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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053320
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240408BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20240408BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20240408BHJP
【FI】
H01L21/30 569F
H01L21/30 569D
G03F7/30 501
G02F1/13 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159503
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松塚 達郎
【テーマコード(参考)】
2H088
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H088FA17
2H088FA23
2H088FA30
2H088HA12
2H088HA14
2H196AA28
2H196GA02
2H196GA17
2H196GA26
5F146LA11
5F146LA14
5F146LA19
(57)【要約】
【課題】ガラス基板を枚葉で搬送しながら、基板の表面への現像液のスプレー吐出による現像、及び洗浄液のスプレー吐出による洗浄を行うカラーフィルタの現像装置において、基板上での現像液および洗浄液の流れを制御することによって、基板が大型化しても基板上の現像液滞留がなく、レジストパターン品質が損なわれることのない、ガラス基板内の現像均一性が良好な現像装置を提供することを課題とする。
【解決手段】搬送中のガラス基板の裏面にエアーを吹き付けて、そのエアー圧でガラス基板の傾斜角度を自在に変化させる手段を有する現像装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を枚葉で搬送しながら、ガラス基板の表面への現像液の吐出による現像、及び洗浄液の吐出による洗浄を行う現像装置において、
ガラス基板の裏面にエアーを吹き付けて、そのエアー圧でガラス基板の傾斜角度を自在に変化させる手段を有する現像装置。
【請求項2】
ガラス基板を枚葉で搬送しながら、ガラス基板の表面への現像液の吐出による現像、及び洗浄液の吐出による洗浄を行う現像装置において、
ガラス基板の裏面にローラーを押し当てて、そのローラーの押し圧でガラス基板の傾斜角度を自在に変化させる手段を有する現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、ガラス基板の傾斜角度を変えて現像液、および洗浄液の流れがガラス基板上に形成されたレジストパターンに対して均一に当たるように制御する手段を有する現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のカラーフィルタ基板の製造において、ブラックマトリクス(BM)等の凹凸パターンを形成する際に、基板上に形成したレジスト膜の露光後に現像液を処理液として供給し現像処理を行う液晶表示装置用カラーフィルタ基板の現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造工程で用いる現像装置としては、基板を枚葉で搬送しながら、現像液を用いるウエット処理を行うものが広く用いられてきた。現像処理を行う現像槽では水平搬送する基板の上方に設置されたノズルより現像液を噴霧により基板面に供給することで、基板上にある未硬化部の感光性樹脂を溶解して除去する。そして、現像処理は現像液に浸漬している時間で制御され、規定の時間つまり現像時間が経過したところで、水洗工程で現像液を除去して現像処理を終える。ここで、現像時間は、基板を搬送しながら処理を行うため、基板の搬送速度を変えることで調整している。
【0003】
しかしながら、基板のサイズが大型化により、基板がたわむなどして、基板上の現像液の量が増える傾向がある。この傾向により、現像時間経過後の水洗工程では現像液の排除に時間がかかるため、現像可能な現像液が基板上に留まる時間が長くなり、処理過剰となる。そして、搬送系の構造により、基板の特定の場所に、現像可能な現像液が留まり、現像処理が不均一になり、パターン形状が部分的に意図したものと違う形になってしまうという問題があった(特許文献1参照)。
【0004】
このため、大型基板でのカラーフィルタの製造に用いられる現像装置としては、基板を搬送方向と直角の幅方向に5~6度の角度で傾斜搬送して、傾斜状態を保ったままでウエット処理を行う現像装置が用いられるようになった。基板を傾斜処理すると、重力による液流が基板上に生じ、基本的には基板上の現像液の滞留がなくなり、洗浄効率が向上した(特許文献2参照)。
【0005】
上記した傾斜搬送しながらの現像処理においては、図3に示すように、現像液は傾斜搬送される基板の高い側(上方)から低い側(下方)に向かって流れることになる。そのため、現像中のレジストパターンの上方に面した垂直面に流れ落ちてくる現像液が常に当たる状態になる。これに対して、下方側の垂直面はレジストパターンがあるため、流れ落ちてくる現像液が直接当らない。その結果、上方に面した垂直面は、下方側の垂直面に比べて、現像が過多になる。
【0006】
図6は、上記の傾斜処理による現像したカラーフィルタのブラックマトリクス(BM)の断面形状を示しており、傾斜の上方側のパターンの垂直面が削れた形状になっていることがわかる。この垂直面が削れた部分のブラックマトリクスは他の部分に比べてパターンの厚みが薄くなっているため、その部分だけ遮光性が他の部分に比べて低下する。このようなブラックマトリクスを有するカラーフィルタを用いた表示装置は、表示特性が低いものとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-120468号公報
【特許文献2】特開2009-128867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、
ガラス基板を枚葉で搬送しながら、基板の表面への現像液のスプレー吐出による現像、及び洗浄液のスプレー吐出による洗浄を行うカラーフィルタの現像装置において、基板上での現像液および洗浄液の流れを制御することによって、基板が大型化しても基板上の現像液滞留がなく、形成されたパターンに対して片側のみが削られるオーバーハング現象の発生などにより、レジストパターン品質が損なわれることのない、ガラス基板内の現像均一性が良好な現像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の第1の態様は、
ガラス基板を枚葉で搬送しながら、ガラス基板の表面への現像液の吐出による現像、及び洗浄液の吐出による洗浄を行う現像装置において、
ガラス基板の裏面にエアーを吹き付けて、そのエアー圧でガラス基板の傾斜角度を自在に変化させる手段を有する現像装置である。
【0010】
また、第2の態様は、
ガラス基板を枚葉で搬送しながら、ガラス基板の表面への現像液の吐出による現像、及び洗浄液の吐出による洗浄を行う現像装置において、
ガラス基板の裏面にローラーを押し当てて、そのローラーの押し圧でガラス基板の傾斜角度を自在に変化させる手段を有する現像装置である。
【0011】
また、第3の態様は、
請求項1または2の現像装置において、ガラス基板の傾斜角度を変えて現像液、および洗浄液の流れがガラス基板上に形成されたレジストパターンに対して均一に当たるように制御する手段を有する現像装置である。
【発明の効果】
【0012】
ガラス基板を枚葉で搬送しながら、基板の表面への現像液のスプレー吐出による現像、及び洗浄液のスプレー吐出による洗浄を行うカラーフィルタの現像装置において、基板上での現像液の流れを制御することによって、ガラス基板が大型化しても基板上の現像液滞留がなく、形成されたパターンに対して片側のみが削られるオーバーハング現象の発生などにより、レジストパターン品質が損なわれることのない、ガラス基板内の現像均一性が良好な現像装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】現像装置の構成概略を説明する側面図。
図2】搬送中のガラス基板と現像スプレーの関係を説明する平面図。
図3】従来の傾斜搬送を説明する斜視図。
図4】本発明の実施形態1に係る現像処理を説明する図。
図5】本発明の実施形態2に係る現像処理を説明する図。
図6】傾斜搬送機構の現像装置で現像したレジストパターンの断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、現像するレジストパターンに対して現像液が偏りなくあたるようにして、基板内の現像性を均一化する為のものである。
【0015】
本課題解決のため、2通りの実施の形態を、図を参照して説明する。
<実施形態1>
【0016】
図1は、ガラス基板を枚葉で搬送しながら、ガラス基板の表面への現像液のスプレー吐出による現像、及び洗浄液のスプレー吐出による洗浄を行うカラーフィルタの現像装置の構成概略を示す側面図である。
【0017】
現像装置10は、ガラス基板を枚葉でコロコンローラ(以下、コロ)を用いる搬送機構を備えている。本実施例ではガラス基板の搬送する際の基板を支持する、または、移動性をよくするためコロを用いる構成を示したが、コロに変えてロールシャフトやフリーボールベアリングを使用することも可能である。
【0018】
枚葉搬送ユニットとして、コロ搬送コンベア20による接触搬送が用いられる。コロ搬送には、ガラス基板1の幅サイズをカバーする長さのコロ21が搬送方向(X方向)に一定間隔で敷設されている。そして、コロ21の上部にガラス基板1を置き、上記コロ21を処理槽外に配置されているモーター等の駆動手段(図示しない)で駆動することで搬送させることができる。
【0019】
そして、現像を行う現像槽11と洗浄を行う洗浄槽12で構成されている。ガラス基板1は、矢印で示すように、現像装置10の左方から搬送され、現像槽11にて現像、洗浄槽12にて洗浄が行われ、次工程へと搬送される。
【0020】
図2は、現像装置の現像槽内部における、搬送中のガラス基板1と現像スプレー装置23との関係を説明する平面図である。現像スプレー装置23は、ガラス基板1の搬送路の上方に設けられている。現像スプレー装置23の幅方向(Y方向)には、複数個の現像シャワーノズル24が一直線状に設けられ(図示しない)、この一直線状の列が搬送路の方向(X方向)に複数列設けられている。現像シャワーノズル24は現像スプレー装置23の下面に設けられている。現像スプレー装置23は、搬送されてくるガラス基板1の表面に向け、現像シャワーノズル24から現像液を吐出し、現像が行われる。
【0021】
本発明の実施形態1の現像装置を、図4を参照して説明する。コロ搬送路の下部に高圧のエアーノズル31が配置されている。このエアーノズル31は、高圧ガス供給部(図示せず)より送られてくる高圧エアーをジェット流で、またはスプレー状に噴射するようになっている。
【0022】
エアーノズル31からの噴射圧や噴射量を調節する制御装置等(図示しない)を備えており、ガラス基板1の裏面に高圧エアーを噴射して、基板1を浮上させることができる。そして、各エアーノズル31は、基板1裏面に直接噴射される高圧エアーの噴射圧や噴射量等が個別に調節できるように形成されている。各エアーノズル31を個別に制御できることで、各エアーノズルからは、ガラス基板1を様々な角度に傾斜させるように制御されたエアーを噴射することができる。
【0023】
現像処理の流れを説明すると、まず、現像槽11内に枚葉でコロ搬送したガラス基板1を一旦停止させ、コロ搬送路の下部に配置した、高圧のエアーが噴射するエアーノズル31から基板1の裏面に高圧エアーをあてて基板1を浮上させる。次に、基板1の表面に現像スプレー装置23から現像液を浴びせた状態で、各エアーノズル31の噴射圧や噴射量を調整して一定時間、基板1の傾斜を様々な角度に変更する。
【0024】
例えば、図4のように搬送方向に対し前後方向に傾斜する蛇行運動を加えたい場合は、幅方向(Y方向)に配置されたエアーノズルの列から噴射されるエアーの圧力や噴射量の設定をガラス基板1の搬送方向(X方向)に対して、波打つ様に段階的に変化させる設定をしてエアーを噴射することで、ガラス基板1を搬送方向に対して前後に傾斜させること
ができる。
【0025】
図4では、搬送方向に対し前後方向に傾斜する蛇行運動を加えているが、搬送方向に対し左右方向の傾斜や、搬送方向に対し45度の角度の傾斜なども同様にして加えることが可能である。コンピュータからなる制御装置は、基板1の傾斜角度からエアーノズル31の位置、各エアーノズルの噴射圧や噴射量を計算し、一定時間ランダムにガラス基板1の傾斜を変化させ続けるための制御を行い、現像液がレジストパターンに対して各方向から均等にあたるように調整することができる。
【0026】
一定時間、上記の現像方法を繰り返した後、搬送ユニットはガラス基板1を洗浄槽12へと搬送する。洗浄槽でも同様に、ガラス基板1を一旦停止した状態で、ガラス基板の裏面から高圧のエアーをあてて基板を浮上させ、洗浄液を浴びせた状態で、エアーノズルの噴射圧や噴射量を調整してガラス基板1の傾斜を様々な角度に変更して、洗浄液がレジストパターンに対して各方向から均等にあたるように調整する。このような、洗浄処理を行うことによって、ガラス基板上に現像液が滞留せず均一に洗浄液で置換できることによって、現像反応を停止させるようにすることができる。
【0027】
次に実施形態2の現像装置について、図5を参照して説明する。
<実施形態2>
コロ搬送路の下部にローラー32が配置されている。このローラー32は、ガラス基板1の幅サイズをカバーする長尺型であり、ローラー32ごとにローラーホルダ33を備え、ローラー32を軸支するシャフト32Sを上下、即ちZ軸方向に上下動作させる(図示しない)駆動部とを有し、ローラー32をZ軸方向に沿って上下動可能としている。
【0028】
複数のローラー32は、搬送方向に並列に軸支されていて、ローラー駆動部はローラーホルダ33毎に上下動を可能にし、制御装置を備えており上下動距離を制御することができる。したがって、ローラーホルダ33は、シャフト32Sを傾斜できるように軸支されている。複数のローラー32は、基板1を傾斜姿勢で下方から支持して、基板1を水平面に対して様々な角度に傾斜した状態に保持することができる。
【0029】
実施形態1と同様に、例えば、図5のように搬送方向に対し前後方向に傾斜する蛇行運動を加えたい場合は、搬送方向(X方向)に並列に配置された複数のローラー32の一つずつを、それぞれ高さを変えられるような昇降機構に取り付けることで、ラインの片側を高くすることや、搬送方向にしたがって階段状に高さを変えることで、ガラス基板1を搬送方向に対し、前後に傾斜させることができる。
【0030】
図5では、搬送方向に対し前後方向に傾斜する蛇行運動を加えているが、搬送方向に対し左右方向の傾斜なども同様にして加えることが可能である。コンピュータからなる制御装置は、基板1の傾斜角度からローラー間の高さを計算し、一定時間ランダムにガラス基板1の傾斜を変化させ続けるための制御を行い、現像液がレジストパターンに対して各方向から均等にあたるように調整することができる。
【0031】
現像処理の流れは、実施形態1と同様で、現像槽11内で基板1を状態で、基板1の下からローラー等をあてて基板を持ち上げる。基板1の上から現像液を浴びせた状態で、ローラー32位置毎に基板1を持ち上げる高さを調整して、基板1の傾斜を様々な角度に変更して、一定時間現像液がレジストパターンに対して各方向から均等にあたるように調整する。
【0032】
一定時間、上記の現像方法を繰り返した後、搬送ユニットはガラス基板1を洗浄槽12へと搬送する。洗浄処理の流れは、実施形態1と同様である。
【0033】
本発明によれば、基板内に形成されたカラーフィルタのレジストパターンに対して、各方向から満遍なく現像液があたるようにして、基板内の現像性を均一化することが可能になった。
【符号の説明】
【0034】
1・・・ガラス基板
10・・・現像装置
11・・・現像槽
12・・・洗浄槽
21・・・コロ
23・・・現像スプレー装置
24・・・現像シャワーノズル
31・・・エアーノズル
32・・・ローラー
32S・・・シャフト
33・・・ローラーホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6