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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053349
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ブース組立ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20240408BHJP
   A61G 10/00 20060101ALI20240408BHJP
   E04H 3/08 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
E04H1/12 A
A61G10/00 Z
E04H3/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159557
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232760
【氏名又は名称】日本無機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】西沢 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】生田 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】重山 陽佑
(72)【発明者】
【氏名】林 嗣郎
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KK10
(57)【要約】
【課題】仕切りシートの設置あるいは撤去を容易に行うことができ、設置された仕切シートが波打つことを抑えることができるブース組立ユニットを提供する。
【解決手段】ブース組立ユニットは、天井面及び側壁面により囲まれた内側空間が設けられたブース組立ユニットである。ブース組立ユニットは、シート体と、仕切りシートと、支持体と、を備える。シート体は、前記天井面及び前記側壁面を形成する。仕切りシートは、前記内側空間を複数の空間に仕切るように前記内側空間内に配置される。支持体は、前記仕切りシートの上端部に沿って直線状に延びるように前記内側空間内に配置され、前記上端部を支持することにより前記仕切りシートを吊り下げる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面及び側壁面により囲まれた内側空間が設けられたブース組立ユニットであって、
前記天井面及び前記側壁面を形成するシート体と、
前記内側空間を複数の空間に仕切るように前記内側空間内に配置される仕切りシートと、
前記仕切りシートの上端部に沿って直線状に延びるように前記内側空間内に配置され、前記上端部を支持することにより前記仕切りシートを吊り下げる支持体と、を備えることを特徴とするブース組立ユニット。
【請求項2】
前記仕切りシートの前記上端部は、前記支持体に挿通されるように筒状に形成された少なくとも1つの筒状部を有している、請求項1に記載のブース組立ユニット。
【請求項3】
前記支持体が掛け渡されるよう前記支持体の延在方向に間隔をあけて配置された複数の支持具をさらに備える、請求項2に記載のブース組立ユニット。
【請求項4】
前記側壁面の縁に沿って互いに平行に立設される複数の支柱と、
前記内側空間内に前記天井面に沿って配置され、前記支柱同士を連結する連結構造と、を含むフレーム体をさらに備え、
前記支持具は、前記連結構造に取り付けられている、請求項3に記載のブース組立ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの筒状部は、前記支持具のうち、前記支持体の前記延在方向の最も外側に配置される支持具より外側に配置される前記支持体の端部が挿通されるように筒状に形成された外側筒状部を含む、請求項3又は4に記載のブース組立ユニット。
【請求項6】
前記支持体は、前記支持体が前記延在方向に分割された複数の分割棒を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のブース組立ユニット。
【請求項7】
前記仕切りシートは、前記複数の空間が互いに連通するよう前記天井面から間隔をあけて配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のブース組立ユニット。
【請求項8】
前記複数の空間のうちの1つに配置され、前記内側空間を陰圧にするよう構成された陰圧装置をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のブース組立ユニット。
【請求項9】
前記側壁面をなす前記シート体の領域に、前記シート体の外側から前記内側空間内に空気を取り込むための開口部が形成されている、請求項8に記載のブース組立ユニット。
【請求項10】
前記開口部は、前記仕切りシートの上方に位置している、請求項9に記載のブース組立ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート体で囲まれた空間を備えるブース組立ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設や病院内において、比較的小さな隔離されたスペースを作るために、シートとフレームを組み合わせて簡易に設置されるブース組立ユニットが用いられている。シートで囲まれた内側空間は、施設の滞在者と訪問者が面会したり、患者が医療従事者から診察や問診を受ける場所として利用される。ブース組立ユニット内にいる複数の者の間で、ウィルス等の病原体や、咳やくしゃみの飛沫が移動するのを防ぐために、内側空間を2つに仕切る仕切りシートが設けられる場合がある(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の診察ブースでは、塩化ビニールシートからなる仕切りシートが骨組みユニットに取り付けられ、内側空間内に設置されている。
【0003】
ブース組立ユニットを設置する際、仕切りシートは、内側空間を囲む外側のシートをフレームに取り付けた後に、内側空間内に搬入されて設置される場合がある。また、既存のブース組立ユニットに、後付けで仕切りシートが設置される場合がある。しかし、特許文献1の診察ブースのように、骨組みユニットに取り付けられた仕切りシートは、ブースの高さや横幅と同程度の辺の長さを有するので、内側空間内に搬入して設置する際や、取り外して搬出する際に、外側のシートに設けたブースの出入り口から出し入れする作業がしづらい。そのため、骨組みユニットを、仕切りシートと分け、さらに分解して出し入れしなければならず、仕切りシートの設置及び撤去をスムーズに行えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6975826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仕切りシートの設置及び撤去をスムーズに行うために、骨組みユニットを不要とし、例えば、仕切りシートを複数の吊り具に吊るして設置する方法が考えられる。しかし、この方法で仕切りシートを設置すると、仕切りシートが平坦面を形成せず、波打ったような形態になることがわかった。仕切りシートが波打っていると、仕切りシートの向こう側の相手の顔や姿が見え難い。
【0006】
本発明は、仕切りシートの設置あるいは撤去を容易に行うことができ、設置された仕切シートが波打つことを抑えることができるブース組立ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の態様を包含する。
態様1
天井面及び側壁面により囲まれた内側空間が設けられたブース組立ユニットであって、
前記天井面及び前記側壁面を形成するシート体と、
前記内側空間を複数の空間に仕切るように前記内側空間内に配置される仕切りシートと、
前記仕切りシートの上端部に沿って直線状に延びるように前記内側空間内に配置され、前記上端部を支持することにより前記仕切りシートを吊り下げる支持体と、を備えることを特徴とするブース組立ユニット。
【0008】
態様2
前記仕切りシートの前記上端部は、前記支持体に挿通されるように筒状に形成された少なくとも1つの筒状部を有している、態様1に記載のブース組立ユニット。
【0009】
態様3
前記支持体が掛け渡されるよう前記支持体の延在方向に間隔をあけて配置された複数の支持具をさらに備える、態様2に記載のブース組立ユニット。
【0010】
態様4
前記内側空間内に前記天井面に沿って配置され、前記支柱同士を連結する連結構造と、を含むフレーム体をさらに備え、
前記支持具は、前記連結構造に取り付けられている、態様3に記載のブース組立ユニット。
【0011】
態様5
前記少なくとも1つの筒状部は、前記支持具のうち、前記支持体の前記延在方向の最も外側に配置される支持具より外側に配置される前記支持体の端部が挿通されるように筒状に形成された外側筒状部を含む、態様3又は4に記載のブース組立ユニット。
【0012】
態様6
前記支持体は、前記支持体が前記延在方向に分割された複数の分割棒を有している、態様1から5のいずれか1つに記載のブース組立ユニット。
【0013】
態様7
前記仕切りシートは、前記複数の空間が互いに連通するよう前記天井面から間隔をあけて配置されている、態様1から4のいずれか1つに記載のブース組立ユニット。
【0014】
態様8
前記複数の空間のうちの1つに配置され、前記内側空間を陰圧にするよう構成された陰圧装置をさらに備える、態様1から7のいずれか1つに記載のブース組立ユニット。
【0015】
態様9
前記側壁面をなす前記シート体の領域に、前記シート体の外側から前記内側空間内に空気を取り込むための開口部が形成されている、態様8に記載のブース組立ユニット。
【0016】
態様10
前記開口部は、前記仕切りシートの上方に位置している、態様9に記載のブース組立ユニット。
【発明の効果】
【0017】
上述の態様のブース組立ユニットによれば、仕切りシートの設置あるいは撤去を容易に行うことができ、設置された仕切シートが波打つことを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態のブース組立ユニットの一例を示す外観斜視図である。
図2】ブース組立ユニットを示す側面図である。
図3】シート体を示す斜視図である。
図4】仕切りシートを示す外観図である。
図5】支持体、支持具、及び仕切りシートの筒状部を示す外観図である。
図6】支持体、支持具、及び仕切りシートの筒状部を示す外観図である。
図7】支持具の1つを示す外観図である。
図8】支持具の別の1つを示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態のブース組立ユニットについて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態のブース組立ユニット1の一例を示す外観斜視図である。図2は、ブース組立ユニット1を一方向(Z方向)に見て示す側面図である。
【0021】
ブース組立ユニット1は、例えば、介護施設や、病院、診療所等の医療施設の屋内に設置される。ブース組立ユニット1には、天井面3及び側壁面5により囲まれた内側空間7が設けられている。天井面3は、図に示す例において水平な面である。側壁面5は、図に示す例において、鉛直方向(Y方向)に延在する面である。側壁面5の形状は、例えば、多角柱、円柱、楕円柱の側面と同じ形状を有している。多角柱は、例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱等である。図2に示す例において、側壁面5は、四角柱の側面と同じ形状を有し、4つの側面5a,5b,5c,5dを有している。
【0022】
ブース組立ユニット1は、フレーム体10と、シート体20と、仕切りシート30と、支持体40とを備える。
【0023】
フレーム体10は、図に示すように、複数の支柱13と、連結構造11とを含む。
【0024】
複数の支柱13は、側壁面5の縁に沿って鉛直方向に延び、互いに平行に立設される。図に示す例において、支柱13の数は4本である。支柱13は、延在方向(Y方向)に繋ぎ合わせた2本のフレームからなり、高さ調節のため、延在方向に伸縮可能になっている。
【0025】
連結構造11は、内側空間7内に天井面3に沿って配置され、支柱13同士を連結する構造体である。図に示す連結構造11は、交差する角度が変化するように2本のフレーム12aが互いに連結されてなるフレーム対12を複数有している。図に示す例において、フレーム対12の数は12対である。このうち一部のフレーム対12は、天井面3の縁(四辺)に沿って、1つの縁(辺)に2対ずつ配置されている。他のフレーム対12は、天井面3の中心を通って互いに直交する2本の直線に沿って2対ずつ配置されている。各辺あるいは各直線に沿って配置されるフレーム対12の数は、2対に制限されず、1対あるいは3対、4対等であってもよい。隣り合って配置されるフレーム対12は、隣り合うフレーム12aの端部同士が連結部材12bを介して連結されることで、互いに接続されており、連結構造11は一体になっている。そのため、複数の支柱13を、ブース組立ユニット1の側方向(Z方向及びX方向)に押すあるいは引っ張ることにより、各フレーム対12の2本のフレーム12aの交差する角度が変化して、支柱13が互いに接近あるいは離反する。これにより、フレーム体10は折り畳み可能になっている。
【0026】
支柱13及び連結構造11をなすフレームは、例えば、鋼、アルミニウム合金等の金属や、樹脂を材質とする。
【0027】
図3は、シート体20を示す斜視図である。
シート体20は、フレーム体10に取り付けられることで天井面3及び側壁面5を形成する。図に示すシート体20は、天井面3を形成するシートと、側壁面5の各側面5a~5dを形成する複数のシートとを互いに接合し一体に形成した袋状のシート体である。袋状のシート体20は、フレーム体10に上方から被せるようにしてフレーム体10に取り付けられる。なお、これに代えて、シート体20は、天井面3及び側壁面5の各側面5a~5dを形成するシートが互いに着脱自在に構成されていてもよい。この場合、各シートは、例えば、各シートの縁に沿って線状に設けた、面ファスナ、粘着テープ、粘着性ゲルシート、磁石等を用いて互いに着脱可能である。
【0028】
シート体20は、外部から内側空間7が見えるよう、あるいは、内側空間7から外部が見えるよう、透明なシートから構成されることが好ましい。図1及び図2では、わかりやすく説明するため、シート体20の内側に配置されるブース組立ユニット1の各要素を実線で表している。透明なシートには、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を材質とするシートが好ましく用いられる。
【0029】
シート体20のうち、対向する2つの側面5a、5cを形成するシートには、内側空間7への出入り口となる切込みが鉛直方向に延びるように設けられている。これにより、ブース組立ユニット1に対し、対向する両側から人が出入りすることができる。図に示す例では、切込みに沿って線状にファスナ21a、21cが設けられ、出入り口を開閉できるようになっている。
【0030】
図4は、仕切りシート30を示す外観図である。
仕切りシート30は、内側空間7を複数の空間7a、7bに仕切るように内側空間7内に配置されるシートである。内側空間7が複数の空間7a、7bに仕切られることにより、空間7a、7b内それぞれにいる人の間で、ウィルス等の病原体や、咳やくしゃみの飛沫が移動するのを防ぐことができる。仕切りシート30は、空間7a、7b内それぞれにいる人が互いに顔や姿が見えるよう、透明なシートから構成されることが好ましい。好ましくは、仕切りシート30は、ブース組立ユニット1の材料コストを低減するため、シート体20と同じ材料で構成される。
【0031】
支持体40は、仕切りシート30の上端部30aに沿って直線状に延びるように内側空間7内に配置される部材である。図に示す例において、仕切りシート30の上端部30aは、矩形の仕切りシート30の上辺をなす部分に相当する。支持体40は、上端部30aを支持することにより仕切りシート30を吊り下げる。支持体40は直線状に延びる部材であるため、仕切りシート30の自重に抗する上向きの力を、仕切りシート30の上端部30aに沿って、仕切りシート30に対し作用させることができる。そのため、仕切りシート30の縁部に上記骨組みユニットのような枠材を取り付けたり、仕切りシートの代わりにアクリル板等の仕切り板を採用したりしなくても、吊り下げられた仕切りシート30の波打ちを抑制でき、仕切りシート30に平坦面を形成させることができる。これにより、仕切りシート30を挟んで向き合う人が互いの顔や姿を確認しやすくなる。
【0032】
本実施形態において、仕切りシート30は、上端部30aを除いて、外力が働くように支持されていない。このようなブース組立ユニット1では、上端部30aと反対側の仕切りシート30の部分を折り畳んだり、丸めたりすることにより、あるいは、上端部30aだけを支持体40から取り外すことにより簡単に小さくすることができる。そのため、仕切りシートに枠材が取り付けられている場合や、仕切りシートの代わりに仕切り板を採用した場合と比べ、シート体20に設けた出入り口から、仕切りシート30を出し入れする作業がしやすい。すなわち、ブース組立ユニット1によれば、設置された仕切りシート30が波打つことを抑えつつ、仕切りシート30の設置あるいは撤去を容易に行うことができる。
【0033】
支持体40は、仕切りシート30の支持に必要な剛性を確保するため、鋼、アルミニウム合金等の金属や、樹脂を材質とすることが好ましい。また、支持体40の形態は、軽量化のため、パイプであることが好ましい。
【0034】
ブース組立ユニット1は、さらに、複数の支持具51、52、53を備えることが好ましい。ここで、図5に、支持体40、支持具51、52、53、及び仕切りシート30の筒状部(後述)を示す外観図を示す。図6に、支持体40、支持具51、52、53、及び仕切りシート30の筒状部を示す外観図を示す。図7に、支持具51を示す外観図を示す。図8に、支持具52を示す外観図を示す。
支持具51、52、53は、支持体40が掛け渡されるよう支持体40の延在方向(Z方向)に間隔をあけて配置されている。これにより、支持体40は、内側空間7内に配置された状態を維持する。図7図8に示す支持具51、52は、支持体40の延在方向に見て、一端が開口したC字、J字、L字等の形状を有し、支持体40を受け入れるよう構成されている。
【0035】
支持具51、52、53は、連結構造11に取り付けられていることが好ましい。図に示す例において、支持具51、52、53は、連結構造11の連結部材12bにねじ止めされ取り付けられている。これにより、支持体40は、仕切りシート30の上端部30aに沿って配置された状態を維持できる。仕切りシート30が水平に延びる方向(Z方向)の両端部は、シート体20の出入り口からの人等の出入りの邪魔になるのを避けるため、側面5b、5dを向くように配置されることが好ましい。また、支持体40の延在方向(Z方向)の両端部も、側面5b、5dを向くように配置されることが好ましい。そのため、支持具51、52、53は、複数の連結部材12bのうちの所定の連結部材12bを選択して取り付けることが好ましい。
【0036】
仕切りシート30の上端部30aは、支持体40に挿通されるように筒状に形成された少なくとも1つの筒状部を有していることが好ましい。図に示す例において、上端部30aは、複数の筒状部31、32、33、34を有している。これにより、支持体40が、仕切りシート30の自重に抗する力を、上端部30aに沿って、仕切りシート30に対し確実に作用させることができる。なお、支持具51、52,53によって支持される支持体40の部分は、筒状部31~34を通せないため、支持体40は上端部30aを直接支持することができない。そのため、筒状部31~34の延在方向(Z方向)の長さは、それぞれ対応する、隣り合う支持具51、52、53の間隔、あるいは、外側の支持具51、53と支持体40の端部との間の距離、の70%以上の長さであることが好ましく、80%以上の長さであることがより好ましい。筒状部31~34の長さが上記範囲より短いと、支持体40によって直接支持されない上端部30aの部分が、仕切りシート30の重みでしわが寄ったように変形し、仕切りシート30の平坦さが損なわれる場合がある。そのため、仕切りシート30の厚さは薄いことが好ましく、例えば、0.2~2mmである。また、筒状部31~34は、図に示すように、仕切りシート30のシート本体30bと別部材で構成されることが好ましい。筒状部を仕切り本体の一部を用いて構成した場合は、支持具51~53の位置と対応して筒状部が形成されない上端部30aの位置において、シート本体にかかる負荷によって、シート本体に亀裂が生じ、さらには亀裂が進展して仕切りシート30が破れるおそれがある。
【0037】
複数の筒状部31~34のうち筒状部31、34は、支持体40の延在方向の最も外側に配置される支持具51、53より外側に配置される支持体40の端部が挿通されるように筒状に形成された外側筒状部31、34であることが好ましい。外側筒状部31、34は、支持具51、53の内側に配置される内側筒状部32、33と比べ、水平方向の長さが短く、仕切りシート30の重さを受けて負荷が大きくなりやすいので、内側筒状部32、33よりも、強度の高い素材あるいは厚いシート材で構成されることが好ましい。例えば、内側筒状部32、33は、シート本体30bと同じ材質でありつつ、外側筒状部31、34は、シート本体30bより強度の高い材質、あるいは、シート本体30bと同じ材質でかつ厚いシート材料で構成されることが好ましい。外側筒状部31、34の材質は、例えば、ポリエステルやナイロン等の合成繊維の織物の両面にポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムを積層したシート(ターポリン)であり、不透明なシート材料から構成されてもよい。
【0038】
支持体40は、支持体40が延在方向(Z方向)に分割された複数の分割棒40a、40bを有していることが好ましい。これにより、仕切りシート30を、支持体40から取り外さなくても簡単に小さくすることができ、仕切りシート30の設置あるいは撤去をよりスムーズに行うことができる。このような効果は、仕切りシート30を後付けで設置する場合のように、シート体20をフレーム体10に取り付けた後で仕切りシート30を設置する場合にメリットが大きい。なお、支持具52は、図8に示すように、分割棒40a、40bの両方を支持するよう構成されている。分割棒の数は、2つに制限されず、3つ、4つ以上であってもよい。一方で、支持体40は、延在方向に複数に分割されていなくてもよく、1本の部材で構成されていてもよい。
【0039】
仕切りシート30は、複数の空間7a、7bが互いに連通するよう天井面3から間隔をあけて配置されていることが好ましい。これにより、空間7a、7b内それぞれにいる人が会話する際に、相手の声がこもって聞き取り難くなることを抑えられる。一方で、上記間隔があきすぎると、空間7a、7b内で立っている人から、ウィルス等の病原体や、咳やくしゃみの飛沫が、相手側の空間に直線的に移動する可能性が高くなる。そのため、上記間隔は、ブース組立ユニット1の高さの5~20%の長さであることが好ましい。
【0040】
ブース組立ユニット1は、さらに、陰圧装置60を備えることが好ましい。陰圧装置60は、内側空間7を陰圧にするための装置である。具体的に、陰圧装置60は、内側空間7の空気を外側に排出することにより、内側空間7の圧力を外側の圧力より低くし、内側空間7を陰圧(例えば-2.5Pa程度)にする。これにより、ブース組立ユニット1が設置される施設内に、ブース組立ユニット1内から病原体などの物質が漏出して拡散するリスクを低減できる。ブース組立ユニット1内の陰圧を維持する観点から、ブース組立ユニット1が設置される設置面とシート体20の間に隙間がないことが好ましい。
【0041】
陰圧装置60は、例えば、電力の供給によって回転駆動するファン(図示せず)と、内側空間7から外側に排出される空気の清浄化を行う、HEPAフィルタ等のエアフィルタ(図示せず)と、を有している。シート体20には、陰圧装置60から外側に排出される空気の通気口(図示せず)が設けられている。図に示す例において、陰圧装置60は、内側空間7内を延びるダクトあるいはホース70を介して通気口と接続されている。
【0042】
陰圧装置60は、空間7a、7bのうち、例えば、介護施設において来訪者の面会を受ける施設の滞在者(被面会者)や、医療施設において患者の診療や問診を行う医療従事者が入る空間とは異なる方の空間に配置されることが好ましい。これにより、これらの者に向かって流れるブース内の空気の流れを少なくすることができる。図に示す例において、被面会者や医療従事者は空間7b内に入るよう定められ、陰圧装置60は空間7aに配置される。空間7bから空間7bに流れる空気の経路を少なくする観点からは、仕切りシート30とシート体20の間に隙間がないことが好ましい。また、仕切りシート30の下端は、そのような空気の下方における経路を確実になくす観点から、図示されるように、仕切りシート30が平面をなしていると仮定したとき、シート体20の下端より下方に位置していることが好ましい。仕切りシート30の下端部が設置面に沿って湾曲していると、仕切りシート30の波打ちの抑制に寄与する場合もある。陰圧装置60は、その上部に吸気口61が設けられていることが好ましい。
【0043】
側壁面5をなすシート体20の領域に、シート体20の外側から内側空間7内に空気を取り込むための開口部20aが形成されていることが好ましい。このように外側から空気が取り込まれることで、陰圧装置60を用いて内側空間7内を陰圧にしたときに、外部に対し過度に圧力が低下することを抑制できる。内側空間7内の圧力が低くなりすぎると、内側空間7内の空気の流れによって、仕切りシート30が波打つおそれがある。図に示す例において、開口部20aは、側面5b、5cを形成するシートに、計2箇所設けられている。被面会者や医療従事者が入る空間7b内に無用な空気の流れが形成されないよう、開口部20aは、側面5dを形成するシートには形成されないことが好ましい。
【0044】
開口部20aは、図に示す例のように、仕切りシート30の上方に位置していることが好ましい。これにより、内側空間7内にいる人に向かう空気の流れを少なくすることができる。特に、陰圧装置60の上部に吸気口61が設けられていると、外側から取り込まれた空気の大半が内側空間7の上部を流れ、しかも、内側空間7内を流れる空気の経路を最短距離に抑えることができる。開口部20aの開口面積は、内側空間7内の圧力を所望の範囲に維持しつつ仕切りシート30の波打ちを抑制する観点から、開口部20aが設けられるシート体20の側面の大きさ(面積)に対して所定の範囲に設定されていることが好ましい。具体的に、開口部20aの最大長さ(長辺長さ)の、開口部20aが設けられるシート体20の側面5a、5cの最大長さ(長辺長さ)の1/100~1/50であることが好ましい。
【0045】
以上説明したブース組立ユニット1は、例えば、支柱13の高さを低く調節して、フレーム体10にシート体20を上方から被せ、支柱13を高さを所定の高さに調節した後、シート体20の出入り口から、支持体40に取り付けた仕切りシート30を搬入し、内側空間7内に設置する手順で設置することができる。
【0046】
ブース組立ユニット1の寸法は、特に制限されないが、例えば、幅(X方向)1500~2000mm、奥行き(Z方向)1500~2500mm、高さ(Y方向)2000mmである。仕切られた空間7a、7b内それぞれには、例えば、椅子(車椅子を含む)やベッドを配置することができる。
【0047】
ブース組立ユニット1は、上述したように、例えば、介護施設や、病院、診療所等の医療施設の屋内に設置される。ブース組立ユニット1は、比較的小さな隔離されたスペースを作るために用いられる。内側空間7は、施設の滞在者と訪問者が面会したり、患者が医療従事者(医師や看護師)から診察や問診を受ける場所として利用することができる。
【0048】
以上、本発明のブース組立ユニットについて詳細に説明したが、本発明のブース組立ユニットは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0049】
1 ブース組立ユニット
3 天井面
5 側壁面
5a,5b,5c,5d 側面
7 内側空間
7a、7b 空間
10 フレーム体
11 連結構造
12 フレーム対
12a フレーム
12b 連結部材
13 支柱
20 シート体
20a 開口部
21a、21c ファスナ
30 仕切りシート
30a 上端部
31、34 外側筒状部
32、33 内側筒状部
40 支持体
40a、40b 分割棒
51、52、53 支持具
60 陰圧装置
61 吸気口
70 ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8