバルブに過剰な内圧が掛かっても、意図せず開いてしまうというようなリスクを低減することができ、より安全性の高いバルブ製品を提供することが可能となる。
【0029】
請求項5に係る発明によると、ネジの回転により発生した軸力を用いて直接あるいは間接的にボデー内に設けたダイヤフラムを押下させて弁の開閉を行うことにより、耐久性が向上し、安定した弁閉状態を維持可能な半導体製造装置用ダイヤフラムバルブを提供することができ、また、バルブ径を大きくすることなくアクチュエータをコンパクト化したことにより、省スペースに多数のバルブを配置することができるので、半導体製造装置のコンパクト化に寄与する。
【0030】
請求項6に係る発明によると、スプリングによって発生した荷重を、一旦、回転運動に変換した後、回転によって生じるトルクを、構造的に直結したネジの軸力(推進力)に再変換することで、リニアな出力荷重を得ることができ、回転径やネジ山の送りピッチの設計だけで出力荷重の変換倍率を自由に設計できるほか、ピストンのストロークと回転子の回転角度を設定することによって、弁を開閉するためのストローク量も個別に設計できるため、直感的にバルブの設計に必要な部品の可動量を計算することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る半導体製造装置用バルブの弁開状態の断面図である。
【
図3】同バルブの増力機構の半断面図であり、(a)は同バルブの弁開状態の半断面図であり、(b)は同バルブの弁閉状態の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体製造装置用バルブの弁開状態の断面図である。
図2は、同バルブの弁閉状態の断面図である。
図3は、同バルブの増力機構の半断面図であり、(a)は同バルブの弁開状態の半断面図であり、(b)は同バルブの弁閉状態の半断面図である。
図4は、同バルブの増力機構の分解斜視図である。
【0033】
本発明の実施形態に係る半導体製造装置用バルブ(半導体製造装置用ダイヤフラムバルブ)は、半導体製造装置などの流路に設けられ、流路内の高圧流体の流路を遮断したり、連通したりするために使用される。
【0034】
本例の半導体製造装置用バルブは高圧用自動弁のアクチュエータ3を備え、外部からのエアー供給により弁体(ダイヤフラム)23を開閉動作する自動弁であり、エアーポート4よりエアー供給がされると弁開状態となり、エアー供給を停止すると弁閉状態となる、いわゆるノーマリークローズ(NC型)の自動弁である。
なお、本例ではノーマリークローズの構造を前提に説明を行うが、エアーで駆動する部位とスプリングで駆動する部位の構造を入れ替えれば逆の動作タイプであるノーマリーオープン(NO型)の製品でも荷重の発生源がエアーかスプリングかの違いだけなので応用可能である。
【0035】
図1及び
図2に示すように、半導体製造装置用バルブは、弁体(ダイヤフラム)23を有するボデー(ボデー部)2と増力機構8を内蔵したアクチュエータ(アクチュエータ部)3とを連結して構成している。
【0036】
(ボデー部2について)
ボデー部2内の流路21は、ダイヤフラム押さえ25により支持されているダイヤフラムピース24が弁座シート22に向かって押下げられて、ダイヤフラム23を押圧することで、ダイヤフラム23が押下げられて弁座シート22に密着して高圧流体の流路21を遮断可能に構成している。
【0037】
(アクチュエータ部3について)
アクチュエータ部3は、ベース体33とシリンダ体32とキャップ体31により構成しており、ベース体33とシリンダ体32は雌ネジと雄ネジにより螺着し、シリンダ体32とキャップ体31は、雌ネジと雄ネジにより螺着している。
ベース体33は、止めねじ(図示なし)により回転抑制され、ベース体33の雄ネジは、ボデー2の雌ネジに螺着することで、アクチュエータ3とボデー2を連結して、バルブ本体を構成している。
【0038】
アクチュエータ3の内部には、弁封止するための荷重を発生させるスプリング(弾発部材)5とスプリング5の弾発力を伝達するスプリング受け6を内蔵しており、スプリング受け6からの入力荷重を伝達するピストン7の下には、ピストン7から入力されたアクチュエータ3の軸方向の垂直荷重を増幅する増力機構8を内蔵している。
【0039】
(増力機構8について)
図4に示すように、増力機構8は、プッシュロッド(押圧部材)11、回転子12、ガイド部材(ガイドスリーブ)13を含んで構成している。増力機構8は、ベース体33の所定の空間内にコンパクトに収容されており、ピストン7からの入力荷重を増幅する。
本例の増力機構8は、アクチュエータ3の軸方向に沿って発生した垂直荷重を伝達する際に、ピストン7と同軸に配置された回転子12に連結された螺合状態のネジ又は螺旋構造からなる螺合体16のピッチ差を利用して増力する。
すなわち、ピストンからの入力荷重を一旦回転運動に変換し、発生した回転トルクにより螺合体16を推進させて、この螺合体16の軸力(推進力)を出力荷重(垂直荷重)として、弁体(ダイヤフラム)23を押下げる締付荷重を発生させている。
【0040】
(プッシュロッド11について)
プッシュロッド11は、ピストン7の直径と略同程度の長さを有する長尺状のピン形状を呈しており、プッシュロッド11の両端には回転自在なブッシュが14装着されている。
プッシュロッド11は、回転子12の螺旋部18とガイド部材13のガイド溝13aに上下動自在に挿通状態で、ピストン7の延伸部7Aに形成した貫通穴7aに挿通して装着される。このため、プッシュロッド11は、ピストン7と一体に昇降動して、ピストン7から入力された垂直荷重を回転子12に伝達する。
【0041】
(回転子12について)
回転子12は、プッシュロッド11の垂直運動(直線運動)を回転運動に変換して、螺合体16を推進させて、出力部17により垂直荷重を伝達して弁体23に締付荷重を発生させる。
【0042】
回転子(円筒回転体)12は中空で略筒状形状の外観を呈しており、外周には螺旋状の一対の溝(螺旋部)18を有しており、回転体12の下端は、ネジ又は螺旋構造を有する螺合体16が連結している。螺旋部18の角度(ピッチ角)は特に限定はないが、本例では、40°~60°において適宜設定することができる。螺旋部18の角度が45°の場合には、設計段階において回転子12の回転量と推進力の関係が計算しやすくなるため好ましい。
螺旋部18に挿通したプッシュロッド11がピストン7による垂直荷重により上下動すると、螺旋部18を介してプッシュロッド11からの垂直荷重が回転子12の回転力を発生させるので、プッシュロッド11の上下動に伴って回転子12が回転運動する。これにより、ピストンから入力された軸方向の垂直荷重を、一旦、回転運動に変換して回転トルクを発生することができる。
回転子12の下端に螺合体16を連結して一体とすることで、高精度な回転トルクを発生させることができる。
【0043】
(螺合体16について)
螺合体16は、外周表面に螺旋構造16aを有しており、この螺旋構造16aがアクチュエータ3のベース体33の雌ねじ部33aと螺合しており、螺合体16の下端は出力部17に連結している。
螺旋構造16aは、特に限定はないが、雄ねじのネジ山を有するネジ(ネジ部)により形成することができ、雄ねじがベース体の雌ねじ部33aに螺合して、螺合状態で固着している。螺旋構造16aは、切欠によりネジ山のような螺旋溝により形成してもよい。
【0044】
螺合体16は、螺合状態でベース体33に固着しているので、セルフロック機能を発揮することができる。螺合体16のネジ山に対して直交に近い軸方向からの荷重に対しては、高い摩擦力によってセルフロックが掛かるので、弁閉動作によって発生した締付荷重を大きく超えた反力が無いとネジ16aが反転することがない。
【0045】
螺旋構造16aのネジ山は多条としてもよく、ネジ山のピッチ角などは、実施形態に合わせて適宜設定することができ、上記の螺旋部18のピッチ角と異なる角度にすることができ、螺旋構造16aのネジ山を異なるピッチ角とすることで、ピッチ差として利用することが可能となり、螺合体16の送り出し量を適宜設定することができる。
このため、例えば垂直荷重と回転トルクの変換倍率などを大きくする場合には、所定のピッチ差や回転量を調整することで締付荷重(出力荷重)に必要な送り出し量を定めればよく、増力機構の各部品を大きくすることなくそのままの大きさで調整可能となり、増力機構8をアクチュエータ3の内部にコンパクトに収容可能となる。
【0046】
(出力部17について)
出力部(出力軸)17の先端は、ダイヤフラムピース24に当接しておりダイヤフラム23を押下げ可能に設けている。また、出力軸17には、Oリング10が装着されている。
回転子12が回転運動すると螺合体16に回転トルクが伝達され、回転子12の回転によって螺合体16に推進力が生じ、螺合体16の垂直荷重の軸力となる。このため、螺合体16の出力部17がダイヤフラム23を押圧する方向に推進することで、弁体(ダイヤフラム)23を封止する締付荷重を発生させて弁封止する。
なお、本例では、出力部はダイヤフラムピースを介して間接的にダイヤフラムを押圧しているが、出力部が直接押圧してダイヤフラムを押下げてもよい。
【0047】
(ベアリング部材9について)
回転子12とベース体33の間には、ベアリング部材9を配置しており、回転子12の回転運動を滑らかにするとともに、回転子12とベース体33の間に生じる摩擦を低減している。
【0048】
(ガイド部材13について)
ガイド部材(ガイドスリーブ)13は、中空の円筒状の外観であり、垂直方向のガイド溝13aを有している。このガイド溝13aにプッシュロッド11が挿入されて、ピストン7の上下動と同軸方向のガイド溝13aにより、プッシュロッド11の直線運動が高精度に案内される。
【0049】
(バルブの動作について)
続けて、バルブ(ダイヤフラムバルブ)の動作及び増力機構の動作とその作用について説明する。
図3(a)はバルブの弁開状態を示しており、
図3(b)はバルブの弁閉状態を示している。
【0050】
外部からエアーポート4へのエアー供給が停止すると、エアー室の内圧よりもスプリング5の弾発力が大きくなり、スプリング5の弾発力によりスプリング受け6が垂直方向に押下げられる。スプリング5の垂直荷重はスプリング受け6に連結するピストン7を押下げて、スプリング5の垂直荷重がピストン7に伝達される。
【0051】
ピストン7の下降に伴って、ピストン7の貫通穴7aに挿入されているプッシュロッド11がガイド部材13のガイド溝13aに沿ってアクチュエータ3の軸方向と同方向に直線運動(垂直運動)する(矢印A)。
【0052】
このとき、プッシュロッド11は、回転子12の螺旋部18を押圧しながら下降して、回転子12を右周りに回転させる(矢印B)。
回転子12の回転運動により回転トルクが発生して、回転子12に連結した螺合体16が回転して(矢印C)、螺合体16のネジ(ネジ山)16aのピッチ角に従って推進力が働き、螺合体16が下降する。
【0053】
螺合体16に連結した出力部17が下降して(矢印D)、出力部17の先端に当接するダイヤフラムピース24を押圧して、ダイヤフラムピース24から締付荷重が伝達されて弁体(ダイヤフラム)23が押下げられて弁体23が弁座シート22に密着して、弁閉状態となる。
【0054】
螺合体16の推進力は、螺旋部18のピッチ角と螺合体16のピッチ角のピッチ差を利用して、螺合体16が移動する。また、アクチュエータの軸方向の直線的な移動であり、かつ、直線的な軸力の荷重を付加して、リニア的な荷重により弁閉に必要な締付荷重を発生させて、弁封止することが可能となる。
【0055】
よって、ピストン7から入力された軸方向の垂直荷重を螺合状態のネジ又は螺旋構造16aからなる螺合体16のピッチ差を利用して増力する増力機構8を備えた高圧用自動弁のアクチュエータ部3と弁体23を有するボデー部2とを連結したことにより、ピッチ差を利用して荷重を増幅した螺合体16の推進力により、弁体23を弁座シート22に密着させる締付荷重を発生させることができる。
しかも、出力荷重は、直線的な締付荷重でありかつ移動方向の荷重(リニア的荷重)であるから、直線的な負荷荷重を伝達し、締付荷重を発生させているので従来のボール式やカム式の増力機構よりも、入力された荷重の伝達ロスや荷重のバラツキを低減して安定した締付荷重を発生することができる。
加えて、バルブ設置後でも、設計時の出力荷重が変化することがないので、安定した弁閉性能を発揮することができる。
【0056】
また、ピッチ差を利用しているので、出力荷重の計算が容易であり、設計段階から容易に出力荷重を計算することができ、変換倍率を自由に設計できる。
特に、回転部品の回転量を変えるだけでアクチュエータの弁の開閉ストローク量を増やしたり締付荷重を変更することも可能なので、バルブ径を大きく設計する必要が無いため、決められた面積に多数のバルブを配置する様な用途にも適した省スペースに対応した製品を提供する事が可能となる。
すなわち、ネジの回転径やネジ山の送りピッチなどの設計だけで出力荷重の変換倍率を計算可能で自由に設計できるほか、ピストンのストロークと回転子の回転角度を設定することによって、弁を開閉するためのストローク量も個別に設計できるため、直感的にバルブの設計に必要な部品の可動量を計算することが可能となる。
【0057】
また、ピッチ差を利用して必要な締付荷重を生じさせているから、可動部材の特定の部位に荷重が集中することがなく、可動部材の摩耗を低減することができ耐久性を高めることができる。
すなわち、可動部材にボールを採用した製品やローラーを採用した従来の増力機構と比べると、可動部材の接触面積が点接触や線接触ではなく、ねじ山の噛み合い部の広い接触面が分担して荷重を受けるため、接触部位の面圧が低下するので、過度な摩擦や摩耗を低減して耐久性が向上し製品寿命を延長することができる。
【0058】
さらには、ピッチ差を利用して必要な締付荷重を生じさせることができるから、必要な荷重を得るために、増力機構を大きくする必要がなくコンパクト化を図ることができる。
【0059】
本実施形態は、回転子12は、螺旋状の溝(螺旋部)18を介してピストンと同軸に設けたプッシュロッド11の垂直荷重を回転トルクに変換するようにしたことにより、従来のカム式やボール式の増力機構と比較すると、増力機構8の構造を複雑にすることなく増力機構8をアクチュエータに内蔵することができると共に、垂直荷重を確実にかつ高精度に回転トルクに変換可能となる。
このため、垂直荷重と回転トルクの変換倍率などを大きくするために増力機構を大きくする必要がないのでアクチュエータ並びにバルブのコンパクト化を図ることができる。
【0060】
本実施形態は、螺合体16は螺合状態でピストンから入力された軸方向の荷重を螺合体16のピッチ差を利用して増力している。螺合体16は、ベース体33の雌ねじ部33aと螺合状態であることにより、螺合体16のネジ16aとベース体33の雌ねじ部33aのかみ合わせにより、セルフロック現象を利用して、弁閉時に増力機構8によって発生した軸力を超えた弁閉方向に掛かる流路からの逆圧力に抗して弁閉状態を維持することができる。
【0061】
従来のダイヤフラムバルブでは弁閉状態で内部流路に、設計時の弁閉荷重よりも大きな反力が発生した場合、ダイヤフラムが押し返されてバルブが弁開状態となってしまうが、本発明では、ウォームギヤの様に、ネジ山に対して直交に近い軸方向からの荷重に対しては、高い摩擦力によってセルフロックが掛かるので、弁閉動作によって発生した締付荷重を大きく超えた反力が無いとネジが逆転しないため、弁閉状態を保持することができる。
よって、バルブに過剰な内圧が掛かっても意図せず開いてしまうおそれがなく、従来よりも安全性の高いバルブ製品を提供することが可能となる。
【0062】
本実施形態によると、ネジの回転により発生した軸力を用いて直接あるいは間接的にボデー2内に設けたダイヤフラム23を押下させて弁の開閉を行うことにより、耐久性が向上し、安定した弁閉状態を維持可能な半導体製造装置用ダイヤフラムバルブを提供することができる、また、バルブ径を大きくすることなくアクチュエータをコンパクト化したことにより、省スペースに多数のバルブを配置することができるので、半導体製造装置のコンパクト化に寄与する。
【0063】
よって、本実施形態は、スプリングによって発生した荷重を、一旦、回転運動に変換した後、回転によって生じるトルクを、構造的に直結したネジの軸力(推進力)に再変換することで、リニアな出力荷重を得ることができ、回転径やネジ山の送りピッチの設計だけで出力荷重の変換倍率を自由に設計できるほか、ピストンのストロークと回転子の回転角度を設定することによって、弁を開閉するためのストローク量も個別に設計できるため、直感的にバルブの設計に必要な部品の可動量を計算することが可能となる。
【実施例0064】
次に、本発明に係る増力機構の実施例(設計例)を説明する。本発明の実施形態の一例を説明するものであり、本発明を限定するものではない。
【0065】
・螺合体のネジ部の設計について
本発明に係る増力機構8の設計する際に、最終段のネジによってバルブを締め付けたときに、高圧ガスによる反発力によってダイヤフラム23が押し返され、ネジ16aが破壊されるリスクがあるので、まずは螺合体16のネジの強度を検討する。
一般的な金属材料のメートルねじの締め付け時の軸力は大きく、(株)東日製作所の技術資料よれば、一般的な鉄鋼材のネジでは、M5サイズで2980N、M10サイズでは12200Nである。このため、一般的な金属材料は、非常に大きな荷重に耐える強度を有している。
【0066】
高圧ガスに対して弁体(ダイヤフラム)23を弁閉させるために必要なピストンの推力を、仮に2000~3000N(例えば20MPa程度の弁閉能力のバルブの場合)とすると、最低でもM5相当以上でかつ十分な余裕を持ったサイズとした上で、必要な軸力が出力できるようなネジ山の設計にすれば、強度としては問題がない。
【0067】
・回転子の設計について
次に、弁を開閉するために必要なアクチュエータのストロークを0.5mmとした場合の回転子の設計を検討する。
回転子12がピストン7によって押下げられたときに力が伝達される理論上の直径を「設計直径」として、目標とする製品サイズやピストン周辺部品の大きさに合わせて決める。
このとき、サイズやストローク量に設計上の制約がない場合には、回転子12の螺旋状の溝(螺旋部)18はピッチ角45°とする。この場合、スプリングからの垂直運動を1:1で回転運動に変換することが設計上簡便になるため、機械的ロスについて考慮してもバランスが良く都合が良い。
【0068】
螺旋部18のピッチ角が45°の場合、ピストンの垂直ストローク量と、上面から見た見かけ上の回転子が回転するときの回転量が設計直径の円周上での道のり距離としては比率が1:1で同じになるので、円周上の回転距離を利用して設計直径から求められる全周長(直径×π)との比で計算すれば必要な回転角を求めることができる。
【0069】
本例では、螺旋部18は2つの対称形状の溝が対になって構成されているので、2条ネジと同等の構造と考えてよく、設計直径を28mmとすると、ネジのピッチ角45°の螺旋溝の送りピッチは、周長÷2に相当するので(28×π)÷2≒44mmとなる。つまり、この場合の螺旋溝は一回転で44mmの送り量のネジ山を持ったネジに例える事ができる。
上記の計算例では、ピストンがフルストローク(ピストンのストローク+回転子の開閉ストローク)した時の回転子12の回転角θは、次の式で表すことができる。
θ=360°÷ 送りピッチ44mm × フルストローク長さ
【0070】
この時、仮にピストンのストロークを5mm、回転子の端部のネジのストローク(弁の開閉ストローク)を0.5mmとすると、θ=360°÷44×(5+0.5)=45°となる。つまり、ピストンの5.5mmのフルストロークによって回転子が45°回転する。
よって、回転子12の下部先端のネジ16aの設計は回転子が45°回転した時に0.5mmのストローク量となるピッチにすればよい。
【0071】
次に回転子の先端部のネジ(螺合体16のネジ16a)の設計を行う。ネジのピッチPは次のような式で計算できる。
P=360°÷45°×ストローク(0.5)= 4mm
ここで、例えばネジを2条ネジとする場合はリードが4mmとなるので、ネジピッチPは4÷2条=2mmとなる。つまり強度面ではM5サイズ以上で十分大きなネジを設計し、ネジのネジ山ピッチPが4mm(2条ネジの場合は2mm)のネジを設計すればストローク量0.5mmとなる。
【0072】
・スプリングの設計について
最後に、設計した増力機構を駆動させるために必要なスプリング5の荷重を求める。このときの計算例を下記に示す。
一般にトルクとネジの軸力の関係は次の式1で表される。
Fo = T ÷ (k×D2) ・・・・・(式1)
Fo[N] 最終的に出力される荷重(軸力)
T[N・m] 回転子のトルク
D2[m] 回転子のネジ直径
k トルク係数(一般的には0.15~0.2、本例は0.2とする)
【0073】
ピストン7の推力によって生じる回転子のトルクは次の式2で表される。
T = (D1÷2) × Fi × L ・・・・・(式2)
Fi[N] ピストンの荷重(スプリングの初期たわみ荷重)
D1[m] 回転子の計算直径
L 変換比(本例ではピッチ角45°なので1)
【0074】
式1及び式2より再終段で出力される軸力(弁閉に必要な荷重)は、
Fo =(D1÷2)×Fi×L÷(k×D2)
となる。
【0075】
必要なスプリングの荷重Fiは上記の式を変形して、
Fi =Fo÷(D1÷2)×(k×D2)÷L
という式より求めることができる。
【0076】
よって、仮に弁閉に必要な荷重Foを2500Nとした場合、回転子の計算直径D1=0.028m、回転子の螺合体のネジ径をD2=0.010mとすると、
Fi =2500÷(0.028÷2)×(0.2×0.01)÷1 ≒360N
となる。したがって、計算値の360Nに、摩擦などによるロス等のマージンを加えた値を、初期たわみ荷重としてスプリング5の荷重(弾発力)を設計すればよい。
【0077】
上記の実施例より、本発明による構造では力の伝達方法が単純であるため、簡便な計算で弁閉時の性能を推測できるため、設計段階で正確な検討ができる。
加えて、本発明では、構造が単純化され、コンパクト化が可能であると共に、機械的なバラつきや強い摩擦による摩耗を低減して製品寿命を延長することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【0079】
上記の実施形態は、NC型の自動弁について説明したが、ノーマリーオープン(NO型)の自動弁においても適用可能である。
エアーで駆動する部位とスプリングで駆動する部位の構造を入れ替えれば逆の動作タイプでも荷重の発生源がエアーかスプリングかの違いだけなので、NO型の自動弁では、エアー供給によるピストンにより弁閉方向に押圧して、上記の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0080】
また、上記の実施形態は、ピストンにより垂直荷重を伝達しているが、ピストンの数に限定はなく、2以上の複数のピストンにより構成してもよい。