(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053269
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】システム、方法、製造方法、食品、及び、清酒
(51)【国際特許分類】
A23L 5/30 20160101AFI20240408BHJP
C12G 3/022 20190101ALI20240408BHJP
A23P 30/00 20160101ALI20240408BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240408BHJP
【FI】
A23L5/30
C12G3/022 119J
C12G3/022 119K
A23P30/00
A23L5/00 Z
C12G3/022 119H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159405
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】多根 康行
【テーマコード(参考)】
4B035
4B048
4B115
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC16
4B035LE03
4B035LE20
4B035LG32
4B035LG33
4B035LG34
4B035LG47
4B035LG48
4B035LG49
4B035LG50
4B035LG57
4B035LP42
4B035LP59
4B035LT20
4B048PE02
4B048PS20
4B115CN41
4B115CN43
4B115CN46
4B115CN63
4B115CN65
(57)【要約】
【課題】振動を加える対象物に対して、最適な振動を加えることを可能とすること。
【解決手段】システム1は、楽曲に基づいて、食品、食品の原材料、原材料から食品となる間の中間生成物のいずれかである対象物を振動させる。システム1は、対象物を振動させるための加振器2と、PC3と、を備える。PC3は、楽曲を解析し、楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、信号処理を行った楽曲に基づいて、加振器2により、対象物を振動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲に基づいて、食品、食品の原材料、原材料から食品となる間の中間生成物のいずれかである対象物を振動させるシステムであって、
対象物を振動させるための振動部と、制御部と、を備え、
前記制御部は、
楽曲を解析し、
楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、
信号処理を行った楽曲に基づいて、前記振動部により、対象物を振動させることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記制御部は、楽曲の解析結果に加え、対象物に基づいて、楽曲に対して信号処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御部は、
楽曲の選択を受け付け、
選択を受け付けた楽曲を解析することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御部は、
対象物の選択を受け付け、
選択を受け付けた対象物と、楽曲の解析結果と、に基づいて、楽曲に対して信号処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
対象物は、中間生成物である醪であることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
対象物は、中間生成物である醪であり、
前記制御部は、原材料となる酒米の種類の選択を受け付け、
種類の選択を受け付けた酒米と、楽曲の解析結果と、に基づいて、楽曲に対して信号処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、信号処理として、楽曲にイコライジングを行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部は、信号処理として、楽曲にダイナミックレンジコントロールを行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにより製造されたことを特徴とする食品。
【請求項10】
少なくとも、対象物であるもろみを発酵させる工程を実行し、清酒を製造する清酒の製造システムであって、
前記工程において、
前記振動部は、対象物であるもろみを振動させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムによって製造されたことを特徴とする清酒。
【請求項12】
食品、食品の原材料、原材料から食品となる間の中間生成物のいずれかである対象物を振動する振動工程を備える方法であって、
前記振動工程において、
楽曲を解析し、
楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、
信号処理を行った楽曲に基づいて、対象物を振動させることを特徴とする方法。
【請求項13】
食品、食品の原材料、原材料から食品となる間の中間生成物のいずれかである対象物を振動する振動工程を備える食品の製造方法であって、
前記振動工程において、
楽曲を解析し、
楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、
信号処理を行った楽曲に基づいて、前記振動部により、対象物を振動させることを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする食品。
【請求項15】
少なくとも、対象物であるもろみを発酵させる工程を実行し、清酒を製造する清酒の製造方法であって、
前記工程は、前記振動工程を備え、
前記振動工程において、楽曲を解析し、
楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、
信号処理を行った楽曲に基づいて、前記振動部により、対象物を振動させることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって製造されたことを特徴とする清酒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を振動させるシステム、方法、製造方法、食品、及び、清酒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酒類の醸造過程において、発酵タンク内の発酵材料中に水中スピーカーが設置され、水中スピーカーから、音楽が再生されることが行われている(特許文献1参照。)。特許文献1に記載の発明では、酒質の向上を図ることが目的とされている。また、所望の音源によって、食品等を振動させるための発明もなされている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-028573号公報
【特許文献2】特開2004-261101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載の発明では、選択された所望の音源によって、食品等に振動が加えられるが、食品等によっては、選択された音源による振動が適しているとは限らない。すなわち、単に選択された音源によって食品等が振動されるのみでは、食品等の熟成促進等の最適な結果が得られるとは限らない。
【0005】
本発明の目的は、振動を加える対象物に対して、最適な振動を加えることを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のシステムは、楽曲に基づいて、食品、食品の原材料、原材料から食品となる間の中間生成物のいずれかである対象物を振動させるシステムであって、対象物を振動させるための振動部と、制御部と、を備え、前記制御部は、楽曲を解析し、楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、信号処理を行った楽曲に基づいて、前記振動部により、対象物を振動させることを特徴とする。
【0007】
本発明では、楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理が行われる。そして、信号処理が行われた楽曲に基づいて、対象物が振動される。これにより、振動を加える対象物に対して、最適な振動を加えることができる。
【0008】
第2の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、前記制御部は、楽曲の解析結果に加え、対象物に基づいて、楽曲に対して信号処理を行うことを特徴とする。
【0009】
第3の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、前記制御部は、楽曲の選択を受け付け、選択を受け付けた楽曲を解析することを特徴とする。
【0010】
本発明では、選択が受け付けられた楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理が行われる。そして、信号処理が行われた楽曲に基づいて、対象物が振動される。これにより、ユーザーが所望の楽曲を選択し、選択した所望の楽曲で、対象物を振動させることができる。そして、この場合でも、対象物に最適な振動を加えることができる。
【0011】
第4の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、前記制御部は、対象物の選択を受け付け、選択を受け付けた対象物と、楽曲の解析結果と、に基づいて、楽曲に対して信号処理を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明では、選択が受け付けられた対象物(例えば、醪(もろみ))と、楽曲の解析結果と、に基づいて、楽曲に対して信号処理が行われる。そして、信号処理が行われた楽曲に基づいて、対象物が振動される。これにより、振動を加える対象物に対して、最適な振動を加えることができる。
【0013】
第5の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、対象物は、中間生成物である醪であることを特徴とすることを特徴とする。
【0014】
第6の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、対象物は、中間生成物である醪であり、前記制御部は、原材料となる酒米の種類の選択を受け付け、種類の選択を受け付けた酒米と、楽曲の解析結果と、に基づいて、楽曲に対して信号処理を行うことを特徴とする。
【0015】
第7の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、前記制御部は、信号処理として、楽曲にイコライジングを行うことを特徴とする。
【0016】
第8の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、前記制御部は、信号処理として、楽曲にダイナミックレンジコントロールを行うことを特徴とする。
【0017】
第9の発明の食品は、第1の発明のシステムにより製造されたことを特徴とする。
【0018】
第10の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、少なくとも、対象物であるもろみを発酵させる工程を実行し、清酒を製造する清酒の製造システムであって、前記工程において、前記振動部は、対象物であるもろみを振動させることを特徴とする。
【0019】
第11の発明の清酒は、第10の発明のシステムによって製造されたことを特徴とする。
【0020】
第12の発明の方法は、食品、食品の原材料、原材料から食品となる間の中間生成物のいずれかである対象物を振動する振動工程を備える方法であって、前記振動工程において、楽曲を解析し、楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、信号処理を行った楽曲に基づいて、対象物を振動させることを特徴とする。
【0021】
第13の発明の製造方法は、食品、食品の原材料、原材料から食品となる間の中間生成物のいずれかである対象物を振動する振動工程を備える食品の製造方法であって、前記振動工程において、楽曲を解析し、楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、信号処理を行った楽曲に基づいて、前記振動部により、対象物を振動させることを特徴とする。
【0022】
第14の発明の食品は、第13の発明の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0023】
第15の発明の方法は、第12の発明の方法において、少なくとも、対象物であるもろみを発酵させる工程を実行し、清酒を製造する清酒の製造方法であって、前記工程は、前記振動工程を備え、前記振動工程において、楽曲を解析し、楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理を行い、信号処理を行った楽曲に基づいて、前記振動部により、対象物を振動させることを特徴とする。
【0024】
第16の発明の清酒は、第15の発明の方法によって製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、振動を加える対象物に対して、最適な振動を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係るシステムの概要を示す図である。
【
図3】楽曲の選択を受け付けるための表示の一例を示す図である。
【
図4】酒米の種類の選択を受け付けるための表示の一例を示す図である。
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るシステム1の概要を示す図である。システム1は、樽100内のもろみ(醪)(対象物)を振動させる。システム1は、加振器2、パーソナルコンピューター(以下、「PC」という。)3等を備える。
【0028】
加振器2(振動部)は、樽100内のもろみ(醪)(対象物)を振動させるためのものである。加振器2は、例えば、樽100の側壁(外壁)に設けられている。加振器2は、信号に基づいて振動し、加振器2が設置された被設置面(ここでは、樽100の側壁)を振動させることで、樽100内のもろみを振動させる。加振器2は、例えば、ハウジングによって規定される内部空間内に、内磁型の磁気回路を備える動電型の加振器である。加振器2は、軸方向に沿って、交流的に変化する駆動力を発生させることで、加振器2が載置される被設置面を振動させる。本実施形態では、複数の加振器2が用いられるが、用いられる加振器2の数は、適宜、変更可能である。また、加振器2は、樽100の側壁でなく、樽100の上壁、底壁に設けられていてもよい。
【0029】
PC3(制御部)は、加振器2を振動させるための信号を、加振器2に出力する。PC3が行う処理は、後述する。PC3から出力された信号は、アンプ(増幅器)によって、増幅され、加振器2に出力される。
【0030】
本実施形態に係るシステム1は、清酒を製造する清酒製造システムの一部を構成する。ここで、「清酒」とは、米、米麹、及び水を主な原料として酵母により発酵したものであり、日本の酒税法で定める清酒である。清酒製造システムは、
図2に示す工程を実行する。なお、
図2に示す工程は、従来から行われている工程の一例である。例えば、「生酒」であれば、後述する「火入れ」の工程は、行われないし、「生貯蔵酒」であれば、「火入れ」の工程は、一度となる。
【0031】
「精米」工程は、米(酒米)を精米するする工程である。「洗米」工程は、精米した米を洗い、糠(ぬか)を取る工程である。「浸漬(しんせき)」工程は、洗米の後、適量の水分を米に吸収させるために、米を水に浸す工程である。「蒸米」工程は、水分を含ませた米を蒸す工程である。米は、甑(こしき)と呼ばれるおおきなせいろ、又は、蒸米機によって蒸される。「放冷」工程は、蒸した米を、麹(こうじ)造り、酒母造り、掛米(もろみ)用、それぞれに応じた温度に冷ます工程である。
【0032】
「麹造り」工程は、清酒の素となる麹にする工程で、「製麹(せいきく)」とも呼ばれる。具体的には、麹菌を米に付着させ、米の中で麹菌を繁殖させる。「酒母」とは、アルコール発酵を促す酵母を大量に増殖させたものである。「酒母造り」工程では、麹と水とを合わせたものに、酵母と乳酸菌、さらに蒸米を加える。一般的には、2週間から1か月で酒母が完成する。なお、酒母を手作業で造りあげる製法は、「生(き)もと造り」と呼ばれている。生もと造りの場合、乳酸は添加されず、蔵の空気中の乳酸菌が取り込まれる。
【0033】
「もろみ・仕込み」工程は、酒母をタンクに入れ、麹、蒸米、水を加えて発酵させる工程である。発酵には、約3週間から1か月かかり、清酒の元となる、発酵した状態を「もろみ」と呼ぶ。なお、酒母の中に、麹、蒸米、水を入れる際、全量ではなく、3回に分けて、ゆっくりと発酵させる。これを「三段仕込み」という。なお、「もろみ・仕込み」工程は、もろみを仕込む仕込工程と、もろみを発酵させる発酵工程と、に分けられる場合もある。
【0034】
「上槽」工程は、発酵期間終了後、もろみをしぼって(圧搾)、清酒と酒粕とに分ける工程である。しぼったばかりの清酒には、細かくなった米、酵母等の小さな固形物が残っているため、それを除去するために濾過(ろか)する工程が、「濾過」工程である。その後の加熱処理が、「火入れ」工程である。火入れの後、熟成させるために貯蔵する工程が、「貯蔵」工程である。約半年から1年かけて貯蔵・熟成された清酒は、まろやかな味わいに変化する。熟成した原酒を、ブレンド(調合・割水)する工程が、「調合・割水」工程である。出荷前、調合された清酒にもう一度火入れをし、安定させる工程が、「火入れ」工程である。その後、瓶やパックに詰める工程が、「瓶詰め」工程で、完成する。
【0035】
上述した「もろみ・仕込み」工程の、もろみを熟成させる工程において、もろみが振動される。
【0036】
本実施形態に係るシステム1は、楽曲の選択を受け付け、選択を受け付けた楽曲に基づいて、もろみを振動する。
図3は、楽曲の選択を受け付けるための表示の一例を示す図である。
図3に示すように、楽曲を示す情報として、楽曲のタイトル(例えば、楽曲A)、アーティスト名(例えば、アーティストA)が表示される。
【0037】
本実施形態では、システム1が含まれる清酒製造システムによって製造された清酒を購入するユーザーが、もろみを振動させるための楽曲を選択する。従って、例えば、図示しないサーバーに、
図3に示す画面を表示するためのウェブページが用意されており、ユーザーは、PC、スマートフォン、タブレット等を用いて、サーバーのウェブページにアクセスする。ユーザーは、PC等に表示される
図3に例示する画面において、所望の楽曲を選択する。選択した楽曲の情報は、サーバー経由で、PC3に送信され、PC3は、楽曲の選択を受け付ける。
【0038】
本実施形態に係るシステム1は、もろみの原材料である酒米の種類の選択を受け付ける。選択が受け付けられた酒米から、もろみが製造される。
図4は、酒米の種類の選択を受け付けるための表示の一例を示す図である。
図4に示すように、酒米の種類の情報として、酒米の名称(例えば、山田錦、雄町等)が表示される。
【0039】
本実施形態では、システム1が含まれる清酒製造システムによって製造された清酒を購入するユーザーが、もろみの原材料である酒米の種類を選択する。従って、例えば、図示しないサーバーに、
図4に示す画面を表示するためのウェブページが用意されており、ユーザーは、PC、スマートフォン、タブレット等を用いて、サーバーのウェブページにアクセスする。ユーザーは、PC等に表示される
図4に例示する画面において、所望の酒米を選択する。選択した酒米の種類の情報は、サーバー経由で、PC3に送信され、PC3は、酒米の種類の選択を受け付ける。
【0040】
PC3は、選択を受け付けた楽曲を解析する。そして、PC3は、楽曲の解析結果に基づいて、選択を受け付けた楽曲に対して、信号処理を行う。PC3は、信号処理として、例えば、楽曲にイコライジング、ダイナミックレンジコントロール(DRC)を行う。例えば、PC3は、周波数に対するゲインをフラットにする場合、解析結果に基づいて、ゲインが低い帯域を高くするイコライジングを行う。また、PC3は、解析結果に基づいて、ダイナミックレンジが広すぎる場合は、ダイナミックレンジを圧縮する処理を行う。
【0041】
PC3は、楽曲の解析結果に加えて、選択を受け付けた酒米の種類に基づいて、選択を受け付けた楽曲に対して、信号処理を行う。例えば、選択を受け付けた酒米に対して、高域のゲインが高いことが好ましければ、PC3は、解析結果に基づいて、高域のゲインを高くするイコライジングを行う。また、PC3は、選択を受け付けた酒米に適したダイナミックレンジがあれば、楽曲のダイナミックレンジを、適するダイナミックレンジに圧縮する。
【0042】
PC3は、信号処理を行った楽曲を加振器2に出力することで、加振器2により、もろみを振動させる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理が行われる。そして、信号処理が行われた楽曲に基づいて、対象物(もろみ)が振動される。これにより、振動を加える対象物に対して、最適な振動を加えることができる。
【0044】
また、本実施形態では、選択が受け付けられた楽曲の解析結果に基づいて、楽曲に対して信号処理が行われる。そして、信号処理が行われた楽曲に基づいて、対象物が振動される。これにより、ユーザーが所望の楽曲を選択し、選択した所望の楽曲で、対象物を振動させることができる。そして、この場合でも、対象物(もろみ)に最適な振動を加えることができる。
【0045】
また、本実施形態では、選択が受け付けられた酒米の種類と、楽曲の解析結果と、に基づいて、楽曲に対して信号処理が行われる。そして、信号処理が行われた楽曲に基づいて、対象物が振動される。これにより、振動を加える対象物(もろみ)に対して、酒米に応じた、最適な振動を加えることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0047】
上述の実施形態では、システム1により振動させる対象物として、「もろみ」を例示した。システム1により振動させる対象物としては、食品、食品の原材料、原材料から食品となるまでの中間生成物のいずれかであればよい。「もろみ」は、原材料である「米(酒米)」から食品である「清酒」となるまでの中間生成物である。従って、例えば、清酒の場合、原材料の米を振動させてもよいし、食品である清酒を振動させてもよい。醤油で言えば、食品である醤油、醤油の原材料である大豆、大豆から醤油となるまでの中間生成物であるもろみを振動させてもよい。葡萄酒(ワイン)で言えば、食品である葡萄酒、葡萄酒の原材料である葡萄を振動させてもよい。もちろん、醤油、葡萄酒は、一例であり、種々の食品(ウイスキー、焼酎、パン等)、原材料(麦等)、中間生成物(麦汁、麹、中種等)に適用可能である。
【0048】
また、上述の実施形態では、振動を与える対象物であるもろみの原材料である酒米の種類の選択が受け付けられるようになっているが、対象物の選択が受け付けられるようになっていてもよい。例えば、対象物としては、上述のワイン、ウイスキー等である。この場合、選択が受け付けられた対象物に応じて、楽曲に信号処理が行われる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、対象物を振動させるシステム、方法、製造方法、食品、及び、清酒に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0051】
1 システム
2 加振器(振動部)
3 PC(制御部)
100 樽