(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053201
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240408BHJP
G06F 16/9035 20190101ALI20240408BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F16/9035
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159302
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩間 遥
(72)【発明者】
【氏名】岡部 耕一郎
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B175HA01
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】現在、インターネットを通じて、ユーザは様々なサービスを利用できる。サービスの中には、例えば、ユーザの嗜好や、年齢や性別などのユーザの属性に応じて、ユーザに対してサービスをレコメンドするものもある。しかしながら、ユーザにレコメンドされるサービスは、第三者によって決定された「自分らしさ」に基づいて決定されるため、ユーザに適したサービスがレコメンドされることは多くない。
【解決手段】コンピュータが、人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定し、所定の条件を満たすことをトリガーとして、条件に応じて、ユーザに設定されるペルソナを切り替え、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに対して提供されるサービスを決定する処理を実行する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定し、
所定の条件を満たすことをトリガーとして、前記条件に応じて、前記ユーザに設定される前記ペルソナを切り替え、
切り替えられた前記ペルソナに基づいて、前記ユーザに対して提供されるサービスを決定する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
前記サービスを決定する処理は、
切り替えられた前記ペルソナに基づいて、前記ユーザに対応付けられたデータの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記サービスを決定する処理は、
切り替えられた前記ペルソナに基づいて、前記ユーザに対して表示されるデータの内容を決定する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記ユーザの死亡通知を受信し、
前記死亡通知を受信したことに応答して、前記ユーザに設定された前記ペルソナの相続先、設定解除、および削除の少なくとも1つを決定する
処理を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記ペルソナは、複数の異なる前記ペルソナが所定の割合で組み合わせされて形成されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記サービスを決定する処理は、
切り替えられた前記ペルソナに基づいて、前記ユーザに設定された前記ペルソナおよび前記トリガーの少なくとも1つの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記ユーザに設定された前記ペルソナが設定された他のユーザの数を算出する処理を前記コンピュータにさらに実行させ、
前記ペルソナおよび前記トリガーの少なくとも1つの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する処理は、算出された前記他のユーザの数にさらに基づくことを特徴とする請求項6に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記ユーザに設定された前記ペルソナは、前記ユーザのみ参照できるように制御されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記ペルソナ単位で物理的または論理的に分かれてPDS(Personal Data Store)を設定して前記ペルソナに関するデータを記憶する処理を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定し、
所定の条件を満たすことをトリガーとして、前記条件に応じて、前記ユーザに設定される前記ペルソナを切り替え、
切り替えられた前記ペルソナに基づいて、前記ユーザに対して提供されるサービスを決定する
処理を実行する制御部を備えた情報処理装置。
【請求項11】
人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定し、
所定の条件を満たすことをトリガーとして、前記条件に応じて、前記ユーザに設定される前記ペルソナを切り替え、
切り替えられた前記ペルソナに基づいて、前記ユーザに対して提供されるサービスを決定する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットを通じて、ユーザは様々なサービスを利用できる。サービスの中には、例えば、ユーザの嗜好や、年齢や性別などのユーザの属性に応じて、ユーザに対してサービスをレコメンドするものもある。例えば、動画配信サービスであれば、ユーザが視聴した動画に関連する動画を、広告表示サービスであれば、ユーザの年齢や性別などに応じた広告をユーザに対して提示する。換言すると、サービス提供者側のシステム(第三者)によって定義されたユーザ嗜好などによってユーザの「自分らしさ」が決定され、システムによって決定された「自分らしさ」に応じたサービスがレコメンドされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザにレコメンドされるサービスは、第三者によって決定された「自分らしさ」に基づいて決定されるため、ユーザが求めるサービスが適切にレコメンドされているとはいえない。特に、ユーザは画一的な「自分らしさ」を持っているわけではなく、例えば、仕事中の自分、家族の前での自分、趣味を楽しむ自分など、様々な「自分らしさ」を使い分けて生活をしている。そのため、サービス提供者側は、このような様々な側面を持つユーザに対して適したサービスを提供することは容易でない。
【0005】
1つの側面では、ユーザに対してより適したサービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、情報処理プログラムは、人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定し、所定の条件を満たすことをトリガーとして、条件に応じて、ユーザに設定されるペルソナを切り替え、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに対して提供されるサービスを決定する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、従来方法によるサービスのレコメンドの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、ユーザが持つ様々なペルソナの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態によるサービスのレコメンドの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態にかかる情報処理装置100の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態にかかるペルソナデータ121に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態にかかる紐付けデータ122に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態にかかる紐付けデータ122に記憶される情報の別例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態にかかるトリガーデータ123に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態にかかる提供サービスデータ124に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態にかかる提供サービスデータ124に記憶される情報の別例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態にかかる引継ぎデータ125に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態にかかる提供サービス決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本実施形態にかかる情報公開設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本実施形態にかかるペルソナ公開設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本実施形態にかかる情報処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本実施形態にかかる情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本実施形態が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0010】
まず、動画配信サービスを例として、従来方法によるサービスのレコメンドについて説明する。
図1は、従来方法によるサービスのレコメンドの一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、ユーザAが、ノートPC(Personal Computer)などであるユーザ端末を介して、動画配信サービスによって配信される様々な動画からキャンプ動画を視聴したとする。この際、ユーザAがキャンプ動画を視聴したことは視聴履歴としてユーザ端末から動画配信サービスのサーバコンピュータなどに送信され、記録される。そして、動画配信サービスのサーバコンピュータは、例えば、ユーザAが視聴したキャンプ動画を見た他のユーザの視聴履歴から類似または関連する動画を検索し、ユーザAに対してレコメンドする。このように、従来のサービス提供では、ユーザのとったアクションなどによって当該ユーザの「自分らしさ」がサービス提供者側のシステムによって決定され、決定された「自分らしさ」に応じたサービスがレコメンドされる。
【0012】
しかしながら、ユーザは画一的な「自分らしさ」を持っているわけではない。
図2は、ユーザが持つ様々なペルソナの一例を示す図である。
図2に示すように、例えば、一人のユーザであっても、仕事中の自分や家族の前での自分など様々な「自分らしさ」を持つ。さらに、
図2に示すように、例えば、ユーザは実際の「自分らしさ」に加え、仕事中の理想の自分や家族の前でのこうでありたい自分など、理想の自分に対する「自分らしさ」も持っている。このような、ユーザが有する様々な側面、すなわち「自分らしさ」は「ペルソナ(persona)」とも呼ばれる。また、異なるペルソナによって分けられたユーザを「分人(dividual)」という。例えば、同一のユーザであっても、ペルソナAである時のユーザは分人Xであり、ペルソナBである時のユーザは分人Yといえる。なお、
図2に示すペルソナはあくまでも一例であり、ペルソナは、ユーザ、すなわち人物を分類する様々な類型であってよい。ペルソナの他の例については後述する。
【0013】
このように、一人のユーザであっても様々なペルソナを有するため、従来方法によって画一的に決定されるサービスは、ユーザが求めるサービスでない場合がある。また、画一的に決定されるサービスは、ユーザが有する、あるペルソナにとっては求めるサービスでないが、他のペルソナでは求めるサービスであるということが起こり得る。
【0014】
図3は、本実施形態によるサービスのレコメンドの一例を示す図である。
図3に示すように、例えば、キャンプ動画のレコメンドは、仕事中の自分というペルソナでは求めるサービスでないが、SNS(Social Networking Service)を巡回している自分というペルソナでは求めるサービスであり得る。さらに、例えば、ユーザは、普段はあまり映画を見ることがなく映画に詳しくないため、映画に詳しくなりたいという側面を持っていたとする。この場合、例えば、SNSを巡回している理想の自分というペルソナでは、おすすめ映画のレコメンドも求めるサービスであり得る。そこで、本実施形態では、様々なペルソナを有するユーザに対してより適したサービスを提供できることを目的の一つとする。
【0015】
[全体構成例]
次に、本実施形態にかかる情報処理システムについて説明する。
図4は、本実施形態にかかる情報処理システムの構成例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態にかかる情報処理システムは、情報処理装置100と、ユーザ端末200-1~n(以下、まとめて「ユーザ端末200」という)とがネットワークNを介して相互に通信可能に接続されるシステムである。なお、ネットワークNには、有線や無線を問わず、インターネットなどの各種通信網を採用できる。また、ネットワークNは、単一のネットワークではなく、例えば、インターネットとイントラネットとがゲートウェイなどネットワーク装置やその他の装置(図示せず)を介して構成されてよい。
【0016】
情報処理装置100は、例えば、ユーザ、すなわち人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定する。設定されるペルソナは、ユーザ端末200を介してユーザによって指定されたペルソナであってもよいし、例えば、ユーザのとったアクションなどに基づいて情報処理装置100からユーザに提示され、ユーザによって承諾されたペルソナであってもよい。
【0017】
また、情報処理装置100は、例えば、所定の条件を満たすことをトリガーとして、当該条件に応じて、ユーザに設定されるペルソナを切り替える。より具体的には、情報処理装置100は、例えば、平日の午前8時が到来したら、家族の前での自分というペルソナから、仕事中の自分というペルソナに切り替える。
【0018】
また、情報処理装置100は、例えば、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに対して提供されるサービスを決定する。より具体的には、例えば、サービスが動画配信サービスである場合は、
図3に示すように、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザにレコメンドする動画を決定し、ユーザ端末200を介してユーザに提示する。なお、情報処理装置100は、例えば、提示した動画をユーザが視聴したか否かなどをペルソナごとに機械学習し、レコメンドする動画の決定に反映してもよい。すなわち、情報処理装置100は、レコメンドしたサービスがユーザの求めるサービスであったか否かをペルソナごとに機械学習した機械学習モデルを用いて、レコメンドするサービスを決定してよい。
【0019】
また、
図4では、情報処理装置100を1台のコンピュータとして示しているが、例えば、複数台のコンピュータで構成される分散型コンピューティングシステムであってもよい。また、情報処理装置100は、例えば、クラウドコンピューティングサービスを提供するサービス提供者によって管理されるクラウドコンピュータであってもよい。
【0020】
ユーザ端末200は、各ユーザが利用する情報処理端末である。ユーザ端末200は、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末であってもよいし、デスクトップPCやノートPCなどであってもよい。ユーザは、ユーザ端末200を介して、情報処理装置100などによって提供されるサービスを受けることができる。当該サービスの提供は、例えば、情報処理装置100などによって提供されるWebサイトやWebアプリケーションを介して受けることもできるし、情報処理装置100などから提供されるアプリケーションを予めダウンロードおよびインストールして受けることもできる。また、ユーザは、ユーザ端末200を介して、情報処理装置100などによって提供されるWebサイトやアプリケーションを介して、設定されるペルソナを指定したり、情報処理装置100から提示されたペルソナの設定承諾を行ったりすることができる。
【0021】
[情報処理装置100の機能構成]
次に、本実施形態の動作主体となる情報処理装置100の機能構成について説明する。
図5は、本実施形態にかかる情報処理装置100の構成例を示す図である。
図5に示すように、情報処理装置100は、通信部110、記憶部120、および制御部130を有する。
【0022】
通信部110は、ユーザ端末200など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
【0023】
記憶部120は、各種データや、制御部130が実行するプログラムを記憶する記憶装置の一例であり、例えば、メモリやハードディスクなどである。記憶部120は、ペルソナデータ121、紐付けデータ122、トリガーデータ123、提供サービスデータ124、および引継ぎデータ125を記憶する。
【0024】
ペルソナデータ121は、例えば、ユーザ、すなわち人物を所定の類型に分類するペルソナに関する情報を記憶するデータテーブルである。
図6は、本実施形態にかかるペルソナデータ121に記憶される情報の一例を示す図である。
図6に示すように、ペルソナデータ121の一例は、「ペルソナID、類型1~3」などの各データを対応付けて記憶する。
【0025】
ペルソナデータ121の「ペルソナID」には、例えば、ペルソナを一意に識別するための識別子が設定される。また、「類型1~3」には、例えば、ユーザを分類する類型が設定される。なお、
図6の例では、1つのペルソナに対し「類型1~3」と3つの類型が示されているが、ペルソナデータ121に記憶される類型の数は3つに限定されず、3つより少なくても多くてもよい。また、
図6に示すように、「類型1~3」の全てにデータが設定されなくてもよい。また、「類型1~3」に設定される類型は、例えば、ユーザがユーザ端末200を介して自由にカスタマイズできる。また、ユーザは、例えば、ユーザ端末200を介して新たなペルソナを作成できる。そのため、類型の一部または全てが重複するペルソナが作成されることはあり得る。
【0026】
なお、
図6の例では、複数のペルソナを1つのペルソナデータ121に記憶しているが、例えば、ペルソナ単位で物理的または論理的に分かれてPDS(Personal Data Store)が存在してよい。このようにペルソナデータを分けてPDSで管理することにより、ペルソナデータをセキュアに管理したり、データ移行や連携をより効率的に行ったりすることができる。より具体的には、例えば、ペルソナデータがPDS単位で分かれているため、データ漏洩や不正アクセスがPDS単位となり、被害が抑えられる可能性がある。また、ペルソナデータおよびやこれに紐付くデータの移行や連携をPDS単位で行うことができるため、移行や連携が不要なデータを含んだペルソナデータ全体を処理する場合と比較して、処理負荷を軽減させたり、処理時間を短縮させたりすることができる。また、不要なペルソナデータの削除もPDS単位で行うことができるため、不要なペルソナデータやこれに紐付くデータを他のペルソナで利用されているかなどの確認作業が不要になり、より安全かつ効率よく不要データを削除できる。
【0027】
また、各ペルソナのPDSのデータは、例えば、ペルソナID=10~19のデータを統合するといった形で企業などに提供できる。また、例えば、ペルソナID=10のデータは一部のデータのみを統合し、ペルソナID=11~19のデータは全てのデータを統合するといった形で統合データが作成され提供されてよい。なお、統合データの提供は、例えば、「企業ZにはペルソナID=10~19のデータを統合して提供する」など事前または都度設定された内容に基づいて統合されて提供されてもよいし、「ペルソナID=10~15のデータを企業Zに提供する」および「ペルソナID=16~19のデータを企業Zに提供する」の設定内容の場合に自動で統合されて提供されてもよい。また、PDSのデータを統合して提供する際には、ユーザ端末200を介してユーザに通知し、承諾を得た上で提供されてもよい。
【0028】
図5の説明に戻り、紐付けデータ122は、例えば、ユーザとペルソナとの紐付けに関する情報を記憶するデータテーブルである。ユーザとペルソナとが紐付けられることにより、ユーザに対してペルソナが設定されることになる。
図7は、本実施形態にかかる紐付けデータ122に記憶される情報の一例を示す図である。
図7に示すように、紐付けデータ122の一例は、「ユーザID、ペルソナID」などの各データを対応付けて記憶する。
【0029】
紐付けデータ122の「ユーザID」には、例えば、ユーザを一意に識別するための識別子が設定される。また、「ペルソナID」には、例えば、ユーザに設定されたペルソナを一意に識別するための識別子が設定される。なお、1ユーザに複数のペルソナを設定できるため、
図7に示すように、同一のユーザIDに複数の異なるペルソナIDが設定可能である。このように、ユーザに紐付けられる、すなわち設定されるペルソナは1つまたは複数であってよい。また、異なるユーザに同一のペルソナを設定することもできるため、
図7のペルソナID=99のように、異なるユーザIDに同一のペルソナIDが紐付けられることはあり得る。また、紐付けデータ122の「ペルソナID」に、ペルソナデータ121の「ペルソナID」と同一の識別子を設定することにより、両データを関連付けることができる。
【0030】
また、複数のペルソナの組み合わせで1つのペルソナが形成され設定されてもよい。また、例えば、ペルソナID=9のペルソナが30%、ペルソナID=10のペルソナが70%など、複数の異なるペルソナが所定の割合で組み合わせされて1つのペルソナが形成され設定されてもよい。本実施形態では、ペルソナに基づいてユーザに提供されるサービスが決定されレコメンドされるため、上述したような様々な形でペルソナを設定することにより、ユーザにレコメンドするサービスをより細分化し、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0031】
また、
図7に示す紐付けデータ122は、ユーザとペルソナとを紐付けるものであるため、ペルソナから個々のユーザや、どのユーザがどういったペルソナを設定しているかなどが特定され易く、プライバシー上の懸念がある。そのため、情報処理装置100は、紐付けデータ122として、
図7に示す例の代わりに、例えば、
図8に示すような情報を記憶することもできる。
【0032】
図8は、本実施形態にかかる紐付けデータ122に記憶される情報の別例を示す図である。
図8に示すように、紐付けデータ122の別例は、「分人ID、ペルソナID」などの各データを対応付けて記憶する。
図8に示す「ペルソナID」は、
図7に示す「ペルソナID」と同様であるが、
図8に示す紐付けデータ122は、ユーザを一意に識別する「ユーザID」の代わりに「分人ID」を有する。
【0033】
図8に示す紐付けデータ122の「分人ID」は、端的に言えば、各ユーザを識別するためのダミーの識別子であるが、情報処理装置100上では、ユーザとの紐付けデータは保持しない。そして、
図8の下部に示すように、ユーザに設定される分人IDは、例えば、当該ユーザの利用するユーザ端末200上にのみ記憶されるPDSアプリデータに記憶される。このように、ユーザに設定される分人IDを当該ユーザのユーザ端末200上にのみ保持することで、情報処理装置100は、各ユーザに設定されたペルソナは設定されたユーザのみ参照できるようにし、ペルソナから個々のユーザが特定できないように制御できる。
【0034】
なお、
図7や
図8に示す紐付けデータ122に記憶されるデータは、例えば、ユーザ端末200を介してユーザによってペルソナが設定された際に作成されてよい。
【0035】
図5の説明に戻り、トリガーデータ123は、例えば、ユーザに設定されるペルソナを切り替えるためのトリガーに関する情報を記憶するデータテーブルである。
図9は、本実施形態にかかるトリガーデータ123に記憶される情報の一例を示す図である。
図9に示すように、トリガーデータ123の一例は、「トリガーID、ユーザID、条件1、条件2、切り替えペルソナID、有効期間」などの各データを対応付けて記憶する。
【0036】
トリガーデータ123の「トリガーID」には、例えば、ユーザに設定されるペルソナを切り替えるためのトリガーを一意に識別するための識別子が設定される。また、「ユーザID」には、例えば、ユーザを一意に識別するための識別子が設定される。また、「条件1」および「条件2」には、例えば、ユーザに設定されるペルソナを切り替えるための各条件が設定される。なお、
図9の例では、1つのトリガーに対し「条件1」および「条件2」と2つの条件が示されているが、トリガーデータ123に記憶される条件の数は2つに限定されず、2つより少なくても多くてもよい。また、例えば、「条件1」および「条件2」にそれぞれ条件が設定され、1つのトリガーに対し複数の条件が設定されている場合、複数の条件の全てを満たす場合にペルソナが切り替えられてよい。
【0037】
また、トリガーデータ123の「切り替えペルソナID」には、例えば、「条件1」および「条件2」などに設定された条件を満たす場合に切り替えられるペルソナを一意に識別するための識別子が設定される。なお、「切り替えペルソナID」に、ペルソナデータ121や紐付けデータ122の「ペルソナID」と同一の識別子を設定することにより、各データを関連付けることができる。また、「有効期間」には、例えば、切り替えたペルソナの有効期間が設定される。これにより、例えば、情報処理装置100は、「有効期間」に設定された有効期間を経過した場合は、切り替えたペルソナを元のペルソナに戻すことなどができる。また、
図9の切り替えペルソナID=99のように、異なるユーザで同一のペルソナに切り替えることもできる。この場合、
図9に示すように、「条件1」および「条件2」などには、ユーザ間でペルソナの切り替え条件が異なるようにデータが設定されてよい。また、トリガーデータ123に、トリガーの重みや優先度を記憶し、複数のトリガーの条件が満たされた場合に、重みや優先度がより高い方のペルソナに切り替えられるように制御されてもよい。
【0038】
図5の説明に戻り、提供サービスデータ124は、例えば、ペルソナに基づいて決定される、ユーザに対して提供されるサービスに関する情報を記憶するデータテーブルである。
図10は、本実施形態にかかる提供サービスデータ124に記憶される情報の一例を示す図である。
図10に示す提供サービスデータ124は、ユーザに対して提供されるサービスがSNSなどにおける情報公開(または共有)である場合の一例である。
図10に示すように、提供サービスデータ124の一例は、「ペルソナID、ユーザID、公開内容、公開範囲、公開期間」などの各データを対応付けて記憶する。
【0039】
提供サービスデータ124の「ペルソナID」には、例えば、ユーザに設定されるペルソナを一意に識別するための識別子が設定される。提供サービスデータ124の「ペルソナID」にも、ペルソナデータ121や紐付けデータ122の「ペルソナID」と同一の識別子を設定することにより、各データを関連付けることができる。また、「ユーザID」には、例えば、ユーザを一意に識別するための識別子が設定される。また、「公開内容」には、例えば、対象のユーザに関する公開されるデータの内容が設定される。また、「公開範囲」には、例えば、データを公開する範囲が設定される。また、「公開期間」には、例えば、データを公開する期間が設定される。また、異なるユーザに同一のペルソナを設定することもできるため、
図10のペルソナID=12のように、「公開内容」、「公開範囲」、および「公開期間」には、ユーザごとに提供されるサービスが異なるようにデータが設定されてよい。提供サービスデータ124に記憶されるデータは、例えば、ユーザがユーザ端末200を介して自由にカスタマイズできる。
【0040】
なお、
図10に示す提供サービスデータ124は、ユーザに対して提供されるサービスがSNSなどにおける情報公開(または共有)である場合の一例であるが、情報処理装置100は、提供サービスデータ124として、例えば、
図11に示すような情報を記憶することもできる。
【0041】
図11は、本実施形態にかかる提供サービスデータ124に記憶される情報の別例を示す図である。
図11に示す提供サービスデータ124は、ユーザに対して提供されるサービスが広告表示である場合の一例である。
図11に示すように、提供サービスデータ124の一例は、「ペルソナID、ユーザID、表示内容1~3」などの各データを対応付けて記憶する。
図11に示す「ペルソナID」および「ユーザID」は、
図10に示す「ペルソナID」および「ユーザID」と同様である。「表示内容1~3」には、例えば、対象のユーザに対して表示される広告の内容が設定される。なお、
図11の例では、1つのペルソナに対し「表示内容1~3」と3つの表示内容が示されているが、提供サービスデータ124に記憶される表示内容の数は3つに限定されず、3つより少なくても多くてもよい。また、
図11に示すように、「表示内容1~3」の全てにデータが設定されなくてもよい。また、
図11に示す提供サービスデータ124も、
図10に示す提供サービスデータ124同様、ユーザごとに提供されるサービスが異なるようにデータが設定されてよいし、ユーザがユーザ端末200を介して自由にカスタマイズされてよい。
【0042】
図5の説明に戻り、引継ぎデータ125は、例えば、ユーザが死亡するなどした場合の当該ユーザのペルソナの引継ぎ内容に関する情報を記憶するデータテーブルである。
図12は、本実施形態にかかる引継ぎデータ125に記憶される情報の一例を示す図である。
図12に示すように、引継ぎデータ125の一例は、「ペルソナID、ユーザID、対応内容、引継ぎ先」などの各データを対応付けて記憶する。
【0043】
引継ぎデータ125の「ペルソナID」には、例えば、引継ぎ対象のペルソナを一意に識別するための識別子が設定される。なお、「ペルソナID」に、ペルソナデータ121や紐付けデータ122の「ペルソナID」と同一の識別子を設定することにより、各データを関連付けることができる。また、「ユーザID」には、例えば、ユーザを一意に識別するための識別子が設定される。
【0044】
また、「対応内容」には、引継ぎ対象のペルソナに対する対応内容が設定される。当該対応内容について、例えば、
図12に示すように、対応内容が“引継ぎ”であれば、引継ぎ対象のペルソナが引継ぎ先に引き継がれ、“設定削除”であれば、引継ぎ対象のペルソナは引き継がれることなくユーザとの紐付けが削除される。また、対応内容が“ペルソナ削除”であれば、引継ぎ対象のペルソナが引き継がれることなく削除される。ただし、削除対象のペルソナが他のユーザに設定されている場合は、ペルソナを削除せず、ユーザとの紐付けのみを削除するように制御されてよい。また、「引継ぎ先」には、対応内容が“引継ぎ”である場合の引継ぎ先が設定される。
図12に示すように、「引継ぎ先」には、例えば、引継ぎ先のユーザやユーザグループを一意に示す識別子が設定されてよい。また、
図12の切り替えペルソナID=99のように、異なるユーザで同一のペルソナについて引継ぎ内容を設定することもできる。この場合、
図12に示すように、「対応内容」および「引継ぎ先」には、ユーザ間でペルソナ引継ぎ内容が異なるようにデータが設定されてよい。
【0045】
図5の説明に戻り、なお、記憶部120は、ペルソナデータ121などの上記各データ以外にも様々なデータを記憶できる。また、各データのデータ項目は、
図6~12を用いて示した内容に限定されない。
【0046】
制御部130は、情報処理装置100全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部130は、設定部131、切り替え部132、決定部133、および算出部134を備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0047】
設定部131は、例えば、人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定する。設定されるペルソナは、ユーザ端末200を介してユーザによって指定されたペルソナであってよい。または、例えば、ユーザのとったアクションなどに基づいて決定部133により決定され、ユーザ端末200を介してユーザに提示され、ユーザによって承諾されたペルソナであってもよい。また、ペルソナは、ペルソナAが20%、ペルソナBが30%、ペルソナDが50%など複数の異なるペルソナが所定の割合で組み合わせされて1つのペルソナが形成され設定されてよい。
【0048】
なお、設定部131によってユーザに設定されたペルソナは、当該ユーザのみ参照できるように制御される。より具体的には、例えば、
図8を用いて説明したように、情報処理装置100上では、分人とペルソナとの紐付けデータは保持するが、ユーザとペルソナとの紐付けデータは保持せず、ユーザ端末200上にのみ保持し、情報処理装置100は、ユーザ端末200から要求された分人と紐付けられたペルソナに関するデータを返すようにすることで、ユーザに設定されたペルソナを当該ユーザのみ参照できるように制御可能である。または、情報処理装置100上でユーザとペルソナとの紐付けデータを保持するが、当該紐付けデータは、既存技術を用いて暗号化などセキュアに管理され、対象のユーザのみ参照可能に制御されてもよい。
【0049】
また、設定部131は、例えば、ペルソナ単位で物理的または論理的に分かれてPDSを記憶部120に設定してペルソナに関するデータをペルソナデータ121に記憶する。
【0050】
切り替え部132は、例えば、所定の条件を満たすことをトリガーとして、当該条件に応じて、ユーザに設定されるペルソナを切り替える。ここで、所定の条件を満たすことは、例えば、所定の時刻が到来すること、ユーザが利用するユーザ端末が所定の位置にいることが検出されること、ユーザ端末から所定範囲内に他のユーザが利用する他のユーザ端末があることが検出されること、ユーザが所定のアプリケーションまたはサービスを利用していることが検出されること、所定の情報を取得または受信することの少なくとも1つを満たすことを含む。ここで、他のユーザとは、ペルソナが設定されている、所定のアプリケーションやサービスを利用しているなど特定のユーザに限定されない。また、他のユーザ端末の検出は、例えば、GPS(Global Positioning System/Satellite)、Bluetooth(登録商標)、ビーコン、QRコード(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、AirTag(登録商標)などのスマートトラッカーなどによる検出が含まれてよい。また、所定の情報とは、例えば、所定の国や地域での天災発生などに関する情報、ユーザに関連する建造物の施錠の有無や照明のON/OFF状態などに関する情報、ユーザが応援などしている有名人やグループなどに関する情報、所定のイベントに関する情報、所定のブログの更新などに関する情報、EC(Electronic Commerce)サイトなどでの注文状況や注文商品の配送状況のなどに関する情報、ユーザの支持政党など政治に関する情報を含む。
【0051】
切り替え部132によるペルソナの切り替え方法をより具体的に説明すると、切り替え部132は、例えば、
図9に示したような、ペルソナの切り替え条件と切り替えるペルソナとを対応付けて記憶するトリガーデータ123を用いて、当該切り替え条件を満たすことをトリガーとして、対応するペルソナに切り替える。また、上述したように、例えば、トリガーデータ123にトリガーの重みや優先度を記憶し、切り替え部132は、複数のトリガーの条件が満たされた場合、重みや優先度がより高い方のペルソナに切り替えることができる。なお、ペルソナの切り替えも、設定同様、ペルソナCが50%、ペルソナEが50%など複数の異なるペルソナが所定の割合で組み合わせされて1つのペルソナとして切り替えられてよい。また、ペルソナを切り替える際、切り替え部132は、例えば、ユーザ端末200を介して切り替えるペルソナをユーザに提示し、ユーザが承諾した場合に切り替えてもよい。また、当然ながら、既に対象のペルソナに切り替えられていた場合は、所定の条件を満たしてもペルソナの切り替えを実行しなくてよいが、切り替えたペルソナに3時間など有効期間が設定されている場合は、有効期間を更新して延長してもよい。
【0052】
決定部133は、例えば、切り替え部132によって切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに対して提供されるサービスを決定する。より具体的には、決定部133は、例えば、切り替え部132によって切り替えられたペルソナに基づいて、
図10に示したような提供サービスデータ124を用いて、ユーザに対応付けられたデータの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する。または、決定部133は、例えば、切り替え部132によって切り替えられたペルソナに基づいて、
図11に示したような提供サービスデータ124を用いて、ユーザに対して表示されるデータの内容を決定する処理を含む。
【0053】
また、決定部133は、例えば、切り替え部132によって切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに設定されたペルソナおよびトリガーの少なくとも1つの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する。なお、ペルソナおよびトリガーの少なくとも1つの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定することは、例えば、算出部134によって算出された、ユーザに設定されたペルソナが設定された他のユーザの数に基づいてよい。これにより、例えば、あるペルソナが設定されたユーザの数が少ない場合に、当該ペルソナが設定された個人が特定できないように制御することができる。より具体的な制御方法は、フローチャートを用いて後述する。
【0054】
また、決定部133は、例えば、ユーザの死亡通知を受信したことに応答して、
図7や
図8に示したような紐付けデータ122、および
図12に示したような引継ぎデータ125を用いて、当該ユーザに設定されたペルソナの相続先、設定解除、および削除の少なくとも1つを決定する。なお、ユーザの死亡通知は、所定の機関によって管理されるサーバコンピュータなどから受信されてもよいし、ユーザによって予め許可された家族などのユーザによって入力されてもよい。
【0055】
なお、決定部133による提供サービスの決定は、例えば、ユーザ端末200を介して提供されるサービスの内容をユーザに提示し、ユーザが承諾した場合に有効にされてもよい。そして、決定部133によって決定されたサービスが、例えば、ユーザ端末200を介してユーザに提供される。
【0056】
算出部134は、例えば、ユーザに設定されたペルソナが設定された他のユーザの数を算出する。
【0057】
[処理の流れ]
次に、
図13を用いて、情報処理装置100を動作主体として実行される提供サービス決定処理の流れを説明する。
図13は、本実施形態にかかる提供サービス決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、
図13に示すように、ユーザは、ユーザ端末200を介して、当該ユーザを所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナを指定する(ステップS101)。なお、当該ペルソナの指定は、例えば、ユーザのとったアクションなどに基づいて情報処理装置100によって決定され、ユーザ端末200を介してユーザに提示されたペルソナを、ユーザが承諾することであってもよい。
【0059】
次に、ユーザ端末200は、ステップS101で指定されたペルソナを情報処理装置100に送信する(ステップS102)。なお、ここで送信されるペルソナとは、例えば、ステップS101で指定されたペルソナの識別子など、当該ペルソナに関するデータであってよい。また、ステップS102では、ユーザの識別子などのデータが併せて送信されてよい。
【0060】
次に、情報処理装置100は、例えば、ユーザ端末200からペルソナを受信していない場合(ステップS103:No)、ペルソナの受信を待つ。一方、ペルソナを受信した場合(ステップS103:Yes)、情報処理装置100は、例えば、受信したペルソナに基づいて、紐付けデータ122を作成し、ユーザに対しペルソナを設定する(ステップS104)。
【0061】
次に、情報処理装置100は、例えば、ステップS104で設定されたペルソナに対する切り替え条件を満たした場合(ステップS105:Yes)、当該切り替え条件を満たすことをトリガーとするペルソナに切り替える(ステップS106)。なお、ペルソナを切り替える際、情報処理装置100は、例えば、切り替えるペルソナを、ユーザ端末200を介してユーザに提示し、ユーザが承諾した場合に切り替えてもよい。
【0062】
また、切り替え条件を満たしていない場合(ステップS105:No)、または既に対象のペルソナに切り替えられていた場合は、切り替え条件が満たされるまでステップS105を繰り返す。
【0063】
次に、情報処理装置100は、例えば、ステップS106で切り替えられたペルソナ、および提供サービスデータ124に基づいて、ユーザに対して提供されるサービスを決定する(ステップS107)。なお、ステップS107のより具体的な処理の流れについては、
図14および
図15のフローチャートを用いて後述する。
【0064】
次に、情報処理装置100は、例えば、ステップS107で決定されたサービスを、ユーザ端末200を介してユーザに提供する(ステップS108)。なお、ステップS108の実行後、
図13に示す提供サービス決定処理は終了するが、厳密には、ステップS105に戻り、別のペルソナに対する切り替え条件が満たされるまでステップS105を繰り返す。また、新たにペルソナを指定したり、既に指定されたペルソナを削除または別のペルソナに変更したりする場合は、ステップS101から処理が繰り返される。
【0065】
次に、
図14を用いて、情報処理装置100を動作主体として実行される情報公開設定処理の流れを説明する。
図14は、本実施形態にかかる情報公開設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14に示す情報公開設定処理は、例えば、
図13に示す提供サービス決定処理において決定されるサービスがSNSなどにおける情報公開(または共有)である場合に、提供サービスの決定(ステップS107)として実行される処理の一例である。
【0066】
まず、
図14に示すように、情報処理装置100は、情報公開についての確認をユーザ端末200に送信する(ステップS201)。当該確認には、例えば、公開される情報の内容や、公開範囲、公開期間などが含まれてよい。
【0067】
次に、ユーザ端末200は、例えば、情報処理装置100から情報公開についての確認を受信していない場合(ステップS202:No)、当該確認の受信を待つ。一方、情報公開についての確認を受信した場合(ステップS202:Yes)、ユーザ端末200は、例えば、ユーザに対し、公開される情報の内容を提示し、情報を公開するか否かを確認する(ステップS203)。これに対し、ユーザがユーザ端末200を介して、情報を公開しないと回答した場合(ステップS204:No)、情報処理装置100は、
図14に示す情報公開設定処理、すなわち、
図13に示す提供サービス決定処理の提供サービスの決定(ステップS107)として、対象情報の公開は行わないことを決定し、処理を終了する。そして、情報処理装置100は、決定されたサービスの提供(ステップS108)として、対象情報を公開しないように制御する。
【0068】
一方、ユーザが情報を公開すると回答した場合(ステップS204:Yes)、ユーザ端末200は、例えば、ユーザに対し、公開される情報の公開範囲および公開期間を確認する(ステップS205)。
【0069】
次に、ユーザ端末200は、例えば、対象情報の公開範囲および公開期間の確認結果を情報処理装置100に送信する(ステップS206)。
【0070】
次に、情報処理装置100は、例えば、ユーザ端末200から確認結果を受信していない場合(ステップS207:No)、確認結果の受信を待つ。一方、確認結果を受信した場合(ステップS207:Yes)、情報処理装置100は、例えば、受信した確認結果に基づいて、対象情報の公開範囲および公開期間を設定する(ステップS208)。ステップS208の実行後、
図14に示す情報公開設定処理、すなわち、
図13に示す提供サービス決定処理の提供サービスの決定(ステップS107)は終了する。そして、情報処理装置100は、決定されたサービスの提供(ステップS108)として、ステップS208で設定した公開範囲および公開期間に基づいて、対象情報を公開する。
【0071】
次に、
図15を用いて、情報処理装置100を動作主体として実行されるペルソナ公開設定処理の流れを説明する。
図15は、本実施形態にかかるペルソナ公開設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15に示すペルソナ公開設定処理は、例えば、
図13に示す提供サービス決定処理において決定されるサービスがペルソナやトリガーの公開(または共有)である場合に、提供サービスの決定(ステップS107)として実行される処理の一例である。
図15に示すペルソナ公開設定処理の流れは、
図14に示す情報公開設定処理の流れと類似するが、例えば、公開されるペルソナを設定しているユーザの数が少ない場合、当該ペルソナから個人が特定され易くプライバシー上の懸念があるため、ユーザにその旨を通知するアラートを送信する点で異なる。なお、公開されるペルソナは1つであってもよいし、複数のペルソナの組み合わせであってもよい。そのため、
図15に示すペルソナ公開設定処理において、公開されるペルソナを設定しているユーザの数には、公開される複数のペルソナの組み合わせを設定しているユーザの数が含まれる。
【0072】
まず、
図15に示すように、情報処理装置100は、公開対象のペルソナが設定された他のユーザの数を算出する(ステップS301)。算出された他のユーザの数が、例えば、10名など所定の数以下の場合(ステップS302:Yes)、情報処理装置100は、例えば、公開されるペルソナを設定しているユーザの数が少ないため個人が特定され易い可能性がある旨などを通知するアラートを、ペルソナなどの公開についての確認に含める(ステップS303)。一方、算出された他のユーザの数が所定の数より多い場合(ステップS302:No)、情報処理装置100は、ステップS304へ進む。
【0073】
次に、情報処理装置100は、例えば、ペルソナなどの公開についての確認をユーザ端末200に送信する(ステップS304)。当該確認には、例えば、公開されるペルソナやトリガーの内容や、公開範囲、公開期間などが含まれてよい。また、ステップS303を実行した場合は、当該確認にはさらにアラートが含まれる。
【0074】
次に、ユーザ端末200は、例えば、情報処理装置100からペルソナなどの公開についての確認を受信していない場合(ステップS305:No)、当該確認の受信を待つ。一方、ペルソナなどの公開についての確認を受信した場合(ステップS305:Yes)、ユーザ端末200は、例えば、ユーザに対し、公開されるペルソナやトリガーの内容を提示し、ペルソナなどを公開するか否かを確認する(ステップS306)。これに対し、ユーザがユーザ端末200を介して、ペルソナなどを公開しないと回答した場合(ステップS307:No)、情報処理装置100は、
図15に示すペルソナ公開設定処理、すなわち、
図13に示す提供サービス決定処理の提供サービスの決定(ステップS107)として、対象ペルソナやトリガーの公開は行わないことを決定し、処理を終了する。そして、情報処理装置100は、決定されたサービスの提供(ステップS108)として、対象ペルソナやトリガーを公開しないように制御する。
【0075】
一方、ユーザがペルソナなどを公開すると回答した場合(ステップS307:Yes)、ユーザ端末200は、例えば、ユーザに対し、公開されるペルソナやトリガーの公開範囲および公開期間を確認する(ステップS308)。
【0076】
次に、ユーザ端末200は、例えば、対象ペルソナやトリガーの公開範囲および公開期間の確認結果を情報処理装置100に送信する(ステップS309)。
【0077】
次に、情報処理装置100は、例えば、ユーザ端末200から確認結果を受信していない場合(ステップS310:No)、確認結果の受信を待つ。一方、確認結果を受信した場合(ステップS310:Yes)、情報処理装置100は、例えば、受信した確認結果に基づいて、対象ペルソナやトリガーの公開範囲および公開期間を設定する(ステップS311)。ステップS311の実行後、
図15に示すペルソナ公開設定処理、すなわち、
図13に示す提供サービス決定処理の提供サービスの決定(ステップS107)は終了する。そして、情報処理装置100は、決定されたサービスの提供(ステップS108)として、ステップS311で設定した公開範囲および公開期間に基づいて、対象ペルソナやトリガーを公開する。なお、ペルソナやトリガーの公開は、例えば、ユーザの友達限定で、“お昼に○○オフィスにいるからペルソナMだよ”といった形式であってよい。このように、ある時点での自分のペルソナやトリガーを友達など他者に公開することで、その時の自分(ペルソナ)に合った情報が寄せられやすくなったり、状況を察してもらい易くなったりするなどの効果がある。
【0078】
[効果]
上述したように、情報処理装置100は、人物を所定の類型に分類する1つまたは複数のペルソナをユーザに設定し、所定の条件を満たすことをトリガーとして、条件に応じて、ユーザに設定されるペルソナを切り替え、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに対して提供されるサービスを決定する。
【0079】
このように、情報処理装置100は、ユーザに設定されるペルソナを切り替え、切り替えられたペルソナに基づいて提供サービスを決定することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0080】
また、情報処理装置100によって実行される、サービスを決定する処理は、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに対応付けられたデータの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する処理を含む。
【0081】
このように、情報処理装置100は、切り替えられたペルソナに基づいてユーザのデータの公開内容などを決定することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0082】
また、情報処理装置100によって実行される、サービスを決定する処理は、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに対して表示されるデータの内容を決定する処理を含む。
【0083】
このように、情報処理装置100は、切り替えられたペルソナに基づいてユーザに対するデータの表示内容を決定することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0084】
また、情報処理装置100は、ユーザの死亡通知を受信し、死亡通知を受信したことに応答して、ユーザに設定されたペルソナの相続先、設定解除、および削除の少なくとも1つを決定する。
【0085】
このように、情報処理装置100は、ユーザの死亡時に当該ユーザのペルソナの対応を決定することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0086】
また、ペルソナは、複数の異なるペルソナが所定の割合で組み合わせされて形成される。
【0087】
このように、情報処理装置100は、より細かく形成されたペルソナに基づいて提供サービスを決定することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0088】
また、情報処理装置100によって実行される、サービスを決定する処理は、切り替えられたペルソナに基づいて、ユーザに設定されたペルソナおよびトリガーの少なくとも1つの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する処理を含む。
【0089】
このように、情報処理装置100は、切り替えられたペルソナに基づいてユーザのペルソナやトリガーの公開内容などを決定することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0090】
また、情報処理装置100は、ユーザに設定されたペルソナが設定された他のユーザの数を算出する処理さらに実行し、情報処理装置100によって実行される、ペルソナおよびトリガーの少なくとも1つの公開内容、公開範囲、および公開期間の少なくとも1つを決定する処理は、算出された他のユーザの数にさらに基づく。
【0091】
このように、情報処理装置100は、ペルソナやトリガーを公開する際に、例えば、公開されるペルソナを設定しているユーザの数が少ない場合に当該ペルソナから個人が特定されないように制御することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0092】
また、ユーザに設定されたペルソナは、ユーザのみ参照できるように制御される。
【0093】
このように、情報処理装置100は、ペルソナから個々のユーザが特定できないように制御することにより、ユーザに対してより適したサービスを提供できる。
【0094】
また、情報処理装置100は、ペルソナ単位で物理的または論理的に分かれてPDSを設定して前記ペルソナに関するデータを記憶する。
【0095】
このように、情報処理装置100は、ペルソナデータを分けてPDSで管理することにより、ペルソナデータをセキュアに管理したり、データ移行や連携をより効率的に行ったりすることができる。
【0096】
[システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報は、特記する場合を除いて任意に変更されてもよい。また、実施例で説明した具体例、分布、数値などは、あくまで一例であり、任意に変更されてもよい。
【0097】
また、情報処理装置100の構成要素の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。例えば、情報処理装置100の決定部133が複数の処理部に分散されたり、情報処理装置100の設定部131と切り替え部132とが1つの処理部に統合されたりしてもよい。つまり、その構成要素の全部または一部は、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合されてもよい。さらに、各装置の各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され得る。あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0098】
図16は、本実施形態にかかる情報処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図16に示すように、情報処理装置100は、通信インタフェース100a、HDD(Hard Disk Drive)100b、メモリ100c、プロセッサ100dを有する。また、
図16に示した各部は、バスなどで相互に接続される。
【0099】
通信インタフェース100aは、例えば、ネットワークインタフェースカードなどであり、ユーザ端末200など他の情報処理装置との通信を行う。HDD100bは、例えば、
図5に示した情報処理装置100の各機能を動作させるためのプログラムやデータを記憶する。
【0100】
プロセッサ100dは、CPU、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などである。また、プロセッサ100dは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現されるようにしてもよい。プロセッサ100dは、例えば、
図5に示した情報処理装置100の各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100bなどから読み出してメモリ100cに展開する。これにより、プロセッサ100dは、
図5に示した情報処理装置100の各処理部による各機能を実現するプロセスを実行するハードウェア回路として動作可能である。
【0101】
また、情報処理装置100は、媒体読取装置によって記録媒体から、
図5に示した情報処理装置100の各処理部と同様の処理を実行するプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで情報処理装置100の各処理部による各機能を実現することもできる。なお、このプログラムの実行は、情報処理装置100による実行に限定されるものではない。例えば、他の情報処理装置がプログラムを実行する場合や、情報処理装置100と他の情報処理装置とが協働してプログラムを実行するような場合にも適用されてよい。
【0102】
また、
図5に示した情報処理装置100の各処理部と同様の処理を実行するプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布されてもよい。または、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ可読記憶媒体に記録されてよい。
【符号の説明】
【0103】
100 情報処理装置
100a 通信インタフェース
100b HDD
100c メモリ
100d プロセッサ
110 通信部
120 記憶部
121 ペルソナデータ
122 紐付けデータ
123 トリガーデータ
124 提供サービスデータ
125 引継ぎデータ
130 制御部
131 設定部
132 切り替え部
133 決定部
134 算出部
200 ユーザ端末