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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053161
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】水耕栽培用スポンジ
(51)【国際特許分類】
   A01G 24/48 20180101AFI20240408BHJP
【FI】
A01G24/48
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159236
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】520311053
【氏名又は名称】株式会社皆川組
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 高臣
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022BA11
2B022BA22
2B022BB02
(57)【要約】
【課題】コストを掛けずに製造でき、かつ、野菜の収穫後に良好な生分解性を示す、新たな水耕栽培用スポンジを提供する。
【解決手段】本発明の水耕栽培用スポンジは、セルロースとアガロースとを含む。セルロースを含む材料が段ボールであり、段ボールの破砕物とアガロースとからなる。あるいは、アガロースを含む材料が寒天であり、セルロースと寒天とからなる。セルロースはバイオセルロースであってもよく、セルロースとしてさらに綿を含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースとアガロースとを含む水耕栽培用スポンジ。
【請求項2】
前記セルロースを含む材料が段ボールであり、段ボールの破砕物とアガロースとからなる請求項1に記載の水耕栽培用スポンジ。
【請求項3】
前記アガロースを含む材料が寒天であり、セルロースと寒天とからなる請求項1に記載の水耕栽培用スポンジ。
【請求項4】
前記セルロースがバイオセルロースである請求項3に記載の水耕栽培用スポンジ。
【請求項5】
前記セルロースとしてさらに綿を含む請求項4に記載の水耕栽培用スポンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培用スポンジに関する。
【背景技術】
【0002】
レタスなどの野菜の水耕栽培においては、スポンジの上で種を発芽させ、そのまま収穫するまでスポンジの上で栽培することが行われている。このときに用いられる水耕栽培用スポンジは、野菜の収穫後は廃棄物となるため、大規模な植物工場においては、大量の廃棄物が発生してしまうという問題があった。
【0003】
なお、この分野の従来技術としては、生分解性を有するセルローススポンジを用いることが特許文献1に開示されており、これによれば廃棄物を減らすことができる。しかし、この文献に開示されたセルローススポンジは、植物の栽培中にセルローススポンジが腐ってしまうことを防ぐために、多孔質無機物で被覆された炭化物を含有させるものであり、製造する際に多種の材料を準備しなければならず、炭化物を得るために高温での焼結が必要であるなど、コストが掛かるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-211741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、コストを掛けずに製造でき、かつ、野菜の収穫後に良好な生分解性を示す、新たな水耕栽培用スポンジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水耕栽培用スポンジは、セルロースとアガロースとを含む。
【0007】
また、前記セルロースを含む材料が段ボールであり、段ボールの破砕物とアガロースとからなる。
【0008】
また、前記アガロースを含む材料が寒天であり、セルロースと寒天とからなる。
【0009】
また、前記セルロースがバイオセルロースである。
【0010】
また、前記セルロースとしてさらに綿を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コストを掛けずに製造でき、かつ、野菜の収穫後に良好な生分解性を示す、水耕栽培用スポンジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの葉の数と葉の長さを示すグラフである。
図2】実施例2による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの葉の数と葉の長さを示すグラフである。
図3】実施例2による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの重さを示すグラフである。
図4】実施例3による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの葉の数と葉の長さを示すグラフである。
図5】実施例3による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの重さを示すグラフである。
図6】実施例4における使用済みの水耕栽培用スポンジの生分解性試験の方法を示す模式図である。
図7】実施例4における使用済みの水耕栽培用スポンジの生分解性試験の結果を示すグラフである。
図8】実施例5による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの葉の数と葉の長さを示すグラフである。
図9】実施例5による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの葉の数と葉の長さを示すグラフである。
図10】実施例5による水耕栽培用スポンジを用いて栽培したレタスの重さを示すグラフである。
図11】実施例6における使用済みの水耕栽培用スポンジの生分解性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の水耕栽培用スポンジは、セルロースとアガロースとを含むものである。
【0014】
ここで、セルロースとしては、植物由来のもの、微生物由来のものを用いることができる。植物由来のものとしては、木材、パルプ、紙、綿に含まれるものが挙げられる。なお、木材や木材由来のパルプ、紙は、セルロースのほかにリグニン、ヘミセルロースなどを含むが、綿は、ほとんどがセルロースからなる。微生物由来のものは、バイオセルロース、または、バクテリアセルロースと呼ばれ、その100%がセルロースである。セルロースを含む材料としては、例えば、廃棄物としての段ボールの破砕物が安価で好適に用いられる。
【0015】
また、アガロースは、寒天由来の多糖類であり、寒天は、アガロースのほかにアガロペクチンなどの多糖類を含む。アガロースは、親水性が高く、水をよく吸収する。
【0016】
本発明の水耕栽培用スポンジは、以下のようにして調製することができる。
【0017】
例えば、原料として段ボールとアガロースを用いる場合は、はじめに、段ボールの破砕物をミキサーで均質化する。また、アガロースの1~5質量%水溶液を調製する。つぎに、アガロース水溶液に均質化後の段ボールの破砕物を1~3質量%になるように加えて、均一に混合液にする。その後、この混合液を型に注ぎ、凍結乾燥することにより、本発明の水耕栽培用スポンジが得られる。なお、段ボールの代わりに、板紙などの紙類を用いてもよい。
【0018】
例えば、原料としてバイオセルロースと寒天を用いる場合は、はじめに、バイオセルロースを水に懸濁させ、2~10質量%のバイオセルロース懸濁液を調製する。また、寒天の2~10質量%水溶液を調製する。つぎに、バイオセルロース懸濁液に寒天水溶液を1:1~1:5の質量比で混合し、これに任意選択で綿を浸し、型に注ぎ、凍結乾燥することにより、本発明の水耕栽培用スポンジが得られる。
【0019】
本発明によれば、安価な材料から少ない工程でコストを掛けずに製造でき、かつ、野菜の収穫後に良好な生分解性を示す、水耕栽培用スポンジを提供することができる。
【0020】
以下、具体的な実施例に基いて、本発明について説明する。
【実施例0021】
[水耕栽培用スポンジの調製]
原料として段ボールとアガロースを用いて水耕栽培用スポンジを調製した。
【0022】
はじめに、梱包用の段ボール(紙80%、ポリエチレン20%;メーカー不明)をフードミキサー(ワンダーブレンダー(大阪ケミカル)を用いて25000rpmで30秒間、粉砕処理することによって均質化した。
【0023】
また、アガロース(ナカライテスク、高温培養用寒天)を水に溶解させ、1.0質量%、2.0質量%、3.0質量%、4.0質量%、5.0質量%のアガロース溶液をそれぞれ調製し、その後、オートクレーブで殺菌した。
【0024】
つぎに、上記で調製した1.0質量%、2.0質量%、3.0質量%、4.0質量%、5.0質量%のアガロース溶液のそれぞれに均質化後の段ボールの破砕物を2.5質量%になるように加えて、均一な混合液になるまでマグネチックスターラーを用いて攪拌した。その後、この混合液100gを大きさ27cm×13cm×3cmの型に注ぎ、凍結乾燥(日本ビュレット、温度-55℃、圧力0.3hPa)を2日間行うことにより、大きさ2.5cm×2.5cm×2cmの水耕栽培用スポンジを得た。
【0025】
[調製した水耕栽培用スポンジを用いたレタスの栽培]
調製した水耕栽培用スポンジの中央に直径0.3cm、深さ0.3cmの穴をあけて、この穴にレタス(スマシャキ、CrispitaII)の種を入れ、水耕栽培用スポンジを水に浸し、温度25℃、湿度59%の室内に置いた。水に浸してから3日後に発芽し、その後、水耕栽培器(株式会社ユーイング、グリーンファーム)に入れ、液体肥料(株式会社ハイポネックスジャパン、ハイポネックス原液を水で1000倍に希釈したもの)を供給(1週間に1回、4L)し、温度25℃で生育させた。そして、発芽後、1週間ごとにレタスの葉の数、葉の長さを測定した。
【0026】
また、比較例として、従来の水耕栽培用スポンジを用いて、同様にレタスを栽培した。
【0027】
それぞれのサンプル数は5個ずつ準備し、種の個体によるばらつきはなかった。
【0028】
[栽培結果]
栽培結果を図1に示す。なお、図1において、A1.0、A2.0、A3.0、A4.0、A5.0は、水耕栽培用スポンジの調製に用いたアガロースの濃度が1.0質量%、2.0質量%、3.0質量%、4.0質量%、5.0質量%であったことを示すものである。従来品は、従来の水耕栽培用スポンジを示す。
【0029】
図1に示すように、葉の数、葉の長さについては、水耕栽培用スポンジの調製に用いたアガロースの濃度によって大きな差は見られなかったが、3.0質量%のアガロース溶液を用いて調製した水耕栽培用スポンジの場合(A3.0)に、葉の数が約16枚と最も多くなり、3.0質量%、5.0質量%のアガロース溶液を用いて調製した水耕栽培用スポンジの場合(A3.0、A5.0)に、葉の長さが約16cmと最も長くなった。この結果より、いずれの場合も大差はないものの、水耕栽培用スポンジを調製するときに用いるアガロース溶液中のアガロース濃度は、3.0質量%が最も好ましいことが分かった。
【実施例0030】
[水耕栽培用スポンジの調製]
実施例1により、水耕栽培用スポンジを調製するときに用いるアガロース溶液中のアガロース濃度は、3.0質量%が最も好ましいことが分かった。そこで、アガロース濃度を3.0質量%に固定し、段ボールの量を変化させて、水耕栽培用スポンジを調製した。
【0031】
実施例1と同様に段ボールを粉砕し、均質化した。つぎに、実施例1と同様に調製した3.0質量%のアガロース溶液に均質化後の段ボールの破砕物を1.0質量%、1.5質量%、2.0質量%、2.5質量%、3.0質量%になるようにそれぞれ加えた。そして、実施例1と同様にして水耕栽培用スポンジを得た。
【0032】
[調製した水耕栽培用スポンジを用いたレタスの栽培]
実施例1と同様にしてレタスを栽培した。発芽後、1週間ごとにレタスの葉の数、葉の長さを測定し、6週間後にレタスの重さを測定した。
【0033】
[栽培結果]
栽培結果を図2図3に示す。なお、図2図3において、C1.0、C1.5、C2.0、C2.5、C3.0は、水耕栽培用スポンジの調製に用いた段ボールの濃度が1.0質量%、1.5質量%、2.0質量%、2.5質量%、3.0質量%であったことを示すものである。従来品は、従来の水耕栽培用スポンジを示す。
【0034】
図2に示すように、葉の数、葉の長さについては、水耕栽培用スポンジの調製に用いた段ボールの濃度によって大きな差は見られなく、いずれも葉の数は約12枚、葉の長さは約13cmであった。段ボールの粉砕物を1.5質量%、3.0質量%になるように加えて調製した水耕栽培用スポンジの場合(C1.5、C3.0)に、葉の長さが最も長くなった。なお、本実施例は、ほかの実施例よりも栽培温度が低くなってしまったことにより、全体的にレタスの生育に影響を受けた。
【0035】
また、図3に示すように、段ボールの粉砕物を1.5質量%、3.0質量%になるように加えて調製した水耕栽培用スポンジの場合(C1.5、C3.0)に、約30gとなり、ほかの場合よりも重くなった。
【0036】
このように、段ボールの粉砕物を1.0質量%とした場合に生育がやや劣ったものの、いずれの場合も良好な結果が得られ、特に、1.5質量%、3.0質量%のときに最良の結果が得られた。
【実施例0037】
[水耕栽培用スポンジの調製]
実施例2により、水耕栽培用スポンジを調製するときに用いる段ボールの量は、1.5質量%、3.0質量%が最も好ましいことが分かった。そこで、同条件にて段ボールの代わりに板紙を用いて、水耕栽培用スポンジを調製した。
【0038】
実施例1と同様に段ボールの代わりに板紙を粉砕し、均質化した。つぎに、実施例1と同様に調製した3.0質量%のアガロース溶液に均質化後の板紙の破砕物を1.5質量%、3.0質量%になるようにそれぞれ加えた。そして、実施例1と同様にして水耕栽培用スポンジを得た。
【0039】
また、比較のために、段ボールの粉砕物を1.5質量%、3.0質量%になるようにそれぞれ加えて、実施例1と同様にして水耕栽培用スポンジを得た。
【0040】
[調製した水耕栽培用スポンジを用いたレタスの栽培]
実施例1と同様にしてレタスを栽培した。発芽後、1週間ごとにレタスの葉の数、葉の長さを測定し、6週間後にレタスの重さを測定した。
【0041】
[栽培結果]
栽培結果を図4図5に示す。なお、図4図5において、C1.5、C3.0は、水耕栽培用スポンジの調製に用いた段ボールの濃度が1.5質量%、3.0質量%であったことを示すものであり、CS1.5、CS3.0は、水耕栽培用スポンジの調製に用いた板紙の濃度が1.5質量%、3.0質量%であったことを示すものである。従来品は、従来の水耕栽培用スポンジを示す。
【0042】
図4に示すように、葉の数、葉の長さについては、水耕栽培用スポンジの調製に用いた板紙の濃度によって大きな差は見られなく、いずれも葉の数は約15枚、葉の長さは約17cmであった。板紙の粉砕物を1.5質量%、段ボールの粉砕物を1.5質量%になるように加えて調製した水耕栽培用スポンジの場合(C1.5、CS1.5)に、葉の長さが最も長くなった。
【0043】
また、図5に示すように、板紙の粉砕物を1.5質量%になるように加えて調製した水耕栽培用スポンジの場合(CS1.5)に、約50gとなった。
【実施例0044】
[水耕栽培用スポンジの生分解]
3.0質量%のアガロース溶液に均質化後の段ボールの破砕物を1.5質量%になるように加えて調製した水耕栽培用スポンジを用いて、使用済みの水耕栽培用スポンジの生分解性を確認した。
【0045】
図6に示すように、直径4.5cmの円柱状のプラスチック容器内に、下からコンポスト用菌床、コンポスト用生ごみ発酵促進剤、使用済みの水耕栽培用スポンジとコンポスト用菌床、コンポスト用生ごみ発酵促進剤、コンポスト用菌床の順に重ねて配置した。そして、60℃に設定したオーブン内にて保管し、1週間ごとに水耕栽培用スポンジを取り出して質量を測定した。
【0046】
その結果、図7に示すように、時間の経過とともに質量は減少し、生分解前の質量を100%とした場合、6週間後には約50%まで減少した。
【実施例0047】
[水耕栽培用スポンジの調製]
原料としてバイオセルロースと寒天を用いて水耕栽培用スポンジを調製した。
【0048】
はじめに、バイオセルロース(三星工業、バクテリアセルロース、分子量160万)をオートクレーブで滅菌した後に水に懸濁させ、2質量%、5質量%、10質量%のバイオセルロース懸濁液をそれぞれ調製した。
【0049】
また、寒天(実施例1と同じ)を水に溶解させ、2質量%、5質量%、10質量%の寒天溶液をそれぞれ調製し、その後、カビの発生を避けるために85℃に加熱した。
【0050】
つぎに、上記で調製した2質量%、5質量%、10質量%のバイオセルロース懸濁液のそれぞれに上記で調製した2質量%、5質量%、10質量%の寒天溶液のそれぞれを1:3の質量比で混合し、この混合液20gに対して0.3gの綿(川本産業、医療脱脂綿、白色綿状)を浸し、大きさ27cm×13cm×3cmの型に注ぎ、凍結乾燥(実施例1と同じ)を2日間行うことにより、大きさ2.5cm×2.5cm×2cmの水耕栽培用スポンジを得た。また、綿を用いないほかは同様にして調製した水耕栽培用スポンジを得た。
【0051】
なお、10質量%の寒天溶液を用いて調製したスポンジは硬く、レタスの栽培に問題があることが分かった。また、1質量%以下のバイオセルロース懸濁液を用いてスポンジを調製することも試みたが、得られたスポンジは緩くて使用できなかった。
【0052】
[調製した水耕栽培用スポンジを用いたレタスの栽培]
調製した水耕栽培用スポンジの中央に直径0.3cm、深さ0.3cmの穴をあけて、この穴にレタス(スマシャキ、CrispitaII)の種を入れ、水耕栽培用スポンジを水に浸し、温度25℃、湿度59%の室内に置いた。水に浸してから3日後に発芽し、その後、水耕栽培器(株式会社ユーイング、グリーンファーム)に入れ、実施例1と同じく、液体肥料(株式会社ハイポネックスジャパン、ハイポネックス原液を水で1000倍に希釈したもの)を供給し、温度25℃で生育させた。そして、1週間ごとにレタスの葉の数、葉の長さを測定し、6週間後にレタスの重さを測定した。
【0053】
また、比較例として、従来の水耕栽培用スポンジを用いて、同様にレタスを栽培した。
【0054】
それぞれのサンプル数は3個ずつ準備し、種の個体によるばらつきはなかった。
【0055】
[栽培結果]
栽培結果を図8図10に示す。なお、図8図10において、BC(%)数値は水耕栽培用スポンジの調製に用いたバイオセルロースの濃度、Agar(%)は水耕栽培用スポンジの調製に用いた寒天の濃度を示すものである。また、綿を用いた場合に(綿)、綿を用いない場合に(なし)または(綿なし)と表記した。なお、図8における寒天の濃度は、5%である。従来品は、従来の水耕栽培用スポンジを示す。
【0056】
図8に示すように、5質量%の寒天溶液を用いて調製した水耕栽培用スポンジにおいては、2質量%のバイオセルロース懸濁液と綿を用いて調製した水耕栽培用スポンジを用いた場合(BC(2%)Agar(綿))に、葉の数が最大になり、葉の長さが最長になった。
【0057】
図9に示すように、3質量%の寒天溶液を用いて調製した水耕栽培用スポンジにおいても、2質量%のバイオセルロース懸濁液と綿を用いて調製した水耕栽培用スポンジを用いた場合(BC(2%)Agar(3%)(綿))に、葉の数が最大になり、葉の長さが最長になった。
【0058】
また、図10に示すように、2質量%のバイオセルロース懸濁液、3質量%の寒天溶液、綿を用いて調製した水耕栽培用スポンジの場合(BC(2%)Agar(3%)(綿))に、約28gとなり、ほかの場合よりも重くなる傾向となった。
【実施例0059】
[水耕栽培用スポンジの生分解]
2質量%のバイオセルロース懸濁液、3質量%の寒天溶液(綿なし)を用いて調製した水耕栽培用スポンジを用いて、使用済みの水耕栽培用スポンジの生分解性を確認した。
【0060】
試験方法は、実施例4に示す方法に従った。
【0061】
その結果、図11に示すように、時間の経過とともに質量は減少し、生分解前の質量を100%とした場合、6週間後には約5%まで減少した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11