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特開2024-53219走行制御方法、走行制御システム、及び走行制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053219
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】走行制御方法、走行制御システム、及び走行制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240408BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240408BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B69/00 303Z
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159325
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真之助
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB11
2B043BA02
2B043BB01
2B043BB06
2B043BB14
2B043DC03
2B043EA03
2B043EA12
2B043EA14
2B043EC15
2B043ED25
2B043ED30
2B043EE05
5H301AA03
5H301BB01
5H301BB03
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301HH01
5H301HH11
5H301HH13
5H301HH18
(57)【要約】
【課題】自動走行と手動走行とを切り替えながら作業を行う作業車両におけるオペレータの操作性を向上させることが可能な走行制御方法、走行制御システム、及び走行制御プログラムを提供すること。
【解決手段】受付処理部712は、作業車両10を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に作業車両10が到達した場合に作業車両10に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付ける。設定処理部714は、前記複数の動作項目のそれぞれを前記ユーザーの操作に基づいて設定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に前記作業車両が到達した場合に前記作業車両に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付けることと、
前記複数の動作項目のそれぞれを、前記ユーザーの操作に基づいて設定することと、
を実行する走行制御方法。
【請求項2】
前記作業経路の終了点は、前記作業車両を手動走行させる非作業経路の開始点の位置に一致し、
前記作業経路の開始点は、前記非作業経路の終了点の位置に一致する、
請求項1に記載の走行制御方法。
【請求項3】
前記複数の動作項目は、所定の音を前記作業車両から出力させる動作、所定の情報を操作端末に表示させる動作、及び、前記作業車両の走行を停止させる動作の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載の走行制御方法。
【請求項4】
前記ユーザーが前記所定の音を前記作業車両から出力させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に前記所定の音を前記作業車両から出力させる、
請求項3に記載の走行制御方法。
【請求項5】
前記ユーザーが前記所定の情報を前記操作端末に表示させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に前記所定の情報を前記操作端末に表示させる、
請求項3に記載の走行制御方法。
【請求項6】
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に前記作業車両の走行を停止させる、
請求項3に記載の走行制御方法。
【請求項7】
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定を行った場合に、さらに、作業機の動作を設定する操作を前記ユーザーから受け付ける、
請求項3に記載の走行制御方法。
【請求項8】
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定及び前記作業機による作業を停止させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に、前記作業車両を停止させ、かつ前記作業機による作業を停止させる、
請求項7に記載の走行制御方法。
【請求項9】
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定、及び、前記作業機への駆動力の伝達を停止させる設定又は前記作業機を上昇させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に、前記作業車両を停止させ、かつ前記作業機への駆動力の伝達を停止させる又は前記作業機を上昇させる、
請求項8に記載の走行制御方法。
【請求項10】
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定を行った場合に、さらに、前記作業車両の自動走行を再開させる条件を設定する操作を前記ユーザーから受け付ける、
請求項3~9のいずれかに記載の走行制御方法。
【請求項11】
前記作業車両の自動走行を再開させる条件は、作業機への駆動力の伝達のON/OFFを切り替える切替操作具の操作位置がOFFの位置であること、作業機の昇降位置を切り替える昇降操作具の位置が上昇の位置であること、前記作業車両の車速を可変する車速操作具の位置が最低車速の位置であること、前記作業車両の前後進を切り替える方向操作具の位置が中立の位置であること、の少なくともいずれかを含む、
請求項10に記載の走行制御方法。
【請求項12】
作業車両を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に前記作業車両が到達した場合に前記作業車両に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付ける受付処理部と、
前記複数の動作項目のそれぞれを、前記ユーザーの操作に基づいて設定する設定処理部と、
を備える走行制御システム。
【請求項13】
作業車両を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に前記作業車両が到達した場合に前記作業車両に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付けることと、
前記複数の動作項目のそれぞれを、前記ユーザーの操作に基づいて設定することと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための走行制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場などにおいて作業車両を目標経路に従って自動走行させる走行制御方法、走行制御システム、及び走行制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動走行可能な作業車両として、直進時のみ目標経路に従って自動走行を行い、旋回時においてはオペレータによる手動操舵(手動操作)に応じて走行(手動走行)を行う作業車両が知られている。また、自動走行の直進経路の終了点に接近した場合に、オペレータに自動走行から手動走行への切り替え操作を促すためにブザー音を出力させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-112071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動走行と手動走行とを切り替えながら作業を行う作業車両では、オペレータは、自動走行から手動走行に切り替える際に、車両を一時停止させたり、作業機の動作を停止させたりする必要がある。従来の技術では、自動走行から手動走行に切り替える際にオペレータが所定の操作を行わなければならないため、手間がかかったり、前記ブザー音に気が付かずに所定の操作をし忘れたりする問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、自動走行と手動走行とを切り替えながら作業を行う作業車両におけるオペレータの操作性を向上させることが可能な走行制御方法、走行制御システム、及び走行制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る走行制御方法は、作業車両を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に前記作業車両が到達した場合に前記作業車両に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付けることと、前記複数の動作項目のそれぞれを、前記ユーザーの操作に基づいて設定することと、を実行する。
【0007】
本発明に係る走行制御システムは、受付処理部と設定処理部とを備える。前記受付処理部は、作業車両を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に前記作業車両が到達した場合に前記作業車両に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付ける。前記設定処理部は、前記複数の動作項目のそれぞれを、前記ユーザーの操作に基づいて設定する。
【0008】
本発明に係る走行制御プログラムは、作業車両を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に前記作業車両が到達した場合に前記作業車両に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付けることと、前記複数の動作項目のそれぞれを、前記ユーザーの操作に基づいて設定することと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための走行制御プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動走行と手動走行とを切り替えながら作業を行う作業車両におけるオペレータの操作性を向上させることが可能な走行制御方法、走行制御システム、及び走行制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業車両の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る作業車両の一例を示す外観図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る操作装置の一例を示す外観図である。
図4A図4Aは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図4B図4Bは、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図5A図5Aは、本発明の実施形態に係る経路生成方法を説明するための図である。
図5B図5Bは、本発明の実施形態に係る経路生成方法を説明するための図である。
図5C図5Cは、本発明の実施形態に係る経路生成方法を説明するための図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る目標経路の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される走行画面の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る作業車両によって実行される自動走行処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係る操作装置に表示される設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
本発明の実施形態に係る自動走行システム(本発明の走行制御システムの一例)は、作業車両10と、衛星(不図示)と、基地局(不図示)とを含んでいる。本実施形態では、作業車両10がトラクターである場合を例に挙げて説明する。なお、他の実施形態として、作業車両10は、田植機、コンバイン、建設機械、又は除雪車などであってもよい。作業車両10は、圃場F(図6参照)内をオペレータ(ユーザー)の操作に応じて、目標経路に従って走行しながら所定の作業(例えば耕耘作業)を行う。具体的には、作業車両10は、自動操舵に応じて目標経路を直進走行し、オペレータによる手動操舵(運転操作)に応じて旋回走行する。作業車両10は、直進経路の自動走行と旋回経路の手動走行とを切り替えながら圃場F内を走行して作業を行う。目標経路は、オペレータの操作に基づいて予め生成され、経路データとして記憶されてもよい。
【0013】
作業車両10は、例えば図6に示す圃場Fにおいて、直進走行と旋回走行とを繰り返しながら作業が終了するまで走行する。自動走行用の目標経路Rには、複数の直進経路(作業経路)が含まれる。複数の作業経路のそれぞれは互いに略平行である。図6には、作業経路Ra1~Ra12を例示している。例えば、作業車両10は、作業経路Ra1の自動走行、旋回経路Rc1の手動走行、作業経路Ra2の自動走行、旋回経路Rc2の手動走行、作業経路Ra3の自動走行を順に実行する。図6に示す符号A1は、作業車両10が走行及び作業を行った作業軌跡(作業済領域)を示している。
【0014】
図6に示す目標経路Rは一例であって、目標経路Rは、作業車両10のサイズ、作業機14の幅(作業幅)、隣接する作業領域同士が重なる幅(ラップ幅)、作業内容、圃場Fの形状などに応じて適宜決定される。
【0015】
なお、自動走行システムは、オペレータが操作する操作端末(タブレット端末、スマートフォンなど)を含んでもよい。前記操作端末は、携帯電話回線網、パケット回線網、無線LANなどの通信網を介して作業車両10と通信可能である。例えばオペレータは、前記操作端末において、各種情報(作業車両情報、圃場情報、作業情報など)などを登録する操作を行う。また、オペレータは、作業車両10から離れた場所において、前記操作端末に表示される走行軌跡により、作業車両10の走行状況、作業状況などを把握することが可能である。前記操作端末は、作業車両10に配置される操作装置17(図1参照)であってもよい。
【0016】
[作業車両10]
図1及び図2に示すように、作業車両10は、車両制御装置11、記憶部12、走行装置13、作業機14、通信部15、測位装置16、操作装置17などを備える。車両制御装置11は、記憶部12、走行装置13、作業機14、測位装置16、操作装置17などに電気的に接続されている。なお、車両制御装置11及び測位装置16は、無線通信可能であってもよい。また、車両制御装置11及び操作装置17は、無線通信可能であってもよい。
【0017】
通信部15は、作業車両10を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して外部機器(操作端末など)との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0018】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、車両制御装置11に後述の自動走行処理(図12参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記自動走行プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して作業車両10にダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部12には、操作装置17において生成される目標経路のデータが記憶されてもよい。
【0019】
走行装置13は、作業車両10を走行させる駆動部である。図2に示すように、走行装置13は、エンジン131、前輪132、後輪133、トランスミッション134、フロントアクスル135、リアアクスル136、ハンドル137などを備える。なお、前輪132及び後輪133は、作業車両10の左右にそれぞれ設けられている。また、走行装置13は、前輪132及び後輪133を備えるホイールタイプに限らず、作業車両10の左右に設けられるクローラを備えるクローラタイプであってもよい。
【0020】
エンジン131は、不図示の燃料タンクに補給される燃料を用いて駆動するディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの駆動源である。走行装置13は、エンジン131とともに、又はエンジン131に代えて、電気モーターを駆動源として備えてもよい。なお、エンジン131には、不図示の発電機が接続されており、当該発電機から作業車両10に設けられた車両制御装置11等の電気部品及びバッテリー等に電力が供給される。なお、前記バッテリーは、前記発電機から供給される電力によって充電される。そして、作業車両10に設けられている車両制御装置11、測位装置16、及び操作装置17等の電気部品は、エンジン131の停止後も前記バッテリーから供給される電力により駆動可能である。
【0021】
エンジン131の駆動力は、トランスミッション134及びフロントアクスル135を介して前輪132に伝達され、トランスミッション134及びリアアクスル136を介して後輪133に伝達される。また、エンジン131の駆動力は、PTO軸(不図示)を介して作業機14にも伝達される。走行装置13は、車両制御装置11の命令に従って走行動作を行う。
【0022】
作業機14は、例えば耕耘機、播種機、草刈機、プラウ、又は施肥機などであって、作業車両10に着脱可能である。これにより、作業車両10は、作業機14各々を用いて各種の作業を行うことが可能である。図2には、作業機14が耕耘機である場合を示している。
【0023】
作業機14は、作業車両10において、不図示の昇降機構により昇降可能に支持されてもよい。車両制御装置11は、前記昇降機構を制御して作業機14を昇降させることが可能である。例えば、車両制御装置11は、オペレータが昇降レバー14L(本発明の昇降操作具の一例)(図3参照)により作業機14を下降させる操作(例えば、昇降レバー14Lを「下降」の位置に入れる操作)を行うと、作業機14を下降させ、オペレータが昇降レバー14Lにより作業機14を上昇させる操作(例えば、昇降レバー14Lを「上昇」の位置に入れる操作)を行うと、作業機14を上昇させる。昇降レバー14Lは、例えばハンドル137付近に設けられるが(図3参照)、キャビン18内の他の位置に設けられてもよい。
【0024】
また、車両制御装置11は、作業の停止指示を取得した場合に、作業機14に作業の停止命令を出力する。車両制御装置11は、作業の停止指示を取得すると、PTO軸の駆動を停止させて作業機14の動作(作業)を停止させる。
【0025】
ハンドル137は、オペレータ又は車両制御装置11によって操作される操作部である。例えば走行装置13は、オペレータ又は車両制御装置11によるハンドル137の操作に応じて、油圧式パワーステアリング機構(不図示)などによって前輪132の角度を変更し、作業車両10の進行方向を変更する。
【0026】
また、走行装置13は、主変速レバー13L(図3参照)、PTOスイッチ13S、リバーサレバー、シフトレバー、アクセル、クラッチ、ブレーキ等を備える。走行装置13は、例えば、オペレータが主変速レバー13L(本発明の車速操作具の一例)により作業車両10の車速を上げる増速操作(例えば、主変速レバー13Lを奥に倒す操作)を行うと、作業車両10の車速を増速させ、オペレータが主変速レバー13Lにより作業車両10の車速を上げる減速操作(例えば、主変速レバー13Lを手前に倒す操作)を行うと、作業車両10の車速を減速させる。リバーサレバーは、作業車両10の前後進を切り替える操作具(本発明の方向操作具の一例)であり、「前進」、「中立」、「後進」に設定可能である。
【0027】
また、走行装置13は、例えば、オペレータがPTOスイッチ13S(本発明の切替操作具の一例)をONに設定する操作(例えば、PTOスイッチ13Sを「ON」の位置に入れる操作)を行うと、エンジン131の駆動力をPTO軸を介して作業機14に伝達して作業機14を動作させ、オペレータがPTOスイッチ13SをOFFに設定する操作(例えば、PTOスイッチ13Sを「OFF」の位置に入れる操作)を行うと、エンジン131から作業機14に対する駆動力の伝達を遮断して作業機14の動作を停止させる。
【0028】
また、走行装置13は、前記ブレーキの操作に応じて電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。また、走行装置13は、前記シフトレバーの操作に応じて、トランスミッション134のギアを前進ギア又はバックギアなどに切り替え、作業車両10の走行態様を前進又は後進などに切り替える。また、走行装置13は、前記アクセルの操作に応じてエンジン131の回転数を制御する。また、走行装置13は、前記ブレーキの操作に応じて電磁ブレーキを用いて前輪132及び後輪133の回転を制動する。
【0029】
オペレータが作業車両10に所定の動作を実行させるための上述の各種操作具、例えば、主変速レバー13L、PTOスイッチ13S、リバーサレバー、シフトレバー、アクセル、クラッチ、ブレーキは、本発明の操作具の一例である。
【0030】
測位装置16は、測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164などを備える通信機器である。例えば、測位装置16は、図2に示すように、オペレータが搭乗するキャビン18の上部に設けられている。また、測位装置16の設置場所はキャビン18に限定されない。さらに、測位装置16の測位制御部161、記憶部162、通信部163、及び測位用アンテナ164は、作業車両10において異なる位置に分散して配置されていてもよい。なお、前述したように測位装置16には前記バッテリーが接続されており、当該測位装置16は、エンジン131の停止中も稼働可能である。また、測位装置16として、例えば携帯電話端末、スマートフォン、又はタブレット端末などが代用されてもよい。
【0031】
測位制御部161は、一又は複数のプロセッサーと、不揮発性メモリ及びRAMなどの記憶メモリとを備えるコンピュータシステムである。記憶部162は、測位制御部161に測位処理を実行させるための測位制御プログラム、及び測位情報、移動情報などのデータを記憶する不揮発性メモリなどである。例えば、前記測位制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部162に記憶される。なお、前記測位制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して測位装置16にダウンロードされて記憶部162に記憶されてもよい。
【0032】
通信部163は、測位装置16を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して基地局サーバーなどの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0033】
測位用アンテナ164は、衛星から発信される電波(GNSS信号)を受信するアンテナである。
【0034】
測位制御部161は、測位用アンテナ164が衛星から受信するGNSS信号に基づいて作業車両10の現在位置を算出する。例えば、作業車両10が圃場Fを自動走行する場合に、測位用アンテナ164が複数の衛星のそれぞれから発信される電波(発信時刻、軌道情報など)を受信すると、測位制御部161は、測位用アンテナ164と各衛星との距離を算出し、算出した距離に基づいて作業車両10の現在位置(緯度及び経度)を算出する。また、測位制御部161は、作業車両10に近い基地局(基準局)に対応する補正情報を利用して作業車両10の現在位置を算出する、リアルタイムキネマティック方式(RTK-GNSS測位方式(RTK方式))による測位を行ってもよい。このように、作業車両10は、RTK方式による測位情報を利用して自動走行を行う。なお、作業車両10の現在位置は、測位位置(例えば測位用アンテナ164の位置)と同一位置であってもよいし、測位位置からずれた位置であってもよい。
【0035】
操作装置17は、作業車両10に搭乗するオペレータが操作する機器であり、各種情報を表示したり、オペレータの操作を受け付けたりする。具体的には、操作装置17は、各種設定画面を表示させてオペレータから各種の設定操作を受け付けたり、走行中の作業車両10に関する情報を表示させたりする。操作装置17の具体的構成は後述する。
【0036】
車両制御装置11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、車両制御装置11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより作業車両10を制御する。また、車両制御装置11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行する。
【0037】
具体的には、車両制御装置11は、作業車両10の走行を制御する。例えば、車両制御装置11は、作業車両10の走行モードが手動走行(手動走行モード)の場合に、オペレータの操作(手動操舵)に基づいて作業車両10を手動走行させる。例えば、車両制御装置11は、オペレータによるハンドル操作、変速操作、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作などの運転操作に対応する操作情報を取得し、当該操作情報に基づいて走行装置13に走行動作を実行させる。
【0038】
また、車両制御装置11は、作業車両10の走行モードが自動走行(自動走行モード)の場合に、測位制御部161により測位される作業車両10の現在位置を示す位置情報(測位情報)に基づいて作業車両10を自動走行させる。例えば、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行開始条件を満たし、オペレータから走行開始指示を取得すると、前記測位情報に基づいて作業車両10の自動走行を開始させる。また、車両制御装置11は、予め生成された目標経路R(作業経路)(図6参照)に従って作業車両10を自動走行させる。
【0039】
また、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終端(終了点)に到達すると走行モードを手動走行に切り替える。車両制御装置11は、作業車両10が終了点に到達したと判定した場合に走行モードを手動走行に切り替えてもよいし、オペレータの操作に応じて走行モードを手動走行に切り替えてもよい。走行モードが手動走行に切り替えられると、例えばオペレータは、手動操舵により作業車両10を旋回走行(手動走行)させる(図6参照)。なお、各作業経路の終了点の位置は、圃場Fの端部から所定距離だけ内側に入った位置、オペレータが予め指定した位置、直前の作業済経路においてオペレータが自動走行から手動走行に切り替えた位置に並ぶ位置(手動に切り替えた位置を通り作業済経路に垂直な線と作業経路とが交わる位置、又は、手動に切り替えた位置を通り圃場Fの端辺に平行な線と作業経路とが交わる位置)、基準線L1のB点を通り基準線L1に垂直な線と作業経路とが交わる位置(例えば図5Cの位置Pe)などである。
【0040】
なお、作業車両10を自動走行させる各作業経路の終了点は、作業車両10を手動走行させる非作業経路(旋回経路)の開始点の位置に一致し、各作業経路の開始点は、非作業経路(旋回経路)の終了点の位置に一致する。
【0041】
以上のようにして、車両制御装置11は、オペレータによる操作装置17における操作に応じて走行モードを切り替えて、作業車両10を、自動操舵により作業経路(目標経路R)を自動走行させ、手動操舵により非作業経路(旋回経路)を手動走行させる。また詳細は後述するが、車両制御装置11は、各作業経路の終了点において、作業車両10にオペレータの設定操作に応じた動作(放音動作、表示動作、走行制御動作など)を実行させる。
【0042】
[操作装置17]
図1に示すように、操作装置17は、操作制御部71、記憶部72、操作表示部73などを備える。操作装置17は、作業車両10に着脱可能な機器であってもよい。また、操作装置17は、オペレータが携帯可能な携帯端末(タブレット端末、スマートフォンなど)であってもよい。操作装置17は、車両制御装置11に有線又は無線により通信可能に接続されている。
【0043】
操作表示部73は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部と、操作を受け付ける操作ボタン又はタッチパネルなどの操作部とを備えるユーザーインターフェースである。操作表示部73は、操作制御部71の指示に応じて各種の設定画面、操作画面、走行画面などを表示する。また、操作表示部73は、前記各画面においてオペレータの操作を受け付ける。
【0044】
また、前記操作部は、作業車両10に自動走行を開始させる際にオペレータが走行開始指示を行う自動走行ボタンと、作業車両10と目標経路との位置偏差を補正する補正操作(シフト操作)を行うシフトボタンと、各画面において選択操作を行う複数の選択ボタンとを含んでいる(いずれも不図示)。これらの操作ボタンは、物理的なボタンであってもよいし、タッチパネルに表示される電子画像ボタンであってもよい。
【0045】
操作装置17は、例えば図2及び図3に示すように、キャビン18内のハンドル137付近に設置される。
【0046】
記憶部72は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。記憶部72には、操作装置17に各種処理を実行させるための制御プログラムが記憶されている。例えば、前記制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、所定の読取装置(不図示)で読み取られて記憶部72に記憶される。なお、前記制御プログラムは、サーバー(不図示)から通信網を介して操作装置17にダウンロードされて記憶部72に記憶されてもよい。また、前記制御プログラムは、作業車両10の記憶部12に記憶されてもよい。また、記憶部72には、操作装置17において生成される目標経路のデータが記憶されてもよい。なお、前記制御プログラムには、目標経路を生成する経路生成プログラムが含まれてもよい。
【0047】
操作制御部71は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、操作制御部71は、前記ROM又は記憶部72に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより操作装置17を制御する。
【0048】
具体的には、図1に示すように、操作制御部71は、表示処理部711、受付処理部712、生成処理部713、及び設定処理部714などの各種の処理部を含む。なお、操作装置17は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0049】
表示処理部711は、各種情報を操作表示部73に表示させる。例えば、表示処理部711は、各種の設定を行う設定画面(例えば図7図9図11等の設定画面P1~P3)、目標経路を生成する際の操作画面(例えば図4A図4Bの操作画面D1)、作業車両10の走行状況、作業状況等の走行情報を表示する走行画面(例えば図8の走行画面D2)などを操作表示部73に表示させる。
【0050】
受付処理部712は、オペレータによる各種操作を受け付ける。例えば、受付処理部712は、前記各設定画面において、作業車両10を自動走行させるための設定情報を入力する操作をオペレータから受け付け、前記各操作画面において、目標経路を生成するための操作、すなわち経路生成作業に関する各種操作をオペレータから受け付ける。
【0051】
生成処理部713は、作業車両10に自動走行させる目標経路Rを生成する。例えば、生成処理部713は、圃場F内のA点(第1基準点)及びB点(第2基準点)を通る基準線L1に基づいて、所定の間隔(等間隔)に配列される複数の直進経路(作業経路)を含む目標経路Rを生成する。
【0052】
以下、目標経路Rの生成手順の一例を説明する。例えば、表示処理部711は、基準線L1を設定する設定操作をオペレータから受け付ける操作画面D1(図4A参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、圃場F内において作業車両10を任意の位置に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。例えば、オペレータは、作業車両10を圃場Fの外周端部に移動させてA点登録ボタンKaを押下する。オペレータがA点登録ボタンKaを押下すると、生成処理部713は作業車両10の現在位置を第1基準点(A点)として登録する。生成処理部713がA点を登録すると、表示処理部711は、第2基準点(B点)の登録操作を受け付ける操作画面D1(図4B参照)を操作表示部73に表示させる。オペレータは、作業車両10に走行及び作業させたい方向(目標方向)に、作業車両10を手動走行させる(図5A参照)。具体的には、オペレータは、作業車両10が作業領域で作業する際の作業方向(例えば耕耘方向)に平行な方向に作業車両10を直進走行させる。このとき、作業車両10は、手動走行しながら所定の作業(例えば耕耘作業)を行ってもよい。そして、オペレータは、任意の位置(例えば圃場Fの外周端部)においてB点登録ボタンKb(図4B参照)を押下する。オペレータがB点登録ボタンKbを押下すると、生成処理部713は作業車両10の現在位置を第2基準点(B点)として登録する。
【0053】
生成処理部713は、A点及びB点の位置情報を取得すると、A点及びB点を通る直線を基準線L1として設定する(図5A参照)。なお、生成処理部713は、作成した基準線L1の方位を調整可能であってもよい。例えば、生成処理部713は、作成した基準線L1を操作画面D1に表示させて、オペレータから登録操作を受け付けた場合に基準線L1を設定(登録)する。一方、生成処理部713は、オペレータから基準線L1の方位を変更する操作(例えば、画面のタッチ操作など)を受け付けると、操作に応じて基準線L1の方位を調整する。生成処理部713は、B点を登録する操作を受け付けた場合に、基準線L1を登録するか又は調整するかの選択画面を表示させてもよい。
【0054】
生成処理部713は、基準線L1と、基準線L1に平行な複数の直線とを含む走行経路(目標経路R)を生成する。例えば、生成処理部713は、予め設定される作業幅(作業機14の横幅)及びラップ幅(隣接する作業済領域と重なる幅)に基づいて複数の平行な直線を、基準線L1を基準として等間隔に生成する(図5B参照)。生成処理部713は、生成した目標経路Rを記憶部72に登録するとともに、操作表示部73に表示させる。
【0055】
上記方法によれば、圃場Fの両端部の2点(A点及びB点)を通る基準線L1により目標経路Rを生成することができるため、作業車両10による作業精度を向上させることができる。なお、生成処理部713は、A点を登録してから作業車両10が所定距離(例えば5m)だけ走行した場合にB点を登録可能としてもよい。これにより、より精度の高い基準線L1を設定することができる。
【0056】
目標経路Rの生成方法は上記方法に限定されず、例えば、A点及び作業車両の向きから作成される基準線に基づいて目標経路Rを生成する方法(「A点+車両方位角」)であってもよいし、A点及び設定方位角から作成される基準線に基づいて目標経路Rを生成する方法(「A点+設定方位角」)であってもよい。
【0057】
目標経路Rが生成された後、オペレータは、圃場F内において作業車両10に自動走行を開始させる指示(走行開始指示)を行う。例えば作業車両10が、目標経路Rから所定距離以内かつ目標経路Rに対して所定方位以内に位置するなど(図5C参照)、自動走行開始条件を満たし自動走行可能な状態になった場合に、オペレータは操作表示部73の自動走行ボタン(不図示)を押下して走行開始指示を行うことが可能になる。
【0058】
オペレータが走行開始指示を行うと、車両制御装置11は、走行開始指示を受け付けて、作業車両10を目標経路Rに沿うように作業車両10の自動操舵を開始する。図6に示すように、作業車両10は、目標経路Rに含まれる複数の作業経路を自動走行しながら所定の作業を実行し、各作業経路の終了点において、オペレータにより予め設定された動作(後述)を実行するとともに、手動走行に切り替えてオペレータによる手動操舵により旋回経路を旋回走行する。
【0059】
設定処理部714は、目標経路Rに含まれる各作業経路の終了点における作業車両10の動作を設定する。具体的には、受付処理部712は、各作業経路の終了点に応じた所定位置に作業車両10が到達した場合に作業車両10に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれをオペレータから受け付ける。設定処理部714は、前記複数の動作項目のそれぞれをオペレータの操作に基づいて設定する。前記複数の動作項目は、例えば、所定の音(ブザー音又は音声)を作業車両10から出力させる動作(放音動作)、所定の情報を操作装置17に表示させる動作(表示動作)、作業車両10の走行を停止させる動作(走行制御動作)などを含む。本発明において、前記複数の動作項目は、前記放音動作、前記表示動作、及び前記走行制御動作の少なくともいずれかを含んでもよいし、少なくとも前記放音動作、前記表示動作、及び前記走行制御動作を含んでもよい。
【0060】
例えば図7に示すように、表示処理部711は、前記複数の動作項目を含む設定画面P1を操作表示部73に表示させる。図7に示す例では、作業車両10が作業経路の終了点に接近したときにブザー音を出力させるか否かを選択する選択欄K1と、作業車両10が作業経路の終了点に接近したときに終了点に接近したことを示す情報を表示させるか否かを選択する選択欄K2と、作業車両10が作業経路の終了点に到達したときに作業車両10の走行を停止させるか否かを選択する選択欄K3とが含まれる。
【0061】
例えば、設定画面P1において、オペレータが動作項目「ブザーお知らせ」の選択欄K1を「ON」に設定した場合、操作制御部71は、作業車両10が各作業経路(直進経路)の終了点に接近すると、操作装置17又は作業車両10に搭載されたスピーカからブザー音を出力させる。また操作制御部71は、ブザー音を出力させた後にオペレータから所定の操作(停止操作)を受け付けた場合にブザー音の出力を停止させる。作業車両10は、各作業経路の終了点に接近するごとに前記ブザー音を出力する。
【0062】
また例えば、設定画面P1において、オペレータが動作項目「ディスプレイ表示」の選択欄K2を「ON」に設定した場合、表示処理部711は、作業車両10が各作業経路(直進経路)の終了点に接近すると、作業車両10が終了点に接近していることを示すメッセージを操作表示部73に表示させる。例えば図8に示すように、表示処理部711は、走行画面D2に「もうすぐ終了点です」のメッセージを表示させる。作業車両10は、各作業経路の終了点に接近するごとに前記メッセージを表示する。
【0063】
また例えば、設定画面P1において、オペレータが動作項目「車両停止」の選択欄K3を「ON」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が各作業経路(直進経路)の終了点に到達すると、作業車両10の走行を停止させる。この場合、作業車両10は、例えば図6に示す作業経路Ra1を自動走行して作業経路Ra1の終了点に到達すると一時停止し、オペレータが手動走行モードに切り替えて手動操舵を行うと旋回経路Rc1を手動走行する。作業車両10は、各作業経路の終了点に到達するごとに自動的に停止する。
【0064】
オペレータは、設定画面P1において、前記複数の動作項目のそれぞれについて、「ON」又は「OFF」を設定することが可能である。これにより、オペレータは、作業内容、作業効率、作業の安全性などを考慮して、各動作項目を自由に設定することができるため、操作性を向上させることができる。なお、オペレータは、作業経路ごとに、前記複数の動作項目のそれぞれについて「ON」又は「OFF」に設定することが可能であってもよい。これにより、例えば特定の作業経路の終了点に接近又は到達した場合にのみ、ブザー音を表示させたり、前記メッセージを表示させたり、作業車両10を停止させたりすることができる。
【0065】
ここで、本実施形態に係る自動走行システムでは、オペレータが車両停止の動作項目を「ON」に設定した場合に、受付処理部712は、さらに、作業機14の動作を設定する操作をオペレータから受け付けてもよい。すなわち、受付処理部712は、作業車両10の走行停止動作に伴って作業機14に実行させる動作内容の設定操作を受け付けてもよい。例えば、受付処理部712がオペレータから「車両停止」の動作項目を「ON」に設定する操作を受け付けた場合に(図7参照)、表示処理部711は、図9に示す設定画面P2を表示させる。設定画面P2には、PTOを停止(PTO軸の回転動作を停止させて作業機14への駆動力の伝達を遮断)するか否かを選択する選択欄K4と、作業機14を上昇させるか否かを選択する選択欄K5とが含まれる。
【0066】
ここで、作業機14の中には、自動で駆動が停止したり、作業高さが変わらない方がよかったりする作業機14が存在する。このため、このような作業機14が作業車両10に装着されていることをオペレータが設定可能であってもよい。また、設定処理部113は、作業車両10及び作業機14が通信して、上記のような作業機14が装着されていると判定した場合に、好ましい状態をデフォルトとして設定してもよい。また、オペレータが設定できないように制御してもよい。
【0067】
また、オペレータが作業機14を上昇させる設定を行った場合には、設定処理部113は、当該設定に連動してPTOを停止させる設定を行ってもよい。これにより、作業機14が上昇したことに伴って自動的にPTOが停止して作業機14の動作が停止するため、作業機14が上昇した状態で駆動が継続することを防ぐことができる。但し、オペレータは、作業機14の上昇と連動してPTOを停止させるか否かを選択可能であってもよい。
【0068】
例えば、設定画面P2において、オペレータが動作項目「PTO停止」の選択欄K4を「ON」に設定した場合(図9参照)、車両制御装置11は、作業車両10が各作業経路の終了点に到達すると、作業車両10の走行を停止させるとともに、PTOの駆動を停止させて作業機14の動作(例えば耕耘作業)を停止させる。この場合、作業車両10は、例えば図6に示す作業経路Ra1を自動走行して作業経路Ra1の終了点に到達すると一時停止するとともに作業機14の動作を停止させて、オペレータが手動走行モードに切り替えると旋回経路Rc1を手動走行する。
【0069】
また例えば、設定画面P2において、オペレータが動作項目「作業機上昇」の選択欄K5を「ON」に設定した場合(図10参照)、車両制御装置11は、作業車両10が各作業経路の終了点に到達すると、作業車両10の走行を停止させるとともに、作業機14を上昇させる。また、車両制御装置11は、作業機14の上昇に連動して作業機14の駆動を停止(PTOを停止)させてもよい。この場合、作業車両10は、例えば図6に示す作業経路Ra1を自動走行して作業経路Ra1の終了点に到達すると一時停止するとともに作業機14を上昇させるとともに駆動を停止して、オペレータが手動走行モードに切り替えると旋回経路Rc1を手動走行する。
【0070】
図9及び図10に示す設定画面P2における設定操作によれば、例えば作業車両10が作業経路の終了点で停止した場合に、作業機14による作業を停止させるか、又は、継続させるかを、オペレータが選択することができる。オペレータが作業車両10の走行を停止させる設定及び作業機14による作業を停止させる設定を行った場合には、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路を自動走行して終了点に到達した場合に、作業車両10を停止させ、かつ作業機14による作業を停止させる。また、オペレータが作業車両10の走行を停止させる設定、及び、作業機14への駆動力の伝達を停止させる設定又は作業機14を上昇させる設定を行った場合には、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路を自動走行して終了点に到達した場合に、作業車両10を停止させ、かつ作業機14への駆動力の伝達を停止させる又は作業機14を上昇させるとともに駆動を停止させる。これにより、作業車両10が作業経路の終了点で走行を停止したにもかかわらず作業機14が駆動し続けてしまう状態を回避することができる。オペレータは、作業内容、作業機14の種別などに応じて、「PTO停止」及び「作業機上昇」に関する動作項目を自由に設定することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る自動走行システムでは、オペレータが「車両停止」の動作項目を「ON」に設定した場合に、受付処理部712は、さらに、作業車両10を手動走行モードから自動走行モードに切り替えるための条件、すなわち非作業経路における手動走行後の作業経路の開始点で自動走行を再開させるための条件を、オペレータから受け付けてもよい。作業車両10の自動走行を再開させる条件は、作業機14への駆動力の伝達のON/OFFを切り替えるPTOスイッチ13Sの操作位置が「OFF」の位置であること、作業機14の昇降位置を切り替える昇降レバー14Lの位置が「上昇」の位置であること、作業車両10の車速を可変する主変速レバー13Lの位置が「最低車速」の位置(最も手前の位置)であること、作業車両10の前後進を切り替えるリバーサレバーの位置が「中立」の位置であること、の少なくともいずれかを含む。
【0072】
例えば、表示処理部711は、設定画面P2(図9及び図10参照)において、動作項目「PTO停止」の選択欄K4に対応付けて、自動走行再開条件を設定するか否かを選択する選択欄K40を表示させ、動作項目「作業機上昇」の選択欄K5に対応付けて、自動走行再開条件を設定するか否かを選択する選択欄K50を表示させる。なお、表示処理部711は、動作項目「PTO停止」が「ON」に設定された場合に選択欄K40を選択可能に表示させ、動作項目「作業機上昇」が「ON」に設定された場合に選択欄K50を選択可能に表示させてもよい。表示処理部711は、動作項目「PTO停止」が「OFF」に設定された場合には選択欄K40を選択不可能に表示(例えばグレーアウト表示)させ、動作項目「作業機上昇」が「OFF」に設定された場合には選択欄K50を選択不可能に表示(例えばグレーアウト表示)させてもよい。
【0073】
動作項目「PTO停止」に対応する自動走行再開条件は、「PTOスイッチ13S(図3参照)の操作位置が「OFF」の位置であること」である。設定処理部714は、オペレータが選択欄K40のチェックを入れると(図9参照)、自動走行再開条件を設定する。この場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に位置し、PTOスイッチ13Sがオペレータにより「OFF」の位置に操作された場合に、自動走行再開条件を満たすと判定して、作業経路の自動走行を再開させる。また、車両制御装置11は、オペレータによりPTOスイッチ13Sが「OFF」の位置から「ON」の位置に変更された場合に、PTOの駆動を再開させて作業機14による作業を再開させる。
【0074】
なお、作業車両10が作業経路の終了点で停止してPTOの駆動を停止させるように設定されている場合には、作業車両10が作業経路の終了点で停止した場合に、PTOの駆動は停止するものの、PTOスイッチ13Sは「ON」の位置に維持されている。このため、例えばオペレータが選択欄K40のチェックを外して動作項目「PTO停止」に対応する自動走行再開条件を設定しない場合には、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に位置した場合に、作業経路の自動走行を再開させるとともに、PTOの駆動(作業機14による作業)も自動的に再開させる。
【0075】
また、動作項目「作業機上昇」に対応する自動走行再開条件は、「昇降レバー14L(図3参照)の操作位置が「上昇」の位置であること」である。設定処理部714は、オペレータが選択欄K50のチェックを入れると(図10参照)、自動走行再開条件を設定する。この場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に位置し、昇降レバー14Lがオペレータにより「上昇」の位置に操作された場合に、自動走行再開条件を満たすと判定して、作業経路の自動走行を再開させる。また、車両制御装置11は、オペレータにより昇降レバー14Lが「上昇」の位置から「下降」の位置に変更された場合に、作業機14による作業を再開させる。
【0076】
なお、作業車両10が作業経路の終了点で停止して作業機14を上昇させるように設定されている場合には、作業車両10が作業経路の終了点で停止した場合に、作業機14が上昇するものの、昇降レバー14Lは「下降」の位置に維持されている。このため、例えばオペレータが選択欄K50のチェックを外して動作項目「作業機上昇」に対応する自動走行再開条件を設定しない場合には、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に位置した場合に、作業経路の自動走行を再開させるとともに、作業機14による作業を自動的に再開させる。
【0077】
このように、オペレータは、手動走行から自動走行に切り替わった際に自動的に作業が再開されることを防ぐことで安全性を確保したい場合に、前記自動走行再開条件を設定する。この場合、作業車両10は、作業経路の開始点に到達して自動走行再開条件を満たした場合に自動走行を再開する。
【0078】
これに対して、オペレータは、手動走行から自動走行に切り替わった際に自動的に作業が再開されることで作業効率を高めたい場合に、前記自動走行再開条件を設定しない。この場合、作業車両10は、作業経路の開始点に到達すると自動走行を再開する。オペレータは、安全性及び作業効率を考慮して、自動走行再開条件を設定するか否かを選択することができる。
【0079】
他の実施形態として、表示処理部711は、前記自動走行再開条件の設定画面P3(図11参照)を表示させてもよい。例えば、オペレータが車両停止の動作項目を「ON」に設定した場合に(図7参照)、表示処理部711は設定画面P3を表示させ、受付処理部712は、オペレータから自動走行再開条件の設定操作を受け付けてもよい。設定画面P3には、「PTOスイッチ13Sの操作位置が「OFF」の位置であること」を自動走行の再開条件とする選択欄K61、「作業機レバー(昇降レバー14L)の操作位置が「上昇」の位置であること」を自動走行の再開条件とする選択欄K62、「主変速レバー13Lの操作位置が「最低」の位置であること」を自動走行の再開条件とする選択欄K63、「リバーサレバーの操作位置が「中立」の位置であること」を自動走行の再開条件とする選択欄K64とが含まれる。
【0080】
例えば、オペレータが選択欄K61を「ON」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達してPTOスイッチ13Sがオペレータにより「OFF」の位置に操作された場合に、自動走行再開条件を満たすと判定して自動走行を再開させる。オペレータが選択欄K61を「OFF」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達した場合に自動走行を再開させるとともに作業機14による作業を再開させる。
【0081】
また例えば、オペレータが選択欄K62を「ON」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達して昇降レバー14Lがオペレータにより「上昇」の位置に操作された場合に、自動走行再開条件を満たすと判定して自動走行を再開させる。オペレータが選択欄K62を「OFF」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達した場合に自動走行を再開させるとともに作業機14による作業を再開させる。
【0082】
また例えば、オペレータが選択欄K63を「ON」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達して主変速レバー13Lがオペレータにより「最低」の位置に操作された場合に、自動走行再開条件を満たすと判定して最低車速で自動走行を再開させる。オペレータが選択欄K63を「OFF」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達した場合に、現在の主変速レバー13Lの操作位置に応じた車速で自動走行を再開させる。
【0083】
また例えば、オペレータが選択欄K64を「ON」に設定した場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達してリバーサレバーがオペレータにより「中立」の位置に操作された場合に、自動走行再開条件を満たすと判定して自動走行を再開させる。この場合、車両制御装置11は、リバーサレバーがオペレータにより「前進」の位置に操作された場合に前進による自動走行を開始させる。オペレータが選択欄K64を「OFF」に設定した場合には、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達した場合に、現在のリバーサレバーの操作位置に応じた方向(例えば「前進」の方向)に自動走行を開始させる。
【0084】
オペレータは、図11に示す設定画面P3において、いずれか一つの自動走行再開条件を「ON」に設定してもよいし、複数の自動走行再開条件を「ON」に設定してもよい。オペレータが複数の自動走行再開条件を「ON」に設定した場合には、車両制御装置11は、当該複数の自動走行再開条件の全てが満たされた場合に自動走行を再開させる。
【0085】
[自動走行処理]
以下、図12を参照しつつ、車両制御装置11によって実行される前記自動走行処理の一例について説明する。なお、本発明は、車両制御装置11が前記自動走行処理の一部又は全部を実行する自動走行方法の発明、又は、当該自動走行方法の一部又は全部を車両制御装置11に実行させるための自動走行プログラムの発明として捉えてもよい。前記自動走行方法は、本発明の走行制御方法の一例であり、前記自動走行プログラムは、本発明の走行制御プログラムの一例である。
【0086】
ステップS1において、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行可能な状態になったか否かを判定する。車両制御装置11は、作業車両10が自動走行可能な状態になったと判定すると(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。車両制御装置11は、作業車両10が自動走行可能な状態になるまで待機する(S1:No)。具体的には、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行開始条件を満たした場合に、自動走行可能な状態になったと判定する。
【0087】
ステップS2において、車両制御装置11は、作業車両10に目標経路Rに従って自動走行を開始させる。具体的には、作業車両10が自動走行開始条件を満たし、オペレータが走行開始指示を行うと、車両制御装置11は、予め設定された目標経路R(図6参照)に応じた自動走行処理を開始する。例えば、車両制御装置11は、作業車両10を作業経路(直進経路)に従って自動操舵により自動走行させる。また車両制御装置11は、作業車両10が作業経路を自動走行する際に作業機14を駆動させて所定の作業(例えば耕耘作業)を実行させる。
【0088】
次にステップS3において、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に接近したか否かを判定する。具体的には、車両制御装置11は、作業経路を自動走行する作業車両10の現在位置から作業経路の終了点までの距離が所定距離未満になったか否かを判定する。車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に接近すると(S3:Yes)、処理をステップS4に移行させる。一方、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に接近するまで自動走行を継続させる(S3:No)。
【0089】
ステップS4において、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に接近したことを示す情報を報知させる。例えば、設定画面P1(図7参照)において、オペレータが動作項目「ブザーお知らせ」の選択欄K1を「ON」に設定していた場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に接近すると操作制御部71に通知する。操作制御部71は、当該通知を取得すると、操作装置17又は作業車両10に搭載されたスピーカからブザー音を出力させる。
【0090】
また例えば、設定画面P1(図7参照)において、オペレータが動作項目「ディスプレイ表示」の選択欄K2を「ON」に設定していた場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に接近すると操作制御部71に通知する。操作制御部71は、当該通知を取得すると、作業車両10が終了点に接近していることを示すメッセージを操作表示部73に表示させる(図8参照)。
【0091】
このように、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に接近すると、ブザー音の出力動作、メッセージの表示動作など所定の情報を外部に報知させる報知動作を実行させる。
【0092】
次にステップS5において、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に到達したか否かを判定する。車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に到達すると(S5:Yes)、処理をステップS6に移行させる。一方、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に到達するまで報知処理を継続させる(S5:No)。
【0093】
ステップS6において、車両制御装置11は、作業車両10の走行を停止させる。なお、ここでは、オペレータが設定画面P1(図7参照)において、動作項目「車両停止」の選択欄K3を「ON」に設定した場合を示している。この場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に到達した時点で走行を停止させる。また、オペレータが設定画面P2(図9参照)において、動作項目「PTO停止」の選択欄K4を「ON」に設定していた場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に到達した時点でPTOを停止させて作業機14の動作を停止させる。また、オペレータが設定画面P2(図10参照)において、動作項目「作業機上昇」の選択欄K5を「ON」に設定していた場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の終了点に到達した時点で作業機14を上昇させる。また、車両制御装置11は、作業機14の上昇に連動して作業機14の駆動を停止(PTOを停止)させてもよい。
【0094】
次にステップS7において、車両制御装置11は、自動走行モードから手動走行モードに切り替えてオペレータによる手動操舵により作業車両10を手動走行させる。例えば、車両制御装置11は、作業経路の終了点から次の作業経路の開始点に向けて、オペレータの手動操舵に応じて旋回経路を手動走行させる。
【0095】
次にステップS8において、車両制御装置11は、作業車両10が自動走行再開条件を満たすか否かを判定する。なお、ここでは、オペレータが設定画面P2(図9参照)において、動作項目「PTO停止」を「ON」に設定するとともに、選択欄K40のチェックを入れて自動走行再開条件を設定した場合を示している。この場合、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達し、かつ、PTOスイッチ13Sがオペレータにより「OFF」の位置に操作された場合に、自動走行再開条件を満たすと判定する(S8:Yes)。車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達していない場合、又は、PTOスイッチ13Sがオペレータにより「OFF」の位置に操作されていない場合には、自動走行再開条件を満たしていないと判定する(S8:No)。
【0096】
車両制御装置11は、作業車両10が自動走行再開条件を満たすと判定した場合(S8:Yes)、処理をステップS9に移行させる。車両制御装置11は、作業車両10が自動走行再開条件を満たすと判定するまで手動走行処理を継続する(S8:No)。
【0097】
ステップS9において、車両制御装置11は、作業車両10の自動走行を再開させる。ここでは、オペレータが作業車両10を手動操舵により作業経路の開始点に位置合わせするとともに、PTOスイッチ13Sを一旦「OFF」の位置に操作し、その後にPTOスイッチ13Sを「ON」の位置に操作すると、車両制御装置11は、作業経路の開始点において、自動走行を再開させるとともに、PTOを駆動させて作業機14による作業を再開させる。これにより、作業車両10は、作業経路に従って自動走行しながら作業を行う。
【0098】
次にステップS10において、車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了したか否かを判定する。車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了したと判定すると(S10:Yes)、前記自動走行処理を終了させる。車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了していないと判定すると(S10:No)、作業車両10を目標経路Rに従って自動走行を継続させて、処理をステップS3に移行させる。
【0099】
車両制御装置11は、作業車両10が作業を終了するまで、上述のステップS3~S9の処理を繰り返し実行する。以上のようにして、車両制御装置11は、前記自動走行処理を実行する。
【0100】
以上説明したように、本実施形態に係る自動走行システムは、作業車両10を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に作業車両10が到達した場合に作業車両10に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をオペレータから受け付け、前記複数の動作項目のそれぞれをオペレータの操作に基づいて設定する。例えば、自動走行システムは、作業車両10が作業経路の終了点に接近した場合に所定の音を作業車両10から出力させる動作、作業車両10が作業経路の終了点に接近した場合に所定の情報(例えば「もうすぐ終了点です」のメッセージ)を操作装置17に表示させる動作、及び、作業車両10が作業経路の終了点に到達した場合に作業車両10の走行を停止させる動作の少なくともいずれかを含む複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をオペレータから受け付け、前記複数の動作項目のそれぞれをオペレータの操作に基づいて設定する。
【0101】
上記構成によれば、オペレータは、作業車両10が作業経路の終了点に接近した場合に所定の情報を報知させるか否かを設定したり、作業車両10が作業経路の終了点に到達した場合に作業車両10の走行を停止させるか否かを設定したりすることができる。このように、オペレータは、自動走行から手動走行に切り替える際の作業車両10の動作(挙動)を自由に設定することができる。このため、作業車両10の操作性を向上させることができる。
【0102】
[他の実施形態]
本発明は上述の実施形態に限定されない。以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0103】
本発明の他の実施形態として、前記自動走行再開条件が、報知処理に関する条件であってもよい。例えば、表示処理部711は、図13に示す設定画面P4を表示させ、受付処理部712は、オペレータから前記自動走行再開条件の設定操作を受け付けてもよい。図13に示す設定画面P4には、「音声ガイダンスを出力すること」、「ブザー音を出力すること」、「ディスプレイ表示すること」の条件(自動走行再開条件)が含まれる。車両制御装置11は、設定画面P4においてオペレータより少なくともいずれかの条件が設定され、作業経路の開始点で前記条件を満たす処理(報知処理)を実行した場合に作業車両10の自動走行を再開させる。例えば、オペレータが「音声ガイダンス」及び「ディスプレイ表示」にチェックを入れて自動走行再開条件に設定した場合には、車両制御装置11は、作業車両10が作業経路の開始点に到達して、操作制御部71が、自動走行を再開させる旨のメッセージを音声ガイダンスするとともに操作表示部73に表示させた場合に、作業車両10の自動走行を再開させる。このように、自動走行システムは、作業経路の開始点におけるオペレータへの報知動作を条件として自動走行の再開を許可する構成としてもよい。
【0104】
また本発明の他の実施形態として、設定画面P1においてオペレータが動作項目「車両停止」の選択欄K3を「OFF」に設定した場合(図14参照)、表示処理部711は、作業経路の終了点における作業車両10の旋回方法を設定する設定画面P5(図15参照)を表示させてもよい。設定画面P5には、作業車両10を後進走行させずに自動旋回させる選択欄K71と、作業車両10を後進走行させて自動旋回させる選択欄K72と、作業車両10を手動により旋回させる選択欄K73とが含まれる。オペレータは、作業車両10が作業経路の終了点に到達したときの旋回動作の方法を選択することができる。作業車両10は、各作業経路の終了点に到達するごとに、設定画面P5においてオペレータにより選択された旋回方法により旋回動作を実行する。
【0105】
本発明の走行制御システムは、車両制御装置11及び操作装置17で構成されてもよいし、車両制御装置11単体又は操作装置17単体で構成されてもよい。また走行制御システムは、車両制御装置11及び操作装置17に含まれる各処理部を備えたサーバーで構成されてもよい。
【0106】
[発明の付記]
以下、実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0107】
<付記1>
作業車両を自動走行させる作業経路の終了点に応じた所定位置に前記作業車両が到達した場合に前記作業車両に実行させる動作に関する複数の動作項目のそれぞれを設定する操作をユーザーから受け付けることと、
前記複数の動作項目のそれぞれを、前記ユーザーの操作に基づいて設定することと、
を実行する走行制御方法。
【0108】
<付記2>
前記作業経路の終了点は、前記作業車両を手動走行させる非作業経路の開始点の位置に一致し、
前記作業経路の開始点は、前記非作業経路の終了点の位置に一致する、
付記1に記載の走行制御方法。
【0109】
<付記3>
前記複数の動作項目は、所定の音を前記作業車両から出力させる動作、所定の情報を操作端末に表示させる動作、及び、前記作業車両の走行を停止させる動作の少なくともいずれかを含む、
付記1又は2に記載の走行制御方法。
【0110】
<付記4>
前記ユーザーが前記所定の音を前記作業車両から出力させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に前記所定の音を前記作業車両から出力させる、
付記3に記載の走行制御方法。
【0111】
<付記5>
前記ユーザーが前記所定の情報を前記操作端末に表示させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に前記所定の情報を前記操作端末に表示させる、
付記3又は4に記載の走行制御方法。
【0112】
<付記6>
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に前記作業車両の走行を停止させる、
付記3~5のいずれかに記載の走行制御方法。
【0113】
<付記7>
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定を行った場合に、さらに、作業機の動作を設定する操作を前記ユーザーから受け付ける、
付記3~6のいずれかに記載の走行制御方法。
【0114】
<付記8>
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定及び前記作業機による作業を停止させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に、前記作業車両を停止させ、かつ前記作業機による作業を停止させる、
付記7に記載の走行制御方法。
【0115】
<付記9>
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定、及び、前記作業機への駆動力の伝達を停止させる設定又は前記作業機を上昇させる設定を行った場合には、前記作業車両が前記作業経路を自動走行して前記所定位置に到達した場合に、前記作業車両を停止させ、かつ前記作業機への駆動力の伝達を停止させる又は前記作業機を上昇させる、
付記8に記載の走行制御方法。
【0116】
<付記10>
前記ユーザーが前記作業車両の走行を停止させる設定を行った場合に、さらに、前記作業車両の自動走行を再開させる条件を設定する操作を前記ユーザーから受け付ける、
付記3~9のいずれかに記載の走行制御方法。
【0117】
<付記11>
前記作業車両の自動走行を再開させる条件は、作業機への駆動力の伝達のON/OFFを切り替える切替操作具の操作位置がOFFの位置であること、作業機の昇降位置を切り替える昇降操作具の位置が上昇の位置であること、前記作業車両の車速を可変する車速操作具の位置が最低車速の位置であること、前記作業車両の前後進を切り替える方向操作具の位置が中立の位置であること、の少なくともいずれかを含む、
付記10に記載の走行制御方法。
【符号の説明】
【0118】
10 :作業車両
11 :車両制御装置
12 :記憶部
13 :走行装置
13L :主変速レバー(車速操作具)
13S :PTOスイッチ(切替操作具)
14 :作業機
14L :昇降レバー(昇降操作具)
16 :測位装置
17 :操作装置
71 :操作制御部
72 :記憶部
73 :操作表示部
711 :表示処理部
712 :受付処理部
713 :生成処理部
714 :設定処理部
F :圃場
L1 :基準線
D1 :操作画面
D2 :走行画面
P1~P5:設定画面
R :目標経路
Ra1~Ra12:作業経路
Rc1、Rc2 :旋回経路(非作業経路)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15