(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053407
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】保護カバー、および配設経路形成装置
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240408BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 018
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159664
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛士
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB02
3H024AC03
5G357DA06
5G357DC08
5G357DD02
5G357DD07
5G357DD14
5G357DE03
(57)【要約】
【課題】ベース体に対しカバー体を容易に着脱することができる保護カバーを提供する。
【解決手段】保護カバー2は、ベース体5とカバー体6とを備え、二つの壁面1a、1bによって形成される入隅領域部1に配置される。ベース体5は、二つの壁面1a、1bのそれぞれに沿う二つの基部5a、5bを有する。一方の壁面1aに沿う一方の基部5aに、立設壁5cが設けられる。カバー体2に、立設壁5cの外側に重なる重合部6aが設けられる。立設壁5cと重合部6aとの対面箇所に、互いに係止する一方側組付け部2aが設けられる。他方の壁面1bに沿う他方の基部5bに、他方の壁面1bとの間に隙間5dを形成する隙間形成部5eが設けられる。隙間5dに、カバー体6の挿入片6bが挿入された状態で、一方側組付け部2aの係止状態が解除される位置まで、カバー体6が、移動または回動するのを許容するように、隙間形成部5eは、弾性変形可能に形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物における二つの壁面によって形成される入隅領域部に配置される保護カバーであって、
前記二つの壁面のそれぞれに沿う二つの基部を有するベース体と、前記ベース体と互いに組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成するカバー体とを備え、
前記二つの壁面のうちの一方の壁面側において、その一方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの一方の基部の、前記二つの壁面のうちの他方の壁面から離れた側に、前記一方の壁面から離れる側に起立する立設壁が設けられ、
前記カバー体に、前記立設壁の、前記他方の壁面から離れた側である外側に重なり合う重合部が設けられ、
前記立設壁と前記重合部との対面箇所に、前記立設壁に対し前記重合部が前記一方の壁面から離れる側に移動するのを規制するように、互いに係止する一方側組付け部が設けられ、
前記他方の壁面側において、その他方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの他方の基部に、前記他方の壁面と対向するようにしてその他方の壁面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられ、
前記カバー体に、前記隙間に挿入可能な挿入片が設けられ、
前記隙間形成部と前記挿入片とで、他方側組付け部が構成され、前記隙間形成部と前記隙間に挿入された前記挿入片との係合により、前記他方の基部に対して、前記挿入片が前記他方の壁面から離れる側へ移動するのが規制され、
前記一方側組付け部は、前記立設壁に設けられた被係止部と、前記重合部に設けられた係止部とからなって、前記重合部が外側から前記立設壁に近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除されるようになっており、
前記隙間に前記挿入片が挿入された状態で、前記一方側組付け部の前記係止状態が解除される位置まで、前記カバー体が、移動または回動するのを許容するように、前記隙間形成部は、弾性変形可能に形成されている、保護カバー。
【請求項2】
前記立設壁と前記重合部とは、前記隙間形成部の弾性変形の方向で対向し、その隙間形成部の弾性変形からの復帰力により、前記立設壁から離れようとする前記重合部を前記立設壁側へと付勢する、請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記隙間形成部には他の被係止部が設けられ、前記挿入片には他の係止部が設けられて、それら他の被係止部と他の係止部とが互いに係合して、前記挿入片の前記隙間からの抜け出しが規制され、
前記隙間形成部は、前記他の係止部が前記他の被係止部を越えることができるように、弾性変形可能である、請求項1または2に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記隙間形成部は、その先端が前記一方の壁面から離れる方向を向き、その先端側から前記隙間への前記挿入片の挿入が可能となるよう、その先端側に、前記隙間と外部とを連通させる開放部が設けられる、請求項1または2に記載の保護カバー。
【請求項5】
前記一方側組付け部の前記係止部と前記他方側組付け部の前記挿入片とは、複数が、前記配設経路の延びる方向に間隔をあけて配置され、かつ、前記係止部と前記挿入片とは、前記配設経路を挟んで向き合う位置に配置されている、請求項1または2に記載の保護カバー。
【請求項6】
請求項1または2に記載の保護カバーと、内部に配線・配管材の配設経路を有する保護ダクトとからなる、配設経路形成装置であって、
前記保護カバーは、前記保護ダクトが接続可能な接続口を備え、
固定された前記ベース体に対して、前記保護ダクトを所定位置に配置した状態で、前記カバー体が前記保護ダクトと干渉することなく前記ベース体に組み付け可能である、配設経路形成装置。
【請求項7】
建物における二つの壁面によって形成される入隅領域部に配置される保護カバーであって、
前記二つの壁面のそれぞれに沿う二つの基部を有するベース体と、前記ベース体と互いに組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成するカバー体とを備え、
前記二つの壁面のうちの一方の壁面側において、その一方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの一方の基部の、前記二つの壁面のうちの他方の壁面から離れた側に、前記一方の壁面から離れる側に起立する立設壁が設けられ、
前記カバー体に、前記立設壁の、前記入隅領域部の延びる方向にある外側に重なり合う重合部が設けられ、
前記立設壁と前記重合部との対面箇所に、前記立設壁に対し前記重合部が前記一方の壁面から離れる側に移動するのを規制するように、互いに係止する一方側組付け部が設けられ、
前記他方の壁面側において、その他方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの他方の基部に、前記他方の壁面と対向するようにしてその他方の壁面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられ、
前記カバー体に、前記隙間に挿入可能な挿入片が設けられ、
前記隙間形成部と前記挿入片とで、他方側組付け部が構成され、前記隙間形成部と前記隙間に挿入された前記挿入片との係合により、前記他方の基部に対して、前記挿入片が前記他方の壁面から離れる側へ移動するのが規制され、
前記一方側組付け部は、前記立設壁に設けられた被係止部と、前記重合部に設けられた係止部とからなって、前記重合部が外側から前記立設壁に近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除されるようになっており、
前記隙間に前記挿入片が挿入された状態で、前記係止部が前記被係止部に乗り上げて両者の係止が解除されるまで、前記カバー体が、そのカバー体の前記他方の壁面から離れた側が前記一方の壁面から離れる方向に、回動するのを許容するように、前記隙間形成部は、弾性変形可能に形成されている、保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入隅領域部に配置される保護カバー、およびその保護カバーを備える配設経路形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の壁面が交差する入隅領域部に配置される配線用保護カバーがあった(例えば、特許文献1参照)。
図21に示すように、この保護カバー23は、基台24と蓋体25とで構成され、内部に、線類22を収容する配線収容空間26を有していた。そこで、保護カバー23は、床面21aと壁面21bとの入隅領域部21において、壁面21bに当接させるようにして、床面21aに載置された。ここで、基台24には、第1嵌合溝24aと第2嵌合溝24bとが設けられた。一方、蓋体25には、基台24の第1および第2嵌合溝24a、24bにそれぞれ嵌合される第1および第2嵌合突起25a、25bが設けられ、この嵌合により、蓋体25が基台24に組み付けられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の保護カバー23においては、床面21aに固定された基台24に対して蓋体25を着脱する際、第1嵌合溝24aと第1嵌合突起25aとの嵌合部が壁面21bに近く、壁面21bが邪魔になって、その着脱がやりにくかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ベース体に対してカバー体を容易に着脱することができる、保護カバー、および配設経路形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る保護カバー、および配設経路形成装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る保護カバーは、建物における二つの壁面によって形成される入隅領域部に配置される保護カバーである。この保護カバーは、前記二つの壁面のそれぞれに沿う二つの基部を有するベース体と、前記ベース体と互いに組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成するカバー体とを備える。ここで、前記二つの壁面のうちの一方の壁面側において、その一方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの一方の基部の、前記二つの壁面のうちの他方の壁面から離れた側に、前記一方の壁面から離れる側に起立する立設壁が設けられる。一方、前記カバー体に、前記立設壁の、前記他方の壁面から離れた側である外側に重なり合う重合部が設けられる。そして、前記立設壁と前記重合部との対面箇所に、前記立設壁に対し前記重合部が前記一方の壁面から離れる側に移動するのを規制するように、互いに係止する一方側組付け部が設けられる。また、前記他方の壁面側において、その他方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの他方の基部に、前記他方の壁面と対向するようにしてその他方の壁面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられる。そして、前記カバー体に、前記隙間に挿入可能な挿入片が設けられる。そこで、前記隙間形成部と前記挿入片とで、他方側組付け部が構成され、前記隙間形成部と前記隙間に挿入された前記挿入片との係合により、前記他方の基部に対して、前記挿入片が前記他方の壁面から離れる側へ移動するのが規制される。また、前記一方側組付け部は、前記立設壁に設けられた被係止部と、前記重合部に設けられた係止部とからなって、前記重合部が外側から前記立設壁に近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除されるようになっている。そして、前記隙間に前記挿入片が挿入された状態で、前記一方側組付け部の前記係止状態が解除される位置まで、前記カバー体が、移動または回動するのを許容するように、前記隙間形成部は、弾性変形可能に形成されている。
【0007】
この保護カバーによると、保護カバーは、ベース体とカバー体とを備え、二つの壁面によって形成される入隅領域部に配置される。ベース体は、二つの壁面のそれぞれに沿う二つの基部を有する。そして、ベース体には、一方の壁面に沿う一方の基部の、他方の壁面から離れた側に、立設壁が設けられ、カバー体には、立設壁の、他方の壁面から離れた側である外側に重なり合う重合部が設けられる。そして、立設壁には、被係止部が設けられ、重合部には、係止部が設けられ、それら被係止部と係止部とが、一方側組付け部となって、重合部が外側から立設壁に近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除される。また、他方の壁面側において、ベース体には、他方の壁面に沿う他方の基部に、他方の壁面と対向するようにしてその他方の壁面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられ、カバー体には、隙間に挿入可能な挿入片が設けられ、それら隙間形成部と挿入片とで、他方側組付け部が構成される。そして、隙間に挿入片が挿入された状態で、一方側組付け部の係止状態が解除される位置まで、カバー体が、移動または回動するのを許容するように、隙間形成部が、弾性変形可能に形成されている。そこで、ベース体が壁面に固定された状態で、ベース体からカバー体を取り外す場合は、カバー体を、移動(詳しくは、他方の壁面から離れる方向に移動)または回動(詳しくは、そのカバー体の他方の壁面から離れた側が一方の壁面から離れる方向に回動)させて、一方側組付け部の係止状態を解除し、その後、カバー体の挿入片を、ベース体の隙間形成部によって形成される隙間から抜き出すことで、ベース体からカバー体を取り外すことができる。そして、ベース体が壁面に固定された状態で、ベース体にカバー体を組み付ける場合は、カバー体の挿入片を隙間に挿入するとともに、カバー体を移動(詳しくは、他方の壁面から離れる方向に移動)させて、または、カバー体の挿入片を隙間に挿入するようにしてカバー体を回動(詳しくは、そのカバー体の他方の壁面に近い側が一方の壁面に近づく方向に回動)させて、カバー体の重合部をベース体の立設壁に対向させ、さらに、カバー体の移動または回動を元に戻して(詳しくは、カバー体を、他方の壁面に近づく方向に移動させて、または、カバー体の他方の壁面から離れた側を一方の壁面に近づけるようにカバー体を戻し回動させて)、一方側組付け部を係止状態とすることで、ベース体にカバー体を組み付けることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る保護カバーは、請求項1に記載の保護カバーにおいて、前記立設壁と前記重合部とは、前記隙間形成部の弾性変形の方向で対向し、その隙間形成部の弾性変形からの復帰力により、前記立設壁から離れようとする前記重合部を前記立設壁側へと付勢する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る保護カバーは、請求項1または2に記載の保護カバーにおいて、前記隙間形成部には他の被係止部が設けられ、前記挿入片には他の係止部が設けられて、それら他の被係止部と他の係止部とが互いに係合して、前記挿入片の前記隙間からの抜け出しが規制される。そして、前記隙間形成部は、前記他の係止部が前記他の被係止部を越えることができるように、弾性変形可能である。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る保護カバーは、請求項1または2に記載の保護カバーにおいて、前記隙間形成部は、その先端が前記一方の壁面から離れる方向を向き、その先端側から前記隙間への前記挿入片の挿入が可能となるよう、その先端側に、前記隙間と外部とを連通させる開放部が設けられる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る保護カバーは、請求項1または2に記載の保護カバーにおいて、前記一方側組付け部の前記係止部と前記他方側組付け部の前記挿入片とは、複数が、前記配設経路の延びる方向に間隔をあけて配置され、かつ、前記係止部と前記挿入片とは、前記配設経路を挟んで向き合う位置に配置されている。係止部と挿入片とが複数設けられ、それらが向き合うことで、ベース体とカバー体とを互いに強固に組み付けることができ、また、複数設けられた係止部と挿入片とが、間隔をあけることで、組み付けしやすくなる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配設経路形成装置は、請求項1または2に記載の保護カバーと、内部に配線・配管材の配設経路を有する保護ダクトとからなる。ここで、前記保護カバーは、前記保護ダクトが接続可能な接続口を備える。そして、固定された前記ベース体に対して、前記保護ダクトを所定位置に配置した状態で、前記カバー体が前記保護ダクトと干渉することなく前記ベース体に組み付け可能となっている。これにより、先にベース体と保護ダクトを設置しておき、その後に、カバー体をベース体に組み付けることができる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る保護カバーは、建物における二つの壁面によって形成される入隅領域部に配置される保護カバーである。この保護カバーは、前記二つの壁面のそれぞれに沿う二つの基部を有するベース体と、前記ベース体と互いに組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成するカバー体とを備える。ここで、前記二つの壁面のうちの一方の壁面側において、その一方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの一方の基部の、前記二つの壁面のうちの他方の壁面から離れた側に、前記一方の壁面から離れる側に起立する立設壁が設けられる。一方、前記カバー体に、前記立設壁の、前記入隅領域部の延びる方向にある外側に重なり合う重合部が設けられる。そして、前記立設壁と前記重合部との対面箇所に、前記立設壁に対し前記重合部が前記一方の壁面から離れる側に移動するのを規制するように、互いに係止する一方側組付け部が設けられる。また、前記他方の壁面側において、その他方の壁面に沿う前記二つの基部のうちの他方の基部に、前記他方の壁面と対向するようにしてその他方の壁面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられる。そして、前記カバー体に、前記隙間に挿入可能な挿入片が設けられる。そこで、前記隙間形成部と前記挿入片とで、他方側組付け部が構成され、前記隙間形成部と前記隙間に挿入された前記挿入片との係合により、前記他方の基部に対して、前記挿入片が前記他方の壁面から離れる側へ移動するのが規制される。また、前記一方側組付け部は、前記立設壁に設けられた被係止部と、前記重合部に設けられた係止部とからなって、前記重合部が外側から前記立設壁に近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除されるようになっている。そして、前記隙間に前記挿入片が挿入された状態で、前記係止部が前記被係止部に乗り上げて両者の係止が解除されるまで、前記カバー体が、そのカバー体の前記他方の壁面から離れた側が前記一方の壁面から離れる方向に、回動するのを許容するように、前記隙間形成部は、弾性変形可能に形成されている。
【0014】
この保護カバーによると、保護カバーは、ベース体とカバー体とを備え、二つの壁面によって形成される入隅領域部に配置される。ベース体は、二つの壁面のそれぞれに沿う二つの基部を有する。そして、ベース体には、一方の壁面に沿う一方の基部の、他方の壁面から離れた側に、立設壁が設けられ、カバー体には、立設壁の、入隅領域部の延びる方向にある外側に重なり合う重合部が設けられる。そして、立設壁には、被係止部が設けられ、重合部には、係止部が設けられ、それら被係止部と係止部とが、一方側組付け部となって、重合部が外側から立設壁に近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除される。また、他方の壁面側において、ベース体には、他方の壁面に沿う他方の基部に、他方の壁面と対向するようにしてその他方の壁面との間に隙間を形成する隙間形成部が設けられ、カバー体には、隙間に挿入可能な挿入片が設けられ、それら隙間形成部と挿入片とで、他方側組付け部が構成される。そして、隙間に挿入片が挿入された状態で、係止部が被係止部に乗り上げて両者の係止が解除されるまで、カバー体が、回動するのを許容するように、隙間形成部が、弾性変形可能に形成されている。そこで、ベース体が壁面に固定された状態で、ベース体からカバー体を取り外す場合は、カバー体を回動(詳しくは、そのカバー体の他方の壁面から離れた側が一方の壁面から離れる方向に回動)させて、係止部と被係止部との係止を解除することにより、一方側組付け部の係止状態を解除し、その後、カバー体の挿入片を、ベース体の隙間形成部によって形成される隙間から抜き出すことで、ベース体からカバー体を取り外すことができる。そして、ベース体が壁面に固定された状態で、ベース体にカバー体を組み付ける場合は、カバー体の挿入片を隙間に挿入するようにしてカバー体を回動(詳しくは、そのカバー体の他方の壁面に近い側が一方の壁面に近づく方向に回動)させ、その後、カバー体の他方の壁面から離れた側を一方の壁面に近づけるようにカバー体を戻し回動させて、係止部を被係止部に係止させることにより、一方側組付け部を係止状態とすることで、ベース体にカバー体を組み付けることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る保護カバー、および配設経路形成装置によれば、ベース体に、他方の壁面との間に隙間を形成する隙間形成部を設け、その隙間形成部を弾性変形させることで、壁面に固定されたベース体に対して、カバー体を容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の第一の実施の形態の、斜視図である。
【
図5】同じく、
図4におけるA-A線による拡大断面図である。
【
図6】同じく、
図4におけるB-B線による拡大断面図である。
【
図13】同じく、スペーサを加えた、
図1相当図である。
【
図15】同じく、スペーサの配置状態を示す平面図であり、(a)は、保護カバーの下で、第1スペーサが、全体に渡って延びた例を示し、(b)は、保護カバーの下で、第1スペーサが、第2スペーサによって分断された例を示す。
【
図16】この発明の第二の実施の形態の、保護カバーの斜視図である。
【
図18】同じく、
図17におけるC-C線による拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1~
図15は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、入隅領域部を示し、この入隅領域部1は、建物における二つの壁面1a、1bによって形成される。2は、入隅領域部1に配置される保護カバーを示す。3は、保護ダクトを示す。4は、配設経路形成装置を示す。
【0019】
保護カバー2は、二つの壁面1a、1bのそれぞれに沿う二つの基部5a、5bを有するベース体5と、そのベース体5と互いに組み付けられて内部に配線・配管材(配線材または配管材)の配設経路Lを形成するカバー体6とを備える。ここで、壁面1a、1bは、立壁面、床壁面、天井壁面等からなり、入隅領域部1は、天井壁面と立壁面とが交差する部分の上方入隅領域部とか、立壁面と床壁面とが交差する部分の下方入隅領域部とか、立壁面どうしが交差する部分の縦方向入隅領域部とかからなる。
【0020】
そして、前記二つの壁面1a、1bのうちの一方の壁面1a側において、その一方の壁面1aに沿う前記二つの基部5a、5bのうちの一方の基部5aには、その一方の基部5aの、前記二つの壁面1a、1bのうちの他方の壁面1bから離れた側に、一方の壁面1aから離れる側に起立する第1の立設壁5cが設けられる。一方、カバー体6には、第1の立設壁5cの、他方の壁面1bから離れた側である外側に重なり合う第1の重合部6aが設けられる。そして、第1の立設壁5cと第1の重合部6aとの対面箇所に、第1の立設壁5cに対し第1の重合部6aが一方の壁面1aから離れる側に移動するのを規制するように、互いに係止する第1の一方側組付け部2aが設けられる。
【0021】
また、他方の壁面1b側において、その他方の壁面1bに沿う前記二つの基部5a、5bのうちの他方の基部5bに、他方の壁面1bと対向するようにしてその他方の壁面1bとの間に隙間5dを形成する隙間形成部5eが設けられる。そして、カバー体6に、前記隙間5dに挿入可能な挿入片6bが設けられる。そこで、これら隙間形成部5eと挿入片6bとで、他方側組付け部2bが構成され、隙間形成部5eと隙間5dに挿入された挿入片6bとの係合により、他方の基部5b(つまり、ベース体5)に対して、挿入片6b(つまり、カバー体6)が他方の壁面1bから離れる側へ移動するのが規制される。
【0022】
また、第1の一方側組付け部2aは、ベース体5の第1の立設壁5cに設けられた第1の被係止部5fと、カバー体6の第1の重合部6aに設けられた第1の係止部6cとからなって、第1の重合部6aが外側から第1の立設壁5cに近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除されるようになっている。そこで、前記隙間5dにカバー体6の挿入片6bが挿入された状態で、第1の一方側組付け部2aの係止状態が解除される位置まで、カバー体6が、移動(詳しくは、他方の壁面1bから離れる方向に移動)または回動(詳しくは、そのカバー体6の他方の壁面1bから離れた側が一方の壁面1aから離れる方向に、回動)するのを許容するように、ベース体5の隙間形成部5eは、弾性変形可能に形成されている。そして、第1の立設壁5cと第1の重合部6aとは、隙間形成部5eの弾性変形の方向で対向し、その隙間形成部5eの弾性変形からの復帰力により、第1の立設壁5cから離れようとする第1の重合部6aを第1の立設壁5c側へと付勢する。
【0023】
さらに、保護カバー2は、第2の立設壁5gと、第2の重合部6dと、第2の一方側組付け部2cとを備えている。第2の立設壁5gは、一方の壁面1a側において、その一方の壁面1aに沿う一方の基部5aの、他方の壁面1bから離れた側に、一方の壁面1aから離れる側に起立する。第2の重合部6dは、カバー体6に設けられ、第2の立設壁5gの、入隅領域部1の延びる方向にある外側に重なり合う。第2の一方側組付け部2cは、第2の立設壁5gと第2の重合部6dとの対面箇所に、第2の立設壁5gに対し第2の重合部6dが一方の壁面1aから離れる側に移動するのを規制するよう、互いに係止するようになっている。詳細には、第2の一方側組付け部2cは、第2の立設壁5gに設けられた第2の被係止部5hと、第2の重合部6dに設けられた第2の係止部6eとからなって、第2の重合部6dが外側から第2の立設壁5gに近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除されるようになっている。そして、前記隙間5dに挿入片6bが挿入された状態で、第2の係止部6eが第2の被係止部5hに乗り上げて両者の係止が解除されるまで、カバー体6が、そのカバー体6の他方の壁面1bから離れた側(つまり、第2の重合部6dが設けられている側)が一方の壁面1aから離れる方向に、回動するのを許容するように、隙間形成部5eは、弾性変形可能に形成されている。
【0024】
配設経路形成装置4は、前記保護カバー2と、内部に配線・配管材(配線材または配管材)の配設経路Lを有する保護ダクト3とかなる。ここで、保護カバー2は、保護ダクト3が接続可能な接続口2dを備える。そして、固定された(詳しくは、壁面1a、1bに固定された)ベース体5に対して、保護ダクト3を所定位置(接続する位置)に配置した状態で、カバー体6が保護ダクト3と干渉することなくベース体5に組み付け可能となっている。
【0025】
具体的には、保護カバー2は(詳しくは、ベース体5とカバー体6とは)、T字状に形成されている。そこで、保護カバー2は、T字の横線に相当する部分が、入隅領域部1に沿い、T字の縦線に相当する部分が、一方の壁面1aに沿うように配置される。そして、T字の横線に相当する部分に、第1の立設壁5c、第1の重合部6aおよび第1の一方側組付け部2a、そして他方側組付け部2b(つまり、隙間形成部5eと挿入片6b)が設けられ、T字の縦線に相当する部分に、第2の立設壁5g、第2の重合部6dおよび第2の一方側組付け部2cが設けられる。
【0026】
ベース体5においては、一方の壁面1aに沿う一方の基部5aは、平板T字状に形成され、他方の壁面1bに沿う他方の基部5bは、平板直線状に形成されて、それら一方の基部5aと他方の基部5bとが、面取りするように傾斜する繋ぎ部5iによって繋がって形成されている。そこで、
図7に示すように、一方の基部5aの、T字の横線に相当する部分の、T字の縦線に相当する部分に近い側の端から、第1の立設壁5cが起立し、T字の縦線に相当する部分の、幅の両端から、第2の立設壁5gが起立する。そして、他方の基部5bの、一方の基部5aから離れた端側に、他方の基部5bから折れ曲がるようにして隙間形成部5eが形成される。この隙間形成部5eは、その先端が一方の壁面1aから離れる方向を向き、その先端側から前記隙間5dへの挿入片6bの挿入が可能となるよう、その先端側に、隙間5dと外部とを連通される開放部5jが設けられる。
【0027】
カバー体6は、
図10に示すように、T字の横線に相当する部分が、断面略L字状であってそのコーナーが弧状に形成され、そのL字の一方端部分が第1の重合部6aとなり、そのL字の他方端から垂れ下がるようにして挿入片6bが形成される。そこで、第1の係止部6cは、第1の重合部6aの一部の範囲に設けられ、その第1の係止部6cと挿入片6bとは、複数が、配設経路Lの延びる方向に間隔をあけて配置され、かつ、第1の係止部6cと挿入片6bとは、配設経路Lを挟んで向き合う位置に配置されている。
【0028】
そして、カバー体6は、T字の縦線に相当する部分が、断面逆U字状に形成され、その逆U字の両下端部分が、第2の重合部6dとなる。そこで、第2の係止部6eは、それら第2の重合部6d、6dの一部の範囲に、配設経路Lを挟んで向き合うように設けられる。
【0029】
また、このカバー体6(保護カバー2)のT字の各端部が、前記接続口2dとなる。そこで、
図1および
図2は、それぞれの接続口2dに、保護ダクト3が接続された例を示す。ここで、保護ダクト3は、直線状の保護ダクトからなる。そして、カバー体6(保護カバー2)のT字の横線に相当する部分の各端部の接続口2dには、保護ダクト3としての第1保護ダクト301が接続され、T字の縦線に相当する部分の先端部の接続口2dには、保護ダクト3としての第2保護ダクト302が接続される。
【0030】
また、第1の一方側組付け部2aにおいて、第1の立設壁5cに設けられる第1の被係止部5fと、第1の重合部6aに設けられる第1の係止部6cとは、第1の立設壁5cと第1の重合部6aとの向き合う側に突出して形成される。同様に、第2の一方側組付け部2cにおいても、第2の立設壁5gに設けられる第2の被係止部5hと、第2の重合部6dに設けられる第2の係止部6eとは、第2の立設壁5gと第2の重合部6dとの向き合う側に突出して形成される。
【0031】
他方側組付け部2bにおいては、隙間形成部5eには、他の被係止部5kが設けられ、挿入片6bには、他の係止部6fが設けられて、それら他の被係止部5kと他の係止部6fとが互いに係合して、挿入片6bの前記隙間5dからの抜け出しが規制される。詳細には、他の被係止部5kと他の係止部6fとは、隙間形成部5eと挿入片6bとの向き合う側に突出して形成される。そして、隙間形成部5eは、他の係止部6fが他の被係止部5kを越えることができるように、弾性変形可能となっている。
【0032】
ところで、保護カバー2には、その裏面(詳しくは、基部5a、5bの裏面)に、スペーサ9との位置合わせのための係合凹部7(詳しくは、直線状に延びる溝状の凹部)が設けられている。スペーサ9は、壁面1a、1bと保護カバー2(詳しくは、基部5a、5b)との間に介在して、壁面1a、1bに対し、保護カバー2を嵩上げするものである。ここで、一方の基部5aは、前述したように、平板T字状に形成されており、その横線に相当する部分の裏面に、その長手方向に延びるようにして係合凹部7としての第1係合凹部7aが設けられ、その縦線に相当する部分の裏面に、その長手方向に延びるようにして係合凹部7としての第2係合凹部7bが設けられ、この第2係合凹部7bは、第1係合凹部7aと交差するまで延びている。そして、他方の基部5bは、前述したように、平板直線状に形成されており、その裏面に、その長手方向に延びるようにして係合凹部7としての第3係合凹部7cが設けられている。
【0033】
同様に、保護ダクト3には、スペーサ9との位置合わせ(詳しくは、保護ダクト3とかスペーサ9の直線状に延びる方向と直交する方向の位置合わせ)のための係合凹部8(詳しくは、直線状に延びる溝状の凹部)が設けられている。ここにおけるスペーサ9は、壁面1a、1bと保護ダクト3との間に介在して、壁面1a、1bに対し、保護ダクト3を嵩上げするものである。この保護ダクト3は、前述したように直線状の保護ダクトからなる。そして、保護ダクト3としての第1保護ダクト301は、一方の壁面1aに沿う裏面に、その長手方向に延びるようにして係合凹部8としての第1係合凹部8aが設けられ、他方の壁面1bに沿う裏面に、その長手方向に延びるようにして係合凹部8としての第3係合凹部8cが設けられている。そして、第1係合凹部8aは、保護カバー2の第1係合凹部7aと連なるように設けられ、第3係合凹部8cは、保護カバー2の第3係合凹部7cと連なるように設けられる。また、保護ダクト3としての第2保護ダクト302は、一方の壁面1aに沿う裏面に、その長手方向に延びるようにして係合凹部8としての第2係合凹部8bが設けられている。そして、第2係合凹部8bは、保護カバー2の第2係合凹部7bと連なるように設けられる。
【0034】
スペーサ9にあっては、
図13および
図14に示すように、スペーサ9としての第1スペーサ901が、一方の壁面1aと第1保護ダクト301(加えて、保護カバー2、詳しくは、一方の基部5aのT字の横線に相当する部分)との間に介在し、スペーサ9としての第2スペーサ902が、一方の壁面1aと第2保護ダクト302(加えて、保護カバー2、詳しくは、一方の基部5aのT字の縦線に相当する部分)との間に介在し、スペーサ9としての第3スペーサ903が、他方の壁面1bと第1保護ダクト301(加えて、保護カバー2、詳しくは、他方の基部5b)との間に介在する。そして、第1スペーサ901の上面には、第1係合凹部8a、7aに係合する第1係合凸部9aが設けられ、第2スペーサ902の上面には、第2係合凹部8b、7bに係合する第2係合凸部9bが設けられ、第3スペーサ903の上面には、第3係合凹部8c、7cに係合する第3係合凸部9cが設けられる。
【0035】
ここで、スペーサ9は、保護ダクト3を嵩上げするものであるが、そのスペーサ9が、保護カバー2にまで延びて、保護カバー2をも嵩上げしている。そこで、保護カバー2に設けられた係合凹部7a、7b、7cは、スペーサ9の係合凸部9a、9b、9cとの干渉を回避する回避空間部ともなっている。そして、保護カバー2の第1係合凹部7aと第2係合凹部7bとは、交差するように設けられている。そこで、第1スペーサ901と第2スペーサ902に関しては、第1スペーサ901を、保護カバー2における一方の基部5aのT字の横線に相当する部分の全体に渡るように配置したり(
図15(a)参照)、あるいは、第2スペーサ902を、一方の基部5aのT字の縦線に相当する部分からT字の横線に相当する部分と交差するまで延びるように配置したりすることができる(
図15(b)参照)。
【0036】
次に、第一の実施の形態に示す保護カバー2、および配設経路形成装置4の作用効果について説明する。保護カバー2は、ベース体5とカバー体6とを備え、二つの壁面1a、1bによって形成される入隅領域部1に配置される。ベース体5は、二つの壁面1a、1bのそれぞれに沿う二つの基部5a、5bを有する。このベース体5には、一方の壁面1aに沿う一方の基部5aの、他方の壁面1bから離れた側に、第1の立設壁5cが設けられ、カバー体6には、第1の立設壁5cの、他方の壁面1bから離れた側である外側に重なり合う第1の重合部6aが設けられる。そして、第1の立設壁5cには、第1の被係止部5fが設けられ、第1の重合部6aには、第1の係止部6cが設けられ、それら第1の被係止部5fと第1の係止部6cとが、第1の一方側組付け部2aとなって、第1の重合部6aが外側から第1の立設壁5cに近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除される。
【0037】
他方の壁面1b側において、ベース体5には、他方の壁面1bに沿う他方の基部5bに、他方の壁面1bと対向するようにしてその他方の壁面1bとの間に隙間5dを形成する隙間形成部5eが設けられ、カバー体6には、隙間5dに挿入可能な挿入片6bが設けられ、それら隙間形成部5eと挿入片6bとで、他方側組付け部2bが構成される。そして、隙間5dに挿入片6bが挿入された状態で、第1の一方側組付け部2aの係止状態が解除される位置まで、カバー体6が、移動(詳しくは、他方の壁面1bから離れる方向に移動)または回動(詳しくは、そのカバー体6の他方の壁面1bから離れた側が一方の壁面1aから離れる方向に、回動)するのを許容するように、隙間形成部5eが、弾性変形可能に形成されている。
【0038】
そこで、ベース体5が壁面1a、1bに固定された状態で、ベース体5に組み付けられたカバー体6を、ベース体5から取り外す場合は、カバー体6を、移動(詳しくは、他方の壁面1bから離れる方向に移動)または回動(詳しくは、そのカバー体6の他方の壁面1bから離れた側が一方の壁面1aから離れる方向に回動)させて、第1の一方側組付け部2aの係止状態を解除し、その後、カバー体6の挿入片6bを、ベース体5の隙間形成部5eによって形成される隙間5dから抜き出すことで、ベース体5からカバー体6を取り外すことができる。そして、ベース体5が壁面1a、1bに固定された状態で、ベース体5にカバー体6を組み付ける場合は、カバー体6の挿入片6bを隙間5dに挿入するとともに、カバー体6を移動(詳しくは、他方の壁面1bから離れる方向に移動)させて、または、カバー体6の挿入片6bを隙間5dに挿入するようにしてカバー体6を回動(詳しくは、そのカバー体6の他方の壁面1bに近い側が一方の壁面1aに近づく方向に回動)させて、カバー体6の第1の重合部6aをベース体5の第1の立設壁5cに対向させ、さらに、カバー体6の移動または回動を元に戻して(詳しくは、カバー体6を、他方の壁面1bに近づく方向に移動させて、または、カバー体6の他方の壁面1bから離れた側を一方の壁面1aに近づけるようにカバー体6を戻し回動させて)、第1の一方側組付け部2aを係止状態とすることで、ベース体5にカバー体6を組み付けることができる。すなわち、ベース体5に、他方の壁面1bとの間に隙間5dを形成する隙間形成部5eを設け、その隙間形成部5eを弾性変形させることで、壁面1a、1bに固定されたベース体5に対して、カバー体6を容易に着脱することができる。
【0039】
また、保護カバー2は、第2の立設壁5gと、第2の重合部6dと、第2の一方側組付け部2c(第2の被係止部5hと第2の係止部6e)とを備えているが、第2の重合部6dは、第2の立設壁5gの、入隅領域部1の延びる方向にある外側に重なり合うように設けられている。そして、隙間5dに挿入片6bが挿入された状態で、第2の係止部6eが第2の被係止部5hに乗り上げて両者の係止が解除されるまで、カバー体6が、回動(詳しくは、そのカバー体6の他方の壁面1bから離れた側が一方の壁面1aから離れる方向に、回動)するのを許容するように、隙間形成部5eが、弾性変形可能に形成されている。そこで、ベース体5が壁面1a、1bに固定された状態で、ベース体5に組み付けられたカバー体6を、ベース体5から取り外す場合は、カバー体6を回動(詳しくは、そのカバー体6の他方の壁面1bから離れた側が一方の壁面1aから離れる方向に回動)させて、第2の係止部6eと第2の被係止部5hとの係止を解除することにより、第2の一方側組付け部2cの係止状態を解除し、その後、カバー体6の挿入片6bを、ベース体5の隙間形成部5eによって形成される隙間5dから抜き出すことで、ベース体5からカバー体6を取り外すことができる。そして、ベース体5が壁面1a、1bに固定された状態で、ベース体5にカバー体6を組み付ける場合は、カバー体6の挿入片6bを隙間5dに挿入するようにしてカバー体6を回動(詳しくは、そのカバー体6の他方の壁面1bに近い側が一方の壁面1aに近づく方向に回動)させ、その後、カバー体6の他方の壁面1bから離れた側を一方の壁面1aに近づけるようにカバー体6を戻し回動させて、第2の係止部6eを第2の被係止部5hに係止させることにより、第2の一方側組付け部2cを係止状態とすることで、ベース体5にカバー体6を組み付けることができる。すなわち、保護カバー2に、第2の立設壁5gと、第2の重合部6dと、第2の一方側組付け部2cとを設けた場合であっても、ベース体5に、他方の壁面1bとの間に隙間5dを形成する隙間形成部5eを設け、その隙間形成部5eを弾性変形させることで、壁面1a、1bに固定されたベース体5に対して、カバー体6を容易に着脱することができる。
【0040】
また、第1の立設壁5cと第1の重合部6aとは、隙間形成部5eの弾性変形の方向で対向し、隙間形成部5eの弾性変形からの復帰力により、第1の立設壁5cから離れようとする第1の重合部6aを第1の立設壁5c側へと付勢する。これにより、第1の立設壁5cに設けられた第1の被係止部5fと、第1の重合部6aに設けられた第1の係止部6cとの互いの係止が確実となり、第1の一方側組付け部2aの係止状態が安定する。
【0041】
また、ベース体5の隙間形成部5eには他の被係止部5kが設けられ、カバー体6の挿入片6bには他の係止部6fが設けられている。そこで、これら他の被係止部5kと他の係止部6fとが互いに係合して、挿入片6bの隙間5dからの抜け出しが規制されることから、隙間形成部5eと挿入片6bとの係合状態が安定する。
【0042】
また、ベース体5の隙間形成部5eは、その先端が一方の壁面1aから離れる方向を向き、その先端側に、隙間5dと外部とを連通させる開放部5jが設けられている。そこで、挿入片6bを他方の壁面1bに沿わせるようにして、挿入片6b(カバー体6)を一方の壁面1a側に移動させることで、その挿入片6bを、隙間形成部5eの先端側の開放部5jから、隙間5dに挿入することができ、組付けの作業がしやすい。
【0043】
また、第1の一方側組付け部2aの第1の係止部6cと他方側組付け部2bの挿入片6bとは、複数が、配設経路Lの延びる方向に間隔をあけて配置され、かつ、第1の係止部6cと挿入片6bとは、配設経路Lを挟んで向き合う位置に配置されている。第1の係止部6cと挿入片6bとが複数設けられ、それらが向き合うことで、ベース体5とカバー体6とを互いに強固に組み付けることができ、また、複数設けられた第1の係止部6cと挿入片6bとが、間隔をあけることで、組み付けしやすくなる。
【0044】
また、保護カバー2は、保護ダクト3が接続可能な接続口2dを備える。そして、固定されたベース体5に対して、保護ダクト3を所定位置(接続する位置)に配置した状態で、カバー体6が保護ダクト3と干渉することなくベース体5に組み付け可能となっている。このため、先にベース体5と保護ダクト3を設置しておき、その後に、カバー体6をベース体5に組み付けることができる。
【0045】
図16~
図20は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態に示す保護カバー2に対して、第1の立設壁5cと、第1の重合部6aと、第1の一方側組付け部2a(第1の被係止部5f、第1の係止部6c)が、除かれているが、他は同様であり、以下に、同様の部分には、同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0046】
この保護カバー2は、第一の実施の形態に示す保護カバー2に対して、T字の横線に相当する部分の、縦線に相当する部分からはみ出た部分が取り除かれて、縦線に相当する部分が、他方の壁面1bに当たるまで延長された形状をしている。
【0047】
この保護カバー2は、建物における二つの壁面1a、1bによって形成される入隅領域部1に配置されるものであって、二つの壁面1a、1bのそれぞれに沿う二つの基部5a、5bを有するベース体5と、そのベース体5と互いに組み付けられて内部に配線・配管材(配線材または配管材)の配設経路Lを形成するカバー体6とを備える。ここで、ベース体5には開口5mが形成され、その開口5mが、一方の壁面1aまたは他方の壁面1bに形成された壁孔(図示せず)と連通し、配線・配管材の配設経路Lは、その壁孔内へと続く。
【0048】
そして、前記二つの壁面1a、1bのうちの一方の壁面1a側において、その一方の壁面1aに沿う前記二つの基部5a、5bのうちの一方の基部5aには、その一方の基部5aの、前記二つの壁面1a、1bのうちの他方の壁面1bから離れた側に、一方の壁面1aから離れる側に起立する第2の立設壁5gが設けられる。一方、カバー体6には、第2の立設壁5gの、前記入隅領域部1の延びる方向にある外側に重なり合う第2の重合部6dが設けられる。そして、第2の立設壁5gと第2の重合部6dとの対面箇所に、第2の立設壁5gに対し第2の重合部6dが一方の壁面1aから離れる側に移動するのを規制するように、互いに係止する第2の一方側組付け部2cが設けられる。
【0049】
また、他方の壁面1b側において、その他方の壁面1bに沿う前記二つの基部5a、5bのうちの他方の基部5bに、他方の壁面1bと対向するようにしてその他方の壁面1bとの間に隙間5dを形成する隙間形成部5eが設けられる。そして、カバー体6に、前記隙間5dに挿入可能な挿入片6bが設けられる。そこで、これら隙間形成部5eと挿入片6bとで、他方側組付け部2bが構成され、隙間形成部5eと隙間5dに挿入された挿入片6bとの係合により、他方の基部5b(つまり、ベース体5)に対して、挿入片6b(つまり、カバー体6)が他方の壁面1bから離れる側へ移動するのが規制される。
【0050】
また、第2の一方側組付け部2cは、ベース体5の第2の立設壁5gに設けられた第2の被係止部5hと、カバー体6の第2の重合部6dに設けられた第2の係止部6eとからなって、第2の重合部6dが外側から第2の立設壁5gに近づくことで係止状態となり、離れることでその係止状態が解除されるようになっている。そこで、前記隙間5dにカバー体6の挿入片6bが挿入された状態で、第2の係止部6eが第2の被係止部5hに乗り上げて両者の係止が解除されるまで、カバー体6が、そのカバー体6の他方の壁面1bから離れた側(つまり、第2の重合部6dが設けられている側)が一方の壁面1aから離れる方向に、回動するのを許容するように、隙間形成部5eは、弾性変形可能に形成されている。
【0051】
この、第二の実施の形態に示す保護カバー2の作用効果は、第一の実施の形態と同様であるが、第1の立設壁5cと、第1の重合部6aと、第1の一方側組付け部2a(第1の被係合部5f、第1の係合部6c)に関する部分は、除かれる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第一の実施の形態において、保護カバー2は、T字状に形成されているが、T字の縦線に相当する部分を、T字の横線に相当する部分の一方端までずらした形状、つまり、L字状に形成されてもよい。また、保護カバー2に対し、T字の縦線に相当する部分を取り除き、T字の横線に相当する部分のみとして、第2の立設壁5gと、第2の重合部6dと、第2の一方側組付け部2c(第2の被係止部5h、第2の係止部6e)とが設けられない構成としてもよい。また、この際、保護カバー2は、長尺状に形成されて、入隅領域部1に沿うように配置されてもよい。さらに、この長尺状の保護カバーは、長尺状のベース体と、長尺状のカバー体とからなっていてもよく、また、複数の短いベース体が、間隔をあけて並び、それらベース体に対し、長尺状のカバー体が組み付けられる構成となっていてもよい。
【0053】
また、保護カバー2は、接続口2dを備えるが、この接続口2dの数は、図示実施の形態に示す数に制限されるものではない。また、保護カバー2が、壁孔に設置された水栓継手を固定する給水栓用カバーであるような場合は、この接続口2dは、なくてもよい。
【0054】
また、他方側組付け部2bにおいて、隙間形成部5eには、他の被係止部5kが設けられ、挿入片6bには、他の係止部6fが設けられているが、これら他の被係止部5kと他の係止部6fは、なくてもよい。
【0055】
また、隙間5dは、他方の壁面1b側が開放しているが、他方の基部5bに、隙間形成部5eと間隔をあけて対向し他方の壁面1bに沿うように突出する突出片を設けることで、他方の壁面1b側の一部または全部が閉じていてもよい。
【0056】
最後に、第1の実施の形態から導かれる他の発明を、以下に付記として記載する。
【0057】
<付記1>
建物壁等の設置面(壁面)に設置される配設経路連結装置であって、
直線配設経路形成装置と連結具(保護カバー)とからなり、
前記直線配設経路形成装置は、配線・配管材の配設経路を内部に有する直線状の保護ダクトと、その保護ダクトが設置される前記配設面との間に介在する1または複数のスペーサとを備え、
前記連結具は、少なくとも、異なる方向に延びる二つの前記保護ダクトどうしを連結すべく、前記保護ダクトが接続される接続口を有し、
前記スペーサには、前記保護ダクトとの重なり合う方向に突出し、保護ダクトと位置合わせされるように係合する係合凸部が設けられ、
前記連結具は、互いに組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成する基台(ベース体)と蓋体(カバー体)とからなり、
前記基台には、前記保護ダクトと前記設置面との間に介在した前記スペーサが、前記保護ダクトの端部を越えて前記基台と前記設置面との間に介在する状態を許容するように、前記係合凸部との干渉を回避して前記スペーサ上に重ね合わせ可能とする回避空間部が形成されており、
前記回避空間部は、異なる方向に延びる二つの前記保護ダクトの延長先で交差している、配設経路連結装置。
【0058】
<付記2>
前記回避空間部は、直線状に延びる溝状の凹部である、付記1に記載の配設経路連結装置。
【符号の説明】
【0059】
1 入隅領域部
1a 一方の壁面(壁面)
1b 他方の壁面(壁面)
2 保護カバー
2a 第1の一方側組付け部(一方側組付け部)
2b 他方側組付け部
2c 第2の一方側組付け部(一方側組付け部)
2d 接続口
3 保護ダクト
4 配設経路形成装置
5 ベース体
5a 一方の基部(基部)
5b 他方の基部(基部)
5c 第1の立設壁(立設壁)
5d 隙間
5e 隙間形成部
5f 第1の被係止部(被係止部)
5g 第2の立設壁(立設壁)
5h 第2の被係止部(被係止部)
5j 開放部
5k 他の被係止部
6 カバー体
6a 第1の重合部(重合部)
6b 挿入片
6c 第1の係止部(係止部)
6d 第2の重合部(重合部)
6e 第2の係止部(係止部)
6f 他の係止部
L 配設経路