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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053324
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20240408BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240408BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20240408BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240408BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20240408BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20240408BHJP
【FI】
F24F11/41
F24F11/41 200
F24F11/41 210
F24F11/41 240
F24F11/41 112
F24F11/41 114
F24F11/64
F24F11/65
F24F110:12
F24F140:20
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159513
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中安 悟
(72)【発明者】
【氏名】浦田 和幹
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA36
3L260CA11
3L260CA32
3L260CB04
3L260CB08
3L260CB13
3L260CB62
3L260CB68
3L260DA09
3L260EA07
3L260FA02
3L260FA13
3L260FB07
3L260FB08
(57)【要約】
【課題】暖房能力を十分に確保しながら除霜可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機400は室内機100及び室外機200を備え、室外機200は、圧縮機1と、圧縮機1側の配管21の分岐部22、及び、室内機100側の配管23の分岐部24からそれぞれ分岐して並列に接続された熱交換器31,32と、配管27に配置された開閉弁51と、配管25に配置された膨張弁41と、熱交換器32と分岐部22とを接続する配管28に配置された開閉弁52と、熱交換器32と分岐部24とを接続する配管26に配置された膨張弁42と、配管27aと配管26aとを接続する配管29と、配管25aと配管28aとを接続する配管30と、配管29に配置された膨張弁61と、配管30に配置された膨張弁62と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機及び室外機を備え、
前記室外機は、
圧縮機と、
前記圧縮機側の配管の第1分岐部、及び、前記室内機側の配管の第2分岐部からそれぞれ分岐して並列に接続された第1熱交換器及び第2熱交換器と、
前記第1熱交換器と前記第1分岐部とを接続する配管に配置された第1開閉弁と、
前記第1熱交換器と前記第2分岐部とを接続する配管に配置され、開閉可能な第1膨張弁と、
前記第2熱交換器と前記第1分岐部とを接続する配管に配置された第2開閉弁と、
前記第2熱交換器と前記第2分岐部とを接続する配管に配置され、開閉可能な第2膨張弁と、
前記第1熱交換器と前記第1開閉弁とを接続する配管と、前記第2熱交換器と前記第2膨張弁とを接続する配管と、を接続する第1配管と、
前記第1熱交換器と前記第1膨張弁とを接続する配管と、前記第2熱交換器と前記第2開閉弁とを接続する配管と、を接続する第2配管と、
前記第1配管に配置された第3膨張弁と、
前記第2配管に配置された第4膨張弁と、
を備える
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記第1開閉弁、前記第1膨張弁、前記第1開閉弁又は前記第2膨張弁の少なくとも1つの弁の制御により、
凝縮器としての前記室内熱交換器から排出された冷媒を、前記第1熱交換器又は前記第2熱交換器のうちの除霜対象となる一方の熱交換器である除霜熱交換器に流し、
更に、前記第1配管又は前記第2配管を経由して、前記除霜熱交換器から排出された冷媒を他方の熱交換器である蒸発熱交換器で蒸発させた後で前記圧縮機に戻す除霜暖房運転を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記除霜暖房運転の実行時、
前記第1開閉弁又は前記第2開閉弁のうち、前記除霜熱交換器に接続される開閉弁を閉にするとともに、前記蒸発熱交換器に接続される開閉弁を開にし、
前記第1膨張弁又は前記第2膨張弁のうち、前記蒸発熱交換器に接続される膨張弁を閉にするとともに、前記除霜熱交換器に接続される膨張弁を所定の開度で開にする
ように、前記第1膨張弁、前記第1開閉弁又は前記第2膨張弁の少なくとも1つの弁を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記除霜熱交換器を流れる冷媒の温度が所定温度になるように、
前記第1膨張弁又は前記第2膨張弁のうちの前記除霜熱交換器に接続される膨張弁、又は、
前記第3膨張弁又は前記第4膨張弁のうち、前記第1配管又は前記第2配管のうちの冷媒が流れる配管に配置された膨張弁、
のうちの少なくとも一方の膨張弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記室外機は、前記第1熱交換器又は前記第2熱交換器のうち、除霜対象となる除霜熱交換器での冷媒の入口温度を測定する温度センサを備え、
前記制御装置は、前記温度センサによる測定値を、予め定められた所定値と比較することで、前記膨張弁の開度をフィードバック制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御装置は、少なくとも、前記第1膨張弁又は前記第2膨張弁のうちの前記除霜熱交換器に接続される膨張弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記蒸発熱交換器を流れる冷媒の温度が蒸発可能な温度になるように、
前記第1膨張弁又は前記第2膨張弁のうちの前記除霜熱交換器に接続される膨張弁、又は、
前記第3膨張弁又は前記第4膨張弁のうち、前記第1配管又は前記第2配管のうちの冷媒が流れる配管に配置された膨張弁、
のうちの少なくとも一方の膨張弁の開度を制御する制御装置を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御装置は、少なくとも、前記第3膨張弁又は前記第4膨張弁のうち、前記第1配管又は前記第2配管のうちの冷媒が流れる配管に配置された膨張弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記蒸発熱交換器での冷媒の入口温度と外気温とから導かれる値と、前記蒸発熱交換器で冷媒を蒸発させるために予め定められた所定値と、を比較することで、前記膨張弁の開度をフィードバック制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記圧縮機の回転速度を、暖房運転時の最大回転速度よりも大きくして除霜暖房運転を行う制御装置を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項11】
室内ファンを備える室内機と、
前記室内ファンの回転速度を、前記室内機の運転中に回転可能な最大回転速度以下の回転速度で前記室内ファンを駆動させながら除霜暖房運転を行う制御装置と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
冬季等における空気調和機の暖房運転時、室外機の熱交換器温度が外気の露点温度を下回ると熱交換器に霜が付き、熱交換効率が低下する。このため、熱交換器に付着した霜を除去する除霜機能が使用される。除霜方式として、冷房サイクルで運転する逆サイクル除霜が使用され得るが、逆サイクル除霜中には室内熱交換器に低温冷媒が流れ、冷気が室内に排出されるため快適性が損なわれる。そこで、暖房運転とともに除霜運転を行う空気調和機が知られている。
【0003】
特許文献1の要約書には、「空気調和装置の制御装置は、暖房除霜運転モード時に、デフロスト対象の並列熱交換器に冷媒が流れるように流量調整装置を開き、蒸発圧力センサによって検出された蒸発器として作用する並列熱交換器の蒸発圧力が、通常暖房運転モード時の蒸発圧力よりも低くなるように減圧装置を絞る」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-184207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の除霜暖房運転(暖房除霜運転)モードでは、室内熱交換器に流れる高温高圧の冷媒の一部が、除霜対象の並列熱交換器に流れる(段落0055)。これにより、暖房運転及び並列熱交換器の除霜が行われる。暖房運転及び除霜に使用された冷媒は合流し、合流後の冷媒は別の並列熱交換器において蒸発する(同段落)。しかし、このような冷媒の流れでは、室内熱交換器への冷媒供給量が減少し、十分な暖房能力が得られない可能性がある。
本開示が解決しようとする課題は、暖房能力を十分に確保しながら除霜可能な空気調和機の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空気調和機は、室内機及び室外機を備え、前記室外機は、圧縮機と、前記圧縮機側の配管の第1分岐部、及び、前記室内機側の配管の第2分岐部からそれぞれ分岐して並列に接続された第1熱交換器及び第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第1分岐部とを接続する配管に配置された第1開閉弁と、前記第1熱交換器と前記第2分岐部とを接続する配管に配置され、開閉可能な第1膨張弁と、前記第2熱交換器と前記第1分岐部とを接続する配管に配置された第2開閉弁と、前記第2熱交換器と前記第2分岐部とを接続する配管に配置され、開閉可能な第2膨張弁と、前記第1熱交換器と前記第1開閉弁とを接続する配管と、前記第2熱交換器と前記第2膨張弁とを接続する配管と、を接続する第1配管と、前記第1熱交換器と前記第1膨張弁とを接続する配管と、前記第2熱交換器と前記第2開閉弁とを接続する配管と、を接続する第2配管と、前記第1配管に配置された第3膨張弁と、前記第2配管に配置された第4膨張弁と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、暖房能力を十分に確保しながら除霜可能な空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の空気調和機の正面図である。
図2】本開示の空気調和機を示すブロック図である。
図3】制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】冷房運転時の冷媒流を説明する図である。
図5】暖房運転時の冷媒流を説明する図である。
図6】除霜暖房運転時の冷媒流を説明する図である。
図7図6に示す除霜暖房運転時のp-h線図である。
図8図5に示す暖房運転のp-h線図である。
図9】膨張弁の制御方法を説明するフローチャートである。
図10】膨張弁の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。また、同じ実施形態で、必ずしも全ての構成を備える必要はない。
【0010】
図1は、本開示の空気調和機400の模式図である。空気調和機400は、室内に設置される室内機100と、室外に設置される室外機200と、リモコン300とを備える。リモコン300は、例えば冷房運転、暖房運転、除湿運転等の空気調和機400の運転内容を、室内機100に指示するものである。指示は、室内機100の受信部18(例えば赤外線通信ユニット、WiFi等の無線通信ユニット等)を通じて行われる。詳細は後記するが、暖房運転中、熱交換器31,32(図2)の除霜を行う場合には、除霜暖房運転が行われる。除霜暖房運転では、室内へは暖房運転と同等に暖気が供給されるとともに、暖房運転時の冷凍サイクルを流れる冷媒を使用して、室外に配置された熱交換器31,32の除霜が行われる。
【0011】
図2は、本開示の空気調和機400を示すブロック図である。一例として図2では、四方弁2は暖房運転時及び除霜暖房運転時(以下、これらを総称して適宜「暖房運転等」という)の向きに図示される。室内機100は、熱交換器11と、膨張弁12と、室内ファン13と、室温を測定する室温センサ14とを備える。室外機200は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、室内機100の運転に応じて冷媒流路を切り替える四方弁2と、外気温を測定する外気温センサ88と、空気調和機400の運転を制御する制御装置8と、を備える。室内機100の運転は、例えば冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜暖房運転等である。ただし、空気調和機400が暖房運転専用の場合、四方弁2は備えられなくてもよい。圧縮機1は、例えばインバータ制御され、回転速度制御により冷媒の吐出圧を制御する。
【0012】
除霜暖房運転は、上記のように、室内機100において暖房運転を行う(例えば室内に暖気を吹き出す)とともに、熱交換器31,32の除霜を行う運転である。除霜は、例えば除霜開始条件を満たしたときに、制御装置8によって開始される。除霜開始条件は、室外に設置される熱交換器31,32に霜が付き易い状態、又は、霜が付いた状態になる条件であり、予め定められる。除霜開始条件は、例えば、外気温、室内機100の暖房運転時間等に基づいて決定できる。
【0013】
除霜暖房運転は、通常は、使用者によって指示されることで開始されるものではなく、制御装置8の判断により開始される。従って、例えば、除霜を行わず、例えば後記図5に示すように冷媒を流す暖房運転中、制御装置8が除霜開始条件を満たすと判断したときに、制御装置8は、運転モードを、暖房運転から除霜暖房運転に切り替える。
【0014】
図3は、制御装置8のハードウェア構成を示すブロック図である。制御装置8は、CPU82等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。制御装置8は、例えば、CPU81、メモリ82、記憶装置83(SSD,HDD等)、通信装置84及びI/F85を備える。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HDDに格納すること以外に、メモリ、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。また、クラウド上に情報を記憶するようにしたり、クラウド上で演算等の処理を行うようにしたりすることもできる。
【0015】
図2に戻って、室外機200は、熱交換器31(第1熱交換器)及び熱交換器32(第2熱交換器)を備える。熱交換器31,32は、圧縮機1側の配管21の分岐部22(第1分岐部)、及び、室内機100側の配管23の分岐部24(第2分岐部)からそれぞれ分岐して並列に配管21,23に接続される。図示の例では配管21は四方弁2に接続され、配管23は熱交換器11に接続される。以下、特に断らない限り、「配管」は冷媒が流れる配管であり、「冷媒配管」と同義である。「配管」により、冷媒流路が形成される。熱交換器31,32は例えば分割熱交換器である。暖房運転等時、圧縮機1の吐出口(不図示)は、熱交換器11に接続される。一方で、圧縮機1の吸込口(不図示)は、四方弁2を経由して、熱交換器31,32に接続される。上記のように四方弁2が備えられない場合、圧縮機1の吐出口は室内機100に、圧縮機1の吸込口は分岐部22に接続される。
【0016】
室外機200は、膨張弁41(第1膨張弁)及び膨張弁42(第2膨張弁)を備える。膨張弁41は、熱交換器31と分岐部24とを接続する配管25に配置される。膨張弁41は、開度に応じて冷媒の膨張の程度を制御可能な弁であるとともに、開度調整によって開閉可能な弁でもある。従って、膨張弁41は、膨張弁及び閉止弁(開閉弁)の双方の機能を有する。膨張弁41の全閉時、配管25での冷媒の流通は停止する。膨張弁42は、熱交換器32と分岐部24とを接続する配管26に配置される。膨張弁42は、開度に応じて冷媒の膨張の程度を制御可能な弁であるとともに、開度調整によって開閉可能な弁でもある。従って、膨張弁42は、膨張弁及び閉止弁(開閉弁)の双方の機能を有する。
【0017】
室外機200は、開閉弁51(第1開閉弁)及び開閉弁52(第2開閉弁)を備える。開閉弁51は、熱交換器31と分岐部22とを接続する配管27に配置される。開閉弁51は、全閉又は全開に切り替え可能な弁である。開閉弁51の全閉時、配管27での冷媒の流通は停止する。開閉弁52は、熱交換器32と分岐部22とを接続する配管28に配置される。開閉弁52は、全閉又は全開を切り替え可能な弁である。開閉弁52の全閉時、配管28での冷媒の流通は停止する。開閉弁51,52は、開閉を切り替え可能な弁であればよく、それぞれ、例えば開閉可能な膨張弁、あるいは流路を切り替えるための三方弁でもよい。
【0018】
室外機200は、配管29(第1配管)及び配管30(第2配管)を備える。配管29は、熱交換器31と開閉弁51とを接続する配管27aと、熱交換器32と膨張弁42とを接続する配管26aと、を接続する。配管27aは、配管27の一部と重複する。配管26aは、配管26の一部と重複する。配管30は、熱交換器31と膨張弁41とを接続する配管25aと、熱交換器32と開閉弁52とを接続する配管28aと、を接続する。配管25aは、配管25の一部と重複する。配管28aは、配管28の一部と重複する。
【0019】
室外機200は、膨張弁61(第3膨張弁)及び膨張弁62(第4膨張弁)を備える。膨張弁61は、配管29に配置される。膨張弁62は、配管30に配置される。
【0020】
室外機200は、温度センサ71,72を備える。温度センサ71は、配管25(液管)に配置され、熱交換器31に流入する冷媒の温度(熱交換器31での冷媒の入口温度)を測定する。温度センサ72は、配管26に配置され、熱交換器32に流入する冷媒の温度(熱交換器32での冷媒の入口温度)を測定する。従って、温度センサ71,72は、それぞれ、熱交換器31又は熱交換器32のうち、除霜対象となる熱交換器31,32の何れかである除霜熱交換器での冷媒の入口温度を測定する。
【0021】
図4は、冷房運転時の冷媒流を説明する図である。冷房運転時、冷媒は太実線矢印で示すように流れる。制御装置8は、圧縮機1の吐出口(不図示)と熱交換器31,32とが繋がるように、かつ、圧縮機1の吸込口(不図示)と熱交換器11とが繋がるように、四方弁2の向きを切り替える。また、制御装置8は、膨張弁41,42を全開、開閉弁51,52を開、及び、膨張弁61,62を全閉にする。更に、制御装置8は、膨張弁12を、熱交換器11を蒸発器として機能させる開度に調整する。
【0022】
圧縮機1から吐出された冷媒は、四方弁2を経由し分岐部22で分岐して、熱交換器31,32に流れる。熱交換器31,32では冷媒は凝縮し、分岐部24で合流した後、膨張弁12で膨張する。膨張後の冷媒は、熱交換器11で蒸発し室内に冷気が供給される。熱交換器11から排出された冷媒は、四方弁2を経由して、圧縮機1の吸込口(不図示)に戻される。
【0023】
図5は、暖房運転時の冷媒流を説明する図である。点A,B,C,Gについては、図8を参照しながら後記する。暖房運転時、冷媒は太実線矢印で示すように流れる。制御装置8は、圧縮機1の吸込口(不図示)と熱交換器31,32とが繋がるように、かつ、圧縮機1の吐出口(不図示)と熱交換器11とが繋がるように、四方弁2の向きを切り替える。また、制御装置8は、膨張弁12を全開、開閉弁51,52を開、膨張弁61,62を全閉にする。更に、制御装置8は、膨張弁41,42を、それぞれ、熱交換器31,32を蒸発器として機能させる開度に調整する。
【0024】
圧縮機1から吐出された冷媒は、熱交換器11に流れる。熱交換器11では冷媒は凝縮し、暖気が室内に供給される。熱交換器11から排出された冷媒は、分岐部24で分岐後、それぞれ膨張弁41,42で膨張し、熱交換器31,32で蒸発する。蒸発後の冷媒は、分岐部22で合流し、四方弁2を経由して、圧縮機1の吸込口(不図示)に戻される。
【0025】
図6は、除霜暖房運転時の冷媒流を説明する図である。点A,B,C,D,E,Fについては、図7を参照しながら後記する。一例として図6は、熱交換器31,32の双方に霜が付着しているため除霜が行われるが、熱交換器31,32のうち、除霜の対象となる熱交換器を熱交換器31(除霜熱交換器)とする除霜暖房運転を例示する。詳細な説明は省略するが、熱交換器31の除霜後、熱交換器31の除霜と同様にして、熱交換器32の除霜が行われる。また、以下の例では、膨張弁41,42及び開閉弁51,52の全ての弁の制御により、除霜暖房運転が行われる。ただし、除霜暖房運転は、例えば既に開いている状態の弁を維持する等して当該弁の開閉を行わず(駆動制御を行わず)、膨張弁41,42及び開閉弁51,52の少なくとも1つの弁の制御により実行されてもよい。
【0026】
除霜暖房運転時、冷媒は太実線矢印で示すように流れる。制御装置8は、圧縮機1の吸込口(不図示)と熱交換器32とが繋がるように、かつ、圧縮機1の吐出口(不図示)と熱交換器11とが繋がるように、四方弁2の向きを切り替える。なお、圧縮機1の吸込口と熱交換器31とは、後記する閉状態の開閉弁51によって、接続されない。また、制御装置8は、膨張弁12を全開、開閉弁52を開、及び、開閉弁51を閉にする。制御装置8は、膨張弁61を、熱交換器32を蒸発器として機能させる開度に調整し、膨張弁62を全閉にする。
【0027】
また、制御装置8は、膨張弁41を、熱交換器31に除霜可能な温度の冷媒を流通可能な開度に調整し、膨張弁42を全閉にする。膨張弁42を全閉にすることで、配管26での冷媒の流通が停止される。ここでいう「除霜可能な冷媒の温度」は、例えば熱交換器31,32の大きさ、冷媒流路長等の設計条件に基づき、実験、試運転、シミュレーション等によって予め決定できる。従って、予め決定された「除霜可能な冷媒の温度」になるように(ただし多少の変動幅を有してもよい)になるように、膨張弁41の開度が制御される。
【0028】
除霜暖房運転の開始時、制御装置8は、圧縮機1の回転速度を、暖房運転時の最大回転速度よりも大きくする。従って、圧縮機1の回転速度が暖房運転時の最大回転速度よりも大きい状態で、除霜暖房運転が行われる。除霜暖房運転では、暖房に使用した冷媒の全量を使用して除霜が行われる。従って、比エンタルピ(熱)不足の抑制のために、圧縮機1の回転速度をできるだけ大きくすることが好ましい。そこで、除霜暖房運転時の圧縮機1の回転速度を、暖房運転時の最大回転速度よりも大きくすることで、冷媒の比エンタルピを暖房運転時よりも大きくでき、暖房能力の確保及び除霜を両立し易くできる。
【0029】
圧縮機1から吐出された冷媒は、熱交換器11に流れる。熱交換器11では冷媒は凝縮し、暖気が室内に供給される。このとき、制御装置8は、室内ファン13の回転速度を、室内機100の運転中に回転可能な最大回転速度以下(好ましくは最大回転速度未満)の回転速度で室内ファン13を運転させながら除霜暖房運転を行うことが好ましい。これにより、熱交換器11での熱交換を抑制して、比エンタルピが高い状態(図7)の冷媒を熱交換器31に送ることができる。
【0030】
除霜暖房運転中、室内ファン13は常に回転し続ける必要は無く、室温等の状態によって適宜停止させてもよい。停止中の室内ファン13は、回転駆動している状態ではないが、室温等の状態によってすぐに回転可能な状態であるため、室内ファン13を「停止」させた状態で運転しているといえる。
【0031】
熱交換器11から排出された冷媒は、分岐部24及び膨張弁41を経由して、熱交換器31に流れる。上記のように膨張弁42は全閉であるから、熱交換器11から排出された冷媒は、分岐部24から熱交換器32に直接には流れない。膨張弁41は、上記のように、熱交換器31に付着した霜を融解できる温度になるような開度に調整される。従って、熱交換器11では、除霜可能な程度の温度に調整された冷媒により、除霜が行われる。
【0032】
熱交換器31で霜を融解した後の冷媒は、配管27aを流れ、閉の開閉弁51によって分岐部22には向かわずに配管29に入る。配管29を流れる冷媒は、膨張弁61によって、上記のように、熱交換器32で蒸発可能な温度に変わる。膨張弁61によって膨張した後の冷媒は、全閉の膨張弁42によって流れを変えて、配管26aを流れて熱交換器32に流入し、熱交換器32で蒸発する。蒸発した冷媒は、配管28、分岐部22、配管21及び四方弁2を経由して、圧縮機1の吸込口(不図示)に戻される。
【0033】
このように、空気調和機400に備えられる制御装置8は、凝縮器としての熱交換器11から排出された冷媒を、熱交換器31又は熱交換器32のうちの除霜対象となる一方の熱交換器31(除霜熱交換器の一例)に流す。更に、制御装置8は、配管29を経由して、熱交換器31から排出された冷媒を他方の熱交換器32(蒸発熱交換器の一例)で蒸発させた後で圧縮機1に戻す。
【0034】
これらのように冷媒を流すことで、熱交換器11で暖房運転に使用した冷媒を、そのまま全量を熱交換器31に供給し、熱交換器31で除霜に使用できる。そして、除霜に使用した冷媒は、そのまま全量を熱交換器32で蒸発でき、蒸発した冷媒は圧縮機1に戻すことができる。このため、除霜に使用される冷媒は熱交換器11での暖房運転で使用後の冷媒であるため、暖房能力を十分に確保しながら、残存する熱を使用して熱交換器31を除霜できる。
【0035】
なお、除霜熱交換器が熱交換器32であれば、制御装置8は、配管30を経由して、熱交換器32から排出された冷媒を他方の熱交換器31(蒸発熱交換器の一例)で蒸発させた後で圧縮機1に戻す。従って、制御装置8は、圧縮機1の吸込口(不図示)と熱交換器31とが繋がるように、かつ、圧縮機1の吐出口(不図示)と熱交換器11とが繋がるように、四方弁2の向きを切り替える。なお、圧縮機1の吸込口と熱交換器32とは、後記する閉状態の開閉弁52によって、接続されない。
【0036】
また、制御装置8は、膨張弁12を全開、開閉弁51を開、及び、開閉弁52を閉にする。制御装置8は、膨張弁62を、熱交換器31を蒸発器として機能させる開度に調整し、膨張弁61を全閉にする。制御装置8は、膨張弁42を、熱交換器32に除霜可能な温度の冷媒を流通可能な開度に調整し、膨張弁41を全閉にする。膨張弁41を全閉にすることで、配管25での冷媒の流通が停止される。ここでいう「除霜可能な冷媒の温度」は、熱交換器31での除霜時に説明した事項と同様である。
【0037】
図7は、上記図6に示す除霜暖房運転時のp-h線図である。横軸は比エンタルピ、縦軸は圧力である。点A~Fは、上記図6に示した点A~Fの位置における冷媒の比エンタルピ及び圧力に対応する。圧縮機1から吐出された冷媒は、点Bにおいて、高い比エンタルピ及び圧力を有する。点B~点Cにおいて、熱交換器11で凝縮すると、比エンタルピが低下する。次いで、点C~点Dにおいて、膨張弁41で冷媒が膨張すると、圧力が低下する。そして、点D~点Eにおいて、熱交換器31の除霜に使用されると、比エンタルピが低下する。点E~点Fにおいて膨張弁61で再度膨張すると、再度圧力が低下する。最後に、点F~点Aにおいて、熱交換器32で蒸発されると、比エンタルピが上昇する。
【0038】
図8は、上記図5に示す暖房運転時のp-h線図である。破線は、図7に示すp-h線図である。圧縮機1から吐出された冷媒は、点Bにおいて、高い比エンタルピ及び圧力を有する。点B~点Cにおいて、熱交換器11で凝縮すると、比エンタルピが低下する。次いで、点C~点Gにおいて、膨張弁41,42で冷媒が膨張すると、圧力が低下する。点G~点Aにおいて、熱交換器31,32で蒸発されると、比エンタルピが上昇する。
【0039】
図8及び上記図7からわかるように、点B~点Cにおいて熱交換器11で失う比エンタルピが、除霜暖房運転では暖房運転よりも減少する。このため、熱交換器11の後段に配置された熱交換器31には、暖房運転よりも高い比エンタルピを有する冷媒が熱交換器31に送られる。これにより、熱交換器31では、熱交換器11では使用されなかった比エンタルピが、熱交換器31で使用される、そして、使用された比エンタルピを補うように熱交換器32(図6)で冷媒が蒸発する。このため、暖房能力の確保と、十分な除霜とを両立できる。
【0040】
図6に戻って、制御装置8は、除霜暖房運転の実行時、開閉弁51又は開閉弁52のうち、熱交換器31(除霜熱交換器の一例)に接続される開閉弁51を閉にする。これとともに、制御装置8は、熱交換器32(蒸発熱交換器の一例)に接続される開閉弁52を開にする。更に、制御装置8は、膨張弁41又は膨張弁42のうち、熱交換器32に接続される膨張弁42を閉にするとともに、熱交換器31に接続される膨張弁41を所定の開度で開にする。このようにすることで、熱交換器31で除霜に使用された冷媒の全量を熱交換器32に供給できる。また、膨張弁41の所定の開度は、上記のように、熱交換器31を除霜可能な程度の冷媒の入口温度に調整可能な開度である。
【0041】
なお、除霜熱交換器が熱交換器32、蒸発熱交換器が熱交換器31である場合、開閉弁51又は開閉弁52のうち、熱交換器32に接続される開閉弁52を閉にするとともに、熱交換器31に接続される開閉弁を開にする。これとともに、制御装置8は、膨張弁41又は膨張弁42のうち、熱交換器31に接続される膨張弁41を閉にするとともに、熱交換器32に接続される膨張弁42を所定の開度で開にする。ここでいう所定の開度は、熱交換器32を除霜可能な程度の冷媒の入口温度に調整可能な開度である。
【0042】
制御装置8は、熱交換器31(除霜熱交換器の一例)を流れる冷媒の温度(例えば熱交換器31での冷媒の入口温度)が所定温度になるように、膨張弁41、又は、膨張弁61、のうちの少なくとも一方の膨張弁の開度を制御する。膨張弁41は、膨張弁41又は膨張弁42のうちの熱交換器31に接続される膨張弁である。膨張弁61は、膨張弁61又は膨張弁62のうち、配管28又は配管29のうちの冷媒が流れる配管29に配置された膨張弁である。このようにすることで、除霜対象である熱交換器31を流れる冷媒の温度を調整でき、熱交換器に付着した霜を偏りを抑制して融かすことができる。
【0043】
なお、除霜熱交換器が熱交換器32である場合、膨張弁42又は膨張弁62のうちの少なくとも一方の膨張弁の開度が制御される。膨張弁42は、膨張弁41又は膨張弁42のうちの熱交換器32に接続される膨張弁である。膨張弁62は、膨張弁61又は膨張弁62のうち、配管28又は配管29のうちの冷媒が流れる配管30に配置された膨張弁である。
【0044】
このとき、制御装置8は、少なくとも、膨張弁41又は膨張弁42のうちの熱交換器31に接続される膨張弁41の開度を制御することが好ましい。このようにすることで、除霜対象である熱交換器31を流れる冷媒の温度を調整し易くできる。なお、除霜熱交換器が熱交換器32である場合、制御装置8は、少なくとも、膨張弁41又は膨張弁42のうちの熱交換器32に接続される膨張弁42の開度を制御することが好ましい
【0045】
図9は、膨張弁41の制御方法を説明するフローチャートである。一例として図9は、除霜熱交換器が熱交換器31の場合を図示する。図9では、例えば設計条件等に基づいて事前に決定された「除霜可能な冷媒の温度」(好ましくは除霜に最適な温度)をTdefとし、Tdefに対する許容可能な温度差をdT1とする。従って、図9に示す例では、熱交換器31(除霜熱交換器の一例)に供給される冷媒の温度(熱交換器31での冷媒の入口温度T)がTdef以上Tdef+dT1以下の除霜設定範囲になるように、膨張弁41の開度が制御される。
【0046】
制御装置8(図6)は、温度センサ71により、熱交換器31での冷媒の入口温度Tを測定する。制御装置8は、入口温度Tが除霜設定範囲の下限値未満、即ちTdef未満であるか否かを判断する(ステップS1)。Tdef未満である場合(Yes)、入口温度Tが低すぎるために除霜できない可能性があるため、制御装置8は膨張弁41を開き、膨張弁41の開度を大きくする(ステップS2)。これにより、入口温度Tが上昇する。ステップS2の後、再度ステップS1が行われる。
【0047】
一方で、ステップS1で、入口温度Tが除霜設定範囲の下限値以上の場合(No)、制御装置8は、除霜設定範囲の上限値を超える、即ち、入口温度TがTdef+dT1を超えるか否を判断する(ステップS3)。超える場合(Yes)、入口温度Tが除霜可能な温度ではあるものの、除霜効率が低下する可能性がある。そこで、制御装置8は、膨張弁41を絞り、膨張弁41の開度を小さくする(ステップS4)。これにより、入口温度Tが低下する。ステップS4の後、再度ステップS1が行われる。
【0048】
ステップS3で入口温度TがTdef+dT1以下である場合(No)、入口温度Tは、Tdef≦T≦Tdef+dT1を満たし、除霜設定範囲に含まれるため、冷媒の入口温度Tは除霜に適した温度になっている。そこで、制御装置8は、Tdef≦T≦Tdef+dT1のため、膨張弁41の開度を維持する(ステップS5)。ステップS5の後、再度ステップS1が行われる。
【0049】
このように、制御装置8は、温度センサ71による測定値である例えば入口温度Tを、予め定められた所定値であるTdef及びTdef+dT1と比較することで、膨張弁41の開度をフィードバック制御する。これにより、熱交換器31に供給される冷媒の温度を除霜に適した温度にできる。
【0050】
図6に戻って、制御装置6は、熱交換器31から排出され、熱交換器32(蒸発熱交換器の一例)を流れる冷媒の温度(例えば熱交換器32での冷媒の入口温度)が蒸発可能な温度になるように、膨張弁41又は膨張弁61のうちの少なくとも一方の膨張弁の開度を制御する。膨張弁41は、膨張弁41又は膨張弁42のうちの熱交換器31(除霜熱交換器の一例)に接続される膨張弁である。膨張弁61は、膨張弁61又は膨張弁62のうち、配管29又は配管30のうちの冷媒が流れる配管29に配置された膨張弁である。このように膨張弁41,61を制御することで、除霜対象である熱交換器31から排出された冷媒を、熱交換器31の後段に設置された熱交換器32で蒸発できる。蒸発可能な温度は、例えば外気温等に基づき決定され、予め定められた外気温と蒸発温度との関係等に基づいて決定できる。ここでいう関係は、例えば後記すΔT0及びdT2を含む関係式である。
【0051】
なお、除霜熱交換器が熱交換器32である場合、制御装置8は、膨張弁42又は膨張弁62のうちの少なくとも一方の膨張弁の開度を制御する。膨張弁42は、膨張弁41又は膨張弁42のうちの熱交換器32に接続される膨張弁である。膨張弁62は、膨張弁61又は膨張弁62のうち、配管29又は配管30のうちの冷媒が流れる配管30に配置された膨張弁である。
【0052】
このとき、制御装置8は、少なくとも、膨張弁61又は膨張弁62のうち、配管29又は配管30のうちの冷媒が流れる配管29に配置された膨張弁61の開度を制御することが好ましい。このようにすることで、熱交換器32に流れる冷媒の温度を制御し易くでき、熱交換器32で冷媒を蒸発させ易くできる。なお、除霜熱交換器が熱交換器32である場合、制御装置8は、少なくとも、配管29又は配管30のうちの冷媒が流れる配管30に配置された膨張弁62の開度を制御することが好ましい。
【0053】
図10は、膨張弁61の制御方法を説明するフローチャートである。一例として図10は、除霜熱交換器が熱交換器31の場合を図示する。図10では、除霜暖房運転時に熱交換器32での蒸発に必要な外気温Taと冷媒の入口温度Tとの差分をΔT(=Ta-T)とする。蒸発可能なΔTの設計値をΔT0、ΔT0に対する許容可能な温度差をdT2とする。ΔT0は、例えば実験、試運転、シミュレーション等に基づいて予め決定できる。図10に示す例では、熱交換器32(蒸発熱交換器の一例)に供給される冷媒の入口温度TがΔT0以上ΔT0+dT2以下の蒸発設定範囲になるように、膨張弁61の開度が制御される。
【0054】
制御装置8(図6)は、温度センサ72(図6)及び外気温センサ88(図6)により、熱交換器32での冷媒の入口温度T及び外気温Taを測定し、ΔTを計算する。制御装置8は、ΔTが蒸発設定範囲の下限値未満、即ちΔT0未満であるか否かを判断する(ステップS11)。ΔT0未満である場合(Yes)、冷媒の入口温度Tが高いために温度差ΔTが小さく、外気温Taと同程度の温度であるため、冷媒が蒸発し難い可能性がある。そこで、制御装置8は膨張弁61を絞り、膨張弁61の開度を小さくする(ステップS12)。これにより、冷媒の入口温度Tを低下させて、温度差ΔTを大きくできる。ステップS12の後、再度ステップS11が行われる。
【0055】
一方で、ステップS11で、温度差ΔTが蒸発設定範囲の下限値以上の場合(No)、制御装置8は、蒸発設定範囲の上限値を超える、即ち、温度差ΔTがΔT0+dT2を超えるか否を判断する(ステップS13)。超える場合(Yes)、冷媒の入口温度Tが低いために温度差ΔTが大きく、蒸発し易いものの、温度が低すぎるために熱交換器32の後段に配置された圧縮機1に影響が出る可能性がある。そこで、制御装置8は、膨張弁61を開き、膨張弁61の開度を大きくする(ステップS14)。これにより、入口温度Tが上昇する。ステップS14の後、再度ステップS11が行われる。
【0056】
ステップS13で温度差ΔTがΔT0+dT2以下である場合(No)、温度差ΔTは、ΔT0≦ΔT≦ΔT0+dT2を満たし、蒸発設定範囲に含まれるため、温度差ΔTは蒸発に適した温度になっている。そこで、制御装置8は、ΔT0≦ΔT≦ΔT0+dT2のため、膨張弁61の開度を維持する(ステップS15)。ステップS15の後、再度ステップS11が行われる。
【0057】
このように、制御装置8は、熱交換器32(蒸発熱交換器)での冷媒の入口温度Tと外気温Taとから導かれる値である温度差ΔTと、熱交換器32で冷媒を蒸発させるために予め定められた所定値であるΔT0及びΔT0+dT2と、を比較することで、膨張弁61の開度をフィードバック制御する。これにより、熱交換器32に供給される冷媒の温度を蒸発に適した温度にできる。
【0058】
なお、蒸発熱交換器が熱交換器31である場合、熱交換器31での冷媒の入口温度Tと外気温Taとから導かれる値である温度差ΔTと、熱交換器31で冷媒を蒸発させるために予め定められた所定値であるΔT0及びΔT0+dT2と、を比較することで、膨張弁62の開度をフィードバック制御する。
【符号の説明】
【0059】
1 圧縮機
100 室内機
11 熱交換器(室内熱交換器)
12 膨張弁
13 室内ファン
14 室温センサ
18 受信部
2 四方弁
200 室外機
21 配管
22 分岐部(第1分岐部)
23 配管
24 分岐部(第2分岐部)
25 配管
25a 配管
26 配管
26a 配管
27 配管
27a 配管
28 配管
28a 配管
29 配管(第1配管)
30 配管(第2配管)
31 熱交換器(第1熱交換器、除霜熱交換器、蒸発熱交換器)
32 熱交換器(第2熱交換器、蒸発熱交換器、除霜熱交換器)
400 空気調和機
41 膨張弁(第1膨張弁)
42 膨張弁(第2膨張弁)
51 開閉弁(第1開閉弁)
52 開閉弁(第2開閉弁)
6 制御装置
61 膨張弁(第3膨張弁)
62 膨張弁(第4膨張弁)
71 温度センサ
72 温度センサ
8 制御装置
88 外気温センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10