IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

特開2024-53097建物ユニットの製造ラインおよび製造方法
<>
  • 特開-建物ユニットの製造ラインおよび製造方法 図1
  • 特開-建物ユニットの製造ラインおよび製造方法 図2
  • 特開-建物ユニットの製造ラインおよび製造方法 図3
  • 特開-建物ユニットの製造ラインおよび製造方法 図4
  • 特開-建物ユニットの製造ラインおよび製造方法 図5
  • 特開-建物ユニットの製造ラインおよび製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053097
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】建物ユニットの製造ラインおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
E04B1/348 L
E04B1/348 H
E04B1/348 X
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024036673
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2020087675の分割
【原出願日】2020-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元女 和樹
(57)【要約】
【課題】主に、建物ユニットの長辺側の反対側の側面に、建築現場で第二の外壁部を取付ける手間を削減し得るようにする。
【解決手段】
建物ユニット2,3の骨格となるユニットフレーム4を搬送するコンベヤ(メインコンベヤ22)の片側に、外壁部7を取付ける外壁部取付設備23が備えられ、コンベヤ(メインコンベヤ22)の反対側に外壁部取付設備23が備えられていない建物ユニット2,3の製造ライン21に関する。
コンベヤ(メインコンベヤ22)の片側の外壁部取付設備23からコンベヤの反対側へと外壁部7を移動させる吊荷設備26を設けている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物ユニットの骨格となるユニットフレームを搬送するコンベヤの片側に、外壁部を取付ける外壁部取付設備が備えられ、前記コンベヤの反対側に前記外壁部取付設備が備えられていない建物ユニットの製造ラインであって、
前記コンベヤの片側の前記外壁部取付設備から前記コンベヤの反対側へと前記外壁部を移動させる吊荷設備を設けたことを特徴とする建物ユニットの製造ライン。
【請求項2】
請求項1に記載の建物ユニットの製造ラインであって、
前記吊荷設備は、
前記外壁部の上げ下ろしを行う吊上部と、
前記吊上部を前記コンベヤの片側から反対側へ導くガイド部と、
前記ガイド部に沿って前記吊上部を横移動させる走行体とを有することを特徴とする建物ユニットの製造ライン。
【請求項3】
請求項2に記載の建物ユニットの製造ラインであって、
前記吊荷設備は、複数並設され、
複数の前記吊荷設備は、前記走行体が連結梁で一体に連結されていることを特徴とする建物ユニットの製造ライン。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の建物ユニットの製造ラインであって、
前記吊荷設備は、前記外壁部の上端部と上下方向の中央部との中間となる上側の位置に取付けられた吊金物により前記外壁部を吊るフックを有することを特徴とする建物ユニットの製造ライン。
【請求項5】
建物ユニットの骨格となるユニットフレームをコンベヤで外壁部取付設備の位置まで搬送し、
前記コンベヤの片側に備えられた前記外壁部取付設備で前記ユニットフレームの片側の側面に第一の外壁部を取付けると共に、
吊荷設備を用いて前記コンベヤの片側の前記外壁部取付設備から前記コンベヤの反対側へ第二の外壁部を移動させて、
前記ユニットフレームの反対側の側面に前記第二の外壁部を取付けることを特徴とする建物ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物ユニットの製造ラインおよび製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物には、ユニット工法によって構築されたユニット建物がある(例えば、特許文献1参照)。ユニット建物は、予め工場で製造された直方体状の建物ユニットを建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることによって短期間のうちに構築し得るようにした建物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-79427公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場で建物ユニットを製造する場合、建物ユニットには、ユニット建物に対する外壁の取付位置に応じた位置に外壁部が取付けられる。しかし、例えば、建物ユニットの、対向する一対の側面の両方に対して外壁部を取付ける必要が有る場合、建物ユニットの製造ラインの構成や、製造ラインでの製造作業の都合などの理由によって、これまでは、ユニットフレームの対向する一対の側面のうちの一つの側面に対してのみ、外壁部を取付けるようにしていた。
【0005】
そして、ユニットフレームの反対側の側面については、工場段階では、外壁部を取付けないままの状態にしておき、建築現場にて、建物ユニットを基礎上に据付けた後で、外壁部を取付けるようにしていた。そのため、建築現場でのユニットフレームの反対側の側面への外壁部の取付けに、手間と時間がかかっていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対して、本発明は、
建物ユニットの骨格となるユニットフレームを搬送するコンベアの片側に、外壁部を取付ける外壁部取付設備が備えられ、前記コンベアの反対側に前記外壁部取付設備が備えられていない建物ユニットの製造ラインであって、
前記コンベアの片側の前記外壁部取付設備から前記コンベアの反対側へと前記外壁部を移動させる吊荷設備を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、建築現場で、建物ユニットの長辺側の反対側の側面に、第二の外壁部を取付ける手間を削減することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例にかかる建物ユニットを用いたユニット建物の斜視図である。
図2図1のユニット建物の平面図である。
図3】建物ユニットの骨格となるユニットフレームの斜視図である。
図4】建物ユニットの製造ラインを示す概略斜視図である。
図5図2の建物ユニットの第二の外壁部の周辺の拡大平面図である。
図6】建物ユニットに対して第二の外壁部を取付ける様子を示す側面図である。このうち、(a)は第二の外壁部の取付前、(b)第二の外壁部の取付後の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図6は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0012】
図1図2)に示すように、住宅などの建物を、ユニット工法によって構築されたユニット建物1とする。ユニット建物1は、予め工場で製造された建物ユニット2,3を建築現場へ搬送して、建築現場で組み立てることによって短期間のうちに構築し得るようにした建物である。
【0013】
ここで、ユニット建物1は、どのような構成のものとしても良いが、この実施例では、ユニット建物1を、2つの建物ユニット2,3を横に並べて設置したものとしている。以下、この構成のユニット建物1を例として説明するが、ユニット建物1の構成は、これに限るものではない。
【0014】
建物ユニット2,3は、ほぼ直方体状のものとされる。建物ユニット2,3には、鉄骨系のものと木質系のものとが存在している。このうち、鉄骨系の建物ユニット2,3は、図3に示すように、4本の柱4aの上端部間に4本の天井梁4bを平面視矩形状に連結し、4本の柱4aの下端部間に4本の床梁4cを平面視矩形状に連結してなるボックスラーメン構造のユニットフレーム4を有している。
【0015】
ここで、柱4aは、例えば、上下方向5へ延びる角筒状の鋼材によって構成される。
【0016】
天井梁4bは、例えば、水平方向へ延びるC字断面の形鋼によって構成される。4本の天井梁4bによって、ユニットフレーム4には天井面を形成するための平面視ほぼ長方形状の天井フレームが構成される。
【0017】
床梁4cは、例えば、水平方向へ延びるC字断面の形鋼によって構成される。4本の床梁4cによって、ユニットフレーム4には床面を形成するための平面視ほぼ長方形状の床フレームが構成される。
【0018】
ユニットフレーム4は、上記したように、柱4aと天井梁4bと床梁4cとで構成された、建物ユニット2,3の骨組となる直方体状をした立体枠である。直方体状をしたユニットフレーム4は、天井面と床面との間に、4つの側面6を有している。この実施例では、4つの側面6を、第一から第四の4つの側面6(a)~6(d)とする。4つの側面6(a)~6(d)は、それぞれ、隣接する一対の柱4aと、一対の柱4aの上下の天井梁4bおよび床梁4cとによって形成される。
【0019】
図2に示すように、例えば、建物ユニット2を構成するユニットフレーム4の側面6には、ユニット建物1の外壁の取付位置に応じた位置に、外壁部7が適宜取付けられる。また、ユニットフレーム4のコーナー部には、コーナー外壁8が取付けられる。なお、説明は省略するが、建物ユニット3の側面6についても、ユニット建物1の外壁の取付位置に応じた位置に、外壁部7やコーナー外壁8が適宜取付けられる。外壁部7は、建物ユニット2,3の各側面6の全体または一部分に取付けられる、ユニット建物1の外壁を構成する部材のことである。
【0020】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
【0021】
(1)図2に示すように、直方体状をしたユニットフレーム4における、
対向する一対の側面6(側面6(a),6(b)または側面6(c),6(d))のうちの一つ(例えば、側面6(a),6(c)の少なくとも一つ)に第一の外壁部11が取付けられると共に、反対側の側面6(例えば、側面6(b),6(d)の少なくとも一つ)に第二の外壁部12が取付けられるようにする。
この際、第一の外壁部11および第二の外壁部12が取付けられた一対の側面6(a),6(b)は、ユニットフレーム4の長辺側の側面6(a),6(b)とされる。
【0022】
ここで、建物ユニット2,3は、建物ユニット2と建物ユニット3のどちらとしても良いが、建物ユニット2の例で説明する。
【0023】
対向する一対の側面6は、建物ユニット2を構成するユニットフレーム4では、長辺側の側面6(a),6(b)と、短辺側の側面6(c),6(d)との、二対が存在している。このうち、長辺側の側面6(a),6(b)は、ユニットフレーム4の長手方向(桁方向)に沿った大きい方の面である。また、短辺側の側面6(c),6(d)は、ユニットフレーム4の短手方向(妻方向)に沿った小さい方の面である。
【0024】
第一の外壁部11は、ユニット建物1の外壁における、ユニットフレーム4の対向する二対の側面6(a),6(b)および側面6(c),6(d)のうちの、長辺側の一つの側面6(a)(以下、単に一つの側面6(a)または一側面6(a)ということができるものとする)に対して取付けられる外壁部7である。第一の外壁部11は、通常、長辺側の一つの側面6(a)に対し、全面に亘るように取付けられる。
【0025】
この場合、第一の外壁部11は、例えば、長辺側の一つの側面6(a)の全面に亘る大きさを有する一つの外壁パネルとして形成して、長辺側の一つの側面6(a)に対して一度に取付けるようにしても良いし、長辺側の一つの側面6(a)よりも小さく形成された外壁パネルを、長辺側の一つの側面6(a)の全面に亘るように複数枚並べて取付けるようにしても良い。但し、第一の外壁部11は、長辺側の一つの側面6(a)よりも小さい範囲(一部分)に局所的に取付けるものとすることもできる。なお、外壁パネルは、外壁材を組み合わせて形成された、(第一の外壁部11や第二の外壁部12などのような)外壁部7を構成するためのパネルである。
【0026】
第二の外壁部12は、ユニット建物1の外壁における、ユニットフレーム4の対向する二対の側面6(a),6(b)および側面6(c),6(d)のうちの、第一の外壁部11が取付けられる長辺側の一つの側面6(a)とは反対側の長辺側の側面6(b)(以下、単に反対側の側面6(b)ということができるものとする)に対して取付けられる外壁部7である。第二の外壁部12は、長辺側の反対側の側面6(b)の全面、または、少なくとも一部分に対して局所的に取付けられる。第二の外壁部12は、第一の外壁部11とほぼ同様の外壁パネルで構成される。
【0027】
なお、第一の外壁部11および第二の外壁部12が取付けられる、長辺側の側面6(a),6(b)は、反対であっても良い。
【0028】
ユニットフレーム4の短辺側の側面6(c),6(d)については、工場にて、その一方または両方に対し、外壁部7を取付けても良いし、または、取付けなくても良い。
【0029】
ユニット建物1では、ユニット建物1のどの位置に配置される建物ユニット2,3であるかによって、その建物ユニット2,3(のユニットフレーム4)に対する外壁部7の取付位置が決められることになる。
【0030】
ちなみに、通常のユニット建物1の場合、単一の建物ユニット2または建物ユニット3だけでユニット建物1が構成されることはあまりなく、複数の建物ユニット2,3を組み合わせてユニット建物1が構成されることが多い。そのため、外壁部7は、各建物ユニット2,3(のユニットフレーム4)における、いずれか一つの側面6(例えば、側面6(a))や、その一つ側面6(a)と直交する別の側面6(例えば、側面6(c),6(d)の少なくとも一方)に対して取付けられることが多い(一面~三面)。しかし、この実施例の場合には、最終的に、建物ユニット2の4つの側面6(a)~6(d)の全て(四面)に外壁部7が取付けられることになる。
【0031】
図4は、工場における、建物ユニット2,3の製造ライン21の一例を示すものである。以下、建物ユニット2,3の製造ライン21について説明する。製造ライン21は、ユニットフレーム4を移動するメインコンベヤ22を有しており、メインコンベヤ22の片側(奥側)には、外壁部7を組立てる外壁組立設備や、外壁組立設備で組立てた外壁部7をユニットフレーム4に取付ける外壁取付設備23などが設置される。
【0032】
メインコンベヤ22では、ユニットフレーム4は、その長辺を、メインコンベヤ22の搬送方向24と平行な状態で搬送するのが一般となっている。これにより、ユニットフレーム4の長辺側の側面6(a),6(b)は、メインコンベヤ22の搬送方向24の両側(奥側および手前側)へ向けられる。また、ユニットフレーム4の短辺側の側面6(c),6(d)は、メインコンベヤ22の搬送方向24の上流側および下流側へ向けられる。ユニットフレーム4を、このような向きで搬送することにより、メインコンベヤ22の幅寸法を小さく抑えて、工場をスペース効率良く使用することができるようになる。また、長辺の長さが異なる各種のユニットフレーム4を容易に製造できるようになる。
【0033】
そして、作業員は、メインコンベヤ22の外壁取付設備23とは反対側(手前側)に、メインコンベヤ22に沿って設けられた作業通路25からメインコンベヤ22の上のユニットフレーム4内へ出入して、ユニットフレーム4の内外における組立作業を行うようにしている。また、メインコンベヤ22の手前側には、例えば、内装用設備などのような、その他の設備なども適宜設置される。
【0034】
製造ライン21がこのような構成となっていることから、ユニットフレーム4の長辺側の対向する一対の側面6(a),6(b)のうちの、第一の外壁部11を取付ける一つの側面6(a)は、外壁取付設備23があるメインコンベヤ22の奥側に向いた面とするのが好ましい。これにより、製造ライン21では、メインコンベヤ22の奥側の外壁組立設備で第一の外壁部11を組立てて、組立てた第一の外壁部11を奥側の外壁取付設備23によってメインコンベヤ22の奥側へ向いた側面6(a)に、そのまま直接取付けることができるようになり、合理的な設備構成となる。そして、外壁取付設備23のないメインコンベヤ22の手前側に向いた反対側の側面6(b)が、第二の外壁部12を取付けるべき面となる。
【0035】
しかし、上記したような製造ライン21の構成では、メインコンベヤ22の手前側には、第二の外壁部12を組立てるための専用の外壁組立設備や、第二の外壁部12を取付けるための専用の外壁取付設備などが特に備えられないため、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対して、第二の外壁部12を取付けることは(設備的に)困難な状況になっている。即ち、既存の製造ライン21は、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に第二の外壁部12を取付けることを想定した設備構成にはなっていなかった。
【0036】
そして、仮に、工場で、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対して第二の外壁部12を取付けた場合には、第一の外壁部11と第二の外壁部12とによって、ユニットフレーム4の長辺側の対向する一対の側面6(a),6(b)の両方が塞がれてしまうため、作業通路25側からの作業員の出入スペースが失われるので、作業性が低下する。よって、第一の外壁部11と第二の外壁部12とをユニットフレーム4の長辺側の対向する一対の側面6(a),6(b)の両方に取付けるのは、好ましくないと考えられている。
【0037】
よって、上記したような製造ライン21の構成や、製造作業の都合などの理由から、ユニットフレーム4の対向する一対の側面6(a),6(b)の両方に対して、工場で同時に外壁部7が取付けられることは、これまで行われていなかった。
【0038】
これに対し、この実施例では、メインコンベヤ22の奥側に設けられた(主に第一の外壁部11を製造している)外壁組立設備で第二の外壁部12を製造して、製造された第二の外壁部12を、奥側にある(主に第一の外壁部11の取付けに使っている)外壁取付設備23から、ホイスト(や移動式クレーン)などの吊荷設備26を用いてメインコンベヤ22の手前側(の空いているスペース)へと移動させ得るようにすることで、メインコンベヤ22の手前側に第二の外壁部12のための専用の外壁組立設備や外壁取付設備を設けることなく、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対しても、第二の外壁部12を取付けられるように製造ライン21を変更している。
【0039】
吊荷設備26は、一般的なもので良く、例えば、荷の上げ下ろしを行う吊上部26aと、吊上部26aをメインコンベヤ22の奥側から手前側の空きスペースへと導くガイド部26bと、ガイド部26bに沿って吊上部26aを横移動させる走行体26cとを有するものなどとすることができる。吊荷設備26は、複数並設して、同時に使うことができる。これにより、大判の第二の外壁部12であっても、複数の吊荷設備26を同時に使って、メインコンベヤ22の手前側へと容易に移動することが可能になる。そして、例えば、反対側の側面6(b)の全面に対して大判の第二の外壁部12を一気に取付けることなども可能になる。この実施例では、2本のガイド部26bを、メインコンベヤ22と直交する方向へ、作業通路25を越える程度以上の長さに設けると共に、走行体26cを2本のガイド部26b間に跨る連結梁で一体に連結するようにしている。
【0040】
ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対して第二の外壁部12を取付けるのに使う吊荷設備26は、新規に設置しても良いし、または、工場に別の目的で設けられている既存のものを流用しても良い。既存のものを流用する場合には、例えば、第二の外壁部12をメインコンベヤ22の奥側の外壁取付設備23の位置からメインコンベヤ22の手前側へ導くガイド部26bを増設すれば良い。
【0041】
このように、ホイストなどの吊荷設備26を用いて、第二の外壁部12を、メインコンベヤ22の奥側から手前側(の空きスペース)へ移動できるようにするだけで、ユニットフレーム4に対する外壁部7の取付パターンを、これまでよりも拡張することができる。例えば、ユニットフレーム4の一つの側面6(a)には第一の外壁部11を取付けずに、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対してのみ第二の外壁部12を取付けるといったような、これまでにはなかったような外壁部7の取付け方も、状況によっては可能になる。
【0042】
また、ホイストなどの吊荷設備26を使ってユニットフレーム4の短辺側の側面6(c),6(d)に外壁部7を取付ける場合には、例えば、メインコンベヤ22の奥側に設けられた外壁組立設備で短辺側の側面6(c),6(d)のための外壁部7を製造して、製造された外壁部7を、奥側にある外壁取付設備23から、ホイスト(や移動式クレーン)などの吊荷設備26を用いて奥側の外壁取付設備23の位置からメインコンベヤ22上の位置まで運ぶことで、メインコンベヤ22上の位置にて外壁部7をユニットフレーム4の短辺側の側面6(c),6(d)(のうちの少なくとも一方の面)に対して取付けることが可能になる。この実施例では、工場にて、短辺側の側面6(c),6(d)の両面に外壁部7を取付けるようにするのが好ましい。
【0043】
(2)図2図5)に示すように、第二の外壁部12は、ユニットフレーム4の入隅部31を形成する部位に取付けられても良い。
【0044】
ここで、第二の外壁部12は、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)の全面に対して取付けるものとしても良いが、これ実施例では、入隅部31の部分に取付けるものとしている。入隅部31は、ユニット建物1の外形部分に形成される、内側へ凹んだコーナー部のことである。入隅部31は、例えば、大きさの異なる2つの建物ユニット2,3を横に(短辺方向に)並べて設置することで、大きい方の建物ユニット2の小さい方の建物ユニット3と隣接する長辺側の側面6(b)における、小さい方の建物ユニット3からの突出部分と、小さい方の建物ユニット3における、上記突出部分と直交する側面6(e)との間に形成される。
【0045】
なお、大きい方の建物ユニット2の長辺側の側面6(b)における、小さい方の建物ユニット3と合わされる重なり部分については、外壁部7は設置されない。よって、大きい方の建物ユニット2の長辺側の側面6(b)に取付けられる第二の外壁部12は、部分的なものとなる。即ち、第二の外壁部12は、入隅部31を構成する面の大きさに形成された小型の外壁パネルが、上記側面6(b)の突出部分に対して局所的に取付けられるものとなる。
【0046】
そして、第二の外壁部12は、反対側の側面6(b)の全面の大きさと比べて小さなものとなる。これにより、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に第二の外壁部12を取付けても、反対側の側面6(b)が第二の外壁部12によって完全に塞がれることがなくなるため、反対側の側面6(b)からの作業員の出入スペースは確保されることになる。よって、例えば、ユニットフレーム4の4つの側面6の全て(四面)に対して工場で外壁部7を取付けることも可能になる。
【0047】
(3)図6に示すように、第二の外壁部12には、吊金物41が取付けられても良い。
【0048】
ここで、吊金物41は、ホイストなどの一般的な吊荷設備26によって第二の外壁部12を吊ることができるようにするために、または、吊り易くするために、第二の外壁部12に設けられる金具である。吊金物41は、吊荷設備26の吊上部26aに備えられたフックを直接、またはチェーンや吊りワイヤーなどの吊具45を介して間接的に引っ掛けたり吊ったりするための穴部41aを有するアイプレートなどとしても良い。吊金物41は、第二の外壁部12の裏面の上部(上側の部分)に、第二の外壁部12の裏面に対してほぼ面直に延びるように、第二の外壁部12と一体に設けられる。
【0049】
この実施例では、吊金物41は、第二の外壁部12の上側、例えば、上端部と上下方向5の中央部との中間の位置に設けられている。但し、吊金物41の設置位置は、上記に限るものではない。
【0050】
吊金物41は、例えば、第二の外壁部12の裏面に取付けられた縦構造材46に対して溶接やボルト固定などで一体的に取付けることができる。第一の外壁部11や第二の外壁部12は、例えば、縦構造材46と横構造材47とで構成されたパネル枠体に対して、外壁材を一体に取付けることで構成した外壁パネルなどとすることができる。そして、吊金物41は、少なくとも第二の外壁部12を形成するパネル枠体の縦構造材46などに取付けられる。
【0051】
なお、図6では、第二の外壁部12は、上下方向5に対し、ユニットフレーム4の天井梁4bと床梁4cとの間に亘る高さとなっている。
【0052】
(4)第二の外壁部12には、ユニットフレーム4に対する引掛部51が設けられても良い。
【0053】
ここで、引掛部51は、ユニットフレーム4に対して引掛けるために、第二の外壁部12に設けられる係止用金具である。引掛部51は、ホイストなどの吊荷設備26で吊上げられた第二の外壁部12を、下へ降ろす際に、ユニットフレーム4に対して上から引掛けられるようにした下向きのフック形状のものとされる。引掛部51は、第二の外壁部12の裏面の下部(下側の部分)に、第二の外壁部12の裏面に対してほぼ面直に延びるように、第二の外壁部12と一体に設けられる。
【0054】
この実施例では、引掛部51は、第二の外壁部12の下側、例えば、上下方向5の中央部よりも若干低い位置に設けられている。但し、引掛部51の設置位置は、上記に限るものではない。
【0055】
引掛部51は、例えば、第二の外壁部12の裏面に取付けられた縦構造材46に対して溶接やボルト固定などで一体的に取付けることができる。引掛部51は、例えば、第二の外壁部12の裏面側へ向けて延びる水平部51aと、この水平部51aの先端部から下方へ延びる立下部51bとを有するフックとされる。
【0056】
これに対し、ユニットフレーム4には、反対側の側面6(b)に、第二の外壁部12を取付けるためのスタッド材55(間柱など)が設けられており、このスタッド材55(間柱など)に対して、引掛部51を受けるための受部56が設けられる。スタッド材55は、ユニットフレーム4の天井梁4bと床梁4cとの間に設けられ、受部56は、スタッド材55の第二の外壁部12を取付けたときの引掛部51の高さとほぼ同じ高さの位置に設けられる。受部56は、スタッド材55の側面から横に延びる被係止片とされる。受部56は、例えば、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)の面方向に沿ってほぼ水平に延びるように、スタッド材55の側面に取付けたビスなどとすることができる。このビスは、引掛部51を受け易くするために、スタッド材55の側面に対し、完全に打ち込まれていない状態で設置するのが好ましい。そして、引掛部51の水平部51aは、受部56の上に載置され、立下部51bは、第二の外壁部12の横方向の動きに対して受部56を係止することで外れ止めとなる。
【0057】
なお、第二の外壁部12は、最終的にスタッド材55に対して、背面側(ユニットフレーム4の内側)からリベットなどを用いて固定される。そのため、受部56は、特に、第二の外壁部12を固定するのには使われない。
【0058】
ユニットフレーム4の内側には、外壁部7の取付後などに、内壁パネル59(図5)などが、必要に応じて適宜取付けられる。
【0059】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0060】
工場で建物ユニット2を製造する場合、建物ユニット2の骨格となるユニットフレーム4には、ユニット建物1の構成や、製造ライン21の構成や、製造作業の都合などの理由によって、通常、長辺側の対向する一対の側面6(a),6(b)のうちの一つ(側面6(a))のみに対して外壁部7(第一の外壁部11)を取付けるようにしている。
【0061】
そして、ユニットフレーム4の長辺側の反対側の側面6(b)については、建築現場にて、建物ユニット2,3を基礎上に据付けた後で、建物ユニット2に対して第二の外壁部12を取付けるようにしている。そのため、建築現場での建物ユニット2の長辺側の反対側の側面6(b)への第二の外壁部12の取付けに手間と時間がかかっていた。
【0062】
そこで、この実施例では、工場で建物ユニット2のユニットフレーム4に対し、長辺側の対向する一対の側面6(a),6(b)のちの、一つ(側面6(a))に第一の外壁部11を取付けると共に、反対側の側面6(b)にも第二の外壁部12を取付けられるようにしている。
【0063】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
(効果 1)ユニットフレーム4の対向する一対の側面6(a),6(b)のうちの一方の側面6(a)に第一の外壁部11を取付け、反対側の側面6(b)にも、工場で予め第二の外壁部12を取付けておくようにした。これにより、建築現場での建物ユニット2(のユニットフレーム4)の反対側の側面6(b)への第二の外壁部12の取付けの手間を削減することができる。
【0065】
この際、第一の外壁部11および第二の外壁部12は、ユニットフレーム4の長辺側の側面6(a),6(b)に対して取付けられても良い。建物ユニット2の製造ライン21の構成上、ユニットフレーム4は、長辺側の側面6(a),6(b)を、メインコンベヤ22の搬送方向24の両側(奥側と手前側)へ向けた状態にしてメインコンベヤ22で搬送されることが多い。そして、メインコンベヤ22の奥側には、外壁組立設備や外壁取付設備23が設置されているため、メインコンベヤ22の奥側に向いた長辺側の側面6(a)は、第一の外壁部11を取付けるのに最も適している。よって、奥側に向いた長辺側の側面6(a)に対し、大型の外壁取付設備23を用いて、一気に第一の外壁部11を取付けるようなことが行われている。
【0066】
これに対し、メインコンベヤ22の手前側には、作業通路25が設けられたり、その他の設備などが設けられたりすることで、上記した外壁取付設備23のような大型の設備を第二の外壁部12のために別に設ける余地がほとんどない。そして、メインコンベヤ22の手前側へ向いた長辺側の側面6(b)は、ユニットフレーム4の最も大きな側面6の一つであることから、外壁取付設備23のような大型の設備のない状態では、第二の外壁部12を取付けるのが難い状況となっている。即ち、ユニットフレーム4の長辺側の側面6(b)は、第二の外壁部12を取付けるのが最も困難な面となっている。
【0067】
そのため、これまでは、メインコンベヤ22の手前側となる、ユニットフレーム4の長辺側の側面6(b)については、第二の外壁部12を取付けない開口状態のままで、建物ユニット2を製造していた。
【0068】
そこで、このような製造ライン21の構成や、製造作業の都合などの理由によって、取付けることが困難とされていた(メインコンベヤ22の手前側となる)ユニットフレーム4の長辺側の側面6(b)に対しても第二の外壁部12を取付けるようにすることで、長辺側の側面6(a),6(b)の両面に第一の外壁部11および第二の外壁部12を有するこれまでにない構成の建物ユニット2が得られるようになる。そして、工場段階で、建物ユニット2を、より完成度の高い状態にまで仕上げることが可能になる。
【0069】
なお、第二の外壁部12は、製造ライン21に対し、例えば、外壁取付設備23が設置されたメインコンベヤ22の奥側からメインコンベヤ22の手前側へと第二の外壁部12を移動するための吊荷設備26を追加するなどの小規模な変更を行うだけで、メインコンベヤ22の手前側となる、ユニットフレーム4の長辺側の側面6(b)に対して取付けることが可能になる。
【0070】
また、ユニットフレーム4の長辺側の対向する一対の側面6(a),6(b)に対して、第一の外壁部11と第二の外壁部12の両方を取付けた場合には、製造ライン21でのユニットフレーム4に対する作業員の出入スペースなどが確保できなくなるおそれがあるが、この場合には、例えば、直交する別の一対の側面6(短辺側の側面6(c),6(d))のいずれかを作業員の出入スペースとして使えるようにすれば良い。
【0071】
(効果 2)第二の外壁部12は、ユニットフレーム4の(第一の外壁部11を取付ける側とは)反対側の側面6(b)における、ユニット建物1の入隅部31を形成する部位に取付けられても良い。
【0072】
ユニット建物1では、入隅部31は、例えば、大きさの異なる2つの建物ユニット2,3のユニットフレーム4を横に並べて設置した場合の、大きい方の建物ユニット2の反対側の側面6(b)における、小さい方の建物ユニット3からの突出部分と、小さい方の建物ユニット3における上記突出部分に対して直交する側面6(e)との間に形成される。
【0073】
そこで、大きい方の建物ユニット2の、上記反対側の側面6(b)における、入隅部31を形成する部位に対して、第二の外壁部12を取付けるようにする。
【0074】
これにより、ユニット建物1の入隅部31となる部位に対して、第二の外壁部12が予め取付けられた建物ユニット2を、工場で製造して出荷することができるようになり、建築現場で上記入隅部31を形成する部位に第二の外壁部12を取付けて入隅部31の外壁を設置する手間を削減することができる。
【0075】
また、入隅部31を形成する第二の外壁部12は、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対して、局所的に取付けられることから、工場で建物ユニット2を製造する際に、第二の外壁部12によって建物ユニット2のユニットフレーム4の反対側の側面6(b)の全面が塞がれてしまうことがなくなるため、第二の外壁部12を取付けても、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対する作業員の出入スペースを確保することが可能になる。
【0076】
(効果 3)第二の外壁部12には、吊金物41を取付けても良い。これにより、吊金物41を用いることで、工場内で第二の外壁部12を移動することが容易となる。例えば、上記したような建物ユニット2の製造ライン21であっても、即ち、メインコンベヤ22の奥側には、メインコンベヤ22上のユニットフレーム4の奥側へ向いた一つの側面6(a)に対して第一の外壁部11を取付けるための外壁取付設備23が設けられているが、メインコンベヤ22の手前側には、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対して第二の外壁部12を取付けるための専用の外壁取付設備などが特に備えられていないような製造ライン21であっても、第二の外壁部12に吊金物41を取付けることによって、吊金物41を使って第二の外壁部12を吊上げて、第二の外壁部12をメインコンベヤ22の手前側の空きスペースなどへ移動し、空きスペースで、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に第二の外壁部12を取付けるようなことが容易にできるようになる。
【0077】
そして、第二の外壁部12に吊金物41を取付けることで、例えば、工場内に設けられているホイストなどのような一般的な吊荷設備26を第二の外壁部12の取付けのための装置として使用する(流用する)ことができるようになるので、上記した建物ユニット2の製造ライン21の構成を大きく変更することなく、ユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に第二の外壁部12を取付けることが可能になる。
【0078】
また、吊金物41を使って第二の外壁部12を吊荷設備26で吊上げられるようにすることで、第二の外壁部12の上げ下ろしや、メインコンベヤ22の反対側への移動などに要する作業員の重筋作業を軽減することができる。
【0079】
(効果 4)第二の外壁部12には、ユニットフレーム4に対する引掛部51を設けても良い。これにより、引掛部51を用いて第二の外壁部12をユニットフレーム4に引掛けることができる。そのため、第二の外壁部12の少なくとも一部分をユニットフレーム4の反対側の側面6(b)に対し係止によって保持させることが可能になる。よって、第二の外壁部12を、引掛部51を使ってユニットフレーム4に引掛けることで、第二の外壁部12の少なくとも一部分がユニットフレーム4に保持されて、第二の外壁部12の位置や姿勢が安定され、また、第二の外壁部12の重量の少なくとも一部をユニットフレーム4が受けるようになるため、第二の外壁部12をユニットフレーム4に取付ける作業を容易に行うことができる。
【0080】
また、第二の外壁部12をユニットフレーム4に引掛けることで、第二の外壁部12の取付時における、第二の外壁部12の落下を防止することができ、作業の安全性を向上することができる。
【0081】
更に、第二の外壁部12をユニットフレーム4に引掛けることで、第二の外壁部12の上下方向5や横方向の位置決めが行われるため、第二の外壁部12のユニットフレーム4に対する取付時の高さ調整を不要にできる。
【符号の説明】
【0082】
1 ユニット建物
2 建物ユニット
4 ユニットフレーム
7 外壁部
11 第一の外壁部
12 第二の外壁部
21 製造ライン
22 メインコンベヤ(コンベヤ)
23 外壁部取付設備
26 吊荷設備
26a 吊上部
26b ガイド部
26c 走行体
41 吊金物
51 引掛部
図1
図2
図3
図4
図5
図6