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  • 特開-把持補助具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053389
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】把持補助具
(51)【国際特許分類】
   B43L 15/00 20060101AFI20240408BHJP
   B43K 23/004 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B43L15/00
B43K23/004
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159627
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】712012906
【氏名又は名称】株式会社ギケン
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】益本 洋志
(57)【要約】
【課題】把持者の指の太さや形状に関係なく装着でき、把持対象を安定的に把持することが可能な把持補助具の提供。
【解決手段】把持補助具1は、帯状に連続する環状の単一部材として構成され、把持者の親指の腹と人差指の腹とを密着させた密着状態において親指及び人差指の双方をリング内側に挿通させて用いられる。把持補助具1は、親指包囲部2と、人差指包囲部3と、第一支持部4と、第一延在部5と、第二延在部6と、第二支持部7とを備える。第一支持部4は、親指包囲部2と人差指包囲部3との間を周方向に延在し、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に挿通される棒状の把持対象の上端側を支持する。第二支持部7は、第一延在部5のうち指先側の端部と第二延在部6のうち指先側の端部とを接続するように周方向に延在し、把持対象の下端側を支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に連続する環状の単一部材として構成され、把持者の親指の腹と前記把持者の人差指の腹とを密着させた密着状態において前記親指及び前記人差指の双方をリング内側に挿通させて用いられる把持補助具であって、
前記親指の背側のうち前記親指の基節骨に対応する部分に沿って周方向に延在する円弧状の親指包囲部と、
前記人差指の背側のうち前記人差指の基節骨に対応する部分に沿って前記周方向に延在する円弧状の人差指包囲部と、
前記親指包囲部と前記人差指包囲部との間を前記周方向に延在する第一支持部であって前記密着状態にある前記親指の基端側と前記人差指の基端側との間に形成された空隙に挿通される棒状の把持対象の上端側を支持する第一支持部と、
前記親指包囲部の下端から前記密着状態にある指先側に向けて前記親指の下方を前記周方向に延在する第一延在部と、
前記人差指包囲部の下端から前記密着状態にある指先側に向けて前記人差指の下方を前記周方向に延在する第二延在部と、
前記第一延在部のうち前記指先側の端部と前記第二延在部のうち前記指先側の端部とを接続するように前記周方向に延在し、前記把持対象の下端側を支持する第二支持部と、
を備えることを特徴とする把持補助具。
【請求項2】
前記第一支持部は、前記空隙に対して凹となる円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の把持補助具。
【請求項3】
前記第一支持部を構成する外周面は、前記空隙に挿通された前記把持対象の傾斜と略同じ角度で傾斜するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の把持補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持補助具に関し、より詳細には、把持者が親指と人差指とで把持対象を把持する際の把持操作を補助する把持補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手指の筋力低下や機能障害を伴う人のために、筆記具や箸等の把持対象を把持する際の把持操作を補助する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、筆記具及び箸において、指で支えることなく、指先に特別力を入れずに誰でもが操作可能な筆記具及び箸等の軸保持補助具が開示されている。特許文献1に記載の軸保持補助具では、軸保持補助具本体(1)に、筒状(3)であって内径が湾曲し、その一部に開口部(2)を擁する、筆記具等の軸保持部(4)が設けられている。その背中合わせに、筒状(7)であって内径が湾曲し、その一部に開口部(5)を擁する、指保持部(6)が設けられている。
【0004】
また、特許文献2では、容易に装着して自然な筆記感覚で安定した運筆が可能になるとともに、胴体幅の異なる汎用の筆記具が容易に装着可能な筆記補助具が開示されている。特許文献2に記載の筆記補助具は、二つの開口を有する中央近傍で下方に屈曲した指挿入部(10)と、指挿入部(10)の両長側面に対向して配置した一対の帯状の押し当て部(20)と、指挿入部(10)と押し当て部(20)とを繋ぐ連結部(15)とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-260592号公報
【特許文献2】特開2018-176479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の軸保持補助具は、人さし指(F)を指保持部(6)に挿入することにより用いられる(特許文献1の図4参照)。また、上述した特許文献2に記載の筆記補助具は、人差指を指挿入部(10)に挿入することにより用いられる(特許文献2の図4参照)。
【0007】
しかしながら、人間の指の太さや形状には個人差があるため、指保持部(6)や指挿入部(10)の穴の大きさが人差指に対して大き過ぎると、使用時に安定し難くいという問題がある。逆に、指保持部(6)や指挿入部(10)の穴の径を小さくし過ぎると、今度は人差指を挿入できないという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、把持者の指の太さや形状に関係なく装着でき、把持対象を安定的に把持することが可能な把持補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、帯状に連続する環状の単一部材として構成され、把持者の親指の腹と前記把持者の人差指の腹とを密着させた密着状態において前記親指及び前記人差指の双方をリング内側に挿通させて用いられる把持補助具であって、前記親指の背側のうち前記親指の基節骨に対応する部分に沿って周方向に延在する円弧状の親指包囲部と、前記人差指の背側のうち前記人差指の基節骨に対応する部分に沿って前記周方向に延在する円弧状の人差指包囲部と、前記親指包囲部と前記人差指包囲部との間を前記周方向に延在する第一支持部であって前記密着状態にある前記親指の基端側と前記人差指の基端側との間に形成された空隙に挿通される棒状の把持対象の上端側を支持する第一支持部と、前記親指包囲部の下端から前記密着状態にある指先側に向けて前記親指の下方を前記周方向に延在する第一延在部と、前記人差指包囲部の下端から前記密着状態にある指先側に向けて前記人差指の下方を前記周方向に延在する第二延在部と、前記第一延在部のうち前記指先側の端部と前記第二延在部のうち前記指先側の端部とを接続するように前記周方向に延在し、前記把持対象の下端側を支持する第二支持部と、を備えることを特徴とする把持補助具を提供している。
【0010】
ここで、前記第一支持部は、前記空隙に対して凹となる円弧状に形成されているのが好ましい。
【0011】
また、前記第一支持部を構成する外周面は、前記空隙に挿通された前記把持対象の傾斜と略同じ角度で傾斜するように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の把持補助具は、帯状に連続する環状の単一部材として構成され、把持者の親指の腹と人差指の腹とを密着させた密着状態において親指及び人差指の双方をリング内側に挿通させて用いられる。その際、親指の背側が親指包囲部の一部に密着し、人差指の背側が人差指包囲部の一部に密着する。換言すれば、装着時において、親指全周が包囲されず、かつ、人差指全周が包囲されない。そして、第一支持部によって、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に挿通される棒状の把持対象の上端側が支持される。また、第二支持部によって、当該把持対象の下端側が支持される。そのため、把持者の指の太さや形状に関係なく装着でき、把持対象を安定的に把持することが可能である。
【0013】
なお、本発明の把持補助具のように、把持者の指の太さや形状に関係なく装着でき、把持対象を安定的に把持するための具体的構成は、上述した特許文献1,2には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る把持補助具を示す斜視図。
図2図1に示す把持補助具を背面側から見た斜視図。
図3】把持者の右手に装着された把持補助具を把持者の指先側から見た斜視図。
図4図3のIV矢視図。
図5】把持者の右手に装着された把持補助具を図3とは別の角度から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による把持補助具について、図1から図5に基づいて説明する。以下では、把持補助具の一例として、図1及び図2に示す把持補助具1を例示する。把持補助具1は、把持者が筆記具や箸等の把持対象を把持する際の把持操作を補助する器具である。
【0016】
図1及び図2に示すように、把持補助具1は、帯状に連続する略三角環状の単一部材として構成される。具体的には、把持補助具1は、所定幅WDを有するプラスチック製の板状部材が曲面状に連続して環状に構成されている。なお、所定幅WDは、場所によって太くなったり、細くなったりするものとする。すなわち、把持補助具1は、同一の幅で環状に連続しているわけではなく、場所によって太さは多少変化する。もちろん、同一の幅で環状に連続するように構成してもよい。
【0017】
図3から図5に示すように、把持補助具1は、把持者の親指の腹と当該把持者の人差指の腹とを密着させた密着状態において親指及び人差指の双方をリング内側に挿通させて用いられる。
【0018】
再度図1及び図2を参照し、把持補助具1について詳細に説明する。図1及び図2に示すように、把持補助具1は、親指包囲部2と、人差指包囲部3と、第一支持部4と、第一延在部5と、第二延在部6と、第二支持部7とを備えて構成される。
【0019】
親指包囲部2は、親指の背側のうち当該親指の基節骨に対応する部分に沿って周方向に延在する円弧状の領域である。図3に示すように、把持補助具1を把持者の手に装着された状態において、親指包囲部2の内周面21(図2参照)には親指の背側が密着する。
【0020】
人差指包囲部3は、人差指の背側のうち当該人差指の基節骨に対応する部分に沿って周方向に延在する円弧状の領域である。図4に示すように、把持補助具1を把持者の手に装着された状態において、人差指包囲部3の内周面31(図2参照)には人差指の背側が密着する。
【0021】
第一支持部4は、親指包囲部2と人差指包囲部3との間を周方向に延在し、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に対して凹となる円弧形状を有する領域である。
【0022】
図4に示すように、第一支持部4は、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に挿通された筆記具8(把持対象)の上端側を支持する。詳細には、筆記具8の上端側は、第一支持部4のうち指先側の端部41(図1及び図4参照)において支持される。
【0023】
第一延在部5は、親指包囲部2の下端(親指下側)から密着状態にある親指及び人差指の指先側に向けて親指の下方を周方向に延在する領域である。第一延在部5は、親指に対して所定の隙間を隔てて略平行に指先側に延在する。
【0024】
第二延在部6は、人差指包囲部3の下端(人差指下側)から密着状態にある親指及び人差指の指先側に向けて人差指の下方を周方向に延在する領域である。第二延在部6は、人差指に対して所定の隙間を隔てて略平行に指先側に延在する。
【0025】
第二支持部7は、第一延在部5のうち指先側の端部と第二延在部6のうち指先側の端部とを接続するように周方向に延在する領域である。第二支持部7は、指先側に凸となる円弧形状を有している。
【0026】
図5に示すように、第二支持部7は、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に挿通された筆記具8(把持対象)の下端側を支持する。詳細には、筆記具8の下端側は、第二支持部7の環状中心側の端部71(図1及び図5参照)において支持される。
【0027】
上述した実施形態によれば、把持補助具1は、帯状に連続する環状の単一部材として構成される。そして、把持補助具1は、把持者の親指の腹と人差指の腹とを密着させた密着状態において親指及び人差指の双方をリング内側に挿通させて用いられる。その際、親指の背側が親指包囲部2の内周面21に密着し、人差指の背側が人差指包囲部3の内周面31に密着する。換言すれば、把持補助具1を装着した際、親指全周が包囲されず、かつ、人差指全周が包囲されない。
【0028】
そして、第一支持部4(詳細にはその端部41)によって、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に挿通される筆記具8の上端側が支持される。また、第二支持部7(詳細にはその端部71)によって、筆記具8の下端側が支持される。
【0029】
そのため、把持者の指の太さや形状に関係なく装着でき、把持対象を安定的に把持することが可能である。
【0030】
また、上述した実施形態によれば、第一支持部4が、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に対して凹となる円弧形状を有する。その結果、図4に示すように、第一支持部4の凹部分に筆記具8の上端側が嵌合し、筆記具8がより安定的に支持される。そのため、把持補助具1を用いた筆記具8の把持操作において、筆記具8を把持しやすくなる。
【0031】
<2.変形例>
本発明による把持補助具は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0032】
例えば、上述した実施形態では、把持補助具の材質としてプラスチックが用いられる場合を例示したが、これに限定されず、金属や木材が用いられるようにしてもよい。
【0033】
あるいは、把持補助具の材質としてエラストマーや硬質ゴムなどの弾性部材を用いるようにしてもよい。材質として弾性部材を用いることで、親指や人差指へのフィット感を向上させることが可能である。
【0034】
また、上述した実施形態では、密着状態にある親指の基端側と人差指の基端側との間に形成された空隙に対して、第一支持部4が凹となる円弧形状を有する場合を例示したが、これに限定されない。当該空隙に対して凹とならず、第一支持部4が平らな平面形状を有するように構成してもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、図4に示すように、第一支持部4のうち指先側の端部41において筆記具8の上端側が点で支持される場合を例示したが、これに限定されない。例えば、第一支持部4を構成する外周面を筆記具8と略同じ角度で傾斜させ、当該外周面全体で筆記具8の上端側を支持するように構成してもよい。換言すれば、第一支持部4を構成する外周面が、密着状態にある親指及び人差指の指先側に向けて下側に傾斜するように構成してもよい。
【0036】
当該変形例によれば、第一支持部4の外周面と筆記具8の上端側とが面接触するため、筆記具8をより安定的に把持することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 把持補助具
2 親指包囲部
3 人差指包囲部
4 第一支持部
5 第一延在部
6 第二延在部
7 第二支持部
8 筆記具
21,31 内周面
41 端部
71 端部
WD 所定幅

図1
図2
図3
図4
図5