(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053359
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】照明制御システムおよび照明制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20240408BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240408BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240408BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20240408BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/16
H05B47/165
H05B47/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159573
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA07
3K273QA30
3K273QA31
3K273RA03
3K273RA06
3K273RA08
3K273RA12
3K273SA04
3K273SA17
3K273SA36
3K273SA37
3K273SA45
3K273SA46
3K273SA56
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA37
3K273TA52
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA16
3K273UA22
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】様々な情報を照明器具に伝達できる照明制御システムおよび照明制御装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明制御システムは、信号線に接続された照明器具と、前記信号線を介して制御信号を送信して、前記照明器具を制御する照明制御装置と、を備え、前記制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、前記第2データは前記第1データの種別を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線に接続された照明器具と、
前記信号線を介して制御信号を送信して、前記照明器具を制御する照明制御装置と、
を備え、
前記制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、
前記第2データは前記第1データの種別を示すことを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記第1変調方式はパルス幅変調方式またはUART通信の変調方式であり、
前記第2変調方式は周波数変調方式であることを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記第1データの種別として、調光率、色温度、フェードタイム、フェードレート、シーン、UART信号のうち少なくとも1つを設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記第1データの種別として、UART信号を設定可能であり、
前記UART信号は、前記第2変調方式により前記第1データの種別がUART信号であることを示すトレーラ領域を有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記制御信号は、前記種別に関わらず予め定められた一定周期で送信されることを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記照明器具は、前記第1データが無い状態が、前記一定周期よりも長い予め定められた期間だけ継続すると、予め定められた調光率で点灯することを特徴とする請求項5に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記照明器具は、前記制御信号のパルス幅と周波数が予め定められた回数連続して一致すると、前記第1データと前記第2データに応じた制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記照明器具は、受信した前記制御信号の前記第2データが示す前記種別が、自身に対応しない種別である場合、前記第1データに応じた制御を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記信号線に接続された複数の前記照明器具を備え、
前記照明制御装置は、照度センサからの照度情報に応じて前記制御信号を送信し、
前記制御信号の前記第2データは、前記第1データの種別がUART信号であることを示し、
前記制御信号の前記第1データは、前記複数の照明器具のうち制御対象となる照明器具の情報と、前記制御対象となる照明器具に設定される調光率の情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記信号線に接続された複数の前記照明器具を備え、
前記複数の照明器具は、機能が互いに異なる照明器具を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項11】
制御信号を生成する処理部と、
信号線を介して照明器具に前記制御信号を送信する通信部と、
を備え、
前記制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、
前記第2データは前記第1データの種別を示すことを特徴とする照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムおよび照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には点灯装置と調光信号送出装置を備えた調光制御システムが開示されている。点灯装置は、1つの信号線に接続され、1つの照明器具の第1光源を点灯させる第1点灯回路と、第1光源と同じ照明器具の、第1光源の色温度とは異なる色温度の第2光源を点灯させる第2点灯回路とを有する。調光信号送出装置は、第1光源及び第2光源の調光制御を行うための調光信号を生成し、生成した調光信号を信号線に送出する。調光信号は、パルス幅変調方式による変調を施すことによりデューティの大きさで第1光源の調光度を示した信号であって、周波数変調方式による変調を施すことにより周波数の高さで第2光源の調光度を示した信号である。
【0003】
点灯装置は、信号線を介して調光信号送出装置から送出された調光信号を受信し、受信した調光信号をパルス幅変調方式により復調してデューティを読み取り、読み取ったデューティの大きさに応じた調光度で第1点灯回路に第1光源を調光させる。また、点灯装置は、受信した調光信号を周波数変調方式により復調して周波数を読み取り、読み取った周波数の高さに応じた調光度で第2点灯回路に第2光源を調光させる。これにより点灯装置は、第1光源の光と第2光源の光とを混合することにより、1つの照明器具の明るさ及び色温度を同時に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムでは、調光率と色温度を制御するための2種類の情報しか照明器具に伝達できない。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、様々な情報を照明器具に伝達できる照明制御システムおよび照明制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る照明制御システムは、信号線に接続された照明器具と、前記信号線を介して制御信号を送信して、前記照明器具を制御する照明制御装置と、を備え、前記制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、前記第2データは前記第1データの種別を示す。
【0008】
本開示に係る照明制御装置は、制御信号を生成する処理部と、信号線を介して照明器具に前記制御信号を送信する通信部と、を備え、前記制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、前記第2データは前記第1データの種別を示す。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る照明制御システムおよび照明制御装置では、照明制御装置が送信する制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、第2データは第1データの種別を示す。従って、様々な情報を照明器具に伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る照明制御システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明器具の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る照明制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る制御回路の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態1に係る制御信号の波形を説明する図である。
【
図6】実施の形態1に係る制御信号の仕様を説明する図である。
【
図7】実施の形態1に係るUART信号の仕様を説明する図である。
【
図8】実施の形態1に係るUART信号のトレーラ領域の波形を説明する図である。
【
図9】実施の形態1に係るUART信号のアドレス領域の仕様を説明する図である。
【
図10】実施の形態1に係るUART信号のコマンド種別とDATA領域の仕様を説明する図である。
【
図11】実施の形態1に係る照明器具における制御を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態2に係る照明器具の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各実施の形態に係る照明制御システムおよび照明制御装置について図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100の構成を示す図である。照明制御システム100は、1つの信号線4に接続された複数の照明器具3と、信号線4に接続され信号線4を介して制御信号18を送信して、複数の照明器具3を制御する照明制御装置2とを備える。複数の照明器具3は、例えば機能が互いに異なる照明器具3―1、3-2、3-3、3-4を含む。複数の照明器具3と照明制御装置2は、電源線5を介して商用電源1に接続されている。
【0013】
照明器具3-1は調光が可能な調光タイプである。照明器具3-2は調光と調色が可能な調光調色タイプである。照明器具3-3は青空タイプである。照明器具3-3は、電球色から昼白色に色温度を制御し、さらに明るさを制御することが可能な表示エリア部3aと、朝、夕、昼、夜の青空を点灯状態で表現することが可能な表示エリア部3bとを備える。照明器具3-4は、アドレスにより個別に調光、調色の制御が可能な個別制御調光調色タイプである。
【0014】
なお、複数の照明器具3には同一機能の照明器具3が複数台含まれても良い。信号線4に接続される照明器具3の種類および数は、
図1に示されるものに限定されない。照明制御システム100が有する照明器具3は1台以上であれば良い。
【0015】
照明制御装置2は、パルス幅変調方式と、周波数変調方式と、片方向のUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)通信を混在させて、制御信号18として信号線4に出力できる。パルス幅変調方式は、デューティの大きさで変調を施す変調方式である。周波数変調方式は、周波数の高さで変調を施す変調方式である。照明制御装置2が送信する制御信号18は、パルス幅変調方式またはUART通信の変調方式により示される第1データと、周波数変調方式により示される第2データを含む。第2データは第1データの種別を示す。後述する通り、このような制御信号18によれば様々な情報を照明器具3に伝達できる。また、様々な機能の照明器具3を1つの信号線4に接続することができる。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る照明器具3の構成を示すブロック図である。ここでは、調光調色タイプの照明器具3-2を例に、照明器具3の構成を説明する。照明器具3は、LEDドライバ37と光源であるLED35、36を備える。LEDドライバ37において、端子台30には商用電源1が接続される。端子台31には1つの信号線4が接続され、制御信号18が入力される。商用電源1は端子台30を介して点灯回路32と点灯回路33に接続される。点灯回路32、33は、商用電源1から電力を供給されて、LED35とLED36をそれぞれ点灯させる。
【0017】
制御信号18は、端子台31を介して制御回路34に入力される。制御回路34は、制御信号18に含まれる周波数変調信号と、パルス幅変調信号またはUART信号とを解析し、解析結果に基づいて点灯回路32、33を制御する。
【0018】
LED35は、例えば電球色相当の色温度3000Kの光源である。LED36は、例えば白色の色温度5000Kの光源である。照明器具3は、2色のLED35、36から放出される光を混合する機能を備える。
【0019】
図3は、実施の形態1に係る照明制御装置2の構成を示すブロック図である。端子台28には商用電源1が接続される。電源回路20は、端子台28を介して商用電源1から電力を供給されて、DC5V電源と制御信号18用のDC12Vを生成する。制御回路21には、RTC(Real-Time Clock)26、不揮発メモリ22、IR(Infrared)通信回路23、照度センサ回路25等の周辺回路が接続されている。RTC26は、スケジュール制御の時間をカウントする。不揮発メモリ22は各種設定値を保存する。IR通信回路23は、赤外線リモコン27との間で設定信号、操作信号を送受信する。照度センサ回路25は、フォトダイオードにより構成され、机上面の輝度から照度を測定する。
【0020】
制御回路21は、周辺回路からの信号に応じて制御信号18を生成する。制御信号18は、増幅回路24を介して端子台29に接続された複数の照明器具3に送信される。これにより、照明制御装置2は複数の照明器具3を制御できる。制御回路21は制御信号18を生成する処理部に該当する。増幅回路24および端子台29は、信号線4を介して照明器具3に制御信号18を送信する通信部に該当する。
【0021】
図4は、実施の形態1に係る制御回路21の構成を示すブロック図である。まず、スケジュール機能について説明する。赤外線リモコン27からIR通信回路23を介して、時刻情報と制御内容から構成される1日または1週間のスケジュール情報が送信される。スケジュール情報は、IR通信処理部21fで解析され、メイン処理部21aを介して不揮発メモリ22に保存される。メイン処理部21aは、スケジュール情報に基づき、制御を実施する時刻を、スケジュール処理部21eを介してRTC26に登録する。RTC26は、時計機能により登録された時刻になると、スケジュール処理部21eを介してメイン処理部21aにスケジュール実行の信号を通知する。
【0022】
メイン処理部21aは、スケジュール処理部21eからの通知に応じて、実行するスケジュール情報に基づき、第1データと第2データを含む制御信号18を生成する。第1データは、例えば調光率、色温度、フェードタイム、フェードレート、シーン等を示す。第2データは第1データの種別、つまり、第1データが調光率、色温度、フェードタイム、フェードレート、シーン等の何れであるかを示す。メイン処理部21aは、例えば第1データをパルス幅変調信号として示し、第2データを周波数変調信号として示すように、スケジュール情報を制御信号18に変換する。生成された制御信号18はPWM(Pulse Width Modulation)処理部21dに出力される。PWM処理部21dは、制御信号18で指定された周波数とデューティからなるPWM信号を作成し、増幅回路24に送信する。
【0023】
メイン処理部21aは、第1データをUART信号として示し、第2データを周波数変調信号として示すように、スケジュール情報を制御信号18に変換しても良い。この場合、第2データは第1データの種別がUART信号であることを示す。メイン処理部21aは、実行するスケジュール情報からUART信号を組み立てて、DMA(Direct Memory Access)21bにセットする。DMA21bはセットされたデータをUART処理部21cに1バイト毎に出力する。UART処理部21cは出力されたデータを、増幅回路24を介して1ビット毎に照明器具3に出力する。増幅回路24に出力されたPWM信号またはUART信号は、メイン処理部21aにて一定の周期T1で切替えられながら繰り返し送信される。
【0024】
次に赤外線リモコン27より調光率を操作する機能について説明する。赤外線リモコン27より送信された調光率の操作情報は、IR通信回路23を介して、IR通信処理部21fで受信され、解析される。メイン処理部21aは、解析により得られた調光率の値に基づき、第1データと第2データを含む制御信号18を生成する。メイン処理部21aは、調光率の値を、パルス幅変調信号として示される第1データに変換する。またメイン処理部21aは、第1データの種別が調光率であることを示す情報を、周波数変調信号として示される第2データに変換する。生成された制御信号18は、PWM処理部21dに出力される。PWM処理部21dは、制御信号18で指定された周波数とデューティからなるPWM信号を作成し、増幅回路24に送信する。
【0025】
メイン処理部21aは、調光率を示す第1データをUART信号として示し、第2データを周波数変調信号として示すように、制御信号18を生成しても良い。この場合、UART信号で調光率が示され、第2データは第1データの種別がUART信号であることを示す。メイン処理部21aは、調光率の値からUART信号を組み立ててDMA21bにセットする。DMA21bはセットされたデータをUART処理部21cに1バイト毎に出力する。UART処理部21cは出力されたデータを、増幅回路24を介して1ビット毎に照明器具3に出力する。
【0026】
次に、照度センサ回路25より照明器具3の明るさを一定に制御する機能について説明する。照度センサ回路25より測定された照度値は、メイン処理部21aに入力される。赤外線リモコン27等により、不揮発メモリ22には予め目標照度値が保存されている。さらに赤外線リモコン27等により、不揮発メモリ22には予め調光率の変化量に対する照度値の情報が保存されている。メイン処理部21aは、調光率の変化量に対する照度値の情報と、目標照度値と測定された照度値との差から、照明器具3に設定する調光率を算出する。
【0027】
メイン処理部21aは、算出された調光率の値に基づき、第1データと第2データを含む制御信号18を生成する。メイン処理部21aは、調光率の値を、パルス幅変調信号として示される第1データに変換する。またメイン処理部21aは、第1データの種別が調光率であることを示す情報を、周波数変調信号として示される第2データに変換する。生成された制御信号18は、PWM処理部21dに出力される。PWM処理部21dは、制御信号18で指定された周波数とデューティからなるPWM信号を作成し、増幅回路24に送信する。
【0028】
メイン処理部21aは、調光率を示す第1データをUART信号として示し、第2データを周波数変調信号として示すように、制御信号18を生成しても良い。この場合、UART信号で調光率の値が示され、第2データは第1データの種別がUART信号であることを示す。メイン処理部21aは、調光率の値からUART信号を組み立ててDMA21bにセットする。DMA21bはセットされたデータをUART処理部21cに1バイト毎に出力する。UART処理部21cは出力されたデータを、増幅回路24を介して1ビット毎に照明器具3に出力する。
【0029】
図5は、実施の形態1に係る制御信号18の波形を説明する図である。制御信号18は、第1データの種別に関わらず、予め定められた一定の周期T1で送信される。周期T1は例えば50msである。制御信号18は周期T1で繰り返し出力される。次に、第1データがパルス幅変調方式で示され、第2データが周波数変調方式で示される場合の波形について説明する。このとき制御信号18はPWM信号となる。1回の周期T1において、制御信号18のデューティと周波数は固定される。
【0030】
制御信号18-1の周期T2は4ms、周波数は250Hzである。このとき、第2データは、例えば第1データの種別がフェードレートであることを示す。デューティで定義される第1データは、例えば1から15の15段階のフェードレートのデータである。フェードレートは、例えばフェードレート(ステップ/S)=506/√(2n)により示される。ここで、n=1~15である。これにより、358step/1sから2.8step/1sの範囲でフェードレートを設定できる。なお、n>15の場合は、n=15が設定され、n=0の場合はn=1が設定される。
【0031】
制御信号18-2の周期T2は2ms、周波数は500Hzである。このとき、第2データは、例えば第1データの種別が色温度比であることを示す。デューティで定義される第1データは、例えば0から255の256段階の色温度比のデータである。第1データは、例えば赤外線リモコン27により予め不揮発メモリ22に保存されたLED35、36の色温度比を、0%から100%の比率で表わす。色温度比は例えば0.5%刻みで設定可能である。
【0032】
制御信号18-3の周期T2は1ms、周波数は1000Hzである。このとき、第2データは、例えば第1データの種別が調光率であることを示す。デューティで定義される第1データは、例えば0から255の256段階の調光率のデータである。第1データは、例えばLED35、36のうち調光率が大きい一方の調光率を100%とした場合の、他方の調光率を0%から100%の比率で表わす。調光率は例えば0.5%刻みで設定可能である。
【0033】
図6は、実施の形態1に係る制御信号18の仕様を説明する図である。
図5に示されるものに限らず、第1データの種別として、例えば調光率、色温度、フェードタイム、フェードレート、シーン、UART信号のうち少なくとも1つを設定可能である。
【0034】
フェードタイムの制御信号18の周期T2は例えば3ms、周波数は333Hzである。このとき、デューティで定義される第1データは、0から15の15段階のフェードタイムのデータとなる。
【0035】
シーンの制御信号18の周期T2は例えば5ms、周波数は200Hzである。このとき、デューティで定義される第1データは、1から16の16種類のシーンの何れかを示す。なお、各シーンには、複数の照明器具3の各々の設定が登録される。
【0036】
リセットの制御信号18の周期T2は例えば9ms、周波数は111Hzである。このとき、デューティは例えば50%に設定される。照明器具3は、周波数変調信号で示される第2データがリセットを示す場合、調光率、色温度比、フェードタイム、フェードレートの何れか1つ以上をデフォルト状態に設定する。
【0037】
制御信号18の波形には、信号線4の抵抗成分、インダクタ成分、容量成分により、なまりが発生する。このため、制御信号18のデューティは5%から95%を有効範囲とする。5%から95%の制御信号18のデューティは、0から100の値に変換して使用される。制御信号18のデューティが0%の場合、つまり、第1データが無い場合、照明器具3はフェールセーフ機能により、予め定められた調光率で点灯する。予め定められた調光率は、例えば調光率100%である。照明器具3は、第1データが無い状態が、周期T1よりも長い予め定められた期間だけ継続した場合に、予め定められた調光率で点灯しても良い。予め定められた期間は、例えば周期T1の10周期分、つまり500msである。また、照明器具3は、制御信号18のデューティが100%の場合、消灯する。
【0038】
図7は、実施の形態1に係るUART信号の仕様を説明する図である。UART信号である制御信号18-4の周期T2は例えば500μs、周波数は2000Hzである。このとき、第2データは第1データの種別がUART信号であることを示す。制御信号18-4は、UART通信の変調方式で示される第1データと、周波数変調方式で示される第2データを含む。UART通信の変調方式は、1と0の二値で、1ビット毎にデータを送信する方式である。このとき、制御信号18-4のデューティは例えば50%に設定される。
【0039】
UART信号は、トレーラ領域が5バイト、アドレス領域が1バイト、データ長が1バイト、コマンド種別が1バイト、DATA1からDATA3がそれぞれ1バイト、FCCが1バイトである。つまり、UART信号は合計12バイトであり、24msの信号となる。
【0040】
図8は、実施の形態1に係るUART信号のトレーラ領域の波形を説明する図である。UART信号である制御信号18-4は、周波数変調方式により第1データの種別がUART信号であることを示すトレーラ領域を有する。つまり、トレーラ領域の周波数がUART信号に対応する2000Hzに設定される。このとき、制御信号18-4の周期T2は500μs、パルス幅T3は250μsとなり、UART信号の送信スピードは4000bpsとなる。例えばトレーラ領域のデータは55Hである。トレーラ領域は、後述する制御信号18の3回一致の判定回数より十分長く設定すると良い。
【0041】
図9は、実施の形態1に係るUART信号のアドレス領域の仕様を説明する図である。アドレス領域は、上位2ビットで個別アドレス、グループ、シーンを判別する。下位6ビットで、例えば複数の個別アドレスのうち制御対象となるアドレスを特定する。データ長領域は、上位4ビットでコマンドバージョンを示し、下位4ビットでデータ長を示す。コマンドバージョンは、UART信号が拡張され仕様が変更された場合、互換性をチェックする情報として用いられる。
【0042】
図10は、実施の形態1に係るUART信号のコマンド種別とDATA領域の仕様を説明する図である。コマンド種別は、例えば操作コマンドが01H、青空操作コマンドが02H、リミット設定コマンドが11H、シーン設定コマンドが12H、フェード設定コマンドが13Hである。データ領域であるDATA1~DATA3は、コマンド種別毎に定義付けられる。
【0043】
例えばコマンド種別が操作コマンドの場合、DATA1~3にはそれぞれ調光率、色温度、フェードタイムのデータが設定される。コマンド種別が青空操作コマンドの場合、DATA1~3にはそれぞれシーンナンバー、調光率、フェードタイムのデータが設定される。コマンド種別がリミット設定コマンドの場合、DATA1、DATA2にはそれぞれMAX値とMIN値が設定される。コマンド種別がシーン設定コマンドの場合、DATA1~3にはそれぞれシーンナンバー、調光率、色温度のデータが設定される。コマンド種別がフェード設定コマンドの場合、DATA1、DATA2にはそれぞれフェードタイム、フェードレートのデータが設定される。未使用のDATAはFFHとする。
【0044】
照明器具3は、制御信号18-4に自身に対応しないコマンド種別が設定されている場合、制御信号18-4を破棄して現在の状態を維持する。例えば、青空タイプの照明器具3-3以外の照明器具3は、青空操作コマンドが設定された制御信号18-4を破棄する。照明器具3は、自身に対応するコマンド種別については、DATA1からDATA3の内容に従い処理を行う。
【0045】
図11は、実施の形態1に係る照明器具3における制御を示すフローチャートである。LEDドライバ37の制御回路34は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)で構成される。制御回路34は、マイコンの入力パルス間隔測定機能で、制御信号18の立上りエッジから次の立上りエッジである周期T2を自動計測する。同時に、マイコンの入力信号のハイ/ロウレベル幅測定機能により、立上りエッジから立下りのエッジであるパルス幅T3を自動計測する。これにより、周波数とデューティを計測できる(S100)。
【0046】
制御回路34は、制御信号18のパルス幅T3と周波数が予め定められた判定回数だけ連続して一致すると、制御信号18の第1データと第2データに応じた制御を行う。判定回数は例えば3回である。3回連続でパルス幅T3と周波数が一致しない場合は、制御回路34は制御信号18を破棄する。一致を判定するための閾値は、マイコンのクロックの誤差と、信号線4の配線長により発生する信号のなまりを考慮して設定される。
【0047】
次に、エラー処理を行う。まず、制御信号18が「L」、つまりデューティ=0%の場合(S101)、フェールセーフ機能を動作させる。制御回路34は、デューティ=0%が500ms継続すると信号なし状態を確定させ、LED35、36を調光率100%で点灯させる(S104)。次に制御信号18が「H」、つまりデューティ=100%の場合(S102)、制御回路34はLED35、36を消灯させる(S105)。
【0048】
次に制御回路34は、測定した周期T2の長さをチェックする(S103)。周期T2の判定では、マイコンのクロックの誤差と、信号線4の配線長により発生する信号のなまりから発生する時間を考慮した閾値が用いられる。閾値は例えば±20μsである。周期T2が1msまたは10msの場合、制御回路34は調光率制御を実施する(S106)。周期T2が2msの場合、制御回路34は色温度制御を実施する(S107)。周期T2が3msの場合、制御回路34はフェードタイムをセットする(S108)。周期T2が4msの場合、制御回路34はフェードレートをセットする(S109)。周期T2が5msの場合、制御回路34はシーン制御を実行する(S110)。周期T2が9msでデューティ=50%の場合(S111)、制御回路34はリセットを行う(S112)。周期T2が500μsでパルス幅T3が250μs、つまりデューティ=50%の場合(S113)、制御回路34はUART通信による制御を実施する(S115)。周期T2が予め設定された何れの周期にも該当しない場合(S114)、制御回路34は予約処理として制御を実施しない。
【0049】
照明器具3は、受信した制御信号18の第2データ、つまり周期T2が示す種別が、自身に対応しない種別である場合、第1データに応じた制御を行わない。例えは、調光タイプの照明器具3-1は、エラー処理(S101~S105)、調光率制御処理(S106)、フェードタイムセット処理(S108)、フェードレートセット処理(S109)を実施する。照明器具3-1は、例えば色温度制御処理を示す周期T2の制御信号18については、予約処理として破棄する。照明器具3-1は、調光率を変化させる場合は、設定されたフェードタイムもしくはフェードレートに従い、フェード制御を行う。
【0050】
また、青空タイプの照明器具3―3は、エラー処理(S101~S105)、表示エリア部3aを電球色から昼白色に色温度制御して(S107)、さらに明るさを調光制御する処理(S106)が実施される。また、青空タイプの照明器具3―3では、表示エリア部3bを朝、夕、昼、夜の青空を表現する点灯状態にシーン制御する処理(S110)、フェードタイムセット処理(S108)、フェードレートセット処理(S109)が実施される。照明器具3―3は、上記以外の処理を示す周期T2の制御信号18については、予約処理として破棄する。照明器具3―3は、調光率、色温度またはシーンが変化する場合は、設定されたフェードタイムもしくはフェードレートに従いフェード制御を行う。
【0051】
次に、照度センサ回路25より測定された照度値E1により、複数の照明器具3をUART信号にて制御する方法について説明する。照明制御装置2は、窓際に設置された照度センサ回路25にて外光の照度を測定する。測定された照度は、制御回路21に含まれるマイコンで処理される。複数の照明器具3は、窓からの距離に従いグループを設定される。例えば複数の照明器具3のうち、窓際の最も外光の影響を受けやすい1列をグループ1に、外光の影響少ない列の照明器具3をグループ2に、外光の影響を受けない照明器具3をグループ3に設定する。
【0052】
窓から入射する外光による照度E3は、照度センサ回路25にて測定された照度値E1と照明器具3の調光率制御で得られる照度E2の差E3=E1―E2により求められる。また、外光の影響は、照明器具3の窓からの距離の2乗に反比例し、入射角θの余弦cosθに比例して変化する。マイコンは、各グループについて、位置に応じた補正値を適用した外光による照度E3’を演算する。マイコンは、演算で得られた各グループの外光の照度E3’に基づき、目標照度を実現するための調光率を算出し、制御信号18―4として調光率の制御コマンドを含むUART信号を送信する。このようにして、照明制御装置2は、照度センサからの照度情報に応じて制御信号18―4を送信する。
【0053】
制御信号18-4の第2データは、第1データの種別がUART信号であることを示す。制御信号18-4の第1データは、複数の照明器具3のうち制御対象となる照明器具3のグループの情報と、制御対象となる照明器具3に設定される調光率の情報を含む。これにより、照明器具3の位置に応じて、適切な調光率を設定でき、目標照度を実現できる。
【0054】
本実施の形態では、照明制御装置2が送信する制御信号18は、パルス幅変調方式またはUART通信の変調方式である第1変調方式により示される第1データと、周波数変調方式である第2変調方式により示される第2データを含む。第2データは第1データの種別を示す。これにより、様々な情報を照明器具3に伝達できる。また、本実施の形態では、様々な機能を持った複数の照明器具3を同一信号線4上で制御できる。
【0055】
本実施の形態の変形例として、第2変調方式はパルス幅変調方式であっても良い。つまり、パルス幅変調方式により、第2データとして第1データの種別を示しても良い。この場合、第1データを示す第1変調方式は、例えば周波数変調方式またはUART通信の変調方式で示される。また、本実施の形態では、パルス幅変調方式、周波数変調方式およびUART通信の変調方式について説明したが、他の変調方式を用いても良い。つまり制御信号18は、第1変調方式により示される第1データと、第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、第2データは第1データの種別を示せば良い。
【0056】
また、
図6の例では制御信号18の周期T2を1msおきに定義している。これに限らず、周期T2は1msおき以外で定義されても良い。また、UART通信の通信速度を4000bpsとしているが、第1データの種別が調光率の場合に用いられる周波数1000Hzと干渉しない、例えば1500Hz以上となる通信速度としても良い。
【0057】
また、UART通信の制御信号18-4の長さが周期T1と同じまたは、周期T1以下となる範囲で、制御信号18-4のトレーラ領域の長さ、送信データの長さまたは輻輳回数を決定しても良い。例えば
図7に示されるUART信号は24msの長さであるが、2回輻輳させて48msの信号としても良い。これにより信頼性を向上させることができる。
【0058】
また、調光率と色温度比を表す制御信号18により、照明器具3のLED35、36の色温度と調光率を制御する場合、制御回路34は、LED35の光束とミレッド値と、LED36の光束とミレッド値とを用いて、LED35、36の調光率を決定しても良い。ミレッド値は、色温度の逆数である。
【0059】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明制御システムおよび照明制御装置について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明制御システムおよび照明制御装置については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0060】
実施の形態2.
図12は、実施の形態2に係る照明器具203の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、照明器具203の構成が照明器具3と異なる。他の構成は実施の形態1の構成と同様である。照明器具203はLEDドライバ237を備える。LEDドライバ237の制御回路34が、制御信号18により調光率制御を受けたとする。制御回路34は、制御信号18で指定された調光率に対応する電流値I1がLED35、36に流れるように、定電流回路239を制御する。定電流回路239は、例えばハイサイド方式の制御回路と電流検知回路で構成される。定電流回路239は、LED35、36の合成電流が電流値I1となる様に制御を行う。
【0061】
また、制御回路34が制御信号18により色温度制御を受けたとする。制御回路34は照明器具203の色温度値C1が制御信号18で指定された色温度となる様に、PWM回路238でLED35、36をPWM制御する。PWM制御では、LED35を点灯させるPWM信号を反転させた信号が、LED36を点灯させるPWM信号となる。また2つのPWM信号には、信号の切り替わりが重ならない様にデッドタイムが設定させる。LED35、36をPWM制御する周波数は、カメラ等でフリッカーが発生せず、かつ、可聴範囲外となる1kHz以上とする。
【0062】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。また、各実施の形態のうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。
【0063】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
信号線に接続された照明器具と、
前記信号線を介して制御信号を送信して、前記照明器具を制御する照明制御装置と、
を備え、
前記制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、
前記第2データは前記第1データの種別を示すことを特徴とする照明制御システム。
(付記2)
前記第1変調方式はパルス幅変調方式またはUART通信の変調方式であり、
前記第2変調方式は周波数変調方式であることを特徴とする付記2に記載の照明制御システム。
(付記3)
前記第1データの種別として、調光率、色温度、フェードタイム、フェードレート、シーン、UART信号のうち少なくとも1つを設定可能であることを特徴とする付記1または2に記載の照明制御システム。
(付記4)
前記第1データの種別として、UART信号を設定可能であり、
前記UART信号は、前記第2変調方式により前記第1データの種別がUART信号であることを示すトレーラ領域を有することを特徴とする付記1から3の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記5)
前記制御信号は、前記種別に関わらず予め定められた一定周期で送信されることを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記6)
前記照明器具は、前記第1データが無い状態が、前記一定周期よりも長い予め定められた期間だけ継続すると、予め定められた調光率で点灯することを特徴とする付記5に記載の照明制御システム。
(付記7)
前記照明器具は、前記制御信号のパルス幅と周波数が予め定められた回数連続して一致すると、前記第1データと前記第2データに応じた制御を行うことを特徴とする付記1から6の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記8)
前記照明器具は、受信した前記制御信号の前記第2データが示す前記種別が、自身に対応しない種別である場合、前記第1データに応じた制御を行わないことを特徴とする付記1から7の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記9)
前記信号線に接続された複数の前記照明器具を備え、
前記照明制御装置は、照度センサからの照度情報に応じて前記制御信号を送信し、
前記制御信号の前記第2データは、前記第1データの種別がUART信号であることを示し、
前記制御信号の前記第1データは、前記複数の照明器具のうち制御対象となる照明器具の情報と、前記制御対象となる照明器具に設定される調光率の情報を含むことを特徴とする付記4に記載の照明制御システム。
(付記10)
前記信号線に接続された複数の前記照明器具を備え、
前記複数の照明器具は、機能が互いに異なる照明器具を含むことを特徴とする付記1から9の何れか1項に記載の照明制御システム。
(付記11)
制御信号を生成する処理部と、
信号線を介して照明器具に前記制御信号を送信する通信部と、
を備え、
前記制御信号は、第1変調方式により示される第1データと、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式により示される第2データを含み、
前記第2データは前記第1データの種別を示すことを特徴とする照明制御装置。
【符号の説明】
【0064】
1 商用電源、2 照明制御装置、3、3-1~3-4 照明器具、3a 表示エリア部、3b 表示エリア部、4 信号線、5 電源線、18、18-1~18-4 制御信号、20 電源回路、21 制御回路、21a メイン処理部、21c UART処理部、21d PWM処理部、21e スケジュール処理部、21f IR通信処理部、22 不揮発メモリ、23 IR通信回路、24 増幅回路、25 照度センサ回路、26 RTC、27 赤外線リモコン、28~31 端子台、32、33 点灯回路、34 制御回路、37 LEDドライバ、100 照明制御システム、203 照明器具、237 LEDドライバ、238 PWM回路、239 定電流回路