(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053400
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】インパクト回転工具
(51)【国際特許分類】
B25B 21/02 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
B25B21/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159650
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 暁斗
(57)【要約】
【課題】脱調時に発生する慣性トルクを出力軸に良好に伝える。
【解決手段】インパクト回転工具1は、駆動軸21と、出力軸91と、伝達機構3と、を備える。駆動軸21は、モータ2により回転駆動される。出力軸91は、先端工具を装着可能であり、アンビル92と連結されている。伝達機構3は、駆動軸21のトルクを出力軸91に伝達する。伝達機構3は、駆動マグネット部7と、従動マグネット部8と、を有する。駆動マグネット部7は、駆動軸21からトルクが伝達されることにより回転するように構成されている。従動マグネット部8は、磁界の相互作用によって駆動マグネット部7の回転に応じて回転するように構成されている。従動マグネット部8は、ハンマ83を有する。ハンマ83は、出力軸91に連結されたアンビル92に打撃を加える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより回転駆動される駆動軸と、
先端工具を装着可能であり、アンビルと連結された出力軸と、
前記駆動軸のトルクを前記出力軸に伝達する伝達機構と、
を備え、
前記伝達機構は、
前記駆動軸から前記トルクが伝達されることにより回転するように構成されている駆動マグネット部と、
磁界の相互作用によって前記駆動マグネット部の回転に応じて回転するように構成された従動マグネット部と、
を有し、
前記従動マグネット部は、前記出力軸に連結された前記アンビルに打撃を加えるハンマを有する、
インパクト回転工具。
【請求項2】
前記駆動マグネット部は、前記駆動軸に対して相対回転可能に構成されている、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項3】
前記駆動マグネット部は、前記駆動マグネット部の回転軸を中心とした周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置された駆動磁石面を有し、
前記従動マグネット部は、前記周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置された従動磁石面を有し、
前記駆動磁石面と前記従動磁石面とは対向する、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項4】
前記駆動磁石面は、前記駆動マグネット部の外周面であり、
前記従動磁石面は、前記従動マグネット部の内周面である、
前記駆動マグネット部の前記外周面と、前記従動マグネット部の前記内周面とは、前記駆動軸の延伸方向から見て同心状に配置されており、
前記駆動マグネット部の前記外周面は、前記従動マグネット部の前記内周面の内に配置されている、
請求項3に記載のインパクト回転工具。
【請求項5】
前記ハンマは、前記従動マグネット部の脱調時に前記出力軸に連結された前記アンビルに前記打撃を加える、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項6】
前記従動マグネット部は、筒部と、前記筒部の一方の開口部に形成された底部と、更に有し、
前記ハンマは、前記駆動軸の延伸方向に沿って、前記底部から前記筒部とは反対向きに突出している、
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にインパクト回転工具に関し、より詳細には、モータを備えるインパクト回転工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マグネットカップリングを備えるインパクト回転工具が開示されている。特許文献1のマグネットカップリングは、駆動マグネット部材と従動マグネット部材とを有する。
【0003】
特許文献1のマグネットカップリングは、脱調時に従動マグネット部材に慣性トルクが作用し、この慣性トルクが回転衝撃力となって従動マグネット部材を回転させることで、出力軸に回転衝撃力を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているようなインパクト回転工具では、脱調時に発生する慣性トルクを出力軸に良好に伝えることが望まれている。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、脱調時に発生する慣性トルクを出力軸に良好に伝えることができるインパクト回転工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るインパクト回転工具は、駆動軸と、出力軸と、伝達機構と、を備える。前記駆動軸は、モータにより回転駆動される。前記出力軸は、先端工具を装着可能であり、アンビルと連結されている。前記伝達機構は、前記駆動軸のトルクを前記出力軸に伝達する。前記伝達機構は、駆動マグネット部と、従動マグネット部と、を有する。前記駆動マグネット部は、前記駆動軸から前記トルクが伝達されることにより回転するように構成されている。前記従動マグネット部は、磁界の相互作用によって前記駆動マグネット部の回転に応じて回転するように構成されている。前記従動マグネット部は、ハンマを有する。前記ハンマは、前記出力軸に連結された前記アンビルに打撃を加える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の上記態様に係るインパクト回転工具によれば、脱調時に発生する慣性トルクを出力軸に良好に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るインパクト回転工具の外観を示す平面図である。
【
図2】
図2は、同上のインパクト回転工具の要部の断面図である。
【
図3】
図3は、同上のインパクト回転工具の要部をある角度から見た分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のインパクト回転工具の要部を別の角度から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のインパクト回転工具のマグネットカップリングの動作時の状態を示す概念図である。
【
図6】
図6は、同上のマグネットカップリングの動作時の別の状態を示す概念図である。
【
図7】
図7は、同上のマグネットカップリングの動作時の更に別の状態を示す概念図である。
【
図8】
図8は、同上のマグネットカップリングの動作時の更に別の状態を示す概念図である。
【
図9】
図9は、同上のマグネットカップリングの動作時の更に別の状態を示す概念図である。
【
図10】
図10は、同上のマグネットカップリングの動作時の更に別の状態を示す概念図である。
【
図11】
図11は、同上のマグネットカップリングの動作時の更に別の状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、共通する要素についての重複する説明は省略する場合がある。以下の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
なお、図面中の各方向を示す矢印は一例であり、インパクト回転工具1の使用時の方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0012】
なお、本開示でいう「直交(垂直)」は、二者間の角度が厳密に90度である状態だけでなく、二者がある程度の差の範囲内で交差する状態も含む意味である。つまり、直交する二者間の角度は、90度に対してある程度の差(一例として10度以下)の範囲内に収まる。すなわち、本開示でいう「直交」は、二者でなす角度が80度以上100度以下である場合を含む。
【0013】
(実施形態)
(1)概要
まず、本実施形態に係るインパクト回転工具1の概要について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のインパクト回転工具1は、ドライバビット17等の先端工具を取り付けて、締付作業等を行うことが可能なインパクトドライバである。
【0015】
図2に示すように、本実施形態のインパクト回転工具1は、駆動軸21と、出力軸91と、伝達機構3と、を備える。
【0016】
駆動軸21は、モータ2による回転駆動されるモータ軸である。
【0017】
出力軸91は、先端工具を装着可能であり、アンビル92と連結されている。
【0018】
伝達機構3は、駆動軸21のトルクを出力軸91に伝達する。伝達機構3は、マグネットカップリング6を有する。
【0019】
マグネットカップリング6は、駆動マグネット部7と、従動マグネット部8と、を有する。
【0020】
駆動マグネット部7は、駆動軸21からトルクが伝達されることにより回転するように構成されている。
【0021】
従動マグネット部8は、磁界の相互作用によって駆動マグネット部7の回転に応じて回転するように構成されている。
図3に示すように、従動マグネット部8は、複数(
図3の例では、2つ)のハンマ83を有する。なお、以下の説明において、複数のハンマ83の各々のことを単に「ハンマ83」と呼ぶことがある。
【0022】
ハンマ83は、出力軸91に連結されたアンビル92に打撃を加える。
【0023】
本実施形態のインパクト回転工具1によれば、従動マグネット部8が有するハンマ83が、アンビル92に直接的に打撃を加えるため、例えば従動マグネット部8(マグネットカップリング6)の脱調時に発生する慣性トルクを出力軸91に良好に伝えることができる。
【0024】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るインパクト回転工具1の詳細な構成について、
図1~
図4を参照して説明する。以下の説明では、モータ2の駆動軸21から出力軸91に向かう方向を前方向とし、出力軸91から駆動軸21に向かう方向を後方向とする。なお、以下の説明では、前方向と後方向とをあわせて「前後方向」と呼ぶことがある。また、以下の説明では、後述するグリップ部12(
図1参照)から胴体部11(
図1参照)に向かう方向を上方向とし、胴体部11からグリップ部12に向かう方向を下方向とする。なお、以下の説明では、上方向と下方向とをあわせて「上下方向」と呼ぶことがある。
【0025】
(2.1)インパクト回転工具の構成
図1に示すように、本実施形態のインパクト回転工具1は、充電式の電池パック15が着脱可能に取り付けられる。本実施形態のインパクト回転工具1は、電池パック15を電源として動作する。すなわち、電池パック15は、モータ2(
図2参照)を駆動する電流を供給する電源である。電池パック15は、インパクト回転工具1の構成要素ではない。ただし、インパクト回転工具1は、電池パック15を備えていてもよい。電池パック15は、複数の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を直列接続して構成された組電池と、組電池を収容したケースと、を備えている。
【0026】
図1に示すように、インパクト回転工具1は、ボディ10と、トリガ14と、ビットホルダ16と、を備える。
【0027】
ボディ10は、胴体部11と、グリップ部12と、装着部13とを有する。胴体部11の形状は、先端(前端)が開口であり、後端が有底の筒状である。
図2に示すように、胴体部11は、モータ2及び伝達機構3を収容している。
図1に示すように、グリップ部12は、胴体部11から下方に突出している。装着部13は、電池パック15が取外し可能に装着されるように構成されている。本実施形態では、装着部13は、グリップ部12の先端部(下端部)に設けられている。言い換えれば、胴体部11と装着部13とが、グリップ部12にて連結されている。
【0028】
トリガ14は、グリップ部12から突出している。トリガ14は、モータ2(
図2参照)の回転を制御するための操作を受け付ける操作部である。トリガ14を引く操作により、モータ2のオンオフを切替可能である。また、トリガ14を引く操作の引込み量で、モータ2の回転速度(回転数[rpm])を調整可能である。トリガ14の引込み量が大きいほど、モータ2の回転速度が速くなる。
【0029】
ビットホルダ16は、胴体部11の先端(前端)に配置されており、出力軸91に取り付けられたドライバビット17等の先端工具が出力軸91から抜けることを抑制する。本実施形態では、ドライバビット17等の先端工具は、インパクト回転工具1の構成に含まれていない。ただし、先端工具は、インパクト回転工具1の構成に含まれていてもよい。
【0030】
図2に示すように、本実施形態のインパクト回転工具1は、モータ2と、伝達機構3と、出力軸部9と、を備える。
【0031】
モータ2は、例えばブラシレスモータである。モータ2は、駆動軸21を備えており、電池パック15(
図1参照)から供給される電力を駆動軸21の回転駆動力(トルク)に変換する。
【0032】
(2.2)伝達機構の構成
図2に示すように、伝達機構3は、胴体部11の内部空間においてモータ2の前方に位置している。伝達機構3は、モータ2の駆動軸21が機械的に接続されている。伝達機構3は、駆動軸21のトルクを、出力軸部9に伝達する。本実施形態の伝達機構3は、遊星歯車機構4と、マグネットカップリング6と、を有する。
【0033】
(2.3)遊星歯車機構の構成
本実施形態の遊星歯車機構4は、モータ2の駆動軸21が機械的に接続されている。遊星歯車機構4は、駆動軸21の回転速度(回転数[rpm])を所定の減速比で減速してマグネットカップリング6の駆動マグネット部7に伝達する。
図2に示すように、本実施形態の遊星歯車機構4は、太陽歯車41と、リング歯車42と、複数(
図2の例では2つ)の遊星歯車43と、キャリア5と、を有する。
【0034】
太陽歯車41は、モータ2の駆動軸21の先端(前端)と機械的に接続されており、駆動軸21と一体的に回転する。言い換えると、太陽歯車41は、モータ2の駆動軸21から伝達されるトルクで自転する。
【0035】
リング歯車42は、前後方向から見て、太陽歯車41を中心とする円環状に形成されている。リング歯車42は、駆動軸21の延伸方向(前後方向)と直交する方向(径方向)において、太陽歯車41及び複数の遊星歯車43の外に位置している。リング歯車42は、回転しないように固定されている。
【0036】
複数の遊星歯車43は、駆動軸21の径方向において、太陽歯車41とリング歯車42との間に配置されている。なお、以下の説明において、複数の遊星歯車43の各々のことを、単に「遊星歯車43」と呼ぶことがある。遊星歯車43は、太陽歯車41及びリング歯車42と噛み合っている。複数の遊星歯車43は、駆動軸21の周方向に沿って等間隔に並んでいる。遊星歯車43は、キャリア5によって回転可能(自転可能)に保持されている。また、複数の遊星歯車43は、太陽歯車41とリング歯車42との間で、自転しながら太陽歯車41を中心に公転可能である。
【0037】
図3及び
図4に示すように、キャリア5は、本体部50と、キャリア側筒部51と、複数(
図3の例では2つ)のキャリア側突出部52と、を有する。本実施形態では、本体部50と、キャリア側筒部51と、複数のキャリア側突出部52とは、一体的に形成されている。なお、以下の説明において、複数のキャリア側突出部52の各々のことを、単に「キャリア側突出部52」と呼ぶことがある。
【0038】
本体部50は、複数の遊星歯車43を自転可能に保持している。複数の遊星歯車43が自転しながら太陽歯車41を中心として公転するのに伴って、本体部50は回転(自転)する。
【0039】
キャリア側筒部51は、本体部50から前方に突出している。キャリア側筒部51の形状は、円筒状である。キャリア側筒部51は、駆動マグネット部7の後述するマグネット側筒部72に挿入されている。
【0040】
複数のキャリア側突出部52は、キャリア側筒部51の外周面から、駆動軸21の径方向に沿って(外側に)突出している。本実施形態の2つ(一対)のキャリア側突出部52は、互いに遠ざかる向きに突出している。キャリア側突出部52の径状は、四角柱状である。
【0041】
(2.4)マグネットカップリングの構成
マグネットカップリング6は、遊星歯車機構4のキャリア5から伝達されるトルクを、出力軸部9に伝達する。
図2に示すように、駆動マグネット部7の後述する軸75の本体部750の後端が軸受31に挿入され、軸75の後述する細軸部751が2つの軸受34に挿入されることで、マグネットカップリング6は回転可能に保持されている。軸受31は、例えばボールベアリングであり、キャリア5のキャリア側筒部51に挿入されて保持されている。また、2つの軸受34は、例えばボールベアリングであり、アンビル92の後述する凹部923に挿入されて保持されている。なお、2つの軸受34は、1つの軸受34であってもよいし、3以上の軸受34であってもよい。
【0042】
本実施形態のマグネットカップリング6は、出力軸部9の負荷トルクが所定値以上となると、出力軸部9に回転打撃を直接的に加えるように構成されている。マグネットカップリング6は、駆動マグネット部7と、従動マグネット部8と、を有する。
【0043】
(2.5)駆動マグネット部の構成
駆動マグネット部7は、遊星歯車機構4のキャリア5と機械的に接続されている。すなわち、駆動マグネット部7は、遊星歯車機構4のキャリア5からトルクが伝達されることで回転する。なお、本実施形態の駆動マグネット部7は、回転軸Ax1(
図1参照)を中心として回転する。駆動マグネット部7は、本体部71と、マグネット側筒部72と、複数(
図4の例では2つ)のマグネット側突出部73と、鍔部74と、軸75と、複数(
図3の例では4つ)のマグネット76と、を有する。なお、以下の説明において、複数のマグネット側突出部73の各々のことを、単に「マグネット側突出部73」と呼ぶことがある。また、複数のマグネット76の各々のことを、単に「マグネット76」と呼ぶことがある。
【0044】
本体部71の形状は、軸75の延伸方向に沿った円柱状である。本体部71は、複数のマグネット76を保持している。本体部71の外周面711は、従動マグネット部8の後述する内周面821と対向するように配置されている。より具体的には、本体部71の外周面711と、従動マグネット部8の内周面821とは、駆動軸21の延伸方向から見て同心状に配置されている。そして、本体部71の外周面711は、従動マグネット部8の内周面821の内に配置されている。
【0045】
本体部71の外周面711は、後述するように、駆動マグネット部7の回転軸Ax1(軸75)を中心とした周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置された駆動磁石面である。
【0046】
図4に示すように、マグネット側筒部72は、底部721と側周部722とを有する有底筒状に形成されている。マグネット側筒部72と、本体部71とは、軸75を中心とした同心状に配置されている。底部721は、円形状の板状に形成されている。底部721は、本体部71の後面と接触するように配置されている。側周部722は、底部721の縁から後方に突出している。側周部722の形状は円筒状である。
【0047】
複数のマグネット側突出部73は、マグネット側筒部72の側周部722の内周面から、軸75の径方向に沿って突出している。すなわち、複数のマグネット側突出部73は、側周部722の内周面から、軸75に向けて突出している。2つ(一対)のマグネット側突出部73は、互いに近付く向きに突出している。マグネット側突出部73の径状は、四角柱状である。後方から見て、マグネット側突出部73は先細り形状である。
【0048】
鍔部74は、マグネット側筒部72の側周部722の外周面の後端から、軸75の径方向に沿って突出している。鍔部74の形状は、円環状の板状である。
【0049】
軸75は、本体部71及びマグネット側筒部72の中心を貫通している。軸75は、本体部750と、細軸部751とを有する。本体部750の形状は、円柱状である。細軸部751は、本体部750の前端から前方に突出している。細軸部751の形状は、円柱状である。細軸部751の直径は、本体部750の直径より小さい。前後方向から見て、本体部750の軸心と細軸部751の軸心とは、概ね一致する。駆動マグネット部7は、軸75を中心として回転する。つまり、前後方向から見て、本体部750の軸心及び細軸部751の軸心と、回転軸Ax1とは概ね一致する。また、前後方向から見て、本体部750の軸心及び細軸部751の軸心と、モータ2の駆動軸21の軸心とは概ね一致する。
【0050】
複数のマグネット76は、本体部71に保持されている。本実施形態のマグネット76は、例えばネオジム磁石である。マグネット76の形状は、矩形状の板状である。
【0051】
複数のマグネット76は、軸75の周方向に沿って並んでいる。より具体的には、4つのマグネット76は、軸75を中心とした正方形状に並んでいる。また、複数のマグネット76は、N極、S極が軸75の周方向に沿って交互になるように配置されている。N極、S極が軸75の周方向に沿って交互になるように複数のマグネット76が配置されることにより、本体部71の外周面711は、軸75の周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置された駆動磁石面となる。
【0052】
(2.6)従動マグネット部の構成
上述のように、従動マグネット部8は、駆動マグネット部7の回転に応じて回転するように構成されている。
図2に示すように、後述する筒部82の後端が軸受32の外周面に保持され、後述する底部81の開口部811が軸受33の外周面に保持されることで、従動マグネット部8は、駆動マグネット部7に対して回転可能に保持されている。従動マグネット部8は、駆動マグネット部7と同様に回転軸Ax1を中心に回転する。軸受32は、例えばボールベアリングであり、マグネット側筒部72の側周部722の外周面に保持されている。軸受33は、例えばボールベアリングであり、軸75の本体部750の前端に保持されている。
【0053】
図3及び
図4に示すように、従動マグネット部8の形状は、有底の円筒状である。従動マグネット部8は、底部81と、筒部82と、複数のハンマ83と、複数のマグネット84と、を有する。なお、以下の説明において複数のマグネット84の各々のことを、単に「マグネット84」と呼ぶことがある。
【0054】
底部81は、筒部82の一方(前端)の開口部に形成されている。底部81の形状は、円環状の板状である。底部81は、開口部811を有する。開口部811は、円形状の貫通孔であり、底部81の中心部に形成されている。
【0055】
筒部82の形状は、円筒状である。筒部82は、底部81の縁から後方に突出している。筒部82は、複数のマグネット84を保持している。本実施形態では、筒部82は、4つのマグネット84を保持している。
【0056】
筒部82の内周面821は、駆動マグネット部7の外周面711と対向するように配置されている。内周面821は、複数のマグネット84が配置された状態において、前後方向から見て円周状(円環状)に形成されている。筒部82の内周面821は、後述するように、駆動マグネット部7の回転軸Ax1(軸75)を中心とした周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置された駆動磁石面である。つまり、駆動マグネット部7の駆動磁石面と、従動マグネット部8の従動磁石面とは対向する。
【0057】
駆動マグネット部7の駆動磁石面と、従動マグネット部8の従動磁石面とが対向するため、例えば駆動磁石面と従動磁石面との間に隔壁等がある場合と比べて、従動マグネット部8にトルクを良好に伝えることができる。また、ハンマ83を有する従動マグネット部8がアウターとなるため、従動マグネット部がインナーとなる場合と比べて、軸75の径方向(回転軸Ax1と直交する方向)における回転軸Ax1とハンマ83との距離を大きくすることができ回転打撃のエネルギーを大きくすることができる。
【0058】
複数(2つ)のハンマ83は、底部81から前方に突出している。言い換えると、複数のハンマ83は、モータ2の駆動軸21の延伸方向(駆動マグネット部7の軸75の延伸方向)に沿って、底部81から筒部82とは反対向きに突出している。ハンマ83の形状は、三角柱状である。ハンマ83がモータ2の駆動軸21に沿って突出しているため、軸75の径方向(回転軸Ax1と直交する方向)におけるインパクト回転工具1の大きさをコンパクトにすることができる。
【0059】
マグネット84の形状は、矩形状の板状である。複数のマグネット84は、軸75の周方向に沿って並んでいる。4つのマグネット76は、軸75の周方向に沿って等間隔に並んでいる。また、複数のマグネット84は、N極、S極が軸75の周方向に沿って交互になるように配置されている。N極、S極が軸75の周方向に沿って交互になるように複数のマグネット84が配置されることにより、筒部82の内周面821は、軸75の周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置された従動磁石面となる。
【0060】
(2.7)出力軸部の構成
図2に示すように、出力軸部9は、マグネットカップリング6の前方に配置されている。出力軸部9は、伝達機構3(マグネットカップリング6)からトルクが伝達されることにより、回転軸Ax1を中心として回転する。
図3及び
図4に示すように、出力軸部9は、出力軸91と、アンビル92とを有する。
【0061】
アンビル92は、基部920と、複数(
図3の例では2つ)のアンビル爪921と、を有する。なお、以下の説明において、複数のアンビル爪921の各々のことを、単に「アンビル爪921」と呼ぶことがある。
【0062】
基部920の形状は、前後方向から見て円形状である。前後方向から見て、基部920の中心と、駆動マグネット部7の軸75の軸心とは、概ね一致する。
図4に示すように、基部920は、凹部923を有する。
【0063】
凹部923は、基部920の後面に形成されている。凹部923は、円形状かつ非貫通の穴である。前後方向から見て、凹部923の中心と、駆動マグネット部7の軸75の軸心とは、概ね一致する。
【0064】
複数のアンビル爪921は、基部920から、基部920の径方向に沿って、(外側に)突出している。本実施形態の2つのアンビル爪921は、互いに遠ざかる向きに突出している。アンビル爪921の径状は、四角柱状である。
【0065】
出力軸91は、アンビル92の基部920から前方に突出している。出力軸91の形状は、円筒状である。出力軸91は、アンビル92と一体的に形成されている。出力軸91は、挿入部911を有する。挿入部911は、ドライバビット17(
図1参照)等の先端工具を挿入する穴である。本実施形態の挿入部911は、外径が正六角形状の穴である。
【0066】
(3)マグネットカップリングの動作
次に、
図5~
図11を参照してマグネットカップリング6(
図2参照)の動作について説明する。
図5~
図11は、マグネットカップリング6の動作を説明するための概念図である。したがって、
図5~
図11に示す各構成は、本実施形態のインパクト回転工具1の各構成と異なる形状又は配置となっている場合がある。
図5~
図11は、ユーザによってトリガ14(
図1参照)が引かれ、モータ2(
図2参照)の駆動軸21(
図2参照)が回転している状態におけるマグネットカップリング6の状態を示している。
【0067】
図5~
図11中のキャリア側突出部52aは、上述のキャリア側突出部52(
図2参照)に相当する。
図5~
図11中の駆動マグネット部7aは、上述の駆動マグネット部7(
図2参照)に相当する。
図5~
図11中のマグネット側突出部73aは、上述のマグネット側突出部73(
図2参照)に相当する。
図5~
図11中の従動マグネット部8aは、上述の従動マグネット部8(
図2参照)に相当する。
図5~
図11中のハンマ83aは、上述のハンマ83(
図2参照)に相当する。
図5~
図11中のアンビル爪921aは、上述のアンビル爪921(
図2参照)に相当する。したがって、以下の説明では、キャリア側突出部52aのことをキャリア側突出部52と呼び、駆動マグネット部7aのことを駆動マグネット部7と呼び、マグネット側突出部73aのことをマグネット側突出部73と呼び、従動マグネット部8aのことを従動マグネット部8と呼び、ハンマ83aのことをハンマ83と呼び、アンビル爪921aのことをアンビル爪921と呼ぶ。
【0068】
図5は、出力軸部9の負荷トルクが所定値未満である場合のマグネットカップリング6の状態(動作)を示している。出力軸部9の負荷トルクが所定値未満である場合、キャリア側突出部52とマグネット側突出部73とが接触した状態で、キャリア5(
図2参照)と駆動マグネット部7とが一体的に正転方向(矢印A1の方向)に回転する。また、キャリア5と駆動マグネット部7とが一体的に正転方向に回転している場合、マグネット側突出部73から見た進行先において、マグネット側突出部73と所定位置(本実施形態ではキャリア側突出部52との間には空隙Sp1が形成されている。言い換えると、キャリア5と駆動マグネット部7とが一体的に正転方向に回転している場合、マグネット側突出部73から見た進行先において、マグネット側突出部73から所定位置までは空隙Sp1である。
【0069】
また、従動マグネット部8は、駆動マグネット部7と同期し、駆動マグネット部7と概ね同じ回転速度で正転方向に回転する。そして、ハンマ83とアンビル爪921とが接触した状態で、従動マグネット部8と出力軸部9とが一体的に正回転する。すなわち、出力軸部9の負荷トルクが所定値未満である場合には、マグネットカップリング6は、出力軸部9に回転打撃を加えない。なお、従動マグネット部8が駆動マグネット部7に同期して回転している場合、従動マグネット部8は駆動マグネット部7に追従して回転するため、従動マグネット部8の位相は駆動マグネット部7の位相に対して僅かに遅れる。
【0070】
図6~
図11は、出力軸部9の負荷トルクが所定値以上である場合のマグネットカップリング6の状態(動作)を示している。出力軸部9の負荷トルクが所定値以上となると、出力軸部9及び従動マグネット部8の正転方向の回転速度が低下する。従動マグネット部8の回転速度が低下することにより、従動マグネット部8の回転速度と駆動マグネット部7の回転速度とに差が生じ、従動マグネット部8は脱調する。言い換えると、従動マグネット部8が駆動マグネット部7に対して反転方向に動くことで、従動マグネット部8が脱調する。さらに言い換えると、駆動マグネット部7が従動マグネット部8に対して正転方向に動くことで、従動マグネット部8が脱調する。従動マグネット部8が脱調すると、マグネットカップリング6の状態は
図6に示す状態となる。
【0071】
図6の状態では、従動マグネット部8と駆動マグネット部7との間には反発磁力が作用する。従動マグネット部8は、反転方向(矢印A2の方向)に力を受け、駆動マグネット部7は正転方向に力を受ける。
【0072】
図7は、従動マグネット部8と駆動マグネット部7との間に作用する反発磁力が最大の時のマグネットカップリング6の状態を示している。従動マグネット部8が反転方向の反発磁力を受けることにより、正転方向における従動マグネット部8の回転速度は出力軸部9の回転速度より遅くなる。または、従動マグネット部8が反転方向の反発磁力を受けることにより、従動マグネット部8は反転方向に回転する。したがって、従動マグネット部8のハンマ83は、出力軸部9のアンビル爪921に対して反転方向に移動する。
【0073】
また、駆動マグネット部7が正転方向の反発磁力を受けることにより、正転方向における駆動マグネット部7の回転速度はキャリア5の回転速度より速くなる。ここで、本実施形態では駆動マグネット部7の進行先に空隙Sp1が形成されているため、駆動マグネット部7のマグネット側突出部73は、キャリア5のキャリア側突出部52に対して正転方向に移動する。すなわち、駆動マグネット部7は、キャリア5に対して相対回転可能に構成されている。言い換えると、本実施形態の駆動マグネット部7は、モータ2の駆動軸21に対して相対回転可能に構成されている。マグネットカップリング6の状態が
図8に示す状態になると、駆動マグネット部7と従動マグネット部8との間に反発磁力が作用しなくなる。ただし、
図8に示す状態では、引き続き従動マグネット部8は駆動マグネット部7に対して反転方向に動いている。
【0074】
マグネットカップリング6の状態が
図9に示す状態になると、駆動マグネット部7と従動マグネット部8との間に吸引磁力が作用する。従動マグネット部8は、正転方向に力を受け、駆動マグネット部7は反転方向に力を受ける。
【0075】
従動マグネット部8が正転方向の吸引磁力を受けることにより、正転方向における従動マグネット部8の回転速度は出力軸部9の回転速度より速くなる。したがって、従動マグネット部8のハンマ83は、出力軸部9のアンビル爪921に対して正転方向に移動する。
【0076】
また、駆動マグネット部7が反転方向の吸引磁力を受けることにより、正転方向における駆動マグネット部7の回転速度はキャリア5の回転速度より遅くなる。したがって、駆動マグネット部7のマグネット側突出部73は、キャリア5のキャリア側突出部52に対して反転方向に移動する。
【0077】
図10は、従動マグネット部8と駆動マグネット部7との間に作用する吸引磁力が最大の時のマグネットカップリング6の状態を示している。従動マグネット部8と駆動マグネット部7との間に作用する吸引磁力が最大となるタイミングで、マグネット側突出部73とキャリア側突出部52とが接触し、駆動マグネット部7とキャリア5とが再び一体的に正転方向に回転する。
【0078】
そして、
図11に示すように、従動マグネット部8が引き続き正転方向の吸引磁力を受けることにより、従動マグネット部8のハンマ83は、出力軸部9のアンビル爪921に正転方向の回転打撃を加える。すなわち、ハンマ83は、従動マグネット部8の脱調時に出力軸91に連結されたアンビル爪921(アンビル92)に回転打撃を加える。従動マグネット部8が有するハンマ83が、アンビル92に直接的に打撃を加えるため、従動マグネット部8の脱調時に発生する吸引磁力によるトルク(慣性トルク)を出力軸部9に良好に伝えることができる。
【0079】
また、上述のように本実施形態の駆動マグネット部7は、キャリア5(モータ2の駆動軸21)に対して相対回転可能に構成されている。駆動マグネット部7が駆動軸21に対して相対回転可能なため、従動マグネット部8の脱調時に発生する慣性トルクが、駆動軸21(キャリア5)から駆動マグネット部7に伝達されるトルクによって小さくなることを抑制することができる。また、駆動マグネット部7から伝達されるトルクによってモータ2の駆動軸21にかかる負荷を低減することができる。
【0080】
(4)変形例
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0081】
上記実施形態では、モータ2が電動モータである場合を例示した。しかし、モータ2は、エアコンプレッサから供給される圧縮空気を動力源として動作するエアモータであってもよい。
【0082】
上記実施形態では、正転方向が矢印A1の方向であり反転方向が矢印A2の方向である場合を例示したが、正転方向が矢印A2の方向であり反転方向が矢印A1の方向であってもよい。
【0083】
インパクト回転工具1には、ドライバビット17の代わりにソケット及びドリル等が先端工具として取り付けられてもよい。
【0084】
インパクト回転工具1は、電池パック15を電源とする構成に限らず、交流電源(商用電源)を電源とする構成であってもよい。
【0085】
上記実施形態では、出力軸91とアンビル92とが一体的に形成されている場合を例示したが、出力軸91とアンビル92とは別体であってもよい。
【0086】
上記実施形態のインパクト回転工具1は、先端工具を用途に応じて交換可能であるが、先端工具が交換可能であることは必須ではない。例えば、インパクト回転工具1は、特定の先端工具のみ用いることができる工具であってもよい。
【0087】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係るインパクト回転工具(1)は、駆動軸(21)と、出力軸(91)と、伝達機構(3)と、を備える。駆動軸(21)は、モータ(2)により回転駆動される。出力軸(91)は、先端工具(ドライバビット17)を装着可能であり、アンビル(92)と連結されている。伝達機構(3)は、駆動軸(21)のトルクを出力軸(91)に伝達する。伝達機構(3)は、駆動マグネット部(7)と、従動マグネット部(8)と、を有する。駆動マグネット部(7)は、駆動軸(21)からトルクが伝達されることにより回転するように構成されている。従動マグネット部(8)は、磁界の相互作用によって駆動マグネット部(7)の回転に応じて回転するように構成されている。従動マグネット部(8)は、ハンマ(83)を有する。ハンマ(83)は、出力軸(91)に連結されたアンビル(92)に打撃を加える。
【0088】
この態様によれば、従動マグネット部(8)が有するハンマ(83)が、アンビル(92)に直接的に打撃を加えるため、例えば従動マグネット部(8)の脱調時に発生する慣性トルクを出力軸(91)に良好に伝えることができる。
【0089】
第2の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1の態様において、駆動マグネット部(7)は、駆動軸(21)に対して相対回転可能に構成されている。
【0090】
この態様によれば、従動マグネット部(8)の脱調時に発生する慣性トルクが小さくなることを抑制することができる。また、駆動軸(21)にかかる負荷を低減することができる。
【0091】
第3の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1又は第2の態様において、駆動マグネット部(7)は、駆動磁石面(外周面711)を有する。駆動磁石面は、駆動マグネット部(7)の回転軸(Ax1)を中心とした周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置されている。従動マグネット部(8)は、従動磁石面(内周面821)を有する。従動磁石面は、周方向に沿ってS極及びN極が交互に配置されている。駆動磁石面と従動磁石面とは対向する。
【0092】
この態様によれば、駆動マグネット部(7)の駆動磁石面(外周面711)と、従動マグネット部(8)の従動磁石面(内周面821)とが対向するため、例えば駆動磁石面と従動磁石面との間に隔壁等がある場合と比べて、従動マグネット部(8)にトルクを良好に伝えることができる。
【0093】
第4の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第3の態様において、駆動磁石面(外周面711)は、駆動マグネット部(7)の外周面(711)である。従動磁石面(内周面821)は、従動マグネット部(8)の内周面(821)である。駆動マグネット部(7)の外周面(711)と、従動マグネット部(8)の内周面(821)とは、駆動軸(21)の延伸方向から見て同心状に配置されている。駆動マグネット部(7)の外周面(711)は、従動マグネット部(8)の内周面(821)の内に配置されている。
【0094】
この態様によれば、ハンマ(83)を有する従動マグネット部(8)がアウターとなるため、従動マグネット部(8)がインナーとなる場合と比べて、回転軸(Ax1)と直交する方向における回転軸(Ax1)とハンマ(83)との距離を大きくすることができ回転打撃のエネルギーを大きくすることができる。
【0095】
第5の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1から第4のいずれかの態様において、ハンマ(83)は、従動マグネット部(8)の脱調時に出力軸(91)に連結されたアンビル(92)に打撃を加える。
【0096】
この態様によれば、従動マグネット部(8)が有するハンマ(83)が、アンビル(92)に直接的に打撃を加えるため、従動マグネット部(8)の脱調時に発生する慣性トルクを出力軸(91)に良好に伝えることができる。
【0097】
第6の態様に係るインパクト回転工具(1)では、第1から第5のいずれかの態様において、従動マグネット部(8)は、筒部(82)と、筒部(82)の一方の開口部に形成された底部(81)と、更に有する。ハンマ(83)は、駆動軸(21)の延伸方向に沿って、底部(81)から筒部(82)とは反対向きに突出している。
【0098】
この態様によれば、ハンマ(83)がモータ(2)の駆動軸(21)に沿って突出しているため、駆動軸(21)の延伸方向と直交する方向におけるインパクト回転工具(1)の大きさをコンパクトにすることができる。
【0099】
第1の態様以外の構成については、インパクト回転工具(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 インパクト回転工具
17 ドライバビット(先端工具)
2 モータ
21 駆動軸
3 伝達機構
7 駆動マグネット部
711 外周面(駆動磁石面)
8 従動マグネット部
81 底部
82 筒部
821 内周面(従動磁石面)
83 ハンマ
91 出力軸
92 アンビル
Ax1 回転軸