(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053200
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】自転車貸出システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20240408BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159301
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】宮本 卓武
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB68
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】自転車貸出の際に利用開始の手続きを簡易化した自転車貸出システムを提供すること。
【解決手段】自転車貸出システム100は、自転車2の貸出を管理する管理装置10と、自転車2に搭載される車両装置20とを備え、車両装置20は、認証対象を撮影する撮像装置23と、撮像装置23の撮影内容を管理装置10に送信し管理装置10から解錠命令を受信する通信装置27と、管理装置10の制御下で動作する鍵装置24とを有し、車両装置20は撮影内容に基づく生体認証によって鍵装置24を解錠する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の貸出を管理する管理装置と、前記自転車に搭載される車両装置とを備え、
前記車両装置は、認証対象を撮影する撮像装置と、前記撮像装置の撮影内容を前記管理装置に送信し前記管理装置から解錠命令を受信する通信装置と、前記管理装置の制御下で動作する鍵装置とを有し、
前記車両装置は前記撮影内容に基づく生体認証によって前記鍵装置を解錠する自転車貸出システム。
【請求項2】
前記撮像内容は、利用者の顔画像であり、
前記管理装置は、前記生体認証において顔認証を行う認証装置を有し、
前記認証装置は、前記顔画像と前記利用者の登録顔画像とが一致した場合、前記車両装置に解錠命令を送信する、請求項1に記載の自転車貸出システム。
【請求項3】
前記撮像内容は、前記自転車の周辺環境を含む周辺画像を含み、
前記管理装置は、前記周辺画像から危険な運転の有無を判定した判定結果を前記自転車の貸出料金に反映させる、請求項1に記載の自転車貸出システム。
【請求項4】
前記撮像内容は、前記自転車の周辺環境を含む周辺画像を含み、
前記車両装置は、前記周辺画像から危険な運転の有無を判定する判定装置を有し、
前記通信装置は、前記判定装置での判定結果を前記管理装置に送信する、請求項1に記載の自転車貸出システム。
【請求項5】
前記撮像内容は、前記自転車の周辺環境を含む周辺画像を含み、
前記管理装置は、前記周辺画像から危険な運転の有無を判定する判定装置を有する、請求項1に記載の自転車貸出システム。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記自転車の前方及び後方に配置される、請求項1に記載の自転車貸出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に設けた鍵装置を遠隔からの解錠指令により解錠する自転車貸出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車等の貸出サービスにおいて、管理サーバが自転車に搭載した施錠装置に解錠命令を送信して鍵を解錠させるものが公知となっている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のシステムでは、施錠装置の解錠において、暗証番号の入力やICカードの読み取り等が必要であり、自転車の貸出利用開始の際に、利用者の本人確認の手間がかかる。
【0004】
また、近年、煽り運転、危険運転等、自転車の運転マナーの悪化が社会問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、自転車貸出の際に利用開始の手続きを簡易化した自転車貸出システムを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る自転車貸出システムは、自転車の貸出を管理する管理装置と、自転車に搭載される車両装置とを備え、車両装置は、認証対象を撮影する撮像装置と、撮像装置の撮影内容を管理装置に送信し管理装置から解錠命令を受信する通信装置と、管理装置の制御下で動作する鍵装置とを有し、車両装置は撮影内容に基づく生体認証によって鍵装置を解錠する。
【0008】
上記自転車貸出システムによれば、生体認証による本人確認によって貸出利用開始の手続きを行うため、利用者の本人確認のための暗証番号の入力やICカードの読み取り等の手間が不要となり、自転車貸出の利用をスムーズに開始することができる。
【0009】
本発明の具体的な側面によれば、上記自転車貸出システムにおいて、撮像内容は、利用者の顔画像であり、管理装置は、生体認証において顔認証を行う認証装置を有し、認証装置は、顔画像と利用者の登録顔画像とが一致した場合、車両装置に解錠命令を送信する。
【0010】
本発明の別の側面によれば、撮像内容は、自転車の周辺環境を含む周辺画像を含み、管理装置は、周辺画像から危険な運転の有無を判定した判定結果を自転車の貸出料金に反映させる。この場合、判定結果を自転車の貸出料金に反映させることにより、利用者の運転マナーの向上を図ることができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、撮像内容は、自転車の周辺環境を含む周辺画像を含み、車両装置は、周辺画像から危険な運転の有無を判定する判定装置を有し、通信装置は、判定装置での判定結果を管理装置に送信する。この場合、自転車側で危険運転の判定を行うことができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、撮像内容は、自転車の周辺環境を含む周辺画像を含み、管理装置は、周辺画像から危険な運転の有無を判定する判定装置を有する。この場合、管理装置側で危険運転の判定を行うことができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、撮像装置は、自転車の前方及び後方に配置される。この場合、自転車の周囲の比較的広い範囲について撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の自転車貸出システムを説明する概念図である。
【
図2】(A)は、自転車貸出システムを構成する管理装置のブロック図であり、(B)は、車両装置のブロック図であり、(C)は、利用者端末のブロック図である。
【
図3】管理装置の記憶装置におけるデータベースの一例を説明する図である。
【
図4】
図1の自転車貸出システムの動作例を説明する図である。
【
図5】
図1の自転車貸出システムの動作例を説明する図である。
【
図6】
図1の自転車貸出システムの動作例を説明する図である。
【
図7】(A)及び(B)は、第2実施形態の自転車貸出システムを説明する概念図である。
【
図8】第2実施形態の自転車貸出システムの動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明に係る自転車貸出システムの第1実施形態について説明する。
【0016】
図1に示すように、自転車貸出システム100は、貸出用自転車(レンタルサイクル又はシェアサイクル)を管理するものである。具体的には、自転車貸出システム100は、規定の駐輪場PAに駐輪された自転車2の貸出及び返却を管理する。また、自転車貸出システム100は、自転車2の運転状況を管理する。自転車貸出システム100は、自転車2の貸出及び返却等を管理する管理装置10と、自転車2に搭載される車両装置20とを備える。説明の便宜上、
図1では単一の駐輪場PAや車両装置20を示しているが、本実施形態の自転車貸出システム100は、複数の車両装置20について、一括して管理を行うものである。すなわち、自転車貸出システム100では、複数の自転車2を管理している。
【0017】
自転車貸出システム100は、多数の利用者によって活用されることが前提となっており、利用者が所持する利用者端末30から送信される自転車2の貸出に必要な情報に基づいて運用管理を行う。貸出用の自転車2は、例えば駐輪場PAに設けられた駐輪ラックに収容されている。なお、自転車2は、駐輪ラックに収容される態様に限らず、駐輪ラックを設置せずに駐輪場PA内に駐輪する態様でもよい。自転車貸出システム100では、自転車2は、貸出前において自転車貸出システム100が管理する駐輪場PAに駐輪されている。利用者は、利用者端末30を介して自転車貸出システム100が管理する自転車2を予約し、自転車2の利用開始時において後述する生体認証を行うことで、該当する自転車2を借りることができる。自転車2の返却時において、利用者は、自転車貸出システム100が管轄する駐輪場PAに自転車2を駐輪し、返却手続きを行うことで自転車2の利用を終了する。なお、貸出時の駐輪場PAと返却時の駐輪場PAとは、一致していても一致していなくてもよい。
【0018】
自転車貸出システム100において、管理装置10は、通信ネットワークNTを介して、車両装置20、利用者端末30等と通信可能に接続される。この通信ネットワークNTは、具体的にはインターネットであり、車両装置20、利用者端末30等からの接続を受け付ける。
【0019】
管理装置10は、システム管理者の管理下で動作するコンピュータであり、自転車2の利用又は運用を管理する。具体的には、管理装置10は、利用者端末30から送信された予約情報等を登録し、利用開始時に利用者の本人確認である認証を行い、自転車2の車両装置20に解錠命令を送信する。管理装置10は、利用終了時に自転車2の車両装置20に施錠命令を送信し、利用者が指定した支払い方法で利用料金の決済を行う。また、管理装置10は、自転車2の運転状況を把握し、安全運転や危険運転等の評価を利用者に還元する。
【0020】
図2(A)は、管理装置10を説明する概念的なブロック図である。図示のように、管理装置10は、制御装置11と記憶装置12と通信装置13とを有する。管理装置10は、制御装置11により、記憶装置12に格納されたプログラムに基づいて動作する。つまり、制御装置11は、記憶装置12、通信装置13等の動作を制御する。管理装置10は、通信装置13により、
図1に示す通信ネットワークNTを経由して車両装置20、利用者端末30等と通信する。
【0021】
制御装置11は、認証装置11aと料金算出装置11bとを有する。
【0022】
認証装置11aは、後述する車両装置20から受信した認証対象画像を用いて生体認証を行うものである。生体認証による認証方法としては、例えば顔認証、指紋認証、掌認証、虹彩認証等が挙げられる。以下、本実施形態では、生体認証として顔認証を行う例について説明する。認証装置11aは、顔認証により、例えば認証対象の撮影画像(具体的には、顔画像)から利用者の顔を検出し、目、鼻、口等の特徴点の位置や顔領域の位置等に基づいて、管理装置10の記憶装置12に登録された画像(具体的には、登録顔画像)を用いて本人照合を行う。詳細は後述するが、顔画像は、車両装置20から送信された撮影データ又は撮影内容であり、利用者が自転車2の利用開始のために自身の顔を車両装置20の撮像装置23で撮影したものである。利用者の登録顔画像は、予約時又は登録時に利用者が自身の顔を利用者端末30の撮像部32で撮影したものである。認証装置11aは、顔画像と利用者の登録顔画像とが一致した場合、車両装置20に解錠命令を送信する。
【0023】
料金算出装置11bは、利用者が利用した自転車2の利用時間に基づいて、利用料金又は貸出料金を算出する。利用時間は、利用開始時刻と利用終了時刻とから算出する。利用開始時刻は、例えば利用開始手続きにおいて、利用者の顔認証後、管理装置10が車両装置20に解錠命令を送信した時刻とする。また、利用終了時刻は、例えば利用終了手続きにおいて、管理装置10が車両装置20に施錠命令を送信した時刻とする。利用開始時刻、利用終了時刻等の利用時間に関する情報は、記憶装置22に記録されている。なお、利用開始時刻と利用終了時刻とは、例示したものに限らず、通信等のタイムラグを加味したものでもよい。また、利用時間は、10分単位、1時間単位等の所定時間単位でカウントしてもよい。
【0024】
管理装置10の制御装置11は、算出された利用料金又は貸出料金について
図1に示す外部の決済サーバ40に利用者が指定した支払い方法による決済依頼を行い、決済処理後、決済サーバ40から決済完了通知を受信する。制御装置11は、利用者端末30に精算した利用料金とともに利用料金決算完了通知を送信する。管理装置10で利用料金の精算処理を行うことにより、駐輪場PAに精算機が設置されていなくても利用料金を支払うことができる。
【0025】
管理装置10は、車両装置20の撮像装置23で撮影された周辺画像等に基づく運転状況を把握する。周辺画像は、例えば走行中の自転車2の周辺環境を含み、自転車2の運転状況又は走行状況を判定しうる画像である。本実施形態では、管理装置10は、運転状況の把握において、車両装置20から受信した運転状況の判定結果を利用する。管理装置10は、運転状況に応じて自転車2の利用料金又は貸出料金に反映させる。すなわち、管理装置10は、周辺画像から危険な運転の有無を判定した判定結果を、例えば事前に利用規約として予告したうえで自転車2の利用料金に反映させる。判定結果を自転車2の利用料金に反映させることにより、利用者の運転マナーの向上を図ることができる。例えば、安全運転である場合、利用料金を割引したり、ポイントを付与したりする。なお、危険運転である場合、利用者に注意を促したり、自転車2の貸出に制限をかけたりしてもよい。
【0026】
記憶装置12には、管理装置10を動作させるプログラムが格納され、自転車貸出システム100の運用を可能にする。記憶装置12には、以上のような動作を可能にするため、データベース12aが格納されている。
【0027】
図3に示すように、データベース12aには、登録情報、予約情報、利用情報、料金情報等が記録されている。登録情報としては、例えば利用者ID、利用者の氏名、登録顔画像、利用料金の支払い方法等が挙げられる。予約情報としては、例えば利用者IDに紐づけて、自転車2の利用開始時の駐輪場ID、予約時間(利用予定時刻)等が挙げられる。なお、本実施形態では、利用開始に指定した駐輪場PAに駐輪されている任意の自転車2を予約するが、特定の自転車2を予約することもできる。利用情報としては、例えば利用者IDに紐づけて、貸し出した自転車2の自転車ID、利用開始時刻及び利用終了時刻、利用開始時の駐輪場ID、利用終了時の駐輪場ID、運転状況(運転マナー)、精算情報等が挙げられる。料金情報としては、例えば利用料金又は貸出料金の算出に必要な情報等が挙げられる。
【0028】
図1に示す車両装置20は、自転車2に搭載されており、自転車2の利用又は動作を可能にし、また、利用又は動作を制限するものである。車両装置20は、撮像装置23で撮影された認証対象画像を管理装置10に送信する。車両装置20は、管理装置10から受信した解錠命令又は施錠命令により鍵装置24の解錠又は施錠を行う。車両装置20は、撮像装置23の撮影内容である認証対象画像に基づく生体認証によって鍵装置24を解錠する。本実施形態では、車両装置20は、利用者の顔画像に基づく顔認証によって鍵装置24を解錠する。車両装置20は、撮像装置23の撮影内容である周辺画像に基づいて危険運転の判定を行う。
【0029】
図2(B)は、車両装置20を説明する概念的なブロック図である。図示のように、車両装置20は、車両制御装置21と記憶装置22と撮像装置23と鍵装置24と速度センサ25とGPS装置26と通信装置27とを有する。車両装置20は、車両制御装置21により、記憶装置22に格納されたプログラムに基づいて動作する。つまり、車両制御装置21は、記憶装置22、撮像装置23、鍵装置24、速度センサ25、GPS装置26、通信装置27等の動作を制御する。車両装置20は、通信装置27により、
図1に示す通信ネットワークNTを経由して管理装置10と通信する。
【0030】
車両制御装置21は、判定装置21aを有する。
【0031】
判定装置21aは、撮像装置23で撮影した撮影データ又は撮影内容である周辺画像から危険な運転の有無を判定する。これにより、自転車2側で危険運転の判定を行うことができる。車両制御装置21は、判定装置21aでの判定結果を管理装置10に送信する。
【0032】
判定装置21aは、周辺画像を解析し、危険運転のパターンに当てはまるか否かを判定する。判定の際には、速度センサ25の検出結果を加味している。判定装置21aは、周辺画像が予め設定された危険運転のパターンに該当するか否かを判定基準として危険運転の判定を行う。判定装置21aは、周辺画像が危険運転のパターンに該当しない場合、安全運転であると判定する。具体的には、判定装置21aは、自転車2の走行時において、歩行者や他の車両に接近しているか判定し、接近度合いによって危険運転であると判定する。また、判定装置21aは、急停止しているか判定し、周辺に歩行者や他の車両、障害物等の存在がある場合、危険運転であると判定する。また、判定装置21aは、停止を指示する信号において自転車2が走行した場合、危険運転であると判定する。
【0033】
記憶装置22には、車両装置20を動作させるプログラムが格納され、車両装置20の動作を可能にする。
【0034】
撮像装置23は、車両装置20に外付け又は内蔵されたカメラ等であり、認証対象である利用者の顔(認証対象画像又は顔画像)を撮影する。顔画像は、例えば利用者が撮像装置23に設けられた不図示のシャッターを押すことにより撮影される。上述のように、認証対象画像は、自転車2の利用開始時において、本人確認のための認証に利用される。また、撮像装置23は、自転車2の周辺を撮影対象とする周辺画像を撮影する。周辺画像は、例えば、利用開始手続き終了後、つまり本人確認終了後、利用終了手続きがなされるまで自動的に撮影される。上述のように、周辺画像は、自転車2の運転状況を把握するための危険判定に利用される。なお、撮像装置23は、速度センサ25の検出結果を加味して、自転車2が走行中及び停止後一定時間の場合のみ周辺画像を撮影してもよい。
【0035】
撮像装置23は、自転車2の前方及び後方に配置される。これにより、自転車2の周囲の比較的広い範囲について撮影することができる。認証用の顔画像は、例えば自転車2の前方に設けた撮像装置23によって撮影する。周辺画像は、自転車2の前方及び後方に設けた撮像装置23によって撮影する。なお、撮像装置23は、認証対象画像及び周辺画像を撮影できれば、1か所又は3か所以上に設けてもよい。
【0036】
鍵装置24は、管理装置10の制御下で動作し、鍵の開閉により自転車2の走行を制限するものである。具体的には、鍵装置24は、自転車2の車輪内に進退する不図示のかんぬき状部材を有し、かんぬき状部材によって自転車2の車輪に対して施錠及び解錠を行う。鍵装置24は、かんぬき状部材の他に、かんぬき状部材を進退動作させるソレノイドやモータといったアクチュエータを有する。車両制御装置21は、管理装置10から解錠命令を受信した場合、鍵装置24を解錠状態にする。また、車両制御装置21、管理装置10から施錠命令を受信した場合、鍵装置24を施錠状態にする。
【0037】
速度センサ25は、自転車2の走行速度等を測定するものである。速度センサ25の検出結果は、危険運転の判定に利用される。車両制御装置21の判定装置21aは、走行速度が所定速度以上の場合、自転車2が走行中であると判定する。
【0038】
GPS装置26は、自転車2の位置を決定する。GPS装置26は、それ自体で測位を行うものとできるが、近隣のアクセスポイントから位置情報を取得するものであってもよい。車両制御装置21は、GPS装置26で取得した位置データを管理装置10に送信される。位置データは、例えば管理装置10での自転車2の位置把握や利用者に対する近隣駐輪場の情報提供等に利用される。
【0039】
図1に示す利用者端末30は、自転車貸出システム100の利用者が所持し、利用者自身が自転車2の利用手続きを行う際に用いるものである。利用者端末30としては、例えばスマートフォン、タブレットPC等を用いることができる。
【0040】
利用者端末30は、URL情報に基づき管理装置10にアクセスしてもよいし、自転車貸出システム100の利用アプリケーションソフトを利用してアクセスしてもよい。
【0041】
図2(C)は、利用者端末30を説明する概念図である。図示のように、利用者端末30は、制御部31と、撮像部32と、表示部33と、通信部34とを有する。利用者端末30は、制御部31により、不図示の記憶部に格納されたプログラムに基づいて動作する。つまり、制御部31は、撮像部32、表示部33、通信部34等の動作を制御する。
【0042】
撮像部32は、利用者端末30に内蔵されたカメラ等であり、利用者の顔を撮影する。表示部33は、利用者端末30のディスプレイ等の表示画面である。通信部34は、
図1に示す通信ネットワークNTを経由して管理装置10との通信を可能にする。
【0043】
利用者端末30の制御部31は、アプリケーションソフトや利用者の操作に基づいて動作し、利用者登録時又は予約時において、撮像部32によって利用者の顔を撮影する。予約手続きの際に、制御部31は、管理装置10に予約情報を送信する。予約情報としては、例えば利用者ID、駐輪場名(又は駐輪場ID)、予約時間等が挙げられる。自転車貸出システム100における利用者の特定は、例えば利用者IDによって行っている。なお、予約時に登録顔画像を登録してもよいし、支払い方法を設定してもよい。
【0044】
図4~
図6を参照して、管理装置10、車両装置20、利用者端末30等の間で行われる自転車2の利用及び精算に関する一連の動作について説明する。
【0045】
(自転車貸出システムへの登録)
図4に示すように、自転車貸出システムへの登録の場面SC1では、利用者の操作によって、利用者端末30の制御部31は、自転車貸出システム100への利用者登録手続きを行う(ステップS11)。利用者端末30の制御部31は、登録の際に、管理装置10に個人情報、支払い情報等の登録情報を送信する。管理装置10の制御装置11は、利用者端末30からの登録情報の受信により、利用者登録を行い(ステップS12)、利用者端末30に利用者登録完了通知を送信する。利用者には、例えば利用者を識別するための利用者IDが発行され、今後の予約手続きの際には利用者IDを用いて予約する。なお、一時的な利用の場合には、利用者IDの発行を省略することもでき、予約手続きの際に個人情報、支払い情報等の貸出に必要な情報を管理装置10に送信してもよい。
【0046】
(自転車の予約)
自転車の予約の場面SC2では、利用者の操作によって、利用者端末30の制御部31は、自転車貸出システム100が管理する自転車2の予約手続きを行う(ステップS21)。利用者端末30の制御部31は、予約の際に、管理装置10に利用者ID、予約情報等を送信する。管理装置10の制御装置11は、利用者端末30からの予約情報等の受信により、自転車2の予約を受け付け(ステップS22)、利用者端末30に予約完了通知を送信する。
【0047】
(自転車の利用開始手続き)
図5に示すように、自転車2の利用手続きの場面SC3では、利用者の操作によって、車両装置20の車両制御装置21は、撮像装置23を用いて認証対象である利用者の顔を撮影し(ステップS31)、撮影データを管理装置10に送信する(ステップS32)。管理装置10の制御装置11は、撮影データを受信した場合(ステップS33のY)、撮影データが認証対象画像であるか否か判定する(ステップS34)。認証対象画像である場合(ステップS34のY)、管理装置10の制御装置11は、認証装置11aとして、受信した認証対象画像に対して顔認証を行う(ステップS35)。認証対象画像でない場合(ステップS34のN)、車両装置20にエラー通知を送信する(ステップS36)。ステップS35の顔認証において、認証装置11aは、認証対象画像と登録画像とが一致するか否かを判定する。すなわち、認証装置11aは、顔画像と登録顔画像とが一致するか否かを判定する。一致する場合(ステップS37のY)、管理装置10の制御装置11は、車両装置20に解錠命令を送信する(ステップS38)。一致しない場合(ステップS37のN)、制御装置11は、車両装置20にエラー通知を送信する(ステップS39)。ステップS38の後、車両装置20が解錠命令を受信した場合(ステップS41のY)、管理装置10の車両制御装置21は、鍵装置24を解錠状態にする(ステップS42)。解錠命令を受信せず(ステップS41のN)、エラー通知を受信した場合(ステップS43のY)、車両装置20の車両制御装置21は、利用者に対して、例えば音声や文字表示等でエラーを通知する(ステップS44)。ステップS36のエラー通知の場合、例えば撮影内容が不十分であること等を知らせ、顔認証用の撮影を再度要求する。ステップS39のエラー通知の場合、例えば予約者の本人確認ができないこと等を知らせ、顔認証用の撮影を再度要求する。
【0048】
(自転車の利用中)
図6に示すように、自転車2の利用中の場面SC4では、車両装置20の車両制御装置21は、撮像装置23で自転車2の周辺を撮影する(ステップS51)。ステップS51において、車両制御装置21は、速度センサ25で自転車2の走行速度も測定している。車両制御装置21は、判定装置21aとして、ステップS51で取得した撮影データや走行速度等に基づいて危険運転の判定を行い(ステップS52)、判定結果を管理装置10に送信する(ステップS53)。管理装置10の制御装置11は、判定結果を受信した場合(ステップS54のY)、記憶装置22に判定結果を利用者又は利用者IDに紐づけて記録する(ステップS55)。
【0049】
(自転車の利用終了手続き)
図6に示すように、自転車2の利用終了手続きの場面SC5では、利用者の操作によって、利用者端末30の制御部31は、自転車2の利用終了手続きを行う(ステップS61)。この際、制御部31は、管理装置10に利用者IDとともに利用終了通知を送信する。管理装置10の制御装置11は、利用者端末30から利用終了通知を受信した場合(ステップS62のY)、車両装置20に施錠命令を送信する(ステップS63)。車両装置20が施錠命令を受信した場合(ステップS64のY)、車両装置20の車両制御装置21は、鍵装置24を施錠状態にする(ステップS65)。ステップS63の後、管理装置10の制御装置11は、自転車2の利用料金について精算処理を行う(ステップS66)。具体的には、制御装置11は、料金算出装置11bとして、利用料金を算出する。管理装置10の制御装置11は、利用者が登録手続き又は予約手続きの際に設定した支払い方法に基づき、
図1に示す決済サーバ40に対し、決算処理を依頼する。決算終了後、管理装置10の制御装置11は、決済サーバ40から決済完了通知を受信する。管理装置10の制御装置11は、記憶装置12に精算情報等を記録し、利用者端末30に利用料金決済完了通知を送信する(ステップS67)。利用者端末30の制御部31は、表示部33に利用料金決算通知を表示させる(ステップS68)。なお、上記決済方法は一例であり、適宜変更することができる。
【0050】
以上で説明した第1実施形態の自転車貸出システム100では、生体認証による本人確認によって貸出利用開始の手続きを行うため、利用者の本人確認のための暗証番号の入力やICカードの読み取り等の手間が不要となり、自転車貸出の利用をスムーズに開始することができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
以下、
図7及び
図8を参照して、第1実施形態を変形した第2実施形態について説明する。
【0052】
図7(A)に示すように、本実施形態の自転車貸出システム100では、管理装置10の制御装置11は、自転車2の運転状況を判定する判定装置11cを有している。一方、
図7(B)に示すように、車両装置20の車両制御装置21は、判定装置を有していない。すなわち本実施形態では、管理装置10側で危険運転の判定を行っている。
【0053】
車両装置20は、撮像装置23で撮影された周辺画像や速度センサ25で取得した速度データ等を管理装置10に送信する。管理装置10の判定装置11cは、車両装置20から受信した周辺画像から危険な運転の有無を判定する。具体的には、判定装置21aは、周辺画像を解析し、危険運転のパターンに当てはまるか否かを判定する。判定の際には、速度センサ25の検出結果を加味している。
【0054】
図8は、管理装置10、車両装置20、利用者端末30等の間で行われる自転車2の利用中及び精算に関する一連の動作について説明する図である。
【0055】
(自転車の利用中)
図8に示すように、自転車2の利用中の場面SC4では、車両装置20の車両制御装置21は、撮像装置23で自転車2の周辺を撮影する(ステップS151)。ステップS151において、車両制御装置21は、速度センサ25で自転車2の走行速度も測定している。車両制御装置21は、ステップS151で取得した撮影データや走行速度等を管理装置10に送信する(ステップS152)。管理装置10が車両装置20から撮影データ等を受信した場合(ステップS153)、管理装置10の制御装置11は、判定装置11cとして、撮影データや走行速度等に基づいて危険運転の判定を行い(ステップS154)、記憶装置12に判定結果を利用者又は利用者IDに紐づけて記録する(ステップS155)。
【0056】
自転車2の利用終了手続きの場面SC5については、第1実施形態と同様である。
【0057】
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0058】
例えば、登録手続き又は予約手続きの際に利用料金の支払い設定を行ったが、利用終了手続きの際に行ってもよい。
【0059】
上記実施形態において、自転車貸出システム100は、管理装置10に決済サーバ40の機能を含めてもよい。
【0060】
上記実施形態では、貸出対象の車両が自転車2であるとしたが、対象車両は、自動二輪、自動車等であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
2…自転車、10…管理装置、11…制御装置、11a…認証装置、11b…料金算出装置、11c…判定装置、12…記憶装置、13…通信装置、20…車両装置、21…車両制御装置、21a…判定装置、22…記憶装置、23…撮像装置、24…鍵装置、25…速度センサ、26…GPS装置、27…通信装置、30…利用者端末、31…制御部、32…撮像部、33…表示部、34…通信部、40…決済サーバ、100…自転車貸出システム、NT…通信ネットワーク、PA…駐輪場