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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053387
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】機械式駐車設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20240408BHJP
   E04H 6/28 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
E04H6/18 601F
E04H6/18 606B
E04H6/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159623
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000228707
【氏名又は名称】日本コンベヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】松山 正典
(72)【発明者】
【氏名】松本 健一
(57)【要約】
【課題】パレットの駐車室への横送りの際の搬器の被着床部からの浮き上がりを抑制することが可能な機械式駐車設備を提供する。
【解決手段】この機械式駐車設備100は、パレット移動機構22を含む第1搬器20と、第1搬器20の下方に設置された第2搬器30と、昇降機構10と、第1搬器20が着床および離床する複数の被着床部41と、昇降機構10により第2搬器30を昇降させるとともに、パレット移動機構22によりパレット80を移動させる制御部と、を備え、複数の被着床部41のうちのいずれかの被着床部41に第1搬器20を着床させる場合、制御部は、昇降機構10により、第1搬器20が接続された第2搬器30を、着床させる被着床部41の上方から下降させて第1搬器20を被着床部41に着床させるとともに、第2搬器30をさらに下降させることにより第2搬器30を第1搬器20の下方へ離間させる制御を行うように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に並ぶ複数の駐車室との間においてパレットを移動させるパレット移動機構を含む第1搬器と、
前記第1搬器の下方に設置され、前記第1搬器に対して前記鉛直方向に相対移動可能であり、かつ、ワイヤロープの一端が接続された第2搬器と、
前記ワイヤロープにより前記第2搬器を昇降させる昇降機構と、
前記複数の駐車室の各々に対応して設けられ、前記第1搬器が着床および離床する複数の被着床部と、
前記昇降機構により前記第2搬器を昇降させるとともに、前記パレット移動機構により前記第1搬器と前記駐車室との間において前記パレットを移動させる制御部と、を備え、
複数の前記被着床部のうちのいずれかの被着床部に前記第1搬器を着床させる場合、前記制御部は、前記昇降機構により、前記第1搬器が接続された前記第2搬器を、着床させる前記被着床部の上方から下降させて前記第1搬器を前記被着床部に着床させるとともに、前記第2搬器をさらに下降させることにより前記第2搬器を前記第1搬器の下方へ離間させる制御を行うように構成されている、機械式駐車設備。
【請求項2】
前記第1搬器は、前記ワイヤロープが接続されておらず、前記ワイヤロープに対して相対移動可能であるとともに、前記ワイヤロープが前記鉛直方向に通過可能な通過部をさらに含む、請求項1に記載の機械式駐車設備。
【請求項3】
前記通過部は、前記ワイヤロープを挿通させる挿通孔である、請求項2に記載の機械式駐車設備。
【請求項4】
前記第1搬器は、前記被着床部に着床する着床状態と前記被着床部から退避する退避状態との間において切り替え可能な着床部をさらに含む、請求項1に記載の機械式駐車設備。
【請求項5】
前記被着床部から着床した前記第1搬器を離床させる場合、前記制御部は、前記昇降機構により前記第1搬器が離間された前記第2搬器を上昇させて前記第1搬器を前記第2搬器に接続させた後、前記第1搬器とともに前記第2搬器をさらに上昇させて、前記着床部を前記着床状態から前記退避状態に切り替える、請求項4に記載の機械式駐車設備。
【請求項6】
前記第1搬器が前記被着床部に着床していることを検知する検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記検知部から着床検知情報を取得した場合に、予め設定された時間の経過後に前記第2搬器の下降を停止させる、請求項1に記載の機械式駐車設備。
【請求項7】
前記第1搬器および前記第2搬器の昇降をガイドするガイド部をさらに備える、請求項1に記載の機械式駐車設備。
【請求項8】
前記第1搬器の下面および前記第2搬器の上面の少なくとも一方に、前記第1搬器の下面および前記第2搬器の上面の他方と接続可能な突出部が設けられている、請求項7に記載の機械式駐車設備。
【請求項9】
前記ワイヤロープの他端が接続されたカウンタウエイトをさらに備え、
前記昇降機構は、前記ワイヤロープを巻上げる巻上機と、前記巻上機を駆動する駆動部とを含むトラクション式の昇降機構である、請求項1~8のいずれか1項に記載の機械式駐車設備。
【請求項10】
前記第2搬器に、前記第1搬器、前記パレットおよび車両が載置されていない状態と、前記第2搬器に、前記第1搬器、前記パレットおよび前記車両が載置されている状態との各々において、前記巻上機と前記ワイヤロープとの間に摩擦力が付与されるように前記カウンタウエイトの重量が予め設定されている、請求項9に記載の機械式駐車設備。
【請求項11】
前記第2搬器は、前記第1搬器に載置された前記パレットを昇降方向と直交する面内において回転させるターンテーブルをさらに含む、請求項9に記載の機械式駐車設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬器と、昇降機構と、被着床部とを備える機械式駐車設備が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、エレベータ搬器(搬器)と、昇降駆動装置(昇降機構)と、棚側受けブラケット(被着床部)とを備えるトラクション方式のエレベータ式駐車設備(機械式駐車設備)が開示されている。昇降駆動装置のトラクションシーブに掛けられたロープ(ワイヤロープ)の一端および他端には、各々、エレベータ搬器およびカウンタウエイトが吊り下げてられている。昇降駆動装置のトラクションシーブを駆動することにより、エレベータ搬器とカウンタウエイトとはつるべ式に動作し、ロープで吊下げられたエレベータ搬器が昇降路で昇降させられ、エレベータ搬器の昇降と逆方向にカウンタウエイトが昇降させられる。エレベータ搬器には、パレット移載機構(パレット移動機構)が設けられており、パレット移載機構によってパレットをエレベータ搬器と各駐車階との間で移載する。パレットをエレベータ搬器と各駐車階との間で移載する際、エレベータ搬器は、各駐車階の位置において棚柱に設けられた棚側受けブラケットにより支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-156141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には開示されていないが、トラクション方式の搬器では、昇降駆動装置のトラクションシーブに掛けられたロープの摩擦駆動力により昇降される。ワイヤロープとトラクションシーブとの間の摩擦力を発生させるために、搬器を吊り下げるワイヤロープの張力を保持している。一方、上記特許文献1には開示されていないが、搬器を被着床部に着床させた後にパレットを駐車室に移動させる横送りを行うと、横送り中に搬器上の荷重が徐々に小さくなる。これにより、搬器を吊り下げるワイヤロープに作用する張力が小さくなり、ワイヤロープの伸び量が小さくなるようにワイヤロープが縮むため、着床していた搬器が被着床部から浮き上がる場合がある。そのため、搬器の浮き上がりに起因して、横送り中のパレットを跳ね上げる可能性がある。そのため、パレットの駐車室への横送りの際の搬器の浮き上がりを抑制することが可能な機械式駐車設備が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、パレットの駐車室への横送りの際の搬器の被着床部からの浮き上がりを抑制することが可能な機械式駐車設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による機械式駐車設備は、鉛直方向に並ぶ複数の駐車室との間においてパレットを移動させるパレット移動機構を含む第1搬器と、第1搬器の下方に設置され、第1搬器に対して鉛直方向に相対移動可能であり、かつ、ワイヤロープの一端が接続された第2搬器と、ワイヤロープにより第2搬器を昇降させる昇降機構と、複数の駐車室の各々に対応して設けられ、第1搬器が着床および離床する複数の被着床部と、昇降機構により第2搬器を昇降させるとともに、パレット移動機構により第1搬器と駐車室との間においてパレットを移動させる制御部と、を備え、複数の被着床部のうちのいずれかの被着床部に第1搬器を着床させる場合、制御部は、昇降機構により、第1搬器が接続された第2搬器を、着床させる被着床部の上方から下降させて第1搬器を被着床部に着床させるとともに、第2搬器をさらに下降させることにより第2搬器を第1搬器の下方へ離間させる制御を行うように構成されている。
【0008】
本発明の一の局面による機械式駐車設備では、上記のように、パレット移動機構を含む第1搬器と、第1搬器の下方に設置され、第1搬器に対して鉛直方向に相対移動可能であり、かつ、ワイヤロープの一端が接続された第2搬器とを設けることによって、第1搬器を被着床部に着床させても、第2搬器の荷重をワイヤロープに作用させたままとすることができる。そのため、第2搬器によるワイヤロープの張力を保持することができる。また、複数の被着床部のうちのいずれかの被着床部に第1搬器を着床させる場合、制御部は、昇降機構により、第1搬器が接続された第2搬器を、着床させる被着床部の上方から下降させて第1搬器を被着床部に着床させるとともに、第2搬器をさらに下降させることにより第2搬器を第1搬器の下方へ離間させる制御を行うように構成されている。これにより、第1搬器の被着床部への着床に伴って第2搬器上の荷重が段階的に小さくなることによりワイヤロープは段階的に縮むが、ワイヤロープが接続された第2搬器は第1搬器の下方へ離間されているため、第1搬器は、ワイヤロープの縮みに起因して浮き上がる第2搬器との接触が抑制される。これらの理由から、第1搬器を被着床部に着床させた後にパレットを駐車室に横送りさせても、パレットの横送りに起因する第1搬器に対するワイヤロープの縮みの影響は抑制されるため、被着床部に着床した第1搬器の浮き上がりを抑制することができる。したがって、パレットの駐車室への横送りの際の第1搬器の被着床部からの浮き上がりを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による機械式駐車装置において、好ましくは、第1搬器は、ワイヤロープが接続されておらず、ワイヤロープに対して相対移動可能であるとともに、ワイヤロープが鉛直方向に通過可能な通過部をさらに含む。これにより、第1搬器は、ワイヤロープが接続されておらず、ワイヤロープに対して相対移動可能であるため、第1搬器を被着床部に着床させた場合に、パレットの横送りに起因する第1搬器に対するワイヤロープの縮みの影響をより抑制することができるとともに、第1搬器の通過部を通過するワイヤロープに対する第2搬器の荷重を維持することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、通過部は、ワイヤロープを挿通させる挿通孔である。これにより、第1搬器からワイヤロープが外れることを防止することができる。
【0011】
上記一の局面による機械式駐車設備において、好ましくは、第1搬器は、被着床部に着床する着床状態と被着床部から退避する退避状態との間において切り替え可能な着床部をさらに含む。これにより、退避状態から着床状態に切り替えることにより、着床状態における着床部を被着床部に着床させることができるとともに、着床部を着床状態から退避状態に切り替えることにより、第2搬器に接続された第1搬器の鉛直方向の昇降の際の着床部と被着床部との接触を抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、被着床部から着床した第1搬器を離床させる場合、制御部は、昇降機構により第1搬器が離間された第2搬器を上昇させて第1搬器を第2搬器に接続させた後、第1搬器とともに第2搬器をさらに上昇させて、着床部を着床状態から退避状態に切り替える。これにより、第1搬器を第2搬器に接続させた後に第1搬器とともに第2搬器をさらに上昇させて着床部の退避状態への切り替えを実行するため、第1搬器と第2搬器とを用いて、着床部の着床状態から退避状態への切り替えを容易に行うことができる。
【0013】
上記一の局面による機械式駐車設備において、好ましくは、第1搬器が被着床部に着床していることを検知する検知部をさらに備え、制御部は、検知部から着床検知情報を取得した場合に、予め設定された時間の経過後に第2搬器の下降を停止させる。これにより、第1搬器からの第2搬器の離間距離を一定にすることができる。
【0014】
上記一の局面による機械式駐車設備において、好ましくは、第1搬器および第2搬器の昇降をガイドするガイド部をさらに備える。これにより、第1搬器および第2搬器の両方に対する昇降の際の水平方向の揺動を抑制することができる。また、第2搬器が第1搬器から離間した際に、第1搬器に対する第2搬器の水平方向の位置ずれをより抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による機械式駐車設備において、好ましくは、第1搬器の下面および第2搬器の上面の少なくとも一方に、第1搬器の下面および第2搬器の上面の他方と接続可能な突出部が設けられている。これにより、突出部を介して第1搬器と第2搬器とを接続するため、第1搬器と第2搬器とを全面接触する場合と異なり、接触面積を少なくすることができるので、第1搬器と第2搬器との間に異物が侵入した場合にも、面接触状態を確保しやすい。これにより、第1搬器と第2搬器との接続の安定性を向上させることができる。
【0016】
上記一の局面による機械式駐車設備において、好ましくは、ワイヤロープの他端が接続されたカウンタウエイトをさらに備え、昇降機構は、ワイヤロープを巻上げる巻上機と、巻上機を駆動する駆動部とを含むトラクション式の昇降機構である。これにより、トラクション式の昇降機構において、第1搬器を被着床部に着床させても、第2搬器の荷重をワイヤロープに作用させたままとすることができるため、第2搬器によるワイヤロープの張力を保持することができる。そのため、トラクション式の昇降機構において、第2搬器の荷重を被着床部に移動させても、ワイヤロープと巻上機のシーブとの間の摩擦力を保持することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、第2搬器、に第1搬器、パレットおよび車両が載置されていない状態と、第2搬器に、第1搬器、パレットおよび車両が載置されている状態との各々において、巻上機とワイヤロープとの間に摩擦力が付与されるようにカウンタウエイトの重量が予め設定されている。これにより、第2搬器に第1搬器などが載置されていない状態と、第2搬器に第1搬器などが載置されている状態とのいずれの状態においても、巻上機とワイヤロープとの間の摩擦力を適切に保持することができる。
【0018】
上記カウンタウエイトをさらに備え、昇降機構は巻上機と駆動部とを含むトラクション式の昇降機構である構成において、好ましくは、第2搬器は、第1搬器に載置されたパレットを昇降方向と直交する面内において回転させるターンテーブルをさらに含む。ワイヤロープとトラクションシーブとの間の摩擦力を発生させるために、第2搬器を吊り下げるワイヤロープの張力を保持する必要がある。第2搬器にターンテーブルが設置されることにより、第1搬器を被着床部に着床させた際に、第2搬器にターンテーブルが設置されていない場合と比べて、ターンテーブルの重量の分、より大きな荷重をワイヤロープに作用させることができる。そのため、第1搬器を被着床部に着床させた際の第2搬器によるワイヤロープの張力をより適切に保持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、パレットの駐車室への横送りの際の搬器の被着床部からの浮き上がりを抑制することが可能な機械式駐車設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態による機械式駐車設備の一例を示す模式図である。
図2】一実施形態による第1搬器および第2搬器の一例を示す模式図である。
図3】一実施形態による昇降機構の一例を示す模式図である。
図4】一実施形態によるパレット移動機構の一例を示す模式図である。
図5】第1搬器の被着床部への着床の一例を説明するための第1の説明模式図である。
図6】第1搬器の被着床部への着床の一例を説明するための第2の説明模式図である。
図7】第1搬器の被着床部への着床の一例を説明するための第3の説明模式図である。
図8】第1搬器の被着床部への着床の一例を説明するための第4の説明模式図である。
図9】第1搬器の被着床部への離床の一例を説明するための第1の説明模式図である。
図10】第1搬器の被着床部への離床の一例を説明するための第2の説明模式図である。
図11】第1搬器の被着床部への離床の一例を説明するための第3の説明模式図である。
図12】第1搬器の被着床部への離床の一例を説明するための第4の説明模式図である。
図13】一実施形態による制御盤による第1搬器の着床制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図14】一実施形態による制御盤による第1搬器の離床制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図15】比較例による搬器の一例を示す模式図である。
図16】比較例による搬器の離床制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(機械式駐車設備の構成)
図1図4を参照して、一実施形態による機械式駐車設備100の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、機械式駐車設備100は、設備柱2と、設備梁3とを含む駐車塔1と、駐車室4と、昇降機構10と、第1搬器20と、第2搬器30と、制御盤5とを備える。なお、本明細書において、駐車塔1の鉛直方向をZ方向とする。また、第1搬器20から駐車室4に向かう方向であり、第1搬器20および駐車室4における車両90の左右方向をX方向とする。また、Z方向およびX方向と直交する方向であり、第1搬器20および駐車室4における車両90の前後方向をY方向とする。なお、制御盤5は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。また、本明細書において、機械式駐車設備100には、タワー式の立体駐車設備が含まれる。
【0024】
設備柱2は、駐車塔1の四隅においてZ方向に伸びるように設けられている。設備梁3は、設備柱2をX方向およびY方向に連結するように設けられている。設備柱2および設備梁3は、鉄骨材料により形成されている。駐車塔1の地上1階には、車両90が入出庫する入出庫口6が設けられている。また、駐車塔1の地上1階には、第1搬器20および第2搬器30が配置可能な搬器配置部7が設けられている。
【0025】
駐車塔1の中央部には、Z方向に伸びる昇降路8が形成されている。昇降路8において、第2搬器30および第2搬器30に接続された第1搬器20が昇降される。昇降路8のX方向の両側には、駐車室4が設けられている。駐車室4は、Z方向に複数並んでいる。複数の駐車室4の各々は、Y方向の両端部において、X方向に沿って伸びるパレット移動レール9が設けられている。第1搬器20に載置されたパレット80は、パレット移動レール9に沿って移動されることにより、駐車室4に格納される。駐車室4に格納されたパレット80は、パレット移動レール9に沿って移動されることにより、第1搬器20に載置される。なお、駐車塔1に設けられる駐車室4の数および駐車階の階数は、特に限定されない。
【0026】
駐車塔1は、ガイド部40をさらに含む。ガイド部40は、設備柱2と平行にZ方向に伸びている。ガイド部40は、第1搬器20および第2搬器30の昇降をガイドする。具体的には、ガイド部40は、第1搬器20のXY面の四隅に設けられた第1ガイドローラ21(図2参照)を介して第1搬器20の昇降をガイドする。また、ガイド部40は、第2搬器30のXY面の四隅に設けられた第2ガイドローラ31(図2参照)を介して第2搬器30の昇降をガイドする。ガイド部40には、第1ガイドローラ21および第2ガイドローラ31をZ方向にガイド可能な凹部が形成されている。
【0027】
図2に示すように、ガイド部40には、被着床部41と、検知部42とが設けられている。
【0028】
被着床部41は、所定の駐車室4(図1参照)の位置において第1搬器20を支持するように設けられている。被着床部41は、複数の駐車室4の各々に対応して設けられている。被着床部41は、ガイド部40における、駐車室4の位置に配置された第1搬器20の四隅に対応する位置の各々に設けられている。被着床部41には、後述する着床状態の第1搬器20の着床部23が着床される。被着床部41は、着床部23を着床可能な上面を含む。第1搬器20の着床部23が被着床部41に着床されることにより、第1搬器20は被着床部41に保持されるように構成されている。
【0029】
検知部42は、第1搬器20の着床部23が被着床部41に着床していることを検知可能なように構成されている。検知部42は、たとえば、光電センサである。検知部42は、複数の被着床部41の各々に対応して設けられている。被着床部41は、駐車室4の位置に配置された第1搬器20の四隅に対応する位置に設けられている。なお、検知部42は、光電センサに限定されず、他の公知のセンサであっても良い。
【0030】
図3に示すように、昇降機構10は、トラクションシーブ11を含む巻上機12と、巻上機12を駆動する駆動部13と、ワイヤロープ14と、カウンタウエイト15とを含む。昇降機構10は、ワイヤロープ14により第2搬器30(図2参照)を昇降させるように構成されている。昇降機構10は、トラクション式の昇降機構10である。巻上機12および駆動部13は、駐車塔1(図1参照)の最上階に設けられている。
【0031】
ワイヤロープ14は、巻上機12のトラクションシーブ11に掛けられている。ワイヤロープ14は、複数の転向プーリ16によりX方向、Y方向、および、Z方向における下方に転向させられている。ワイヤロープ14の一端に、第2搬器30(図1参照)が吊り下げられている。ワイヤロープ14の他端に、カウンタウエイト15が吊り下げられている。第2搬器30に第1搬器20、パレット80および車両90が載置されていない状態と、第2搬器30に第1搬器20、パレット80および車両90が載置されている状態との各々において、巻上機12のトラクションシーブ11とワイヤロープ14との間に摩擦力が付与されるようにカウンタウエイト15の重量が予め設定されている。なお、巻上機12および駆動部13は、駐車塔1の地上1階に設けられるとともに、駐車塔1の最上部に転向プーリ16が設けられていても良い。
【0032】
図2に示すように、第1搬器20は、パレット移動機構22(図4参照)と、着床部23と、通過部24と、突出部25とを含む。第1搬器20は、第2搬器30の上方に設置されている。第1搬器20は、パレット80を載置可能なように構成されている。第1搬器20は、平面視において矩形形状を有する。第1搬器20の中央部には、空隙(図示せず)が形成されている。なお、図2において、説明の便宜上、車両90は図示していない。
【0033】
図4に示すように、パレット移動機構22は、複数の駐車室4(図1参照)との間においてパレット80を移動可能なように構成されている。パレット移動機構22は、第1搬器20のY方向の両端部の各々に設けられた、Y方向に伸びる棒状部材22aと、棒状部材22aが接続され、X方向に伸びる環状のチェーン22bと、X方向に並ぶ複数のパレット受けローラ22cとを含む。
【0034】
棒状部材22aは、パレット80の下面に設けられた凹部(図示せず)に係合可能なように構成されている。棒状部材22aがパレット80の下面に設けられた凹部に係合された状態で、環状のチェーン22bが回転されることにより、第1搬器20と複数の駐車室4との間においてパレット80を移動させることができる。複数のパレット受けローラ22cは、パレット80の下面と接触してパレット80を滑らせるように構成されている。なお、パレット移動機構22の構成は、特に限定されない。
【0035】
着床部23は、第1搬器20の四隅の各々に設けられている。着床部23は、第1搬器20から離れるX方向に伸縮可能なロッド状の部材により形成されている。着床部23は、被着床部41に着床する着床状態(図6参照)と、被着床部41から退避する退避状態(図5参照)との間において切り替え可能なように構成されている。被着床部41に着床する着床状態とは、第1搬器20から離れるX方向に着床部23が最も伸びている状態である。着床状態では、着床部23は、第2搬器30の昇降に伴って昇降する場合、被着床部41に接触する。被着床部41から退避する状態とは、第1搬器20に近づくX方向に着床部23が最も縮んでいる状態である。退避状態では、着床部23は、第2搬器30の昇降に伴って昇降する場合、被着床部41に接触しない。
【0036】
通過部24は、ワイヤロープ14がZ方向に通過可能な貫通孔である。通過部24は、第1搬器20のXY面の四隅に設けられている。第1搬器20には、ワイヤロープ14が接続されていない。第1搬器20は、ワイヤロープ14に対して通過部24を介して相対移動可能なように構成されている。
【0037】
図2に示すように、突出部25は、第1搬器20の下面に設けられている。突出部25は、第1搬器20の下面から下方に突出するように設けられている。突出部25は、第1搬器20のXY面の四隅に設けられている。突出部25の下面は平坦面を有している。突出部25の下面は、第2搬器30の上面と接触可能なように構成されている。
【0038】
第2搬器30は、第1搬器20の下方に設置されている。第2搬器30は、第1搬器20に対してZ方向に相対移動可能なように構成されている。第2搬器30は、第1搬器20を接続するとともに、接続した第1搬器20とともに昇降可能なように構成されている。第2搬器30は、平面視において、第1搬器20と略同じサイズである矩形形状を有する。なお、第2搬器30は、平面視において、第1搬器20と異なるサイズであっても良い。第2搬器30の上面の中央部には、空隙(図示せず)が形成されている。
【0039】
第2搬器30には、XY面の四隅にワイヤロープ14をZ方向に挿通させる挿通孔32が設けられている。第2搬器30の挿通孔32は、第1搬器20の通過部24とZ方向において同軸上に配置されている。第2搬器30の下面において、挿通孔32を介して挿通されたワイヤロープ14の一端が接続されている。
【0040】
第2搬器30は、内部にターンテーブル33(図1参照)を含む。第2搬器30は、搭載されたターンテーブル33とともに昇降する。ターンテーブル33は、第1搬器20に載置されたパレット80をXY面内において回転可能なように構成されている。ターンテーブル33は、駐車塔1の地上1階の搬器配置部7において、第2搬器30の上面の中央部に形成された空隙(図示せず)から上方に突き出て、車両90が搭載されたパレット80を持上げるとともに、持ち上げたパレット80を所定角度回転させることが可能なように構成されている。ターンテーブル33は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0041】
図1に示すように、制御盤5は、昇降機構10により第2搬器30を昇降させる制御を行うように構成されている。また、制御盤5は、第1搬器20に設けられたパレット移動機構22により、第1搬器20と駐車室4との間においてパレット80を移動させる制御を行うように構成されている。また、制御盤5は、第1搬器20に設けられた着床部23における着床状態と退避状態とを切り替える制御を行うように構成されている。また、制御盤5は、着床部23が被着床部41に着床していることを示す着床検知情報を検知部42から取得した場合に、予め設定された時間の経過後に第2搬器30の下降を停止させるように構成されている。
【0042】
制御盤5は、CPU(Central Processing Unit)と、記憶部(図示しない)とを含む。制御盤5は、駐車塔1の地上1階に設置されている。制御盤5の設置位置は特に限定されない。
【0043】
(第1搬器の被着床部への着床および第1搬器の被着床部からの離床)
図5図8を参照して、車両90が載置されたパレット80を駐車室4へ横送りする場合における、第1搬器20の被着床部41への着床を説明する。制御盤5は、記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、第1搬器20の被着床部41への着床の制御を行うように構成されている。なお、説明の便宜上、第1ガイドローラ21、第2ガイドローラ31および車両90などは図示していない。
【0044】
複数の被着床部41のうちのいずれかの被着床部41に第1搬器20が着床される場合、図5に示すように、昇降機構10により、第1搬器20が接続された第2搬器30は、着床させる被着床部41の上方の所定位置まで昇降される。すなわち、昇降機構10により、第1搬器20が接続された第2搬器30は、車両90が格納される駐車室4の上方の所定位置まで昇降される。第2搬器30は、着床させる被着床部41の上方の配置位置に向かって第1速度により昇降される。このとき、第1搬器20の着床部23は退避状態である。そのため、第1搬器20が接続された第2搬器30が昇降する際に、第1搬器20の着床部23は、着床される被着床部41および着床される被着床部41と異なる被着床部41には接触しない。着床させる被着床部41の上方の所定位置において、第2搬器30の昇降は停止される。第2搬器30の昇降の停止は、たとえば、ガイド部40に設けられたセンサ(図示せず)の検出信号に基づいて実行されても良い。
【0045】
図6に示すように、第1搬器20の着床部23は、退避状態から着床状態に切り替えられる。
【0046】
図7に示すように、第1搬器20が接続された第2搬器30は着床される被着床部41に向かって下降する。第2搬器30は、着床される被着床部41に向かって第1速度よりも低速の第2速度により下降される。第2搬器30の下降により、第1搬器20の着床部23は被着床部41に着床する。第1搬器20の着床部23の被着床部41への着床は、検知部42からの着床検知情報を取得することに基づいて判定される。
【0047】
図8に示すように、検知部42からの着床検知情報に基づいて、パレット移動機構22により、車両90が載置されたパレット80が第1搬器20から駐車室4へ横送りされる。パレット80の第1搬器20から駐車室4への横送りが完了すると、パレット移動機構22によるパレット80の横送りは停止される。
【0048】
また、第1搬器20の着床部23の被着床部41への着床後も、第2搬器30はさらに下降される。これにより、第2搬器30は第1搬器20の下方へ離間される。第2搬器30が第1搬器20の下方へ離間した状態では、パレット80および車両90の重量は、第1搬器20にかかり、第2搬器30には一切かからない。また、第2搬器30が第1搬器20の下方へ離間した状態では、ワイヤロープ14に張力を発生させるのは、第2搬器30の重量のみである。制御盤5による検知部42からの着床検知情報の取得から予め設定された時間の経過後に、第2搬器30の下降は停止される。パレット移動機構22によるパレット80の第1搬器20から駐車室4への横送りと、第2搬器30の下降とは、並行して行われる。
【0049】
ここで、図7に示すように、第1搬器20の着床部23の被着床部41への着床に伴って、第2搬器30に支持された第1搬器20、パレット80および車両90の重量が、被着床部41に段階的に移動する。第2搬器30上の荷重が段階的に小さくなることにより、ワイヤロープ14に作用する張力が段階的に小さくなり、荷重が減少したワイヤロープ14は段階的に縮む。しかしながら、第1搬器20は、ワイヤロープ14と接続されておらず、かつ、ワイヤロープ14に対して相対移動可能であるため、被着床部41に着床する第1搬器20の浮き上がりは抑制されている。また、第1搬器20、パレット80および車両90の重量が被着床部41に移動した状態においても、ワイヤロープ14には第2搬器30が接続されているため、ワイヤロープ14に作用する張力は維持されている。
【0050】
次に、図9図12を参照して、第1搬器20の被着床部41からの離床を説明する。制御盤5は、記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、第1搬器20の被着床部41からの離床の制御を行うように構成されている。なお、第1搬器20の被着床部41からの離床は、たとえば、車両90が格納された別の駐車室4の上方の所定位置まで第2搬器30が昇降される際に行われる。
【0051】
着床部23に着床部23が着床された第1搬器20が離床される場合、図9に示すように、昇降機構10により、第1搬器20から離間した第2搬器30は上昇される。第2搬器30は、第1搬器20に向かって第2速度により上昇される。図10に示すように、第2搬器30は第1搬器20に接続される。図11に示すように、第2搬器30は第1搬器20に接続された後、第2搬器30は第1搬器20を伴ってさらに上昇される。そして、検知部42による着床検知情報が制御盤5により取得されなくなったことに基づいて、第2搬器30の上昇は停止される。
【0052】
図12に示すように、第2搬器30の上昇が停止された位置において、第1搬器20の着床部23は、着床状態から退避状態に切り替えられる。その後、第1搬器20が接続された第2搬器30は、たとえば、車両90が格納された別の駐車室4に対応する被着床部41の上方の所定位置まで昇降される。
【0053】
(制御盤による第1搬器の着床制御処理および第1搬器の離床制御処理)
図13を参照して、本実施形態による、制御盤5による第1搬器20の着床制御処理を説明する。
【0054】
ステップS1において、制御盤5は、昇降機構10により、第1搬器20が接続された第2搬器30を、第1速度により、着床させる被着床部41の上方の所定位置まで昇降させる。その後、処理はステップS2に進む。
【0055】
ステップS2において、制御盤5は、第1搬器20の着床部23を、退避状態から着床状態に切り替える。その後、処理は、ステップS3に進む。
【0056】
ステップS3において、制御盤5は、昇降機構10により、第1搬器20が接続された第2搬器30を、第2速度により、着床される被着床部41に向かって下降させる。その後、処理はステップS4に進む。
【0057】
ステップS4において、制御盤5は、検知部42から着床検知情報を取得しているか否かを判定する。制御盤5は、検知部42から着床検知情報を取得していると判定した場合(ステップS4においてYes)、処理はステップS5およびステップS7に進み、制御盤5は、検知部42から着床検知情報を取得していないと判定した場合(ステップS4においてNo)、処理はステップS3に進む。
【0058】
ステップS5において、制御盤5は、本処理の開始後における、検知部42からの着床検知情報の取得から予め設定された時間が経過したか否かを判定する。制御盤5は、検知部42からの着床検知情報の取得から予め設定された時間が経過したと判定した場合(ステップS5においてYes)、処理はステップS6に進み、制御盤5は、検知部42からの着床検知情報の取得から予め設定された時間が経過していないと判定した場合(ステップS5においてNo)、処理はステップS5に進む。
【0059】
ステップS6において、制御盤5は、昇降機構10による第2搬器30の下降を停止させる。その後、処理は終了する。
【0060】
ステップS7において、制御盤5は、昇降機構10による第2搬器30の下降と並行して、パレット移動機構22により、車両90が載置されたパレット80を第1搬器20から駐車室4へ横送りさせる。その後、処理は終了する。
【0061】
図14を参照して、本実施形態による、制御盤5による第1搬器20の離床制御処理を説明する。
【0062】
ステップS11において、制御盤5は、昇降機構10により、第1搬器20から離間した第2搬器30を、第2速度により、第1搬器20に向かって上昇させる。その後、処理はステップS12に進む。
【0063】
ステップS12において、制御盤5は、検知部42から着床検知情報を取得しているか否かを判定する。制御盤5は、検知部42から着床検知情報を取得していないと判定した場合(ステップS12においてNo)、処理はステップS13に進み、制御盤5は、検知部42から着床検知情報を取得していると判定した場合(ステップS12においてYes)、処理はステップS11に進む。
【0064】
ステップS13において、制御盤5は、第1搬器20の着床部23を、着床状態から退避状態に切り替える。その後、処理は終了する。これにより、制御盤5は、昇降機構10により、たとえば、車両90が格納された別の駐車室4に対応する被着床部41の上方の所定位置まで第2搬器30を昇降させることが可能となる。
【0065】
(比較例)
次に、図15を参照して、比較例による機械式駐車設備における搬器、および、制御盤による搬器の離床制御処理について説明する。上記実施形態における機械式駐車設備と異なり、比較例による機械式駐車設備では、搬器は1つのみであり、搬器に浮上り防止部が設けられている。
【0066】
図15に示すように、比較例による機械式駐車設備200において、搬器70の着床部23は、被着床部41に位置合わせのために接触している。しかしながら、ワイヤロープ14への適切な張力を保持するために、搬器70の荷重は被着床部41に移動されていない。
【0067】
パレット80の駐車室への横送りの際の搬器70の浮き上がりを防止するために、搬器70は浮上り防止部71を含む。浮上り防止部71は、搬器70から離れるX方向に伸縮可能なロッド状の部材により形成されている。浮上り防止部71は、着床部23と同様に、被着床部41に着床する着床状態と、被着床部41から退避する退避状態との間において切り替え可能なように構成されている。
【0068】
パレット移動機構により駐車室にパレット80が移動される前において、浮上り防止部71は、Z方向における被着床部41との間にマージンMが設けられるように構成されている。パレット移動機構によるパレット80の移動に伴い、パレット80および車両の重量は被着床部41および駐車室に移動されるため、ワイヤロープ14は縮む。これにより、搬器70は、設けられたマージンMの分のみ浮き上がる。着床部23は被着床部41から離間するとともに、浮上り防止部71は被着床部41に接触する。
【0069】
図16を参照して、比較例による、制御盤による搬器70の離床制御処理を説明する。
【0070】
ステップS21において、制御盤は、マージンM分浮き上がることにより浮上り防止部71に接触した搬器70を、昇降機構により、第2速度により、被着床部41に向かって下降させる。その後、処理はステップS21に進む。
【0071】
ステップS22において、制御盤は、検知部42から着床検知情報を取得しているか否かを判定する。制御盤は、検知部42から着床検知情報を取得していると判定した場合(ステップS22においてYes)、処理はステップS23に進み、制御盤は、検知部42から着床検知情報を取得していないと判定した場合(ステップS22においてNo)、処理はステップS21に進む。
【0072】
ステップS23において、制御盤は、搬器70の浮上り防止部71を、着床状態から退避状態に切り替える。その後、処理はステップS24に進む。
【0073】
ステップS24において、制御盤は、昇降機構により、被着床部41に接触した搬器70を、第2速度により、上昇させる。その後、処理はステップS25に進む。
【0074】
ステップS25において、制御盤は、検知部42から着床検知情報を取得しているか否かを判定する。制御盤は、検知部42から着床検知情報を取得していないと判定した場合(ステップS25においてNo)、処理はステップS26に進み、制御盤は、検知部42から着床検知情報を取得していると判定した場合(ステップS25においてYes)、処理はステップS24に進む。
【0075】
ステップS26において、制御盤は、搬器70の着床部23を、着床状態から退避状態に切り替える。その後、処理は終了する。これにより、制御盤は、昇降機構により、たとえば、車両が格納された別の駐車室に対応する被着床部の上方の所定位置まで搬器を昇降させることが可能となる。
【0076】
比較例による制御盤による搬器の離床制御処理では、浮上り防止部71における着床状態から退避状態への切替えと、着床部23における着床状態から退避状態への切替えとが、別の工程により実行される。そのため、比較例では、上記実施形態による制御盤5による第1搬器20の離床制御処理と比べて、浮上り防止部71における着床状態から退避状態への切替え工程に起因するタイムロスが生じることになる。
【0077】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
本実施形態では、上記のように、鉛直方向に並ぶ複数の駐車室4との間においてパレット80を移動させるパレット移動機構22を含む第1搬器20と、第1搬器20の下方に設置され、第1搬器20に対して鉛直方向に相対移動可能であり、かつ、ワイヤロープ14の一端が接続された第2搬器30と、ワイヤロープ14により第2搬器30を昇降させる昇降機構10と、複数の駐車室4の各々に対応して設けられ、第1搬器20が着床および離床する複数の被着床部41と、昇降機構10により第2搬器30を昇降させるとともに、パレット移動機構22により第1搬器20と駐車室4との間においてパレット80を移動させる制御盤5と、を備え、複数の被着床部41のうちのいずれかの被着床部41に第1搬器20を着床させる場合、制御盤5は、昇降機構10により、第1搬器20が接続された第2搬器30を、着床させる被着床部41の上方から下降させて第1搬器20を被着床部41に着床させるとともに、第2搬器30をさらに下降させることにより第2搬器30を第1搬器20の下方へ離間させる制御を行うように構成されている。パレット移動機構22を含む第1搬器20と、第1搬器20の下方に設置され、第1搬器20に対して鉛直方向に相対移動可能であり、かつ、ワイヤロープ14の一端が接続された第2搬器30とを設けることによって、第1搬器20を被着床部41に着床させても、第2搬器30の荷重をワイヤロープ14に作用させたままとすることができる。そのため、第2搬器30によるワイヤロープの張力を保持することができる。また、複数の被着床部41のうちのいずれかの被着床部41に第1搬器20を着床させる場合、制御盤5は、昇降機構10により、第1搬器20が接続された第2搬器30を、着床させる被着床部41の上方から下降させて第1搬器20を被着床部41に着床させるとともに、第2搬器30をさらに下降させることにより第2搬器30を第1搬器20の下方へ離間させる制御を行うように構成されている。これにより、第1搬器20の被着床部41への着床に伴って第2搬器上の荷重が段階的に小さくなることによりワイヤロープ14は段階的に縮むが、ワイヤロープ14が接続された第2搬器30は第1搬器20の下方へ離間されているため、第1搬器20は、ワイヤロープ14の縮みに起因して浮き上がる第2搬器30との接触が抑制される。これらの理由から、第1搬器20を被着床部41に着床させた後にパレット80を駐車室4に横送りさせても、パレット80の横送りに起因する第1搬器20に対するワイヤロープ14の縮みの影響は抑制されるため、被着床部41に着床した第1搬器20の浮き上がりを抑制することができる。したがって、パレット80の駐車室4への横送りの際の第1搬器20の被着床部41からの浮き上がりを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、第1搬器20は、ワイヤロープ14が接続されておらず、ワイヤロープ14に対して相対移動可能であるとともに、ワイヤロープ14が鉛直方向に通過可能な通過部24をさらに含む。これにより、第1搬器20は、ワイヤロープ14が接続されておらず、ワイヤロープ14に対して相対移動可能であるため、第1搬器20を被着床部41に着床させた場合に、パレット80の横送りに起因する第1搬器20に対するワイヤロープ14の縮みの影響をより抑制することができるとともに、第1搬器20の通過部24を通過するワイヤロープ14に対する第2搬器30の荷重を維持することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、通過部24は、ワイヤロープ14を挿通させる挿通孔32である。これにより、第1搬器20からワイヤロープ14が外れることを防止することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、第1搬器20は、被着床部41に着床する着床状態と被着床部41から退避する退避状態との間において切り替え可能な着床部23をさらに含む。これにより、退避状態から着床状態に切り替えることにより、着床状態における着床部23を被着床部41に着床させることができるとともに、着床部23を着床状態から退避状態に切り替えることにより、第2搬器30に接続された第1搬器20の鉛直方向の昇降の際の着床部23と被着床部41との接触を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、被着床部41から着床した第1搬器20を離床させる場合、制御盤5は、昇降機構10により第1搬器20が離間された第2搬器30を上昇させて第1搬器20を第2搬器30に接続させた後、第1搬器20とともに第2搬器30をさらに上昇させて、着床部23を着床状態から退避状態に切り替える。これにより、第1搬器20を第2搬器30に接続させた後に第1搬器20とともに第2搬器30をさらに上昇させて着床部23の退避状態への切り替えを実行するため、第1搬器20と第2搬器30とを用いて、着床部23の着床状態から退避状態への切り替えを容易に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、第1搬器20が被着床部41に着床していることを検知する検知部42をさらに備え、制御盤5は、検知部42から着床検知情報を取得した場合に、予め設定された時間の経過後に第2搬器30の下降を停止させる。これにより、第1搬器20からの第2搬器30の離間距離を一定にすることができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、第1搬器20および第2搬器30の昇降をガイドするガイド部40をさらに備える。これにより、第1搬器20および第2搬器30の両方に対する昇降の際の水平方向の揺動を抑制することができる。また、第2搬器30が第1搬器20から離間した際に、第1搬器20に対する第2搬器30の水平方向の位置ずれをより抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、第1搬器20の下面および第2搬器30の上面の少なくとも一方に、第1搬器20の下面および第2搬器30の上面の他方と接続可能な突出部25が設けられている。これにより、突出部25を介して第1搬器20と第2搬器30とを接続するため、第1搬器20と第2搬器30とを全面接触する場合と異なり、接触面積を少なくすることができるので、第1搬器20と第2搬器30との間に異物が侵入した場合にも、面接触状態を確保しやすい。これにより、第1搬器20と第2搬器30との接続の安定性を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、ワイヤロープ14の他端が接続されたカウンタウエイト15をさらに備え、昇降機構10は、ワイヤロープ14を巻上げる巻上機12と、巻上機12を駆動する駆動部13とを含むトラクション式の昇降機構10である。これにより、トラクション式の昇降機構10において、第1搬器20を被着床部41に着床させても、第2搬器30の荷重をワイヤロープ14に作用させたままとすることができるため、第2搬器30によるワイヤロープ14の張力を保持することができる。そのため、トラクション式の昇降機構10において、第2搬器30の荷重を被着床部41に移動させても、ワイヤロープ14と巻上機12のシーブとの間の摩擦力を保持することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、第2搬器30に、第1搬器20、パレット80および車両90が載置されていない状態と、第2搬器30に、第1搬器20、パレット80および車両90が載置されている状態との各々において、巻上機12とワイヤロープ14との間に摩擦力が付与されるようにカウンタウエイト15の重量が予め設定されている。これにより、第2搬器30に第1搬器20などが載置されていない状態と、第2搬器30に第1搬器20などが載置されている状態とのいずれの状態においても、巻上機12とワイヤロープ14との間の摩擦力を適切に保持することができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、第2搬器30は、第1搬器20に載置されたパレット80を昇降方向と直交する面内において回転させるターンテーブル33をさらに含む。ワイヤロープ14とトラクションシーブ11との間の摩擦力を発生させるために、第2搬器30を吊り下げるワイヤロープ14の張力を保持する必要がある。第2搬器30にターンテーブル33が設置されることにより、第1搬器20を被着床部41に着床させた際に、第2搬器30にターンテーブル33が設置されていない場合と比べて、ターンテーブル33の重量の分、より大きな荷重をワイヤロープ14に作用させることができる。そのため、第1搬器20を被着床部41に着床させた際の第2搬器30によるワイヤロープ14の張力をより適切に保持することができる。
【0089】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0090】
たとえば、上記実施形態では、トラクション式の昇降機構10を備える機械式駐車設備100の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、ドラム式の昇降機構10を備える機械式駐車設備100であっても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、被着床部41はガイド部40により形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被着床部41は、駐車室4に設けられていても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、着床部23はロッド状の部材により形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、着床部23は第1搬器20に設けられず、被着床部41はX方向に伸縮可能な部材により形成されていても良い。この場合、着床状態において、被着床部41は伸長することにより、第1搬器20は伸長した被着床部41に着床し、退避状態において、被着床部41は縮小することにより、第1搬器20は縮小した被着床部41に接触しないように構成されていても良い。
【0093】
また、上記実施形態では、着床部23は第1搬器20から離れるX方向に伸縮可能なロッド状の部材により形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、着床部23は、90度回動可能であり、かつ、平板部を含む略L字状の部材により構成されていても良い。この場合、着床状態において平板部は被着床部41に着床し、退避状態において平板部は90度回動されて被着床部41に接触しないように構成されていても良い。
【0094】
また、上記実施形態では、通過部24はワイヤロープ14を挿通させる挿通孔32である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通過部24は、ワイヤロープ14を通過させる切欠きであっても良い。
【0095】
また、上記実施形態では、制御部は、検知部42から着床検知情報を取得した場合に、予め設定された時間の経過後に第2搬器30の下降を停止させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、たとえば、複数の被着床部41に設置された検知部42とは異なるセンサの検知信号に基づいて第2搬器30の下降を停止させる制御を行うように構成されていても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、検知部42からの着床検知情報の取得に基づいて、パレット移動機構22によるパレット80の第1搬器20から駐車室4への横送りと、第2搬器30の下降とが、並行して行われる例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、検知部42からの着床検知情報の取得から予め設定された時間が経過して第2搬器30の下降が停止された後に、パレット移動機構22によるパレット80の第1搬器20から駐車室4への横送りが開始されても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、検知部42からの着床検知情報の取得に基づいて、パレット移動機構22によるパレット80の第1搬器20から駐車室4への横送りと、第2搬器30の下降とが、並行して行われる例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、検知部42からの着床検知情報の取得に基づいて、パレット移動機構22によるパレット80の第1搬器20から駐車室4への横送りと、第2搬器30の下降とが、同時に開始されるとともに、並行して行われても良い。
【0098】
また、上記実施形態では、第1搬器20および第2搬器30の昇降をガイドするガイド部40を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1搬器20および第2搬器30の昇降のいずれか一方をガイドするガイド部40を備えていても良いし、ガイド部40を備えていなくても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、第1搬器20の下面に第2搬器30の上面と接続可能な突出部25が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2搬器30の上面に第1搬器20の下面と接続可能な突出部25が設けられていても良いし、第1搬器20の下面および第2搬器30の上面のいずれにも突出部25は設けられていなくても良い。
【0100】
また、上記実施形態では、第2搬器30はターンテーブル33を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ターンテーブル33は、駐車塔1の地上1階に設けられた搬器配置部7に固定され、第2搬器30とともに昇降しない構成であっても良い。
【符号の説明】
【0101】
4 駐車室
5 制御盤(制御部)
10 昇降機構
12 巻上機
13 駆動部
14 ワイヤロープ
15 カウンタウエイト
20 第1搬器
22 パレット移動機構
23 着床部
24 通過部
25 突出部
30 第2搬器
32 挿通孔
33 ターンテーブル
40 ガイド部
41 被着床部
42 検知部
80 パレット
90 車両
100 機械式駐車設備
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