(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005343
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】農作業機用リモコンシステム
(51)【国際特許分類】
A01B 63/00 20060101AFI20240110BHJP
A01B 63/02 20060101ALI20240110BHJP
A01B 35/00 20060101ALI20240110BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A01B63/00 Z
A01B63/02
A01B35/00 C
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105493
(22)【出願日】2022-06-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 善活
【テーマコード(参考)】
2B034
2B304
5K048
【Fターム(参考)】
2B034AA02
2B034BA06
2B034BB01
2B034BC06
2B034BG05
2B034BG10
2B034DA01
2B034DB40
2B304KA08
2B304LA04
2B304LC03
2B304MA02
2B304MB02
2B304MC20
2B304PA20
2B304RA27
5K048BA21
5K048DA01
5K048DB01
5K048EB02
5K048EB03
5K048FB15
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA23
5K048HA34
(57)【要約】
【課題】電源投入時の作業効率を向上させたトラクタに装着する農作業機に用いる農作業機用リモコンシステムを提供することを目的とする
【解決手段】作業機2に設けられ作業機2に有するアクチュエータ22を制御する制御装置20と、制御装置20と無線通信可能なリモコン装置10とを備え、制御装置20とリモコン装置10は、トラクタ1に備えるメインバッテリ5と外部電源スイッチ6を介した外部電源ハーネス7に接続されており、外部電源スイッチ6がOFFからONとなった場合、リモコン装置10と制御装置20は、互いに通信を確立して通常動作モードに移行し、リモコン装置10及び制御装置20が通常動作モードに移行した場合は、リモコン装置10からの操作信号を制御装置20が受信してアクチュエータ22が作動可能な状態となる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記作業機に設けられ前記作業機に有するアクチュエータを制御する制御装置と、前記制御装置と無線通信可能なリモコン装置とを備え、
前記制御装置と前記リモコン装置は、前記トラクタに備えるメインバッテリと外部電源スイッチを介した外部電源ハーネスに接続されており、
前記外部電源スイッチがOFFからONとなった場合、前記リモコン装置と前記制御装置は、互いに通信を確立して通常動作モードに移行し、
前記リモコン装置及び前記制御装置が通常動作モードに移行した場合は、前記リモコン装置からの操作信号を前記制御装置が受信して前記アクチュエータが作動可能な状態となることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記外部電源スイッチがOFFとなった場合、前記リモコン装置と前記制御装置の電源をOFFにすることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記リモコン装置は、リモコンバッテリを備え、前記外部電源スイッチがOFFからONとなった場合、前記リモコン装置が前記通常動作モードに移行せずに、前記リモコンバッテリの充電を行う設定が可能な機能を備えることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記リモコン装置と前記外部電源ハーネスの間に給電部を備え、前記給電部は、前記外部電源ハーネスの電圧を前記リモコンバッテリの充電に適した電圧に変換し、前記給電部と前記リモコン装置は切り離し可能であることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記制御装置は、外部電源判定部を備え、前記外部電源判定部は、前記外部電源ハーネスからの入力を検知して、前記外部電源スイッチがONとなったことを検知することを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記外部電源判定部は、前記外部電源ハーネスを接続しない場合は、グランドと接続されていない状態を検知することを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記外部電源スイッチは、前記トラクタの始動スイッチと共有又は連動するスイッチであることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機用リモコンシステムに関し、特に、トラクタに装着する作業機に用いる農作業機用リモコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着して農作業を行う作業機にはアクチュエータを備えていることが多く、このアクチュエータはリモコン装置の操作部からの操作により作業機側の制御部で制御されることが一般的である。一方、トラクタには、トラクタのエンジン始動のスイッチと連動した外部電源スイッチを備えている場合がある。この場合は、この外部電源をトラクタに装着する作業機に必要な電源とすることが可能であった。
【0003】
特許文献1には、農作業機の作動の制御において、指令スイッチが押動されつづけなくても所定の作業を継続し、制御部は所定の作業中に複数のスイッチの何れかが押された場合に所定の作業を停止する指令信号データを通信部に送るリモコン装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リモコン装置の操作部とトラクタに装着する作業機側の制御部が無線通信で行う場合は、外部電源が入った後にリモコン装置のスイッチを操作して、制御部との無線通信の確立を行う必要があった。このため、トラクタ側のエンジン始動スイッチをONとしても、即座に作業機側のアクチュエータ等を操作部で作動させることができなかった。この場合は、トラクタのエンジンを停止させるたびに、リモコン装置側のスイッチを操作して制御部との無線通信の確立を待つ必要があるため作業効率が低下していた。
【0006】
また、特許文献1では、作業中の制御に関する技術であり、電源投入時に関する技術ではない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、電源投入時の作業効率を向上させたトラクタに装着する農作業機に用いる農作業機用リモコンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、代表的な本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる農作業機用リモコンシステムにおいて、前記作業機に設けられ前記作業機に有するアクチュエータを制御する制御装置と、前記制御装置と無線通信可能なリモコン装置とを備え、前記制御装置と前記リモコン装置は、前記トラクタに備えるメインバッテリと外部電源スイッチを介した外部電源ハーネスに接続されており、前記外部電源スイッチがOFFからONとなった場合、前記リモコン装置と前記制御装置は、互いに通信を確立して通常動作モードに移行し、前記リモコン装置及び前記制御装置が通常動作モードに移行した場合は、前記リモコン装置からの操作信号を前記制御装置が受信して前記アクチュエータが作動可能な状態となることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、前記外部電源スイッチがOFFとなった場合、前記リモコン装置と前記制御装置の電源をOFFにすることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、前記リモコン装置は、リモコンバッテリを備え、前記外部電源スイッチがOFFからONとなった場合、前記リモコン装置が前記通常動作モードに移行せずに、前記リモコンバッテリの充電を行う設定が可能な機能を備えることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、前記リモコン装置と前記外部電源ハーネスの間に給電部を備え、前記給電部は、前記外部電源ハーネスの電圧を前記リモコンバッテリの充電に適した電圧に変換し、前記給電部と前記リモコン装置は切り離し可能であることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、前記制御装置は、外部電源判定部を備え、前記外部電源判定部は、前記外部電源ハーネスからの入力を検知して、前記外部電源スイッチがONとなったことを検知することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、前記外部電源判定部は、前記外部電源ハーネスを接続しない場合は、グランドと接続されていない状態を検知することを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、前記外部電源スイッチは、前記トラクタの始動スイッチと共有又は連動するスイッチであることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、農作業機用リモコンシステムにおいて、電源投入時の作業効率を向上することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の農作業機用リモコンシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態を示す平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態において外部電源に接続する場合の配線状態を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態において外部電源に接続する場合の配線状態の別の例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態において外部電源に接続しない場合の配線状態を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態のリモコン装置を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態のフローチャートである。
【
図8】本発明の第1の実施形態のフローチャートの別の例である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に適用される農作業機の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0014】
<ブロック図>
図1は、本発明の農作業機用リモコンシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【0015】
トラクタ1に農作業を行う作業部を備える作業機2を装着する。トラクタ1側には、メインバッテリ5、外部電源スイッチ6、リモコン装置10、給電部11を備えている。また、作業機2側には、制御装置20、センサ21、アクチュエータ22を備えている。
【0016】
メインバッテリ5はトラクタ1に備えるバッテリであり、トラクタ1の電源として使用可能である。一方、メインバッテリ5に接続することで各種機器の電源とすることが可能となる。
【0017】
外部電源スイッチ6は、メインバッテリ5との接続をON(入)、OFF(切)するためのスイッチである。外部電源スイッチ6をONとするとメインバッテリ5と通電し、OFFとすると通電が遮断される。外部電源スイッチ6はトラクタ1の電源をON・OFFとする始動スイッチ(例えば、エンジン始動のキースイッチ等)と共有又は連動できる。すなわち、例えばトラクタ1のエンジンをかける等してトラクタ1の電源をONにさせると、外部電源スイッチ6はONとなる。一方、例えばトラクタ1のエンジンを止める等してトラクタ1の電源をOFFにさせると、外部電源スイッチ6はOFFとなる。
【0018】
給電部11は、電圧を変換する機器である。例えば、メインバッテリ5に適した電圧から、リモコンバッテリ10eの充電に適した電圧に変換する。具体的にはメインバッテリ5の12Vの電圧から、リモコンバッテリ10eの充電に適した5Vの電圧に変換する。このことで、給電部11とリモコン装置10の間はUSB(Universal Serial Bus)規格を用いることが可能となる。給電部11とリモコン装置10は、給電ハーネス15で接続されている。この給電ハーネス15は給電部11による電圧変換によりUSB規格(micro USB等)のケーブルを用いることが可能となる。
【0019】
リモコン装置10は、主として作業機2側のアクチュエータ22の操作を遠隔で行うためのリモコン装置である。また、作業機2側の制御装置20から、アクチュエータ22の制御の情報やセンサ21の情報を取得してもよい。リモコン装置10と制御装置20は無線通信Rによって情報のやりとりが可能である。リモコン装置10は、表示部10a、操作部10b、無線通信部10c、処理部10d、リモコンバッテリ10eを備えている。リモコン装置10は、トラクタ1の運転席近傍に配置可能である。
【0020】
リモコン装置10は給電部11と接続可能である。給電部11がメインバッテリ5と接続され、かつ、外部電源スイッチ6がONの場合は、メインバッテリ5を電源として給電部11を介してリモコン装置10に電力が供給される。給電部11からの電力は、リモコン装置10の電源やリモコンバッテリ10eの充電に用いられる。
【0021】
表示部10aは、操作や設定、作業機2に関する各種情報を表示する装置である。例えば、液晶画面や有機EL(OLED)画面を適用してもよい。また、タッチパネルとして、操作部10bの機能を有していてもよい。
【0022】
操作部10bは、リモコン装置10を操作するためのスイッチを備えている。スイッチは押しボタンスイッチなど各種スイッチを適用できる。また、タッチパネルの方式を採用してもよい。
【0023】
無線通信部10cは、制御装置20の無線通信部20cと無線通信を行う。無線モジュール等で構成可能である。無線通信は、例えば、Wi-FiやBluetooth等の規格や、920MHz帯や2.4GHz帯等の周波数帯を用いることができる。
【0024】
処理部10dは、操作部10bの操作による情報を無線通信部10cから送信する等の処理や表示部10aに必要な情報を表示させる等の処理を行う。さらに、後述する電源連動の処理を行うことができる。処理部10dは、CPU(中央処理装置)やメモリ等、演算処理のために必要な電子デバイス等で構成される。
【0025】
リモコンバッテリ10eは、リモコン装置10の電源となるバッテリであり、例えば二次電池を使用できる。リモコンバッテリ10eは、給電部11との接続時で外部電源スイッチ6がONの場合は、給電部11を介してメインバッテリ5からの電気を充電可能である。また、リモコン装置10を給電部11から分離した場合は、リモコン装置10はリモコンバッテリ10eを電源として作動させることができる。
【0026】
制御装置20は、リモコン装置10から無線通信Rを介した操作信号に基づきアクチュエータ22の制御を行う。また、必要に応じてセンサ21の情報も制御に使用する。また、制御装置20から、アクチュエータ22の制御の情報やセンサ21の情報等をリモコン装置10に送信する。制御装置20は、制御部20a、入出力部20b、無線通信部20c、外部電源判定部20dを備える。
【0027】
制御部20aは、リモコン装置10からの操作信号の情報(電気信号)やセンサ21で検知した情報を入力し、アクチュエータ22の制御するための処理等を行う。さらに、後述する電源連動の処理を行うことができる。制御部20aは、CPU(中央処理装置)やメモリ等、演算処理のために必要な電子デバイス等で構成される。
【0028】
入出力部20bは、制御部20aの制御に基づきアクチュエータ22に電源を供給する等の機能を果たす。
【0029】
無線通信部20cは、リモコン装置10の無線通信部10cと無線通信を行う。無線モジュール等で構成可能である。
【0030】
外部電源判定部20dは、制御装置20が外部電源スイッチ6を介してメインバッテリ5と接続されている場合に外部電源スイッチ6がONとなっているか否かを判定する処理部である。そのためのデバイスで構成される。処理の詳細については後述する。
【0031】
センサ21は、作業機2側に設置されるセンサであり、作業機2の必要に応じて様々な種類のセンサが設けられる。センサ21は、例えば、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサ、地磁気センサ、回転センサ、ポテンショメータ、リミットスイッチ等である。これにより、アクチュエータ22による作業機2の状態等を検知することができる。
【0032】
アクチュエータ22は、作業機2側に設置される。アクチュエータ22は、例えば、作業機2の一部を必要に応じて可動させるためのアクチュエータである。アクチュエータ22としては、例えば、油圧シリンダや電動油圧シリンダ等のシリンダや、モータ等を適用できる。特に、作業機2の作業部の位置を移動させるアクチュエータを用いることで、これを制御して農作業の作業性を高めることができる。
【0033】
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態を示す平面図である。
図2の左右方向が横方向であり、
図2の上方向が前方向である。トラクタ1の後部に作業機2が装着されており、作業機2で農作業を行う。なお、トラクタの図示は簡略化してある。また、第1の実施形態では、作業機2が畦塗り機50の場合について説明する。
【0034】
メインバッテリ5とコネクタ接続25の間は外部電源ハーネス7及び電源ハーネス8で接続されている。給電部11、コネクタ接続25、コネクタ接続26の間は中間ハーネス9で接続されている。給電部11とリモコン装置10の間は給電ハーネス15で接続されている。コネクタ接続26と制御装置20の間は接続ハーネス16で接続されている。コネクタ接続25、26は、トラクタ1側に配置される。トラクタ1と作業機2を取り外す際は、コネクタ接続26の接続を取り外せばよい。外部電源ハーネス7、電源ハーネス8、中間ハーネス9、接続ハーネス16の接続の詳細は
図3で説明する。
【0035】
畦塗り機50は、前部に備えられる装着部51をトラクタ1の後部に接続して装着する。装着部51と中間フレーム52は、水平方向に回動可能な支点52aにより連結され、中間フレーム52と作業部58は、水平方向に回動可能な支点52bにより連結されている。作業部58は、作業方向前側から前処理部55、耕耘部56、ディスク部57を有している。作業時は、トラクタ1から伝達された動力により前処理部55で旧畦の前処理をして、耕耘部56で旧畦の土を盛り上げ、ディスク部57の回転により畦形状に形成する。耕耘部56は、複数の爪56aが回転して土を盛り上げる。ディスク部57は、畦の法面を形成する本体ディスク部57aと、畦の上面を形成する上面ディスク部57bを有している。
【0036】
第1電動油圧シリンダ61は、装着部51と中間フレーム52の間に接続されている。第3電動油圧シリンダ63は、ディスク部57に対する耕耘部56の深さを変更可能に接続される。これらの電動油圧シリンダは、
図1のアクチュエータ22に相当する。また、制御装置20は、装着部51に設置されている。なお、作業部58と中間フレーム52と連動するリンク機構に接続される第2電動油圧シリンダを設けてもよい。
【0037】
図2の状態は前進作業状態である。前進作業状態は、作業部58がトラクタ1の横方向の全幅よりも外側(右側)にはみ出して構成し、作業部58の外側へのはみ出し量(オフセット量)は、第1電動油圧シリンダ61により調整できるようになっている。
図2の状態から第1電動油圧シリンダ61を縮めると作業部58が、トラクタ1の幅方向中央に位置する格納状態となる。さらに、第2電動油圧シリンダを備える場合は、格納状態から、第2電動油圧シリンダを作動させると作業部58が前後反転して、トラクタ1の横方向の全幅よりも反対側(左側)にはみ出す後進作業状態とすることができる。後進作業状態の場合は、トラクタ1の後ろ側が作業部58の進行方向となりトラクタ1を後進させながら作業を行うことができる。
【0038】
さらに、畦塗り機50は、散水装置65を備えており、モータ等によりタンク65aの水をディスク部57付近のノズル65bから放出して畦の水分量を調節する。散水装置65のモータは、
図1のアクチュエータ22に相当する。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施形態において外部電源に接続する場合の配線状態を示す図である。
【0040】
メインバッテリ5と給電部11と制御装置20の間のハーネスには、コネクタ31~38を備えている。ここで、コネクタ31とコネクタ32の接続がコネクタ接続25に相当する。また、コネクタ33~35とコネクタ36~38の接続がコネクタ接続26に相当する。
【0041】
コネクタ31は、2つの接続部31a、31bを備えている。接続部31aは、メインバッテリ5のプラス側(
図3では12V)に外部電源スイッチ6を介して接続される外部電源ハーネス7の配線の端部と接続されている。接続部31bは、メインバッテリ5のグランド4側に直接接続される外部電源ハーネス7の配線の端部と接続されている。
【0042】
コネクタ32は、2つの接続部32a、32bを備えている。接続部32a、32bは、中間ハーネス9の配線の端部と接続されている。
【0043】
コネクタ33は、接続部33aを備えている。接続部33aは、メインバッテリ5のプラス側に直接接続される電源ハーネス8の配線の端部と接続されている。
【0044】
コネクタ34は、2つの接続部34a、34bを備えている。接続部34aは、接続部32aに接続される中間ハーネス9の配線の端部と接続されている。接続部34bは、接続部32bに接続される中間ハーネス9の配線の端部と接続されている。
【0045】
コネクタ35は、接続部35aを備えている。接続部35aは、メインバッテリ5のグランド4側に直接接続される電源ハーネス8の配線の端部と接続されている。
【0046】
コネクタ36は、接続部36aを備えている。接続部36aは、制御装置20に接続される接続ハーネス16の配線の端部と接続されている。
【0047】
コネクタ37は、2つの接続部37a、37bを備えている。接続部37a、37bは、制御装置20の外部電源判定部20dに接続される接続ハーネス16の配線の端部と接続されている。
【0048】
コネクタ38は、接続部38aを備えている。接続部38aは、制御装置20に接続される接続ハーネス16の配線の端部と接続されている。
【0049】
ここで、コネクタ31とコネクタ32は着脱可能であり、接続の際には接続部31a、31bは、それぞれ接続部32a、32bと接続される。また、コネクタ33とコネクタ36は着脱可能であり、接続の際には接続部33aは接続部36aと接続される。また、コネクタ34とコネクタ37は着脱可能であり、接続の際には接続部34a、34bは、それぞれ接続部37a、37bと接続される。また、コネクタ35とコネクタ38は着脱可能であり、接続の際には接続部35aは接続部38aと接続される。
【0050】
図3の接続状態は、コネクタ31とコネクタ32、コネクタ33とコネクタ36、コネクタ34とコネクタ37、コネクタ35とコネクタ38がそれぞれ接続する。
図3の接続状態においては、メインバッテリ5の電源は、外部電源スイッチ6にかかわらず電源ハーネス8を介して制御装置20と通電している。これにより、外部電源ハーネス7の規格を上回る電力を必要とするアクチュエータ22に対応することができる。ただし、外部電源スイッチ6がOFFの場合は、制御装置20の電源はOFFとなる制御がなされる。
【0051】
外部電源判定部20dでは所定の電位が設定されている。外部電源判定部20dで設定される電位は0V以外(グランドの電位以外)の電位であり、例えば+5V等である。
図3の接続状態において、外部電源スイッチ6がOFFの場合は、接続部37aの接続先はどこにも接続されないため外部電源判定部20dに入力はなく、設定電圧のままとなる。一方、接続部37bに接続される接続ハーネス16は、グランド4と接続されているため外部電源判定部20dにはグランド4の電位(0V)が入力される。さらに、
図3の接続状態で外部電源スイッチ6がONの場合は、コネクタ37の接続部37aはメインバッテリ5のプラス側と接続されるため外部電源判定部20dにはメインバッテリ5のプラス側の電位(
図3では12V)が入力される。一方、接続部37bに接続される接続ハーネス16は、グランド4と接続されているため外部電源判定部20dにはグランド4の電位(0V)が入力される。外部電源判定部20dはこれらの入力を検知することで、外部電源スイッチ6がONの状態であることを判定できる。
【0052】
また、コネクタ31と32、コネクタ34と37の接続を切り離すと、給電部11が分離可能となる。
【0053】
図4は、本発明の第1の実施形態において外部電源に接続する場合の配線状態の別の例を示す図である。
図4は、
図3と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。
【0054】
図4の配線では、
図3に対して、電源ハーネス8を省略している点が異なる。このため、
図4の接続状態は、コネクタ31とコネクタ32、コネクタ34とコネクタ37がそれぞれ接続する。これにより、小電力のみが必要な場合等、外部電源ハーネス7の規格内の電力の使用であれば、
図3の電源ハーネス8を設ける必要がない。なお、外部電源判定部20dは、
図3と同様に作用することができる。なお、
図4ではコネクタ34とコネクタ37の接続がコネクタ接続26に相当する。
【0055】
図5は、本発明の第1の実施形態において外部電源に接続しない場合の配線状態を示す図である。
【0056】
図5では、トラクタ1に外部電源スイッチ6を有さない場合の接続例を示すものである。ここでは給電部11を接続しない。リモコン装置10は内部の電池を電源とすることができる。一方、制御装置20の外部電源判定部20dは、
図5の接続により外部電源スイッチ6と接続されていないことを判定できるようにしている。このことで、電源連動の判断を的確に行えるようにしている。
【0057】
図5では、外部電源スイッチ6を有さないため、トラクタ1側に外部電源ハーネス7を備えていない。一方、制御装置20側にはコネクタ37と接続するコネクタ39を備えている。コネクタ39は、2つの接続部39a、39bを備えている。接続部39aは、コネクタ36の接続部36aと接続される接続ハーネス16の配線と分岐した配線の端部に接続されている。接続部39bは、どことも接続されていない。なお、コネクタ39は
図3の接続状態の場合は使用しないためカバーなどをしておけばよい。
【0058】
ここで、コネクタ37とコネクタ39は着脱可能であり、接続の際には接続部37a、37bは、それぞれ接続部39a、39bと接続される。
【0059】
図5の接続状態は、コネクタ33とコネクタ36、コネクタ39とコネクタ37、コネクタ35とコネクタ38がそれぞれ接続する。
図5の接続状態においては、メインバッテリ5の電源は、電源ハーネス8を介して制御装置20と通電している。
【0060】
さらに、
図5の接続状態では、コネクタ37の接続部37aは、電源ハーネス8を介してメインバッテリ5のプラス側に接続されているため、メインバッテリ5のプラス側の電位(
図5では12V)となっている。一方、コネクタ37の接続部37bは、どことも接続されないため、外部電源判定部20dで設定される電位(例えば+5V等)となる。外部電源判定部20dではこれらの入力を検知することで、外部電源スイッチ6を備える外部電源ハーネス7と接続されていないことを判定できる。
【0061】
図6は、本発明の第1の実施形態のリモコン装置を示す図である。
【0062】
リモコン装置70は、押しボタンによるスイッチ71a~71oを備えている。また表示部72を備えている。リモコン装置70は、
図1のリモコン装置10の一例であり、スイッチ71a~71oは
図1の操作部10bに相当し、表示部72は
図1の表示部10aに相当する。
【0063】
スイッチ71aはリモコン装置70の電源スイッチである。スイッチ71bはモード切換スイッチである。スイッチ71mは設定を行うためのスイッチである。スイッチ71nは表示部72の表示内容を切り替えるスイッチである。スイッチ71oは選択した内容を決定するため等のスイッチである。
【0064】
スイッチ71cは、畦塗り機50を格納状態にするスイッチである。スイッチ71dは、第2電動油圧シリンダを備えている場合に畦塗り機50を後進作業状態にするスイッチである。スイッチ71eは、畦塗り機50を前進作業状態にするスイッチである。これらは、第1電動油圧シリンダ61と第2電動油圧シリンダを制御させて行うことができる。
【0065】
スイッチ71fとスイッチ71gは、畦塗り機50の作業部58のオフセット量を調節するスイッチである。これらは、第1電動油圧シリンダ61を制御させて行うことができる。
【0066】
スイッチ71hとスイッチ71iは、耕耘部56の深さを調節するスイッチである。これらは、第3電動油圧シリンダ63を制御させて行うことができる。
【0067】
スイッチ71jは、散水装置65のON・OFFを行うスイッチである。スイッチ71kとスイッチ71lは散水装置65の散水量を調節するスイッチである。これらは、散水装置65のモータを制御させて行うことができる。
【0068】
表示部72は、液晶画面や有機EL画面を適用できる。表示部72は、操作や設定、作業機2に関する各種情報を表示可能である。
【0069】
図7は、本発明の第1の実施形態のフローチャートである。
図7では、外部電源連動の処理について示し、左側に制御装置20の処理、右側にリモコン装置10の処理を示す。ここでは、
図3、4の接続状態のときの処理を示す。
【0070】
最初に、制御装置20側の処理について説明する。
【0071】
トラクタ1の外部電源スイッチ6がOFFの状態では制御装置20の電源はOFFであり、制御装置20がリモコン装置10からの操作信号を受信できない状態(非動作モード)である。
【0072】
ステップS101で、トラクタ1の外部電源スイッチ6がOFFからONとなると、ステップS102へ進み、制御装置20の電源をONとする。
図3、4に示すように制御装置20とメインバッテリ5は電源ハーネス8で接続されているが、外部電源スイッチ6がONとなるまでは制御装置20の主電源は入っていない。このとき、制御装置20の無線モジュールもONとなる。すなわち、制御装置20の無線通信部20cが送受信可能な状態となる。
【0073】
次に、ステップS103では、外部電源連動の判定を行う。制御装置20が外部電源連動の判定は、
図3、4の接続状態で外部電源スイッチ6がONとなっているか否か判定することができる。ここでの判定は制御装置20の外部電源判定部20dで行うことができる。外部電源スイッチ6がONとなっている場合は、外部電源連動が可能であると判定する。外部電源連動が可能である場合にのみS104へ行く。
【0074】
外部電源連動の判定は、外部電源判定部20dが
図3、4に示したコネクタ37の接続部37aと接続される配線と接続部37bに接続される配線からの入力を検知することにより行うことができる。外部電源スイッチ6がONの場合は、接続部37aと接続される配線からはメインバッテリ5のプラス側の電位(例えば12V)の入力がなされる。また、接続部37bに接続される配線からはグランド4の電位(0V)の入力がなされる。外部電源判定部20dではこれらの入力を検知する。一方、外部電源スイッチ6がOFFの場合は、接続部37aの接続先はどことも接続されなくなるため、接続部37aと接続される配線からの入力はない。また、
図5の接続状態の場合は、接続部37bの接続先はどことも接続されないため、接続部37bと接続される配線からの入力はない。このため、外部電源スイッチ6がOFFの場合や
図5の接続状態の場合は、外部電源連動が可能であると判定されない。
【0075】
ステップS104では、制御装置20がリモコン装置10から起動指令の信号を受信したか否かを判定する。リモコン装置10からの起動指令の信号の送信はステップS205の処理により無線通信Rにより行われる。起動指令の信号を受信した場合のみステップS105へ進む。それ以外の場合は起動指令の待機状態となる。ここでの判定は、制御装置20の制御部20aで行うことができる。
【0076】
ステップS105では、制御装置20からリモコン装置10へ起動指令の信号を送信する。起動指令の信号は、制御装置20の制御部20aの処理により無線通信部20cから無線通信Rによりリモコン装置10の無線通信部10cへ送られる。
【0077】
次に、ステップS106では、制御装置20を通常動作モードに移行する。この通常動作モードは、制御装置20がリモコン装置10からの操作信号を受信した場合は、受信した操作信号に応じてアクチュエータ22を制御部20aで制御して作動させるモードである。
【0078】
次に、ステップS107では、外部電源スイッチがOFFとなったか否かを判定する。ここでの判定は制御装置20の外部電源判定部20dで行うことができる。OFFとなった場合はステップS108へ進む。OFFとならない場合は、ステップS106の通常動作モードを継続する。
【0079】
外部電源スイッチがOFFとなったか否かの判定は、外部電源判定部20dが
図3、4に示したコネクタ37の接続部37aに接続される配線からの入力を検知することにより行うことができる。外部電源スイッチ6がOFFの場合は、接続部37aと接続される配線への入力はなくなる。外部電源判定部20dがこれを検知すればよい。
【0080】
ステップS108では、通常動作モードを終了し制御装置20の電源をOFFとして処理が終了する。この場合は、アクチュエータ22を作動させない非動作モードである。
【0081】
続いて、リモコン装置10側の処理について説明する。
【0082】
トラクタ1の外部電源スイッチ6がOFFの状態ではリモコン装置10の電源はOFFの状態であり、リモコン装置10から操作信号を送信できない状態(非動作モード)である。
【0083】
ステップS201で、トラクタ1の外部電源スイッチ6がOFFからONとなると、ステップS202へ進み、リモコン装置10の電源が入り待機状態となる。すなわち、リモコン装置10の無線通信部10cが送受信可能な状態となる。
【0084】
次に、ステップS203では、リモコン装置10が外部電源連動の設定がされているか否かの判定を行う。外部電源連動の設定がされていない場合はステップS204へ進み、外部電源連動の設定がされている場合はステップS205へ進む。
【0085】
リモコン装置10が外部電源連動の設定がされているか否かの判定は、あらかじめリモコン装置10でその設定が行われているか否かで判定する。また、あらかじめ設定されていない場合は、このときに設定を選択させてもよい。この設定は、
図6のリモコン装置70であれば、スイッチ71mを長押しする等して、表示部72に選択肢を表示させてユーザの操作により外部電源連動の設定を行うことができる。また、外部電源連動の設定を行わない選択も可能である。この場合は上述のようにステップS204へ進む。さらに、外部電源連動の設定がされているか否かの判定は、
図3、4の接続状態で、かつ、リモコン装置10と給電部11が接続されている状態で、外部電源スイッチ6がONの場合が前提となる。この場合、リモコン装置10は給電部11から電力が供給されていることを検知して判定を行うことができる。すなわち、外部電源連動の設定があらかじめされていない場合や、リモコン装置10に給電部11から電力が供給されていない場合は、外部電源連動が設定されていると判定されない。このため、リモコン装置10を給電部11から切り離した場合は、外部電源連動が設定されていると判定されない。これらの判定処理は、リモコン装置10の処理部10dで行うことができる。
【0086】
ステップS204では、リモコン装置10のリモコンバッテリ10eの充電を行う。これにより、リモコン装置10を給電部11から分離してもリモコン装置10を単体で使用することが可能となる。ただし、この場合は外部電源連動の処理は行われない。
【0087】
ステップS205では、リモコン装置10から制御装置20へ起動指令の信号を送信する。起動指令の信号は、リモコン装置10の処理部10dの処理により無線通信部10cから無線通信Rを用いて制御装置20の無線通信部20cへ送られる。
【0088】
次に、ステップS206では、リモコン装置10が制御装置20から起動指令の信号を受信したか否かを判定する。制御装置20からの起動指令の信号はステップS105の処理により無線通信Rにより行われる。起動指令の信号を受信した場合はステップS208へ進み、起動指令の信号を受信しない場合はステップS207へ進む。ここでの判定は、リモコン装置10の処理部10dで行うことができる。
【0089】
ステップS207では、リモコン装置10の表示部10aの画面をOFFにしてステップS205へ戻る。この場合はリモコン装置10と制御装置20の通信が確立していないため、表示部10aの画面をOFFにして無駄な電力の消費を抑えるとともに、再度リモコン装置10から制御装置20へ起動指令の信号を送信する。
【0090】
ステップS208では、リモコン装置10を通常動作モードに移行する。この通常動作モードは、リモコン装置10と制御装置20の通信が確立し、リモコン装置10から操作信号を制御装置20に送信してアクチュエータ22を作動できる状態であるモードである。
【0091】
次に、ステップS209では、外部電源スイッチがOFFとなったか否かを判定する。ここでの判定はリモコン装置10の処理部10dで行うことができる。OFFとなった場合はステップS210へ進む。OFFとならない場合は、ステップS208の通常動作モードを継続する。
【0092】
外部電源スイッチがOFFとなったか否かの判定は、処理部10dでリモコン装置10が給電部11から電力が供給されているかを検知することにより行うことができる。外部電源スイッチがOFFの場合は、給電部11から電力は供給されない。
【0093】
ステップS210では、通常動作モードを終了しリモコン装置10の電源をOFFとして処理が終了する。この場合は非動作モードとなる。
【0094】
なお、上述した、ステップS205、S104、S105、S206の処理により、リモコン装置10と制御装置20が通常動作モードが可能な通信状態となるが、このときの処理はペアリングの処理を適用してもよい。リモコン装置10と制御装置20はお互いにIDなどを用いて相手を特定して通信を確立する。
【0095】
図8は、本発明の第1の実施形態のフローチャートの別の例である。
図8は、
図7と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。
【0096】
図8は、
図7に対して、ステップS104、S105、S205、S206、S207を、ステップS104’、S105’、S205’、S206’、S207’に変更している点が異なる。
【0097】
ステップS104’では、制御装置20からリモコン装置10へ起動指令の信号を送信する。起動指令の信号は、制御装置20の制御部20aの処理により無線通信部20cから無線通信Rによりリモコン装置10の無線通信部10cへ送られる。
【0098】
ステップS105’では、制御装置20がリモコン装置10から起動指令の信号を受信したか否かを判定する。リモコン装置10からの起動指令の信号の送信はステップS206’の処理により無線通信Rにより行われる。起動指令の信号を受信した場合のみステップS106へ進む。それ以外の場合は起動指令の待機状態となる。ここでの判定は、制御装置20の制御部20aで行うことができる。
【0099】
ステップS205’では、リモコン装置10が制御装置20から起動指令の信号を受信したか否かを判定する。制御装置20からの起動指令の信号はステップS104’の処理により無線通信Rにより行われる。起動指令の信号を受信した場合はステップS206’へ進み、起動指令の信号を受信しない場合はステップS207’へ進む。ここでの判定は、リモコン装置10の処理部10dで行うことができる。
【0100】
ステップS206’では、リモコン装置10から制御装置20へ起動指令の信号を送信する。起動指令の信号は、リモコン装置10の処理部10dの処理により無線通信部10cから無線通信Rを用いて制御装置20の無線通信部20cへ送られる。
【0101】
ステップS207’では、リモコン装置10の表示部10aの画面をOFFにしてステップS205’へ戻る。この場合はリモコン装置10と制御装置20の通信が確立していないため、表示部10aの画面をOFFにして無駄な電力の消費を抑えるとともに、制御装置20からの起動指令の待機状態となる。
【0102】
このように、
図7と
図8は、最初に起動指令をリモコン装置10から制御装置20へ送るのか、最初に起動指令を制御装置20からリモコン装置10へ送るのかが異なる。順番は異なっても、これらの処理によりリモコン装置10と制御装置20の通信を確立することが可能となる。
【0103】
なお、
図5の接続状態の場合は、制御装置20及びリモコン装置10は、外部電源スイッチ6を備える外部電源ハーネス7と接続されない。このため、
図7、8で示された外部電源連動の処理を行われない。
【0104】
<第2の実施形態>
図9は、本発明の第2の実施形態に適用される農作業機の背面図である。
図9の左右方向が横方向であり、
図9の上下方向が上下方向である。第2の実施形態では、作業機2が代掻き作業機100の場合について説明する。それ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0105】
中央作業部105の両側に設置されたサイド作業部105’は、中央作業部105に対して折り畳み可能となっている。中央作業部105には、装着部101であるマスト101aと左右のヒッチ101bが設けられ、これらを介して代掻き作業機100がトラクタ1の後方に装着される。トラクタ1からの動力は、前側に設けられる入力軸を介して入力され、カバー102やその後方の第1の整地体103の内側で代掻き爪を備える耕耘部が回転して土を細かくする。そして、第1の整地体103とその後方に備えられる第2の整地体104により土の表面を平らにする。このようにして代掻き作業を行う。
【0106】
左右の電動油圧シリンダ106は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構107を作用させ中央作業部105に対して両側のサイド作業部105’をそれぞれ内側に折りたたむことができ、代掻き作業機100の全幅を短くすることができる。左右の延長整地体駆動装置110は、内部のモータが回転することにより、アーム112やワイヤ113を介して左右の延長整地体111をそれぞれ回動軸111aを中心に回動させることができる。このことで、第2の整地体104の両側端部に設けられた延長整地体111を外側に延長するか内側に折り畳むかを選択することができる。第2の整地体駆動装置116は、内部のモータが回転することにより、第2の整地体リンク手段117を介して第2の整地体104を回動させ下側で固定した土引き状態とするか回動が固定されていない通常の代掻き状態とするかを選択することができる。
【0107】
これら、電動油圧シリンダ106や、延長整地体駆動装置110(のモータ)、第2の整地体駆動装置116(のモータ)をアクチュエータ22として適用できる。制御装置20は、マスト101aの側面に設けられている。
【0108】
これらの構成により、第2の実施形態では、代掻き作業機100の各アクチュエータの操作をリモコン装置10から行うことができる。リモコン装置10の構成は、
図6のリモコン装置70に準じて、代掻き作業機100の各アクチュエータを作動させるボタン構成とすることが可能である。
【0109】
<効果>
以上のような実施形態により、外部電源スイッチ6をONとするだけで、リモコン装置10と制御装置20の通信を自動で確立し、リモコン装置10の操作により作業機2側のアクチュエータ22の操作を行う状態にすることができる。これにより、作業者の作業効率を向上することが可能である。さらに、外部電源スイッチ6をOFFとするとリモコン装置10と制御装置20の電源も自動でOFFとすることでメインバッテリ5の無駄な電力の消費を防止できる。さらに、外部電源スイッチ6はトラクタ1の始動のためのスイッチと共有することで、作業者はトラクタ1を起動させただけで、リモコン装置10の操作によりアクチュエータ22の操作を行う状態とできる。さらに、トラクタ1をOFFとした場合(例えば、エンジンを止めた場合等)に自動でリモコン装置10と制御装置20の電源も自動でOFFとして、メインバッテリ5の無駄な電力の消費をより抑えることができる。
【0110】
さらに、
図3、4と
図5の接続状態を変えることで、トラクタ1に外部電源スイッチ6を備える場合でも、備えない場合でも接続可能な構成とすることができる。このとき、制御装置20の外部電源判定部20dを設けて、そこへの入力を検知することで、外部電源スイッチ6を備える場合に外部電源スイッチ6がONとなったことを的確に判別できる。
【0111】
さらに、リモコン装置10にリモコンバッテリ10eを設けることで、外部電源ハーネス7からのリモコン装置10の充電が可能となる。特に外部電源連動を行わない場合も充電可能にすることで、リモコン装置10の電源の確保を容易にする。これにより、リモコン装置10を単独で切り離して操作することが可能となる。また、給電部11を介することで、USB規格など汎用の規格を用いた充電を容易にする。
【0112】
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述した以外の様々な変形例も含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の構成に置き換えたりすることも可能である。
【0113】
例えば、適用する作業機として、畦塗り機と代掻き作業機の実施形態を示したが、これ以外に、例えば、ロータリー作業機、施肥機、播種機等、トラクタに装着する作業機であれば、適用することができる。
【0114】
また、給電部11とリモコン装置10は、給電ハーネス15を介さず直接接続可能な構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 トラクタ
2 作業機
5 メインバッテリ
6 外部電源スイッチ
7 外部電源ハーネス
8 電源ハーネス
9 中間ハーネス
10 リモコン装置
11 給電部
20 制御装置
20d 外部電源判定部
21 センサ
22 アクチュエータ
50 畦塗り機
58 作業部
61 第1電動油圧シリンダ
63 第3電動油圧シリンダ
65 散水装置
70 リモコン装置
71a~71o スイッチ
72 表示部
100 代掻き作業機
106 電動油圧シリンダ
110 延長整地体駆動装置
116 第2の整地体駆動装置