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特開2024-53094TVCMの効果を分析するための装置、方法及びそのためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053094
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】TVCMの効果を分析するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20240405BHJP
【FI】
G06Q30/0242
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024036428
(22)【出願日】2024-03-10
(62)【分割の表示】P 2022033971の分割
【原出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2021035732
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522166220
【氏名又は名称】ノバセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003605
【氏名又は名称】弁理士法人六本木通り特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 文弥
(72)【発明者】
【氏名】笹子 圭太
(72)【発明者】
【氏名】前田 健太郎
(57)【要約】
【課題】TVCMの効果を分析するための方法において、3C分析等の多面的な分析を可能とする。
【解決手段】まず、装置100は、ユーザー端末110から入力を受信する(S201)。装置100は、受信した入力に関連づけられた1又は複数の放映データをデータベース104から取得する(S202)。次いで、装置100は、取得された各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する(S203)。そして、装置100は、ユーザー端末110に、1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部及び各放映データに関連づけられた検索スコアを送信する(S204)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TVCMの効果を分析するための方法であって、
ユーザー端末から、入力を受信するステップと、
前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、
各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、
前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと
を含む。
【請求項2】
TVCMの効果を分析するための方法であって、
ユーザー端末から、入力を受信するステップと、
1又は複数の放映データを取得するステップと、
各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、
前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと
を含む。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法であって、
前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードに対応する第2のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値である。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、
前記第2のワードは、前記第1のワードと同一であり、
前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の方法であって、
前記検索スコアは、検索者の属性ごとに算出される値である。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記送信の前に、前記検索スコア又はそれらに対応するデータを、前記属性ごとに演算する。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記送信の前に、前記検索スコア又はそれらに対応するデータを、前記入力された属性に応じて演算する。
【請求項8】
請求項5から7のいずれかに記載の方法であって、
前記属性は、性別、年代及び地域のうちの少なくともいずれかである。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載の方法であって、
前記入力は、商品名、サービス名、ブランド名又はこれらのいずれかが属するカテゴリ名を含み、
前記1又は複数の放映データに含まれる項目の前記少なくとも一部は、前記商品名、前記サービス名、前記ブランド名又は前記カテゴリ名を含む。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載の方法であって、
前記1又は複数の放映データに含まれる項目の前記少なくとも一部は、各放映データの対象とするTVCMのクリエイティブ識別子又は放映時刻を含む。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の方法であって、
前記ユーザー端末に、各放映データに関連づけられた視聴者数又はこれらに対応するデータを送信するステップをさらに含む。
【請求項12】
コンピュータに、TVCMの効果を分析するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
ユーザー端末から、入力を受信するステップと、
前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、
各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、
前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと
を含む。
【請求項13】
コンピュータに、TVCMの効果を分析するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
ユーザー端末から、入力を受信するステップと、
1又は複数の放映データを取得するステップと、
各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、
前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップと
を含む。
【請求項14】
TVCMの効果を分析するための装置であって、
ユーザー端末から、入力を受信し、
前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データ、及び、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得し、
前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信する。
【請求項15】
TVCMの効果を分析するための装置であって、
ユーザー端末から、入力を受信し、
1又は複数の放映データ、及び、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得し、
前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TVCMの効果を分析するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット広告の市場規模(日本)がテレビで放映されるCM(以下「TVCM」と呼ぶ。)の市場規模である2兆円弱を超えて大きく成長しつつも、テレビは、依然として最大の影響力をもつメディアである。音声と映像により反復してメッセージを伝達することで、強い印象を視聴者に与えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現状、TVCMを放映する上で定量的な効果測定の手法が十分には提供されているとは言えない。自社が放映したTVCMの効果測定のほかに、競合の他社が放映したTVCMの効果について分析したり、より広く自社の属する市場ではどのようなTVCMがどういった効果を生んでいるかを分析したり、いわゆる3C分析をすることが望まれている。ここで「3C」とは自社(Company)、競合(Competitor)、そして顧客(Customer)、すなわち市場の三つを意味する。また、自社の属する市場以外においても、どのようなTVCMが効果的かを検証することは自社におけるTVCMの効率化に有益であり、そのような分析も望まれている。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、TVCMの効果を分析するための装置、方法及びそのためのプログラムにおいて、3C分析等の多面的な分析を可能とすることにある。
【0005】
なお、本発明による新たな分析手法は、本明細書で下位概念として開示されるさまざまな実施形態をいずれも可能とするものであるが、これらの下位概念はそれぞれそれ自体として有効であり、これまでに提供されていなかった分析を可能とする新たな発明であることを付言する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、TVCMの効果を分析するための方法であって、ユーザー端末から、入力を受信するステップと、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップとを含む。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、TVCMの効果を分析するための方法であって、ユーザー端末から、入力を受信するステップと、1又は複数の放映データを取得するステップと、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップとを含む。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と前記ある時点の以前又は前の第2の期間における前記検索エンジンの前記第1のワードに対応する第2のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値である。
【0009】
また、本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記第2のワードは、前記第1のワードと同一であり、前記第1のワードは、各放映データの対象とするTVCMに関連づけて定められた、1若しくは複数のワード又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせである。
【0010】
また、本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様において、前記検索スコアは、検索者の属性ごとに算出される値である。
【0011】
また、本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記送信の前に、前記検索スコア又はそれらに対応するデータを、前記属性ごとに演算する。
【0012】
また、本発明の第7の態様は、第5の態様において、前記送信の前に、前記検索スコア又はそれらに対応するデータを、前記入力された属性に応じて演算する。
【0013】
また、本発明の第8の態様は、第5から第7のいずれかの態様において、前記属性は、性別、年代及び地域のうちの少なくともいずれかである。
【0014】
また、本発明の第9の態様は、第1から第6のいずれかの態様において、前記入力は、商品名、サービス名、ブランド名又はこれらのいずれかが属するカテゴリ名を含み、前記1又は複数の放映データに含まれる項目の前記少なくとも一部は、前記商品名、前記サービス名又は前記ブランド名を含む。
【0015】
また、本発明の第10の態様は、第1から第8のいずれかの態様において、前記1又は複数の放映データに含まれる項目の前記少なくとも一部は、各放映データの対象とするTVCMのクリエイティブ識別子又は放映時刻を含む。
【0016】
また、本発明の第11の態様は、第1から第10のいずれかの態様において、前記ユーザー端末に、各放映データに関連づけられた視聴者数又はこれらに対応するデータを送信するステップをさらに含む。
【0017】
また、本発明の第12の態様は、コンピュータに、TVCMの効果を分析するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、ユーザー端末から、入力を受信するステップと、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するステップと、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップとを含む。
【0018】
また、本発明の第13の態様は、コンピュータに、TVCMの効果を分析するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、ユーザー端末から、入力を受信するステップと、1又は複数の放映データを取得するステップと、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得するステップと、前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信するステップとを含む。
【0019】
また、本発明の第14の態様は、TVCMの効果を分析するための装置であって、ユーザー端末から、入力を受信し、前記入力に関連づけられた1又は複数の放映データ、及び、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得し、前記ユーザー端末に、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信する。
【0020】
また、本発明の第15の態様は、TVCMの効果を分析するための装置であって、ユーザー端末から、入力を受信し、1又は複数の放映データ、及び、各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得し、前記ユーザー端末に、前記入力に応じて、前記1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部又はそれらに対応するデータ及び各放映データに関連づけられた検索スコア又はそれらに対応するデータを送信する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、ユーザーからの入力に応じて、ユーザー端末においてTVCMの分析結果を閲覧するためのデータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を分析するための装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を分析するための方法の流れ図である。
図3】本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を分析した結果を模式的に示す図である。
図4】TVCM放映後の検索数の時間変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を分析するための装置を示す。装置100は、装置100がコンピュータネットワークを介して提供する分析サービスのユーザー企業の用いるユーザー端末110から入力を受信し、当該入力に応じたデータをユーザー端末110に返し、分析結果の閲覧を可能とする。
【0025】
装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができる。装置100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部102において実行することができる。装置100は、TVCMの効果分析に用いる各種データを格納するデータベース104をさらに備えてもよいが、これらのデータは記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておいてもよく、以下ではデータベース104に記憶されるが、これに限定されるものではない。
【0026】
まず、装置100は、ユーザー端末110から入力を受信する(S201)。入力としては、自社又は他社の会社名又はその略称、自社又は他社の商品等の名称又はその略称等が挙げられる。複数の会社名又は複数の商品等の名称を論理和、すなわちOR条件で入力した場合には、自社又はその商品等と競合する会社又は商品等の集合が自社の属する市場を表すと考えられることから、自社の属する市場を近似的に入力することになる。ここで、本明細書において「商品等」とは、商品、サービス又はブランドをいう。また、以下では、本明細書において「会社名」というときにはその略称も含み、商品等の「名称」というときにはその略称を含むものとする。
【0027】
データベース104には、放映された過去のTVCMに関する放映データが記憶されている。放映データは、放映時刻及びTVCMのクリエイティブ識別子を含み、TVCMを放映した広告主である会社名、TVCMの対象である商品等の名称、TVCMが放映された番組名、TVCMに出演したタレント名、使用された曲名及び使用された曲のアーティスト名の少なくとも一部をさらに含む。ここで、放映時刻は、放映開始日時及び放映終了日時を含んでもよく、TVCMの長さが30秒であれば放映終了日時は放映開始日時の30秒後となる。これは一定の期間であるものの、分単位等の一定の単位でみればある時点であり、放映時刻と表現する。また、放映データは、TVCMが放映された地域情報を含んでもよい。地域情報としては、都道府県名、関東・中京等の地域名、TVCMを放映した放映局名等が挙げられる。
【0028】
装置100は、受信した入力に関連づけられた1又は複数の放映データをデータベース104から取得する(S202)。たとえば、ユーザー端末110から競合の商品名が入力された場合、当該商品名を含む1又は複数の放映データを抽出すればよい。この際、装置100は、略称を含めて商品名の表記揺れが想定される場合には各商品の表記候補を関連づけて記憶しておき、必要に応じて補正をしてもよい。放映データに含まれる項目については、商品などの名称以外についても同様に補正を行うことが考えられる。また、ユーザー端末110から業種が入力された場合、当該業種と当該業種に属する1又は複数の会社の会社名との対応づけを記憶しておき、当該対応づけを参照して1又は複数の会社名を特定した上でデータベース104からそれらの会社名を含む1又は複数の放映データを抽出してもよい。また、ユーザー端末110から視聴者の属性が入力された場合、後述する属性に対応する検索スコアの値を抽出される各放映データに関連づけられた検索スコアの値としてよい。
【0029】
次いで、装置100は、取得された各放映データに含まれる放映時刻における検索スコアを取得する(S203)。データベース104には、各放映データについて、あらかじめ検索スコアを算出して、当該放映データと関連づけて記憶しておくことができる。あるいは、ユーザー端末110から入力があった際に抽出された各放映データについて検索スコアを算出するようにしてもよい。検索スコアは、ある時点を基準とした検索数の増加を表す値であり、詳細は後述する。各放映データについて、その放映時刻における検索スコアは、TVCMが放映されたことの効果として、どの程度視聴者がインターネット上で検索という行為を行ったかを定量的に示すものである。後述する検索スコアの取得において、属性に対応する値を取得することが可能である。あるいは、なお、各放映データの取得とそれらの検索スコアの取得を分けて記述したが、これらを単一の処理として行ってもよく、別個の処理として行うことに限定する意図ではない。
【0030】
検索スコアは、インターネット上で行われた複数の検索に関する検索履歴データに基づいて算出する。検索履歴データは、各検索について、検索に用いられた1若しくは複数の単語又はそれらの論理和若しくは論理積としての組み合わせと、検索が行われた時刻とを含む。各検索について、検索が行われた機器の使用者の属性をさらに含んでもよく、この場合属性ごとに検索スコアの算出を行うことができる。属性としては、性別、年代、地域等が挙げられ、これらは、当該機器を使用して行われた過去の行動履歴データに基づいて推測することが考えられる。たとえば、当該機器を使用して過去に閲覧されたウェブサイトの性質に応じて、性別を推測することが可能である。また、当該機器を使用して検索が行われる際に、検索サービスにサインインがなされていれば、サインインに用いられたアカウントの登録情報から、性別、年代等を取得することが考えられる。また、当該機器を使用して検索を行った際のIPアドレスから、使用者の所在地域を推測することが考えられる。ユーザー端末110からの入力が視聴者の属性である場合、当該属性に対応する検索スコアの値のみを取得することも可能である。検索に用いられた1又は複数の単語が、商品等の名称又は商品等が属するカテゴリ名である場合に、当該検索を「指名検索」と呼び、狭義には、商品等の名称である場合を「指名検索」と呼ぶことがある。また、指名検索における検索スコアを「指名検索スコア」と呼ぶ。
【0031】
そして、装置100は、ユーザー端末110に、1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部及び各放映データに関連づけられた検索スコアを送信する(S204)。
【0032】
ここで、1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部として、たとえばTVCMのクリエイティブ識別子を送信すれば、ユーザー端末110は、クリエイティブ識別子ごとに検索スコアを演算して、クリエイティブの違いによる効果を分析することができる。ここで、検索スコアに対して施す演算としては、合計値、平均値、中央値、標準偏差の算出等が挙げられる。これらの演算の際に、外れ値の除外を行ってもよい。必要に応じてデータベース104を参照することで、各放映データで表されるTVCMの広告費が判定又は推定可能であれば、演算として、広告費に対する検索スコアの費用対効果の算出も挙げられる。さらに放映時刻も送信すれば、横軸に時間、縦軸に検索スコアをとり、クリエイティブ識別子ごとの効果をグラフとして可視化することができる。
【0033】
また、必要に応じてデータベース104を参照することで、各放映データで表されるTVCMの視聴者数が判定又は推定可能であれば、視聴者数をユーザー端末110に送信することで、所定期間における累積視聴者数に対する累積検索スコアの獲得効率を算出することができる。図3に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を分析した結果を模式的に示す。図3は、以下の表1に示すデータをユーザー端末110の表示画面に表示したものであり、TVCMが放映されるごとに、視聴者数及び指名検索スコアの合計値を算出してプロットしている。図3に示されるグラフの傾きは、TVCMの視聴がどの程度効果的に指名検索に繋がっているかを表す指標となる。ここでは、各放映データについて、放映時刻、指名検索スコア及び視聴者数をユーザー端末110に送信する場合を想定しているが、装置100において、累積指名検索スコア及び累積視聴者数を演算して、演算結果をユーザー端末110に送信するようにしてもよい。なお、視聴者数は、一例として、TVCMが放映された時点における視聴率に当該TVCMが放映された地域の世帯数を乗じた数又はこれに対応する数によって推定することができ、各放映データについて、データベース104に当該放映データと関連づけて記憶しておくことができる。なお、視聴者数及びその算出に用いられる視聴率の推定方法については、現在知られており、また、今後知られ得る任意の方式を採用すればよい。
【0034】
【表1】
【0035】
図3の例では、1若しくは複数の放映データに含まれる項目の少なくとも一部として、TVCMの対象である商品等の名称を送信して、ある特定の商品等について効果を分析したものであるところ、複数の商品等について同時にグラフ化して対比することも可能である。また、TVCMのクリエイティブ識別子を送信して、クリエイティブ識別子ごとにグラフ化して対比することも可能である。
【0036】
ユーザー端末110における分析において、放映データに含まれる項目自体ではなく、それを加工したデータであってもよいため、ユーザー端末110には、各放映データに含まれる項目の少なくとも一部に対応するデータを送信してもよい。また、検索スコアは、定数倍したり、定数を加算したりする演算を施してもよく、検索スコアに対応するスコアがユーザー端末110に送信されてもよい。
【0037】
また、装置100は、ユーザー端末110にデータを送信する前に、各放映データに含まれるいずれかの項目ごとに検索スコアに演算を施してもよい。また、装置100は、送信前に、各放映データに関連づけられた検索スコアの属性ごとに検索スコアに演算を施してもよい。また、ユーザー端末110からの入力に応じて検索スコアに演算を施すことが考えられる。これらの演算は、検索スコアに対応するスコアに対して施してもよい。
【0038】
このように、本発明によれば、ユーザーからの入力に応じて、ユーザー端末110においてTVCMの分析結果を閲覧するためのデータを提供することができ、効果に影響を与える因子を特定した多面的な分析を可能にする。
【0039】
なお、上述の説明では、ユーザー端末110からの入力に関連づけられた1又は複数の放映データを取得するものとして記述したが、ユーザー端末110への送信前の演算においてのみ、ユーザー端末110からの入力を用いることも考えられ、かかる場合においても、ユーザーからの入力に応じた、分析結果を閲覧するためのデータを提供するものである。
【0040】
検索スコアの詳細
検索スコアは、ある時点の以後又は後の第1の期間における検索エンジンの第1のワードによる検索数又はその近似値と当該ある時点の以前又は前の第2の期間における当該検索エンジンの第1のワードに対応する第2のワードによる検索数又はその近似値とを用いて定まる検索数の増加を表す値である。
【0041】
図4に、TVCM放映後の検索数の時間変化の一例を示す。時刻tにTVCMが放映された後3分間にTVCMの内容に関連した検索数が増加していることが見て取れる。発明者らは、TVCMの視聴者がインターネット上で行動を取り、検索エンジンでTVCMの内容に関連した検索を実行するまでの時間は概ね3分間等であることを見出し、必ずしも3分間に限るものではないが、本発明の一実施形態では、TVCMの放映後数分間に着目して検索スコアを算出する。
【0042】
TVCMごとにいかなるワードでの検索を検索スコア算出の対象とするかは定める必要があり、通常は基準となるある時点の以後又は後の第1の期間における検索ワードと、当該時点の以前又は前の第2の期間における検索ワードは同一とすればよい。また、検索ワードは、単一のワードとしたり、表記揺れを考慮した複数のワードの論理和による組み合わせとしたりすればよい。また、論理積による組み合わせで検索結果を絞ってもよい。また、簡単には第1の期間と第2の期間は同じ長さとすればよいが、第1の期間の半分の期間における検索数を2倍して第2の期間における検索数を算出してもよく、換言すれば、第1の期間における検索数又はその近似値と第2の期間における検索数又はその近似値を用いて検索スコアを算出することができればよい。
【0043】
なお、上述の実施形態において、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0044】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0045】
100 装置
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 ユーザー端末

図1
図2
図3
図4