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特開2024-53378アロマディフューザ及び吸水芯ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053378
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】アロマディフューザ及び吸水芯ユニット
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20240408BHJP
   B05B 12/12 20060101ALI20240408BHJP
   B05B 12/10 20060101ALI20240408BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240408BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B05B17/06
B05B12/12
B05B12/10
A61L9/01 Q
A61L9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159607
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】512269546
【氏名又は名称】株式会社カドー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健
(72)【発明者】
【氏名】喜内 一彰
(72)【発明者】
【氏名】小熊 辰之介
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 正之
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宣行
【テーマコード(参考)】
4C180
4D074
4F035
【Fターム(参考)】
4C180AA03
4C180CB01
4C180EC01
4C180EC02
4C180GG08
4C180GG12
4C180HH10
4C180KK03
4C180KK05
4C180LL06
4D074AA10
4D074BB02
4D074DD08
4D074DD12
4D074DD13
4D074DD14
4D074DD23
4D074DD32
4D074DD43
4D074DD55
4D074DD62
4D074DD65
4F035AA04
4F035BB16
4F035BB22
(57)【要約】
【課題】アロマ液容器内の液体を適切に霧化する。
【解決手段】アロマディフューザは、霧化装置と制御装置とを備える。霧化装置は、アロマ液容器から突出している吸水芯の上面と接する振動板を備え、振動板を振動させることにより吸水芯に含まれているアロマ液を霧化する。制御装置は、霧化装置を制御する。制御装置は、ユーザによるアロマ液の種類の指定、温度、アロマ液の経過時間のうちの少なくとも1つを認識し、認識した種類と温度と経過時間のうちの少なくとも1つに基づいて、振動板の振動の周波数と振幅とのうちの少なくとも1つを決定し、決定した周波数と振幅とのうちの少なくとも1つにそって振動板を振動させるための制御信号を、霧化装置に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロマ液容器から突出している吸水芯の上面と接する振動板を具備し、前記振動板を振動させることにより前記吸水芯に含まれているアロマ液を霧化する霧化装置と、
前記霧化装置を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
ユーザによる前記アロマ液の種類の指定、温度、前記アロマ液の経過時間のうちの少なくとも1つを認識し、
認識した前記種類と前記温度と前記経過時間のうちの少なくとも1つに基づいて、前記振動板の振動の周波数と振幅とのうちの少なくとも1つを決定し、
決定した前記周波数と前記振幅とのうちの少なくとも1つにそって前記振動板を振動させるための制御信号を、前記霧化装置に送信する、
アロマディフューザ。
【請求項2】
前記制御装置は
認識した前記種類と前記温度と前記経過時間のうちの少なくとも1つに基づいて、前記振動の振幅と時間との関係から得られる波形の種類を決定し、
決定した前記周波数と前記振幅とのうちの少なくとも1つ、及び、決定した前記波形の種類にそって前記振動板を振動させるための制御信号を、前記霧化装置に送信する、
請求項1のアロマディフューザ。
【請求項3】
外部電源から供給された電力を駆動電力とすること、及び、バッテリに蓄えられた電力を駆動電力とすることが可能な電源装置をさらに具備し、
前記制御装置は、
前記種類と前記温度と前記経過時間とのうちの少なくとも1つと、前記電源装置の電力供給方式とを認識し、
認識した前記種類と前記温度と前記経過時間のうちの少なくとも1つと、認識した前記電力供給方式とに基づいて、前記周波数と前記振幅とのうちの少なくとも1つを決定する、
請求項1のアロマディフューザ。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記振動板の上面にある前記アロマ液の液溜まりを前記振動板の下に移動させるための周波数で前記振動板を振動させる信号を、前記霧化装置に送信する、
請求項1のアロマディフューザ。
【請求項5】
前記振動板に、前記振動板の上面と下面とを貫通する貫通孔が形成されている、請求項4のアロマディフューザ。
【請求項6】
キャップを外したアロマ液容器の上部開口部の内径側に取り付け可能な円筒状の支持部と、
前記支持部の内径側に収容される吸水芯と、
前記支持部が前記上部開口部に取り付けられた際に、前記吸水芯を上下にスライド可能に支持する弾性体と、
を具備する、吸水芯ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロマディフューザ及び吸水芯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の香料容器を収容可能なアロマディフューザが特開2019-126538号公報(以下、特許文献1という)に開示されている。
【0003】
特許文献1のアロマディフューザは、ポンプを駆動することで吹出経路に空気を送出して香料成分を香料容器から吹出経路に放出させる。特許文献1のアロマディフューザは、予め設定された揮散量比率となるように複数の揮散機構を駆動するように制御する。特許文献1のアロマディフューザの揮散条件として睡眠モードがある。揮散条件は、スケジュール機能に従って動作し、設定された時刻から徐々に揮散量を低減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-126538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アロマ液容器内の液体の霧化特性は、液体の揮発速度、環境、経過時間などの影響を受ける。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、アロマ液容器内の液体を適切に霧化可能なアロマディフューザ及び吸水芯ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施形態に係るアロマディフューザは、霧化装置と制御装置とを備える。霧化装置は、アロマ液容器から突出している吸水芯の上面と接する振動板を備え、振動板を振動させることにより吸水芯に含まれているアロマ液を霧化する。制御装置は、霧化装置を制御する。制御装置は、ユーザによるアロマ液の種類の指定、温度、アロマ液の経過時間のうちの少なくとも1つを認識し、認識した種類と温度と経過時間のうちの少なくとも1つに基づいて、振動板の振動の周波数と振幅とのうちの少なくとも1つを決定し、決定した周波数と振幅とのうちの少なくとも1つにそって振動板を振動させるための制御信号を、霧化装置に送信する。
本発明の第2の実施形態に係る吸水芯ユニットは、支持部と吸水芯と弾性体とを備える。支持部は、キャップを外したアロマ液容器の上部開口部の内径側に取り付け可能であり円筒状である。吸水芯は、支持部の内径側に収容される。弾性体は、支持部が上部開口部に取り付けられた際に、吸水芯を上下にスライド可能に支持する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アロマ液容器内の液体を適切に霧化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るアロマディフューザの一部分の構成の例を示す図。
図2】第1の実施形態に係るアロマディフューザにおける吸水芯と霧化装置との接触状態の例を示す断面図。
図3】第1の実施形態に係るアロマディフューザの処理の例を示すフローチャート。
図4】第1の実施形態に係るアロマディフューザに備えられる霧化装置の振動板の振動状態の例を示すグラフ。
図5】第2の実施形態に係るアロマディフューザの一部分の例を示す斜視断面図。
図6】第3の実施形態に係るアロマディフューザの振動板の直径と、アロマ液容器に備えられる吸水芯の直径との関係の例を示す斜視断面図。
図7】吸水芯の例を示す斜視図。
図8】第3の実施形態に係るアロマディフューザに備えられる振動板と吸水芯の接触状態の例を示す上面図。
図9】第4の実施形態に係る吸水芯ユニットの例を示す断面図。
図10】第4の実施形態に係る吸水芯ユニットを取り付けたアロマ液容器の例を示す断面図。
図11】比較例のアロマディフューザの一例を示す斜視図。
図12】第5の実施形態に係る吸水芯ユニットの例を示す断面図。
図13】第6の実施形態に係る吸水芯ユニットを備えるアロマ液容器の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図面において、同一の機能及び構成要素については、同一符号を付して説明を省略するか、又は、簡単に説明を行う。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態においては、アロマ液容器内の液体を適切に霧化するアロマディフューザを説明する。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係るアロマディフューザ1の一部分の構成の例を示す図である。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係るアロマディフューザ1における吸水芯11と霧化装置2との接触状態の例を示す断面図である。
【0014】
図1及び図2では、部分的に断面を図示している。
【0015】
アロマディフューザ1は、霧化装置2、ユーザインタフェース装置3、温度センサ4、電源装置5、制御装置6、装着部7を備える。
【0016】
アロマディフューザ1は、アロマ液容器8と組み合わせて使用される。
【0017】
第1の実施形態においてアロマ液容器8はねじ口容器(例えば瓶)であるとする。図1及び図2では、図示しないキャップが外されたアロマ液容器8が装着部7に装着されている。
【0018】
アロマ液容器8は、容器本体9と、支持部10と、吸水芯11と、ばね12と、図示しないキャップとを備える。図1及び図2においては、容器本体9からキャップが取り外されている。
【0019】
容器本体9は、例えば、ボトル形状であり、内部にアロマ液Lを収容し、円筒状の上部開口部9aを備える。上部開口部9aの外周面には、ねじ部が形成されている。
【0020】
支持部10は、キャップを外したアロマ液容器8の上部開口部9aの内径側に取り付けられ可能な円筒状の部材である。
【0021】
吸水芯11は、支持部10の内径側に収容される。吸水芯11は、一端が容器本体9の内部に収容され、他端が上部開口部9aより上に位置する。吸水芯11は、アロマ液Lを上方へ吸い上げる。第1の実施形態において、吸水芯11の一端側は、ばね12を介して容器本体9の底面の内側に接触する。
【0022】
ばね12の上端側は、吸水芯11の下端側に装着される。より具体的には、ばね12の上端側の内側は、吸水芯11の下端側の側面に巻き付く。これにより、吸水芯11に対してばね12が装着される。ばね12の下端側は、容器本体9の底面の内側に接触するとしてもよい。ばね12の下端側の外径は、例えば、容器本体9の上部開口部9aの内径よりも小さくすることで、ばね12と吸水芯11の下端側とを、容器本体9の内部へ挿入容易となる。ばね12の弾性力により、吸水芯11の位置(例えば縦方向の位置)が安定するとともに、吸水芯11の上端と霧化装置2との接触状態を適切にすることができる。はね12は、ばね12の上側の巻き線の内径よりもばねの下側の巻き線の内径の方が大きいラッパ型を持つとしてもよい。より具体的に説明すると、ばね12は、垂直断面が、下へ行くほどばね12のスパイラルの内径が大きくなる末広がりの形状(言い換えれば、円錐ばね)としてもよい。
【0023】
ばね12は、支持部10が上部開口部9aに取り付けられた際に、吸水芯11を上下にスライド可能に支持する。ばね12に代えて、ゴムなどの他の弾性体が用いられてもよい。
【0024】
アロマディフューザ1は、アロマ液容器8と接続される。アロマディフューザ1の装着部7は下に開口する凹部を備えており、凹部の内周面と、アロマ液容器9の上部開口部9a(ねじ口)の外周面とは、ねじ機構により嵌合接続する。
【0025】
霧化装置2は、例えば超音波振動子を備える。霧化装置2の中心部分に備えられている振動板2aの一方の面(下面)は、アロマ液容器8の上部開口部9aから突出している吸水芯11の上面と接する。
【0026】
霧化装置2は、制御装置6から受信した制御信号にしたがって振動板2aを例えば垂直方向に振動させることにより、吸水芯11に含まれているアロマ液Lを霧化し、霧化されたアロマ液Lを外部に放出する。
【0027】
霧化装置2は、制御装置6から受信した制御信号に基づいて、振動板2aの例えば振動振幅、振動周波数、波形種類などの振動状態を切り替え可能である。
【0028】
ユーザインタフェース装置3は、ユーザからの操作を受け付け、ユーザの操作内容を示す操作信号を制御装置6に送信する。ユーザインタフェース装置3は、例えばボタン、タッチパネル、又は、操作パネルなどを含む。
【0029】
第1の実施形態において、ユーザは、ユーザインタフェース装置3を用いて、例えばアロマ液の種類、粘度、揮発速度、経過時間(製造されてから現在までの時間又は使用が開始されてから現在までの時間)などに関する情報の指定を行う。
【0030】
温度センサ4は、温度を測定し、温度を示す温度信号を制御装置6に送信する。
【0031】
電源装置5は、外部電源からの電力をアロマディフューザ1に備えられている各種装置に供給する。また、電源装置5は、例えばバッテリを備えており、外部電源からの電力供給が停止した場合に、バッテリに蓄えた電力をアロマディフューザ1に備えられている各種装置に供給する。すなわち、電源装置5は、例えば、外部電源から供給された電力をアロマディフューザ1の駆動電力とすること、及び、バッテリに蓄えられた電力を駆動電力とすることが可能である。電源装置5は、外部電源から供給された電力を使用しているか、又は、バッテリに蓄えた電力を使用しているか、などの電力供給状態を示す電力供給状態信号を制御装置6に送信する。
【0032】
制御装置6は、霧化装置2を制御する。制御装置6は、認識部13、モード決定部14、制御部15を備える。制御装置6は、ハードウェアにより実現されてもよい。制御装置6は、図示しない記憶装置に記憶されているソフトウェアを図示しないプロセッサにより実行することにより認識部13、モード決定部14、制御部15を実現してもよい。
【0033】
認識部13は、ユーザインタフェース装置3から受信した操作信号の示す操作内容(ユーザの指定内容)を認識する。
【0034】
認識部13は、温度センサ4から受信した温度信号の示す温度を認識する。
【0035】
認識部13は、電源装置5から受信した電力供給状態信号の示す電力供給状態を認識する。
【0036】
モード決定部14は、操作内容、温度、電力供給状態のうちの少なくとも1つに基づいて、霧化装置2の運転モードを決定する。
【0037】
例えば、モード決定部14によって管理されている複数の運転モードの間で、振動板2aの振動の振幅、周波数、振幅と時間との関係、及び/又は、振動の波形の種類、が異なる。
【0038】
振動の波形の種類としては、例えば、サイン波、複数のサイン波の合成波、矩形波などがあるとしてもよい。
【0039】
より具体的には、モード決定部14は、例えば、ユーザによって指定された内容(アロマ液に関す種類、粘度、経過時間などの情報)、温度、電力供給状態などのうちの少なくとも1つに基づいて、霧化装置2の運転モードを決定する。
【0040】
制御部15は、モード決定部14によって決定された運転モードに対応し、振動板2aを振動させるための制御信号を霧化装置2に送信する。これにより、例えばアロマディフューザ1の使用環境及びアロマ液Lの現在の状態に適したアロマ液の霧化を行うことができる。
【0041】
図3は、第1の実施形態に係るアロマディフューザ1の処理の例を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS301において、ユーザインタフェース装置3、温度センサ4、電源装置5のうちの少なくとも1つは、操作信号、温度信号、電力供給状態信号のうちの少なくとも1つを制御装置6に送信する。
【0043】
ステップS302において、認識部13は、ユーザインタフェース装置3、温度センサ4、電源装置5のうちの少なくとも1つから信号を受信し、受信した信号の示す操作内容、温度、電力供給状態のうちの少なくとも1つを認識する。操作内容としては、例えば、アロマ液の種類、粘度、経過時間などの指定がある。
【0044】
ステップS303において、モード決定部14は、認識結果に基づいて霧化装置2をどのように動作させるかを示す運転モードを決定する。
【0045】
ステップS304において、制御部15は、決定された運転モードに対応する制御信号を霧化装置2に送信する。
【0046】
ステップS305において、霧化装置2は、制御部15から受信した制御信号にしたがって吸水芯11の上面と接触している振動板2aを振動させる。
【0047】
図4は、第1の実施形態に係るアロマディフューザ1に備えられる霧化装置2の振動板2aの振動状態の例を示すグラフである。
【0048】
この図4の横軸は時間を示し、縦軸は振動板2aの上下方向振動の振幅を示す。
【0049】
この図4の例では、制御部15は、時間と振幅との関係が複数のサイン波を合成した合成サイン波形となるように、振動板2aを振動させる。なお、制御部15は、時間と振幅との関係が基本的なサイン波又は矩形波となるように、振動板2aを振動させてもよい。
【0050】
以下では、第1の実施形態に係るアロマディフューザ1の作用効果を説明する。
【0051】
アロマディフューザ1に使用されるアロマ液Lは例えば精油である。アロマ液Lの粘性が変化すると、アロマ液Lの霧化量も変化する。
【0052】
精油は揮発速度に応じて、トップノート、ミドルノート、ベースノートの3つに分類される。アロマ液Lは、トップノート、ミドルノート、ベースノートの精油をブレンドすることで生成される。アロマ液Lを構成するトップノート、ミドルノート、ベースノートの3つの構成比率に応じてアロマ液Lの粘度は変化する。
【0053】
アロマ液Lは温度が低下すると、粘度が高くなる。
【0054】
精油は様々な化学成分の集合体であり、例えば酸素、水などの空気の成分と反応する。このため、アロマ液Lは製造されてからの経過時間又はアロマ液Lの使用が開始されてからの経過時間が長くなるほど粘度が増大する。
【0055】
上記のように、アロマ液Lの粘度は、例えばブレンドする精油の構成比、温度、経過時間などに応じて変化し、この粘度の変化によりアロマ液Lの噴霧量は変化する。例えば、アロマ液Lの粘度が高い場合には、アロマ液Lの霧化量が低下する。
【0056】
第1の実施形態に係るアロマディフューザ1は、アロマ液Lの揮発速度、例えば温度などのような環境、アロマ液Lの経過時間などに応じて、振動板2aの振動状態を制御し、アロマ液Lの噴霧量を適切化する。
【0057】
例えば、第1の実施形態に係るアロマディフューザ1は、アロマ液Lの粘度に応じて霧化装置2の駆動パワーを変化させることにより、駆動音の静音化を実現し、さらに、高い粘度のアロマ液Lの適切な噴霧を実現する。
【0058】
例えば、モード決定部14は、ユーザによって指定された運転モードを決定する。そして、制御部15は、決定した運転モードにそって、振動板2aによる振動の振幅、周波数、波形種類を制御する。
【0059】
例えば、モード決定部14は、温度センサ4によって測定された温度にそって運転モードを決定する。温度にそって決定される運転モードとしては、例えば、低パワーで駆動する常温モードと、高パワーで駆動する低温モードなどがあるとしてもよい。そして、制御部15は、決定した運転モードにそって、振動板2aによる振動の振幅、周波数、波形種類を制御する。
【0060】
例えば、モード決定部14は、電源装置5の電力供給状態にそって運転モードを決定する。電源装置5の電力供給状態にそって決定される運転モードとしては、例えば、外部電源から供給されている電力により駆動する場合の運転モード、又は、バッテリに蓄えられている電力により駆動する場合の運転モードなどがある。そして、制御部15は、決定した運転モードにそって、振動板2aによる振動の振幅、周波数、波形種類を制御する。
【0061】
以上説明した第1の実施形態に係るアロマディフューザ1においては、ユーザの指定、温度センサ4によって測定された温度、電源装置5の電力供給状態に応じて振動板2aの振動を変化させることで、アロマ液Lの噴霧量を適切化することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、上記第1の実施形態の変形例であり、振動板2aの上面にアロマ液Lの液溜まりが生じることを防止するアロマディフューザ1を説明する。
【0063】
図5は、第2の実施形態に係るアロマディフューザ1の一部分の例を示す斜視断面図である。
【0064】
アロマディフューザ1の使用環境(例えば温度)の変化により、アロマ液容器8内の空気が膨張又は伸縮し、アロマ液容器8内で圧力変動が発生する場合がある。アロマ液容器8内の空気が膨張すると、アロマ液Lが吸水芯11中を押し上げられ、吸水芯11と接している振動板2aを通過し、振動板2aの上面側にアロマ液Lの液溜まりが発生する場合がある。振動板2aの上面側に生じたアロマ液Lの液溜まりには表面張力が作用している。液溜まりが発生すると、霧化装置2によりアロマ液Lを正常に噴霧することが困難になる場合がある。
【0065】
このような液溜まりの発生を抑制するために、アロマディフューザ1の制御部15は、アロマ液Lが霧化しないレベルの周波数であり、液溜まりを振動板2aの下に移動させるための周波数で振動板2aを振動させる制御信号を、霧化装置2に送信する。
【0066】
アロマ液Lが霧化しないレベルの周波数は、例えば、83kHz以上86kHz以下の範囲のいずれかの値としてもよい。
【0067】
霧化装置2は、制御信号にしたがって、アロマ液Lが霧化しないレベルの周波数であり、液溜まりを振動板2aの下に移動させるための周波数で振動板2aを振動させる。これにより、アロマ液容器8内の圧力をアロマ液容器8外へ逃がすことができる。この結果、余分なアロマ液Lが吸水芯11を上り、振動板2aの上面側に液溜まりが発生することを防止することができる。また、振動板2aをアロマ液Lが霧化しないレベルの周波数により振動させることにより、振動板2aの上面側からアロマ液容器8内へアロマ液Lの液溜まりを振るい落とすことができ、液溜まりを解消することができる。
【0068】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、上記第1の実施形態又は上記第2の実施形態の変形例である。第3の実施形態は、上記第2の実施形態と同様に振動板2aの上面にアロマ液Lの液溜まりが生じることを防止するアロマディフューザ1を説明する。
【0069】
図6は、第3の実施形態に係るアロマディフューザ1の振動板2aの直径R1と、アロマ液容器8に備えられる吸水芯11の直径R2との関係の例を示す斜視断面図である。
【0070】
第3の実施形態において、振動板2aの直径R1は、吸水芯11の軸方向と垂直な断面の直径R2よりも大きいとする。
【0071】
図7は、吸水芯11の例を示す斜視図である。
【0072】
吸水芯11の側面11aには、吸水芯11の軸方向と並行に延びる溝11bが形成されている。
【0073】
図8は、第3の実施形態に係るアロマディフューザ1に備えられる振動板2aと吸水芯11の接触状態の例を示す上面図である。
【0074】
振動板2aは、当該振動板2aと吸水芯11とが接触している部分(重なる部分)と、当該振動板2aと吸水芯11とが接触していない部分(重ならない部分)とに、通気用の貫通孔16を備える。貫通孔16は、振動板2aの上面と下面との間を貫通している。
【0075】
以上説明した第3の実施形態において、振動板2aは、メッシュ状に複数の貫通孔16を備える。
【0076】
吸水芯11に溝11bが形成されることにより、アロマ液容器8内から外部へ空気が排出されやすくなる。このため、アロマ液容器8内の圧力が高くなって過量のアロマ液Lが吸水芯11内を上昇し、振動板2aの上面にアロマ液Lの液溜まりが生じることを防止することができる。
【0077】
振動板2aは、振動板2aと吸水芯11とが上下方向において重ならない部分に貫通孔16を備える。このように貫通孔16を形成することにより、アロマ液容器8内の圧力が高くなって過量のアロマ液Lが吸水芯11内を上昇し、振動板2aの上面にアロマ液Lの液溜まりが生じることを防止することができる。また、振動板2aの上に液溜まりが発生しても、振動板2aが振動すると振動板2aの上から貫通孔16を抜けて下へアロマ液Lの液溜まりが移動する。これにより、液溜まりを排除することができる。
【0078】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、アロマ液容器に対して装着可能な吸水芯ユニットを説明する。第4の実施形態に係る吸水芯ユニットを装着したアロマ液容器は、上記第1乃至第3の実施形態のうちのいずれかのアロマディフューザ1に取り付けられてもよい。
【0079】
図9は、第4の実施形態に係る吸水芯ユニット17の例を示す断面図である。
【0080】
図10は、第4の実施形態に係る吸水芯ユニット17を取り付けたアロマ液容器8の例を示す断面図である。
【0081】
吸水芯ユニット17は、アロマ液容器8に対して装着可能である。吸水芯ユニット17は、カートリッジ式の部材である。吸水芯ユニット17は、例えば、支持部(ケース)18と、吸水芯11と、弾性体19とを備える。
【0082】
支持部18は、上端が開口した円筒状の部材としてもよい。言い換えれば、支持部18は、円形の底面部18aと円筒状の側面部18bとを含むとしてもよい。支持部18は、側面部18bの上端部にストッパ18cを備える。ストッパ18cは、吸水芯ユニット17がアロマ液容器8に対して装着された場合に、アロマ液容器8の上部開口部9aの上面と接する。これにより、アロマ液容器8に吸水芯ユニット17が挿入された場合に、アロマ液容器8と吸水芯ユニット17との間の相対的な位置を固定することができる。支持部18の底面部18a及び側面部18bには、吸水芯ユニット17の外部から内部へアロマ液Lがしみ込むように、孔(又は間隙)18dが形成される。
【0083】
支持部18内に、弾性体19が挿入され、さらに吸水芯11の下端側が挿入される。
【0084】
弾性体19は、支持部18の底部18aと吸水芯11の下端との間に配置される。弾性体19は、例えば、ばねとしてもよく、ゴムなどの伸縮可能な部材としてもよい。
【0085】
吸水芯11の上端側は支持部18の開口部から突出する。吸水芯11の上面は、弾性体19の弾性力により上下に移動可能である。
【0086】
吸水芯11の長さ、支持部18の長さ、弾性体19の長さは、吸水芯ユニット17が取り付けられるアロマ液容器8の容量又はサイズに応じて異なるとしてもよい。
【0087】
以上説明した第4の実施形態に係る吸水芯ユニット17の作用効果を説明する。
【0088】
図11は、比較例のアロマディフューザ20の一例を示す斜視図である。
【0089】
比較例のアロマディフューザ20は、図11では図示していないが内部に吸水芯ホルダーを備えている。
【0090】
吸水芯21の上端は、アロマディフューザ20の下面側から挿入され、アロマディフューザ20内の吸水芯ホルダーに装着される。
【0091】
吸水芯21の下端には、吸水芯キャップ22が装着される。そして、吸水芯キャップ22が装着された吸水芯21の下端は、アロマ液容器23の上部開口部23aからアロマ液容器23内に挿入される。
【0092】
このような比較例のアロマディフューザ20を使用する場合、吸水芯21の交換が容易ではない。比較例のアロマディフューザ20を、吸水芯21を交換することなく、あるアロマ液を収容するアロマ液容器から他のアロマ液を収容するアロマ液容器へ付け替えると、吸水芯21及び比較例のアロマディフューザ20内で複数の種類のアロマ液が混合し、ユーザの意図しない香りが拡散する場合がある。
【0093】
比較例のアロマディフューザ20においては、アロマディフューザ20内部の吸水芯ホルダーに吸水芯21が組み込まれるため、清掃が容易ではなく、アロマ液を変更することが困難である。
【0094】
さらに、比較例のアロマディフューザ20とともに使用されるアロマ液容器23の形状、容量、種類は、特定の形状、容量、種類に制限される。
【0095】
これに対して、第4の実施形態においては、アロマディフューザ側の吸水芯ホルダーに吸水芯11を装着する必要はなく、また、装着された吸水芯11をアロマディフューザの吸水芯ホルダーから取り外す必要もない。第4の実施形態においては、吸水芯ユニット17を装着したアロマ液容器17がアロマディフューザに取り付けられる。このような第4の実施形態においては、アロマディフューザ側の構成を共通化することができる。
【0096】
第4の実施形態においては、アロマディフューザによって霧化するアロマ液を変える場合に、異なる種類のアロマ液が吸水芯11及びアロマディフューザ内で混合することを防止することができる。
【0097】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、上記第4の実施形態の変形例である。
【0098】
図12は、第5の実施形態に係る吸水芯ユニット24の例を示す断面図である。
【0099】
吸水芯ユニット24は、アロマ液容器8に対して装着可能である。吸水芯ユニット24は、例えば、支持部10と、吸水芯11と、ばね26とを備える。
【0100】
第5の実施形態に係る吸水芯ユニット24では、吸水芯11の下端が支持部10の下端を貫通している。
【0101】
支持部10は、アロマ液容器8の上部開口部8aに装着される。支持部10は、上端及び下端が開口した円筒部10aを含む。円筒部10aの上端側にはストッパ10bが形成されている。ストッパ10bは、吸水芯ユニット24がアロマ液容器8に対して装着された場合に、アロマ液容器8の上部開口部8aの上面と接する。これにより、アロマ液容器8に吸水芯ユニット24が装着された場合に、アロマ液容器8の上部開口部9aに対して吸水芯ユニット24をセットすることができる。
【0102】
ばね26の上端は、例えば、支持部10の下端と接する。ばね26の下端は、吸水芯11の下端までを囲む。ばね26は伸縮自在である。ばね26が縮むと、吸水芯11は上方へ移動し、ばね26が伸びると吸水芯11は下方へ移動する。ばね26の代わりに、例えば、ゴムなどのような弾性体が用いられてもよい。
【0103】
吸水芯11の長さ、支持部10の長さ、ばね26の長さは、吸水芯ユニット24が取り付けられるアロマ液容器8の容量又はサイズに応じて異なるとしてもよい。
【0104】
アロマ液容器8内に、ばね26が装着されている吸水芯11の下端側が挿入される。ばね26の下端は、アロマ液容器8の底面の内側と接触する。吸水芯11は、ばね26の弾性力により上下に移動可能である。
【0105】
以上説明した第5の実施形態に係る吸水芯ユニット24をアロマ液容器8に装着することにより、第4の実施形態に係る吸水芯ユニット17をアロマ液容器8に装着する場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0106】
具体的には、第5の実施形態においては、吸水芯ユニット24をアロマ液容器8に装着した場合に、吸水芯11の上面の位置が上下に移動可能である。第5の実施形態においては、アロマディフューザ側の構成を共通化することができる。第5の実施形態においては、アロマディフューザによって霧化するアロマ液を変える場合に、異なる種類のアロマ液が吸水芯11及びアロマディフューザ内で混合することを防止することができる。
【0107】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、上記第5の実施形態の変形例である。
【0108】
図13は、第6の実施形態に係る吸水芯ユニット27を備えるアロマ液容器8の例を示す断面図である。
【0109】
吸水芯ユニット27は、アロマ液容器8に対して装着可能である。吸水芯ユニット27は、例えば、支持部10と、吸水芯11と、ばね28とを備える。
【0110】
第6の実施形態において、ばね28の一端は、吸水芯11の下端に備えられる。ばね28の他端は、アロマ液容器8の底面の内側と接する。ばね28は伸縮自在である。ばね28が縮むと、吸水芯11は下方へ移動し、ばね28が伸びると吸水芯11は上方へ移動する。
【0111】
吸水芯11の長さ、支持部10の長さ、ばね28の長さは、吸水芯ユニット27が取り付けられるアロマ液容器8の容量又はサイズに応じて異なるとしてもよい。
【0112】
アロマ液容器8に吸水芯ユニット27を取り付ける場合、まず、アロマ液容器8のキャップをアロマ液容器8の容器本体9から外す。アロマ液容器8は、ねじ口容器であり、キャップを捻って取り外す。次に、アロマ液容器8内に、ばね28が装着された吸水芯11の下端が挿入され、アロマ液容器8の上部開口部9aに支持部10が嵌合することにより、アロマ溶容器8に吸水芯ユニット27が装着される。ばね28の下端は、アロマ液容器8の底面の内側と接触する。吸水芯11は、ばね28の弾性力により上下に移動可能である。
【0113】
以上説明した第6の実施形態に係る吸水芯ユニット27をアロマ液容器8に装着することにより、第5の実施形態に係る吸水芯ユニット24をアロマ液容器8に装着する場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0114】
なお、本願発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削減してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…アロマディフューザ、2…霧化装置、2a…振動板、3…ユーザインタフェース装置、4…温度センサ、5…電源装置、6…制御装置、7…装着部、8…アロマ液容器、L…アロマ液、9…容器本体、9a…上部開口部、10,18…支持部、10a…円筒部、10b…ストッパ、11…吸水芯、12…ばね、13…認識部、14…モード決定部、15…制御部、16…貫通孔、17、24…吸水芯ユニット、18a…底面部、18b…側面部、18c…ストッパ、18d…孔、19…弾性体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13