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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053496
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】配管保護材
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20240408BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20240408BHJP
   F16L 1/11 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F16L57/00 A
B32B5/24 101
F16L1/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159835
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】593025619
【氏名又は名称】トーホー工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508179545
【氏名又は名称】東洋紡STC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小田 徹
(72)【発明者】
【氏名】田中 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】丸山 大
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 賢一
【テーマコード(参考)】
3H024
4F100
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB01
3H024AC01
4F100AK01B
4F100AK01D
4F100AK12B
4F100AK12D
4F100AK48A
4F100AK48C
4F100AK48E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA08
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA11A
4F100BA11C
4F100DG11A
4F100DG11C
4F100DG11E
4F100DG12A
4F100DG12C
4F100DG12E
4F100DJ01B
4F100DJ01D
4F100JA13
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】切削器具等の打撃に対する耐性に優れ、かつ軽量である配管保護材を提供する。
【解決手段】地中に埋設される配管の保護材であって、第1布地11、第2布地12、第1発泡樹脂部材21、および第2発泡樹脂部材22を有しており、配管に近い側である内側と、配管に遠い側である外側と、を有し、第1布地11よりも内側に第1発泡樹脂部材21が配置され、第1発泡樹脂部材21よりも内側に第2布地12が配置され、第2布地12よりも内側に第2発泡樹脂部材22が配置されている配管保護材1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される配管の保護材であって、
第1布地、第2布地、第1発泡樹脂部材、および第2発泡樹脂部材を有しており、
前記配管に近い側である内側と、前記配管に遠い側である外側と、を有し、
前記第1布地よりも前記内側に前記第1発泡樹脂部材が配置され、
前記第1発泡樹脂部材よりも前記内側に前記第2布地が配置され、
前記第2布地よりも前記内側に前記第2発泡樹脂部材が配置されている配管保護材。
【請求項2】
前記第1布地および前記第2布地の少なくとも一方は、複数の布帛が積層されている請求項1に記載の配管保護材。
【請求項3】
前記第1布地および前記第2布地の少なくとも一方は、織物を有している請求項1または2に記載の配管保護材。
【請求項4】
前記織物のカバーファクターは、1800以上である請求項3に記載の配管保護材。
【請求項5】
さらに、第3布地および第3発泡樹脂部材を有しており、
前記第2発泡樹脂部材よりも前記内側に前記第3布地が配置され、
前記第3布地よりも前記内側に前記第3発泡樹脂部材が配置されている請求項1または2に記載の配管保護材。
【請求項6】
前記第1布地、前記第2布地、前記第1発泡樹脂部材、および前記第2発泡樹脂部材の積層体の外表面の少なくとも一部を覆う被覆材を有している請求項1または2に記載の配管保護材。
【請求項7】
密度は、1.0kg/m以上6.0kg/m以下である請求項1または2に記載の配管保護材。
【請求項8】
前記第1発泡樹脂部材および前記第2発泡樹脂部材の少なくとも一方の発泡倍率は、3倍以上60倍以下である請求項1または2に記載の配管保護材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス配管等の気体配管、水道管や冷媒配管等の液体配管、通信ケーブルや電線等を保護する配管等、地中に埋設される各種配管の保護に好ましく用いられる配管保護材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般住宅、集合住宅、商業施設等の都市や工場では、ガスや電気等のエネルギー、水や冷媒、熱媒等の物質、通信データや電子情報等の情報等は、地下に埋設された配管を通じて供給先から需要先に提供されている。これらの配管は、社会を構成する重要なインフラであるため、通常使用時のみならず、メンテナンス時や災害時であっても、これらの配管の破損を防止する必要がある。
【0003】
特に、都市ガス配管等の土中に埋設する配管は、地震による揺れやズレに対処するため、近年では金属製の配管からポリエチレン製の配管に変更されつつある。ポリエチレン製の配管は、素材の性質上、外力による変形に対して自らが伸長して破断を防ぐことができるためである。
【0004】
しかし、ポリエチレン製の配管は、その性質上、メンテナンス時や災害後の復旧工事の場においては、例えば、ショベル、ツルハシ、削岩機、ショベルカー、ユンボ等の切削器具によって埋設された配管を掘り起こす際の打撃により容易に破損してしまう。そのため、配管を保護するための対策が種々検討されている。
【0005】
配管を保護するための対策としては、例えば、配管の周辺にゴルフボール大の玉を敷き詰めて配管の位置を明らかにし、切削器具による打撃を回避する方法が提案されている。しかし、この方法によって配管の位置は確認しやすくなるものの、切削器具の打撃から配管を直接保護することはできず、不注意や過失による打撃によって配管が容易に破損してしまうおそれがある。
【0006】
例えば、ポリエチレン製や金属製等の板状の保護材を配管の上部に配置し、配管の上部からの打撃を防ぐ方法も提案されている。しかし、この方法では、地震等で配管の位置がずれた場合、配管の上部に保護材が存在しなくなるおそれがあり、また、配管の側面からの打撃に対応できないため、確実に配管を保護できないという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に示すような、熱可塑性樹脂等を筒状に成形した配管保護材も提案されている。しかし、この方法では、施工時に配管のサイズに合わせた適切な大きさの保護材を準備する必要があるため適応性に乏しいものである。また、保護材を交換する際には配管を切断する必要があり、メンテナンスの面で好ましくない。
【0008】
さらに、配管保護材として、アラミド繊維や高密度ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維(PBO繊維)、金属繊維等の高弾性繊維製の布状の保護材を用いることも提案されている。しかし、この方法では、保護材の強度が充分ではないうえ、切削器具による打撃から配管を保護するために保護材を配管に幾重にも巻きつけなければならず、施工時に手間がかかってしまう。また、保護材の原料として金属繊維を用いているため保護材の質量が重く、保護材で被覆された配管は保護材が厚いため取り扱いにくく、施工の作業性が悪いものであった。さらに、保護材の原料である高弾性繊維が高価であるため、コスト面からも好ましくない。加えて、ツルハシ等の先端が鋭利な切削器具に対する耐性が低く、保護材を設置していても配管が破損してしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-251636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
インフラとしての都市ガス配管は全国に広く施設されており、古い金属製の配管がポリエチレン製の配管に順次置き換わりつつある。その際、道路工事や区画整備により行われる工事中に配管が破損する事故を防止するため、配管を保護する配管保護材が使用されるようになっており、より安価で耐打撃性に優れた保護材が望まれている。
【0011】
前記の状況下において、本発明は、切削器具等の打撃に対する耐性に優れ、かつ軽量であって取り扱いやすい配管保護材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、切削器具による配管の破損を高いレベルで抑制するために、配管保護材は、ツルハシのように鋭利な先端部を有する切削器具の打撃に耐えうる(以下、鋭利な先端部を有する切削器具の打撃に耐えうる性能を「ツルハシ耐性」と称することがある。)必要があると考えた。配管保護材の破壊は、切削器具の鋭利な先端部が保護材に当たった時に生じる部分的な破壊から始まり、さらに、切削器具が保護材の内部に侵入することで部分的な破壊箇所に亀裂が生じ、その亀裂が周囲に伝播して破壊面積が拡大する。そのため、配管保護材の破壊面積を少なくするには、最初の部分的な破壊と切削器具の侵入による亀裂の発生を抑制する必要がある。
【0013】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、布地と発泡樹脂とを積層することにより、配管保護材を軽量にしながらも、ツルハシ等の切削器具が配管保護材に当たったときの部分的な破壊と亀裂の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明に係る配管保護材は、以下の点に要旨を有する。
[1]地中に埋設される配管の保護材であって、
第1布地、第2布地、第1発泡樹脂部材、および第2発泡樹脂部材を有しており、
前記配管に近い側である内側と、前記配管に遠い側である外側と、を有し、
前記第1布地よりも前記内側に前記第1発泡樹脂部材が配置され、
前記第1発泡樹脂部材よりも前記内側に前記第2布地が配置され、
前記第2布地よりも前記内側に前記第2発泡樹脂部材が配置されている配管保護材。
[2]前記第1布地および前記第2布地の少なくとも一方は、複数の布帛が積層されている[1]に記載の配管保護材。
[3]前記第1布地および前記第2布地の少なくとも一方は、織物を有している[1]または[2]に記載の配管保護材。
[4]前記織物のカバーファクターは、1800以上である[3]に記載の配管保護材。
[5]さらに、第3布地および第3発泡樹脂部材を有しており、
前記第2発泡樹脂部材よりも前記内側に前記第3布地が配置され、
前記第3布地よりも前記内側に前記第3発泡樹脂部材が配置されている[1]~[4]のいずれかに記載の配管保護材。
[6]前記第1布地、前記第2布地、前記第1発泡樹脂部材、および前記第2発泡樹脂部材の積層体の外表面の少なくとも一部を覆う被覆材を有している[1]~[5]のいずれかに記載の配管保護材。
[7]密度は、1.0kg/m以上6.0kg/m以下である[1]~[6]のいずれかに記載の配管保護材。
[8]前記第1発泡樹脂部材および前記第2発泡樹脂部材の少なくとも一方の発泡倍率は、3倍以上60倍以下である[1]~[7]のいずれかに記載の配管保護材。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1布地、第2布地、第1発泡樹脂部材、および第2発泡樹脂部材を有し、第1布地よりも内側に第1発泡樹脂部材が配置され、第1発泡樹脂部材よりも内側に第2布地が配置され、第2布地よりも内側に第2発泡樹脂部材が配置されていることにより、軽量でありながら切削器具等の打撃に対する耐性に優れた配管保護材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】配管保護材の厚み方向の断面を撮影した写真を示す。
図2】配管保護材の厚み方向の断面模式図を示す。
図3】配管保護材を配管の上面および/または側面に配置した状態の模式図を示す。
図4】配管保護材を配管の上面および側面に配置した状態の模式図を示す。
図5】配管保護材を配管の上面、側面および下面に配置した状態の模式図を示す。
図6】打撃テスト用装置の概略図を示す。
図7】打撃テスト用装置のツルハシの先端部の概略側面図を示す。
図8】打撃テスト用装置のツルハシの先端部の概略正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0018】
<1.配管保護材>
本発明に係る配管保護材1は、地中に埋設される配管50の保護材である。図1および図2に示すように、配管保護材1は、第1布地11、第2布地12、第1発泡樹脂部材21、および第2発泡樹脂部材22を有しており、配管50に近い側である内側と、配管50に遠い側である外側と、を有し、第1布地11よりも内側に第1発泡樹脂部材21が配置され、第1発泡樹脂部材21よりも内側に第2布地12が配置され、第2布地12よりも内側に第2発泡樹脂部材22が配置されている。なお、図1および図2において、紙面の上側が配管50に遠い側である外側に相当し、紙面の下側が配管50に近い側である内側に相当する。
【0019】
つまり、配管保護材1は、第1布地11および第2布地12を含む布地と、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22を含む発泡樹脂部材と、が積層構造となっている。配管保護材1が積層構造体であることにより、ツルハシ等の切削器具の打撃によって、外側に位置している第1布地11等の一部の布地が切断され、第1発泡樹脂部材21等の発泡樹脂部材が凹んで変形する可能性はあるものの、切削器具は積層構造体によって動きが止められ、切削器具が配管保護材1の内部に侵入しにくくなる。また、切削器具が配管保護材1の内部に侵入する際の力(すなわち、積層構造体を貫通する力)は、切削器具が第1布地11等の布地と接触した際に、布地の切断や布地が切断される前の伸長変形によって減衰され、さらに、布地の伸長変形によって切削器具と布地との接触が点状から面状となって接触面積が増加し、その後、第1発泡樹脂部材21等の発泡樹脂部材が圧縮変形することによって切削器具の貫通力が減衰される。第1布地11の内側に第1発泡樹脂部材21があり、第1発泡樹脂部材21の内側に第2布地12があり、第2布地12の内側に第2発泡樹脂部材22があるように、布地と発泡樹脂部材との積層が連続して存在していることにより、布地の変形、切削器具と布地との接触面積の増加、および、発泡樹脂部材の圧縮変形による切削器具の貫通力の低下が起こり、配管保護材1に亀裂が生じにくくなる。その結果、先端が鋭利なツルハシ等の切削器具が配管保護材1に接触しても、配管保護材1の破損を防止するか、配管保護材1の破損を最小限に抑えることができ、配管50を保護することが可能となる。
【0020】
本発明の配管保護材1は、従来の配管保護材と比較して、ツルハシ耐性に優れており、しかも軽量な保護材とすることができる。さらに、本発明の配管保護材1では、第1布地11および第2布地12を含む布地も、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22を含む発泡樹脂部材も、いずれも自在に成形できるため、配管保護材1を配置しやすく、また、作業現場において配管保護材1を配管50のサイズや現場の状況等に合わせて対応することが可能である。
【0021】
図1および図2に示すように、第1発泡樹脂部材21は、第1布地11よりも内側に配置されている。配管50に遠い側である外側に第1布地11が配置されており、配管50に近い側である内側に第1発泡樹脂部材21が配置されていることにより、ツルハシ等の切削器具が配管保護材1に接触した際に、切削器具による衝撃を第1布地11が拡散し、かつ、切削器具が配管保護材1を貫通する力を第1発泡樹脂部材21が吸収しやすく、配管50を保護する効果を高めることができる。
【0022】
第2布地12は、第1発泡樹脂部材21よりも内側に配置されている。第1発泡樹脂部材21よりも内側に第2布地12が配置されていることにより、切削器具が配管保護材1に強く接触し、切削器具が第1発泡樹脂部材21を貫通してしまった場合に、第1発泡樹脂部材21よりも内側に配置されている第2布地12が切削器具による衝撃を拡散し、配管50を保護することができる。
【0023】
第2発泡樹脂部材22は、第2布地12よりも内側に配置されている。第2布地12よりも内側に第2発泡樹脂部材22が配置されていることにより、配管保護材1へ切削器具が強く接触して、第1発泡樹脂部材21を切削器具が貫通してしまった際に、切削器具が配管保護材1を貫通しようとする力を第2発泡樹脂部材22が吸収することができる。その結果、切削器具が第2布地12および第2発泡樹脂部材22の層を貫通しにくくすることが可能となる。
【0024】
第1布地11と第1発泡樹脂部材21との間、つまり、第1布地11よりも内側かつ第1発泡樹脂部材21よりも外側に、第1布地11および第1発泡樹脂部材21とは異なる他物が配置されていてもよいが、第1布地11と第1発泡樹脂部材21とは互いに隣接して配置されていることが好ましい。第1布地11と第1発泡樹脂部材21とが互いに隣接して配置されていることにより、配管保護材1のツルハシ耐性を十分なものとしつつ、軽量化を図ることができる。同様に、第1発泡樹脂部材21と第2布地12とは互いに隣接して配置されていることが好ましく、また、第2布地12と第2発泡樹脂部材22とは互いに隣接して配置されていることが好ましい。
【0025】
第1布地11、第1発泡樹脂部材21、第2布地12、および第2発泡樹脂部材22のそれぞれは、例えば、接着剤や粘着剤による貼り合わせ、糸や金属線等の線材による縫合、溶着等によって少なくとも一部が接合されていてもよい。接着剤としては、例えば、シアノアクリレート系やシリコーンゴム系などの湿気硬化型、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系等の加熱硬化型、スチレンブタジエンゴム系等の熱溶融型、感圧型、再湿型から選ばれる少なくとも1種の接着剤、熱溶融性樹脂により構成されたホットメルト接着剤等が挙げられる。第1布地11、第1発泡樹脂部材21、第2布地12、および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一部の接合において、これらの接着剤から1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
<1-1.第1布地および第2布地>
第1布地11および第2布地12は、繊維を含んでいる。中でも、第1布地11および第2布地12は、有機繊維を含んでいることが好ましい。第1布地11および第2布地12が含んでいる有機繊維には、化学繊維および天然繊維が含まれる。第1布地11および第2布地12が含んでいる化学繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート繊維等のポリエステル繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ナイロン6やナイロン66、アラミド繊維等のポリアミド繊維、ポリ塩化ビニル繊維やビニリデン繊維、ポリクラール繊維等のポリ塩化ビニル系繊維、ポリフェニレンスルファイド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維等が挙げられる。また、第1布地11および第2布地12が含んでいる天然繊維としては、例えば、綿、麻、獣毛、蚕糸等が挙げられる。これらの繊維は、1種類のみ用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
【0027】
第1布地11および第2布地12が含んでいる有機繊維は、化学繊維であることが好ましい。第1布地11および第2布地12が含んでいる有機繊維が化学繊維であることにより、第1布地11および第2布地12の伸長性や強度が高まり、ツルハシ等の切削器具の打撃を第1布地11や第2布地12が受けた際に破損しにくくすることができる。
【0028】
中でも、第1布地11および第2布地12が含んでいる化学繊維は、ポリアミド繊維であることが好ましく、ナイロン繊維であることがより好ましい。第1布地11および第2布地12が含んでいる化学繊維がポリアミド繊維であることにより、繊維が強靱かつ伸縮性に優れるものとなり、第1布地11および第2布地12の伸張性と強度をより高めることができる。また、第1布地11および第2布地12が含んでいる化学繊維がナイロン繊維であることにより、繊維の伸張性や強度を維持しつつ、コストを低減することが可能となる。
【0029】
第1布地11および第2布地12が含んでいる繊維の繊度は、100dtex以上であることが好ましく、200dtex以上であることがより好ましく、300dtex以上であることがさらに好ましい。第1布地11および第2布地12が含んでいる繊維の繊度の下限値を上記の範囲に設定することにより、第1布地11および第2布地12の強度を高めることができる。また、第1布地11および第2布地12が含んでいる繊維の繊度は、1500dtex以下であることが好ましく、1300dtex以下であることがより好ましく、1000dtex以下であることがさらに好ましい。第1布地11および第2布地12が含んでいる繊維の繊度の上限値を上記の範囲に設定することにより、第1布地11および第2布地12を軽量なものとすることができ、配管保護材1の軽量化を図ることが可能となる。
【0030】
第1布地11および第2布地12が含んでいる繊維は、布帛30を構成している。第1布地11および第2布地12が有している布帛30としては、例えば、織物、編物、不織布、これらに樹脂コートまたは樹脂含浸したターポリン等のコート布等が挙げられる。
【0031】
図2に示すように、第1布地11および第2布地12の少なくとも一方は、複数の布帛30が積層されていることが好ましい。第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が、複数の布帛30が積層されている構成であることにより、複数の布帛30が積層されて構成されている第1布地11および第2布地12の少なくとも一方とツルハシ等の切削器具とが接触した際に、複数の布帛30がそれぞれ伸長して変形しやすくなり、切削器具が配管保護材1の内部に侵入する力を減衰する効果を高めることができる。
【0032】
第1布地11と第2布地12の両方が、複数の布帛30が積層されている構成であることがより好ましい。つまり、第1布地11および第2布地12は、それぞれ複数の布帛30が積層されていることがより好ましい。第1布地11および第2布地12が、それぞれ複数の布帛30が積層されている構成であることにより、第1布地11と第2布地12の両方において複数の布帛30がそれぞれ伸長変形しやすくなり、切削器具が配管保護材1の内部に侵入することを防ぎやすくなる。
【0033】
第1布地11および第2布地12が、それぞれ複数の布帛30が積層されている構成である場合、第1布地11が有している布帛30の数は、第2布地12が有している布帛30の数と異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。第1布地11が有している布帛30の数が、第2布地12が有している布帛30の数と同じであることにより、配管保護材1の製造が行いやすく、製造コストを低減することが可能となる。
【0034】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方において、積層されている布帛30の数は、2枚以上であることが好ましく、3枚以上であることがより好ましく、4枚以上であることがさらに好ましい。第1布地11および第2布地12の少なくとも一方における積層されている布帛30の数の下限値を上記の範囲に設定することにより、積層されている複数の布帛30がそれぞれ伸長変形しやすく、切削器具が配管保護材1の内部に侵入しにくくなる。また、第1布地11および第2布地12の少なくとも一方において、積層されている布帛30の数は、15枚以下であることが好ましく、10枚以下であることがより好ましく、8枚以下であることがさらに好ましく、6枚以下であることがよりさらに好ましい。第1布地11および第2布地12の少なくとも一方における積層されている布帛30の数の上限値を上記の範囲に設定することにより、ツルハシ耐性を高めつつ軽量な配管保護材1とすることができる。
【0035】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方は、織物を有していることが好ましい。つまり、第1布地11が有している布帛30と第2布地12が有している布帛30の少なくとも一方は、織物であることが好ましい。第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が織物を有していることにより、軽量かつ強度の高いものとなりやすくなる。
【0036】
第1布地11と第2布地12の両方が、織物を有していることがより好ましい。つまり、第1布地11および第2布地12は、それぞれ織物を有していることがより好ましい。第1布地11および第2布地12が、それぞれ織物を有していることにより、第1布地11と第2布地12の両方の強度を高めながら軽量なものとしやすく、軽量かつ耐久性に優れる配管保護材1とすることが可能となる。
【0037】
第1布地11および第2布地12は、それぞれ複数の織物を有していることが好ましい。つまり、第1布地11および第2布地12は、それぞれ複数の布帛30を有しており、布帛30が織物であることが好ましい。第1布地11および第2布地12がそれぞれ複数の織物を有していることにより、第1布地11および第2布地12において強度と軽量性を両立させやすくなる。
【0038】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物としては、例えば、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。中でも、第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物は、平織であることが好ましい。第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物が平織であることにより、織物の全体の強度が均一なものとなり、織物の全体的な耐久性が高まりやすくなる。
【0039】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物のカバーファクターは、1800以上であることが好ましい。織物のカバーファクターが1800以上であることにより、織物の目開きが起こりにくく、織物の強度を高めることができる。
【0040】
<カバーファクター>
織物のカバーファクター(CF)は、下記の式により算出することができる。
CF=T×(DT)1/2+W×(DW)1/2
式中、TおよびWは織物の経密度および緯密度(本/2.54cm)を示し、DTおよびDWは織物を構成する経糸および緯糸の太さ(dtex)を示す。
【0041】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物のカバーファクターは、1800以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましく、2200以上であることがさらに好ましい。織物のカバーファクターの下限値を上記の範囲に設定することにより、織物の耐久性を向上させることができる。また、第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物のカバーファクターの上限値は特に限定されないが、例えば、3000以下、2700以下、2400以下とすることができる。織物のカバーファクターの上限値を上記の範囲に設定することにより、織物を軽量なものとすることができ、また、織機によって織りやすくなるため、生産性を高めることが可能となる。なお、織物の製造において、高収縮繊維を用いて製織を行い、その後、熱処理を施すことによって繊維を収縮させて糸密度を高めることにより、織物のカバーファクターを増加させてもよい。
【0042】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物の経密度は、40本/2.54cm以上であることが好ましく、45本/2.54cm以上であることがより好ましく、50本/2.54cm以上であることがさらに好ましい。第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物の緯密度は、40本/2.54cm以上であることが好ましく、45本/2.54cm以上であることがより好ましく、50本/2.54cm以上であることがさらに好ましい。織物の経密度および緯密度の下限値を上記の範囲に設定することにより、織物の強度が高まり、ツルハシ耐性に優れる配管保護材1が得られやすくなる。
【0043】
また、第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物の経密度は、100本/2.54cm以下であることが好ましく、70本/2.54cm以下であることがより好ましく、60本/2.54cm以下であることがさらに好ましい。第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物の緯密度は、100本/2.54cm以下であることが好ましく、70本/2.54cm以下であることがより好ましく、60本/2.54cm以下であることがさらに好ましい。織物の経密度および緯密度の上限値を上記の範囲に設定することにより、織物の強度を保ちつつ軽量化を図ることができ、軽量で取り扱いやすい配管保護材1とすることが可能となる。
【0044】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物の経緯の引裂強さは、170N以上であることが好ましく、200N以上であることがより好ましく、240N以上であることがさらに好ましく、300N以上であることがよりさらに好ましい。織物の経緯の引裂強さの下限値を上記の範囲に設定することにより、織物の強度が向上し、ツルハシ等の切削器具によって破損しにくい配管保護材1とすることができる。また、第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している織物の経緯の引裂強さは、500N以下であることが好ましく、450N以下であることがより好ましく、400N以下であることがさらに好ましく、350N以下であることがよりさらに好ましい。織物の経緯の引裂強さの上限値を上記の範囲に設定することにより、軽量でありながら十分な耐久性を有する織物とすることができる。
【0045】
<引裂強さ>
織物の引裂強さは、JIS L 1096:2010 8.17.4に規定されている引裂強さD法(ペンジュラム法)に準拠して、経緯の両方向において測定することにより求めることができる。
【0046】
第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している布帛30の目付は、布帛30を構成する材料や布帛30の種類等に応じて設定することができる。例えば、布帛30がナイロン66製の平織の織物である場合、布帛30の目付は、150g/m以上500g/m以下であることが好ましい。
【0047】
また、第1布地11および第2布地12の少なくとも一方が有している布帛30の厚みについても、布帛30を構成する材料や布帛30の種類等に応じて設定することが可能である。例えば、布帛30がナイロン66製の平織の織物である場合、布帛30の厚みは、0.1mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
【0048】
第1布地11が有している布帛30は、第2布地12が有している布帛30と異なる材料や種類等であってもよいが、同じ材料や種類等であることが好ましい。第1布地11が有している布帛30が、第2布地12が有している布帛30と同じものであることにより、配管保護材1の製造にかかるコストを低減することが可能となる。
【0049】
第1布地11および第2布地12には、例えば、撥水、防汚、防虫、防カビ、抗菌、防臭、静電、耐酸化等の各種加工が施されていてもよい。第1布地11および第2布地12へのこれらの加工は、1種類であってもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
【0050】
<1-2.第1発泡樹脂部材および第2発泡樹脂部材>
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22は、気泡を有する板状の樹脂部材である。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22が有する気泡の状態は、気泡同士が独立した状態の独立気泡構造であってもよく、気泡同士が連続した状態の連続気泡構造であってもよく、一部の気泡同士が連続し、他の気泡が独立した状態の半連続気泡構造であってもよい。中でも、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22は、独立気泡構造または半連続気泡構造であることが好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22が独立気泡構造または半連続気泡構造であることにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22にツルハシ等の切削器具が接触した際に破損しにくく、ツルハシ耐性を向上させることができる。
【0051】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方を構成する材料としては、例えば、ポリウレタンやポリウレタンエラストマー等のポリウレタン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。中でも、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂のいずれかによって構成されていることが好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方を構成する材料を上記とすることにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22の耐久性を高めつつ、加工性がよく、コストを低減することが可能となる。
【0052】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22は、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)であることがより好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22がEPSであることにより、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の加工が容易となり、かつ強度を高めることができる。
【0053】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の発泡倍率は、3倍以上60倍以下であることが好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の発泡倍率を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22へツルハシ等の切削器具が接触した際に、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22が衝撃を吸収しやすく、かつ強度が高まるため、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22が破損しにくくなる。
【0054】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の発泡倍率は、3倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましく、15倍以上であることがよりさらに好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の発泡倍率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22が衝撃を吸収しやすくなり、ツルハシ等の切削器具が接触した際に第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22が割れにくくすることができる。また、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の発泡倍率は、60倍以下であることが好ましく、40倍以下であることがより好ましく、30倍以下であることがさらに好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の発泡倍率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22が含んでいる樹脂量を十分確保しやすく、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22にツルハシ等の切削器具が接触しても破損しにくくすることができる。
【0055】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の密度は、30kg/m以上であることが好ましく、35kg/m以上であることがより好ましく、40kg/m以上であることがさらに好ましく、50kg/m以上であることがよりさらに好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の密度の下限値を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22の強度が高まり、ツルハシ耐性に優れた配管保護材1とすることができる。また、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の密度は、120kg/m以下であることが好ましく、100kg/m以下であることがより好ましく、80kg/m以下であることがさらに好ましく、60kg/m以下であることがよりさらに好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の密度の上限値を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22の軽量化を図ることができ、配管保護材1を軽量なものとすることができる。
【0056】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の厚みは、3.0mm以上であることが好ましく、5.0mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の厚みの下限値を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22の強度が高まり、ツルハシ耐性を向上させやすくなる。また、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の厚みは、40mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましく、15mm以下であることがさらに好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の厚みの上限値を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22が軽量なものとなり、配管保護材1の軽量化を向上させることができる。
【0057】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の圧縮強さは、20N/cm以上であることが好ましく、25N/cm以上であることがより好ましく、30N/cm以上であることがさらに好ましく、35N/cm以上であることがよりさらに好ましい。第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の圧縮強さの下限値を上記の範囲に設定することにより、第1発泡樹脂部材21や第2発泡樹脂部材22にツルハシ等の切削器具が接触した際に破損が生じにくくなり、耐久性を高めることが可能となる。また、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の少なくとも一方の圧縮強さの上限値は特に限定されないが、例えば、150N/cm以下、130N/cm以下、100N/cm以上とすることができる。
【0058】
<圧縮強さ>
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の圧縮強さは、JIS K 7220:2006 9.1.1に基づいて測定することができる。
【0059】
第1発泡樹脂部材21は、第2発泡樹脂部材22と異なる材料や種類、大きさの発泡樹脂部材であってもよいが、同じ材料や種類、大きさの発泡樹脂部材であることが好ましい。第1発泡樹脂部材21が、第2発泡樹脂部材22と同じものであることにより、配管保護材1の製造コストを低減することができる。
【0060】
第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22のそれぞれの形状は、配管保護材1が保護する対象物である配管50に合わせた形状とすればよく、配管保護材1を設置する現場の状況や配管保護材1の設置方法、配管保護材1の保管時の収納方法等を考慮した形状であってもよい。第1発泡樹脂部材21において第1布地11に対向する面および第2布地12に対向する面や、第2発泡樹脂部材22において第2布地12に対向する面のように、発泡樹脂部材が布地に対向する面は、平面または曲面であることが好ましい。発泡樹脂部材が布地に対向する面が平面または曲面であることにより、発泡樹脂部材と布地との積層が安定して行いやすくなる。
【0061】
<1-3.配管保護材全体>
配管保護材1は、(1)第1布地11および第2布地12を製造する布地製造工程、(2)第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22を製造する発泡樹脂部材製造工程、(3)第1布地11および第2布地12と第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22とを積層する積層工程、以上(1)~(3)の工程を経て製造されることが好ましい。
【0062】
第1布地11および第2布地12が織物を有している場合、布地製造工程において生産性を考慮した織機を使用すればよい。第1布地11および第2布地12の物性の均一性を勘案すると、織物は平織であることが好ましく、使用する織機としては、例えば、エアージェットルーム、ウォータージェットルーム、レピアルーム等が挙げられる。
【0063】
発泡樹脂部材製造工程において、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22の製造としては、例えば、発泡性原料ビーズを一次発泡工程にて予備発泡を行い、その後、型物成形工程にて成形する方法、予備発泡後にブロック成形工程にてブロック状に成形し、乾燥養生後に後加工工程にてブロック体をスライス機や削り出し機によって所定の形に成形加工する方法等が挙げられる。
【0064】
積層工程において、布地製造工程にて得られた第1布地11および第2布地12と、発泡樹脂部材製造工程にて得られた第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22と、を積層する。前述の通り、第1布地11よりも内側に第1発泡樹脂部材21を配置し、第1発泡樹脂部材21よりも内側に第2布地12を配置し、第2布地12よりも内側に第2発泡樹脂部材22を配置し、第1布地11、第2布地12、第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22を積層する。
【0065】
第1布地11と第1発泡樹脂部材21の組み合わせのように、布地と発泡樹脂部材との組み合わせを1ユニットとして、配管保護材1はこのユニットを2つ以上積層していることが好ましく、3つ以上積層していることがより好ましい。
【0066】
つまり、図1および図2に示すように、配管保護材1は、さらに第3布地13および第3発泡樹脂部材23を有しており、第2発泡樹脂部材22よりも内側に第3布地13が配置され、第3布地13よりも内側に第3発泡樹脂部材23が配置されていることが好ましい。配管保護材1が第3布地13および第3発泡樹脂部材23を有していることにより、切削器具が配管保護材1に強く接触して、切削器具が第2発泡樹脂部材22も貫通してしまった場合に、第3布地13が切削器具による衝撃を拡散し、さらに、第3発泡樹脂部材23が切削器具の貫通力を吸収するため、切削器具が第3布地13および第3発泡樹脂部材23の層を貫通しにくく、配管保護材1が配管50を保護する効果を向上させることができる。
【0067】
第3布地13としては、前述の第1布地11および第2布地12と同様の構成とすることが挙げられ、好ましい構成も第1布地11および第2布地12と同様である。また、第3発泡樹脂部材23としては、前述の第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22と同様の構成とすることが挙げられ、好ましい構成も第1発泡樹脂部材21および第2発泡樹脂部材22と同様である。
【0068】
配管保護材1は、配管保護材1が保護する物体の形状に合わせた形状に成形してもよい。具体的には、配管保護材1を配管50の形状や配管50の分岐部等、配管保護材1を設置しやすい形状となるように成形してもよい。配管保護材1の形状としては、例えば、図3に示すような、配管50の上面または側面を保護する平板型や瓦型、図4に示すような、配管50の上面および側面を保護するU字型やL字型、コの字型、図5に示すような、配管50の上面、側面および下面を保護するU字型やL字型、コの字型を複数組み合わせたもの等が挙げられる。配管保護材1がこれらのような形状を形成するために、複数の配管保護材1を組み合わせてもよい。
【0069】
配管保護材1によって配管50の上面や側面を保護することにより、ツルハシ等の切削器具によって埋設された配管50を掘り起こす際に、配管50の上面や側面からの打撃を配管保護材1が保護することが可能となる。また、配管保護材1によって配管50の下面を保護することにより、配管保護材1が保護している配管50の付近にある水道管等の配管が破損した際に、この破損した配管から漏れ出た液体等によって配管50の下面が削れることを防止することができる。
【0070】
配管保護材1の厚みの平均値は、15mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましく、30mm以上であることがさらに好ましい。配管保護材1の平均厚みの下限値を上記の範囲に設定することにより、配管保護材1の強度を高めることができ、ツルハシ耐性に優れた配管保護材1とすることが可能となる。また、配管保護材1の厚みの平均値は、80mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがより好ましく、40mm以下であることがさらに好ましい。配管保護材1の平均厚みの上限値を上記の範囲に設定することにより、配管保護材1の強度を維持しつつ、配管保護材1を小型化することができる。そのため、配管保護材1が軽量なものとなり、輸送や施工が行いやすく、また、配管保護材1の保管スペースを小さくすることが可能となる。
【0071】
配管保護材1の密度は、1.0kg/m以上6.0kg/m以下であることが好ましい。配管保護材1の密度を上記の範囲に設定することにより、配管50に配管保護材1を設置する作業性が向上し、かつ耐久性を高めることができる。
【0072】
配管保護材1の密度は、6.0kg/m以下であることが好ましく、5.5kg/m以下であることがより好ましく、5.0kg/m以下であることがさらに好ましく、4.5kg/m以下であることがよりさらに好ましい。配管保護材1の密度の上限値を上記の範囲に設定することにより、配管保護材1が軽量となり、取り扱いやすいものとなる。また、配管保護材1の密度は、1.0kg/m以上であることが好ましく、1.6kg/m以上であることがより好ましく、2.0kg/m以上であることがさらに好ましく、3.0kg/m以上であることがよりさらに好ましい。配管保護材1の密度の下限値を上記の範囲に設定することにより、配管保護材1の強度が高まり、配管50を保護する効果を高めやすくなる。
【0073】
配管保護材1の100質量%中、第1布地11、第2布地12および第3布地13等を含む全ての布地の質量の割合は、25質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。配管保護材1中において布地が占める質量の割合の下限値を上記の範囲に設定することにより、第1布地11、第2布地12および第3布地13等の布地の強度を高めやすく、ツルハシ等の切削器具が布地に接触した際に、切削器具による衝撃を布地が拡散して配管保護材1の内部に切削器具が侵入しにくくすることができる。また、配管保護材1の100質量%中、全ての布地の質量の割合は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。配管保護材1中において布地が占める質量の割合の上限値を上記の範囲に設定することにより、切削器具が配管保護材1に接触した際の衝撃を吸収しやすく、破損しにくい配管保護材1とすることが可能となる。
【0074】
配管保護材1の100質量%中、第1発泡樹脂部材21、第2発泡樹脂部材22および第3発泡樹脂部材23等を含む全ての発泡樹脂部材の質量の割合は、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、35質量%以上であることがよりさらに好ましい。配管保護材1中において発泡樹脂部材が占める質量の割合の下限値を上記の範囲に設定することにより、ツルハシ等の切削器具の貫通力を発泡樹脂部材が吸収しやすくなり、切削器具が配管保護材1を貫通しにくくすることができる。また、配管保護材1の100質量%中、全ての発泡樹脂部材の質量の割合は、75質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。配管保護材1中において発泡樹脂部材が占める質量の割合の上限値を上記の範囲に設定することにより、切削器具が配管保護材1に接触した際の衝撃を拡散しやすく、切削器具が配管保護材1の内部に侵入しにくい配管保護材1とすることが可能となる。
【0075】
配管保護材1中における、第1布地11、第2布地12および第3布地13等を含む全ての布地の1質量部に対する、第1発泡樹脂部材21、第2発泡樹脂部材22および第3発泡樹脂部材23等を含む全ての発泡樹脂部材の質量の比(全ての発泡樹脂部材の質量/全ての布地の質量)は、0.9質量部以上であることが好ましく、1.1質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましく、1.9質量部以上であることがよりさらに好ましい。配管保護材1中における布地に対する発泡樹脂部材の質量比の下限値を上記の範囲に設定することにより、ツルハシ等の切削器具が配管保護材1に接触した場合に、切削器具が配管保護材1を貫通しようとする力を発泡樹脂部材が吸収しやすくなり、ツルハシ耐性に優れた配管保護材1とすることが可能となる。また、配管保護材1中における全ての布地の1質量部に対する全ての発泡樹脂部材の質量の比は、3.5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、2.5質量部以下であることがさらに好ましい。配管保護材1中における布地に対する発泡樹脂部材の質量比の上限値を上記の範囲に設定することにより、ツルハシ耐性を十分に維持しながら軽量な配管保護材1とすることができる。
【0076】
配管保護材1の打撃テストによる配管50の凹み変化は、3.5mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましく、1.3mm以下であることがさらに好ましい。配管保護材1の打撃テストによる配管50の凹み変化の上限値を上記の範囲に設定することにより、配管50に打撃が伝わりにくく、配管保護材1のツルハシ耐性が優れていると評価することができる。配管保護材1の打撃テストによる配管50の凹み変化が3.5mmを超えると、配管保護材1を配管50に設置していても、ツルハシ等の切削器具の先端が配管保護材1に当たった際に配管50の破損の程度が大きくなりやすくなってしまう。また、配管保護材1の打撃テストによる配管50の凹み変化の下限値は特に限定されず、好ましくは0mmであるが、0.5mm程度であっても許容される。なお、打撃テストの具体的な手順については、下記の実施例の欄にて詳述する。
【0077】
配管保護材1は、第1布地11、第2布地12、第1発泡樹脂部材21、および第2発泡樹脂部材22の積層体の端面において、積層体の各層の剥離を防ぐため、テープの貼付、布帛やフィルム等によって被覆されていることが好ましい。
【0078】
図2に示すように、配管保護材1は、第1布地11、第2布地12、第1発泡樹脂部材21、および第2発泡樹脂部材22の積層体の外表面の少なくとも一部を覆う被覆材40を有していることが好ましい。配管保護材1が被覆材40を有していることにより、第1布地11、第2布地12、第1発泡樹脂部材21、および第2発泡樹脂部材22を含む積層体が被覆材40によって一体化されるため、配管保護材1の取り扱いが容易となり、施工が行いやすくなる。なお、配管保護材1が第3布地13および第3発泡樹脂部材23を有している場合、積層体に第3布地13および第3発泡樹脂部材23も含まれる。つまり、被覆材40は、第1布地11、第2布地12、第3布地13、第1発泡樹脂部材21、第2発泡樹脂部材22、および第3発泡樹脂部材23の積層体の外表面の少なくとも一部を覆うものとなる。
【0079】
被覆材40としては、例えば、織物や編物、不織布、これらに樹脂コートまたは樹脂含浸したターポリン等のコート布、樹脂フィルム等が挙げられる。中でも、被覆材40は、織物や編物、不織布等の布帛に樹脂コートまたは樹脂含浸を施したコート布であることが好ましい。被覆材40がコート布であることにより、被覆材40の強度が高まり、被覆材40の破損を生じにくくすることができる。
【0080】
被覆材40は、配管保護材1に外部環境からの水分や蒸気、土砂、生物等の侵入を防止するため、防水機能や不透湿機能を有していることが好ましい。また、施工時等において、目視や測定器械による配管保護材1の位置の特定や工事時の注意喚起のために、配管保護材1は、警戒色や蛍光色であってもよく、赤外線や紫外線を反射する機能を有していてもよい。
【0081】
<2.配管保護材の用途>
配管保護材1は、配管50を保護する保護材として用いられる。配管50としては、ガス配管等の気体配管、水道管や冷媒配管等の液体配管、通信ケーブルや電線等を保護する配管等、地中に埋設される各種配管が挙げられる。
【0082】
配管保護材1の形状は、板状であることが好ましい。配管保護材1の一辺は、50cm以上であることが好ましく、55cm以上であることがより好ましく、60cm以上であることがさらに好ましい。また、配管保護材1の一辺は、120cm以下であることが好ましく、115cm以下であることがより好ましく、110cm以下であることがさらに好ましい。配管保護材1の一辺の大きさを上記の範囲に設定することにより、配管保護材1が取り扱いやすい大きさとなり、施工時において作業員の負荷を低減することが可能となる。
【0083】
配管保護材1を配管50に設置した後、配管保護材1は、配管保護材1の周囲をテープ、ロープ、面ファスナー等を用いて括り固定する、配管保護材1と配管50とを接着剤、粘着剤等によって接合し固定する、配管50を挟み込んで嵌合するような形状に配管保護材1を形成し、配管保護材1を固定する等の手段により、配管保護材1と配管50とを固定することが好ましい。
【実施例0084】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0085】
<厚み測定>
配管保護材の厚みは、ノギスを用い、サンプルが変形しないように注意しながら測定した。なお、ノギスは、株式会社ミツトヨ製 デジマチックキャリパ 500-303 CD-30を使用した。
【0086】
<密度判定>
配管保護材の密度を測定した。まず、はかりを用いて配管保護材の質量を測定した。はかりは、大和製衝株式会社製 上皿はかり SD-10を使用した。次に、金尺を用いて配管保護材の幅および長さを測定した。測定された配管保護材の幅、長さ、および厚みから、配管保護材の体積を算出した。測定した配管保護材の質量を、配管保護材の体積で除した値を使用し、以下の基準に基づいて密度判定を行った。
◎:4.0kg/m以下
○:4.0kg/m超5.5kg/m以下
×:5.5kg/m
【0087】
<打撃テスト>
(1)サンプルの作製
配管保護材(試料サイズ:縦35cm×横35cm)をガス用配管(ポリプロピレン製、内径:200.0mm、外径:216.3mm、JIS配管8B(200A))に巻き付け、巻き終わりの端部に接着テープを貼り付け、サンプルを作製した。なお、接着テープが貼付されている巻き終わりの端部は、打撃面ではない位置となるように、位置を調節した。
【0088】
(2)装置
図6に打撃テスト用装置の概略図を示す。打撃テスト用装置の打撃物には、ツルハシ110を用い、ツルハシ110には鋭利な先端部150を取り付けた。なお、ツルハシ110が取り付けられたアーム120(長さ:1m)は、一端が支点130に固定されており、固定されている一端を中心に回転可能である。気温10~35℃の条件下にて、アーム120を固定している支点130の真下にサンプル100を設置し、サンプル100を固定部140に固定する。固定部140には、枠および土嚢と使用した。サンプル100は、配管の長さ方向が鉛直となるように、立てて設置した。
【0089】
図6に示すように、鉛直方向とアーム120とがなす角度が95°となるようにツルハシ110を配置し、ツルハシ110を自然落下させてツルハシ110の自重により回転運動させる。サンプル100の配管保護材によって被覆されている部分にツルハシ110の先端部150を当てて打撃を加え、打撃前後での配管の凹みの深さ(mm)を測定した。配管の凹みの深さは、配管の長さ方向に沿って平板を当て、この平板の配管と接している面と配管の凹みの底部との距離を測ることによって測定することができる。サンプル3本に対して同様の試験を行い、その平均値によって判定を行った。
◎:1.3mm以下
○:1.3mm超3.5mm以下
△:3.5mm超6.5mm以下
×:6.5mm超
【0090】
(3)ツルハシの形状・材質
図7にツルハシ110の先端部150の概略側面図を示し、図8にツルハシ110の先端部150の概略正面図を示す。図7に示すように、ツルハシ110の先端は、5Rの形状を有する。また、ツルハシ110の先端部150は、ステンレス製である。ツルハシ110の先端部150の接触による打撃の荷重は、158.6Nであった。
【0091】
実施例1
レピア織機を用いて、経糸および緯糸に350dtex、144フィラメントのナイロン66のマルチフィラメント糸を用いて平織組織にて製織を行った。その後、沸騰水にて収縮加工を行い、130℃にて乾燥熱セット仕上げを行って、経密度59本/2.54cm、緯密度59本/2.54cmの織物Aを得た。
【0092】
発泡スチロール(トーホー工業株式会社製 特殊原料 20倍発泡品)を縦35cm、横35cm、厚み1cmに成形し、20倍発泡樹脂部材を得た。発泡樹脂部材の特性は、JIS K 7220に基づいて測定される。20倍発泡樹脂部材の特性は、密度が55.0kg/m、圧縮強さが38N/cm、圧縮弾性率が298kN/mであった。
【0093】
得られた織物Aを縦33cm、横33cmに切り出し、5枚重ねを1セットとして、布地とした。布地を20倍発泡樹脂部材に重ねたものを1ユニットとして、配管に遠い側となる外側(打撃テストにおける打撃面)に布地が位置するように3つのユニットを重ね、ユニットの積層体の端面を養生テープにて貼付して固定し、配管保護材を作製した。
【0094】
実施例2
発泡スチロール(トーホー工業株式会社製 特殊原料 30倍発泡品)を用い、30倍発泡樹脂部材を得た。30倍発泡樹脂部材の特性は、密度が36.7kg/m、圧縮強さが25N/cm、圧縮弾性率が160kN/mであった。発泡樹脂部材として30倍発泡樹脂部材を用いたこと以外は実施例1と同様にして配管保護材を作製した。
【0095】
実施例3
20倍発泡樹脂部材の厚みを5mmとしたものを発泡樹脂部材として用いたこと以外は実施例1と同様にして配管保護材を作製した。
【0096】
実施例4
布地として織物Aの1セットの枚数を3枚としたこと以外は実施例1と同様にして配管保護材を作製した。
【0097】
実施例5
発泡スチロール(トーホー工業株式会社製 特殊原料 10倍発泡品)を用い、10倍発泡樹脂部材を得た。10倍発泡樹脂部材の特性は、密度が110.0kg/m、圧縮強さが77N/cm、圧縮弾性率が872kN/mであった。実施例1と同様に、織物Aを5枚重ねたものを1セットとして布地とし、布地を10倍発泡樹脂部材に重ねたものを1ユニットとして、2つのユニットを重ねてユニットの積層体の端面を養生テープにて貼付して固定し、配管保護材を作製した。
【0098】
実施例6
経糸および緯糸に470dtex、144フィラメントのナイロン66のマルチフィラメント糸を用いて平織組織にて製織を行った。その後、沸騰水にて収縮加工を行い、130℃にて乾燥熱セット仕上げを行って、経密度52本/2.54cm、緯密度52本/2.54cmの織物Bを得た。布地として織物Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして配管保護材を作製した。
【0099】
実施例7
実施例1にて使用した織物の経密度を50本/2.54cm、緯密度を50本/2.54cmとした織物Cを得た。布地として織物Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして配管保護材を作製した。
【0100】
比較例1
実施例1での布地を20倍発泡樹脂部材に重ねたユニットの数を1つにして配管保護材を作製した。
【0101】
比較例2
実施例1にて用いた発泡樹脂部材を3枚重ね、この積層体の端面を養生テープにて貼付して固定し、配管保護材を作製した。
【0102】
比較例3
実施例1にて用いた織物Aを15枚重ね、この積層体の後端部分を4箇所ステープルにて留めて固定し、配管保護材を作製した。
【0103】
比較例4
実施例1での布地を20倍発泡樹脂部材に重ねたユニットの数を1つにし、配管に遠い側となる外側(打撃テストにおける打撃面)に発泡樹脂部材が位置するようにして、配管保護材を作製した。
【0104】
比較例5
実施例1にて用いた織物Aを15枚重ねたものを布地とし、実施例1にて用いた20倍発泡樹脂部材を3枚用いて、配管に遠い側となる外側(打撃テストにおける打撃面)に布地が位置し、配管に近い側となる内側に20倍発泡樹脂部材が3枚位置するように重ねたこと以外は実施例1と同様にして配管保護材を作製した。
【0105】
実施例および比較例に用いた織物A~Cの特性を表1に示し、10倍~30倍発泡樹脂部材の特性を表2に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
実施例および比較例にて作製した配管保護材の評価を表3に示す。
【0109】
【表3】
【0110】
表3に示すように、実施例1~7にて得られた配管保護材は、いずれも打撃テストでの判定が○または◎であり、配管を保護する効果に優れたものであった。また、実施例1~7の配管保護材は、密度の判定が○または◎であるため軽量であり、実用に供することができるものであった。つまり、実施例1~7の配管保護材は、軽量性とツルハシ耐性の両方に優れた配管保護材であると言える。
【符号の説明】
【0111】
1:配管保護材
11:第1布地
12:第2布地
13:第3布地
21:第1発泡樹脂部材
22:第2発泡樹脂部材
23:第3発泡樹脂部材
30:布帛
40:被覆材
50:配管
100:サンプル
110:ツルハシ
120:アーム
130:支点
140:固定部
150:先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8