(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053215
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】真贋判定システム、真贋判定方法及び真贋判定装置
(51)【国際特許分類】
G09F 3/03 20060101AFI20240408BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240408BHJP
G06V 10/74 20220101ALI20240408BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240408BHJP
【FI】
G09F3/03 E
G06T7/00 300F
G06V10/74
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159318
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】平井 千夏
(72)【発明者】
【氏名】小手川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 恵理
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
5L096DA02
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】セキュリティ媒体が再使用されることによる誤判定を防止できる真贋判定システム、真贋判定方法及び真贋判定装置を提供する。
【解決手段】 セキュリティ媒体10が、商品11の一つ一つを識別可能となるように、商品11ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報13が付与されているとともに、商品11の包装材12又は商品11自身から剥がされると、個別識別情報13の少なくとも一部が破損される脆性構造を有している。また、真贋判定装置30が、判定対象となる商品11の包装材12に貼着等されたセキュリティ媒体10に付与された個別識別情報13を撮像して生成された個別識別情報画像23を取得し、取得した個別識別情報画像23から特徴点情報を抽出し、抽出した特徴点情報が特徴点情報記憶部33が記憶している特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、商品11が本物であると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体と、前記セキュリティ媒体が貼着又は転写された商品が本物であるかを判定する真贋判定装置と、を備え、
前記セキュリティ媒体は、
商品の一つ一つを識別可能となるように、商品ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報が付与されているとともに、商品の包装材又は商品自身から剥がされると、前記個別識別情報の少なくとも一部が破損される脆性構造を有しており、
前記真贋判定装置は、
前記セキュリティ媒体に付与された前記個別識別情報の画像データである個別識別情報画像に含まれる前記特徴点情報を記憶する特徴点情報記憶部と、
判定対象となる商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写された前記セキュリティ媒体に付与された前記個別識別情報を撮像して生成された前記個別識別情報画像を取得し、取得した前記個別識別情報画像から前記特徴点情報を抽出し、抽出した前記特徴点情報が前記特徴点情報記憶部が記憶している前記特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、前記判定対象となる商品が本物であると判定する真贋判定部と、を有する
真贋判定システム。
【請求項2】
前記真贋判定部は、前記抽出した前記特徴点情報が前記特徴点情報記憶部が記憶している前記特徴点情報の何れとも一致しない場合に、前記判定対象となる商品が本物であるとは保証できないと判定する
請求項1に記載の真贋判定システム。
【請求項3】
前記セキュリティ媒体は、商品の包装材又は商品自身の開封時に2以上の部分に分かれる商品の包装材又は商品自身の所定部分を跨ぐように貼着又は転写されており、
前記真贋判定部が取得した前記個別識別情報画像に基づき、前記判定対象となる商品の包装材又は商品自身が開封されたかを判定する開封検知部を備える
請求項1に記載の真贋判定システム。
【請求項4】
前記開封検知部は、前記真贋判定部が取得した前記個別識別情報画像のうちの、前記脆性構造による破損が発生する部分の画像に基づき、前記判定対象となる商品の包装材又は商品自身が開封されたかを判定する
請求項3に記載の真贋判定システム。
【請求項5】
前記真贋判定部は、前記個別識別情報の撮像、前記個別識別情報画像の生成、前記個別識別情報画像の送信を行う端末から前記個別識別情報画像を取得し、
前記真贋判定装置は、前記真贋判定部による判定結果を前記個別識別情報画像の送信元の端末に送信する判定結果出力部を備える請求項1に記載の真贋判定システム。
【請求項6】
前記特徴点情報記憶部は、前記セキュリティ媒体の前記個別識別情報画像に含まれる前記特徴点情報を予め記憶している
請求項1から5の何れか1項に記載の真贋判定システム。
【請求項7】
前記特徴点情報記憶部は、過去に前記真贋判定部で前記個別識別情報画像から抽出された前記特徴点情報を記憶している
請求項1から5の何れか1項に記載の真贋判定システム。
【請求項8】
商品の包装材又は商品自身に対して、商品の一つ一つを識別可能となるように、商品ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報が付与されているとともに、商品の包装材又は商品自身から剥がされると、前記個別識別情報の少なくとも一部が破損される脆性構造を有するセキュリティ媒体を、商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写し、さらに、前記セキュリティ媒体に付与された前記個別識別情報の画像データである個別識別情報画像に含まれる前記特徴点情報を特徴点情報記憶部に記憶させておき、
判定対象となる商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写された前記セキュリティ媒体に付与された前記個別識別情報を撮像して生成された前記個別識別情報画像を取得し、取得された前記個別識別情報画像から前記特徴点情報を抽出し、抽出された前記特徴点情報が前記特徴点情報記憶部が記憶している前記特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、前記判定対象となる商品が本物であると判定する
真贋判定方法。
【請求項9】
商品への前記セキュリティ媒体の貼着又は転写、及び前記特徴点情報記憶部への前記特徴点情報の記憶を、商品の工場出荷前に行う
請求項8に記載の真贋判定方法。
【請求項10】
商品への前記セキュリティ媒体の貼着又は転写、及び前記特徴点情報記憶部への前記特徴点情報の記憶を、商品の工場出荷後に行う
請求項8に記載の真贋判定方法。
【請求項11】
商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体であって、商品の一つ一つを識別可能となるように、商品ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報が付与されているとともに、商品の包装材又は商品自身から剥がされると、前記個別識別情報の少なくとも一部が破損される脆性構造を有しているセキュリティ媒体を基に、商品が本物であるかを判定する真贋判定装置であって、
前記セキュリティ媒体に付与された前記個別識別情報の画像データである個別識別情報画像に含まれる前記特徴点情報を記憶する特徴点情報記憶部と、
判定対象となる商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写された前記セキュリティ媒体に付与された前記個別識別情報を撮像して生成された前記個別識別情報画像を取得し、取得した前記個別識別情報画像から前記特徴点情報を抽出し、抽出した前記特徴点情報が前記特徴点情報記憶部が記憶している前記特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、前記判定対象となる商品が本物であると判定する真贋判定部と、
前記真贋判定部が取得した前記個別識別情報画像に基づき、前記判定対象となる商品の包装材又は商品自身が開封されたかを判定する開封検知部と、を備える
真贋判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真贋判定システム、真贋判定方法及び真贋判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、商品の包装材又は商品自身にセキュリティラベルを貼着しておき、消費者等が、セキュリティラベルを基に商品が本物であることを確認すること等が行われている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、特許文献1では、セキュリティラベルとして、高度な技術が必要で高価という点から、ホログラムを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、消費者等は、本物の商品のホログラム(以下、「本物ホログラム」とも呼ぶ)がどのようなものであるかを正確に把握していないことが殆どである。それゆえ、例えば、偽物の商品の包装材等に本物ホログラムと異なる偽物ホログラムが貼着されても、消費者の多くは、ホログラム自体が本物かどうかの見分けがつかないので、単にホログラムが貼着されていることを根拠に、偽物の商品を本物の商品と誤って判断する可能性がある。
このような誤判断を回避するために、本開示の発明者は、新しい技術として、印刷による商品バーコードの僅かな個体差の情報(特徴点情報)を商品製造時に記憶装置に登録しておき、商品を購入した消費者に、商品バーコードを撮影させ、画像データの特徴点情報を記憶装置に登録されている特徴点情報と照合し、商品の真贋を判定する技術を考えた。
しかし、このような特徴点情報の照合によって真贋を判定する方法では、例えば、本物の商品から商品バーコードが印刷されているラベルが剥がされ、剥がされたラベルが偽物の商品に貼着された場合、偽物の商品を本物の商品であると誤判定する可能性があった。
【0005】
本開示は、セキュリティ媒体が再使用されることによる誤判定を防止できる真贋判定システム、真贋判定方法及び真贋判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る真贋判定システムは、(a)商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体と、セキュリティ媒体が貼着又は転写された商品が本物であるかを判定する真贋判定装置と、を備え、(b)セキュリティ媒体は、商品の一つ一つを識別可能となるように、商品ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報が付与されているとともに、商品の包装材又は商品自身から剥がされると、個別識別情報の少なくとも一部が破損される脆性構造を有しており、(c)真贋判定装置は、セキュリティ媒体に付与された個別識別情報の画像データである個別識別情報画像に含まれる特徴点情報を記憶する特徴点情報記憶部と、(d)判定対象となる商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体に付与された個別識別情報を撮像して生成された個別識別情報画像を取得し、取得した個別識別情報画像から特徴点情報を抽出し、抽出した特徴点情報が特徴点情報記憶部が記憶している特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、判定対象となる商品が本物であると判定する真贋判定部と、を有することを要旨とする。
【0007】
また、本開示の一態様に係る真贋判定方法は、(a)商品の包装材又は商品自身に対して、商品の一つ一つを識別可能となるように、商品ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報が付与されているとともに、商品の包装材又は商品自身から剥がされると、個別識別情報の少なくとも一部が破損される脆性構造を有するセキュリティ媒体を、商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写し、さらに、セキュリティ媒体に付与された個別識別情報の画像データである個別識別情報画像に含まれる特徴点情報を特徴点情報記憶部に記憶させておき、(b)判定対象となる商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体に付与された個別識別情報を撮像して生成された個別識別情報画像を取得し、取得された個別識別情報画像から特徴点情報を抽出し、抽出された特徴点情報が特徴点情報記憶部が記憶している特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、判定対象となる商品が本物であると判定することを要旨とする。
【0008】
また、本開示の一態様に係る真贋判定装置は、(a)商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体であって、商品の一つ一つを識別可能となるように、商品ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報が付与されているとともに、商品の包装材又は商品自身から剥がされると、個別識別情報の少なくとも一部が破損される脆性構造を有しているセキュリティ媒体を基に、商品が本物であるかを判定する真贋判定装置であって、(b)セキュリティ媒体に付与された個別識別情報の画像データである個別識別情報画像に含まれる特徴点情報を記憶する特徴点情報記憶部と、(c)判定対象となる商品の包装材又は商品自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体に付与された個別識別情報を撮像して生成された個別識別情報画像を取得し、取得した個別識別情報画像から特徴点情報を抽出し、抽出した特徴点情報が特徴点情報記憶部が記憶している特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、判定対象となる商品が本物であると判定する真贋判定部と、(d)真贋判定部が取得した個別識別情報画像に基づき、判定対象となる商品の包装材又は商品自身が開封されたかを判定する開封検知部と、を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、セキュリティ媒体が再使用されることによる誤判定を防止できる真贋判定システム、真贋判定方法及び真贋判定装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態に係る真贋判定システムの機能を示す機能ブロック図である。
【
図2】セキュリティ媒体の断面構成を示す断面図である。
【
図3】セキュリティ媒体の断面構成を示す断面図であって、(A)はセキュリティ媒体を剥がす前を示す図であり,(B)は剥がした後を示す図である。
【
図4】セキュリティ媒体の断面構成を示す断面図である。
【
図5】セキュリティ媒体の断面構成を示す断面図である。
【
図6】セキュリティ媒体の平面構成を示す平面図である。
【
図7】セキュリティ媒体の平面構成を示す平面図である。
【
図8】セキュリティ媒体を貼着等した商品の包装材を示す側面図である。
【
図9】セキュリティ媒体を貼着等した商品の包装材を示す側面図である。
【
図10】真贋判定装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図11】オフセット印刷で印刷した個別識別情報の一部を拡大して示す図であって、(A)(B)は同一材料の基材に同じ個別識別情報を印刷した場合を示す図である。
【
図12】第一実施形態に係る真贋判定方法を説明するフローチャートである。
【
図13】第二実施形態に係る真贋判定システムの機能を示す機能ブロック図である。
【
図14】第三実施形態に係る真贋判定システムの機能を示す機能ブロック図である。
【
図15】セキュリティ媒体の平面構成を示す平面図である。
【
図16】セキュリティ媒体の平面構成を示す平面図である。
【
図17】変形例に係る真贋判定システムの機能を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本開示は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば、各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。
本開示の実施形態は、以下の順序で説明する。
1.第一実施形態
1.1 真贋判定システム
1.1 真贋判定装置
1.3 真贋判定方法
2.第二実施形態
2.1 真贋判定システム
2.2 真贋判定装置
2.2 真贋判定方法
2.3 変形例
【0012】
[1.第一実施形態]
[1.1 真贋判定システム]
以下、第一実施形態に係る真贋判定システム1について説明する。まず、
図1から
図12を参照して、第一実施形態に係る真贋判定システム1の基本構成及び各部の機能について説明する。
図1は、真贋判定システム1の機能を示す機能ブロック図である。
第一実施形態に係る真贋判定システムは、個別識別情報(例えば、バーコード、QRコード(登録商標))が付与され且つ剥がされると個別識別情報の少なくとも一部が破損される脆性機能を持ったセキュリティ媒体(例えば、貼着ラベル、転写シール)を、商品の包装材又は商品自体に貼着又は転写し、貼着等されたセキュリティ媒体の個別識別情報の特徴点情報(例えば、部分的な印刷のかすれ)を記憶装置に登録することで、セキュリティ媒体に対して、上記の脆性機能に加え、個体識別機能を持たせる構成となっている。
【0013】
図1に示すように、真贋判定システム1は、セキュリティ媒体10と、端末20と、真贋判定装置30とを備えている。
(セキュリティ媒体)
セキュリティ媒体10は、商品11の包装材12又は商品11自身に貼着又は転写されるシート状の媒体である。例えば、貼着ラベル、転写シールを採用できる。
図1では、セキュリティ媒体10として、商品11の包装材12に貼着された貼着ラベルを用いた場合を例示している。セキュリティ媒体10には、商品11側に位置する面に個別識別情報13が付与されている。個別識別情報13としては、例えば、バーコード等の一次元コードやQRコード(登録商標)等の二次元コードを含む識別コード、識別コード以外の絵柄を採用できる。個別識別情報13は、例えば、商品11の一つ一つを識別可能となるように、商品11ごとに異なる特徴点の情報(以下、「特徴点情報」とも呼ぶ)を有している。ここで、「特徴点」は、例えば、個別識別情報13が識別コードである場合、識別コードのコード内容を特定する特徴点(例えば、バーコードの縞状模様の線の太さ、QRコード(登録商標)のドットのパターン)とは別の特徴点であって、識別コード自身を特定する特徴点である。例えば、識別コードの部分的な印刷のかすれ等の微細な特徴点が挙げられる(
図11(A)、
図11(B)参照)。
図11(A)及び
図11(B)には、同一材料からなる基材それぞれに同じ原図データを用いて個別識別情報13を印刷した場合にも、個別識別情報13ごとに印刷のかすれ等が異なることが示されている。
【0014】
セキュリティ媒体10は、商品11の包装材12又は商品11自身から剥がされると、個別識別情報13の少なくとも一部が破損される脆性構造(以下「開封検知構造」とも呼ぶ)を有している。開封検知構造を有することにより、セキュリティ媒体10の「脆性機能」が実現される。開封検知構造は、例えば、層構成の工夫や切込みの付与によって形成される。層構成の工夫によって実現される開封検知構造としては、例えば、
図2に示すように、個別識別情報13を形成する絵柄層10
1と接着層10
2とを積層させるとともに、接着層10
2内に互いに強度が異なる複数の領域を形成した構造(以下、「第1構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第1構造によれば、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、絵柄層10
1から、強度が高い領域と接触する部分が分離され、個別識別情報13が破損される。なお、接着層10
2に代えて、アクリル系樹脂やシリコーン系樹脂からなる粘着層を用いてもよい。また、例えば、
図3(A)に示すように、接着層10
3と個別識別情報13を形成する絵柄層10
4と接着層10
5とを積層させるとともに、絵柄層10
4を複数層で形成し、複数層の層間の材料強度を互いに異ならせた構造(以下、「第2構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第2構造によれば、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、
図3(B)に示すように、別の文字や絵柄が現れるように、絵柄層10
4から、強度が高い領域と接触する部分が分離され、個別識別情報13が破損される。
【0015】
また、例えば、個別識別情報13を形成する絵柄層と基材とを積層させるとともに、セキュリティ媒体10が剥がされると個別識別情報13が曇るように絵柄層の屈折率と基材の屈折率とを調整した構造(以下、「第3構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第3構造によれば、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、個別識別情報13が曇ることなり、個別識別情報13が破損される。また、例えば、個別識別情報13を形成する絵柄層と基材とを積層させるとともに、基材内に複数の脆弱領域を形成した構造(以下、「第4構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第4構造によれば、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、脆弱領域を起点として基材が破壊され、個別識別情報13が破損される。
また、例えば、
図4に示すように、接着層10
6と個別識別情報13を形成する絵柄層10
7と溶剤発色層10
8と最表層10
9とを積層させるとともに、溶剤発色層10
8内に水性の溶剤と反応して発色する領域(
図4では左側領域)と油性の溶剤と反応して発色する領域(
図4では右側領域)とを形成した構造(以下、「第5構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第5構造によれば、溶剤で接着層10
6が溶かされ、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、溶剤発色層10
8の溶剤種類に応じた領域が発色し、個別識別情報13が破損される。また、例えば、
図5に示すように、接着層10
10と基材10
11と個別識別情報13を形成する絵柄層10
12とを積層させるとともに、絵柄層10
12内に熱と反応して発色する感熱記録材を配置した構造(以下、「第6構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第6構造によれば、熱で接着層10
10が溶かされ、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、絵柄層10
12の感熱記録材が発色し、個別識別情報13が破損される。
【0016】
また、切込みの付与によって実現される開封検知構造としては、例えば、
図6に示すように、セキュリティ媒体10の外周側から個別識別情報13が存在する領域にまで達する複数の切込み10
131、10
132、10
133、10
134、10
135、10
136、10
137、10
138が形成された構造(以下、「第7構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第7構造によれば、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、切込み10
131~10
138が形成された部分を起点としてセキュリティ媒体10が裂けて、個別識別情報13が破損される。また、例えば、
図7に示すように、セキュリティ媒体10の個別識別情報13が存在する領域にのみ複数の切込み10
141、10
142、10
143が形成された構造(以下、「第8構造」とも呼ぶ)を採用できる。この第8構造によれば、セキュリティ媒体10が剥がされたときに、切込み10
141~10
143が形成された部分、つまり、個別識別情報13が付与されている領域を起点としてセキュリティ媒体10が裂けて、個別識別情報13が破損される。
【0017】
セキュリティ媒体10は、商品11の包装材12の開封時又は商品11自身の開封時に2以上の部分に分かれる所定部分(以下、「開封部14」とも呼ぶ)を跨ぐように貼着又は転写されている。開封部14を跨いでセキュリティ媒体10を貼着等することにより、例えば、商品11の包装材12等が開封されると、セキュリティ媒体10が剥がされるため、セキュリティ媒体10が破損される。それゆえ、消費者は、セキュリティ媒体10の破損を目視で確認することで、商品11の包装材12等が開封済みであるかを把握できる。例えば、
図8に示すように、商品11の包装材12が本体部12
1とネジ式の蓋12
2とを有する場合には、本体部12
1と蓋12
2との境界部を開封部14として、開封部14を跨ぐように貼着等させる。また、例えば、
図9に示すように、商品11の包装材12がミシン目12
3を有し、ミシン目12
3で包装材12が切断されると包装材12が下側部分12
4と上側部分12
5とに分かれる構造である場合には、下側部分12
4と上側部分12
5との境界部を開封部14として、開封部14を跨ぐように貼着等させる。
【0018】
(端末)
端末20は、ネットワークを介して真贋判定装置30と通信するための通信機能を有する端末装置である。例えば、消費者が所持しているスマートフォンやタブレット端末等の移動通信端末装置を採用できる。端末20は、撮像部21及び表示部22を備え、消費者によって操作され、消費者が購入した商品11のセキュリティ媒体10を撮像部21で撮像し、セキュリティ媒体10に付与された個別識別情報13の画像データである撮像画像23を取得する。撮像画像23の解像度は、個別識別情報13の特徴点情報を正確に抽出可能な程度に高く設定されていればよい。例えば、300dpi以上に設定される。
また、端末20は、消費者によって操作され、個別識別情報13の撮像画像23(以下、「個別識別情報画像23」とも呼ぶ)を真贋判定装置30に送信する。即ち、端末20は、個別識別情報13の撮像、個別識別情報画像23の生成、個別識別情報画像23の送信を行う。これにより、真贋判定装置30は、判定対象となる商品11の包装材12又は商品11自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体10に付与された個別識別情報13を撮像して生成された個別識別情報画像23を取得し、取得した個別識別情報画像23を基に商品11が本物であるかの判定(以下、「真贋判定」とも呼ぶ)を行う。また、端末20は、真贋判定装置30から商品11の真贋判定の判定結果が送信されると、送信された判定結果を取得して表示部22に表示させる。なお、個別識別情報画像23の取得→個別識別情報画像23の送信→真贋判定の判定結果の表示の一連の動作は、例えば、専用のアプリケーションソフトウェアを端末20に実行させて実現するようにしてもよい。
【0019】
[1.2 真贋判定装置]
真贋判定装置30は、ネットワーク上に配置されたコンピュータ(サーバ)である。真贋判定装置30は、
図10に示すように、プロセッサ101、RAM(Random Access Memory)102、記憶装置103及び通信部104を備えている。また、真贋判定装置30は、バス105を介して、各部101~104が互いに接続されている。プロセッサ101は、例えば、MPU(micro processor unit)等の演算回路で構成される。また、RAM102は、プロセッサ101により実行されるプログラム等を一時的に記憶する。また、記憶装置103は、プロセッサ101が使用するプログラムや、各種デ-タ(例えば、特徴点情報)等を記憶する。また、通信部104は、ネットワークを介して端末20と通信する。通信部104としては、例えば、ネットワークインターフェースを採用できる。そして、プロセッサ101は、例えば、記憶装置103が記憶しているプログラムに従い、
図1に示すように、画像取得部31、画像解析部32、特徴点情報記憶部33、特徴点情報比較部34、判定結果出力部35等の機能を実現する。画像取得部31、画像解析部32、特徴点情報記憶部33及び特徴点情報比較部34は真贋判定部36を構成している。プロセッサ101は、画像取得部31等により、端末20から個別識別情報13の撮像画像23が送信されると、送信された撮像画像23を基に、商品11の真贋判定を行う。
以下、真贋判定装置30の各部31~35について説明する。
【0020】
(画像取得部)
画像取得部31は、端末20とインターネット等のネットワークを介して接続され、端末20から送信された個別識別情報画像23(撮像画像23)を取得する。画像取得部31は、取得した個別識別情報画像23を画像解析部32に出力する。
(画像解析部)
画像解析部32は、画像取得部31が取得した個別識別情報画像23に画像解析を行って、個別識別情報画像23から特徴点情報を抽出する。特徴点情報の抽出は、個別識別情報画像23を解析して、個別識別情報画像23中に表示される個別識別情報13の特徴点情報を画像認識技術を用いて抽出する。画像解析部32は、例えば、画像の回転によりコードの上下左右方向を所定の方向に一致させる処理、ノイズの除去、画像の歪みの補正、彩度や明度の調整等を、前処理として行った後、特徴点情報の抽出を行う。画像解析部32は、抽出した特徴点情報を特徴点情報比較部34に出力する。
【0021】
第一実施形態において「特徴点」とは、人間の目やスキャナ等のコード読取部では区別できない個々の画像に固有の特徴点を意味する。例えば、個別識別情報13が識別コードである場合、識別コードに含まれる情報(コード内容)に応じて相違するパターン形状以外の特徴点等が挙げられる。即ち、識別コードのコード内容を特定する特徴点とは別の特徴点であって、識別コード自身を特定する特徴点を採用することができる。具体的には、「特徴点」は、個別識別情報13の端部におけるエッジ線形性、個別識別情報13の明色領域と暗色領域とのコントラスト比、パターンの相違(例えば、余分な暗色領域の有無)、部分的な印刷のかすれ、外形のアスペクト比、配置位置とパターンのサイズ等、個別識別情報13自体を一意に特定可能な特徴点を用いる(
図11(A)、
図11(B)参照 )。
図11(A)及び
図11(B)では、同一材料からなる基材に同じ個別識別情報13を印刷した場合にも、個別識別情報13ごとに印刷のかすれ等が異なることを示す図である。
【0022】
(特徴点情報記憶部)
特徴点情報記憶部33は、セキュリティ媒体10に付与された個別識別情報13の特徴点情報を記憶する。特徴点情報記憶部33には、商品11が出荷されるたびに新しい特徴点情報が追加される。即ち、商品11へのセキュリティ媒体10の貼着又は転写、及び特徴点情報記憶部33への特徴点情報の記憶は、商品11の工場出荷前に行われる。例えば、出荷される商品11の包装材12又は商品11自身に貼着又は転写されているセキュリティ媒体10に付与された個別識別情報13を撮像して画像データ(個別識別情報画像23)を取得し、取得した個別識別情報画像23から特徴点情報を抽出し、抽出した特徴点情報を特徴点情報記憶部33に記憶させる。これにより、特徴点情報記憶部33は、セキュリティ媒体10の個別識別情報画像23に含まれる特徴点情報を予め記憶している。また、特徴点情報記憶部33には、本物の商品11に貼着等された個別識別情報13の特徴点情報のみが記憶される。そのため、特徴点情報記憶部33に特徴点情報が記憶されているセキュリティ媒体10が貼着等されている商品11は、本物であることが保証される。
【0023】
(特徴点情報比較部)
特徴点情報比較部34は、画像解析部32で抽出した特徴点情報が、特徴点情報記憶部33が記憶している特徴点情報の何れかと一致するかを判定する。このような一致の判定を行うことにより、セキュリティ媒体10の「個体識別機能」が実現される。特徴点情報比較部34は、何れかと一致すると判定した場合に、判定対象となる商品11が本物であると判定する。一方、何れとも一致しないと判定した場合に、判定対象とした商品11が本物であるとは保証できないと判定する(例えば、偽物である、又は真贋が判定不可であると判定する)。特徴点情報比較部34は、判定結果を判定結果出力部35に送信する。
(判定結果出力部)
判定結果出力部35は、特徴点情報比較部34から取得した判定結果を端末20に送信する。即ち、特徴点情報比較部34による判定結果を個別識別情報画像23の送信元の端末20に送信する。これにより判定結果出力部35は、判定結果(例えば「商品は本物である」「商品が本物であるとは保証できない」)を端末20の表示部22に表示させる。
【0024】
以上により、セキュリティ媒体10を、商品11の包装材12又は商品11自身から剥がされると、個別識別情報13の少なくとも一部が破損される脆性構造とした。それゆえ、例えば、本物の商品11の包装材12等からセキュリティ媒体10が剥がされると、剥がされたセキュリティ媒体10の個別識別情報13が破損する。そのため、剥がされたセキュリティ媒体10が偽物の商品11の包装材12等に貼着された場合、セキュリティ媒体10の個別識別情報13の特徴点情報と特徴点情報記憶部33が記憶している特徴点情報の何れとも一致しないと判定され、商品11が本物であるとは判定されない。したがって、セキュリティ媒体10が再使用されることによる誤判定を防止することができる。
【0025】
また、セキュリティ媒体10に「個体識別機能」を持たせたため、商品11を購入した消費者は、商品11の包装材12又は商品11自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体10の個別識別情報13を撮像し、撮像によって得られる個別識別情報画像23を真贋判定装置30に送信することで、商品11が本物であるかを確認できる。また、セキュリティ媒体10に「脆性機能」を持たせるとともに、商品11の包装材12等の開封部14を跨ぐようにセキュリティ媒体10を貼着等させたため、消費者は、セキュリティ媒体10の外形を目視で確認することで、商品11の包装材12等が開封済みであるかを把握できる。したがって、商品11の真贋判定及び開封検知を容易に行うことができる。
【0026】
以下に、真贋判定システム1の真贋判定及び開封検知の効果を各状況ごとに説明する。
(状況1)
以下の表1に示すように、状況1は、本物の商品11(商品の真贋:本物)の包装材12の開封部14に本物のセキュリティ媒体10(媒体の真贋:本物、個別識別機能:あり、脆性機能:あり)が貼着等されており、且つ商品11の包装材12が未開封(開封状態:未開封)の状況である。状況1では、特徴点情報が記憶されているため、消費者は、端末20を操作して、商品11のセキュリティ媒体10を撮像し、個別識別情報画像23を真贋判定装置30に送信することで、商品11が本物であることを確認できる(真贋判定:○)。また、セキュリティ媒体10の個別識別情報13の破損がないことを目視で確認することで、商品11の包装材12が未開封であることを把握できる(開封検知:○)。なお、以下の状況2~5では、「開封検知」についての評価は省略する。
【0027】
(状況2)
状況2は、偽物の商品11(商品の真贋:偽物)の包装材12の開封部14に、他から剥がした本物のセキュリティ媒体10(媒体の真贋:本物、個別識別機能:あり、脆性機能:あり)が貼着等されている状況である。状況2では、個別識別情報13が破損しているため、消費者は、端末20を操作して、商品11のセキュリティ媒体10を撮像し、個別識別情報画像23を真贋判定装置30に送信することで、商品11が本物であるとは保証されず、偽物の可能性があることを把握できる(真贋判定:○)。なお、個別識別情報13の破損度合いが大きい場合には、偽物の可能性があることは、目視でも把握できる。
【0028】
(状況3)
状況3は、偽物の商品11(商品の真贋:偽物)の包装材12の開封部14に偽物のセキュリティ媒体10(媒体の真贋:本物、個別識別機能:なし、脆性機能:あり)が貼着等されており、且つ、商品11の包装材12が未開封(開封状態:未開封)の状況である。状況3では、セキュリティ媒体10の特徴点情報が記憶されていないため、消費者は、端末20を操作して、商品11のセキュリティ媒体10を撮像し、撮像によって得られる個別識別情報画像23を真贋判定装置30に送信することで、商品11が本物であるとは保証されず、偽物の可能性があることを確認できる(真贋判定:○)。なお、状況2では、個別識別情報13が破損していないため、偽物の可能性は、目視では把握できない。
【0029】
(状況4、5)
状況4、5は、本物或いは偽物の商品11(商品の真贋:本物)の包装材12の開封部14にセキュリティ媒体10が貼着等されていない状況である。状況4、5では、消費者は、セキュリティ媒体10がないことを目視で確認することで、商品11が本物であるとは保証されず、商品11が偽物の可能性があることを把握できる(真贋判定:○)。
【表1】
【0030】
上記表1に示すように、真贋判定システム1によれば、状況1~5すべてで「真贋判定」の評価結果が「○」となり、また状況1で「開封検知」の評価結果が「○」となった。
【0031】
[1.3 真贋判定方法]
以下、第一実施形態に係る真贋判定方法を説明する。
第一実施形態に係る真贋判定方法は、少なくとも以下の方法により実行される。
(a)商品11の包装材12又は商品11自身に対して、商品11の一つ一つを識別可能となるように、商品11ごとに異なる特徴点情報を有する個別識別情報13が付与されているとともに、商品11の包装材12又は商品11自身から剥がされると、個別識別情報13の少なくとも一部が破損される脆性構造を有するセキュリティ媒体10を、商品11の包装材12又は商品11自身に貼着又は転写する
(b)セキュリティ媒体10に付与された個別識別情報13の画像データである個別識別情報画像23に含まれる特徴点情報を特徴点情報記憶部33に記憶させておく
(c)判定対象となる商品11の包装材12又は商品11自身に貼着又は転写されたセキュリティ媒体10に付与された個別識別情報13を撮像して生成された個別識別情報画像23を取得し、取得された個別識別情報画像23から特徴点情報を抽出し、抽出された特徴点情報が特徴点情報記憶部33が記憶している特徴点情報の何れかと一致すると判定した場合に、判定対象となる商品11が本物であると判定する
【0032】
以下、真贋判定方法を、
図1とともに
図12を参照してより詳細に説明する。
図12は、第一実施形態に係る真贋判定方法を説明するフローチャートである。
まず、
図12に示すように、真贋判定装置30の画像取得部31は、端末20から真贋判定装置30へ送信された個別識別情報画像23を取得する(ステップS11)。個別識別情報画像23は、例えば、商品11を購入した消費者によって、商品11の包装材12に貼着等されたセキュリティ媒体10の個別識別情報13が端末20で撮像されて生成される。画像取得部31は、取得した個別識別情報画像23を画像解析部32に送信する。
画像解析部32は、画像認識技術を用いて個別識別情報13の特徴点情報を抽出する(ステップS12)。画像解析部32は、特徴点情報を特徴点情報比較部34に送信する。
【0033】
特徴点情報比較部34は、画像解析部32から送信された個別識別情報13の特徴点情報と、特徴点情報記憶部33に記憶されている特徴点情報とを比較して、画像解析部32で抽出した特徴点情報が、特徴点情報記憶部33が記憶している特徴点情報の何れかと一致するかを判定する(ステップS13)。特徴点情報比較部34は、一致すると判定した場合(ステップS13のYes)、判定対象となる商品11が本物であると判定する(ステップS14)。特徴点情報比較部34は、判定結果を判定結果出力部35に出力する。判定結果出力部35は、判定結果を端末20に送信する(ステップS15)。これにより、端末20の表示部22には、判定結果(「商品は本物である」)が表示される。
【0034】
一方、特徴点情報比較部34は、画像解析部32で抽出した特徴点情報が、特徴点情報記憶部43が記憶している特徴点情報の何れとも一致しないと判定した場合(ステップS13のNo)、判定対象となる商品11が本物であるとは保証できないと判定する(ステップS16)。特徴点情報比較部34は、判定結果を判定結果出力部35に出力する。判定結果出力部35は、判定結果を端末20に送信する(ステップS17)。これにより、端末20の表示部22には、判定結果(「商品が本物であるとは保証できない」)が表示される。
【0035】
[2.第二実施形態]
[2.1 真贋判定システム]
以下、第二実施形態に係る真贋判定システム2について、
図13を参照して説明する。
図13は、真贋判定システム2の機能を示す機能ブロック図である。
図13に示すように、真贋判定システム2は、セキュリティ媒体10と、端末20と、真贋判定装置40とを備えている。真贋判定装置40は、商品11を購入した消費者が、商品11の包装材12又は商品11自身にセキュリティ媒体10を貼着又は転写し、貼着又は転写したセキュリティ媒体10の個別識別情報13の特徴点情報を特徴点情報記憶部33に記憶させる点が、第一実施形態の真贋判定システム1と異なる。なお、セキュリティ媒体10及び端末20は、第一実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0036】
[2.2 真贋判定装置]
真贋判定装置40は、画像取得部31と、画像解析部42と、特徴点情報記憶部43と、特徴点情報比較部44と、判定結果出力部35とを備えている。画像取得部31、画像解析部42、特徴点情報記憶部43及び特徴点情報比較部44が真贋判定部46を構成している。画像取得部31(画像解析部42、特徴点情報記憶部43、特徴点情報比較部44及び判定結果出力部45を除く各部)は第一実施形態で説明した各部と同様である。
以下、本実施形態における画像解析部42、特徴点情報記憶部43、特徴点情報比較部44及び判定結果出力部45について、詳細に説明する。
【0037】
(画像解析部)
画像解析部42は、画像取得部31が取得した個別識別情報画像23から特徴点情報を抽出する。画像解析部42は、抽出した特徴点情報を特徴点情報比較部44に出力する。
また、画像解析部42は、判定結果出力部45から特徴点情報を記憶させるための制御信号Smを受信した場合、抽出した特徴点情報を特徴点情報記憶部43に記憶させる。
(特徴点情報記憶部)
特徴点情報記憶部43は、過去に画像解析部32(真贋判定部46)で個別識別情報画像23から抽出された特徴点情報を記憶している。特徴点情報記憶部43は、個別識別情報画像23から抽出された個別識別情報13の特徴点情報のうち、特徴点情報記憶部43に記憶されていない個別識別情報13の特徴点情報が追加して記憶される。即ち、特徴点情報記憶部43は、真贋判定装置40に初めて送信された個別識別情報画像23が含む特徴点情報を記憶する。ここで、特徴点情報記憶部43は、事前にいずれの特徴点情報も記憶していない。即ち、すべての特徴点情報は、商品11が工場から出荷された後に記憶される。換言すると、商品11へのセキュリティ媒体10の貼着又は転写、及び特徴点情報記憶部43への特徴点情報の記憶は、商品11の工場出荷後に行われる。それゆえ、特徴点情報記憶部43は、過去に画像解析部32において個別識別情報画像23から抽出された個別識別情報13の特徴点情報がない場合には特徴点情報をなにも記憶していない。
【0038】
(特徴点情報比較部)
特徴点情報比較部44は、画像解析部42で抽出した個別識別情報13の特徴点情報が、特徴点情報記憶部43が記憶している特徴点情報の何れかと一致するかを判定する。特徴点情報比較部44は、何れかと一致すると判定した場合には、判定対象となる商品11が本物であると判定する。ここで、「本物」という文言は、広義の本物と狭義の本物とのうちの、広義の本物を意図しており、例えば、特徴点情報記憶部43への特徴点情報の記憶が行われたときにセキュリティ媒体10が貼着等されていた商品11と同一であるか、という意味も含んでいる。一方、特徴点情報比較部44は、何れとも一致しないと判定した場合には、画像解析部42で抽出された特徴点情報を特徴点情報記憶部43に記憶させると判定する。特徴点情報比較部44は、判定結果を判定結果出力部45に送信する。
【0039】
(判定結果出力部)
判定結果出力部45は、特徴点情報比較部44から取得した判定結果を端末20に送信する。また、判定結果出力部45は、特徴点情報比較部34から取得した判定結果に応じて、個別識別情報画像23中に表示される個別識別情報13の特徴点情報を特徴点情報記憶部43に記憶させるための制御信号Smを出力する。例えば、判定結果出力部45は、画像解析部32で抽出された特徴点情報を特徴点情報記憶部43に記憶させることを示す判定結果を受信した場合、画像解析部42に対して制御信号Smを出力する。また、判定結果出力部45は、判定対象となる商品11が本物であることを示す判定結果を受信した場合、画像解析部42に対する制御信号Smの出力を行わず、判定結果(例えば「商品は本物である」)の端末20の表示部22への表示のみを行う。これにより、判定結果出力部45は、端末20から送信された個別識別情報画像23から抽出した特徴点情報のうち、初めて抽出された特徴点情報のみを特徴点情報記憶部43に記憶させることができる。
【0040】
以上により、商品11を購入した消費者(以下「第1消費者」とも呼ぶ)が、その商品11を他の消費者(以下「第2消費者」とも呼ぶ)に販売する二次流通市場において、第1消費者が商品11の包装材12等にセキュリティ媒体10を貼着し、セキュリティ媒体10の個別識別情報13の特徴点情報を特徴点情報記憶部43に記憶させることで、第2消費者がセキュリティ媒体10の個別識別情報13を基に、商品11が本物であるか(例えば、第1消費者が発送した商品11に間違いないか)を確認できる。そのため、例えば、第1消費者から第2消費者に届くまでの間や、第2消費者に届いた後に第2消費者から返品されて第1消費者に戻るまでの間における、商品11のすり替え等を抑制できる。例えば、第1消費者は、まず商品11の包装材12又は商品11自身にセキュリティ媒体10を貼着又は転写し、端末20を操作して、貼着又は転写したセキュリティ媒体10を撮像して撮像画像23を取得し、取得した撮像画像23(個別識別情報画像23)を真贋判定装置40に送信する。すると、真贋判定装置40は、取得した個別識別情報画像23内に表示される個別識別情報13の特徴点情報が、特徴点情報記憶部43が記憶している特徴点情報の何れとも一致しないと判定し、個別識別情報13の特徴点情報を特徴点情報記憶部43に記憶させる。これにより、第1消費者が商品11の包装材12に貼着等したセキュリティ媒体10の個別識別情報13の特徴点情報が真贋判定装置40に登録される。
【0041】
その後、例えば、ネットショッピング等で第1消費者から第2消費者が商品11を購入した場合、第2消費者は、自身が所持する端末20を操作して、貼着等されているセキュリティ媒体10を撮像して撮像画像23を取得し、取得した撮像画像23(個別識別情報画像23)を真贋判定装置40に送信する。すると、真贋判定装置40は、取得した個別識別情報画像23内に表示される個別識別情報13の特徴点情報が、特徴点情報記憶部43が記憶している特徴点情報と一致すると判定し、判定対象とした商品11が本物であると判定し、判定結果を端末20に送信する。これにより、端末20に「商品は本物である」と表示され、第2消費者は、途中での商品11のすり替え等がないことを確認できる。
【0042】
また、例えば、第2消費者に届いた後に第2消費者から返品されて第1消費者に戻った場合、第1消費者は、自身が所持する端末20を操作して、貼着等されているセキュリティ媒体10を撮像して撮像画像23を取得し、取得した撮像画像23(個別識別情報画像23)を真贋判定装置40に送信する。すると、真贋判定装置40は、取得した個別識別情報画像23内に表示される個別識別情報13の特徴点情報が、特徴点情報記憶部43が記憶している特徴点情報と一致すると判定し、判定対象となる商品11が本物であると判定し、判定結果を端末20に送信する。これにより、端末20に「商品は本物である」と表示され、第1消費者は、途中での商品11のすり替え等がないことを確認できる。
【0043】
[3.第三実施形態]
以下、第三実施形態に係る真贋判定システム3について、
図14から
図16を参照して説明する。
図14は、真贋判定システム3の機能を示す機能ブロック図である。
図14に示すように、真贋判定システム3は、セキュリティ媒体10と、端末20と、真贋判定装置50とを備えている。真贋判定装置50は、真贋判定装置30が真贋判定に加え開封検知も行う点が、第一実施形態の真贋判定システム1と異なる。なお、セキュリティ媒体10及び端末20は、第一実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0044】
真贋判定装置50は、画像取得部31と、画像解析部32と、特徴点情報記憶部33と、特徴点情報比較部34と、判定結果出力部55と、開封検知部57とを備えている。画像取得部31、画像解析部32、特徴点情報記憶部33、特徴点情報比較部34、真贋判定部36の各部は、第一実施形態で説明した各部と同様である。
以下、本実施形態における判定結果出力部55及び開封検知部57について、詳細に説明する。
【0045】
[3.1 真贋判定装置]
(開封検知部)
開封検知部57は、画像取得部31(真贋判定部36)が取得した個別識別情報画像23に基づき、判定対象となる商品11の包装材12又は商品11自身が開封されたかを判定する。具体的には、開封検知部57は、画像取得部31が取得した個別識別情報画像23のうちの、開封検知構造(脆性構造)による破損が発生する部分の画像(以下、「要部画像60」とも呼ぶ)に基づき、判定対象となる商品11の包装材12又は商品11自身が開封されたかを判定する。例えば、要部画像60と、個別識別情報13の基準画像61とを比較して、個別識別情報13の破損があるかを判定する。基準画像61としては、例えば、個別識別情報13の形成時に用いた画像等、開封検知構造による破損がない状態の個別識別情報13の画像を用いることができる。また、破損が発生する部分としては、例えば、開封検知構造が
図2や
図3に示すような絵柄層が分離される構造である場合には、
図15に示すように、分離が発生する部分70を用いることができる。また、例えば、開封検知構造が
図6や
図7に示すようなセキュリティ媒体10が裂ける構造である場合には、
図16に示すように、裂けを生じる部分71(例えば、切込みの延長線上)を用いることができる。開封検知部57は、判定結果を判定結果出力部35に出力する。開封検知部57を有することにより、真贋判定装置50が「開封検知」を行うことが可能となる。
【0046】
なお、商品11の包装材12等の開封の有無の判定方法としては、例えば、開封検知構造による個別識別情報13の破損がある場合の個別識別情報画像23と、破損がない場合の個別識別情報画像23とを用いてニューラルネットワーク型の機械学習モデルを学習させ、学習させた機械学習モデルに個別識別情報画像23を入力して個別識別情報13の破損の有無を判定することで、包装材12等の開封の有無を判定する方法を用いてもよい。
(判定結果出力部)
判定結果出力部45は、特徴点情報比較部44から取得した判定結果、及び開封検知部57から取得した判定結果を端末20に送信する。これにより、判定結果出力部35は、これらの判定結果(例えば、「商品は本物である」「商品が本物であるとは保証できない」「開封状態である」「未開封状態である」)を端末20の表示部22に表示させる。
【0047】
[2.3 変形例]
(1)なお、第三実施形態では、第一実施形態に係る真贋判定装置30に開封検知部57を追加することで、真贋判定装置30で開封検知を可能とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図17に示すように、第二実施形態に係る真贋判定装置40に開封検知部57を追加して、真贋判定装置40で開封検知を可能としてもよい。
【0048】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…真贋判定システム、2…真贋判定システム、3…真贋判定システム、10…セキュリティ媒体、101…絵柄層、102…接着層、103…接着層、104…絵柄層、105…接着層、106…接着層、107…絵柄層、108…溶剤発色層、109…最表層、1010…接着層、1011…基材、1012…絵柄層、10131~10138…切込み、10141~10143…切込み、11…商品、12…包装材、121…本体部、122…蓋、123…ミシン目、124…下側部分、125…上側部分、13…個別識別情報、14…開封部、20…端末、21…撮像部、22…表示部、23…撮像画像、個別識別情報画像、30…真贋判定装置、31…画像取得部、32…画像解析部、33…特徴点情報記憶部、34…特徴点情報比較部、35…判定結果出力部、36…真贋判定部、40…真贋判定装置、42…画像解析部、43…特徴点情報記憶部、44…特徴点情報比較部、45…判定結果出力部、46…真贋判定部、50…真贋判定装置、55…判定結果出力部、56…真贋判定部、57…開封検知部、60…要部画像、61…基準画像、70…分離が発生する部分、71…裂けを生じる部分、101…プロセッサ、102…RAM、103…記憶装置、104…通信部、105…バス