IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-多孔質酸化物半導体粒子 図1
  • 特開-多孔質酸化物半導体粒子 図2
  • 特開-多孔質酸化物半導体粒子 図3
  • 特開-多孔質酸化物半導体粒子 図4
  • 特開-多孔質酸化物半導体粒子 図5
  • 特開-多孔質酸化物半導体粒子 図6
  • 特開-多孔質酸化物半導体粒子 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053489
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】多孔質酸化物半導体粒子
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20240408BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20240408BHJP
   C01G 30/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01M4/86 B
H01M8/10 101
C01G30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159821
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110227
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 文夫
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 正哲
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 健作
(72)【発明者】
【氏名】信川 健
【テーマコード(参考)】
4G048
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
4G048AA03
4G048AB02
4G048AC06
4G048AC08
4G048AD04
4G048AD06
4G048AE06
5H018AA06
5H018BB01
5H018BB06
5H018BB12
5H018EE12
5H018HH01
5H018HH02
5H018HH04
5H018HH05
5H018HH06
5H126BB06
(57)【要約】
【課題】連珠構造を備えており、かつ、相対的に大きな導電率を示す多孔質酸化物半導体粒子を提供すること。
【解決手段】多孔質酸化物半導体粒子は、5価のアンチモンがドープされた酸化スズからなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、前記5価のアンチモンのドープ量が2.5at%以上であるものからなる。ここで、「5価のアンチモンのドープ量」とは、XAFS測定とICP分析から得られる値であって、前記多孔質酸化物半導体粒子に含まれるスズ及びアンチモンの総原子数に対する前記5価のアンチモンの原子数の割合をいう。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5価のアンチモンがドープされた酸化スズからなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、
前記5価のアンチモンのドープ量が2.5at%以上である
多孔質酸化物半導体粒子。
ここで、「5価のアンチモンのドープ量」とは、XAFS測定とICP分析から得られる値であって、前記多孔質酸化物半導体粒子に含まれるスズ及びアンチモンの総原子数に対する前記5価のアンチモンの原子数の割合をいう。
【請求項2】
比表面積が60m2/g以上である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項3】
前記5価のアンチモンのドープ量が4.5at%超である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項4】
細孔径が1nm以上20nm以下である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項5】
圧粉体の導電率が1.0×10-3S/cm以上である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項6】
平均一次粒子径が0.05μm以上2μm以下である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項7】
細孔容量が0.1mL/g以上である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項8】
平均結晶子径が2nm以上40nm以下である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項9】
タップ密度が0.005g/cm3以上1.0g/cm3以下である請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【請求項10】
固体高分子形燃料電池の触媒担体として用いられる請求項1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質酸化物半導体粒子に関し、さらに詳しくは、連珠構造を備え、かつ、相対的に高い比表面積を有する多孔質酸化物半導体粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、電解質膜の両面に触媒層が接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備えている。触媒層の外側には、通常、ガス拡散層が配置される。さらに、ガス拡散層の外側には、ガス流路を備えた集電体(セパレータ)が配置される。PEFCは、通常、このようなMEA、ガス拡散層及び集電体からなる単セルが複数個積層された構造(燃料電池スタック)を備えている。
【0003】
PEFCにおいて、触媒層は、一般に、担体表面に白金などの触媒金属微粒子を担持させた電極触媒と、触媒層アイオノマとの混合物からなる。触媒担体には、従来、カーボンブラック、アセチレンブラックなどの炭素材料が主に用いられてきた。特に、近年、メソ孔を有するカーボン担体が注目されている(非特許文献1)。粒径と細孔径とが適切に制御された多孔質カーボン粒子を担体に用いると、アイオノマのスルホン酸基による触媒被毒の低減と、担体細孔内のクヌーセン拡散抵抗の低減とを両立でき、低負荷性能と高負荷性能との背反のないセル性能が得られることが分かっている(特許文献1)。
【0004】
しかし、カーボン担体は高電位に曝されると酸化腐食し、担体上に担持された触媒金属微粒子が脱落すること、及びこれによって電極性能が低下することが知られている。セルの初期性能と耐久性とを両立させるためには、カーボンに代わる高電位で安定な材料を用いて多孔質担体を作製する必要がある。そのため、カーボンの代替材料として、高電位で安定な導電性金属酸化物を担体材料として用いることが提案されている。
【0005】
例えば、非特許文献2には、異元素(M=Nb、Sb、Ta、W等)をドープした多孔質酸化スズ粒子(M-SnO2)は、高電位安定性の観点で有望な担体材料となる可能性がある点が示唆されている。
【0006】
特許文献2には、酸化物半導体からなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、比表面積が60m2/g以上である多孔質酸化物半導体粒子が開示されている。
同文献には、このような多孔質酸化物半導体を固体高分子形燃料電池の触媒担体として用いると、担体の酸化腐食による触媒金属微粒子の脱落が抑制され、触媒層内における物質移動が促進され、あるいは、触媒被毒による活性低下が抑制される点が記載されている。
【0007】
特許文献2には、連珠状多孔質酸化スズ粒子にSbをドープした際に最も高い導電率が得られ、その値は最高で2.1×10-2S/cmである点が記載されている。しかしながら、この値は、従来のカーボン担体の導電率より2桁以上低い値であった。Sbをドープした連珠状多孔質酸化スズを燃料電池の触媒担体として使用するためには、更なる導電率の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-084852号公報
【特許文献2】特開2022-077821号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S. Ott et al., Nature Mater., 2019, 19, 77
【非特許文献2】T. Arai et al., SAE Int. J. Alt. Power., 2017, 6, 145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、連珠構造を備えており、かつ、相対的に大きな導電率を示す多孔質酸化物半導体粒子を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、連珠構造及び導電率に加えて、適度な比表面積、細孔径、平均一次粒子径、細孔容量、平均結晶子径、及び/又は、タップ密度を持つ多孔質酸化物半導体粒子を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、固体高分子形燃料電池用の触媒担体として好適な多孔質酸化物半導体粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子は、
5価のアンチモンがドープされた酸化スズからなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、
前記5価のアンチモンのドープ量が2.5at%以上であるものからなる。
ここで、「5価のアンチモンのドープ量」とは、XAFS測定とICP分析から得られる値であって、前記多孔質酸化物半導体粒子に含まれるスズ及びアンチモンの総原子数に対する前記5価のアンチモンの原子数の割合をいう。
【発明の効果】
【0012】
SnO2にドープされたSbは、3価の状態で存在しているものと、5価の状態で存在するものとがある。これらの内、SnO2の導電率向上に寄与しているのは、5価のSbである。そのため、5価のSbのドープ量を最適化すると、高い導電率が得られる。具体的には、5価のSbのドープ量を2.5at%以上にすると、導電率は、1.0×10-3S/cm以上となる。さらに、5価のSbのドープ量を4.5at%超にすると、導電率は、2.1×10-2超となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子の製造方法の模式図である。
図2】実施例1で得られた連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子のSbのK吸収端XANESスペクトルとフィッティングによる波形分離を示す図である。
図3】実施例2で得られた連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子のSbのK吸収端XANESスペクトルとフィッティングによる波形分離を示す図である。
図4】実施例3で得られた連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子のSbのK吸収端XANESスペクトルとフィッティングによる波形分離を示す図である。
【0014】
図5】実施例4で得られた連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子のSbのK吸収端XANESスペクトルとフィッティングによる波形分離を示す図である。
図6】実施例5で得られた連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子のSbのK吸収端XANESスペクトルとフィッティングによる波形分離を示す図である。
図7】連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子の5価Sbの濃度と導電率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 多孔質酸化物半導体]
本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子は、以下の構成を備えている。
【0016】
[構成1]
5価のアンチモンがドープされた酸化スズからなる結晶子の集合体からなる多孔質の一次粒子が連結した連珠構造を備え、
前記5価のアンチモンのドープ量が2.5at%以上である
多孔質酸化物半導体粒子。
ここで、「5価のアンチモンのドープ量」とは、XAFS測定とICP分析から得られる値であって、前記多孔質酸化物半導体粒子に含まれるスズ及びアンチモンの総原子数に対する前記5価のアンチモンの原子数の割合をいう。
【0017】
[構成2]
比表面積が60m2/g以上である構成1に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0018】
[構成3]
前記5価のアンチモンのドープ量が4.5at%超である構成1又は2に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0019】
[構成4]
細孔径が1nm以上20nm以下である構成1から3までのいずれか1項に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0020】
[構成5]
圧粉体の導電率が1.0×10-3S/cm以上である構成1から4までのいずれか1項に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0021】
[構成6]
平均一次粒子径が0.05μm以上2μm以下である構成1から5までのいずれか1項に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0022】
[構成7]
細孔容量が0.1mL/g以上である構成1から6までのいずれか1項に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0023】
[構成8]
平均結晶子径が2nm以上40nm以下である構成1から7までのいずれか1項に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0024】
[構成9]
タップ密度が0.005g/cm3以上1.0g/cm3以下である構成1から8までのいずれか1項に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0025】
[構成10]
固体高分子形燃料電池の触媒担体として用いられる構成1から9までのいずれか1項に記載の多孔質酸化物半導体粒子。
【0026】
[1.1. 一次粒子]
本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子は、一次粒子が連結した連珠構造を備えている。
本発明において、「一次粒子」とは、5価のアンチモンがドープされた酸化スズからなる結晶子の集合体からなる多孔質の粒子をいう。
「多孔質」とは、結晶子の隙間にメソ孔があることをいう。
【0027】
[1.1.1. Sbドープ酸化スズ]
一次粒子を構成する結晶子は、5価のアンチモンがドープされた、Sbドープ酸化スズ(以下、これを「Sb-SnO2」ともいう)からなる。
Sb-SnO2は、燃料電池環境下における耐久性が高いので、結晶子を構成する酸化物半導体として好適である。また、Sb-SnO2は、ドーパントを含まないSnO2、及び、Sb以外のドーパントを含むSnO2に比べて高い導電率を示す。
【0028】
[1.1.2. 5価のアンチモンのドープ量]
「5価のアンチモンのドープ量」とは、XAFS測定とICP分析から得られる値であって、前記多孔質酸化物半導体粒子に含まれるスズ及びアンチモンの総原子数に対する前記5価のアンチモンの原子数の割合をいう。
【0029】
一般に、5価のアンチモンのドープ量が多くなるほど、導電率が高くなる。高い導電率を得るためには、5価のアンチモンのドープ量は、2.5at%以上である必要がある。ドープ量は、さらに好ましくは、4.5at%超、5.0at%以上、あるいは、5.5at%以上である。
一方、5価のアンチモンのドープ量を必要以上に多くしても、効果に差がなく、実益がない。従って、5価のアンチモンのドープ量は、15.0at%以下が好ましい。ドープ量は、さらに好ましくは、12.5at%以下、あるいは、10.0at%以下である。
【0030】
[1.1.3. 平均一次粒子径]
「平均一次粒子径」とは、一次粒子の最大寸法(=直径)の平均値をいう。
平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測定することができる。
【0031】
一般に、平均一次粒子径が小さくなりすぎると、触媒粒子を担持することが困難となる。従って、平均一次粒子径は、0.05μm以上が好ましい。平均一次粒子径は、好ましくは、0.06μm以上、さらに好ましくは、0.07μm以上である。
一方、平均一次粒子径が大きくなりすぎると、触媒層の厚さが厚くなり、触媒層中のイオン抵抗及び電子抵抗が大きくなる。従って、平均一次粒子径は、2μm以下が好ましい。平均一次粒子径は、好ましくは、1μm以下、さらに好ましくは、0.5μm以下である。
【0032】
[1.1.4. 平均結晶子径]
「平均結晶子径」とは、結晶子の最大寸法(=直径)の平均値をいう。
平均結晶子径は、X線回折ピークの線幅とシェラーの式とから求めることができる。
【0033】
平均結晶子径が小さくなりすぎると、細孔径が小さくなりすぎる。従って、平均結晶子径は、2nm以上が好ましい。平均結晶子径は、好ましくは、3nm以上、さらに好ましくは、4nm以上である。
一方、平均結晶子径が大きくなりすぎると、細孔径が大きくなりすぎる。従って、平均結晶子径は、40nm以下が好ましい。平均結晶子径は、好ましくは、20nm以下、さらに好ましくは、10nm以下である。
【0034】
[1.1.5. 一次粒子の形状]
本発明において、一次粒子の形状は、特に限定されない。後述する方法を用いて多孔質酸化物半導体粒子を作製した場合、一次粒子は、通常、完全な球状とはならず、アスペクト比が1.1~3程度のいびつな形状を持つ。
【0035】
[1.2. 二次粒子]
二次粒子は、連珠構造を備えている。
ここで、「連珠構造」とは、一次粒子が数珠状に連結している構造をいう。連珠構造を備えた二次粒子は、一次粒子が互いに粗に連結しているため、一次粒子の間には相対的に粗大な空隙がある。また、一次粒子は微細な結晶子の集合体からなるため、一次粒子の内部には相対的に微細な空隙(メソ孔)がある。
【0036】
後述するように、本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子は、メソポーラスカーボンを鋳型に用いて製造される。また、メソポーラスカーボンは、メソポーラスシリカを鋳型に用いて製造される。メソポーラスシリカは、通常、シリカ源、界面活性剤及び触媒を含む反応溶液中において、シリカ源を縮重合させることにより合成されている。
【0037】
この時、反応溶液中の界面活性剤の濃度及びシリカ源の濃度をそれぞれある特定の範囲に限定すると、連珠構造を備えており、かつ、平均一次粒子径、細孔径、細孔容量、タップ密度等が特定の範囲にあるメソポーラスシリカが得られる。
このような連珠構造を備えたメソポーラスシリカを第1鋳型に用いると、連珠構造を備えたメソポーラスカーボンが得られる。さらに、連珠構造を備えたメソポーラスカーボンを第2鋳型に用いると、連珠構造を備えた多孔質酸化物半導体粒子が得られる。
【0038】
[1.3. 特性]
[1.3.1. 比表面積]
本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子をPEFCの触媒担体に用いる場合において、多孔質酸化物半導体粒子の比表面積が小さくなりすぎると、触媒の活性種を微粒で高分散に担持できなくなり、触媒の有効面積が小さくなる。従って、多孔質酸化物半導体粒子の比表面積は、大きいほどよい。
【0039】
本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子は、連珠構造を備え、かつ、一次粒子内にメソ孔があるため、従来の材料に比べて比表面積が大きい。製造条件を最適化すると、比表面積は、60m2/g以上となる。製造条件をさらに最適化すると、比表面積は、80m2/g以上、100m2/g以上、あるいは、150m2/g以上となる。
後述する方法を用いると、比表面積が200m2/g程度である多孔質酸化物半導体粒子であっても、合成することができる。
【0040】
[1.3.2. 細孔径]
「細孔径」とは、一次粒子に含まれるメソ孔の直径の平均値をいい、一次粒子間にある空隙の大きさは含まれない。
細孔径は、多孔質酸化物半導体粒子の窒素吸着等温線の吸着側データをBJH法で解析し、細孔容量が最大となるときの細孔径(最頻出ピーク値、又はモード細孔径)を求めることにより得られる。
なお、「メソ孔」とは、一般に、直径が2~50nmの細孔をいうが、本発明において「メソ孔」というときは、直径が2nm未満の細孔(いわゆる、「マイクロ孔」)も含まれる。
【0041】
一次粒子は、微細な結晶子の集合体であるため、その内部にメソ孔を持つ。本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子をPEFC用の触媒担体として用いる場合において、メソ孔内に触媒粒子を担持させると、触媒層アイオノマによる被毒を抑制することができる。一般に、一次粒子の細孔径が小さくなりすぎると、細孔内に担持された触媒に反応ガスやプロトンが供給されにくくなり、あるいは、反応により生じた水が排出されにくくなる。従って、細孔径は、1nm以上が好ましい。細孔径は、好ましくは、2nm以上、さらに好ましくは、3nm以上である。
一方、細孔径が大きくなりすぎると、細孔内に触媒層アイオノマが侵入しやすくなり、触媒被毒が起きやすくなる。従って、細孔径は、20nm以下が好ましい。細孔径は、好ましくは、10nm以下、さらに好ましくは、5nm以下である。
【0042】
[1.3.3. 細孔容量]
「細孔容量」とは、一次粒子に含まれるメソ孔の容積をいい、一次粒子間にある空隙の容積は含まれない。
細孔容量は、多孔質酸化物半導体の窒素吸着等温線の吸着データをBJH法で解析し、P/P0=0.03~0.99の値で算出することにより得られる。
【0043】
本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子をPEFC用の触媒担体に用いる場合において、細孔容量が小さくなりすぎると、細孔内に担持される触媒粒子の割合が小さくなる。従って、細孔容量は、0.1mL/g以上が好ましい。細孔容量は、好ましくは、0.15mL/g以上、さらに好ましくは、0.2mL/g以上である。
一方、細孔容量が大きくなりすぎると、酸化物半導体からなる細孔壁の割合が小さくなり、電子伝導性が低くなる。また、アイオノマ侵入量が多くなり、触媒被毒により活性が低下する場合がある。従って、細孔容量は、1mL/g以下が好ましい。細孔容量は、好ましくは、0.7mL/g以下、さらに好ましくは、0.5mL/g以下である。
【0044】
[1.3.4. 圧粉体の導電率]
「圧粉体の導電率」とは、
(a)2枚のステンレス鋼製円盤と、円筒状の穴が開いたプラスチック製治具とを用いて多孔質酸化物半導体粒子を成形し、
(b)得られた圧粉体に2.4MPaの圧力をかけた状態で、一定の電流を流しながら電圧を測定することで得た値をいう。
圧粉体(すなわち、多孔質酸化物半導体粒子)の導電性は、主として、酸化物半導体の種類、並びに、ドーパントの種類及び量に依存する。酸化物半導体の組成を最適化すると、圧粉体の導電率は、1.0×10-3S/cm以上となる。製造条件をさらに最適化すると、導電率は、1.0×10-2S/cm以上、あるいは、4.0×10-2S/cm以上となる。
後述する方法を用いると、圧粉体の導電率が10S/cm程度である多孔質半導体粒子であっても、合成することができる。
【0045】
[1.3.5. タップ密度]
「タップ密度」とは、JIS Z 2512に準拠して測定される値をいう。
本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子をPEFCの触媒層に用いる場合において、多孔質酸化物半導体粒子のタップ密度が小さくなりすぎると、得られた触媒層の厚みが厚くなりすぎ、プロトン伝導性が低下する。従って、タップ密度は、0.005g/cm3以上が好ましい。タップ密度は、好ましくは、0.01g/cm3以上、さらに好ましくは、0.05g/cm3以上である。
一方、タップ密度が大きくなりすぎると、これを用いて触媒層を作製した時に、触媒層内にフラッディングを抑制可能な空隙を確保するのが困難となる。従って、タップ密度は、1.0g/cm3以下が好ましい。タップ密度は、好ましくは、0.75g/cm3以下である。
【0046】
[1.4. 用途]
本発明に係る多孔質半導体粒子は、PEFCの触媒担体、固体高分子形水電解セル(PEEC)の触媒担体などに用いることができる。本発明に係る多孔質半導体粒子は、メソ孔を有し、比表面積が大きく、導電率が高く、かつ、酸化腐食しにくいので、PEFC用の触媒担体として特に好適である。
【0047】
[2. メソポーラスシリカ(第1鋳型)の製造方法]
本発明に係る多孔質半導体粒子を製造するためには、まず、連珠構造を備えたメソポーラスシリカ(第1鋳型)を製造する必要がある。このようなメソポーラスシリカは、
(a)シリカ源、界面活性剤及び触媒を含む反応溶液中において、前記シリカ源を縮重合させて前駆体粒子を作製し、
(b)前記反応溶液から前記前駆体粒子を分離し、乾燥させ、
(c)必要に応じて、乾燥させた前駆体粒子に対して拡径処理を行い、
(d)前記前駆体粒子を焼成する
ことにより得られる。
【0048】
[2.1. 縮重合工程]
まず、シリカ源、界面活性剤及び触媒を含む反応溶液中において、前記シリカ源を縮重合させ、前駆体粒子を得る(縮重合工程)。
【0049】
[2.1.1. シリカ源]
本発明において、シリカ源の種類は、特に限定されない。シリカ源としては、例えば、
(a)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラエチレングリコキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、
(b)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、
などがある。シリカ源には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0050】
[2.1.2. 界面活性剤]
シリカ源を反応溶液中で縮重合させる場合において、反応溶液に界面活性剤を添加すると、反応溶液中において界面活性剤がミセルを形成する。ミセルの周囲には親水基が集合しているため、ミセルの表面にはシリカ源が吸着する。さらに、シリカ源が吸着しているミセルが反応溶液中において自己組織化し、シリカ源が縮重合する。その結果、一次粒子内部には、ミセルに起因するメソ孔が形成される。メソ孔の大きさは、主として、界面活性剤の分子長により制御(1~50nmまで)することができる。
【0051】
本発明において、界面活性剤には、アルキル4級アンモニウム塩を用いる。アルキル4級アンモニウム塩とは、次の(a)式で表される化合物をいう。
CH3-(CH2)n-N+(R1)(R2)(R3)X- ・・・(a)
【0052】
(a)式中、R1、R2、R3は、それぞれ、炭素数が1~3のアルキル基を表す。R1、R2、及び、R3は、互いに同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。アルキル4級アンモニウム塩同士の凝集(ミセルの形成)を容易化するためには、R1、R2、及び、R3は、すべて同一であることが好ましい。さらに、R1、R2、及び、R3の少なくとも1つは、メチル基が好ましく、すべてがメチル基であることが好ましい。
(a)式中、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の種類は特に限定されないが、入手の容易さからXは、Cl又はBrが好ましい。
【0053】
(a)式中、nは7~21の整数を表す。一般に、nが小さくなるほど、メソ孔の中心細孔径が小さい球状のメソ多孔体が得られる。一方、nが大きくなるほど、中心細孔径は大きくなるが、nが大きくなりすぎると、アルキル4級アンモニウム塩の疎水性相互作用が過剰となる。その結果、層状の化合物が生成し、メソ多孔体が得られない。nは、好ましくは、9~17、さらに好ましくは、13~17である。
【0054】
(a)式で表されるものの中でも、アルキルトリメチルアンモニウムハライドが好ましい。アルキルトリメチルアンモニウムハライドとしては、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、ノニルトリメチルアンモニウムハライド、デシルトリメチルアンモニウムハライド、ウンデシルトリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド等がある。
これらの中でも、特に、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
【0055】
メソポーラスシリカを合成する場合において、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いても良く、あるいは、2種以上を用いても良い。しかしながら、アルキル4級アンモニウム塩は、一次粒子内にメソ孔を形成するためのテンプレートとなるので、その種類は、メソ孔の形状に大きな影響を与える。より均一なメソ孔を有するシリカ粒子を合成するためには、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いるのが好ましい。
【0056】
[2.1.3. 触媒]
シリカ源を縮重合させる場合、通常、反応溶液中に触媒を加える。粒子状のメソポーラスシリカを合成する場合、触媒には、水酸化ナトリウム、アンモニア水等のアルカリを用いても良く、あるいは、塩酸等の酸を用いても良い。
【0057】
[2.1.4. 溶媒]
溶媒には、水、アルコールなどの有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒などを用いる。
アルコールは、
(1)メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール、
(2)エチレングリコール等の2価のアルコール、
(3)グリセリン等の3価のアルコール、
のいずれでも良い。
水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中の有機溶媒の含有量は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、溶媒中に適量の有機溶媒を添加すると、粒径や粒度分布の制御が容易化する。
【0058】
[2.1.5. 反応溶液の組成]
反応溶液中の組成は、合成されるメソポーラスシリカの外形や細孔構造に影響を与える。特に、反応溶液中の界面活性剤の濃度、及びシリカ源の濃度は、メソポーラスシリカ粒子の平均一次粒子径、細孔径、細孔容量、及びタップ密度に与える影響が大きい。
【0059】
[A. 界面活性剤の濃度]
界面活性剤の濃度が低すぎると、粒子の析出速度が遅くなり、一次粒子が連結している構造体は得られない。従って、界面活性剤の濃度は、0.03mol/L以上である必要がある。界面活性剤の濃度は、好ましくは、0.035mol/L以上、さらに好ましくは、0.04mol/L以上である。
【0060】
一方、界面活性剤の濃度が高すぎると、粒子の析出速度が速くなりすぎ、一次粒子径が容易に300nmを超える。従って、界面活性剤の濃度は、1.0mol/L以下である必要がある。界面活性剤の濃度は、好ましくは、0.95mol/L以下、さらに好ましくは、0.90mol/L以下である。
【0061】
[B. シリカ源の濃度]
シリカ源の濃度が低すぎると、粒子の析出速度が遅くなり、一次粒子が連結している構造体は得られない。あるいは、界面活性剤が過剰となり、均一なメソ孔が得られない場合がある。従って、シリカ源の濃度は、0.05mol/L以上である必要がある。シリカ源の濃度は、好ましくは、0.06mol/L以上、さらに好ましくは、0.07mol/L以上である。
【0062】
一方、シリカ源の濃度が高すぎると、粒子の析出速度が速くなりすぎ、一次粒子径が容易に300nmを超える。あるいは、球状粒子ではなく、シート状の粒子が得られる場合がある。従って、シリカ源の濃度は、1.0mol/L以下である必要がある。シリカ源の濃度は、好ましくは、0.95mol/L以下、さらに好ましくは、0.9mol/L以下である。
【0063】
[C. 触媒の濃度]
本発明において、触媒の濃度は、特に限定されない。一般に、触媒の濃度が低すぎると、粒子の析出速度が遅くなる。一方、触媒の濃度が高すぎると、粒子の析出速度が速くなる。最適な触媒の濃度は、シリカ源の種類、界面活性剤の種類、目標とする物性値などに応じて最適な濃度を選択するのが好ましい。
【0064】
[2.1.6 反応条件]
所定量の界面活性剤を含む溶媒中に、シリカ源を加え、加水分解及び重縮合を行う。これにより、界面活性剤がテンプレートとして機能し、シリカ及び界面活性剤を含む前駆体粒子が得られる。
反応条件は、シリカ源の種類、前駆体粒子の粒径等に応じて、最適な条件を選択する。一般に、反応温度は、-20~100℃が好ましい。反応温度は、さらに好ましくは、0~90℃、さらに好ましくは、10~80℃である。
【0065】
[2.2. 乾燥工程]
次に、前記反応溶液から前記前駆体粒子を分離し、乾燥させる(乾燥工程)。
乾燥は、前駆体粒子内に残存している溶媒を除去するために行う。乾燥条件は、溶媒の除去が可能な限りにおいて、特に限定されるものではない。
【0066】
[2.3. 拡径処理]
次に、必要に応じて、乾燥させた前駆体粒子に対して拡径処理を行っても良い(拡径工程)。「拡径処理」とは、一次粒子内のメソ孔の直径を拡大させる処理をいう。
拡径処理は、具体的には、合成された前駆体粒子(界面活性剤の未除去のもの)を、拡径剤を含む溶液中で水熱処理することにより行う。この処理によって前駆体粒子の細孔径を拡大させることができる。
【0067】
拡径剤としては、例えば、
(a)トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、トリイソプロピルベンゼン、ナフタレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの炭化水素、
(b)塩酸、硫酸、硝酸などの酸、
などがある。
【0068】
炭化水素共存下で水熱処理することにより細孔径が拡大するのは、拡径剤が溶媒から、より疎水性の高い前駆体粒子の細孔内に導入される際に、シリカの再配列が起こるためと考えられる。
また、塩酸などの酸共存下で水熱処理することにより細孔径が拡大するのは、一次粒子内部においてシリカの溶解・再析出が進行するためと考えられる。製造条件を最適化すると、シリカ内部に放射状細孔が形成される。これを酸共存下で水熱処理すると、シリカの溶解・再析出が起こり、放射状細孔が連通細孔に変換される。
【0069】
拡径処理の条件は、目的とする細孔径が得られる限りにおいて、特に限定されない。通常、反応溶液に対して、0.05mol/L~10mol/L程度の拡径剤を添加し、60~150℃で水熱処理するのが好ましい。
【0070】
[2.4. 焼成工程]
次に、必要に応じて拡径処理を行った後、前記前駆体粒子を焼成する(焼成工程)。これにより、連珠構造を備えたメソポーラスシリカ粒子が得られる。
焼成は、OH基が残留している前駆体粒子を脱水・結晶化させるため、及び、メソ孔内に残存している界面活性剤を熱分解させるために行われる。焼成条件は、脱水・結晶化、及び界面活性剤の熱分解が可能な限りにおいて、特に限定されない。焼成は、通常、大気中において、400℃~700℃で1時間~10時間加熱することにより行われる。
【0071】
[3. メソポーラスカーボン(第2鋳型)の製造方法]
次に、連珠構造を備えたメソポーラスシリカを鋳型に用いて、連珠構造を備えたメソポーラスカーボン(第2鋳型)を製造する。このようなメソポーラスカーボンは、
(a)第1鋳型となるメソポーラスシリカを準備し、
(b)前記メソポーラスシリカのメソ孔内にカーボンを析出させ、シリカ/カーボン複合体を作製し、
(c)前記複合体からシリカを除去する
ことにより得られる。
また、得られたメソポーラスカーボンの黒鉛化を促進させるために、シリカを除去した後に、メソポーラスカーボンを1500℃より高い温度で熱処理しても良い。
【0072】
[3.1. 第1鋳型準備工程]
まず、第1鋳型となるメソポーラスシリカを準備する(第1鋳型準備工程)。メソポーラスシリカの製造方法の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
【0073】
[3.2. カーボン析出工程]
次に、メソポーラスシリカのメソ孔内にカーボンを析出させ、シリカ/カーボン複合体を作製する(カーボン析出工程)。
メソ孔内へのカーボンの析出は、具体的には、
(a)メソ孔内にカーボン前駆体を導入し、
(b)メソ孔内において、カーボン前駆体を重合及び炭化させる
ことにより行われる。
【0074】
[3.2.1. カーボン前駆体の導入]
「カーボン前駆体」とは、熱分解によって炭素を生成可能なものをいう。このようなカーボン前駆体としては、具体的には、
(1) 常温で液体であり、かつ、熱重合性のポリマー前駆体(例えば、フルフリルアルコール、アニリン等)、
(2) 炭水化物の水溶液と酸の混合物(例えば、スクロース(ショ糖)、キシロース(木糖)、グルコース(ブドウ糖)などの単糖類、あるいは、二糖類、多糖類と、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの酸との混合物)、
(3) 2液硬化型のポリマー前駆体の混合物(例えば、フェノールとホルマリン等)、
などがある。
これらの中でも、ポリマー前駆体は、溶媒で希釈することなくメソ孔内に含浸させることができるので、相対的に少数回の含浸回数で、相対的に多量の炭素をメソ孔内に生成させることができる。また、重合開始剤が不要であり、取り扱いも容易であるという利点がある。
【0075】
液体又は溶液のカーボン前駆体を用いる場合、1回当たりの液体又は溶液の吸着量は、多いほど良く、メソ孔全体が液体又は溶液で満たされる量が好ましい。
また、カーボン前駆体として炭水化物の水溶液と酸の混合物を用いる場合、酸の量は、有機物を重合させることが可能な最小量とするのが好ましい。
さらに、カーボン前駆体として、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物を用いる場合、その比率は、ポリマー前駆体の種類に応じて、最適な比率を選択する。
【0076】
[3.2.2. カーボン前駆体の重合及び炭化]
次に、重合させたカーボン前駆体をメソ孔内において炭化させる。
カーボン前駆体の炭化は、非酸化雰囲気中(例えば、不活性雰囲気中、真空中など)において、カーボン前駆体を含むメソポーラスシリカを所定温度に加熱することにより行う。加熱温度は、具体的には、500℃以上1200℃以下が好ましい。加熱温度が500℃未満であると、カーボン前駆体の炭化が不十分となる。一方、加熱温度が1200℃を超えると、シリカと炭素が反応するので好ましくない。加熱時間は、加熱温度に応じて、最適な時間を選択する。
【0077】
なお、メソ孔内に生成させる炭素量は、メソポーラスシリカを除去した時に、カーボン粒子が形状を維持できる量以上であればよい。従って、1回の充填、重合及び炭化で生成する炭素量が相対的に少ない場合には、これらの工程を複数回繰り返すのが好ましい。この場合、繰り返される各工程の条件は、それぞれ、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
また、充填、重合及び炭化の各工程を複数回繰り返す場合、各炭化工程は、相対的に低温で炭化処理を行い、最後の炭化処理が終了した後、さらにこれより高い温度で、再度、炭化処理を行っても良い。最後の炭化処理を、それ以前の炭化処理より高い温度で行うと、複数回に分けて細孔内に導入されたカーボンが一体化しやすくなる。
【0078】
[3.3. 第1鋳型除去工程]
次に、複合体から第1鋳型であるメソポーラスシリカを除去する(第1鋳型除去工程)。これにより、連珠構造を備えたメソポーラスカーボン(第2鋳型)が得られる。
メソポーラスシリカの除去方法としては、具体的には、
(1) 複合体を水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中で加熱する方法、
(2) 複合体をフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法、
などがある。
【0079】
[3.4. 黒鉛化処理工程]
次に、必要に応じて、メソポーラスカーボンを1500℃より高い温度で熱処理する(黒鉛化工程)。メソポーラスシリカのメソ孔内において炭素源を炭化させる場合において、シリカと炭素の反応を抑制するためには、熱処理温度を低くせざるを得ない。そのため、炭化処理後のカーボンの黒鉛化度は低い。高い黒鉛化度を得るためには、第1鋳型を除去した後、メソポーラスカーボンを高温で熱処理するのが好ましい。
【0080】
熱処理温度が低すぎると、黒鉛化が不十分となる。従って、熱処理温度は、1500℃超が好ましい。熱処理温度は、好ましくは、1700℃以上、さらに好ましくは、1800℃以上である。
一方、熱処理温度を必要以上に高くしても、効果に差がなく、実益がない。従って、熱処理温度は、2300℃以下が好ましい。熱処理温度は、好ましくは、2200℃以下である。
【0081】
[4. 多孔質半導体粒子の製造方法]
本発明に係る多孔質半導体粒子の製造方法は、
連珠構造を備えたメソポーラスカーボンを準備する第1工程と、
メソポーラスカーボンのメソ孔内に酸化物半導体を析出させ、酸化物/カーボン複合体を得る第2工程と、
酸化物/カーボン複合体からカーボンを除去する第3工程と
を備えている。
【0082】
[4.1. 第1工程]
まず、連珠構造を備えたメソポーラスカーボンを準備する(第1工程)。メソポーラスカーボンの製造方法の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
【0083】
[4.2. 第2工程]
次に、メソポーラスカーボンのメソ孔内に酸化物半導体を析出させる(第2工程)。これにより、酸化物/カーボン複合体が得られる。
メソ孔内への酸化物半導体の析出は、具体的には、メソ孔内に酸化物半導体の前駆体を導入し、前駆体を酸化物半導体に変換することにより行う。
【0084】
[4.2.1. 前駆体]
メソ孔内において酸化物半導体を形成するための前駆体としては、具体的には、
(1)酸化物半導体を構成する金属元素を含み、溶媒に可溶であり、かつ溶媒中の溶存酸素により酸化され、析出させることが可能な化合物、
(2)酸化物半導体を構成する金属元素を含み、熱分解あるいは加水分解により金属酸化物を形成することが可能な化合物、
などがある。
【0085】
溶存酸素により酸化し、SnO2を析出させることが可能な化合物としては、SnCl2などの2価のSnを含む塩などがある。
熱分解あるいは加水分解によりSnO2を形成することが可能な化合物としては、
(a)SnCl4、SnCl2などの塩化物、
(b)Sn(OC25)2、Sn(OC(CH3)3)4などのアルコキシド、
(c)スズアセチルアセトナート(Sn(CH3COCHCOCH3)2)などのアセチルアセトナート塩、
(d)Sn(CH3COO)2などの酢酸塩
などがある。
【0086】
ドーパントを含む酸化物半導体を作製する場合、酸化物半導体を形成するための前駆体に加えて、ドーパントを含む前駆体を用いる。ドーパントがSbである場合、Sbを含む前駆体としては、酸化物半導体を形成するための前駆体と同様に、各種の塩(硫酸塩、カルボン酸塩、塩化物、硝酸塩、アセチルアセトナート塩)、あるいは、アルコキシドを用いることができる。
【0087】
[4.2.2. 細孔への前駆体の導入]
前駆体が液体である場合、これをそのままメソポーラスカーボンのメソ孔内に吸着させても良い。あるいは、前駆体を適当な溶媒に溶解させ、この溶液をメソポーラスカーボンのメソ孔内に吸着させても良い。前駆体を溶媒に溶解させる場合、溶媒の種類及び前駆体の濃度は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択する。
【0088】
[4.2.3. 前駆体の酸化物への変換]
前駆体を吸着させた後、前駆体を酸化物に変換する。変換方法は、特に限定されるものではなく、前駆体の種類に応じて最適な方法を選択する。
例えば、前駆体として塩化物を用いる場合、塩化物を溶解させた溶液にメソポーラスカーボンを分散させ、空気中で攪拌する。攪拌を続けると、やがて塩化物がメソポーラスカーボンのメソ孔内に吸着され、メソ孔内の塩化物が溶存酸素により次第に酸化物となる。
【0089】
また、例えば、前駆体としてアルコキシドを用いる場合、アルコキシド又はこれを溶解させた溶液をメソポーラスカーボンに添加し、メソ孔内にアルコキシド又はその溶液を含浸させる。これを所定の温度に加熱すると、アルコキシドの重縮合が起こり、メソ孔内に酸化物が生成する。
なお、1回の前駆体の吸着及び酸化物への変換により、メソ孔内に十分な量の酸化物半導体を形成することができないときは、吸着及び変換を複数回繰り返しても良い。
【0090】
[4.3. 第3工程]
次に、酸化物/カーボン複合体からカーボンを除去する(第3工程)。これにより、本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子が得られる。
カーボンの除去方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。カーボンの除去方法としては、例えば、
(1)酸化物/カーボン複合体を酸化雰囲気下で加熱する方法、
(2)複合体を酸素プラズマエッチングする方法、
などがある。
【0091】
加熱温度、加熱時間などの除去条件は、少なくとも、酸化物半導体の結晶子を粗大化させることなく、カーボンが完全に除去される条件であれば良い。
また、Sb-SnO2の場合、5価のSb量は、主として、原料中のSn源の量に対するSb源の量の比と、焼成温度(カーボン除去時の処理温度)に依存する。そのため、これらの点を考慮して、最適な除去条件を選択するのが好ましい。
【0092】
[5. 作用]
鋳型としてメソ孔を持つカーボン多孔体を用い、鋳型のメソ孔内に酸化物半導体を析出させ、鋳型を除去すると、メソ孔を持つ多孔質酸化物半導体粒子を得ることができる。この時、鋳型としてメソ孔及び連珠構造を備えたカーボン多孔体を用い、かつ、原料及び製造条件を最適化すると、メソ孔及び連珠構造を備え、かつ、5価のアンチモンがドープされた酸化スズからなる多孔質酸化物半導体粒子を得ることができる。
【0093】
得られた多孔質酸化物半導体粒子は低充填性であるので、これを用いて触媒層を作製すると、触媒層内に適度な空隙を形成することができる。また、高比表面積であるため、その表面に触媒金属微粒子を高分散に担持することができる。また、メソ孔内に触媒金属微粒子を担持させると、触媒層アイオノマによる触媒被毒を抑制することができる。
そのため、このような多孔質酸化物半導体を固体高分子形燃料電池の触媒担体として用いると、担体の酸化腐食による触媒金属微粒子の脱落が抑制され、触媒層内における物質移動が促進され、あるいは、触媒被毒による活性低下が抑制される。
【0094】
Sb-SnO2は、ドーパントを含まないSnO2、及び、Sb以外のドーパントを含むSnO2よりも高い導電率を示す。また、Sb-SnO2の導電率は、焼成温度や全Sbドープ量(Sbの価数を問わないドープ量)により変化した。しかしながら、Sb-SnO2の導電率と、焼成温度や全Sbドープ量との間には明確な相関は見られなかった。
【0095】
これに対し、本願発明者らは、
(a)SnO2にドープされたSbは、3価の状態で存在しているものと、5価の状態で存在するものとがあること、及び、
(b)これらの内、SnO2の導電率向上に寄与しているのは、5価のSbであること
を見出した。
そのため、5価のSbのドープ量を最適化すると、高い導電率が得られる。具体的には、5価のSbのドープ量を2.5at%以上にすると、導電率は、1.0×10-3S/cm以上となる。さらに、5価のSbのドープ量を4.5at%超にすると、導電率は、2.1×10-2超となる。
【実施例0096】
(実施例1~5)
[1. 試料の作製]
図1に、連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子の製造方法の模式図を示す。図1に示す手順に従い、連珠状メソポーラスSb-SnO2を作製した。
【0097】
[1.1. 連珠状スターバーストシリカの作製]
メタノール(MeOH):4.6g、及びエチレングリコール(EG):4.6gの混合溶媒に、30mass%塩化セチルトリメチルアンモニウム水溶液:56.3gを加え、室温で攪拌した。これに1M NaOH:8.8gを加え、50℃に加温した。以下、これを「第1溶液」という。
次に、MeOH:6.5g、及びEG:6.5gの混合溶媒にテトラエトキシシラン(TEOS):12.3gを溶解させた。以下、これを「第2溶液」という。
【0098】
50℃に加温された第1溶液に第2溶液を加えた。混合液が白濁した後、加温を停止し、さらに4時間以上攪拌した。ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した後、45℃で乾燥させた。さらに、乾燥粉を大気中、550℃×6h焼成し、放射状細孔を備えた連珠状メソポーラスシリカ(以下、これを「連珠状スターバーストシリカ(Connected Starburst Silica)(CSS)」ともいう)を得た。
【0099】
[1.2. 連珠状スターバーストカーボンの作製]
PFA製容器にCSS:0.5gを入れ、フルフリルアルコール(FA)をCSSの細孔容量分だけ加えて、CSSの細孔内に浸透させた。これを150℃×24h熱処理することにより、FAを重合させた。さらに、これを窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理し、FAの炭化を進めた。これを2回繰り返した後、さらに窒素雰囲気中で900℃×6h熱処理して、CSS/カーボン複合体を得た。
【0100】
この複合体を12%HF溶液に4h浸漬し、シリカ成分を溶解した。溶解後、ろ過、洗浄を繰り返し、さらに45℃で乾燥して、放射状細孔を備えた連珠状メソポーラスカーボン(以下、これを「連珠状スターバーストカーボン放射状細孔(Connected Starburst Carbon)(CSC)」ともいう)を得た。得られた多孔体は、BET比表面積:2122m2/g、細孔容量:1.3mL/g、細孔径:2.2nmであった。
【0101】
[1.3. 連珠状メソポーラスSb-SnO2の作製]
[1.3.1. 実施例1]
濃塩酸(35mass%):4mLにSbCl3:0.03gを溶解し、精製水:36mLを加えて希釈した。これに、SnCl2:5.0gをさらに加えて溶解させた。この溶液にCSC:0.1gを加えて分散させた。この分散液を空気中、室温で2h攪拌した。その後、精製水:200mLを追加して、さらに空気中、室温で4h攪拌した。続いて、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した後、45℃で乾燥させ、連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を得た。
この連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を空気雰囲気中、300℃×24h処理し、連珠状メソポーラスSb-SnO2を得た。
【0102】
[1.3.2. 実施例2]
濃塩酸(35mass%):4mLにSbCl3:0.12gを溶解し、精製水:36mLを加えて希釈した。これに、SnCl2:5.0gをさらに加えて溶解させた。この溶液にCSC:0.1gを加えて分散させた。この分散液を空気中、室温で2h攪拌した。その後、精製水:200mLを追加して、さらに空気中、室温で4h攪拌した。続いて、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した後、45℃で乾燥させ、連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を得た。
この連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を空気雰囲気中、320℃×24h処理し、連珠状メソポーラスSb-SnO2を得た。
【0103】
[1.3.3. 実施例3]
濃塩酸(35mass%):4mLにSbCl3:0.12gを溶解し、精製水:36mLを加えて希釈した。これに、SnCl2:5.0gをさらに加えて溶解させた。この溶液にCSC:0.1gを加えて分散させた。この分散液を空気中、室温で2h攪拌した。その後、精製水:200mLを追加して、さらに空気中、室温で4h攪拌した。続いて、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した後、45℃で乾燥させ、連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を得た。
この連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を空気雰囲気中、320℃×24h処理し、さらに空気雰囲気中、500℃×3h処理し、連珠状メソポーラスSb-SnO2を得た。
【0104】
[1.3.4. 実施例4]
濃塩酸(35mass%):4mLにSbCl3:0.18gを溶解し、精製水:36mLを加えて希釈した。これに、SnCl2:5.0gをさらに加えて溶解させた。この溶液にCSC:0.1gを加えて分散させた。この分散液を空気中、室温で2h攪拌した。その後、精製水:200mLを追加して、さらに空気中、室温で4h攪拌した。続いて、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した後、45℃で乾燥させ、連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を得た。
この連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を空気雰囲気中、320℃×24h処理し、さらに空気雰囲気中、500℃×3h処理し、連珠状メソポーラスSb-SnO2を得た。
【0105】
[1.3.5. 実施例5]
濃塩酸(35mass%):4mLにSbCl3:0.18gを溶解し、精製水:36mLを加えて希釈した。これに、SnCl2:5.0gをさらに加えて溶解させた。この溶液にCSC:0.1gを加えて分散させた。この分散液を空気中、室温で2h攪拌した。その後、精製水:200mLを追加して、さらに空気中、室温で4h攪拌した。続いて、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した後、45℃で乾燥させ、連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を得た。
この連珠状Sb-SnO2/カーボン複合体を空気雰囲気中、320℃×24h処理し、さらに空気雰囲気中、700℃×3h処理し、連珠状メソポーラスSb-SnO2を得た。
【0106】
[2. 試験方法]
[2.1. XAFS測定]
連珠状メソポーラスSb-SnO2のXAFS測定を行った。XAFS測定に際しては、試料粉末を窒化ホウ素粉末で希釈したうえでペレット化した。測定で得られたSbのK吸収端XANESスペクトルを波形分離することで、連珠状メソポーラスSb-SnO2に含まれる3価のSbと5価のSbの和に対する5価のSbの割合を求めた。
この割合と、ICP分析から求めた連珠状メソポーラスSb-SnO2に含まれるアンチモン全量とを掛け合わせることにより、連珠状メソポーラスSb-SnO2に含まれる5価のアンチモン量(濃度)を算出した。
なお、波形解析には、SPring-8 BENTENデータベースの公開データにあるSb25及びSb23の標準スペクトルを用いた。
【0107】
[2.2. N2吸着測定]
得られた粒子の窒素吸着等温線を測定した。得られた窒素吸着等温線から、BJH法により細孔径分布を求め、モード細孔径(細孔径の最頻値)をその試料の細孔径とした。また、吸着等温線から細孔容量、及びBET比表面積を求めた。
【0108】
[2.3. 導電率]
試料粉末の圧粉体を作製し、これに2.4MPaの圧力をかけた状態で一定の電流を流し、そのときの電圧を測定することにより、導電率を得た。
【0109】
[2.4. ICP分析]
連珠状メソポーラスSb-SnO2をアルカリ融解により溶液化した。これを検液として、ICP発光分光分析装置(ICP-OES)により連珠状メソポーラスSb-SnO2に含まれるアンチモン量を定量した。
【0110】
[3. 結果]
[3.1. XAFS測定]
図2図6に、それぞれ、実施例1~5で得られた連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子のSbのK吸収端XANESスペクトルとフィッティングによる波形分離を示す。なお、図2図6には、フィッティングによりスペクトルの波形分離を行った結果も併せて示してある。実施例1については、5価のSb(Sb2O5)のみが存在していた。一方、実施例2~5については、3価のSb(Sb2O3)と5価のSbとが存在することが分かった。表1に、波形分離の結果から求めた3価のSbと5価のSbの割合を示す。
【0111】
【表1】
【0112】
[3.2. N2吸着測定、導電率、ICP分析]
表2に、連珠状メソポーラスSb-SnO2のSb濃度(ICP分析から求めたもの)、5価のSbの濃度(XAFS測定とICP分析とから求めたもの)、導電率、BET比表面積、細孔径、及び、細孔容量を示す。図7に、連珠状メソポーラスSb-SnO2粒子の5価Sbの濃度と導電率との関係を示す。
【0113】
5価のSbの濃度と導電率との間に明確な相関が見られた。図7より、5価のSb濃度が高くなるほど、導電率が高くなることが分かる。このことから、ICP分析とXAFS測定とから求めた5価のSbの濃度が、連珠状メソポーラスSb-SnO2の導電率の良い指標であることがわかる。また、5価のSbの濃度を6.7at%(実施例5)にすると、5価のSbの濃度が4.5at%(実施例3)である場合に比べて、導電率が約3倍に向上することが分かった。
【0114】
【表2】
【0115】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明に係る多孔質酸化物半導体粒子は、固体高分子形燃料電池の空気極触媒層の触媒担体、あるいは、燃料極触媒層の触媒担体として用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7