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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053526
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】洋上風力基礎
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/32 20060101AFI20240408BHJP
   E02D 27/16 20060101ALI20240408BHJP
   E02D 27/06 20060101ALI20240408BHJP
   E02D 27/52 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
E02D27/32 A
E02D27/16
E02D27/06
E02D27/52 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023065175
(22)【出願日】2023-04-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・WIND EXPO 春 2023 開催日 令和5年3月15日 ・「Aspire」Vol.01 発行日 令和4年11月24日 ・Global Offshore Wind Summit-Japan 2022 開催日 令和4年11月10日
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 友輔
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄太
(72)【発明者】
【氏名】藤士 尚也
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA07
2D046CA08
2D046DA05
2D046DA62
(57)【要約】
【課題】防食性能を向上させた洋上風力基礎を提供することを目的とする。
【解決手段】洋上風車Wを支持する洋上風力基礎であって、洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極50、を備え、洋上風力基礎は、ジャケット式基礎100、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つである、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項2】
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎であり、
前記洋上風力基礎は、
複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力基礎。
【請求項3】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域に向くよう、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力基礎。
【請求項4】
前記複数のレグは、第1レグと、前記第1レグに隣接する第2レグと、を含み、
前記複数のブレースは、前記第1レグと前記第2レグとを接続する第1ブレースを含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記第1レグと前記第2レグと前記第1ブレースとを含む平面、に対して前記複数のレグに囲まれる領域の側に傾斜するよう、前記第1ブレースに設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力基礎。
【請求項5】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域の外側から水平方向に沿って見て、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに隠れる、
ことを特徴とする請求項3に記載の洋上風力基礎。
【請求項6】
前記複数のレグの1つの下部は、拡径部を有し、
前記拡径部の外径は、前記複数のレグの1つの端部であって海底地盤側の端部に向かうに連れ、大きくなり、
前記複数の犠牲陽極の1つは、前記拡径部に設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載の洋上風力基礎。
【請求項7】
前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグ又は前記複数のブレースと、の間には、複数のベースプレートが設けられる、
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項8】
前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブ、
を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の洋上風力基礎。
【請求項9】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグのうちの1つと前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、又は、前記複数のブレースのうちの1つと、前記複数のブレースのうちの1つとは異なるブレースであって前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、には設けられない、
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項10】
前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項11】
前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグの長手方向、又は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のブレースの長手方向に沿う、
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項12】
前記洋上風力基礎は、モノパイル式基礎であり、
前記モノパイル式基礎は、トランジションピースを含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記トランジションピースに設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力基礎。
【請求項13】
前記トランジションピースには、接岸設備が設けられ、
前記トランジションピースに設けられる前記複数の犠牲陽極は、前記モノパイル式基礎の軸を挟んで、前記接岸設備とは反対側に設けられる、
ことを特徴とする請求項12に記載の洋上風力基礎。
【請求項14】
前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記モノパイル式基礎の長手方向に沿う、
ことを特徴とする請求項13に記載の洋上風力基礎。
【請求項15】
前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記トランジションピースと、の間には、ベースプレートが設けられる、
ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項16】
前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブ、
を更に備えることを特徴とする請求項15に記載の洋上風力基礎。
【請求項17】
前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する、
ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項18】
前記洋上風力基礎は、浮体式基礎であり、
前記浮体式基礎は、浮体部を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記浮体部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力基礎。
【請求項19】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる防食装置、
を備え、
前記防食装置は、前記洋上風力基礎の一部に防食電流を流し、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つである、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項20】
前記防食装置は、前記洋上風車内で発電した電力を用い、前記防食電流を流す、
ことを特徴とする請求項19に記載の洋上風力基礎。
【請求項21】
前記防食装置は、陸上で発電された電力を用い、前記防食電流を流す、
ことを特徴とする請求項19に記載の洋上風力基礎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上風力基礎に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上に風車を支持するために、ジャケット式基礎等をはじめとした洋上風力基礎が用いられる。
例えば、特許文献1では、3本の杭(支持パイプ)によって洋上風車を支持する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-509520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎をはじめとする洋上風力基礎において、防食性能の向上が求められている。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、防食性能を向上させた洋上風力基礎を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係る洋上風力基礎は、洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、を備え、前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、洋上風車を支持する洋上風力基礎は、複数の犠牲陽極を備える。洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つである。これにより、例えば、犠牲陽極が備えられたジャケット式基礎、モノパイル式基礎、又は、浮体式基礎が腐食することを抑えることができる。よって、洋上風力基礎の防食性能を向上させることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係る洋上風力基礎は、態様1に係る洋上風力基礎において、前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎であり、前記洋上風力基礎は、複数のレグと、前記複数のレグを接続する複数のブレースと、を含み、前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、複数の犠牲陽極は、ジャケット式基礎の含む複数のレグ又は複数のブレースに設けられる。これにより、例えば、ジャケット式基礎において、犠牲陽極が設けられた複数のレグ又は複数のブレースが腐食することを抑えることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係る洋上風力基礎は、態様2に係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域に向くよう、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、複数の犠牲陽極は、ジャケット式基礎に含まれる複数のレグに囲まれる領域に向くよう、複数のレグ又は複数のブレースに設けられる。これにより、複数の犠牲陽極を、ジャケット式基礎の外側に面しないようにすることができる。よって、例えば、洋上に設けられたジャケット式基礎において、犠牲陽極に流木等の漂流物等が衝突することを抑えることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係る洋上風力基礎は、態様2又は態様3に係る洋上風力基礎において、前記複数のレグは、第1レグと、前記第1レグに隣接する第2レグと、を含み、前記複数のブレースは、前記第1レグと前記第2レグとを接続する第1ブレースを含み、前記複数の犠牲陽極は、前記第1レグと前記第2レグと前記第1ブレースとを含む平面、に対して前記複数のレグに囲まれる領域の側に傾斜するよう、前記第1ブレースに設けられることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、複数の犠牲陽極は、第1レグと第2レグと第1ブレースとを含む平面に対して、複数のレグに囲まれる領域の側に傾斜するよう、第1ブレースに設けられる。換言すれば、第1ブレースに設けられる複数の犠牲陽極は、第1レグと第2レグと第1ブレースとを含む平面よりも、複数のレグに囲まれる領域の側と反対の側に傾斜しないように設けられる。これにより、複数の犠牲陽極を、ジャケット式基礎の外側に面しないようにすることができる。よって、例えば、洋上に設けられたジャケット式基礎において、犠牲陽極に流木等の漂流物等が衝突することを抑えることができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係る洋上風力基礎は、態様2から態様4のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域の外側から水平方向に沿って見て、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに隠れることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、複数の犠牲陽極は、ジャケット式基礎に含まれる複数のレグに囲まれる領域の外側から水平方向に沿って見て、複数のレグ又は複数のブレースに隠れる。これにより、複数の犠牲陽極を、ジャケット式基礎の外側に面しないようにすることができる。よって、例えば、洋上に設けられたジャケット式基礎において、犠牲陽極に流木等の漂流物等が衝突することを抑えることができる。
【0016】
<6>本発明の態様6に係る洋上風力基礎は、態様2から態様5のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数のレグの1つの下部は、拡径部を有し、前記拡径部の外径は、前記複数のレグの1つの端部であって海底地盤側の端部に向かうに連れ、大きくなり、前記複数の犠牲陽極の1つは、前記拡径部に設けられることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ジャケット式基礎に含まれる複数のレグの1つの下部は、拡径部を有する。拡径部の外径は、複数のレグの1つの端部であって海底地盤側の端部に向かうに連れ、大きくなる。このように、レグの海底地盤側の外径を大きくすることで、例えば、レグの海底地盤側の疲労強度を向上させることができる。よって、例えば、ジャケット式基礎を安定して海底地盤に配置することができる。
【0018】
また、レグの径は、杭の径に対して比較的小さい。レグの海底地盤側の外径を大きくすることで、レグと杭との接続部において、レグの径と杭の径との差を小さくすることができる。よって、例えば、レグの径と杭の径との差が大きい場合に生じる、レグと杭とのグラウト接合の設計の問題や、レグと杭との接続時に設ける仮受工の設計の問題が生じることを抑えることができる。
【0019】
複数の犠牲陽極の1つは、拡径部に設けられる。これにより、例えば、レグの拡径部が腐食することを抑えることができる。例えば、レグの拡径部に犠牲陽極を設けない場合と比較して、レグの長手方向において犠牲陽極を均等に配置しやすくすることができる。よって、例えば、レグの防食性能を向上させることができる。
【0020】
<7>本発明の態様7に係る洋上風力基礎は、態様2から態様6のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグ又は前記複数のブレースと、の間には、複数のベースプレートが設けられることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、ジャケット式基礎において、複数の犠牲陽極と、複数の犠牲陽極が設けられる複数のレグ又は複数のブレースと、の間には、複数のベースプレートが設けられる。換言すれば、ジャケット式基礎において、犠牲陽極と、レグ又はブレースと、の間には、ベースプレートが配置される。これにより、例えば、洋上に設置した後のジャケット式基礎から何らかの理由で犠牲陽極を撤去する場合に、レグ又はブレースに影響が及ぶことを抑えることができる。
【0022】
<8>本発明の態様8に係る洋上風力基礎は、態様7に係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブを更に備えることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、ジャケット式基礎において、複数の犠牲陽極のうちの1つと複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブを更に備える。換言すれば、ジャケット式基礎において、犠牲陽極とベースプレートとの接続部には、複数のリブが設けられる。これにより、例えば、ジャケット式基礎において、犠牲陽極とベースプレートとの接続部の強度を向上させることができる。
【0024】
<9>本発明の態様9に係る洋上風力基礎は、態様2から態様8のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグのうちの1つと前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、又は、前記複数のブレースのうちの1つと、前記複数のブレースのうちの1つとは異なるブレースであって前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、には設けられないことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、ジャケット式基礎において、複数の犠牲陽極は、複数のレグのうちの1つと複数のブレースのうちの1つとの格点部、又は、複数のブレースのうちの1つと前記複数のブレースのうちの1つとは異なるブレースであって複数のブレースのうちの1つとの格点部、には設けられない。換言すれば、ジャケット式基礎において、犠牲陽極は、レグとブレースとの格点部又はブレース同士の格点部を避けて配置される。このように、比較的構造が複雑な部分であるレグとブレースとの格点部又はブレース同士の格点部に犠牲陽極を配置しないようにすることで、ジャケット式基礎の設計が複雑になることを抑えることができる。
【0026】
<10>本発明の態様10に係る洋上風力基礎は、態様1から態様9のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、洋上風力基礎において、複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する。これにより、例えば、洋上風力基礎における海面より下の部分が腐食することを効果的に抑えることができる。
【0028】
<11>本発明の態様11に係る洋上風力基礎は、態様2から態様10のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグの長手方向、又は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のブレースの長手方向に沿うことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、ジャケット式基礎において、複数の犠牲陽極の長手方向は、複数の犠牲陽極が設けられる複数のレグの長手方向、又は、複数の犠牲陽極が設けられる複数のブレースの長手方向に沿う。換言すれば、犠牲陽極の長手方向は、レグの長手方向又はブレースの長手方向に沿う。これにより、例えば、ジャケット式基礎に犠牲陽極を取り付け易くすることができる。よって、例えば、ジャケット式基礎に犠牲陽極を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。更に、例えば、ジャケット式基礎の美観を向上させることができる。
【0030】
<12>本発明の態様12に係る洋上風力基礎は、態様1から態様11のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記洋上風力基礎は、モノパイル式基礎であり、前記モノパイル式基礎は、トランジションピースを含み、前記複数の犠牲陽極は、前記トランジションピースに設けられることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、洋上風力基礎は、モノパイル式基礎である。ここで、モノパイル式基礎においては、例えば、モノパイルが地盤に打設される。この時、モノパイルに犠牲陽極が設けられていると、打設の衝撃や打設による疲労破壊によってモノパイルから犠牲陽極が外れることがある。
モノパイル式基礎は、トランジションピースを含み、複数の犠牲陽極は、トランジションピースに設けられる。このように、モノパイルに犠牲陽極を設けないことで、モノパイルの打設時にモノパイルから犠牲陽極が外れないようにすることができる。また、例えば、犠牲陽極が設けられたトランジションピースとモノパイルとを電気的に接続することで、トランジションピースに加えて、モノパイルが腐食することを抑えることができる。
【0032】
<13>本発明の態様13に係る洋上風力基礎は、態様12に係る洋上風力基礎において、前記トランジションピースには、接岸設備が設けられ、前記トランジションピースに設けられる前記複数の犠牲陽極は、前記モノパイル式基礎の軸を挟んで、前記接岸設備とは反対側に設けられることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、モノパイル式基礎に含まれるトランジションピースには、接岸設備が設けられる。トランジションピースに設けられる複数の犠牲陽極は、モノパイル式基礎の軸を挟んで、接岸設備とは反対側に設けられる。換言すれば、トランジションピースに設けられる複数の犠牲陽極は、接岸設備の周辺には設けられない。これにより、例えば、作業船がトランジションピースに設けられた接岸設備に接岸する際に、作業船が犠牲陽極に干渉することを抑えることができる。
【0034】
<14>本発明の態様14に係る洋上風力基礎は、態様12又は態様13に係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記モノパイル式基礎の長手方向に沿うことを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、複数の犠牲陽極の長手方向は、モノパイル式基礎の長手方向に沿う。これにより、例えば、モノパイル式基礎に犠牲陽極を取り付け易くすることができる。よって、例えば、モノパイル式基礎に犠牲陽極を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。また、例えば、モノパイル式基礎の美観を向上させることができる。更に、例えば、モノパイル式基礎に接近する作業船が犠牲陽極に干渉することをより抑えることができる。
【0036】
<15>本発明の態様15に係る洋上風力基礎は、態様12から態様14のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記トランジションピースと、の間には、ベースプレートが設けられることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、モノパイル式基礎において、複数の犠牲陽極と、複数の犠牲陽極が設けられるトランジションピースと、の間には、ベースプレートが設けられる。換言すれば、モノパイル式基礎において、犠牲陽極とトランジションピースとの間には、ベースプレートが配置される。これにより、例えば、洋上に設置した後のモノパイル式基礎から何らかの理由で犠牲陽極を撤去する場合に、トランジションピースに影響が及ぶことを抑えることができる。
【0038】
<16>本発明の態様16に係る洋上風力基礎は、態様15に係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブを更に備えることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、モノパイル式基礎において、複数の犠牲陽極のうちの1つと複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブを更に備える。換言すれば、モノパイル式基礎において、犠牲陽極とベースプレートとの接続部には、複数のリブが設けられる。これにより、例えば、モノパイル式基礎において、犠牲陽極とベースプレートとの接続部の強度を向上させることができる。
【0040】
<17>本発明の態様17に係る洋上風力基礎は、態様1から態様16のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置することを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、モノパイル式基礎において、複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する。これにより、例えば、モノパイル式基礎における海面より下の部分が腐食することを効果的に抑えることができる。
【0042】
<18>本発明の態様18に係る洋上風力基礎は、態様1から態様17のいずれか1つに係る洋上風力基礎において、前記洋上風力基礎は、浮体式基礎であり、前記浮体式基礎は、浮体部を含み、前記複数の犠牲陽極は、前記浮体部に設けられることを特徴とする。
【0043】
この発明によれば、洋上風力基礎は、浮体式基礎である。浮体式基礎は、浮体部を含む。ここで、浮体式基礎において、浮体部は、少なくとも一部が海面より下に位置する。そして、複数の犠牲陽極は、浮体部に設けられる。これにより、例えば、浮体部における海面より下の部分が腐食することを効果的に抑えることができる。
【0044】
<19>本発明の態様19に係る洋上風力基礎は、洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、前記洋上風力基礎に設けられる防食装置、を備え、前記防食装置は、前記洋上風力基礎の一部に防食電流を流し、前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであることを特徴とする。
【0045】
この発明によれば、洋上風車を支持する洋上風力基礎は、防食装置を備える。防食装置は、洋上風力基礎の一部に防食電流を流す。これにより、洋上風力基礎の腐食を抑えることができる。洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つである。これにより、例えば、防食装置が備えられたジャケット式基礎、モノパイル式基礎、又は、浮体式基礎が腐食することを抑えることができる。
【0046】
<20>本発明の態様20に係る洋上風力基礎は、態様19に係る洋上風力基礎において、前記防食装置は、前記洋上風車内で発電した電力を用い、前記防食電流を流すことを特徴とする。
【0047】
この発明によれば、防食装置は、洋上風車内で発電した電力を用い、防食電流を流す。これにより、例えば、防食装置に陸上で発電された電力を用いた場合と比較して、海中に敷設する防食装置用の電源ケーブルの長さを抑えることができる。あるいは、海中に敷設する防食装置用の電源ケーブルを不要とすることができる。更に、例えば、防食装置の電池切れを考慮することを不要とすることができる。
【0048】
<21>本発明の態様21に係る洋上風力基礎は、態様19に係る洋上風力基礎において、前記防食装置は、陸上で発電された電力を用い、前記防食電流を流すことを特徴とする。
【0049】
この発明によれば、防食装置は、陸上で発電された電力を用い、防食電流を流す。これにより、例えば、洋上風力基礎に設けられた洋上風車が発電できない場合であっても、防食装置の電池切れを考慮することを不要とすることができる。この態様は、例えば、洋上風力基礎が比較的陸地に近い場所に設けられる場合において、特に有用である。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、防食性能を向上させた洋上風力基礎を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】ジャケット式基礎の正面図である。
図2】犠牲陽極の接続構造の拡大正面図である。
図3図2に示すIII-III方向の断面図である。
図4図3に示すベースプレートと心金との接続部の拡大図である。
図5図4に示すV-V方向の断面図である。
図6】モノパイル式基礎の正面図である。
図7】モノパイル式基礎の斜視図である。
図8】浮体式基礎の正面図である。
図9】浮体式基礎の斜視図である。
図10】防食装置の第1例を備えたジャケット式基礎の正面図である。
図11】防食装置の第2例を備えたジャケット式基礎の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る洋上風力基礎を説明する。本実施形態に係る洋上風力基礎は、洋上風車を支持する。本実施形態において、洋上風力基礎は、例えば、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つである。
本実施形態に係る洋上風力基礎には、複数の犠牲陽極が設けられる。このことで、洋上風力基礎が腐食することを抑える。
以下、洋上風力基礎への犠牲陽極の取り付けの形態について、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のそれぞれに分けて説明する。
【0053】
(洋上風力基礎がジャケット式基礎である場合)
図1を参照して、洋上風力基礎がジャケット式基礎である場合について説明する。
本実施形態に係るジャケット式基礎100は、図1に示すように、杭10と、レグ20と、トランジションピース30と、ブレース40と、犠牲陽極50と、を含む。
【0054】
杭10は、海底地盤に打設される。杭10の上端は、レグ20の下端に接続される。このことで、杭10は、レグ20を海底地盤の上に支持する。杭10の上端とレグ20の下端とは、例えば、レグ20の下端が杭10の上端の内部に挿入されることで接続される。これに限らず、杭10の上端とレグ20の下端とは、例えば、不図示の接続部材によって接続されてもよい。
【0055】
レグ20は、トランジションピース30を支持する。レグ20は、ジャケット式基礎100において複数設けられる。ジャケット式基礎100は、例えば、4つのレグ20を含む。換言すれば、本実施形態に係るジャケット式基礎100において、レグ20は4つ設けられる。
これに限らず、ジャケット式基礎100は、3つのレグ20を含んでもよいし、5つ以上のレグ20を含んでもよい。
本実施形態において、複数のレグ20は、第1レグ21と、第2レグ22と、を含む。第1レグ21は、複数のレグ20のうちの1つである。第2レグ22は、ジャケット式基礎100の周方向において第1レグ21に隣接するレグ20をいう。以下、これらを区別しない場合には、レグ20という。
【0056】
本実施形態において、複数のレグ20の1つの下部は、例えば、拡径部20eを有する。なお、拡径部20eは、複数のレグ20のうちの2つ以上が有してもよいし、複数のレグ20の全てが有してもよい。
拡径部20eの外径は、複数のレグ20の1つの端部であって海底地盤側の端部に向かうに連れ、大きくなる。換言すれば、拡径部20eは、下方から上方にかけて、レグ20の外径がテーパー状に縮径する部分である。
【0057】
トランジションピース30は、洋上風車Wに接続される部位である。具体的には、トランジションピース30には、洋上風車WのタワーTの下端が接続される。トランジションピース30は、レグ20によって支持される。
ブレース40は、ジャケット式基礎100において、複数のレグ20同士を接続する。このことで、ブレース40は、ジャケット式基礎100を補強する。ブレース40は、ジャケット式基礎100において、複数設けられる。この時、ブレース40は、例えば、図1に示すように、X字状を形成するように配置される。あるいは、ブレース40は、レグ20とレグ20との間に水平に配置されてもよい。
本実施形態において、複数のブレース40は、第1ブレース41を含む。第1ブレース41は、第1レグ21と第2レグ22とを接続する。
【0058】
犠牲陽極50は、レグ20及びブレース40の代わりに水中に溶け出すことで、レグ20及びブレース40が腐食することを抑える。犠牲陽極50には、例えば、棒状のアルミニウム材が好適に用いられる。本実施形態に係るジャケット式基礎100において、犠牲陽極50は、上述のように設けられた複数のレグ20又は複数のブレース40に複数設けられる。
ここで、ジャケット式基礎100において特に腐食しやすい部分は、海面Sより下に位置する部分である。このため、ジャケット式基礎100において、複数の犠牲陽極50は、例えば、図1に示すように、海面Sより下に位置するように配置されることが好ましい。
【0059】
本実施形態に係るジャケット式基礎100において、犠牲陽極50と、レグ20又はブレース40との接続は、例えば、下記の接続構造60によりなされる。すなわち、図2及び図3に示すように、犠牲陽極50のレグ20又はブレース40への接続構造60は、ベースプレート61と、心金62と、リブ63と、を備える。
【0060】
ベースプレート61は、複数の犠牲陽極50と、複数の犠牲陽極50が設けられる複数のレグ20又は複数のブレース40と、の間に設けられる。具体的には、ベースプレート61は、レグ20又はブレース40の外周面に配置される。ベースプレート61は、例えば、レグ20又はブレース40に、溶接により取り付けられる。
ここで、洋上に設置した後のジャケット式基礎100から何らかの理由で犠牲陽極50を撤去することがある。ベースプレートは、犠牲陽極50の撤去作業の際に、レグ20又はブレース40に影響が及ぶことを抑える機能を有する。
【0061】
心金62は、ベースプレート61と犠牲陽極50との間に配置される棒状の部材である。心金62は、例えば、図2に示すように、1つの犠牲陽極50に対して2つ設けられる。ベースプレート61と心金62とは、例えば、溶接により接続されることが好ましい。心金62と犠牲陽極50とは、例えば、心金62の端部が犠牲陽極50の内部に埋め込まれることにより接続されることが好ましい。心金62の太さは、例えば、心金62に想定される応力などの条件を加味した上で、適宜決定されることが好ましい。
【0062】
リブ63は、複数の犠牲陽極50のうちの1つと複数のベースプレート61のうちの1つとを接続する。具体的には、リブ63は、図3及び図4に示すように、ベースプレート61と心金62との接続を補強する板状の部材である。
リブ63と、ベースプレート61及び心金62とは、例えば、溶接により接続される。リブ63は、例えば、図5に示すように、1つの心金62に対して十字状に4箇所設けられる。このことで、リブ63は、ベースプレート61と心金62との接続を補強する。
【0063】
複数の犠牲陽極50をレグ20又はブレース40に取り付ける時は、例えば、レグ20又はブレース40の長手方向に沿って間隔をあけて設ける。このとき、犠牲陽極50は、例えば、レグ20又はブレース40における犠牲陽極50が設けられる領域において均等に配置されることが好ましい。
犠牲陽極50がレグ20に取り付けられる時、犠牲陽極50の長手方向は、レグ20の長手方向に沿う。犠牲陽極50がブレース40に取り付けられる時、犠牲陽極50の長手方向は、ブレース40の長手方向に沿う。
【0064】
ここで、複数の犠牲陽極50の1つは、拡径部20eに設けられる。あるいは、犠牲陽極50は、拡径部20eに複数設けられてもよい。この場合、犠牲陽極50は、例えば、図1に示すように、レグ20の長手方向に対して傾斜する拡径部20eの外周面に沿うことが好ましい。本実施形態において、犠牲陽極50の長手方向がレグ20の長手方向に沿うとは、前述のように犠牲陽極50が拡径部20eの外周面に沿うことも含むものとする。
【0065】
本実施形態に係るジャケット式基礎100において、複数の犠牲陽極50は、図1に示すように、複数のレグ20のうちの1つと複数のブレース40のうちの1つとの格点部、又は、複数のブレース40のうちの1つと、複数のブレース40のうちの1つとは異なるブレース40であって複数のブレース40のうちの1つとの格点部、には設けられないようにすることが好ましい。換言すれば、ジャケット式基礎100において、犠牲陽極50は、レグ20とブレース40との格点部又はブレース40同士の格点部を避けて配置されることが好ましい。
【0066】
本実施形態に係るジャケット式基礎100において、複数の犠牲陽極50は、例えば、複数のレグ20に囲まれる領域に向くよう、複数のレグ20又は複数のブレース40に設けられることが好ましい。
又は、複数の犠牲陽極50は、例えば、第1レグ21と第2レグ22と第1ブレース41とを含む平面、に対して、複数のレグ20に囲まれる領域の側に傾斜するよう、第1ブレース41に設けられることが好ましい。
あるいは、複数の犠牲陽極50は、例えば、複数のレグ20に囲まれる領域の外側から水平方向に沿って見て、複数のレグ20又は複数のブレース40に隠れるように設けられることが好ましい。
ジャケット式基礎100においては、複数の犠牲陽極50を上述したいずれかのように配置することで、犠牲陽極50が、ジャケット式基礎100の外側に面しないようにすることが好ましい。
【0067】
ここで、例えば、ジャケット式基礎100のレグ20には、海底に敷設された電気ケーブルがトランジションピース30に接続されることを補助するために、内部に電気ケーブルを配置して保護するためのJチューブが設けられることがある。この場合は、犠牲陽極50は、例えば、Jチューブとレグ20との接続部を避けて設けられることが好ましい。具体的には、例えば、ベースプレート61をレグ20に配置する際、Jチューブとレグ20との接続部を避けて配置することが好ましい。
【0068】
(洋上風力基礎がモノパイル式基礎である場合)
図6図7を参照して、洋上風力基礎がモノパイル式基礎である場合について説明する。
本実施形態に係るモノパイル式基礎200は、図6及び図7に示すように、モノパイル210と、トランジションピース220と、を含む。
モノパイル210は、海底地盤に打設される。モノパイル210の上端には、トランジションピース220が接続される。このことで、モノパイル210は、トランジションピース220を洋上に支持する。
【0069】
トランジションピース220は、洋上風車Wに接続される部位である。具体的には、トランジションピース220には、洋上風車WのタワーTの下端が接続される。トランジションピース220は、モノパイル210によって支持される。具体的には、図6及び図7に示すように、筒状であるトランジションピース220が、モノパイル210の上端に被せられるようにして接続される。
本実施形態に係るモノパイル式基礎200のトランジションピース220には、図7に示すように、接岸設備221が設けられる。接岸設備221は、例えば、トランジションピース220に対して、作業船を接岸するために設けられる。
【0070】
犠牲陽極50は、上述のジャケット式基礎100において設けられるものと同一の構成である。モノパイル式基礎200において、複数の犠牲陽極50は、例えば、図6に示すように、海面Sより下に位置するように配置されることが好ましい。
【0071】
ここで、モノパイル式基礎200においては、例えば、モノパイル210が地盤に打設される。この時、モノパイル210に犠牲陽極50が設けられていると、打設の衝撃や打設による疲労破壊によってモノパイル210から犠牲陽極50が外れることがある。このため、本実施形態に係るモノパイル式基礎200において、犠牲陽極50は、トランジションピース220に複数設けられることが好ましい。更に、犠牲陽極50が設けられたトランジションピース220とモノパイル210とを電気的に接続することで、トランジションピース220に加えて、モノパイル210が腐食することを抑えることができるようにすることがより好ましい。
【0072】
本実施形態に係るモノパイル式基礎200において、犠牲陽極50と、トランジションピース220との接続は、上述のジャケット式基礎100と同様になされる。すなわち、犠牲陽極50のトランジションピース220への接続構造60は、ベースプレート61と、心金62と、リブ63と、を備える。
ベースプレート61は、トランジションピース220に対し、例えば、溶接により接続される。その他の点は、上述のジャケット式基礎100と同一であるため、説明を省略する。
【0073】
複数の犠牲陽極50をトランジションピース220に取り付ける時は、例えば、モノパイル式基礎200の長手方向及び周方向に沿って間隔をあけて設ける。このとき、犠牲陽極50は、例えば、トランジションピース220における犠牲陽極50が設けられる領域において均等に配置されることが好ましい。
犠牲陽極50がトランジションピース220に取り付けられる時、犠牲陽極50の長手方向は、モノパイル式基礎200の長手方向に沿うようにすることが好ましい。
【0074】
ここで、トランジションピース220の外周面は、例えば、モノパイル式基礎200の長手方向に対して傾斜していることがある。この場合、犠牲陽極50は、例えば、図6に示すように、モノパイル式基礎200の長手方向に対して傾斜するトランジションピース220の外周面に沿うことが好ましい。本実施形態において、犠牲陽極50の長手方向がトランジションピース220の長手方向に沿うとは、前述のように犠牲陽極50がモノパイル式基礎200の長手方向に対して傾斜したトランジションピース220の外周面に沿うことも含むものとする。
【0075】
上述のように、トランジションピース220には接岸設備221が設けられる。本実施形態に係るモノパイル式基礎200において、トランジションピース220に設けられる複数の犠牲陽極50は、モノパイル式基礎200の軸を挟んで、接岸設備221とは反対側に設けられることが好ましい。換言すれば、トランジションピース220に設けられる複数の犠牲陽極50は、接岸設備221の周辺には設けられないようにすることが好ましい。これにより、例えば、作業船がトランジションピース220に設けられた接岸設備221に接岸する際に、作業船が犠牲陽極50に干渉することを抑えるようにすることが好ましい。
【0076】
(洋上風力基礎が浮体式基礎である場合)
図8図9を参照して、洋上風力基礎が浮体式基礎である場合について説明する。浮体式基礎300は、例えば、洋上風車Wの設置場所の水深が深い場合等において、ジャケット式基礎100又はモノパイル式基礎200よりも浮体式基礎300の方が経済的である場合に好適に用いられる。
本実施形態に係る浮体式基礎300は、図8及び図9に示すように、浮体部310と、係留ライン320と、犠牲陽極50と、を含む。
【0077】
浮体部310は、洋上風車Wに接続される部位である。具体的には、浮体部310には、洋上風車WのタワーTの下端が接続される。
浮体部310は、例えば、中空であり、内部に空気が密封されている。このことで、浮体部310は、浮力を有する。浮体部310に接続された洋上風車Wは、浮体部310の浮力によって、洋上に支持される。
図9に示すように、浮体部310は、例えば、L字状の形状を有する。浮体部310は、例えば、有底角筒状の部材を2つ組み合わせることで形成される。
【0078】
係留ライン320は、一方の端部が海底地盤に固定され、他方の端部が浮体部310に接続される。このことで、係留ライン320は、洋上において浮体部310の位置を固定する。係留ライン320は、例えば、1つの浮体部310に対して複数設けられる。浮体部310には、例えば、係留ライン320と接続するための接続部を備えていることが好ましい。
【0079】
犠牲陽極50は、上述のジャケット式基礎100において設けられるものと同一の構成である。浮体式基礎300において、複数の犠牲陽極50は、例えば、図8に示すように、海面Sより下に位置するように配置されることが好ましい。
【0080】
本実施形態に係る浮体式基礎300において、犠牲陽極50と、浮体部310との接続は、上述のジャケット式基礎100と同様になされる。すなわち、犠牲陽極50の浮体部310への接続構造60は、ベースプレート61と、心金62と、リブ63と、を備える。
ベースプレート61は、浮体部310に対し、例えば、溶接により接続される。その他の点は、上述のジャケット式基礎100と同一であるため、説明を省略する。
【0081】
浮体式基礎300において、海面Sより下に位置する部分は、例えば、浮体部310である。このため、本実施形態に係る浮体式基礎300において、複数の犠牲陽極50は、浮体部310に設けられることが好ましい。浮体部310に加えて、洋上風車WのタワーTの下端が海面Sより下に位置する場合は、例えば、浮体部310と洋上風車WのタワーTの下端とを電気的に接続することで、浮体部310に加えて、洋上風車WのタワーTの下端が腐食することを抑えることができるようにすることがより好ましい。
【0082】
複数の犠牲陽極50を浮体部310に取り付ける時は、例えば、図9に示すように、浮体部310の側面、上面、又は下面に、間隔をあけて設ける。このとき、犠牲陽極50は、例えば、浮体部310における犠牲陽極50が設けられる領域において均等に配置されることが好ましい。
犠牲陽極50が浮体部310に取り付けられる時、犠牲陽極50の長手方向は、浮体部310を形成する有底筒体の長手方向に沿うようにすることが好ましい。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係る洋上風力基礎によれば、洋上風車Wを支持する洋上風力基礎は、複数の犠牲陽極50を備える。洋上風力基礎は、ジャケット式基礎100、モノパイル式基礎200、及び、浮体式基礎300のいずれか一つである。これにより、例えば、犠牲陽極50が備えられたジャケット式基礎100、モノパイル式基礎200、又は、浮体式基礎300が腐食することを抑えることができる。よって、洋上風力基礎の防食性能を向上させることができる。
【0084】
また、複数の犠牲陽極50は、ジャケット式基礎100の含む複数のレグ20又は複数のブレース40に設けられる。これにより、例えば、ジャケット式基礎100において、犠牲陽極50が設けられた複数のレグ20又は複数のブレース40が腐食することを抑えることができる。
【0085】
また、複数の犠牲陽極50は、ジャケット式基礎100に含まれる複数のレグ20に囲まれる領域に向くよう、複数のレグ20又は複数のブレース40に設けられる。これにより、複数の犠牲陽極50を、ジャケット式基礎100の外側に面しないようにすることができる。よって、例えば、洋上に設けられたジャケット式基礎100において、犠牲陽極50に流木等の漂流物等が衝突することを抑えることができる。
【0086】
また、複数の犠牲陽極50は、第1レグ21と第2レグ22と第1ブレース41とを含む平面に対して、複数のレグ20に囲まれる領域の側に傾斜するよう、第1ブレース41に設けられる。換言すれば、第1ブレース41に設けられる複数の犠牲陽極50は、第1レグ21と第2レグ22と第1ブレース41とを含む平面よりも、複数のレグ20に囲まれる領域の側と反対の側に傾斜しないように設けられる。これにより、複数の犠牲陽極50を、ジャケット式基礎100の外側に面しないようにすることができる。よって、例えば、洋上に設けられたジャケット式基礎100において、犠牲陽極50に流木等の漂流物等が衝突することを抑えることができる。
【0087】
また、複数の犠牲陽極50は、ジャケット式基礎100に含まれる複数のレグ20に囲まれる領域の外側から水平方向に沿って見て、複数のレグ20又は複数のブレース40に隠れる。これにより、複数の犠牲陽極50を、ジャケット式基礎100の外側に面しないようにすることができる。よって、例えば、洋上に設けられたジャケット式基礎100において、犠牲陽極50に流木等の漂流物等が衝突することを抑えることができる。
【0088】
また、ジャケット式基礎100に含まれる複数のレグ20の1つの下部は、拡径部20eを有する。拡径部20eの外径は、複数のレグ20の1つの端部であって海底地盤側の端部に向かうに連れ、大きくなる。このように、レグ20の海底地盤側の外径を大きくすることで、例えば、レグ20の海底地盤側の疲労強度を向上させることができる。よって、例えば、ジャケット式基礎100を安定して海底地盤に配置することができる。
【0089】
また、レグ20の径は、杭10の径に対して比較的小さい。レグ20の海底地盤側の外径を大きくすることで、レグ20と杭10との接続部において、レグ20の径と杭10の径との差を小さくすることができる。よって、例えば、レグ20の径と杭10の径との差が大きい場合に生じる、レグ20と杭10とのグラウト接合の設計の問題や、レグ20と杭10との接続時に設ける仮受工の設計の問題が生じることを抑えることができる。
【0090】
複数の犠牲陽極50の1つは、拡径部20eに設けられる。これにより、例えば、レグ20の拡径部20eが腐食することを抑えることができる。例えば、レグ20の拡径部20eに犠牲陽極50を設けない場合と比較して、レグ20の長手方向において犠牲陽極50を均等に配置しやすくすることができる。よって、例えば、レグ20の防食性能を向上させることができる。
【0091】
また、ジャケット式基礎100において、複数の犠牲陽極50と、複数の犠牲陽極50が設けられる複数のレグ20又は複数のブレース40と、の間には、複数のベースプレート61が設けられる。換言すれば、ジャケット式基礎100において、犠牲陽極50と、レグ20又はブレース40と、の間には、ベースプレート61が配置される。これにより、例えば、洋上に設置した後のジャケット式基礎100から何らかの理由で犠牲陽極50を撤去する場合に、レグ20又はブレース40に影響が及ぶことを抑えることができる。
【0092】
また、ジャケット式基礎100において、複数の犠牲陽極50のうちの1つと複数のベースプレート61のうちの1つとを接続する複数のリブ63を更に備える。換言すれば、ジャケット式基礎100において、犠牲陽極50とベースプレート61との接続部には、複数のリブ63が設けられる。これにより、例えば、ジャケット式基礎100において、犠牲陽極50とベースプレート61との接続部の強度を向上させることができる。
【0093】
また、ジャケット式基礎100において、複数の犠牲陽極50は、複数のレグ20のうちの1つと複数のブレース40のうちの1つとの格点部、又は、複数のブレース40のうちの1つと前記複数のブレース40のうちの1つとは異なるブレース40であって複数のブレース40のうちの1つとの格点部、には設けられない。換言すれば、ジャケット式基礎100において、犠牲陽極50は、レグ20とブレース40との格点部又はブレース40同士の格点部を避けて配置される。このように、比較的構造が複雑な部分であるレグ20とブレース40との格点部又はブレース40同士の格点部に犠牲陽極50を配置しないようにすることで、ジャケット式基礎100の設計が複雑になることを抑えることができる。
【0094】
また、洋上風力基礎において、複数の犠牲陽極50は、海面Sより下に位置する。これにより、例えば、洋上風力基礎における海面Sより下の部分が腐食することを効果的に抑えることができる。
【0095】
また、ジャケット式基礎100において、複数の犠牲陽極50の長手方向は、複数の犠牲陽極50が設けられる複数のレグ20の長手方向、又は、複数の犠牲陽極50が設けられる複数のブレース40の長手方向に沿う。換言すれば、犠牲陽極50の長手方向は、レグ20の長手方向又はブレース40の長手方向に沿う。これにより、例えば、ジャケット式基礎100に犠牲陽極50を取り付け易くすることができる。よって、例えば、ジャケット式基礎100に犠牲陽極50を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。更に、例えば、ジャケット式基礎100の美観を向上させることができる。
【0096】
また、洋上風力基礎は、モノパイル式基礎200である。ここで、モノパイル式基礎200においては、例えば、モノパイル210が地盤に打設される。この時、モノパイル210に犠牲陽極50が設けられていると、打設の衝撃や打設による疲労破壊によってモノパイル210から犠牲陽極50が外れることがある。
モノパイル式基礎200は、トランジションピース220を含み、複数の犠牲陽極50は、トランジションピースに設けられる。このように、モノパイル210に犠牲陽極50を設けないことで、モノパイル210の打設時にモノパイル210から犠牲陽極50が外れないようにすることができる。また、例えば、犠牲陽極50が設けられたトランジションピース220とモノパイル210とを電気的に接続することで、トランジションピース220に加えて、モノパイル210が腐食することを抑えることができる。
【0097】
また、モノパイル式基礎200に含まれるトランジションピース220には、接岸設備221が設けられる。トランジションピース220に設けられる複数の犠牲陽極50は、モノパイル式基礎200の軸を挟んで、接岸設備221とは反対側に設けられる。換言すれば、トランジションピース220に設けられる複数の犠牲陽極50は、接岸設備221の周辺には設けられない。これにより、例えば、作業船がトランジションピース220に設けられた接岸設備221に接岸する際に、作業船が犠牲陽極50に干渉することを抑えることができる。
【0098】
また、複数の犠牲陽極50の長手方向は、モノパイル式基礎200の長手方向に沿う。これにより、例えば、モノパイル式基礎200に犠牲陽極50を取り付け易くすることができる。よって、例えば、モノパイル式基礎200に犠牲陽極50を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。また、例えば、モノパイル式基礎200の美観を向上させることができる。更に、例えば、モノパイル式基礎200に接近する作業船が犠牲陽極50に干渉することをより抑えることができる。
【0099】
また、モノパイル式基礎200において、複数の犠牲陽極50と、複数の犠牲陽極50が設けられるトランジションピース220と、の間には、ベースプレート61が設けられる。換言すれば、モノパイル式基礎200において、犠牲陽極50とトランジションピース220との間には、ベースプレート61が配置される。これにより、例えば、洋上に設置した後のモノパイル式基礎200から何らかの理由で犠牲陽極50を撤去する場合に、トランジションピース220に影響が及ぶことを抑えることができる。
【0100】
また、モノパイル式基礎200において、複数の犠牲陽極50のうちの1つと複数のベースプレート61のうちの1つとを接続する複数のリブ63を更に備える。換言すれば、モノパイル式基礎200において、犠牲陽極50とベースプレート61との接続部には、複数のリブ63が設けられる。これにより、例えば、モノパイル式基礎200において、犠牲陽極50とベースプレート61との接続部の強度を向上させることができる。
【0101】
また、モノパイル式基礎200において、複数の犠牲陽極50は、海面Sより下に位置する。これにより、例えば、モノパイル式基礎200における海面Sより下の部分が腐食することを効果的に抑えることができる。
【0102】
また、洋上風力基礎は、浮体式基礎300である。浮体式基礎300は、浮体部310を含む。ここで、浮体式基礎300において、浮体部310は、少なくとも一部が海面Sより下に位置する。そして、複数の犠牲陽極50は、浮体部310に設けられる。これにより、例えば、浮体部310における海面より下の部分が腐食することを効果的に抑えることができる。
【0103】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の洋上風力基礎について、図10及び図11を用いて説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第1実施形態において、洋上風力基礎は、例えば、ジャケット式基礎100、モノパイル式基礎200、及び、浮体式基礎300のいずれか一つである。図10及び図11においては、洋上風力基礎がジャケット式基礎100である場合を例に挙げて説明する。
【0104】
第2実施形態に係る洋上風力基礎には、防食装置400が設けられる。防食装置400は、洋上風力基礎の一部に防食電流を流す電源装置である。防食電流は、例えば、直流電流である。このことで、洋上風力基礎が腐食することを抑える。防食装置400は、例えば、ジャケット式基礎100、モノパイル式基礎200、及び、浮体式基礎300のそれぞれに、電気ケーブル400Cを介して適宜接続される。
【0105】
防食装置400は、例えば、図10に示すように、洋上風車W内で発電した電力を用い、防食電流を流す。すなわち、防食装置400は、例えば、防食装置400が設けられた洋上風力基礎に設けられた洋上風車W内で発電した電力を供給されることで機能する。このとき、防食装置400は、例えば、洋上風力基礎の内部に配置されることが好ましい。すなわち、例えば、図10に示すジャケット式基礎100においては、防食装置400は、トランジションピース30の内部に配置されることが好ましい。
【0106】
防食装置400は、例えば、図11に示すように、陸上で発電された電力を用い、防食電流を流してもよい。すなわち、防食装置400は、例えば、洋上風力基礎が設けられた場所の近くに位置する不図示の発電施設が発電した電力を供給されることで機能してもよい。このとき、防食装置400は、例えば、洋上風力基礎の外部に設けられることが好ましい。すなわち、例えば、前記発電施設に付随して設けられることが好ましい。
【0107】
以上説明したように、本実施形態に係る洋上風力基礎によれば、洋上風車Wを支持する洋上風力基礎は、防食装置400を備える。防食装置400は、洋上風力基礎の一部に防食電流を流す。これにより、洋上風力基礎の腐食を抑えることができる。洋上風力基礎は、ジャケット式基礎100、モノパイル式基礎200、及び、浮体式基礎300のいずれか一つである。これにより、例えば、防食装置400が備えられたジャケット式基礎100、モノパイル式基礎200、又は、浮体式基礎300が腐食することを抑えることができる。
【0108】
また、防食装置400は、洋上風車W内で発電した電力を用い、防食電流を流す。これにより、例えば、防食装置400に陸上で発電された電力を用いた場合と比較して、海中に敷設する防食装置400用の電源ケーブルの長さを抑えることができる。あるいは、海中に敷設する防食装置400用の電源ケーブルを不要とすることができる。更に、例えば、防食装置400の電池切れを考慮することを不要とすることができる。
【0109】
また、防食装置400は、陸上で発電された電力を用い、防食電流を流す。これにより、例えば、洋上風力基礎に設けられた洋上風車Wが発電できない場合であっても、防食装置400の電池切れを考慮することを不要とすることができる。この態様は、例えば、洋上風力基礎が比較的陸地に近い場所に設けられる場合において、特に有用である。
【0110】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、犠牲陽極50の接続構造60において、心金62とベースプレート61との接続強度が十分である場合、リブ63は設けられなくてもよい。
【0111】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 杭
20 レグ
20e 拡径部
30 トランジションピース
40 ブレース
50 犠牲陽極
60 接続構造
61 ベースプレート
62 心金
63 リブ
100 ジャケット式基礎
200 モノパイル式基礎
210 モノパイル
220 トランジションピース
300 浮体式基礎
310 浮体部
320 係留ライン
400 防食装置
S 海面
T タワー
W 洋上風車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであり、
前記複数の犠牲陽極の全てが、同じ材料からなる、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項2】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであり、
前記洋上風力基礎において、前記複数の犠牲陽極が配置される部分には、コンクリートライニングが設けられていない、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項3】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであり、
前記複数の犠牲陽極のうち少なくとも一つの犠牲陽極は、ベースプレートを介して取り付けられる、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項4】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎であり、
前記洋上風力基礎は、
複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられ、
前記複数の犠牲陽極のうち少なくとも一つの犠牲陽極は、ベースプレートを介して前記レグ又は前記ブレースに取り付けられる、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項5】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎であり、
前記洋上風力基礎は、
複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられ、
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域に向くよう、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられる、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項6】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域に向くよう、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の洋上風力基礎。
【請求項7】
前記複数のレグは、第1レグと、前記第1レグに隣接する第2レグと、を含み、
前記複数のブレースは、前記第1レグと前記第2レグとを接続する第1ブレースを含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記第1レグと前記第2レグと前記第1ブレースとを含む平面、に対して前記複数のレグに囲まれる領域の側に傾斜するよう、前記第1ブレースに設けられる、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の洋上風力基礎。
【請求項8】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域の外側から水平方向に沿って見て、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに隠れる、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の洋上風力基礎。
【請求項9】
前記複数のレグの1つの下部は、拡径部を有し、
前記拡径部の外径は、前記複数のレグの1つの端部であって海底地盤側の端部に向かうに連れ、大きくなり、
前記複数の犠牲陽極の1つは、前記拡径部に設けられる、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の洋上風力基礎。
【請求項10】
前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグ又は前記複数のブレースと、の間には、複数のベースプレートが設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の洋上風力基礎。
【請求項11】
前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブ、
を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の洋上風力基礎。
【請求項12】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグのうちの1つと前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、又は、前記複数のブレースのうちの1つと、前記複数のブレースのうちの1つとは異なるブレースであって前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、には設けられない、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の洋上風力基礎。
【請求項13】
前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項14】
前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグの長手方向、又は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のブレースの長手方向に沿う、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の洋上風力基礎。
【請求項15】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、モノパイル式基礎であり、
前記モノパイル式基礎は、モノパイルと、前記モノパイルに接続されるトランジションピースと、を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記トランジションピースに設けられる、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項16】
前記トランジションピースには、接岸設備が設けられ、
前記トランジションピースに設けられる前記複数の犠牲陽極は、前記モノパイル式基礎の軸を挟んで、前記接岸設備とは反対側に設けられる、
ことを特徴とする請求項15に記載の洋上風力基礎。
【請求項17】
前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記モノパイル式基礎の長手方向に沿う、
ことを特徴とする請求項16に記載の洋上風力基礎。
【請求項18】
前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記トランジションピースと、の間には、複数のベースプレートが設けられる、
ことを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項19】
前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブ、
を更に備えることを特徴とする請求項18に記載の洋上風力基礎。
【請求項20】
前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する、
ことを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項21】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、浮体式基礎であり、
前記浮体式基礎は、浮体部を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記浮体部に設けられ、
前記複数の犠牲陽極のうち少なくとも一つの犠牲陽極は、ベースプレートを介して前記浮体部に取り付けられる、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項22】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる防食装置、
を備え、
前記防食装置は、前記洋上風力基礎の一部に防食電流を流し、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであり、
前記防食装置は、前記洋上風車内で発電した電力を用い、前記防食電流を流す、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項23】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる防食装置、
を備え、
前記防食装置は、前記洋上風力基礎の一部に防食電流を流し、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであり、
前記防食装置は、陸上で発電された電力を用い、前記防食電流を流す、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎、モノパイル式基礎、及び、浮体式基礎のいずれか一つであり、
前記複数の犠牲陽極のうち少なくとも一つの犠牲陽極は、ベースプレートと、前記ベースプレートと前記犠牲陽極との間に配置される心金と、を介して取り付けられ
前記ベースプレートと前記心金とは、溶接により接続され、前記心金と前記犠牲陽極とは、前記心金の端部が前記犠牲陽極の内部に埋め込まれることにより接続される、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項2】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎であり、
前記洋上風力基礎は、
複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられ、
前記複数の犠牲陽極のうち少なくとも一つの犠牲陽極は、ベースプレートと、前記ベースプレートと前記犠牲陽極との間に配置される心金と、を介して前記レグ又は前記ブレースに取り付けられ
前記ベースプレートと前記心金とは、溶接により接続され、前記心金と前記犠牲陽極とは、前記心金の端部が前記犠牲陽極の内部に埋め込まれることにより接続される、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項3】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、ジャケット式基礎であり、
前記洋上風力基礎は、
複数のレグと、
前記複数のレグを接続する複数のブレースと、
を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられ、
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域に向くよう、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられる、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項4】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域に向くよう、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の洋上風力基礎。
【請求項5】
前記複数のレグは、第1レグと、前記第1レグに隣接する第2レグと、を含み、
前記複数のブレースは、前記第1レグと前記第2レグとを接続する第1ブレースを含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記第1レグと前記第2レグと前記第1ブレースとを含む平面、に対して前記複数のレグに囲まれる領域の側に傾斜するよう、前記第1ブレースに設けられる、
ことを特徴とする請求項またはに記載の洋上風力基礎。
【請求項6】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグに囲まれる領域の外側から水平方向に沿って見て、前記複数のレグ又は前記複数のブレースに隠れる、
ことを特徴とする請求項またはに記載の洋上風力基礎。
【請求項7】
前記複数のレグの1つの下部は、拡径部を有し、
前記拡径部の外径は、前記複数のレグの1つの端部であって海底地盤側の端部に向かうに連れ、大きくなり、
前記複数の犠牲陽極の1つは、前記拡径部に設けられる、
ことを特徴とする請求項またはに記載の洋上風力基礎。
【請求項8】
前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグ又は前記複数のブレースと、の間には、複数のベースプレートが設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の洋上風力基礎。
【請求項9】
前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブ、
を更に備えることを特徴とする請求項に記載の洋上風力基礎。
【請求項10】
前記複数の犠牲陽極は、前記複数のレグのうちの1つと前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、又は、前記複数のブレースのうちの1つと、前記複数のブレースのうちの1つとは異なるブレースであって前記複数のブレースのうちの1つとの格点部、には設けられない、
ことを特徴とする請求項またはに記載の洋上風力基礎。
【請求項11】
前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項12】
前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のレグの長手方向、又は、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記複数のブレースの長手方向に沿う、
ことを特徴とする請求項またはに記載の洋上風力基礎。
【請求項13】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、モノパイル式基礎であり、
前記モノパイル式基礎は、モノパイルと、前記モノパイルに接続されるトランジションピースと、を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記トランジションピースに設けられ
前記トランジションピースと前記モノパイルとは、電気的に接続されている、
ことを特徴とする洋上風力基礎。
【請求項14】
前記トランジションピースには、接岸設備が設けられ、
前記トランジションピースに設けられる前記複数の犠牲陽極は、前記モノパイル式基礎の軸を挟んで、前記接岸設備とは反対側に設けられる、
ことを特徴とする請求項13に記載の洋上風力基礎。
【請求項15】
前記複数の犠牲陽極の長手方向は、前記モノパイル式基礎の長手方向に沿う、
ことを特徴とする請求項14に記載の洋上風力基礎。
【請求項16】
前記複数の犠牲陽極と、前記複数の犠牲陽極が設けられる前記トランジションピースと、の間には、複数のベースプレートが設けられる、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項17】
前記複数の犠牲陽極のうちの1つと前記複数のベースプレートのうちの1つとを接続する複数のリブ、
を更に備えることを特徴とする請求項16に記載の洋上風力基礎。
【請求項18】
前記複数の犠牲陽極は、海面より下に位置する、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の洋上風力基礎。
【請求項19】
洋上風車を支持する洋上風力基礎であって、
前記洋上風力基礎に設けられる複数の犠牲陽極、
を備え、
前記洋上風力基礎は、浮体式基礎であり、
前記浮体式基礎は、浮体部を含み、
前記複数の犠牲陽極は、前記浮体部に設けられ、
前記複数の犠牲陽極のうち少なくとも一つの犠牲陽極は、ベースプレートと、前記ベースプレートと前記犠牲陽極との間に配置される心金と、を介して前記浮体部に取り付けられ
前記ベースプレートと前記心金とは、溶接により接続され、前記心金と前記犠牲陽極とは、前記心金の端部が前記犠牲陽極の内部に埋め込まれることにより接続される、
ことを特徴とする洋上風力基礎。