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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053341
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
H01L21/304 642A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159541
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】前川 直嗣
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB62
5F157AB74
5F157AC02
5F157AC25
5F157BB04
5F157CB01
5F157CD42
5F157DB22
5F157DB24
5F157DB28
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】基板の表面処理の均一性を維持することができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】処理槽10に貯留されている純水中に基板Wを浸漬して水洗を行う浸漬処理が終了した後、処理槽10よりも上方の引き上げ位置に基板Wを引き上げた状態で上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50から基板Wに純水をシャワー状に吹き付けてシャワーリンス処理を行う。処理槽10の外側に基板Wを移動させてからシャワーリンス処理を行っているため、基板Wの上側部分のみならず、下側部分にも純水の液滴を吹き付けて洗浄することができる。すなわち、処理槽10から引き上げた状態の基板Wに純水を吹き付けることにより、基板Wの全面に純水の液滴を供給することができるため、基板Wの表面処理の均一性を維持することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液中に浸漬して表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給部と、
起立姿勢の基板を下方から保持するリフターと、
保持する前記基板を前記処理槽の上方の引き上げ位置と、処理液中に浸漬する浸漬位置との間で移動させるように前記リフターを昇降させる昇降部と、
前記基板に向けて処理液をシャワー状に吹き付ける処理液噴出部と、
を備え、
前記処理液噴出部は、前記処理槽から引き上げた状態の前記基板に処理液を吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理液噴出部は、
前記リフターによって前記引き上げ位置に保持された前記基板の上方から処理液をシャワー状に吹き付ける上部シャワーノズルと、
前記引き上げ位置に保持された前記基板の下方から処理液をシャワー状に吹き付ける下部シャワーノズルと、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の基板処理装置において、
前記上部シャワーノズルと前記下部シャワーノズルとは交互に前記基板に処理液を吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の基板処理装置において、
最終の処理液吹き付けは前記上部シャワーノズルから行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項2記載の基板処理装置において、
前記下部シャワーノズルは前記引き上げ位置に保持された前記基板の下端よりも下方に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理液噴出部からシャワー状に吹き付けられる処理液中を前記基板が上下に往復移動するように、前記昇降部が前記リフターを昇降させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理液噴出部は、前記リフターに保持された前記基板に向けて処理液をシャワー状に吹き付けるシャワーノズルを備え、
前記シャワーノズルからの処理液の噴出方向が変動するように前記シャワーノズルを水平軸まわりで回動させる回動部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の基板処理装置において、
前記回動部は、前記シャワーノズルからの処理液の噴出方向が前記リフターによって昇降される前記基板に向かうように前記シャワーノズルを回動させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記リフターとは異なる箇所に接触して前記基板を保持する保持部をさらに備え、
前記処理液噴出部から処理液を吹き付けている間に、前記リフターによって前記基板を保持する状態と前記保持部によって前記基板を保持する状態とを切り替えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理液噴出部から処理液をシャワー状に吹き付けることによって生じるミストの飛散を防止する仕切板をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
基板を処理液中に浸漬して表面処理を行う基板処理方法であって、
処理槽内に貯留した処理液中に基板を浸漬して前記基板に表面処理を行う浸漬工程と、
前記処理槽からリフターによって前記基板を引き上げる引き上げ工程と、
前記処理槽から引き上げた状態の前記基板に処理液をシャワー状に吹き付ける噴出工程と、
を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項12】
請求項11記載の基板処理方法において、
前記噴出工程では、前記リフターによって前記処理槽の上方の引き上げ位置に保持された前記基板に対して、上部シャワーノズルが前記基板の上方から処理液をシャワー状に吹き付け、下部シャワーノズルが前記基板の下方から処理液をシャワー状に吹き付けることを特徴とする基板処理方法。
【請求項13】
請求項12記載の基板処理方法において、
前記上部シャワーノズルと前記下部シャワーノズルとは交互に前記基板に処理液を吹き付けることを特徴とする基板処理方法。
【請求項14】
請求項13記載の基板処理方法において、
最終の処理液吹き付けは前記上部シャワーノズルから行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項15】
請求項11記載の基板処理方法において、
前記噴出工程では、シャワー状に吹き付けられる処理液中を前記基板が上下に往復移動するように前記リフターを昇降させることを特徴とする基板処理方法。
【請求項16】
請求項11記載の基板処理方法において、
前記噴出工程では、前記リフターに保持された前記基板に向けて処理液をシャワー状に吹き付けるシャワーノズルからの処理液の噴出方向が変動するように前記シャワーノズルを水平軸まわりで回動させることを特徴とする基板処理方法。
【請求項17】
請求項16記載の基板処理方法において、
前記シャワーノズルからの処理液の噴出方向が前記リフターによって昇降される前記基板に向かうように前記シャワーノズルを回動させることを特徴とする基板処理方法。
【請求項18】
請求項11記載の基板処理方法において、
前記噴出工程では、前記リフターによって前記基板を保持する状態と、前記リフターとは異なる箇所にて前記基板を保持する保持部によって前記基板を保持する状態とを切り替えることを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理液中に浸漬して洗浄処理等の表面処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体基板、液晶表示装置用基板、flat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体装置の製造工程では、半導体基板等の基板に対して種々の処理を行う基板処理装置が用いられている。そのような基板処理装置の1つに、処理槽内に処理液を貯留し、その処理液中に複数の基板を一括して浸漬してエッチング処理等を行うバッチ式の基板処理装置が知られている。典型的なバッチ式の基板処理装置は、薬液を貯留した薬液槽および純水を貯留した水洗槽を備え、薬液槽にて基板にエッチング処理等を行った後、水洗槽にてその基板のリンス処理を行う。
【0003】
バッチ式基板処理装置における一般的なリンス処理では、水洗槽内に貯留した純水中に基板全体を浸漬して水洗を行う浸漬処理と、水洗槽から純水を排出した状態でシャワーノズルから基板に純水をシャワー状に吹き付けるシャワーリンス処理との2種類の洗浄処理を組み合わせて実施することが多い。特許文献1~3には、処理槽の上方に設けたシャワーノズルから処理槽内に保持されている基板に処理液をシャワー状に吹き付ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-225832号公報
【特許文献2】特開2009-239232号公報
【特許文献3】特開2008-211139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、処理槽内に保持されている基板に処理液を上方からシャワー状に吹き付けると、液滴が着液する基板上のエリアが限定的となり、十分なシャワーによる効果を得ることができなかった。すなわち、基板の上部には液滴が接触するものの、基板の下部には液滴が供給されにくいため、処理の面内均一性が損なわれるという問題が生じていた。また、処理槽で跳ね返った液滴が基板に付着して却って基板を汚染するおそれもあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板の表面処理の均一性を維持することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板を処理液中に浸漬して表面処理を行う基板処理装置において、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給部と、起立姿勢の基板を下方から保持するリフターと、保持する前記基板を前記処理槽の上方の引き上げ位置と、処理液中に浸漬する浸漬位置との間で移動させるように前記リフターを昇降させる昇降部と、前記基板に向けて処理液をシャワー状に吹き付ける処理液噴出部と、を備え、前記処理液噴出部は、前記処理槽から引き上げた状態の前記基板に処理液を吹き付けることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理液噴出部は、前記リフターによって前記引き上げ位置に保持された前記基板の上方から処理液をシャワー状に吹き付ける上部シャワーノズルと、前記引き上げ位置に保持された前記基板の下方から処理液をシャワー状に吹き付ける下部シャワーノズルと、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る基板処理装置において、前記上部シャワーノズルと前記下部シャワーノズルとは交互に前記基板に処理液を吹き付けることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る基板処理装置において、最終の処理液吹き付けは前記上部シャワーノズルから行うことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項2から請求項4のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記下部シャワーノズルは前記引き上げ位置に保持された前記基板の下端よりも下方に配置されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理液噴出部からシャワー状に吹き付けられる処理液中を前記基板が上下に往復移動するように、前記昇降部が前記リフターを昇降させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理液噴出部は、前記リフターに保持された前記基板に向けて処理液をシャワー状に吹き付けるシャワーノズルを備え、前記シャワーノズルからの処理液の噴出方向が変動するように前記シャワーノズルを水平軸まわりで回動させる回動部をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る基板処理装置において、前記回動部は、前記シャワーノズルからの処理液の噴出方向が前記リフターによって昇降される前記基板に向かうように前記シャワーノズルを回動させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記リフターとは異なる箇所に接触して前記基板を保持する保持部をさらに備え、前記処理液噴出部から処理液を吹き付けている間に、前記リフターによって前記基板を保持する状態と前記保持部によって前記基板を保持する状態とを切り替えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項10の発明は、請求項1から請求項9のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記処理液噴出部から処理液をシャワー状に吹き付けることによって生じるミストの飛散を防止する仕切板をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項11の発明は、基板を処理液中に浸漬して表面処理を行う基板処理方法において、処理槽内に貯留した処理液中に基板を浸漬して前記基板に表面処理を行う浸漬工程と、前記処理槽からリフターによって前記基板を引き上げる引き上げ工程と、前記処理槽から引き上げた状態の前記基板に処理液をシャワー状に吹き付ける噴出工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項12の発明は、請求項11の発明に係る基板処理方法において、前記噴出工程では、前記リフターによって前記処理槽の上方の引き上げ位置に保持された前記基板に対して、上部シャワーノズルが前記基板の上方から処理液をシャワー状に吹き付け、下部シャワーノズルが前記基板の下方から処理液をシャワー状に吹き付けることを特徴とする。
【0019】
また、請求項13の発明は、請求項12の発明に係る基板処理方法において、前記上部シャワーノズルと前記下部シャワーノズルとは交互に前記基板に処理液を吹き付けることを特徴とする。
【0020】
また、請求項14の発明は、請求項13の発明に係る基板処理方法において、最終の処理液吹き付けは前記上部シャワーノズルから行うことを特徴とする。
【0021】
また、請求項15の発明は、請求項11の発明に係る基板処理方法において、前記噴出工程では、シャワー状に吹き付けられる処理液中を前記基板が上下に往復移動するように前記リフターを昇降させることを特徴とする。
【0022】
また、請求項16の発明は、請求項11の発明に係る基板処理方法において、前記噴出工程では、前記リフターに保持された前記基板に向けて処理液をシャワー状に吹き付けるシャワーノズルからの処理液の噴出方向が変動するように前記シャワーノズルを水平軸まわりで回動させることを特徴とする。
【0023】
また、請求項17の発明は、請求項16の発明に係る基板処理方法において、前記シャワーノズルからの処理液の噴出方向が前記リフターによって昇降される前記基板に向かうように前記シャワーノズルを回動させることを特徴とする。
【0024】
また、請求項18の発明は、請求項11から請求項17のいずれかの発明に係る基板処理方法において、前記噴出工程では、前記リフターによって前記基板を保持する状態と、前記リフターとは異なる箇所にて前記基板を保持する保持部によって前記基板を保持する状態とを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1から請求項10の発明によれば、処理槽から引き上げた状態の基板に処理液を吹き付けるため、基板の全面に処理液の液滴を供給することができ、基板の表面処理の均一性を維持することができる。
【0026】
特に、請求項9の発明によれば、処理液噴出部から処理液を吹き付けている間に、リフターによって基板を保持する状態と保持部によって基板を保持する状態とを切り替えるため、リフターおよび保持部と基板との接触箇所にも処理液を供給することができ、基板の表面処理の均一性をより高めることができる。
【0027】
特に、請求項10の発明によれば、処理液噴出部から処理液をシャワー状に吹き付けることによって生じるミストの飛散を防止する仕切板を備えるため、処理槽の周辺環境を汚染するのを防止することができる。
【0028】
請求項11から請求項18の発明によれば、処理槽から引き上げた状態の基板に処理液をシャワー状に吹き付けるため、基板の全面に処理液の液滴を供給することができ、基板の表面処理の均一性を維持することができる。
【0029】
特に、請求項18の発明によれば、基板に処理液を吹き付けるときに、リフターによって基板を保持する状態と、リフターとは異なる箇所にて基板を保持する保持部によって基板を保持する状態とを切り替えるため、リフターおよび保持部と基板との接触箇所にも処理液を供給することができ、基板の表面処理の均一性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る基板処理装置の全体構成を示す図解的な平面図である。
図2図1の基板処理装置の処理部の要部構成を示す図である。
図3】引き上げ位置に保持された基板と上部シャワーノズルおよび下部シャワーノズルとの位置関係を示す図である。
図4】上部シャワーノズルから引き上げ位置の基板に処理液を吹き付ける様子を示す図である。
図5】下部シャワーノズルから引き上げ位置の基板に処理液を吹き付ける様子を示す図である。
図6】第2実施形態における基板のシャワーリンス処理を示す図である。
図7】第3実施形態の処理部の要部構成を示す図である。
図8】第4実施形態の処理部の要部構成を示す図である。
図9】第5実施形態の処理部の要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下において、相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」、「同軸」、など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。また、等しい状態であることを示す表現(例えば、「同一」、「等しい」、「均質」、など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。また、形状を示す表現(例えば、「円形状」、「四角形状」、「円筒形状」、など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲の形状を表すものとし、例えば凹凸または面取りなどを有していてもよい。また、構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、「有する」、といった各表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。また、「A、BおよびCのうちの少なくとも一つ」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「A、BおよびCのうち任意の2つ」、「A、BおよびCの全て」が含まれる。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る基板処理装置100の全体構成を示す図解的な平面図である。基板処理装置100は、複数枚の基板Wに対して一括して処理液による表面処理を行うバッチ式の基板処理装置である。処理対象となる基板は、シリコンの円形の半導体基板である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。また、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。
【0033】
基板処理装置100は、主として、ロードポート110と、搬出入ロボット140と、姿勢変換機構150と、プッシャ160と、主搬送ロボット180と、基板処理部群120と、受け渡しカセット170と、制御部70と、を備える。
【0034】
ロードポート110は、平面視でほぼ長方形に形成された基板処理装置100の端部に設けられている。ロードポート110には、基板処理装置100で処理される複数枚の基板(以下、単に「基板」とも称する)Wを収容するキャリアCが載置される。未処理の基板Wを収容したキャリアCは無人搬送車(AGV、OHT)等によって搬送されてロードポート110に載置される。また、処理済みの基板Wを収容したキャリアCも無人搬送車によってロードポート110から持ち去られる。
【0035】
キャリアCは、典型的には、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)である。キャリアCは、その内部に形設された複数の保持棚によって複数の基板Wを水平姿勢(法線が鉛直方向に沿う姿勢)で鉛直方向(Z方向)に一定間隔で積層配列した状態で保持する。キャリアCの最大収容枚数は、25枚または50枚である。なお、キャリアCの形態としては、FOUPの他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納した基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
【0036】
基板処理装置100の本体部とロードポート110との境界部分には、ポッドオープナー(図示省略)等が設けられている。ポッドオープナーは、ロードポート110に載置されたキャリアCの前面の蓋を開閉する。
【0037】
搬出入ロボット140は、ロードポート110に載置されたキャリアCの蓋が開放された状態で、当該キャリアCから基板処理装置100の本体部に未処理の基板Wを搬入するとともに、基板処理装置100の本体部からキャリアCに処理済みの基板Wを搬出する。より具体的には、搬出入ロボット140は、キャリアCと姿勢変換機構150との間で複数枚の基板Wの搬送を行う。搬出入ロボット140は、水平面内で旋回可能に構成されるとともに、それぞれが1枚の基板Wを保持可能なハンド要素を多段に積層してなるバッチハンド(図示省略)を進退移動可能に備える。
【0038】
姿勢変換機構150は、搬出入ロボット140から受け取った複数枚の基板WをX軸周りに90°回動させて、当該基板Wの姿勢を水平姿勢から起立姿勢(法線が水平方向に沿う姿勢)に変換する。また、姿勢変換機構150は、搬出入ロボット140に基板Wを渡す前に、当該基板Wの姿勢を起立姿勢から水平姿勢に変換する。
【0039】
プッシャ160は、姿勢変換機構150と受け渡しカセット170との間に配置される。プッシャ160は、姿勢変換機構150と受け渡しカセット170に設けられた昇降ステージ(図示省略)との間で起立姿勢の基板Wの受け渡しを行う。
【0040】
受け渡しカセット170と基板処理部群120とはX方向に沿って一列に配置されている。基板処理部群120は、5つの処理部121,122,123,124,125を備える。処理部121~125は、基板Wに対して種々の表面処理を行う基板処理装置100の主要部である。図1に示すように、基板処理装置100内において、処理部121,122,123,124,125の順に(+X)側から配置される。処理部121,122,123,124のそれぞれは処理液を貯留する処理槽10を備える。
【0041】
本明細書において、「処理液」とは各種の薬液、有機溶剤および純水を含む概念の用語である。薬液としては、例えば、エッチング処理を行うための液、または、パーティクルを除去するための液などが含まれ、具体的には、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、SC-1液(水酸化アンモニウムと過酸化水素水と純水との混合溶液)、SC-2液(塩酸と過酸化水素水と純水との混合溶液)、または、リン酸などが用いられる。薬液は、純水によって希釈されたものも含む。
【0042】
処理部121および処理部123は、それぞれ、同種または異種の薬液を貯留し、その薬液中に複数の基板Wを一括して浸漬させてエッチング処理等の薬液処理を行う。また、処理部122および処理部124は、それぞれ、リンス液(典型的には純水)を貯留し、そのリンス液中に複数の基板Wを一括して浸漬させてリンス処理を行う。
【0043】
基板処理部群120において、処理部121と処理部122とが対になっており、処理部123と処理部124とが対になっている。そして、処理部121と処理部122との対に専用の搬送機構である1つのリフター20が設けられている。リフター20は、処理部121と処理部122との間でX方向に沿って移動可能とされている。また、リフター20は、昇降駆動機構24によって処理部121および処理部122のそれぞれにおいて昇降可能とされている。同様に、処理部123と処理部124との対に専用の搬送機構である1つのリフター20が設けられている。
【0044】
リフター20は、主搬送ロボット180から受け取った複数の基板Wを保持し、その基板Wを処理部121の処理槽10に貯留された薬液中に浸漬させる。薬液処理の終了後、リフター20は、処理部121から基板Wを引き上げて処理部122に移送し、処理部122の処理槽10に貯留されたリンス液中に基板Wを浸漬させる。リンス処理終了後、リフター20は、処理部122から基板Wを引き上げて主搬送ロボット180に渡す。処理部123および処理部124においても、同様のリフター20の動作が行われる。
【0045】
処理部125は、密閉された乾燥チャンバー内を大気圧未満に減圧する機構と、当該乾燥チャンバー内に有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコール(IPA))を供給する機構と、リフター20と、を備える。処理部125は、リフター20によって主搬送ロボット180から受け取った基板Wを乾燥チャンバー内に収容し、その乾燥チャンバー内を減圧雰囲気としつつ、基板Wに有機溶剤を供給して基板Wを乾燥させる。乾燥処理後の基板Wはリフター20を介して主搬送ロボット180に受け渡される。
【0046】
受け渡しカセット170は、待機位置(図1の主搬送ロボット180の位置)にある主搬送ロボット180の下方に配置される。受け渡しカセット170は、図示省略の昇降ステージを備える。当該昇降ステージは、プッシャ160から受け取った基板Wを起立姿勢のまま上昇させて主搬送ロボット180に渡す。また、昇降ステージは、主搬送ロボット180から受け取った基板Wを下降させてプッシャ160に渡す。
【0047】
主搬送ロボット180は、図1の矢印AR1に示すように、X方向に沿ってスライド移動に構成されている。主搬送ロボット180は、受け渡しカセット170の上方の待機位置と処理部121,122,123,124,125のいずれかの上方の処理位置との間で基板Wを搬送する。
【0048】
主搬送ロボット180は、複数の基板Wを一括して把持する一対の基板チャック181を備えている。主搬送ロボット180は、一対の基板チャック181の間隔を狭めることにより複数の基板Wを一括して把持することができ、基板チャック181の間隔を拡げることにより把持状態を解除することができる。このような構成により、主搬送ロボット180は、受け渡しカセット170の昇降ステージに対して基板Wの受け渡しを行うことができるとともに、基板処理部群120に設けられた各リフター20とも基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0049】
次に、基板処理装置100に設けられた処理部122の構成について説明する。ここでは、処理部122について説明するが、処理部124も同様の構成を備える。図2は、処理部122の要部構成を示す図である。処理部122は、処理部121にて薬液処理が行われた基板Wから薬液を洗い流すリンス処理を行う水洗槽である。図2に示すように、処理部122は、主として、処理液を貯留する処理槽10と、複数枚の基板Wを保持して上下に昇降するリフター20と、処理槽10内に処理液を供給する処理液供給部30と、上部シャワーノズル60と、下部シャワーノズル50と、を備える。
【0050】
処理槽10は、石英等の耐薬性の材料により構成された貯留容器である。処理槽10は、処理液を貯留してその内部に基板Wを浸漬させる内槽11と、内槽11の上端外周部に形成された外槽12とを含む二重槽構造を有する。内槽11および外槽12はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。外槽12の上縁の高さは、内槽11の上縁の高さよりも僅かに高い。内槽11の上端まで処理液が貯留されている状態で処理液供給部30から処理液がさらに供給されると、内槽11の上部から処理液が溢れて外槽12へとオーバーフローする。本実施形態の処理部122は、リンス処理を行う水洗槽であるため、処理槽10には処理液として純水が供給されて貯留される。
【0051】
リフター20は、複数の基板Wを一括して保持し、それら複数の基板Wを上下に搬送するための機構である。リフター20は、鉛直方向(Z方向)に延びる背板22と、背板22の下端から水平方向(Y方向)に延びる3本の保持棒21とを有する。背板22の下端はV字型に形成されている。背板22の下端から延びる3本の保持棒21のそれぞれには複数(例えば、50個)の保持溝が所定のピッチで刻設されている。複数の基板Wは、それぞれの周縁部を上記保持溝に嵌合させた状態で3本の保持棒21上に互いに所定間隔を隔てて平行に起立姿勢で保持される。すなわち、リフター20は、起立姿勢の基板Wを下方から保持する。
【0052】
また、リフター20は、図2において概念的に示した昇降駆動機構24と接続されて昇降移動される。昇降駆動機構24は、図2の矢印AR2にて示すように、リフター20を鉛直方向(Z方向)に沿って上下に昇降移動させる。より詳細には、昇降駆動機構24は、リフター20が保持する基板Wを処理槽10の上方の引き上げ位置(図3に示す基板Wの位置)と、処理槽10に貯留された処理液中に浸漬する浸漬位置(図2に示す基板Wの位置)との間で移動させるようにリフター20を昇降移動させる。
【0053】
処理液供給部30は、一対のノズル管31,31およびそれらに処理液を送給する配管系を備える。一対のノズル管31,31(以下、これらを特に区別する必要の無いときは単にノズル管31と総称する)は、処理槽10の内槽11の底部に配置される。ノズル管31は、Y方向に沿って延びる長尺円筒形状の管状部材である。ノズル管31には、長手方向に沿って等間隔で複数の吐出口(図示省略)が形設されている。ノズル管31に供給された処理液は、それら複数の吐出口から内槽11内に吐出されて内槽11の内部に貯留される。ノズル管31は、処理槽10内に保持される基板Wに向けて、つまり斜め上方に向けて処理液を吐出する。内槽11の内部に処理液が貯留されている状態でノズル管31から処理液が吐出されると、内槽11内に上方へと向かう処理液の流れ(アップフロー)が形成される。また、内槽11の上端まで処理液が貯留されている状態でノズル管31から処理液が吐出されると、内槽11の上部から処理液が溢れて外槽12へとオーバーフローする。
【0054】
ノズル管31に処理液を送給する配管系は、配管32に純水供給源33、ポンプ34、流量調整バルブ35および供給バルブ36を備えて構成される。配管32の基端側は純水供給源33に接続されるとともに、配管32の先端側は二叉に分岐されてそれぞれノズル管31に接続される。配管32の経路途中に、ポンプ34、流量調整バルブ35および供給バルブ36が設けられる。ポンプ34、流量調整バルブ35および供給バルブ36は、この順番で配管32の上流から下流に向かって(ノズル管31に向かって)配置される。
【0055】
ポンプ34は、純水供給源33からノズル管31に向けて純水を送り出す。流量調整バルブ35は、配管32を流れる純水の流量を調整する。供給バルブ36は、配管32の流路を開閉する。ポンプ34を作動させつつ供給バルブ36を開放することにより、純水供給源33から送給された純水が配管32を流れてノズル管31に送り出され、その流量は流量調整バルブ35によって規定される。
【0056】
ノズル管31に供給された純水は、ノズル管31から吐出されて処理槽10内に純水のアップフローを形成する。流量調整バルブ35によってノズル管31に供給される純水の流量が増減したときには、ノズル管31から処理槽10内に吐出される純水の流速が加速または減速される。すなわち、処理槽10内における純水の流速は流量調整バルブ35によって調整される。
【0057】
処理槽10の外槽12には排液管43が接続され、その排液管43には排液バルブ44が設けられている。排液バルブ44が開くことにより、内槽11から外槽12へとオーバーフローした純水は排液管43から排出される。
【0058】
また、処理槽10の内槽11の底壁には排液管48が接続され、その排液管48には排液バルブ49が設けられている。排液バルブ49が開くことにより、内槽11に貯留されていた純水が内槽11の底部から急速排出される。
【0059】
第1実施形態においては、処理槽10の上方に4本のシャワーノズルを設けている。すなわち、処理槽10の上方の比較的低い位置に一対の下部シャワーノズル50,50(以下、これらを特に区別する必要の無いときは単に下部シャワーノズル50と総称する)が設けられるとともに、それよりも高い位置に一対の上部シャワーノズル60,60(以下、これらを特に区別する必要の無いときは単に上部シャワーノズル60と総称する)が設けられる。第1実施形態では、これら4本のシャワーノズル(下部シャワーノズル50,50および上部シャワーノズル60,60)によって基板Wに処理液をシャワー状に吹き付ける処理液噴出部が構成される。
【0060】
下部シャワーノズル50は、処理槽10の上方であって処理槽10に比較的近い位置に設けられる。下部シャワーノズル50は、リフター20によって引き上げ位置に保持された基板Wの下端よりも下方に設置される。下部シャワーノズル50は、Y方向に沿って延びる長尺円筒形状の管状部材である。一対の下部シャワーノズル50,50間の間隔は少なくとも基板Wの直径よりも大きい。下部シャワーノズル50には、長手方向に沿って等間隔で複数の噴出孔(図示省略)が形設されている。下部シャワーノズル50に供給された処理液は、それら複数の噴出孔から斜め上方に向けてシャワー状に噴出される。
【0061】
下部シャワーノズル50に処理液を送給する配管系は、配管52に純水供給源53、ポンプ54、流量調整バルブ55および供給バルブ56を備えて構成される。配管52の基端側は純水供給源53に接続されるとともに、配管52の先端側は二叉に分岐されてそれぞれ下部シャワーノズル50に接続される。配管52の経路途中に、ポンプ54、流量調整バルブ55および供給バルブ56が設けられる。ポンプ54、流量調整バルブ55および供給バルブ56は、この順番で配管52の上流から下流に向かって(下部シャワーノズル50に向かって)配置される。
【0062】
ポンプ54は、純水供給源53から下部シャワーノズル50に向けて純水を送り出す。流量調整バルブ55は、配管52を流れる純水の流量を調整する。供給バルブ56は、配管52の流路を開閉する。ポンプ54を作動させつつ供給バルブ56を開放することにより、純水供給源53から送給された純水が配管52を流れて下部シャワーノズル50に送り出され、その流量は流量調整バルブ55によって規定される。下部シャワーノズル50に送給された純水は、下部シャワーノズル50からリフター20によって引き上げ位置に保持された基板Wに向けて斜め上方にシャワー状に噴出される。
【0063】
一方、上部シャワーノズル60は、処理槽10の上方であって下部シャワーノズル50よりもさらに上方に設けられる。上部シャワーノズル60は、リフター20によって引き上げ位置に保持された基板Wの上端よりも上方に設置される。下部シャワーノズル50と同様に、上部シャワーノズル60もY方向に沿って延びる長尺円筒形状の管状部材である。一対の上部シャワーノズル60,60間の間隔は少なくとも基板Wの直径よりも大きい。上部シャワーノズル60には、長手方向に沿って等間隔で複数の噴出孔(図示省略)が形設されている。上部シャワーノズル60に供給された処理液は、それら複数の噴出孔から斜め下方に向けてシャワー状に噴出される。
【0064】
上部シャワーノズル60に処理液を送給する配管系は、配管62に純水供給源63、ポンプ64、流量調整バルブ65および供給バルブ66を備えて構成される。配管62の基端側は純水供給源63に接続されるとともに、配管62の先端側は二叉に分岐されてそれぞれ上部シャワーノズル60に接続される。配管62の経路途中に、ポンプ64、流量調整バルブ65および供給バルブ66が設けられる。ポンプ64、流量調整バルブ65および供給バルブ66は、この順番で配管62の上流から下流に向かって(上部シャワーノズル60に向かって)配置される。
【0065】
ポンプ64は、純水供給源63から上部シャワーノズル60に向けて純水を送り出す。流量調整バルブ65は、配管62を流れる純水の流量を調整する。供給バルブ66は、配管62の流路を開閉する。ポンプ64を作動させつつ供給バルブ66を開放することにより、純水供給源63から送給された純水が配管62を流れて上部シャワーノズル60に送り出され、その流量は流量調整バルブ65によって規定される。上部シャワーノズル60に送給された純水は、上部シャワーノズル60からリフター20によって引き上げ位置に保持された基板Wに向けて斜め下方にシャワー状に噴出される。
【0066】
図3は、引き上げ位置に保持された基板Wと上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50との位置関係を示す図である。リフター20によって引き上げ位置に保持された基板Wの下端よりも下方に下部シャワーノズル50が設けられるとともに、当該基板Wの上端よりも上方に上部シャワーノズル60が設けられる。従って、上部シャワーノズル60から斜め下方に向けて処理液をシャワー状に噴出するとともに、下部シャワーノズル50から斜め上方に向けて処理液をシャワー状に噴出することにより、引き上げ位置に保持された基板Wの上端および下端を含む四方から処理液が吹き付けられる。その結果、基板Wの全面に均一に処理液が吹き付けられることとなる。
【0067】
図2に戻り、上部シャワーノズル60は、図2に概念的に示した駆動機構69と接続されて昇降移動される。処理槽10よりも相当に上方に設けられた上部シャワーノズル60は、X方向に沿ってスライド移動する主搬送ロボット180と干渉するおそれがある。すなわち、主搬送ロボット180がリフター20と基板Wの授受を行うために処理槽10の上方にスライド移動したときに上部シャワーノズル60と衝突するおそれがある。このため、主搬送ロボット180が処理槽10の上方にスライド移動する際には、駆動機構69が上部シャワーノズル60を下方に向けて退避移動させるのである。これにより、主搬送ロボット180と上部シャワーノズル60との干渉を防ぐことができる。
【0068】
制御部70は、基板処理装置100に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部70は、処理部122の動作も制御する。制御部70のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部70は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく記憶部(例えば、磁気ディスクまたはSSD)を備えている。制御部70は、供給バルブ56、供給バルブ66および昇降駆動機構24等と電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
【0069】
また、制御部70の記憶部には、基板Wを処理する手順および条件を定めたレシピ(以下「処理レシピ」という)が記憶されている。処理レシピは、例えば、装置のオペレータが、GUIを介して入力して記憶部に記憶させることによって、基板処理装置100に取得される。或いは、複数の基板処理装置100を管理するホストコンピュータから基板処理装置100に処理レシピが通信により引き渡されて記憶部に記憶されても良い。制御部70は、記憶部に格納されている処理レシピの記述に基づいて、昇降駆動機構24等の動作を制御することにより、処理レシピに記述された通りに基板Wの表面処理を進行させる。
【0070】
次に、上記の構成を有する処理部122における処理動作について説明する。処理部122では、処理部121にて薬液処理が行われた基板Wから薬液を洗い流すリンス処理を行う。ノズル管31から処理槽10内に処理液としての純水が供給され、内槽11には純水が貯留されている。内槽11に純水が貯留されている状態でノズル管31から純水をさらに供給し続けると、内槽11の上端から外槽12へと純水がオーバーフローする。また、ノズル管31から純水を吐出することによって、処理部10内には純水のアップフローが形成されている。
【0071】
処理槽10内に純水のアップフローが形成されている状態で薬液処理後の基板Wが純水中に浸漬される。具体的には、薬液処理後の基板Wを保持するリフター20が処理槽10の上方の引き上げ位置にまで移動し、そのリフター20が昇降駆動機構24によって引き上げ位置から浸漬位置にまで下降する。なお、リフター20が処理部121から処理部122に移動するとき、および、主搬送ロボット180がリフター20に基板Wを渡すためにスライド移動するときに、上部シャワーノズル60がそれらの移動の障害となる場合には駆動機構69が上部シャワーノズル60を退避させる。
【0072】
リフター20が保持する基板Wを処理槽10内の浸漬位置にまで下降させると、基板Wの全体が処理槽10に貯留された純水中に浸漬する。処理槽10内に純水のアップフローが形成されている状態で基板Wが浸漬位置に保持されると、基板Wの表面に沿って純水の水流が流れ、基板Wの表面に付着していた薬液が洗い流されて純水に置換される。
【0073】
処理槽10に貯留された純水中に基板Wを浸漬して水洗を行う浸漬処理を開始してから所定時間が経過した時点にて、制御部70の制御により昇降駆動機構24がリフター20を浸漬位置から引き上げ位置に上昇させる。なお、このときには、上部シャワーノズル60の退避は解除されて上部シャワーノズル60は定位置に停止されている。
【0074】
リフター20が浸漬位置から上昇する過程で基板Wは上端から順に徐々に処理槽10に貯留された純水の液面から露出する。そして、リフター20によって保持された基板Wは一対の下部シャワーノズル50,50の間を通り抜けて引き上げ位置に到達する。基板Wが引き上げ位置に到達すると、昇降駆動機構24がリフター20の上昇を停止させる。これにより、基板Wはリフター20によって引き上げ位置に保持される。
【0075】
基板Wが引き上げ位置に上昇されて保持された後、下部シャワーノズル50および上部シャワーノズル60を用いたシャワーリンス処理が開始される。なお、シャワーリンス処理を行う際には、排液バルブ49を開放して処理槽10に貯留されていた純水を排出しても良い。また、シャワーリンス処理を行っているときには、上部シャワーノズル60が定位置にまで上昇しているため、処理槽10の上方を主搬送ロボット180が通ることはできない。
【0076】
第1実施形態では、まず上部シャワーノズル60がリフター20によって引き上げ位置に保持されている基板Wの斜め上方から純水をシャワー状に吹き付ける。図4は、上部シャワーノズル60から引き上げ位置の基板Wに処理液を吹き付ける様子を示す図である。上部シャワーノズル60から基板Wに純水を吹き付けるときには、下部シャワーノズル50からの純水噴出は停止されている。上部シャワーノズル60からシャワー状に噴出された純水の液滴は、主に基板WのX方向に沿った径(以下、基板WのX方向に沿った径を「赤道」とも称する)よりも上側部分(北半球)に着液する。そして、基板Wの赤道よりも上側部分に着液した純水は基板Wの表面に沿って下方に流れ、基板Wの下端から処理槽10の内槽11に落下する。
【0077】
次に、上部シャワーノズル60からの純水噴出を停止するとともに、下部シャワーノズル50が引き上げ位置に保持されている基板Wの斜め下方から純水をシャワー状に吹き付ける。図5は、下部シャワーノズル50から引き上げ位置の基板Wに処理液を吹き付ける様子を示す図である。下部シャワーノズル50から基板Wに純水を吹き付けるときには、上部シャワーノズル60からの純水噴出は停止されている。下部シャワーノズル50からシャワー状に噴出された純水の液滴は、主に基板Wの赤道よりも下側部分(南半球)に着液する。そして、基板Wの赤道よりも下側部分に着液した純水は基板Wの表面に沿って下方に流れ、基板Wの下端から処理槽10の内槽11に落下する。
【0078】
さらにその後、下部シャワーノズル50からの純水噴出を停止するとともに、上部シャワーノズル60が再び基板Wの斜め上方から純水をシャワー状に吹き付ける。すなわち、第1実施形態では、上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50とが交互に上下から基板Wに純水をシャワー状に吹き付けるのである。但し、上部シャワーノズル60からの純水吹き付けと下部シャワーノズル50からの純水吹き付けとを所定回数繰り返した後、最終の純水吹き付けは上部シャワーノズル60から行う。
【0079】
上部シャワーノズル60による最終の純水吹き付けが終了した後、主搬送ロボット180がリフター20から処理後の基板Wを受け取る。これにより、処理部122における一連の処理は完了する。その後、基板Wは主搬送ロボット180によって処理部123に搬送されて基板Wに新たな薬液処理が行われる。或いは、基板Wは主搬送ロボット180によって処理部125に搬送されて基板Wに乾燥処理が行われる。なお、主搬送ロボット180がリフター20から基板Wを受け取るときには、駆動機構69が上部シャワーノズル60を退避させて主搬送ロボット180と上部シャワーノズル60との干渉を防いでいる。
【0080】
第1実施形態においては、処理槽10に貯留されている純水中に基板Wを浸漬して水洗を行う浸漬処理が終了した後、処理槽10よりも上方の引き上げ位置に基板Wを引き上げた状態で上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50から基板Wに純水をシャワー状に吹き付けてシャワーリンス処理を行っている。処理槽10の外側に基板Wを移動させてからシャワーリンス処理を行っているため、基板Wの赤道よりも上側部分のみならず、赤道よりも下側部分にも純水の液滴を吹き付けて洗浄することができる。すなわち、処理槽10から引き上げた状態の基板Wに純水を吹き付けることにより、基板Wの全面に純水の液滴を供給することができるため、基板Wの表面処理の均一性を維持することができる。その結果、シャワーリンス処理を短時間で完了することが可能となり、スループットを向上させるとともに、純水の消費量を削減することが可能となる。
【0081】
また、第1実施形態においては、処理槽10の上方に2本の上部シャワーノズル60,60および2本の下部シャワーノズル50,50の計4本のシャワーノズルを設け、それらによってシャワーリンス処理を行っている。下部シャワーノズル50は、リフター20によって引き上げ位置に保持された基板Wの下端よりも下方に設置される。このため、下部シャワーノズル50から基板Wの下端(南極)にも純水の液滴を吹き付けることが可能であり、当該下端も十分に洗浄することができる。一方、上部シャワーノズル60は、引き上げ位置に保持された基板Wの上端よりも上方に設置される。これにより、上部シャワーノズル60から基板Wの上端(北極)にも純水の液滴を吹き付けることが可能であり、当該上端も十分に洗浄することができる。
【0082】
第1実施形態では、上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50とが交互に基板Wに純水をシャワー状に吹き付けているが、これを上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50とが同時に基板Wに純水を吹き付けるようにしても良い。上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50とが同時に基板Wに純水を吹き付けるようにすれば、シャワーリンス処理に要する時間をさらに短くすることができる一方で上下から吹き付けられる純水の液滴が相互に干渉するおそれがある。第1実施形態のように、上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50とが交互に基板Wに純水を吹き付けるようにすれば、常に基板Wの一方側から(上側からまたは下側から)純水が吹き付けられることとなり、液滴の相互干渉を防いで洗浄効率が低下するのを防止することができる。
【0083】
特に、第1実施形態では、基板Wの上下から交互に純水を吹き付ける際の最終の純水吹き付けは上部シャワーノズル60から行うようにしている。下部シャワーノズル50から純水を吹き付けたときには、基板Wの下方から吹き付けられた純水が基板Wの表面に着液してから下方に向かって逆向きに流れる。これに対して、上部シャワーノズル60から純水を吹き付けたときには、基板Wの上方から吹き付けられた純水が基板Wの表面に着液してからも下方に向かって一方向に流れるため、基板Wの清浄度をより高めることができる。従って、最終の純水吹き付けを上部シャワーノズル60から行うことにより、基板Wの清浄度をより高く維持することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、基板Wが引き上げ位置に上昇されて保持された後にシャワーリンス処理を開始していたが、これに限定されるものではなく、少なくとも基板Wの一部が処理槽10に貯留されている処理液から露出した時点以降にシャワーリンス処理を開始すれば良い。
【0085】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の基板処理装置の構成は第1実施形態と同じである。また、第2実施形態における基板Wの処理手順も概ね第1実施形態と同様である。第2実施形態が第1実施形態と相違するのは、シャワーリンス処理を行うときに基板Wを引き上げ位置に固定保持するのではなく、基板Wを上下に揺動させている点である。
【0086】
図6は、第2実施形態における基板Wのシャワーリンス処理を示す図である。同図において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。
【0087】
第2実施形態においては、基板Wのシャワーリンス処理を行うときに、上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50からシャワー状に吹き付けられる純水の液滴中を基板Wが矢印AR6に示すように上下に往復移動するように、昇降駆動機構24がリフター20を昇降させている。シャワー状に吹き付けられる純水の液滴中を基板Wが往復移動するため、基板Wの全面に純水の液滴が均一に供給されることなり、基板Wの表面処理の均一性をより高めることができる。
【0088】
第2実施形態のように、基板Wを上下に揺動させる場合には、その揺動範囲の下端に基板Wが位置しているときの基板Wの下端は下部シャワーノズル50よりも下方であっても良い。同様に、揺動範囲の上端に基板Wが位置しているときの基板Wの上端は上部シャワーノズル60よりも上方であっても良い。
【0089】
また、基板Wを上下に揺動させる場合には、上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50とが同時に純水を噴出するようにしても良いし、上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50とが交互に純水を噴出するようにしても良い。特に、基板Wが下方に向けて移動するときに下部シャワーノズル50が斜め上方に純水を吹き付け、基板Wが上方に向けて移動するときに上部シャワーノズル60が斜め下方に純水を吹き付けるようにすれば、基板Wの洗浄効率をより高めることができる。基板Wを上下に揺動させている点以外の第2実施形態の残余の構成は第1実施形態と同じである。
【0090】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態の処理部の要部構成を示す図である。第3実施形態においては、上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50に代えて2本の回動式シャワーノズル80,80(以下、これらを特に区別する必要の無いときは単に回動式シャワーノズル80と総称する)を設けている。すなわち、第1実施形態では4本のシャワーノズルを設けていたのに対して、第3実施形態ではシャワーノズルを2本としている。
【0091】
回動式シャワーノズル80は、第1実施形態の下部シャワーノズル50と概ね同じ高さ位置、すなわち処理槽10の上方であって処理槽10に比較的近い位置に設けられる。回動式シャワーノズル80は、リフター20によって引き上げ位置に保持された基板Wの下端よりも下方に設置される。回動式シャワーノズル80は、Y方向に沿って延びる長尺円筒形状の管状部材である。一対の回動式シャワーノズル80,80間の間隔は少なくとも基板Wの直径よりも大きい。回動式シャワーノズル80には、長手方向に沿って等間隔で複数の噴出孔(図示省略)が形設されている。すなわち、回動式シャワーノズル80の形状は第1実施形態の下部シャワーノズル50および上部シャワーノズル60とほぼ同じである。回動式シャワーノズル80には、第1実施形態の下部シャワーノズル50についてと同様の純水供給機構から純水が供給される。
【0092】
回動式シャワーノズル80は、図7に概念的に示した回動駆動機構84によって、矢印AR7に示すように、水平方向に沿ったY軸周りで回動可能とされている。回動駆動機構84としては、例えばパルスモータを用いることができる。回動式シャワーノズル80から処理液を噴出しつつ、回動駆動機構84が回動式シャワーノズル80を回動させることによって、処理液の噴出方向がXZ平面内で旋回移動することとなる。
【0093】
第3実施形態においては、回動式シャワーノズル80からの純水の噴出方向がリフター20によって昇降される基板Wに向かうように回動駆動機構84が回動式シャワーノズル80を回動させる。具体的には、基板Wの浸漬処理が終了した後、リフター20が上昇するにつれて基板Wは上端から順に徐々に処理槽10に貯留された純水の液面から露出する。基板Wの上端が純水の液面から露出した時点で回動式シャワーノズル80からの純水噴出を開始する。回動式シャワーノズル80は、リフター20に保持された基板Wに向けて純水をシャワー状に吹き付ける。リフター20によって基板Wがさらに上昇すると、その基板Wの上昇移動に噴出方向が追随するように回動式シャワーノズル80が回動する。すなわち、リフター20によって基板Wが上昇するにつれて、純水の噴出方向も上昇するように回動式シャワーノズル80が回動する。これにより、リフター20によって上昇する基板Wには、回動する回動式シャワーノズル80から絶えず純水の液滴が吹き付けられることとなる。基板Wが上昇して引き上げ位置に到達するまで回動式シャワーノズル80は回動を継続することとなる。
【0094】
第3実施形態においても、処理槽10から引き上げた状態の基板Wに回動式シャワーノズル80から純水を吹き付けることとなる。それに加えて、純水の噴出方向が昇降移動する基板Wに向かうように回動式シャワーノズル80が回動するため、基板Wの全面に純水の液滴を供給することができ、基板Wの表面処理の均一性を維持することができる。
【0095】
第3実施形態においては、シャワーノズルを2本とし、第1実施形態の上部シャワーノズル60に相当する要素が設けられていない。このため、装置構成を簡易なものとすることができる。また、主搬送ロボット180と上部シャワーノズル60との干渉が生じる懸念は皆無である。さらに、上部シャワーノズル60を下方に退避させるための駆動機構69を設ける必要もない。
【0096】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態の処理部の要部構成を示す図である。第4実施形態においては、第1実施形態の構成に加えて一対の基板保持部91,91(以下、これらを特に区別する必要の無いときは単に基板保持部91と総称する)を設けている。なお、基板保持部91以外の第4実施形態の残余の構成は第1実施形態と同じである。
【0097】
基板保持部91は、Y方向に沿って延びる棒状部材である。基板保持部91は、処理槽10の上方であって、上部シャワーノズル60と下部シャワーノズル50との間の高さ位置に設けられる。リフター20によって引き上げ位置に保持される基板Wの両側を挟み込むように2本の基板保持部91が設けられる。それぞれの基板保持部91には、複数(例えば、50個)の保持溝が所定のピッチでY方向に沿って刻設されている。基板保持部91に刻設される保持溝のピッチはリフター20の保持棒21に刻まれる保持溝のピッチと同じである。
【0098】
基板保持部91は、図示省略の駆動機構によって、矢印AR8にて示すように、X方向に沿ってスライド移動される。すなわち、一対の基板保持部91,91は、それらの間隔を拡縮するような開閉動作を行う。一対の基板保持部91,91が間隔を拡げているときには、それらの間をリフター20に保持された基板Wが通過可能である。一方、一対の基板保持部91,91が間隔を狭めているときには、リフター20に保持された複数の基板Wのそれぞれの周縁部を基板保持部91の保持溝に嵌合させることにより、基板保持部91は複数の基板Wを受け取って保持することが可能である。
【0099】
リフター20によって引き上げ位置に基板Wが保持されている状態で一対の基板保持部91,91が間隔を狭めるようにスライド移動してリフター20が下降することにより、リフター20から基板保持部91に基板Wが受け渡される。また、基板保持部91によって基板Wが保持されている状態でリフター20が上昇することにより、基板保持部91からリフター20に基板Wが受け渡される。リフター20が基板Wを保持しているときに3本の保持棒21が基板Wに接触する接触箇所と、基板保持部91が基板Wを保持しているときに基板Wに接触する接触箇所とは異なる。
【0100】
第4実施形態においてシャワーリンス処理を行うときには、まずリフター20によって引き上げ位置に保持している基板Wに向けて上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50から純水をシャワー状に吹き付ける。処理槽10よりも上方の引き上げ位置に基板Wを引き上げた状態で上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50から基板Wに純水をシャワー状に吹き付けることにより、基板Wの全面に液滴を供給して洗浄できるのであるが、基板Wと3本の保持棒21との接触箇所には液滴が供給されにくい。よって、当該接触箇所が十分に洗浄されなくなる。
【0101】
このため、上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50から純水を吹き付けつつ、リフター20が下降して基板保持部91に基板Wを保持させる。これにより、基板Wと3本の保持棒21との接触箇所が開放され、当該接触箇所にも十分に純水の液滴が供給されて洗浄されることとなる。なお、基板Wが基板保持部91に保持されているときには、基板Wと基板保持部91との接触箇所に純水の液滴が供給されにくくなるが、当該接触箇所には基板Wがリフター20によって保持されているときに十分に純水の液滴が供給されている。
【0102】
第4実施形態においては、上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50から純水を吹き付けている間に、リフター20によって基板Wを保持する状態と基板保持部91によって基板Wを保持する状態とを切り替えている。基板Wがリフター20によって保持されているときに洗浄効率が低下する3本の保持棒21による基板Wへの接触箇所は、基板Wが基板保持部91に保持されているときには開放されて効率良く洗浄される。逆に、基板Wが基板保持部91に保持されているときに洗浄効率が低下する基板保持部91による基板Wへの接触箇所は、基板Wがリフター20に保持されているときには開放されて効率良く洗浄される。これにより、接触に起因して洗浄効率が低下する特異点を無くして基板Wの全面を均一に洗浄することができる。
【0103】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図9は、第5実施形態の処理部の要部構成を示す図である。第5実施形態においては、第1実施形態の構成に加えて仕切板95をさらに設けている。なお、仕切板95以外の第5実施形態の残余の構成は第1実施形態と同じである。
【0104】
仕切板95は、隣接する処理部との間を遮蔽する板状部材である。仕切板95は、図示を省略する駆動機構によって上下方向(Z方向)に移動する。仕切板95が上昇した状態では、処理槽10の上方空間と隣接する処理部との間が当該仕切板95によって遮蔽される。図9の紙面左側の仕切板95が上昇した状態では処理部122の処理槽10の上方空間と処理部123との間が遮断される。一方、図9の紙面右側の仕切板95が上昇した状態では処理部122の処理槽10の上方空間と処理部121との間が遮断される。また、仕切板95が下降した状態では、処理槽10の上方空間と隣接する処理部との間が開放される。
【0105】
第5実施形態においてシャワーリンス処理を行うときには、リフター20によって引き上げ位置に保持している基板Wに向けて上部シャワーノズル60および下部シャワーノズル50から純水をシャワー状に吹き付ける。リフター20に保持された基板Wに純水をシャワー状に吹き付けることによって多数の微少な水滴で構成されたミストが生じる。処理槽10よりも上方空間でミストが発生するため、そのようなミストは隣接する処理部に流れ込んで当該処理部の雰囲気を汚染するおそれがある。このため、第5実施形態においてシャワーリンス処理を行うときには、仕切板95を上昇させて処理槽10の上方空間と隣接する処理部との間を当該仕切板95によって遮蔽している。これにより、基板Wに純水をシャワー状に吹き付けることによって生じるミストの飛散を仕切板95によって防止し、そのようなミストが隣接する処理部に流れ込むのを防いでいる。
【0106】
第5実施形態においては、処理槽10から引き上げた状態の基板Wに純水をシャワー状に吹き付けることによって生じたミストが拡散するおそれのあるところ、仕切板95を設けることによってミストの飛散を防止しているのである。これにより、処理槽10の周辺環境を汚染するのを防止することができる。
【0107】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態においては、薬液処理が行われた基板Wにリンス処理を行う水洗槽である処理部122に本発明に係る技術を適用していたが、これに限定されるものではない。1つの処理槽内にて薬液と純水とを順次に入れ替え、その処理槽にて薬液処理とリンス処理との双方を行う処理部に上記各実施形態と同様の構成を設けるようにしても良い。このようにしても、基板Wの全面に処理液の液滴を供給して基板Wの表面処理の均一性を維持することができる。
【0108】
また、上記各実施形態においては、処理液として純水をシャワー状に基板Wに吹き付けていたが、これに限定されるものではなく、例えば処理液として乾燥媒体であるIPA(イソプロピルアルコール)をシャワー状に基板Wに吹き付けるようにしても良い。処理液として純水以外の液体を使用する場合であっても、上記各実施形態と同様の構成を採用することにより、基板Wの全面に処理液の液滴を供給することができ、基板Wの表面処理の均一性を維持することができる。
【0109】
また、第1実施形態では、4本のシャワーノズルを設けていたが、さらに多数のシャワーノズル(例えば、6本または8本)を設けるようにしても良い。
【0110】
また、4本のシャワーノズルのうち2本を第1実施形態の下部シャワーノズル50と概ね同じ高さ位置に設け、残りの2本をその直上に設けるようにしても良い。下側の2本のシャワーノズルの噴出方向は基板Wの赤道よりも下側部分であり、上側の2本シャワーノズルの噴出方向は基板Wの赤道よりも上側部分である。このようにしても、基板Wの全面に純水の液滴を供給することができるため、基板Wの表面処理の均一性を維持することができる。
【0111】
また、第4実施形態において、基板保持部91の代わりに主搬送ロボット180の基板チャック181(図1)によって基板Wを保持するようにしても良い。このようすれば、基板保持部91を設けることなく、既存の構成である主搬送ロボット180によって基板Wを保持することができる。もっとも、シャワーリンス処理のために主搬送ロボット180が基板Wを保持している間は、主搬送ロボット180が他のジョブを実行できないため、基板処理装置100全体での処理効率は低下するおそれがある。
【0112】
また、第5実施形態において、仕切板95に向けて洗浄液を吹き付けるシャワーノズルを設け、仕切板95に付着したミストを洗い流すようにしても良い。
【符号の説明】
【0113】
10 処理槽
11 内槽
12 外槽
20 リフター
21 保持棒
24 昇降駆動機構
30 処理液供給部
31 ノズル管
50 下部シャワーノズル
60 上部シャワーノズル
70 制御部
80 回動式シャワーノズル
84 回動駆動機構
91 基板保持部
95 仕切板
100 基板処理装置
121,122,123,124,125 処理部
180 主搬送ロボット
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9