(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053288
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】X線CT装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240408BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20240408BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20240408BHJP
【FI】
A61B6/03 373
A61B6/03 360Q
A61B6/03 320Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159437
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚越 伸介
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093EA07
4C093FD03
4C093FF35
4C093FG04
(57)【要約】
【課題】PCCTで生成される画像のコントラスト調整を効率的に行うこと。
【解決手段】本実施形態に係るX線CT装置は、X線管と、フォトンカウンティング型の検出器と、取得部と、再構成部と、特定部と、生成部とを備える。X線管は、被検体に対してX線を照射する。フォトンカウンティング型の検出器は、複数の検出素子を含み、X線に含まれるフォトンをカウントする。取得部は、複数の検出素子毎に、被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する。再構成部は、エネルギースペクトルを構成するエネルギービン毎に複数のエネルギー画像を再構成する。特定部は、複数のエネルギー画像に基づいて表示対象のエネルギービンを複数の検出素子毎に特定する。生成部は、特定部により特定された表示対象のエネルギービンに基づいた表示画像を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線を照射するX線管と、
複数の検出素子を含み、前記X線に含まれるフォトンをカウントするフォトンカウンティング型の検出器と、
前記複数の検出素子毎に、前記被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する取得部と、
前記エネルギースペクトルを構成するエネルギービン毎に複数のエネルギー画像を再構成する再構成部と、
前記複数のエネルギー画像に基づいて表示対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記表示対象のエネルギービンに基づいた表示画像を生成する生成部と、
を備えるX線CT装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記複数のエネルギー画像のCT値の統計値に基づいて前記表示対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記統計値には、最大値、最小値、平均値、中央値、最頻値、75%タイル値のうち、少なくとも1つが含まれる、
請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記統計値に基づいて複数の表示対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する、
請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記特定部は、ユーザにより選択された前記統計値に基づいて表示対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する、
請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記生成部で生成された表示画像を表示部に表示させる表示制御部を更に備え、
前記再構成部は、全エネルギーを積分した積分画像を再構成し、
前記表示制御部は、前記積分画像に前記表示画像を重畳表示させる、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のX線CT装置。
【請求項7】
被検体に対してX線を照射するX線管と、
複数の検出素子を含み、前記X線に含まれるフォトンをカウントするフォトンカウンティング型の検出器と、
前記複数の検出素子毎に、前記被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する取得部と、
前記エネルギースペクトルに基づいた統計値を算出する算出部と、
前記複数の検出素子毎に、前記統計値に基づいて画像化対象のエネルギービンを特定する特定部と、
前記複数の検出素子毎に、前記特定部により特定されたエネルギービンのカウントに基づいて画像再構成を行う再構成部と、
を備えるX線CT装置。
【請求項8】
前記統計値には、前記エネルギービンの光子カウント数の最大値、最小値、平均値、中央値、最頻値、及び75%タイル値のうち、少なくとも1つが含まれる、
請求項7に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記特定部は、前記統計値に基づいて複数の画像化対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する、
請求項7に記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記特定部は、ユーザにより選択された前記統計値に基づいて画像化対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する、
請求項7に記載のX線CT装置。
【請求項11】
前記再構成部で再構成された再構成画像を表示部に表示させる表示制御部を更に備え、
前記再構成部は、全エネルギーを積分した積分画像を再構成し、
前記表示制御部は、前記積分画像に前記再構成画像を重畳表示させる、
請求項7乃至10の何れか1項に記載のX線CT装置。
【請求項12】
被検体に対してX線を照射するX線管と、複数の検出素子を含み、前記X線に含まれるフォトンをカウントするフォトンカウンティング型検出器とを備えるX線CT装置による情報処理方法であって、
前記複数の検出素子毎に、前記被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する取得ステップと、
前記エネルギースペクトルを構成するエネルギービン毎に複数のエネルギー画像を再構成する再構成ステップと、
前記複数のエネルギー画像に基づいて表示対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定された前記表示対象のエネルギービンに基づいた表示画像を生成する生成ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項13】
被検体に対してX線を照射するX線管と、複数の検出素子を含み、前記X線に含まれるフォトンをカウントするフォトンカウンティング型検出器とを備えるX線CT装置による情報処理方法であって、
前記複数の検出素子毎に、前記被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する取得ステップと、
前記エネルギースペクトルに基づいた統計値を算出する算出ステップと、
前記複数の検出素子毎に、前記統計値に基づいて画像化対象のエネルギービンを特定する特定ステップと、
前記複数の検出素子毎に、前記特定ステップで特定されたエネルギービンのカウントに基づいて画像再構成を行う再構成ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項14】
被検体に対してX線を照射するX線管と、複数の検出素子を含み、前記X線に含まれるフォトンをカウントするフォトンカウンティング型の検出器とを備えるX線CT装置のコンピュータに、
前記複数の検出素子毎に、前記被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する取得ステップと、
前記エネルギースペクトルを構成するエネルギービン毎に複数のエネルギー画像を再構成する再構成ステップと、
前記複数のエネルギー画像に基づいて表示対象のエネルギービンを前記複数の検出素子毎に特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定された前記表示対象のエネルギービンに基づいた表示画像を生成する生成ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項15】
被検体に対してX線を照射するX線管と、複数の検出素子を含み、前記X線に含まれるフォトンをカウントするフォトンカウンティング型の検出器とを備えるX線CT装置のコンピュータに、
前記複数の検出素子毎に、前記被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する取得ステップと、
前記エネルギースペクトルに基づいた統計値を算出する算出ステップと、
前記複数の検出素子毎に、前記統計値に基づいて画像化対象のエネルギービンを特定する特定ステップと、
前記複数の検出素子毎に、前記特定ステップで特定されたエネルギービンのカウントに基づいて画像再構成を行う再構成ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線CT装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線CT(Computed Tomography)の応用として、被検体に含まれる物質の種類、原子番号、密度等を推定することが可能な光子計数型コンピュータ断層撮影(PCCT:Photon Counting Computed Tomography)が知られている。なお、PCCTでは、各エネルギービンで光子をカウントし,全てのエネルギーを積分することで、従来CT装置と同様の画像(以下、積分画像ともいう)を生成することが可能である。
【0003】
しかしながら、積分画像のコントラストを調整する場合、ユーザが、エネルギービン毎の差分や重み付けでマニュアル的な調整を行うことになるため、ユーザの操作が煩雑になる可能性がある。このように、PCCTで生成される画像のコントラスト調整については、操作性の面で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、PCCTで生成される画像のコントラスト調整を効率的に行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のX線CT装置は、X線管と、フォトンカウンティング型の検出器と、取得部と、再構成部と、特定部と、生成部とを備える。X線管は、被検体に対してX線を照射する。フォトンカウンティング型検出器は、複数の検出素子を含み、X線に含まれるフォトンをカウントする。取得部は、複数の検出素子毎に、被検体を透過したエネルギースペクトルを取得する。再構成部は、エネルギースペクトルを構成するエネルギービン毎に複数のエネルギー画像を再構成する。特定部は、複数のエネルギー画像に基づいて表示対象のエネルギービンを複数の検出素子毎に特定する。生成部は、特定部により特定された表示対象のエネルギービンに基づいた表示画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置が実行するヘリカルスキャンの一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る被検体に対するX線照射の一例を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る照射スペクトルの一例を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る透過スペクトルと検出スペクトルの関係の一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る検出スペクトルを補正した補正スペクトルの一例を説明する図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る補正スペクトルを構成するエネルギービンの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るエネルギービン毎に再構成された複数のX線CT画像データの一例を説明する図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る表示対象となる画素の特定処理の一例を説明する図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る画像化対象とするエネルギービンの特定処理の一例を説明する図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、変形例2に係る表示用画像の一例を説明するイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、X線CT装置、情報処理方法、及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
説明を具体的にするために、実施形態に係るX線CT装置は、フォトンカウンティングCTを実行可能な光子計数(Photon Counting)型のX線CT装置(以下、光子計数型X線CT(computed tomography)装置と呼ぶ)として説明する。なお、実施形態に係るX線CT装置は、光子計数型の検出器に加えて、積分型(電流モード計測方式)のX線検出器を有していてもよい。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、光子計数型X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
【0011】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。
図1では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際の光子計数型X線CT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
【0012】
架台装置10及び寝台装置30は、コンソール装置40を介したユーザからの操作、或いは架台装置10、又は寝台装置30に設けられた操作部を介したユーザからの操作に基づいて動作する。架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
【0013】
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮影系を有する装置である。
【0014】
架台装置10は、X線管11(X線発生部)と、光子計数型検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System:データ収集システム)18とを有する。
【0015】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。
【0016】
X線管11における管球焦点で発生したX線は、X線管11におけるX線放射窓を通過して、コリメータ17を介してコーンビーム形に成形され、被検体Pに照射される。X線管11には、例えば、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0017】
光子計数型検出器12は、X線管11により発生したX線の光子を計数する。例えば、光子計数型検出器12は、X線に含まれる光子に応じたパルスを出力する。具体的には、光子計数型検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を光子単位で検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。
【0018】
光子計数型検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャンネル方向に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。光子計数型検出器12は、例えば、当該検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。光子計数型検出器12は、被検体Pを透過したX線を検出する主検出器とも称される。
【0019】
光子計数型検出器12は、具体的には、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。
【0020】
シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、複数の光センサ群を有する。光センサ群は、複数の光センサを有する。
【0021】
複数の光センサ各々は、シンチレータからの受けた光を増幅して電気信号に変換する機能を有する。光センサは、例えばAPD(Avalanche Photo-Diode)又はSiPM(Silicon Photo Multiplier)である。言い換えると、光センサは、シンチレータからの光を受けて、入射したX線光子に応じた電気信号(パルス)を出力する。
【0022】
すなわち、複数の光センサ各々は、X線に含まれる光子に応じたパルスを出力する。複数の光センサは、複数の検出素子に対応する。換言すれば、光子計数型検出器12は、複数の検出素子を有する。
【0023】
なお、各検出素子が出力する電気信号のことを検出信号とも言う。この電気信号(パルス)の波高値(電圧)は、X線光子のエネルギー値と相関性を有する。なお、光子計数型検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。光子計数型検出器12が直接変換型の検出器である場合、半導体素子における複数の電極が複数の検出素子に対応する。
【0024】
回転フレーム13は、X線管11と光子計数型検出器12とを回転軸回りに回転可能に支持する。具体的には、回転フレーム13は、X線管11と光子計数型検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11と光子計数型検出器12とを回転させる円環状のフレームである。
【0025】
回転フレーム13は、アルミニウム等の金属により形成された固定フレームに回転可能に支持される。詳しくは、回転フレーム13は、ベアリングを介して固定フレームの縁部に接続されている。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。
【0026】
なお、回転フレーム13は、X線管11と光子計数型検出器12とに加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。このような回転フレーム13は、撮影空間をなす開口(ボア)131が形成された略円筒形状の筐体に収容されている。開口131はFOVに略一致する。開口131の中心軸は、回転フレーム13の回転軸Zに一致する。
【0027】
なお、DAS18が生成した検出データは、例えば発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。また、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0028】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。
【0029】
高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。
【0030】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。
【0031】
また、制御装置15は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。
【0032】
制御装置15は、コンソール装置40からの指令に従い、X線高電圧装置14及びDAS18等を制御する。当該プロセッサは、当該メモリに保存されたプログラムを読み出して実現することで上記制御を実現する。
【0033】
また、制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。
【0034】
例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現されてもよい。
【0035】
また、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。なお、制御装置15は、当該メモリにプログラムを保存する代わりに、当該プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該プロセッサは、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記制御を実現する。
【0036】
ボウタイフィルタ16は、X線管11におけるX線放射窓の前面に配置される。ボウタイフィルタ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。
【0037】
具体的には、ボウタイフィルタ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。ボウタイフィルタ16は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0038】
コリメータ17は、ボウタイフィルタ16を透過したX線をX線照射範囲113に絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
【0039】
DAS18は、複数の計数回路を有する。複数の計数回路各々は、光子計数型検出器12の各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、光子計数型検出器12の検出信号を用いた計数処理の結果である検出データを生成する。
【0040】
計数処理の結果は、エネルギービンごとのX線の光子数を割り当てたデータである。例えば、DAS18は、X線管11から照射されて被検体Pを透過したX線に由来する光子(X線光子)を計数し、当該計数した光子のエネルギーを弁別して計数処理の結果とする。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
【0041】
検出データは、生成元の検出器画素のチャンネル番号、列番号、収集されたビュー(投影角度ともいう)を示すビュー番号、及び検出されたX線の線量を示す値のデータのセットである。
【0042】
なお、ビュー番号としては、ビューが収集された順番(収集時刻)を用いてもよく、X線管11の回転角度を表す番号(例、1~1000)を用いてもよい。DAS18における複数の計数回路各々は、例えば、検出データを生成可能な回路素子を搭載した回路群により実現される。
【0043】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、天板支持フレーム34とを備えている。基台31は、天板支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動させるモータあるいはアクチュエータである。
【0044】
寝台駆動装置32は、コンソール装置40による制御、または制御装置15による制御に従い、天板33を移動する。天板支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、天板支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0045】
コンソール装置40は、メモリ41(記憶部)と、ディスプレイ42(表示部)と、入力インターフェース43(入力部)と、処理回路44(処理部)とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
【0046】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。
【0047】
メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、光子計数型X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0048】
メモリ41は、本実施形態に係る各種プログラムを記憶する。例えば、メモリ41は、処理回路44により実行されるシステム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、特定機能445及び表示画像生成機能446各々の実行に関するプログラムを記憶する。
【0049】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。
【0050】
ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
【0051】
また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ42は、表示部に相当する。
【0052】
入力インターフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。
【0053】
入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
【0054】
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。
【0055】
例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0056】
また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。入力インターフェース43は、入力部に相当する。
【0057】
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じて、光子計数型X線CT装置1全体の動作を制御する。
【0058】
例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、特定機能445及び表示画像生成機能446を実行する。
【0059】
システム制御機能441は、表示制御部の一例である。前処理機能442は取得部の一例である。また、再構成処理機能443は、再構成部の一例である。特定機能445は、特定部の一例である。表示画像生成機能446は、生成部の一例である。
【0060】
なお、各機能441~446は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~446を実現するものとしても構わない。
【0061】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。具体的には、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って光子計数型X線CT装置1の各部を制御する。
【0062】
例えば、システム制御機能441は、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、光子計数型X線CT装置1の各部を制御し、天板33を移動させながら回転フレーム13を連続回転させて撮像を行なうヘリカルスキャンを実行させる。
【0063】
また、例えば、システム制御機能441は、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、被検体Pの周りを回転フレーム13が1回転して撮像を行い、続いて被検体Pが載置された天板33を少しずらして再び回転フレーム13が1回転して撮影を行うノンヘリカルスキャンを実行させる。
【0064】
図2は、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1が実行するスキャンの一例を説明する図である。
図2に示すように、X線管11は、連続回転しながら、被検体Pに対して複数のエネルギーを含んだX線の照射を行う。また、X線管11によるX線の照射中、被検体Pが載置された天板33はZ軸方向に移動していく。
【0065】
そして、光子計数型検出器12は、被検体Pを通過したX線を光子単位で検出する。光子計数型検出器12は、検出したX線量に対応する電気信号をDAS18へと出力する。これにより、DAS18で検出データが生成されることになる。
【0066】
図1に戻り、説明を続ける。前処理機能442は、複数の検出素子毎に、検出スペクトルを取得する。例えば、前処理機能442は、DAS18から出力された検出データを取得する。検出データには、検出スペクトル(
図5参照)が含まれる。
【0067】
また、前処理機能442は、検出スペクトルに対して各種前処理を施したデータを生成する。なお、本明細書において、前処理前のデータを生データ、前処理後のデータを投影データと呼ぶものとする。
【0068】
例えば、前処理機能442は、検出スペクトルに対してスペクトルの歪みを補正する処理を施す。本実施形態では、補正されたスペクトルを補正スペクトル(
図6参照)と呼ぶものとする。
【0069】
また、前処理機能442は、補正スペクトルと照射スペクトル(
図3参照)とに基づいて、複数のエネルギービンに関する投影データを生成する。例えば、前処理機能442は、複数のエネルギービン各々において、補正スペクトルに対し、補正スペクトルを照射スペクトルで除算する処理、対数変換処理、オフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施し、投影データを生成する。
【0070】
以下、
図3乃至
図6を用いて、検出スペクトル及び照射スペクトルについて説明する。
図3は、第1実施形態に係る被検体Pに対するX線照射の一例を説明する図である。なお、
図3の縦軸はスライス方向を、横軸はチャンネル方向を表している。また、
図4は、第1実施形態に係る照射スペクトル50の一例を説明する図である。
【0071】
図3に示すように、X線管11から光子計数型検出器12の検出素子12aへX線a1が照射されたとする。この場合、
図4に示すように、X線a1における、領域XAのX線のスペクトルが、照射スペクトル50に相当する。なお、領域XA上は空気領域であり、X線の減衰は無視できるものとする。
【0072】
照射スペクトル50は、X線管11に供給される高電圧、電流、線源に用いるターゲット(例えば、タングステン等)の種類、及び、ウェッジの種類や厚み等によって定まる。このため、照射スペクトル50は、精密な実計測や、高精度なシミュレーションにより得られる。本実施形態では、メモリ41に、予め照射スペクトル50が記憶されるものとする。
【0073】
また、本実施形態では、被検体Pを透過してから検出素子12aへ到るまでのX線のスペクトルを、透過スペクトル52と呼ぶものとする。
図5は、第1実施形態に係る透過スペクトル52と検出スペクトル54の関係の一例を説明する図である。例えば、
図5に示すように、X線管11から検出素子12aへ照射されたX線a1における、領域XBのX線のスペクトルが、透過スペクトル52に相当する。
図5では、透過スペクトル52を点線で表している。
【0074】
透過スペクトル52は、X線が被検体Pを透過した経路に存在する物質の組成と、被検体Pに照射された照射スペクトル50と、によって定まる。
【0075】
また、本実施の形態では、検出素子12aで検出されたX線のスペクトルを、検出スペクトル54と呼ぶものする。具体的には、光子計数型検出器12で検出されたX線のスペクトルが、検出スペクトル54に相当する。
図5では、検出スペクトル54を実線で表している。検出スペクトル54は、DAS18で生成される検出データに含まれる。
【0076】
ここで、X線管11から被検体Pへ照射された照射スペクトル50は、被検体Pを透過することによって減衰する。この減衰は、被検体Pに含まれる物質に依存する。このため、被検体Pを透過したX線のスペクトルである透過スペクトル52は、被検体Pに含まれる物質に応じて減衰した波形となる。つまり、理論上では、光子計数型検出器12で検出される波形は、透過スペクトル52に示される波形になるはずである。
【0077】
しかし、
図5に示すように、光子計数型検出器12で実際に検出される検出スペクトル54は、透過スペクトル52を歪ませた波形となる。このスペクトルの歪みは、光子計数型検出器12の応答特性によって生じることが知られている。
【0078】
光子計数型検出器12の応答特性とは、詳細には、光子計数型検出器12に設けられた検出素子の各々の応答特性である。検出素子の応答特性とは、検出素子に入射したX線の透過スペクトル52に歪みを生じさせる要因である。検出素子の応答特性は、例えば、検出素子に入射したX線のエネルギーごとの、エスケープ、蛍光、クロストーク、及び散乱の発生確率、検出されるエネルギーのばらつき等である。
【0079】
そこで、本実施形態では、前処理機能442は、透過スペクトル52を歪ませた波形となっている検出スペクトル54を補正する処理を行う。歪んだスペクトルを補正するための処理は、既知の処理が適宜利用可能であるため、説明は省略する。
【0080】
図6は、第1実施形態に係る検出スペクトル54を補正した補正スペクトル56の一例を説明する図である。
図6に示すように、前処理機能442は、
図5の検出スペクトル54を補正した補正スペクトル56を、被検体Pを透過したエネルギースペクトルとして取得する。なお、前処理機能442は、光子計数型検出器12の検出素子毎に上記の処理を行う。前処理機能442は、取得した補正スペクトル56に対数変換処理等の前処理を行って投影データを生成する。
【0081】
図1に戻り、説明を続ける。再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)や逐次近似再構成法,AIを用いた再構成等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。再構成処理機能443は、再構されたCT画像データをメモリ41に格納する。
【0082】
フォトンカウンティングCTで得られる計数結果から生成された投影データには、被検体Pを透過することで減弱されたX線のエネルギーの情報が含まれている。このため、再構成処理機能443は、例えば、特定のエネルギー成分のX線CT画像データを再構成することができる。また、再構成処理機能443は、例えば、複数のエネルギー成分それぞれのX線CT画像データを再構成することができる。
【0083】
そこで、例えば、再構成処理機能443は、補正スペクトル56を構成するエネルギービン毎にX線CT画像データを再構成する。この場合のX線CT画像データは、エネルギー画像の一例である。
【0084】
図7は、第1実施形態に係る補正スペクトル56を構成するエネルギービンの一例を示す図である。
図7の例では、補正スペクトル56は、エネルギーbin1(b1)、エネルギーbin2(b2)、エネルギーbin3(b3)、エネルギーbin4(b4)、エネルギーbin5(b5)、及びエネルギーbin6(b6)で構成される。
【0085】
図7の例では、再構成処理機能443は、エネルギーbin1~bin6の夫々に基づくX線CT画像データ(以下、再構成画像ともいう)を再構成する。
図8は、第1実施形態に係るエネルギービン毎に再構成された複数のX線CT画像データの一例を説明する図である。
図8に示すように、再構成処理機能443は、
図7の例では、エネルギーbin1に対応する再構成画像BI1を再構成する。また、再構成処理機能443は、同様に、エネルギーbin2~bin6の各々に対応する再構成画像BI2~BI6を再構成する。
【0086】
なお、再構成処理機能443は、例えば、エネルギーbin1~bin6を積算することで全エネルギーを積分した積分画像を生成することも可能である。
【0087】
図1に戻り、説明を続ける。画像処理機能444は、例えば、入力インターフェース43を介したユーザの指示により、再構成画像データ(ボリュームデータ)に対して各種画像処理を実行する。当該画像処理は、既知の処理が適宜利用可能であるため、説明は省略する。
【0088】
特定機能445は、エネルギービン毎に再構成された複数の再構成画像データに基づいて表示対象となるエネルギービンを複数の検出素子毎に特定する。例えば、特定機能445は、エネルギービン毎に再構成された複数の再構成画像データの画素の濃度値(CT値)の統計値を算出する。そして、特定機能45は、算出した統計値に基づき、当該画素に対応する検出素子について、表示用画像の生成に採用する再構成画像データを特定する。
【0089】
CT値の統計値としては、例えば、最大値、最小値、及び平均値等が挙げられる。本実施形態では、特定機能445は、最大値、最小値、及び平均値のうち、ユーザが選択した統計値に基づいて、表示対象となるエネルギービンを特定する。なお、本実施形態では、CT値の統計値を最大値、最小値、及び平均値としているが、CT値の統計値はこれに限定されない。CT値の統計値は、例えば、中央値や最頻、75%タイル値等であってもよい。
【0090】
図9は、第1実施形態に係る表示対象となる画素の特定処理の一例を説明する図である。
図9において、画素BP1は、再構成画像BI1の1画素を表している。同様に、画素BP2は、再構成画像BI2の1画素、画素BP3は、再構成画像BI3の1画素、画素BP4は、再構成画像BI4、画素BP5は、再構成画像BI5の1画素、画素BP6は、再構成画像BI6の1画素を夫々表している。
【0091】
また、再構成画像BI2における画素BP2~再構成画像BI6における画素BP6は、再構成画像BI1における画素BP1の画素位置に対応する画素位置の画素を表している。以下では説明の便宜のため、
図3に示した検出素子12aに対応する画素が画素BP1~BP6であるものとして説明する。
【0092】
例えば、ユーザが統計値として最小値を選択していた場合、特定機能445は、画素BP1~BP6のCT値を比較する。そして、特定機能445は、画素BP1~BP6のうち、CT値が最小となる画素を特定する。例えば、画素BP6のCT値が最小であった場合、特定機能445は、再構成画像BI6の画素BP6を表示用画像の生成に用いる再構成画像の画素として特定する。
【0093】
また、例えば、ユーザが統計値として最大値を選択していた場合、特定機能445は、画素BP1~BP6のうち、CT値が最大となる画素を特定する。また、例えば、ユーザが統計値として平均値を選択していた場合、特定機能445は、画素BP1~BP6のCT値の平均値を計算し、そのCT値を示す画素を表示用画像の生成に採用する画素として特定する。また、特定機能445は、上記と同様の処理を、全画素(検出素子)に対して実行する。
【0094】
図1に戻り、説明を続ける。表示画像生成機能446は、特定機能445により特定された表示対象のエネルギービンに基づいた表示画像を生成する。例えば、表示画像生成機能446は、特定機能445により検出素子毎に特定された、表示用画像の生成に用いる再構成画像の画素を合成して表示用画像を生成する。
【0095】
例えば、特定機能445が、検出素子12aについて、再構成画像BI6の画素BP6を表示用画像の生成に用いる再構成画像の画素として特定したものとする。
【0096】
この場合、
図9に示すように、表示画像生成機能446は、検出素子12aについては、表示用画像を生成する画素として再構成画像BI6の画素BP6を採用する。また、表示画像生成機能446は、他の検出素子についても同様の処理を行う。そして、表示画像生成機能446は、複数の検出素子の夫々について、採用した画素を合成して表示用画像FIを生成する。
【0097】
表示画像生成機能446で生成された表示用画像FIは、例えば、システム制御機能441により、ディスプレイ42等に表示される。
【0098】
例えば、CT値の統計値として最小値を選択していた場合に表示画像生成機能446で生成される表示用画像FIは、低エネルギー帯で吸収された部分を強調する画像となる。また、例えば、CT値の統計値として最大値を選択していた場合に表示画像生成機能446で生成される表示用画像FIは、高エネルギー帯で吸収された部分を強調する画像となる。
【0099】
また、例えば、CT値の統計値として平均値を選択した場合に表示画像生成機能446で生成される表示用画像FIは、全エネルギー帯の平均になるため、通常CT画像と同様の積分画像となる。
【0100】
また、例えば、CT値の統計値として中央値を選択した場合、表示画像生成機能446は、BP1~BP6を検出数の順番に並び替え、その中心にくる画素を表示させる。この場合、表示画像生成機能446で生成される表示用画像FIは、低エネルギー側、高エネルギー側、中エネルギー側が画素によって異なる画像となる。
【0101】
なお、上記では、1つの検出素子について、1つの画素を採用しているが、採用する画素は、複数であってもよい。例えば、
図9、10の例で、ユーザが、統計値として最小値を選択し、かつ、2つの画素を採用する場合、特定機能445は、画素BP1~BP6のうち、CT値が最小となる画素及びCT値が2番目に小さい画素を特定する。
【0102】
また、この場合、表示画像生成機能446は、例えば、CT値が最小となる画素に、CT値が2番目に小さい画素を重畳した合成画素を生成する。表示画像生成機能446は、当該処理を全検出素子について実行し、表示用画像を生成する。このように複数の画素を採用することで、表示用画像における雑音(ノイズ)に基づく成分の割合を低下させることができる。つまり、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1によれば、表示用画像の画質の劣化を防止することができる。
【0103】
次に、第1実施系形態に係る光子計数型X線CT装置1が実行する処理について説明する。
図10は、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0104】
まず、前処理機能442は、複数の検出素子毎に検出スペクトルを取得する(ステップS1)。例えば、前処理機能442は、DAS18から出力される検出スペクトルを取得する。
【0105】
次いで、前処理機能442は、ステップS1で取得した検出スペクトルから投影データを生成する(ステップS2)。例えば、前処理機能442は、検出スペクトルの歪みを補正する処理を行う。また、例えば、前処理機能442は、歪みを補正した補正スペクトルに対して、対数変換処理、オフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施して投影データを生成する。
【0106】
次いで、再構成処理機能443は、ステップS2で生成された投影データに基づいて、エネルギービン毎に再構成X線画像データを生成する(ステップS3)。例えば、再構成処理機能443は、補正スペクトル56を構成するエネルギービン毎に再構成画像データを再構成する。
【0107】
次いで、特定機能445は、複数の検出素子毎に、ステップS3で再構成された複数の再構成画像データについてCT値の統計値を算出する(ステップS4)。例えば、特定機能445は、複数の検出素子毎に、再構成画像データの対応する画素のCT値の最大値を算出する。なお、特定機能445は、統計値としてCT値の最小値や平均値、中央値、75%タイル値等を算出してもよい。
【0108】
次いで、特定機能445は、ステップS4で算出された統計値に基づいて、ステップS3で再構成された複数の再構成画像データの画素のうち、表示用画像の生成に採用する画素を特定する(ステップS5)。例えば、ステップS4で統計値として最大値を算出している場合、ステップS3で再構成された複数の再構成画像データの画素のうち、最大のCT値を示す再構成画像データの画素を表示用画像の生成に採用する画素として特定する。
【0109】
次いで、表示画像生成機能446は、ステップS5で特定された表示用画像の生成に採用する画素に基づいて、表示用画像を生成する(ステップS6)。例えば、表示画像生成機能446は、複数の検出素子毎に特定された表示用画像の生成に採用する画素を合成することで表示用画像を生成する。
【0110】
次いで、システム制御機能441は、ステップS6で生成された表示用画像をディスプレイ42に表示させる制御を行い(ステップS7)、本処理を終了する。
【0111】
以上のように、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1は、エネルギービン毎に、再構成画像データを生成し、生成された複数の再構成画像データに基づいて、複数の検出素子毎に、表示対象となるエネルギービンを特定し、当該エネルギービンに基づく表示用画像を生成する。
【0112】
表示対象となるエネルギービンによって、再構成されるX線CT画像データの画素のCT値は変化するため、表示対象となるエネルギービンを特定するための条件を変化させることで、コントラストを調整した表示用画像を生成することができる。つまり、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1によれば、PCCTで生成される画像のコントラスト調整を効率的に行うことができる。
【0113】
また、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1は、複数の検出素子毎に、再構成画像データを構成する画素のCT値の統計値に基づいて、表示対象となるエネルギービンを特定する。
【0114】
これにより、例えば、統計値が最小値である場合、低エネルギー帯で吸収された部分を強調する画像を生成することができる。また、例えば、統計値が最大値である場合、高エネルギー帯で吸収された部分を強調する画像を生成することができる。また、例えば、統計値が平均値である場合、通常CTと同様の積分画像を生成することができる。また、例えば、統計値が中央値である場合、低エネルギー側、高エネルギー側、中エネルギー側が画素によって異なる画像を生成することができる。
【0115】
したがって、第1実施形態に係る光子計数型X線CT装置1を、ユーザが統計値の種類を選択できるように構成すれば、ユーザは、例えば、強調したい部分に応じて統計量を選択するだけで、生成される表示用画像のコントラスト調整を行うことができる。
【0116】
(第2実施形態)
第1実施形態では、エネルギービン毎に再構成された複数の再構成画像データに基づいて表示対象となるエネルギービンを複数の検出素子毎に特定する形態について説明した。第2実施形態では、被検体Pを透過したエネルギースペクトルに基づいた統計値から表示対象となるエネルギービンを複数の検出素子毎に特定する。
【0117】
なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する各実施形態は、個別に実施されてもよいし、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【0118】
まず、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1aの構成について説明する。
図11は、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1aの構成の一例を示すブロック図である。
【0119】
光子計数型X線CT装置1aは、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40aとを有する。また、コンソール装置40aは、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44aとを有する。
【0120】
また、処理回路44aは、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、前処理機能442a、再構成処理機能443a、画像処理機能444、及び特定機能445aを実行する。なお、再構成処理機能443aは再構成部の一例である。特定機能445aは算出部及び特定部の一例である。
【0121】
まず、特定機能445aについて説明する。特定機能445aは、複数の検出素子毎に、画像化対象とするエネルギービンを特定する。例えば、特定機能445aは、被検体を透過したエネルギースペクトルに基づいた統計値を算出する。そして、特定機能445aは、当該統計値に基づいて画像化対象とするエネルギービンを特定する。
【0122】
以下、
図12を用いて、画像化対象とするエネルギービンの特定処理について説明する。
図12は、第2実施形態に係る画像化対象とするエネルギービンの特定処理の一例を説明する図である。
図12の例では、
図7と同様に、
図3の検出素子12aの補正スペクトル56を構成するエネルギービンを表している。また、
図7と同様に、補正スペクトル56は、エネルギーbin1(b1)~エネルギーbin6(b6)で構成される。
【0123】
特定機能445aは、エネルギーbin1~エネルギーbin6の光子カウント数の統計値を算出する。例えば、特定機能445aは、光子カウント数の最大値、最小値、及び平均値を算出する。なお、第1実施形態と同様に、算出する統計値は、ユーザが選択できるようにしてもよい。
【0124】
また、光子カウント数の統計値は、最大値、最小値、及び平均値に限定されない。例えば、光子カウント数の統計値は、中央値や最頻値、75%タイル値等であってもよい。
図12の例では、光子カウント数の統計値として最小値を算出する場合を例に説明する。
【0125】
特定機能445aは、エネルギーbin1~エネルギーbin6の光子カウント数のうち、エネルギーbin6の光子カウント数が最小であることから、エネルギーbin6の光子カウント数を、エネルギーbin1~エネルギーbin6の光子カウント数の最小値として算出する。そして、
図12に示すように、特定機能445aは、検出素子12aについて、エネルギーbin6を画像化対象として採用するエネルギービンとして特定する。
【0126】
図11に戻り、説明を続ける。再構成処理機能443aは、複数の検出素子毎に、特定機能445aで特定されたエネルギービンの光子カウント数に基づいて画像再構成処理を行う。
【0127】
例えば、再構成処理機能443aは、特定機能445aで複数の検出素子毎に特定されたエネルギービンに関する投影データから再構成画像データを再構成する。再構成されたX線CT画像データは、システム制御機能441によりディスプレイ42に表示される。
【0128】
例えば、光子カウント数の統計値として最小値を選択していた場合に再構成処理機能443aで再構成される再構成画像は、低エネルギー帯で吸収された部分を強調する画像となる。
【0129】
また、例えば、統計値として最大値を選択していた場合に再構成処理機能443aで再構成される再構成画像は、高エネルギー帯で吸収された部分を強調する画像となる。
【0130】
また、例えば、統計値として平均値を選択した場合に再構成処理機能443aで再構成される再構成画像は、通常CT画像と同様の積分画像となる。
【0131】
また、例えば、統計値が中央値である場合、低エネルギー側、高エネルギー側、中エネルギー側が画素によって異なる画像を生成することができる。
【0132】
したがって、ユーザは、例えば、強調したい部分に応じて統計値を選択するだけで、再構成画像のコントラスト調整を行うことができる。
【0133】
なお、上記では、再構成処理機能443aは、画像化対象として1つのエネルギービンを採用しているが、複数のエネルギービンを画像化対象のエネルギービンとして採用してもよい。
【0134】
例えば、
図12の例で、ユーザが、統計値として最小値を選択し、かつ、2つのエネルギービンを採用する場合、特定機能445aは、エネルギーbin1~エネルギーbin6のうち、光子カウント数が最小となるエネルギーbin6及び光子カウント数が2番目に小さいエネルギーbin1を画像化対象として採用するエネルギービンとして特定する。
【0135】
複数のエネルギービンを画像化対象のエネルギービンとして採用することで、信号に対するノイズが占める割合の低減が見込めるため、S/N比の低下を抑えることができる。つまり、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1aによれば、再構成画像データの画質の劣化を防止することができる。
【0136】
次いで、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1aが実行する処理について説明する。
図13は、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1aが実行する処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11及びS12は、
図10のステップS1及びS2と同様のため、説明を省略する。
【0137】
前処理機能442で投影データが生成された後、特定機能445aは、複数のエネルギービンの光子カウント数の統計値を算出する(ステップS13)。例えば、特定機能445aは、複数の検出素子毎に、対応する複数のエネルギービンについて、光子カウント数の最大値を算出する。なお、特定機能445aは、統計値として光子カウント数の最小値や平均値を算出してもよい。
【0138】
次いで、特定機能445aは、複数の検出素子毎に、画像化対象となるエネルギービンを特定する(ステップS14)。例えば、特定機能445aは、ステップS13で統計値として最大値を算出している場合、複数の検出素子夫々について、対応する複数のエネルギービンのうち、最大の光子カウント数を示すエネルギービンを、画像化対象として採用するエネルギービンとして特定する。
【0139】
次いで、再構成処理機能443aは、複数の検出素子毎に、ステップS14で特定されたエネルギービンの光子カウント数に基づいて画像再構成を行う(ステップS15)。例えば、再構成処理機能443aは、複数の検出素子毎に特定されたエネルギービンに関する投影データから再構成画像データを再構成する。
【0140】
次いで、システム制御機能441は、ステップS15で再構成された再構成画像データをディスプレイ42に表示させる制御を行い(ステップS16)、本処理を終了する。
【0141】
以上のように、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1aは、被検体Pを透過したエネルギースペクトルに基づいた統計値を算出し、複数の検出素子毎に、算出された統計値に基づいて画像化対象のエネルギービンを特定し、特定されたエネルギービンの光子カウント数に基づいて再構成画像データの再構成処理を行う。
【0142】
ここで、どのエネルギービンを用いて再構構成処理を実行するかによって、最終的に再構成される再構成画像データの画素のCT値は変化する。このため、画像化対象となるエネルギービンを特定するために用いる統計値を変化させることで、コントラストを調整した再構成画像データを生成することができる。つまり、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1によれば、PCCTで生成される画像のコントラスト調整を効率的に行うことができる。
【0143】
また、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1は、複数の検出素子毎に、対応する複数のエネルギービンの光子カウント数の統計値に基づいて、画像化対象となるエネルギービンを特定する。
【0144】
これにより、例えば、光子カウント数の統計値が最小値である場合、最終的に低エネルギー帯で吸収された部分を強調した再構成画像データが再構成されるため、低エネルギー帯で吸収された部分を強調した表示用画像を生成することができる。また、例えば、光子カウント数の統計値が最大値である場合、最終的に高エネルギー帯で吸収された部分を強調した再構成画像データが再構成されるため、高エネルギー帯で吸収された部分を強調した表示用画像を生成することができる。また、例えば、光子カウント数の統計値が平均値である場合、全エネルギー帯を平均した再構成画像データが再構成されるため、通常CT画像と同様の表示用画像を生成することができる。
【0145】
したがって、例えば、第2実施形態に係る光子計数型X線CT装置1をユーザが光子カウント数の統計値の種類を選択できるように構成することで、ユーザは、統計量を選択するだけで、再構成される再構成画像データのコントラスト調整を行うことができる。
【0146】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0147】
(変形例1)
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、生成した表示用画像又は再構成した再構成画像データ(以下、コントラスト調整画像ともいう)を、そのままディスプレイ42に表示させる形態について説明した。しかしながら、システム制御機能441は、積分画像にコントラスト調整画像を重畳してディスプレイ42等に表示させてもよい。
【0148】
なお、表示画像生成機能446は、積分画像にコントラスト調整画像を重畳した表示用画像を生成してもよい。この場合、システム制御機能441は、表示画像生成機能446で生成された重畳画像をディスプレイ42等に表示させてもよい。
【0149】
これにより、表示対象(画像化対象)となるエネルギービンを特定する条件を変化させることで積分画像のコントラストを調整することと同様の結果を得ることができる。また、積分画像と表示対象とを重畳することで、ノイズの影響を低減できるため、表示される画像の画質の向上を図ることもできる。
【0150】
(変形例2)
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、被検体P全体を対象として、コントラスト画像を生成(再構成)する形態について説明した。しかしながら、被検体Pの特定の部位(例えば、心臓等)のみを対象として、コントラスト画像を生成(再構成)してもよい。
【0151】
本変形例では、例えば、システム制御機能441は、ユーザから、スキャノ撮影(位置決め撮影または位置決めスキャンとも称される)により生成されたスキャノ画像上で、コントラスト画像の生成(再構成)の対象となる範囲の指定入力を受付ける。そして、処理回路44(44a)の各機能は、指定された対象範囲に対してのみ、コントラスト画像の生成(再構成)に係る処理を実行する。
【0152】
なお、システム制御機能441は、例えば、スキャノ画像と対象範囲とを対応付けたデータテーブル等を用いる等して、撮影されたスキャノ画像から自動的に対象範囲を決定してもよい。
【0153】
また、本変形例では、システム制御機能441は、積分画像に、対象範囲のみが描画されたコントラスト画像を重畳して、ディスプレイ42に表示させる。なお、表示画像生成機能446が、積分画像に、対象範囲のみが描画されたコントラスト画像を重畳した表示用画像を生成してもよい。
【0154】
また、例えば、処理回路44(44a)の各機能は、対象範囲以外の領域については、対象範囲とは異なる統計値に基づくコントラスト画像を生成(再構成)してもよい。例えば、処理回路44(44a)の各機能は、対象範囲について最小値に基づくコントラスト画像を生成(再構成)する場合、対象範囲外の領域については、最大値に基づくコントラスト画像を生成(再構成)してもよい。
【0155】
この場合、システム制御機能441は、対象範囲外のみが描画された最大値に基づくコントラスト画像と、対象範囲のみが描画された最小値に基づくコントラスト画像とを合成して、ディスプレイ42に表示させてもよい。
【0156】
ここで、
図14は、変形例2に係る表示用画像(再構成画像)の一例を説明するイメージ図である。
図14の表示用画像(再構成画像)IIは、被検体Pの特定の断面を表す表示用画像(再構成画像)の一例のイメージを表している。
【0157】
図14では、処理回路44(44a)の各機能は、被検体Pの対象範囲領域TAについては、最小値に基づくコントラスト画像を生成(再構成)する。また、処理回路44(44a)の各機能は、対象範囲外領域OAについては、最大値に基づくコントラスト画像を生成(再構成)する。そして、処理回路44(44a)の各機能は、両者を合成した表示用画像(再構成画像)IIをディスプレイ42に表示させる。
【0158】
これにより、対象範囲領域TAについては、低エネルギー帯で吸収された部分が強調され、対象範囲外OAについては、低エネルギー帯で吸収された部分は目立ち難くなる。このため、上記の例では、処理回路44(44a)の各機能は、対象範囲領域TAについて、低エネルギー帯で吸収された部分がより強調された画像を描画することができる。
【0159】
なお、上記は一例であり、対象範囲領域TAで表示用画像(再構成画像)の生成(再構成)に採用する統計値と対象範囲外領域OAで表示用画像(再構成画像)の生成(再構成)に採用する統計値との組み合わせは上記に限定されない。
【0160】
例えば、対象範囲領域TAについては、最小値に基づくコントラスト画像、対象範囲外領域OAについては、中央値に基づくコントラスト画像を生成(再構成)してもよい。また、例えば、象範囲領域TAについては、最大値に基づくコントラスト画像、対象範囲外領域OAについては、中央値に基づくコントラスト画像を生成(再構成)してもよい。
【0161】
本変形例に係る光子計数型X線CT装置1によれば、被検体Pの注目する部位のみに対して、コントラスト調整を行うことができる。また、本変形例に係る光子計数型X線CT装置1によれば、被検体Pの注目する部位をより強調した表示用画像(再構成画像)を生成(再構成)することができる。
【0162】
(変形例3)
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、予め定められた統計量に基づいたコントラスト画像を生成(再構成)し、ディスプレイ42に表示させる形態について説明した。しかしながら、ディスプレイ42に統計量を選択するためのリストを表示させ、ユーザによる統計量の選択に従って、対応するコントラスト画像を切替えて表示させてもよい。
【0163】
本変形例では、例えば、システム制御機能441は、表示用画像(又は再構成画像データ)と共に、「最大値」、「最小値」、「平均値」から、エネルギービンを特定するために用いる統計量を選択するためのリストをディスプレイ42に表示させる。なお、リストと共に表示させる画像は、積分画像であってもよい。
【0164】
例えば、システム制御機能441がユーザから、「最小値」の選択指示を受付けた場合、特定機能445(445a)は、複数の検出素子毎に、光子カウント数の最小値に基づいて表示対象(画像化対象)のエネルギービンを特定する。
【0165】
次いで、表示画像生成機能446(又は再構成処理機能443a)により、当該エネルギービンに基づいて、表示用画像(又は再構成画像)が生成(再構成)される。そして、システム制御機能441により、それまで表示されていた画像に代えて、「最小値」に基づく表示用画像(又は再構成画像)がディスプレイ42に表示される。
【0166】
また、例えば、上記の状態で、システム制御機能441がユーザから、「最大値」の選択指示を受付けた場合、上記と同様の処理が実行される。これにより、ディスプレイ42には、「最小値」に基づく表示用画像(又は再構成画像)に代えて、「最大値」に基づく表示用画像(又は再構成画像)が表示されることになる。
【0167】
なお、システム制御機能441は、ユーザから、「積分画像にコントラスト画像を重畳表示させる」、「2以上のエネルギービンに基づくコントラスト画像を表示させる」等の表示に関する指示を受付けてもよい。
【0168】
本変形例によれば、ユーザはディスプレイ42を見ながら、統計量を選択するだけで表示される画像のコントラストを調整することができる。
【0169】
(変形例4)
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、コンソール装置40(40a)の処理回路44(44a)が、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443(443a)、画像処理機能444、特定機能445(445a)、表示画像生成機能446を有する形態について説明した。
【0170】
しかしながら、これらの機能の全部又は一部を、光子計数型X線CT装置1(1a)とネットワークで接続されたワークステーション等のコンピュータが有していてもよい。
【0171】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、PCCTで生成される画像のコントラスト調整を効率的に行うことができる。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0173】
1、1a 光子計数型X線CT装置
10 架台装置
11 X線管
12 光子計数型検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ボウタイフィルタ
17 コリメータ
18 DAS(Data Acquisition System)
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 天板支持フレーム
40、40a コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44、44a 処理回路
441 システム制御機能
442 前処理機能
443、443a 再構成処理機能
444 画像処理機能
445、445a 特定機能
446 表示画像生成機能