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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053414
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】センシング端末およびセンシング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240408BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159683
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 奎介
(72)【発明者】
【氏名】加門 宏章
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157BB22
5F157BB45
5F157CE83
5F157CF42
5F157CF44
5F157DC81
(57)【要約】
【課題】消費電力を削減可能なセンシング端末およびセンシング方法を提供する。
【解決手段】センシング端末500は、検出センサ511と、制御部520と、バッテリー550と、加速度センサ512とを備える。検出センサ511は、基板処理装置100内部の環境を検出する。制御部520は、検出センサ511の検出結果に基づいて所定の動作を実行するアクティブ状態と、アクティブ状態に比べて電力消費量が少ないスリープ状態との間で遷移可能である。バッテリー550は、制御部520に電力を供給する。加速度センサ512は、加速度を検出する。制御部520は、加速度センサ512の検出結果に基づいて、アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置内部の環境を検出する検出センサと、
前記検出センサの検出結果に基づいて所定の動作を実行するアクティブ状態と、前記アクティブ状態に比べて電力消費量が少ないスリープ状態との間で遷移可能な制御部と、
前記制御部に電力を供給するバッテリーと、
加速度を検出する加速度センサと
を備え、
前記制御部は、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移する、センシング端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記加速度センサの検出結果に基づいて生成される時系列データのパターンと、前記加速度センサの検出結果に基づいて算出される位置との少なくとも一方に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移する、請求項1に記載のセンシング端末。
【請求項3】
前記制御部は、
前記パターンと前記位置との少なくとも一方に基づいて、前記センシング端末が所定位置に配置されたか否かを判定し、
前記所定位置に配置されたと判定した場合、前記スリープ状態から前記アクティブ状態に遷移する、請求項2に記載のセンシング端末。
【請求項4】
前記制御部は、
前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記センシング端末が前記所定位置から移動されたか否かを判定し、
前記所定位置から移動されたと判定した場合、前記アクティブ状態から前記スリープ状態に遷移する、請求項3に記載のセンシング端末。
【請求項5】
前記制御部は、
前記加速度センサの検出結果と、所定の閾値とを比較し、
比較した結果に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移する、請求項1に記載のセンシング端末。
【請求項6】
前記制御部は、
前記加速度センサの検出結果が前記所定の閾値以上になったか否かを判定し、
前記所定の閾値以上になった場合、前記スリープ状態から前記アクティブ状態に遷移する、請求項5に記載のセンシング端末。
【請求項7】
前記製造装置は、半導体デバイスを製造する半導体製造装置である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のセンシング端末。
【請求項8】
製造装置内部の環境を検出する検出センサと、加速度センサと、制御部と、前記制御部に電力を供給するバッテリーとを備えたセンシング端末を用いたセンシング方法であって、
前記制御部は、前記検出センサの検出結果に基づいて所定の動作を実行するアクティブ状態と、前記アクティブ状態に比べて電力消費量が少ないスリープ状態との間で遷移可能であり、
前記センシング方法は、
前記加速度センサが加速度を検出するステップと、
前記制御部が、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移するステップと
を含む、センシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センシング端末およびセンシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を処理する基板処理装置等の半導体製造装置が知られている。半導体製造装置では、処理工程における処理状態を把握するため、処理中の基板の表面温度、および、処理液の温度等の装置内部の環境を計測することが求められる。そこで、半導体製造装置内部の環境を検出するためのセンシング端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ウエハ形状を有するプロセス条件測定デバイス(以下、測定デバイスと記載する)が記載されている。測定デバイスは、シリコンウエハ等からなる基板と、基板に配置される複数のセンサ、マイクロプロセッサ、記憶部およびバッテリー等とを含む。複数のセンサによって、半導体製造装置内部の環境を検出することが可能である。また、測定デバイスは、バッテリーに蓄えられた電力によって動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007-536726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリーからの給電によって動作するセンシング端末では、長時間にわたって検出動作を実行できるように、消費電力を抑えることが求められる。特許文献1に記載の測定デバイスでは、データの記憶操作の間の設定間隔を大きくしたり、記憶部に保存するデータを圧縮したりすることによって、消費電力の削減を図っている。
【0005】
しかしながら、例えば、センシング端末が所定位置にあるときの環境データ、または、半導体製造装置が所定の処理を実行しているときの環境データが必要となる場合がある。この場合、センシング端末が所定位置にないとき、または、半導体製造装置が所定の処理を実行していないときに、制御部が環境データを取得して所定の動作を実行すると、余計な電力を消費してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、消費電力を抑えることが可能なセンシング端末およびセンシング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、センシング端末は、検出センサと、制御部と、バッテリーと、加速度センサとを備える。前記検出センサは、製造装置内部の環境を検出する。前記制御部は、前記検出センサの検出結果に基づいて所定の動作を実行するアクティブ状態と、前記アクティブ状態に比べて電力消費量が少ないスリープ状態との間で遷移可能である。前記バッテリーは、前記制御部に電力を供給する。前記加速度センサは、加速度を検出する。前記制御部は、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移する。
【0008】
ある実施形態では、前記制御部は、前記加速度センサの検出結果に基づいて生成される時系列データのパターンと、前記加速度センサの検出結果に基づいて算出される位置との少なくとも一方に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移してもよい。
【0009】
ある実施形態では、前記制御部は、前記パターンと前記位置との少なくとも一方に基づいて、前記センシング端末が所定位置に配置されたか否かを判定してもよい。前記制御部は、前記所定位置に配置されたと判定した場合、前記スリープ状態から前記アクティブ状態に遷移してもよい。
【0010】
ある実施形態では、前記制御部は、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記センシング端末が前記所定位置から移動されたか否かを判定してもよい。前記制御部は、前記所定位置から移動されたと判定した場合、前記アクティブ状態から前記スリープ状態に遷移してもよい。
【0011】
ある実施形態では、前記制御部は、前記加速度センサの検出結果と、所定の閾値とを比較してもよい。前記制御部は、比較した結果に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移してもよい。
【0012】
ある実施形態では、前記制御部は、前記加速度センサの検出結果が前記所定の閾値以上になったか否かを判定してもよい。前記制御部は、前記所定の閾値以上になった場合、前記スリープ状態から前記アクティブ状態に遷移してもよい。
【0013】
ある実施形態では、前記製造装置は、半導体デバイスを製造する半導体製造装置であってもよい。
【0014】
本発明の別の局面によれば、センシング方法は、製造装置内部の環境を検出する検出センサと、加速度センサと、制御部と、前記制御部に電力を供給するバッテリーとを備えたセンシング端末を用いたセンシング方法である。前記制御部は、前記検出センサの検出結果に基づいて所定の動作を実行するアクティブ状態と、前記アクティブ状態に比べて電力消費量が少ないスリープ状態との間で遷移可能である。前記センシング方法は、前記加速度センサが加速度を検出するステップと、前記制御部が、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記アクティブ状態と前記スリープ状態との間で遷移するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消費電力を削減可能なセンシング端末およびセンシング方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態のセンシング端末によってセンシングされる基板処理装置の模式的な平面図である。
図2】基板処理装置における基板処理ユニットの模式図である。
図3】センシング端末の構成を概略的に示すブロック図である。
図4】加速度センサの検出結果に基づいて生成される加速度に関する時系列データのパターンの一例を示す図である。
図5】加速度センサの検出結果に基づいて生成される速度に関する時系列データのパターンの一例を示す図である。
図6】基板処理装置による基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
図7】センシング端末によるセンシング方法の一例を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態のセンシング端末が基板処理装置の基板保持部に取り付けられた状態を示す模式図である。
図9】第2実施形態のセンシング端末によるセンシング方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明によるセンシング端末およびセンシング方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。本実施形態では、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるセンシング端末500は、製造装置内部の環境をセンシングする装置である。センシング端末500がセンシングする製造装置の種類は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、半導体製造装置である。半導体製造装置は、半導体デバイスを製造するための装置である。また、本実施形態では、センシング端末500がセンシングする半導体製造装置は、基板を処理する基板処理装置100である。つまり、センシング端末500は、基板処理装置100内部の環境をセンシングする。なお、基板処理装置100は、本発明の「製造装置」および「半導体製造装置」の一例である。また、センシング端末500は、半導体製造装置以外の、例えば、パネルを製造するパネル製造装置の内部の環境、または、被印刷体に印刷して印刷物を製造する印刷機の内部の環境をセンシングしてもよい。
【0019】
理解を容易にするために、本発明の第1実施形態のセンシング端末500を説明する前に、まず、図1および図2を参照して、基板処理装置100について説明する。図1は、第1実施形態のセンシング端末500によってセンシングされる基板処理装置100の模式的な平面図である。
【0020】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去、および、洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0021】
基板Wは、半導体基板として用いられる。基板Wは、半導体ウエハを含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0022】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット10と、処理液キャビネット110と、処理液ボックス120と、複数のロードポート130と、インデクサーロボット140と、センターロボット150と、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポート130、インデクサーロボット140およびセンターロボット150を制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
【0023】
ロードポート130の各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボット140は、ロードポート130とセンターロボット150との間で基板Wを搬送する。センターロボット150は、インデクサーロボット140と基板処理ユニット10との間で基板Wを搬送する。基板処理ユニット10の各々は、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。処理液は、例えば、薬液、洗浄液、除去液および/または撥水剤を含む。処理液キャビネット110は、処理液を収容する。なお、処理液キャビネット110は、ガスを収容してもよい。
【0024】
具体的には、複数の基板処理ユニット10は、平面視においてセンターロボット150を取り囲むように配置された複数のタワー160(図1では4つのタワー160)を形成している。各タワー160は、上下に積層された複数の基板処理ユニット10(図1では3つの基板処理ユニット10)を含む。処理液ボックス120は、それぞれ、複数のタワー160に対応している。処理液キャビネット110内の液体は、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワー160に含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。また、処理液キャビネット110内のガスは、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワー160に含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。
【0025】
基板処理装置100において、センターロボット150および基板処理ユニット10の設置された領域と、処理液キャビネット110の設置された領域との間には、境界壁170が配置される。処理液キャビネット110は、基板処理装置100のうちの境界壁170の外側部分の領域の一部の空間を区画する。
【0026】
典型的には、処理液キャビネット110は、処理液を調製するための調製槽(タンク)を有する。処理液キャビネット110は、1種類の処理液のための調製槽を有してもよく、複数種類の処理液のための調製槽を有してもよい。また、処理液キャビネット110は、処理液を流通するためのポンプ、ノズルおよび/またはフィルターを有する。
【0027】
ここでは、処理液キャビネット110は、第1処理液キャビネット1101と、第2処理液キャビネット1102とを有する。第1処理液キャビネット1101および第2処理液キャビネット1102は互いに対向して配置される。
【0028】
制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。
【0029】
制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0030】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0031】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0032】
次に、図2を参照して、基板処理装置100における基板処理ユニット10を説明する。図2は、基板処理装置100における基板処理ユニット10の模式図である。
【0033】
基板処理ユニット10は、チャンバー11と、基板保持部20と、処理液供給部30とを備える。
【0034】
チャンバー11は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー11は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー11には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー11内に収容され、チャンバー11内で処理される。チャンバー11には、基板保持部20および処理液供給部30のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0035】
基板保持部20は、基板Wを保持する。基板保持部20は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部20は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。例えば、基板Wの上面Waには、リセスの形成された積層構造が設けられている。基板保持部20は、基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。
【0036】
例えば、基板保持部20は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部20は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部20は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部20は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部20は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0037】
例えば、基板保持部20は、スピンベース21と、チャック部材22と、シャフト23と、電動モーター24と、ハウジング25とを含む。チャック部材22は、スピンベース21に設けられる。チャック部材22は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース21には、複数のチャック部材22が設けられる。
【0038】
シャフト23は、中空軸である。シャフト23は、回転軸線Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト23の上端には、スピンベース21が結合されている。基板Wは、スピンベース21の上方に載置される。
【0039】
スピンベース21は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト23は、スピンベース21の中央部から下方に延びる。電動モーター24は、シャフト23に回転力を与える。電動モーター24は、シャフト23を回転方向に回転させることにより、回転軸線Axを中心に基板Wおよびスピンベース21を回転させる。ハウジング25は、シャフト23および電動モーター24の周囲を囲んでいる。
【0040】
処理液供給部30は、基板Wに処理液を供給する。典型的には、処理液供給部30は、基板Wの上面Waに処理液を供給する。処理液供給部30の少なくとも一部は、チャンバー11内に収容される。
【0041】
処理液供給部30は、基板Wの上面Waに処理液を供給する。処理液は、いわゆる薬液を含んでもよい。薬液は、例えば、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。また、薬液は、水または燐酸を含んでもよい。
【0042】
さらに、薬液は、過酸化水素水を含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)または王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。
【0043】
または、処理液は、いわゆる洗浄液(リンス液)を含んでもよい。例えば、洗浄液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0044】
処理液供給部30は、配管32と、ノズル34と、バルブ36とを含む。ノズル34は基板Wの上面Waに処理液を吐出する。ノズル34は、配管32に接続される。配管32には、供給源から処理液が供給される。バルブ36は、配管32内の流路を開閉する。ノズル34は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0045】
バルブ36は、配管32内の流路を開閉する。バルブ36は、配管32の開度を調節して、配管32に供給される処理液の流量を調整する。具体的には、バルブ36は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0046】
ノズル34は移動可能であってもよい。本実施形態では、ノズル34は、移動可能に構成されている。具体的には、処理液供給部30は、移動機構38をさらに含む。移動機構38は、ノズル34を移動させる。ノズル34は、制御部102によって制御される移動機構38にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動できる。
【0047】
詳細には、移動機構38は、アーム381と、回転シャフト382と、駆動機構383とを含む。アーム381は、略水平方向に延びる。アーム381の一端には、ノズル34が固定される。アーム381の他端には、回転シャフト382が固定される。回転シャフト382は、略鉛直方向に延びる。駆動機構383は、回転シャフト382の中心軸線回りに回転シャフト382を回転させる。これにより、回転シャフト382を中心として、アーム381およびノズル34が回転する。なお、駆動機構383は、回転シャフト382を略鉛直方向に移動させてもよい。この場合、アーム381およびノズル34が略鉛直方向に移動する。
【0048】
基板処理ユニット10は、カップ80をさらに備える。カップ80は、基板Wから飛散した処理液を回収する。カップ80は昇降する。例えば、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ80は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する処理液を回収する。また、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0049】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部20、処理液供給部30および/またはカップ80を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター24、バルブ36および/またはカップ80を制御する。
【0050】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体素子の作製に好適に用いられる。典型的には、半導体素子において、基材の上に導電層および絶縁層が積層される。基板処理装置100は、半導体素子の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0051】
なお、図2に示した基板処理ユニット10では、処理液供給部30は、1種類の処理液を供給可能である。ただし、本実施形態はこれに限定されない。処理液供給部30は、複数種類の処理液を供給してもよい。例えば、処理液供給部30は、用途の異なる複数種類の処理液を基板Wに順次供給可能であってもよい。あるいは、処理液供給部30は、用途の異なる複数種類の処理液を基板Wに同時に供給可能であってもよい。
【0052】
次に、図3を参照して、本実施形態のセンシング端末500について説明する。図3は、センシング端末500の構成を概略的に示すブロック図である。図3に示すように、センシング端末500は、センサ部510と、制御部520と、記憶部530と、通信部540と、バッテリー550とを備える。なお、制御部520は、本発明の「制御部」の一例である。
【0053】
センサ部510は、検出センサ511と、加速度センサ512とを有する。検出センサ511は、製造装置内部の環境を検出する。本実施形態では、検出センサ511は、基板処理装置100内部の環境を検出する。
【0054】
検出センサ511が検出する環境は、特に限定されるものではないが、例えば、温度、気圧、液圧、ガスまたは液等の流体の流量、流体の成分、電圧値、電流値、エッチング速度、基板W上の膜の厚みである。検出センサ511が検出する環境の数は、特に限定されるものではなく、検出センサ511は、1つ以上の環境を検出すればよい。本実施形態では、検出センサ511は、1つの環境を検出する。また、検出センサ511の数は、特に限定されるものではなく、1つ以上あればよい。本実施形態では、検出センサ511の数は、1つである。
【0055】
検出センサ511は、加速度センサ以外のセンサである。本実施形態では、検出センサ511は、温度を検出する温度センサである。検出センサ511の種類は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、検出センサ511は、例えば、熱電対またはサーミスタを含む。なお、検出センサ511は、接触型のセンサであってもよいし、非接触型のセンサであってもよい。
【0056】
検出センサ511は、基板処理装置100内部の環境を一定時間毎に検出する。検出センサ511は、検出結果を制御部520に送信する。具体的には、検出センサ511は、検出結果を示す信号を制御部520に送信する。
【0057】
加速度センサ512は、加速度を検出する。加速度センサ512の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、静電容量方式のセンサ、または、ピエゾ抵抗方式のセンサを用いることができる。
【0058】
センシング端末500は、例えば、製造装置内部で移動可能な部材または装置(以下、部材等と記載することがある)に固定される。加速度センサ512は、自身の加速度を検出する。言い換えると、加速度センサ512は、検出センサ511の加速度、センシング端末500の加速度、および、センシング端末500が固定される部材等の加速度を検出する。加速度センサ512は、加速度を一定時間毎に検出する。加速度センサ512による検出の間隔は、検出センサ511による検出の間隔に比べて長くてもよい。加速度センサ512は、検出結果を制御部520に送信する。具体的には、加速度センサ512は、検出結果を示す信号を制御部520に送信する。なお、後述するように、制御部520は、加速度センサ512の検出結果である加速度に基づいて、速度、移動距離および位置の少なくとも1つを算出することが可能である。
【0059】
制御部520は、例えば、マイクロコンピュータ(マイクロコントローラともいう)を含む。マイクロコンピュータは、例えば、マイクロプロセッサおよびメモリを有する。制御部520は、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって、種々の処理を行う。なお、制御部520は、CPU(Central Processing Unit)、またはMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサであってもよい。
【0060】
例えば、制御部520は、検出センサ511の検出結果に基づいて、検出値の時系列データを生成する。具体的には、制御部520は、検出センサ511からの信号を検出値に変換する。また、制御部520は、変換した検出値を用いて、検出値の時系列データを生成する。また、制御部520は、例えば、生成した時系列データを圧縮し、記憶部530に記憶する。
【0061】
記憶部530は、データを記憶する。記憶部530は、例えば、検出センサ511の検出結果を記憶する。具体的には、記憶部530は、例えば、検出センサ511の検出値の時系列データを記憶する。また、記憶部530は、例えば、加速度センサ512の検出結果をさらに記憶してもよい。また、記憶部530は、例えば、加速度センサ512の検出値の時系列データを記憶してもよい。この場合、制御部520は、加速度センサ512からの信号を検出値に変換して検出値の時系列データを生成し、生成した時系列データを圧縮して記憶部530に記憶してもよい。また、記憶部530は、各種プログラムをさらに記憶してもよい。
【0062】
記憶部530は、例えば、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0063】
通信部540は、通信機である。通信部540は、有線または無線によって、センシング端末500以外の装置にデータを送信する。通信部540は、例えば、インターフェースを含む。なお、通信部540は、アンテナを含んでもよい。記憶部530に記憶されたデータは、通信部540を介してセンシング端末500以外の装置(以下、受信装置と記載することがある)に送信される。記憶部530に記憶されたデータ(例えば、検出センサ511の検出結果、または、時系列データ)は、例えば、センシング端末500がセンシングを実行していないときに、通信部540を介して受信装置に送信される。
【0064】
バッテリー550は、制御部520に電力を供給する。バッテリー550に蓄えられた電力によって、センシング端末500がセンシングを実行する。バッテリー550は、特に限定されるものではないが、例えば、リチウムイオンバッテリーである。なお、バッテリー550は、リチウムイオンバッテリー以外のバッテリーでもよい。
【0065】
また、バッテリー550は、センシング端末500がセンシングを実行していないときに、外部電源によって充電される。例えば、バッテリー550は、後述する退避位置にセンシング端末500が配置されているときに、外部電源によって充電される。なお、バッテリー550は、センシング端末500から取り外された状態で、外部電源によって充電されてもよい。
【0066】
引き続き、制御部520について説明する。制御部520は、アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移可能である。アクティブ状態は、検出センサ511の検出結果に基づいて制御部520が所定の動作を実行する状態である。所定の動作は、例えば、検出センサ511からの信号を検出値に変換することを含む。また、所定の動作は、例えば、検出センサ511からの信号に基づいて、検出値の時系列データを生成することを含む。また、所定の動作は、例えば、時系列データを圧縮して記憶部530に記憶することを含む。
【0067】
スリープ状態は、アクティブ状態に比べて電力消費量が少ない状態である。スリープ状態は、例えば、制御部520が、検出センサ511からの信号を検出値に変換しない状態を含む。また、スリープ状態は、例えば、制御部520が、検出値の時系列データを生成しない状態を含む。また、スリープ状態は、例えば、制御部520が、時系列データを圧縮したり、記憶部530に記憶したりしない状態を含む。また、スリープ状態は、例えば、制御部520が、環境を検出するための電力を検出センサ511に供給しない状態を含んでもよい。
【0068】
センシング端末500の取付位置は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、図2に示すように、センシング端末500は、例えば、ノズル34に取り付けられる。また、本実施形態では、センシング端末500は、ノズル34を通過する処理液の温度、または、ノズル34の温度を検出する。センシング端末500は、ノズル34が所定位置(例えば、基板Wの上方)に配置された状態において、処理液の温度またはノズル34の温度を検出する。
【0069】
制御部520は、加速度センサ512の検出結果に基づいて、アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移する。従って、例えば、センシング端末500が所定位置にあるときのみ、または、基板処理装置100が所定の処理を実行しているときのみ、制御部520による所定の動作を実行することができる。よって、センシング端末500が所定位置にないとき、または、基板処理装置100が所定の処理を実行していないときに、制御部520が所定の動作を実行することを抑制できる。その結果、センシング端末500の消費電力を抑えることができる。本実施形態では、例えば、ノズル34が基板Wの上方の所定位置にないときにおける、センシング端末500の消費電力を抑えることができる。
【0070】
本実施形態では、制御部520は、加速度センサ512の検出結果に基づいて生成される時系列データのパターンと、加速度センサ512の検出結果に基づいて算出される位置との少なくとも一方に基づいて、アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移する。従って、例えば、センシング端末500が所定位置にあるか否か、または、基板処理装置100が所定の処理を実行しているか否かに基づいて、制御部520はアクティブ状態とスリープ状態との間で容易に遷移できる。よって、センシング端末500が所定位置にないとき、または、基板処理装置100が所定の処理を実行していないときに、制御部520が所定の動作を実行することを容易に抑制できる。さらに、制御部520による所定の動作の実行を抑制できるので、記憶部530に記憶するデータ量を抑制できる。よって、記憶部530を小型化することも可能である。
【0071】
具体的には、制御部520は、例えば、加速度センサ512の検出結果に基づいて、時系列データを生成する。また、制御部520は、例えば、加速度センサ512の検出結果に基づいて、時系列データのパターンを生成する。図4は、加速度センサ512の検出結果に基づいて生成される加速度に関する時系列データのパターンの一例を示す図である。図5は、加速度センサ512の検出結果に基づいて生成される速度に関する時系列データのパターンの一例を示す図である。時系列データのパターンは、加速度に関する時系列データのパターン(図4参照)であってもよい。また、時系列データのパターンは、速度に関する時系列データのパターン(図5参照)であってもよい。また、時系列データのパターンは、位置に関する時系列データのパターン(図示せず)であってもよい。このように、時系列データのパターンは、例えば、加速度、速度または位置を縦軸に、時間を横軸にしたものである。基板処理装置100が同じ処理を実行する場合、例えば、加速度センサ512が取り付けられる部材(ここでは、ノズル34)の時系列データのパターンは、略同じパターンになる。
【0072】
また、具体的には、制御部520は、例えば、加速度センサ512の検出結果に基づいて、センシング端末500の位置を算出する。言い換えると、制御部520は、例えば、加速度センサ512の検出結果に基づいて、加速度センサ512の位置、検出センサ511の位置、または、センシング端末500が固定される部材等の位置を算出する。例えば、センシング端末500の位置は、退避位置におけるセンシング端末500の位置(例えば、ホームポジション)に対して、センシング端末500の移動方向および移動距離を積算することによって、算出される。センシング端末500の移動方向および移動距離は、例えば、加速度センサ512の検出値を2回積分することによって算出可能である。
【0073】
また、本実施形態では、制御部520は、時系列データのパターン(図4および図5参照)と、算出されるセンシング端末500の位置との少なくとも一方に基づいて、検出センサ511が所定位置に配置されたか否かを判定する。従って、時系列データのパターンと、算出される位置との少なくとも一方に基づいて、センシング端末500が所定位置にあるか否か、または、基板処理装置100が所定の処理を実行しているか否かを容易に判定できる。そして、制御部520は、所定位置に配置されたと判定した場合、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。従って、センシング端末500が所定位置にないとき、または、基板処理装置100が所定の処理を実行していないときに、制御部520が所定の動作を実行することを容易に抑制できる。
【0074】
また、本実施形態では、制御部520は、加速度センサ512の検出結果に基づいて、センシング端末500が所定位置から移動されたか否かを判定し、所定位置から移動されたと判定した場合、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する。従って、時系列データのパターンと算出される位置との少なくとも一方に基づいて、センシング端末500が所定位置にあるか否か、または、基板処理装置100が所定の処理を実行しているか否かを容易に判定できる。よって、センシング端末500が所定位置にないとき、または、基板処理装置100が所定の処理を実行していないときに、制御部520が所定の動作を実行することを容易に抑制できる。
【0075】
次に、理解を容易にするために、センシング端末500によるセンシング方法を説明する前に、図6を参照して、基板処理装置100による基板処理方法の一例を説明する。図6は、基板処理装置100による基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0076】
本実施形態の基板処理装置100による基板処理方法の一例は、ステップS1~ステップS6を含む。ステップS1~ステップS6は、制御部102によって実行される。
【0077】
図6に示すように、ステップS1において、制御部520は、ノズル34を吐出位置へ移動させる。具体的には、制御部520は、駆動機構383により、ノズル34を退避位置から吐出位置へ移動させる。例えば、退避位置は、基板Wの上方から水平方向に移動した位置である。つまり、退避位置は、基板Wの上方以外の位置である。吐出位置は、基板Wの上方の位置である。吐出位置は、ノズル34から処理液を吐出する際にノズル34が配置される位置である。
【0078】
次に、ステップS2において、制御部520は、基板保持部20により、基板Wを回転させる。具体的には、制御部520は、電動モーター24によりスピンベース21を回転させることによって、基板Wを回転させる。なお、本実施形態では、ノズル34を吐出位置へ移動させた後に、基板Wの回転を開始するが、基板Wの回転を開始した後にノズル34を吐出位置へ移動させてもよいし、ノズル34の吐出位置への移動と基板Wの回転の開始とを並行して行ってもよい。
【0079】
次に、ステップS3において、制御部520は、ノズル34から処理液を吐出させる。処理液は、図示しないヒータにより所定温度に加熱された状態で、ノズル34から基板W上に吐出される。これにより、基板Wに対して所定の処理(エッチング等)が施される。
【0080】
次に、ステップS4において、制御部520は、ノズル34からの処理液の吐出を停止する。具体的には、ステップS3による処理液の吐出を開始してから所定時間経過すると、制御部520は、処理液の吐出を停止する。
【0081】
次に、ステップS5において、制御部520は、基板Wの回転を停止する。具体的には、制御部520は、電動モーター24によるスピンベース21の回転を停止することによって、基板Wの回転を停止する。
【0082】
次に、ステップS6において、制御部520は、ノズル34を退避位置へ移動させる。具体的には、制御部520は、駆動機構383により、ノズル34を吐出位置から退避位置へ移動させる。なお、本実施形態では、基板Wの回転を停止した後に、ノズル34を退避位置へ移動させるが、ノズル34を退避位置へ移動させた後に基板Wの回転を停止してもよいし、基板Wの回転の停止とノズル34の退避位置への移動とを並行して行ってもよい。
【0083】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。
【0084】
次に、本実施形態のセンシング端末500によるセンシング方法について説明する。図7は、センシング端末500によるセンシング方法の一例を示すフローチャートである。
【0085】
本実施形態のセンシング端末500によるセンシング方法は、ステップS101~ステップS105を含む。ステップS101~ステップS105は、制御部520によって実行される。なお、ステップS101およびステップS104は、本発明の「加速度センサが加速度を検出するステップ」の一例である。また、ステップS102およびステップS105は、本発明の「アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移するステップ」の一例である。
【0086】
図7に示すように、ステップS101において、制御部520は、センシング端末500が所定位置に配置されたか否かを判定する。なお、ステップS101では、制御部520は、スリープ状態になっている。
【0087】
具体的には、上記ステップS1でノズル34が退避位置から吐出位置に移動する際に、加速度センサ512は加速度の変化を検出する。詳細には、加速度センサ512は、水平方向の加速度が大きくなっていることを検出する。制御部520は、加速度センサ512の検出結果に基づいて時系列データのパターン(図4および図5参照)を生成し、時系列データのパターンに基づいてセンシング端末500が所定位置に配置されたか否かを判定する。または、制御部520は、加速度センサ512の検出結果に基づいてセンシング端末500の位置を算出し、算出した位置に基づいてセンシング端末500が所定位置に配置されたか否かを判定する。なお、制御部520は、時系列データのパターンと算出した位置との両方に基づいて、センシング端末500が所定位置に配置されたか否かを判定してもよい。
【0088】
例えば、制御部520は、生成した時系列データのパターンと、予め記憶部530に記憶された基準パターンとを比較する。例えば、制御部520は、生成した時系列データのパターンと予め記憶部530に記憶された基準パターンとの一致度が閾値以上であるか否かによって、センシング端末500が所定位置に配置されたか否かを判定する。
【0089】
または、例えば、制御部520は、算出した位置と、予め記憶部530に記憶された目標位置とを比較する。例えば、制御部520は、算出した位置と予め記憶部530に記憶された目標位置との一致度が閾値以上であるか否かによって、センシング端末500が所定位置に配置されたか否かを判定する。
【0090】
ステップS101で、センシング端末500が所定位置に配置されていないと制御部520が判定した場合、処理はステップS101を繰り返す。具体的には、上記ステップS1でノズル34が吐出位置に配置されるまで、処理はステップS101を繰り返す。
【0091】
その一方、ステップS101で、センシング端末500が所定位置に配置されたと制御部520が判定した場合、処理はステップS102に進む。具体的には、上記ステップS1でノズル34が吐出位置に配置されると、処理はステップS102に進む。
【0092】
次に、ステップS102において、制御部520は、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。
【0093】
次に、ステップS103において、制御部520は、センシングを実行する。つまり、センシング端末500によるセンシングが実行される。具体的には、制御部520は、検出センサ511からの信号を検出値に変換する。また、制御部520は、変換した検出値を用いて、検出値の時系列データを生成する。また、制御部520は、生成した時系列データを圧縮し、記憶部530に記憶する。
【0094】
次に、ステップS104において、制御部520は、センシング端末500が所定位置から移動されたか否かを判定する。具体的には、上記ステップS6でノズル34が吐出位置から退避位置に移動する際に、加速度センサ512は加速度の変化を検出する。
【0095】
例えば、制御部520は、ステップS101と同様にして、生成した時系列データのパターンと予め記憶部530に記憶された基準パターンとの一致度が閾値以上であるか否かによって、センシング端末500が所定位置から移動されたか否かを判定する。
【0096】
または、例えば、制御部520は、ステップS101と同様にして、算出した位置と予め記憶部530に記憶された退避位置との一致度が閾値以上であるか否かによって、センシング端末500が所定位置から移動されたか否かを判定してもよい。
【0097】
ステップS104で、センシング端末500が所定位置から移動されていないと制御部520が判定した場合、処理はステップS103に戻る。具体的には、上記ステップS6でノズル34が吐出位置から退避位置に向かって移動を開始するまで、処理はステップS103およびステップS104を繰り返す。または、上記ステップS6でノズル34が退避位置に到達するまで、処理はステップS103およびステップS104を繰り返してもよい。
【0098】
その一方、ステップS104で、センシング端末500が所定位置から移動されたと制御部520が判定した場合、処理はステップS105に進む。具体的には、上記ステップS6でノズル34が吐出位置から退避位置に向かって移動を開始すると、処理はステップS105に進む。または、上記ステップS6でノズル34が退避位置に到達すると、処理はステップS105に進んでもよい。
【0099】
次に、ステップS105において、制御部520は、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する。これにより、制御部520は、センシングを停止する。つまり、センシング端末500によるセンシングが停止する。具体的には、制御部520は、例えば、検出センサ511からの信号を検出値に変換しない。または、制御部520は、変換した検出値を用いて時系列データを生成しなくてもよい。または、制御部520は、例えば、時系列データを圧縮したり、記憶部530に記憶したりしなくてもよい。または、制御部520は、スリープ状態に遷移することによって、例えば、検出センサ511からの検出結果を受信しなくてもよいし、環境を検出するための電圧を検出センサ511に供給しなくてもよい。
【0100】
以上のようにして、センシング端末500によるセンシングが終了する。
【0101】
以上、図1図7を参照して本発明の第1実施形態を説明した。本実施形態では、上記のように、例えば、センシング端末500が所定位置にあるときのみ、または、基板処理装置100が所定の処理を実行しているときのみ、制御部520による所定の動作を実行することができる。よって、センシング端末500が所定位置にないとき、または、基板処理装置100が所定の処理を実行していないときに、制御部520が所定の動作を実行することを抑制できる。その結果、センシング端末500の消費電力を抑えることができる。本実施形態では、例えば、ノズル34が基板Wの上方の吐出位置にないときにおける、センシング端末500の消費電力を抑えることができる。
【0102】
また、上記のように、ステップS104で、ノズル34が吐出位置から退避位置に向かって移動を開始することによって、処理はステップS105に進む。従って、ノズル34が退避位置に到達した後に処理がステップS105に進む場合に比べて、早いタイミングでアクティブ状態からスリープ状態に遷移する。よって、センシング端末500の消費電力をより抑えることができる。
【0103】
(第2実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態によるセンシング端末500を説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、センシング端末500が基板保持部20に取り付けられる例について説明する。図8は、本実施形態のセンシング端末500が基板処理装置100の基板保持部20に取り付けられた状態を示す模式図である。
【0104】
図8に示すように、センシング端末500は、基板保持部20に取り付けられる。本実施形態では、センシング端末500は、基板保持部20のスピンベース21に取り付けられる。センシング端末500は、例えば、スピンベース21の温度、または、スピンベース21上に配置された基板Wの温度を検出する。本実施形態では、センシング端末500は、スピンベース21が回転している状態において、スピンベース21の温度、または、基板Wの温度を検出する。
【0105】
本実施形態では、制御部520は、加速度センサ512の検出結果と、所定の閾値とを比較し、比較した結果に基づいて、アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移する。従って、例えば、加速度センサ512の検出値の時系列データのパターンを生成したり、センシング端末500の位置を算出したりしなくてよい。よって、制御部520は、アクティブ状態とスリープ状態との間で容易に遷移することができる。本実施形態では、例えば、基板Wが回転しないときにおけるセンシング端末500の消費電力を抑えることができる。
【0106】
具体的には、制御部520は、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値(以下、第1閾値と記載することがある)以上になったか否かを判定する。所定の閾値は、予め決められた値であり、例えば、記憶部530に記憶されている。所定の閾値は、例えば、ゼロより大きく、基板Wを処理しているときの加速度よりも小さい値である。そして、制御部520は、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値以上になった場合、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。従って、例えば、基板処理装置100が所定の処理を実行しているときのみ、容易に、制御部520による所定の動作を実行することができる。よって、基板処理装置100が所定の処理を実行していないときに、制御部520が所定の動作を実行することを容易に抑制できる。
【0107】
また、制御部520は、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値(以下、第2閾値と記載することがある)未満になったか否かを判定する。そして、制御部520は、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値未満になった場合、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する。なお、第2閾値は、第1閾値と同じであってもよいし、第1閾値と異なってもよい。
【0108】
次に、本実施形態のセンシング端末500によるセンシング方法について説明する。図9は、センシング端末500によるセンシング方法の一例を示すフローチャートである。
【0109】
本実施形態のセンシング端末500によるセンシング方法は、ステップS201~ステップS205を含む。ステップS201~ステップS205は、制御部520によって実行される。なお、ステップS201およびステップS204は、本発明の「加速度センサが加速度を検出するステップ」の一例である。また、ステップS202およびステップS205は、本発明の「アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移するステップ」の一例である。
【0110】
図9に示すように、ステップS201において、制御部520は、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値(第1閾値)以上になったか否かを判定する。なお、ステップS201では、制御部520は、スリープ状態になっている。
【0111】
具体的には、上記ステップS2で基板保持部20のスピンベース21が回転を開始すると、加速度センサ512は加速度の変化を検出する。詳細には、加速度センサ512は、回転軸線Axを中心とする径方向の加速度が大きくなったことを検出する。制御部520は、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値以上になったか否かを判定する。なお、スピンベース21が回転していない状態では、加速度センサ512の検出結果は、例えばゼロである。また、スピンベース21の回転速度が大きくなるにしたがって、加速度センサ512の検出結果も大きくなる。
【0112】
ステップS201で、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値以上になっていないと制御部520が判定した場合、処理はステップS201を繰り返す。具体的には、上記ステップS2でスピンベース21の回転速度が所定値以上になるまで、処理はステップS201を繰り返す。
【0113】
その一方、ステップS201で、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値以上になったと制御部520が判定した場合、処理はステップS202に進む。具体的には、上記ステップS2でスピンベース21の回転速度が所定値以上になると、処理はステップS202に進む。
【0114】
次に、ステップS202において、制御部520は、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する。
【0115】
次に、ステップS203において、制御部520は、センシングを実行する。つまり、センシング端末500によるセンシングが実行される。具体的には、制御部520は、検出センサ511からの信号を検出値に変換する。また、制御部520は、変換した検出値を用いて、検出値の時系列データを生成する。また、制御部520は、生成した時系列データを圧縮し、記憶部530に記憶する。
【0116】
次に、ステップS204において、制御部520は、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値(第2閾値)未満になったか否かを判定する。具体的には、上記ステップS5でスピンベース21の回転が停止される際に、スピンベース21の回転速度は、所定値未満になった後、ゼロになる。
【0117】
ステップS204で、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値未満になっていないと制御部520が判定した場合、処理はステップS203に戻る。具体的には、上記ステップS5でスピンベース21の回転速度が所定値未満になるまで、処理はステップS203およびステップS204を繰り返す。
【0118】
その一方、ステップS204で、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値未満になったと制御部520が判定した場合、処理はステップS205に進む。具体的には、上記ステップS5でスピンベース21の回転速度が所定値未満になると、処理はステップS205に進む。
【0119】
次に、ステップS205において、制御部520は、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する。これにより、制御部520は、センシングを停止する。つまり、センシング端末500によるセンシングが停止する。
【0120】
以上のようにして、センシング端末500によるセンシングが終了する。
【0121】
第2実施形態のその他の構成およびセンシング方法は、上記第1実施形態と同様である。
【0122】
以上、図8および図9を参照して本発明の第2実施形態を説明した。本実施形態では、上記のように、制御部520は、加速度センサ512の検出結果と、所定の閾値とを比較し、比較した結果に基づいて、アクティブ状態とスリープ状態との間で遷移する。従って、制御部520は、例えば、加速度センサ512の検出値の時系列データのパターンを生成したり、センシング端末500の位置を算出したりしなくてよい。よって、制御部520は、アクティブ状態とスリープ状態との間で容易に遷移することができる。本実施形態では、例えば、基板Wが回転しないときにおけるセンシング端末500の消費電力を容易に抑えることができる。
【0123】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0124】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0125】
例えば、上記実施形態では、記憶部530に記憶されたデータが、センシング端末500がセンシングを実行していないときに受信装置に送信される例について説明したが、本発明はこれに限らない。記憶部530に記憶されたデータは、センシング端末500がセンシングを実行しているときに受信装置に送信されてもよい。このように構成すれば、記憶部530に記憶するデータ量を抑制できるので、記憶部530を小型化することができる。
【0126】
また、上記実施形態では、センシング端末500がノズル34またはスピンベース21に取り付けられる例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、センシング端末500は、ウエハ形状を有する端末であってもよい。このように構成すれば、例えば、処理中の基板Wの温度、または、処理中に基板Wに吐出される薬液の温度等を容易に検出できる。
【0127】
また、上記実施形態では、基板Wに対する処理中の環境を検出する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、インデクサーロボット140またはセンターロボット150による基板Wの搬送中の環境を検出してもよい。
【0128】
また、例えば第1実施形態では、センシング端末500が所定位置に配置された場合に、制御部520がスリープ状態からアクティブ状態に遷移する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、センシング端末500が所定位置に配置された場合に、制御部520がアクティブ状態からスリープ状態に遷移してもよい。
【0129】
また、例えば第1実施形態では、検出センサ511が所定位置から移動された場合に、制御部520がアクティブ状態からスリープ状態に遷移する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、検出センサ511が所定位置から移動された場合に、制御部520がスリープ状態からアクティブ状態に遷移してもよい。
【0130】
また、例えば第2実施形態では、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値以上になった場合に、スリープ状態からアクティブ状態に遷移する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値以上になった場合に、アクティブ状態からスリープ状態に遷移してもよい。
【0131】
また、例えば第2実施形態では、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値未満になった場合に、アクティブ状態からスリープ状態に遷移する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、加速度センサ512の検出結果が所定の閾値未満になった場合に、スリープ状態からアクティブ状態に遷移してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、センシング端末およびセンシング方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0133】
100 :基板処理装置(製造装置、半導体製造装置)
500 :センシング端末
511 :検出センサ
512 :加速度センサ
520 :制御部
550 :バッテリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9