IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-乗物用表示装置 図1
  • 特開-乗物用表示装置 図2
  • 特開-乗物用表示装置 図3
  • 特開-乗物用表示装置 図4
  • 特開-乗物用表示装置 図5
  • 特開-乗物用表示装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005325
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】乗物用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20240110BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240110BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20240110BHJP
   H01H 13/83 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G09F13/04 Z
B60R16/02 630L
H01H9/18 B
H01H13/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105459
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 陽平
【テーマコード(参考)】
5C096
5G052
5G206
【Fターム(参考)】
5C096BA01
5C096BC01
5C096CB07
5C096CC06
5C096CD02
5C096FA11
5C096FA17
5G052AA23
5G052BB01
5G052JA02
5G052JA07
5G052JB05
5G052JB12
5G052JC04
5G206AS45Q
5G206GS21
5G206HS12
5G206HS14
5G206KS08
5G206QS02
5G206QS15
5G206RS04
5G206RS24
5G206RS32
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上できる乗物用表示装置を提供する。
【解決手段】基材20と、基材20の車室外側に配され、光を基材20の方向へ照射する光照射部材30と、基材20と光照射部材30との間に配された検出部6と、を備え、基材20は、本体部21と、本体部21から少なくとも車室外側に撓むことが可能な撓み部23と、を備え、撓み部23は、光照射部材30から照射された光を車室内側の方向へ透過させる第1透過部24を備え、検出部6は、第1透過部24の車室外側に配され、撓み部23が車室外側に撓んで当該検出部6を押圧することを検出する構成とされる、表示装置100。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の乗物室外側に配され、光を前記基材の方向へ照射する光照射部材と、
前記基材と前記光照射部材との間に配された検出部と、を備え、
前記基材は、
本体部と、
前記本体部から少なくとも乗物室外側に撓むことが可能な撓み部と、を備え、
前記撓み部は、前記光照射部材から照射された光を乗物室内側の方向へ透過させる第1透過部を備え、
前記検出部は、前記第1透過部の乗物室外側に配され、前記撓み部が乗物室外側に撓んで当該検出部を押圧することを検出する構成とされる、乗物用表示装置。
【請求項2】
前記基材の乗物室内側に配され、弾性を有する弾性部材と、
前記弾性部材に対し乗物室内側から貼り付けられ、光透過性を有する表皮材と、を備え、
前記弾性部材は、前記第1透過部を透過した光を、前記表皮材の方向へ透過させる第2透過部を備える、請求項1に記載の乗物用表示装置。
【請求項3】
前記光照射部材は、
光源と、
前記光源から生じる光を導光する導光体と、を備え、
前記導光体は、
導光本体部と、
前記導光本体部から前記光源の乗物室内側に延出した延出部と、を備える、請求項1または請求項2に記載の乗物用表示装置。
【請求項4】
前記基材は、前記本体部と前記撓み部とがスリットにより部分的に隔てられていることにより、前記撓み部が前記本体部から撓むことが可能とされている、請求項1または請求項2に記載の乗物用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用内装材として、特許文献1に記載の技術が知られている。具体的に、特許文献1には、乗物用内装材(ドアトリム)が、シートのスライド機構とリクライニング機構の作動を可能にする検出部(シート調整開始スイッチ)を備えることが開示されている。この検出部は、押圧時のみオンが継続し得る自動復帰型スイッチであり、押圧操作している間、有効な操作信号をシート制御装置に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-136146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、乗物用内装材の意匠面(車室内側面)に検出部が設けられることで意匠面に凹凸が生じたり、検出部の意匠面に当該検出部を乗員が認識するための文字、図形、記号等(以下、文字等と呼ぶ)が常時表されたりするため、意匠性を向上させることが望まれる。一方、意匠性向上のため、例えば、前述した文字等が印刷された表皮を、乗物用内装材の意匠面に対し検出部を覆うようにして貼り付けた構成が考えられるが、その場合、文字等が検出部の車室外側に位置するようにズレないように表皮を貼り付ける必要があり、その位置合わせが難しい。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、意匠性を向上できる乗物用表示装置を提供することを目的の一つとする。また、乗員が検出部の位置を認識可能な実用的な乗物用表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、基材と、前記基材の乗物室外側に配され、光を前記基材の方向へ照射する光照射部材と、前記基材と前記光照射部材との間に配された検出部と、を備え、前記基材は、本体部と、前記本体部から少なくとも乗物室外側に撓むことが可能な撓み部と、を備え、前記撓み部は、前記光照射部材から照射された光を乗物室内側の方向へ透過させる第1透過部を備え、前記検出部は、前記第1透過部の乗物室外側に配され、前記撓み部が乗物室外側に撓んで当該検出部を押圧することを検出する構成とされる、乗物用表示装置である。
【0007】
このような乗物用表示装置によると、第1透過部の平面形状によって文字等を形作ることにより、光照射部材から照射された光が第1透過部を乗物室内側の方向に透過すると、基材の乗物室内側面に文字等が表れる。乗員が基材においてこの文字等が表れた部分(第1透過部)を乗物室外側に押圧することで、撓み部が乗物室外側に撓み、検出部がその押圧を検出することができる。これにより、意匠性を向上させつつ、文字等に対応する機能を発揮させることが可能な乗物用表示装置を提供することができる。
【0008】
当該乗物用表示装置は、前記基材の乗物室内側に配され、弾性を有する弾性部材と、前記弾性部材に対し乗物室内側から貼り付けられ、光透過性を有する表皮材と、を備え、前記弾性部材は、前記第1透過部を透過した光を、前記表皮材の方向へ透過させる第2透過部を備えていてもよい。
【0009】
このような乗物用表示装置によると、第1透過部の平面形状によって文字等を形作ることにより、光照射部材からの光の照射をONにした場合は、第1透過部及び第2透過部を透過した光が表皮材を透過することで、表皮材に文字等が浮かび上がった状態となり、光照射部からの光の照射をOFFにした場合は、文字等が消え、表皮材が任意の質感を呈した状態となることができる。これにより、乗員が検出部の位置を認識することができ、意匠性を向上可能な乗物用表示装置を提供することができる。また、基材の凹凸や硬質感を弾性部材によって緩衝し、弾性部材に対し乗物室内側から貼り付けられた表皮材の質感や触感を向上させることができる。例えば、真空条件下で表皮材を基材に対し貼り付ける場合に、基材の凹凸や硬質感が表皮材に表れやすいので、このような条件下における表皮材の貼り合わせにおいて上記構成が好適である。さらに、検出部は、基材の乗物室外側に配されているため、検出部の形が表皮材に表れることがなく、意匠性の低下を防ぐことができる。
【0010】
上記構成において、前記光照射部材は、光源と、前記光源から生じる光を導光する導光体と、を備え、前記導光体は、導光本体部と、前記導光本体部から前記光源の乗物室内側に延出した延出部と、を備えていてもよい。
【0011】
このような乗物用表示装置によると、基材において、光源の乗物室内側に位置する部分が押圧された場合に、その押圧部分が光源に接触することを延出部によって防ぐことができる。
【0012】
上記構成において、前記基材は、前記本体部と前記撓み部とがスリットにより部分的に隔てられていることにより、前記撓み部が前記本体部から撓むことが可能とされていてもよい。
【0013】
このような構成によると、撓み部が撓みやすく、基材における押圧を好適に検出部に伝えることが可能な実用的な乗物用表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、意匠性を向上できる乗物用表示装置を提供することを目的とする。また、乗員が検出部の位置を認識可能な実用的な乗物用表示装置を提供することを目的の一つとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係るドアトリムを車室内側から視た図
図2】表示装置に文字等が浮かび上がった状態を示す図
図3】表示装置の分解斜視図
図4】基材から車室外側の部材を車室内側から視た図
図5】表示装置の断面図(図4のV-V線断面)
図6】実施形態2に係る表示装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を図1から図5によって説明する。本実施形態では、自動車(乗物)のドアに取り付けられるドアトリム(乗物用内装材)1に設けられた表示装置(乗物用表示装置)100について説明する。尚、矢印方向FRを前方、矢印方向RRを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向INを車室内側、矢印方向OUTを車室外側として各図を説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、ドアトリム1は、当該ドアトリム1の大部分を構成し、板状をなすトリム部2と、トリム部2に取り付けられた板状の加飾部(オーナメントボード)3と、加飾部3の上方に設けられた表示装置100と、を備える。表示装置100は、光照射部材30(図3参照)から光が照射されている場合は、表皮材5の車室内側面5Aに文字等Cが表示された状態となる(図2参照)。一方、表示装置100は、光照射部材30から光が照射されていない場合は、文字等Cが表示されておらず、表皮材5の車室内側面5Aのみが表された状態となる(図1参照)。文字等Cは、本実施形態では、特定の図形や複数のローマ数字(I,II,III)を表している。乗員は、表示装置100に表示された文字等Cを押圧することで、例えば自身が着座したシートの角度を調整することができる。
【0018】
図3に示すように、表示装置100は、基材20と、基材20の車室外側に配され、光を基材20の方向(車室内側の方向)へ照射する光照射部材30と、基材20の車室外側に配され、光照射部材30を基材20との間に収容する収容部材40と、基材20と光照射部材30との間に配された複数の検出部6と、基材20の車室内側に配され、弾性を有する弾性部材10と、弾性部材10に対し車室内側から貼り付けられ、光透過性を有する表皮材5と、を備える。収容部材40は、光照射部材30の外形に倣う形で車室外側に凹形状をなした収容部41と、収容部41の前後方向両側に設けられた2つの孔部42と、を備える。
【0019】
図3から図5に示すように、光照射部材30は、基板31と、基板31に取り付けられた複数の光源(LED)32と、光源32から生じる光を面状に導光し車室内側に出射する板状の導光体33と、を備える。導光体33は、前後方向に複数並んだ四角板状の導光本体部34と、導光本体部34から上方(光源32の車室内側)に延出した延出部35と、隣り合う導光本体部34の間に2つずつ設けられ、当該導光体33の上端から下方に向かって延びる複数の切込部36と、2つの切込部36の間に設けられ、上下方向に長板状をなす複数の中間部37と、を備える。切込部36は、光源32からその直下に位置する導光本体部34に導光された光が、前後方向に(他の導光本体部34に)広がらないように仕切る切り込みである。光源32は、一つの導光本体部34に対し光の三原色を構成する3つの光源32R,32G,32Bが前後方向に並設してなるものとされる。この3つの光源32R,32G,32Bは、赤色の光を発光する第1光源32Rと、緑色の光を発光する第2光源32Gと、青色の光を発光する第3光源32Bと、からなる。光照射部材30は、3つの光源32R,32G,32Bに流れる電流等をそれぞれ調整することで、導光体33から任意の色の光を車室内側に出射することができる。
【0020】
検出部6は、基材20の第1透過部24の車室外側に配され、撓み部23が車室外側に撓んで当該検出部6を押圧することを検出する。検出部6としては、特に限定されないが、例えば、光透過性を有するフィルム状の感圧センサを採用することができる。本実施形態では、図5に示すように、撓み部23の当接部23Bに検出部6が当接しているが、これに限定されず、検出部6と撓み部23との間に隙間が設けられていてもよい。
【0021】
図3から図5に示すように、基材20は、前後方向を長辺とする長板状の本体部21と、本体部21の前後方向に複数(4つ)並設されたスリット22と、本体部21の前後方向に複数(4つ)並設され、本体部21から車室内外方向に撓む(弾性変形する)ことが可能な撓み部23と、本体部21の前後両側端部から車室外側に突出した2つの取付部25と、を備える。基材20の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン等の樹脂からなり、弾性部材10よりも硬質な樹脂部材を採用することができる。基材20は、トリム部2に対し車室内側から(又は車室外側から)嵌め込まれるようにして取り付けられている。取付部25は、返しを有する爪形状をなしており、収容部材40の孔部42に挿入されて取り付けられる。取付部25が孔部42に取り付けられ(基材20が収容部材40に取り付けられ)、検出部6及び光照射部材30が基材20と収容部材40との間に挟持されることで、基材20に対する検出部6、及び光照射部材30の位置決めがなされる。
【0022】
スリット22は、本体部21を板厚方向(車室内外方向)に貫通し、正面視コの字状(上下が逆向きの門形状)の外形をなした部分とされる。スリット22は、レーザーによる加工、又は射出成形による加工等によって形成される。1つのスリット22は、本体部21の上端部から下方に延びた2つの縦スリット22Aと、2つの縦スリット22Aの下端部を繋ぎ前後方向に延びた横スリット22Bと、を備える。縦スリット22Aは、導光体33の切込部36の車室内側に重畳している。スリット22の内側には、四角板状の撓み部23が配されている。撓み部23は、上端部23Aが、本体部21と接続されており、左右両端部及び下端部が、スリット22によって本体部21から隔てられている。基材20は、本体部21と撓み部23とがスリット22により部分的に隔てられている(撓み部23における上端部23A以外の端部が本体部21と隔てられている)ことにより、撓み部23が上端部23Aを基点として本体部21から撓むことが可能とされている。
【0023】
撓み部23は、光照射部材30の導光体33から照射された光を弾性部材10側(車室内側)の方向へ透過させる第1透過部24と、車室外側面が検出部6に当接した当接部23B(図5参照)と、を備える。を備える。第1透過部24は、撓み部23の厚み方向に貫通した貫通孔とされる。第1透過部24は、レーザーによる加工、又は射出成形による加工等によって形成される。尚、「光が透過すること」には、「光が第1透過部24のような貫通孔を通ること」という場合を含むこととする。
【0024】
図3及び図4に示すように、第1透過部24は、シートのマークとローマ字のMからなる図形が平面形状として形作られた第1透過第1部24Aと、第1透過第1部の前方に位置し、ローマ数字のIが平面形状として形作られた第1透過第2部24Bと、第1透過第2部の前方に位置し、ローマ数字のIIが平面形状として形作られた第1透過第3部24Cと、第1透過第3部の前方に位置し、ローマ数字のIIIが平面形状として形作られた第1透過第4部24Dと、を備えている。第1透過第1部24Aの車室外側には、1つの検出部6と1つの導光本体部34とが重畳している。同様に、第1透過第2部24B、第1透過第3部24C、及び第1透過第4部24Dの車室外側には、それぞれ、1つの検出部6と1つの導光本体部34とが重畳している。尚、図4では、基材20を実線、検出部6を破線、光照射部材30を一点鎖線、収容部材40を二点鎖線で描いている。
【0025】
弾性部材10は、弾性を有する弾性体(ゴム状体)とされ、その材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を発泡させた発泡性樹脂(例えば、ポリプロピレンフォーム)を採用することができる。弾性部材10は、前後方向を長辺とする長板状の弾性本体部11と、弾性本体部11において厚み方向に貫通した貫通孔である複数の第2透過部12と、を備える。複数の第2透過部12は、前後方向に並設されており、複数の第1透過部24の車室内側にそれぞれ重畳している。各第2透過部12は、その車室外側に位置する第1透過部24と同じ外形(平面形状)をなしている。第2透過部12は、第1透過部24を透過した光を、表皮材5の方向へ透過させる。第2透過部12は、例えば、レーザー加工によって形成される。第2透過部12は、弾性部材10が基材20の車室内側面に接着剤等によって貼り付けられた後に、第1透過部24と当該第2透過部12とをレーザー加工によって一気に形成することで、第1透過部24に対し位置ズレせずに形成可能とされる。
【0026】
表皮材5は、その材料として、光透過性を有するエラストマーを採用することができる。このようなエラストマーとしては、熱可塑性樹脂でもよく、具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、又はポリエステル系樹脂等を採用することができる。その中でも、表皮材5の材料としては、オレフィン系樹脂が好ましい。表皮材5の車室内側面5Aは、平坦状をなしている。平坦状とは、シボ模様や微細な凹凸等の加飾がなされた形状を含み、例えば、乗員が手指で触れた場合に違和感のない程度(例えば手指が引っ掛かることがない程度)の平面形状とされる。
【0027】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、基材20と、基材20の車室外側に配され、光を基材20の方向へ照射する光照射部材30と、基材20と光照射部材30との間に配された検出部6と、を備え、基材20は、本体部21と、本体部21から少なくとも車室外側に撓むことが可能な撓み部23と、を備え、撓み部23は、光照射部材30から照射された光を車室内側の方向へ透過させる第1透過部24を備え、検出部6は、第1透過部24の車室外側に配され、撓み部23が車室外側に撓んで当該検出部6を押圧することを検出する構成とされる、表示装置100を示した。
【0028】
このような表示装置100によると、第1透過部24の平面形状によって文字等Cを形作ることにより、光照射部材30から照射された光が第1透過部24を車室内側の方向に透過すると、基材20の車室内側面に文字等Cが表れる。乗員がこの文字等Cを車室外側に押圧することで、撓み部23が車室外側に撓み、検出部6がその押圧を検出することができる。これにより、意匠性を向上させつつ、文字等Cに対応する機能を発揮させることが可能な表示装置100を提供することができる。
【0029】
表示装置100は、基材20の車室内側に配され、弾性を有する弾性部材10と、弾性部材10に対し車室内側から貼り付けられ、光透過性を有する表皮材5と、を備え、弾性部材10は、第1透過部24を透過した光を、表皮材5の方向へ透過させる第2透過部12を備えている。
【0030】
このような表示装置100によると、第1透過部24の平面形状によって文字等Cを形作ることにより、光照射部材30からの光の照射をONにした場合は、第1透過部24及び第2透過部12を透過(通過)した光が表皮材5を透過する(透き通る)ことで、表皮材5に文字等Cが浮かび上がった状態となり、光照射部からの光の照射をOFFにした場合は、文字等Cが消え、表皮材5が任意の質感を呈した状態となることができる。これにより、乗員が検出部6の位置を認識することができ、意匠性を向上可能な表示装置100を提供することができる。また、基材20の凹凸や硬質感を弾性部材10によって緩衝し、弾性部材10に対し車室内側から貼り付けられた表皮材5の質感や触感を向上させることができる。例えば、真空条件下で表皮材5を基材20に対し貼り付ける場合に、基材20の凹凸や硬質感が表皮材5に表れやすいので、このような条件下における表皮材5の貼り合わせにおいて上記構成が好適である。さらに、検出部6は、基材20の車室外側に配されているため、検出部6の形が表皮材5に表れることがなく、意匠性の低下を防ぐことができる。
【0031】
光照射部材30は、光源32と、光源32から生じる光を導光する導光体33と、を備え、導光体33は、導光本体部34と、導光本体部34から光源32の車室内側に延出した延出部35と、を備えている。
【0032】
このような表示装置100によると、基材20において、光源32の車室内側に位置する部分が押圧された場合に、その押圧部分が光源32に接触することを延出部35によって防ぐことができる。
【0033】
基材20は、本体部21と撓み部23とがスリット22により部分的に隔てられていることにより、撓み部23が本体部21から撓むことが可能とされている。
【0034】
このような構成によると、撓み部23が撓みやすく、基材20における押圧を好適に検出部6に伝えることが可能な実用的な表示装置100を提供することができる。
【0035】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を図6によって説明する。本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。表示装置200は、基材220と、基材220の車室外側に配され、光を基材220の方向(車室内側の方向)へ照射する光照射部材30と、基材220の車室外側に配され、光照射部材30を基材220との間に収容する収容部材40と、基材220と光照射部材30との間に配された複数の検出部6と、を備える。本実施形態では、表示装置200は、上記実施形態1における弾性部材10と、表皮材5と、を備えておらず、基材220の平坦状の車室内側面(一般面)220Aが車室内側に露出している。
【0036】
基材220は、前後方向を長辺とする長板状の本体部221と、本体部221の厚み方向に貫通形成されたスリット22と、本体部221から車室内外方向に撓む(弾性変形する)ことが可能な撓み部223と、を備える。基材220は、本体部221と撓み部223とがスリット22により部分的に隔てられていることにより、撓み部223が本体部221から撓むことが可能とされている。
【0037】
撓み部223は、厚板部225と、基材220の車室外側面220B(厚板部225の車室外側面)から車室内側に窪んだ部分であって、厚板部225よりも板厚が薄い(車室内外方向における長さが短い)薄板部224と、を備える。厚板部225は、車室外側面が検出部6に当接した当接部225Aを備える。厚板部225は、その板厚が、光照射部材30から照射される光を遮る(車室内側に透過させない)厚みとされる。薄板部224は、その板厚が、光照射部材30から照射される光を車室内側に透過させる厚みとされ、第1透過部とされる。第1透過部としての薄板部224の平面形状によって文字等を形作ることにより、光照射部材30から照射された光が薄板部224を車室内側の方向に透過すると、基材220の車室内側面220Aに文字等が表れる。
【0038】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0039】
(1)乗物用表示装置が設けられる乗物用内装材は、特に限定されない。例えば、乗物用表示装置は、インストルメントパネルやルーフトリム等、その他の乗物用内装材に取り付けられていてもよい。また、第1透過部や第2透過部の平面形状によって形作られる文字等は、特に限定されない。例えば、乗物用表示装置がインストルメントパネルに設けられる場合には、その乗物用表示装置の第1透過部や第2透過部の平面形状によって形作られる文字等は、空調の操作を示すマーク(例えばON・OFFといった文字)等を示すものであってもよい。
【0040】
(2)上記実施形態では、基材は、トリム部や加飾部とは別部材としたが、これに限定されない。例えば、基材は、トリム部や加飾部等、乗物用内装材を構成するその他の部材であってもよい。
【0041】
(3)収容部材、光照射部材、及び弾性部材が基材に取り付けられる取付構造は、特に限定されない。例えば、基材、及び光照射部材(基板又は導光体)のそれぞれに貫通孔が設けられ、弾性部材に取付部(ボスや爪等)が設けられ、取付部が基材及び光照射部材の貫通孔に挿通されることで、基材に光照射部材と弾性部材とが取り付けられる構成でもよい。
【0042】
(4)撓み部やスリットの構成は特に限定されない。撓み部は、平面視方形状に限定されず、平面視した場合に、三角形状、台形状、円形状、又は不定形状等の形をなしていてもよい。また、スリットは貫通していなくてもよい。スリットは、基材の本体部よりも厚みが薄い薄板状をなしていてもよく、撓み部が本体部から撓み可能な構成であればよい。
【0043】
(5)上記実施形態で例示した乗物用表示装置は、車両用に限定されず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記乗物用表示装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…ドアトリム(乗物用内装材)、5…表皮材、6…検出部、10…弾性部材、12…第2透過部、20,220…基材、21,221…本体部、22…スリット、23,223…撓み部、24,224…第1透過部、30…光照射部材、32…光源、33…導光体、34…導光本体部、35…延出部、100,200…表示装置(乗物用表示装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6