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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053063
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】アタッチメント及び畦形成方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A01B35/00 C
A01B35/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035485
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2020165883の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大村 英昭
(57)【要約】
【課題】作業者の負担軽減を図ることができるアタッチメントを提供する。
【解決手段】アタッチメント1は、畦塗り機の回転軸3に畦形成体に代えて着脱可能に取り付けて使用する。アタッチメント1は、畦塗り機の回転軸3からの回転力を受けずに仮畦を形成するアタッチメント本体41を備える。アタッチメント1は、畦塗り機の回転軸3からアタッチメント本体41への回転力の伝達を遮断する遮断手段65を備える。そして、アタッチメント本体41は、遮断手段65を介して畦塗り機の回転軸3に取り付ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦塗り機の回転部に畦形成体に代えて着脱可能に取り付けられるアタッチメントであって、
前記回転部からの回転力を受けずに仮畦を形成するアタッチメント本体を備える
ことを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
畦塗り機の回転部からアタッチメント本体への回転力の伝達を遮断する遮断手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項3】
アタッチメント本体は、遮断手段を介して畦塗り機の回転部に取り付けられる
ことを特徴とする請求項2記載のアタッチメント。
【請求項4】
アタッチメント本体への土付着を防止する土付着防止体を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のアタッチメント。
【請求項5】
アタッチメント本体は、直進性を確保するための確保手段を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のアタッチメント。
【請求項6】
アタッチメント本体は、畦塗り機の回転部に対して左右位置調整可能である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載のアタッチメント。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一記載のアタッチメントを用いる畦形成方法であって、
畦塗り機の回転部から畦形成体を取り外した後、当該回転部に前記アタッチメントを取り付ける工程と、
前記アタッチメントが取り付けられた状態の前記畦塗り機を用いて仮畦を形成する工程と、
前記畦塗り機の前記回転部から前記アタッチメントを取り外した後、当該回転部に前記畦形成体を取り付ける工程と、
前記畦形成体が取り付けられた状態の前記畦塗り機を用いて新畦を形成する工程と
を備えることを特徴とする畦形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の負担軽減を図ることができるアタッチメント及び畦形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された畦削機(畦削り専用の作業機)が知られている。
【0003】
この従来の畦削機は、畦塗り機で畦塗り作業を行うたびに畦が幅方向に太くなりかつ高さも高くなるため、こうして大きくなってしまった畦の上面及び側面を削って当該畦の高さ及び幅を整えるものである。
【0004】
そして、当該畦削機は、駆動されることにより畦の上面の土を除去する上面削り部と、駆動されることにより畦の側面(法面)の土を除去する側面削り部(法面削り部)とを備えている。また、上面削り部は、畦の上面の土を除去しつつその土を畦の側面側に搬送する土搬送体を有しており、側面削り部は、畦の側面の土を除去しつつその土を下方の田面側に搬送する土搬送体を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-60977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の畦削機は、コストが高くならざるを得ない畦削り専用の作業機であるから、そのような比較的高価な畦削機を購入することは、農家等の作業者にとって負担が大きい。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業者の負担軽減を図ることができるアタッチメント及び畦形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のアタッチメントは、畦塗り機の回転部に畦形成体に代えて着脱可能に取り付けられるアタッチメントであって、前記回転部からの回転力を受けずに仮畦を形成するアタッチメント本体を備えるものである。
【0009】
請求項2記載のアタッチメントは、請求項1記載のアタッチメントにおいて、畦塗り機の回転部からアタッチメント本体への回転力の伝達を遮断する遮断手段を備えるものである。
【0010】
請求項3記載のアタッチメントは、請求項2記載のアタッチメントにおいて、アタッチメント本体は、遮断手段を介して畦塗り機の回転部に取り付けられるものである。
【0011】
請求項4記載のアタッチメントは、請求項1ないし3のいずれか一記載のアタッチメントにおいて、アタッチメント本体への土付着を防止する土付着防止体を備えるものである。
【0012】
請求項5記載のアタッチメントは、請求項1ないし4のいずれか一記載のアタッチメントにおいて、アタッチメント本体は、直進性を確保するための確保手段を有するものである。
【0013】
請求項6記載のアタッチメントは、請求項1ないし5のいずれか一記載のアタッチメントにおいて、アタッチメント本体は、畦塗り機の回転部に対して左右位置調整可能であるものである。
【0014】
請求項7記載の畦形成方法は、請求項1ないし6のいずれか一記載のアタッチメントを用いる畦形成方法であって、畦塗り機の回転部から畦形成体を取り外した後、当該回転部に前記アタッチメントを取り付ける工程と、前記アタッチメントが取り付けられた状態の前記畦塗り機を用いて仮畦を形成する工程と、前記畦塗り機の前記回転部から前記アタッチメントを取り外した後、当該回転部に前記畦形成体を取り付ける工程と、前記畦形成体が取り付けられた状態の前記畦塗り機を用いて新畦を形成する工程とを備えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業者の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係るアタッチメントが取り付けられた状態の畦塗り機を示す平面図である。
図2】同上アタッチメントの斜視図である。
図3】同上アタッチメントの断面図である。
図4】同上アタッチメントの位置変更後の断面図である。
図5】畦の大きさを調整する場合の作業手順を示す図である。
図6】(a)ないし(c)は同上作業手順を説明するための説明図である。
図7】(d)ないし(f)は図6に続く説明図である。
図8】本発明の他の実施の形態に係るアタッチメントの断面図である。
図9】本発明のさらに他の実施の形態に係るアタッチメントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0018】
図1ないし図4において、1は仮畦形成用のアタッチメント(ガイドローラ)で、このアタッチメント1は、畦塗り機2の回転部である回転軸(駆動回転軸)3に着脱可能に取り付けられて使用されるものである。つまり、このアタッチメント1は、畦塗り機2の左右方向の回転軸3に新畦形成用の畦形成体10に代えて着脱可能に取り付けられる(図6(a)ないし(c)を参照)。
【0019】
畦塗り機2は、畦形成体10が回転軸3に取り付けられた状態が通常状態(図6(a)に示す状態)である。そして、畦塗り機2は、その通常状態において、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、トラクタの前進走行により前進作業状態で前方(進行方向)に移動しながら畦塗り作業をする。また、圃場の隅部では、畦塗り機2は、前進作業状態からリターン作業状態に切り換えられた後、トラクタの後進走行によりリターン作業状態で後方(進行方向)に移動しながら畦塗り作業をする。
【0020】
この通常状態の畦塗り機2による畦塗り作業は、圃場(水田)に水を引く前に、割れ目やモグラ穴等がある元畦を修復して崩れにくい強固な新畦を形成する畦修復作業であるが、その際に圃場の土(田面の土)が元畦に追加されるため、畦塗り作業を毎年重ねていくと、畦が幅方向に太くなりかつ高さも高くなり、その結果、必要以上に畦が大きくなってしまう。そして、その大きくなった畦を所望の大きさに戻すために使用されるのが、アタッチメント1である。
【0021】
通常状態の畦塗り機2は、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結される機体6と、所定方向に回転しながら田面(圃場面)及び元畦を耕耘してその土を元畦上に盛り上げる盛土体(耕耘部)7と、所定方向に回転しながら盛土体7による盛土を締め固めて新畦を形成する畦形成体(ディスク部)10と、所定方向に回転しながら元畦の上面を削る上面削り体(上面削り部)8とを備えている。
【0022】
これら盛土体7、上面削り体8及び畦形成体10は、それぞれカバー体11,12,13によって覆われている。なお、カバー体13は、畦形成体10のうち畦側面形成部31の一部を覆うものであるが、アタッチメント1の使用時には当該アタッチメント1の一部がカバー体13によって覆われる。
【0023】
また、畦形成体10は、回転軸3に取り付けられた状態で、図示しない入力軸側からの動力に基づいて回転軸3とともに所定方向に駆動回転するが、その周速はトラクタの走行速度よりも速いため、畦に対してスリップ回転する。
【0024】
なお、アタッチメント1は、回転軸3に取り付けられた状態であっても、当該回転軸3の回転力がアタッチメント本体41には伝達されないため、このアタッチメント本体41は、接地した畦側からの力に基づいて所定方向に従動回転する。つまり、この非駆動式のアタッチメント本体41は、畦に接地した状態でトラクタの走行(移動)に伴って従動回転しながら畦に沿って移動する。
【0025】
機体6は、トラクタの後部の3点リンク部(図示せず)に着脱可能に連結される機枠16を有している。機枠16には入力軸(図示せず)が回転可能に設けられ、この入力軸にはトラクタのPTO軸がジョイントを介して接続される。
【0026】
そして、入力軸により入力された動力(駆動力)に基づいて、盛土体7、上面削り体8及び畦形成体10がそれぞれ駆動回転して作業を行う。これら盛土体7、上面削り体8及び畦形成体10によって作業部20が構成されている。ただし、アタッチメント1の使用時には、作業部20は、盛土体7、上面削り体8及びアタッチメント1によって構成される。
【0027】
また、機枠16には可動機枠17が連結手段18を介して連結され、この可動機枠17に作業部20が設けられている。そして、伸縮駆動手段であるシリンダ21,22の伸縮により可動機枠17が動いて作業部20が位置変更することで、畦塗り機2が所望の状態(前進作業状態、格納状態及びリターン作業状態)に選択的に切り換えられる。さらに、可動機枠17には、田面に接地して走行するゲージ輪(方向輪)23が設けられている。
【0028】
盛土体7は、入力軸側からの動力に基づいて駆動回転する前後方向の回転軸26を有し、この回転軸26には盛土用の複数の耕耘爪27が取り付けられている。上面削り体8も、盛土体7と同様、入力軸側からの動力に基づいて駆動回転する前後方向の回転軸28を有し、この回転軸28には上面削り用の複数の耕耘爪29が取り付けられている。
【0029】
畦形成体10は、盛土体7による盛土を締め固めて新畦の傾斜面状の側面(畦側面)を形成する円錐台状(略円錐台状を含む。以下同様)の畦側面形成部31と、この畦側面形成部31の縮径側の端部に設けられ、盛土体7による盛土を締め固めて新畦の水平面状の上面(畦上面)を形成する円筒状(略円筒状を含む。以下同様)の畦上面形成部32とを有している(図7(f)参照)。なお、畦上面形成部32の畦側面形成部31側の端部は截頭円錐状であり、この截頭円錐状の端部によって新畦の傾斜面状の肩面(畦肩面)が形成される。
【0030】
畦側面形成部31は、回転方向後側で盛土を押し込むように締め固めて畦側面を形成する複数の畦側面形成板33を有している。そして、複数の畦側面形成板33は回転方向に並んでおり、その回転方向に互いに隣り合う両畦側面形成板33間には直線状の段差部34が形成されている。また、畦上面形成部32の外周面には、複数の螺旋状の段差部35が形成されている。これら段差部34,35の作用によって盛土が強く締め固められて、崩れにくい強固な新畦が形成される。なお、畦側面形成部31は、回転中心側に円筒状の取付部(図示せず)を有し、この取付部が回転軸3の外周側に着脱可能に直接取り付けられる。
【0031】
アタッチメント1は、図2及び図3等から明かなように、例えば畦形成体10と略同じ形状でかつ略同じ大きさに形成されたもので、その畦形成体10に代えて、畦塗り機2の回転軸3に対して着脱可能に取り付けられて使用される。
【0032】
ここで、アタッチメント1は、回転軸3に対して畦側からの力に基づいて水平な左右方向の回転中心軸線Xを中心として所定方向に従動回転しながら盛土体7による盛土を緩く固めて仮畦を形成する非駆動式のアタッチメント本体41と、このアタッチメント本体41の外面(接地面)に取付手段43によって着脱可能に取り付けられ、アタッチメント本体41の外面への土付着を防止する土付着防止体42とを備えている。
【0033】
なお、非駆動式のアタッチメント本体41によって形成される仮畦は、駆動式の畦形成体10によって形成される強固な新畦とは異なり、その表面部の土は柔らかく、新畦に比べて崩れやすい。
【0034】
アタッチメント本体(従動回転体)41は、盛土体7による盛土を緩く固めて仮畦の傾斜面状の側面を形成する円錐台状の側面形成部46と、この側面形成部46の縮径側の端部に設けられ、盛土体7による盛土を緩く固めて仮畦の水平面状の上面を形成する円筒状の上面形成部47とを有している。
【0035】
側面形成部46の截頭円錐面状の外周面は、回転方向に並ぶ板状の複数枚の第1土付着防止部材51によって覆われており、かつ、上面形成部47の円筒面状の外周面は、回転方向に並ぶ板状の複数枚の第2土付着防止部材52によって覆われている。これら第1土付着防止部材51及び第2土付着防止部材52によって土付着防止体42が構成されている。
【0036】
各土付着防止部材(例えば弾性体である土付着防止板)51,52は、土が付着しにくい材質からなるもので、例えばゴム板、樹脂板或いは金属板等の弾性変形可能なものである。各土付着防止部材51,52は、回転方向前端部がアタッチメント本体41の外面(側面形成部46の外周面、上面形成部47の外周面)に取付手段43で着脱可能に取り付けられている。各土付着防止部材51,52は、回転方向に隣接するもの同士が一部重なって配置されているが、重なり部分がなくてもよい。
【0037】
なお、図示した例では、側面形成部46の外周面の全体及び上面形成部47の外周面の全体が土付着防止体42で覆われているが、例えば外周面の一部のみが弾性部材等の土付着防止体で覆われる構成でもよく、また、例えば土付着防止体42を備えず、アタッチメント本体41の外面が露出した構成でもよい。さらに、図示した例では、土付着防止部材は回転方向前端部がアタッチメント本体に取り付けられた構成であるが、例えば土付着防止部材を回転方向前端部及び回転方向中間部でアタッチメント本体に取り付けた構成でもよい。
【0038】
また、アタッチメント本体41は、アタッチメント1が回転軸3に取り付けられた状態の畦塗り機2を用いた作業時(仮畦形成作業時)において、トラクタの走行に基づく当該畦塗り機2の進行方向への移動の直進性を確保するための確保手段55を有している。
【0039】
確保手段55は、アタッチメント本体41の左右方向の一端部である内端部(左端部)に位置し、外周端部が圃場の田面に刺さり込むように挿入される円環状でかつ板状の第1挿入部である内側板56と、アタッチメント本体41の左右方向の他端部である外端部(右端部)に位置し、外周端部が仮畦の上面に刺さり込むように挿入される円環状でかつ板状の第2挿入部である外側板57とを有している。つまり、互いに大きさが異なる2つの内側板56及び外側板57によって確保手段55が構成されている。
【0040】
内側板56は、側面形成部46の内端部に設けられており、この内側板56の外周端部は側面形成部46の内端部から径方向外方に向かって突出している。つまり、内側板56は、圃場の田面に挿入される環状の挿入板部56aを外周端部に有している。この内側板56には円形状の開口部58が形成されている。
【0041】
なお、内側板56の挿入板部56aには、周方向に間隔をおいて並ぶ複数の取付用孔54が形成されている。この取付用孔54は、挿入板部56aよりも田面に深く挿入される拡径部材(図示しない)や、挿入板部56aへの土付着を防止する延長土付着防止部材(図示せず)等を内側板56に取り付けるためのものである。
【0042】
外側板57は、上面形成部47の側面形成部46側とは反対側の端部である外端部に設けられており、この外側板57の外周端部は上面形成部47の外端部から径方向外方に突出している。つまり、外側板57は、仮畦の上面に挿入される環状の挿入板部57aを外周端部に有している。
【0043】
この外側板57には円形状の開口部59が形成されており、この開口部59は蓋60によって開閉可能に閉鎖されている。この蓋60は、取付手段50によって外側板57に着脱可能に取り付けられている。
【0044】
さらに、図3に示すように、アタッチメント本体41は、側面形成部46の外端部(右端部)に設けられた円筒状の取付部(ボス)61を有している。この取付部61は、ベアリング(軸受部材)63及びインナーボス(筒状部材)64を介して、回転軸3の外周側に取付手段62によって着脱可能に取り付けられている。なお、ベアリング63及びインナーボス64によって、回転軸3からアタッチメント本体41への動力(回転力)の伝達を遮断する遮断手段65が構成されている。
【0045】
つまり、アタッチメント本体41は、動力伝達遮断用の遮断手段(軸受手段)65を介して回転軸3に回転可能に取り付けられている。要するに、アタッチメント本体41の取付部61は、回転軸3に対して着脱可能かつ回転可能となっている。
【0046】
そして、アタッチメント本体41の回転中心側の取付部61には、畦形成体10の回転中心側の取付部(図示せず)とは異なり、回転軸3からの動力が伝達されない。このため、アタッチメント本体41は、畦形成体10とは異なり、回転軸3からの動力で駆動回転するものではなく、接地した畦側から受ける力に基づいて従動回転する。
【0047】
また、取付手段62は、例えば回転軸3の雌ねじ部3aに螺合可能なボルト66と、円筒状のカラー67と、ボルト66の軸部66aが挿通される座金68とで構成されている。
【0048】
そして、図4に示すように、位置調整部材であるカラー67の位置を変えることにより、回転軸3に対するアタッチメント本体41の左右方向の位置を変更可能である。つまり、アタッチメント本体41は、畦塗り機2の回転軸3に対して左右位置調整可能となっている。
【0049】
次に、上述したアタッチメント1の作用等を説明する。
【0050】
まず、図5を参照しつつ、畦の大きさを調整する場合、すなわち例えば畦塗り作業の繰り返しで大きくなった畦を所望の大きさの畦に戻す場合の作業手順(所望の大きさに戻すための畦形成方法)について説明する。
【0051】
作業者は、まず、既存の畦塗り機2の回転軸3から畦形成体10を取り外した後、当該回転軸3にアタッチメント1を取り付ける。つまり、畦形成体10からアタッチメント1への付け替えを行う(ステップ1)。
【0052】
次いで、アタッチメント1が回転軸3に取り付けられた状態の畦塗り機2を用いて、盛土体7による盛土をアタッチメント1で緩く固めて仮畦を形成する(ステップ2)。
【0053】
その後、畦塗り機2の回転軸3からアタッチメント1を取り外した後、当該回転軸3に畦形成体10を取り付ける。つまり、アタッチメント1から畦形成体10への付け替えを行う(ステップ3)。
【0054】
次いで、畦形成体10が回転軸3に取り付けられた状態の畦塗り機2を用いて、盛土体7による盛土を畦形成体10で締め固めて新畦を形成する(ステップ4)。その結果、畦塗り作業の繰り返しで大きくなった畦は、その高さ及び幅が小さくなり、所望の大きさの新畦が形成される。
【0055】
ここで、図6及び図7に基づいてより具体的に説明すると、作業者は、まず、図6(a)及び(b)に示すように、畦塗り機2の回転軸3から畦形成体10を取り外す。次いで、図6(c)に示すように、畦塗り機2の回転軸3にアタッチメント1を取り付ける。
【0056】
次いで、図7(d)及び(e)に示すように、アタッチメント1が回転軸3に取り付けられた状態の畦塗り機2(アタッチメント使用状態の畦塗り機)を、トラクタの走行により元畦に沿って進行方向に移動させると、アタッチメント1によって盛土が緩く固められて仮畦が形成される。
【0057】
つまり、アタッチメント本体41が土付着防止体42を介して畦に接地した状態でその畦側からの力に基づいて従動回転することにより、盛土体7による盛土が緩く固められて、表面部の土が柔らかな仮畦が形成される。
【0058】
この際、アタッチメント本体41の内側板56が田面に挿入されかつ外側板57が仮畦の上面に挿入されるため、アタッチメント1の畦に沿った直進移動の直進性(畦塗り機全体の進行方向への移動の直進性)が確保される。なおこの際、畦塗り機2の回転軸3は、駆動させる必要がないため、例えば回転軸3の回転を停止させる機能を持った構成である場合には、仮畦形成時には当該回転軸3を停止させてもよい。
【0059】
また、この仮畦形成時(仮畦形成工程)において、それぞれ接地したアタッチメント1及びゲージ輪23により畦塗り機2の高さが安定するので、アタッチメント1に対する盛土体7の相対高さを調整することで、元畦に対する切削深さ(耕耘深さ)を調整できる。同様に、アタッチメント1に対する上面削り体8の相対高さを調整することで、元畦に対する上面削り深さ(耕耘深さ)も調整できる。
【0060】
さらに、1つ又は複数の土量調整用手段を調整することで、アタッチメント1によって押されて緩く固められる仮畦用の土量を調整できる(図1参照)。
【0061】
具体的には、例えば盛土体7の後方に位置する土止め板81の開き具合を変化させることで、アタッチメント1側から田面側に逃す土量を調整できる。また、盛土体7の外側方に位置するサイドカバー体82における土調整板83の角度を変化させることで、アタッチメント1側から反田面側(外側方)に逃す土量を調整できる。さらに、盛土体7を覆うカバー体11における補助カバー84の左右位置を変化させることで、元畦の上面に盛り上げられる土量を調整できる。また、盛土体7を覆うカバー体11におけるガード85の上下位置を変化させることで、盛土体7側から田面側に逃す土量を調整できる。
【0062】
その後、図7(f)に示すように、アタッチメント1から畦形成体10への付け替えを行った後、通常状態の畦塗り機2を用いて畦塗り作業を行うと、畦形成体10によって、所望の高さ及び幅に減少した強固な新畦が形成される。
【0063】
この際、盛土体7及び上面削り体8によって仮畦が耕耘されるが、この仮畦の表面部の土は柔らかいため、盛土体7及び上面削り体8は通常の場合よりも深く入り込み、より多くの土が削られる。このため、新畦は、畦塗り作業の繰り返しで大きくなった畦よりも小さくなる。
【0064】
なお、図7(f)に示す作業(新畦の形成作業)は、図7(d)に示す作業(仮畦の形成作業)の直後に行ってもよく、所定期間経過後に行ってもよい。例えば所定期間経過後に行う場合、雨水等によって仮畦の一部が崩れて土が田面側に供給されることもある。また、新畦形成時においても、仮畦形成時と同様、新畦用の土量を調整できる。
【0065】
そして、上記アタッチメント1によれば、農家等の作業者は、回転軸3を回転中心として畦側からの力に基づいて従動回転しながら仮畦を形成する非駆動式のアタッチメント本体41を備える比較的安価なアタッチメント1を使用することで、大きくなった畦を所望の大きさに調整できるため、比較的高価な畦削機を購入する必要がなく、よって、作業者にかかる経済的な負担等の負担軽減を図ることができる。
【0066】
また、アタッチメント本体41への土付着を防止する土付着防止体42を備えるため、作業時にアタッチメント本体41に土が付着するのを適切に防止でき、よって、土落とし等の手間がかからず、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0067】
さらに、アタッチメント本体41は、仮畦の側面を形成する円錐台状の側面形成部46と、仮畦の上面を形成する円筒状の上面形成部47とを有するため、通常の畦に近い形状の仮畦が形成されることとなり、よって、新畦の形成作業時に作業位置が安定しやすく所望の畦削り量に設定して容易に作業ができ、この点からも作業者の負担軽減を図ることができる。
【0068】
なお、アタッチメント1は、例えばタイヤやゲージ輪等のような図8に示すものでもよい。この図8に示すアタッチメント1では、アタッチメント本体41は、盛土体7による盛土を緩く固めて仮畦の垂直状の1つの側面を形成する円筒状の側面形成部46を有している。
【0069】
この側面形成部46は、円筒状の筒状部分46aと、この筒状部分46aの右端部に設けられた円板状の板状部分46bとを有している。筒状部分46aの外周面には、ゴムや樹脂等からなる第1土付着防止部材71がその外周面の全体を覆うように設けられている。なお、例えば図示しないが、第1土付着防止部材71は、スパイクタイヤ等の如く複数の突起を有するものでもよい。
【0070】
また、上面形成部47の外周面にも同様に、ゴムや樹脂等からなる第2土付着防止部材72がその外周面の全体を覆うように設けられており、また、この第2土付着防止部材72は複数の突起を有するものでもよい。なお、これら第1土付着防止部材71及び第2土付着防止部材72によって土付着防止体42が構成されている。
【0071】
そして、図8に示すアタッチメント1でも、上記アタッチメント1と同様の作用効果を奏することができる。なお、例えば側面形成部46の板状部分46bの外面に土付着防止部材を設けてもよい。また、例えば土付着防止部材71,72を設けずにアタッチメント本体41の外面を露出させた構成でもよい。
【0072】
また、アタッチメント1は、例えば仮畦の側面が複数段状に形成されるような図9に示すものでもよい。この図9に示すアタッチメント1では、アタッチメント本体41は、盛土体7による盛土を緩く固めて仮畦の側面を複数段状に形成する側面形成部46を有している。
【0073】
この側面形成部46は、円筒状の第1筒状部分46aと、この第1筒状部分46aの右端部に設けられた円板状の第1板状部分46bと、この第1板状部分46bの内周端部に設けられた円筒状の第2筒状部分46cと、この第2筒状部分46cの右端部に設けられた円板状の第2板状部分46dとを有している。
【0074】
そして、図9に示すアタッチメント1でも、上記アタッチメント1と同様の作用効果を奏することができる。なお、この図9において図示したアタッチメント1は、土付着防止体42を備えていないが、例えば側面形成部46の筒状部分46a,46cの外周面や板状部分46b,46dの外面に土付着防止部材を設けたり、上面形成部47の外周面に土付着防止部材を設けたりしてもよい。また、側面形成部46の段数は3つでもよく、さらに多い4つ以上でもよい。
【0075】
また、いずれの実施形態においても、アタッチメント本体は、直進性を確保するための確保手段を有することが好ましいが、確保手段を有しない構成でもよい。また、例えば確保手段を構成する部材(内側板56、外側板57)に土付着防止部材を設けてもよい。
【0076】
さらに、例えばアタッチメント本体自体を土が付着しにくい材質で構成してもよく、また、アタッチメント本体のうち少なくとも畦に接触する部分(接地面)のみを土が付着しにくい材質で構成してもよい。
【0077】
また、畦形成体と交換可能(付け替え可能)なアタッチメントは、畦塗り機の回転部に対して畦側からの力に基づいて回転しながら仮畦を形成するアタッチメント本体のみからなる構成でもよい。
【0078】
さらに、畦塗り機の回転部に対するアタッチメント本体の取付作業の容易化のために、その取付作業の際に取付部(ボス)61に対するインナーボス64の回転を規制する規制手段(例えば着脱ピン等)を設けるようにしてもよい。
【0079】
なお、本発明のいくつかの実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 アタッチメント
2 畦塗り機
3 回転部である回転軸
10 畦形成体
41 アタッチメント本体
42 土付着防止体
46 側面形成部
47 上面形成部
55 確保手段
56 第1挿入部である内側板
57 第2挿入部である外側板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9