(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053211
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】超音波装置、搬送装置、イメージスキャナー
(51)【国際特許分類】
B65H 7/12 20060101AFI20240408BHJP
B41J 13/00 20060101ALI20240408BHJP
H04R 17/10 20060101ALI20240408BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B65H7/12
B41J13/00
H04R17/10 330Z
H04R3/00 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159313
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大澤 栄治
(72)【発明者】
【氏名】新井 義雄
【テーマコード(参考)】
2C059
3F048
5D019
【Fターム(参考)】
2C059AA26
2C059AA48
2C059AA49
2C059AA58
3F048AA08
3F048AB02
3F048BA05
3F048BA13
3F048BB09
3F048BB10
3F048CA02
3F048CA05
3F048CC03
3F048DA06
3F048DB07
3F048DB13
3F048DC00
5D019AA21
(57)【要約】
【課題】圧電素子を備える超音波受信素子は、使用形態によって受信感度が低下することがある。
【解決手段】超音波装置は、超音波発信素子と、振動板に積層された圧電素子を含み、超音波を受信する超音波受信素子と、超音波受信素子を制御する制御部と、を有し、圧電素子は、第1電極と、第1電極に対向する第2電極と、第1電極及び第2電極の間に介在する圧電体と、を有し、制御部は、超音波発信素子が超音波の発信を開始してから第1の時間が経過した後に、圧電体に第1の電界強度の電界が加わる第1の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加えて、受信駆動モードで圧電素子を駆動し、受信駆動モードを開始してから第2の時間が経過した後に、圧電体に第1の電界強度よりも低い第2の電界強度の電界が加わる第2の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加える低電界駆動モードで圧電素子を駆動する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発信する超音波発信素子と、
振動板に積層された圧電素子を含み、前記超音波を受信する超音波受信素子と、
前記超音波受信素子を制御する制御部と、を有し、
前記圧電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在する圧電体と、を有し、
前記制御部は、
前記第1電極と前記第2電極との間に加える直流電圧を制御することによって前記圧電素子の駆動を制御し、
前記超音波発信素子が前記超音波の発信を開始してから第1の時間が経過した後に、前記圧電体に第1の電界強度の電界が加わる第1の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加えて、前記超音波受信素子に前記超音波を受信させる受信駆動モードで前記圧電素子を駆動し、
前記受信駆動モードを開始してから第2の時間が経過した後に、前記圧電体に前記第1の電界強度よりも低い第2の電界強度の電界が加わる第2の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加える低電界駆動モードで前記圧電素子を駆動する、
超音波装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波装置と、
媒体を搬送路に沿って搬送するローラーと、を有し、
前記超音波発信素子と前記超音波受信素子とが、前記搬送路を挟んで対向する、
搬送装置。
【請求項3】
媒体を搬送路に沿って搬送するローラーと、
前記搬送路に設けられ、前記媒体の有無を検出する媒体センサーと、
超音波を発信する超音波発信素子と、
振動板に積層された圧電素子を含み、前記超音波を受信する超音波受信素子と、
前記超音波受信素子を制御する制御部と、を有し、
前記超音波発信素子と前記超音波受信素子とが、前記搬送路を挟んで対向し、
前記圧電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在する圧電体と、を有し、
前記制御部は、
前記第1電極と前記第2電極との間に加える直流電圧を制御することによって前記圧電素子の駆動を制御し、
前記媒体センサーによる検出結果が前記媒体の有を示すとき、前記圧電体に第1の電界強度の電界が加わる第1の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加えて、前記超音波受信素子に前記超音波を受信させる受信駆動モードで前記圧電素子を駆動し、
前記媒体センサーによる検出結果が前記媒体の無を示すとき、前記圧電体に前記受信駆動モードのときの前記電界の向きとは逆向きの電界が加わる第2の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加える逆電界駆動モードで前記圧電素子を駆動する、
搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送装置と、
前記搬送路を搬送される前記媒体の画像を読み取るイメージセンサーと、を有し、
前記媒体センサーは、前記イメージセンサーより前記搬送路の上流に位置し、
前記超音波受信素子は、前記媒体センサーより前記搬送路の上流に位置する、
イメージスキャナー。
【請求項5】
媒体を搬送路に沿って搬送するローラーと、
前記搬送路を搬送される前記媒体の画像を読み取るイメージセンサーと、
前記イメージセンサーより前記搬送路の上流に位置し、前記媒体の有無を検出する第1媒体センサーと、
前記第1媒体センサーより前記搬送路の上流に位置し、超音波を発信する超音波発信素子と、
振動板に積層された圧電素子を含み、前記搬送路を挟んで前記超音波発信素子に対向し、前記超音波を受信する超音波受信素子と、
前記超音波受信素子より前記搬送路の上流に位置し、前記媒体の有無を検出する第2媒体センサーと、
前記超音波受信素子を制御する制御部と、を有し、
前記圧電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在する圧電体と、を有し、
前記制御部は、
前記第1電極と前記第2電極との間に加える直流電圧を制御することによって前記圧電素子の駆動を制御し、
前記第1媒体センサーによる検出結果が前記媒体の有を示すとき、前記圧電体に第1の電界強度の電界が加わる第1の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加えて、前記超音波受信素子に前記超音波を受信させる受信駆動モードで前記圧電素子を駆動し、
前記第2媒体センサーによる検出結果が前記媒体の無を示すとき、前記圧電体に前記受信駆動モードのときの前記電界の向きとは逆向きの電界が加わる第2の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加える逆電界駆動モードで前記圧電素子を駆動する、
イメージスキャナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波装置、搬送装置、イメージスキャナーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、超音波センサーを備えたイメージスキャナーを開示する。イメージスキャナーは、搬送装置によって搬送される用紙の画像を読み取る。用紙は、媒体の一例である。搬送装置は、用紙を搬送経路に沿って搬送する。超音波センサーは、搬送経路に配置される。超音波センサーは、用紙の重送を検出する。超音波センサーは、超音波を受信する超音波受信素子を有する。超音波受信素子は、超音波を受けて振動可能な振動部と、振動部に配置された圧電素子とを有する。振動部の振動に応じて、圧電素子から電気信号が出力される。圧電素子から出力される電気信号の強度によって用紙の重送を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電素子を備える超音波受信素子は、使用形態によって受信感度が低下することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
超音波装置は、超音波を発信する超音波発信素子と、振動板に積層された圧電素子を含み、前記超音波を受信する超音波受信素子と、前記超音波受信素子を制御する制御部と、を有し、前記圧電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在する圧電体と、を有し、前記制御部は、前記第1電極と前記第2電極との間に加える直流電圧を制御することによって前記圧電素子の駆動を制御し、前記超音波発信素子が前記超音波の発信を開始してから第1の時間が経過した後に、前記圧電体に第1の電界強度の電界が加わる第1の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加えて、前記超音波受信素子に前記超音波を受信させる受信駆動モードで前記圧電素子を駆動し、前記受信駆動モードを開始してから第2の時間が経過した後に、前記圧電体に前記第1の電界強度よりも低い第2の電界強度の電界が加わる第2の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加える低電界駆動モードで前記圧電素子を駆動する。
【0006】
搬送装置は、上記の超音波装置と、媒体を搬送路に沿って搬送するローラーと、を有し、前記超音波発信素子と前記超音波受信素子とが、前記搬送路を挟んで対向する。
【0007】
搬送装置は、媒体を搬送路に沿って搬送するローラーと、前記搬送路に設けられ、前記媒体の有無を検出する媒体センサーと、超音波を発信する超音波発信素子と、振動板に積層された圧電素子を含み、前記超音波を受信する超音波受信素子と、前記超音波受信素子を制御する制御部と、を有し、前記超音波発信素子と前記超音波受信素子とが、前記搬送路を挟んで対向し、前記圧電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在する圧電体と、を有し、前記制御部は、前記第1電極と前記第2電極との間に加える直流電圧を制御することによって前記圧電素子の駆動を制御し、前記媒体センサーによる検出結果が前記媒体の有を示すとき、前記圧電体に第1の電界強度の電界が加わる第1の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加えて、前記超音波受信素子に前記超音波を受信させる受信駆動モードで前記圧電素子を駆動し、前記媒体センサーによる検出結果が前記媒体の無を示すとき、前記圧電体に前記受信駆動モードのときの前記電界の向きとは逆向きの電界が加わる第2の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加える逆電界駆動モードで前記圧電素子を駆動する。
【0008】
イメージスキャナーは、上記の搬送装置と、前記搬送路を搬送される前記媒体の画像を読み取るイメージセンサーと、を有し、前記媒体センサーは、前記イメージセンサーより前記搬送路の上流に位置し、前記超音波受信素子は、前記媒体センサーより前記搬送路の上流に位置する。
【0009】
イメージスキャナーは、媒体を搬送路に沿って搬送するローラーと、前記搬送路を搬送される前記媒体の画像を読み取るイメージセンサーと、前記イメージセンサーより前記搬送路の上流に位置し、前記媒体の有無を検出する第1媒体センサーと、前記第1媒体センサーより前記搬送路の上流に位置し、超音波を発信する超音波発信素子と、振動板に積層された圧電素子を含み、前記搬送路を挟んで前記超音波発信素子に対向し、前記超音波を受信する超音波受信素子と、前記超音波受信素子より前記搬送路の上流に位置し、前記媒体の有無を検出する第2媒体センサーと、前記超音波受信素子を制御する制御部と、を有し、前記圧電素子は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に介在する圧電体と、を有し、前記制御部は、前記第1電極と前記第2電極との間に加える直流電圧を制御することによって前記圧電素子の駆動を制御し、前記第1媒体センサーによる検出結果が前記媒体の有を示すとき、前記圧電体に第1の電界強度の電界が加わる第1の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加えて、前記超音波受信素子に前記超音波を受信させる受信駆動モードで前記圧電素子を駆動し、前記第2媒体センサーによる検出結果が前記媒体の無を示すとき、前記圧電体に前記受信駆動モードのときの前記電界の向きとは逆向きの電界が加わる第2の直流電圧を、前記第1電極と前記第2電極との間に加える逆電界駆動モードで前記圧電素子を駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】イメージスキャナーの概略構成を説明する模式図。
【
図5】イメージスキャナーの制御構成を示すブロック図。
【
図6】発信駆動及び受信駆動の第1例を示すタイミングチャート。
【
図7】第1例の受信駆動による超音波受信素子の感度変化を示す図。
【
図8】発信駆動及び受信駆動の第2例を示すタイミングチャート。
【
図9】第2例の受信駆動による超音波受信素子の感度変化を示す図。
【
図10】発信駆動及び受信駆動の第3例を示すタイミングチャート。
【
図11】第3例の受信駆動による超音波受信素子の感度変化を示す図。
【
図12】第3例の受信駆動による超音波受信素子の感度変化を示す図。
【
図13】イメージスキャナーの構成例1を説明する模式図。
【
図14】イメージスキャナーの構成例2を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態についてイメージスキャナーを例に説明する。イメージスキャナー1は、
図1に示すように、外装2と、原稿サポート3と、を備える。イメージスキャナー1は、原稿サポート3に載置された原稿Mの画像を読み取る読取装置である。原稿Mは、媒体の一例である。
【0012】
外装2は、イメージスキャナー1の外殻を構成する。外装2には、供給口4、及び排出口5が設けられる。原稿サポート3は、カットシート態様の原稿Mを載置する。原稿サポート3は、複数枚の原稿Mを載置可能に構成される。原稿サポート3は、外装2の上方に配置される。原稿サポート3は、供給口4と接続する位置に設けられる。供給口4は、原稿サポート3に載置された原稿Mを外装2の内部に導入する導入口である。供給口4は、原稿サポート3と接続する。供給口4は、外装2の上方に配置される。排出口5は、供給口4から外装2の内部に導入された原稿Mを外装2の外部に排出する出口である。排出口5は、外装2の下方に設けられる。
【0013】
イメージスキャナー1は、
図2に示すように、外装2の内部に、搬送装置7と、読取ユニット8と、超音波センサー9と、制御ユニット11と、を備える。搬送装置7は、供給口4から外装2の内部に導入される原稿Mを排出口5に向けて搬送方向Tに搬送する。搬送装置7は、外装2の上方から下方に向けて原稿Mを搬送する。原稿Mは、紙に限定されない。原稿Mは、フィルムや布帛等で構成されてもよい。搬送装置7は、原稿サポート3に載置された原稿Mを一枚ずつ搬送する。搬送装置7は、搬送経路12と、第1搬送ローラー対13と、第2搬送ローラー対14と、第3搬送ローラー対15と、第4搬送ローラー対16と、を備える。
【0014】
搬送経路12は、供給口4から排出口5までの原稿Mの移動経路である。原稿Mは、搬送経路12に沿って、供給口4から排出口5まで搬送される。搬送経路12に沿って、第1搬送ローラー対13、第2搬送ローラー対14、第3搬送ローラー対15、及び第4搬送ローラー対16が、配置される。搬送経路12は、搬送路の一例に対応する。第1搬送ローラー対13、第2搬送ローラー対14、第3搬送ローラー対15、及び第4搬送ローラー対16のそれぞれは、搬送ローラーの一例である。
【0015】
第1搬送ローラー対13は、供給口4に供給される原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。原稿サポート3に複数枚の原稿Mが載置される場合、第1搬送ローラー対13は、複数枚の原稿Mのうち、最上位に位置する原稿Mを搬送経路12内に供給する。第1搬送ローラー対13は、第1駆動ローラー13A、及び第1従動ローラー13Bを備える。第1駆動ローラー13Aは、原稿Mを搬送させる駆動力を伝達する。第1駆動ローラー13Aは、後述する搬送モーター17の駆動力によって回転駆動する。第1駆動ローラー13Aは、回転駆動することによって、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第1従動ローラー13Bは、第1駆動ローラー13Aと接触する。第1従動ローラー13Bは、第1駆動ローラー13Aが回転駆動すると従動回転する。第1従動ローラー13Bは、第1駆動ローラー13Aと原稿Mを挟持し、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。
【0016】
第2搬送ローラー対14は、第1搬送ローラー対13に対して、搬送方向Tの下流に配置される。第2搬送ローラー対14は、第1搬送ローラー対13で搬送された原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第2搬送ローラー対14は、第1搬送ローラー対13で搬送された原稿Mを一枚ずつに分離する分離機構として機能する。第2搬送ローラー対14は、第2駆動ローラー14A、及び第2従動ローラー14Bを備える。第2駆動ローラー14Aは、原稿Mを搬送させる駆動力を伝達する。第2駆動ローラー14Aは、搬送モーター17の駆動力によって回転駆動する。第2駆動ローラー14Aは、回転駆動することによって、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第2従動ローラー14Bは、第2駆動ローラー14Aと接触する。第2従動ローラー14Bは、第2駆動ローラー14Aが回転駆動すると従動回転する。第2従動ローラー14Bは、第2駆動ローラー14Aと原稿Mを挟持し、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第2従動ローラー14Bの外周面の原稿Mに対する摩擦係数は、第2駆動ローラー14Aの外周面の原稿Mに対する摩擦係数よりも大きい。第2搬送ローラー対14の回転により原稿Mは1枚ずつに分離される。
【0017】
第3搬送ローラー対15は、第2搬送ローラー対14に対して、搬送方向Tの下流に配置される。第3搬送ローラー対15は、第2搬送ローラー対14で搬送された原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第3搬送ローラー対15は、第3駆動ローラー15A、及び第3従動ローラー15Bを備える。第3駆動ローラー15Aは、原稿Mを搬送させる駆動力を伝達する。第3駆動ローラー15Aは、搬送モーター17の駆動力によって回転駆動する。第3駆動ローラー15Aは、回転駆動することによって、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第3従動ローラー15Bは、第3駆動ローラー15Aと接触する。第3従動ローラー15Bは、第3駆動ローラー15Aが回転駆動すると従動回転する。第3従動ローラー15Bは、第3駆動ローラー15Aと原稿Mを挟持し、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。
【0018】
第4搬送ローラー対16は、第3搬送ローラー対15に対して、搬送方向Tの下流に配置される。第4搬送ローラー対16は、第3搬送ローラー対15で搬送された原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第4搬送ローラー対16は、排出口5に向けて原稿Mを搬送する。第4搬送ローラー対16は、第4駆動ローラー16A、及び第4従動ローラー16Bを備える。第4駆動ローラー16Aは、原稿Mを搬送させる駆動力を伝達する。第4駆動ローラー16Aは、搬送モーター17の駆動力によって回転駆動する。第4駆動ローラー16Aは、回転駆動することによって、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。第4従動ローラー16Bは、第4駆動ローラー16Aと接触する。第4従動ローラー16Bは、第4駆動ローラー16Aが回転駆動すると従動回転する。第4従動ローラー16Bは、第4駆動ローラー16Aと原稿Mを挟持し、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する。
【0019】
読取ユニット8は、搬送経路12に沿って搬送される原稿Mを読み取る。読取ユニット8は、搬送経路12に沿って配置される。本実施形態では、読取ユニット8は、第3搬送ローラー対15と第4搬送ローラー対16との間に配置される。換言すれば、読取ユニット8は、搬送経路12で第4搬送ローラー対16の上流に位置する。読取ユニット8は、搬送経路12で第3搬送ローラー対15の下流に位置する。読取ユニット8は、第1スキャナー8Aと、第2スキャナー8Bと、を備える。第1スキャナー8Aと、第2スキャナー8Bとは、搬送経路12を挟んで互いに反対側に位置する。
【0020】
第1スキャナー8Aは、搬送経路12に沿って搬送される原稿Mの第1面を読み取る。第1スキャナー8Aは、原稿Mの第1面を読み取り、第1読取データを生成する。第1スキャナー8Aは、第1光源18A、及び第1イメージセンサー19Aを有する。第1光源18Aは、原稿Mの第1面に光を照射する。第1光源18Aは、原稿Mの第1面と対向する位置に配置される。第1光源18Aは、原稿Mの搬送方向Tと直交する原稿幅方向に沿って光を照射する。
【0021】
第1イメージセンサー19Aは、原稿Mの第1面から反射された光を受光する。第1イメージセンサー19Aは、光を受光することによって、原稿Mの第1面を読み取る。第1イメージセンサー19Aは、原稿幅方向に延在して構成される。第1スキャナー8Aは、第1光源18Aからの光を原稿Mの第1面に照射し、原稿Mの第1面で反射された光を第1イメージセンサー19Aで受光する。第1イメージセンサー19Aは、第1イメージセンサー19Aで光を受光することによって、原稿Mの第1面を読み取る。
【0022】
第2スキャナー8Bは、搬送経路12に沿って搬送される原稿Mの第2面を読み取る。原稿Mの第2面は、原稿Mの第1面の裏面である。第2スキャナー8Bは、原稿Mの第2面を読み取り、第2読取データを生成する。第2スキャナー8Bは、第2光源18B、及び第2イメージセンサー19Bを有する。第2光源18Bは、原稿Mの第2面に光を照射する。第2光源18Bは、原稿Mの第2面と対向する位置に配置される。第2光源18Bは、原稿Mの搬送方向Tと直交する原稿幅方向に沿って光を照射する。第2光源18Bの構成は、第1光源18Aと同じでもよいし、異なっていてもよい。第2光源18Bの構成は、第1光源18Aと同じであることが好ましい。
【0023】
第2イメージセンサー19Bは、原稿Mの第2面から反射された光を受光する。第2イメージセンサー19Bは、光を受光することによって、原稿Mの第2面を読み取る。第2イメージセンサー19Bは、原稿幅方向に延在して構成される。第2イメージセンサー19Bの構成は、第1イメージセンサー19Aの構成と同じでもよいし、異なっていてもよい。第2イメージセンサー19Bの構成は、第1イメージセンサー19Aと同じであることが好ましい。第2スキャナー8Bは、第2光源18Bからの光を原稿Mの第2面に照射し、原稿Mの第2面で反射された光を第2イメージセンサー19Bで受光する。第2イメージセンサー19Bは、第2イメージセンサー19Bで光を受光することによって、原稿Mの第2面を読み取る。
【0024】
超音波センサー9は、搬送経路12に沿って搬送される原稿Mの重送を検出する。本実施形態では、超音波センサー9は、第2搬送ローラー対14と第3搬送ローラー対15との間に配置される。換言すれば、超音波センサー9は、搬送経路12で第3搬送ローラー対15の上流に位置する。超音波センサー9は、搬送経路12で第2搬送ローラー対14の下流に位置する。超音波センサー9は、搬送経路12に沿って配置される。超音波センサー9は、搬送装置7の構成の一部である。超音波センサー9は、送信ユニット21と、受信ユニット22と、を備える。送信ユニット21と受信ユニット22とは、搬送経路12を挟んで互いに反対側に位置する。
【0025】
送信ユニット21は、超音波を送信する。送信ユニット21は、超音波発信素子を備える。超音波発信素子は、超音波を発信する。超音波発信素子によって発信された超音波は、送信ユニット21から搬送経路12に向けて送信される。送信ユニット21と対向する位置に原稿Mが搬送されているときに超音波が送信されると、超音波は、原稿Mを通過して受信ユニット22に送信される。超音波が原稿Mを通過するとき、超音波の音圧は減衰する。
【0026】
受信ユニット22は、超音波を受信する。受信ユニット22は、超音波受信素子を備える。超音波受信素子は、超音波を受信する。送信ユニット21から搬送経路12に向けて送信される超音波は、受信ユニット22の超音波受信素子によって受信される。受信ユニット22は、送信ユニット21から送信され、搬送経路12を通過した超音波を受信する。送信ユニット21と対向する位置に原稿Mが搬送されているときに超音波が送信されると、受信ユニット22は、原稿Mを通過した超音波を受信する。受信ユニット22は、超音波の音圧に応じた受信信号を生成する。受信ユニット22は、生成した受信信号を制御ユニット11に送信する。
【0027】
送信ユニット21と受信ユニット22は、互いに同じ構成を有する。送信ユニット21、及び受信ユニット22の構成は、後述される。超音波センサー9は、送信ユニット21、及び受信ユニット22を備えるが、この構成に限定されない。送信ユニット21が、受信ユニット22の機能を有してもよい。送信ユニット21は、原稿Mから反射された超音波を受信する。送信ユニット21は、受信した超音波の音圧に応じた受信信号を生成する。送信ユニット21は、生成した受信信号を制御ユニット11に送信する。
【0028】
制御ユニット11は、各種の制御を行うコントローラーである。制御ユニット11は、一例として、CPU(Central Processing Unit)を有するプロセッサーである。制御ユニット11は、1つ又は複数のプロセッサーで構成されてもよい。制御ユニット11は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリーを有してもよい。メモリーは、制御ユニット11のワークエリアとして機能する。制御ユニット11は、図示しないメモリーに記憶される制御プログラムを実行することによって、各種の機能部として機能する。
【0029】
制御ユニット11は、搬送モーター17の駆動を制御することによって、搬送装置7による原稿Mの搬送を制御する。制御ユニット11は、搬送モーター17を駆動させることによって、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送させる。制御ユニット11は、原稿Mの搬送を開始するタイミング、原稿Mの搬送速度、原稿Mの搬送停止等を制御する。制御ユニット11は、読取ユニット8の駆動を制御することによって、原稿Mの読取を制御する。制御ユニット11は、読取ユニット8を動作させることによって、読取ユニット8に原稿Mを読み取らせる。制御ユニット11は、読取ユニット8の読取開始タイミング、読取停止タイミング、片面/両面読取等を制御する。搬送モーター17は、各種駆動ローラーを駆動させる駆動力を発生する。搬送モーター17は、発生した駆動力を図示しない駆動伝達機構を介して、各種駆動ローラーに伝達する。搬送モーター17は、第1駆動ローラー13A、第2駆動ローラー14A、第3駆動ローラー15A、及び第4駆動ローラー16Aを回転駆動させる。
【0030】
制御ユニット11は、超音波センサー9が出力した受信信号を受信する。制御ユニット11は、受信した受信信号に基づいて、原稿Mの重送を検出する。制御ユニット11は、重送を検出したとき、原稿Mの搬送を停止させる。制御ユニット11は、搬送装置7を制御することによって、原稿Mの搬送を停止させる。また、制御ユニット11は、超音波センサー9の駆動を制御する。制御ユニット11は、送信ユニット21の超音波発信素子の駆動を制御する。制御ユニット11は、受信ユニット22の超音波受信素子の駆動を制御する。超音波センサー9と制御ユニット11とは、超音波装置の一例である。
【0031】
送信ユニット21及び受信ユニット22は、それぞれ、
図3に示す超音波素子基板31を備える。超音波素子基板31は、複数の超音波素子32を備える。超音波素子32は、供給される駆動信号に応じて、超音波を発信したり、超音波を受信したりする。送信ユニット21の超音波素子基板31では、超音波素子32を超音波発信素子32Aと呼ぶ。受信ユニット22の超音波素子基板31では、超音波素子32を超音波受信素子32Bと呼ぶ。複数の超音波素子32は、超音波素子基板31の主面33に形成されている。主面33は、超音波素子基板31を構成する複数の面のうち最も面積が広い2つの面の一方である。
【0032】
図3を含む複数の図には、X軸、Y軸、及びZ軸が記される。Z軸は、主面33に垂直な方向に沿う。X軸は、Z軸と直交する軸である。X軸は、超音波素子基板31の長辺と平行な軸である。Y軸は、Z軸及びX軸のそれぞれに直交する軸である。Y軸は、超音波素子基板31の短辺と平行な軸である。X軸、Y軸、及びZ軸には、それぞれ、矢印が記される。矢印が示す方向を+方向とする。+方向と逆方向を-方向とする。+Z方向は、主面33から主面33の裏面に向かう方向である。
図3は、超音波素子基板31を+Z方向に平面視した図である。
【0033】
超音波素子基板31では、複数の超音波素子32が素子アレイ35を構成する。素子アレイ35は、複数の超音波素子32の配列である。超音波素子基板31において、複数の超音波素子32は、X軸に沿った配列を行とし、Y軸に沿った配列を列とする行列を構成する。
図3中のA-A線での断面図である
図4に示すように、超音波素子基板31は、基板本体部41と、振動板42と、圧電素子43と、を備える。基板本体部41と振動板42と圧電素子43とは、Z軸に沿って配置される。振動板42は、基板本体部41の-Z方向に配置される。圧電素子43は、振動板42の-Z方向に配置される。
【0034】
基板本体部41は、Si等の半導体基板で構成される。基板本体部41には、複数の開口部45が形成されている。開口部45は、隔壁46によって囲まれる。複数の開口部45は、X軸、及びY軸に沿って設けられる。開口部45は、基板本体部41を貫通する。複数の開口部45は、隔壁46によって区画される。基板本体部41の-Z方向に振動板42が設けられているため、開口部45の-Z方向の一端が振動板42によって塞がれる。開口部45は、+Z方向に開口する。超音波素子基板31では、開口部45を介して振動板42が露出する。振動板42は、酸化シリコン及び酸化ジルコニウムの積層体等により構成される。振動板42は、基板本体部41の隔壁46によって支持される。振動板42の+Z方向の面である振動面47を構成する。
【0035】
1つの開口部45は、1つの圧電素子43に対応している。圧電素子43ごとに開口部45が形成される。基板本体部41に開口部45を形成することによって隔壁46が構成される。換言すれば、基板本体部41に開口部45を形成した残りの部分が隔壁46である。振動板42のうち1つの開口部45に重なる部分と、1つの開口部45に重なる圧電素子43とが、1つの超音波素子32を構成する。送信ユニット21では、1つの超音波素子32が1つの超音波発信素子32Aである。送信ユニット21では、振動板42が振動することによって振動面47から超音波を送信する。超音波発信素子32Aは、電気信号を超音波に変換する。超音波受信素子32Bは、超音波を電気信号に変換する。送信ユニット21では、超音波発信素子32Aは、電気信号を超音波に変換し、超音波を送信する。受信ユニット22では、超音波受信素子32Bは、超音波を受信し、超音波を電気信号に変換する。
【0036】
受信ユニット22では、1つの超音波素子32が1つの超音波受信素子32Bである。受信ユニット22では、振動面47で超音波を受信することによって振動板42が振動する。振動板42の振動に応じて圧電素子43から電気信号が出力される。圧電素子43は、振動板42が超音波を受信して振動したときに、振動を信号に変換する。複数の圧電素子43は、振動板42の-Z方向の面に設けられる。圧電素子43は、開口部45の-Z方向の位置に配置される。圧電素子43は、第1電極49と、圧電体51と、第2電極53と、を有する。第1電極49は、振動板42の-Z方向の面に配置される。第1電極49、圧電体51、第2電極53は、この順に振動板42の-Z方向の面に積層される。圧電体51は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で構成される。
【0037】
図3に示すように、第1電極49は、素子アレイ35の行ごとに複数の圧電素子43に共通して接続される電極である。第2電極53は、複数の圧電素子43に接続される共通電極である。超音波発信素子32Aでは、第1電極49は、複数の圧電素子43の圧電体51に電気信号を送信する。圧電体51は、電気信号によって伸縮する。第1電極49と第2電極53との間に所定周波数のパルス波電圧が印加されることによって、圧電体51は、伸縮する。圧電体51の伸縮によって、
図4に示す振動面47が開口部45の開口幅等に応じた周波数で振動する。これにより、超音波発信素子32Aは、超音波を発信する。
【0038】
超音波受信素子32Bでは、第1電極49は、複数の圧電素子43の圧電体51から電気信号を受信する。超音波受信素子32Bでは、
図4に示す振動面47が超音波を受けると振動板42を介して圧電体51が伸縮する。圧電体51が伸縮すると、第1電極49と第2電極53との間の電位差が変化する。超音波受信素子32Bは、電位差の変化に応じた電気信号を出力する。生成した電気信号は、受信信号として制御ユニット11に出力される。
【0039】
イメージスキャナー1は、
図5に示すように、送信回路56と、電源回路57と、受信回路58とを有する。イメージスキャナー1は、パーソナルコンピューター等の外部機器と通信するためのインターフェイス部を有してもよい。制御ユニット11は、演算部61と、メモリー62と、を有する。演算部61は、搬送制御部63と、読取制御部64と、重送判定部65と、駆動制御部66と、を含む。メモリー62は、制御ユニット11のワークエリアとして機能する。制御ユニット11は、メモリー62に記憶される制御プログラムを実行することによって、各種の機能部として機能する。
【0040】
制御ユニット11は、メモリー62に記憶される制御プログラムを実行することによって、搬送制御部63、読取制御部64、重送判定部65、及び駆動制御部66の各機能部として機能する。搬送制御部63は、搬送モーター17の駆動を制御する。搬送制御部63は、搬送モーター17の駆動を制御することによって搬送装置7を制御する。読取制御部64は、読取ユニット8を制御する。読取制御部64は、読取ユニット8に原稿Mの画像を読み取らせる。
【0041】
送信回路56は、送信ユニット21の超音波発信素子32Aと電気的に接続される。送信回路56は、制御ユニット11からの指令に基づいて、各超音波発信素子32Aに印加する駆動信号を生成する。電源回路57は、受信ユニット22の超音波受信素子32Bと電気的に接続される。電源回路57は、制御ユニット11からの指令に基づいて、各超音波受信素子32Bに印加する直流電圧を発生する。送信回路56及び電源回路57は、それぞれ、制御ユニット11の駆動制御部66によって制御される。受信回路58は、受信ユニット22の超音波受信素子32Bから出力された受信信号に各種の処理を施してから、受信信号を制御ユニット11に出力する。
【0042】
受信回路58はバンドパスフィルター67、アンプ68、サンプルアンドホールド回路69及びコンパレーター71を含む。受信ユニット22から出力された受信信号は、バンドパスフィルター67に入力される。バンドパスフィルター67により受信信号からノイズ成分等が除去される。アンプ68により所定の信号強度以上となるように受信信号が増幅される。次に、受信信号はサンプルアンドホールド回路69に入力される。サンプルアンドホールド回路69は所定の周波数で受信信号をサンプリングする。サンプリングされた受信信号はコンパレーター71に入力される。コンパレーター71はサンプリングされた受信信号のうち信号強度が所定の判定強度を超える受信信号を検出する。コンパレーター71は判定強度を超える受信信号を制御ユニット11に送信する。
【0043】
重送判定部65は原稿Mの重送状態を検出する。受信ユニット22は、送信ユニット21から送信され、原稿Mを透過した超音波を受信する。受信ユニット22は、受信した超音波に応じた受信信号を出力する。重送判定部65は、受信ユニット22から入力された受信信号に基づいて、原稿Mの状態を判定する。受信信号の電圧値が判定値より小さい場合に、重送判定部65は原稿Mが重送されていると判定する。重送判定部65によって原稿Mが重送されていると判定された場合、搬送制御部63は、原稿Mの搬送を停止する。
【0044】
駆動制御部66は、送信回路56に駆動信号の発生を指示する。駆動信号の発生指示を受けた送信回路56は、所定周波数のパルス波電圧を駆動信号として送信ユニット21に出力する。本実施形態では、送信ユニット21に出力される駆動信号は、バースト波の駆動信号である。送信回路56から送信ユニット21に出力される駆動信号によって超音波発信素子32Aを駆動することを発信駆動と呼ぶ。
【0045】
駆動制御部66は、電源回路57を制御する。駆動制御部66は、電源回路57を制御することによって、超音波受信素子32Bに印加する駆動電圧を制御する。駆動制御部66は、電源回路57を制御することによって、超音波受信素子32Bに直流電圧を印加したり、直流電圧の印加を停止したりする。駆動制御部66は、電源回路57を制御することによって、超音波受信素子32Bに印加する駆動電圧の電圧値を変化させる。駆動制御部66が電源回路57を制御することによって、超音波受信素子32Bに駆動電圧を印加することを受信駆動と呼ぶ。
【0046】
送信ユニット21、受信ユニット22、送信回路56、電源回路57、受信回路58、及び駆動制御部66は、超音波装置73の構成の一部である。機能部としての駆動制御部66は、制御部の一例である。超音波装置73は、送信ユニット21、受信ユニット22、送信回路56、電源回路57、受信回路58、及び駆動制御部66を含む。しかしながら、超音波装置73の構成要素は、これらに限定されず、他の構成を含んでいてもよい。
【0047】
発信駆動及び受信駆動の第1例を説明する。
図6に示すように、イメージスキャナー1の電源がオフからオンに変化すると、受信駆動が開始される。
図6に示す第1例では、受信駆動が開始されると受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧が印加される。受信駆動電圧J1は、直流電圧の電圧値である。受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧を印加するモードを受信駆動モードと呼ぶ。受信駆動モードは、超音波受信素子32Bによる超音波の受信が可能なモードである。受信ユニット22は、受信駆動モードのときに超音波を受信する。
【0048】
図6に示す第1例では、イメージスキャナー1の電源がオフからオンに変化すると、受信駆動モードでの受信駆動が開始される。
図6に示す第1例では、イメージスキャナー1の電源がオン状態にあるとき、受信駆動電圧J1での受信駆動モードが維持される。
図6に示す第1例では、イメージスキャナー1の電源がオフからオンに変化した後にオフになるまで、受信駆動電圧J1での受信駆動モードが維持される。
【0049】
図6に示す発信駆動は、非発信期間を経過してから発信期間が開始される。イメージスキャナー1の電源がオフからオンに変化すると、非発信期間の経過後に発信期間が開始する。発信期間が開始すると、バースト波の駆動信号が
図5に示す送信回路56から送信ユニット21に出力される。バースト波の駆動信号の電圧値を発信駆動電圧H1と呼ぶ。発信駆動では、非発信期間と発信期間とが交互に発生する。非発信期間の長さは、イメージスキャナー1の動作に応じて種々変化する。発信期間の長さは、イメージスキャナー1の動作に応じて種々変化する。
【0050】
発信駆動では、イメージスキャナー1の電源がオフからオンに変化した後にオフになるまでの間に、非発信期間と発信期間とがそれぞれ1回ずつ発生する場合がある。発信駆動では、イメージスキャナー1の電源がオフからオンに変化した後にオフになるまでの間に、非発信期間と発信期間とが交互に反復して発生する場合がある。この場合、非発信期間の回数と、発信期間の回数とが同数とは限らない。
【0051】
第1例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化を調査した。
図7に示すグラフは、受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始してから経過時間ごとに超音波受信素子32Bの感度変化を測定した結果である。
図7に示すように、第1例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度は、10分程度の経過時間で約90%に低下した。感度変化は、受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後の感度を100%としたときの変化率を示す。超音波受信素子32Bの感度は、
図5に示す受信回路58のアンプ68から出力される出力信号の振幅を測定することによって把握される。受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後にアンプ68から出力される出力信号の振幅値を100%とした。
【0052】
図7に示すグラフは、90分の経過時間までの結果を示す。第1例の受信駆動では、90分の経過時間で超音波受信素子32Bの感度が88%に低下した。受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧を印加したときに1つの超音波受信素子32Bに印加される電界強度は、4.84kV/mmである。受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧を印加したときに1つの超音波受信素子32Bに印加される4.84kV/mmの電界強度は、第1の電界強度の一例である。
【0053】
発信駆動及び受信駆動の第2例を説明する。
図8に示すように、第2例では、イメージスキャナー1の電源がオフからオンに変化すると、非駆動モードで受信駆動が開始される。なお、第2例での発信駆動は、第1例と同一である。非駆動モードは、受信駆動の駆動モードの1つである。非駆動モードは、受信ユニット22に駆動電圧を印加しないモードである。換言すれば、非駆動モードは、受信ユニット22に0Vの駆動電圧を印加するモードである。非駆動モードでは、超音波受信素子32Bが駆動されない。発信駆動の発信期間が開始してから時間T1を経過した後に受信駆動の受信駆動モードが実施される。受信駆動モードの実施時間は、時間T2である。受信駆動は、受信駆動モードを開始してから時間T2を経過した後に、低電界駆動モードに移行する。その後、発信駆動の発信期間において、受信駆動モードと低電界駆動モードとが交互に反復実施される。
【0054】
発信駆動の駆動信号は、バースト波の信号波形W1が時間T3の周期で反復する。バースト波の信号波形W1が出現する時間T4は、発信駆動期間である。連続する2つの信号波形W1の間の時間T5は、非発信駆動期間である。時間T3から発信駆動期間を除いた期間が非発信駆動期間である。信号波形W1が出現してから時間T1が経過した後に、受信駆動の受信駆動モードが開始される。受信駆動モードは、信号波形W1が出現するごとに実施される。受信駆動モードを開始してから時間T2を経過した後に、低電界駆動モードが実施される。時間T1、時間T2、時間T3、時間T4、及び時間T5は、下記(1)式を満たす。
T3>T5>T2>T1>T4…(1)
【0055】
低電界駆動モードは、受信ユニット22に受信駆動電圧J1よりも低い電圧値である低電圧L1を印加するモードである。第2例では、受信駆動電圧J1よりも低い電圧として0Vが採用される。第2例での受信駆動の駆動波形は、受信駆動電圧J1のパルス波形を構成する。受信駆動電圧J1は、第1例と同一の電圧値である。0Vの低電圧L1を受信ユニット22に印加したときに1つの超音波受信素子32Bに印加される電界強度は、0.00kV/mmである。受信ユニット22に低電圧L1を印加したときに1つの超音波受信素子32Bに印加される0.00kV/mmの電界強度は、第2の電界強度の一例である。
【0056】
第2例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化を調査した。第2例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化を
図9に示す。
図9に示すグラフは、受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始してから経過時間ごとに超音波受信素子32Bの感度変化を測定した結果である。感度変化は、上記第1例と同様に、受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後の感度を100%としたときの変化率を示す。受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後にアンプ68から出力される出力信号の振幅値を100%とした。
図9には、第1例の感度変化の結果も併記されている。
【0057】
図9に示すように、第2例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化は、第1例に比較して軽減している。第2例の受信駆動による感度変化は、測定開始から90分が経過するまで、いずれの測定結果も第1例の感度変化よりも小さい。経過時間が90分のときに第1例での感度が88%に低下している。それに対して、経過時間が90分のときに第2例での感度低下は94%にとどまった。上記の通り、第2例の受信駆動によって、超音波受信素子32Bの感度低下を軽減することができる。
【0058】
発信駆動及び受信駆動の第3例を説明する。
図10に示すように、発信駆動は、非発信期間と発信期間とが交互に反復する。非発信期間の時間は、時間T6である。発信期間の時間は、時間T7である。非発信期間は、駆動信号が出力されない期間である。発信期間は、バースト波の駆動信号が出力される期間である。発信期間に信号波形W1が時間T3の周期で反復する。第3例での発信期間は、第2例での発信期間と同一である。
図10には、第2例での非発信期間と発信期間とが交互に反復する様子が示される。
【0059】
第3例での受信駆動は、受信駆動モードと逆電界駆動モードとを含む。受信駆動モードと逆電界駆動モードとが交互に反復する。逆電界駆動モードは、発信駆動の非発信期間に対応して実施される。発信駆動の非発信期間ごとに逆電界駆動モードが実施される。逆電界駆動モードの時間は、時間T8である。受信駆動モードは、発信駆動の発信期間に対応して実施される。発信駆動の発信期間ごとに受信駆動モードが実施される。受信駆動モードの時間は、時間T9である。時間T3と、時間T6、時間T7と、時間T8と、時間T9とは、下記(2)式を満たす。
T9>T7>T6>T8>T3…(2)
【0060】
逆電界駆動モードは、受信駆動モードにより圧電体51に印加される電界の向きと逆向きの電界を圧電体51に印加するモードである。逆電界駆動モードは、圧電素子43の第1電極49及び第2電極53における電位の高低を入れ替えることによって達成される。換言すれば、第1電極49の電位の極性と、第2電極53の電位の極性とを入れ替えることによって逆電界駆動モードが達成される。例えば、受信駆動モードで第1電極49を正極とし、第2電極53を負極とする場合、逆電界駆動モードでは、第1電極49が負極とされ、第2電極53が正極とされる。
【0061】
図10では、逆向きの電界を示すために逆電界駆動モードにおける電圧を逆電圧F1及び逆電圧F2と表現される。
図10では、受信駆動の電圧値は、第1電極49の電位と第2電極53の電位との差の絶対値ではない。
図10では、受信駆動の電圧値は、第1電極49及び第2電極53の一方の電位を0Vとしたときの他方の電位の値を示す。このことは、第1電極49及び第2電極53の一方の電位を基準としたときの他方の電位の高低差を示すことと等しい。
【0062】
第3例では、発信駆動の発信期間が終了してから時間T10が経過した後に受信駆動の逆電界駆動モードが開始する。逆電界駆動モードが開始してから時間T8が経過すると逆電界駆動モードが終了する。逆電界駆動モードが終了すると受信駆動モードに移行する。受信駆動モードが開始してから時間T11が経過した後に発信駆動の発信期間が開始する。換言すれば、逆電界駆動モードが終了してから時間T11が経過した後に発信駆動の発信期間が開始する。発信期間が開始してから時間T7が経過すると発信期間が終了する。発信期間が終了してから時間T10が経過した後に受信駆動モードが終了する。
【0063】
図10には、逆電界駆動モードを達成する電圧として、逆電圧F1及び逆電圧F2の2種類の電圧値が併記されている。逆電圧F1及び逆電圧F2の2種類の電圧値で超音波受信素子32Bの感度変化を調査した。逆電圧F1を受信ユニット22に印加したときに1つの超音波受信素子32Bに印加される電界強度は、-2.69kV/mmである。逆電圧F2を受信ユニット22に印加したときに1つの超音波受信素子32Bに印加される電界強度は、-3.63kV/mmである。
【0064】
第3例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化を調査した。第3例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化を
図11に示す。
図11に示すグラフは、受信ユニット22に逆電圧F1の直流電圧の印加を開始してから経過時間ごとに超音波受信素子32Bの感度変化を測定した結果である。感度変化は、第1例と同様に、受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後の感度を100%としたときの変化率を示す。受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後にアンプ68から出力される出力信号の振幅値を100%とした。
図11には、第1例の感度変化の結果も併記されている。
【0065】
図11に示すように、第3例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化は、第1例に比較して軽減している。第3例の受信駆動による感度変化は、測定開始から90分が経過するまで、いずれの測定結果も第1例の感度変化よりも小さい。経過時間が90分のときに第1例での感度が88%に低下している。それに対して、経過時間が90分のときに第3例での感度低下は97%にとどまった。上記の通り、第3例の受信駆動によって、超音波受信素子32Bの感度低下を軽減することができる。
【0066】
図12に示すグラフは、受信ユニット22に逆電圧F2の直流電圧の印加を開始してから経過時間ごとに超音波受信素子32Bの感度変化を測定した結果である。感度変化は、第1例と同様に、受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後の感度を100%としたときの変化率を示す。受信ユニット22に受信駆動電圧J1の直流電圧の印加を開始した直後にアンプ68から出力される出力信号の振幅値を100%とした。
図12には、第1例の感度変化の結果も併記されている。
【0067】
図12に示すように、第3例の受信駆動による超音波受信素子32Bの感度変化は、第1例に比較して軽減している。第3例の受信駆動による感度変化は、測定開始から90分が経過するまで、いずれの測定結果も第1例の感度変化よりも小さい。経過時間が90分のときに第1例での感度が88%に低下している。それに対して、経過時間が90分のときに第3例での感度低下は97%にとどまった。上記の通り、第3例の受信駆動によって、超音波受信素子32Bの感度低下を軽減することができる。また、
図11と、
図12とを比較すると、経過時間90分の結果を除いて、逆電圧F2での感度変化が逆電圧F1での感度変化よりも小さい。よって、逆電圧の絶対値が大きい方が感度低下を軽減しやすい。
【0068】
第3例の受信駆動は、例えば、イメージスキャナー1で複数の原稿Mを連続して読み取る場合に適用され得る。複数の原稿Mを間欠的に搬送させ、一の原稿Mと次の原稿Mとの間で逆電界駆動モードを実施することができる。間欠搬送される原稿Mと次の原稿Mとの間は媒体間と呼ばれる。媒体間では、重送判定を休止することができるためである。第3例の受信駆動をイメージスキャナー1に適用する方法は種々の方法が考えられる。例えば、第3例の受信駆動の流れをファームウェアなどのプログラムで規定することによって、イメージスキャナー1で第3例の受信駆動を実現することができる。イメージスキャナー1で複数の原稿Mを間欠搬送する動作を実施させるプログラムにより、第3例の受信駆動を実施させることができる。
【0069】
この場合、例えば、タイマーによる時間制御で発信駆動及び受信駆動をシーケンシャル制御することができる。さらに、搬送装置7の搬送経路12に原稿Mが有るか無いかを検出した結果に基づいて、受信駆動モードと逆電界駆動モードとを切り替える方法が考えられる。搬送経路12に原稿Mが有るか無いかを検出する構成としては、例えば、搬送装置7に原稿Mの有無を検出するセンサーを設ける構成が挙げられる。搬送装置7に原稿Mの有無を検出するセンサーを設ける構成例について以下に説明する。
【0070】
イメージスキャナー1の構成例1について説明する。
図13に示すように、構成例1のイメージスキャナー1は、媒体センサー81を備える。媒体センサー81を除く他の構成は、
図2に示すイメージスキャナー1の構成と同じである。このため、媒体センサー81を除く他の構成については、説明を省略する。媒体センサー81は、第1媒体センサーの一例である。
図13に示すように、媒体センサー81は、搬送装置7の搬送経路12に設けられる。媒体センサー81は、搬送経路12で超音波センサー9と第3搬送ローラー対15との間に位置する。媒体センサー81は、搬送経路12に原稿Mが有るか否かを検出する。媒体センサー81は、フォトセンサーで構成される。媒体センサー81は、発光素子82と、受光素子83とを備える。発光素子82と、受光素子83とは、搬送経路12を挟んで互いに対向する。
【0071】
発光素子82は、受光素子83に向けて光を発する。発光素子82は、例えば、発光ダイオードである。受光素子83は、発光素子82からの光を受けて電気信号を出力する。受光素子83は、例えば、フォトダイオードである。発光素子82から受光素子83に向かう光が原稿Mによって遮られると、受光素子83から出力される電気信号がオフになる。受光素子83からの出力がオフであるとき、媒体センサー81による検出結果は、搬送経路12に原稿Mが有ることを示す。媒体センサー81による検出結果が原稿Mの有りを示すという表現は、媒体センサー81の出力がオフであるとも表現される。
【0072】
受光素子83からの出力がオンであるとき、媒体センサー81による検出結果は、搬送経路12に原稿Mが無いことを示す。媒体センサー81による検出結果が原稿Mの無しを示すという表現は、媒体センサー81の出力がオンであるとも表現される。媒体センサー81は、原稿Mの有無を検出する。媒体センサー81は、フォトセンサーに限定されない。例えば、近接センサー、メカニカルスイッチ等も媒体センサー81に適用できる。
【0073】
原稿サポート3に載置された複数の原稿Mは、一枚ずつ供給口4から搬送経路12に導入される。搬送経路12に導入された原稿Mは、第1搬送ローラー対13及び第2搬送ローラー対14を経由して超音波センサー9の位置に到達する。このとき、媒体センサー81の出力はオンである。超音波センサー9の位置に到達した原稿Mは、さらに進んで媒体センサー81の位置に到達する。このとき、原稿Mの先端が媒体センサー81の発光素子82と受光素子83との間に進入する。発光素子82から受光素子83に向かう光が原稿Mによって遮られると、媒体センサー81による検出結果が原稿Mの有を示す。このとき、媒体センサー81の出力はオフである。
【0074】
媒体センサー81の出力がオンからオフに切り替わったことに基づいて、
図10に示す受信駆動が逆電界駆動モードから受信駆動モードに切り替えられる。次に、時間T11が経過した後に発信駆動の発信期間が開始する。発信期間が開始すると、超音波センサー9による検出が行われる。超音波センサー9によって重送が検出されると、原稿Mが読取ユニット8に到達する前に原稿Mの搬送が停止される。重送が検出されずに原稿Mの搬送が進行すると、
図13に示す原稿Mの後端が媒体センサー81の発光素子82と受光素子83との間を通過する。このとき、媒体センサー81の出力がオフからオンに切り替わる。媒体センサー81の出力がオフからオンに切り替わったことに基づいて、受信駆動が受信駆動モードから逆電界駆動モードに切り替えられる。
【0075】
構成例1では、媒体センサー81は、第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bよりも搬送経路12の上流に位置する。この構成によれば、原稿Mが第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bに到達する前に原稿Mの重送を検出することができる。構成例1では、超音波センサー9は、媒体センサー81より搬送経路12の上流に位置する。換言すれば、媒体センサー81は、超音波センサー9の下流に位置する。この構成によれば、原稿Mが超音波センサー9の位置を通過するまで確実に受信駆動モードを行うことができる。
【0076】
構成例1によれば、搬送経路12に原稿Mが有るときに確実に受信駆動モードを行うことができる。よって、原稿Mの重送を効果的に検出することができる。構成例1によれば、搬送経路12に原稿Mが無いときに限って逆電界駆動モードを行うことができる。これにより、超音波受信素子32Bの感度低下を効果的に軽減することができ、搬送装置7及びイメージスキャナー1の信頼性を高めることできる。
【0077】
イメージスキャナー1の構成例2について説明する。
図14に示すように、構成例2のイメージスキャナー1は、第2媒体センサー85を備える。第2媒体センサー85を除く他の構成は、
図13に示すイメージスキャナー1の構成と同じである。このため、第2媒体センサー85を除く他の構成については、説明を省略する。
【0078】
図14に示すように、第2媒体センサー85は、搬送装置7の搬送経路12に設けられる。第2媒体センサー85は、搬送経路12で第2搬送ローラー対14と超音波センサー9との間に位置する。第2媒体センサー85は、搬送経路12に原稿Mが有るか否かを検出する。第2媒体センサー85は、フォトセンサーで構成される。第2媒体センサー85は、第2発光素子86と、第2受光素子87とを備える。第2発光素子86と、第2受光素子87とは、搬送経路12を挟んで互いに対向する。第2発光素子86及び第2受光素子87は、発光素子82及び受光素子83と同じ構成を有する。よって、詳細な説明を省略する。
【0079】
原稿サポート3に載置された複数の原稿Mは、一枚ずつ供給口4から搬送経路12に導入される。このとき、第2媒体センサー85の出力はオンである。搬送経路12に導入された原稿Mは、第1搬送ローラー対13及び第2搬送ローラー対14を経由して第2媒体センサー85の位置に到達する。このとき、原稿Mの先端が第2媒体センサー85の第2発光素子86と第2受光素子87との間に進入する。このとき、第2媒体センサー85の出力はオフである。第2媒体センサー85の位置に到達した原稿Mは、さらに進んで超音波センサー9の位置に到達する。このとき、媒体センサー81の出力はオンである。超音波センサー9の位置に到達した原稿Mは、さらに進んで媒体センサー81の位置に到達する。このとき、原稿Mの先端が媒体センサー81の発光素子82と受光素子83との間に進入する。このとき、媒体センサー81の出力はオフである。
【0080】
媒体センサー81の出力がオンからオフに切り替わったことに基づいて、
図10に示す受信駆動が逆電界駆動モードから受信駆動モードに切り替えられる。次に、時間T11が経過した後に発信駆動の発信期間が開始する。発信期間が開始すると、超音波センサー9による検出が行われる。超音波センサー9によって重送が検出されると、原稿Mが読取ユニット8に到達する前に原稿Mの搬送が停止される。重送が検出されずに原稿Mの搬送が進行すると、
図14に示す原稿Mの後端が第2媒体センサー85の第2発光素子86と第2受光素子87との間を通過する。このとき、第2媒体センサー85の出力がオフからオンに切り替わる。第2媒体センサー85の出力がオフからオンに切り替わったことに基づいて、発信駆動の非発信期間が開始する。次に、時間T10が経過した後に受信駆動が受信駆動モードから逆電界駆動モードに切り替えられる。
【0081】
構成例2においても構成例1と同様の効果が得られる。さらに構成例2によれば、第2媒体センサー85が媒体センサー81より上流に位置するので、構成例1に比較して逆電界駆動モードの開始を早めることができる。
【0082】
構成例2のイメージスキャナー1では、媒体センサー81の出力と第2媒体センサー85の出力とを入れ替えた制御も実現できる。媒体センサー81の出力と第2媒体センサー85の出力とを入れ替えた制御方法を構成例3として説明する。
【0083】
構成例3のイメージスキャナー1では、原稿サポート3に載置された複数の原稿Mは、一枚ずつ供給口4から搬送経路12に導入される。このとき、第2媒体センサー85の出力はオンである。搬送経路12に導入された原稿Mは、第1搬送ローラー対13及び第2搬送ローラー対14を経由して第2媒体センサー85の位置に到達する。このとき、原稿Mの先端が第2媒体センサー85の第2発光素子86と第2受光素子87との間に進入する。このとき、第2媒体センサー85の出力はオフである。
【0084】
第2媒体センサー85の出力がオンからオフに切り替わったことに基づいて、
図10に示す受信駆動が逆電界駆動モードから受信駆動モードに切り替えられる。次に、時間T11が経過した後に発信駆動の発信期間が開始する。発信期間が開始すると、超音波センサー9による検出が開始される。第2媒体センサー85の位置に到達した原稿Mは、さらに進んで超音波センサー9の位置に到達する。超音波センサー9によって重送が検出されると、原稿Mが読取ユニット8に到達する前に原稿Mの搬送が停止される。
【0085】
超音波センサー9の位置に到達した原稿Mは、さらに進んで媒体センサー81の位置に到達する。このとき、原稿Mの先端が媒体センサー81の発光素子82と受光素子83との間に進入する。このとき、媒体センサー81の出力はオフである。原稿Mの搬送がさらに進行すると、
図14に示す原稿Mの後端が第2媒体センサー85の第2発光素子86と第2受光素子87との間を通過する。このとき、第2媒体センサー85の出力がオフからオンに切り替わる。
【0086】
原稿Mの搬送がさらに進行すると、原稿Mの後端が超音波センサー9の送信ユニット21と受信ユニット22との間を通過する。原稿Mの搬送がさらに進行すると、原稿Mの後端が媒体センサー81の発光素子82と受光素子83との間を通過する。このとき、媒体センサー81の出力がオフからオンに切り替わる。媒体センサー81の出力がオフからオンに切り替わったことに基づいて、発信駆動の非発信期間が開始する。次に、時間T10が経過した後に受信駆動が受信駆動モードから逆電界駆動モードに切り替えられる。構成例3の制御方法によれば、構成例2の効果に加えて、1枚の原稿Mの先端から後端までの全域で原稿Mの状態を検出できるという効果が得られる。
【0087】
本実施形態の超音波装置73は、超音波を発信する超音波発信素子32Aと、超音波受信素子32Bと、駆動制御部66と、を有する。超音波受信素子32Bは、振動板42に積層された圧電素子43を含み、超音波を受信する。駆動制御部66は、超音波受信素子32Bを制御する。圧電素子43は、第1電極49と、第1電極49に対向する第2電極53と、第1電極49及び第2電極53の間に介在する圧電体51と、を有する。駆動制御部66は、第1電極49と第2電極53との間に加える直流電圧を制御することによって圧電素子43の駆動を制御する。駆動制御部66は、超音波発信素子32Aが超音波の発信を開始してから時間T1が経過した後に、圧電体51に第1の電界強度で電界を加えて超音波受信素子32Bに超音波を受信させる受信駆動モードで圧電素子43を駆動する。駆動制御部66は、受信駆動モードを開始してから時間T2が経過した後に、圧電体51に第1の電界強度よりも低い第2の電界強度で電界を加える低電界駆動モードで圧電素子43を駆動する。これにより、受信駆動モードでの超音波受信素子32Bの感度低下を軽減することができる。
【0088】
本実施形態の搬送装置7は、超音波装置73と、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する第1搬送ローラー対13と、第2搬送ローラー対14と、第3搬送ローラー対15と、第4搬送ローラー対16と、を有する。超音波発信素子32Aと超音波受信素子32Bとが、搬送経路12を挟んで対向する。この搬送装置7では、搬送経路12の状態を超音波装置73で検出することができる。
【0089】
本実施形態の搬送装置7は、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する第1搬送ローラー対13と、第2搬送ローラー対14と、第3搬送ローラー対15と、第4搬送ローラー対16と、媒体センサー81と、超音波を発信する超音波発信素子32Aと、超音波受信素子32Bと、駆動制御部66と、を有する。超音波受信素子32Bは、振動板42に積層された圧電素子43を含み、超音波を受信する。駆動制御部66は、超音波受信素子32Bを制御する。超音波発信素子32Aと超音波受信素子32Bとが、搬送経路12を挟んで対向する。圧電素子43は、第1電極49と、第1電極49に対向する第2電極53と、第1電極49及び第2電極53の間に介在する圧電体51と、を有する。駆動制御部66は、第1電極49と第2電極53との間に加える直流電圧を制御することによって圧電素子43の駆動を制御する。駆動制御部66は、媒体センサー81による検出結果が原稿Mの有を示すとき、圧電体51に第1の電界強度で電界を加えて超音波受信素子32Bに超音波を受信させる受信駆動モードで圧電素子43を駆動する。駆動制御部66は、媒体センサー81による検出結果が原稿Mの無を示すとき、圧電体51に受信駆動モードのときの電界の向きとは逆向きの電界を加える逆電界駆動モードで圧電素子43を駆動する。これにより、受信駆動モードでの超音波受信素子32Bの感度低下を軽減することができる。
【0090】
イメージスキャナー1は、搬送装置7と、第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bと、を有する。第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bは、搬送経路12を搬送される原稿Mの画像を読み取る。媒体センサー81は、第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bより搬送経路12の上流に位置する。超音波受信素子32Bは、媒体センサー81より搬送経路12の上流に位置する。これにより、原稿Mが第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bに到達する前に原稿Mの状態を検出することができる。
【0091】
イメージスキャナー1は、原稿Mを搬送経路12に沿って搬送する第1搬送ローラー対13と、第2搬送ローラー対14と、第3搬送ローラー対15と、第4搬送ローラー対16と、を有する。イメージスキャナー1は、第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bと、媒体センサー81と、超音波発信素子32Aと、超音波受信素子32Bと、第2媒体センサー85と、駆動制御部66と、を有する。第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bは、搬送経路12を搬送される原稿Mの画像を読み取る。媒体センサー81は、第1イメージセンサー19A及び第2イメージセンサー19Bより搬送経路12の上流に位置し、原稿Mの有無を検出する。超音波発信素子32Aは、超音波を発信する。超音波発信素子32Aは、媒体センサー81より搬送経路12の上流に位置する。超音波受信素子32Bは、振動板42に積層された圧電素子43を含み、超音波を受信する。超音波受信素子32Bは、搬送経路12を挟んで超音波発信素子32Aに対向する。第2媒体センサー85は、超音波受信素子32Bより搬送経路12の上流に位置する。第2媒体センサー85は、原稿Mの有無を検出する。駆動制御部66は、超音波受信素子32Bを制御する。圧電素子43は、第1電極49と、第1電極49に対向する第2電極53と、第1電極49及び第2電極53の間に介在する圧電体51と、を有する。駆動制御部66は、第1電極49と第2電極53との間に加える直流電圧を制御することによって圧電素子43の駆動を制御する。駆動制御部66は、媒体センサー81による検出結果が原稿Mの有を示すとき、圧電体51に第1の電界強度で電界を加えて超音波受信素子32Bに超音波を受信させる受信駆動モードで圧電素子43を駆動する。駆動制御部66は、第2媒体センサー85による検出結果が原稿Mの無を示すとき、圧電体51に受信駆動モードのときの電界の向きとは逆向きの電界を加える逆電界駆動モードで圧電素子43を駆動する。これにより、受信駆動モードでの超音波受信素子32Bの感度低下を軽減することができる。また、イメージスキャナー1では、第2媒体センサー85が媒体センサー81より上流に位置するので、逆電界駆動モードの開始を早めることができる。
【符号の説明】
【0092】
1…イメージスキャナー、3…原稿サポート、4…供給口、5…排出口、7…搬送装置、8…読取ユニット、8A…第1スキャナー、8B…第2スキャナー、9…超音波センサー、11…制御ユニット、12…搬送経路、13…第1搬送ローラー対、14…第2搬送ローラー対、15…第3搬送ローラー対、16…第4搬送ローラー対、17…搬送モーター、19A…第1イメージセンサー、19B…第2イメージセンサー、21…送信ユニット、22…受信ユニット、31…超音波素子基板、32…超音波素子、32A…超音波発信素子、32B…超音波受信素子、42…振動板、43…圧電素子、49…第1電極、51…圧電体、53…第2電極、56…送信回路、57…電源回路、58…受信回路、61…演算部、62…メモリー、65…重送判定部、66…駆動制御部、73…超音波装置、81…媒体センサー、82…発光素子、83…受光素子、85…第2媒体センサー、86…第2発光素子、87…第2受光素子、H1…発信駆動電圧、J1…受信駆動電圧、L1…低電圧、T10…時間、T11…時間、W1…信号波形、F1…逆電圧、F2…逆電圧。