(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053147
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】同業専門家同士のマッチング装置、方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240408BHJP
G06Q 30/08 20120101ALI20240408BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q30/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159211
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】512140083
【氏名又は名称】日本企業支援センター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 隆之
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB53
5L030BB73
5L049BB53
5L049BB73
(57)【要約】 (修正有)
【課題】開業資金に乏しい専門家であっても、依頼案件を受注し、事務所運営を軌道に乗せることができる同業専門家同士のマッチング装置、方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】マッチング装置は、発注者に関する発注者情報及び受注者に関する受注者情報を、依頼案件に対応付けて記憶する記憶部と、受注者に紐づけられるポイントを管理するポイント管理部と、発注者と受注者における依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する精算処理部と、を備える。記憶部は、発注者情報において発注者が同業専門家であるか否かの情報を記憶し、受注者情報において受注者の開業年数を記憶する。精算処理部は、発注者情報及び受注者情報を参照し、発注者が同業専門家である場合であって、受注者情報に含まれる受注者の開業年数が所定以内である場合には、ポイント管理部を介して、仲介手数料をポイントにより精算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発注者端末および受注者端末とネットワークを通じて接続される、同業専門家同士のマッチング装置であって、
前記発注者端末は依頼案件の発注者が所持し、前記受注者端末は前記依頼案件の受注者が所持する端末であり、
前記発注者端末を介して、前記依頼案件の発注に関する発注情報を取得する発注情報取得部と、
前記受注者端末を介して、前記依頼案件の受注に関する受注情報を取得する受注情報取得部と、
前記発注者に関する発注者情報、および前記受注者に関する受注者情報を、前記依頼案件に対応付けて記憶する記憶部と、
前記受注者に紐づけられるポイントを管理するポイント管理部と、
前記発注者と前記受注者における前記依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する精算処理部と、
を備え、
前記記憶部は、前記発注者情報において前記発注者が同業専門家であるか否かの情報を記憶し、前記受注者情報において前記受注者の開業年数を記憶し、
前記精算処理部は、前記発注者情報および前記受注者情報を参照し、前記発注者が前記同業専門家である場合であって、前記受注者情報に含まれる前記受注者の開業年数が所定以内である場合には、前記ポイント管理部を介して、前記仲介手数料を前記ポイントにより精算する、
同業専門家同士のマッチング装置。
【請求項2】
前記ポイント管理部は、前記精算処理部が前記仲介手数料を前記ポイントにより精算した場合には、前記受注者端末に紐づけられるポイントを変動させ、
前記精算処理部は、前記受注者端末に紐づけられるポイントが所定範囲外である場合には、前記受注者端末を介して前記受注者に前記仲介手数料を請求する、
請求項1記載の同業専門家同士のマッチング装置。
【請求項3】
前記依頼案件に関する情報を前記受注者端末に表示する入出力制御部をさらに備え、
前記入出力制御部は、前記受注者端末に紐づけられるポイントが所定範囲外である場合には、前記受注者端末に、前記発注者が同業専門家である前記依頼案件への応募を許可し、前記発注者が同業専門家以外である前記依頼案件の応募を許可しない、
請求項1記載の同業専門家同士のマッチング装置。
【請求項4】
少なくとも発注者端末および受注者端末とネットワークを通じて接続されるマッチング装置により実行される、同業専門家同士をマッチングする方法であって、
前記発注者端末は依頼案件の発注者が所持し、前記受注者端末は前記依頼案件の受注者が所持する端末であり、
前記発注者端末を介して、前記依頼案件の発注に関する発注情報を取得する発注情報取得ステップと、
前記受注者端末を介して、前記依頼案件の受注に関する受注情報を取得する受注情報取得ステップと、
前記発注者に関する発注者情報、および前記受注者に関する受注者情報を、前記依頼案件に対応付けて記憶する記憶ステップと、
前記受注者に紐づけられるポイントを管理するポイント管理ステップと、
前記発注者と前記受注者における前記依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する精算処理ステップと、
を実行し、
前記記憶ステップでは、前記発注者情報において前記発注者が同業専門家であるか否かの情報を記憶し、前記受注者情報において前記受注者の開業年数を記憶し、
前記精算処理ステップでは、前記発注者情報および前記受注者情報を参照し、前記発注者が前記同業専門家である場合であって、前記受注者情報に含まれる前記受注者の開業年数が所定以内である場合には、前記仲介手数料を前記ポイントにより精算する、
同業専門家同士のマッチング方法。
【請求項5】
少なくとも発注者端末および受注者端末とネットワークを通じて接続されるコンピュータにより実行される、同業専門家同士をマッチングするコンピュータプログラムであって、
前記発注者端末は依頼案件の発注者が所持し、前記受注者端末は前記依頼案件の受注者が所持する端末であり、
コンピュータに対し、
前記発注者端末を介して、前記依頼案件の発注に関する発注情報を取得する発注情報取得命令と、
前記受注者端末を介して、前記依頼案件の受注に関する受注情報を取得する受注情報取得命令と、
前記発注者に関する発注者情報、および前記受注者に関する受注者情報を、前記依頼案件に対応付けて記憶する記憶命令と、
前記受注者に紐づけられるポイントを管理するポイント管理命令と、
前記発注者と前記受注者における前記依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する精算処理命令と、
を実行し、
前記記憶命令では、前記発注者情報において前記発注者が同業専門家であるか否かの情報を記憶し、前記受注者情報において前記受注者の開業年数を記憶し、
前記精算処理命令では、前記発注者情報および前記受注者情報を参照し、前記発注者が前記同業専門家である場合であって、前記受注者情報に含まれる前記受注者の開業年数が所定以内である場合には、前記仲介手数料を前記ポイントにより精算する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同業の専門家同士のマッチング装置、同業の専門家同士をマッチングする方法、及び同業の専門家同士をマッチングするコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでにも、仕事の受注側と発注側とをマッチングするシステムが考案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-269224号
【特許文献2】特開2001-250038号
【0004】
特許文献1には、仕事を依頼したい依頼希望者と、仕事を受けたい受注希望者とが閲覧する、インターネット等の掲示板を作成し、依頼希望者の匿名状態と受注希望者の匿名状態とを維持したまま閲覧させる、出会いサービスの提供システムが開示されている。特許文献2には、求職側や求人側がそれぞれの求める相手との適合性の概要を、人手によらず判別できる情報仲介システムが開示されている。
【0005】
税理士、弁護士、司法書士といった、有資格者を始めとする専門家が事務所を開業する場合がある。しかしながら、開業当初は人脈や営業力の不足により、依頼案件を獲得するのが困難な場合がある。その上、開業当初は資金がなく、案件獲得のための営業活動を行ったり、仲介手数料又は紹介料を投じて案件を獲得するといった活動ができず、事務所運営を軌道に乗せるのが難しいという問題が生じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、開業資金に乏しい専門家であっても、依頼案件を受注し、事務所運営を軌道に乗せることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の観点に係る同業の専門家同士のマッチング装置は、少なくとも発注者端末および受注者端末とネットワークを通じて接続される、同業専門家同士のマッチング装置であって、前記発注者端末は依頼案件の発注者が所持し、前記受注者端末は前記依頼案件の受注者が所持する端末であり、前記発注者端末を介して、前記依頼案件の発注に関する発注情報を取得する発注情報取得部と、前記受注者端末を介して、前記依頼案件の受注に関する受注情報を取得する受注情報取得部と、前記発注者に関する発注者情報、および前記受注者に関する受注者情報を、前記依頼案件に対応付けて記憶する記憶部と、前記受注者に紐づけられるポイントを管理するポイント管理部と、前記発注者と前記受注者における前記依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する精算処理部と、を備え、前記記憶部は、前記発注者情報において前記発注者が同業専門家であるか否かの情報を記憶し、前記受注者情報において前記受注者の開業年数を記憶し、前記精算処理部は、前記発注者情報および前記受注者情報を参照し、前記発注者が前記同業専門家である場合であって、前記受注者情報に含まれる前記受注者の開業年数が所定以内である場合には、前記ポイント管理部を介して、前記仲介手数料を前記ポイントにより精算する。
【0008】
前記ポイント管理部は、前記精算処理部が前記仲介手数料を前記ポイントにより精算した場合には、前記受注者端末に紐づけられるポイントを変動させ、前記精算処理部は、前記受注者端末に紐づけられるポイントが所定範囲外である場合には、前記受注者端末を介して前記受注者に前記仲介手数料を請求するものとしてもよい。
【0009】
前記依頼案件に関する情報を前記受注者端末に表示する入出力制御部をさらに備え、前記入出力制御部は、前記受注者端末に紐づけられるポイントが所定範囲外である場合には、前記受注者端末に、前記発注者が同業専門家である前記依頼案件への応募を許可し、前記発注者が同業専門家以外である前記依頼案件の応募を許可しないものとしてもよい。
【0010】
本発明の別の観点に係る同業の専門家同士をマッチングする方法は、少なくとも発注者端末および受注者端末とネットワークを通じて接続されるマッチング装置により実行される、同業専門家同士をマッチングする方法であって、前記発注者端末は依頼案件の発注者が所持し、前記受注者端末は前記依頼案件の受注者が所持する端末であり、前記発注者端末を介して、前記依頼案件の発注に関する発注情報を取得する発注情報取得ステップと、前記受注者端末を介して、前記依頼案件の受注に関する受注情報を取得する受注情報取得ステップと、前記発注者に関する発注者情報、および前記受注者に関する受注者情報を、前記依頼案件に対応付けて記憶する記憶ステップと、前記受注者に紐づけられるポイントを管理するポイント管理ステップと、前記発注者と前記受注者における前記依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する精算処理ステップと、を実行し、前記記憶ステップでは、前記発注者情報において前記発注者が同業専門家であるか否かの情報を記憶し、前記受注者情報において前記受注者の開業年数を記憶し、前記精算処理ステップでは、前記発注者情報および前記受注者情報を参照し、前記発注者が前記同業専門家である場合であって、前記受注者情報に含まれる前記受注者の開業年数が所定以内である場合には、前記仲介手数料を前記ポイントにより精算する。
【0011】
本発明のさらに別の観点に係る同業の専門家同士をマッチングコンピュータプログラムは、少なくとも発注者端末および受注者端末とネットワークを通じて接続されるコンピュータにより実行される、同業専門家同士をマッチングするコンピュータプログラムであって、前記発注者端末は依頼案件の発注者が所持し、前記受注者端末は前記依頼案件の受注者が所持する端末であり、コンピュータに対し、前記発注者端末を介して、前記依頼案件の発注に関する発注情報を取得する発注情報取得命令と、前記受注者端末を介して、前記依頼案件の受注に関する受注情報を取得する受注情報取得命令と、前記発注者に関する発注者情報、および前記受注者に関する受注者情報を、前記依頼案件に対応付けて記憶する記憶命令と、前記受注者に紐づけられるポイントを管理するポイント管理命令と、前記発注者と前記受注者における前記依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する精算処理命令と、を実行し、前記記憶命令では、前記発注者情報において前記発注者が同業専門家であるか否かの情報を記憶し、前記受注者情報において前記受注者の開業年数を記憶し、前記精算処理命令では、前記発注者情報および前記受注者情報を参照し、前記発注者が前記同業専門家である場合であって、前記受注者情報に含まれる前記受注者の開業年数が所定以内である場合には、前記仲介手数料を前記ポイントにより精算する。
【0012】
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、コンピュータ読み取り可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開業資金に乏しい専門家であっても、業務を受注し、事務所運営を軌道に乗せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかるマッチング装置、およびネットワークを通じて接続される各構成が備える機能を示す機能ブロック図である。
【
図2】上記マッチング装置に記憶されるデータテーブルの1例であって、(a)専門家テーブル、(b)依頼者テーブル、(c)依頼案件テーブル、を示す図である。
【
図3】上記マッチング装置に接続される端末を介して案件が受発注される処理の流れを示したシーケンス図の例である。
【
図4】上記マッチング装置が発注者と受注者の条件に応じて仲介手数料を処理する流れを示したフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかるマッチング装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。マッチング装置は、同業の専門家同士をマッチングし、ある専門家が受注した業務を他の専門家がさらに請負い、処理できるよう支援する装置である。また、マッチング装置は、企業や個人等の依頼者からの依頼案件を受信し、専門家に開示することで、依頼者と専門家との間における案件の成立を支援する。
【0016】
本発明にかかるマッチング装置は、特に、新規開業した専門家を支援する。新規開業者は、マッチング装置を介して同業専門家からの依頼案件を受注すると、仲介手数料を支払う代わりにポイントを取得する。このような構成によれば、仲介手数料を捻出するのが困難な新規開業者であっても、マッチング装置を介して他の専門家から案件を受注することで資金を貯めることができ、事務所運営を軌道に乗せることができる。また、他の専門家からの案件を処理することで、新規開業者であっても業務に習熟することができる。
【0017】
一定以上のポイントが貯まると、仲介手数料の支払いが必要となる代わりに、依頼者からの依頼案件を直接受注することができるようになる。直接の受注は、他の専門家から受注する案件に比べて高報酬であることから、直接の依頼案件を通じてより高い収入を目指せるようになる。このように、マッチング装置は、新規開業者に段階的に受注を進めさせることで、新規開業者の事務所運営を網羅的に支援できる。
【0018】
図1に、本発明の実施形態に係るマッチング装置1の構成を示す。
図1に示すように、マッチング装置1は、複数の端末2とネットワークNWを介して通信可能に構成されている。マッチング装置1および各端末2の相互の通信は、本実施形態においては無線であるが、一部または全部の接続が有線であってもよい。なお、
図1において端末2は2個であるが、端末2の個数は任意である。
【0019】
●端末2
端末2は、専門家が処理する依頼案件の受発注を受け付ける端末である。端末2は、例えば案件を発注する依頼者、案件を発注する専門家、および案件を受注する専門家が操作する端末である。発注者端末2aおよび受注者端末2bは、端末2の一例であり、発注者端末2aと受注者端末2bとを区別することなく説明する場合には、これらをまとめて単に端末2と呼ぶことがある。なお、以降の説明においては、一例として、発注者端末2aは、自身が受注した依頼案件を他の専門家に発注する発注側専門家が操作する端末、受注者端末2bは、他の専門家が受注した依頼案件を受注する受注側専門家が操作する端末であるものとして説明する。発注者端末2aおよび受注者端末2bは、便宜上機能を分けて説明しているに過ぎず、発注者端末2aから案件を受注することもできるし、受注者端末2bから案件を発注することもできる。
【0020】
端末2は、例えばスマートホンやタブレット端末、又はコンピュータである。端末2は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などにより、入力部21、表示部22および通信処理部23からなる機能ブロックを構成する。入力部21aおよび21b、表示部22aおよび22b、通信処理部23aおよび23bは、それぞれ、入力部21、表示部22および通信処理部23の一例であり、それぞれ区別することなく説明する場合には、これらをそれぞれまとめて単に入力部21、表示部22および通信処理部23と呼ぶことがある。
【0021】
入力部21は、データを入力するためのタッチパネル等によって実現される他、キーボード等の物理キーを有していてもよい。また、発注者端末2aにおいては、例えば発注者からの発注情報の入力を受け付ける。発注情報は、依頼案件の情報、および発注者に関する発注者情報を含む。受注者端末2bにおいては、例えば受注者が選択的に応募した依頼案件の情報、および受注者に関する情報を含む。なお、受注者は、応募した時点では応募者に過ぎないが、本説明においては便宜上、受発注の契約前後を通じて受注者と呼ぶものとする。
【0022】
表示部22は、依頼案件の受発注に関する情報等を表示するものであり、入力部21と共にタッチパネルディスプレイにより構成されていてもよい。表示部22は、依頼案件の内容や、発注者情報又は受注者情報等を表示する。表示部22は、複数の依頼案件を表示させ、受注者は複数の依頼案件のうちの1つを選択可能になっていてもよい。
【0023】
通信処理部23は、インターネット等のネットワークNWを介し、マッチング装置1と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行可能とする処理部であって、アプリまたは、Webブラウザ等により実現される。
【0024】
●マッチング装置1
図1に示すように、マッチング装置1は、主として、記憶部50、発注情報取得部11、入出力制御部12、受注情報取得部13、ポイント管理部15、精算処理部14、通信処理部16、からなる各機能ブロックを構成する。
【0025】
記憶部50は、依頼案件の受発注に関する情報を格納する機能部である。
図2は、記憶部50に格納されるテーブルの例である。
図2(a)は、専門家に関する情報を格納する専門家テーブルT1である。専門家テーブルT1は、例えば、専門家の識別情報、開業年月日、開業年数、新規開業か否かの情報、保有ポイント、専門家の名称、住所、口座情報等が格納されている。開業年数は、開業年月日と現在時点とに基づいて算出されてもよい。また、新規開業か否かの情報は、開業年数が所定以下、例えば1年以内に開業した専門家に対し、新規開業であるものとして「○」を格納してよい。
【0026】
図2(b)は、依頼者に関する情報を格納する依頼者テーブルT2である。この依頼者は、マッチング装置1を介して依頼案件を発注する者であり、企業等の法人の他、個人事業主や個人であってもよい。依頼者テーブルT2は、例えば依頼者の識別情報、依頼者名称、住所および口座情報等が格納されている。
【0027】
図2(c)は、依頼案件に関する情報を格納する依頼案件テーブルT3である。依頼案件テーブルT3には、例えば案件の識別情報と発注者の識別情報とが互いに関連づけて記憶されている。
【0028】
また、依頼案件テーブルT3には、発注者種別、仲介手数料の設定、案件の内容および報酬等が格納されている。発注者種別は、依頼者から直接発注されている案件か、同業専門家から発注されている案件か、の別が格納されている。仲介手数料の設定では、定額の手数料の他、報酬に応じた金額が設定されていてもよい。また、仲介手数料は、受注者が保有するポイントが設定されていてもよい。仲介手数料は、発注者が同業専門家である場合には金銭およびポイントの両方が設定され、金銭又はポイントのいずれかで精算可能になっている。
【0029】
仲介手数料は、受注者の属性に関わらず一律の金銭又はポイントにより設定されていてもよいし、受注者の属性に応じて異なる金額又はポイント数が動的に設定されるようになっていてもよい。例えば、受注者の開業年数に応じて仲介手数料が段階的に変動するようになっていてもよい。
【0030】
依頼案件の受注者が決定すると、依頼案件テーブルT3において、依頼案件の識別情報と受注者の識別情報とが関連付けられて記憶される。なお、受注者の決定を契機に記憶される構成に代えて、応募の段階で受注者の識別情報が格納されるとともに、受発注の契約に関する詳細なステータスが合わせて記憶される構成でもよい。
【0031】
図1に示すように、発注情報取得部11は、発注者端末2aを介して、依頼案件の発注に関する発注情報を取得する機能部である。発注情報は、例えば依頼案件の内容および条件、ならびに発注者に関する情報を含んでいる。発注情報は、記憶部50の依頼案件テーブルT3(
図2(c)参照)に格納される。
【0032】
入出力制御部12は、依頼案件テーブルT3を参照し、依頼案件に関する情報を受注者端末2bの表示部22bに表示する機能部である。入出力制御部12は、複数の依頼案件に関する発注情報を一覧にして表示する。また、一覧からの選択に応じて詳細が表示されるといったように、依頼案件が階層的に表示されてよい。
【0033】
入出力制御部12は、発注情報のうち一部の情報のみを受注者端末2bに表示してもよい。入出力制御部12は、例えば発注情報のうち発注者に関する情報、例えば識別情報や名称等を表示しない。特に同業者同士のマッチングにあたっては、発注の事実や発注者の情報を他の同業者に対して広く公開したくない場合が多いところ、この構成によれば、発注者を秘匿できる。この場合、依頼案件ごとに、発注者による情報開示の同意に基づいて、当該発注者の情報を受注者のみに開示してもよい。また、依頼案件ごとに、受発注の契約の進行度合に応じて、発注者の情報を受注者に開示してもよい。例えば、受発注の契約が成立したことを契機に、発注者の情報を受注者に開示してもよい。また、正式な発注がなされたことを契機に、発注者の情報が受注者に開示されてもよい。受注者はこの発注者の情報に基づいて、正式な受注の可否を決定できるものとしてもよい。受注者の情報は、例えば、正式な受注をする旨の情報が受注者端末2bから送信された場合に、発注者に開示されてもよい。
【0034】
また、入出力制御部12は、受注者端末2bに紐づけられる受注者の情報を参照し、受注者の属性に応じて、一部の依頼案件に対する応募を許可し、他の依頼案件に対する応募を不許可、すなわち受け付けないようにしてもよい。入出力制御部12は、受注者端末2bに紐づけられるポイントが所定範囲外である場合には、受注者端末2bに、発注者が同業専門家である依頼案件の応募のみを許可し、発注者が同業専門家以外である依頼案件の応募を許可しない。具体的には例えば、入出力制御部12は、応募を受け付けない依頼案件については応募ボタンを表示させないか、グレーアウトさせ、応募できないようにする。また、入出力制御部12は、応募を受け付けない依頼案件自体を表示させないものとしてもよい。受注者が新規開業者である場合には、同業専門家が発注者である発注情報のみを表示させてもよい。このような構成によれば、新規開業者にまず同業専門家が発注する依頼案件を受注させることで、新規開業者を業務に習熟させることができる。
【0035】
なお、受注者が新規開業者であっても、当該新規開業者が保有するポイントが所定範囲外である場合、例えばポイントが所定値以上である場合には、同業専門家および依頼者からの依頼案件の両方が表示されるようになっていてもよい。この構成によれば、同業専門家からの依頼案件を相当程度受注し、資金が貯まると共に業務に習熟した新規開業者には、依頼者からの直接の受注を促すことができる。
【0036】
入出力制御部12は、受注者からの応募を契機に、少なくとも応募があった旨の情報を発注者端末2aに報知する。また、入出力制御部12は、発注者端末2aの表示部22aに、受注者の情報の一部又は全部を表示する。このとき、入出力制御部12は、受注者が特定される情報、例えば受注者の氏名や連絡先等の情報を除外して、受注者に関する情報を表示部22aに表示させてもよい。この場合例えば、表示部22aには、開業年数や開業地域等といった、発注可否の判断に必要な情報のみが表示される。この構成によれば、応募した時点では受注者の情報が発注者に開示されることがないため、受注者のプライバシーも担保される。入出力制御部12は、受発注の契約の進行度合に応じて、受注者に関する情報を表示部22aに表示させる。入出力制御部12は、例えば、受発注の契約が成立した場合に、受注者が特定される情報を表示部22aに表示させてもよい。
【0037】
受注情報取得部13は、受注者端末2bを介して、依頼案件の受注に関する受注情報を取得する機能部である。受注情報には、少なくとも案件の識別情報と、受注者の識別情報とが含まれる。
【0038】
精算処理部14は、発注者と受注者における依頼案件の受発注に対して生じる仲介手数料を精算する機能部である。
【0039】
精算処理部14は、依頼案件テーブルT3において依頼案件に紐づけられている発注者情報および受注者情報を参照し、発注者が同業専門家である場合であって、受注者情報に含まれる受注者の開業年数が所定以内である場合には、仲介手数料をポイントにより精算する。また、精算処理部14は、開業年数を参照する構成に代えて、依頼案件テーブルT3において受注者が新規開業者に該当する場合に、仲介手数料をポイントにより精算してよい。
【0040】
精算処理部14は、受注者端末2bに紐づけられるポイントが所定範囲外である場合には、受注者端末2bを介して受注者に仲介手数料を請求する。所定範囲外とは、例えばポイントが十分貯まり、ポイントが所定値以上になっている状態である。
【0041】
ポイント管理部15は、受注者に紐づけられるポイントを管理する機能部である。ポイントは、新規開業の専門家が、マッチング装置1を通じて依頼案件を受注することで付与される。ポイント管理部15は、依頼案件テーブルT3を参照し、当該依頼案件の仲介手数料として設定されているポイント数を、受注者に付与する。ポイント管理部15は、例えば受発注の契約が成立したのを契機に、又は受注者からの納品および発注者による検収が完了したのを契機に、専門家テーブルT1において当該新規開業者の保有ポイントに所定数を加算する。
【0042】
ポイント管理部15は、精算処理部14が仲介手数料をポイントにより精算した場合には、受注者端末2bに紐づけられるポイントを変動させる。より具体的には、受注者端末2bに紐づけられるポイントを増加させる。
【0043】
通信処理部16は、インターネット等のネットワークNWを介し、マッチング装置1と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行可能とする処理部であって、アプリまたは、Webブラウザ等により実現される。通信処理部16は特に、依頼案件の情報および発注者情報を発注者端末2aから受信する。また、通信処理部16は、受注者情報を受注者端末2bから受信する。さらに、通信処理部16は、受注者端末2bに対し、仲介手数料の精算結果、又は請求情報を送信する。
【0044】
●マッチング装置1および各端末2の処理にかかるシーケンス図
図3を用いて、マッチングにおけるマッチング装置1および各端末2の情報の流れについて説明する。
図3に示すように、まず、発注者端末2aは、依頼案件にかかる発注情報をマッチング装置1に送信する(ステップS101)。マッチング装置1は、記憶部50の依頼案件テーブルT3にこれを格納する(ステップS102)。
【0045】
マッチング装置1の入出力制御部12は、受注者端末2bからの表示命令に応じて(ステップS103)、依頼案件に関する情報を受注者端末2bに表示させる(ステップS104)。受注者端末2bは、入力部21bを介して依頼案件を選択し、応募する旨の情報をマッチング装置1に送信する(ステップS105)。マッチング装置1の受注情報取得部13はこれを受信し、依頼案件テーブルT3に格納する。また、マッチング装置1の通信処理部16は、少なくとも応募があった旨の情報を、発注者端末2aに送信する(S106)。このとき、マッチング装置1は、専門家テーブルT1を参照し、応募した受注者に関する情報の少なくとも一部を発注者端末2aに送信してもよい。
【0046】
発注者端末2aは、正式発注する旨の情報をマッチング装置1に送信する(ステップS107)。1個の依頼案件に対し複数の受注者が応募をしている場合には、発注者端末2aは、発注する受注者を特定する情報を合わせて送信する。マッチング装置1は、依頼案件テーブルT3における案件のステータスを適宜変更し、受注した旨の情報を受注者端末2bに送信し、受注者端末2bがこれを受信する(ステップS108)。また、マッチング装置1は、受発注の契約の進行度合に応じて、発注者端末2aおよび受注者端末2bに、受注者又は発注者を特定する情報を適宜送信する(ステップS109)。なお、ステップS109の処理順序は同図の態様に限られず、ステップS107の前後いずれかであってもよいし、異なる情報の開示を複数回に渡って行ってもよい。
【0047】
受注者端末2bは、受注者による納品の入力を受け付け、マッチング装置1に送信する(ステップS110)。発注者端末2aは、マッチング装置1を介してこれを受領する。発注者端末2aは、発注者による検収の入力を受け付け、マッチング装置1に送信する(ステップS111)。納品および検収が完了すると、マッチング装置1は、新規開業者である受注者にポイントを付与する(ステップS112)。すなわち、専門家テーブルT1において当該受注者に紐づけられる保有ポイントを増加させる。
【0048】
●マッチングから精算までの処理の流れ
図4に示すように、まず、マッチング装置1の発注情報取得部11は、発注者端末2aから依頼案件の情報を取得する(ステップS201)。依頼案件の情報には、依頼内容や報酬に関する情報の他、発注者に関する情報である発注者情報を含んでいる。発注者情報は、発注者の識別情報や、発注者が同業専門家であるか否かの情報を含む。次いで、マッチング装置1の受注情報取得部13は、受注者端末2bから依頼案件への応募を受け付ける(ステップS202)。
【0049】
発注者情報を参照し、発注者が同業専門家か否か判別し(ステップS203)、発注者が同業専門家である場合には(ステップS203でY)、ステップS204に進む。発注者が同業専門家以外である場合には(ステップS203でN)、ステップS207に進む。
【0050】
ステップS204では、発注者情報を参照し、受注者が新規開業者か否か判別する。新規開業者は、開業年数が所定以内、例えば開業1年以内の専門家を指す。受注者が新規開業者である場合(ステップS204でY)、ステップS205に進む。受注者が新規開業者でない場合、ステップS207に進む。
【0051】
ステップS205では、受注者、すなわち受注者端末2bに紐づくポイントが所定範囲か否かを判別し、ポイントが所定範囲である場合(ステップS205でY)、ステップS206に進み、ポイントが所定範囲外である場合(ステップS205でN)、ステップS207に進む。
【0052】
ステップS206では、仲介手数料をポイントで精算し、処理を終了する。
ステップS207では、受注者端末2bを介して受注者に仲介手数料を請求する。仲介手数料の請求は、振込先の情報を含む請求書の送信の他、口座引落やクレジットカードに対する請求等適宜の態様による。
【0053】
上述の通り、本発明にかかる同業専門家同士のマッチング装置によれば、開業資金に乏しい専門家であっても、当初は仲介手数料をポイントで精算することにより案件を受注することができる。そして、他の専門家からの依頼案件を受注することで資金を貯めることができ、事務所運営を軌道に乗せることができる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、上述の実施形態においては、新規開業者は受注に応じてポイントが付与される構成について説明したが、新規開業者にあらかじめポイントが付与され、受注に応じてポイントが減算される構成であってもよい。この場合、付与されたポイントを償却すると、依頼者からの案件を直接受注できるようになる。
【符号の説明】
【0055】
1 マッチング装置
11 発注情報取得部
12 入出力制御部
13 受注情報取得部
14 精算処理部
15 ポイント管理部
16 通信処理部
50 記憶部
2 端末
2a 発注者端末
2b 受注者端末