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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053214
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/00 20060101AFI20240408BHJP
   B65H 9/14 20060101ALI20240408BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240408BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20240408BHJP
   B41J 13/10 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B65H9/00 H
B65H9/14
B65H5/06 F
B65H5/38
B41J13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159316
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】向田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】中幡 彰伸
【テーマコード(参考)】
2C059
3F049
3F101
3F102
【Fターム(参考)】
2C059DD06
2C059DD08
3F049AA02
3F049DA12
3F049LA07
3F049LB01
3F101FA01
3F101FB02
3F101FB14
3F101FC05
3F101FD02
3F101FD05
3F101LA07
3F101LB03
3F102AA11
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB02
3F102DA08
3F102EA03
3F102FA03
(57)【要約】
【課題】斜行補正精度を向上する。
【解決手段】第1搬送ローラー36と第2搬送ローラー38とでニップして媒体Pを搬送する搬送ローラー対31と、第1搬送ローラー36が設けられるローラー軸37と、搬送経路Tを形成する経路形成部材300と、媒体Pを案内する案内部材200と、記録部28と、を備え、搬送ローラー対31は、媒体Pの先端を通過させる第1状態と、媒体Pの先端を通過させない第2状態と、に切り替え可能であり、第1搬送ローラー36の少なくとも一部は経路形成部材300から突出方向において突出しており、案内部材200は突出方向において経路形成部材300から突出し媒体Pをニップ位置Nに案内する突出部201を有し、突出部201は搬送方向における第1搬送ローラー36と第2搬送ローラー38とが対向する対向領域S1よりも下流を含まない範囲に配置され、前記第1搬送ローラーの少なくとも一部と重なっている記録装置10。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送ローラー及び第2搬送ローラーを有し、前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとでニップして媒体を搬送する搬送ローラー対と、
前記第1搬送ローラーが設けられるローラー軸と、
前記媒体が搬送される搬送経路を形成する経路形成部材と、
前記ローラー軸に設けられ、前記媒体を案内する案内部材と、
前記搬送ローラー対よりも前記搬送経路の下流に設けられる記録部と、
を備え、
前記搬送ローラー対は、前記媒体の先端を通過させる第1状態と、前記媒体の先端を通過させない第2状態と、に切り替え可能であり、
前記第1搬送ローラーの少なくとも一部は、前記媒体の搬送方向と交差する突出方向において前記経路形成部材から突出しており、
前記案内部材は、前記突出方向において前記経路形成部材から突出し、前記媒体を前記搬送ローラー対のニップ位置に案内する突出部を有し、
前記突出部は、前記搬送方向及び前記突出方向の両方と交差する幅方向から見て、前記搬送方向における前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとが対向する対向領域よりも下流を含まない範囲に配置され、前記第1搬送ローラーの少なくとも一部と重なっていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記突出部は、前記媒体と接触可能な接触部を有し、前記幅方向から見て、前記突出方向において前記ニップ位置から前記経路形成部材までの間に前記接触部が位置することが可能に配置されていることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録装置において、
前記案内部材の移動を規制する規制部を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、
前記案内部材は、前記規制部と接触することによって前記幅方向への移動が規制されることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項3に記載の記録装置において、
前記案内部材は、前記規制部と接触することによって前記ローラー軸を中心とした回転方向への移動が規制されることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の記録装置において、
前記規制部は、前記経路形成部材に設けられることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項4または5に記載の記録装置において、
前記経路形成部材を支持するフレームを備え、
前記規制部は、前記フレームに設けられることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項3に記載の記録装置において、
前記案内部材は、前記案内部材が前記規制部と接触することによって弾性変形することが可能な弾性変形部を有することを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1に記載の記録装置において、
前記経路形成部材は、前記媒体を前記ニップ位置に誘導する誘い部を有し、
前記誘い部は、前記搬送方向から見て、前記第1搬送ローラーと重なる位置に設けられ、
前記突出部は、前記幅方向から見て、前記誘い部の少なくとも一部と重なることを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項1に記載の記録装置において、
前記第1搬送ローラーは、前記幅方向において、複数設けられ、
前記案内部材は、前記幅方向において、複数設けられ、
前記案内部材のそれぞれは、各前記第1搬送ローラーの間に設けられることを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載の記録装置において、
前記ローラー軸は、前記突出方向及び前記突出方向とは反対方向に移動可能であり、
前記ローラー軸を前記突出方向に付勢する付勢部材を備え、
前記ローラー軸が前記反対方向に移動することによって、前記第1搬送ローラー及び前記突出部が前記搬送経路から退避し、前記搬送ローラー対のニップが解除されることを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項11に記載の記録装置において、
前記搬送経路にアクセス可能な第1状態と、前記搬送経路にアクセス不可能な第2状態と、に変位可能なカバーを備え、
前記カバーが前記第2状態から前記第1状態に変位するのに連動して、前記搬送ローラー対のニップが解除されることを特徴とする記録装置。
【請求項13】
請求項1に記載の記録装置において、
前記突出部は、前記媒体を下方から上方に向かって案内することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な記録装置が使用されている。このうち、媒体を搬送し、搬送される媒体に記録を行うことが可能な記録装置がある。このような記録装置においては、搬送される媒体が斜行して搬送されないようにすることが好ましい。そこで、例えば、特許文献1には、ラインヘッドよりも上流側に搬送ローラー対が設けられ、たわみ空間で媒体をたわませて搬送ローラー対のニップ部分に突き当てることで媒体の斜行搬送を補正することが可能な記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-94292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記録装置のように、従来の記録装置においては媒体の斜行搬送を補正する機構を備えるものがある。しかしながら、斜行搬送を補正する機構として搬送ローラー対を有する構成においては、搬送ローラー対のニップ位置ではなく、搬送ローラー対のニップ位置よりも上流側の部分、例えば搬送ローラー対を構成する一方のローラー部分など、に媒体が突き当たってしまい、斜行補正が適切に行えない虞があった。特に、媒体として高剛性の厚紙などを使用する場合や、搬送ローラー対のニップを解除することが可能な装置構成などにおいては、搬送ローラー対のニップ位置に媒体を案内することが難しい場合があり、斜行補正が適切に行えない虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る記録装置は、第1搬送ローラー及び第2搬送ローラーを有し、前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとでニップして媒体を搬送する搬送ローラー対と、前記第1搬送ローラーが設けられるローラー軸と、前記媒体が搬送される搬送経路を形成する経路形成部材と、前記ローラー軸に設けられ、前記媒体を案内する案内部材と、前記搬送ローラー対よりも前記搬送経路の下流に設けられる記録部と、を備え、前記搬送ローラー対は、前記媒体の先端を通過させる第1状態と、前記媒体の先端を通過させない第2状態と、に切り替え可能であり、前記第1搬送ローラーの少なくとも一部は、前記媒体の搬送方向と交差する突出方向において前記経路形成部材から突出しており、前記案内部材は、前記突出方向において前記経路形成部材から突出し、前記媒体を前記搬送ローラー対のニップ位置に案内する突出部を有し、前記突出部は、前記搬送方向及び前記突出方向の両方と交差する幅方向から見て、前記搬送方向における前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとが対向する対向領域よりも下流を含まない範囲に配置され、前記第1搬送ローラーの少なくとも一部と重なっていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るプリンターの全体構成を示す概略図。
図2】実施形態に係るプリンターの用紙の搬送経路が閉じた状態を示す概略図。
図3】実施形態に係るプリンターの搬送経路が開放された状態を示す斜視図。
図4】実施形態に係るプリンターの搬送経路が開放された状態を示す平面図。
図5】実施形態に係る搬送部の搬送経路の一部を拡大した概略図。
図6】実施形態に係る第1搬送ローラー及び第2搬送ローラーを支持する支持ユニットの斜視図。
図7】実施形態に係る搬送部の扉が閉じた状態における支持ユニット及び上ガイド部のフロント側を示す側面図。
図8】実施形態に係る搬送部の扉が閉じた状態における支持ユニット及び上ガイド部のリヤ側を示す側面図。
図9】実施形態に係る搬送部の第2搬送ローラーの中央部が押圧されることで湾曲した状態を示す平面図。
図10】実施形態に係る搬送部の支持ユニットのリヤ側を拡大した斜視図。
図11】実施形態に係る搬送部の支持ユニットのフロント側及びリヤ側の一部を示す平面図。
図12】実施形態に係るプリンターの用紙の搬送経路が開放された状態を示す概略図。
図13】実施形態に係る搬送部の扉が開放された状態における支持ユニット及び上ガイド部のフロント側を示す側面図。
図14】実施形態に係る搬送部の扉が開放された状態における支持ユニット及び上ガイド部のリヤ側を示す側面図。
図15】実施形態に係るプリンターの経路形成部材を示す斜視図。
図16】実施形態に係る経路形成部材の一部拡大図。
図17】実施形態に係る支持ユニットの斜視断面図。
図18】実施形態に係る支持ユニットの側面断面図であって、媒体を搬送する際の状態を表す図。
図19】実施形態に係る支持ユニットの側面断面図であって、媒体のジャムが発生しこれを解除する際の状態を表す図。
図20】媒体の斜行補正について説明するための一般的なプリンターの側面断面図であって、搬送経路内での媒体の配置を表す図。
図21】媒体のジャムが発生しこれを解除する際の実施形態に係る支持ユニットの側面断面図であって、図19とは異なる部分の断面を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、第1搬送ローラー及び第2搬送ローラーを有し、前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとでニップして媒体を搬送する搬送ローラー対と、前記第1搬送ローラーが設けられるローラー軸と、前記媒体が搬送される搬送経路を形成する経路形成部材と、前記ローラー軸に設けられ、前記媒体を案内する案内部材と、前記搬送ローラー対よりも前記搬送経路の下流に設けられる記録部と、を備え、前記搬送ローラー対は、前記媒体の先端を通過させる第1状態と、前記媒体の先端を通過させない第2状態と、に切り替え可能であり、前記第1搬送ローラーの少なくとも一部は、前記媒体の搬送方向と交差する突出方向において前記経路形成部材から突出しており、前記案内部材は、前記突出方向において前記経路形成部材から突出し、前記媒体を前記搬送ローラー対のニップ位置に案内する突出部を有し、前記突出部は、前記搬送方向及び前記突出方向の両方と交差する幅方向から見て、前記搬送方向における前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとが対向する対向領域よりも下流を含まない範囲に配置され、前記第1搬送ローラーの少なくとも一部と重なっていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、媒体を案内する案内部材であって、突出方向において経路形成部材から突出するとともに媒体を搬送ローラー対のニップ位置に案内する突出部を有する案内部材を備える。このため、搬送ローラー対を構成する第1搬送ローラー及び第2搬送ローラーのうちの一方のローラーにのみ媒体の先端が当接することを抑制しつつ、ニップ位置に媒体を案内することができる。すなわち、斜行補正精度を高くすることができる。また、突出部が幅方向から見て搬送方向における第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとが対向する対向領域よりも下流を含まない範囲に配置されていることで、対向領域よりも下流で斜行補正された媒体が再度突出部に接触して再度斜行を招くことも抑制することができる。
【0009】
第2の態様に係る記録装置は、第1の態様において、前記突出部は、前記媒体と接触可能な接触部を有し、前記幅方向から見て、前記突出方向において前記ニップ位置から前記経路形成部材までの間に前記接触部が位置することが可能に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、突出部は、幅方向から見て、突出方向においてニップ位置から経路形成部材までの間に接触部が位置する。このため、突出部が突出方向において突出しすぎることにより突出部が媒体の搬送を妨げることを抑制することができる。
【0011】
第3の態様に係る記録装置は、第1または第2の態様において、前記案内部材の移動を規制する規制部を備えることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、案内部材の移動を規制する規制部を備える。このため、案内部材の移動が規制され、安定して媒体を搬送することができる。
【0013】
第4の態様に係る記録装置は、第3の態様において、前記案内部材は、前記規制部と接触することによって前記幅方向への移動が規制されることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、案内部材は規制部と接触することによって幅方向への移動が規制される。このため、案内部材の幅方向への移動が規制され、安定して媒体を搬送することができる。
【0015】
第5の態様に係る記録装置は、第3の態様において、前記案内部材は、前記規制部と接触することによって前記ローラー軸を中心とした回転方向への移動が規制されることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、案内部材は規制部と接触することによってローラー軸を中心とした回転方向への移動が規制される。このため、案内部材のローラー軸を中心とした回転方向への移動が規制され、安定して媒体を搬送することができる。
【0017】
第6の態様に係る記録装置は、第3から第5のいずれか1つの態様において、前記規制部は、前記経路形成部材に設けられることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、規制部は経路形成部材に設けられる。このため、例えば経路形成部材以外の構成を簡略化できるとともに、安定して媒体を搬送することができる。
【0019】
第7の態様に係る記録装置は、第3から第6のいずれか1つの態様において、前記経路形成部材を支持するフレームを備え、前記規制部は、前記フレームに設けられることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、規制部はフレームに設けられる。このため、例えば経路形成部材の構成を簡略化できるとともに、安定して媒体を搬送することができる。
【0021】
第8の態様に係る記録装置は、第3から第7のいずれか1つの態様において、前記案内部材は、前記案内部材が前記規制部と接触することによって弾性変形することが可能な弾性変形部を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、案内部材は案内部材が規制部と接触することによって弾性変形することが可能な弾性変形部を有する。このため、案内部材が規制部と接触することによって破損することを抑制することができる。
【0023】
第9の態様に係る記録装置は、第1から第8のいずれか1つの態様において、前記経路形成部材は、前記媒体を前記ニップ位置に誘導する誘い部を有し、前記誘い部は、前記搬送方向から見て、前記第1搬送ローラーと重なる位置に設けられ、前記突出部は、前記幅方向から見て、前記誘い部の少なくとも一部と重なることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、経路形成部材は媒体をニップ位置に誘導する誘い部を有する。このため、特に効果的にニップ位置に媒体を案内することができる。
【0025】
第10の態様に係る記録装置は、第1から第9のいずれか1つの態様において、前記第1搬送ローラーは、前記幅方向において、複数設けられ、前記案内部材は、前記幅方向において、複数設けられ、前記案内部材のそれぞれは、各前記第1搬送ローラーの間に設けられることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、第1搬送ローラーは幅方向において複数設けられ、案内部材は幅方向において複数設けられ、案内部材のそれぞれは各第1搬送ローラーの間に設けられる。このような構成とすることで、特に効果的にニップ位置に媒体を案内することができる。
【0027】
第11の態様に係る記録装置は、第10の態様において、前記ローラー軸は、前記突出方向及び前記突出方向とは反対方向に移動可能であり、前記ローラー軸を前記突出方向に付勢する付勢部材を備え、前記ローラー軸が前記反対方向に移動することによって、前記第1搬送ローラー及び前記突出部が前記搬送経路から退避し、前記搬送ローラー対のニップが解除されることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、ローラー軸を突出方向に付勢する付勢部材を備え、ローラー軸が反対方向に移動することによって、第1搬送ローラー及び突出部が搬送経路から退避し、搬送ローラー対のニップが解除される。ローラー軸が突出方向に付勢されている構成の場合、経路形成部材と第1搬送ローラーとの位置ばらつきが大きくなりやすい。しかしながら、上記で説明したように、経路形成部材ではなくローラー軸にローラーと案内部材が設けられている構成とすることで、安定してニップ位置に媒体を案内することができる。また、第1搬送ローラーが搬送経路から退避することで媒体がジャムを生じた場合の処理を容易に行うことができる。
【0029】
第12の態様に係る記録装置は、第11の態様において、前記搬送経路にアクセス可能な第1状態と、前記搬送経路にアクセス不可能な第2状態と、に変位可能なカバーを備え、前記カバーが前記第2状態から前記第1状態に変位するのに連動して、前記搬送ローラー対のニップが解除されることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、カバーが第2状態から第1状態に変位するのに連動して、搬送ローラー対のニップが解除される。このため、媒体がジャムを生じた場合の処理を容易に行うことができる。
【0031】
第13の態様に係る記録装置は、第1から第12のいずれか1つの態様において、前記突出部は、前記媒体を下方から上方に向かって案内することを特徴とする。
【0032】
媒体を下方から上方に向かって案内する構成は、特に斜行補正精度が低下しやすい。しかしながら、上記で説明したような構成とすることで、媒体を下方から上方に向かって案内する構成においても、斜行補正精度が低下することを抑制することができる。
【0033】
以下、本発明に係る媒体搬送装置の一例としての搬送部30及び印刷装置の一例としてのプリンター10を具体的に説明する。図1に示されるように、プリンター10は、媒体の一例としての用紙Pに対し、液体の一例であるインクQを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成される。なお、各図において表すX-Y-Z座標系は直交座標系である。X方向は、プリンター10の操作者から見た場合の装置幅方向であり、水平方向である。X方向のうち左に向かう方向を+X方向、右に向かう方向を-X方向とする。Y方向は、用紙Pの搬送方向と交差する幅方向且つ装置奥行き方向であり、水平方向である。Y方向の手前に向かう方向を+Y方向、奥に向かう方向を-Y方向とする。Z方向は、装置高さ方向の一例であり、鉛直方向である。Z方向の上方を+Z方向、下方を-Z方向とする。
【0034】
プリンター10において、用紙Pは、破線で表す搬送経路Tを通って搬送される。なお、用紙Pが搬送される搬送方向は、搬送経路Tに沿った方向であるため、搬送経路Tの各部において異なる。プリンター10は、装置本体12と、後述する搬送部30と、ラインヘッド28とを備える。装置本体12は、外郭となる筐体が含まれる。装置本体12のZ方向の中央より+Z方向には、記録された用紙Pが排出される空間を含む排出部13が形成される。また、装置本体12は、複数の用紙カセット14が設けられる。なお、装置本体12の-X方向の端部は、X方向に開口する開口部12Aが形成される。開口部12Aの開放状態において、後述する搬送経路Tは露出される。装置本体12の一部は、一例として、後述する搬送部30の装置本体を兼ねる。装置本体12は、後述する支持ユニット70を支持する。
【0035】
複数の用紙カセット14は、用紙Pが収納される。用紙カセット14に収納された用紙Pは、ピックローラー16及び搬送ローラー対17、18によって搬送経路Tに沿って搬送される。搬送経路Tは、不図示の外部装置から用紙Pが搬送される搬送路T1と、装置本体12に設けられた手差トレイ19から送込ローラー対26を介して用紙Pが搬送される搬送路T2とが合流する。プリンター10におけるX方向の中央より-X方向の部位は、用紙Pを搬送する搬送装置の一例としての搬送部30として構成される。搬送部30の詳細については後述する。
【0036】
搬送経路Tは、2つのプーリー21と、2つのプーリー21に巻き掛けられた搬送ベルト22と、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラー対24と、用紙Pが搬送される経路を切り替える複数のフラップ25と、用紙PのY方向の幅を検出する媒体幅センサー20とが配置される。搬送経路Tは、排出路T3と、送込経路T4と、スイッチバック経路TBと、送出経路T5と、供給経路TSとを備える。
【0037】
排出路T3は、供給経路TSから排出部13に向かう経路である。送込経路T4は、用紙Pが供給経路TSからスイッチバック経路TBへ向けて送り込まれる経路である。送出経路T5は、用紙Pがスイッチバック経路TBから送り出され、且つ供給経路TSに繋がる経路である。送込経路T4と送出経路T5とを合わせて両面経路TMと称する。スイッチバック経路TBは、後述する環状の搬送経路TRと接続される経路であり、一例として、+Z方向に延びる。そして、スイッチバック経路TBでは、環状の搬送経路TRから搬送された用紙Pの表裏が反転されると共に、用紙Pが環状の搬送経路TRへ搬送される。
【0038】
供給経路TSは、送出経路T5が合流する合流点Aから送込経路T4へ分岐される分岐点Bへ向けて用紙Pが供給される経路である。環状の搬送経路TRは、両面経路TMと、供給経路TSとを備える。両面経路TMの一部は、後述する扉42に設けられる。このように、搬送部30は、Y方向から見て、用紙Pが搬送される環状の搬送経路TRと、スイッチバック経路TBとが設けられる。
【0039】
装置本体12は、インクQを収容するインクタンク27と、ラインヘッド28と、プリンター10の各部の動作を制御する制御部29とが設けられる。ラインヘッド28は、用紙Pの搬送方向において媒体幅センサー20より下流に位置し、供給経路TSと対向配置される。また、ラインヘッド28は、記録部の一例であり、インクタンク27から供給されたインクQを、搬送部30によって搬送される用紙Pに吐出することで記録を行う。制御部29は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成され、プリンター10における用紙Pの搬送や、ラインヘッド28及び搬送部30を含む各部の動作を制御する。
【0040】
図5に示されるように、搬送経路Tにおいて、媒体幅センサー20に対する上流には湾曲経路Rが形成される。湾曲経路Rは、1組の山部及び谷部を有する経路として形成される。具体的には、湾曲経路Rは、搬送ローラー対18から+X方向且つ+Z方向の位置に向けて湾曲する導入経路R1と、導入経路R1の+X方向の端部から+X方向且つ-Z方向の位置に向けて下降しながら湾曲する下降経路R2と、下降経路R2の+X方向の端部から+X方向且つ+Z方向に向けて上昇しながら湾曲する上昇経路R3とを有する。
【0041】
図2に示されるように、搬送部30は、一例として、第1ローラー36と、第2ローラー38と、第1回転軸37と、第2回転軸39と、支持ユニット70と、装置本体12と、扉42と、第3回転軸41(図4)とを備える。搬送部30において、装置本体12に設けられた各部をまとめて下ガイド部32と称する。また、扉42に設けられた各部をまとめて上ガイド部34と称する。
【0042】
図3に示されるように、扉42は、所定の厚さを有する板状に形成される。扉42は、回転に伴って開口部12Aを開放又は閉止させることで、搬送経路Tを開閉可能とする。換言すると、扉42は、搬送経路Tを露出させる開放位置と、搬送経路Tを隠す閉止位置とに回転可能とされる。扉42は、閉止位置において、装置本体12の外郭の一部を構成する。扉42は、後述する被接触部材53(図8)及び被接触部材56(図7)が設けられる。
【0043】
図2に示されるように、下ガイド部32は、第1ローラー36、第2ローラー38、第1回転軸37、第2回転軸39及び支持ユニット70を有する。さらに、下ガイド部32は、ガイド部材44と、上流側ローラー45Aと、下流側ローラー46Aとを有する。上流側ローラー45Aは、上ガイド部34の上流側ローラー45Bとニップを形成する。下流側ローラー46Aは、上ガイド部34の下流側ローラー46Bとニップを形成する。ガイド部材44は、Y方向に延びる軸部44Aと、軸部44Aを中心に回転可能とされた本体部44Bとを備える。ガイド部材44は、扉42が閉じた状態において下降経路R2を形成し、扉42が開放されるのに伴って下降経路R2から退避する。上流側ローラー45Aは、本体部44Bに設けられる。下流側ローラー46Aは、軸部44Aに設けられる。
【0044】
上ガイド部34は、搬送ローラー対24と、送込ローラー対26と、上流側ローラー45Bと、下流側ローラー46Bとを備える。また、上ガイド部34は、扉42に取り付けられることで、扉42と共に、装置本体12に対して外側へ移動可能に設けられる。また、上ガイド部34は、装置本体12に収納された状態において、下降経路R2及び上昇経路R3のそれぞれのZ方向の上方に位置する。
【0045】
図8に示されるように、上ガイド部34は、本体部材46を有する。本体部材46は、-Z方向に凸となるように湾曲された底壁47と、底壁47の-Y方向の端部に直立する側壁48と、底壁47の-Y方向の端部に直立する側壁49(図7)とを含んで構成される。側壁48及び側壁49は、Y方向に延びる円柱状の軸部52が貫通される。軸部52の+Y方向の端部は側壁48から+Y方向に突出される。軸部52の-Y方向の端部は側壁49から-Y方向に突出される。軸部52は、一例として、回転されない。軸部52の-Y方向の端部には、被接触部材53が固定される。被接触部材53は、-Y方向から見てL字状に形成されたブロック状の部材である。被接触部材53における-Y方向の端部には、被接触面54が形成される。被接触面54は、一例として、X-Z面に沿った平面である。被接触部材53は、被接触部の一例であり、接触位置において後述する第1接触部材82と接触する。
【0046】
図7に示されるように、軸部52の+Y方向の端部には、被接触部材56が固定される。被接触部材56は、+Y方向から見て、軸部52から+X方向且つ+Z方向の位置に向けて延びるブロック状の部材である。被接触部材56の+X方向の端部には、被接触面57が形成される。被接触面57は、一例として、Y-Z面に沿った平面である。このように、被接触面54(図8)は、-Y方向に接触が可能に配置されているのに対し、被接触面57は、+X方向に接触が可能に配置される。被接触部材56は、被接触部の一例であり、接触位置において後述する第2接触部材104と接触する。なお、本実施形態において、被接触部材53及び被接触部材56は、扉42(図2)に含まれる。
【0047】
図4に示されるように、扉42は、装置本体12の-X方向の端部において、開口部12Aの-Y方向の端部にヒンジ部43を介して設けられる。ヒンジ部43は、第3回転軸41を備える。第3回転軸41は、円柱状に形成され、Z方向に延びる。第3回転軸41は、装置本体12の-X方向の端部のうち、-Y方向の端部に寄せて設けられる。第3回転軸41は、X方向から見て、後述する第1回転軸37と交差する。第3回転軸41は、閉じられた扉42の閉位置から開放された扉42の開位置までの間で扉42を回転させる。このように、扉42は、装置本体12に対して開口部12A及び搬送経路Tを開閉する。
【0048】
図5に示されるように、+Y方向から見て、第1ローラー36及びラインヘッド28は、環状の搬送経路TRの外側に配置される。第2ローラー38は、環状の搬送経路TRの内側に配置される。第2ローラー38は、ニップ位置Nにおいて、第1ローラー36と共に用紙Pをニップする。第1ローラー36及び第2ローラー38は、用紙Pの斜行補正および搬送に用いられる。
【0049】
図9に示されるように、搬送部30は、駆動源の一例としてのモーター61が設けられる。第2回転軸39は、Y方向に延びており、第2ローラー38を回転可能に支持する。第2回転軸39のY方向の両端部は、ベアリング62によって回転可能に支持される。ベアリング62は、後述する支持ユニット70のユニット本体72に取り付けられる。つまり、本実施形態では、支持ユニット70が第2回転軸39を回転可能に支持する。なお、支持ユニット70は装置本体12(図2)に支持されるため、第2回転軸39は、装置本体12に間接的に支持される。第2ローラー38は、駆動ローラー及び歯付ローラーの一例であり、モーター61から駆動力を受けることにより回転する。第2ローラー38は、外周面38Aを有する。外周面38Aには、複数の歯38Bが形成される。
【0050】
第1回転軸37は、Y方向に延びており、第1ローラー36を回転可能に支持する。第1回転軸37のY方向の両端部は、ベアリング64によって回転可能に支持される。ベアリング64は、ユニット本体72に取り付けられる。つまり、本実施形態では、ユニット本体72が、第1回転軸37及び第2回転軸39を回転可能に支持する。なお、支持ユニット70は装置本体12に支持される。このため、第1回転軸37及び第2回転軸39は、装置本体12に間接的に支持される。第1回転軸37の+Y方向の端部は、後述するアーム部112C(図7)と接触する外周部37Aを有する。第1回転軸37の-Y方向の端部は、後述するアーム部102C(図8)と接触する外周部37Bを有する。つまり、第1回転軸37は、外周部37Aと外周部37Bとが一体的に構成される。第1ローラー36は、従動ローラーの一例であり、第2ローラー38の回転に伴って回転する。
【0051】
図7に示されるように、支持ユニット70は、支持機構部の一例であり、第1回転軸37及び第2回転軸39を支持する。また、支持ユニット70は、扉42(図2)が閉位置から開位置へ向けて回転する場合、ニップ位置N(図5)から退避位置へ向けて第1回転軸37を移動させる。第1回転軸37の退避位置は、ニップ位置Nにある第1ローラー36に対して、ニップ位置Nより+X方向に遠い位置にある。
【0052】
図6に示されるように、支持ユニット70は、一例として、ユニット本体72と、第1接触部材82と、引張ばね92と、変換部材94と、第1トーションばね102と、第2接触部材104と、第2トーションばね112と、押付ばね114(図9)とを備える。ユニット本体72は、Y方向に長尺の複数の部材によって構成される。ユニット本体72のY方向の中央に対して+Y方向をフロント側、-Y方向をリヤ側と称する。
【0053】
ユニット本体72のリヤ側の端部には、スリット部73が形成される。スリット部73は、一部がユニット本体72をX方向に貫通しており、Y方向に延びる。また、ユニット本体72のリヤ側におけるスリット部73より+Z方向の部位には、一対の支持壁74が設けられる。一対の支持壁74は、Y方向に間隔をあけて配置される。支持壁74には、Y方向に貫通する貫通孔が形成される。支持壁74に対する+Z方向には、規制板75(図10)が形成される。規制板75は、Z方向に所定の厚さを有し、ユニット本体72から+X方向に張り出される。ユニット本体72のフロント側の端部には、一対の支持壁76が設けられる。一対の支持壁76は、Y方向に間隔をあけて配置される。支持壁76には、Y方向に貫通する貫通孔が形成される。ユニット本体72における一対の支持壁76の間には、X方向に貫通する孔部77が形成される。
【0054】
図10に示されるように、第1接触部材82は、第1接触部の一例であり、リヤ側において被接触部材53と接触可能である。第1接触部材82は、被接触部材53とのY方向の接触により、第1回転軸37の軸方向であるY方向に移動される。具体的には、第1接触部材82は、基部83と、レバー部84と、段差部86と、フランジ部87と、スロープ部88と、引掛部89とを含んで構成される。
【0055】
基部83は、Z方向に所定の厚さを有する板状に形成され、Y方向に延びる。基部83は、スリット部73に挿入され、ユニット本体72に対してY方向に移動可能とされる。レバー部84は、基部83の-Y方向の端部から-X方向に延びる。レバー部84は、基部83に対して+Z方向にずれて配置される。このため、レバー部84の+X方向の端部と基部83の-Y方向の端部とで段差部86が形成される。レバー部84は、直方体状に形成される。レバー部84の+Y方向の端部には、接触面85が形成される。接触面85は、X-Z面に沿った平面とされ、被接触面54に対して+Y方向に接触する。
【0056】
フランジ部87は、基部83の+X方向の端部において、Y方向の中央よりも+Y方向の部位から+X方向に張り出される。スロープ部88は、基部83の+X方向の端部において、Y方向の中央よりも-Y方向且つ-Z方向の端部に形成される。スロープ部88は、一例として、第1側面88Aと、傾斜面88Bと、第2側面88Cとを有する。第1側面88Aは、Y-Z面に沿った平面である。傾斜面88Bは、第1側面88Aの+Y方向の端部から+X方向且つ+Y方向の位置へ向けて斜め方向に延びる。第2側面88Cは、Y-Z面に沿った平面であり、傾斜面88Bの+Y方向の端部からフランジ部87に向けて延びる。このように、第2側面88Cは、第1側面88Aに対して+X方向に位置する。引掛部89は、スロープ部88の+Y方向の端部において-Z方向に突出される。引掛部89は、X方向から見て、-Y方向に開口するU字状に形成される。
【0057】
引張ばね92は、Y方向に沿って弾性変形可能に配置される。引張ばね92の+Y方向の端部は、ユニット本体72に取り付けられる。引張ばね92の-Y方向の端部は、引掛部89に引っ掛けられる。これにより、第1接触部材82には、+Y方向の引張力が作用する。第1接触部材82は、被接触面54と接触しない場合、引張ばね92の長さが自然長となる位置にある。そして、第1接触部材82は、被接触面54と接触すると共に-Y方向に押圧されることで、-Y方向に移動される。なお、第1接触部材82は、不図示のガイド部によってX方向の位置ずれが規制されており、Y方向に沿って移動される。
【0058】
変換部材94は、一例として、支軸部95と、第1延出部96と、第2延出部97と、規制部98とを有する。支軸部95は、Y方向に延びる。支軸部95のY方向の両端部は、支持壁74に回転可能に支持される。第1延出部96は、支軸部95の中央より+Y方向の部位において、Y方向と直交する方向に延出される。第1延出部96は、支軸部95に対して-Z方向に位置する。また、第1延出部96は、スロープ部88と接触可能な位置にある。第2延出部97は、支軸部95の中央より-Y方向の部位において、Y方向と直交する方向に延出される。第2延出部97は、支軸部95に対して+Z方向に位置する。規制部98は、第2延出部97の+Z方向の端部且つ+Y方向の端部に形成される。規制部98は、X方向から見て+Y方向に開口するU字状に形成される。規制部98は、規制板75と接触することで、変換部材94の過度の回転を規制する。つまり、変換部材94の回転範囲が制限される。
【0059】
第1トーションばね102は、第1移動部の一例であり、第1接触部材82と被接触部材53との接触により生じる力を受けることで、第1回転軸37のリヤ側の端部を+X方向に移動させる。具体的には、第1トーションばね102は、円筒状の巻線部102Aと、巻線部102Aの-Y方向の一端から延びるアーム部102B(図8)と、巻線部102Aの+Y方向の他端から延びるアーム部102Cと、屈曲部102Dとを有する。巻線部102Aは、支軸部95の-Y方向の端部が挿入されており、支軸部95に支持される。巻線部102Aは、段差部86と対向する。
【0060】
図8に示されるように、アーム部102Bは、巻線部102Aからユニット本体72に沿って直線状に延びる。アーム部102Bは、ユニット本体72に固定される。アーム部102Cは、第2延出部97の-X方向の端部と接触される。換言すると、変換部材94は、アーム部102Cが接触することで、-Y方向から見て、時計回り方向の回転力を受ける。屈曲部102Dは、アーム部102Cの端部に形成され、アーム部102Cから+X方向且つ+Z方向の位置に向けて延びる。
【0061】
図7に示されるように、第2接触部材104は、第2接触部及び回転部材の一例であり、フロント側において被接触部材56と接触可能である。第2接触部材104は、被接触部材56との接触により、+Y方向から見て時計回り方向に回転される。換言すると、第2接触部材104は、被接触部材56との接触により、第1回転軸37及び第3回転軸41(図4)の両方と交差する交差方向に移動される。なお、第2接触部材104と被接触部材56とが接触する位置を接触位置Cとする。具体的には、第2接触部材104は、第4回転軸105と、第1延出部106と、第2延出部108とを含んで構成され、第4回転軸105を中心として回転する。
【0062】
第4回転軸105は、Y方向に延びる。第4回転軸105のY方向の両端部は、支持壁76(図6)に回転可能に支持される。また、第4回転軸105は、Y方向から見て、第3回転軸41(図4)が延びるZ方向において、第1回転軸37と既述の接触位置Cとの間に位置する。
【0063】
第1延出部106は、第4回転軸105の中央より+Y方向の部位において、Y方向と直交する方向に延出される。第1延出部106は、第4回転軸105に対して-Z方向に位置する。また、第1延出部106は、被接触部材56と接触可能な位置にある。第1延出部106の先端部は、-Z方向に屈曲される。ここで、第1延出部106の先端部において、被接触部材56と接触する面を接触面106Aとする。第2延出部108は、第4回転軸105の中央より-Y方向の部位において、Y方向と直交する方向に延出される。第2延出部108は、第4回転軸105に対して+Z方向に位置する。第2延出部108と第1延出部106とは、Y方向から見て、L字状に配置される。
【0064】
第2トーションばね112は、第2移動部の一例であり、第2接触部材104と被接触部材56との接触により生じる力を受けることで、第1回転軸37のフロント側の端部を+X方向に移動させる。具体的には、第2トーションばね112は、円筒状の巻線部112Aと、巻線部112Aの+Y方向の一端から延びるアーム部112Bと、巻線部112Aの-Y方向の他端から延びるアーム部112Cと、屈曲部112Dとを有する。アーム部112Cは、第1回転軸37と接触すると共に第1回転軸37を+X方向に移動させる。巻線部112Aは、第4回転軸105の+Y方向の端部が挿入されており、第4回転軸105に支持される。
【0065】
図9に示されるように、支持ユニット70は、第1ローラー36を第2ローラー38へ向けて押し付ける押付ばね114を備える。押付ばね114は、一端がユニット本体72に取り付けられ、他端が第1回転軸37のY方向の中央部を-X方向に押し付ける。これにより、第1ローラー36が第2ローラー38へ向けて押し付けられる。ユニット本体72は、Y方向における押付ばね114より両外側の位置において第1回転軸37を支持する。第1回転軸37は、押付ばね114から押付力を受けることで、第1回転軸37におけるY方向の中央部が両端部より第2ローラー38に近づく湾曲状態となる。なお、図9では、第1回転軸37の湾曲状態を分かり易く示すために、第1回転軸37の湾曲の度合いが拡大されている。
【0066】
次に、搬送部30及びプリンター10の作用について説明する。図10図11図12及び図14に示されるように、扉42による開口部12Aの閉止状態において、扉42が開動作された場合、リヤ側では被接触部材53が第1接触部材82から+Y方向に離れることで、第1接触部材82が、引張ばね92の引張力を受けて+Y方向に移動する。このとき、第1延出部96は、スロープ部88に沿って第2側面88Cから第1側面88Aへ移動する。これにより、変換部材94は、-Y方向から+Y方向に見て、時計回り方向に回転される。変換部材94の時計回り方向の回転によって、アーム部102Cは、第1回転軸37の-Y方向の端部と接触し、第1回転軸37の-Y方向の端部を+X方向に押し付ける。
【0067】
図10図11図12及び図13に示されるように、扉42が開動作された場合、フロント側では被接触部材56が第2接触部材104から離れることで、第2接触部材104は、+Y方向から-Y方向に見て、反時計回り方向に回転される。第2接触部材104の反時計回り方向の回転によって、アーム部112Cは、第1回転軸37の+Y方向の端部と接触し、第1回転軸37の+Y方向の端部を+X方向に押し付ける。このように、第1回転軸37のY方向の両端部が+X方向に押し付けられることで、第1ローラー36が第2ローラー38から退避される。
【0068】
扉42が開状態から閉状態に回転された場合、フロント側では、第2接触部材104が被接触部材56と接触することで+Y方向から-Y方向に見て時計回り方向に回転される。これにより、アーム部112Cが第1回転軸37から退避される。リヤ側では、第1接触部材82が被接触部材53と接触することで、変換部材94が-Y方向から+Y方向に見て反時計回り方向に回転される。これにより、アーム部102Cが第1回転軸37から退避される。第1回転軸37は、アーム部112C及びアーム部102Cが退避された場合、押付ばね114から押付力を受ける。これにより、第1ローラー36が第2ローラー38と接触され、ニップを形成する。
【0069】
以上、説明した通り、搬送部30によれば、扉42が第3回転軸41の回転によって開放される場合、支持ユニット70が第1回転軸37を移動させることで第1ローラー36を第2ローラー38に対してニップ位置Nから退避位置へ移動させる。このことで、第1ローラー36と第2ローラー38とのニップ状態を解除できる。
【0070】
次に、本実施形態のプリンター10の要部である支持ユニット70の詳細構成について図15から図21を参照して説明する。上記のように、支持ユニット70は、第1ローラー36と第2ローラー38とを備えている。別の表現をすると、図17から図19及び図21で表されるように、支持ユニット70は、第1搬送ローラーとしての第1ローラー36及び第2搬送ローラーとしての第2ローラー38を有し、第1ローラー36と第2ローラー38とでニップして用紙Pを搬送する搬送ローラー対31を備えている。搬送ローラー対31は、用紙Pの先端を通過させる第1状態と、用紙Pの先端を通過させない第2状態とに切り替え可能に構成される。用紙Pの斜行補正は、第2状態の搬送ローラー対31のニップ位置Nに、下流側ローラー46Aおよび下流側ローラー46Bにより搬送される用紙Pの先端が当接することで行われる構成になっている。ここで、用紙Pの先端が搬送ローラー対31を通過するとは、用紙Pの先端が搬送方向において搬送ローラー対31よりも下流に位置することを指してもよい。また、用紙Pの先端が搬送方向において搬送ローラー対31のニップ位置Nを通過して、ニップ位置Nよりも下流に位置することを指してもよい。搬送ローラー対31は、第2状態のとき、回転が停止していてもよいし、用紙Pを搬送する方向とは逆方向に回転していてもよい。なお、搬送ローラー対31よりも搬送経路Tの下流には、記録部としてのラインヘッド28が設けられている。
【0071】
ここで、搬送ローラー対31は、用紙Pを搬送する際や、用紙Pの斜行補正の際である用紙Pの搬送方向における先端をニップ位置Nに当接させる際、第1ローラー36を第2ローラー38に対してニップ位置Nに配置することが可能である。一方、搬送経路Tにおいて用紙Pのジャムが発生した際には、第1ローラー36を第2ローラー38に対して退避位置へ移動させることが可能である。
【0072】
また、支持ユニット70は、上記のように、第1ローラー36が設けられるローラー軸としての第1回転軸37を備えている。また、支持ユニット70は、図15から図19及び図21で表されるように、用紙Pが搬送される搬送経路Tを形成する経路形成部材300を備えている。また、支持ユニット70は、図17から図19及び図21で表されるように、第1回転軸37に設けられ、用紙Pを案内することが可能な案内部材200を備えている。案内部材200を備えない構成の場合、例えば図20の一点鎖線で表されるようにニップ位置Nに用紙が案内されれば良いが、図20の破線で表せるように搬送ローラー対31を構成する第1ローラー36及び第2ローラー38のうちの一方のローラー表面である例えばローラー表面36aにのみ用紙Pの先端が当接してしまい、斜行補正が適切に行えない可能性がある。しかしながら、本実施形態のプリンター10は、搬送経路Tに案内部材200を備えていることで、ニップ位置Nに搬送される用紙Pを正確に案内することができることを特徴としている。
【0073】
ここで、案内部材200についてさらに詳細に説明する。図16などで表されるように、第1ローラー36の少なくとも一部は、経路形成部材300から突出している。そして、案内部材200は、用紙Pの搬送方向と交差する突出方向、すなわち、経路形成部材300の経路面303から突出する方向である突出方向において経路形成部材300から突出し、用紙Pを搬送ローラー対31のニップ位置Nに案内する突出部201を有している。
【0074】
また、突出部201は、図18から図19及び図21で表されるように用紙Pの搬送方向及び突出部201の突出方向の両方と交差する幅方向(Y方向)から見て、搬送方向における第1ローラー36と第2ローラー38とが対向する対向領域S1よりも下流を含まない範囲に配置されている。突出部201の少なくとも一部は、幅方向から見て、対向領域Sに含まれる。突出部201は、幅方向から見て、対向領域Sから対向領域Sの上流の範囲に亘って配置されている。突出部201の少なくとも一部は、幅方向から見て、第1ローラー36と重なる。このため、用紙Pの先端がローラー表面36aにのみ用紙Pの先端が当接することを防止でき、ニップ位置Nに向かって用紙Pの先端を適正に案内できる。また、対向領域S1よりも下流で斜行補正された用紙Pが再度突出部201に接触して再度斜行を招くことも抑制することができる。なお、上記では、突出部201が搬送方向における対向領域S1よりも下流を含まない範囲と表現したが、本実施形態では突出部201がニップ位置N(正確には搬送方向における搬送ローラー対31のニップ範囲)よりも下流を含まない範囲となっており、このような構成とすることが特に好ましい。
【0075】
また、突出部201は、図16から図19で表されるように、用紙Pと接触して媒体を案内することが可能な面である接触部201aを有している。そして、突出部201は、図18で表されるように幅方向から見て、突出部201の突出方向においてニップ位置Nとほぼ同じ位置、正確には、ニップ位置Nから経路形成部材300までの間の位置に接触部201aが位置することが可能に配置されている。突出部201がこのような配置となることで、突出部201が突出方向において突出しすぎることにより突出部201が用紙Pの搬送を妨げるということを、抑制することができる。
【0076】
なお、上記のように、本実施形態では、突出部201の突出方向における突出位置は、製造公差などによるばらつきを考慮しつつニップ位置Nに対してかなり近い位置となるように設定されている。ただし、このような構成に限定されない。また、本実施形態では突出部201の形状は接触部201aが幅方向から見て略直線状であるが、突出部201の形状は本実施形態の構成に限定されない。例えば、接触部201aの上流側が湾曲していてもよい。すなわち、接触部201aの下流側の部分が用紙Pと接触して適切に該用紙Pを案内できればよい。
【0077】
ここで、案内部材200は、第1回転軸37を基準に回動可能な構成となっているが、案内部材200の第1回転軸37を基準とする回動方向への移動、並びに、第1回転軸37に沿う方向への移動が規制されている。別の表現をすると、本実施形態のプリンター10は、図16から図18で表されるように、案内部材200の移動を規制する規制部310を備えている。このため、本実施形態のプリンター10は、案内部材200の移動が規制され、案内部材200が移動しすぎることにより用紙Pの案内が不安定となることを抑制し、安定して用紙Pを搬送することができる。
【0078】
ここで、案内部材200は、図15及び図16で表されるように、経路形成部材300に設けられた孔部301を介して突出方向に突出している。そして、案内部材200は、規制部310としての孔部301の側面部301b及び301cと接触することによって幅方向への移動が規制される構成となっている。詳細には、案内部材200の突出部201の側面部201bが孔部301の側面部301bと接触し、案内部材200の突出部201の側面部201cが孔部301の側面部301cと接触する。本実施形態のプリンター10は、このような構成となっていることで、案内部材200の幅方向への移動が規制され、安定して用紙Pを搬送することができる。
【0079】
また、案内部材200は、図17から図19で表されるように、突出部201と、突出部201から2股に分かれるとともに屈曲部202aよりも先端側が突出部201と略平行になる棒状部202と、棒状部202から突出部201に向けて突出する突起部203と、を有している。そして、案内部材200は、第1回転軸37を基準として図17及び図19で表される回転方向D1に回転すると、突出部201が経路形成部材300の孔部301の下面部301dに接触する。一方、案内部材200は、第1回転軸37を基準として図17及び図19で表される回転方向D2に回転すると、棒状部202がプリンター10のフレーム400に接触する。
【0080】
別の表現をすると、案内部材200は、規制部310としての下面部301d及びフレーム400と接触することによって第1回転軸37を中心とした回転方向への移動が規制される構成となっている。本実施形態のプリンター10は、このような構成となっていることで、案内部材200の第1回転軸37を中心とした回転方向への移動が規制され、安定して用紙Pを搬送することができる。
【0081】
上記のように、規制部310のうちの側面部301b、側面部301c及び下面部301dは、経路形成部材300に設けられている。このような構成とすることで、例えば経路形成部材300以外の構成を簡略化できるとともに、安定して用紙Pを搬送することができる。
【0082】
また、上記のように、本実施形態のプリンター10はフレーム400を備え、フレーム400は経路形成部材300を支持する。そして、フレーム400は規制部310の役割を兼ねている。このような構成とすることで、例えば経路形成部材300の構成を簡略化できるとともに、安定して用紙Pを搬送することができる。なお、本実施形態のように、規制部310が経路形成部材300とフレーム400との両方に設けられることで、案内部材200を特に好適に規制することができる。また、本実施形態においては、プリンター10が大型化しないように、経路形成部材300はフレーム400と一体的に構成されている。ただし、このような構成に限定されない。
【0083】
また、本実施形態の案内部材200は、全体が樹脂で構成されており、案内部材200が規制部310と接触することによって屈曲部202aにおいて弾性変形する。すなわち、屈曲部202aは、案内部材200が規制部310と接触することによって弾性変形することが可能な弾性変形部としての役割をしている。このような構成とすることで、案内部材200が規制部310と接触することによって破損することを抑制することができる。
【0084】
なお、上記のように、本実施形態の案内部材200は、搬送方向に概ね沿う方向に延びる突出部201と棒状部202とを有しており、さらに、棒状部202から突出部201に向けて突出する突起部203を有している。ここで、案内部材200が規制部310と接触することによって屈曲部202aにおいて弾性変形した場合においても、突起部203の先端203aは突出部201と接触しない配置となっている。ただし、想定を超えて案内部材200が弾性変形をした場合には先端203aは突出部201と接触し、それ以上の弾性変形を抑制することが可能な構成となっている。別の表現をすると、突起部203は、案内部材200の弾性変形可能な範囲を決める役割をしている。
【0085】
また、本実施形態の案内部材200は、図15及び図16で表されるように、経路形成部材300に、用紙Pをニップ位置Nに誘導するための誘い部302を有している。ここで、誘い部302は、用紙Pの搬送方向から見て、第1ローラー36と重なる位置に設けられている。そして、突出部201は、幅方向から見て、誘い部302の少なくとも一部と重なる位置に配置されている。このような構成とすることで、特に効果的にニップ位置Nに用紙Pを案内することができる。
【0086】
なお、本実施形態の誘い部302は、幅方向から見て、搬送方向下流側に向かうにつれて、経路形成部材300における誘い部302が形成されていない領域よりも、突出方向に突出する構成となっている。ただし、誘い部302の構成に特に限定はなく、誘い部302が設けられていた場合のほうが、誘い部302が設けられていない場合よりも、用紙Pをニップ位置Nに誘導しやすくなっていればよい。
【0087】
また、図15及び図16で表されるように、第1ローラー36は幅方向において複数(10個)設けられ、案内部材200も幅方向において複数(6個)設けられている。そして、案内部材200のそれぞれは、各第1ローラー36の間に設けられている。このような構成とすることで、特に効果的にニップ位置Nに用紙Pを案内することができる。ただし、第1ローラー36及び案内部材200の数や配置に特に限定は無い。
【0088】
また、第1回転軸37は、突出部201の突出方向及び該突出方向とは反対方向に移動可能に構成されている。そして、本実施形態のプリンター10は、第1回転軸37を該突出方向に付勢する付勢部材である押付ばね114を備え、第1回転軸37が該反対方向に移動することによって、第1ローラー36及び突出部201が搬送経路から退避し、搬送ローラー対31のニップが解除される。なお、図19は、搬送経路Tにおいて用紙Pのジャムが発生し、これを解消するために扉42を開け、第1回転軸37を該反対方向(図中の矢印方向)に移動させたことで突出部201が搬送経路から退避した状態における案内部材200の姿勢を表している。また、図21は、第1回転軸37を該反対方向に移動させたことで搬送ローラー対31のニップが解除された状態を表している。
【0089】
一般的に第1回転軸37が突出部201の突出方向に付勢されている構成の場合、経路形成部材300と第1ローラー36との位置ばらつきが大きくなりやすい。しかしながら、上記で説明したように、経路形成部材300ではなく第1回転軸37に第1ローラー36と案内部材200が設けられている構成とすることで、安定してニップ位置Nに用紙Pを案内することができる。また、第1ローラー36が搬送経路Tから退避することで用紙Pがジャムを生じた場合の処理を容易に行うことができる。
【0090】
また、上記のように、本実施形態のプリンター10は、例えば図12で表されるような搬送経路Tにアクセス可能な第1状態と、例えば図2で表されるような搬送経路Tにアクセス不可能な第2状態と、に変位可能なカバーである扉42を備えているが、扉42が第2状態から第1状態に変位するのに連動して、搬送ローラー対31のニップが解除される構成となっている。このため、本実施形態のプリンター10は、用紙Pがジャムを生じた場合の処理を容易に行うことができる。
【0091】
ここで、用紙Pがジャムを生じ、扉42を開いた場合の案内部材200の変位についてさらに図19を参照して説明する。最初に、扉42を開くことに伴って第1回転軸37は突出部201の突出方向とは反対方向に移動する。ただし、案内部材200は、棒状部202がプリンター10のフレーム400に接触することで、全体として該反対方向に移動することはない。ここで、案内部材200には第1回転軸37を基準に回転方向D1に回転しようとする力がかかるが、突出部201が下面部301dに接触するので、案内部材200は全体として回転方向D1に回転することもない。しかしながら、上記のように案内部材200には第1回転軸37を基準に回転方向D1に回転しようとする力がかかるため、棒状部202の屈曲部202aなどが弾性変形する。なお、案内部材200は樹脂で構成されており、弾性変形可能なので、この際に破損することはない。
【0092】
また、図1などで表されるように、本実施形態のプリンター10においては、供給経路TSにおいて用紙Pを下方から上方に向かって搬送する。したがって、突出部201は、用紙Pを下方から上方に向かって案内する。用紙Pを下方から上方に向かって案内する構成は、特に斜行補正精度が低下しやすい。しかしながら、本実施形態のプリンター10は、上記で説明したような構成とすることで、用紙Pを下方から上方に向かって案内する構成においても、斜行補正精度が低下することを抑制することができる。
【0093】
本発明の実施形態に係るプリンター10は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…プリンター(記録装置)、12…装置本体、12A…開口部、13…排出部、14…用紙カセット、16…ピックローラー、17…搬送ローラー対、18…搬送ローラー対、19…手差トレイ、20…媒体幅センサー、21…プーリー、22…搬送ベルト、24…搬送ローラー対、25…フラップ、26…送込ローラー対、27…インクタンク、28…ラインヘッド(記録部)、29…制御部、30…搬送部、31…搬送ローラー対、32…下ガイド部、34…上ガイド部、36…第1ローラー(第1搬送ローラー)、36a…ローラー表面、37…第1回転軸(ローラー軸)、37A…外周部、37B…外周部、38…第2ローラー(第2搬送ローラー)、38A…外周面、39B…歯、39…第2回転軸、41…第3回転軸、42…扉、43…ヒンジ部、44…ガイド部材、44A…軸部、44B…本体部、45A…上流側ローラー、45B…上流側ローラー、46…本体部材、46A…下流側ローラー、46B…下流側ローラー、47…底壁、48…側壁、49…側壁、52…軸部、53…被接触部材、54…被接触面、56…被接触部材、57…被接触面、61…モーター、62…ベアリング、64…ベアリング、70…支持ユニット、72…ユニット本体、73…スリット部、74…支持壁、75…規制板、76…支持壁、77…孔部、82…第1接触部材、83…基部、84…レバー部、85…接触面、86…段差部、87…フランジ部、88…スロープ部、88A…第1側面、88B…傾斜面、88C…第2側面、89…引掛部、92…引掛部、94…変換部材、95…支軸部、96…第1延出部、97…第2延出部、98…規制部、102…第1トーションばね、102A…巻線部、102B…アーム部、102C…アーム部、102D…屈曲部、104…第2接触部材、105…第4回転軸、106…第1延出部、106A…接触面、108…第2延出部、112…第2トーションばね、112A…巻線部、112B…アーム部、112C…アーム部、112D…屈曲部、114…押付ばね(付勢部材)、200…案内部材、201…突出部、201a…接触部、201b…側面部、201c…側面部、202…棒状部、202a…屈曲部(弾性変形部)、203…突起部、203a…先端、300…経路形成部材、301…孔部、301b…側面部、301c…側面部、301d…下面部、302…誘い部、303…経路面、310…規制部、400…フレーム、A…合流点、B…分岐点、C…接触位置、N…ニップ位置、P…用紙、Q…インク、R…湾曲経路、R1…導入経路、R2…下降経路、R3…上昇経路、S1…対向領域、T…搬送経路、T1…搬送路、T2…搬送路、T3…排出路、T4…送込経路、T5…送出経路、TB…スイッチバック経路、TM…両面経路、TR…環状の搬送経路、TS…供給経路
図1
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