(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053335
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
E02F3/43 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159534
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
(72)【発明者】
【氏名】山本 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 勝道
(72)【発明者】
【氏名】辺見 森象
(72)【発明者】
【氏名】金澤 亮
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003AC06
2D003BA03
2D003BB04
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】自動放土制御において作業効率の良い目標放土高さを適切に設定する作業機械を提供する。
【解決手段】現況地形を取得する現況地形取得部102と作業機械の前動作終了位置を取得する前動作終了位置取得部105とを備え、現況地形と前動作終了位置との高さ方向の位置関係に基づいて目標放土高さを設定し、自動放土動作を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に設けられる作業装置と、
前記作業装置の動作を制御する制御装置とを備えた作業機械において、
前記作業装置の姿勢を検出する作業装置姿勢検出装置と、
前記車体の位置を検出する車体位置検出装置とをさらに備え、
前記制御装置は、
地形検出装置から放土領域内の現況地形を取得する現況地形取得部と、
前記作業装置姿勢検出装置と前記車体位置検出装置とから前記作業機械の前動作終了位置を取得する前動作終了位置取得部と、
前記放土領域内の前記現況地形と前記前動作終了位置との高さ方向の位置関係に基づいて前記作業機械の作業装置の目標放土高さを設定する目標放土高さ設定部と、
前記目標放土高さに基づいて前記作業機械の作業装置の目標位置及び動作軌道を含む動作計画を作成する動作計画部と、
前記動作計画に基づいて前記作業装置の自動動作の実行を制御する自動動作制御部と、を有することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記制御装置は、前記現況地形からの放土高さに最小高さ、最大高さ、前記最小高さよりも高く前記最大高さよりも低い第1高さを設定するパラメータ設定部を有し、
前記目標放土高さ設定部は、前記現況地形取得部と前記前動作終了位置取得部と前記パラメータ設定部からの情報に基づき、前記前動作終了位置取得部において演算された前動作終了高さが前記現況地形から前記第1高さ未満の場合は前記現況地形からの距離が前記第1高さとなる高さに前記目標放土高さを設定し、前記前動作終了高さが前記現況地形から前記第1高さ以上で前記最大高さ未満の場合は前記前動作終了高さに前記目標放土高さを設定し、前記前動作終了高さが前記現況地形から前記最大高さ以上の場合は前記現況地形からの距離が前記最大高さとなる高さに前記目標放土高さを設定することを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記放土領域内の初期地形形状を記憶する記憶部と、
前記記憶部と前記現況地形取得部からの情報から、前記放土領域内の各位置における放土済み土砂高さを演算する土砂高さ演算部と、を備え、
前記パラメータ設定部は、第1閾値をさらに設定し、
前記目標放土高さ設定部は、前記前動作終了高さが前記現況地形から前記第1高さ未満の場合において水平面内の目標放土位置における土砂高さが前記第1閾値未満の場合は前記現況地形からの距離が前記第1高さとなる高さに前記目標放土高さを設定し、前記土砂高さが前記第1閾値以上の場合に前記前動作終了高さが前記現況地形から前記最小高さ未満の場合は前記現況地形からの距離が前記最小高さとなる高さに前記目標放土高さを設定し、前記土砂高さが前記第1閾値以上の場合に前記前動作終了高さが前記現況地形から前記最小高さ以上の場合は前記前動作終了高さに前記目標放土高さを設定することを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
障害物・進入禁止領域検出装置から車体周囲の障害物の情報または進入禁止領域の情報を取得する取得部と、
前記動作計画部において計画された前記動作軌道上における車体と車体上方の障害物との接触または車体の車体上方の進入禁止領域への進入を判定する判定部と、
前記判定部において車体上方の障害物との接触または車体上方の進入禁止領域への進入があると判定される場合には前記目標放土高さ設定部において設定された前記目標放土高さを設定済みの前記目標放土高さより低い高さである第2高さに修正し、前記判定部において車体上方の障害物との接触または車体上方の進入禁止領域への進入があると判定される限り前記第2高さをより低い高さに更新し、前記判定部において車体上方の障害物との接触または車体上方の進入禁止領域への進入が無いと判定される場合に前記第2高さに前記目標放土高さを設定する目標放土高さ修正部と、を備えることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械において、
前記目標放土高さ修正部は、前記目標放土高さにおいて前記第2高さをより低い高さに更新した結果、前記現況地形からの距離が前記最小高さよりも低い高さとなった場合には実行中の自動動作を一時停止することを特徴とする作業機械。
【請求項6】
車体と、前記車体に設けられる作業装置と、
前記作業装置の動作を制御する制御装置とを備えた作業機械において、
前記作業装置の姿勢を検出する作業装置姿勢検出装置と、
前記車体の位置を検出する車体位置検出装置とをさらに備え、
前記制御装置は、
地形検出装置から作業領域内の現況地形を取得する現況地形取得部と、
前記作業機械の前動作終了位置を取得する前動作終了位置取得部と、
前記作業領域内の前記現況地形と前記前動作終了位置との高さ方向の位置関係に基づいて前記作業機械の作業装置の目標高さを設定する目標高さ設定部と、
前記目標高さに基づいて前記作業機械の作業装置の目標位置及び動作軌道を含む動作計画を作成する動作計画部と、
前記動作計画に基づいて前記作業装置の自動動作の実行を制御する自動動作制御部と、を有することを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動放土制御を行う作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧アクチュエータで駆動される作業装置(例えばフロント作業装置)を備える作業機械(例えば油圧ショベル)によって土砂を掘削し、運搬装置(例えばベッセル)を備える運搬車両(例えばダンプトラック)に土砂を放土する掘削放土作業がある。
【0003】
このような掘削放土作業を自動制御で行うための研究が行われている。指定された位置に土砂を放土する際、放土された土砂は重力に従い落下するため、放土高さがある程度異なっていても同じ位置に放土された土砂の山が生成される。そのため、自動掘削放土作業における放土動作では、水平方向における放土位置を決定することに加えて鉛直方向における放土高さも適切に決定する必要がある。
【0004】
国際公開第2021/054436号(特許文献1)にはダンプトラックの位置を認識してショベルの放土動作の目標軌道を生成する技術が開示されている。この特許文献1では、ダンプトラックの荷台の底面に沿って所定の高さに目標軌道を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の技術を用いてダンプトラックに対する放土高さを決定することは可能である。しかし、作業装置を放土位置へ移動する動作の開始位置、すなわち、例えば前動作となる掘削作業の終了位置を考慮していないため、前動作の終了位置によっては作業装置の無駄な上げ動作または下げ動作が発生し、作業効率が低下する可能性がある。一方で、ダンプトラックのベッセルに対して高い位置から放土するほどダンプトラックへの放土の衝撃は大きくなり、ダンプトラックを破損させてしまう可能性がある。そのため、放土高さは運搬装置(例えばベッセル)を破損させない高さの範囲内で、作業装置を放土位置へ移動する動作における作業装置の上げ動作または下げ動作が必要最小限となる高さであることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的としてなされたものであり、前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さを適切に設定する作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の作業機械は、車体と、前記車体に設けられる作業装置と、前記作業装置の動作を制御する制御装置とを備えた作業機械において、前記作業装置の姿勢を検出する作業装置姿勢検出装置と、前記車体の位置を検出する車体位置検出装置とをさらに備え、前記制御装置は、地形検出装置から放土領域内の現況地形を取得する現況地形取得部と、前記作業装置姿勢検出装置と前記車体位置検出装置とから前記作業機械の前動作終了位置を取得する前動作終了位置取得部と、前記放土領域内の前記現況地形と前記前動作終了位置との高さ方向の位置関係に基づいて前記作業機械の作業装置の目標放土高さを設定する目標放土高さ設定部と、前記目標放土高さに基づいて前記作業機械の作業装置の目標位置及び動作軌道を含む動作計画を作成する動作計画部と、前記動作計画に基づいて前記作業装置の自動動作の実行を制御する自動動作制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さを適切に設定する作業機械を提供することができる。
【0010】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の第1実施形態における制御コントローラの機能ブロック図。
【
図3】本発明の第1実施形態における目標放土高さ設定フローチャート。
【
図4】本発明の第1実施形態における目標放土高さ設定の説明図であり、(a)は、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+第1高さよりも低い場合、(b)は、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+第1高さ以上、放土位置における地形高さ+最大高さよりも低い場合、(c)は、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最大高さ以上の場合の図。
【
図5】本発明の第2実施形態における制御コントローラの機能ブロック図。
【
図6】本発明の第2実施形態における目標放土高さ設定フローチャート。
【
図7】本発明の第2実施形態における目標放土高さ設定の説明図であり、(a)は、放土済み土砂高さが第1閾値よりも低い場合、(b)は、放土済み土砂高さが第1閾値以上、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最小高さよりも低い場合、(c)は、放土済み土砂高さが第1閾値以上、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最小高さ以上の場合の図。
【
図8】本発明の第3実施形態における制御コントローラの機能ブロック図。
【
図9】本発明の第3実施形態における目標放土高さ設定フローチャート。
【
図10】本発明の第3実施形態における目標放土高さ修正の説明図であり、(a)は、目標放土高さ修正前の動作計画、(b)は、目標放土高さ修正後の動作計画の図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各図において、同一の機能を有する部分には同一の符号を付して繰り返し説明を省略する場合がある。なお、以下では、作業装置の先端の作業具(アタッチメント)としてバケット10を備える油圧ショベルを例示するが、バケット以外のアタッチメントを備える作業機械で本発明を適用しても構わない。さらに、複数のリンク部材(アタッチメント、アーム、ブーム等)を連結して構成される多関節型の作業装置を有するものであれば油圧ショベル以外の作業機械への適用も可能である。
【0013】
また、本稿では、或る形状を示す用語(例えば、目標面、設計面等)とともに用いられる「上」、「上方」又は「下方」という語の意味に関し、「上」は当該或る形状の「表面」を意味し、「上方」は当該或る形状の「表面より高い位置」を意味し、「下方」は当該或る形状の「表面より低い位置」を意味することとする。また、以下の説明では、同一の構成要素が複数存在する場合、符号(数字)の末尾にアルファベットを付すことがあるが、当該アルファベットを省略して当該複数の構成要素をまとめて表記することがある。例えば、2つのポンプ300a、300bが存在するとき、これらをまとめてポンプ300と表記することがある。
【0014】
[第1実施形態]
<基本構成>
図1は本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの構成図である。
【0015】
図1において、油圧ショベル1は、多関節型のフロント作業装置1Aと、車体1Bで構成されている。車体1Bは、左右の走行油圧モータ3a、3b(走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3b)により走行する下部走行体11と、下部走行体11の上に取り付けられ、旋回油圧モータ4により旋回する上部旋回体12とからなる。フロント作業装置1Aは、垂直方向にそれぞれ回動する複数の被駆動部材(ブーム8、アーム9及びバケット10)を連結して構成されている。ブーム8の基端は上部旋回体12の前部においてブームピンを介して回動可能に支持されている。ブーム8の先端にはアームピンを介してアーム9が回動可能に連結されており、アーム9の先端にはバケットピンを介してバケット10が回動可能に連結されている。ブーム8はブームシリンダ5によって駆動され、アーム9はアームシリンダ6によって駆動され、バケット10はバケットシリンダ7によって駆動される。
【0016】
上部旋回体12に搭載された原動機であるエンジン18は、油圧ポンプ2を駆動する。油圧ポンプ2から吐出された圧油は、図示しない流量制御弁を介して走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3b、旋回油圧モータ4、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7に供給される。供給された圧油によってブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7が伸縮することで、ブーム8、アーム9、バケット10がそれぞれ回動し、バケット10の位置及び姿勢が変化する。また、供給された圧油によって旋回油圧モータ4が回転することで、下部走行体11に対して上部旋回体12が旋回する。そして、供給された圧油によって走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3bが回転することで、下部走行体11が走行する。
【0017】
自動動作制御においては図示しない流量制御弁は電磁比例弁54、55、56、57、58、59からのパイロット油圧信号によって駆動され、走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3b、旋回油圧モータ4、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7を動作させる。電磁比例弁54、55、56、57、58、59は上部旋回体12に設けられた制御コントローラ40からの制御指令によって制御される(
図2参照)。
【0018】
ブーム8、アーム9、バケット10の回動角度を測定可能なように、ブーム8にブーム角度センサ30、アーム9にアーム角度センサ31、バケットリンク13にバケット角度センサ32が取り付けられ、上部旋回体12には基準面(例えば水平面)に対する上部旋回体12(車体1B)の傾斜角を検出する車体傾斜角センサ33が取り付けられ、車体1Bの位置を検出する車体位置検出装置36が取り付けられている。
【0019】
作業装置姿勢検出装置50(
図2)は、ブーム角度センサ30、アーム角度センサ31、バケット角度センサ32、車体傾斜角センサ33から構成される。これらの角度センサ30、31、32、33はフロント作業装置1Aの姿勢センサとして機能している。
【0020】
なお、
図1においては、上部旋回体12に運転室20が設けられ、運転室20内には、走行右油圧モータ3a(下部走行体11)を操作するための走行右レバー23aと、走行左油圧モータ3b(下部走行体11)を操作するための走行左レバー23bと、ブームシリンダ5(ブーム8)及びバケットシリンダ7(バケット10)を操作するための操作右レバー22aと、アームシリンダ6(アーム9)及び旋回油圧モータ4(上部旋回体12)を操作するための操作左レバー22bが設置されている。ただし、自動動作制御においては運転室20は設けなくてもよい。
【0021】
<制御コントローラ40>
図2は、制御コントローラ40の機能ブロック図である。制御コントローラ40は、位置姿勢演算部43bと、電磁比例弁制御部44と、アクチュエータ制御部81と、動作計画部90と、自動動作制御部91と、第1入力部100と、現況地形取得部102と、パラメータ設定部104と、前動作終了位置取得部105と、目標放土高さ設定部107とを備えている。
【0022】
第1入力部100には、外部システム200からタスク情報が入力される。タスク情報は、例えば放土領域の情報を含む。
【0023】
位置姿勢演算部43bは、作業装置姿勢検出装置50と車体位置検出装置36からの情報に基づき、油圧ショベル1の位置座標と、フロント作業装置1Aの姿勢と、バケット10の爪先の位置を演算する。
【0024】
前動作終了位置取得部105は、作業装置姿勢検出装置50と車体位置検出装置36からの情報に基づき、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の前動作が終了したときの油圧ショベル1の位置座標と、フロント作業装置1Aの姿勢と、バケット10の爪先の位置を演算する。フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の前動作とは一般的には掘削動作等が該当し、掘削動作終了位置から放土位置までの間にダンプトラックのベッセル側壁等の障害物がある場合には障害物回避動作等が該当するがこれ以外の動作であっても良い。
【0025】
現況地形取得部102は、地形検出装置110からの情報に基づき、油圧ショベル1の周囲の地形情報を演算する。
【0026】
パラメータ設定部104には、予め最小高さ、最大高さ、前記最小高さよりも高く前記最大高さよりも低い第1高さのパラメータが記憶されている。
【0027】
目標放土高さ設定部107は、第1入力部100と前動作終了位置取得部105と現況地形取得部102からの情報及びパラメータ設定部104に記憶されたパラメータを用いて、前動作終了位置と現況地形の高さ方向の位置関係に基づき目標放土高さを演算する。
【0028】
動作計画部90は、第1入力部100から取得したタスク情報と目標放土高さ設定部107で設定した目標放土高さに基づき、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の各時刻における油圧ショベル1の予定位置座標とフロント作業装置1Aの予定姿勢と、バケット10の爪先の位置の予定軌道である予定動作軌道を演算し、動作計画情報として自動動作制御部91に出力する。言い換えると、動作計画部90は、フロント作業装置1Aの目標位置及び動作軌道を含む動作計画を作成し、動作計画結果(動作計画情報)を自動動作制御部91に出力する。
【0029】
自動動作制御部91は、動作計画部90からの動作計画情報に基づいて各油圧アクチュエータ3a、3b、4、5、6、7の速度指令を演算し、アクチュエータ制御部81に出力する。
【0030】
アクチュエータ制御部81は、自動動作制御部91から出力される各油圧アクチュエータ3a、3b、4、5、6、7の速度指令に基づき、各油圧アクチュエータ3a、3b、4、5、6、7の図示しない流量制御弁の目標パイロット圧を演算し、その演算した目標パイロット圧を電磁比例弁制御部44に出力する。
【0031】
電磁比例弁制御部44は、アクチュエータ制御部81から出力される各流量制御弁への目標パイロット圧を基に、各電磁比例弁54、55、56、57、58、59への制御指令を演算する。
【0032】
<目標放土高さ設定フロー>
図3に制御コントローラ40における目標放土高さ設定のフローを示す。
【0033】
S100では、第1入力部100は、外部システム200から入力されたタスク情報を取得する。
【0034】
S120では、パラメータ設定部104に予め記憶されている最小高さ、最大高さ、前記最小高さよりも高く前記最大高さよりも低い第1高さのパラメータが設定される。
【0035】
S130では、前動作終了位置取得部105は、作業装置姿勢検出装置50と車体位置検出装置36からフロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の前動作が終了したときの油圧ショベル1の位置座標と、フロント作業装置1Aの姿勢を取得し、バケット10の爪先の高さ(前動作終了高さ)を演算する。
【0036】
S140では、現況地形取得部102は、地形検出装置110から油圧ショベル1の周囲の現況地形情報を取得する。なお、本実施形態では、油圧ショベル1が周囲の地形をセンサで計測しているが、他の計測システムで計測した地形情報をサーバ等から取得しても良い。
【0037】
S150では、目標放土高さ設定部107は、S100で取得したタスク情報とS120で設定したパラメータとS130で取得した前動作終了高さとS140で取得した現況地形情報から、前動作終了高さが放土領域における地形高さ+第1高さよりも低いか否かの判定を行う。S150でYESと判定された場合はS200に進み、NOと判定された場合はS160に進む。
【0038】
S160では、S150でNOと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、S100で取得したタスク情報とS120で設定したパラメータとS130で取得した前動作終了高さとS140で取得した現況地形情報から、前動作終了高さが放土領域における地形高さ+最大高さよりも低いか否かの判定を行う。S160でYESと判定された場合はS220に進み、NOと判定された場合はS230に進む。
【0039】
S200では、S150でYESと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、目標放土高さを地形高さ+第1高さに設定する。
【0040】
S220では、S160でYESと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、目標放土高さを前動作終了高さに設定する。
【0041】
S230では、S160でNOと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、目標放土高さを地形高さ+最大高さに設定する。
【0042】
S250では、S100で取得したタスク情報とS200またはS220またはS230で設定した目標放土高さに基づき、動作計画部90は、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の各時刻における油圧ショベル1の動作計画である予定動作軌道、すなわち、油圧ショベル1の予定位置座標とフロント作業装置1Aの予定姿勢を演算する。
【0043】
S270では、自動動作制御部91は、S250で演算した動作計画結果を基に各油圧アクチュエータ3a、3b、4、5、6、7の目標速度を演算し、自動動作(自動放土制御)を実行する。
【0044】
<動作・効果>
上記のように構成される制御システムが油圧ショベル1の自動掘削放土作業中に目標放土高さを設定する様子を
図4に示す。
【0045】
管理者または管理システムはタスク情報の入力を行う(第1入力部100)。
図4では油圧ショベル1には掘削放土タスクが入力される。掘削放土タスクでは掘削範囲及び放土範囲が入力される。
【0046】
入力されたタスク情報に基づき、掘削動作やダンプトラックのベッセルを回避する動作等、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる前に行うべき動作が自動で行われる。掘削動作や回避動作については本実施形態では特に説明しない。
【0047】
次に、入力されたタスク情報に基づいて決定される放土位置に対して本実施形態を用いて放土高さの決定を行う。
【0048】
前動作終了位置取得部105において前動作が終了したときのバケット10の爪先の高さ(前動作終了高さ)が演算される。すなわち、
図4(a)、(b)のように掘削動作終了後にフロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる場合は掘削動作終了時のバケット10の爪先の高さが演算され、
図4(c)のようにベッセルを回避する動作の終了後にフロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる場合は回避動作終了時のバケット10の爪先の高さが演算される。
【0049】
次に、現況地形取得部102において油圧ショベル1の周囲の地形情報を取得し、パラメータ設定部104において設定されたパラメータを用いて、目標放土高さ設定部107において前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さが設定される。
図4(a)のように前動作終了高さが放土位置における地形高さ+第1高さよりも低い場合はS150でYESと判定され、S200で目標放土高さが地形高さ+第1高さに設定される。
図4(b)のように前動作終了高さが放土位置における地形高さ+第1高さ以上、放土位置における地形高さ+最大高さよりも低い場合はS150でNOと判定されてS160でYESと判定され、S220で目標放土高さが前動作終了高さに設定される。
図4(c)のように前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最大高さ以上の場合はS150でNOと判定されてS160でNOと判定され、S230で目標放土高さが地形高さ+最大高さに設定される。
【0050】
すなわち、本実施形態の制御コントローラ40は、放土領域内の現況地形からの放土高さに最小高さ、最大高さ、前記最小高さよりも高く前記最大高さよりも低い第1高さを設定するパラメータ設定部104を有する。
【0051】
そして、目標放土高さ設定部107は、第1入力部100と現況地形取得部102と前動作終了位置取得部105とパラメータ設定部104からの情報に基づき、前動作終了位置取得部105において演算された前動作終了高さが現況地形(地形高さ)から第1高さ未満の場合は現況地形(地形高さ)からの距離が第1高さとなる高さに目標放土高さを設定する(
図4(a)のように前動作終了高さが放土位置における地形高さ+第1高さよりも低い場合は、目標放土高さが地形高さ+第1高さに設定される)。また、前動作終了高さが現況地形(地形高さ)から第1高さ以上で最大高さ未満の場合は前動作終了高さに目標放土高さを設定する(
図4(b)のように前動作終了高さが放土位置における地形高さ+第1高さ以上、放土位置における地形高さ+最大高さよりも低い場合は、目標放土高さが前動作終了高さに設定される)。また、前動作終了高さが現況地形(地形高さ)から最大高さ以上の場合は現況地形(地形高さ)からの距離が最大高さとなる高さに目標放土高さを設定する(
図4(c)のように前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最大高さ以上の場合は、目標放土高さが地形高さ+最大高さに設定される)。
【0052】
次に、入力されたタスク情報と設定された目標放土高さに基づき動作計画部90で動作計画を行い、自動動作制御部91でフロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる自動動作(自動放土制御)が実行される。
【0053】
上記のように構成される制御システムとすることで、前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さを適切に設定することができる。
【0054】
[第2実施形態]
図5及び
図6及び
図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。以下では第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0055】
<制御コントローラ40>
図5は、制御コントローラ40の機能ブロック図である。制御コントローラ40は、位置姿勢演算部43bと、電磁比例弁制御部44と、アクチュエータ制御部81と、動作計画部90と、自動動作制御部91と、第1入力部100と、記憶部101と、現況地形取得部102と、土砂高さ演算部103と、パラメータ設定部104と、前動作終了位置取得部105と、目標放土高さ設定部107とを備えている。
【0056】
記憶部101は、タスク開始時に地形検出装置110からの情報に基づき放土領域内の初期地形形状を記憶する。
【0057】
土砂高さ演算部103は、記憶部101に記憶された放土領域内の初期地形形状と現況地形取得部102からの現在の地形情報を比較することで、放土領域内に放土された土砂の高さ(放土済み土砂高さ)を演算する。
【0058】
パラメータ設定部104には、予め最小高さ、最大高さ、前記最小高さよりも高く前記最大高さよりも低い第1高さ、第1閾値のパラメータが記憶されている。第1閾値とは、バケット10の爪先と地面やベッセル等との接触回避を考慮した土砂高さに関連する閾値である。
【0059】
目標放土高さ設定部107は、第1入力部100と土砂高さ演算部103と前動作終了位置取得部105と現況地形取得部102からの情報及びパラメータ設定部104に記憶されたパラメータを用いて、前動作終了位置と現況地形の高さ方向の位置関係に基づき目標放土高さを演算する。
【0060】
<目標放土高さ設定フロー>
図6に制御コントローラ40における目標放土高さ設定のフローを示す。
【0061】
S110では、記憶部101は、地形検出装置110から放土領域内の初期地形形状を保存する。
【0062】
S120では、パラメータ設定部104に予め記憶されている最小高さ、最大高さ、前記最小高さよりも高く前記最大高さよりも低い第1高さ、第1閾値のパラメータが設定される。
【0063】
S150では、目標放土高さ設定部107は、S100で取得したタスク情報とS120で設定したパラメータとS130で取得した前動作終了高さとS140で取得した現況地形情報から、前動作終了高さが放土領域における地形高さ+第1高さよりも低いか否かの判定を行う。S150でYESと判定された場合はS170に進み、NOと判定された場合はS160に進む。
【0064】
S160では、S150でNOと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、S100で取得したタスク情報とS120で設定したパラメータとS130で取得した前動作終了高さとS140で取得した現況地形情報から、前動作終了高さが放土領域における地形高さ+最大高さよりも低いか否かの判定を行う。S160でYESと判定された場合はS220に進み、NOと判定された場合はS230に進む。
【0065】
S170では、S150でYESと判定された場合に、土砂高さ演算部103は、S110で保存した放土領域内の初期地形形状とS140で取得した現況地形情報から放土領域内の各位置における放土済み土砂高さを演算する。
【0066】
S180では、目標放土高さ設定部107は、S100で取得したタスク情報とS120で設定したパラメータとS170で演算した放土済み土砂高さから、放土済み土砂高さが第1閾値よりも低いか否かの判定を行う。S180でYESと判定された場合はS200に進み、NOと判定された場合はS190に進む。
【0067】
S190では、S180でNOと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、S100で取得したタスク情報とS120で設定したパラメータとS130で取得した前動作終了高さとS140で取得した現況地形情報から、前動作終了高さが放土領域における地形高さ+最小高さよりも低いか否かの判定を行う。S190でYESと判定された場合はS210に進み、NOと判定された場合はS220に進む。
【0068】
S200では、S180でYESと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、目標放土高さを地形高さ+第1高さに設定する。
【0069】
S210では、S190でYESと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、目標放土高さを地形高さ+最小高さに設定する。
【0070】
S220では、S160でYESと判定された場合またはS190でNOと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、目標放土高さを前動作終了高さに設定する。
【0071】
S230では、S160でNOと判定された場合に、目標放土高さ設定部107は、目標放土高さを地形高さ+最大高さに設定する。
【0072】
S250では、S100で取得したタスク情報とS200またはS210またはS220またはS230で設定した目標放土高さに基づき、動作計画部90は、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の各時刻における油圧ショベル1の動作計画である予定動作軌道、すなわち、油圧ショベル1の予定位置座標とフロント作業装置1Aの予定姿勢を演算する。
【0073】
<動作・効果>
上記のように構成される制御システムが油圧ショベル1の自動掘削放土作業中に目標放土高さを設定する様子を
図7に示す。本実施形態では、特に、
図4(a)のように前動作終了高さが放土位置における地形高さ+第1高さよりも低い場合(換言すると、前動作終了高さが現況地形から第1高さ未満の場合)における効果を説明する。
【0074】
管理者または管理システムはタスク情報の入力を行う(第1入力部100)。
図7では油圧ショベル1には掘削放土タスクが入力される。掘削放土タスクでは掘削範囲及び放土範囲が入力される。また、記憶部101は、地形検出装置110からの情報に基づき放土領域内の初期地形形状を記憶する。
【0075】
入力されたタスク情報に基づき、掘削動作やダンプトラックのベッセルを回避する動作等、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる前に行うべき動作が自動で行われる。掘削動作や回避動作については本実施形態では特に説明しない。
【0076】
次に、入力されたタスク情報に基づいて決定される放土位置に対して本実施形態を用いて放土高さの決定を行う。
【0077】
前動作終了位置取得部105において前動作が終了したときのバケット10の爪先の高さ(前動作終了高さ)が演算される。
【0078】
次に、現況地形取得部102において油圧ショベル1の周囲の地形情報を取得し、パラメータ設定部104において設定されたパラメータを用いて、目標放土高さ設定部107において目標放土高さ設定のための判定が行われる。
図7(a)、(b)、(c)は前動作終了高さが放土位置における地形高さ(土砂高さ)+第1高さよりも低いため、S150でYESと判定される。なお、S150でNOと判定された場合の以降の動作は第1実施形態と同様である。S150でYESと判定された場合は、土砂高さ演算部103において放土領域内の各位置における放土済み土砂高さを演算し、さらに目標放土高さ設定部107において、放土済み土砂高さと、前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さが設定される。
図7(a)のように放土済み土砂高さが第1閾値よりも低い場合はS180でYESと判定され、S200で目標放土高さが地形高さ+第1高さに設定される。
図7(b)のように放土済み土砂高さが第1閾値以上、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最小高さよりも低い場合はS180でNOと判定されてS190でYESと判定され、S210で目標放土高さが地形高さ+最小高さに設定される。
図7(c)のように放土済み土砂高さが第1閾値以上、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最小高さ以上の場合はS180でNOと判定されてS190でNOと判定され、S220で目標放土高さが前動作終了高さに設定される。
【0079】
すなわち、本実施形態の制御コントローラ40は、放土領域内の初期地形形状を記憶する記憶部101と、記憶部101と現況地形取得部102からの情報から、放土領域内の各位置における放土済み土砂高さを演算する土砂高さ演算部103と、を備え、パラメータ設定部104は、第1閾値をさらに設定する。
【0080】
そして、目標放土高さ設定部107は、前動作終了位置取得部105において演算された前動作終了高さが現況地形(地形高さ)から第1高さ未満の場合において水平面内の目標放土位置における土砂高さ(放土済み土砂高さ)が第1閾値未満の場合は現況地形(地形高さ)からの距離が第1高さとなる高さに目標放土高さを設定する(
図7(a)のように放土済み土砂高さが第1閾値よりも低い場合は、目標放土高さが地形高さ+第1高さに設定される)。また、前記土砂高さ(放土済み土砂高さ)が第1閾値以上の場合に前動作終了高さが現況地形(地形高さ)から最小高さ未満の場合は現況地形(地形高さ)からの距離が最小高さとなる高さに目標放土高さを設定する(
図7(b)のように放土済み土砂高さが第1閾値以上、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最小高さよりも低い場合は、目標放土高さが地形高さ+最小高さに設定される)。また、前記土砂高さ(放土済み土砂高さ)が第1閾値以上の場合に前動作終了高さが現況地形(地形高さ)から最小高さ以上の場合は前動作終了高さに目標放土高さを設定する(
図7(c)のように放土済み土砂高さが第1閾値以上、前動作終了高さが放土位置における地形高さ+最小高さ以上の場合は、目標放土高さが前動作終了高さに設定される)。
【0081】
次に、入力されたタスク情報と設定された目標放土高さに基づき動作計画部90で動作計画を行い、自動動作制御部91でフロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる自動動作(自動放土制御)が実行される。
【0082】
上記のように構成される制御システムとすることで、放土済み土砂高さと、前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さを適切に設定することができる。
【0083】
[第3実施形態]
図8及び
図9及び
図10を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。以下では第1実施形態及び第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0084】
<制御コントローラ40>
図8は、制御コントローラ40の機能ブロック図である。制御コントローラ40は、位置姿勢演算部43bと、電磁比例弁制御部44と、アクチュエータ制御部81と、動作計画部90と、自動動作制御部91と、第1入力部100と、記憶部101と、現況地形取得部102と、土砂高さ演算部103と、パラメータ設定部104と、前動作終了位置取得部105と、取得部106と、目標放土高さ設定部107と、判定部108と、目標放土高さ修正部109とを備えている。
【0085】
取得部106は、障害物・進入禁止領域検出装置111から油圧ショベル1の周囲の障害物または進入禁止領域の情報を取得する。
【0086】
目標放土高さ設定部107は、第1入力部100と土砂高さ演算部103と前動作終了位置取得部105と現況地形取得部102からの情報及びパラメータ設定部104に記憶されたパラメータを用いて、前動作終了位置と現況地形の高さ方向の位置関係に基づき目標放土高さを演算する。
【0087】
動作計画部90は、第1入力部100から取得したタスク情報と目標放土高さ設定部107で設定した目標放土高さまたは目標放土高さ修正部109において修正された目標放土高さに基づき、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の各時刻における油圧ショベル1の予定位置座標とフロント作業装置1Aの予定姿勢と、バケット10の爪先の位置の予定軌道である予定動作軌道を演算し、動作計画情報として判定部108に出力する。言い換えると、動作計画部90は、フロント作業装置1Aの目標位置及び動作軌道を含む動作計画を作成し、動作計画結果(動作計画情報)を判定部108に出力する。
【0088】
判定部108は、動作計画部90と取得部106からの情報に基づき、予定動作軌道と車体上方の障害物との接触または予定動作軌道の車体上方の進入禁止領域への進入の有無を判定し、判定結果と判定に用いた動作計画部90において演算された動作計画結果を目標放土高さ修正部109に出力する。
【0089】
目標放土高さ修正部109は、判定部108において予定動作軌道と車体上方の障害物との接触または予定動作軌道の車体上方の進入禁止領域への進入があると判定された場合に設定済みの目標放土高さを(当該設定済みの目標放土高さ)より低い高さに修正し、修正した目標放土高さを動作計画部90に出力する。判定部108において予定動作軌道と車体上方の障害物との接触または予定動作軌道の車体上方の進入禁止領域への進入が無いと判定された場合は目標放土高さの修正を行わず判定部108を介して入力された動作計画部90において演算された動作計画結果をそのまま自動動作制御部91に出力する。
【0090】
<目標放土高さ設定フロー>
図9に制御コントローラ40における目標放土高さ設定のフローを示す。
【0091】
S240では、第2高さ初期値をS200またはS210またはS220またはS230で設定した目標放土高さに設定する。
【0092】
S250では、S100で取得したタスク情報とS200またはS210またはS220またはS230またはS300で設定した目標放土高さに基づき、動作計画部90は、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作の各時刻における油圧ショベル1の動作計画である予定動作軌道、すなわち、油圧ショベル1の予定位置座標とフロント作業装置1Aの予定姿勢を演算する。
【0093】
S260では、判定部108は、動作計画部90と取得部106からの情報に基づき、予定動作軌道と車体上方の障害物との接触または予定動作軌道の車体上方の進入禁止領域への進入の有無を判定する。S260でYESと判定された場合はS280に進み、NOと判定された場合はS270に進む。なお、本実施形態では、取得部106は、障害物・進入禁止領域検出装置111から情報を取得しているが、サーバ等から情報を取得しても良い。
【0094】
S270では、S260でNOと判定された場合に、自動動作制御部91は、S250で演算した動作計画結果を基に各油圧アクチュエータ3a、3b、4、5、6、7の目標速度を演算し、自動動作(自動放土制御)を実行する。
【0095】
S280では、S260でYESと判定された場合に、目標放土高さ修正部109は、設定済みの第2高さをより低い高さに更新する。更新方法は、第2高さから一定値(例えば10cm)を減じる方法や、第2高さに一定値(例えば0.9)を乗ずる方法等が考えられるがこれ以外の方法を用いても良い。
【0096】
S290では、目標放土高さ修正部109は、S120で設定したパラメータとS140で取得した現況地形情報から、S280で更新した第2高さが地形高さ+最小高さ以上か否かの判定を行う。S290でYESと判定された場合はS300に進み、NOと判定された場合はS310に進む。
【0097】
S300では、S290でYESと判定された場合に、目標放土高さ修正部109は、目標放土高さを第2高さに設定し、S250に戻る。これにより、判定部108において車体上方の障害物との接触または車体上方の進入禁止領域への進入があると判定される限り第2高さをより低い高さに更新する。
【0098】
S310では、S290でNOと判定された場合に、目標放土高さ修正部109は、自動動作制御部91への動作計画結果の出力を行わない。これにより、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる動作は実行されないため、自動動作(自動放土制御)は一時停止される。
【0099】
<動作・効果>
上記のように構成される制御システムが油圧ショベル1の自動掘削放土作業中に目標放土高さを設定する様子を
図10に示す。
図10(a)は目標放土高さ修正前の動作計画、
図10(b)は目標放土高さ修正後の動作計画を表している。
【0100】
管理者または管理システムはタスク情報の入力を行う(第1入力部100)。
図10では油圧ショベル1には掘削放土タスクが入力される。掘削放土タスクでは掘削範囲及び放土範囲が入力される。また、記憶部101は、地形検出装置110からの情報に基づき放土領域内の初期地形形状を記憶する。
【0101】
入力されたタスク情報に基づき、掘削動作やダンプトラックのベッセルを回避する動作等、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる前に行うべき動作が自動で行われる。掘削動作や回避動作については本実施形態では特に説明しない。
【0102】
次に、入力されたタスク情報に基づいて決定される放土位置に対して本実施形態を用いて放土高さの決定を行う。
【0103】
前動作終了位置取得部105において前動作が終了したときのバケット10の爪先の高さ(前動作終了高さ)が演算される。
【0104】
次に、現況地形取得部102において油圧ショベル1の周囲の地形情報を取得し、パラメータ設定部104において設定されたパラメータを用いて、目標放土高さ設定部107において目標放土高さ設定のための判定が行われる。
図10(a)は前動作終了高さが放土位置における地形高さ(土砂高さ)+第1高さ以上、放土位置における地形高さ(土砂高さ)+最大高さよりも低いため、S150でNOと判定されてS160でYESと判定され、S220で目標放土高さが前動作終了高さに設定される。
【0105】
次に、入力されたタスク情報とS220で設定された目標放土高さに基づき動作計画部90で動作計画を行う。
【0106】
次に、動作計画部90で演算された動作計画結果と取得部106において取得した油圧ショベル1の周囲の障害物または進入禁止領域の情報から、判定部108は、予定動作軌道と車体上方の障害物との接触または予定動作軌道の車体上方の進入禁止領域への進入の有無を判定する。
図10(a)の動作計画結果では、フロント作業装置1Aの一部が進入禁止領域に進入しているため、S260でYESと判定され、第2高さが初期値である前動作終了高さからより低い高さに更新される。更新した第2高さは地形高さ+最小高さ以上であるため、S290でYESと判定され、目標放土高さが更新した第2高さに修正される。
【0107】
次に、入力されたタスク情報とS300で修正された目標放土高さに基づき動作計画部90で再度動作計画を行う。
【0108】
次に、動作計画部90で再度演算された動作計画結果と取得部106において取得した油圧ショベル1の周囲の障害物または進入禁止領域の情報から、判定部108は、予定動作軌道と車体上方の障害物との接触または予定動作軌道の車体上方の進入禁止領域への進入の有無を判定する。
図10(b)の動作計画結果では、フロント作業装置1Aが進入禁止領域に進入していないため、S260でNOと判定され、フロント作業装置1Aを放土位置まで移動させる自動動作(自動放土制御)が実行される。
【0109】
すなわち、本実施形態の制御コントローラ40は、障害物・進入禁止領域検出装置111から車体周囲の障害物の情報または進入禁止領域の情報を取得する取得部106と、動作計画部90において計画された動作軌道上における車体と車体上方の障害物との接触または車体の車体上方の進入禁止領域への進入を判定する判定部108と、目標放土高さ修正部109と、を備える。目標放土高さ修正部109は、判定部108において車体上方の障害物との接触または車体上方の進入禁止領域への進入があると判定される場合には目標放土高さ設定部107において設定された目標放土高さを設定済みの目標放土高さより低い高さである第2高さに修正し、判定部108において車体上方の障害物との接触または車体上方の進入禁止領域への進入があると判定される限り第2高さをより低い高さに更新する。また、判定部108において車体上方の障害物との接触または車体上方の進入禁止領域への進入が無いと判定される場合に(第2高さの更新を行わずに)第2高さに目標放土高さを設定する。
【0110】
また、目標放土高さ修正部109は、目標放土高さにおいて第2高さをより低い高さに更新した結果、現況地形(地形高さ)からの距離が最小高さよりも低い高さとなった場合には(更新した第2高さが地形高さ+最小高さ未満となった場合には)実行中の自動動作(自動放土制御)を一時停止する。
【0111】
上記のように構成される制御システムとすることで、車体上方の障害物または進入禁止領域も考慮した上で、放土済み土砂高さと、前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さを適切に設定することができる。
【0112】
[まとめ]
以上で説明したように、本実施形態の作業機械(油圧ショベル)1は、放土領域の情報を含むタスク情報が入力される第1入力部100と、地形検出装置110から放土領域内の現況地形を取得する現況地形取得部102と、前記作業装置姿勢検出装置50と前記車体位置検出装置36とから前記作業機械の前動作終了位置(前動作終了高さ)を取得する前動作終了位置取得部105と、前記放土領域内の前記現況地形と前記前動作終了位置(前動作終了高さ)との高さ方向の位置関係に基づいて前記作業機械の作業装置(フロント作業装置)1Aの目標放土高さを設定する目標放土高さ設定部107と、前記目標放土高さに基づいて前記作業機械の作業装置の目標位置及び動作軌道を含む動作計画を作成する動作計画部90と、前記動作計画に基づいて前記作業装置(フロント作業装置)1Aの自動動作(自動放土制御)の実行を制御する自動動作制御部91と、を有する制御装置(制御コントローラ)40を備える。
【0113】
本実施形態によれば、前動作終了高さと放土位置における地形高さとの位置関係に基づいて目標放土高さを適切に設定する作業機械の制御システムを提供することができる。
【0114】
上記の実施形態では、自動掘削放土作業を行う油圧ショベルを例に示したが、指定された位置や領域に対象物(例えばアタッチメントでクランプした対象物)を上方から落下させる作業を行う作業機械に適用しても良い。
【0115】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0116】
また、上記した実施形態のコントローラの各機能は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計することによりハードウェアで実現してもよい。また、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、コントローラ内の記憶装置の他に、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0117】
1…油圧ショベル(作業機械)
1A…フロント作業装置
1B…車体
3…走行油圧モータ
4…旋回油圧モータ
5…ブームシリンダ
6…アームシリンダ
7…バケットシリンダ
8…ブーム
9…アーム
10…バケット
30…ブーム角度センサ
31…アーム角度センサ
32…バケット角度センサ
36…車体位置検出装置
40…制御コントローラ(制御装置)
43b…位置姿勢演算部
44…電磁比例弁制御部
50…作業装置姿勢検出装置
81…アクチュエータ制御部
90…動作計画部
91…自動動作制御部
100…第1入力部
101…記憶部
102…現況地形取得部
103…土砂高さ演算部
104…パラメータ設定部
105…前動作終了位置取得部
106…取得部
107…目標放土高さ設定部
108…判定部
109…目標放土高さ修正部
110…地形検出装置
111…障害物・進入禁止領域検出装置
200…外部システム