(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000534
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】動的物体の概算物体位置を決定するための方法、コンピュータプログラム、装置、および車両
(51)【国際特許分類】
G01S 15/46 20060101AFI20231225BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20231225BHJP
G01S 15/87 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G01S15/46
G01S15/931
G01S15/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023099832
(22)【出願日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】10 2022 206 123.3
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・レンプファー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス・ランズゲセル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・チョルジュースキ
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB10
5J083AB13
5J083AB14
5J083AC05
5J083AC17
5J083AD01
5J083AD08
5J083AD19
5J083AE01
5J083AE06
5J083AE08
5J083AF05
5J083AG05
5J083BE08
5J083BE19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動的物体、コンピュータプログラム、装置、および車両の概算物体位置を決定するための方法を提供すること。
【解決手段】車両の周囲にある動的物体の概算物体位置を決定するための方法であって、車両が、2つの超音波センサと、1つの車載カメラとを有し、2つの超音波センサによってセンサデータを捕捉するステップと、センサデータに応じて、静的または動的物体の現在の反射源位置を決定するステップと、車載カメラによって少なくとも1つのカメラ画像を捕捉するステップと、カメラ画像に応じて、動的物体を認識するステップと、車両に対する認識された動的物体の現在の推定位置を決定するステップと、を少なくとも含み、認識された動的物体の決定された推定位置との間の位置距離が距離閾値以下である場合、センサデータに応じて、認識された動的物体に属するものとして現在の反射源位置に応じて、動的物体の概算物体位置が決定される、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の周囲(90)にある動的物体(1)の概算物体位置を決定するための方法であって、前記車両(100)が、少なくとも2つの超音波センサ(111)と、少なくとも1つの車載カメラ(121)とを有し、以下の方法ステップ
- 前記少なくとも2つの超音波センサ(111)によってセンサデータを捕捉(210)するステップと、
- 捕捉された前記センサデータに応じて、静的または動的物体(1、50、51)の現在の反射源位置(501)を決定(220)するステップと、
- 前記車載カメラ(121)によって少なくとも1つのカメラ画像を捕捉(230)するステップと、
- 少なくとも1つの捕捉された前記カメラ画像に応じて、前記動的物体(1)を認識(240)するステップと、
- 少なくとも1つの捕捉された前記カメラ画像に応じて、前記車両(100)に対する認識された前記動的物体(1)の現在の推定位置を決定(250)するステップと、
を少なくとも含む方法において、
認識された前記動的物体(1)の決定された前記現在の推定位置と、決定された前記現在の反射源位置(501)との間の位置距離が距離閾値以下である場合、以下のステップ
- 特に学習済みの機械認識方法によって、前記現在の反射源位置の前記決定の基礎となる前記センサデータに応じて、認識された前記動的物体(1)に属するものとして前記現在の反射源位置を分類(270)するステップと、
- 前記動的物体(1)に属するものとして分類された前記反射源位置に応じて、特にカルマンフィルタによって、前記動的物体(1)の前記概算物体位置を決定(280)するステップと、
が実施されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
認識された前記動的物体(1)に属するものとしての前記現在の反射源位置(501)の前記分類(270)が、現在の時点よりも前の所定の時間間隔中に、前記現在の反射源位置(501)の周囲にある、認識された前記動的物体に属するものとして分類された前記反射源位置(501)の基礎となる前記センサデータに応じて追加的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記現在の反射源位置(501)の前記周囲(530)が、前記現在の反射源位置(501)までの距離が距離閾値以下である、前記動的物体(1)に割り当てられた前記反射源位置(501)を含み、および/または
- 前記現在の反射源位置(501)の前記周囲(530)が、前記動的物体(1)に割り当てられた少なくとも1つの超音波クラスタを含み、前記超音波クラスタが、特に前記動的物体(1)に属するものとして分類された反射源位置(501)を含み、および/または
- 前記現在の反射源位置(501)の前記周囲(530)が、前記現在の反射源位置(501)が存在するもしくは割り当てられている少なくとも1つのグリッドセルを有し、前記グリッドセルのグリッドが、前記車両(100)の前記周囲(90)を細分する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
以下のステップ
- 異なる時点での前記動的物体(1)の決定された前記概算物体位置に応じて、前記動的物体(1)の現在の物体速度および/または現在の物体移動方向を決定(290)するステップ
が追加的に実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記動的物体(1)の前記概算物体位置の前記決定(280)、ならびに/または前記動的物体(1)の前記現在の物体速度および/もしくは前記動的物体(1)の前記現在の物体移動方向の前記決定(290)がそれぞれ、前記動的物体(1)に属するものとして分類された前記反射源位置(501)の数が所定の信頼数未満である場合には実施されない、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
以下のステップ
- 捕捉された前記センサデータ、決定された前記現在の反射源位置(501)、前記動的物体(1)に属するものとして分類された前記反射源位置(501)、および/または決定された前記概算物体位置に応じて、統計的不確実性を特定するステップと、
- 特定された前記統計的不確実性に応じて、前記距離閾値を適合(255)するステップと、
が追加的に実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記距離閾値が、0.1メートル~5メートルの範囲内である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
以下のステップ
- それぞれの前記超音波センサ(111)の前記捕捉範囲に関する決定された前記現在の反射源位置(501)の角度位置に基づいて、その振幅に関して、前記現在の反射源位置(501)の決定のための基礎となる前記センサデータの少なくとも一部を正規化(221)するステップ
が追加的に実施され、
- 認識された前記動的物体(1)に属するものとしての前記現在の反射源位置(501)の前記分類(270)が、正規化された基礎となる前記センサデータ、および少なくとも1つの振幅閾値に応じて行われる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下のステップ
- 捕捉された、前記反射源位置の基礎となる前記センサデータの少なくとも一部と、それぞれの前記超音波センサ(111)によって発出される前記センサ信号との間の相関係数を決定(222)するステップ
が追加的に実施され、
- 認識された前記動的物体(1)に属するものとしての前記現在の反射源位置(501)の前記分類(270)が、決定された前記相関係数に応じて、および前記相関係数に関する閾値に応じて行われる、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
以下のステップ
- 捕捉された、前記現在の反射源位置(501)の基礎となる前記センサデータの少なくとも一部に応じて、それぞれの前記超音波センサ(111)によって発出されるセンサ信号の前記反射の回数を決定(223)するステップ
が追加的に実施され、
- 認識された前記動的物体(1)に属するものとしての前記現在の反射源位置(501)の前記分類(270)が、決定された前記反射の回数、および回数閾値に応じて行われる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
認識された前記動的物体(1)に属するものとしての前記現在の反射源位置(501)の前記分類(270)が、第2の学習済みの機械認識方法によって行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が、コンピュータによって前記プログラムが実行されるときに、前記コンピュータに請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
車両(100)用の装置、特に中央処理装置(150)もしくはゾーン処理装置または制御デバイスであって、以下の構成要素
- 前記車両(100)の超音波センサ(111)からの捕捉されたセンサデータを表す少なくとも1つの第1の信号を提供するように設計されている第1の信号入力と、
- 車載カメラ(121)の捕捉されたカメラ画像を表す第2の信号を提供するように設計されている第2の信号入力と
を少なくとも備え、
- 前記装置、特に前記装置のプロセッサが、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように構成されている、
装置。
【請求項14】
- 信号出力を追加的に含み、前記信号出力が、前記方法によって決定された前記動的物体(1)の概算物体位置に応じて、表示装置(160)、ブレーキ機構(161)、ステアリング機構(162)、および/または駆動モータ(163)のための制御信号を生成するように設計されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の装置を備える車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲にある動的物体の概算物体位置を決定するための方法であって、車両が2つの超音波センサと少なくとも1つのカメラとを有する、方法に関する。また、本発明は、命令を含むコンピュータプログラムであって、命令が、コンピュータによってプログラムが実行されるときに、コンピュータに本発明による方法のステップを実行させる、コンピュータプログラムに関する。その上、本発明は、本発明による方法のステップを実行するように構成された処理装置を備える車両用の装置、特に中央処理装置もしくはゾーン処理装置、または制御デバイスに関する。また、本発明は、この装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のパーキングパイロットシステムは、典型的には複数の超音波センサと評価ユニットとを含み、評価ユニットは、センサのデータを捕捉して処理し、あり得る障害物について警告を発する。追加的に、パーキングパイロットシステムにおいてカメラデータまたはカメラ画像の使用が知られており、これにより例えば、車両周囲内の静的および/または動的物体が、学習済みの機械認識方法によって画像データに基づいて認識され、例えば緊急ブレーキアシスタントのために再処理され、および/または追加情報のオーバーレイもしくはフェードインを含むサラウンドビューもしくはトップダウンビューの生成による運転者用の車両の周囲の視覚化情報が生成される。この目的で、捕捉されたカメラ画像は、例えば、特に中央処理装置、ゾーン処理装置、または制御デバイスによってひずみを修正、処理、および変換することができる。
【0003】
パーキングパイロットシステムの超音波センサは通常、車両と車両の周囲にある物体との間の距離データを決定するために、車両の前後のショックアブソーバに車幅全体にわたってそれぞれ複数の超音波センサが配置される。超音波センサは、典型的には、超音波信号を発出するように設計される。この発出された超音波信号は、障害物で反射される。反射された超音波信号は、超音波センサによってエコー信号として再び受信され、伝播時間から、障害物までの距離が算出される。この距離の決定は、一般に、発出された超音波信号に対する、直接および/もしくは間接的なエコー信号、または直接および/もしくは間接的な反射超音波信号もしくは反射信号の伝播時間に応じて行われる。この距離の特定は、典型的には、超音波センサのハウジング内に配置されたセンサASICによって行われる。したがって、超音波センサのセンサデータは、例えば、特に発出された超音波信号に関して、反射超音波信号もしくは受信エコー信号、および/または計算された距離、ならびに受信エコー信号の任意選択の特性を表すまたは含む。反射源位置は、典型的には三辺測量原理に従って、少なくとも1つの直接受信エコー信号および少なくとも1つの間接受信エコー信号に応じて、ならびに/または少なくとも2つの直接受信エコー信号もしくは少なくとも2つの間接受信エコー信号に応じて決定することができる。三辺測量原理は、例えば、発出している超音波センサに右側および/または左側で隣接する超音波センサが、発出された超音波信号に対するクロスエコー、または受信エコー信号、または間接反射信号を受信するように設計されていることを前提とする。反射源位置の特定は、好ましくは処理装置を用いて、例えば、例えば制御デバイス内またはゾーンもしくは中央処理装置内に配置されたマイクロコントローラを用いて行われ、この処理装置、好ましくはプロセッサは、有利には、複数の、特に隣接する超音波センサのセンサデータを捕捉して処理する。
【0004】
書類DE102010045657A1には、車両用の周囲監視システムが開示されており、この周囲監視システムは、検出信号の伝播時間測定による距離認識用の少なくとも2つの距離センサを備える。
【0005】
書類DE102019205565A1には、受信された超音波信号に基づいて物体の高さを評価するための方法が開示されている。
文書DE102018216790A1には、交通手段の周囲にある物体がその交通手段の運転操縦に及ぼす影響を評価するための方法が開示されている。
【0006】
認識された物体の位置、例えば歩行者の位置は、少なくとも1つのカメラ画像に基づいて推定することができることが知られており、例えば物体の基点特定が行われる。歩行者に関するこの位置推定は機能するが、例えば、物体が車載カメラのすぐ近くにあるときには、その物体をもはや完全にはカメラ画像に捕捉することができないので機能しない。パーキングパイロットシステムでは、広角レンズを備えた複数の車載カメラを使用し、表示装置を用いて運転者にサラウンドビューまたはトップダウンビューを表示することができる。これらの広角カメラは、基本的には近くの物体を認識するのにより良く適しているが、車両の近傍領域にある物体に関するカメラベースの位置推定は失敗する可能性がある。
【0007】
カルマンフィルタは、誤った測定に基づくシステムの状態パラメータを反復推定するために使用され、測定の誤差が減少される。移動する物体の位置特定のためにレーダ信号またはGNSSデータを評価する用途が知られている。ここで、移動物体の軌跡への測定の関連付けの問題がある。すなわち、誤った測定が物体の軌跡に関連付けられる場合、特定される位置およびさらなる評価に関して比較的大きな誤差が生じる。例えば、典型的なパーキングパイロットシステムでは、歩行者と隣接する縁石とを区別することができないことが多く、それにより歩行者に関する位置特定および移動推定が不正確になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE102010045657A1
【特許文献2】DE102019205565A1
【特許文献3】DE102018216790A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、特に動的物体としての歩行者の継続的な追跡、または車両の近傍領域での歩行者の追跡に関して、車両の周囲での動的物体の物体位置の決定を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記の課題は、独立請求項1、12、13または15に従って解決される。
本発明は、車両の周囲にある動的物体のほぼ実際のまたは概算物体位置を決定する方法に関する。車両は、少なくとも2つの超音波センサと、少なくとも1つの車載カメラとを有しる。この方法は、車両の少なくとも2つの超音波センサを用いてセンサデータを捕捉するステップを含む。センサデータの捕捉は、特に継続的に行われる。センサデータは、特に、車両と車両の周囲にある物体との間での、発出された超音波信号に関する少なくとも1つの捕捉されたエコー信号を表し、ならびに、好ましくは車両と物体との間の距離、および任意選択で受信されたエコー信号の少なくとも1つの特性を表す。捕捉されたエコー信号の特性は、特に捕捉されたエコー信号の評価に基づき、有利には、動的物体の存在に関する確率を表す。動的物体の存在に関する確率を特定するためのエコー信号の評価は、好ましい任意選択の方法ステップである。次いで、静的または動的物体の現在の反射源位置が、少なくとも、車両の少なくとも2つの超音波センサの捕捉されたセンサデータに応じて、特に三辺測量法によって決定される。現在の反射源位置の決定は、特に、車両の少なくとも2つの超音波センサの現在捕捉されているセンサデータに基づいて継続的に行われる。さらなる方法ステップでは、少なくとも1つのカメラ画像が車載カメラによって捕捉され、特に車載カメラによってカメラ画像の継続的な捕捉が行われる。それに従って、好ましくは、一連のカメラ画像が車載カメラによって捕捉される。次いで、動的物体は、少なくとも1つの(第1の)学習済みの機械認識方法によって、少なくとも1つの捕捉されたカメラ画像に応じて認識され、学習済みの機械認識方法は、好ましくは訓練済みのニューラルネットワークである。例えば、認識された動的物体は、別の移動しているもしくは移動していない他車、立っているもしくは歩いている歩行者、自転車運転者、または例えば犬もしくは猫などの動物である。その後、少なくとも1つの捕捉されたカメラ画像に応じて、車両に対する認識された物体の現在の推定位置の決定が行われる。この推定位置は、例えば、動的物体としての歩行者が現在の画像に少なくとも部分的に被さっているので画像内でその歩行者をもはや認識することができない場合、追加的に運動方程式によって決定されることが企図され得る。代替または追加として、決定された現在の推定位置は、基点決定によって、または別の学習済みの機械認識方法、特に訓練済みのニューラルネットワークによって、および/または認識された物体の移動推定に応じて特定することができる。特に、動的物体は可動であるので、現在の推定位置は、時間の経過と共に連続的に変化する。認識された物体の移動推定は、有利には、認識された物体に関する物体ボックスのサイズの変化と、時間的に順次に捕捉されたカメラ画像内での認識された物体の基点特定とに基づいて行うことができる。それに続く方法ステップで、特に車両に対する、車両の周囲にある認識された動的物体の現在の推定位置と現在の反射源位置との間の位置距離が距離閾値以下であることが認識される場合、現在の反射源位置は、現在の反射源位置の決定のための基礎となるセンサデータに応じて、および/または特にエコー信号の少なくとも1つの特性に応じて、認識された動的物体に属するものとして分類され、このエコー信号の特性は、任意選択でセンサデータまたはエコー信号に応じて決定することができる。分類は、好ましくは、捕捉されたセンサデータの捕捉されたエコー信号のそれぞれの特性として、センサデータの基礎となる捕捉されたエコー信号の振幅に応じて、および/または捕捉されたエコー信号と発出された超音波信号との相関係数に応じて行われる。超音波センサの処理装置がエコー信号、特に発出された超音波信号に応じて特性を決定し、この少なくとも1つの決定された特性がセンサデータ内に提供されるとき、センサデータはこの特性を含むまたは表すことができる。代替または追加として、この方法において、エコー信号の少なくとも1つの特性を、捕捉されたセンサデータに応じて決定することもできる。好ましくは、第2の学習済みの機械認識方法、特に第2のニューラルネットワークを用いて、エコー信号の少なくとも2つの特性に基づいて、反射源位置を動的物体に属するものとして分類することができるか否かが認識される。次いで、動的物体に属するものとして分類された反射源位置に応じて、特にカルマンフィルタによって、動的物体の概算物体位置が決定される。動的物体の概算物体位置のこの決定は、特に連続的に実施される。本発明により、車両の近傍領域で、カメラ画像に基づいて認識される動的物体の正確な概算物体位置を、超音波測定に応じて特定することができるという利点が得られる。超音波センサは、車両の近傍領域で非常に正確な測定値を提供するが、特に車両の近傍領域でのカメラ画像は、部分的に簡単には評価可能でない。さらに、例えば縁石、植物、または柱などの静的物体に関する測定値が考慮に入れられないので、特定された反射源位置の動的物体への割り当てまたは関連付けが改善される。また、車両の近く、すなわち例えば2メートル以内の歩行者の概算物体位置を非常に正確に特定することができることが特に有利であり、これは、例えば駐車場での駐車操作に関して重要である。カメラの画像が歩行者、特に脚および足を完全には捕捉することができないので、カメラに基づいてこの歩行者位置を正確には推定することができなくなるからである。
【0011】
本発明の任意選択の一形態では、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類が、現在の時点よりも前の所定の時間間隔中に、現在の反射源位置の周囲にある、認識された動的物体に属するものとして分類された反射源位置の基礎となるセンサデータに応じて追加的に行われ、ここで、所定の時間間隔は、例えば10ミリ秒~3秒の範囲にある。言い換えると、分類において、現在の反射源位置の周囲において認識された動的物体に属するものとして分類された反射源位置に関する基礎となるセンサデータが、現在の反射源位置が動的物体に属する確率を示唆するかどうかが考慮に入れられる。この分類は、有利には、さらなる学習済みの機械認識方法によって行うことができる。代替または追加として、現在の反射源位置は、特に、センサデータのエコー信号の同様の特性に基づいて、認識された動的物体に属するものとして以前に分類された反射源位置に割り当てられ得る。代替または追加として、現在の反射源位置は、特に、認識された動的物体に属するものとして以前に分類された反射源位置の場所が時間的に変化する尤度に基づいて、認識された動的物体に属するものとして分類されるまたは分類されないことがある。決定された現在の反射源位置の周囲からの、動的物体に属するものとして分類された決定された反射源位置の情報が考慮に入れられるので、認識された動的物体に属するものとして現在の反射源位置をより正確に分類することができるという利点が生じる。特に、この形態で決定される現在の反射源位置は、静的物体または他の動的物体に属するものとしてより良く分類することができ、すなわち認識された動的物体に属さないものとして分類することができる。したがって、この形態により、反射源位置の動的物体への関連付けがより確実に行われ、それにより動的物体の概算物体位置の決定がより正確になる。
【0012】
前述の任意選択の形態の一発展形態では、現在の反射源位置の周囲が、現在の反射源位置までの距離が距離閾値以下である、動的物体に割り当てられた、または動的物体に属するものとして分類された反射源位置を含む。この距離閾値は、特に車両の速度に応じて適合される。代替または追加として、現在の反射源位置の周囲が、動的物体に割り当てられた少なくとも1つの超音波クラスタを含み、超音波クラスタは、特に動的物体に属するものとして分類された反射源位置、および/または広がり、および/または所定の幾何学的形状を有する。代替または追加として、現在の反射源位置の周囲が、現在の反射源位置のグリッドの少なくとも1つのグリッドセルを含み、グリッドは車両の周囲を細分する。現在の反射源位置のこれらのタイプの周囲記述により、動的物体に属するものとして分類された反射源位置がさらにフィルタリングされるという利点が得られ、したがって、例えば、同じ種類の様々な動的物体、例えば異なる歩行者をより容易に互いに見分けることができ、これにより個々の動的物体の概算物体位置の決定がより正確になる。
【0013】
本発明の別の任意選択の一発展形態では、異なる時点での動的物体の決定された概算物体位置に応じて、動的物体の現在の物体速度および/または動的物体の現在の物体移動方向が決定される。この発展形態では、概算物体位置が正確に決定されるので、物体速度および/または物体移動方向の決定が正確に行われるという利点が得られる。
【0014】
さらなる任意選択の一実施形態では、動的物体の概算物体位置の決定、ならびに/または動的物体の現在の物体速度および/もしくは動的物体の現在の物体移動方向の決定がそれぞれ、動的物体に属するものとして分類された反射源位置の数が所定の信頼数未満である場合には実施されない。この任意選択の実施形態では、決定された概算物体位置、決定された物体速度、および決定された物体移動方向のより高い信頼性が達成される。
【0015】
さらに、捕捉されたセンサデータ、および/または決定された現在の反射源位置、および/または動的物体に属するものとして分類された反射源位置、および/または決定された概算物体位置に応じて、統計的不確実性の特定が実施されることが企図され得る。次いで、特定された統計的不確実性に応じて距離閾値が適合される。この任意選択の実施形態では、決定された概算物体位置、決定された物体速度、および決定された物体移動方向の信頼性および正確性が高められる。
【0016】
好ましくは、距離閾値は、0.1メートル~5メートルの範囲内にあり、特に距離閾値は、0.5メートル、1メートル、1.5メートル、または3メートルである。それにより、車両の周囲にある別の動的物体を表す反射源位置が、方法もしくはアルゴリズムによって誤って、認識された動的物体に属するものとして分類されることがない、または複数の動的物体を互いに見分けることができるという利点が得られる。
【0017】
任意選択で、車速に応じて距離閾値が適合される。これにより、車両速度の増加と共に、認識された物体の現在の推定位置の決定の不正確さが高まることが考慮に入れられるという利点が得られ、それにより、車両速度がより高いとき、認識された動的物体に属するものとして反射源位置がより確実に分類され、したがって、動的物体に属するものとして分類された反射源位置に応じて、動的物体の概算物体位置の決定がより正確に行われる。
【0018】
本発明の別の任意選択の一実施形態では、追加の方法ステップにおいて、超音波センサの捕捉範囲に関する決定された現在の反射源位置の角度位置に基づいて、その振幅に関して、現在の反射源位置の決定のための基礎となるセンサデータの少なくとも一部の正規化が実施され得る。認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類は、この実施形態では、正規化された基礎となるセンサデータ、および振幅閾値に応じて行われ、好ましくは、振幅閾値以下の正規化された振幅を有する反射源位置が、認識された動的物体に属するものとして分類される。この実施形態により、それぞれの現在の反射源位置が確実に分類される。
【0019】
任意選択で、さらに、捕捉された、反射源位置の基礎となるセンサデータの少なくとも一部と、超音波センサによって発出されるセンサ信号との間の相関係数が追加的に決定されることが企図され得る。この実施形態では、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類は、決定された相関係数、および相関閾値に応じて行われ、好ましくは、相関閾値以下の相関係数を有する反射源位置が、認識された動的物体に属するものとして分類される。この実施形態により、特に、正規化された基礎となるセンサデータおよび振幅閾値に応じて分類が追加的に実施される場合に、それぞれの現在の反射源位置は、動的物体に属するものとしてより確実に分類される。
【0020】
本発明の別の任意選択の一形態では、捕捉された、現在の反射源位置の基礎となるセンサデータの少なくとも一部に応じて、超音波センサによって発出されるセンサ信号の反射の回数が決定される。次いで、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類が、決定された反射回数に応じて、および回数閾値に応じて行われ、回数閾値以下の反射回数を有する反射源位置が、認識された動的物体に属するものとして分類される。この実施形態により、特に、分類が、正規化された基礎となるセンサデータに応じておよび振幅閾値に応じて追加的に実施される場合、ならびに/または特に、分類が、決定された相関係数に応じておよび相関閾値に応じて追加的に行われる場合、それぞれの現在の反射源位置は、動的物体に属するものとして非常に確実に分類される。
【0021】
好ましくは、本発明の任意選択の一実施形態では、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類が、第2の学習済みの機械認識方法によって行われることが企図され得る。
【0022】
さらに、本発明は、命令を含むコンピュータプログラムであって、命令が、コンピュータによってプログラムが実行されるときに、コンピュータに請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラムに関する。
【0023】
本発明はまた、車両用の装置、または中央処理装置もしくはゾーン処理装置、または制御デバイスに関する。中央処理装置、ゾーン処理装置、または制御デバイスは、車両の少なくとも1つの超音波センサからの捕捉されたセンサデータを表す少なくとも1つの第1の信号を提供するように設計された少なくとも1つの第1の信号入力を備える。この装置は、また、車載カメラの捕捉されたカメラ画像を表す第2の信号を提供するように設計された第2の信号入力を含む。装置の処理装置、特にプロセッサは、本発明による方法のステップを実行するように構成される。
【0024】
この装置は、任意選択の信号出力をさらに含み、信号出力が、処理装置によって実行される方法に応じて、表示装置、ブレーキ機構、ステアリング機構、および/または駆動モータのための制御信号を生成するように設計される。
【0025】
その上、本発明は、本発明による装置、または本発明による中央処理装置もしくは本発明によるゾーン処理装置、または本発明による制御デバイスを備える車両に関する。
さらなる利点は、図面を参照して、例示的実施形態の以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】車両と、車両の直近の周囲の動的物体とを示す図である。
【
図2】ブロック図として方法の流れを示す図である。
【
図3】エコー信号の振幅の統計分布を示す図である。
【
図4】エコー信号の相関係数の統計分布を示す図である。
【
図5a】車両の周囲での決定された反射源位置を示す図である。
【
図5b】車両の周囲での後の反射源位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、駐車場の駐車スペースにある車両100と、車両100の直近の周囲にある動的物体1とが、上方から見た平面図で模式的に示されている。この例では、動的物体1は歩行者である。車両100は、フロントバンパおよびリアバンパにそれぞれ4つの超音波センサ111を含む超音波センサシステム110を有する。また、車両100は、少なくともリア車載カメラ121を含むカメラシステム120を備え、車載カメラ121は、好ましくは広角レンズを備える。車載カメラ121は、車両100の周囲90を捕捉するように設計されている。車両は、中央処理装置150を備える。中央処理装置150は、カメラ画像のデータ伝送のために少なくとも1つの車載カメラ121に電気的に接続される。有利には、カメラシステム120が少なくとも4つの車載カメラ121を含むことが企図され得て、車載カメラ121はそれぞれ、車両の別の側に配置され、様々な視点から周囲90の異なる領域を捕捉し、したがって、中央処理装置150または制御デバイスは、4つの車載カメラから捕捉されたカメラ画像に基づいて、例えば周囲ビュー(サラウンドビュー)を生成することができる。中央処理装置150は、超音波センサ111のセンサデータのデータ伝送のために、超音波センサシステムまたは超音波センサ111にも電気的に接続される。中央処理装置150によってそれぞれの超音波センサ111から受信されたセンサデータは、有利には、発出された超音波信号に関するそれぞれの捕捉されたエコー信号を含みもしくは表し、および/または発出された超音波信号を含みもしくは表し、および/または、エコー信号に基づいてそれぞれの超音波センサでASICを用いて決定された、車両100と車両100の周囲90にある物体1との間の距離データ、および任意選択でエコー信号の少なくとも1つの特性を含むもしくは表す。さらに、車両は、表示装置160、ブレーキ機構161、ステアリング機構162、および/または駆動モータ163を含み、中央制御ユニット150は、表示装置160、ブレーキ機構161、ステアリング機構162、および/または駆動モータ163を、受信もしくは捕捉されたセンサデータおよび/または受信もしくは捕捉されたカメラ画像に応じて制御するように設計される。車載カメラ121の捕捉範囲内で、動的物体1として歩行者が捕捉される。時間的に見ると、ここで、動的物体は、静的物体50として隣に駐車している第1の車両を通り過ぎるところである。動的物体1としての歩行者の意図は、所期の移動方向2に沿って車両100を通り過ぎることであり得て、ここで、歩行者は、静止物体50および51、すなわち隣に駐車している第1および第2の車両を通り過ぎる。車両100の周囲90の直近領域91内で、動的物体1としての歩行者は、その移動中に少なくとも一時的に一部、場合によっては一時的に完全に車載カメラ121の捕捉範囲に被さる。また、車両100の直近領域91内では、動的物体1としての歩行者の特定の身体部位、例えば頭または足が一時的に認識可能でないこともあり得る。このとき、車載カメラ121のカメラ画像に基づいて、動的物体1としての歩行者の正確な位置特定が可能ではなく、例えば、このような場合には基点決定を実施することができない。超音波システム110の超音波センサは、物体として、静止物体50および51、すなわち隣に駐車している車両と、動的物体1としての歩行者とを捕捉する。この捕捉は、歩行者、すなわち動的物体1が車載カメラの捕捉領域に被さっている最中にも行われる。歩行者が捕捉領域に被さっている最中にも、動的物体1としての歩行者の物体位置、物体速度、および物体移動方向をより正確に決定するために、本発明によれば、超音波センサの捕捉に基づいた動的物体1のセンサデータが分類され、すなわち静止物体50および51に関する超音波センサのセンサデータと区別される。
【0028】
図2に、方法の流れがブロック図で模式的に示されている。方法ステップ210で、車両の少なくとも2つの超音波センサを用いてセンサデータが捕捉される、または車両の少なくとも2つの超音波センサからセンサデータが受信される。センサデータはそれぞれ、例えば、車両100の周囲90にある物体1、50、51と車両100との間の距離、および有利には捕捉されたエコー信号、ならびに特にエコー信号の少なくとも1つの特性、例えば捕捉されたエコー信号と発出された超音波信号との間の相関係数を表す。次いで、ステップ220で、捕捉された現在のセンサデータに応じて、車両100に対する物体1、50、51の現在の反射源位置が決定される。さらなる方法ステップ230で、車載カメラ121を用いて少なくとも1つのカメラ画像が捕捉される。後続の任意選択のステップ221で、捕捉されたエコー信号を含むセンサデータの少なくとも一部が、超音波センサの捕捉範囲に関する決定された現在の反射源位置の角度位置に基づいて、振幅に関して正規化されることが企図され得る。さらなる任意選択のステップ222で、捕捉された、反射源位置の基礎となるセンサデータの少なくとも一部と超音波センサによって発出されたセンサ信号との間で相関係数が決定され、または、この相関係数が超音波ASICもしくは超音波センサ処理装置で既に決定されておりセンサデータに含まれているもしくは提供される場合には、基礎となるセンサデータから読み出される。さらに、任意選択のステップ223で、捕捉された、現在の反射源位置の基礎となるセンサデータの少なくとも一部に応じて、超音波センサによって発出されるセンサ信号に関する反射回数を決定することができ、または、超音波センサによって発出されるセンサ信号に関するこの反射回数が超音波ASICもしくは超音波センサ処理装置で既に決定されておりセンサデータに含まれているもしくは提供される場合には、基礎となるセンサデータから読み出すことができる。この方法は、車載カメラ121を用いた少なくとも1つのカメラ画像の捕捉230も含む。次いで、少なくとも1つの捕捉されたカメラ画像に応じて、動的物体1の認識240が実施される。動的物体1の認識は、好ましくは、学習済みの機械認識方法、特にニューラルネットワークによって行われる。学習済みの機械認識方法は、動的物体の個々の物体クラスを区別する、または動的物体のサブクラスを区分するように設計されることが企図され得る。その後、ステップ250で、少なくとも1つの捕捉されたカメラ画像に応じて、車両100に対する認識された動的物体1の現在の推定位置が特定され、特に、現在の推定位置が、認識された動的物体1の基点決定として実施される。任意選択で、チェック260の前に、任意選択のステップ255で、車両100の車速に応じて距離閾値が適合されることがさらに企図され得る。さらなる方法ステップ260で、認識された動的物体1の決定された現在の推定位置と決定された現在の反射源位置との間の位置距離が距離閾値以下であるかどうかがチェックされる。距離閾値は、好ましくは、0.1メートル~5メートルの範囲内にあり、特に距離閾値は、0.5メートル、1メートル、1.5メートル、または3メートルである。方法ステップ260で、認識された動的物体1の決定された現在の推定位置と決定された現在の反射源位置との間の位置距離が距離閾値以下であると認識された場合、その時々に決定されたこの反射源位置は、ステップ270で、現在の反射源位置の決定の基礎となるセンサデータに応じて、および/またはセンサデータのエコー信号の任意選択で決定された特性に応じて、認識された動的物体1に属するものとして、特に、認識された特定の個別の物体クラスまたは動的物体のサブクラスに属するものとして分類される。認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類270は、任意選択で、現在の時点よりも前の所定の時間間隔中に、現在の反射源位置の周囲にある、認識された動的物体に既に属するものとして分類されている反射源位置に応じて追加的に実施することもでき、ここで、分類270は、有利には、これらの反射源位置の基礎となるセンサデータに応じて、および/またはこれらの反射源位置の基礎となるセンサデータのエコー信号の任意選択で決定された特性に応じて行われる。所定の時間間隔は、例えば10ミリ秒~3秒の範囲内である。現在の反射源位置の周囲は、好ましくは、現在の反射源位置までの距離が距離閾値以下である、動的物体に割り当てられた反射源位置を含む。代替または追加として、現在の反射源位置の周囲は、動的物体に割り当てられた少なくとも1つの超音波クラスタを含む。特に、超音波クラスタは、動的物体に属するものとして分類された反射源位置を含む。代替または追加として、現在の反射源位置の周囲は、現在の反射源位置が位置するまたは割り当てられている少なくとも1つのグリッドセルを含み、グリッドセルのグリッドは、車両100の周囲90を、特にモデルとして、特に一様に分布された長方形または正方形のグリッドセルまたは周囲部分領域に細分する。好ましくは、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類270は、ステップ221で決定された正規化された基礎となるセンサデータに応じて、および振幅閾値に応じて行われ、好ましくは、振幅閾値以下の正規化された振幅を有する反射源位置が、認識された動的物体に属するものとして分類される。代替または追加として、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類270は、決定されたまたはセンサデータ内で提供される相関係数に応じて、および相関閾値に応じて行われ、好ましくは、相関閾値以下の相関係数を有する反射源位置が、認識された動的物体に属するものとして分類される。さらに、代替または追加として、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類270を、決定された反射回数に応じて、および回数閾値に応じて行うことが企図され得て、回数閾値以下の反射回数を有する反射源位置が、認識された動的物体に属するものとして分類される。特に好ましくは、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類270は、第2の学習済みの機械認識方法、特に訓練済みの第2のニューラルネットワークによって実施される。訓練済みの第2のニューラルネットワークは、例えば、エコー信号の1つもしくは複数の特性、例えばエコー信号における少なくとも1つの捕捉もしくは正規化された振幅および/もしくは取得された反射回数、ならびに/または相関係数に基づいて、現在の反射源位置が認識された動的物体に属する確率を特定または認識することができる。認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類270後、動的物体に属するものとして分類された反射源位置に応じて、特にカルマンフィルタによって、動的物体の概算物体位置の決定280が行われる。次いで、任意選択のステップ290で、異なる時点における動的物体の決定された概算物体位置に応じて、動的物体の現在の物体速度および/または現在の物体移動方向を決定することが企図され得る。任意選択の一形態では、動的物体の概算物体位置の決定280、ならびに/または動的物体の現在の物体速度および/もしくは現在の物体移動方向の任意選択の決定290は、動的物体に属するものとして分類された反射源位置の数が所定の信頼数未満である場合には実施されない。その上、少なくとも1つのさらなる任意選択のステップで、捕捉されたセンサデータ、決定された現在の反射源位置、動的物体に属するものとして分類された反射源位置、および/または決定された概算物体位置に応じて、統計的不確実性の特定を実施することができる(
図2には図示せず)。次いで、代替または追加として、特定された統計的不確実性に応じて、距離閾値の適合255が行われる。この方法は、好ましくは連続的に実施される。
【0029】
図3には、静止物体50および51と動的物体1とで反射されたエコー信号の振幅301または振幅量の統計分布が模式的に示されている。グラフ390は、静止物体50および51で反射されたエコー信号の振幅301または振幅量の統計分布に関する。グラフ380は、動的物体1で反射されたエコー信号の振幅301または振幅量の統計分布に関する。典型的には、動的物体1は、第1の振幅閾値310よりも小さいまたは第2の振幅閾値320よりも大きい振幅301を有さないことが分かる。したがって、エコー信号の振幅が第1の振幅閾値310よりも小さいまたは第2の振幅閾値320よりも大きい場合、動的物体が存在することを高い確率で除外することができる。しかし、振幅が、振幅閾値310と第2の振幅閾値320との間の範囲330内にある場合、すなわち第1の振幅閾値310以上かつ第2の振幅閾値320以下である場合、この範囲330内では、静的物体で反射されたエコー信号の振幅と動的物体で反射されたエコー信号の振幅との両方が存在するので、分類は明確ではない。領域330はかなり狭く、すなわち、それぞれのエコー信号の振幅が、それぞれの超音波センサの捕捉範囲内で、それに関して決定された反射源位置の角度位置に応じて追加的にそれぞれ正規化される場合、静止物体によって引き起こされる反射源位置の除外が改善される。なぜなら、エコー信号の振幅はまた、この角度位置に応じて比較的大きく変化するからである。
【0030】
図4には、超音波センサ111の発出された超音波信号と超音波センサ111の受信されたエコー信号との間の相関係数401の統計分布が模式的に示されており、発出された超音波信号の反射は静的物体および動的物体で生じる。グラフ490は、静止物体50および51で反射されたエコー信号の相関係数401または相関係数401の大きさの統計分布に関する。グラフ480は、動的物体1で反射されたエコー信号の相関係数401または相関係数401の大きさの統計分布に関する。相関係数401に関する閾値410を超えると、動的物体に関連付けることができる相関係数が存在しないことが分かる。言い換えると、動的物体で反射されたエコー信号の相関係数は、典型的には、相関係数401に関する閾値410以下である。しかし、相関係数が相関係数401に関する閾値410以下である場合、この範囲420内では、静的物体で反射されたエコー信号の相関係数401も動的物体で反射されたエコー信号の相関係数401も存在するので、動的物体に属するものとしての分類は明確ではない。
【0031】
基礎となるエコー信号の
図3および
図4に示される特性に応じたそれぞれの反射源位置の分類270は、好ましくは、学習済みの機械認識方法、特に訓練済みのニューラルネットワークによって行われ、動的物体の存在に関する確率を評価するために、基礎となるエコー信号のさらなる特性、例えばエコー信号で特定される反射の回数を考慮に入れることができる。学習済みの機械認識方法、特に訓練済みのニューラルネットワークによるエコー信号の多数の特性の評価により、認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類270は非常に信頼性が高くなる。
【0032】
図5aおよび
図5bに、車両100の周囲90にある決定された反射源位置501が、異なる時点t1およびt2で、x-y平面内、すなわち上から垂直に見たマップ内に概略的に示されており、
図5aおよび
図5bに示されている反射源位置は、例えば、
図1による動的物体としての歩行者が車両100の後ろを通過する状況から生じる。時点t2は例えば時点t1の後であるが、別の状況では、例えば歩行者が車両の後ろを逆方向に移動しているときには逆にもなり得る。したがって、決定された反射源位置501は、領域510内で静的物体50を表し、領域520内で静的物体51(
図1の隣に駐車している車両)を表し、および領域530内で動的物体1としての歩行者を表す。それに従って、方法ステップ270におけるそれぞれの現在の反射源位置501の分類270は、好ましくは、現在の反射源位置501の周囲にある反射源位置501に応じても行われる。
【0033】
図5bに、
図5aの後の時点での状況が示されている。この例示的実施形態では、静的物体50を表す領域510は、この場合に動的物体1としての歩行者を表す領域530に直に隣接している。また、例えば、動的物体1としての歩行者が縁石のある歩道上で車両100を通り過ぎる場合、領域510、520、および530が重なり合うこともある(ここには図示せず)。
図5bで分かるように、車両100の周囲のマップ内での反射源位置が相互に位置的に近すぎるため、(現在の)反射源位置の確実な分類270を実施することができない。したがって、分類270は、エコー信号の少なくとも1つの特性を含み得るそれぞれの現在の反射源位置501の基礎となるセンサデータに応じて、および/またはこのセンサデータのエコー信号の決定された特性に応じて、および/または現在の反射源位置501の周囲にある反射源位置501に応じて行われ、この分類270は、上述したように、学習済みの機械認識方法によって実施されることが特に好ましい。
【符号の説明】
【0034】
1 動的物体
2 所期の移動方向
50 静止物体
51 静止物体
90 周囲
91 周囲90の直近領域
100 車両
110 センサシステム
111 超音波センサ
120 カメラシステム
121 車載カメラ
150 中央処理装置
160 表示装置
161 ブレーキ機構
162 ステアリング機構
163 駆動モータ
210 方法ステップ
221 後続の任意選択のステップ
222 さらなる任意選択のステップ
223 任意選択のステップ
230 さらなる方法ステップ/少なくとも1つのカメラ画像の捕捉
240 動的物体1の認識
250 ステップ
255 任意選択のステップ
260 チェック/さらなる方法ステップ
270 ステップ/認識された動的物体に属するものとしての現在の反射源位置の分類
280 動的物体の概算物体位置の決定
290 任意選択のステップ/動的物体の現在の物体速度および/または現在の物体移動方向の任意選択の決定
301 静止物体50および51と動的物体1とで反射されたエコー信号の振幅
310 第1の振幅閾値
320 第2の振幅閾値
330 振幅閾値310と第2の振幅閾値320との間の範囲
380 動的物体1で反射されたエコー信号の振幅301または振幅量の統計分布に関するグラフ
390 静止物体50および51で反射されたエコー信号の振幅301または振幅量の統計分布に関するグラフ
401 静止物体50および51で反射されたエコー信号の相関係数
410 相関係数401に関する閾値
420 相関係数が相関係数401に関する閾値410以下である範囲
480 動的物体1で反射されたエコー信号の相関係数401または相関係数401の大きさの統計分布に関するグラフ
490 静止物体50および51で反射されたエコー信号の相関係数401または相関係数401の大きさの統計分布に関するグラフ
501 反射源位置
510 領域
520 領域
530 周囲/領域
【外国語明細書】