(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000533
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ペースト状塊を搬送するための搬送装置及びそのためのフォローアッププレート
(51)【国際特許分類】
F04B 15/02 20060101AFI20231225BHJP
F04B 53/14 20060101ALI20231225BHJP
F04B 1/124 20200101ALI20231225BHJP
【FI】
F04B15/02 A
F04B53/14 Z
F04B1/124
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099211
(22)【出願日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】10 2022 115 312.6
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522078819
【氏名又は名称】グラストン ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ゲルル
【テーマコード(参考)】
3H070
3H071
3H075
【Fターム(参考)】
3H070AA07
3H070BB07
3H070CC21
3H070DD26
3H071AA01
3H071AA15
3H071BB01
3H071CC11
3H071CC14
3H071DD01
3H071DD35
3H075AA12
3H075AA17
3H075BB03
3H075CC25
3H075DA04
3H075DB43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】断熱ガラスの製造において、搬送装置の搬送能力を大幅に向上させることができる。フォローアッププレートの提供。
【解決手段】ペースト状塊(4)上で垂直方向に変位可能なフォローアッププレート(9)と、フォローアッププレート(9)に接続されているコンベアライン(14)とを有し、フォローアッププレート(9)は、下側面(31)と、コンベアライン(14)との接続のためにフォローアッププレート(9)に配置された少なくとも1つの出口開口(12)とを有し、下側面(31)には、ペースト状塊(4)に浸漬されるように構成されている少なくとも1つの出口開口(12)の周りに、複数の下向きに突き出た突起が配置されていて、突起の少なくとも1つが、フォローアッププレート(9)の下側面(31)に沿って半径方向外側に伸びるリブ(33)として形成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱ガラスの製造における、ペースト状塊(4)を搬送するための搬送装置(1)において、下側面(31)および少なくとも1つの出口開口(12)を含み、ペースト状塊(4)上に置くためのフォローアッププレート(9)であって、
少なくとも1つの前記出口開口(12)が、前記フォローアッププレート(9)に配置され、コンベアライン(14)に接続されるように構成されていて、
少なくとも1つの前記出口開口(12)の周りの前記フォローアッププレート(9)の前記下側面(31)に、下方に突出する複数の突起が配置されていて、
前記突起が、前記ペースト状塊(4)中に浸漬されるように構成されていて、
前記突起の少なくとも1つは、前記フォローアッププレート(9)の前記下側面(31)に沿って前記出口開口(12)に対して半径方向外側に延びるリブ(33)として形成されていることを特徴とするフォローアッププレート(9)。
【請求項2】
請求項1において、
前記フォローアッププレート(9)は、複数の出口開口(12)を含むことを特徴とするフォローアッププレート(9)。
【請求項3】
請求項1において、
1つの出口開口(12)のみが前記フォローアッププレート(9)の中心部に配置されていることを特徴とするフォローアッププレート(9)。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記リブ(33)内に加熱要素(37)が配置されているフォローアッププレート(9)。
【請求項5】
請求項1において、
前記リブ(33)は、前記出口開口(12)を中心として周方向に測定した幅(B,B1,B2)が、前記出口開口(12)に近い位置(B1)で、前記出口開口(12)から遠い位置(B2)より小さいことを特徴とする
フォローアッププレート(9)。
【請求項6】
請求項1において、
前記出口開口(12)に対して半径方向に測定した長さ(L、L1、L2)をそれぞれ有する複数のリブ(33)を有し、前記リブのうちの1つはより小さい長さ(L2)を有し、リブ(33)のうちの1つはより大きい長さ(L1)を有するフォローアッププレート(9)。
【請求項7】
請求項6において、
長さ(L2)の小さい前記リブ(33)は、長さ(L1)の大きい前記リブ(33)よりも前記出口開口(12)までの距離(A2)が大きいフォローアッププレート(9)。
【請求項8】
請求項6において、
長さ(L1)の大きい前記リブ(33)が、長さ(L2)の小さい2つの前記リブ(33)の間に配置されているフォローアッププレート(9)。
【請求項9】
請求項1において、
隣接する2つの前記リブ(33)の間に配置された空間(34)は、垂直方向に測定した高さ(H,H1,H2)が、前記出口開口(12)に近い位置(H1)で前記出口開口(12)から遠い位置(H2)よりも大きいフォローアッププレート(9)。
【請求項10】
請求項1において、
隣接する2つの前記リブ(33)の間に配置された空間(34)は、前記出口開口(12)を中心として円周方向に測定した幅(Z,Z1,Z2)が、前記出口開口(12)に近い位置(Z1)で前記出口開口(12)から遠い位置(Z2)より小さくなっているフォローアッププレート(9)。
【請求項11】
請求項9において、
隣接する2つの前記リブ(33)の間に配置された空間(34)は、前記出口開口(12)を中心として円周方向に測定した幅(Z,Z1,Z2)が、前記出口開口(12)に近い位置(Z1)で前記出口開口(12)から遠い位置(Z2)より小さくなっていて、
前記幅(Z)と前記高さ(H)との積として形成される前記空間(34)の断面積(Z*H)は、前記出口開口(12)に近い位置の方が前記出口開口(12)から遠い位置よりも大きいフォローアッププレート(9)。
【請求項12】
絶縁ガラスの製造において、ペースト状塊(4)を搬送するための搬送装置(1)であって、
ペースト状塊(4)を含む円筒形の容器(3)のためのキャリア(2)と、
キャリア(2)の上方に配置され、ペースト状塊(4)上に載せるために垂直方向に変位可能であるフォローアッププレート(9)と、
ペースト状塊(4)をさらに搬送するために、フォローアッププレート(9)に接続されたコンベアライン(14)と、を備えていて、
前記フォローアッププレート(9)は、請求項1に記載の方法で形成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記フォローアッププレート(9)の上側面に断熱材(38)が配置されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項14】
請求項12または13において、
前記容器(3)に外付けされるように構成されたサポートジャケット(20)を備え、前記サポートジャケット(20)の少なくとも周方向部分がワイヤーファブリック(21)、特に織物で形成されていることを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項12の一般的な部分で指定された特徴を有する、絶縁ガラスの製造におけるペースト状塊を搬送するための搬送装置、およびそのために意図され、特許請求項1の一般的な部分で指定された特徴を有するフォローアッププレートに由来する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状塊に載せるための、フォローアッププレートのようなものを備えた搬送装置は、DE68905676T2及び/又は特許文献1より知られている。前記搬送装置は、ペースト状塊、すなわちブチルゴム状の有機材料を入れた円筒形容器のためのキャリアを有する。前記キャリアの上方には、垂直方向に変位可能なフォローアッププレートが配置され、前記ペースト状塊の表面に配置される。フォローアッププレートには、ペースト状塊をさらに搬送するためのコンベアラインが接続されている。フォローアッププレートは、上側面、下側面、およびコンベアラインに接続される少なくとも1つの出口開口を有する。フォローアッププレートの下側面には、下方に突出した複数の突起が配置されている。突起は円柱状で、出口開口の周囲に配置されている。突起は、ペースト状塊に浸されるように構成されている。
【0003】
特許文献2からは、フォローアッププレートを備えた搬送装置が知られており、その下側面には、円筒形の形状を有するいくつかの下方に突出した突起が配置されている。円柱状の突起は、フォローアッププレートを通る垂直断面で測定した高さが、出口開口に近い位置で出口開口から遠い位置よりも大きくなっている。フォローアッププレートおよび/または突起を加熱する。
【0004】
特許文献3からは、加熱可能なフォローアッププレートを備えた搬送装置が知られており、その下側面には、下方に突出する複数の突起が配置されている。突起は、出口開口の周囲に互いに同心円状に配置されたテーパーリブとして形成されている。
【0005】
ペースト状塊のストランドを、絶縁ガラス板の2枚のガラス板の間の空間に注入するための装置は、特許文献4から知られており、この装置は、上述のタイプの搬送装置およびフォローアッププレートも開示している。
【0006】
特許文献5からは、粘性材料のための非一般的な搬送装置が知られており、この搬送装置は、中央に配置された出口開口を有する円形のフォローアッププレートからなる。フォローアッププレート下側面の排出口周辺には、下方に突出する突起は配置されていない。フォローアッププレートの下側面では、排出口は漏斗と、漏斗を覆うカバーエレメントから構成されている。カバーエレメントは、粘性物質が通過するための開口部を有する。カバーエレメントは、中央のリングと、リングから半径方向に伸びるアームとからなる格子として形成されている。グレーチングはアームを介してフォローアッププレートにネジ止めされ、フォローアッププレートを持ち上げたときにファンネルに収容された材料をできるだけ多く残すために、フォローアッププレートの下側面と同一平面になっている。
【0007】
特許文献6からは、長手方向に配置された分離壁によって2つの別々の部屋に分離された円筒形のハウジングからなる、ペースト状塊のための容器が知られている。各室の上端には、排出口が設けられている。各室内には、出口開口に向かう方向に変位可能な半円形のピストンが配置されている。ピストンヘッドは、ペースト状塊に接触する面がペースト状塊に向かう方向に湾曲するように凸状になっている。ピストンヘッドのペースト状塊に接しない側には、ペースト状塊に接しない補強部材が配置されている。補強要素は高さの異なるリブで、リブを延長する仮想軸の交点が半円形ピストンの外側に来るように、互いに角度をつけて配置されている。
【0008】
特許文献7からは、加熱可能なフォローアッププレートを有するホットメルト接着剤用の搬送装置が知られており、フォローアッププレートの上部には断熱材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0347269B1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0171309A1号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0943583A1号
【特許文献4】独国特許出願公開第102007051610A1号
【特許文献5】独国特許出願公開第102004030654A1号
【特許文献6】欧州特許第0340493B1号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第4090640A1号
【特許文献8】欧州特許出願公開第0823318A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のようなタイプの搬送装置及びフォローアッププレートを改良することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、特許請求項1に規定された特徴を有するフォローアッププレートと、特許請求項12に規定された特徴を有する搬送装置とによって達成される。本発明の有利なさらなる開発は、従属特許請求の範囲の主題である。
【0012】
本発明による搬送装置は、例えば10リットル~500リットル、特に20リットル~200リットルの容量を持つ、ペースト状塊を持つ容器のためのキャリアを含む。特に、容器は円筒形の容器、例えば樽、特に200リットルの標準樽である。ただし、複層ガラス製造装置の種類によっては、20リットルの樽を使用することもある。キャリアは、例えば、キャリアプレートとして設計することができる。キャリアの上方には、垂直方向に変位可能なフォローアッププレートが配置され、ペースト状塊の表面に配置される。ペースト状塊をさらに搬送するためのコンベアラインが、フォローアッププレートに接続されている。フォローアッププレートには、フォローアッププレートをコンベアラインに接続するための少なくとも1つの排出口が配置されている。ペースト状塊をさらに搬送するために、それ自体既知の方法でポンプ、例えばギアポンプをコンベアラインに設けることができる。
【0013】
搬送装置は、特に断熱ガラス製造において、ペースト状塊、例えば接着剤塊やホットメルト接着剤を大量に供給するために使用される。2枚以上のガラス板から組み立てられる複層ガラスを製造するための設備の一部とすることができる。複層ガラスのガラス板は、それぞれスペーサーによって所定の間隔を空けて保持されている。ペースト状塊は、コンベアラインを介して、ペースト状塊のストランドが形成されるアプリケーターデバイスに搬送することができる。ストランドは、例えば特許文献8から知られているように、2つのガラス板の間にスペーサーを形成するためにガラス板上に適用することができる。しかしながら、本発明による搬送装置は、例えば特許文献4から知られているように、ペースト状塊を断熱ガラス窓を密閉するための装置に搬送することもできる。そこで、このペースト状塊を2枚のガラス板の間に注入し、すでに互いに距離を置いて保持されているガラス板から断熱ガラスを形成する。ペースト状塊は、例えば、ブチルゴム、ポリイソブチレン、有機ポリサルファイドまたはポリウレタンであり得る。
【0014】
本発明によるフォローアッププレートは、上側面と下側面を有する。その上側面と下側面との間に延びる円周面を有していてもよい。フォローアッププレートは、例えば、円形であってもよく、特に、ペースト状塊を含む容器が実質的に円形の円筒形の標準樽である場合には、円形であってもよい。フォローアッププレートを円筒容器の壁の内側にシールするために、フォローアッププレートの周面に、それ自体既知の方法でシールを配置することができる。フォローアッププレートの下側面には、複数の下方に突出した突起が配置されている。下方に突出する突起は、少なくとも1つの出口開口の周囲に配置されている。突起の少なくとも1つは、フォローアッププレートの下側面に沿って延びるリブとして形成されている。リブは、出口開口に対して半径方向外側に延びている。このように放射状に伸びるリブのような突起を形成することで、ペースト状塊を容器の外周部および/またはフォローアッププレートの外周部から中央に配置された排出口に非常にうまく誘導することができる。さらに、フォローアッププレートの下側面に沿ってリブを通過して排出口に流れるペースト状塊の流動抵抗を小さくすることができる。
【0015】
上部が開いた容器が搬送装置のキャリア上に配置された後、フォローアッププレートが下方に移動し、その下側面が容器内のペースト状塊の表面に配置される。その後、フォローアッププレートをさらに下降させ、フォローアッププレート下側面の突起がペースト状塊に浸るようにする。フォローアッププレートがさらに押し下げられることにより、ペースト状塊は突起を越えてフォローアッププレートの出口開口へ、そこからコンベアラインへと変位する。フォローアッププレートは加熱可能であることができる。それは加熱装置を含むことができる。加熱素子、特に電気加熱素子を、フォローアッププレートおよび/または少なくとも1つのリブに配置することができる。このリブは、流動性を向上させるために加熱装置からペースト状塊に熱を導入する「冷却リブ」の要領で設計することができる。下方に突出したリブを有するフォローアッププレートは、特に熱伝導率の良い軽金属合金から、鋳物として一体的に形成することができる。
【0016】
本発明によるフォローアッププレートを用いると、搬送装置の搬送能力を大幅に向上させることができる。200リットルのバレルからペースト状塊を取り除く場合、搬送装置によって搬送される質量流を最大50%増加させることができる。フォローアッププレートは、フォローアッププレートの中央に配置される1つの出口開口のみを有することができる。それにもかかわらず、本発明によるフォローアッププレートは、毎分1kg以上、特に毎分1.3kg以上のペースト状塊の搬送能力を可能にする。これは、特に、断熱効果を向上させるために個々のガラス板間の距離が長くなるような断熱ガラスを製造する断熱ガラス製造システムに有利である。この場合、大きなスペーサーの形成及び/又は封止のために、ペースト状塊の大きな質量流が必要とされる。
【0017】
さらなる実施形態において、フォローアッププレートは、フォローアッププレートの下側面に沿って延びる複数のリブを有し得る。リブの各々は、少なくとも1つの出口開口に対して半径方向に延びることができる。特に、フォローアッププレートの下側面の各突起は、リブとして形成することができる。リブ、特にリブの各々は、出口開口の周りの円周方向に測定した幅が、出口開口から近い位置で出口開口から遠い位置よりも小さくなるようにすることができる。幅は、出口開口からの距離が減少するにつれて、特に連続的に減少することができる。リブの各々は、出口開口に向かってテーパーを付けることができる。フォローアッププレートの中心に向かってリブ幅を小さくすることで、そこにある排出口に向かってペースト状塊が流れやすくなっている。
【0018】
リブの各々は、出口開口に対して放射状に測定された長さを有する。リブの長さは、フォローアッププレートに対して下から見た状態で測定される。一つのリブの長さは、隣接するリブの長さと異なる場合がある。リブのうちの1つはより小さい長さを有し、リブのうちの1つはより大きい長さを有する。より小さい長さのリブは、より大きい長さのリブよりも、出口開口までの距離が大きくなり得る。この距離は、出口開口に対して半径方向に測定される。特に、長さの大きなリブは、長さの小さな2つのリブの間に配置することができる。これにより、出口開口の周囲に配置されるリブの数を増加させることができる。フォローアッププレートの下側でペースト状塊と接触する面積をかなり大きくすることができるので、ペースト状塊への入熱を大きくすることができる。容器の壁で囲まれた平面の基準面積に対して、リブを設けた下側面の面積は、当該基準面積よりも2~5倍、特に3~4倍大きくなっている。
【0019】
フォローアッププレートの更なる実施形態では、互いに隣接する2つのリブの間に配置される空間が、ペースト状塊のためのガイドチャネルを形成することができる。隣接する2つのリブによって形成されるガイドチャネルおよび/または隣接する2つのリブの間に配置される空間は、半径方向においてフォローアッププレートの下側面に沿って出口開口に近い位置から出口開口からより遠いフォローアッププレートの位置まで延びている。言い換えれば、ガイドチャネルおよび/または空間は、フォローアッププレートの外部領域から半径方向内側に延びている。案内流路は、フォローアッププレートの下側面に沿って流出口に向かうペースト状塊の流れ方向から見て、フォローアッププレートの下側面を境に上方に、2本のリブを境に横方向に設けられている。ガイドチャネルは、下方に開口している。従って、ガイドチャネルおよび/または空間は、フォローアッププレートの下側に配置された溝の形態を有する。複数のガイドチャネルは、複数の隣接するリブによって出口開口の周囲に形成することができる。各ガイドチャネルは、フォローアッププレートの下側面に沿って、出口開口に対して半径方向に走ることができる。これにより、フォローアッププレート下側面のペースト状塊の流動抵抗をさらに低減することができる。
【0020】
ガイドチャネル及び/又は2つの隣接するリブの間に配置された空間は、変化する高さを有することができる。空間の高さは、垂直方向、特に、フォローアッププレートを通る垂直断面において測定される。空間の高さは、出口開口からさらに離れた位置よりも出口開口に近い位置で大きくなり得る。特に、高さは、出口開口からの距離が減少するにつれて、特に連続的に増加することができる。高さは、曲率が変化する曲線に沿って増加することができる。フォローアッププレートを通る垂直断面において、空間の領域におけるフォローアッププレートの下側面は、ベル型の輪郭を有することができる。
【0021】
さらなる実施形態では、ガイドチャネルおよび/または2つの隣接するリブの間に配置された空間は、変化する幅を有し得る。空間の幅は、出口開口の周りの円周方向、特にフォローアッププレートに対する下方からの視線において測定される。出口開口の近くの空間の幅は、出口開口からさらに離れた位置よりも小さくすることができる。空間の幅は、出口開口からの距離が減少するにつれて、特に連続的に減少し得る。空間及び/又はガイドチャネルは、ペースト状塊のための自由な断面積を有する。空間の断面積は、その幅と高さの積として計算される。空間の断面積は、出口開口に近い位置の方が、出口開口から遠い位置よりも大きくなっている。空間の断面積は、出口開口からの距離が減少するにつれて、特に連続的に増加し得る。これにより、出口開口に向かって空間の幅が小さくなることにより、ペースト状塊の流動抵抗が大きくなり、大きな質量流の搬送が損なわれることを確実に防止できる。
【0022】
本発明の実施形態では、フォローアッププレートは、複数の、特に2つの、出口開口を構成することができる。このような場合、フォローアッププレートの下側面に分離リブを配置することができ、この分離リブは、2つの出口開口の間及び/又は2つの出口開口の間にフォローアッププレートの下側に沿って延びる。分離リブは、出口開口に対して半径方向には延びず、その横方向に延びる。フォローアッププレートに複数の出口開口がある場合、リブの前述の特性は、それぞれのケースで、対応するリブおよび/または対応する空間が半径方向に延びる出口開口の特性に関連付けなければならない。
【0023】
さらなる実施形態では、リブの下側、特に全てのリブは、水平面にあることができる。リブの下側面は、ペースト状塊を有する容器の壁に対して垂直に延びることができる。そして、リブの高さは、空間の高さに対応する。フォローアッププレートの上側面には、断熱材を配置してもよい。これにより、フォローアッププレートの加熱装置の熱損失を低減することができる。
【0024】
搬送装置は、ペースト状塊を有する容器を支持するサポートジャケットをさらに備えてもよい。サポートジャケットは、容器の周縁部に沿って外部に取り付けられるように構成されている。サポートジャケットの少なくとも周縁部は、ワイヤーファブリックまたは繊維強化プラスチックフィラメントのメッシュ、特に織物で形成されている。その安定性のために、このようなサポートジャケットは、容器から大きな質量流を搬送するために、フォローアッププレートが高い圧力で容器に下向きに押し付けられるとき、本発明による搬送装置においてペースト状塊を有する容器を支持するのによく適している。同時に、このようなサポートジャケットは、自重が比較的小さい。そのため、ペースト状塊の容器を交換する際にも、一人のシステムオペレータがあまり苦労することなく取り扱うことができる。
【0025】
本発明の更なる詳細及び利点は、添付図面を参照した本発明の実施形態によって説明され、同一及び同等の構成要素は、同一の参照数字でそこに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による簡略化された搬送装置に関する透視図
【
図2】本発明によるフォローアッププレートの第1実施形態の下側面における透視図
【
図3】
図2のフォローアッププレートを下から見た図
【
図4】
図3のIV-IV断面に沿ってフォローアッププレートを貫く垂直断面図
【
図6】本発明によるフォローアッププレートの第2実施形態における下方から見た図
【
図7】本発明によるフォローアッププレートの第3実施形態における下方から見た図
【
図8】本発明によるフォローアッププレートの第4実施形態における下方から見た図
【
図9】
図8のフォローアッププレートを通る垂直断面における
図5と同様の斜視図
【
図10】
図8のフォローアッププレートにおける下方からの斜視図
【
図11】
図1の搬送装置のサポートジャケットを示す模式的斜視図
【
図12】本発明によるフォローアッププレートの第5実施形態における下方から見た図
【
図13】
図12のXIII-XIII断面に沿ったフォローアッププレートを通る垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による搬送装置1を示す。これは、ペースト状塊4を有する円筒容器3のためのキャリア2を含む。キャリア2は、上部が開放された容器3が載置されるキャリアプレートとして設計されている。キャリア2には、2つの液圧シリンダ5が取り付けられている。シリンダ5はそれぞれピストンロッド6を有し、これらは中央のクロスビーム8を介して互いに接続されている。クロスビーム8の下部には、2本の垂直ロッド10を介してフォローアッププレート9が取り付けられている。ピストンロッド6を液圧シリンダ5に引き込むことにより、フォローアッププレート9は、
図4に示されるように、容器3内に位置するペースト状塊4上に置かれる。ピストンロッド6をさらに後退させることにより、ペースト状塊4は、フォローアッププレート9の出口開口12からコンベアライン14および/またはフォローアッププレート9の上方に位置するポンプ13に押し込まれ、ペースト状塊4はさらに搬送される。搬送装置1は、図示しない絶縁ガラスを製造するためのシステムの一部である。コンベアライン14は、例えば特許文献2又は特許文献4から知られているように、それ自体既知の方法で、ペースト状塊4をさらにアプリケータ装置へ搬送する。搬送装置1は、シリンダ5およびポンプ13を制御することができる制御装置15を有する。容器3の周囲には、サポートジャケット20が配置されている。サポートジャケット20は、
図11にも示されるように、シリンダ5によってフォローアッププレート9が容器3内に引き込まれる際に、容器3を安定させるものである。サポートジャケット20の周縁部は、ワイヤーファブリック21から形成されている。ワイヤーファブリック21は、例えば、0.4mm~2.0mm、特に0.5mm~1.0mmの直径を有するワイヤで構成することができる。また、サポートジャケット20の周方向に延びるワイヤーファブリックは、サポートジャケットの長手方向に延びるワイヤーファブリック21の線材よりも細くなっている。これにより、ワイヤーファブリックは、容器3の外周面に対して非常にぴったりとフィットする。ワイヤーファブリック21はバー22に取り付けられており、そのバー22には3つのクイックリリース・ファスナー23が取り付けられている。サポートジャケット20を容器3上に配置するために、まず、クイックリリース・ファスナー23が開かれる。次に、ワイヤーファブリック21の柔軟性により、2つのバー22を互いにわずかに離して、サポートジャケット20の直径が大きくなるように移動させることができる。サポートジャケット20は、新しい、満杯の容器3の周りに置かれる。その後、クイックリリース・ファスナー23は再び閉じられる。これにより、サポートジャケット20の外周が縮小され、サポートジャケット20が容器3の外周を締め付け、安定させる。ワイヤーファブリック21の柔軟性とその軽量のため、サポートジャケット20は、1人のシステムオペレータだけで非常に容易に取り扱うことができる。
【0028】
図2~
図10および
図12~
図13に示すフォローアッププレート9の実施形態は、それぞれ、上側面30と、下側面31と、上側面30と下側面31との間に延びる円周面32とを備える。円周面32には、図示しないがそれ自体既知の方法でシールを配置することができ、これによりフォローアッププレート9を容器3の壁面にシールすることができる。フォローアッププレート9は、その下側面31にリブ33の形態のいくつかの下方に突出する突起を有する。リブ33は、出口開口12の周囲に配置され、ペースト状塊4内に浸漬されるように構成されている。ピストンロッド6を後退させると、リブ33は上方からペースト状塊4に押し込まれる。リブ33は、ペースト状塊4に浸漬する。ペースト状塊4は、リブ33を越えて下側面31に沿って流れ、出口開口12を通して容器3から押し出される。フォローアッププレート9は、
図4に示す如く、いくつかの電気加熱要素37を有する加熱装置36を含む。リブ33の1つには、加熱要素37が配設されている。フォローアッププレート9の上側面30には、断熱材38が配設されている。図示しない実施形態では、サポートジャケット20のワイヤーファブリック21の周囲に保温材を配設することができる。熱損失は、断熱材38によって低減することができる。予熱された容器3の不要な冷却及び/又は加熱装置36によって導入された熱の損失は、このように低減され得る。
【0029】
リブ33は、
図3、
図9、
図12に示す如く、出口開口12を中心として周方向に測定した幅Bと、出口開口12に対して径方向に測定した長さLとを有する。出口開口12付近の幅B1は、
図3に示す如く、出口開口12から離れた位置の幅B2より小さい。
図3及び
図9において、リブ33の長さL1が、隣接するリブ33の長さL2と異なっていることも分かる。長さL1が大きいリブ33は、出口開口12に対して半径方向に測定された距離A1を有する。長さL2の小さいリブ33は、出口開口12との距離A2を有する。距離A2は、距離A1よりも大きい。長さL1の大きいリブ33は、長さL2の小さい2つのリブ33の間に配置されている。これにより、ペースト状塊4と接触する下側面31の面積をかなり大きくすることができる。拡大された面積は、基準面積と比較される。基準面積として、容器3の壁で囲まれた平面領域の大きさが用いられる。直径570mmの容量200lの標準的なバレルの場合、基準面積は0.26m
2である。下側面31の、ペースト状塊4と接触する面積は、基準面積より3~4倍大きく、この例では、0.8m
2~1.0m
2にすることができる。
【0030】
各2つの隣接するリブ33の間には、ガイドチャネルおよび/または空間34が存在する。空間34は、垂直方向に測定された高さH、
図4、9及び13に示す垂直部、及び、
図3、9及び12に示す出口開口12の周りの円周方向に測定された幅Zを有する。出口開口12に近い位置の空間34の高さH1は、出口開口12からさらに離れた位置の空間34の高さH2よりも大きい。高さHは、曲率が変化する曲線に沿って、出口開口12からの距離が小さくなるにつれて連続的に大きくなる。したがって、フォローアッププレート9の下側面は、
図4、
図5および
図9に示す如く、空間34において、ベル状の輪郭を有する。出口開口12から距離Aを有する場所における空間34の高さHは、出口開口12から同じ距離を有する場所におけるリブ33の高さに対応する。出口開口12に近い位置では、空間34は、
図3、
図9及び
図12に示す如く、出口開口12から離れた位置の幅Z2よりも小さい幅Z1を有する。出口開口12からの距離Aが小さくなるにつれて、幅Zは、リブ33に沿って連続的に小さくなる。幅Zと高さHとの積として算出される空間34の自由断面積Z*Hは、出口開口12に近い位置の方が、出口開口12から遠い位置よりも大きい。出口開口12からの距離が短くなるにつれて、断面積Z*Hは、リブ33に沿って連続的に増加する。
【0031】
図3の8つのリブ33の代わりに、
図6に示すフォローアッププレート9の実施形態では7つのリブ33のみが設けられ、その全てが同じ長さLおよび出口開口12からの同じ距離Aを有する。
図7から
図10に示すフォローアッププレート9の実施形態は、それぞれ2つの出口開口12を有する。
図8から
図10に示す実施形態では、分離用リブ40が2つの出口開口12の間に延在している。分離用リブ40は、出口開口12に対して半径方向に対して横方向に延びている。他のリブ33は、それぞれの出口開口12から半径方向外側に延びている。リブ33は、長さLと距離Aとが異なる。
図12及び
図13の実施形態では、フォローアッププレート9の下側面31及び/又はリブ33の下側面が、円周面32及び/又は容器3の壁面に対して90°未満の角度Wで配向していることが分かる。角度Wは、80°から87°の間の範囲とすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1…搬送装置
2…キャリア
3…容器
4…ペースト状塊
5…シリンダ
6…ピストンロッド
8…クロスビーム
9…フォローアッププレート
10…ロッド
12…出口開口
13…ポンプ
14…コンベアライン
15…制御装置
20…サポートジャケット
21…ワイヤーファブリック
22…バー
23…クイックリリース・ファスナー
30…上側面
31…下側面
32…円周面
33…リブ
34…空間
36…加熱装置
37…加熱要素
38…断熱材
40…分離用リブ
A,A1,A2…距離
B,B1,B2…リブ幅
H,H1,H2…高さ
L,L1,L2…長さ
Z,Z1,Z2…スペース幅
W…角度