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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053209
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】慣性センサーおよび慣性計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
G01P15/08 102A
G01P15/08 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159310
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小林 知永
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 照夫
(57)【要約】
【課題】小型化に適した慣性センサーを提供すること。
【解決手段】加速度センサー100は、基体10と、環状領域8Aを有する蓋体8と、環状領域8Aにおいて、蓋体8と基体10とを接合する接合材7と、を備え、蓋体8は、環状領域8Aにおいて、溝82が設けられた第2領域8A2と、溝82より浅い溝81が設けられた第1領域8A1と、を有し、基体10は、平面視において環状領域8Aの内側に設けられた加速度センサー素子31と、平面視において環状領域8Aの外側に設けられた電極パッド61,62と、平面視において第1領域8A1と交差して設けられ、加速度センサー素子31と電極パッド61,62とを電気的に接続する配線51,52と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
環状領域を有する蓋体と、
前記環状領域において、前記蓋体と前記基体とを接合する接合材と、を備え、
前記蓋体は、
前記環状領域において、第2の溝が設けられた第2領域と、
前記第2の溝よりも浅い第1の溝が設けられた、または溝が設けられない第1領域と、を有し、
前記基体は、
平面視において前記環状領域の内側に設けられた可動体と、
平面視において前記環状領域の外側に設けられた端子と、
平面視において前記第1領域と交差して設けられ、前記可動体と前記端子とを電気的に接続する配線と、を有する、
慣性センサー。
【請求項2】
前記蓋体は矩形であり、前記第1領域は前記蓋体の1辺に沿った領域であり、前記第2領域は前記蓋体の他の少なくとも2辺に沿った領域である、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項3】
前記蓋体は矩形であり、前記基体の四隅に凹部が設けられる、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項4】
前記基体は、基板と、前記基板の前記蓋体側に設けられ、前記可動体と前記可動体を囲む枠とを有する半導体層と、を含み、
前記端子は、前記枠の前記蓋体側に設けられ、
前記配線は、前記枠および前記可動体の前記蓋体側に設けられ、
前記接合材は、前記枠を、前記環状領域に接合する、
請求項1に記載の慣性センサー。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の慣性センサーと、
前記慣性センサーを制御する制御部と、を備える、
慣性計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性センサーおよび慣性計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機能素子を有する基体を、接合部材を介して蓋体に接続する構造において、基体と蓋体との間隔を一定にするために、機能素子の外側に間隙部材を設けたもの記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-126626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の間隙部材は、外部接続端子の外側に配置されるため、慣性センサーの小型化の支障となる虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、小型化に適した慣性センサーおよび慣性計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に係る一態様の慣性センサーは、基体と、環状領域を有する蓋体と、前記環状領域において、前記蓋体と前記基体とを接合する接合材と、を備え、前記蓋体は、前記環状領域において、第2の溝が設けられた第2領域と、前記第2の溝よりも浅い第1の溝が設けられた、または溝が設けられない第1領域と、を有し、前記基体は、平面視において前記環状領域の内側に設けられた可動体と、平面視において前記環状領域の外側に設けられた端子と、平面視において前記第1領域と交差して設けられ、前記可動体と前記端子とを電気的に接続する配線と、を有する。
【0006】
本願に係る一態様の慣性計測装置は、上記の慣性センサーと、前記慣性センサーを制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る加速度センサーの平面図。
図2図1のII-II断面における断面図。
図3図2におけるIII部の拡大断面図。
図4図2におけるIV部の拡大断面図。
図5図1のV-V断面における断面図。
図6】加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図。
図7】製造過程における一態様を示す断面図。
図8】製造過程における一態様を示す断面図。
図9】製造過程における一態様を示す断面図。
図10】製造過程における一態様を示す断面図。
図11】変形例1に係る慣性センサーの平面図。
図12】変形例2に係る慣性センサーの平面図。
図13】実施形態2に係る加速度センサーの拡大断面図。
図14】実施形態3に係る加速度センサーにおいて、接合材の塗布方法を示す平面図。
図15図14のXV-XV断面における断面図。
図16】実施形態4に係る慣性計測装置の分解斜視図。
図17】基板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
また、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。また、以下では、Z1方向またはZ2方向に沿って見ることを「平面視」とし、Z軸を含む断面に対して垂直方向から見ることを「断面視」とする。
【0009】
さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。また、ある構造物の上面とは、当該構造物のZ1方向側の面を示すものとし、ある構造物の下面とは、当該構造物のZ2方向側の面を示すものとする。
【0010】
1.実施形態1
1.1.加速度センサーの概要
まず、本実施形態に係る慣性センサーの一例としての加速度センサー100について、図1および図2を参照して説明する。
図1は、実施形態1に係る加速度センサーの平面図であり、図2は、図1のII-II断面をY1方向に沿って見た断面図である。
【0011】
図2に示すように、加速度センサー100は、可動体としての加速度センサー素子31を有する基体10と、基体10に接合材7を介して接合される蓋体8とを備える。
【0012】
蓋体8は、溝81と溝82とを有する。本実施形態において、溝81は第1の溝に対応し、溝82は第2の溝に対応する。
溝81は、底面81bと、底面81bの両側に設けられた壁部81wとを有する。壁部81wは底面81bよりZ2方向に突出する。
溝82は、底面82bと、底面82bの両側に設けられた壁部82wとを有する。壁部82wは底面82bよりZ2方向に突出する。
【0013】
溝81と溝82とは、図1に示すように、平面視において蓋体8の外縁に沿って設けられる。図1では、溝81、溝82、および接合材7に対応する構成に、ハッチングをつけて示している。
図1は、図2のI-I断面を蓋体8の上面側からZ2方向に沿って見た図であり、I―I断面には、溝81の壁部81wの断面、溝82の壁部82wの断面、および接合材7の断面が現れる。
【0014】
蓋体8は、図1に示すように、平面視において矩形であり、その4辺のうちの3辺は、基体10の対応する辺と、平面視において重なっている。蓋体8の残り1辺は、端子としての電極パッド61,62に接続される配線51,52と、平面視において重なっている。
【0015】
蓋体8は、蓋体8の4辺に沿った領域に環状領域8Aを有する。溝81と溝82とは、環状領域8Aに設けられる。
環状領域8Aは、第1領域8A1と第2領域8A2とを有する。
本実施形態において、第1領域8A1は、蓋体8の1辺に沿った領域であり、平面視において配線51および配線52と重なっている。蓋体8において、第1領域8A1には、溝81が設けられる。換言すると、配線51と配線52とは、平面視において、蓋体8の環状領域8Aと交差する。より具体的には、配線51と配線52とは、第1領域8A1の溝81と交差するように設けられる。
【0016】
第2領域8A2は、蓋体8の3辺に沿った領域であり、平面視において配線51および配線52と重なっていない。第2領域8A2には、溝82が設けられる。
【0017】
蓋体8において環状領域8Aの内側が、凹み領域8Bである。
凹み領域8Bは、図2に示すように、溝81の底面81bおよび溝82の底面82bよりもZ1方向に凹んだ領域である。
【0018】
凹み領域8Bの壁部8Bwは、図1に示すように、平面視において環状に凹み領域8Bを囲み、壁部8Bwの外側が、環状領域8Aに対応する。換言すると、蓋体8は、蓋体8の4辺からZ2方向に突出する凸部を有し、当該凸部が、蓋体8において、環状領域8Aに対応する。
【0019】
蓋体8としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。なお、蓋体8は、これに特に限定されず、例えば蓋体8としてガラス基板又は石英基板などを用いてもよい。
【0020】
接合材7は、蓋体8の環状領域8Aに沿って環状に設けられ、蓋体8と基体10とを接合する。具体的には、接合材7は、蓋体8の溝81と基体10との間および蓋体8の溝82と基体10との間に設けられる。
【0021】
接合材7は、ガラスフリットである。ガラスフリットは粉末ガラス、低融点ガラスとも言う。なお、基体10と蓋体8との接合には、ガラスフリット以外の他の接合材、例えば、樹脂系接着剤、ロウ材等を用いてもよい。
【0022】
貫通孔84は、蓋体8の上面と凹み領域8Bの底面8Bbとの間を貫通する。貫通孔84は、封止材9によって塞がれている。
【0023】
基体10は、図2に示すように、基板1と、基板1上に設けられた絶縁層2と、絶縁層2上に設けられた半導体層3と、半導体層3上に設けられた絶縁層4と、絶縁層4上に設けられた配線52および電極パッド62とを備える。
【0024】
基体10は、本実施形態においてSOI(Silicon on Insulator)基板であり、基板1は、単結晶シリコン基板である。なお、基板1に、ガラス基板または石英基板を用いる構成とすることもできる。
【0025】
基板1は、Z2方向に凹んだ凹み領域1Bを有する。凹み領域1Bは、図1に示すように、平面視において矩形である。また、凹み領域1Bの壁部1Bwは、平面において環状に凹み領域1Bを囲み、壁部1Bwの外側が環状領域1Aである。平面視において、環状領域1Aは、環状領域8Aと重なる。
【0026】
半導体層3は、加速度センサー素子31と、加速度センサー素子31を囲む枠37とを有する。換言すると、加速度センサー素子31と枠37とは、同層に設けられる。
【0027】
半導体層3は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウムなどの半導体により形成される。半導体層3は、ボロン(B)やリン(P)などの不純物をドープした単結晶半導体により形成されることが好ましい。不純物をドープすることにより半導体層3にキャリアを発生させ、抵抗率を下げることができる。本実施形態では、半導体層3は、ボロンをドープすることにより抵抗率を0.001~100Ωcmとした単結晶シリコンにより形成される。
【0028】
加速度センサー素子31は、可動部32と弾性部33と固定部34とを有する。加速度センサー素子31は、平面視において、蓋体8の環状領域8Aの内側に設けられる。
可動部32は、Y1方向に延出する可動電極32eと、Y2方向に延出する可動電極32eとを備える。可動部32の両端には、弾性部33が配置される。本実施形態では、可動部32は、X方向に変位可能な振動子である。
【0029】
固定部34は、Y2方向に延出する固定電極34eと、Y1方向に延出する固定電極34eとを備える。
【0030】
加速度センサー素子31は、可動部32の可動電極32eと固定部34の固定電極34eとの間の距離に依存する静電容量の変動を用いて加速度を検出する静電容量型の加速度センサーである。
【0031】
加速度センサー素子31にX方向の加速度が印加されると、可動電極32eが、基体10に対してX方向に変位する。そのため、可動電極32eと固定電極34eとの間の静電容量が、変化する。この静電容量の変化に基づいて、加速度センサー素子31は、X方向の加速度を検出する。なお、加速度センサー素子31は、任意の方向の加速度を検出できる。例えば、加速度センサー素子31を平面的に90度回転させることにより、加速度センサー素子31は、Y方向の加速度を検出することができる。
【0032】
枠37は、平面視において加速度センサー素子31を囲むとともに、蓋体8の環状領域8Aと重なる。
加速度センサー素子31と枠37との間には、絶縁分離部39が設けられ、両者間を絶縁する。
絶縁層2,4は、酸化シリコンにより形成される。
【0033】
基体10は、平面視において矩形であり、その4辺のうちの1辺に沿った位置に電極パッド61,62を備える。電極パッド61,62は、平面視において蓋体8から露出する位置に設けられる。換言すると、電極パッド61,62は、平面視において、環状領域1Aを重なり、且つ、環状領域8Aの外側に設けられる。
【0034】
電極パッド62は、図2に示すように、枠37上、すなわち、枠37の蓋体8側の面上に設けられる。電極パッド62は、配線52およびコンタクトホール5cを介して、可動部32に電気的に接続される。
配線52は、枠37上および加速度センサー素子31上、すなわち、枠37の蓋体8側の面上および加速度センサー素子31の蓋体8側の面上に設けられる。
【0035】
電極パッド61も電極パッド62と同様に設けられる。電極パッド61は、配線51およびコンタクトホール5cを介して、固定部34に電気的に接続される。
【0036】
1.2.環状領域について
次に、環状領域8Aについて、図3および図4を参照して説明する。
図3は、図2のIII部の拡大断面図であり、環状領域8Aの第1領域8A1を示す。図3に示すように、環状領域8Aの第1領域8A1において、蓋体8には、溝81が設けられる。
図4は、図2のIV部の拡大断面図であり、環状領域8Aの第2領域8A2を示す。図4に示すように、環状領域8Aの第2領域8A2において、蓋体8には、溝82が設けられる。
【0037】
第1領域8A1に設けられる溝81の深さh2は、第2領域8A2に設けられる溝82の深さh1よりも浅い。換言すると、溝82は、溝81よりも深い。
深さh2は、溝81の壁部81wの下面81sから溝81の底面81bまでの長さである。深さh1は、溝82の壁部82wの下面82sから溝82の底面82bまでの長さである。
【0038】
溝81の壁部81wの下面81sと配線52との間隔を間隔h4、配線52の厚さを厚さh5とすると、深さh2と深さh1との関係は、h2+h4+h5=h1である。すなわち、溝81の底面81bと溝82の底面82bとは、同じXY面内に位置する。
本実施形態において、深さh1は、約5~10μmである。間隔h4は、0<h4≦数μmである。厚さh5は、約1μmである。
【0039】
本実施形態において、溝81の壁部81wの下面81sは、配線52と接触しない。これは、蓋体8と基体10とを接合する際等において、溝81の壁部81wの下面81sが、配線52に接触して、配線52に割れ等が発生することを回避するためである。なお、溝81の壁部81wの下面81sは、下面81sが配線51および配線52に圧を掛けない場合には、配線52と接触してもよい。
【0040】
溝82の壁部82wの下面82sは、基体10と接触する。具体的には、溝82の壁部82wの下面82sは、半導体層3の枠37に絶縁層4を介して接触する。なお、蓋体8と枠37とは、直接接触してもよい。
【0041】
溝82の壁部82wの下面82sが、基体10と接触することによって、蓋体8の凹み領域8Bの底面8Bbと基体10との間に、具体的には、蓋体8の凹み領域8Bの底面8Bbと加速度センサー素子31との間に、所定の間隔h3が、設けられる。本実施形態において、間隔h3は、約30μmである。
【0042】
溝81の幅、すなわち、溝81の底面81bの幅w1は、200μmである。同様に、溝82の幅、すなわち、溝82の底面82bの幅w1は、200μmである。
【0043】
接合材7は、図4に示すように、第2領域8A2において溝82と半導体層3の枠37との間に設けられる。また、同様に、接合材7は、図3に示すように、第1領域8A1において、溝81と半導体層3の枠37との間に設けられる。
【0044】
図5は、図1のV-V断面における断面図である。
図5に示すように、環状領域8Aは、両側とも第2領域8A2であり、溝82が設けられている。接合材7は、蓋体8の溝82と半導体層3の枠37との間に設けられる。
【0045】
本実施形態では、第2領域8A2は、環状領域8Aの4辺のうちの3辺に設けられる。換言すると、環状領域8Aの4辺のうちの3辺において、溝82の壁部82wの下面82sが、基体10と接触する。したがって、蓋体8の凹み領域8Bの底面8Bbと加速度センサー素子31との間に、所定の間隔h3を、確実に設けることができる。また、溝81の壁部81wの下面81sと配線52との間に、所望の間隔h4を、確実に設けることができる。
【0046】
1.3.加速度センサーの製造方法について
次に、加速度センサー100の製造方法について、図6から図10を参照して説明する。図6は、加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図である。図7から図10は、各製造過程における一態様を示す断面図であり、各図における断面位置は、図2と同様である。
【0047】
ステップS10では、図7に示す蓋体8を準備する。
蓋体8には、凹み領域8Bおよび貫通孔84を形成されている。
凹み領域8Bの壁部8Bwの外側が、環状領域8Aとなる。なお、蓋体8をウエハー等の大判基板の状態で形成する場合は、環状領域8Aの外側、すなわち、蓋体8の外縁に沿って、蓋体8は凹部を有する。
【0048】
蓋体8において、環状領域8Aの第2領域8A2に対応する箇所には、深さh1を有する溝82を備える。蓋体8において、環状領域8Aの第1領域8A1に対応する箇所には、溝82より浅い深さh2を有する溝81を備える。
凹み領域8B、溝81、および溝82は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により形成する。
【0049】
ステップS11では、図8に示す基体10を準備する。上述したように本実施形態では、基体10は、SOI基板である。換言すると、この工程では、凹み領域1Bを有する基板1と、絶縁層2と、加速度センサー素子31および枠37を有する半導体層3と、絶縁層4とを備えた基体10を準備する。
【0050】
絶縁層4上には、配線52と電極パッド62とを形成する。絶縁層4には、コンタクトホール5cが設けられる。配線52および電極パッド62は、コンタクトホール5cを介して、加速度センサー素子31の可動部32に、電気的に接続される。
【0051】
図示しないが、配線51と電極パッド61とは、配線52および電極パッド62と同じ工程で形成する。配線51,52および電極パッド61,62は、スパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって導電層を成膜した後、該導電層を、パターニングすることにより形成する。パターニングは、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって行う。
【0052】
ステップS12では、図9に示すように、溝81および溝82に、接合材7を塗布する。
本実施形態において、接合材7は、ガラスフリットである。この工程では、ガラスフリットを有機バインダー中に分散させたガラスペーストを、スクリーン印刷法を用いて、塗布する。
【0053】
上述したように溝81の底面81bと溝82の底面82bとは、同じXY平面上に位置する。換言すると、溝81の底面81bと溝82の底面82bとは、同じ高さに位置する。したがって、スクリーン印刷法を用いて、溝81の底面81bと溝82の底面82bとの両方に、接合材7を塗布することができる。
【0054】
接合材7を塗布する際において、接合材7の厚さh6は、溝82の深さh1よりも大きくする。これによって、蓋体8と基体10とを接合した際に、接合材7が、環状領域8Aの全周において、基体10と接触して、蓋体8と基体10とを接合させることができる。
【0055】
また、接合材7を塗布する量は、蓋体8と基体10とを接合した際に、潰れて拡がる接合材7が、溝81と基体10との間および溝82と基体10との間から、平面視において凹み領域8Bの内側または環状領域8Aの外側に、はみ出さない量とする。
【0056】
ステップS13では、図10に示すように、ステップS10で準備した蓋体8と、ステップS11で準備した基体10とを接合する。
具体的には、蓋体8において、環状領域8Aの第2領域8A2に形成された溝82の壁部82wの下面82sを、半導体層3の枠37上の絶縁層4に当接させる。これによって、接合材7は、環状領域8Aの全周において、基体10と接触する。
【0057】
この際、環状領域8Aの第1領域8A1に形成された溝81の壁部81wの下面81sは、配線51および配線52に、当接しない。もしくは、溝81の壁部81wの下面81sが、配線51および配線52に接触しても、溝81の壁部81wの下面81sが配線51および配線52に圧を掛けることがない。よって、蓋体8が、配線51および配線52に傷をつけることが回避されるので、配線51および配線52に、傷を起因とした断線等の発生を抑制できる。
【0058】
蓋体8と基体10とを接合した後、熱処理を行う。これによって、接合材7を介して、蓋体8と基体10との接合強度を高め、蓋体8による気密封止を確実に行うことができる。
【0059】
ステップS14では、封止を行う。貫通孔84を介して、凹み領域1Bおよび凹み領域8Bからなる加速度センサー100の内部空間の雰囲気を調整し、貫通孔84を封止材9で塞ぐことで加速度センサー100の内部空間を封止する。加速度センサー100の内部空間は、不活性ガス、例えば、窒素ガス雰囲気としてもよいし、減圧状態にしてもよい。
なお、貫通孔84を設けなくても、ステップS13の接合工程を、所望の雰囲気で実施することによって、加速度センサー100の内部空間の雰囲気を調整することができる。
【0060】
1.4.変形例1
図11は、変形例1に係る慣性センサーの平面図である。変形例1に係る慣性センサー101は、蓋体8において、環状領域8Aの4辺のうちの2辺を第1領域8A1とし、残りの2辺を第2領域8A2としている。
【0061】
慣性センサー101は、X軸方向の加速度を検知するX軸加速度センサー素子131と、Y軸方向の加速度を検知するY軸加速度センサー素子132を備える。
電極パッド6は、基体10の4辺のうちの2辺に沿って設けられる。
【0062】
X軸加速度センサー素子131は、配線5を介して、基体10の電極パッド6が設けられた2辺のうちの一方の1辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
Y軸加速度センサー素子132は、配線5を介して、基体10の電極パッド6が設けられた2辺のうちの他方の1辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
【0063】
環状領域8Aの4辺に沿った領域のうち、配線5と重なる2辺に沿った領域は、第1領域8A1である。蓋体8において、第1領域8A1には、溝81が設けられる。
環状領域8Aの4辺に沿った領域のうちの配線5と重ならない2辺に沿った領域は、第2領域8A2である。蓋体8において、第2領域8A2には、溝82が設けられる。
【0064】
変形例1では、蓋体8において、環状領域8Aの4辺のうちの直交する2辺に沿った領域を第1領域8A1としたが、環状領域8Aの4辺のうちの対向する2辺に沿った領域を第1領域8A1とし、残りの対向する2辺に沿った領域を第2領域8A2としてもよい。
【0065】
変形例1では、蓋体8において、環状領域8Aの4辺のうちの2辺に第2領域8A2が設けられる。換言すると、環状領域8Aの4辺のうちの2辺において、蓋体8の溝82の壁部82wの下面82sが、基体10と接触する。したがって、蓋体8の凹み領域8Bの底面8Bbと加速度センサー素子31との間に、所定の間隔h3を、確実に設けることができる。また、溝81の壁部81wの下面81sと配線52との間隔に、所望の間隔h4を、確実に設けることができる。
【0066】
変形例1では、2個のセンサー素子を備えるが、センサー素子の数は、1個または3個以上であってもよい。また、センサー素子は、X軸加速度センサー素子、Y軸加速度センサー素子、Z軸方向の加速度を検知するZ軸加速度センサー素子、X軸周りの角速度を検出するX軸角速度センサー素子、Y軸周りの角速度を検出するY軸角速度センサー素子、およびZ軸周りの角速度を検出するZ軸角速度センサー素子のいずれであってもよい。
【0067】
1.5.変形例2
図12は、変形例2に係る慣性センサーの平面図である。変形例2に係る慣性センサー102は、蓋体8において、環状領域8Aの4辺の各辺に、第1領域8A1と第2領域8A2とを有する。
【0068】
慣性センサー102は、内部空間91と内部空間92とを有し、内部空間91にX軸加速度センサー素子131、Y軸加速度センサー素子132、およびZ軸加速度センサー素子133を備え、内部空間92にX軸角速度センサー素子134、Y軸角速度センサー素子135、およびZ軸角速度センサー素子136を備える。内部空間91と内部空間92とは、個別に雰囲気を調整することができる。
電極パッド6は、基体10の4辺のそれぞれに沿って設けられる。
【0069】
X軸加速度センサー素子131は、配線5を介して、基体10の4辺のうちのX2方向側の辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
Y軸加速度センサー素子132は、配線5を介して、基体10の4辺のうちのY1方向側の辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
Z軸加速度センサー素子133は、配線5を介して、基体10の4辺のうちのX1方向側の辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
【0070】
X軸角速度センサー素子134は、配線5を介して、基体10の4辺のうちのX2方向側の辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
Y軸角速度センサー素子135は、配線5を介して、基体10の4辺のうちのY2方向側の辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
Z軸角速度センサー素子136は、配線5を介して、基体10の4辺のうちのX1方向側の辺に沿って設けられた電極パッド6に接続される。
【0071】
変形例2では、蓋体8において環状領域8Aの4辺の各辺に、溝81と溝82とが、設けられる。
変形例2では、環状領域8Aの4辺の各辺において、溝82の壁部82wの下面82sが、基体10と接触する。したがって、蓋体8の凹み領域8Bの底面8Bbと加速度センサー素子31との間に、所定の間隔h3を、より確実に設けることができる。また、溝81の壁部81wの下面81sと配線52との間隔に、所望の間隔h4を、より確実に設けることができる。
【0072】
変形例2では、環状領域8Aの4辺の各辺に、第2領域8A2を設けているが、環状領域8Aの4辺のうちの2辺または3辺のみに第2領域8A2を設ける構成としてもよい。
【0073】
変形例2では、6個のセンサー素子を備えるが、センサー素子の数は、1個以上5個以下、または、7個以上であってもよい。
【0074】
以上、述べたとおり、本実施形態の加速度センサー100によれば、以下の効果を得ることができる。
慣性センサーとしての加速度センサー100は、基体10と、環状領域8Aを有する蓋体8と、環状領域8Aにおいて、蓋体8と基体10とを接合する接合材7と、を備え、蓋体8は、環状領域8Aにおいて、第2の溝としての溝82が設けられた第2領域8A2と、溝82より浅い第1の溝としての溝81が設けられた第1領域8A1と、を有し、基体10は、平面視において環状領域8Aの内側に設けられた可動体としての加速度センサー素子31と、平面視において環状領域8Aの外側に設けられた端子としての電極パッド61,62と、平面視において第1領域8A1と交差して設けられ、加速度センサー素子31と電極パッド61,62とを電気的に接続する配線51,52と、を有する。
【0075】
これによれば、蓋体8は、環状領域8Aにおいて、溝82が設けられた第2領域8A2と、溝82よりも浅い溝81が設けられた第1領域8A1と、を有し、配線51,52は、平面視において第1領域8A1と交差して設けられる。
すなわち、配線51,52は、浅い溝81と重なって設けられるため、配線51,52と溝81との接触が抑制される。よって、配線51,52と溝81との接触を起因として、配線51,52が傷ついて、配線51,52に断線等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0076】
さらには、基体10と蓋体8との間隔h3は、第2領域8A2に設けられた溝82によって、一定にすることができるため、上述した特許文献1のように、間隙部材が不要なため、小型化に適した加速度センサー100を実現することができる。
【0077】
また、蓋体8は矩形であり、第1領域8A1は蓋体8の1辺に沿った領域であり、第2領域8A2は蓋体8の他の少なくとも2辺に沿った領域である。
これによれば、基体10と蓋体8との間隔h3は、蓋体8の少なくとも2辺に沿った第2領域8A2の溝82によって、確実に一定にすることができる。
【0078】
また、基体10は、基板1と、基板1の蓋体8側に設けられ、可動体としての加速度センサー素子31と加速度センサー素子31を囲む枠37とを有する半導体層3と、を含み、端子としての電極パッド61,62は、枠37の蓋体8側に設けられ、配線51,52は、枠37および加速度センサー素子31の蓋体8側に設けられ、接合材7は、枠37を、環状領域8Aに接合する。
これによれば、加速度センサー素子31と枠37とは、半導体層3は、加速度センサー素子31と、加速度センサーを囲む枠37とを含み、電極パッド61,62および配線51,52は、枠37の蓋体8側に設けられるので、基体10を、SOI基板を用いて構成することができる。
【0079】
2.実施形態2
次に実施形態2に係る加速度センサー200について、図13を参照して説明する。
図13は、実施形態2に係る加速度センサーの拡大断面図であり、図3に対応している。
【0080】
実施形態2に係る加速度センサー200は、環状領域8Aの第1領域8A1において、蓋体8に溝をまったく有しない。環状領域8Aの第2領域8A2では、実施形態1と同様に、溝82が設けられる。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0081】
第1領域8A1において、蓋体8の下面83sと配線52との間の間隔h7と第2領域8A2の溝82の深さh1との関係は、h7+h5=h1である。すなわち、蓋体8の下面83sと溝82の底面82bとは、同じXY面内に位置する。換言すると、蓋体8の下面83sと溝82の底面82bとは、同じ高さに位置する。
【0082】
第1領域8A1において、蓋体8の下面83sは、配線52と接触しない。したがって、蓋体8の下面83sが、配線52に接触して、配線52に割れ等が発生することを回避することができる。なお、蓋体8の下面83sは、下面83sが配線51および配線52に圧を掛けない場合には、配線52と接触してもよい。
さらには、環状領域8Aの第1領域8A1において、蓋体8には、溝81の壁部81wが設けられないため、間隔h7を実施形態1の間隔h4よりも大きくすることができる。したがって、蓋体8の下面83sが、配線52に接触して、配線52に不具合が生じる可能性を、実施形態1のものよりも低くすることができる。
【0083】
以上、述べた通り、本実施形態の加速度センサー200によれば、実施形態1の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
慣性センサーとしての加速度センサー200は、基体10と、環状領域8Aを有する蓋体8と、環状領域8Aにおいて、蓋体8と基体10とを接合する接合材7と、を備え、蓋体8は、環状領域8Aにおいて、第2の溝としての溝82が設けられた第2領域8A2と、溝が設けられない第1領域8A1と、を有し、基体10は、平面視において環状領域8Aの内側に設けられた可動体としての加速度センサー素子31と、平面視において環状領域8Aの外側に設けられた端子としての電極パッド61,62と、平面視において第1領域8A1と交差して設けられ、加速度センサー素子31と電極パッド61,62とを電気的に接続する配線51,52と、を有する。
【0084】
これによれば、蓋体8は、環状領域8Aにおいて、溝82が設けられた第2領域8A2と、溝が設けられない第1領域8A1と、を有し、配線51,52は、平面視において第1領域8A1と交差して設けられる。
すなわち、配線51,52は、溝が設けられない第1領域8A1において、蓋体8と重なって設けられるため、配線51,52と蓋体8との接触が抑制される。よって、配線51,52と蓋体8との接触を起因として、配線51,52が傷ついて、配線51,52に断線等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0085】
さらには、基体10と蓋体8との間隔h3は、第2領域8A2に設けられた溝82によって、一定にすることができるため、上述した特許文献1のように、間隙部材が不要なため、小型化に適した加速度センサー200を実現することができる。
【0086】
3.実施形態3
次に実施形態3に係る加速度センサー300について、図14および図15を参照して説明する。
図14は、実施形態3に係る加速度センサーにおいて、接合材の塗布方法を示す平面図である。図15は、図14のXV-XV断面における断面図である。
【0087】
実施形態3に係る加速度センサー300は、接合材7の塗布を、ディスペンサーを用いて行う。ディスペンサーを使って、接合材7を塗布することによって、スクリーン印刷によって、接合材7を塗布するよりも、接合材7の使用量を削減することができる。
【0088】
図14に示すように、接合材7の塗布は、蓋体8に、大判基板1000の状態で行う。ディスペンサーによる塗布では、接合材7は、大判基板1000の所望のスタート箇所から、大判基板1000のY1方向、Y2方向、X1方向、またはX2方向に沿って、隣り合う蓋体8に連続して、塗布される。
【0089】
したがって、蓋体8の四隅において、Y1方向またはY2方向に連続する接合材7と、X1方向またはX2方向に連続する接合材7とが交差して、重なり合う箇所が生じる。
【0090】
図15に示すように、基体10には、接合材7が重なり合う箇所に対応して、ザグリとしての凹部3cが設けられる。
凹部3cを設けることによって、接合材7が、環状領域8Aから図示しない凹み領域8Bおよび凹み領域1Bからなる内部空間に、はみ出すことを抑制できる。
【0091】
本実施形態では、凹部3cは、半導体層3に設けられるが、凹部3cは、半導体層3を貫通して、基板1に底面を有する凹部としてもよい。
【0092】
以上、述べた通り、本実施形態の加速度センサー300によれば、実施形態1および実施形態2の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
蓋体8は矩形であり、基体10の四隅に凹部3cが設けられる。
これによれば、接合材7をディスペンサーによって、塗布しても、2重に塗布される基体10の四隅において、接合材7が環状領域8Aから、はみ出すことを抑制することができる。また、ディスペンサーを使ったディスペンス方式によって、接合材7を塗布することで、スクリーン印刷法を用いるよりも、接合材7の使用量を削減することができる。
【0093】
4.実施形態4
4.1.慣性計測装置の概要
図16は、慣性計測装置の分解斜視図である。図17は、基板の斜視図である。
慣性計測装置3000は、自動車や、ロボットなどの運動体の姿勢や、挙動などの慣性運動量を検出する装置である。慣性計測装置3000は、加速度センサーや角速度センサーなどの慣性センサーを備え、いわゆるモーションセンサーとして機能する。
【0094】
図16に示すように、慣性計測装置3000は、平面形状が略正方形の直方体である。慣性計測装置3000は、アウターケース301と、接合部材310と、慣性センサーが実装されたセンサーモジュール325と、を有する。
【0095】
アウターケース301の外形は、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2箇所の頂点近傍に、それぞれネジ穴302が形成されている。この2箇所のネジ穴302に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置3000を固定することができる。
また、アウターケース301は、箱状であり、その内部に、接合部材310を介して、センサーモジュール325が収納される。
【0096】
センサーモジュール325は、インナーケース320と、基板315と、を有する。
インナーケース320は、基板315を支持する部材である。基板315は、接着剤を介して、インナーケース320の下面に接合される。
【0097】
インナーケース320は、基板315との接触を防止するための凹部331やコネクター316を露出させるための開口321を有する。
インナーケース320は、接合部材310を介してアウターケース301に接合される。
【0098】
次に、慣性センサーが実装された基板315について説明する。
図17に示すように、基板315の上面には、加速度センサー100、コネクター316、Z軸角速度センサー317zなどが実装されている。基板315の側面には、X軸角速度センサー317xやY軸角速度センサー317yが実装されている。
【0099】
なお、加速度センサー100は、必要に応じて、例えば、X方向およびY方向の2方向の加速度を検出可能な加速度センサー、もしくはX方向、Y方向およびZ方向の3方向の加速度を検出可能な加速度センサーとしても構わない。
【0100】
また、基板315の下面には、制御部としての制御IC319が実装されている。
制御IC319は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵する。
【0101】
制御IC319の記憶部には、加速度や角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラム、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラムなどの各種制御プログラム、および付随する各種データなどが記憶されている。制御IC319は、これらの制御プログラムやデータに基づいて、慣性計測装置3000の各部を制御する。
なお、基板315には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
【0102】
このような慣性計測装置3000によれば、上述した慣性センサーの一例としての加速度センサー100を用いているため、加速度センサー100に係る効果を享受した慣性計測装置3000を提供することができる。
【符号の説明】
【0103】
1…基板、1A…環状領域、1B…凹み領域、1Bw…壁部、2…絶縁層、3…半導体層、3c…凹部、4…絶縁層、5…配線、51,52…配線、5c…コンタクトホール、6,61,62…電極パッド、7…接合材、8…蓋体、8A…環状領域、8A1…第1領域、8A2…第2領域、8B…凹み領域、8Bw…壁部、8Bb…底面、9…封止材、10…基体、31…加速度センサー素子、32…可動部、32e…可動電極、33…弾性部、34…固定部、34e…固定電極、37…枠、39…絶縁分離部、81…溝、81b…底面、81w…壁部、81s…下面、82…溝、82b…底面、82w…壁部、82s…下面、83s…下面、84…貫通孔、100…加速度センサー、101,102…慣性センサー、200,300…加速度センサー、131…X軸加速度センサー素子、132…Y軸加速度センサー素子、133…Z軸加速度センサー素子、134…X軸角速度センサー素子、135…Y軸角速度センサー素子、136…Z軸角速度センサー素子、3000…慣性計測装置、301…アウターケース、302…ネジ穴、310…接合部材、315…基板、316…コネクター、317x…X軸角速度センサー、317y…Y軸角速度センサー、317z…Z軸角速度センサー、319…制御IC、320…インナーケース、321…開口、325…センサーモジュール、331…凹部、1000…大判基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17