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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053178
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】画像処理方法および画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240408BHJP
   G06T 7/30 20170101ALI20240408BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240408BHJP
   G06V 10/24 20220101ALI20240408BHJP
【FI】
G01B11/00 C
G06T7/30
G06T7/70 A
G06V10/24
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159260
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】澤田 千奈
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA07
2F065AA14
2F065AA23
2F065AA31
2F065BB02
2F065BB27
2F065CC19
2F065DD06
2F065FF01
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM03
2F065PP01
2F065PP12
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065QQ36
2F065UU05
5L096FA02
5L096FA16
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】時系列の画像データから特定の物体を検出する画像処理において、演算量を削減する技術を提供する。
【解決手段】この画像処理方法は、定期的に取得される撮影画像から検出対象の位置を検出する画像処理方法であって、a)前記撮影画像の解析対象領域を解析し、前記検出対象の位置と、検出誤差とを求める工程(S103)と、b)前記検出誤差の大きさに基づいて、前記解析対象領域を変更する工程(ステップS104~S107)とを、複数回繰り返す。これにより、検出誤差を所定の範囲内としつつ、解析対象領域を縮小することができる。したがって、検出誤差を大きくすることなく、演算量を削減することができる。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定期的に取得される撮影画像から検出対象の位置を検出する画像処理方法であって、
a)前記撮影画像の解析対象領域を解析し、前記検出対象の位置と、検出誤差とを求める工程と、
b)前記検出誤差の大きさに基づいて、前記解析対象領域を変更する工程と、
を含み、
前記工程a)および前記工程b)を複数回繰り返す、画像処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理方法であって、
前記工程b)において、前記検出誤差が、所定の第1閾値よりも小さい場合に、前記解析対象領域を小さくする、画像処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理方法であって、
前記工程b)において、前記解析対象領域を小さくする場合に、少なくとも所定の最小範囲以上の大きさとする、画像処理方法。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理方法であって、
前記工程b)において、前記検出誤差が、所定の第2閾値よりも大きい場合に、前記解析対象領域を大きくする、画像処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の画像処理方法であって、
c)前記工程a)および前記工程b)の後に、前記検出対象の変位が基準値よりも大きい場合に、前記解析対象領域を大きくする工程
をさらに有する、画像処理方法。
【請求項6】
定期的に取得される撮影画像から検出対象の位置を検出する画像処理装置であって、
外部から入力された前記撮影画像の解析対象領域を抽出し、解析用画像を生成する解析領域抽出部と、
前記解析用画像を解析し、前記検出対象の位置と、検出誤差とを求めるマーク位置解析部と、
前記検出誤差に基づいて、前記解析対象領域を変更する解析領域決定部と、
を有する、画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から定期的に入力される撮影画像を解析するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置やレーザ描画装置をはじめとした種々の産業機器において、撮影画像データから、アライメントマーク等の特定の物体の位置を検出し、その検出結果に基づいて装置の位置制御を行うことがある。
【0003】
このような装置において、撮影画像が入力される度に、撮影画像の全ての範囲に対して画像処理を行って位置検出を行うと、演算量が多くなり、非効率的である。このような問題について、演算量を削減する方法が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1では、画像を低解像度化して、低解像度データを解析して物体の有無を判断しする。そして、物体があると判断した場合にのみ、高解像度の元画像を用いて再度演算を行うことにより演算量を削減するという方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-52647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方法は、検出すべき物体が撮影画像内に存在しないタイミングがある場合には有効である。しかしながら、アライメントマークの位置検出を行う場合には、検出すべき物体が常に撮影範囲内にあり、その位置変化を追うものである。このような目的においては、特許文献1の方法を用いても、演算量を削減することができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、時系列の画像データから特定の物体を検出する画像処理において、演算量を削減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、定期的に取得される撮影画像から検出対象の位置を検出する画像処理方法であって、a)前記撮影画像の解析対象領域を解析し、前記検出対象の位置と、検出誤差とを求める工程と、b)前記検出誤差の大きさに基づいて、前記解析対象領域を変更する工程と、を含み、前記工程a)および前記工程b)を複数回繰り返す。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の画像処理方法であって、前記工程b)において、前記検出誤差が、所定の第1閾値よりも小さい場合に、前記解析対象領域を小さくする。
【0010】
本願の第3発明は、第2発明の画像処理方法であって、前記工程b)において、前記解析対象領域を小さくする場合に、少なくとも所定の最小範囲以上の大きさとする。
【0011】
本願の第4発明は、第2発明または第3発明の画像処理方法であって、前記工程b)において、前記検出誤差が、所定の第2閾値よりも大きい場合に、前記解析対象領域を大きくする。
【0012】
本願の第5発明は、第1発明ないし第4発明のいずれかの画像処理方法であって、c)前記工程a)および前記工程b)の後に、前記検出対象の変位が基準値よりも大きい場合に、前記解析対象領域を大きくする工程をさらに有する。
【0013】
本願の第6発明は、定期的に取得される撮影画像から検出対象の位置を検出する画像処理装置であって、外部から入力された前記撮影画像の解析対象領域を抽出し、解析用画像を生成する解析領域抽出部と、前記解析用画像を解析し、前記検出対象の位置と、検出誤差とを求めるマーク位置解析部と、前記検出誤差に基づいて、前記解析対象領域を変更する解析領域決定部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本願の第1発明から第6発明によれば、検出誤差を所定の範囲内としつつ、解析対象領域を縮小することができる。したがって、検出精度の低減を抑制しつつ、演算量を削減することができる。
【0015】
特に、本願の第2明によれば、検出精度の低減を抑制しつつ、演算量を削減することができる。
【0016】
特に、本願の第4発明によれば、検出誤差が増大した場合に、解析対象領域を拡大して検出誤差を低減することにより、検出誤差を所定の範囲内にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】画像処理装置を備えた描画装置の斜視図である。
図2】制御部と描画装置内の各部との電気的接続を示したブロック図である。
図3】画像処理装置としての位置検出部の制御ブロック図である。
図4】位置検出部における画像処理の流れを示したフローチャートである。
図5】撮影画像と解析対象領域との関係を示したイメージ図である。
図6】撮影画像と解析対象領域との関係を示したイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
<1.描画装置の構成>
以下では、本発明の一実施形態に係る画像処理装置である位置検出部90を備えた描画装置1について、図1および図2を参照しつつ説明する。図1は、描画装置1の斜視図である。図2は、位置検出部90を備えた制御部10と、描画装置内の各部との電気的接続を示したブロック図である。
【0020】
この描画装置1は、感光材料が塗布された半導体基板やガラス基板等の基板Wの上面に、空間変調された光を照射して、基板Wの上面に露光パターンを描画する装置である。図1および図2に示すように、描画装置1は、搬送機構20、フレーム30、描画処理部40、カメラ50、および制御部10を備える。
【0021】
搬送機構20は、基台21の上面において、平板状のステージ22を、略一定の姿勢で水平方向に搬送する装置である。搬送機構20は、主走査機構23と、副走査機構24と、回転機構25(図2参照)とを有する。主走査機構23は、ステージ22を水平方向の一方向である主走査方向に搬送するための機構である。副走査機構24は、ステージ22を水平方向のうち、主走査方向と直交する副走査方向に搬送するための機構である。基板Wは、ステージ22の上面に水平姿勢で保持され、ステージ22とともに主走査方向および副走査方向に移動する。回転機構25は、基台21に対するステージ22の鉛直軸周りの角度を調整することができる。
【0022】
フレーム30は、基台21の上方において、描画処理部40を保持するための構造である。フレーム30は、一対の支柱部31と架橋部32とを有する。一対の支柱部31は、副走査方向に間隔をあけて立設されている。各支柱部31は、基台21の上面から上方へ向けて延びる。架橋部32は、2本の支柱部31の上端部の間において、副走査方向に延びる。基板Wを保持したステージ22は、一対の支柱部31の間、かつ、架橋部32の下方を通過する。
【0023】
描画処理部40は、2つの光学ヘッド41を有する。2つの光学ヘッド41は、副走査方向に間隔をあけて、架橋部32に固定される。また、描画処理部40は、図示しない照明光学系およびレーザ発振器と、レーザ駆動部42(図2参照)を有する。照明光学系、レーザ発振器、およびレーザ駆動部42は、例えば、架橋部32の内部空間に収容される。レーザ駆動部42は、レーザ発振器と電気的に接続されている。レーザ駆動部42を動作させると、レーザ発振器からパルス光が出射される。そして、レーザ発振器から出射されたパルス光が、照明光学系を介して光学ヘッド41へ導入される。
【0024】
光学ヘッド41の内部には、空間変調器を含む光学系が設けられている。光学ヘッド41へ導入されたパルス光は、空間変調器により所定のパターンに変調されて、基板Wの上面に照射される。これにより、基板Wの上面に塗布されたレジスト等の感光材料が露光される。
【0025】
カメラ50(図2参照)は、図1中には図示されていないが、例えば、フレーム30の架橋部32の下面に取り付けられる。カメラ50は、ステージ22上に載置された基板Wの上面を撮影し、制御部10へ入力する。制御部10では、カメラ50の撮影画像Diから、基板Wの上面に設けられたアライメントマークMの位置を検出することにより、基板Wの位置や姿勢を検出することができる。
【0026】
制御部10は、描画装置1の各部を動作制御するための手段である。図1中に概念的に示すように、制御部10は、CPU等のプロセッサ101、RAM等のメモリ102、およびハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成されている。記憶部103には、描画装置1を動作制御するためのコンピュータプログラムPが記憶されている。
【0027】
また、図2に示すように、制御部10は、描画処理部40(光学ヘッド41およびレーザ駆動部42を含む)、主走査機構23、副走査機構24、回転機構25、およびカメラ50と、電気的に接続されている。制御部10は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムPやデータDをメモリ102に読み出し、当該コンピュータプログラムPおよびデータDに基づいて、プロセッサ101が演算処理を行うことにより、描画装置1内の上記各部を動作制御する。これにより、描画装置1における描画処理が進行する。
【0028】
制御部10は、位置検出部90、搬送制御部91、および描画制御部92を有する。位置検出部90、搬送制御部91、および描画制御部92の各機能は、制御部10を構成するコンピュータのプロセッサ101が、コンピュータプログラムPに従って動作することにより、実現される。
【0029】
位置検出部90には、カメラ50から定期的に撮影画像Diが入力される。位置検出部90は、撮影画像Diを解析し、アライメントマークMの位置、大きさ、角度等を検出することにより、基板Wの位置および姿勢を検出する。位置検出部90は、解析によって得られた情報である検出結果Doを、搬送制御部91へと引き渡す。
【0030】
搬送制御部91は、搬送装置20の各部を制御する。搬送制御部91は、基板Wを、予め決められた通りに搬送するために、位置検出部90から入力された検出結果Doに基づいて基板Wの位置を補正しつつ、搬送を行う。
【0031】
描画制御部92は、描画処理部40の各部を制御する。描画装置1の稼働時には、搬送制御部91による搬送機構20の動作と、描画制御部92による描画処理部40の動作とが連動して行われる。具体的には、光学ヘッド41による露光と、搬送装置20による基板Wの搬送とが、繰り返し実行される。より具体的には、副走査機構24によりステージ22を副走査方向に搬送しつつ、光学ヘッド41からのパルス光の照射を行うことにより、副走査方向に延びる帯状の領域(スワス)に露光を行った後、主走査機構23によりステージ22を主走査方向に1スワス分だけ搬送する。描画装置1は、このような副走査方向の露光と、主走査方向のステージ22の搬送とを繰り返すことにより、基板Wの上面全体にパターンを描画する。
【0032】
このような描画処理を行っている間、位置検出部90は、カメラ50から入力される撮影画像Diに基づいて、アライメントマークMの位置、大きさ、角度等を解析し、搬送制御部91へ入力する。これにより、搬送制御部91は、基板Wの位置が所望の位置からずれていないかを確認するとともに、ずれが生じた場合には基板W位置の補正を行う。これにより、基板Wの上面に精度良くパターンを描画できる。
【0033】
<2.画像処理装置の構成>
次に、本発明の一実施形態に係る画像処理装置としての位置検出部90について、図3を参照しつつ説明する。上述の通り、位置検出部90は、制御部10によって実現される画像処理装置であって、カメラ50によって定期的に取得される撮影画像Diから検出対象であるアライメントマークMの位置を検出する。図3に示すように、位置検出部90は、解析領域抽出部81、マーク位置解析部82、および解析領域決定部83を有する。
【0034】
解析領域抽出部81は、位置検出部90の外部から入力された撮影画像Diの解析対象領域を抽出し、解析用画像D1を生成する。具体的には、解析領域抽出部81は、解析領域決定部83から入力される領域情報D3に基づいて、カメラ50の撮影した撮影画像Diから画像の一部を切り出し、解析用画像D1を生成する。そして、解析用画像D1と、解析用画像D1の位置情報である領域情報D3とを、マーク位置解析部82へと引き渡す。
【0035】
マーク位置解析部82は、解析用画像D1を解析し、アライメントマークMの位置、大きさおよび角度を含む検出結果Doと、検出誤差D2とを求める。そして、マーク位置解析部82は、検出結果Doを搬送制御部91へ引き渡すとともに、検出結果Doおよび検出誤差D2を解析領域決定部83へと引き渡す。
【0036】
マーク位置解析部82は、解析用画像D1の全領域に対して畳み込み演算による推論を行って、アライメントマークMの位置の検出を行う。このとき、位置検出と同時に、結果の確からしさを示す推定誤差が求められる。マーク位置解析部82は、当該推定誤差を検出誤差D2とする。解析用画像D1の大きさに応じて、演算量が増減するため、解析用画像D1の大きさが小さいほど、演算量が減少し、演算の高速化を行うことができる。
【0037】
解析領域決定部83は、検出結果Doおよび検出誤差D2に基づいて、解析対象領域を変更し、解析対象領域の座標情報である領域情報D3を解析領域抽出部81へと引き渡す。具体的には、解析領域決定部83は、検出結果Doおよび検出誤差D2に基づいて、解析対象領域の大きさと、位置とを決定する。そして、解析領域決定部83は、解析対象の大きさおよび位置を含む領域情報D3を解析領域抽出部81へと引き渡す。
【0038】
本実施形態の解析領域決定部83は、具体的には、検出誤差D2が、所定の第1閾値よりも小さい場合に、解析対象領域を小さくする。なお、解析領域決定部83は、検出誤差D2が第1閾値よりも小さく、すなわち、解析対象領域を小さくする場合であっても、解析対象領域を所定の最小範囲以上の大きさとする。
【0039】
また、本実施形態の解析領域決定部83は、検出誤差D2が、所定の第2閾値以上である場合に、解析対象領域を大きくする。また、解析領域決定部83は、検出誤差D2が、第1閾値以上第2閾値未満である場合には、解析対象領域の大きさを変更しない。
【0040】
なお、解析領域決定部83は、検出誤差D2による解析対象領域の大きさの変更の後に、アライメントマークMの変位量に基づいて、解析対象領域を大きくしてもよい。本実施液体の解析領域決定部83は、アライメントマークMの変位量が、所定の基準値よりも多い場合に、解析対象領域を大きくする。
【0041】
なお、解析領域決定部83は、検出結果Doにおいて、アライメントマークMの位置の変位に従って、解析対象領域の位置を変更する。例えば、解析領域決定部83は、解析対象領域の中心位置が、直近のアライメントマークMの中心位置にできるだけ近くなるように、解析対象領域の位置を変更する。
【0042】
<3.画像処理の流れ>
続いて、位置検出部90における画像処理の流れについて、図4図6を参照しつつ説明する。図4は、位置検出部90における画像処理の流れを示したフローチャートである。図5および図6は、撮影画像Diと解析対象領域との関係を示したイメージ図である。以下では、図5および図6の例を参照しつつ、画像処理の流れを説明する。
【0043】
図5および図6の例では、撮影画像Diが正方形状であり、縦の画素数と、横の画素数とが同じであるが、本発明はこれに限られない。撮影画像Diは、縦の画素数と横の画素数が異なる長方形状であってもよい。また、図5および図6の例では、アライメントマークMは十字形状であり、その交点を中心位置と称する。なお、アライメントマークMは、その他の任意の形状であってよい。また、アライメントマークMの中心位置は、例えば、アライメントマークMが存在する長方形の2次元座標範囲の中心であってもよいし、重心位置であってもよい。
【0044】
図4に示す画像処理は、描画装置1において、基板Wの搬送開始と同時に開始される。画像処理において、まず、位置検出部90が、1つめの撮影画像Diを取得する。具体的には、カメラ50における定期的な撮像が開始され、1つめの撮影画像Diが位置検出部90に入力される(ステップS101)。
【0045】
解析領域抽出部81は、入力された撮影画像Diの解析対象領域を抽出し、解析用画像D1を生成する(ステップS102)。なお、1回目のステップS102においては、解析対象領域が設定されていないため、画像処理開始時の領域情報D3は、撮影画像Diの全範囲に設定されている。したがって、解析領域抽出部81は、撮影画像Diをそのまま解析用画像D1とする。
【0046】
次に、マーク位置解析部82が、解析用画像D1を解析し、アライメントマークMの位置、角度、大きさ等を検出する(ステップS103)。このとき、マーク位置解析部82は、同時に、推定誤差である検出誤差D2も算出される。マーク位置解析部82は、アライメントマークMの位置、角度および大きさを含む検出結果Doと、検出誤差D2を、解析領域決定部83へと引き渡す。
【0047】
続いて、解析領域決定部83は、検出誤差D2の値を、所定の第1閾値および第2閾値と比較する(ステップS104)。そして、解析領域決定部83は、検出誤差D2の値の大きさに応じて、解析対象領域の大きさを変更する(ステップS105~S111)。なお、第2閾値は、第1閾値よりも大きい値を有する。
【0048】
検出誤差D2が第1閾値よりも小さいと判断すると(ステップS104:第1閾値未満)、解析領域決定部83は、解析対象領域の大きさを縮小する(ステップS105)。具体的には、例えば、解析対象領域の大きさを、縦横それぞれpピクセルずつ小さくする。すなわち、その時点の解析対象領域の大きさがmピクセル×nピクセルである場合に、(m-p)ピクセル×(n―p)ピクセルとする。
【0049】
また、解析領域決定部83は、解析対象領域の中心位置が、できるだけアライメントマークMの中心位置と一致するように、解析領域の位置を変更する。
【0050】
このように、解析領域決定部83は、検出誤差D2が比較的小さい場合に解析対象領域を縮小する。これにより、検出精度低減を抑制しつつ、次の画像解析工程(ステップS103)における演算量を削減することができる。
【0051】
ステップS105に続いて、解析領域決定部83は、縮小後の大きさが、所定の最小領域サイズ以上であるか否かを判断する(ステップS106)。最小領域サイズは、予め決められた固定値であってもよいし、検出結果Doに基づいて変動するものであってもよい。例えば、最小領域サイズは、検出結果DoにおけるアライメントマークMの大きさに基づいて変動してもよい。その場合、例えば、アライメントマークMの大きさがおおよそxピクセル四方である場合に、解析対象領域の大きさを(x+q)ピクセル四方としてもよいし、xピクセルの定数倍四方としてもよい。
【0052】
ステップS104において、検出誤差D2が第1閾値以上第2閾値未満であると判断すると(ステップS104:第1閾値以上第2閾値未満)、解析領域決定部83は、解析対象領域の大きさを変更しない(ステップS108)。このとき、解析領域決定部83は、解析対象領域の中心位置が、できるだけアライメントマークMの中心位置と一致するように、解析対象領域の位置を変更する。
【0053】
ステップS104において、検出誤差D2が第2閾値以上であると判断すると(ステップS104:第2閾値以上)、解析領域決定部83は、解析対象領域の大きさを拡大する(ステップS109)。具体的には、例えば、解析対象領域の大きさを、縦横それぞれrピクセルずつ大きくする。すなわち、その時点の解析対象領域の大きさがmピクセル×nピクセルである場合に、(m+r)ピクセル×(n+r)ピクセルとする。
【0054】
このように、解析領域決定部83は、検出誤差D2が比較的大きい場合、すなわち、検出誤差D2が増大した場合に解析対象領域を拡大している。これにより、次の画像解析工程(ステップS103)における検出誤差D2を低減し、検出精度の低減を抑制できる。
【0055】
ステップS104における判断後、ステップS105~S107、ステップS108、またはステップS109が終了した後に、解析領域決定部83は、アライメントマークMの変位が基準値よりも大きいか否かを判断する(ステップS110)。アライメントマークMの変位は、例えば、最新のアライメントマークMの中心位置と、1回前のアライメントマークMの中心位置との差分を算出したものである。なお、アライメントマークMの変位を、例えば、最新のアライメントマークMの中心位置と、所定のk回前のアライメントマークMの中心位置との差分を算出したものとしてもよいし、中心位置の差分だけでなく、アライメントマークMの角度を考慮したものであってもよい。
【0056】
ステップS110において、アライメントマークMの変位が所定の基準値よりも大きい場合(ステップS110:Yes)、解析対象領域の大きさを拡大する(ステップS111)。具体的には、例えば、解析対象領域の大きさを、縦横それぞれsピクセルずつ大きくする。すなわち、その時点の解析対象領域の大きさがmピクセル×nピクセルである場合に、(m+s)ピクセル×(n+s)ピクセルとする。その後、解析領域決定部83は、解析対象領域の大きさおよび位置を含む領域情報D3を解析領域抽出部81へと引き渡し、ステップS101へと戻る。
【0057】
一方、ステップS110において、アライメントマークMの変位が所定の基準値以下である場合(ステップS110:No)、その時点の解析対象領域の大きさおよび位置を、領域情報D3として解析領域抽出部81へと引き渡し、ステップS101へと戻る。
【0058】
このように、撮影画像Diの取得および解析の度に、検出誤差の値に応じて、解析対象領域の大きさを調整する。これにより、検出誤差が所定の第2閾値よりも大きくならない範囲で、解析対象領域を縮小することができる。すなわち、アライメントマークMの検出精度を一定以上に保ちつつ、解析の演算量を削減できる。
【0059】
ここで、図5および図6に、本実施形態の画像処理における、解析対象領域の変化の例を示している。図5および図6では、十字状のアライメントマークMの位置および角度が動かず(変位がない)、1回目~7回目のステップS104において、検出誤差が第1閾値未満であり、かつ、1回目~7回目のステップS110においてアライメントマークMの変位が基準値以下であった場合について示している。
【0060】
図5および図6において、撮影画像Diの範囲が、実線で示されている。また、1回目の解析対象領域A1、2回目の解析対象領域A2、3回目の解析対象領域A3、4回目の解析対象領域A4、5回目の解析対象領域A5、6回目の解析対象領域A6、7回目の解析対象領域A7、および8回目の解析対象領域A8が、破線で示されている。なお、1回目の解析対象領域A1の範囲は、撮影画像Diを示す実線のやや内側に示されている。実際のA1は、Diと同じ範囲であるが、実線と破線が重なると範囲が不明確であるため、あえてずらして表示している。
【0061】
図5および図6の例では、撮影画像Diおよび1回目の解析対象領域A1の範囲が200ピクセル四方である。1回目のステップS104において、検出誤差が第1閾値未満であるため、ステップS105において、解析対象領域の大きさを20ピクセルずつ小さくし、180ピクセル四方とする。ここで、図5の上段に示すように、解析対象領域の中心が、アライメントマークMの中心と一致するように解析対象領域を設定した場合、図5の上段のA2’で示す領域が解析対象領域となる。領域A2’は、撮影画像Diと重ならない領域を有するため、図5および図6の例では、解析対象領域の位置を補正し、撮影画像Di内において、180ピクセル四方であって、その中心が最もアライメントマークMの中心に近くなる領域A2を、解析対象領域に設定する。
【0062】
続いて、2回目のステップS104では、検出誤差が第1閾値未満であるため、ステップS105において、解析対象領域の大きさを20ピクセルずつ小さくし、160ピクセル四方とする。ここで、図5の下段に示すように、解析対象領域の中心が、アライメントマークMの中心と一致するように解析対象領域を設定した場合、図5の下段のA3’で示す領域が解析対象領域となる。領域A3’は、撮影画像Diと重ならない領域を有するため、解析対象領域の位置を補正し、撮影画像Di内において、160ピクセル四方であって、その中心が最もアライメントマークMの中心に近くなる領域A4を、解析対象領域に設定する。
【0063】
3回目のステップS104においても、同様に、解析対象領域の大きさを20ピクセルずつ小さくし、140ピクセル四方とする。ここで、図6の上段に示すように、解析対象領域の中心が、アライメントマークMの中心と一致するように解析対象領域を設定した場合、図6の上段のA4’で示す領域が解析対象領域となる。領域A4’は、撮影画像Diと重ならない領域を有するため、解析対象領域の位置を補正し、撮影画像Di内において、140ピクセル四方であって、その中心が最もアライメントマークMの中心に近くなる領域A4を、解析対象領域に設定する。
【0064】
4回目から7回目のステップS104においても、同様に、解析対象領域の大きさを20ピクセルずつ小さくし、順に、120ピクセル四方、100ピクセル四方、80ピクセル四方とする。図6の下段に示すように、これらの場合には、解析対象領域の中心がアライメントマークMの中心と一致するように解析対象領域を設定した場合に、図6の下段に示す解析対象領域A5~A8は、いずれも撮影画像Di内に入っているため、位置を補正する必要は無い。
【0065】
図5および図6の例に示すように、検出誤差が所定の範囲に収まる程度に、解析対象領域をアライメントマークMの一部の領域に縮小することにより、画像解析における演算量を適切に削減することができる。実際の画像処理においては、アライメントマークMの位置が変動する。そして、解析対象領域も、アライメントマークMの変動に応じて、アライメントマークMおよびその周辺領域を含むように、追従する。その際に、アライメントマークMの検出誤差が所定の範囲に収まる程度に、適切に解析対象領域を縮小する。
【0066】
<4.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0067】
上記の実施形態では、画像処理装置である位置検出部90を有する制御部10の制御対象が描画装置1であった。このため、この位置検出部90は、基板Wに設けられたアライメントマークMの位置や角度を検出するために、解析対象領域を適宜調整するものであった。 しかしながら、本発明の画像処理装置によって検出する物体は、これに限られない。例えば、測量装置において測量対象に設けられたアライメントマークを検出するもの、基板検査装置の基板に設けられたアライメントマークを検出するもの等、種々の用途に適用可能である。
【0068】
また、上記の実施形態では、検出誤差の値に応じて、第1閾値未満、第1閾値以上第2閾値未満、第2閾値以上の範囲に場合分けし、解析対象領域を縮小、変更なし、拡大の3通りの工程を選択した。しかしながら、本発明はこれに限られない。
【0069】
例えば、第1閾値と、第2閾値とが同じ1つの閾値であってもよい。そして、検出誤差が当該閾値未満の場合には解析対象領域を縮小し、検出誤差が当該閾値以上の場合には解析対象領域を拡大する、としてもよい。
【0070】
また、例えば、第1閾値、第2閾値、第3閾値の3つの閾値により、検出誤差に4つの範囲が設定されており、検出誤差が第1閾値未満の場合には解析対象領域を2段階縮小し、検出誤差が第1閾値以上第2閾値未満の場合には解析対象領域を1段階縮小し、検出誤差が第2閾値以上第3閾値未満の場合には解析対象領域を1段階拡大し、検出誤差が第3閾値以上の場合には解析対象領域を2段階拡大する、としてもよい。
【0071】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 描画装置
10 制御部
50 カメラ
81 解析領域抽出部
82 マーク位置解析部
83 解析領域決定部
90 位置検出部
D1 解析用画像
D2 検出誤差
D3 領域情報
Di 撮影画像
Do 検出結果
図1
図2
図3
図4
図5
図6