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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053530
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】塗工設備
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/16 20060101AFI20240408BHJP
   B05C 1/06 20060101ALI20240408BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B05C1/16
B05C1/06
A47K10/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098397
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2022159517
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂野 賀津士
(72)【発明者】
【氏名】浦 隆順
(72)【発明者】
【氏名】松永 智弘
(72)【発明者】
【氏名】小坂 亜弓
(72)【発明者】
【氏名】平野 健太
【テーマコード(参考)】
2D135
4F040
【Fターム(参考)】
2D135AA01
2D135AB01
2D135AB02
2D135AB13
2D135AD06
4F040AA22
4F040AA33
4F040AB01
4F040AC01
4F040BA04
4F040BA06
4F040BA23
4F040CA01
4F040CA03
4F040CA05
4F040CA09
4F040CA12
4F040DA12
4F040DA13
4F040DA14
(57)【要約】
【課題】塗工バーのサイズ・重量を考慮しつつ、塗工バーの曲がりを抑え、衛生紙ロール状製品のテールシールにおいてより均一に接着剤を塗布できる塗工設備を提供する。
【解決手段】本発明は、塗工バー1の両端部を吊り下げ上下させることで、接着剤が付された塗工バー1の先端部を衛生紙のペーパーログに押し当てテールシールを設けるための塗工設備100であって、塗工バー1は、フレーム部品111と、フレーム部品111に固定され、先端に塗布部材113が取り付けられるバー部品112と、を含んで構成され、フレーム部品111は、バー部品112の重力方向の変形を補正する機能部を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工バーの両端部を吊り下げ上下させることで、接着剤が付された前記塗工バーの先端部を衛生紙のペーパーログに押し当てテールシールを設けるための塗工設備であって、
前記塗工バーは、フレーム部品と、前記フレーム部品に固定され、先端に塗布部材が取り付けられるバー部品と、を含んで構成され、
前記フレーム部品は、前記バー部品の重力方向の変形を補正する機能部を備えることを特徴とする塗工設備。
【請求項2】
前記機能部は、前記フレーム部品に所定間隔で設けられた複数の調整ボルト用孔部と、前記調整ボルト用孔部を通り前記フレーム部品と前記バー部品との前記重力方向における間隔を調整するための調整ボルトおよび調整ボルト用ナットと、から成ることを特徴とする請求項1に記載の塗工設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生紙ロール状製品のテールシール加工を行うための塗工設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパーやキッチンペーパー(紙製のキッチンタオルを含む)などの衛生紙をロール状に巻いた衛生紙ロール状製品において、巻き終わり部分(以下、「テール部分」とも言う)にはシール(糊付け)されており、このテール部分のシール(以下、「テールシール」とも言う)を設けるための塗工には、様々な方法が用いられている。
【0003】
例えば、ワイヤーによる塗工は、軽量で設備が小さくて済むが、塗工時にロールと接触することでワイヤーが曲がるため、塗工を均一化することが難しく、また、スプレーによる塗工は、ノズルの詰まりなどのトラブルがあり、他の方法として塗工バーによる塗工が考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、塗工バーによる塗工においても、塗工バーが重力によって曲がることにより、衛生紙ロール状製品のテールシールにおいて上手く均一に接着剤を塗布できないおそれがあった。ここで仮に、塗工バーの曲がりを抑えるため、塗工バーに幅広の金属板を単純に使用すると、塗工バーのサイズ・重量が共に大きくなり、塗工バーを設置する設備サイズが大きくなることが考えられる。
【0005】
本発明の目的は、塗工バーのサイズ・重量を考慮しつつ、塗工バーの曲がりを抑え、衛生紙ロール状製品のテールシールにおいてより均一に接着剤を塗布できる塗工設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による塗工設備の第1形態は、塗工バーの両端部を吊り下げ上下させることで、接着剤が付された前記塗工バーの先端部を衛生紙のペーパーログに押し当てテールシールを設けるための塗工設備であって、前記塗工バーは、フレーム部品と、前記フレーム部品に固定され、先端に塗布部材が取り付けられるバー部品と、を含んで構成され、前記フレーム部品は、前記バー部品の重力方向の変形を補正する機能部を備えることを特徴とするものである。
【0007】
本発明による塗工設備の第2形態は、前記機能部は、前記フレーム部品に所定間隔で設けられた複数の調整ボルト用孔部と、前記調整ボルト用孔部を通り前記フレーム部品と前記バー部品との前記重力方向における間隔を調整するための調整ボルトおよび調整ボルト用ナットと、から成ることを特徴とする第1形態として記載のものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塗工バーの曲がりを調整する機能を備えることで、幅狭の軽量な塗工バーを使用することができ、ひいては塗工設備のサイズを小さくでき、且つ、塗工バーの曲がりを微調整できることでテールシールにおける接着剤の塗布をより均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る塗工設備の概略的なブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る、塗工バーのうちフレーム部品を示す図であり、(a)は側面から見た平面図、(b)は(a)のIIb-IIb方向断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る、塗工バーのうちバー部品を示す図であり、(a)は側面から見た平面図、(b)は(a)のIIIb-IIIb方向断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る、フレーム部品にバー部品を組み付けた状態を示す図であり、(a)は側面から見た平面図、(b)は(a)のIVb-IVb方向断面図である。
図5】本発明の第1実施形態の変形例に係る、塗布部材の先端縁の形状について説明するための図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る、塗工バーのうちフレーム部品を示す図であり、(a)は側面から見た平面図、(b)は(a)のVIb-VIb方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による塗工設備の実施形態について、図1から図6を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本形態の態様に限定されるものではない。
【0011】
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「衛生紙」とは、上述したように、トイレットペーパー、キッチンペーパー(紙製のキッチンタオルを含む)等を含むものである。
【0012】
また、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「上下」とは、例えば図1中A方向およびB方向を表すような便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではない。
【0013】
本明細書および図面の記載において、「n」は正の整数を表す。
【0014】
<第1実施形態>
図1に本発明の第1実施形態に係る塗工設備100の概略的なブロック図を示し、図2は本実施形態に係る、塗工バー1のうちフレーム部品111を模式的に示す図であり、図2(a)は側面から見た平面図、図2(b)は図2(a)のIIb-IIb方向断面図であり、図3は本実施形態に係る、塗工バー1のうちバー部品112を模式的に示す図であり、図3(a)は側面から見た平面図、図3(b)は図3(a)のIIIb-IIIb方向断面図である。また、図4は本実施形態に係る、フレーム部品111にバー部品112を組み付け、塗布部材113を組み込んだ状態を示す図であり、図4(a)は側面から見た平面図、図4(b)は(a)のIVb-IVb方向断面図である。但し、図4(b)では、説明の便宜上、各ボルトMa1~ManおよびMb1~Mbnについては断面ではなく側面を表す。
【0015】
本発明に係る塗工設備100は、塗工バー1の両端部を吊り下げ上下させることで、接着剤が付された塗工バー1の先端部を衛生紙のペーパーログに押し当てテールシールを設けるためのものであって、塗工バー1は、フレーム部品111と、フレーム部品111に固定され、先端に塗布部材が取り付けられるバー部品112と、を含んで構成され、フレーム部品111は、バー部品112の重力方向の変形を補正する機能部を備えるものである。
【0016】
本実施形態に係る塗工設備100では、当該機能部は、フレーム部品111に所定間隔で設けられた複数の調整ボルト用孔部11b1~11bnと、調整ボルト用孔部11b1~11bnを通りフレーム部品111とバー部品112との重力方向における間隔を調整するための調整ボルトMb1~Mbnおよび調整ボルト用ナット12b1~12bnと、から成るものである。本実施形態では、調整ボルト用ナット12b1~12bnは、フレーム部品111に固定されており、フレーム部品111とバー部品112との重力方向における間隔は、調整ボルト用ナット12b1~12bnに対する調整ボルトMb1~Mbnの押し込みによって調整される。
【0017】
調整ボルト用孔部11b1~11bnは、図2(a)および図2(b)に示すように、フレーム部品111の下側の面に形成されている。本実施形態では、調整ボルト用ナット12b1~12bnは、調整ボルト用孔部11b1~11bnの位置に対応するフレーム部品111の下側の面に固定されている。調整ボルト用ナット12b1~12bnの内側孔部の形状は、調整ボルトMb1~Mbnのネジ山の形状に対応するものになっており、当該調整ボルトMb1~Mbnの頭部分を時計回りまたは反時計回りに回すことで、調整ボルトMb1~Mbnのネジ山部分を移動させて、調整ボルトMb1~Mbnのネジ山部分の先端部(または調整ボルトMb1~Mbnの頭部分)に接触しているバー部品112とフレーム部品111との重力方向における間隔を広げたり狭めたりすることが可能になっている。
【0018】
フレーム部品111およびバー部品112の長さは、テールシールを設ける衛生紙ロールのペーパーログの長さに対応するように設計され、フレーム部品111の調整ボルト用孔部11b1~11bnの位置、数(nの値)、間隔は、塗工バー1の重力方向における変形の大きさを考慮して設計されうる。nの値は例えば14であり、当該間隔は例えば200mmである。
【0019】
バー部品112の材質は、例えばアルミであり、フレーム部品111の材質は、例えばステンレスであるが、本発明では、本発明の効果を奏する限りにおいて、様々な材質が使用されうる。また、バー部品112の先端に取り付けられる塗布部材113の材質としては、例えば、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)などの合成ゴムや樹脂製のものが採用されうるが、本発明ではこの限りではない。
【0020】
テールシールに使用する接着剤は、特に限定されるものではなく、衛生紙ロールのテール部分において迅速に接着固定することができ、容易には剥離しない接着強度を有する接着剤であることが好ましい。このような接着剤は、例えば、水溶性接着剤、セルロース誘導体接着剤が使用されうる。
【0021】
ユーザーは、例えば、バー部品112の凹部121へ塗布部材113を嵌め込み、横にした状態のフレーム部品111にバー部品112を挿入し、フレーム部品111の側面に設けられたバー部品固定用孔部13a1~13anとバー部品112の側面に設けられたフレーム部品固定用孔部23a1~23anとの位置を合わせ、フレーム・バー連結用ボルトMa1~Manおよびフレーム・バー連結用ナットFa1~Fanを取り付ける。次に、ユーザーは、例えば、調整ボルト用ナット12b1、12bnに調整ボルトMb1、Mbnをそれぞれ取り付け、調整ボルトMb1、Mbnで押し込み量を調整し、両端のフレーム・バー連結用ナットFa1およびFanに対して両端のフレーム・バー連結用ボルトMa1およびManを完全に締めて固定する。このとき、調整ボルトMb1、Mbnについては完全に締め付ける等、強固に固定する必要はない。また、当該「両端のフレーム・バー連結用ボルトMa1およびManを完全に締めて固定」は、フレーム部品111がバー部品112から脱落するのを防止できる程度に固定できていればよい。次に、他のフレーム・バー連結用ボルトMa2~Man-1およびフレーム・バー連結用ナットFa2~Fan-1については可動状態(いわゆる遊びがある状態)で連結し、続いて、他の調整ボルト用ナット12b2~12bn-1に他の調整ボルトMb2~Mbn-1をそれぞれ取り付け、調整ボルトMb2~Mbn-1の押し込み量を、重力によって撓み易い中央部において大きくし、重力によって撓みにくい両端部において小さくするようにそれぞれ固定して、塗工バー1がフラットに成るように調整ボルトMb2~Mbn-1の押し込み量を調整し(図4(a)を参照)、当該調整後、他のフレーム・バー連結用ナットFa2~Fan-1に対してフレーム・バー連結用ボルトMa2~Man-1を締めて固定する。両端のフレーム・バー連結用ナットFa1およびFanに対して両端のフレーム・バー連結用ボルトMa1およびManを完全に締めることによって、バー部品固定用孔部13a1、13anでバー部品112を固定し支えることができ、また、調整ボルトMb2~Mbn-1によるそれぞれの押込みを、バー部品固定用孔部13a1、13anで支えるようになっている。ここで、バー部品固定用孔部13a1~13anはそれぞれ、フレーム部品固定用孔部23a1~23anと比較して縦長の孔形状を有しているため、調整ボルトMb1~Mbnをそれぞれ、C方向に向かって押し込んだり、逆にD方向に向かって緩めたりすることが可能となっており、つまり、調整ボルトMb1~Mbnの先端部と接触しているバー部品112に一体的に取り付けられたフレーム・バー連結用ボルトMa1~ManがC方向およびD方向にそれぞれ移動することが可能となっている。尚、本実施形態では、フレーム部品111に対して、バー部品112に一体的に取り付けられたフレーム・バー連結用ボルトMa1~Manが、C方向およびD方向にそれぞれ移動することが可能となっているが、本発明では、C方向およびD方向に加えて、C方向およびD方向に交差する方向(例えばC方向およびD方向に直交する方向)にそれぞれ移動することが可能となるように、バー部品固定用孔部13a1~13anがそれぞれ、フレーム部品固定用孔部23a1~23anと比較して大きな径を有していてもよい。このような構成により、調整ボルトMb1~Mbnでバー部品112がフラットに成るように強制(または矯正)しフレームが湾曲することで、バー部品固定用孔部13a1~13anに対してフレーム部品固定用孔部23a1~23anの(特に両サイドの)穴位置が左右方向にずれても、許容されるものに成る。また、本実施形態では、フレーム部品111の両端のバー部品固定用孔部13a1、13anは、他の孔部13a2~13an-1と同様に、縦長の孔形状を有しているが、本発明ではこれに限られず、バー部品112のフレーム部品固定用孔部23a1~23anと同様の正円形状を有し、フレーム・バー連結用ボルトMa1、Manの円筒部やねじ部が丁度通るくらいの内径を有するものであってもよい。この構成により、フレーム・バー連結用ボルトMa1、Manが、フレーム部品111の両端のバー部品固定用孔部13a1、13anの内部での移動が制限されるので、フレーム部品111の両端のバー部品固定用孔部13a1、13anとバー部品112のフレーム部品固定用孔部23a1、23anとをフレーム・バー連結用ボルトMa1、Manとフレーム・バー連結用ナットFa1、Fanとで固定するときに、フレーム部品111の両端とバー部品112の対応箇所とが強固に固定され、フレーム・バー連結用ボルトMa2~Man-1、フレーム・バー連結用ナットFa2、Fan-1、および調整ボルトMb2~Mbn-1によるバー部品112の撓みの調整をより確実に行うことが可能になる。尚、本実施形態では、バー部品112のフレーム部品固定用孔部23a1、23anの穴の中心位置については、フレーム部品111にバー部品112を差し込む際にバー部品固定用孔部13a1、13anの穴の中心位置が合うように構成されているが、本発明では、フレーム・バー連結用ボルトMa1、Manの円筒部やねじ部が少なくとも通ることが可能に構成されていればよく、例えば、バー部品固定用孔部13a1、13anの穴が上記のように正円形状である場合、フレーム部品固定用孔部23a1、23anの穴の中心位置は、バー部品固定用孔部13a1、13anの穴の中心位置と合うように設計され得、また、バー部品固定用孔部13a1、13anの穴が上記のように縦長の孔形状である場合、例えば、バー部品固定用孔部13a1、13anの穴の内側の下端縁とフレーム部品固定用孔部23a1、23anの穴の内側の下端縁が共通になるように設計され得る。逆に、調整ボルトMb1、Mbnでの調整代がなくなるような態様、例えば、バー部品固定用孔部13a1、13anの穴の内側の上端縁とフレーム部品固定用孔部23a1、23anの穴の内側の上端縁が共通になるような態様は、特段の事情が無い限り採用されない。また、バー部品固定用孔部13a1、13anについて、フレーム部品固定用孔部23a1、23anの位置に合わせるように設計されてもよい。これらの態様は、他のフレーム部品固定用孔部23a2~23an-1、他のバー部品固定用孔部13a2~13an-1にも適用可能である。
【0022】
次に、ユーザーは、例えば、可動状態であったフレーム・バー連結用ボルトMa2~Man-1を、フレーム・バー連結用ナットFa2~Fan-1に完全に固定し、続いて、バー部品112の両端に設けられた一対の吊下部材固定用孔部122に一対の吊下部材(不図示、例えばステンレス製)に設けられた孔部の位置を合わせ、ボルトとナットとでそれぞれ固定して一対の吊下部材をバー部品112の両端に取り付け、当該吊下部材に設けられたシリンダー連結用孔部とシリンダー2とを器具で連結して固定することで、図1に示す塗工設備100の塗工バー1が用意される。
【0023】
その後、例えば、塗工バー1をその両端部に設けられたシリンダー2で下げ(図1中B方向に移動させ)、塗工バー1の先端に設けられた塗布部材を糊タンク3に浸けて、次に、塗工バー1をその両端部に設けられたシリンダー2で上げて(図1中A方向に移動させて)接着剤が付着した当該塗布部材を(図1中、奥側から手前に向けて搬送された)衛生紙(不図示、例えばトイレットペーパー)の表面に押し当てて塗布させ、その後当該衛生紙を巻き取ることによって衛生紙のペーパーログのテールシールが形成される。そして、テールシールが形成されたペーパーログに対して、所定の幅寸法(衛生紙ロールの製品幅)に裁断されて、衛生紙ロール状製品が製造される。
【0024】
塗工バー1がフラットに成るように調整ボルトMb1~Mbnの押し込み量を調整する、とは、上述したように、例えば、図2(a)の下側から調整ボルトMb1~Mbnを調整ボルト用ナット12b1~12bnに挿入する場合、重力に影響を受けやすく、重力方向に撓み易い塗工バー1の中央部分付近において調整ボルトMb1~Mbnの押し込み量を大きくし、逆に、重力に影響を受けにくく、重力方向に撓みにくい塗工バー1の両端付近部分においては調整ボルトMb1~Mbnの押し込み量を小さくすることをいう(図4(a)を参照)。
【0025】
従来、衛生紙ロール状製品のテールシールを設けるための塗工には、様々な方法が用いられており、例えば、ワイヤーによる塗工は、軽量で設備が小さくて済むが、塗工時にロールと接触することでワイヤーが曲がるため、塗工を均一化することが難しく、また、スプレーによる塗工は、ノズルの詰まりなどのトラブルがあり、他の方法として塗工バーによる塗工が考えられる。
【0026】
しかしながら、塗工バーによる塗工においても、塗工バーが重力によって曲がることにより、衛生紙ロール状製品のテールシールにおいて上手く均一に接着剤を塗布できないおそれがあった。ここで仮に、塗工バーの曲がりを抑えるため、塗工バーに幅広の金属板を単純に使用すると、塗工バーのサイズ・重量が共に大きくなり、塗工バーを設置する設備サイズが大きくなることが考えられる。
【0027】
本実施形態によれば、塗工バー1の曲がりを調整する機能を備えることで、幅狭の軽量な塗工バー1を使用することができ、ひいては塗工設備100のサイズを小さくでき、且つ、塗工バー1の曲がりを微調整できることでテールシールにおける接着剤の塗布をより均一にすることができる。
【0028】
本実施形態では、塗布部材113の先端縁は一直線状に延びている態様であるが、本発明ではこれに限られない。
【0029】
図5は本実施形態の変形例に係る、塗布部材113’の先端縁の形状について説明するための図である。
【0030】
本変形例では、塗布部材113’は、第1実施形態に係る塗布部材113と同様に厚みを有し、第1実施形態に係る塗布部材113と異なり凹部分と凸部分とを交互に備えるものであり、図5に示すように、凹部分は幅d1を有し、凸部分は幅d2を有する。塗布部材113’の厚みは、好ましくは1mm~7mm、より好ましくは2mm~5mmであり、幅d1は、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm~10mmであり、幅d2は、好ましくは2mm~15mm、より好ましくは4mm~8mmである。塗布部材113’の厚みが1mmより小さいと塗工量が減り、テールシールの接着が不足する可能性があり、塗布部材113’の厚みが7mmより大きいと染み込み量が増えて切れやすくなる。また、幅d1が3mmより狭いと糊が拡散してドットが一体化してしまったり狭くなったりし、幅d1が3mm未満だと強度が不十分で切れてしまう可能性がある。一方、幅d1が広すぎるとテールシールの接着が不十分になり、製造工程など使用前にはがれてしまうことがある。また、塗布部材113’の1つの凸部分の面積は、テールシールの接着力等を考慮して設計され、6mm2~35mm2が好ましい。
【0031】
本実施形態に係る塗布部材113や変形例に係る塗布部材113’は、バー部品112の凹部121へ嵌め込み可能な構成になっているが、本発明ではこれに限られず、塗布部材113または113’をプレートで挟持してバー部品112に固定する態様も許容されうる。
【0032】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態では、第1実施形態と異なり、L字状のフレーム部品111’を使用し、更なる軽量化を実現している。
【0033】
図6は本実施形態に係る、塗工バーのうちフレーム部品111’を模式的に示す図であり、図6(a)は側面から見た平面図、図6(b)は図6(a)のVIb-VIb方向断面図である。本実施形態に係るフレーム部品111’を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、塗工設備100のサイズを小さくでき、且つ、塗工バーの曲がりを微調整できることでテールシールにおける接着剤の塗布をより均一にすることができ、また、塗工バーの更なる軽量化を実現できる。
【0035】
<その他>
本発明は、上述した各実施形態や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0036】
例えば、上述した第1実施形態に係るフレーム部品111の断面形状はコの字であり、上述した第2実施形態に係るフレーム部品111’の断面形状はL字であるが、本発明ではこれに限られず、フレーム部品は、本発明の効果を奏する限りにおいて、様々な形状が採用されうる。
【0037】
加えて、上述した各実施形態では、調整ボルト用孔部11b1~11bn内で調整ボルトMb1~Mbnを回しながら調整ボルト用ナット12b1~12bn内で移動させることで、フレーム部品111(または111’)とバー部品112との重力方向における間隙を調整しているが、本発明では、さらにバー部品112の(図3(a)の)下側の面に、フレーム部品111(または111’)の調整ボルト用孔部11b1~11bnに対応する位置に、調整ボルトMb1~Mbnを回しながら挿入して固定可能な孔部を設けて、フレーム部品111(または111’)とバー部品112との重力方向における間隙を調整してもよい。
【0038】
また、上述した各実施形態では、調整ボルト用孔部11b1~11bn、調整ボルトMb1~Mbn、および調整ボルト用ナット12b1~12bnにより、塗工バー1の重力方向の変形を補正しているが、本発明ではこれに限られず、フレーム部品111(または111’)とバー部品112との重力方向における間隙を調整するものであれば様々な構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0039】
100 塗工設備
1 塗工バー
111、111’ フレーム部品
11b1~11bn 調整ボルト用孔部
12b1~12bn 調整ボルト用ナット
13a1~13an バー部品固定用孔部
112 バー部品
121 凹部
122 吊下部材固定用孔部
23a1~23an フレーム部品固定用孔部
113、113’ 塗布部材
d1 凹部分の幅
d2 凸部分の幅
Ma1~Man フレーム・バー連結用ボルト
Fa1~Fan フレーム・バー連結用ナット
Mb1~Mbn 調整ボルト
2 シリンダー
3 糊タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6