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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053408
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】集配システムと保管システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0832 20230101AFI20240408BHJP
【FI】
G06Q10/08 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159665
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】599139914
【氏名又は名称】佃 光水
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】佃 光水
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】 集荷時に、依頼者と集配者、集配者と受取者が立合うことにより、各々に時間的ロス及び/又は経済的ロスが発生する。保管時に、依頼者と荷役者が立合うことにより、双方にとって時間的ロス及び/又は経済的ロスが発生する。
【解決手段】 集配システムは、依頼品を撮影する撮影手段の操作及び/又は制御に係わるソフトウェアを備えており、
本ソフトウェアは、時系列管理方法iと、撮影面管理方法iiと、制限制約撮影方法iiiと、識別管理方法ivで構成されている。
また、保管システムのソフトウェアは、上記ソフトウェア対して保管の時点で依頼品を撮影するプロセスが追加されるとともに、このプロセスは、撮影面管理方法iiと、制限制約撮影方法iiiと、識別管理方法ivで構成されている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼品の集配システムであって、
上記集配システムは、依頼品を撮影する撮影手段の操作及び/又は制御に係わるソフトウェアを備え、
上記ソフトウェアは、各々の撮影者に対して依頼時/集荷時/配達時の3時点で依頼品を撮影することを定義付けする時系列管理方法と、各々の撮影者に対して依頼品の底面を除く全ての面を撮影対象面として定義付けする撮影面管理方法と、各々の撮影者に対して共通する撮影回数と撮影アングルを定義付けする制限制約撮影方法と、依頼品に対して付与する識別情報で各々の撮影者が当該依頼品を管理する識別管理方法で構成されることを特徴する。
【請求項2】
依頼品の保管システムであって、
上記保管システムは、依頼品を載置する多数のパレットを備えるとともに、当該パレットを所定の搬入搬出位置に着床または離床させる駆動機構を備え、
また上記保管システムは、上記搬入搬出位置に着床したパレット上の依頼品を撮影する撮影手段の操作及び/又は制御に係わるソフトウェアを備え、
上記ソフトウェアは、各撮影者に対して依頼品の底面以外の全ての面を撮影対象面として定義付けする撮影面管理方法と、各撮影者に対して依頼品の撮影回数と撮影アングルを定義付けする制限制約撮影方法と、依頼品に対して付与する識別情報によって各撮影者が当該依頼品を管理する識別管理方法で構成されることを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集配システムと保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
依頼品の集荷時には、依頼者と集配者が対面するのが一般的である。他方、配達時では、対面か非対面かを選択するのが一般的である。
また、依頼品を保管施設で保管する場合、依頼者自身で依頼品の搬入搬出を行う、或いは集配者に委託して搬入搬出を行う、または施設の荷役者に委託して搬入搬出を行うのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
依頼品の集配にあっては、少なくとも集荷時は、依頼者と集配者(取次店の従業員も含む)で対面する必要がある。
その理由を以下に述べる。
先ず、両者による依頼品の確認があり、その項目としては、中身の確認(種類の確認)、梱包状態の確認、サイズの確認、重量の確認を行っている。
上述した確認を経て運搬適合と判断されると、送り状依頼情報(依頼者の情報、依頼日時)および受取情報(受取者の情報、受取り日時、受取り方法)を記入し、最後に料金と支払い方法の確定を行っている。
他方、受取りは、対面と非対面の何れかを選択することができるが、以下に述べるデメリットが生じる場合がある。
先ず、対面のデメリットとしては、再配達となった場合に、集配者と受取者の双方で時間的制約を受けることになるとともに、集配者にとっては、時間的ロスおよび経済的ロスが生じる。
上述したデメリットがあるにも関わらず、受取者が対面での受取りを選択する理由としては、手渡しで受取りたい事由のある依頼品、または宅配ボックスで対応できないサイズの依頼品、或いは手渡し以外選択できない場合(宅配ボックスが無い)、もしくは着払い(現金)が該当する。
他方、非対面のデメリットとしては、再配達となった場合に、集配者とって時間的ロスおよび経済的ロスが生じる。
再配達となる理由としては、宅配ボックスに空きが無い場合(全区画が満室、もしくは収容可能な区画が満室)が該当する。
ところで、置き配も選択できるが、依頼品が容易に盗難できるという大きなデメリットがある。
【0004】
次に保管について考察すると、小規模な保管スペースを貸出すトランクルームと、大規模な保管スペースを貸出す倉庫がある。
トランクルームへの搬入搬出は、専ら依頼者自らで行っている。
他方、倉庫への搬入搬出は、依頼者自らで行う、もしくは集配者または倉庫の荷役者に委託して行なっている。
ところで、集配者や荷役者に委託する場合でも、作業中は依頼者が責任者として立ち会うのが一般的である。
立ち会う理由としては、作業中の指示出し、および作業中の不測の事態(依頼品の破損や事故等)に備えるのが目的である。
また保管中は、保管状況について、依頼者が倉庫へ出向いて自ら確認する、もしくは荷役者を介して保管報告を受ける場合がある。
これにより、依頼者にとっては、倉庫へ出向く手間と時間的なロスが発生するといったデメリットがある。
他方、倉庫の荷役者にあっても、依頼者に対応する手間と時間的なロスが発生するといったデメリットがある。
また、荷役者にとっては、以下に述べる別のリスクもある。
依頼品を確認するためには、保管位置からフォークリフトで運び出す搬出作業と、確認が終了した依頼品をフォークリフトで保管位置へ戻す返却作業が発生するため、この作業中に依頼品を破損させるリスクがあるとともに、荷役者も怪我を負うリスクがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した集配時の問題に鑑み、請求項1の発明は、依頼品の集配システムであって、
上記集配システムは、依頼品を撮影する撮影手段の操作及び/又は制御に係わるソフトウェアを備え、
上記ソフトウェアは、各々の撮影者に対して依頼時/集荷時/配達時の3時点で依頼品を撮影することを定義付けする時系列管理方法と、各々の撮影者に対して依頼品の底面を除く全ての面を撮影対象面として定義付けする撮影面管理方法と、各々の撮影者に対して共通する撮影回数と撮影アングルを定義付けする制限制約撮影方法と、依頼品に対して付与する識別情報で各々の撮影者が当該依頼品を管理する識別管理方法で構成されることを特徴する。
【0006】
請求項2の発明は、依頼品の保管システムであって、
上記保管システムは、依頼品を載置する多数のパレットを備えるとともに、当該パレットを所定の搬入搬出位置に着床または離床させる駆動機構を備え、
また上記保管システムは、上記搬入搬出位置に着床したパレット上の依頼品を撮影する撮影手段の操作及び/又は制御に係わるソフトウェアを備え、
上記ソフトウェアは、各撮影者に対して依頼品の底面以外の全ての面を撮影対象面として定義付けする撮影面管理方法と、各撮影者に対して依頼品の撮影回数と撮影アングルを定義付けする制限制約撮影方法と、依頼品に対して付与する識別情報によって各撮影者が当該依頼品を管理する識別管理方法で構成されることを特徴する。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1の発明によれば、集配される依頼品に疑問を感じた場合には、以下の確認を行うことができる。
先ず、時系列順に撮影された画像を確認することができるので、責任の所在を明確化することができる。
次に、撮影者が異なっても撮影対象面は必ず撮影されるので、事実確認に不測の事態が発生することはない。
さらに、撮影者が異なっても、撮影回数が制限されるとともに、撮影アングルも制約されているので、統一された画像で確認を行うことができる。
したがって、集荷時において、依頼者と集配者が対面する必要性が無くなるとともに、配達時においても受取者と集配者が対面する必要性が無くなるので、従来に比較して依頼者/集配者/受取者の3者でそれぞれに時間を有効に活用することができる。
【0008】
上記請求項2の発明によれば、保管報告に際しては、荷役者が駆動機構に指示を入力して対象の依頼品を載せたパレットを搬入搬出位置に着床させて当該依頼品の撮影を行うとともに、撮影後は駆動機構に指示を入力して当該パレットを離床させて依頼品を保管位置に戻せばよいので、倉庫で同様の作業を行う場合に比較して、依頼品が損傷するリスクおよび荷役者が怪我を負うリスクを低減することができる。
しかも、保管報告の対象となる依頼品が多数であっても、駆動機構への指示入力と撮影だけの実務となるので、倉庫で同様の作業を行う場合に比較して、荷役者の労力の低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】依頼品Zの斜視図。
図2】集配システムLSと端末RD/端末WD/端末YDの相関図。
図3】仮依頼2のタスク(入力項目)を示す構成図。
図4】本依頼4のタスク(入力項目)を示す構成図。
図5】集配システムLSの特徴とするソフトウェアのタスクと当該タスクの対象者を示す一覧表。
図6】依頼品Zに対する正面側撮影のアングルと背面側撮影のアングルを示す斜視図。
図7】正面側撮影で撮影された撮影面H(A/B/C)を示す斜視図。
図8】背面側撮影で撮影された撮影面H(A/D/E)を示す斜視図。
図9】理論上許容される撮影面Hの撮影画像を示す斜視図。
図10】理論上許容される撮影面Hの撮影画像を示す斜視図。
図11】上面Aに記入された識別情報X(X’)を示す拡大図。
図12】集配システムLSの特徴的なプロセスを示すフローチャート。
図13】保管システムLSSの特徴的なプロセスを示すフローチャート。
図14】一団の依頼品群ZZに対する端末WDの正面側撮影のアングルと背面側撮影のアングルを示す斜視図。
図15】タワーパレットTP(駆動機構)の重要な部分を示す見取り図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す方向性の無い正六面体の依頼品Zで、図2に示す本発明の集配システムLSを説明する。
なお、本実施例では、依頼品Zの6面にA~Fのアルファベットを付して各面を識別できるようにしてある。
【0011】
先ずは、集配システムLSに接続する端末RD/WDについて説明する。
上記端末RD/WDとしては、依頼者Rにあっては、撮影機能/記録機能/通信機能を備える高機能携帯電話もしくはモバイルPC(以下、端末RD)であり、また集配者Wにあっては、撮影機能/記録機能/通信機能を備える高機能携帯電話もしくはモバイルPC、或いはこれらに準じる機能を有する専用機器(以下、端末WD)である。
両者の端末RD/WDに共通するハードウェアとしては、図示しないが、静止画及び/又は動画を撮影する撮影手段としてのカメラと、データを入力する1次入力装置と、データを記録する1次記録装置と、データを管理する1次演算装置と、データを出力する1次出力装置と、プロセスの実行状況に応じて上記各装置を制御する1次制御装置である。
上述したハードウェアで構成される端末RD/WDは、既に様々な分野で用いられて周知なので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0012】
次に、集配システムLSについて説明する。
本集配システムLSは、両者の端末RD/WDとデータの入出力を行うとともに、ソフトウェアのプロセスの実行状況を制御するサーバである。
集配システムLSのハードウェアとしては、図示しないが、データを入力する2次入力装置と、データを記録する2次記録装置と、データを管理する2次演算装置と、データを出力する2次出力装置と、プロセスの実行状況に応じて上記各装置を制御する2次制御装置である。
上述したハードウェアで構成されるシステムは、様々な分野に用いられて周知の技術なので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0013】
次に、集配システムLSのソフトウェアについて説明する。
このソフトウェアが本発明の特徴とするところであり、その特徴について以下に説明する。
本ソフトウェアは、図2に示すように、依頼者Rの入力するタスクで構成されるカスタマープロセスCPと、集配者Wの入力するタスクで構成されるワーカープロセスWPと、上記カスタマープロセスCPとワーカープロセスWPの進行状況を管理するオペレーティングシステムOSで構成されている。
先ず、カスタマープロセスCPについて説明すると、図3の仮予約2と図4の本予約4から構成されている。
仮予約2は、6つのタスクで構成されており、具体的には、送り状の項目と同じ内容の第1タスクから第4タスクと、オンライン決済に関する第5タスクと、本サービスの利用に関する第6タスクで構成されている。
この第6タスクは、本集配サービスの特徴を解説した利用細則とその同意、本集配システムLSを利用するうえで遵守すべき規定事項を定めた利用規約とその同意で構成されている。
本予約4は、上記第6タスクの利用細則に則って撮影された画像を3回まで入力(アップロード)する第1タスク/第2タスク/第3タスクから構成されている。
【0014】
しかして、本発明の利用細則は、以下の4項目より構成されている。
i:依頼品Zについて、どの時点で問題が生じたかを画像で検証可能とする時系列管理方法。
ii:依頼品Zについて、どの箇所に問題が生じたかを画像で検証可能とする撮影面管理方法。
iii:依頼品Zについて、依頼品Zの形状を問わず制限内の撮影回数で全ての撮影面Hを網羅して撮影する制限制約撮影方法。
iv:依頼品Zについて、識別情報を付与して当該依頼品Zを管理する識別管理方法。
【0015】
先ず、時系列管理方法iについて、図5を参照して説明すると、依頼時/集荷時/配達時の3時点において、各々の撮影者(依頼者R/集荷担当の集配者W/配達担当の集配者W)が対象となる。
この時、撮影された画像は、各々の端末RD/WDより集配システムLSへ出力されるとともに、当該集配システムLSで撮影時点と画像が紐付けられてデータ管理される。
この方法によれば、依頼品Zについて疑問が生じた場合には、依頼時の画像データまたは集荷時の画像データ、或いは配達時の画像データを集配システムLSより出力させて各自の端末RD/WDで時系列順に確認することができる。
したがって、この時系列管理方法iによれば、どの時点で依頼品Zに変化が生じたかを検証することができる。
これにより責任の所在を明確化することができる。
【0016】
ところで、撮影に関する捉え方は人それぞれなので、撮影面管理方法iiで、依頼品Zの確認で必須となる撮影対象面(以下、撮影面H)の定義付けを各々の撮影者(依頼者R/集荷担当の集配者W/配達担当の集配者Wの3者が対象)に対し行っている。
この撮影面管理方法iiでは、依頼品Zの形状を問わず底面Fを除く全ての面を撮影面Hとして定義付けしており、正六面体の本依頼品Zの場合では、図1に示す上面Aと4つの側面B/C/D/Eの合計5面が該当する。
この撮影面管理方法iiによれば、撮影者が異なっても撮影面Hとして定義された面A/B/C/D/Eは必ず撮影されることになる。
これにより、依頼品Zについて疑問が生じた場合には、先述したように依頼時の画像データまたは集荷時の画像データ、或いは配達時の画像データを集配システムLSから各自の端末RD/WDへ出力させて確認することができるので、撮影面H(A/B/C/D/E)にどの時点で変化が生じたかを不足なく検証することできる。
ところで、撮影面管理方法iiでは、底面Fが撮影面Hから除外されているが、これは以下に述べる本集配サービス(利用細則)独自の論理に基づくものである。
その理論とは、撮影面H(A/B/C/D/E)が変形すること無く内容物に損傷が及ぶ事象としては、底面Fの中心付近に鋭利な物品による力が加わることくらいしか想定できず、このような事象の発生する確率は限りなく低いとの考えからである。
また、依頼品Zに対して撮影面Hの定義付けを行っただけでは、撮影者によって撮影回数が異なってしまう、或いは撮影面Hの撮影漏れが発生する可能性がある。
【0017】
上述した事態を避けるため、制限制約撮影方法iiiで、撮影回数に制限を設けるとともに、撮影アングルにも制約を設けている。
この制限制約撮影方法iiiでも、図5に示す各々の撮影者(依頼者R/集荷担当の集配者W/配達担当の集配者W)が対象となっている。
撮影回数の制限は、最小で2回(以下、マスト撮影)、最大で3回(以下、ベター撮影)に設定しており、図4に示すように1回目に撮影した画像が本依頼4の第1タスクへ出力され、2回目に撮影した画像が第2タスクへ出力され、3回目に撮影した画像が第3タスクへ出力されるようになっている。
しかして、先ずは2回のマスト撮影における撮影アングルについて、図6に基づいて説明する。
先ず、正面側撮影(1回目)では、依頼品Zに対し、斜め上方となるハイアングルから、図7に示すように上面Aおよび側面B/Cが写るように撮影する。
つまり、正面側撮影では、撮影面Hとして定義された5面(A/B/C/D/E)のうち、半分以上に該当する3面(A/B/C)が撮影されたことになる。
続く、背面側撮影(2回目)では、依頼品Zに対し、斜め上方となるハイアングルから、図8に示すように上面Aおよび2つの側面D/Eが写るように撮影する。
つまり、背面側撮影では、撮影面Hとして定義された5面(A/B/C/D/E)のうち、半分以上に該当する3面(A/D/E)が撮影されたことになる。
以上の説明から理解されるように、依頼品Zを基準とし、これを略180度異なる方向から撮影面H全体の半分以上が写るようにアングルを制約しているので、この制限制約撮影方法iiiによれば、撮影者が異なっても略統一された画像を得ることができるとともに、撮影面Hの撮影漏れも防止することができる。
なお、理論上は、図9または図10に示すように、正面側撮影において撮影面Hの半分以上を撮影し、背面側撮影において正面側撮影で写らなかった撮影面Hの残り部分を撮影すればよい。
また、本実施例では、依頼品Zの形状を立方体としては最も一般的な六面体としているが、これよりも少ない面で形成される三角錐の箱や円筒形の箱であっても本制限制約撮影方法iiiで対応することができるのは明らかであり、また六面体よりも多い面で形成される八面体以上の箱であっても制限制約撮影方法iiiによって対応することができるのは明らかである。
なお、上面Aの〇印については、次の0019の段落で説明する。
【0018】
ところで、本実施例では、依頼品Zの六面全てにアルファベットA~Fを付して識別できるようにしているが、現時点では、そのような事例の箱は皆無である。
つまり、これまで依頼品Zを形成する面を識別する必要が無かったのが、その理由である。
このため、識別管理方法ivでは、依頼品Zの各面が識別できないことを想定し、この場合の対処方法について案内する一方、依頼品Zに対して付与される識別情報Xの取り扱いについて定義付けしている。
先ず、依頼品Zの各面A/B/C/D/Eを識別する対処方法について説明すると、前述した撮影面管理方法iiと制限制約撮影方法iiiを考慮し、特定の撮影面Hについて依頼品Zに方向性を付与する位置決めマークX’を記入することを推奨している。
具体的には、図7および図8に示すように、撮影面H(上面A)に対して〇印の位置決めマークX’を付すことを推奨している。
なお、本実施例では、位置決めマークX’は、それ自体が方向性の無い平面の円形であるため、当該位置決めマークX’を上面Aの周辺に付して依頼品Zに方向性を付与している。
したがって、図7および図8の画像から明らかなように、制限制約撮影方法iiiに則って撮影された画像であれば、位置決めマークX’を基準として各撮影面A/B/C/D/Eの識別が可能となる。
ところで、位置決めマークX’は、正面側撮影時には、図7に示すように撮影ポイントの手前側に位置する一方、背面側撮影時には、図8に示すように撮影ポイントの奥側に位置することになるので、当該位置決めマークX’の位置が略180度反転すれば、撮影面Hの5面(A/B/C/D/E)が全て網羅された証左となる。
なお、理論上は、正面側撮影と背面側撮影で位置決めマークX’の位置が異なればよく、すなわち、図10に示すように側面B(撮影面H)と側面E(撮影面H)に位置を異ならせてマークX’を2つ付すことでもよいし、また図11に示すように識別情報Xに位置決めマークX’の役割を持たせてもよい。
なお、識別情報Xについては、次の0020の段落で説明する。
【0019】
上述した利用細則(i~iv)と利用規約(説明は省略)について依頼者Rが同意すると、本案件に対する識別情報Xが出力され、かつ、これと同時に本予約4が出力される。
上記識別情報Xとしては、例えば、日付(西暦)の2022/09/30と、地域コードであるTCと、通し番号01で構成すればよい。
上記識別情報Xは、依頼品Zに対して付与されるものであり、当該識別情報Xを依頼者Rが自身で特定の撮影面Hに記入することを定義付けしている。この際、識別情報Xを、上面Aの周辺に直接記入、もしくは無地のシールに記入したうえで上面Aの周辺に貼り付けることを推奨している。
つまり、上記識別情報Xで、依頼品Zを識別できるようにすると同時に、当該識別情報Xで依頼品Zに対して方向性を付与している(位置決めマークX’を兼ねる)。
ところで、識別情報Xは、集配者Wは言うに及ばず、集配システムLSのオペレーター及び/又は集配システムLSの人工知能で正確に読み取られることが求められる。
このため、3回目の撮影は、必要に応じて識別情報Xを明瞭に撮影するための接写アングル(ベター撮影に該当)に定義付けしており、基本的には撮影することを推奨している。
つまり、3回目のベター撮影が不要となるケースがあるということであり、具体的には、マスト撮影の正面側撮影及び/又は背面側撮影において、識別情報Xを明瞭に撮影できる場合がこれに該当する。
この場合には、撮影終了ボタンを選択してマスト撮影のみで本予約4のプロセスを任意終了させることができる。
なお、同一の依頼品Zを多数処理する場合では、通し番号も識別情報Xに該当することは勿論である。
【0020】
しかして、図12のフローチャートに基づいて、本集配システムLSのプロセス処理について説明する。
なお、本発明の特徴とする仮予約2のプロセスと本予約4のプロセス、集荷9のプロセスおよび配達12のプロセスについては、先述しているので、ここでの詳細な説明は省略する。
先ず、依頼者Rが事業者のサイトにアクセスすると、先述した利用細則(i~ivの各方法)が端末RDの画面に表示される。
この利用細則(i~ivの各方法)について理解し、かつ納得した依頼者Rは、開始1をクリックして仮依頼2のプロセスへ移行する。
この仮依頼2では、依頼者Rが、第1タスク~第5タスクへの入力を行うとともに、第6タスクの利用細則(i~ivの各方法)への同意および利用規約への同意が完了すると、確認3のプロセスに移行する。
この確認3では、第1タスク~第4タスクの不備についてチェックする一方、第5タスクの有効性についてチェックする。
この確認3で、仮依頼2に不備または有効性に問題があることが判明した場合には、仮依頼2に戻って依頼者Rの端末RDへ問題点を通知する一方、問題が無い場合には、本依頼4のプロセスへ移行する。
この本依頼4のプロセスでは、先述した第1タスク/第2タスク/第3タスク、および識別情報Xが依頼者Rの端末RDに出力される。
依頼者Rは、識別管理方法ivに則って識別情報X(位置決めマークX’の役割も付与)を上面Aの周辺に記入し(図11参照)、その後に先述した制限制約撮影方法iiiのベター撮影に則って、正面側撮影(第1タスクへ出力)→背面側撮影(第2タスクへ出力)→備考撮影(第3タスクへ出力)の順番で撮影を行う。
この本依頼4へのアップロード(入力)が完了すると、確認5のプロセスで第1タスクの画像/第2タスクの画像/第3タスクの画像の有効性についてチェックする。
この確認5のプロセスでは、利用細則(iの方法~ivの方法)に則った画像がアップロードされているか、またアップロードされた画像に不備(例えば、撮影面Hの必須な部分が見切れている及び/又はピンぼけである)が無いかをオペレーター及び/又は人工知能でチェックしている。
ここで画像に不備がある場合には、本依頼4へ戻り依頼者Rの端末RDへ不備を通知する一方、画像に不備が無い場合には、案件確定6に移行して仮予約2のデータと本依頼4のデータを記録する。
案件確定6のプロセスでは、データの記録が終了したタイミングで依頼者Rの端末RDへ受付完了通知7を出力する一方、集荷を担当する集配者Wに対しては、集荷のタイミングで端末WDへ集荷指示8を出力する。
【0021】
上記集荷指示8には、仮依頼2のデータ(第5タスクを除く)と本依頼4のデータが含まれており、これにより集荷を担当する集配者Wは、依頼者Rの指定する日時に指定された集荷場所に出向いて集荷9を開始する。
この集荷9のプロセスは、本依頼4の内容と同一なので、ここでの詳細な説明は省略する。
ところで、集配者Wが依頼品Zについて疑問を感じた場合には、本依頼4の画像と比較することで、問題の解決にあたることができる。
具体的には、依頼時の画像に無かった凹みや損傷等が撮影面Hに見られる場合、その点を依頼者Rに指摘し、依頼者Rが承認すれば集荷9を続行し、承認しなければその事を本部に報告して集荷9を中止する。
集荷9を続行する場合には、依頼品Zの変化した点、およびそのことを依頼者Rが承認した旨を申送り事項に記載することを義務付けている。
なお、識別情報Xを接写するベター撮影を実施する必要が無い場合、3回目の備考撮影で変化した点を撮影してもよい。
ところで、依頼品Zが変化する原因としては、依頼者Rまたは近親者による粗相が考えられる。
さて、フローチャートの説明に戻ると、申し送りが終了した集配者Wは、制限制約撮影方法iiiに則ってベター撮影である正面側撮影(第1タスクへ出力)→背面側撮影(第2タスクへ出力)→備考撮影(第3タスクへ出力)を実施して集荷9のプロセスを終了する。
この集荷9のプロセスが終了すると、確認10のプロセスで第1タスクの画像/第2タスクの画像/第3タスクの画像の有効性についてチェックする。
この確認10のプロセスは、先述した確認5の内容と同一なので、ここでの説明は省略する。
ここで、画像に不備がある場合には、集荷9のプロセスへ戻り、集荷担当の集配者Wの端末WDへ不備を指摘する一方、不備が無い場合には集荷完了11に移行して当該データを記録する。
集荷完了11のプロセスでは、データの記録が終了したタイミングで依頼者Rの端末RDへ集荷完了通知12を出力する。他方、配達の担当となる集配者Wに対しては、配達のタイミングで端末WDに配達指示13を出力する。
【0022】
上記配達指示13には、仮依頼2のデータ(第5タスクを除く)および本依頼4のデータ、集荷9のデータが含まれており、配達担当の集配者Wは、依頼者Rの指定する日時に指定された配達場所に出向き、配達14のプロセスを開始する。
この配達14も、本依頼4および集荷9と内容が同一なので、ここでの詳細な説明は省略する。
集配者Wによるベター撮影である正面側撮影(第1タスクへ出力)→背面側撮影(第2タスクへ出力)→備考撮影(第3タスクへ出力)が終了してアップロード(入力)が完了すると、確認15のプロセスで第1タスクの画像/第2タスクの画像/第3タスクの画像の有効性についてチェックする。
この確認15のプロセスも、先述した確認5の内容と同一なので、ここでの説明は省略する。
ここで、画像に不備がある場合には、配達14のプロセスへ戻り、集配者Wの端末WDへ不備を通知する一方、不備が無い場合には配達完了16に移行して当該データを記録する。
配達完了16のプロセスでは、データの記録が終了したタイミングで依頼者Rの端末RDへ配達完了通知17を出力する一方、集配者Wの端末へも案件完了18を出力する。
【0023】
ところで、受取者Yが配達された依頼品Zについて疑問を感じた場合には、図2に示すように端末YDで事業者のサイトへアクセスして識別情報Xを入力する。
集配システムLSは、入力された識別情報Xに該当する画像を受取者Yの端末YDへ出力する。
画像を入手(ダウンロード)した受取者Yは、端末YDの画面で、依頼時の画像→集荷時の画像→配達時の画像の流れで時系列順に確認することができる。
この時、集荷時の画像と配達時の画像に変化が見られる場合には、集配者W(事業者)の責任が確定する。
他方、配達時の画像と現状の依頼品Zに変化が見られる場合には、受取者Y(受取者Y以外の近親者が原因)の責任が確定する。
【0024】
以上のように本集配システムLSによれば、依頼者R/集配者W/受取者Yの3者が完全に非接触であったとしても、依頼時/集荷時/配達時の3時点で撮影された画像に基づいて責任の所在が明確化されるので、万一、トラブルが発生したとしても合理的に問題を解決することができる。
したがって、本集配システムLSによれば、依頼者R/集配者W/受取者Yの3者は、各々で従来に比較して時間を有効に活用することができる。
ところで、現状では、非接触で集荷または配達を実施することについて想像すらできないが、技術的な側面から見れば既に実現できる段階にある。
その技術とは、ワンタイムパスワードで解錠/施錠ができるスマートキー、或いは遠隔操作で解錠/施錠ができるリモートキーであり、当該スマートキーまたはリモートキーを玄関扉に導入することで非接触を実現することが可能となる。
これにより、上述した技術が導入された物件であれば、集配者Wは、依頼者Rおよび受取者Yの在不在を気にすることなく集配ルートを組むことができるのは勿論、依頼品Zの大きさも気にすることなく配達することできるので(玄関扉の開放スペースより大きい依頼品Zは、大型家具や大型家電以外殆ど無い)、再配達となる確率を従来に比較して低減することができる。
つまり、従来では、受取者Yの不在時に宅配ボックスへ預入することができなければ再配達となり、また依頼品Zの大きさが宅配ボックスの規格外に該当する場合、受取者Yの在宅に合わせた集配ルートを組まざるを得なかった。
【0025】
なお、本実施例では、集配者Wの集荷9の画像と配達14の画像を確認10と確認15で確認しているが、この確認10のプロセスと確認15のプロセスは省略してもよい。
省略する場合には、集配者Wに対して画像のダブルチェックを義務付ければよい。
【0026】
ところで、図13に示すように、集荷完了11と配達指示13との間に、集荷9/配達14と同一のプロセスである保管31を追加することで、集荷時から保管時、さらに配達時までの一連の流れを完全に非接触とする保管システムLSSを構築することができる。
具体的には、集荷完了11が確定した段階で、保管を担当する集配者Wの端末WDに保管指示30が出力される。
この保管指示30が入力された集配者Wは、保管31のプロセスに則り、保管前の依頼品Zについて図7および図8に準じる画像を撮影するとともに、この画像データを管理32に出力する。
この管理32のプロセスでは、入力された画像を記録するとともに、記録が終了したタイミングで依頼者Rの端末RDへ保管開始通知33を出力する。
また管理32は、仮依頼4の配達日時に基づき所定のタイミングで、配達を担当する集配者Wの端末WDに配達指示13を出力する。
【0027】
ところで、多数の依頼品Zを保管する場合では、依頼者Rが保管場所に出向いて状態(数量/変化)の確認することがある。
これは、依頼者Rにとって時間的ロスおよび経済的ロス、他方、この対応に当たる集配者Wにとっても時間的ロスとなっている。
しかして、依頼者Rより依頼品Zの保管状態について報告を求められた場合、もしくは報告期限が到来した場合には、保管担当の集配者Wが保管31に則って撮影した画像で報告すればよい。
また、保管状態の報告を求められる依頼品Zが多数の場合もある。
具体的には、同一の依頼品Zが12個の場合では、図14に示すようにパレットP(フォークリフト用)上に六面体(以下、依頼品群ZZ)を形成するように一団の状態で積載する。
これにより、集配者Wの端末WDであっても問題なく撮影することができるので、依頼者Rは、マスト撮影(正面側撮影と背面側撮影の2回)による画像で依頼品群ZZの状態を確認することができる。
つまり、依頼品群ZZの5面(上面と4つの側面)が撮影面Hに該当するという理論である。
なお、マスト撮影で完了するように、通し番号40(依頼品群ZZの識別情報に該当)を依頼品群ZZに対して相対的に大きく記載している。
【0028】
ところで、上述した画像報告であっても、倉庫で保管するような多数の依頼品群ZZとなると、集配者(以下、荷役者)Wにとっては保管報告に多大な時間と労力を要することになる。
具体的な作業内容としては、多層式ラックからパレットPに載置された依頼品群ZZをフォークリフトで取出すとともに、取出した依頼品群ZZを倉庫内で撮影を行える場所まで運搬して撮影を実施する。撮影が完了した依頼品群ZZについては、フォークリフトで運搬して多層式ラックに戻している。
つまり、上述した作業を報告対象となる依頼品群ZZについて繰返すとともに、長期保管の場合では、さらに所定の期間でこの作業を繰り返すことになる。
これにより、上述した作業中に依頼品群ZZが損傷するリスクがあるとともに、荷役者Wも怪我を負うリスクがある。
上述したリスクを回避するため、先述した保管システムLSSに保管施設としてタワーパレットTP(図15参照)を組み合わせて、低リスク/低労力型の保管システムLSSDを構築するものである。
上記タワーパレットTPの駆動機構としては、タワーパーキングで用いられる垂直循環方式またはエレベーター方式を準用することができるので、ここでの説明は省略する。
しかるに、パレットP’が搬入搬出位置IOに着床した時には、当該パレットP’の上方および周囲には撮影を実施できる空間が存在する。
これにより集配者Wは、タワーパレットTPを操作して搬入搬出位置IOに対象のパレットP’を呼び出すとともに、当該パレットP’が着床した後は建屋内に立入って、図14に示すように依頼品群ZZを端末WDで撮影することができる。
しかるに、倉庫で作業する場合に比較して、集配者Wが怪我を負うリスクを大幅に低減することができる。
他方、依頼品群ZZにあっては、駆動機構によって保管位置から搬入搬出位置IOへ送り出されるとともに、撮影後についても駆動機構によって離床して保管位置へ搬出されるので、依頼品群ZZが損傷するリスクが無い。
なお、保管報告を完全に自動化することも可能であり、その場合には、図15に示すように端末WDに変わる2台の定点カメラCDを対角線上となるように建屋内に配置するとともに、当該カメラCDと駆動機構とが同期するように保管システムLSSにプログラミングすればよい。
【0029】
ところで、上記保管システムLSSDの特性を生かし、以下に述べる問題の解決に当たることもできる。
その問題とは、大都市の商業地域(オフィス街/繁華街/歓楽街)では、震災の発生する曜日や時間帯によっては膨大な数の被災者が発生することが旧来より問題視されている。
しかしながら、大都市の商業地域は、地価が非常に高く、また纏まった広い土地も殆どないことから、当該地域に備蓄施設を導入することはナンセンスと結論付けされていた。
しかして、省スペース型のタワーパレットTPであれば狭い土地でも導入できるうえ、場合によっては既存のタワーパーキングを転用することもできるので、大都市の商業地域に備蓄施設の導入を実現することができる。
なお、被災者に対して備蓄品(依頼品に相当)を迅速に分配できるように、近隣の自治会及び/又は運営者等に分配権を委譲しておくのが望ましい。
【符号の説明】
【0030】
Z 依頼品
ZZ 一団の依頼品群
H 撮影面
R 依頼者
W 集配者
Y 受取者
RD、WD、YD 端末
CP カスタマープロセス
WP ワーカープロセス
LS 集配システム
LSS、LSSD 保管システム
X 識別情報
TP タワーパレット
2 仮依頼
4 本依頼
31 保管
i 時系列管理方法
ii 撮影面管理方法
iii 制限制約撮影管理方法
iv 識別管理方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15