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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053280
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】操作レバー用補助具の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/34 20060101AFI20240408BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B60Q1/34 C
B60R16/027 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159423
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】521241498
【氏名又は名称】イブコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】冨田 忠男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信行
(72)【発明者】
【氏名】冨田 浩子
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA25
3K339BA01
3K339BA14
3K339BA18
3K339BA26
3K339BA28
3K339CA01
3K339CA12
3K339EA08
3K339GB01
3K339GB21
3K339HA22
3K339HA27
3K339LA06
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールの位置が運転者側に移動した場合であっても、ステアリングコラムから突出した操作レバーの操作性が悪くならないようにすることができる操作レバー用補助具の取付構造を提供する。
【解決手段】第1の操作レバー3の周面3cには凹部3dが形成されており、操作レバー用補助具1は、周面3cを挾持するための挾持部10と、挾持部10から第1の操作レバー3の後方に突出しており、第1の操作レバー3を操作するための補助レバー20と、挾持部10に形成されており、凹部3dに嵌合するための凸部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールが固定されたステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトが内包されたステアリングコラムと、
前記ステアリングホイールの前方に配置されており、前記ステアリングコラムから突出した操作レバーと、を有する車両の前記操作レバーに取り付ける操作レバー用補助具の取付構造であって、
前記操作レバーの周面には、凹部が形成されており、
前記操作レバー用補助具は、
前記周面を挾持するための挾持部と、
前記挾持部から前記操作レバーの後方に突出しており、前記操作レバーを操作するための補助レバーと、
前記挾持部に形成されており、前記凹部に嵌合するための凸部と、
を備えることを特徴とする操作レバー用補助具の取付構造。
【請求項2】
前記操作レバー用補助具は、
第1の部材と第2の部材とに2分割可能であり、
前記第1の部材は、
前記周面の形状に対応した形状の第1の内壁を有し、前記挾持部を構成する第1の挾持部と、
前記第1の挾持部から前記操作レバーの後方に突出しており、前記補助レバーを構成する第1の補助レバーと、を有し、
前記第2の部材は、
前記周面の形状に対応した形状の第2の内壁を有し、前記挾持部を構成する第2の挾持部と、
前記第2の挾持部から前記操作レバーの後方に突出しており、前記補助レバーを構成する第2の補助レバーと、を有し、
前記周面は、
前記第1の内壁および前記第2の内壁によって挾持されており、
前記第1の補助レバーおよび前記第2の補助レバーは、一体化されて単一の前記補助レバーを形成していることを特徴とする請求項1に記載の操作レバー用補助具の取付構造。
【請求項3】
前記凸部は、
前記第1の内壁に形成された第1の凸部と、
前記第2の内壁に形成された第2の凸部と、を有し、
前記第1の凸部および前記第2の凸部が前記凹部に嵌合されていることを特徴とする請求項2に記載の操作レバー用補助具の取付構造。
【請求項4】
前記第2の部材は、前記第1の部材を表裏反転させた形状であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の操作レバー用補助具の取付構造。
【請求項5】
前記操作レバーは、
前記ステアリングコラムから左方に突出した第1の操作レバーと、
前記ステアリングコラムから右方に突出した第2の操作レバーと、を有し、
前記第1の操作レバーおよび前記第2の操作レバーの各周面には、それぞれ前記凹部が形成されており、
前記操作レバー用補助具は、
前記第1の操作レバーおよび前記第2の操作レバーのどちらにも取付可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の操作レバー用補助具の取付構造。
【請求項6】
前記操作レバー用補助具のうち、前記第1の挾持部と前記第1の補助レバーとの境界、および、前記第2の挾持部と前記第2の補助レバーとの境界の少なくとも一方には、当該操作レバー用補助具の強度を高めるための補強部材が内蔵されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の操作レバー用補助具の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向指示器などの操作レバーに取り付けることにより、操作位置を変更するための操作レバー用補助具の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウィンカーレバー(方向指示器)の先端をスプリングクランプによって挟み込み、そのスプリングクランプの下端に可動レバーを取り付けることにより、運転中に腕を下げた状態でもウィンカーレバーを操作することができるようにしたものが知られている(特許文献1)。また、ステアリングコラムから突出したスイッチレバーと、このスイッチレバーの先端側に位置する操作レバーとでターンシグナルレバー(方向指示器)を構成し、上記スイッチレバーに対する上記操作レバーの取付位置を上下に調節可能な構造とすることにより、操作レバーとステアリングホイールとの上下方向における位置を変更可能にしたものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-125594号公報
【特許文献2】実開平2-87636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13は、ステアリングホイールの正面図であり、図14は、運転席を右方から見た説明図である。図14に示すように、車両50は、ステアリングホイール2と、このステアリングホイール2が固定されたステアリングシャフト6と、このステアリングシャフト6が内包されたステアリングコラム5と、このステアリングコラム5から左方へ突出した第1の操作レバー3(図13)と、ステアリングコラム5から右方へ突出した第2の操作レバー4と、を有する。第1の操作レバー3および第2の操作レバー4は、それぞれステアリングホイール2の前方に配置されている。ここで、前方とはステアリングホイール2から見て車両50の前方に向かう方向であり、後方とはステアリングホイール2から見て車両50の後方に向かう方向である。また、以下では、第1の操作レバー3および第2の操作レバー4に共通の事項を説明する場合は、単に操作レバーという場合がある。
【0005】
ところで、例えば、車両50が小型の場合、あるいは、運転者60の身長が高い場合に、アクセルやブレーキなどを足で操作すると、運転者60の膝61がステアリングホイール2の下端に当たるので、アクセルやブレーキを足で操作し難い、あるいは、ステアリングホイール2を操作し難い場合がある。
そこで、従来、図15に示すように、ステアリングホイール2とステアリングコラム5との間にエクステンダー7を介在させ、ステアリングホイール2の取付位置を後ろ斜め上方へ移動させる対策が取られることがある。この対策を取れば、ステアリングホイール2を距離Dだけ後ろ斜め上方に移動させることにより、ステアリングホイール2の下端と運転者60の膝61との間隔が広がるため、膝61がステアリングホイール2の下端に当たらないようにすることができる。
【0006】
しかし、図15に示すように、ステアリングホイール2は後ろ斜め上方に移動するが、第1の操作レバー3および第2の操作レバー4の取付位置は移動しないため、各操作レバーの位置が運転者から遠くなるので、各操作レバーの操作性が悪くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本願発明は、上述した課題を解決するために鋭意研究の結果創出されたものであり、ステアリングホイールの位置が運転者側に移動した場合であっても、ステアリングコラムから突出した操作レバーの操作性が悪くならないようにすることができる操作レバー用補助具の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1の発明)
前述した目的を達成するため、本願の第1の発明は、
ステアリングホイール(2:図15)と、
ステアリングホイール(2)が固定されたステアリングシャフト(6)と、
ステアリングシャフト(6)が内包されたステアリングコラム(5)と、
ステアリングホイール(2)の前方に配置されており、ステアリングコラム(5)から突出した操作レバー(3,4:図13)と、を有する車両(50:図15)の操作レバー(3,4)に取り付ける操作レバー用補助具(1:図1)の取付構造であって、
操作レバー(3,4)の周面(3c,4c:図2図4)には、凹部(3d,4d:図2図4)が形成されており、
操作レバー用補助具(1)は、
周面(3c,4c)を挾持するための挾持部(10:図2図3)と、
挾持部(10)から操作レバー(3,4)の後方に突出しており、操作レバー(3,4)を操作するための補助レバー(20:図2図4)と、
挾持部(10)に形成されており、凹部(3d:4d)に嵌合するための凸部(15A,15B:図6)と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本願の第1の発明に係る操作レバー用補助具の取付構造は、挾持部が操作レバーの周面を挾持しており、操作レバーを操作するための補助レバーが挾持部から操作レバーの後方に突出しているという取付構造である。
つまり、本願の第1の発明によれば、補助レバーが操作レバーよりも後方に位置しているため、ステアリングホイールの位置を後方に移動させた場合であっても、補助レバーに容易に手が届くので、補助レバーを操作することにより、補助レバーによって挾持されている操作レバーを容易に操作することができる。
しかも、挾持部には、操作レバーの周面に形成された凹部に嵌合するための凸部が形成されているため、操作レバーに対する挾持部の挾持位置がずれない。
つまり、本願の第1の発明によれば、常に同じ位置にて補助レバーを操作することができるため、操作ミスが起き難く、安定した操作を行うことができる。
【0010】
(第2の発明)
本願の第2の発明は、前述した第1の発明に係る操作レバー用補助具(1)の取付構造において、
操作レバー用補助具(1)は、
第1の部材(A:図2図4)と第2の部材(B:図2図4)とに2分割可能であり、
第1の部材(A)は、
周面(3c,4c)の形状に対応した形状の第1の内壁(11AR:図6)を有し、挾持部(10)を構成する第1の挾持部(10A)と、
第1の挾持部(10A)から操作レバー(3,4)の後方に突出しており、補助レバー(20)を構成する第1の補助レバー(20A)と、を有し、
第2の部材(B)は、
周面(3c,4c)の形状に対応した形状の第2の内壁(11BR:図6)を有し、挾持部(10)を構成する第2の挾持部(10B)と、
第2の挾持部(10B)から操作レバー(3,4)の後方に突出しており、補助レバー(20)を構成する第2の補助レバー(20B)と、を有し、
周面(3c,4c)は、
第1の内壁(11AR)および第2の内壁(11BR)によって挾持されており、
第1の補助レバー(20A)および第2の補助レバー(20B)は、一体化されて単一の補助レバー(20)を形成していることを特徴とする。
【0011】
本願の第2の発明に係る操作レバー用補助具の取付構造は、第1の部材と第2の部材とに2分割されており、操作レバーの周面は、第1の部材が有する第1の挾持部と、第2の部材が有する第2の挾持部とによって挾持されている取付構造である。
つまり、本願の第2の発明によれば、第1の挾持部および第2の挾持部という2つの部材によって操作レバーの周面を挾持する構造であるため、挾持部の径が操作レバーの径よりも小さい場合であっても、第1の挾持部および第2の挾持部によって操作レバーの周面を挾持することができるので、操作レバー用補助具を操作レバーに取付けることができる。
しかも、操作レバーの周面を挾持する第1の挾持部の第1の内壁および第2の挾持部の第2の内壁は、それぞれ操作レバーの周面の形状に対応した形状であるため、操作レバーの周面を挾持している部分にガタが発生しないので、補助レバーを安定した状態で操作することができる。
さらに、第1の挾持部から操作レバーの後方に突出した第1の補助レバーと、第2の挾持部から操作レバーの後方に突出した第2の補助レバーとは、一体化された単一の補助レバーを形成しているため、一体化されていないものよりも操作性を高めることができる。
さらに、一体化されていないものよりもデザイン性を高めることができる。
【0012】
(第3の発明)
本願の第3の発明は、前述した第1または第2の発明に係る操作レバー用補助具(1)の取付構造において、
凸部(15A,15B:図6)は、
第1の内壁(11AR:図6)に形成された第1の凸部(15A)と、
第2の内壁(11BR:図6)に形成された第2の凸部(15B)と、を有し、
第1の凸部(15A)および第2の凸部(15B)が凹部(3d,4d:図2図4)に嵌合されていることを特徴とする。
【0013】
本願の第3の発明に係る操作レバー用補助具の取付構造は、第1の挾持部の第1の内壁に形成された第1の凸部と、第2の挾持部の第2の内壁に形成された第2の凸部とが、操作レバーの周面に形成された凹部に嵌合する取付構造である。
つまり、本願の第3の発明によれば、第1の挾持部および第2の挾持部にそれぞれ形成された凸部が凹部に嵌合する構造であるため、操作レバーに対する挾持部の挾持位置がずれ難い。
従って、本願の第3の発明によれば、常に同じ位置にて補助レバーを操作することができるため、操作ミスが起き難く、安定した操作を行うことができる。
【0014】
(第4の発明)
本願の第4の発明は、前述した第2または第3の発明に係る操作レバー用補助具(1)の取付構造において、第2の部材(B)は、第1の部材(A)を表裏反転させた形状であることを特徴とする。
【0015】
従って、本願の第4の発明によれば、第1の部材および第2の部材の裏面同士を接続することにより、第1の部材および第2の部材の境界が分かり難く、1つのまとまったデザインの単一の操作レバー用補助具を形成することができる。
さらに、合成樹脂によって操作レバー用補助具を成型する場合は、第1の部材を成形するための成形型の表裏を反転させた成形型を製造し、それを第2の部材を成形するための成形型として用いることができるため、操作レバー用補助具の製造コストを低減することができる。
【0016】
(第5の発明)
本願の第5の発明は、前述した第2または第3の発明に係る操作レバー用補助具(1)の取付構造において、
操作レバー(3,4:図1)は、
ステアリングコラム(5:図15)から左方に突出した第1の操作レバー(3)と、
ステアリングコラム(5)から右方に突出した第2の操作レバー(4)と、を有し、
第1の操作レバー(3)および第2の操作レバー(4)の各周面(3c,4c)には、それぞれ凹部(3d,4d:図2図4)が形成されており、
操作レバー用補助具(1)は、
第1の操作レバー(3)および第2の操作レバー(4)のどちらにも取付可能であることを特徴とする。
【0017】
つまり、本願の第5の発明によれば、操作レバー用補助具は、第1の操作レバーおよび第2の操作レバーのどちらにも取付可能であるため、第1の操作レバー専用の操作レバー用補助具と第2の操作レバー専用の操作レバー用補助具とを別個に製造する必要がないので、操作レバー用補助具の製造コストを低減することができる。
しかも、操作レバー用補助具が、第1の操作レバーに取り付けるためのものか、あるいは、第2の操作レバーに取り付けるためのものかを、取付作業時に判断する必要がないので、操作レバー用補助具の取付作業性を高めることができる。
【0018】
(第6の発明)
本願の第6の発明は、前述した第2または第3の発明に係る操作レバー用補助具(1)の取付構造において、
操作レバー用補助具(1)のうち、第1の挾持部(10A)と第1の補助レバー(20A)との境界、および、第2の挾持部(10B)と第2の補助レバー(20B)との境界の少なくとも一方には、当該操作レバー用補助具(1)の強度を高めるための補強部材(40)が内蔵されていることを特徴とする。
【0019】
本願の第6の発明によれば、操作レバー用補助具のうち、第1の挾持部と第1の補助レバーとの境界、および、第2の挾持部と第2の補助レバーとの境界の少なくとも一方には、操作レバー用補助具の強度を高めるための補強部材が内蔵されているため、操作レバー用補助具の強度を高めることができる。
しかも、補強部材によって操作レバー用補助具の剛性を高めることができるため、補助レバーを操作したときの剛性感を高めることができる。
【0020】
上述したように、本願発明によれば、ステアリングホイールの位置が運転者側に移動した場合であっても、ステアリングコラムから突出した操作レバーの操作性が悪くならないようにすることができる操作レバー用補助具の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願発明の実施形態に係る操作レバー用補助具を第1および第2の操作レバーに取り付けた状態を示す正面図である。
図2】本願発明の実施形態に係る操作レバー用補助具を第1の操作レバーに取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図2の平面図である。
図4】本願発明の実施形態に係る操作レバー用補助具を第2の操作レバーに取り付けた状態を示す斜視図である。
図5】本願発明の実施形態に係る操作レバー用補助具の斜視図である。
図6】操作レバー用補助具の挾持部に形成された凸部の拡大図である。
図7】(A)は操作レバー用補助具を構成する第1の部材の表面図、(B)は裏面図、(C)は(B)のD-D矢視断面図である。
図8】(A)は操作レバー用補助具を構成する第2の部材の表面図であり、(B)は裏面図、(C)は(B)のE-E矢視断面図である。
図9】(A)は補強部材が設けられた第2の部材の裏面図であり、(B)は補強部材の平面図である。
図10】(A)は第1の操作レバーの説明図、(B)は(A)のA-A矢視断面図、(C)はB-B矢視断面図である。
図11】(A)は図3のC-C矢視断面図、(B)は第1の操作レバーに対する操作レバー用補助具の取付構造を示す説明図である。
図12】第1の操作レバーに取付けられた操作レバー用補助具を左方から見た説明図である。
図13】ステアリングホイールの正面図である。
図14】車両の運転席を右方から見た説明図である。
図15】ステアリングホイールとステアリングコラムとの間にエクステンダーを介在させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願発明に係る操作レバー用補助具の取付構造の実施形態について説明する。
[車両]
本実施形態に係る操作レバー用補助具の取付構造を適用する車両について図を参照しつつ説明する。
図15に示したように、車両50は、ステアリングホイール2と、このステアリングホイール2が固定されたステアリングシャフト6と、このステアリングシャフト6が内包されたステアリングコラム5と、このステアリングコラム5から左方へ突出した第1の操作レバー3(図1)と、ステアリングコラム5から右方へ突出した第2の操作レバー4と、を有する。また、ステアリングホイール2とステアリングコラム5との間には、エクステンダー7が介在されており、ステアリングホイール2の位置が運転者60の方(後方)に移動している。第1の操作レバー3はステアリングコラム5から左方へ突出しており(図13)、第2の操作レバー4はステアリングコラム5から右方へ突出している。第1の操作レバー3および第2の操作レバー4は、それぞれステアリングホイール2の前方に配置されている。
【0023】
[第1の操作レバー]
図2に示す第1の操作レバー3は、車両50(図15)に設けられた方向指示器(ウィンカー)をON・OFFする機能と、車両50に設けられたヘッドライトをON・OFFする機能と、ヘッドライトのポジションをロービームおよびハイビームの一方に替える機能と、ヘッドライトでパッシングする機能とを有する。第1の操作レバー3は、ステアリングコラム5(図15)に接続された基部3aと、この基部3aの先端に回動可能に軸支された操作部3bとを有する。第1の操作レバー3を引き下げると車両50に備えられた左の方向指示器が点滅し、第1の操作レバー3を押し上げると車両50に備えられた右の方向指示器が点滅する。また、操作部3bを初期位置(ヘッドライトが消灯する位置)から反時計回り(運転者から見て奥方向)に回動させると車両50のヘッドライトが点灯する。また、ヘッドライトが点灯しているときに第1の操作レバー3を前方に倒すと、ヘッドライトがロービームからハイビームに切替わる。また、第1の操作レバー3を後方に倒すと、ヘッドライトがハイビームで点灯し、パッシングを行う。
【0024】
また、第1の操作レバー3は、全体として紡錘形状の両端を切断した形状に類似しており、基部3aおよび操作部3bの縦断面は、それぞれ円形である。図10に示すように、基部3aの周面3cには、凹部3dが形成されている。同図(B)に示すように、凹部3dの断面は、外方に膨らんだ円弧状に形成されている。また、同図(A)および(C)に示すように、凹部3dと周面3cとの境界には、段部3fが形成されている。また、同図および図2に示すように、周面3cには、操作部3bの操作位置(回動位置)を識別するための表示部70が印刷されている。図示の例では、表示部70は、ヘッドライトを点灯するための操作位置を表している。
【0025】
[第2の操作レバー]
図4に示す第2の操作レバー4は、ワイパーを動作させる機能と、ウォッシャー液を噴射させる機能とを有する。第2の操作レバー4は、ステアリングコラム5(図15)に接続された基部4aと、この基部4aの先端に回動可能に軸支された操作部4bとを有する。第2の操作レバー4を初期位置(フロントのワイパーが動作しない位置)から下方に一段押し下げると、車両50のフロントに設けられたワイパーが動作し、さらに下方に一段押し下げると、ワイパーの動作速度が速くなる。また、第2の操作レバー4を初期位置から上方に押し上げると、フロントのワイパーが1回動作する。また、操作部4bを初期位置(リヤワイパーが動作しない位置)から時計回り(運転者から見て奥方向)に回動させると、車両50のリヤに設けられたリヤワイパーが動作する。また、第2の操作レバー4を後方(運転者側)に引くと、ウォッシャー液がフロントガラスに噴射され、第2の操作レバー4を前方(奥側)に倒すと、ウォッシャー液がリヤガラスに噴射される。
【0026】
第2の操作レバー4は機能が異なる以外は、第1の操作レバー3と同じ形状であり、基部4aの周面4cには、凹部4dが形成されている。また、図4に示すように、周面4cには、操作部4bの操作位置(回動位置)を識別するための表示部71が印刷されている。図示の例では、表示部71は、リヤワイパーを動作させるための操作位置を表している。
なお、外国産の車両の多くは、上述したように、第1の操作レバー3が方向指示器をON・OFFする機能を有し、国産の車両の多くは、第2の操作レバー4が方向指示器をON・OFFする機能を有する。
【0027】
[操作レバー用補助具]
本実施形態の操作レバー用補助具1の主要構成について説明する。
図2ないし図5に示すように、操作レバー用補助具1は、第1の操作レバー3の周面3cを挾持するための挾持部10と、補助レバー20とを備える。補助レバー20は、挾持部10から第1の操作レバー3の左斜め後方(運転者の方)に突出しており、運転者60(図15)がステアリングホイール2に添えた左手で容易に操作することができる位置に配置されている。換言すると、運転者60が、ステアリングホイール2を後方に移動させていないときに第1の操作レバー3を操作するときと同じ操作感覚で補助レバー20を操作することができる。
また、図2図7および図8に示すように、操作レバー用補助具1は、第1の部材Aと第2の部材Bとに2分割可能な部材によって構成されている。以下の説明では、第1の部材Aを構成する部分についてはAが付いた符号を用い、第2の部材Bを構成する部分についてはBが付いた符号を用いて説明する。
【0028】
(第1の部材A)
次に、第1の部材Aの構成について図を参照しつつ説明する。
図7に示すように、第1の部材Aは、第1の操作レバー3の基部3aの周面3c(図10)を挾持するための第1の挾持部10Aを有する。この第1の挾持部10Aは、挾持部10を2分割した部分である。第1の挾持部10Aは、第1の半円筒部11Aと、一対の第1の鍔部12A,13Aとを有する。第1の半円筒部11Aは、略半円筒形状に形成されている。この第1の半円筒部11Aは、相対向する直線状の端部を有し、その一方の端部からは横長で板状の第1の鍔部12Aが外方に張出し形成されており、他方の端部からは横長で板状の第1の鍔部13Aが外方に張出し形成されている。第1の鍔部12A,13Aには、それぞれ第1のボルト孔14Aが2個ずつ貫通形成されている。第1の鍔部12A,13Aは、操作レバー用補助具1を第1の操作レバー3に取り付けるときに、それぞれ第2の部材Bの第2の鍔部12B,13B(図8)と接続される。
【0029】
図7(B)に示すように、第1の半円筒部11Aの裏面には、第1の操作レバー3の周面3c(図10)のうち、第1の挾持部10Aによって挾持する周面の形状に対応した形状の第1の内壁11ARが形成されている。図6に示すように、第1の内壁11ARには、第1の凸部15Aが突出形成されている。第1の凸部15Aは、第1の操作レバー3の周面3cに形成された凹部3d(図10)に嵌合可能な形状に形成されている。また、第1の凸部15Aと第1の内壁11ARとの境界には、凹部3dの段部3f(図10)に係合可能な第1の段部15A1が形成されている。
【0030】
図7に示すように、第1の挾持部10Aの左端のうち、第1の鍔部12Aの左端から第1の補助レバー20Aが突出している。この第1の補助レバー20Aは、補助レバー20を2分割した部分である。詳しくは、図2に示すように、第1の補助レバー20Aは、第1の鍔部12Aから第1の操作レバー3の左斜め後方(運転者の方)に突出している。図7に示すように、第1の補助レバー20Aは、第1の鍔部12Aから突出した略直線状の第1の直線部21Aと、この第1の直線部21Aの先端から第1の挾持部10Aの方に向けて湾曲した第1の湾曲部22Aとを有する。第1の湾曲部22Aの第1の先端23Aは、第1の挾持部10Aの方を向いている。つまり、図2に示すように、第1の補助レバー20Aは、第1の操作レバー3の方に向けて湾曲している。また、第1の先端23Aと操作部3bとの間には、運転者60が操作部3bを操作することができるようにするための隙間が形成されている。また、図7に示すように、第1の補助レバー20Aは、全体として英文字のJに類似した形状を呈している。
【0031】
図7(C)は、図7(B)のD-D線矢視断面図である。第1の補助レバー20Aの縦断面は略U字形状を呈しており、その開口端部には、第2の補助レバー20B(図8)の第2の接着面25B(図8(C))と接着するための第1の接着面25Aが、第1の補助レバー20Aの開口端部の全周に亘って形成されている。第1の接着面25Aと内壁28Aとの間には、第1の段差27Aが形成されている。また、図7(B)に示すように、第1の補助レバー20Aの相対向する内壁28A間には、第1の補助レバー20Aの強度を高めるための補強リブ24Aが所定間隔置きに形成されている。各補強リブ24Aは、第1の段差27Aの角部から内壁28A間の底壁29Aまで連続形成されている。このため、第1の段差27Aの角部から底壁29Aまで連続形成されておらず、内壁28A間を橋渡しするような橋形状のものよりも補強効果が高い。
【0032】
(第2の部材B)
次に、第2の部材Bの構成について図を参照しつつ説明する。
図8に示すように、第2の部材Bは、第1の部材A(図7)を表裏反転させた形状である。第2の部材Bは、第1の操作レバー3の基部3aの周面3c(図10)を挾持するための第2の挾持部10Bを有する。この第2の挾持部10Bは、挾持部10を2分割した部分である。第2の挾持部10Bは、第2の半円筒部11Bと、一対の第2の鍔部12B,13Bとを有する。第2の半円筒部11Bは、略半円筒形状に形成されている。この第2の半円筒部11Bは、相対向する直線状の端部を有し、その一方の端部からは横長で板状の第2の鍔部12Bが外方に張出し形成されており、他方の端部からは横長で板状の第2の鍔部13Bが外方に張出し形成されている。第2の鍔部12B,13Bには、それぞれ第2のボルト孔14Bが2個ずつ貫通形成されている。第2の鍔部12B,13Bは、それぞれ第1の部材Aの第1の鍔部12A,13A(図7)と接続される。
【0033】
図8(B)に示すように、第2の半円筒部11Bの裏面には、第1の操作レバー3の周面3c(図10)のうち、第2の挾持部10Bによって挾持する周面の形状に対応した形状の第2の内壁11BRが形成されている。図6に示すように、第2の内壁11BRには、第2の凸部15Bが突出形成されている。第2の凸部15Bは、第1の操作レバー3の周面3cに形成された凹部3d(図10)に嵌合可能な形状に形成されている。また、第2の凸部15Bと第2の内壁11BRとの境界には、凹部3dの段部3f(図10)に係合可能な第2の段部15B1が形成されている。
【0034】
図8に示すように、第2の挾持部10Bの左端のうち、第2の鍔部12Bの左端から第2の補助レバー20Bが突出している。この第2の補助レバー20Bは、補助レバー20を2分割した部分である。詳しくは、図2に示すように、第2の補助レバー20Bは、第2の鍔部12Bから第1の操作レバー3の左斜め後方(運転者の方)に突出している。第2の補助レバー20Bは、第2の鍔部12Bから突出した略直線状の第2の直線部21Bと、この第1の直線部21Bの先端から第2の挾持部10Bの方に湾曲した第2の湾曲部22Bとを有する。第2の湾曲部22Bの第2の先端23Bは、第2の挾持部10Bの方を向いている。つまり、図2に示すように、第2の補助レバー20Bは、第1の操作レバー3の方に向けて屈曲している。また、第2の先端23Bと操作部4bとの間には、運転者60が操作部4bを操作することができるようにするための隙間が形成されている。また、第2の補助レバー20Bは、全体として英文字のJに類似した形状を呈している。
【0035】
図8(C)は、図8(B)のE-E線矢視断面図である。第2の補助レバー20Bの縦断面は、第1の補助レバー20Aと同様略U字形状を呈しており、その開口端部には、第1の補助レバー20A(図7)の第1の接着面25A(図7(C))と接着するための第2の接着面25Bが、第2の補助レバー20Bの開口端部の全周に亘って形成されている。第2の接着面25Bと内壁28Bとの間には、第2の段差27Bが形成されている。また、図8(B)に示すように、第2の補助レバー20Bの相対向する内壁28B間には、第2の補助レバー20Bの強度を高めるための補強リブ24Bが所定間隔置きに形成されている。各補強リブ24Bは、第2の段差27Bの角部から内壁28B間の底壁29Bまで連続形成されている。このため、第2の段差27Bの角部から底壁29Bまで連続形成されておらず、内壁28B間を橋渡しするような橋形状のものよりも補強効果が高い。
【0036】
また、図8(B)に示すように、第2の補助レバー20Bの底壁29Bには、補強部材40(図9(B))を取り付けるときに、ネジ43(図9(A))をねじ込むためのネジ孔26Bが形成されている。本実施形態では、ネジ孔26Bは、底壁29Bから立設された円筒形の部材の開口部に形成されている。また、ネジ孔26Bは、第2の直線部21Bに沿って2箇所設けられている。
図9(A)に示すように、第2の部材Bの第2の挾持部10Bと第2の補助レバー20Bとの境界には、操作レバー用補助具1の強度を高めるための補強部材40が内蔵されている。同図(B)に示すように、補強部材40は、板状に形成されており、第2の挾持部10Bの第2の鍔部12Bと、第2の補助レバー20Bの第2の直線部21Bとを跨ぐ状態で取付けられている。補強部材40には、ネジ43(図9(A))を挿通するためのネジ挿通孔42と、ボルト31(図2)を挿通するためのボルト孔41が貫通形成されている。ネジ挿通孔42は、ネジ孔26B(図8(B))に対応する位置に計2箇所形成されており、ボルト孔41は、第2の鍔部12Bに形成された第2のボルト孔14B(図8(B))に対応する位置に計2箇所形成されている。
【0037】
補強部材40のうち、第2の直線部21Bに配置されている部分は、第2の直線部21Bの第2の段差27B(図8(C))に嵌合されている。第1の部材Aおよび第2の部材Bの裏面同士を接着して一体化するとき、第2の部材Bの第2の段差27Bに嵌合されている補強部材40は、第1の部材Aの第1の直線部21Aに形成された第1の段差27A(図7(C))に嵌合される。このとき、接着された第1の直線部21Aと第2の直線部21Bとの間に隙間が形成されないようになっている。つまり、補強部材40は、そのような隙間が形成されることのない厚さに形成されている。本実施形態では、補強部材40は、金属製材料により、平面視略ヘ字状に形成されている。このように、挾持部10と補助レバー20との境界部分に補強部材40が設けられているため、操作レバー用補助具1を操作したときに、補助レバー20と挾持部10との境界部分に亀裂が入ったりするおそれがない。
【0038】
[操作レバー用補助具の取付構造]
次に、操作レバー用補助具の取付構造について説明する。
図2に示すように、操作レバー用補助具1の挾持部10が第1の操作レバー3を挾持しており、補助レバー20が挾持部10から左斜め後方に突出している。また、図11(B)に示すように、第1の挾持部10Aの第1の凸部15Aが、第1の操作レバー3の周面3cに形成された凹部3dに嵌合されており、第1の凸部15Aの第1の段部15A1が凹部3dの段部3fに係止されている。図11(B)には図示されていないが、第2の挾持部10Bの第2の凸部15B(図6)が、第1の操作レバー3の周面3cに形成された凹部3dに嵌合されており、第2の凸部15Bの第2の段部15B1(図6)が、凹部3dと周面3cとの境界に形成された段部3fに係止されている。
【0039】
図12は、第1の操作レバー3に取付けられた操作レバー用補助具1を左方から見た説明図である。同図に示すように、第1の操作レバー3に操作レバー用補助具1を取り付けることにより、第1の操作レバー3の操作位置は、運転者の方に距離L移動する。この距離Lは、ステアリングホイール2の後方への移動距離D(図15)と同等以上(L≧D)であれば、運転者は、ステアリングホイール2が運転者の方に移動する前と同様に、ステアリングホイール2に添えた左手で第1の操作レバー3を容易に操作することができる。また、図2に示すように、挾持部10は、第1の操作レバー3のうち、表示部70が隠れない範囲を挾持しているため、操作レバー用補助具1を取り付けたことにより、表示部70が隠れてしまい、操作に支障を来すおそれがない。
【0040】
また、図4に示すように、操作レバー用補助具1の挾持部10が第2の操作レバー4を挾持しており、補助レバー20が挾持部10から右斜め後方に突出している。また、図示しないが、第1の挾持部10Aの第1の凸部15Aと、第2の挾持部10Bの第2の凸部15Bとが、第2の操作レバー4の周面4cに形成された凹部4dに嵌合されており、第1の凸部15Aの第1の段部15A1と、第2の凸部15Bの第2の段部15B1とが、凹部4dと周面4cとの境界に形成された段部(図示せず)に係止されている。
また、第1の操作レバー3に取り付けた操作レバー用補助具1と同様に、第2の操作レバー4に操作レバー用補助具1を取り付けることにより、第2の操作レバー4の操作位置は、運転者の方に距離L移動する。この距離Lは、ステアリングホイール2の後方への移動距離D(図15)と同等以上(L≧D)であれば、運転者は、ステアリングホイール2が運転者の方に移動する前と同様に、ステアリングホイール2に添えた右手で第2の操作レバー4を容易に操作することができる。また、図4に示すように、挾持部10は、第2の操作レバー4のうち、表示部71が隠れない範囲を挾持しているため、操作レバー用補助具1を取り付けたことにより、表示部71が隠れてしまい、操作に支障を来すおそれがない。
【0041】
[操作レバー用補助具の取付け方法]
次に、操作レバー用補助具1の取付け方法について説明する。
先ず、図9(A)に示すように、ネジ43を用いて補強部材40を第2の部材Bに取り付ける。次に、第1の部材Aの第1の補助レバー20A(図7)と第2の部材Bの第2の補助レバー20B(図8)とを接着する。例えば、第1の補助レバー20Aの第1の接着面25A(図7(C))、または、第2の補助レバー20Bの第2の接着面25B(図8(C))に接着剤を塗布し、第1の接着面25Aと第2の接着面25Bとを相互に接触させ、第1の補助レバー20Aと第2の補助レバー20Bとを相互に接着する。このとき、第1の接着面25Aのうち第1の鍔部12Aに近い部分と、第2の接着面25Bのうち第2の鍔部12Bに近い部分とが接着されないようにする。つまり、第1の補助レバー20Aと第2の補助レバー20Bとが全周に亘って接着されないようにする。この作業により、第1の補助レバー20Aおよび第2の補助レバー20Bが略一体化した状態になる。また、第1の挾持部10Aと第2の挾持部10Bとが、非接着の状態で相対向し、第1の挾持部10Aの第1の半円筒部11Aと、第2の挾持部10Bの第2の半円筒部11Bとによって、挾持部10が形成される(図5)。
【0042】
次に、その挾持部10を第1の操作レバー3の先端3e(図2)から挿通する。ところで、図10に示すように、第1の操作レバー3のうち、凹部3dが形成されている部分の径は、基部3aと操作部3bとの境界3gの近傍の径よりも小さく、挾持部10は、凹部3dが形成されている部分を挾持するための径に形成されているため、先端3eから挿通した挾持部10は、境界3gの近傍で支える。しかし、前述のように、第1の補助レバー20Aの第1の接着面25Aと、第2の補助レバー20Bの第2の接着面25Bのうち、挾持部10に近い部分が接着されないようにしたので、第1の挾持部10Aおよび第2の挾持部10Bを相互に離反させ、挾持部10の径を大きくすることができる。そこで、作業者は、一方の手で第1の挾持部10Aおよび第2の挾持部10Bの一方を掴み、他方の手で第1の挾持部10Aおよび第2の挾持部10Bの他方を掴み、挾持部10の径を大きくしながら、境界3gを乗り越えるようにして、挾持部10を基部3aの方に向けて挿通する。
【0043】
次に、基部3aに挿通された第1の挾持部10Aの第1の凸部15A(図6)と、第2の挾持部10Bの第2の凸部15Bとを、基部3aの凹部3d(図10)に嵌合させる。このとき、第1の凸部15Aの第1の段部15A1(図6)と、第2の凸部15Bの第2の段部15B1とが、凹部3dと周面3cとの境界に形成された段部3f(図10)に係止されるように作業する(図11(B))。この作業により、第1の操作レバー3に対する操作レバー用補助具1の位置決めが完了する。
次に、取付部材30を構成するボルト31(図2)を各第1のボルト孔14A(図3図7)および各第2のボルト孔14B(図8)にそれぞれ挿通し、各第2のボルト孔14Bから突出したボルト31にナット32(図2)をそれぞれ締め付ける。この作業を完了することにより、操作レバー用補助具1に第1の操作レバー3が取付けられた状態になる。そして、最後に、実際に操作レバー用補助具1を上下に操作し、第1の操作レバー3が正常に動作するか否かを確認する。また、操作レバー用補助具1と第1の操作レバー3との間にガタが発生していないか確認する。
【0044】
なお、操作レバー用補助具1を第2の操作レバー4に取付ける場合も、上述した取付け方法によって取付けることができる。また、本実施形態では、第1の操作レバー3および第2の操作レバー4は、それぞれ合成樹脂によって形成されており、第1の操作レバー3に取り付ける操作レバー用補助具1の色と、第2の操作レバー4に取り付ける操作レバー用補助具1の色とが異なる。例えば、第1の操作レバー3に取り付ける操作レバー用補助具1は全体が黄色であり、第2の操作レバー4に取り付ける操作レバー用補助具1は全体が赤色である。このように操作レバー用補助具毎に色を異ならせることにより、操作レバー(3,4)の識別を容易に行うことができる。特に、外国産の車両の場合は、第1の操作レバー3が方向指示器の役割をしている場合が多く、今まで、国産の車両を運転していた者が外国産の車両を運転すると、方向指示器を出すつもりで誤って第2の操作レバー4を操作し、ワイパーを動作させてしまう場合があったが、操作レバー毎に色を異ならせることにより、そのような操作ミスを防止することができる。また、操作レバー用補助具1毎に色を異ならせることにより、操作系のデザインの範囲を広げることもできる。さらに、操作レバー用補助具1を取り付けていないオリジナルの車両と差別化を図ることもできる。
【0045】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造は、挾持部10が操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)を挾持しており、操作レバー(3,4)を操作するための補助レバー20が挾持部10から操作レバー(3,4)の後方に突出しているという取付構造である。
つまり、上述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造によれば、補助レバー20が操作レバー(3,4)よりも後方に位置しているため、ステアリングホイール2の位置を後方に移動させた場合であっても、補助レバー20に容易に手が届くので、操作レバー(3,4)を挾持している補助レバー20を操作することにより、容易に操作レバー(3,4)を操作することができる。
【0046】
(2)しかも、挾持部10には、操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)に形成された凹部(3d,4d)に嵌合するための凸部(15A,15B)が形成されているため、操作レバー(3,4)に対する挾持部10の挾持位置がずれない。
つまり、上述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造によれば、常に同じ位置にて補助レバー20を操作することができるため、操作ミスが起き難く、安定した操作を行うことができる。
【0047】
(3)前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造は、第1の部材Aと第2の部材Bとに2分割されており、操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)は、第1の部材Aが有する第1の挾持部10Aと、第2の部材Bが有する第2の挾持部10Bとによって挾持されている取付構造である。
つまり、前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造によれば、第1の挾持部10Aおよび第2の挾持部10Bという2つの部材によって操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)を挾持する構造であるため、挾持部10の径が操作レバー(3,4)の径よりも小さい場合であっても、第1の挾持部10Aおよび第2の挾持部10Bによって操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)を挾持することができるので、操作レバー用補助具1を操作レバー(3,4)に取付けることができる。
【0048】
(4)しかも、操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)を挾持する第1の挾持部10Aの第1の内壁11ARおよび第2の挾持部10Bの第2の内壁11BRは、それぞれ操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)の形状に対応した形状であるため、操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)を挾持している部分にガタが発生しないので、補助レバー20を安定した状態で操作することができる。
【0049】
(5)さらに、第1の挾持部10Aから操作レバー(3,4)の後方に突出した第1の補助レバー20Aと、第2の挾持部10Bから操作レバー(3,4)の後方に突出した第2の補助レバー20Bとは、一体化された単一の補助レバー20を形成しているため、一体化されていないものよりも操作性を高めることができる。
(6)さらに、一体化されていないものよりもデザイン性を高めることができる。
【0050】
(7)前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造は、第1の挾持部10Aの第1の内壁11ARに形成された第1の凸部15Aと、第2の挾持部10Bの第2の内壁11BRに形成された第2の凸部15Bとが、操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)に形成された凹部(3d,4d)に嵌合する取付構造である。
つまり、前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造によれば、第1の挾持部10Aおよび第2の挾持部10Bにそれぞれ形成された凸部(15A,15B)が凹部(3d,4d)に嵌合する構造であるため、操作レバー(3,4)に対する挾持部10の挾持位置がずれ難い。
従って、前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造によれば、常に同じ位置にて補助レバー20を操作することができるため、操作ミスが起き難く、安定した操作を行うことができる。
【0051】
(8)前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造では、第2の部材Bが第1の部材Aを表裏反転させた形状である。
従って、前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造によれば、第1の部材Aおよび第2の部材Bの裏面同士を接着することにより、第1の部材Aおよび第2の部材Bの境界が分かり難く、1つのまとまったデザインの単一の操作レバー用補助具1を形成することができる。
(9)さらに、合成樹脂によって操作レバー用補助具1を成型する場合は、第1の部材Aを成形するための成形型の表裏を反転させた成形型を製造し、それを第2の部材Bを成形するための成形型として用いることができるため、操作レバー用補助具1の製造コストを低減することができる。
【0052】
(10)前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造は、操作レバー用補助具1を第1の操作レバー3および第2の操作レバー4のどちらにも取付可能であるため、第1の操作レバー3専用の操作レバー用補助具1と第2の操作レバー4専用の操作レバー用補助具1とを別個に製造する必要がないので、操作レバー用補助具1の製造コストを低減することができる。
(11)しかも、操作レバー用補助具1が、第1の操作レバー3に取り付けるためのものか、あるいは、第2の操作レバー4に取り付けるためのものかを、取付作業時に判断する必要がないので、操作レバー用補助具1の取付作業性を高めることができる。
【0053】
(11)前述した実施形態に係る操作レバー用補助具1の取付構造は、操作レバー用補助具1のうち、第1の挾持部10Aと第1の補助レバー20Aとの境界、および、第2の挾持部10Bと第2の補助レバー20Bとの境界の少なくとも一方には、操作レバー用補助具1の強度を高めるための補強部材40が内蔵されているため、操作レバー用補助具1の強度を高めることができる。
(12)しかも、補強部材40によって操作レバー用補助具1の剛性を高めることができるため、補助レバー20を操作したときの剛性感を高めることができる。
【0054】
〈他の実施形態〉
(1)挾持部10および補助レバー20を総て2分割するのではなく、挾持部10のみを2分割して製造することもできる。例えば、第2の挾持部10Bのみを別に製造し、第1の挾持部10Aと補助レバー20とが一体となった部材を製造することもできる。そして、第1の挾持部10Aおよび第2の挾持部10Bによって操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)を挾持するようにして操作レバー用補助具1を操作レバー(3,4)に取り付けることもできる。この取付構造によれば、第1の補助レバー20Aと第2の補助レバー20Bとを接着する手間を省くことができる。
【0055】
(2)補強部材40を第1の部材Aに設けることもできる。また、補強部材40を第1の部材Aおよび第2の部材Bの両方に設けることもできる。また、補強部材40の数、形状および設ける位置などは任意に変更することができる。
(3)操作レバー(3,4)の周面(3c,4c)に形成された凹部(3d,4d)の形状、形成位置および形成数に応じて、凸部(15A,15B)の形状、形成位置および形成数を変更することができる。
(4)補助レバー20の形状は、前述した実施形態の形状に限定されるものではなく、任意の形状に変更することができる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・操作レバー用補助具
2・・・ステアリングホイール
3・・・第1の操作レバー
3c・・周面
3d・・凹部
4・・・第2の操作レバー
4c・・周面
4d・・凹部
5・・・ステアリングコラム
6・・・ステアリングシャフト
7・・・エクステンダー
10・・・挾持部
10A・・第1の挾持部
10B・・第2の挾持部
11AR・第1の内壁
11BR・第2の内壁
15A・・第1の凸部
15B・・第2の凸部
20・・・補助レバー
20A・・第1の補助レバー
20B・・第2の補助レバー
40・・・補強部材
A・・・第1の部材
B・・・第2の部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15