(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053119
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240405BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240405BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240405BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240405BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H01L29/78 652D
H01L29/06 301M
H01L29/06 301V
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652N
H01L29/78 652M
H01L29/78 652T
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301D
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
H01L29/78 658G
H01L29/78 655A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037435
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2022143148の分割
【原出願日】2017-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】奥村 啓樹
(57)【要約】
【課題】マスク合わせのずれを防止することができ、オン抵抗及びボディダイオードの順方向電圧の増加を抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子が設けられた活性領域40と、活性領域40を囲む終端領域42とを備え、半導体素子は、n-型のドリフト層2と、ドリフト層2の上に設けられ、ドリフト層2よりも高不純物密度でn+型の電流拡散領域(4a,6a)と、電流拡散領域(4a,6a)の上に設けられたp型のベース領域8と、ベース領域8の上部に設けられ、ベース領域8よりも高不純物密度でp+型のベースコンタクト領域9と、ベース領域8の上部にベースコンタクト領域9と接して設けられ、ドリフト層2より高不純物密度でn+型の主電極領域10とを備える。ベースコンタクト領域9の不純物密度がソース領域10の不純物密度よりも高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性領域と、前記活性領域を囲む終端領域とを含む炭化シリコン半導体装置の製造方法であって、
第1導電型のドリフト層の上方に設けられた第2導電型のベース領域の表面に第1導電型を呈する不純物元素をイオン注入し、不純物元素注入領域を形成するイオン注入工程と、
前記終端領域の前記不純物元素注入領域を含む半導体層を選択的に除去する工程と、前記活性領域の前記不純物元素注入領域を含む半導体層を選択的に除去する工程と、を有し、前記終端領域に段差を、前記活性領域にトレンチを形成するエッチング工程と、
を含む炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッチング工程では、前記終端領域のエッチングにより、前記段差の底面である平坦部に下端が接続される斜面を形成する
請求項1に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記斜面の下端から外縁部に向かって、第2導電型のジャンクション・ターミネーション・エクステンション領域を形成する工程を含む
請求項2に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記エッチング工程では、前記不純物元素注入領域の前記段差に接する側面である前記斜面を、前記不純物元素注入領域の前記トレンチに接する側面とは非対称に形成する
請求項2または3に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記イオン注入工程では、前記ベース領域の表面の全面に前記不純物元素をイオン注入する
請求項1から4のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記エッチング工程では、前記段差の深さが前記トレンチの深さと異なるように設定される
請求項1から5のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ベース領域の表面に、第2導電型を呈する第2不純物元素を選択的にイオン注入し、第2不純物元素注入領域を形成する第2イオン注入工程を含み、
前記第2不純物元素注入領域が前記不純物元素注入領域と重なった重なり部において前記第2不純物元素が前記不純物元素よりも高不純物密度である
請求項1から6のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記重なり部において、前記第2不純物元素が前記不純物元素よりも2倍以上高不純物密度である
請求項7に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2不純物元素注入領域は、前記不純物元素注入領域よりも深い
請求項7または8に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記重なり部の少なくとも一部を覆い、前記終端領域の前記段差まで連続する層間絶縁膜を形成する工程を含む、
請求項7から9のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記活性領域には、前記トレンチの底部に接する第2導電型の保護領域が設けられ
前記終端領域には、前記保護領域と水平方向において対向する第2導電型の緩和領域が設けられる
請求項1から10のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記緩和領域は、深さ方向において前記層間絶縁膜と対向し、前記水平方向において前記段差の側から前記活性領域の側に延在している
請求項11に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記不純物元素注入領域および前記重なり部に接する、金属を含む金属含有層を形成する工程を含み、
前記重なり部は、前記ベース領域と共に、底面の少なくとも一部が前記トレンチよりも下側で前記ドリフト層に接する第2導電型の半導体領域の一部を構成する
請求項7から12のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置の製造方法。
【請求項14】
金属を含む金属含有層と、層間絶縁膜を介して前記金属含有層の下方に少なくとも一部が設けられたトレンチと、第1導電型のドリフト層と、上面の少なくとも一部が前記金属含有層に接し、底面の少なくとも一部が前記トレンチよりも下側で前記ドリフト層に接する第2導電型の半導体領域と、を含む炭化シリコン半導体装置であって、
第1導電型を呈する不純物元素がイオン注入された不純物元素注入領域であって、上面の少なくとも一部が前記金属含有層に接し、前記トレンチに隣接する前記不純物元素注入領域と、
活性領域を囲む終端領域の半導体層の一部を除去して形成された段差と、
を含み、
前記半導体領域は、前記不純物元素注入領域の底面の少なくとも一部に接するベース領域と、当該半導体領域の上面から内部にかけて設けられた、前記不純物元素注入領域より高不純物密度のベースコンタクト領域と、を有し、
前記ベースコンタクト領域の少なくとも一部には、前記不純物元素と第2導電型を呈する第2不純物元素との両方が添加されており、前記第2不純物元素の不純物密度が前記不純物元素の不純物密度よりも高く、
前記不純物元素注入領域は、前記段差に接する斜面である第1側面と、前記第1側面とは非対称であって前記トレンチに接する第2側面とを有する
炭化シリコン半導体装置。
【請求項15】
前記段差は、前記トレンチと深さが異なる
請求項14に記載の炭化シリコン半導体装置。
【請求項16】
前記活性領域の前記トレンチの底部に接する第2導電型の保護領域と、
前記終端領域に設けられ、前記保護領域と水平方向において対向する第2導電型の緩和領域と、
前記斜面の下端から外縁部に向かって設けられる、第2導電型のジャンクション・ターミネーション・エクステンション領域と、
を含む請求項14または15に記載の炭化シリコン半導体装置。
【請求項17】
金属を含む金属含有層と、層間絶縁膜を介して前記金属含有層の下方に少なくとも一部が設けられたトレンチと、第1導電型のドリフト層と、上面の少なくとも一部が前記金属含有層に接し、底面の少なくとも一部が前記トレンチよりも下側で前記ドリフト層に接する第2導電型の半導体領域と、を含む炭化シリコン半導体装置であって、
第1導電型を呈する不純物元素がイオン注入された不純物元素注入領域であって、上面の少なくとも一部が前記金属含有層に接し、前記トレンチに隣接する前記不純物元素注入領域と、
活性領域を囲む終端領域の半導体層の一部を除去して形成された、前記トレンチと深さが異なる段差と、
を含み、
前記半導体領域は、前記不純物元素注入領域の底面の少なくとも一部に接するベース領域と、当該半導体領域の上面から内部にかけて設けられた、前記不純物元素注入領域より高不純物密度のベースコンタクト領域と、を有し、
前記ベースコンタクト領域の少なくとも一部には、前記不純物元素と第2導電型を呈する第2不純物元素との両方が添加されており、前記第2不純物元素の不純物密度が前記不純物元素の不純物密度よりも高い
炭化シリコン半導体装置。
【請求項18】
前記不純物元素注入領域は、前記ベース領域の表面の全面に設けられ、一部が前記ベースコンタクト領域と重なっている
請求項14から17のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置。
【請求項19】
前記活性領域の前記トレンチの底部に接する第2導電型の保護領域と、
前記終端領域に設けられ、前記保護領域と水平方向において対向する第2導電型の緩和領域と、
前記斜面の下端から外縁部に向かって設けられる、第2導電型のジャンクション・ターミネーション・エクステンション領域と、
を含む請求項17または18に記載の炭化シリコン半導体装置。
【請求項20】
前記ベースコンタクト領域の少なくとも一部を覆い、前記終端領域の前記段差まで連続する層間絶縁膜を含む、
請求項14から19のいずれか1項に記載の炭化シリコン半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にコンタクト抵抗の増加を抑制する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)を用いるMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)では二重拡散法により、p型ウェル領域の中に高濃度不純物添加のn+型ソース領域を形成している。
一方、炭化シリコン(SiC)基板の中の不純物原子の拡散係数は極めて小さく、二重拡散法を適用することはできない。そこで、SiCを用いるMOSFETでは、二重イオン注入法でp型ウェル領域、及びウェル領域の中にn+型ソース領域を形成している。この方法では、高濃度のイオン注入により多数の結晶欠陥が誘起される。そのため、コンタクト抵抗やオン抵抗の増加を招いてしまう。このような問題を解決するため、p型ウェル領域を堆積し、高濃度のソース領域を選択的にイオン注入法で形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、SiCを用いるMOSFETでは、p型のベース領域の上にp+型のベースコン
タクト層及びn+型のソース領域を隣接して形成する。通常、先にn型のソース領域を選択的にイオン注入法で形成し、次いでソース領域に接するようにp型のベースコンタクト領域を選択的にイオン注入法で形成する。不純物密度は、ソース領域及びベースコンタクト領域ともに数1020cm-3程度(1020台)である。この場合、ベースコンタクト領域の選択イオン注入のマスク合わせのずれで、ベースコンタクト領域がソース領域と重なる場合が発生する。ソース領域及びベースコンタクト領域に注入する不純物密度が同程度であるため、重なり合った部分はキャリアの補償により高抵抗化する。そのため、コンタクト抵抗が増加し、オン抵抗の増加及びボディダイオードの順方向電圧の増加などの原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、マスク合わせのずれを防止することができ、オン抵抗及びボディダイオードの順方向電圧の増加を抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、活性領域と、活性領域を囲む終端領域とを含む炭化シリコン半導体装置の製造方法であって、(a)第1導電型のドリフト層の上方に設けられた第2導電型のベース領域の表面に第1導電型を呈する不純物元素をイオン注入し、不純物元素注入領域を形成するイオン注入工程と、(b)終端領域の不純物元素注入領域を含む半導体層を選択的に除去する工程と、(c)活性領域の不純物元素注入領域を含む半導体層を選択的に除去する工程と、を有し、終端領域に段差を、活性領域にトレンチを形成するエッチング工程と、を含む炭化シリコン半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
【0007】
本発明の他の態様は、金属を含む金属含有層と、層間絶縁膜を介して金属含有層の下方に少なくとも一部が設けられたトレンチと、第1導電型のドリフト層と、上面の少なくとも一部が金属含有層に接し、底面の少なくとも一部がトレンチよりも下側でドリフト層に接する第2導電型の半導体領域と、を含む炭化シリコン半導体装置であって、(a)第1導電型を呈する不純物元素がイオン注入された不純物元素注入領域であって、上面の少なくとも一部が金属含有層に接し、トレンチに隣接する不純物元素注入領域と、(b)活性領域を囲む終端領域の半導体層の一部を除去して形成された段差と、を含み、半導体領域は、不純物元素注入領域の底面の少なくとも一部に接するベース領域と、半導体領域の上面から内部にかけて設けられた、不純物元素注入領域より高不純物密度のベースコンタクト領域と、を有し、ベースコンタクト領域の少なくとも一部には、不純物元素と第2導電型を呈する第2不純物元素との両方が添加されており、第2不純物元素の不純物密度が不純物元素の不純物密度よりも高く、
不純物元素注入領域は、段差に接する斜面である第1側面と、第1側面とは非対称であってトレンチに接する第2側面とを有する炭化シリコン半導体装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マスク合わせのずれを防止することができ、半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の不純物密度の一例を示す図である。
【
図3】従来の半導体装置の不純物密度の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図4に引き続く工程断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図5に引き続く工程断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図6に引き続く工程断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図7に引き続く工程断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図8に引き続く工程断面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図9に引き続く工程断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図10に引き続く工程断面図である。
【
図12】従来の半導体装置の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【
図13】従来の半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図12引き続く工程断面図である。
【
図14】従来の半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図13に引き続く工程断面図である。
【
図15】従来の半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図14に引き続く工程断面図である。
【
図16】従来の半導体装置の製造方法の一例を説明するための
図15引き続く工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1及び第2実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0011】
本明細書において、「第1主電極領域」とは、電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)においてソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)においてはエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。又、静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)においてはアノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。「第2主電極領域」とは、FETやSITにおいては上記第1主電極領域とはならないソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。IGBTにおいては上記第1主電極領域とはならないエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる領域を意味する。SIサイリスタやGTOにおいては上記第1主電極領域とはならないアノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる領域を意味する。このように、「第1主電極領域」がソース領域であれば、「第2主電極領域」はドレイン領域を意味する。「第1主電極領域」がエミッタ領域であれば、「第2主電極領域」はコレクタ領域を意味する。「第1主電極領域」がアノード領域であれば、「第2主電極領域」はカソード領域を意味する。バイアス関係を交換すれば、FET等では、「第1主電極領域」の機能と「第2主電極領域」の機能を交換可能である。
【0012】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。また以下の説明では、第1導電型がn型、第1導電型とは反対導電型の第2導電型がp型の場合について例示的に説明する。しかし、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第1導電型とは反対導電型の第2導電型をn型としても構わない。またnやpに付す+や-は、+及び-が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物密度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。ただし同じnとnとが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物密度が厳密に同じであることを意味するものではない。
【0013】
以下に説明するとおり、本発明の特徴の一つは、マスク合わせのずれによるコンタクト抵抗の増加を防止することに特徴がある。即ち、本発明はMOSトランジスタ等の絶縁ゲート型トランジスタのオン抵抗及びボディダイオードの順方向電圧の増加を防止する点で顕著な効果を奏するものである。絶縁ゲート型トランジスタは、より包括的には「MISトランジスタ」と称することも可能であるが、MISトランジスタにはMISFETやMISSITが含まれる。なお、MIS複合型のSIサイリスタもあるので、本発明をSIサイリスタに適用することも可能である。また、電力用半導体装置の周辺部の耐圧構造となる絶縁膜層と半導体層の界面におけるリーク電流を抑制することも可能である。なお、以下の実施の形態の説明では、
図2に示すように、便宜上、トレンチゲート構造のMOSトランジスタを代表例として例示的に説明する。しかし、プレーナゲート構造のMOSトランジスタ等の平面型の構造であっても、同様な効果を奏することは、以下の説明から本発明の趣旨を理解すれば当業者には自明な事項であろう。
【0014】
(実施形態)
本発明の第1実施形態に係る半導体装置は、
図1に示すように、活性領域40と、活性領域40を囲んでその周辺に配置されたメサ構造の終端領域42を備える。
図1では、活性領域40に、第1導電型(n
-型)のドリフト層2の上部に設けられたトレンチゲート構造のMOSFETを活性素子として含む場合を例示している。
【0015】
活性領域40において、ドリフト層2の上面には、ドリフト層2よりも高不純物密度でn+型の電流拡散領域(CSL)(4a,6a)が配置される。電流拡散領域(4a,6a)の上面には第2導電型(p型)のベース領域8が配置されている。ドリフト層2及びベース領域8はSiCからなるエピタキシャル成長層(以下において「エピタキシャル層」と略記する。)でそれぞれ構成されている。電流拡散領域(4a,6a)は、エピタキシャル層にn型不純物をイオン注入した注入層4a、6aで構成されている。
【0016】
ベース領域8の上部には、ベース領域8よりも高不純物密度のp+型のベースコンタクト領域9が選択的に設けられている。ベース領域8の上部には、ベースコンタクト領域9に接するように、電流拡散領域(4a,6a)よりも高不純物密度のn+型の第1主電極領域(ソース領域)10が選択的に設けられている。ベースコンタクト領域9は、p型不純物、例えばアルミニウム(Al)を1×1020cm-3~10×1020cm-3の不純物密度となるようイオン注入して設けられる、ソース領域10は、n型不純物、例えばリン(P)を1×1019cm-3~10×1019cm-3の不純物密度となるようイオン注入して設けられる。ソース領域10の不純物密度は、ベースコンタクト領域9の不純物密度の1/2以下程度であることが望ましい。ベースコンタクト領域9の上面と底面間の深さDpは0.4μm~0.6μm程度であり、主電極領域10の上面と底面間の深さDnは0.2μm~0.5μm程度である。
【0017】
ソース領域10及びベース領域8の上面からベース領域8を貫通してトレンチ11が設けられている。トレンチ11の底面及び側面にはゲート絶縁膜12が設けられている。ゲート絶縁膜12としては、シリコン酸化膜(SiO2膜)の他、シリコン酸窒化(SiON)膜、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、シリコン窒化物(Si3N4)膜、アルミニウム酸化物(Al2O3)膜、マグネシウム酸化物(MgO)膜、イットリウム酸化物(Y2O3)膜、ハフニウム酸化物(HfO2)膜、ジルコニウム酸化物(ZrO2)膜、タンタル酸化物(Ta2O5)膜、ビスマス酸化物(Bi2O3)膜のいずれか1つの単層膜或いはこれらの複数を積層した複合膜等が採用可能である。
【0018】
トレンチ11内にはゲート絶縁膜12を介してゲート電極13が埋め込まれている。ゲート電極13の材料としては、例えば燐(P)等の不純物を高不純物密度に添加したポリシリコン層(ドープドポリシリコン層)が使用可能である。
【0019】
電流拡散領域(4a,6a)の内部には、トレンチ11の底部に接するように、p+型のゲート底部保護領域5bが設けられている。電流拡散領域(4a,6a)の内部には、ベースコンタクト領域9の下方において、ゲート底部保護領域5bと同じ深さで、ゲート底部保護領域5bから離間して第1ベース底部埋込領域5aが設けられている。電流拡散領域(4a,6a)の上部には、第1ベース底部埋込領域5aの上面とベース領域8の下面に挟まれるように第2ベース底部埋込領域7aが設けられている。
【0020】
ゲート電極13の上面には層間絶縁膜14を介してソース電極(図示省略)が紙面の奥に位置するゲート表面電極(図示省略)と分離して配置されている。層間絶縁膜14としては、「NSG」と称される燐(P)や硼素(B)を含まないノンドープのシリコン酸化膜(SiO2膜)が採用可能である。しかし、層間絶縁膜14としては、燐を添加したシリコン酸化膜(PSG)、硼素を添加したシリコン酸化膜(BSG)、硼素及び燐を添加したシリコン酸化膜(BPSG)、シリコン窒化膜(Si3N4)等でもよい。ソース電極の下層には、ソースコンタクト層15、下部バリアメタル層16及び上部バリアメタル層17が配置されている。ソースコンタクト層15は、ソース領域8及びベースコンタクト領域9のそれぞれに金属学的に接するように配置されている。例えば、ソースコンタクト層15としてニッケル(Ni)膜、下部バリアメタル層16として窒化チタン(TiN)膜、上部バリアメタル層16としてチタン(Ti)/TiN/Tiの積層構造が使用可能である。ソース電極は、例えばアルミニウム(Al)膜が使用可能である。ゲート表面電極は、ソース電極と同様の材料が使用可能である。
【0021】
ドリフト層2の下面には、n+型の第2主電極領域(ドレイン領域)1が配置されている。ドレイン領域1はSiCからなる半導体基板(SiC基板)で構成されている。ドレイン領域1の下面には第2主電極(ドレイン電極)19が配置されている。ドレイン電極19としては、例えば金(Au)からなる単層膜や、Al、ニッケル(Ni)、Auの順で積層された金属膜が使用可能であり、更にその最下層にモリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属膜を積層してもよい。
【0022】
図1の右側に位置する終端領域42側に着目すると、ドリフト層2の上面に、活性領域40に設けられた第1ベース底部埋込領域5aやゲート底部保護領域5b等と同じ厚さでn型のメサ底面層3が配置されてメサ構造の底面を構成している。メサ構造の底面に沿って、メサ底面層3側から終端領域42の外縁部に向かって、メサ底面層3よりも高不純物密度で第1導電型のチャネルストッパ領域(4b,6b)が設けられる。終端領域42の活性領域40側に位置するメサ面には、ベースコンタクト領域9及びベース領域8の端部が露出している。ドリフト層2の上面とベース領域9の下面の間には、ベース領域8より高不純物密度で第2導電型の緩和領域(5c,7b)が挿入されている。緩和領域(5c,7b)はメサ構造の部分より内側の活性領域40側に延在している。ベースコンタクト領域9からベース領域8を通って緩和領域(5c,7b)に至るように下るメサ斜面が設けられている。メサ斜面の下端から外縁部に向かって、メサ底面層3の内部にジャンクション・ターミネーション・エクステンション(JTE)領域18が設けられる。JTE領域18は、p型の複数の空間変調部18a,18b,18c,18dを含む。
【0023】
図2は、ベースコンタクト領域9の上面からベース領域8に向かって測定した不純物分布である。
図2に示すように、ベースコンタクト領域9には、p型不純物のAlに加えて、ソース領域10に注入されたn型不純物のPも同時に注入されている。なお、ソース領域10にはPだけが注入されるように、ベースコンタクト領域9形成のためのイオン注入用マスクを用意し、選択的にイオン注入する。Alは上面から約0.5μmの深さで、最大3×10
20cm
-3程度の不純物密度となるよう注入されている。Pは上面から約0.4μmの深さで、最大3×10
19cm
-3程度の不純物密度となるよう注入されている。本発明の実施形態に係る半導体装置では、ソース領域10に注入した不純物密度は、ベースコンタクト領域9に注入した不純物密度の1/2以下となるように、ソース領域10に注入する不純物イオンのドーズ量を調整している。好ましくは、ソース領域10に注入した不純物密度は、ベースコンタクト領域9に注入した不純物密度の1/5程度以下となるように、ソース領域10に注入する不純物イオンのドーズ量を調整すればよい。
図2から分かるように、より好ましくは、ドーズ量を調整して、ソース領域10に注入した不純物密度は、ベースコンタクト領域9に注入した不純物密度の1/10程度以下とすればよい。また、ソース領域10の注入深さをベースコンタクト領域9の注入深さより0.05μm以上浅くしている。したがって、ベースコンタクト領域9の不純物密度はベース領域8に至る領域で常にソース領域10よりも高くなる。その結果、ソース領域10とベースコンタクト領域9のイオン注入領域が重なり合っても、キャリアの補償により重なり部が高抵抗化することはない。なお、n型の場合、不純物密度が1×10
19cm
-3程度でもオーミックコンタクトは形成できる。一方、p型では、1×10
20cm
-3を下回ると、オーミックコンタクトの形成は困難になる。
【0024】
図3は、比較例として、従来のようにp型不純物とn型不純物を同程度の注入量で注入したベースコンタクト領域の不純物分布である。
図3に示すように、AlとPは共に3×10
20cm
-3程度の注入量となるように注入されている。表面から約0.1μmまではp型のAl不純物密度が高いが、0.1μmから深くなると、逆にn型のP不純物密度が高くなる。このように、比較例では、ベースコンタクト領域でAlとPの不純物密度が同程度となり、補償により高抵抗化する。
【0025】
上述のように、本発明の実施形態に係る半導体装置では、ベースコンタクト領域9の不純物密度が、ベース領域8に至る領域で常にソース領域10よりも高くなっている。そのため、ベースコンタクト領域9及びソース領域10のいずれもキャリア補償による高抵抗化が発生せず、オン抵抗及びボディダイオードの順方向電圧の増加を抑制することができる。また、終端領域42には、緩和領域(5c,7b)及び空間変調部18a,18b,18c,18dを有するJTE領域18を設けているので、電界集中を緩和することができる。更に、終端領域42の外縁部には、チャネルストッパ領域(4b,6b)を設けているので、MOSFETに印加される高電圧を保持することができる。したがって、終端領域42の耐圧を向上させることができ、高耐圧のデバイスが実現可能となる。
【0026】
次に、
図4~
図11を参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を、トレンチゲート型MOSFETの場合を一例に説明する。なお、以下に述べるトレンチゲート型MOSFETの製造方法は一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0027】
まず、窒素(N)等のn型不純物が添加されたn+型の半導体基板(SiC基板)を用意する。このn
+型SiC基板をドレイン領域(図示省略)として、ドレイン領域の上面に、n
-型のドリフト層2をエピタキシャル成長させる。次に、ドリフト層2の上面にn型のメサ底面層3をエピタキシャル成長させる。フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、終端領域42の外縁部近傍をマスクしてp型の不純物イオンを注入する。次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、n型の不純物イオンを選択的に注入する。注入されたイオンを活性化して、
図4に示すように、n
+注入層4a、4b、及びp
+型注入層5a,5b,5cが選択的に形成される。
【0028】
イオン注入されたメサ底面層3の上面に新たな成長層6をエピタキシャル成長させる。フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、成長層6にn型の不純物イオンを選択的に注入する。注入されたイオンを活性化して、
図5に示すように、活性領域40にn
+型の注入層6a、及び終端領域42に注入層6bが形成される。注入層6bは注入層4bの上面に設けられる。
【0029】
フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、p型の不純物イオンを選択的に注入する。注入されたイオンを活性化して、
図6に示すように、活性領域40にp
+型の注入層7a、及び終端領域42に注入層7bが形成される。注入層7aは注入層5aの上面に設けられ、ベース底部埋込領域(5a,7a)を構成する。注入層7bは注入層5cの上面に設けられ、緩和領域(5c,7b)を構成する。
【0030】
図7に示すように、イオン注入された成長層6の上面にp型のベース領域8をエピタキシャル成長させる。その後、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、p型の不純物イオンを注入する。注入されたイオンを活性化して、
図8に示すように、ベース領域8の上部にベースコンタクト領域9が形成される。ベースコンタクト領域9は、ベース底部埋込領域(5a,7a)の上方に配置される。なお、注入イオンの活性化処理をソース領域10の活性化時に同時に実施してもよい。
【0031】
次に、イオン注入技術等を用いて、ベースコンタクト領域9が形成されたベース領域9にマスクを用いずに全面にn型の不純物イオンを注入する。注入されたイオンを活性化して、
図9に示すように、ベースコンタクト領域9の間にソース領域10が形成される。ソース領域10の不純物注入量は、ベースコンタクト領域9の不純物注入量の1/2以下である。ソース領域10の注入深さは、ベースコンタクト領域9より0.05μm以上浅くする。
【0032】
フォトリソグラフィ技術、及び反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング技術等により、終端部のメサエッチングを行い、終端領域42の半導体層の一部を除去してメサ斜面を有する段差を形成する。
図10に示すように、ドライエッチングは、終端領域42の外縁部に設けた注入層6bが残る深さで実施する。また、終端部のメサエッチング用のマスクは、終端領域42のベースコンタクト領域9より狭くし、ベースコンタクト領域9の一部が除去されるようにする。その結果、平坦部には、注入層6bの表面が露出する。メサ斜面にはp
+型のベースコンタクト領域9、p型のベース領域8、及びp
+型の注入層7bが露出する。
【0033】
フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等により、トレンチ11を形成する。次に、低圧化学気相成長(CVD)法等により絶縁膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等により、ポリシリコン層をトレンチ11に埋め込んで、ゲート絶縁膜12及びゲート電極13からなるゲート構造を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、終端領域42に形成されたメサ斜面の下端から終端領域42の外縁部に向かって、成長層6の内部に空間変調部18a,18b,18c,18dを有するJTE領域18を設ける。
【0034】
次いで、層間絶縁膜14をゲート構造の上、及び終端領域42のメサ斜面から外縁部の上に形成する。その後、上面にソースコンタクト層15、下部バリアメタル層16及び上部バリアメタル層17を形成し、裏面にドレイン電極19を形成し、
図1に示したMOSFETが完成する。
【0035】
次に、
図12~
図16を参照しながら、本発明の実施形態に係るMOSFETの製造方法と異なる点について重点的に、従来のMOSFETの製造方法を説明する。従来の製造方法では、
図4及び
図5に示した本発明の実施形態とは異なり、メサ底面層3、6のエピタキシャル成長後に、n
+型のチャネルストッパ領域(4b,6b)のイオン注入は実施しない。したがって、終端領域42の外縁部には、メサ底面層3、6が残されている。
図12に示すように、p
+型注入層7a、7bが形成された成長層6の上面にp型のベース領域8をエピタキシャル成長する。
【0036】
フォトリソグラフィ技術、及び反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング技術等により、終端部のメサエッチングを行い、終端領域42の半導体層の一部を除去してメサ斜面を有する段差を形成する。
図13に示すように、ドライエッチングは、終端領域42の外縁部に設けた成長層6が残る深さで実施する。その結果、平坦部には、成長層6の表面が露出する。メサ斜面にはp型のベース領域8、及びp
+型の注入層7bが露出する。
【0037】
その後、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、n型不純物を選択的にイオン注入する。
図14に示すように、ベース領域8の上部にソース領域10が選択的に形成される。同時に、終端領域42の外縁部にn型不純物を注入して、n
+型のチャネルストッパ領域20を形成する。このように、従来の製造方法では、マスクを用いる選択イオン注入でソース領域10及びチャネルストッパ領域20を形成している。
【0038】
フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、p型の不純物イオンを選択的に注入する。
図15に示すように、ソース領域10を挟むようにベースコンタクト領域9が形成される。終端領域42に延在するベースコンタクト領域9は終端エッチングしたメサ斜面には露出されない。ベースコンタクト領域9のイオン注入用のマスクは、p型不純物がn型の成長層6の表面に注入されないように、終端エッチング用のマスクより幅を狭くしている。
【0039】
フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等により、トレンチ11を形成する。次に、低圧化学気相成長(CVD)法等により絶縁膜を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等により、ポリシリコン層をトレンチ11に埋め込んで、ゲート絶縁膜12及びゲート電極13からなるゲート構造を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入技術等により、終端領域42に形成されたメサ斜面の下端から終端領域42の外縁部に向かって、成長層6の内部にJTE領域18を設ける。このとき、JTE領域18形成のイオン注入でメサ斜面にp型不純物が注入される。例えば、JTE領域18形成のp型イオン注入での不純物密度が2×1017cm-3程度である。p型のベース領域8は不純物密度が4×1017cm-3程度であるので、JTE領域18形成のイオン注入後には、p型不純物密度は6×1017cm-3程度となり高不純物密度にはならない。
【0040】
上記説明のように、従来のMOSFETの製造方法は、ソース領域10のイオン注入工程でマスクを使用する。一方、本発明に係るMOSFETの製造方法では、マスクを用いずに全面にイオン注入してソース領域10を形成する。したがって、マスクのレイヤー数が減少し、且つマスク合わせも不要となる。その結果、製造工程の短縮が可能となり、製造コストの低減も可能となる。
【0041】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0042】
本発明の実施形態においては、トレンチ構造を有するMISFETを例示したが、これに限定されず、トレンチ構造を有するIGBT等の種々のトレンチ構造を有する半導体装置に適用可能である。トレンチゲート型IGBTとしては、
図1に示したMISFETのn
+型のソース領域8をエミッタ領域とし、n
+型のドレイン領域1の代わりにドリフト層2の下面側にp
+型のコレクタ領域を設けた構造とすればよい。
【0043】
本発明の実施形態においては、SiCを用いた半導体装置を例示したが、窒化ガリウム(GaN)又はダイヤモンド等の他のワイドバンドギャップ半導体を用いた半導体装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…ドレイン領域
2…ドリフト層
3…メサ底面層
4…第1ベース底部埋込領域(電界緩和層)
4a,4b,5a,5c,6a,6b,7a,7b…注入層
4a,6a…電流拡散領域
4b,6b…チャネルストッパ領域
5a,7a…ベース底部埋込領域
5b…ゲート底部保護領域
5c,7b…緩和領域
6…成長層
8…ベース領域
9…ベースコンタクト領域
10…ソース領域
11…トレンチ
12…ゲート絶縁膜
13…ゲート電極
14…層間絶縁膜
15…ソースコンタクト層
16…下部バリアメタル層
16…上部バリアメタル層
18…JFET領域
18a,18b,18c,18d…空間変調部
19…ドレイン電極
40…活性領域
42…終端領域