IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特開2024-53212液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット
<>
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図1
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図2
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図3
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図4
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図5
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図6
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図7
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図8
  • 特開-液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053212
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及びプリントヘッドユニット
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240408BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159314
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】長谷 崇太
(72)【発明者】
【氏名】伊東 祐弘
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056ED01
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA09
2C056HA52
2C057AF35
2C057AF82
2C057AG44
2C057AN01
2C057AR14
2C057DB03
(57)【要約】
【課題】フレキシブルフラットケーブルの有する複数の配線間においてクロストークが発生することがある。
【解決手段】液体吐出装置1は、駆動信号Comを出力する駆動信号出力生成回路Qが配置される第1基板200と、駆動信号Comを伝達する第1配線WR[1]、及び駆動信号Comを伝達する第2配線WR[2]を含む、フレキシブルフラットケーブルCBと、第1配線WR[1]と電気的に接続される第1入力端子I[1]、第2配線WR[2]と電気的に接続される第2入力端子I[2]、第1入力端子I[1]と第2入力端子I[2]とを電気的に接続する接続配線AW、接続配線AWと電気的に接続され、駆動信号Comを出力する第1出力端子O[1]、及び接続配線AWと電気的に接続され、駆動信号Comを出力する第2出力端子O[2]が配置される第2基板4と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号を出力する駆動信号生成回路が配置される第1基板と、
前記駆動信号を伝達する第1配線、及び前記駆動信号を伝達する第2配線を含むフレキシブルフラットケーブルと、
前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子、前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子、前記第1入力端子と前記第2入力端子とを電気的に接続する接続配線、前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第1出力端子、及び前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第2出力端子が配置される第2基板と、
前記第1出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出部、及び前記第2出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出部を含むプリントヘッドユニットと、を備える
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記接続配線は、前記第2基板上において、前記第1入力端子及び前記第2入力端子を含む複数の入力端子の全てと、前記第1出力端子及び前記第2出力端子を含む複数の出力端子の全てとを、電気的に接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記接続配線は、前記第1入力端子と前記第2入力端子との導通及び非導通を切り替えるスイッチを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1配線及び前記第2配線よりも、前記接続配線は太い
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1配線及び前記第2配線の各々の抵抗値よりも、前記接続配線の抵抗値は低い
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
駆動信号生成回路から出力される駆動信号を伝達する第1配線、及び前記駆動信号を伝達する第2配線を含む、フレキシブルフラットケーブルに電気的に接続されるプリントヘッドユニットであって、
前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子、前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子、前記第1入力端子と前記第2入力端子とを電気的に接続する接続配線、前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第1出力端子、及び前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第2出力端子が配置される基板と、
前記第1出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出部と、
前記第2出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出部と、を備える
ことを特徴とするプリントヘッドユニット。
【請求項7】
前記接続配線は、前記第2基板上において、前記第1入力端子及び前記第2入力端子を含む複数の入力端子の全てと、前記第1出力端子及び前記第2出力端子を含む複数の出力端子の全てとを、電気的に接続する
ことを特徴とする請求項6に記載のプリントヘッドユニット。
【請求項8】
前記接続配線は、前記第1入力端子と前記第2入力端子との導通及び非導通を切り替えるスイッチを備える
ことを特徴とする請求項6に記載のプリントヘッドユニット。
【請求項9】
前記第1配線及び前記第2配線よりも、前記接続配線は太い
ことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のプリントヘッドユニット。
【請求項10】
前記第1配線及び前記第2配線の各々の抵抗値よりも、前記接続配線の抵抗値は低い
ことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載のプリントヘッドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及びプリントヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動信号を生成する駆動信号生成回路と、駆動信号により駆動されることでインクを吐出する吐出部が設けられたヘッドユニットと、を備える液体吐出装置が普及している。液体吐出装置において、駆動信号生成回路からヘッドユニットに対する駆動信号の供給には、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)が用いられることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1圧電素子を駆動させるために、当該第1圧電素子に駆動信号を供給する第1配線と、第2圧電素子を駆動させるために、当該第2圧電素子に駆動信号を供給する第2配線と、を備えるフレキシブルフラットケーブルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-130821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フレキシブルフラットケーブルの有する複数の配線間においてクロストークが発生することがある。このため、特許文献1に記載の技術によれば、第1配線により供給される駆動信号に起因して、第2配線により供給される駆動信号にノイズが重畳する場合が存在した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、駆動信号を出力する駆動信号生成回路が配置される第1基板と、前記駆動信号を伝達する第1配線、及び前記駆動信号を伝達する第2配線を含むフレキシブルフラットケーブルと、前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子、前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子、前記第1入力端子と前記第2入力端子と、を電気的に接続する接続配線、前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第1出力端子、及び前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第2出力端子が配置される第2基板と、前記第1出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出部、及び前記第2出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出部を含むプリントヘッドユニットと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様に係るプリントヘッドは、駆動信号生成回路から出力される駆動信号を伝達する第1配線、及び前記駆動信号を伝達する第2配線を含む、フレキシブルフラットケーブルに電気的に接続されるプリントヘッドユニットであって、前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子、前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子、前記第1入力端子と前記第2入力端子とを電気的に接続する接続配線、前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第1出力端子、及び前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第2出力端子が配置される基板と、前記第1出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出部と、前記第2出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】インクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図。
図2】インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図。
図3】ヘッドユニットHUの構成の一例を示すブロック図。
図4】単位期間Tuにおけるインクジェットプリンター1の動作の一例を示すタイミングチャート。
図5】個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号SL[m]との関係を説明するための説明図。
図6】第1実施形態における駆動信号Comの伝送ルートの説明図。
図7】従来例における駆動信号Comの伝送ルートの説明図。
図8】中継基板4Aの構成の一例を示す説明図。
図9】インクジェットプリンター1Aの構成の一例を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
1:第1実施形態
第1実施形態では、インク(「液体」の一例)を吐出して記録用紙P(「記録媒体」の一例)に画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、液体吐出装置を説明する。
【0011】
1-1:インクジェットプリンターの概要
図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0012】
インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等のホストコンピューター(図示省略)から、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データImgが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録用紙Pに形成するための印刷処理を実行する。なお、詳細は後述するが、本実施形態では、インクジェットプリンター1がラインプリンターである場合を想定する。インクジェットプリンター1は「液体吐出装置」の一例である。
【0013】
図1に例示されるように、インクジェットプリンター1は、インクを吐出する吐出部Dが設けられた複数のヘッドユニットHUを具備する液体吐出ヘッド6と、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御する制御部3と、液体吐出ヘッド6(より正確には、液体吐出ヘッド6が備える吐出部D)を駆動するための駆動信号Comを生成する駆動信号生成回路Qを具備する駆動信号生成モジュール2と、液体吐出ヘッド6に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるための搬送機構7と、インクジェットプリンター1の制御プログラム及びその他の情報を記憶する記憶部5と、を具備する。液体吐出ヘッド6は、液体を吐出するプリントヘッドユニットと称されることがある。
【0014】
本実施形態では、図1に例示されるように、液体吐出ヘッド6が、4個のヘッドユニットHUを備え、駆動信号生成モジュール2が、4個のヘッドユニットHUに共通する1個の駆動信号生成回路Qを備える場合を想定する。
以下では、4個のヘッドユニットHUの各々を区別するために、添え字[q]を付して表現することがある(変数qは、1≦q≦4を満たす自然数)。
【0015】
本実施形態において、4個のヘッドユニットHU[1]~HU[4]の各々は、M個の吐出部Dを具備する吐出モジュール60と、駆動信号生成モジュール2が出力する駆動信号Comを吐出モジュール60に供給するか否かを切り替える駆動信号供給回路61と、を具備する(本実施形態において、Mは、1≦Mを満たす自然数)。
各吐出モジュール60に設けられたM個の吐出部Dの各々を区別するために、順番に、1段、2段、…、M段と称することがある。また、m段の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある(変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数)。また、インクジェットプリンター1の構成要素や信号等が、吐出部D[m]の段数mに対応するものである場合には、当該構成要素や信号等を表わすための符号に、段数mに対応していることを示す添え字[m]を付して表現することがある。
【0016】
記憶部5は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーと、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、または、PROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーと、を含んで構成され、ホストコンピューターから供給される印刷データImg、及び、インクジェットプリンター1の制御プログラム等の各種情報を記憶する。
【0017】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。但し、制御部3は、CPUの代わりに、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを備えていてもよい。
制御部3は、制御部3に設けられたCPUが記憶部5に記憶されている制御プログラムを実行することで、インクジェットプリンター1の各部を制御する。具体的には、制御部3は、液体吐出ヘッド6に設けられた駆動信号供給回路61を制御するための印刷信号SIと、駆動信号生成モジュール2に設けられた駆動信号生成回路Qを制御するための波形指定信号dComと、搬送機構7を制御するための信号と、を生成する。
ここで、波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成回路Qは、DA変換回路を含み、波形指定信号dComが規定する波形を有する駆動信号Comを生成する。
また、印刷信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する。ここで、吐出部Dの動作の種類の指定とは、例えば、吐出部Dを駆動するか否かを指定したり、吐出部Dを駆動した際に当該吐出部Dからインクが吐出されるか否かを指定したり、また、吐出部Dを駆動した際に当該吐出部Dから吐出されるインク量を指定したりすることである。
【0018】
印刷処理が実行される場合、制御部3は、まず、ホストコンピューターから供給される印刷データImgを、記憶部5に記憶させる。次に、制御部3は、記憶部5に記憶されている印刷データImg等の各種データに基づいて、印刷信号SI、波形指定信号dCom、及び、搬送機構7を制御するための信号等の各種制御信号を生成する。そして、制御部3は、各種制御信号と、記憶部5に記憶されている各種データに基づいて、液体吐出ヘッド6に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるように搬送機構7を制御しつつ、吐出部Dが駆動されるように液体吐出ヘッド6を制御する。これにより、制御部3は、吐出部Dからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データImgに対応する画像を記録用紙Pに形成する印刷処理の実行を制御する。
【0019】
より詳細には、制御部3は、生成した波形指定信号dComを、駆動信号生成モジュール2に出力する。駆動信号生成モジュール2に備わる駆動信号生成回路Qは、波形指定信号dComによって制御されることで、駆動信号Comを生成する。駆動信号生成モジュール2は、生成した駆動信号Comを、液体吐出ヘッド6に向けて出力する。駆動信号生成モジュール2からの駆動信号Comは、中継基板4を経由して、液体吐出ヘッド6に出力される。具体的には、駆動信号生成モジュール2に具備される駆動信号生成回路Qは、駆動信号Comを、4本の配線WR[1]~WR[4]を介して中継基板4に供給する。中継基板4の具体的な機能については、図6を参照することにより後述する。
【0020】
また、制御部3は、生成した印刷信号SIを、液体吐出ヘッド6に出力する。制御部3は、当該印刷信号SIを、液体吐出ヘッド6に対して直接出力してもよい。あるいは、制御部3は、当該印刷信号SIを、中継基板4を介して液体吐出ヘッド6に出力してもよい。
【0021】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図2に示されるように、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、副走査方向に記録用紙Pを搬送しつつ、副走査方向に交差する主走査方向に液体吐出ヘッド6を往復動させながら、吐出部Dからインクを吐出させることで、記録用紙P上に印刷データImgに応じたドットを形成する。
以下では、+X方向とその逆方向である-X方向とを「X軸方向」と総称し、+Y方向とその逆方向である-Y方向とを「Y軸方向」と総称し、+Z方向とその逆方向である-Z方向とを「Z軸方向」と総称する。本実施形態では、図2に示されるように、-X側(上流側)から+X側(下流側)に向かう方向を副走査方向とし、Y軸方向を主走査方向とする。なお、本実施形態では、一例として、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向が、互いに直交する方向である場合を想定するが、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向は、互いに交差する方向であればよい。
【0022】
図2に例示されるように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100と、筐体100の内部においてY軸方向(主走査方向)に往復動可能であり、液体吐出ヘッド6を搭載するキャリッジ130と、駆動信号生成モジュール2、制御部3、及び記憶部5の各構成要素が形成された基板200と、を備える。
【0023】
また、上記のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、搬送機構7を具備する。
搬送機構7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ130をY軸方向に往復動させるとともに、記録用紙Pを+X方向に搬送することで、記録用紙Pの液体吐出ヘッド6に対する相対位置を変化させ、記録用紙Pの全体に対するインクの着弾を可能とする。
搬送機構7は、キャリッジ130を往復動させるための駆動源となる搬送モーター(図示省略)と、記録用紙Pを搬送するための駆動源となる給紙モーター73と、Y軸方向に延在するキャリッジガイド軸76と、搬送モーターにより回転駆動されるプーリー711と回転自在なプーリー712との間に掛け渡されY軸方向に延在するタイミングベルト710と、を具備する。キャリッジ130は、キャリッジガイド軸76によりY軸方向に往復自在に支持されるとともに、固定具131を介してタイミングベルト710の所定の箇所に固定されている。このため、搬送機構7は、搬送モーターによりプーリー711を回転駆動させることで、キャリッジ130を液体吐出ヘッド6とともに、キャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に往復動させることができる。
【0024】
また、図2に示されるように、搬送機構7は、キャリッジ130の下側(-Z側)に設けられたプラテン75と、給紙モーター73の駆動に応じて回転し記録用紙Pを1枚ずつプラテン75上に供給するための給紙ローラ(図示省略)と、給紙モーター73の駆動に応じて回転しプラテン75上の記録用紙Pを排紙口へと搬送する排紙ローラ730と、を具備する。このため、搬送機構7は、図2に示されるように、記録用紙Pをプラテン75上において-X側(上流側)から+X側(下流側)へと搬送することができる。
【0025】
本実施形態では、図2に例示されるように、インクジェットプリンター1のキャリッジ130に、4個のインクカートリッジ120が登載されている。より具体的には、本実施形態では、一例として、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの、4色(CMYK)のインクと1対1に対応する4個のインクカートリッジ120が、キャリッジ130に搭載されている場合を想定する。
また、本実施形態では、一例として、M個の吐出部Dが、4個のインクカートリッジ120と1対1に対応する4個のグループに区分されている場合を想定する。そして、各吐出部Dは、当該吐出部Dの属するグループに対応するインクカートリッジ120からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部Dは、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルから吐出することができる。つまり、液体吐出ヘッド6が具備する合計M個の吐出部Dは、全体としてCMYKの4色のインクを吐出することができる。
【0026】
また本実施形態では、図2に例示されるように、基板200とキャリッジ130とが、フレキシブルフラットケーブルCBで接続される。とりわけ基板200に備わる駆動信号生成モジュール2は、フレキシブルフラットケーブルCB、及び、キャリッジ130に備わる中継基板4を介して、液体吐出ヘッド6に接続する。ここで、基板200は「第1基板」の一例である。また、中継基板4は「第2基板」の一例である。
【0027】
なお、図2は一例に過ぎず、インクカートリッジ120は、キャリッジ130の外部に設けられるものであってもよい。
【0028】
1-2:ヘッドユニットの概要
以下、図3乃至図5を参照しつつ、ヘッドユニットHUの構成及び動作について説明する。
【0029】
図3は、ヘッドユニットHUの構成の一例を示すブロック図である。上記のように、ヘッドユニットHUは、吐出モジュール60と、駆動信号供給回路61と、配線LHaと、給電線LHdと、を備える。
駆動信号供給回路61は、M個のスイッチSW(SW[1]~SW[M])と、各スイッチSWの接続状態を指定する接続状態指定回路63と、を備える。なお、各スイッチSWとしては、例えば、トランスミッションゲートを採用することができる。なお、図3では、簡単のために、スイッチSWを3個のみ示している。
接続状態指定回路63は、制御部3から供給されるクロック信号CLK、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、及び、チェンジ信号CNGの少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチSW[1]~SW[M]のオンオフを指定する接続状態指定信号SL[1]~SL[M]を生成する。
スイッチSW[m]は、接続状態指定信号SL[m]に応じて、配線LHaと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との導通及び非導通を切り替える。例えば、スイッチSW[m]は、接続状態指定信号SL[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。上記のとおり、駆動信号Comのうち、スイッチSW[m]を介して吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]に供給される信号が供給駆動信号Vin[m]である。
【0030】
本実施形態において、インクジェットプリンター1の動作期間は、1または複数の単位期間Tuを含む。インクジェットプリンター1は、各単位期間Tuにおいて、印刷処理のために各吐出部Dを駆動することができる。そして、インクジェットプリンター1は、連続的または間欠的に設けられた複数の単位期間Tuにおいて印刷処理を実行することで、各吐出部Dから例えば1または複数回ずつインクを吐出させて、印刷データImgの示す画像を形成する。
【0031】
なお、本実施形態では、単位期間Tuにおいて駆動信号供給回路61に対して供給される印刷信号SIは、当該単位期間Tuにおける吐出部D[m]の動作の種類を指定するための、個別指定信号Sd[m]を含む。換言すれば、単位期間Tuにおいて駆動信号供給回路61に対して供給される印刷信号SIは、当該単位期間Tuにおける吐出部D[1]~D[M]の動作の種類を指定するための、M個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む。
【0032】
図4は、単位期間Tuにおけるインクジェットプリンター1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4に示されるように、制御部3は、パルスPlsLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御部3は、パルスPlsLの立ち上がりから次のパルスPlsLの立ち上がりまでの期間として、単位期間Tuを規定する。また、制御部3は、パルスPlsCを有するチェンジ信号CNGを出力する。これにより、制御部3は、単位期間Tuを、パルスPlsLの立ち上がりからパルスPlsCの立ち上がりまでの制御期間Tu1と、パルスPlsCの立ち上がりからパルスPlsLの立ち上がりまでの制御期間Tu2と、に区分する。
そして、制御部3は、単位期間Tuにおいて印刷処理が実行される場合、当該単位期間Tuに先立って、個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLKに同期させて接続状態指定回路63に供給する。この場合、接続状態指定回路63は、当該単位期間Tuにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて接続状態指定信号SL[m]を生成する。
【0033】
図4に示されるように、駆動信号Comは、制御期間Tu1に設けられた波形PXと、制御期間Tu2に設けられた波形PYと、を有する。本実施形態では、波形PXの最高電位VHXと最低電位VLXとの電位差が、波形PYの最高電位VHYと最低電位VLYとの電位差よりも大きくなるように、波形PX及び波形PYを定める。具体的には、波形PXを有する駆動信号Comにより吐出部D[m]を駆動する場合、吐出部D[m]から中ドットに相当する量(中程度の量)のインクが吐出されるように、波形PXの波形を定める。また、波形PYを有する駆動信号Comにより吐出部D[m]を駆動する場合、吐出部D[m]から小ドットに相当する量(小程度の量)のインクが吐出されるように、波形PYの波形を定める。なお、波形PX及び波形PYは、開始時及び終了時の電位が基準電位V0に設定されている。
【0034】
図5は、個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号SL[m]との関係を説明するための説明図である。
図5に示されるように、本実施形態では、個別指定信号Sd[m]が、2ビットのデジタル信号である場合を想定する。具体的には、個別指定信号Sd[m]は、各単位期間Tuにおいて、吐出部D[m]に対して、大ドットに相当する量(大程度の量)のインクの吐出(「大ドットの形成」と称する場合がある)を指定するする値(1,1)、中程度の量のインクの吐出(「中ドットの形成」と称する場合がある)を指定する値(1,0)、小程度の量のインクの吐出(「小ドットの形成」と称する場合がある)を指定する値(0,1)、及びインクの非吐出を指定する値(0,0)の4値のうち、いずれか一つの値に設定される。
【0035】
個別指定信号Sd[m]が、大ドットの形成を指定する値(1,1)に設定されている場合、接続状態指定回路63は、接続状態指定信号SL[m]を、制御期間Tu1及びTu2においてハイレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、制御期間Tu1において波形PXの駆動信号Comにより駆動されて中程度の量のインクを吐出し、また、制御期間Tu2において波形PYの駆動信号Comにより駆動されて小程度の量のインクを吐出する。これにより、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて、合計で大程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには大ドットが形成される。
個別指定信号Sd[m]が、中ドットの形成を指定する値(1,0)に設定されている場合、接続状態指定回路63は、接続状態指定信号SL[m]を、制御期間Tu1においてハイレベルに、制御期間Tu2においてローレベルに、それぞれ設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて中程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには中ドットが形成される。
個別指定信号Sd[m]が、小ドットの形成を指定する値(0,1)に設定されている場合、接続状態指定回路63は、接続状態指定信号SL[m]を、制御期間Tu1においてローレベルに、制御期間Tu2においてハイレベルに、それぞれ設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて小程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには小ドットが形成される。
個別指定信号Sd[m]が、インクの非吐出を指定する値(0,0)に設定されている場合、接続状態指定回路63は、接続状態指定信号SL[m]を制御期間Tu1及びTu2においてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[m]は、単位期間Tuにおいて、インクを吐出せず、記録用紙Pにドットを形成しない。
【0036】
1-3:駆動信号の伝送ルート
以下、図6を参照しつつ、本実施形態における基板200、フレキシブルフラットケーブルCB、及び中継基板4の構成に触れながら、駆動信号Comの伝送ルートについて説明する。図6は、第1実施形態における駆動信号Comの伝送ルートの説明図である。
【0037】
フレキシブルフラットケーブルCBは、駆動信号Comを伝達する配線WR[1]~WR[4]を備える。
【0038】
基板200上には、上記の駆動信号生成回路Qと、4個の接続端子C[1]~C[4]と、駆動信号生成回路QとノードNとを電気的に接続する供給配線FWと、4個の接続端子C[1]~C[4]とノードNとを電気的に接続する分配配線DWとが設けられる。接続端子C[k]は、配線WR[k]に電気的に接続される(変数kは、1≦k≦4を満たす自然数)。駆動信号生成回路Qは、供給配線FWと、ノードNと、分配配線DWと、接続端子C[k]とを介して、配線WR[k]に駆動信号Comを供給する。なお、配線WR[1]は、「第1配線」の一例である。配線WR[2]は、「第2配線」の一例である。
【0039】
中継基板4上には、4個の入力端子I[1]~I[4]と、接続配線AWと、4個の出力端子O[1]~O[4]とが設けられる。入力端子I[k]は、配線WR[k]に電気的に接続される。接続配線AWは、入力端子I[1]~I[4]に電気的に接続される。また、接続配線AWは、出力端子O[1]~O[4]に電気的に接続される。すなわち、接続配線AWは、入力端子I[1]及び入力端子I[2]を含む複数の入力端子の全てと、出力端子O[1]及び出力端子O[2]を含む複数の出力端子の全てとを、電気的に接続する。出力端子O[q]は、ヘッドユニットHU[q]に設けられた配線LHa[q]と電気的に接続される。中継基板4は、配線WR[1]~WR[4]から供給された駆動信号Comを、接続配線AWと出力端子O[q]を介して、ヘッドユニットHU[q]に設けられた配線LHa[q]に供給する。ここで、接続配線AWは、配線WR[1]及び配線WR[2]よりも太いことが好適である。更には、接続配線AWは、複数の配線WR[1]~WR[4]の全てよりも太いことが好適である。また、接続配線AWの抵抗値は、配線WR[1]及び配線WR[2]の抵抗値よりも低いことが好適である。更には、接続配線AWの抵抗値は、複数の配線WR[1]~WR[4]の全ての抵抗値よりも低いことが好適である。なお、入力端子I[1]は、「第1入力端子」の一例である。入力端子I[2]は、「第2入力端子」の一例である。出力端子O[1]は、「第1出力端子」の一例である。出力端子O[2]は、「第2出力端子」の一例である。
【0040】
なお、ヘッドユニットHU[1]に設けられる吐出部D[m]は「第1吐出部」の一例である。ヘッドユニットHU[2]に設けられる吐出部D[m]は「第2吐出部」の一例である。
【0041】
ここで、駆動信号Comのうち、駆動信号生成回路QからヘッドユニットHU[1]に出力される駆動信号Comを駆動信号Com1とすると、駆動信号Com1は、以下の伝送ルートを経由する。
【0042】
駆動信号生成回路Qで生成された駆動信号Com1は、供給配線FWを経由した後、配線WR[1]~WR[4]に分配される。配線WR[1]~WR[4]の各々を流れた駆動信号Com1は、接続配線AWを経由した後、出力端子O[1]から、ヘッドユニットHU[1]に出力される。
【0043】
図7は、従来例における駆動信号Comの伝送ルートの説明図である。従来例における駆動信号Comの伝送ルートにおいては、本実施形態における駆動信号Comの伝送ルートとは異なり、フレキシブルフラットケーブルCBとヘッドユニットHU[1]~HU[4]との間に、中継基板4が存在しない。このため、ヘッドユニットHU[1]に出力される駆動信号Com1は、配線WR[1]のみを経由し、配線WR[2]~WR[4]を経由しない。
【0044】
より詳細には、駆動信号生成回路Qで生成された駆動信号Com1は、供給配線FW、及び配線WR[1]を経由した後、ヘッドユニットHU[1]に出力される。
【0045】
図6に示される本実施形態における駆動信号Com1の伝送ルートと、図7に示される従来例における駆動信号Com1の伝送ルートとを比較すると、従来例において、駆動信号Com1は、フレキシブルフラットケーブルCB内で、配線WR[1]のみを経由して、ヘッドユニットHU[1]に出力される。例えばヘッドユニットHU[1]に出力される駆動信号Com1の電流量と、ヘッドユニットHU[2]に出力される駆動信号Com2の電流量との差分が大きい場合、従来例においては、配線WR[1]を流れる電流量と、配線WR[2]を流れる電流量との差分が大きくなる。この結果、配線WR[1]と配線WR[2]との相互インダクタンスの影響によって、配線WR[1]と配線WR[2]との間においてクロストークが発生する度合いが高かった。延いては、配線WR[1]により供給される駆動信号Com1に起因して、配線WR[2]により供給される駆動信号Com2に重畳するノイズが大きかった。
【0046】
一方で、本実施形態においては、例えば駆動信号Com1は、フレキシブルフラットケーブルCB内で、配線WR[1]~WR[4]に分配されてから伝送された後、ヘッドユニットHU[1]に出力される。駆動信号Com1の電流量と駆動信号Com2の電流量との差分が大きかったとしても、駆動信号Com1と駆動信号Com2とは、フレキシブルフラットケーブルCB内において、配線WR[1]~WR[4]に分配されて伝達されるため、配線WR[1]を流れる電流量と、配線WR[2]を流れる電流量とが平均化される。この結果、配線WR[1]と配線WR[2]との間においてクロストークが発生する度合いが抑制される。延いては、配線WR[1]により供給される駆動信号Comに起因して、配線WR[2]により供給される駆動信号Comに重畳するノイズの大きさを抑制できる。
【0047】
また、本実施形態と従来例とで駆動信号Com1自体の電流量が等しい場合、本実施形態において配線WR[1]を流れる電流量は、従来例において配線WR[1]を流れる電流量よりも小さい。従って、駆動信号Com1自体の電流量に変動が発生した場合、本実施形態において配線WR[1]を流れる電流量の変化幅は、従来例において配線WR[1]を流れる電流量の変化幅よりも小さい。とりわけ、フレキシブルフラットケーブルCBの長さが長いために、配線WR[1]のインダクタンスの値が大きい場合、及び、駆動信号Com1によって駆動される吐出部Dの数が大きいために、駆動信号Com1自体の電流量が大きい場合に、本実施形態においては従来例に比較して、駆動信号Com1の波形の乱れが抑制される。
【0048】
更に本実施形態においては、駆動信号Comに対して重畳されるノイズの大きさ及び波形の乱れが抑制されることにより、記録用紙Pに対するインクの着弾の精度が向上する。
【0049】
2:変形例
本開示は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。
【0050】
2-1:変形例1
図8は、変形例1に係る中継基板4Aの構成の一例を示す説明図である。本変形例1においては、接続配線AWに、スイッチとしての0Ω抵抗Rが設置される。図8に示される例においては、接続配線AWに、入力端子I[1]と入力端子I[2]との導通及び非導通を切り替えるスイッチとしての0Ω抵抗Rが設置される。
【0051】
中継基板4Aが、接続配線AWにおいて、入力端子I[1]と入力端子I[2]との導通及び非導通を切り替える0Ω抵抗Rを具備することにより、駆動信号生成回路Qは、例えば、ヘッドユニットHU[1]とヘッドユニットHU[2]~ヘッドユニットHU[4]とに対して、異なる波形の駆動信号Comを入力できる。
【0052】
なお、中継基板4Aは、接続配線AWにおいて、入力端子I[1]と入力端子I[2]との導通及び非導通を切り替える位置ではなく、入力端子I[2]と入力端子I[3]との導通及び非導通を切り替える位置、または、入力端子I[3]と入力端子I[4]との導通及び非導通を切り替える位置に0Ω抵抗Rを備えてもよい。あるいは、中継基板4Aは、これらの位置のうち複数の位置に0Ω抵抗Rを備えてもよい。あるいは、中継基板4Aは、0Ω抵抗Rの代わりに、ジャンパー線を具備してもよい。
【0053】
2-2:変形例2
図9は、変形例2に係るインクジェットプリンター1Aの構成の一例を示す機能ブロック図である。図1に示されるインクジェットプリンター1においては、液体吐出ヘッド6は、ヘッドユニットHU[1]~ヘッドユニットHU[4]の4個のヘッドユニットHUを備えていた。また、ヘッドユニットHU[1]~ヘッドユニットHU[4]の4個のヘッドユニットHUの各々が、吐出モジュール60と、駆動信号供給回路61と、を備えていた。一方、本変形例2に係るインクジェットプリンター1Aにおいては、液体吐出ヘッド6は、1個のヘッドユニットHUを備える。また、当該ヘッドユニットHUは、4個の吐出モジュール60-1~60-4と、4個の駆動信号供給回路61-1~61-4と、を備える。4個の吐出モジュール60-1~60-4と、4個の駆動信号供給回路61-1~61-4とは、互いに1対1に対応する。
【0054】
1つの液体吐出ヘッド6が、4個のヘッドユニットHU[1]~HU[4]を備えることにより、インクジェットプリンター1Aの構成を簡略化できる。
【0055】
3:本開示のまとめ
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)駆動信号を出力する駆動信号生成回路が配置される第1基板と、前記駆動信号を伝達する第1配線、及び前記駆動信号を伝達する第2配線を含むフレキシブルフラットケーブルと、前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子、前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子、前記第1入力端子と前記第2入力端子とを電気的に接続する接続配線、前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第1出力端子、及び前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第2出力端子が配置される第2基板と、前記第1出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出部、及び前記第2出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出部を含むプリントヘッドユニットと、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【0056】
これにより、上記の液体吐出装置は、フレキシブルフラットケーブルCBの有する複数の配線間におけるクロストークの発生、延いては、第1配線WR[1]により供給される駆動信号Comに起因する、第2配線WR[2]により供給される駆動信号Comに対するノイズの重畳を抑制できる。
【0057】
とりわけ、フレキシブルフラットケーブルCBの長さが長いために、第1配線WR[1]のインダクタンスの値が大きい場合、及び、駆動信号Comによって駆動される吐出部Dの数が大きいために、駆動信号Com自体の電流量が大きい場合に、上記の液体吐出装置は従来技術に比較して、駆動信号Comの波形の乱れを抑制できる。
【0058】
更に、上記の液体吐出装置においては、記録用紙Pに対するインクの着弾の精度が向上する。
【0059】
(付記2)前記接続配線は、前記第2基板上において、前記第1入力端子及び前記第2入力端子を含む複数の入力端子の全てと、前記第1出力端子及び前記第2出力端子を含む複数の出力端子の全てとを、電気的に接続することを特徴とする付記1に記載の液体吐出装置。
【0060】
これにより、上記の液体吐出装置は、フレキシブルフラットケーブルCBの有する複数の配線間におけるクロストークの発生、延いては、ある配線WRにより供給される駆動信号Comに起因する、他の配線WRにより供給される駆動信号Comに対するノイズの重畳を抑制できる。
【0061】
(付記3)前記接続配線は、前記第1入力端子と前記第2入力端子との導通及び非導通を切り替えるスイッチを備えることを特徴とする付記1に記載の液体吐出装置。
【0062】
これにより、上記の液体吐出装置は、例えば、第1吐出部と第2吐出部とに対して、異なる波形の駆動信号Comを入力できる。
【0063】
(付記4)前記第1配線及び前記第2配線よりも、前記接続配線は太いことを特徴とする付記1から付記3のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
【0064】
これにより、上記の液体吐出装置は、接続配線AWを流れる電流量が大きい場合に対応できる。
【0065】
(付記5)前記第1配線及び前記第2配線の各々の抵抗値よりも、前記接続配線の抵抗値は低いことを特徴とする付記1から付記3のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
【0066】
これにより、上記の液体吐出装置は、接続配線AWを流れる電流量が大きい場合に対応できる。
【0067】
(付記6)駆動信号生成回路から出力される駆動信号を伝達する第1配線、及び前記駆動信号を伝達する第2配線を含む、フレキシブルフラットケーブルに電気的に接続されるプリントヘッドユニットであって、前記第1配線と電気的に接続される第1入力端子、前記第2配線と電気的に接続される第2入力端子、前記第1入力端子と前記第2入力端子とを電気的に接続する接続配線、前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第1出力端子、及び前記接続配線と電気的に接続され、前記駆動信号を出力する第2出力端子が配置される基板と、前記第1出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第1吐出部と、前記第2出力端子と電気的に接続され、前記駆動信号が供給されることで液体を吐出する第2吐出部と、を備えることを特徴とするプリントヘッドユニット。
【0068】
これにより、上記のプリントヘッドは、フレキシブルフラットケーブルCBの有する複数の配線間におけるクロストークの発生、延いては、第1配線WR[1]により供給される駆動信号Comに起因する、第2配線WR[2]により供給される駆動信号Comに対するノイズの重畳を抑制できる。
【0069】
とりわけ、フレキシブルフラットケーブルCBの長さが長いために、第1配線WR[1]のインダクタンスの値が大きい場合、及び、駆動信号Comによって駆動される吐出部Dの数が大きいために、駆動信号Com自体の電流量が大きい場合に、上記のプリントヘッドは従来技術に比較して、駆動信号Comの波形の乱れを抑制できる。
【0070】
延いては、上記のプリントヘッドにおいては、記録用紙Pに対するインクの着弾の精度が向上する。
【0071】
(付記7)前記接続配線は、前記第2基板上において、前記第1入力端子及び前記第2入力端子を含む複数の入力端子の全てと、前記第1出力端子及び前記第2出力端子を含む複数の出力端子の全てとを、電気的に接続することを特徴とする付記6に記載のプリントヘッドユニット。
【0072】
これにより、上記のプリントヘッドは、フレキシブルフラットケーブルCBの有する複数の配線間におけるクロストークの発生、延いては、ある配線WRにより供給される駆動信号Comに起因する、他の配線WRにより供給される駆動信号Comに対するノイズの重畳を抑制できる。
【0073】
(付記8)前記接続配線は、前記第1入力端子と前記第2入力端子との導通及び非導通を切り替えるスイッチを備えることを特徴とする付記6に記載のプリントヘッドユニット。
【0074】
これにより、上記のプリントヘッドは、例えば、第1吐出部と第2吐出部とに対して、異なる波形の駆動信号Comを入力できる。
【0075】
(付記9)前記第1配線及び前記第2配線よりも、前記接続配線は太いことを特徴とする付記6から付記8のいずれか一つに記載のプリントヘッドユニット。
【0076】
これにより、上記のプリントヘッドは、接続配線AWを流れる電流量が大きい場合に対応できる。
【0077】
(付記10)前記第1配線及び前記第2配線の各々の抵抗値よりも、前記接続配線の抵抗値は低いことを特徴とする付記6から付記8のいずれか一つに記載のプリントヘッドユニット。
【0078】
これにより、上記のプリントヘッドは、接続配線AWを流れる電流量が大きい場合に対応できる。
【符号の説明】
【0079】
1,1A…インクジェットプリンター、2…駆動信号生成モジュール、3…制御部、4,4A…中継基板、5…記憶部、6…液体吐出ヘッド、7…搬送機構、60…吐出モジュール、61…駆動信号供給回路、63…接続状態指定回路、73…給紙モーター、75…プラテン、76…キャリッジガイド軸、100…筐体、120…インクカートリッジ、130…キャリッジ、131…固定具、200…基板、710…タイミングベルト、711,712…プーリー、730…排紙ローラ、AW…接続配線、C…接続端子、CB…フレキシブルフラットケーブル、Com…駆動信号、D…吐出部、DW…分配配線、FW…供給配線、HU…ヘッドユニット、I…入力端子、N…ノズル、O…出力端子、P…記録用紙、WR…配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9