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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053401
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】冷媒検知装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20240408BHJP
   F24F 11/88 20180101ALI20240408BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20240408BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F11/88
F24F11/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159655
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 浩史
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA38
3L260BA52
3L260BA54
3L260DA10
3L260EA06
3L260FA20
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】安全に冷媒センサを交換することができる冷媒検知装置を提供する。
【解決手段】冷媒検知装置は、冷媒センサと、前記冷媒センサに電力を供給する電源部と、前記電源部と前記冷媒センサの電気的な接続状態を切り替える切替部と、前記切替部を操作するための操作部と、前記電源部を覆う電源部保護カバーと、を備え、前記操作部が、電源部保護カバーを取り外すことなく操作可能に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒センサと、
前記冷媒センサに電力を供給する電源部と、
前記電源部と前記冷媒センサの電気的な接続状態を切り替える切替部と、
前記切替部を操作するための操作部と、
前記電源部を覆う電源部保護カバーと、
を備え、
前記操作部が、電源部保護カバーを取り外すことなく操作可能に設けられた、
冷媒検知装置。
【請求項2】
前記冷媒センサを覆うセンサ部保護カバー、
をさらに備え、
前記センサ部保護カバーには開口部が設けられた、
請求項1に記載の冷媒検知装置。
【請求項3】
前記切替部は、
前記電源部と前記冷媒センサが電気的に接続された状態から接続されていない状態に切り替えてから所定の時間が経過すると、前記電源部と前記冷媒センサが電気的に接続された状態に自動的に復帰する、
請求項1又は請求項2に記載の冷媒検知装置。
【請求項4】
前記冷媒センサが出力する検知信号の有無に基づいて、前記冷媒センサの故障を判定する故障検知部と、
前記故障検知部の判定結果を通知する通知部と、
をさらに備え、
前記切替部によって、前記電源部と前記冷媒センサが電気的に接続されていない状態となった場合、前記故障検知部は、前記冷媒センサが故障したと判定しない、
請求項1又は請求項2に記載の冷媒検知装置。
【請求項5】
筐体と、
前記筐体内に設置された、前記冷媒センサと、前記電源部と、前記切替部と、前記操作部と、前記電源部保護カバーと、
を備え、
前記電源部は、空調機から電力の供給を受け、前記筐体が空調機の外部に設けられる
請求項1又は請求項2に記載の冷媒検知装置。
【請求項6】
前記冷媒センサと、前記電源部と、前記切替部と、前記操作部と、前記電源部保護カバーと、が空調機に設けられ、前記電源部は、前記空調機から電力の供給を受ける、
請求項1又は請求項2に記載の冷媒検知装置。
【請求項7】
前記電源部と前記切替部が1つの基盤に設けられ、前記電源部保護カバーが前記1つの基盤を覆い、前記電源部保護カバーの前記切替部に対応する位置には開口部が設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の冷媒検知装置。
【請求項8】
前記電源部と前記切替部が異なる基盤に設けられ、前記切替部が前記電源部保護カバーの外部に設けられた、
請求項1又は請求項2に記載の冷媒検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機からの可燃性冷媒の漏洩を検知するための保護装置として冷媒センサが使用される。冷媒センサの検知性能を適切に保つため、国際規格および日本の法律により定期的な交換が義務付けられている。一般に冷媒センサは空調機と同じ電源で動作する。その為、冷媒センサを交換するときには、作業員の安全のために空調機の電源を落とす必要がある。すると、(1)1台の冷媒センサを交換しようとすると、電源遮断器を共有している空調機の運転をすべて停止しなければならない、(2)冷媒センサが設置される場所と電源遮断器の設置場所は遠く離れていることが多いため、電源を遮断し、冷媒センサを交換し、電源を復旧するという作業には時間や労力がかかる、といった不都合が生じる場合がある。
【0003】
これに対し、特許文献1には、空調機の電源と空調機に設けられた冷媒センサとの間にスイッチを設け、冷媒センサへの電力の供給を遮断できるように構成した空調機が開示されている。このような空調機であれば、スイッチを切り換えて冷媒センサへの電力供給を遮断することによって、空調機の電源を落とすことなく冷媒センサを交換することができる。しかし、冷媒センサへの通電を切り替えるスイッチを空調機に設けることは、必ずしも可能ではない場合がある。また、冷媒センサは、空調機の外部に、別体の冷媒検知装置として設けられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-54142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷媒センサへの通電を自由に切り替えることができる冷媒検知装置が求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる冷媒検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、冷媒検知装置は、冷媒センサと、前記冷媒センサに電力を供給する電源部と、前記電源部と前記冷媒センサの電気的な接続状態を切り替える切替部と、前記切替部を操作するための操作部と、前記電源部を覆う電源部保護カバーと、を備え、前記操作部が、電源部保護カバーを取り外すことなく操作可能に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の冷媒検知装置によれば、空調機の電源を落とすことなく、安全に冷媒センサを交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態に係る空調機および冷媒検知装置の概略図である。
図2】第一実施形態に係る冷媒検知装置の保護カバーの一例を示す図である。
図3】第一実施形態に係る冷媒検知装置の誤操作防止カバーの一例を示す図である。
図4】第一実施形態に係る冷媒検知装置の他の一例を示す図である。
図5】第一実施形態に係る冷媒検知装置の保護カバーの他の例を示す図である。
図6】第一実施形態に係る冷媒検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】第一実施形態に係る冷媒検知装置のスイッチ制御の一例を示すフローチャートである。
図8】第二実施形態に係る冷媒検知装置の一例を示す第1の図である。
図9】第二実施形態に係る冷媒検知装置の一例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係る冷媒検知装置について図1図7を参照して説明する。
(構成)
図1は、第一実施形態に係る空調機および冷媒検知装置の概略図である。空調機は室内機10と、図示しない室外機およびリモコンなどを備えている。室内機10は、商用の交流電源1と接続されている。室内機10は、電源変換部11を有している。電源変換部11は、交流電源1から供給された電力を、所定の電圧の直流電力に変換し、変換後の直流電力を室内機10の各機器に供給する。室内機10と冷媒検知装置100は、電力線Lで接続されており、電源変換部11から冷媒検知装置100へ直流電力が供給される。冷媒検知装置100は、室内機10が設置された室内の床近傍に配置され、室内の冷媒を検知する。室内機10から冷媒が漏洩すると、冷媒検知装置100によって検知することができる。
【0011】
冷媒検知装置100は、制御基盤110と、冷媒センサ120とを備えている。制御基盤110と冷媒センサ120は、冷媒検知装置100の筐体101内に収められている。制御基盤110と冷媒センサ120は、電気的に接続され、通信可能に接続されている。例えば、制御基盤110は、冷媒センサ120へ電力を供給し、冷媒センサ120は検知した情報を制御基盤110へ出力する。
【0012】
制御基盤110は、電源部111と、処理部112と、スイッチ113と、操作部114と、を有している。具体的には、電源部111と、処理部112と、スイッチ113が制御基盤110上に実装されている。
電源部111は、電源変換部11から電力を受電し、冷媒検知装置100の各部(例えば、冷媒センサ120)へ電力を供給する。
処理部112は、冷媒センサ120から出力される冷媒検知信号を取得し、室内機10へ送信する。また、処理部112は、冷媒センサ120から冷媒検知信号が取得できない場合には、冷媒センサ120が故障したと判定し、室内機10へ故障を通知したり、図示しない表示部に故障表示を行ったりする。処理部112は、例えば、CPU等のプロセッサによって実現される機能である。
【0013】
電源部111が冷媒センサ120へ電力を供給する回路には、電源部111と冷媒センサ120の電気的な接続状態を切り替えるためのスイッチ113が設けられている。スイッチ113がONとなると、電源部111と冷媒センサ120の電気的に接続され、電源部111から冷媒センサ120へ電力が供給される。スイッチ113がOFFとなると、電源部111と冷媒センサ120の電気的に遮断され、冷媒センサ120へ電力が供給されなくなる。
【0014】
スイッチ113には、操作部114が設けられており、操作部114を操作することにより、スイッチ113のONとOFFを切り替えることができる。作業員の安全のため、操作部114の表面は絶縁体で覆われている。操作部114は、例えば、トグルスイッチや押しボタン式のスイッチである。操作部114の操作によりスイッチ113が切り替わると、スイッチ113の状態(ON又はOFF)は処理部112へ通知される。
【0015】
スイッチ113は、自動復帰機能を有していてもよい。つまり、操作部114によって、スイッチ113をONからOFFに切り替えると、所定の時間(例えば、5分間)だけOFFの状態が維持され、その後、ONへ自動的に復帰する。これにより、OFFに切り替えたまま、ONに戻し忘れることを防止することができる。
【0016】
冷媒センサ120は、制御基盤110からの電力供給によって駆動し、室内の冷媒を検知する。冷媒センサ120は、冷媒を検知する素子である検知部121と、電子基板122を有している。検知部121は、室内の冷媒を検知できるよう室内空気と触れるように設置される。
【0017】
図1に示す制御基盤110と冷媒センサ120は、安全性を確保するために保護カバーで覆われている。これにより、制御基盤110と冷媒センサ120の電子基板122を保護するとともに冷媒センサ120の交換作業を行う作業員の感電を防ぐことができる。図2に制御基盤110が保護カバー210で覆われ、冷媒センサ120が保護カバー220で覆われている様子を示す。
【0018】
保護カバー210は、樹脂などの絶縁性を有する部材を用いて、制御基盤110の全体を覆うよう構成されている。保護カバー210には、保護カバー210で覆われた状態のまま、操作部114を操作することができるように操作部114の操作に必要な位置および範囲に開口部211が設けられている。
【0019】
保護カバー220は、樹脂などの絶縁性を有する部材を用いて、冷媒センサ120の全体を覆うよう構成されている。保護カバー220には、保護カバー220で覆われた状態のまま、検知部121が室内の冷媒を検知できるように(室内の空気と接触するように)、開口部221が設けられている。開口部221は、図示するように検知部121の形状や大きさに合わせた穴であってもよいし、スリット状の開口構造であってもよい。
保護カバー210、220により、冷媒検知装置100のどこに触れても電気的に安全な構造となっている。
【0020】
更に、ユーザによる操作部114の誤操作を防止するために、冷媒検知装置100の全体が誤操作防止カバーで覆われていてもよい。図3に冷媒検知装置100(筐体101)が誤操作防止カバー300で覆われている様子を示す。誤操作防止カバー300には、誤操作防止カバー300で覆われた状態のまま、検知部121が室内の冷媒を検知できるように(室内の空気と接触するように)、開口部301が設けられている。開口部301は、検知部121の形状や大きさに合わせた穴であってもよいし、図示するような、スリット状の開口構造であってもよい。
【0021】
図4に冷媒検知装置の他の構成例を示す。冷媒検知装置100Aでは、切替部113および操作部114が制御基盤110上ではなく、制御基盤110の外部に設けられている。切替部113は、電源部111および冷媒センサ120と接続され、両者の中間に設けられる。このように構成することで、図5に示すように制御基盤110の保護カバー210Aに開口部を設けることなく、操作部114を操作することができる。なお、図5において、切替部113を覆う保護カバーを設けてもよい。この保護カバーには操作部114の操作用に開口部が設けられていてもよい。あるいは、開口部を設けずに着脱が容易なように構成された誤操作防止カバーを兼ねる保護カバーであってもよい。
【0022】
(冷媒センサの交換手順)
次に図2図5の構成を前提として、冷媒センサ120の交換作業の手順を説明する。(手順1)まず、作業員は、操作部114を操作して、スイッチ113をONからOFFに切り替える。これによって、冷媒センサ120への通電が遮断される。(手順2)次に、作業員は、保護カバー220を外す。(手順3)次に、作業員は、冷媒センサ120を取り外して、新しい冷媒センサ120を取り付ける。(手順4)次に、作業員は、保護カバー220を取り付ける。(手順5)次に、作業員は、操作部114を操作して、スイッチ113をOFFからONに切り替える。スイッチ113が自動復帰機能を有している場合には、OFFからONへの切り替え操作を忘れても所定時間後にONに復帰する。これにより、対象とする空調機や電源遮断器を共有する他の空調機の電源を落とすことなく、手許の操作部114を操作するだけで簡単に冷媒センサ120を交換することができる。また、交換作業の間、電力が供給されている基盤には触れることが無いので、作業員は、安全に冷媒センサ120を交換することができる。なお、冷媒センサ120の交換時に保護カバー210が取り外されることはない。
【0023】
国際規格や法律に従って冷媒センサ120を交換する場合、安全性を確保するためには、冷媒センサ120への電力供給を遮断した状態で交換しなければならない。一般的な冷媒検知装置では、スイッチ113および操作部114が設けられていない為、空調機への電力供給を遮断して冷媒センサを交換しなければならない。これに対し、本実施形態の冷媒検知装置100,100Aによれば、操作部114を操作してスイッチ113をOFFに切り替えることにより、冷媒センサ120への電力供給を遮断することができる。従って、空調機の運転を停止することなく、冷媒センサ120を交換することができる。また、制御基盤110(110A)を保護カバー210(210A)で覆い、操作部114のみに触れることで電力供給を遮断することができるので、安全かつ簡単に冷媒センサ120を交換することができる。また、制御基盤110(110A)、冷媒センサ120をそれぞれ、保護カバー210(210A)、保護カバー220で保護することにより、電子基板の故障を防ぐことができる。なお、図2では、保護カバー210,220を別々に設けることとしたが、保護カバーは、制御基盤110と冷媒センサ120の両方を覆うように構成してもよい。また、誤操作防止カバー300を省略した構成としてもよい。
【0024】
(動作)
次に図6を参照して、スイッチON又はOFF中の冷媒検知装置100の動作について説明する。図6は、冷媒検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
前提として、通常時(スイッチ113がON)、冷媒センサ120は、所定の制御周期で室内空気の冷媒を検知し、その検知結果を冷媒検知信号として出力する。冷媒検知信号には、例えば、室内空気から検知された冷媒量または冷媒が検知されたか否かを示す情報が含まれている。また、処理部112は、スイッチ113がONかOFFかを把握することができる。処理部112は、冷媒検知装置100の稼働中、以下の処理を所定の制御周期で繰り返し実行する。
【0025】
まず、処理部112は、スイッチ113がONかどうかを判定する(ステップS1)。スイッチ113がONの場合(ステップS1;Yes)、処理部112は、冷媒センサ120から冷媒検知信号を取得できるかどうかを判定する(ステップS2)。冷媒検知信号を取得できた場合(ステップS2;Yes)、処理部112は、取得した冷媒検知信号を出力する(ステップS3)。例えば、処理部112は、冷媒検知装置100が有する表示部(図示せず)に冷媒検知信号の内容を表示する。例えば、冷媒が検知されたときには警報が表示される。また、例えば、処理部112は、取得した冷媒検知信号を室内機10へ送信する。室内機10は、室内で冷媒が検知されたことを示す冷媒検知信号を取得した場合、冷媒漏洩時に必要な各種制御を行う。例えば、室内機10は、室内の換気を促進する等の保護制御を実行したり、図示しないリモコンへ警報の発報を指示したりする。
【0026】
冷媒検知信号を取得できない場合(ステップS2;No)、処理部112は、冷媒センサ120に異常が生じたと判定し、エラー信号を出力する(ステップS4)。例えば、処理部112は、冷媒検知装置100が有する表示部(図示せず)に冷媒センサの故障を表示する。また、例えば、処理部112は、エラー信号を室内機10へ送信する。室内機10は、エラー信号を受信すると、冷媒センサ120の故障をユーザへ通知するようリモコンへ指示する。これにより、冷媒センサ120が故障した場合でも速やかに冷媒センサ120を交換することができる。
【0027】
一方、スイッチ113がOFFの場合(ステップS1;No)、処理部112は、スイッチ113がOFFであることを示す冷媒検知停止信号を出力する(ステップS5)。例えば、処理部112は、冷媒検知装置100が有する表示部(図示せず)に冷媒センサを交換中であることを表示する。また、例えば、処理部112は、冷媒検知停止信号を室内機10へ送信する。スイッチ113がOFFの場合には、冷媒センサ120から出力される冷媒検知信号が途絶えることになるが、スイッチ113がONの場合とは区別して、エラー信号ではなく冷媒検知停止信号を出力する。これにより、冷媒センサ120が故障していないにも関わらず、エラー信号が出力され、ユーザに冷媒センサ120の故障が通知されること等を防止することができる。
【0028】
次に、図7を参照して、スイッチ113が自動復帰機能を有する場合の制御について説明する。例えば、スイッチ113は、タイマーリレー回路を備え、この回路により、以下の制御が実行される。
スイッチ113は、操作部114の操作によって、回路がOFFに切り替えられたことを検知する(ステップS11)。スイッチ113は、OFFとなってからの時間を計測し、所定時間が経過するまで待機する(ステップS12)。所定時間とは、冷媒センサ120の交換に必要な時間である(例えば、5分間)。所定時間が経過すると(ステップS12;Yes)、スイッチ113は、回路をOFFからONに切り替える(ステップS13)。図7の処理によれば、冷媒センサ120の交換後、スイッチ113をONに戻し忘れたとしても所定時間経過後には自動的にOFFからONに切り替えることができるので、室内の冷媒漏洩検知を継続することができる。なお、図7の処理は、処理部112によって実行されてもよい。
【0029】
以上、説明したように本実施形態によれば、冷媒検知装置100の基盤(制御基盤110、冷媒センサ120)を保護カバーで覆い、操作部114の操作により冷媒センサ120への電力供給のON、OFFを切り替えることができるので、電気的に安全かつ作業性良く冷媒センサ120を交換することができる。従来、冷媒センサ交換時に生じる(1)電源遮断器を共有している空調機の運転がすべて停止してしまう、(2)冷媒センサの設置場所と電源遮断器の設置場所の往復により交換に時間や労力を要する、といった問題を解消することができる。
【0030】
<第二実施形態>
以下、本開示の第二実施形態に係る冷媒検知装置100Bについて、図8図9を参照して説明する。第一実施形態では、冷媒検知装置100,100Aは、室内機10の外部に別装置として設けられていた。第二実施形態では、冷媒検知装置100B、100Cが、室内機10の内部に設けられる構成について説明する。
【0031】
(構成)
図8は、第二実施形態に係る冷媒検知装置100Bの一例を示す図である。図示するように、冷媒検知装置100Bは、室内機10内に設けられる。第一実施形態の冷媒検知装置100、100Aと異なり、制御基盤110と冷媒センサ120は、離れた位置に設けられる。例えば、冷媒センサ120は、室内空気の吸込口12又は室内熱交換器13の近傍に設けられる。制御基盤110は、所定の位置、例えば、電源変換部11や室内機10のコントローラ(図示せず)の近傍に設けられる。制御基盤110および冷媒センサ120の構成は、第一実施形態と同様である。即ち、制御基盤110は、電源部111と、処理部112と、スイッチ113と、操作部114と、を有している。冷媒センサ120は、検知部121と電子基板122を有している。制御基盤110と冷媒センサ120は、電気的に接続され、通信可能に接続されている。制御基盤110は保護カバー210で覆われ、どこに触れても電気的に安全な構造となっている。保護カバー210には、保護カバー210で覆ったまま、操作部114の操作が可能なように開口部211が設けられている。冷媒センサ120は保護カバー220で覆われ、どこに触れても電気的に安全な構造となっている。保護カバー220には、保護カバー220で覆ったまま、検知部121が室内機10に吸入された空気中の冷媒や室内熱交換器13から漏洩した冷媒を検知することができるように開口部221が設けられている。なお、冷媒センサ120の保護カバー220は、省略することができる(図9)。
【0032】
図9は、第二実施形態に係る冷媒検知装置100Cの一例を示す図である。図9に示すように、スイッチ113と操作部114は、制御基盤110の外部に設けることができる。このような構成とすることにより、保護カバー210Aには開口部を設ける必要が無い。また、スイッチ113および操作部114を冷媒センサ120の交換作業を行う際の利便性が高い位置に配置することができる。なお、図9に示す冷媒検知装置100Cにおいて、切替部113を覆う保護カバーや冷媒センサ120を覆う保護カバーを設けてもよい。
【0033】
図8図9に示す構成の場合であっても、上記した手順1~5によって、冷媒センサ120の交換が可能である。つまり、作業員は、操作部114の操作だけで、感電のおそれなく冷媒センサ120を交換することができる。
【0034】
以上、説明したように本実施形態によれば、室内機10の内部に冷媒検知装置100B,100Cを設ける構成の場合でも、電気的に安全、かつ、作業性良く冷媒センサ120を交換することができる。なお、冷媒検知装置100B,100Cについても、保護カバー210,220の外側にさらにカバーを設けてもよい。
【0035】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
<付記>
各実施形態に記載の冷媒検知装置は、例えば以下のように把握される。
【0037】
(1)第1の態様の冷媒検知装置100~100Cは、冷媒センサ120と、前記冷媒センサ120に電力を供給する電源部111と、前記電源部111と前記冷媒センサ120の電気的な接続状態を切り替える切替部(スイッチ113)と、前記切替部を操作するための操作部114と、前記電源部111を覆う絶縁部材でできた電源部保護カバー210と、を備え、前記操作部114が、電源部保護カバー210を取り外すことなく操作可能に設けられている。
これにより、電気的に安全、かつ、作業性良く冷媒センサ120を交換することができる。従来、冷媒センサ交換時に生じる(1)電源遮断器を共有している空調機の運転がすべて停止してしまう、(2)冷媒センサの設置場所と電源遮断器の設置場所の往復により交換に時間がかかる、といった問題を解消することができる。
【0038】
(2)第2の態様に冷媒検知装置100~100Cは、(1)の冷媒検知装置であって、前記冷媒センサ120を覆う絶縁部材でできたセンサ部保護カバー220、をさらに備え、前記センサ部保護カバー220には開口部221が設けられている。
これにより、冷媒センサ120を保護するとともに、冷媒センサ120の検知部121を空気に接することにより、室内の冷媒を検知することができる。
【0039】
(3)第3の態様に係る冷媒検知装置100~100Cは、(1)~(2)の冷媒検知装置であって、前記切替部113は、前記電源部111と前記冷媒センサ120が電気的に接続された状態から接続されていない状態に切り替えてから所定の時間が経過すると、前記電源部111と前記冷媒センサ120が電気的に接続された状態に自動的に切り替える。
冷媒センサ120を交換した後、スイッチ113をONに切り替えるのを忘れてしまった場合でも、自動的にスイッチ113をONに切り替えることができる。これにより、確実に冷媒検知を実行することができる。
【0040】
(4)第4の態様に係る冷媒検知装置100~100Cは、(1)~(3)の冷媒検知装置であって、前記冷媒センサ120が出力する検知信号の有無に基づいて、前記冷媒センサの故障を判定する故障検知部(処理部112)と、前記故障検知部の判定結果を通知する通知部(処理部112)と、をさらに備え、前記切替部113によって、前記電源部111と前記冷媒センサ120が電気的に接続されていない状態となった場合、前記故障検知部は、前記冷媒センサが故障したと判定しない。
これにより、冷媒センサ120の交換時に冷媒センサの故障と誤判定することを防止することができる。
【0041】
(5)第5の態様に係る冷媒検知装置100~100Aは、(1)~(4)の冷媒検知装置であって、筐体と、前記筐体内に設置された、前記冷媒センサと、前記電源部と、前記切替部と、前記操作部と、を備え、前記電源部111は、空調機(室内機10の電源変換部11)から電力の供給を受け、前記筐体が空調機の外部に設けられる。
空調機とは別体の冷媒検知装置について、第1の態様の冷媒検知装置のような構成を適用することができる。
【0042】
(6)第6の態様に係る冷媒検知装置100B~100Cは、(1)~(5)の冷媒検知装置であって、前記冷媒センサと、前記電源部と、前記切替部と、前記操作部と、前記電源部保護カバーと、が空調機に設けられ、前記電源部は、前記空調機から電力の供給を受ける。
空調機内に冷媒検知装置を設ける場合において、第1の態様の冷媒検知装置のような構成を適用することができる。
【0043】
(7)第7の態様に係る冷媒検知装置100、100Aは、(1)~(6)の冷媒検知装置であって、前記電源部111と前記切替部113が1つの基盤に設けられ、前記電源部保護カバーが前記1つの基盤を覆い、前記電源部保護カバーの前記切替部に対応する位置には開口部が設けられている。
制御基盤110上にスイッチ113を実装する構成とすることができる。
【0044】
(8)第8の態様に係る冷媒検知装置100A、100Cは、(1)~(7)の冷媒検知装置であって、前記電源部と前記切替部が異なる基盤に設けられ、前記切替部が前記電源部保護カバーの外部に設けられている。
制御基盤110の外部にスイッチ113を実装する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・交流電源
10・・・室内機
11・・・電源変換部
100,100A,100B,100C・・・冷媒検知装置
101・・・筐体
110・・・制御基盤
111・・・電源部
112・・・処理部
113・・・スイッチ
114・・・操作部
120・・・冷媒センサ
121・・・検知部
210、220、210A・・・保護カバー
211、221・・・開口部
300・・・誤操作防止カバー
301・・・開口部
図1
図2
図3
図4
図5
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図9