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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053479
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】加工装置及び加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/00 20060101AFI20240408BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240408BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240408BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20240408BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B24B9/00 601G
B24B49/12
B24B41/06 A
B24B7/04 A
B24B7/04 B
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159793
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】522390489
【氏名又は名称】株式会社雄飛
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】小井土 享司
(72)【発明者】
【氏名】多田 信
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C049
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034AA13
3C034BB93
3C034CA03
3C034CA22
3C034CA26
3C034CA30
3C034CB01
3C034DD20
3C043BA03
3C043BA12
3C043CC02
3C043DD12
3C043EE04
3C049AA03
3C049AA04
3C049AA13
3C049AC02
3C049BA02
3C049BA07
3C049BB06
3C049BB08
3C049BC02
3C049CA01
3C049CB02
5F057AA12
5F057BA19
5F057CA14
5F057CA16
5F057DA01
5F057DA11
5F057EA00
5F057GA12
5F057GB02
5F057GB12
5F057GB13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】貼り合わせタイプのウェーハの加工を効率よく行うことできる加工装置及び加工方法を提供すること。
【解決手段】加工装置は、貼り合わせタイプのウェーハWの外縁WEに対してテラス加工を行うとともに、テラス加工によって直径が減少したウェーハWの一方の主面Waに対して薄化研削を行う砥石部材28を有する研削装置と、ウェーハWの外縁WEの接線方向からみたエッジ形状を測定する形状測定装置とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼り合わせタイプのウェーハの外縁に対してテラス加工を行うとともに、テラス加工によって直径が減少した前記ウェーハの一方の主面に対して薄化研削を行う砥石部材を有する研削装置と、
前記ウェーハの外縁の接線方向からみたエッジ形状を測定する形状測定装置と
を備える加工装置。
【請求項2】
前記形状測定装置は、前記ウェーハの外縁が配置される観察点を挟んで前記ウェーハの外縁の接線方向に沿って対向して配置される照明部材と第1カメラとを有する、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記形状測定装置は、第1カメラによって得たエッジ画像から前記ウェーハの外縁の輪郭形状を抽出し、テラス加工部分の寸法情報を得る、請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記形状測定装置は、前記ウェーハの主面の法線方向からみた前記ウェーハの外縁を撮影する第2カメラを有する、請求項2に記載の加工装置。
【請求項5】
前記形状測定装置は、前記ウェーハの中心を通って前記ウェーハの主面に垂直な法線を含む基準面に沿って、前記ウェーハの主面の法線方向と前記ウェーハの中心を通って主面に沿って延びる半径方向との間に設定された傾斜方向から前記ウェーハの外縁を撮影する第3カメラを有する、請求項3に記載の加工装置。
【請求項6】
前記ウェーハを洗浄する洗浄装置と、
前記研削装置と、前記形状測定装置と、前記洗浄装置とに前記ウェーハを搬送する搬送装置とを備える、請求項1に記載の加工装置。
【請求項7】
前記研削装置は、前記ウェーハを支持するテーブルと、前記テーブルに対して前記ウェーハを位置決めする位置決め装置とを備える、請求項1に記載の加工装置。
【請求項8】
貼り合わせタイプのウェーハの外縁に対して砥石部材によってテラス加工を行い、
前記ウェーハの外縁の接線方向からみたエッジ形状を測定して形状確認を行い、
テラス加工によって直径が減少した前記ウェーハの一方の主面に対して前記砥石部材によって薄化研削を行う、加工方法。
【請求項9】
前記ウェーハの前記一方の主面の薄化研削後に、前記ウェーハの外縁の接線方向からみたエッジ形状を測定し形状確認を行う、請求項8に記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のウェーハを貼り合わせて形成されたウェーハの加工装置及び加工方法に関し、特にウェーハの外縁に対してテラス加工を行う加工装置及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貼り合わせウェーハの加工方法として、ボンドウェーハがベースウェーハからはみ出したはみ出し領域を外径測定装置を用いて検出し、第1段階の研削加工工程において、検出されたはみ出し領域を含むボンドウェーハだけの周縁部を研削加工し、その後、第2段階の研削加工工程において、ボンドウェーハとベースウェーハを同時に研削加工して、貼り合わせウェーハの周縁部を所定形状にエッジトリミングするものが公知となっている(特許文献1)。
【0003】
上記貼り合わせウェーハの加工方法では、エッジトリミング後のボンドウェーハの加工が考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-93360号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、貼り合わせタイプのウェーハの加工を効率よく行うことできる加工装置及び加工方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る加工装置は、貼り合わせタイプのウェーハの外縁に対してテラス加工を行うとともに、テラス加工によって直径が減少したウェーハの一方の主面に対して薄化研削を行う砥石部材を有する研削装置と、ウェーハの外縁の接線方向からみたエッジ形状を測定する形状測定装置とを備える。
【0007】
上記加工装置では、研削装置において単一の砥石部材によってテラス加工と薄化研削とを行うので、一貫した精度で貼り合わせタイプのウェーハを効率よく加工することができる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、上記加工装置において、形状測定装置は、ウェーハの外縁が配置される観察点を挟んでウェーハの外縁の接線方向に沿って対向して配置される照明部材と第1カメラとを有する。この場合、テラス加工の加工断面に垂直な方向から加工状態を観察することができ、テラス加工の形状が目的の状態か否かの判定が容易になる。
【0009】
本発明の具体的な側面では、形状測定装置は、第1カメラによって得たエッジ画像からウェーハの外縁の輪郭形状を抽出し、テラス加工部分の寸法情報を得る。この場合、テラス加工の輪郭判定を行うことができる。
【0010】
本発明の具体的な側面では、形状測定装置は、ウェーハの主面の法線方向からみたウェーハの外縁を撮影する第2カメラを有する。この場合、貼り合わせタイプのウェーハを構成する要素ウェーハの位置ずれを計測することができる。
【0011】
本発明の具体的な側面では、形状測定装置は、ウェーハの中心を通ってウェーハの主面に垂直な法線を含む基準面に沿って、ウェーハの主面の法線方向とウェーハの中心を通って主面に沿って延びる半径方向との間に設定された傾斜方向からウェーハの外縁を撮影する第3カメラを有する。この場合、テラス加工の状態やゴミが残存するか否か等を検出する。
【0012】
本発明の具体的な側面では、ウェーハを洗浄する洗浄装置と、研削装置と形状測定装置と洗浄装置とにウェーハを搬送する搬送装置とを備える。この場合、ウェーハを洗浄しつつ研削装置の加工や形状測定装置での形状測定を行うことができ、研削加工の効率化を図ることができる。
【0013】
本発明の具体的な側面では、研削装置は、ウェーハを支持するテーブルと、テーブルに対してウェーハを位置決めする位置決め装置とを備える。位置決め装置により、ウェーハの外周の加工精度を高めることができる。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る加工方法は、貼り合わせタイプのウェーハの外縁に対して砥石部材によってテラス加工を行い、ウェーハの外縁の接線方向からみたエッジ形状を測定して形状確認を行い、テラス加工によって直径が減少したウェーハの一方の主面に対して上記砥石部材によって薄化研削を行う。
【0015】
上記加工方法では、単一の砥石部材によってテラス加工と薄化研削とを行うので、一貫した精度で貼り合わせタイプのウェーハを効率よく加工することができる。
【0016】
本発明の具体的な側面では、上記加工方法において、ウェーハの一方の主面の薄化研削後に、ウェーハの外縁の接線方向からみたエッジ形状を測定し形状確認を行う。この場合、薄化研削された要素ウェーハの厚みを計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の加工装置の平面図である。
図2】(A)は、加工されるウェーハ外縁を説明する側断面図であり、(B)は、ウェーハの外縁に形成されたテラス加工部分を説明する側断面図であり、(C)は、ウェーハの上部に平面研削を施した状態を説明する側断面図である。
図3】研削装置を説明する概念的な側面図である。
図4】(A)及び(B)は、形状測定装置を説明する概念的な側面図及び平面図である。
図5】制御装置を説明する概念的なブロック図である。
図6】ウェーハの加工方法を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る加工装置及び加工方法の一実施形態を説明する。
【0019】
図1に示すように、加工装置100は、研削装置20と、形状測定装置30と、洗浄装置40と、搬送装置50と、制御装置80とを備える。加工装置100は、制御装置80の制御下で動作する自動化された装置であり、ウェーハWを計測しつつ、ウェーハWに対してテラス加工及び薄化研削を行う。
【0020】
図2(A)は、加工装置100による加工の対象であるウェーハWの外縁WEを説明する側断面図である。ウェーハWは、貼り合わせタイプのウェーハであり、2枚の要素ウェーハW1,W2を貼り合わせることによって形成される。ただし、第1の要素ウェーハW1の外周面EF1と第2の要素ウェーハW2の外周面EF2とは、正確には一致せず、若干のずれが生じている。要素ウェーハW1,W2は、Si、SiC、GaN、SiO、Al等から選択される材料で形成された円形の薄板である。例えば要素ウェーハW1をGaN製とし、要素ウェーハW2をSi製とすることで、ウェーハWは、GaN/Si構造を持つものとなり、例えば要素ウェーハW1をSiC製とし、要素ウェーハW2をSiC製とすることで、ウェーハWはSiC/SiC構造を持つものとなる。GaN/Si構造やSiC/SiC構造は、耐圧性の高い電子素子の作製に適する。なお、例えば要素ウェーハW1をLiTaOとし、要素ウェーハW2をSiとすることで、ウェーハWは、LiTaO/Si構造を持つものとなり、高周波フィルタ等の作製に用いられる。
【0021】
図2(B)は、ウェーハWの外縁WEにテラス加工を施した状態を説明する側断面図である。第1の要素ウェーハW1の外周が研削され、第2の要素ウェーハW2の外周のうち上部が部分的に研削され、テラス加工部分WTが形成されている。テラス加工部分WTは、断面段差状の部分であり、底面WTaと側面WTbとを含む。テラス加工を施すことで、上側の第1の要素ウェーハW1の中心を下側の第2の要素ウェーハW2の中心に一致させることができる。なお、テラス加工は、回転する砥石部材28の下端のコーナ部28bを紙面左側に相対的に移動させることによって形成される。
【0022】
図2(C)は、第1の要素ウェーハW1の上部に薄化研削つまり平面研削を施した状態を説明する側断面図である。テラス加工によって直径が減少したウェーハWの一方の主面Wa、つまりウェーハWの上面は、元の主面Waから主面Wbに変化している。第1の要素ウェーハW1は、薄く加工されて例えば100μm程度の厚みを有するものとなる。ウェーハWに予めテラス加工部分WTを形成することで、薄化研削又は平面研削に際して、第1の要素ウェーハW1の外縁にクラックが形成されることや、ウェーハの破片が形成されること等を防止できる。なお、薄化研削又は平面研削は、回転する砥石部材28の下面部28aを紙面に沿って下側に相対的に移動させることによって形成される。
【0023】
図1に戻って、研削装置20は、ウェーハWに対してテラス加工や薄化研削を行う。研削装置20は、ウェーハWを支持して指定された速度で回転させる支持装置21と、円盤状の砥石部材28を支持して所定速度で回転させつつ3次元的に移動させる砥石駆動装置22と、研磨材を含む研磨液をウェーハWの表面に供給する研磨材供給装置23とを備える。
【0024】
図3及び図1に示すように、研削装置20において、支持装置21は、ウェーハWを吸着して支持するテーブル21a、テーブル21a上のウェーハWを所望の速度で回転軸RX1の周りに回転させる回転機構21b、テーブル21aを回転機構21bとともに昇降させる昇降装置21c、位置センサー(不図示)等を備える。図1に示すように、研削装置20は、支持装置21に付随して、テーブル21aに対してウェーハWを位置決めする位置決め装置26を備える。位置決め装置26は、テーブル21aに対してウェーハWをアライメントする3つの位置決め部材26aと、3つの位置決め部材26aを進退駆動する3つの駆動装置26bとを備える。3つの位置決め部材26aは、それぞれが先端にローラーを設けたロッド状の部材であり、駆動装置26bに駆動されてロッドの長手方向に同期して進退する。これにより、搬送装置50から支持装置21に渡されたウェーハWをテーブル21a上で精密に位置決めして配置することができる。駆動装置26bは、制御装置80の制御下で、搬送装置50等とタイミングを調整しつつ同期して動作する。テーブル21aの上部には、帯状の窪みREが形成され、搬送装置50のハンド部材51aがテーブル21a上にウェーハWを移載する動作を可能にしている。
【0025】
図3を参照して、砥石駆動装置22は、砥石部材28を回転軸RX2のまわりに所望の速度で回転させる回転機構22a、砥石部材28をXYの任意の方向に所望の速度で移動させる移動機構22b、位置センサー(不図示)等を備える。移動機構22bは、例えば定盤22p上にスライドガイド22fやモータ22gを取り付けたものであり、スライドガイド22fに支持された可動部材22h、つまり回転機構22aによって回転する砥石部材28をX方向に所望の速度で移動させることができる。後述するウェーハWのテラス加工時には、円盤状の砥石部材28の外周下端のコーナ部28bが用いられる。また、ウェーハWの薄化研削時には、円盤状の砥石部材28の下面部28aの全体が用いられる。
【0026】
支持装置21により、テーブル21a上のウェーハWのZ方向の高さを調整し、砥石駆動装置22により、砥石部材28のX方向の位置を調整すれば、砥石部材28のコーナ部28bがウェーハWの外縁WEの上部に対して横方向において対向する状態となる。この状態で、砥石駆動装置22の回転機構22aにより砥石部材28を回転させつつ移動機構22bにより砥石部材28を+X方向に所定速度で移動させる。砥石駆動装置22の動作と並行して、研磨材供給装置23のノズル23aから研磨液を吐出させつつ、支持装置21の回転機構21bによってウェーハWを所定速度で回転させることにより、ウェーハWの外縁WEの全周に亘ってテラス加工が可能になる。
【0027】
砥石駆動装置22により、砥石部材28のX方向の位置を調整するとともに、支持装置21により、テーブル21a上のウェーハWのZ方向の高さを調整すれば、砥石部材28の下面部28aがウェーハWの主面Waに対して上方向において対向する状態となる。この状態で、砥石駆動装置22により砥石部材28を回転させる。砥石駆動装置22の動作と並行して支持装置21の回転機構21bによってウェーハWを所定速度で回転させ、研磨材供給装置23のノズル23aから研磨液を吐出させつつ、昇降装置21cによってウェーハWを+Z方向に所定速度で移動させることにより、ウェーハWの薄化研削又は平面研削が可能になる。この際、支持装置21によって砥石部材28をX方向又はY方向に適宜の速度で変位させることもできる。
【0028】
図4に示すように、形状測定装置30は、ウェーハWの載置台31と、ウェーハWを支持して回転させる支持装置32と、ウェーハWの外縁WEの接線方向からみたエッジ形状を測定する第1測定ユニット33と、前記ウェーハWの主面Waの法線方向からみたウェーハWの外縁WEを撮影する第2測定ユニット34と、ウェーハWの外縁WEに形成されたテラス加工部分WTを斜め上方向から撮影する撮影装置35とを備える。形状測定装置30は、制御装置80の制御下で、搬送装置50等とタイミングを調整しつつ同期して動作する。
【0029】
形状測定装置30において、ウェーハWの載置台31は、ウェーハWを支持装置32に対して位置決めして配置するものであり、支持板31a上に2つ以上の位置決めピン31bを有する。支持板31aには、帯状の窪みREが形成され、搬送装置50のハンド部材51aが支持板31a上にウェーハWを移載する動作を可能にしている。支持装置32は、ウェーハWを吸着して支持するテーブル32a、テーブル32a上のウェーハWを回転角を監視しつつ回転軸RX3のまわりに回転させる回転機構32b、テーブル32aを回転機構32bとともに上昇させて載置台31上方の計測位置にウェーハWを配置する昇降装置32c等を備える。
【0030】
第1測定ユニット33は、照明部材33aと第1カメラ33bとを有する。照明部材33aと第1カメラ33bとは、ウェーハWの外縁WEが配置される観察点OPを挟んで、ウェーハWの外縁WEの接線方向(図中でY方向)に沿って対向して配置される。照明部材33aからは照明光L1が射出されてウェーハWの外縁WEが照明され、第1カメラ33bは、外縁WE又はこれに形成されたテラス加工部分WTを、横方向から見た加工断面すなわちシルエットとして撮影することができる。つまり、シルエットの画像は、テラス加工部分WTのエッジ形状の測定を可能にする。
【0031】
第2測定ユニット34は、照明部材34aと第2カメラ34bとを有する。照明部材34aと第2カメラ34bとは、ウェーハWの外縁WEが配置される観察点OPを挟んで、ウェーハWの上側の主面Waの法線方向に沿って対向して配置される。照明部材34aからは照明光L2が射出されてウェーハWの外縁WEが照明され、第2カメラ34bは、外縁WE又はこれに形成されたテラス加工部分WTを上方向からのシルエットとして撮影することができる。図示を省略するが、第2カメラ34bに隣接して照明光源が配置されており、ウェーハWの外縁WEの可視画像を撮影することもできる。
【0032】
撮影装置35は、第3カメラ35bを有する。第3カメラ35bは、ウェーハWの外縁WEが配置される観察点OPを、真上の+Z方向に対して後方の-X方向に傾けた斜め方向の位置から撮影する。より詳細には、第3カメラ35bは、ウェーハWの中心Cを通ってウェーハWの主面Waに垂直な法線を含む基準面SPに沿って、ウェーハWの主面Waの法線方向D1とウェーハWの中心Cを通って主面Waに沿って延びる半径方向D2との間に設定された傾斜方向DTからウェーハWの外縁WEを撮影する。図示を省略するが、第3カメラ35aに隣接して照明光源が配置されている。
【0033】
図1に戻って、洗浄装置40は、ウェーハWの載置台41と、ウェーハWを支持して回転させる支持装置42と、洗浄水をウェーハWの表面に供給する洗浄水供給装置43とを有する。載置台41上に吸着等によってウェーハWを固定し、支持装置42によって載置台41とともにウェーハWを回転させつつ、洗浄水供給装置43のノズル43aから洗浄水を吐出させることで、ウェーハWを洗浄することができる。ウェーハWの載置台41には、帯状の窪みREが形成され、搬送装置50のハンド部材51aがウェーハWの載置台41上にウェーハWを移載する動作を可能にしている。ウェーハWの裏面については、搬送装置50のハンド部材51aを利用してウェーハWを載置台41上方に浮かせてノズル43aから洗浄水を吐出させることで洗浄を行うことができる。このため、ハンド部材51aには、ウェーハWを側方や上方から保持する機能を有する。
【0034】
搬送装置50は、ロボットアーム51と、ロボットアーム51をY方向の任意の位置に移動させるY駆動装置52と、ウェーハWを収納するカセットCAが配置される供給回収部53とを備える。ロボットアーム51は、ハンド部材51aを有し、ハンド部材51aの上面にウェーハWの底面又は外周を吸着して支持し、ウェーハWを前後の±X方向や上下の±Z方向に移動させることができる。Y駆動装置52は、ロボットアーム51をY方向に移動させることでウェーハWをY方向の任意の位置に移動させる。ロボットアーム51とY駆動装置52とを連動させることで、ウェーハWを研削装置20に移送したり研削装置20から取り出したりすることができ、ウェーハWを形状測定装置30に移送したり形状測定装置30から取り出したりすることができる。また、ロボットアーム51とY駆動装置52とを連動させることで、未加工のウェーハWを供給回収部53の一方のカセットテーブル53a上のカセットCAから1枚ずつ取り出して形状測定装置30等に供給することができる。ロボットアーム51とY駆動装置52とを連動させることで、形状測定装置30において加工処理済みを確認したウェーハWを供給回収部53の他方のカセットテーブル53b上のカセットCAに1枚ずつ収納することができる。
【0035】
制御装置80は、コンピュータであり、研削装置20、形状測定装置30、洗浄装置40、及び搬送装置50の動作を統括的に管理している。
【0036】
図5に示すように、制御装置80は、主制御装置81と、記憶装置82と、インターフェース装置83と、通信装置84とを有する。制御装置80は、通信装置84により、図1に示す研削装置20等と通信する。記憶装置82には、制御装置80を動作させる基本的なプログラム上で動作するアプリケーションソフトとして、研削装置20の動作状態を管理するアプリケーション、形状測定装置30の動作状態を管理するアプリケーション、洗浄装置40の動作状態を管理するアプリケーション、搬送装置50の動作状態を管理するアプリケーション等を含む多数のアプリケーションが格納されている。
【0037】
制御装置80は、搬送装置50を動作させてウェーハWを研削装置20の支持装置21上にアライメントした状態で配置し、砥石駆動装置22を適宜動作させることで、ウェーハWの外縁WEにテラス加工部分WTを形成するテラス加工を行わせる。この際、研削装置20の動作を監視することで、テラス加工部分WTの形状を所望の状態にすることができる。制御装置80は、搬送装置50を動作させてウェーハWを研削装置20の支持装置21上にアライメントした状態で配置し、砥石駆動装置22を適宜動作させることで、ウェーハWのうち上側の第1の要素ウェーハW1の上部を除去して薄くする薄化研削又は平面研削を行わせる。この際、研削装置20の動作を監視することで、第1の要素ウェーハW1を所望の厚みにすることができる。
【0038】
制御装置80は、搬送装置50を動作させてウェーハWを形状測定装置30の載置台31上にアライメントした状態で配置し、第1測定ユニット33等を適宜動作させることで、ウェーハWの外縁WEに形成されたテラス加工部分WTを横方向からのシルエットとして撮影した画像を取得し、この画像からテラス加工部分WTの輪郭形状を得ることができ、テラス加工部分WTの寸法情報を計算する。制御装置80は、第1測定ユニット33等を適宜動作させることで得たシルエットの画像から、ウェーハWのうち薄く加工された第1の要素ウェーハW1の厚みを計算することもできる。
【0039】
制御装置80は、搬送装置50を動作させてウェーハWを形状測定装置30の載置台31上にアライメントした状態で配置し、ウェーハWを回転させつつ第2測定ユニット34等を適宜動作させることで、ウェーハWの外縁WEの輪郭形状を計測することができ、第1の要素ウェーハW1の第2の要素ウェーハW2に対する芯ずれ量を計測することができる。第1の要素ウェーハW1と第2の要素ウェーハW2との芯ずれ量許容値を超えた場合、ウェーハWは規定外又は不良品とされる。第1の要素ウェーハW1と第2の要素ウェーハW2との芯ずれ量は、テラス加工部分WTの形状設定に利用可能である。
【0040】
図6は、加工装置100の動作を説明する図である。まず、制御装置80は、搬送装置50を動作させてウェーハWを形状測定装置30に搬送し、ウェーハWの外縁WEを上方から観察するため、形状測定装置30の第2測定ユニット34を用いて、ウェーハWの外縁WEを上方からシルエットとして撮影させる(ステップS11)。制御装置80は、得られた画像から上下の要素ウェーハW1,W2間の芯ずれを評価する。
【0041】
次に、制御装置80は、搬送装置50を動作させてウェーハWを形状測定装置30から研削装置20に移動させ、研削装置20によってウェーハWの外縁WEに対して目標形状に近く目標形状に対して若干加工量が不足する程度のテラス加工部分WTを形成させる(ステップS12)。これにより、要素ウェーハW1,W2間の芯ずれが解消される。
【0042】
次に、制御装置80は、搬送装置50を動作させ、洗浄装置40経由で、ウェーハWを形状測定装置30に搬送する。制御装置80は、形状測定装置30の第1測定ユニット33を用いて、ウェーハWの外縁WEを横方向から観察するため、ウェーハWの外縁WEを横方向からシルエットとして撮影させる。制御装置80は、得られた画像からテラス加工部分WTのエッジ形状を寸法として評価する(ステップS13)。つまり、テラス加工部分WTについてエッジ形状の測定と形状確認とが行われる。制御装置80は、テラス加工部分WTの形状又は寸法が仕様を満たさない場合、目標形状未達として、ステップS12に戻って外縁WEに対して不足分に対応するテラス加工を追加実施する。なお、テラス加工部分WTの観察については、第1測定ユニット33を用いてエッジ形状を測定するだけでなく、撮影装置35を併用して、傾斜方向DTからテラス加工部分WTを観察してもよい。これにより、テラス加工部分WTの加工状態やゴミが残存するか否か等の検出が可能になる。
【0043】
制御装置80は、テラス加工部分WTの形状又は寸法が仕様を満たす場合、目標形状達成として、搬送装置50を動作させてウェーハWを形状測定装置30から研削装置20に移動させ、研削装置20によってウェーハWの上面を研削させ、すなわち上側の第1の要素ウェーハW1に対して目標厚みに近く目標厚みに対して若干研削量が不足する程度の薄化研削又は平面研削を行わせる(ステップS14)。
【0044】
次に、制御装置80は、搬送装置50を動作させ、洗浄装置40経由で、ウェーハWを形状測定装置30に搬送する。制御装置80は、形状測定装置30の第1測定ユニット33を用いて、ウェーハWの外縁WEを横方向から観察するため、ウェーハWの外縁WEを横方向からシルエットとして撮影させる。制御装置80は、得られた画像からウェーハWのうち上側の第1の要素ウェーハW1の厚みを評価する(ステップS15)。制御装置80は、第1の要素ウェーハW1の厚みが仕様を満たさない場合、目標厚み未達として、ステップS14に戻って第1の要素ウェーハW1に対して不足分に対応する薄化研削又は平面研削を追加実施する。
【0045】
制御装置80は、第1の要素ウェーハW1の厚みが仕様を満たす場合、目標厚み達成として、搬送装置50を動作させてウェーハWを形状測定装置30から供給回収部53に搬送し、加工処理済みのカセットCAに収納する(ステップS16)。
【0046】
以上で説明した実施形態の加工装置100は、貼り合わせタイプのウェーハWの外縁WEに対してテラス加工を行うとともに、テラス加工によって直径が減少したウェーハWの一方の主面Waに対して薄化研削を行う砥石部材28を有する研削装置20と、ウェーハWの外縁WEの接線方向からみたエッジ形状を測定する形状測定装置30とを備える。
【0047】
上記加工装置100では、研削装置20において単一の砥石部材28によってテラス加工と薄化研削とを行うので、一貫した精度で貼り合わせタイプのウェーハWを効率よく加工することができる。
【0048】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ウェーハWのテラス加工や薄化研削に際して、砥石部材28やウェーハWの回転や移動方法は、上記実施形態で説明したものに限らず、様々な手法を用いることができる。
【0049】
加工装置100は、研削装置20や形状測定装置30が単独で組み込まれたものである必要はなく、2つ以上の研削装置20等が組み込まれたものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
20…研削装置、21…支持装置、21b…回転機構、21c…昇降装置、22…砥石駆動装置、22a…回転機構、22b…移動機構、22h…可動部材、23…研磨材供給装置、23a…ノズル、26…位置決め装置、28…砥石部材、28a…下面部、28b…コーナ部、30…形状測定装置、31…載置台、32…支持装置、32b…回転機構、32c…昇降装置、33…第1測定ユニット、33b…第1カメラ、34…第2測定ユニット、34b…第2カメラ、35…撮影装置、35b…第3カメラ、40…洗浄装置、42…支持装置、43…洗浄水供給装置、50…搬送装置、51…ロボットアーム、51a…ハンド部材、52…Y駆動装置、53…供給回収部、53a,53b…カセットテーブル、80…制御装置、100…加工装置、C…中心、CA…カセット、D1…法線方向、D2…半径方向、DT…傾斜方向、EF1,EF2…外周面、L1,L2…照明光、OP…観察点、RX1,RX2,RX3…回転軸、SP…基準面、W…ウェーハ、W1,W2…要素ウェーハ、Wa,Wb…主面、WE…外縁、WT…テラス加工部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6