IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ チャーチ, サラ エリザベスの特許一覧 ▶ ガンター, ジョン チャールズの特許一覧 ▶ ポロック, キャサリンの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053541
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】極低温保管のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/04 20060101AFI20240408BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240408BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240408BHJP
   C12M 1/38 20060101ALN20240408BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20240408BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240408BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALN20240408BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240408BHJP
【FI】
C12N1/04 ZNA
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
A61P29/00
A61P37/06
A61P31/00
A61K45/00
C12M1/38 Z
C12N5/0783
C12N5/10
C12Q1/04
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023165221
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2020500011の分割
【原出願日】2018-03-14
(31)【優先権主張番号】62/471,343
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519332069
【氏名又は名称】チャーチ, サラ エリザベス
(71)【出願人】
【識別番号】519332070
【氏名又は名称】ガンター, ジョン チャールズ
(71)【出願人】
【識別番号】519332081
【氏名又は名称】ポロック, キャサリン
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】チャーチ, サラ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ガンター, ジョン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ポロック, キャサリン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B029AA12
4B029BB11
4B029DG10
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QS32
4B065AA90X
4B065BD09
4B065BD12
4B065BD22
4B065BD39
4B065BD42
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB65
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドナーに由来する生物学的試料、特にアフェレーシス試料からの細胞を極低温で保管することを含む方法を提供する。
【解決手段】細胞は、少なくとも1つのステップを含む段階的な凍結プロファイルを使用する制御された速度で凍結装置で凍結され、ここで上記試料および/またはチャンバは、1分あたり1℃を超える速度で冷却され、そしてここで上記細胞は、T細胞を含むかT細胞について濃縮され得る。さらなる態様は、例えば、細胞が上記ドナーから得られる時点、保管時間、極低温凍結の前または後保管施設へ細胞を輸送すること、上記細胞を分類するためのコードまたは識別子で印を付けられている試料容器、上記極低温で凍結された細胞から生成された操作T細胞を含む治療有効量の組成物をそれを必要とする対象に投与すること、および疾患、特にがんに対する上記ドナーの処置に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法であっ
て、
前記細胞が、前記ドナーが疾患または状態であると診断された後、またはそれを有する
かもしくはそれを有する疑いがあるとみなされた後であり、かつ前記ドナーが前記疾患ま
たは状態の1つまたは複数の処置を受ける前である時点で、前記ドナーから得られ、
前記細胞が、前記試料および/またはチャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却
される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用して、制御さ
れた速度の凍結装置において、凍結される、方法。
【請求項2】
ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法であっ
て、前記細胞が、前記ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされ
た後、または前記処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾
患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、前記ドナーから得られている、方法
【請求項3】
ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法であっ
て、前記細胞が、前記ドナーが疾患もしくは状態であると診断されていないか、またはそ
れを有することが判明していないか、またはそれを有することが疑われていない時点で、
前記ドナーから得られており、
前記細胞が、前記試料および/またはチャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却
される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用して、制御さ
れた速度の凍結装置において、凍結される、方法。
【請求項4】
- ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、
- 前記極低温で凍結させた細胞を、ある期間保管することと
を含む方法であって、
前記細胞が、(i)前記ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれ
を有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記ドナー
が前記疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)前記ドナーが疾患
または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後
に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の後続の処置を受ける
前である時点で、前記ドナーから得られるかまたは得られたものであり、
前記保管の期間中に、前記ドナーが、前記疾患または状態の少なくとも1つの処置を受
けるか、または受けた、方法。
【請求項5】
- ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、
- 前記極低温で凍結させた細胞を、ある期間保管することと
を含む方法であって、
前記細胞が、(i)前記ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれ
を有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記ドナー
が前記疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)前記ドナーが疾患
または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後
に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の後続の処置を受ける
前である時点で、前記ドナーから得られるかまたは得られたものであり、
前記細胞が、以下を上回るかもしくは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時
間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月
間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11
カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、
10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、
18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、もしくは40年間、ま
たは前記ドナーが前記細胞を必要とするまで、極低温で保管される、方法。
【請求項6】
- ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、
- 前記極低温で凍結させた細胞から生成された操作T細胞を含む、治療有効量の組成
物を、それを必要とする対象に投与することと
を含む方法であって、
前記細胞が、(i)前記ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれ
を有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記ドナー
が前記疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)前記ドナーが疾患
または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後
に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の後続の処置を受ける
前である時点で、前記ドナーから得られるかまたは得られたものであり、
前記凍結と投与との間に、前記ドナーが、前記疾患または状態の少なくとも1つの処置
を受けるか、または受けた、方法。
【請求項7】
- ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させ、それによって、
極低温で凍結させた細胞組成物を生成することと、
- 前記極低温で凍結させた細胞組成物の細胞を操作して、操作T細胞を含む組成物を
生成することと
を含む方法であって、
前記細胞が、(i)前記ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれ
を有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記ドナー
が前記疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)前記ドナーが疾患
または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後
に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の後続の処置を受ける
前である時点で、前記ドナーから得られるかまたは得られたものであり、
前記凍結と操作との間に、前記ドナーが、前記疾患または状態の少なくとも1つの処置
を受けるか、または受けた、方法。
【請求項8】
治療有効量の操作T細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む、処置の方法
であって、
前記細胞が、(i)前記対象が疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを
有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記対象が前
記疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)前記対象が疾患または
状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後に再発
を経験した後であり、かつ前記対象が前記疾患または状態の後続の処置を受ける前である
時点で、前記対象から得られるかまたは得られたものであり、
前記細胞が、前記対象から得られるかもしくは得られた後、かつ前記操作T細胞の前記
投与の前に、前記対象が、前記疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、また
は受けた、方法。
【請求項9】
操作細胞の組成物を産生するための方法であって、
- 極低温で保管した細胞を得て、必要に応じて解凍することと、
- 前記極低温で保管した細胞に、組換え受容体を導入し、それによって、操作T細胞
を含む操作組成物を生成することと
を含む方法であって、
前記細胞が、(i)前記ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれ
を有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記ドナー
が前記疾患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)前記ドナーが疾患
または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後
に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の後続の処置を受ける
前である時点で、前記ドナーから採取した後に、極低温で保管され、
極低温保管の後および前記極低温で保管した細胞を得る前に、前記ドナーが、前記疾患
または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【請求項10】
前記生物学的試料が、アフェレーシス試料であるかまたはそれに由来し、必要に応じて
白血球アフェレーシス試料であるかまたはそれに由来し、かつ/または前記試料が、白血
球および/またはリンパ球を含有し、かつ/または前記試料中の前記細胞または血液細胞
が、白血球から本質的になるか、または前記試料中の前記細胞のうちの少なくとも80%
、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、または前記試料
中の前記血液細胞のうちの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%
、98%、もしくは99%が、白血球である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法
【請求項11】
前記細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞集団および/またはT細胞集団および
/またはT細胞サブセットの、免疫親和性に基づくおよび/または標的特異的な選択およ
び/または濃縮のステップに供されていない、請求項1~10のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項12】
前記細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞および/またはT細胞集団の、免疫親
和性に基づくおよび/または標的特異的な選択および/または濃縮ステップに供されてお
り、必要に応じて、前記極低温保管の前に、前記選択または濃縮を行うことをさらに含む
、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記選択ステップおよび/または濃縮が、免疫親和性に基づく選択を含む、および/ま
たは陽性選択もしくは陰性選択を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記選択ステップおよび/または濃縮が、CD4細胞もしくはそのサブセットおよび
/またはCD8+細胞もしくはそのサブセットの濃縮および/または単離を含み、前記C
D4細胞またはそのサブセットの濃縮または単離が、前記CD8細胞またはそのサブ
セットの前記選択および/または単離とは別個にまたはそれと組み合わせてのいずれかで
行われ、
必要に応じて、前記CD8細胞のサブセットおよび/または前記CD4細胞のサブ
セットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェ
クターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェク
ターT(T)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(
)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、請求
項12~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞が、T細胞を含むか、またはT細胞が濃縮されている、請求項1~14のいず
れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記T細胞が、CD4T細胞もしくはそのサブセット、CD8T細胞もしくはその
サブセット、またはこれらの混合物を含むか、またはそれらが濃縮されており、前記CD
細胞のサブセットおよび/または前記CD4細胞のサブセットが、必要に応じて、
メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(T
)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(T)細胞、エフ
ェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(T)細胞、および/また
は調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞を極低温で保管する前に、前記細胞を、極低温保存媒体と合わせることをさら
に含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記極低温保存媒体が、約10%のジメチルスルホキシド(DMSO)および血清タン
パク質、必要に応じて、ヒト血清アルブミン、必要に応じて、約4%のヒト血清アルブミ
ンを含む、ならびに/または凍結溶液および/もしくは前記最終濃度の生物学的試料が、
約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、もしくは約6体積%~約9体積%
のDMSOを含む、および/もしくは約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体
積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.
5体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%のDMSOを含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記極低温保管が、1分間につき1℃または約1℃の速度で、必要に応じて、温度が-
80℃または約-80℃に達するまで、温度を低下させることを含む、請求項2または4
~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞が、液体窒素の気相に入れた容器において極低温で保管され、前記容器が、必
要に応じて、バッグまたはバイアルである、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法
【請求項21】
前記細胞が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間
、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間
、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ
月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、1
0年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、1
8年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、極低温
で保管される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が、ある期間保管され、前記期間の後、前記組成物中の生存細胞もしくは生存
T細胞またはそれらのサブタイプもしくはサブセットの割合が、約24%~約100%で
あるか、または少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、
60、65、70、75、80、85、もしくは90%である、請求項1~21のいずれ
か1項に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患が、がん、炎症性疾患もしくは状態、自己免疫性疾患もしくは状態、または感
染性疾患もしくは状態である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、有
毛細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、null型急性リンパ芽球性白血病、ホジキン
リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、濾胞
性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、または
急性骨髄性白血病である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが、ROR1、EGFR、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、C
D22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD
24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、
EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、GD
2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、k
dr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、MUC1、MUC
16、B細胞成熟抗原(BCMA)、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSCA
、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原
、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA
、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD
123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス
腫瘍1(WT-1)、およびサイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)のう
ちの少なくとも1つを発現する細胞を含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記処置が、化学療法、放射線照射、外科手術、細胞療法である、および/またはデバ
ルキング処置である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記処置が、以下の処置:シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラ
シル、ドキソルビシン、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン、
ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、エトポシド、シスプラチン、エピルビ
シン、カペシタビン、フォリン酸、オキサリプラチン、小分子阻害剤、免疫細胞、ナチュ
ラルキラー細胞、リンホカイン活性化キラー細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、400
0cGy照射、自家幹細胞救援、幹細胞移植、骨髄移植、造血幹細胞移植(HSCT)、
CAR T細胞療法、チサゲンレクロイセル、アキシカブタゲンシロロイセル、シタラビ
ン、高用量シタラビン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、クラドリビ
ン、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド
、コルチコステロイド、プレドニゾン、デキサメタゾン、アルキル化剤、クロラムブシル
、ベンダムスチン、イホスファミド、白金薬物、シスプラチン、カルボプラチン、オキサ
リプラチン、プリン類似体、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、抗代謝薬、
ゲムシタビン、メトトレキサート、プララトレキサート、ビンクリスチン、ドキソルビシ
ン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プロテアソーム阻害剤、ヒストンデアセチラー
ゼ阻害剤、ロミデプシン、ベリノスタット、キナーゼ阻害剤、イブルチニブ、イデラリシ
ブ、抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、イブリツ
モマブチウキセタン、抗CD52抗体、アレムツズマブ、抗CD30抗体、ブレンツキシ
マブ、ベドチン、インターフェロン、免疫調節剤、サリドマイド、CHOP、CHOP+
R(もしくはR-CHOP)、CVP、EPOCH、EPOCH+R、DHAP、DHA
P+R(もしくはR-DHAP)、ベネトクラックス、メチルプレドニゾロン、またはブ
ルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)のうちの1つまたは複数を、単独または組
合せで含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ドナーまたは対象が、ヒトである、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
極低温保管の前に、前記細胞を、必要に応じて、1つまたは複数の表現型マーカーにつ
いて、前記細胞の表面発現を評価することによって、分析することをさらに含む、請求項
1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、請求項1~29のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞の極低温保管および/または解凍の後に、組換えまたは外因性分子を発現する
ように前記細胞を操作することをさらに含み、これが、必要に応じて、組換えタンパク質
、必要に応じて、組換え受容体であり、これが、必要に応じて、T細胞受容体(TCR)
、キメラ受容体、および/またはキメラ抗原受容体であるか、またはそれらを含む、請求
項1~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記組換え分子が、前記疾患または状態と関連する細胞によって発現されるか、または
それによって特異的に発現される抗原を、特異的に認識するか、またはそれに特異的に結
合する組換え受容体である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ドナーもしくは対象から収集されたとき、および/または前記アフェレーシス試料
中の合計の、前記細胞の数が、以下の数もしくはおよそ以下の数であるか、または以下の
数もしくはおよそ以下の数を上回らない、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法:
500×10個、1000×10個、2000×10個、3000×10個、4
000×10個、もしくは5000×10個、またはそれよりも多くの合計細胞もし
くは合計有核細胞。
【請求項34】
前記試料を極低温で保管する前に、前記試料からT細胞を濃縮することをさらに含む、
請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記T細胞が、CD4T細胞もしくはそのサブセット、CD8T細胞もしくはその
サブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが濃
縮されており、必要に応じて、前記CD8細胞のサブセットおよび/または前記CD4
細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM
細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細
胞、エフェクターT(T)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、
ナイーブT(T)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択
される、ならびに/または前記試料が、バルクT細胞が濃縮されている、請求項34に記
載の方法。
【請求項36】
前記試料を極低温で保管する前に、前記試料を極低温媒体において製剤化することをさ
らに含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞を、極低温で凍結する前または凍結した後のいずれかで、保管施設に輸送する
ことをさらに含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記保管施設が、中央または共通のリポジトリの保管施設である、請求項37に記載の
方法。
【請求項39】
前記試料が、低温環境において、前記保管施設に輸送される、請求項37または38に
記載の方法。
【請求項40】
輸送した後、かつ前記細胞を極低温で保管する前に、前記試料からT細胞を濃縮するこ
とをさらに含む、請求項36~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記T細胞が、CD4T細胞もしくはそのサブセット、CD8T細胞もしくはその
サブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが濃
縮されており、必要に応じて、前記CD8細胞のサブセットおよび/または前記CD4
細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM
細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細
胞、エフェクターT(T)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、
ナイーブT(T)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択
される、ならびに/またはバルクT細胞を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
輸送した後、かつ前記細胞を極低温で保管する前に、前記試料および/または前記T細
胞を、極低温媒体において製剤化することをさらに含む、請求項40または請求項41に
記載の方法。
【請求項43】
前記極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、請求項1~42のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項44】
前記試料が、処理、極低温保存、および/または保管の間、前記細胞を分類するために
、1つまたは複数のコードまたは識別子で印を付けた容器に入れられる、請求項1~43
のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記1つまたは複数のコードまたは識別子が、文字識別子、バーコード、QRコード(
登録商標)、RFID、またはトランスポンダを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記1つまたは複数のコードまたは識別子が、前記ドナー、前記試料、前記バイアル、
前記容器、前記疾患、および/または前記保管施設のうちの1つまたは複数の識別に対応
するか、またはそれを示す、請求項44または請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記1つまたは複数のコードまたは識別子が、患者識別のブレスレットまたは病院もし
くは医療施設もしくは収集施設のシステムもしくは書類に出現するコードに対応する、請
求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
処置の方法であって、
請求項1~47のいずれか1項に記載の方法によって、極低温で保管された細胞を得て、
必要に応じて解凍することであって、前記得ることの前に、前記細胞が、少なくとも12
時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ
月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ
月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7
年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間
、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間
、または40年間の期間、極低温で保管されていることと、
組換え受容体を、前記刺激した組成物に導入し、それによって、操作T細胞を含む操作
組成物を生成することと、
前記細胞を対象に投与することと
を含む、方法。
【請求項49】
前記処置が、前記操作T細胞または前記極低温で凍結した組成物の細胞を含まない、請
求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本出願は、2017年3月14日に出願された米国仮特許出願番号第62/471,3
43号に基づく優先権を主張しており、その全体の内容は、参考として本明細書中に援用
される。
【背景技術】
【0002】
概要
細胞療法は、治療目的を達成するために、細胞をレシピエントに投与する技法である。
任意の所与のレシピエントについて、投与される細胞は、別の人物を起源とするものであ
ってもよく、またはレシピエント自身を起源とするものであってもよい。後者の事例は、
自家細胞療法と称される場合があり、すなわち、細胞が収集されたレシピエントへと細胞
を戻して投与することである。自家細胞療法の利点としては、細胞を収集したドナーが、
レシピエントであるため、レシピエントの身体が、投与された細胞を拒絶する可能性が低
減されることを挙げることができる。
【0003】
細胞療法に関して、細胞をいつどのようにしてドナーから収集するか、ならびに収集後
および投与前に細胞をどのように処置するかにより、治療法の有効性および利用可能性、
たとえば、必要となった場合に細胞をどれほど迅速にレシピエントに投与することができ
るかが、影響を受け得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的で、細胞および細胞組成物の極低温保管、ならびに/またはそれらの操作
および/もしくは対象、たとえば、レシピエントへの投与のための方法、システム、およ
び組成物、ならびに製品が、提供される。一部の態様では、これらの実施形態の利点には
、とりわけ、細胞療法の利用可能性、有効性、および/または他の側面を強化することが
ある。方法は、さらに、または代替として、ドナーから収集された細胞を使用する他の医
療プロセスまたは研究プロセスに、利益をもたらし得る。
【0005】
一部の態様では、本開示は、細胞の極低温保管、処理、操作、および投与の方法、なら
びに患者が細胞療法を必要とする前に収集され、将来的な使用のための極低温保存された
アフェレーシスが関与する、関連する物品、組成物、およびシステムに関する。
【0006】
一部の態様では、本開示の細胞および組成物、ならびに製品は、たとえば、ドナーおよ
び/または別のレシピエントなどにおいて、疾患または状態の後続の治療的処置に使用す
ることができるものである。一部の実施形態では、方法は、ドナーの血液に由来する細胞
を極低温で保管することを伴う。極低温で保管した細胞は、一部の実施形態では、次いで
、疾患または状態を処置するための細胞療法に使用され得る。
【0007】
一部の実施形態では、細胞は、ドナーが疾患または状態であると診断された後、かつド
ナーが以下の:疾患もしくは状態の任意の初回処置、疾患もしくは状態の処置のための任
意の標的化処置もしくはそれを対象とする任意の処置、または放射線照射および/もしく
は化学療法以外の任意の処置のうちの1つまたは複数を受ける前に、収集される。一部の
実施形態では、細胞は、疾患の初回処置の後の疾患の1回目の再発の後、かつドナーまた
は対象が疾患の後続の処置を受ける前に、収集される。初回および/または後続の処置は
、ある特定の実施形態によると、細胞療法以外の治療法であり得る。一部の実施形態では
、収集された細胞は、初回および/または後続の処置の後に、細胞療法において使用され
得る。
【0008】
一部の実施形態では、細胞は、疾患の第2の処置過程の後の疾患の2回目の再発の後、
かつドナーまたは対象が疾患の後続の処置を受ける前に、収集される。一部の実施形態で
は、患者は、たとえば、ある特定のリスク因子を評価することによって、第2の処置過程
の後に、再発する可能性が高いと識別される。一部の実施形態では、リスク因子は、疾患
の種類および/または遺伝学、たとえば、ダブルヒットリンパ腫、原発性難治性がん、ま
たは活性化B細胞リンパ腫に基づく。一部の実施形態では、リスク因子は、臨床症状、た
とえば、第1の処置過程の後の早期再発、または処置後の予後の悪さを示すその他のもの
(たとえば、IPIが2を上回る)に基づく。
【0009】
一部の実施形態では、細胞は、ドナーまたは対象が疾患と診断される前に収集される。
一部の態様では、ドナーまたは対象は、疾患を発症するリスクがあると判定され得るか、
または疾患を発症するリスクがあるとみなされることも疾患と診断されることもないが、
寿命の後期に細胞療法が必要となった場合のために細胞を貯蔵もしくは保管することを選
択する可能性がある。一部の実施形態では、ドナーまたは対象は、遺伝子の変異、遺伝子
の異常、遺伝子の破壊、家族の病歴、タンパク質の異常(たとえば、タンパク質産生およ
び/もしくはプロセシングの欠如)、ならびに疾患を発症するリスクを増加させ得る生活
スタイルの選択などの因子に基づいて、疾患を発症するリスクがあるとみなされ得る。一
部の実施形態では、細胞は、予防として収集される。
【0010】
一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、2
4時間、36時間、または48時間、保管もしくは貯蔵される。一部の実施形態では、細
胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1週間、2週間、3週間、または4週間
、保管または貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、長期保管または長期貯蔵される
。一部の態様では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1カ月間、2カ月
間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ
月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間
、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、
17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、40年間、
またはそれを上回る期間、保管される。
【0011】
本開示はまた、一部の態様では、アフェレーシス試料を処理する方法にも関する。一部
の実施形態では、方法は、ドナーから取得されたアフェレーシス試料を、低温環境で、保
管施設に輸送すること、および保管施設において、アフェレーシス試料を極低温で保管す
ることを伴う。一部の実施形態では、輸送する前に、試料は、たとえば、T細胞、たとえ
ば、CD4T細胞および/またはCD8T細胞を選択することによって、処理される
。一部の実施形態では、そのような処理は、試料を輸送した後、かつ試料を極低温で保管
する前に、行われる。一部の実施形態では、処理は、極低温での保管後、試料を解凍した
後に行われる。
【0012】
一部の実施形態では、記載される実施形態による方法の利点としては、細胞療法の効率
性および/または有効性の改善が挙げられる。ドナー、したがってドナーの細胞が、疾患
の広範囲な処置を受けていない段階、および/または疾患もしくは状態もしくはその診断
が行われる前の段階で、ドナーが細胞を保管することを可能にすることにより、そのよう
な細胞は、1回の処置または複数回の処置の後に採取された細胞と比較して、細胞療法に
おける使用について、ある特定の利点を有し得る。たとえば、1回または複数回の処置の
前に採取した細胞は、複数回の処置を受けた後の細胞よりも、より健康であり得る、より
高いレベルのある特定の細胞活性を示し得る、より急速に成長し得る、および/または遺
伝子操作に対してより受容性があり得る。本明細書に記載される実施形態による利点の別
の例としては、利便性を挙げることができる。たとえば、細胞が細胞療法に必要とされる
前にドナーの細胞を収集し、必要に応じて処理し、保管することによって、細胞は、レシ
ピエントが、後の時点でそれらを必要とした場合および必要としたときに、容易に利用す
ることができるであろう。これにより、アフェレーシスラボの能力が増加し得、技師に提
供されるアフェレーシス収集プロセスのスケジュール決定の柔軟性がより大きくなる。
【0013】
一部の実施形態では、細胞および/または組成物および/または製品、たとえば、細胞
を含有する容器(たとえば、細胞バイアルまたはバッグ)には、たとえば、処理、極低温
保存、および/または保管、たとえば、長期保管の際の細胞および試料の分類のために、
1つまたは複数のコードまたは他の識別子で印が付けられる。一部の実施形態では、シス
テムおよび物品には、それぞれが、極低温保存された細胞組成物、たとえば、提供される
方法の実施形態に従って生成されたものを含む、複数の容器が含まれ、ここで、複数の容
器のそれぞれは、異なるドナーから得られた極低温保存試料を含有する。一部の実施形態
では、容器には、ドナー、試料、組成物、バイアル、容器、状態、疾患、収集施設、病院
、および/またはレシピエントのうちの1つまたは複数の識別に対応するかまたはそれを
示す、1つまたは複数の識別子、たとえば、バーコード、無線周波数識別(RFID)タ
グ、または他の識別子で、印が付けられる。一部の態様では、容器に含まれるかまたは容
器に貼付される追加の情報には、アフェレーシス収集および/もしくは極低温保存の日付
、ならびに/または消費期限、ならびに/または貯蔵所もしくは保管施設内の場所に関す
る情報が含まれる。一部の実施形態では、コードは、患者識別のブレスレットまたは病院
または医療施設もしくは収集施設のシステムもしくは書類、たとえば、ドナーもしくは関
連施設に出現するコードに対応する。
【0014】
好適なコード付けまたは印付けの方法またはシステムとしては、光、電子、または磁気
を用いて読み取ることができる、印刷、磁気、または電子形態のタグを使用してコードす
ること、たとえば、バーコード、QRコード(登録商標)、RFID、またはトランスポ
ンダ、たとえば、光活性化マイクロトランスポンダ、固有の30ビットの読取り専用識別
コードを保管し、光放出リーダデバイスで電力供給し、取り出すと、無線周波数シグナル
としてコードを放出する、低コストのシリコンデバイスが挙げられるが、これらに限定さ
れない。一部の実施形態では、処理の構成要素(試料収集チューブ、細胞精製の構成要素
、細胞の培養および増大の構成要素など)は、すべてが、施設の構成要素レジストリに事
前に登録され、このレジストリには、処理ワークフローにおけるそれぞれの構成要素の機
能および意図される使用段階が、構成要素の固有の識別子コードに対して記録される。一
部の実施形態では、トランスポンダが使用され、一部の態様では、トランスポンダは、読
み取ることができる固有の試料識別をコードするための任意の方法または物品を指す。
【0015】
一部の実施形態では、方法の様々な段階、たとえば、それぞれの段階、たとえば、処理
ワークフローおよび/またはレシピエントへの投与の前もしくは投与の時点で、1つまた
は複数の識別子コードは、レコード、たとえば、中央データベース内の固有の患者特異的
レコードに読み取られる、かつ/あるいは試料および/もしくは試料が由来する患者また
は試料を投与しようとする患者の識別ならびに/または試料および/またはその収集もし
くは処理に関する他の情報を確認するため、ならびに/または正しい保管過程を確認する
ために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
以下の詳細な説明および例は、本開示のある特定の実施形態を例示する。当業者であれ
ば、本開示の多数の変化形および修正形が存在し、本開示の範囲内に含まれることを認識
するであろう。したがって、ある特定の実施形態の説明は、制限として解釈されるもので
はない。
【0017】
本明細書において使用されるとき、「極低温で保管する」または「極低温保管」という
用語は、一般に、試料、たとえば、細胞を含有する試料を、-210℃~-80℃の温度
で保管することであり、細胞をそのような保管期間の後に解凍することができ、解凍時ま
たは解凍後に、試料中の細胞の少なくとも一部分または大部分が、生存可能なままである
および/またはその生物学的機能の少なくとも一部分を保持するような条件下で、保管す
ることを指す。一態様では、細胞試料は、試料中の細胞の少なくともある特定の割合、た
とえば、以下の割合、またはおよそ以下の割合、または以下を上回る割合が、生存可能な
ままとなる、ならびに/またはアポトーシスマーカーもしくはその指標、たとえば、切断
されたカスパーゼおよび/もしくはアネキシンV染色について陰性のままとなるように、
解凍することができる:20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、9
0%、または100%。
【0018】
本明細書において使用されるとき、極低温で凍結させるという用語は、試料、たとえば
、細胞を含有する試料の温度を、-210~-80℃の温度まで低下させることを意味す
る。
【0019】
一部の実施形態では、細胞を含有する試料の文脈で本明細書において使用される、濃縮
するまたは濃縮という用語は、1種類または複数種類の細胞が、より高濃度で得られるよ
うに、その1種類または複数種類の細胞を、試料から分離、選択、または精製することを
意味する。「濃縮する」という用語は、必ずしも、絶対またはほぼ絶対の細胞純度を達成
することを含むわけではないが、一部の実施形態では、それを含み得る。
【0020】
本明細書において使用されるとき、対象またはドナーは、哺乳動物、たとえば、ヒトま
たは他の動物であり、典型的には、ヒトである。一部の実施形態では、細胞、細胞集団、
または組成物が投与される対象、たとえば、患者は、哺乳動物であり、典型的には、霊長
類、たとえば、ヒトである。一部の実施形態では、霊長類は、サルまたは類人猿である。
対象は、雄性であっても雌性であってもよく、幼児、少年期、青年期、成人、および/ま
たは老人期の対象を含め、任意の好適な年齢であり得る。一部の実施形態では、対象は、
非霊長類の哺乳動物、たとえば、げっ歯動物である。
【0021】
一部の実施形態では、「凍結溶液」という用語は、細胞を含有する試料、たとえば、ア
フェレーシス試料と合わせたときに、試料または細胞の冷却、極低温での凍結、および/
または極低温での保管のプロセスの間、細胞の1つまたは複数の生物学的機能を保存する
のを補助する、溶液を意味する。一部の実施形態では、凍結溶液および極低温媒体という
用語は、互換可能である。
【0022】
一部の実施形態では、「極低温後に修飾すること」または「極低温後の修飾」という用
語は、細胞を含有する極低温で保管された試料の文脈で本明細書において使用されるとき
、細胞を解凍した後に試料に適用されるプロセスを意味する。
【0023】
一部の実施形態では、「再発」という用語は、本明細書において使用されるとき、一般
に、改善期間の後に、疾患の兆候または症状が戻ることを意味する。
【0024】
アフェレーシスは、一般に、ドナーまたは対象の血液を収集するプロセスを指す。この
プロセスには、ドナーの血液から細胞を収集するプロセスが含まれ得る。白血球アフェレ
ーシスは、ドナーの血液から白血球を収集するそのようなプロセスを指して使用される。
一部の実施形態では、提供される実施形態および組成物は、たとえば、アフェレーシスに
よる、ドナーからの血液試料の収集に関し、一部の実施形態では、方法および組成物は、
組成物、たとえば、細胞療法の組成物を、レシピエントに投与することに関する。一部の
実施形態では、ドナーおよびレシピエントは、同じ個体である。一部の実施形態では、ド
ナーに由来する細胞は、異なる対象であるレシピエントに投与される。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、ドナーの血液に由来する細胞を極低温で保管することを
伴う。一部の実施形態では、極低温で保管された細胞は、続いて、疾患を処置するために
レシピエントに投与される。たとえば、米国特許出願公開第2016/0158359号
および同第2016/0206656号およびPCT国際出願第2016/064929
号および同第2016/033570号に記載されているように、細胞は、細胞療法処置
、たとえば、T細胞療法の一部として、使用され得、これらの文献は、その全体が本明細
書に組み込まれる。
【0026】
一部の実施形態では、ドナーは、対象、たとえば、収集した細胞を後で受ける人物、す
なわち、レシピエントである。そのような実施形態では、この治療法は、自家細胞療法と
称される。本明細書において考察されるように、自家細胞療法の利点としては、細胞を収
集したドナーが、レシピエントであるため、レシピエントの身体が、投与された細胞を拒
絶する可能性が低減されることを挙げることができる。一部の実施形態では、ドナーおよ
びレシピエントは、異なる人物である。そのような実施形態では、治療法は、同種細胞療
法と称され得る。同種療法の利点としては、細胞試料全体での均一性および一貫性を挙げ
ることができる。他の利点としては、一部の態様では、たとえば、レシピエントに由来す
る細胞が利用可能でない可能性がある時点で、ドナーの細胞が利用可能であるという状況
において、たとえば、レシピエントがそのような細胞を提供することができないおよび/
またはアフェレーシスを受けることができない状況、たとえば、レシピエントの具合が悪
すぎる場合に、自家細胞療法と比較して、細胞の利用可能性が高いことを挙げることがで
きる。
【0027】
一部の実施形態では、細胞は、アフェレーシス、たとえば、多数の公知のアフェレーシ
ス技法のうちのいずれかによって、収集される。例示的なアフェレーシス収集方法として
は、医療従事者によって行われる一般的に許容される慣例方法を使用して、ドナーから採
血することが挙げられる。医療従事者は、たとえば、ドナーの身体における部位、典型的
には、腕を選択し、その部位を滅菌し、静脈穿刺を行い、血液を保存するのに好適な容器
、たとえば、抗凝血剤を含有する滅菌血液バッグに、採血することができる。たとえば、
医療従事者は、World Health Organization(「WHO」)、
WHO guidelines on drawing blood: best pr
actices in phlebotomy(2010年)に記載されている慣例方法
を行うことができる。従事者は、以下に記載されるように、ドナーにおいて疾患を診断す
る従事者であってもよく、またはそうでなくてもよい。血液の収集の後に、血液の成分、
たとえば、血漿および様々な血液細胞を、遠心分離を用いて分離してもよい。
【0028】
一部の実施形態では、細胞は、ドナーが疾患と診断された後、かつドナーが疾患の任意
の処置を受ける前、および/またはドナーが標的化された処置、たとえば、疾患もしくは
状態と関連する抗原もしくは他のリガンドを特異的に認識するかもしくはそれに特異的に
結合する処置を受ける前に、収集される。一部の実施形態では、細胞は、ドナーが疾患ま
たは状態と診断される前の時点で、収集される。そのような実施形態の利点としては、ド
ナーが疾患の処置を受けた後に収集される細胞と比較して、細胞の生存性、活性、および
遺伝子操作に対する受容性の改善を挙げることができる。一部の実施形態では、細胞は、
疾患の初回処置の後の疾患の1回目の再発の後、かつドナーが疾患の後続の処置を受ける
前に、ドナーから収集される。そのような実施形態の利点としては、ドナーが疾患の2回
またはそれを上回る処置を受けた後に収集される細胞と比較して、細胞の生存性、活性、
および遺伝子操作に対する受容性の改善を挙げることができる。他の実施形態では、細胞
は、疾患の2回目の再発の後、かつドナーが疾患の後続の処置を受ける前に、ドナーから
収集される。
【0029】
ドナーおよび/もしくはレシピエントの、ならびに/または本明細書におけるドナーお
よび/もしくはレシピエントが有するかもしくは有することが疑われる、ならびに/また
は組換え受容体によって標的とされる、疾患、状態、および障害には、固形腫瘍を含む腫
瘍、造血系悪性腫瘍、ならびに黒色腫があり、局所的腫瘍および転移腫瘍が含まれる。疾
患、状態、および障害にはまた、感染性疾患、たとえば、ウイルスまたは他の病原体、た
とえば、HIV、HCV、HBV、CMV、HPVによる感染、および寄生虫性疾患があ
る。疾患、状態、および障害にはまた、自己免疫性疾患および炎症性疾患がある。一部の
実施形態では、疾患または状態は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾
患もしくは障害である。そのような疾患としては、白血病、リンパ腫、たとえば、慢性リ
ンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性白血病(SLL)、急性リンパ芽球性白血病(
ALL)、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、難治性濾胞性リンパ
腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、結腸がん、肺がん
、肝臓がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、皮膚がん、黒色腫、骨がん、および脳のが
ん、卵巣がん、上皮がん、腎細胞癌、膵臓腺癌、ホジキンリンパ腫、子宮頸癌、結腸直腸
がん、膠芽腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、髄芽細胞腫、骨肉腫、滑膜肉腫、および
/または中皮腫が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、疾患また
は状態は、DLBCL、特定できないもの(NOS、濾胞性リンパ腫に由来する形質転換
DLBCLを含む)、DLBCL組織学を有するMYCおよびBCL2ならびに/または
BCL6再配列を伴う高悪性度B細胞リンパ腫である。
【0030】
一部の実施形態では、対象は、iwCLLのガイドラインに基づく処置の兆候を有する
CLL、および臨床的に測定可能な疾患、または生検によって実証されるSLLであるS
LLを呈する。一部の態様では、対象は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi
)処置を受け、それが失敗したか、BTKi療法に不適格であるとみなされている。
【0031】
一部の実施形態では、CLLまたはSLL、および高リスクの特徴、たとえば、複合染
色体異常(3つまたはそれを上回る染色体異常)、17p欠失、TP53変異、または未
変異の免疫グロブリン重鎖可変領域(IGHV)を有する対象は、BTKiを含め、これ
までの治療法の少なくとも2回の過程が失敗している。一部の実施形態では、CLLまた
はSLL、および標準的なリスクの特徴を有する対象は、BTKiを含め、これまでの治
療法の少なくとも3回の過程が失敗している。一部の実施形態では、BTKi不耐性であ
り、少なくとも6カ月間のBTKi療法を受けていないか、またはBTKiに不適格であ
る、CLLまたはSLLを有する対象は、非BTKi療法の少なくとも1回(高リスク)
または2回(標準的なリスク)の過程が失敗している。
【0032】
一部の実施形態では、対象は、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操
作細胞免疫療法に適格でない。一部の実施形態では、対象は、まだ1つまたは複数の臨床
試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適格でないが、適格となるリスクがあ
るかまたは適格となり得る。一部の実施形態では、対象は、以前の治療法の1回もしくは
複数回の過程に対する、または自己HSCT後の、予測応答もしくは実際の応答に起因し
て、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適格でない
。一部の実施形態では、対象は、以前の治療法の1回または複数回の過程(たとえば、以
前の治療法の2回もしくはそれを上回る、3回もしくはそれを上回る、または4回もしく
はそれを上回る過程)、または自己HSCT後に、再発していない、および/またはこれ
らに対して不応性でない場合、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作
細胞免疫療法に適格でない。一部の実施形態では、対象は、高リスクの染色体異常の不在
に起因して、1つまたは複数の臨床試験および/または承認された操作細胞免疫療法に適
格でない。
【0033】
一部の態様では、対象は、多数の転移および/または広範囲に拡がった転移の局在化を
有する。一部の態様では、対象における腫瘍負荷は、低く、対象は、転移をほとんど有さ
ない。一部の実施形態では、投薬のサイズまたはタイミングは、対象における初期疾患負
荷によって判定される。たとえば、一部の態様では、対象は、初回用量では、比較的低い
数の細胞が投与され得るが、より低い疾患負荷の状況では、用量はより高くなり得る。
【0034】
一部の実施形態では、疾患または状態は、感染性疾患または状態、たとえば、ウイルス
、レトロウイルス、細菌、および原虫の感染、サイトメガロウイルス(CMV)、エプス
タインバーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスなどであるが
、これらに限定されない。
【0035】
一部の実施形態では、疾患または状態は、自己免疫性または炎症性の疾患または状態、
たとえば、関節炎、たとえば、リウマチ性関節炎(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマ
トーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス
病、クローン病、多発性硬化症、喘息、免疫不全、および/または移植と関連する疾患も
しくは状態である。
【0036】
一部の実施形態では、疾患または状態は、移植片対宿主病(GVHD)、たとえば、移
植、たとえば、同種器官移植ならびに/または骨髄および/もしくは造血幹細胞移植を受
けているかまたは受けた対象におけるGVHDである。天然の単離したCD4CD25
T細胞、たとえば、in vitroで増大させたTreg細胞の付加により、一部の
状況では、移植片対宿主病を遅延および/または予防することができる。一部の実施形態
では、提供されるTreg組成物および方法は、GVHDのリスクまたはその症状もしく
は兆候を予防および/または減少させる。一部の実施形態では、疾患または状態は、心臓
、肝臓、角膜、腎臓、肺、膵臓、または他の器官の移植片など、器官移植片拒絶またはそ
のリスクである。
【0037】
一部の実施形態では、自己免疫性疾患または炎症性疾患は、慢性および/または急性炎
症性疾患である。一部の態様では、疾患または障害は、全身性エリテマトーデス(SLE
)、リウマチ性関節炎(RA)、多発性筋炎、多発性硬化症(MS)、糖尿病、炎症性腸
疾患(IBD)、I型真性糖尿病もしくは自己免疫性膵島炎、自己免疫性甲状腺炎、自己
免疫性ブドウ膜炎もしくは網膜ブドウ膜炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性卵巣炎、乾癬
、白斑、自己免疫性前立腺炎、任意の望ましくない免疫応答または他の炎症性もしくは自
己免疫性疾患もしくは状態、たとえば、望ましくない免疫応答および/もしくはウイルス
に誘導される免疫病理を特徴とする状態であるか、またはこれらを含む。一部の態様では
、抗原、たとえば、T細胞および/または組換え受容体が特異的に結合する抗原は、自己
抗原(self antigen)または自己抗原(auto-antigen)、たと
えば、正常なまたは非罹患組織に発現されるヒト抗原である。一部の態様では、抗原は、
がんに発現される抗原でもなく、対象においてがんに発現もされない。一部の態様では、
対象は、がんを有することが判明していない、および/またはがんを有することが疑われ
ていない。
【0038】
一部の実施形態では、細胞、キメラ抗原受容体(CAR)もしくはT細胞受容体(TC
R)、または他の組換え受容体によって認識される抗原は、自己抗原または自己抗原と交
差反応する抗原、たとえば、自己免疫性疾患の病態生理学における病原性抗原であるか、
またはそれを含む。一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が炎症性腸疾患(IBD
)である場合には、抗原は、罹患した結腸または回腸に発現されるものである。一部の実
施形態、たとえば、RAの状況では、抗原またはリガンドは、コラーゲンのエピトープま
たは関節に存在する抗原である。一部の実施形態、たとえば、I型真性糖尿病または自己
免疫性膵島炎の処置または予防については、抗原は、膵臓β細胞抗原である。一部の実施
形態、たとえば、MSについては、抗原は、ミエリン塩基性タンパク質抗原、MOG-1
、MOG-2、または別の神経細胞抗原である。一部の実施形態、たとえば、疾患または
状態が自己免疫性甲状腺炎である場合には、抗原またはリガンドは、甲状腺抗原である。
一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が自己免疫性胃炎である場合には、抗原は、
胃抗原である。一部の実施形態、たとえば、自己免疫性ブドウ膜炎または網膜ブドウ膜炎
の処置については、抗原は、S抗原または別のブドウ膜もしくは網膜抗原である。一部の
実施形態、たとえば、疾患または状態が精巣炎である場合には、抗原は、精巣抗原である
。一部の実施形態、たとえば、自己免疫性卵巣炎を処置または予防する場合には、抗原は
、卵巣抗原である。一部の実施形態、たとえば、乾癬の処置または予防については、抗原
は、ケラチノサイト抗原または別の真皮もしくは上皮抗原である。一部の実施形態、たと
えば、白斑の処置または予防については、抗原は、メラノサイト抗原である。一部の実施
形態、たとえば、自己免疫性前立腺炎の処置または予防については、抗原は、前立腺抗原
である。一部の実施形態では、抗原は、望ましくない免疫応答の部位に存在するエフェク
ターT細胞に発現する活性化抗原を含み得る。
【0039】
一部の実施形態では、抗原は、シトルリン化ビメンチンである。
【0040】
一部の実施形態、たとえば、疾患または状態が、組織または器官の拒絶であるかまたは
それを含む場合には、抗原は、移植された組織のハプロタイプを有するMHC分子または
その部分を含み得る。
【0041】
一部の実施形態では、疾患または障害と関連する抗原は、GPRC5D、神経膠腫関連
抗原、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、B細胞成
熟抗原(BCMA、BCM)、B細胞活性化因子受容体(BAFFR、BR3)、膜貫通
型活性化因子およびCAML相互作用因子(TACI)、Fc受容体様5(FCRL5、
FcRH5)、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、Her2、Ll-CAM、
CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸
受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、E
GP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセ
チルコリン受容体(fetal acethycholine receptor)、G
D2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、
kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、M
UC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1
、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原
(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プ
ロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、お
よびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、たとえば、
サイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはH
IV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子である。
【0042】
一部の実施形態では、疾患は、がんである。たとえば、米国特許出願公開第2016/
0158359号および同第2016/0206656号、ならびにPCT特許出願公開
第2016/064929号に記載されているように、細胞は、がん療法の処置、たとえ
ば、T細胞療法の一部として使用され得、これらの文献は、その全体が本明細書に組み込
まれる。
【0043】
がんは、たとえば、良性または悪性であり得る。がんには、たとえば、原発性がんまた
は転移性がんが含まれ得る。一部の実施形態では、がんは、任意のステージ、たとえば、
ステージTX、ステージT0、ステージT1、ステージT1a、ステージT1b、ステー
ジT2、ステージT2a、ステージT2b、ステージT3、ステージT3a、ステージT
3b、ステージT4、ステージT4a、ステージT4b、ステージNX、ステージN0、
ステージN1、ステージN1a、ステージN1b、ステージN2、ステージN2a、ステ
ージN2b、ステージN2c、ステージN3、ステージMX、ステージM0、ステージM
1、ステージM1a、ステージM1b、ステージM1c、ステージM2、ステージM3、
ステージM3V、ステージM4、ステージM4E、ステージM5、ステージM6、または
ステージM7のものであり得る。
【0044】
一部の実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質
癌、カポジ肉腫、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、ユーイング肉腫、骨肉
腫、悪性線維性組織球腫、脳のがん、乳がん、気管支がん、バーキットリンパ腫、カルチ
ノイドがん、心臓がん(cardiac cancer)、非定型奇形腫様もしくは横紋
筋肉腫様腫瘍、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、子宮頸がん、胆管癌、
慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸がん、頭蓋
咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、頭
蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、卵管がん、胆嚢がん、
消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、膠芽腫、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん、妊娠性
絨毛性疾患、有毛細胞性白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、眼内黒色
腫、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、腎臓がん、肺がん(非小細胞および小細胞)、悪
性線維性組織球腫、メルケル細胞癌、中皮腫、正中線管癌(midline tract
carcinoma)、口腔がん、多発性内分泌新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成性も
しくは骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性新生物
、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫、傍神
経節腫、副鼻腔がんおよび鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、
下垂体部腫瘍、形質細胞腫、多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、腹膜がん、前立腺がん、直腸が
ん、網膜芽細胞腫、唾液腺がん、横紋筋肉腫、セザリー症候群、小腸がん、小リンパ球性
白血病、扁平上皮細胞癌、扁平上皮頸部がん、精巣がん、咽喉がん、鼻咽頭がん、口腔咽
頭がん、下咽頭がん、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰
がん、またはウィルムス腫瘍である。
【0045】
一部の実施形態では、がんは、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、急性リン
パ球性白血病、前リンパ球性白血病、有毛細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、nul
l型急性リンパ芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞
型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リ
ンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、または急性骨髄性白血病である。
【0046】
一部の実施形態では、がんは、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、EGFR
、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およ
びB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD3
8、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もし
くは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL
-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1
-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、B細胞成熟抗原
(BCMA)、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSCA、NKG2Dリガンド
、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG7
2、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2
/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、C
S-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(W
T-1)、サイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビ
オチン化分子、ならびに/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって
発現される分子のうちの少なくとも1つまたは複数を発現する細胞を含む。一部の実施形
態では、がんは、CD19を発現する細胞を含む。一部の実施形態では、がんは、BCM
Aを発現する細胞を含む。
【0047】
一部の実施形態では、疾患は、医療従事者(たとえば、国、州(state)、州(p
rovince)、郡、地方自治体、または町区における医療規制当局による免許を得た
人物)によって診断され、この人物が、ドナーを検査し、ドナーにおいて構造または機能
の障害を観察することによってドナーにおける疾患の存在を確認する。医療従事者として
は、たとえば、医師、たとえば、血液学者、免疫学者、腫瘍学者、または実地看護師を挙
げることができる。
【0048】
一部の実施形態では、診断は、ドナーによる自己診断を除外する、および/または遺伝
子試験サービスによる診断を除外する。
【0049】
一部の実施形態では、初回処置および後続の処置は、それぞれ、互いに独立して、がん
療法、たとえば、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、および/または外科
手術を含み得る。化学療法には、たとえば、シクロホスファミド、メトトレキサート、5
-フルオロウラシル、ドキソルビシン、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プ
レドニゾロン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、エトポシド、シスプラ
チン、エピルビシン、カペシタビン、フォリン酸、オキサリプラチン、および他の少分子
キナーゼ阻害剤のうちの少なくとも1つを投与することが含まれ得る。免疫療法には、た
とえば、抗体および免疫細胞、たとえば、ナチュラルキラー細胞、リンホカイン活性化キ
ラー細胞、細胞傷害性T細胞、および樹状細胞のうちの少なくとも1つを投与することが
含まれ得る。一部の実施形態では、処置(初回または後続のいずれか)には、放射線療法
(たとえば、4000cGy照射)、自家幹細胞救援(autologous stem
cell rescue)、幹細胞移植、骨髄移植、および造血幹細胞移植(HSCT
)のうちのいずれかまたはすべてが含まれ得る。一部の実施形態では、処置には、CAR
T細胞療法が含まれ得る。一部の実施形態では、処置には、チサゲンレクロイセル(K
ymriah)が含まれ得る。一部の実施形態では、処置には、アキシカブタゲンシロロ
イセル(Yescarta)が含まれ得る。一部の実施形態では、初回および/または後
続の治療法には、シタラビン(ara-C、高用量シタラビンを含む)、ダウノルビシン
(ダウノマイシン)、イダルビシン、またはクラドリビン(ロイスタチン、2-CdA)
のうちのいずれかまたはすべてが、単独または組合せで、含まれ得る。一部の実施形態で
は、初回および/または後続の治療法には、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、サリドマ
イド、レナリドマイド、ポマリドマイド、ならびにコルチコステロイド、たとえば、プレ
ドニゾンおよびデキサメタゾンのうちのいずれかまたはすべてが含まれ得る。一部の実施
形態では、初回および/または後続の治療法には、アルキル化剤、たとえば、シクロホス
ファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、およびイホスファミド;白金薬物、たとえ
ば、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン;プリン類似体、たとえば
、フルダラビン、ペントスタチン、およびクラドリビン、シタラビン;抗代謝薬、たとえ
ば、ゲムシタビン、メトトレキサート、およびプララトレキサート;ならびに他の薬剤、
たとえば、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、エトポシド、およびブ
レオマイシンのうちのいずれかまたはすべてが含まれ得る。一部の実施形態では、初回お
よび/または後続の治療法には、プロテアソーム阻害剤、たとえば、ボルテゾミブ;ヒス
トンデアセチラーゼ阻害剤、たとえば、ロミデプシンおよびベリノスタット;キナーゼ阻
害剤、たとえば、イブルチニブおよびイデラリシブのうちのいずれかまたはすべてが含ま
れ得る。一部の実施形態では、初回および/または後続の治療法には、CD20を標的と
する抗体、たとえば、リツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、およびイブリツ
モマブチウキセタン;CD52を標的とする抗体、たとえば、アレムツズマブ;CD30
を標的とする抗体、たとえば、ブレンツキシマブベドチン;インターフェロン;ならびに
免疫調節剤、たとえば、サリドマイドおよびレナリドマイドが含まれ得る。一部の実施形
態では、初回および/または後続の治療法は、組合せ療法、たとえば、CHOP、CHO
P+R(またはR-CHOP)、CVP、EPOCH、EPOCH+R、DHAP、およ
びDHAP+R(またはR-DHAP)であってもよい。CHOPには、シクロホスファ
ミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾンの薬物が含まれる。R-C
HOP(またはCHOP+R)は、リツキシマブでの処置をさらに含む。CVPには、シ
クロホスファミド、ビンクリスチン、およびプレドニゾンが含まれる。CVPはまた、リ
ツキシマブとの組合せで投与してもよい。EPOCHには、エトポシド、プレドニゾン、
ビンクリスチン、シクロホスファミド、およびドキソルビシンの薬物が含まれる。EPO
CH-Rは、リツキシマブでの処置をさらに含む。DHAPは、デキサメタゾン、高用量
シタラビン、およびシスプラチンの薬物を含む。DHAP+R(またはR-DHAP)は
、リツキシマブでの処置をさらに含む。本明細書に記載される方法に従って使用すること
ができるさらなる組合せレジメンには、ベンダムスチンに加えてリツキシマブ(BR);
リツキシマブ、シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、およびプレドニゾン
(R-CEPP);リツキシマブ、シクロホスファミド、エピルビシン、およびプレドニ
ゾン(R-CEOP);リツキシマブ、ゲムシタビン、シスプラチン、およびデキサメタ
ゾン(R-GDP);リツキシマブおよびレナリドマイドのうちのいずれか1つまたは複
数が含まれる。本明細書に記載される方法に従って使用することができるさらなる抗がん
療法には、クロラムブシル、ベンダムスチン、シクロホスファミド、フルダラビン、オフ
ァツムマブ、オビヌツズマブ、リツキシマブ、イデラリシブ、ベネトクラックス、レナリ
ドマイド、およびメチルプレドニゾロンのうちのいずれか1つもしくは複数、または組合
せが含まれる。
【0050】
一部の実施形態では、ドナーは、疾患の初回処置および改善の期間の後に、1回目の再
発に入る場合がある。一部の実施形態では、改善の期間は、疾患の兆候および症状の完全
な不在によって示される。一部の実施形態では、改善の期間の間、疾患の兆候および症状
は、緩和または低減されるが、完全に不在ではない。一部の実施形態では、疾患の兆候お
よび症状の完全な不在、または兆候および症状の緩和もしくは低減は、初回処置の結果で
ある。
【0051】
一部の実施形態では、ドナーは、疾患の、1回または複数回のこれまでの処置、および
1回または複数回の改善の期間の後に、2回目の再発に入る場合がある。一部の実施形態
では、改善の期間は、疾患の兆候および症状の完全な不在によって示される。一部の実施
形態では、改善の期間の間、疾患の兆候および症状は、緩和または低減されるが、完全に
不在ではない。一部の実施形態では、疾患の兆候および症状の完全な不在、または兆候お
よび症状の緩和もしくは低減は、これまでの処置の結果である。
【0052】
一部の実施形態では、再発は、医療従事者によって診断され、この人物が、ドナーを検
査し、ドナーにおける疾患の兆候および症状の戻りを確認する。一部の実施形態では、医
療従事者は、国、州(state)、州(province)、郡、地方自治体、または
町区における医療規制当局による免許を有する人物である。医療従事者としては、たとえ
ば、医師、たとえば、血液学者、免疫学者、もしくは腫瘍学者、または実地看護師を挙げ
ることができる。疾患を診断する医療従事者および再発を診断する医療従事者は、同じ人
物であってもよく、またはそうでなくてもよい。
【0053】
一部の実施形態では、ドナーの血液に由来する細胞は、アフェレーシスまたは白血球ア
フェレーシスによって得られる。一部の実施形態では、ドナーから収集されたとき、およ
び/またはアフェレーシス試料中の合計の、細胞の数は、以下の数もしくはおよそ以下の
数であるか、または以下の数もしくはおよそ以下の数を上回らない:500×10個、
1000×10個、2000×10個、3000×10個、4000×10個、
もしくは5000×10個、またはそれよりも多くの合計細胞もしくは合計有核細胞。
一部の実施形態では、対象に投与する際の試料は、ドナーの体重1キログラム当たり10
個~10個もしくは約10個~約10個の細胞もしくはT細胞もしくは操作細胞
、および/または5×10個もしくは10×10個または約5×10個もしくは約
10×10個の合計細胞もしくはT細胞もしくは操作細胞もしくはそのサブセットを含
有する。一部の実施形態では、ドナーから収集されたときの血液の体積は、ドナーの体重
1キログラムに対して、0.5~5ミリリットルである。
【0054】
一部の実施形態では、細胞は、T細胞および/またはその集団を含む、および/または
それらの存在が濃縮されている。一部の実施形態では、細胞は、CD4T細胞および/
またはCD8T細胞を、別個または組合せのいずれかで、含む。T細胞および/または
CD4T細胞および/またはCD8T細胞のサブタイプおよび部分集団には、ナイー
ブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞、およびそれらの
サブタイプ、たとえば、ステムセントラルメモリーT細胞(TSCM)、セントラルメモ
リーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、または最終分化型エフ
ェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘ
ルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然お
よび適応性調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、たとえば、TH1細胞、TH2
細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、
アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞がある。一部の実施形態では、
細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球また
は顆粒球、たとえば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸
球、および/または好塩基球である。一部の実施形態では、T細胞は、バルクT細胞、た
とえば、CD3発現、CD4もしくはCD8発現、または血液細胞上に見出される非T細
胞マーカーの陰性に基づいて選択されるものを含むか、またはそれらである。
【0055】
一部の実施形態では、細胞は、T細胞、たとえば、CD8T細胞(たとえば、CD8
ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、もしくはエフェクターメモリーT細胞)
、CD4T細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、調節性T細胞(Treg)
、幹細胞メモリーT細胞、リンパ球前駆細胞、造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞(NK
細胞)、または樹状細胞であるか、またはこれらを含む。一部の実施形態では、細胞は、
単球または顆粒球、たとえば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細
胞、好酸球、および/または好塩基球である。ある実施形態では、細胞は、人工多能性幹
(iPS)細胞またはiPS細胞に由来する細胞、たとえば、対象から生成され、1つま
たは複数の標的遺伝子を改変する(たとえば、標的遺伝子における変異を誘導する)かま
たはその発現を操作するように操作され、たとえば、T細胞、たとえば、CD8T細胞
(たとえば、CD8ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、またはエフェクター
メモリーT細胞)、CD4T細胞、幹細胞メモリーT細胞、リンパ球前駆細胞、または
造血幹細胞に分化した、iPS細胞である。
【0056】
一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット
、たとえば、全T細胞集団、CD4細胞、CD8細胞、およびその部分集団、たとえ
ば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大、再循環、局在化、および/または持続能
力、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくはコンパートメントにおける存在
、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の度合いによ
って定義されるものを含む。
【0057】
一部の実施形態では、T細胞および/またはCD4T細胞および/またはCD8
細胞のサブタイプおよび部分集団には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(
TEFF)、メモリーT細胞、およびそれらのサブタイプ、たとえば、幹細胞メモリーT
(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、
または最終分化型エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T
細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(M
AIT)細胞、天然および適応性調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、たとえば
、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾
胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞がある。
一部の実施形態では、細胞は、ドナーから収集された後、さらなる処理なしに、極低温で
凍結される、および/または極低温で保管される。一部の実施形態では、細胞は、極低温
で凍結および/または保管される前に、1回または複数回、濃縮される。一部の実施形態
では、細胞は、極低温で保管された後に、1回または複数回、濃縮される。一部の事例で
は、極低温で凍結および/または保管する前に細胞に濃縮もさらなる処理も行わないこと
により、コストの低減および/または時間の節約の利点が得られる。一部の事例では、極
低温で凍結および/または保管する前に細胞に濃縮もさらなる処理も行わないことにより
、さらに、細胞の濃縮および/または処理を行うことができる施設へのアクセスを有さな
いドナーに対して、より広範な収集施設の選択肢が可能となり得る。濃縮は、たとえば、
PCT出願公開第2015/164675号に記載される通りであってもよく、これは、
その全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、細胞は、極低温で凍結および
/または保管する前に、処理される。
【0058】
特定の実施形態では、細胞は、たとえば、例として、血漿および血小板を除去するため
の洗浄ステップの後に、凍結される。一部の実施形態では、細胞は、細胞、たとえば、組
換え受容体、たとえば、CARを発現する、CD4+T細胞および/またはCD8+T細
胞を製造および/または生成することと関連するステップうちのいずれかよりも前、それ
に続いて、および/またはその最中に、凍結される。ある特定の実施形態では、そのよう
なステップには、細胞のサブセット、たとえば、CD4+T細胞および/もしくはCD8
+T細胞の選択および/もしくは単離、細胞、たとえば、T細胞もしくはそのサブセット
の刺激および/もしくは増大、または細胞のトランスフェクションもしくは形質導入を含
むがこれらに限定されない、操作細胞の生成と関連する任意のステップが含まれ得る。一
部の実施形態では、細胞は、細胞の選択および/もしくは単離、細胞の刺激および/もし
くは増大、または細胞のトランスフェクションもしくは形質導入の前に、対象から収集さ
れたアフェレーシス試料の細胞である。
【0059】
細胞処理方法
【0060】
一部の実施形態では、対象から収集された細胞を、洗浄して、たとえば、血漿画分を除
去し、細胞を、後続の処理ステップに適した緩衝液または媒体に入れる。一部の実施形態
では、細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。一部の実施形態では、洗浄溶液
は、カルシウムおよび/もしくはマグネシウム、ならびに/または多数もしくはすべての
二価カチオンを含まない。一部の態様では、洗浄ステップは、半自動化された「フロース
ルー」遠心分離(たとえば、Cobe 2991 cell processor、Ba
xter)を製造業者の説明に従って使用して、達成される。一部の態様では、洗浄ステ
ップは、遠心分離チャンバ、たとえば、A-200/FおよびA-200遠心分離チャン
バを含め、Sepax(登録商標)およびSepax(登録商標)2システムで使用する
ためのものを含む、Biosafe SAによって製造および販売されているものにおい
て、製造業者の説明書に従って、行われる。一部の態様では、洗浄ステップは、製造業者
の説明に従って接線流濾過(TFF)によって、達成される。一部の実施形態では、細胞
は、洗浄後に、たとえば、Ca++/Mg++不含PBSなど、様々な生体適合性緩衝液
中に再懸濁される。ある特定の実施形態では、血液細胞試料の成分が除去され、細胞が、
直接、培養媒体中に再懸濁される。
【0061】
一部の実施形態では、方法には、密度に基づく細胞分離方法、たとえば、赤血球を溶解
し、PercollまたはFicoll勾配を通じた遠心分離による、末梢血からの白血
球の調製が含まれる。
【0062】
一部の実施形態では、単離方法には、細胞における、1つまたは複数の特定の分子、た
とえば、表面マーカー、たとえば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の発現
または存在に基づく、異なる細胞型の分離が含まれる。一部の実施形態では、そのような
マーカーに基づく任意の公知の分離方法を、使用することができる。一部の実施形態では
、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。たとえば、一部の態様では、単
離には、細胞の、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの発現または
発現レベルに基づいて、たとえば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結
合パートナーとのインキュベーション、一般的にはそれに続く洗浄ステップおよび抗体ま
たは結合パートナーに結合した細胞の、抗体または結合パートナーに結合していない細胞
からの分離による、細胞および細胞集団の分離が含まれる。
【0063】
そのような分離ステップは、試薬に結合した細胞が、さらなる使用のために保持される
、陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合していない細胞が保持さ
れる、陰性選択に基づき得る。一部の例では、両方の画分が、さらなる使用のために保持
される。一部の態様では、不均一集団において細胞型を特異的に特定する抗体が利用可能
でなく、その結果、分離は、所望される集団以外の細胞が発現するマーカーに基づいて行
われるのが最もよくなるという場合には、陰性選択が、特に有用であり得る。
【0064】
分離は、必ずしも、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の
濃縮または除去をもたらすものではない。一部の実施形態では、濃縮した集団は、集団の
うちの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、
または95%を含む。たとえば、特定の種類の細胞、たとえば、マーカーを発現するもの
の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数または割合を増加させることを指すが、必
ずしも、そのマーカーを発現しない細胞の完全な不在をもたらすわけではない。同様に、
特定の種類の細胞、たとえば、マーカーを発現するものの陰性選択、除去、または枯渇は
、そのような細胞の数または割合の減少を指すが、必ずしも、すべてのそのような細胞の
完全な除去をもたらすわけではない。
【0065】
一部の例では、複数回の分離ステップが行われ、ここで、1つのステップから陽性選択
または陰性選択された画分が、別の分離ステップ、たとえば、後続の陽性選択または陰性
選択に供される。一部の例では、たとえば、細胞を、それぞれが陰性選択の標的とされる
マーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーとともにインキュベートすることに
よって、単回の分離ステップにより、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させる
ことができる。同様に、細胞を、様々な細胞型に発現される複数の抗体または結合パート
ナーとともにインキュベートすることによって、複数の細胞型を、同時に陽性選択するこ
とができる。
【0066】
たとえば、一部の態様では、T細胞の特定の部分集団、たとえば、1つまたは複数の表
面マーカーが陽性であるかまたはそれらを高いレベルで発現する細胞、たとえば、CD2
、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD4、CD8、C
D45RA、および/またはCD45ROT細胞が、陽性選択または陰性選択の技法
によって単離される。
【0067】
たとえば、CD3、CD28T細胞は、CD3/CD28コンジュゲート磁性ビー
ズ(たとえば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T C
ell Expander)を使用して、陽性選択することができる。
【0068】
一部の実施形態では、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択
による特定の細胞集団の枯渇によって、行われる。一部の実施形態では、陽性選択または
陰性選択は、細胞を、それぞれ、陽性選択または陰性選択される細胞に発現される(マー
カー)かまたは比較的高いレベルで発現される(マーカー高)1つまたは複数の表面マ
ーカーに特異的に結合する、1つまたは複数の抗体または他の結合剤とともにインキュベ
ートすることによって、達成される。
【0069】
一部の実施形態では、T細胞は、非T細胞、たとえば、B細胞、単球、または他の白血
球に発現されるマーカー、たとえば、CD14の陰性選択によって、PBMC試料から分
離される。一部の態様では、CD4またはCD8の選択ステップを使用して、CD4
ヘルパーT細胞およびCD8細胞傷害性T細胞を分離させる。そのようなCD4
よびCD8集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクタ
ーT細胞部分集団に発現されるかまたは比較的高い程度で発現されるマーカーの陽性選択
または陰性選択によって、部分集団にさらに分類することができる。
【0070】
一部の実施形態では、CD8細胞は、さらに、たとえば、それぞれの部分集団と関連
する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー
、エフェクターメモリー、および/またはステムセントラルメモリー細胞の濃縮または枯
渇が行われる。一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、有
効性を増加させるため、たとえば、長期生存、増大、および/または投与後の生着を改善
するために、行われ、これは、一部の態様では、そのような部分集団において特にロバス
トである。Terakuraら(2012年)、Blood.、1巻:72~82頁、W
angら(2012年)、J Immunother.、35巻(9号):689~70
1頁を参照されたい。一部の実施形態では、TCMを濃縮したCD8T細胞およびCD
T細胞を組み合わせることにより、有効性が、さらに強化される。
【0071】
いくつかの実施形態では、メモリーT細胞は、CD8末梢血リンパ球のCD62L
およびCD62Lの両方のサブセットに存在する。PBMCは、たとえば、抗CD8抗
体および抗CD62L抗体を使用して、CD62LCD8および/またはCD62L
CD8の画分を濃縮または枯渇させることができる。
【0072】
一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、
CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高い
表面発現に基づき、一部の態様では、これは、CD45RAおよび/またはグランザイム
Bを発現するかまたは高度に発現する細胞の陰性選択に基づく。一部の態様では、TCM
細胞が濃縮されたCD8集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細
胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって、行われる。
一態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4の発現に基づいて選
択された陰性の細胞画分で開始して行われ、これが、CD14およびCD45RAの発現
に基づく陰性選択、ならびにCD62Lに基づく陽性選択に供される。そのような選択は
、一部の態様では、同時に行われ、他の態様では、いずれかの順序で順に行われる。一部
の態様では、CD8細胞集団または部分集団の調製に使用される同じCD4発現に基づ
く選択ステップは、CD4に基づく分離から得られた陽性画分および陰性画分の両方が、
保持され、方法の後続のステップにおいて、必要に応じて1つまたは複数のさらなる陽性
選択または陰性選択のステップの後に、使用されるように、CD4細胞集団または部分
集団を生成するためにも使用される。
【0073】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球試料を、CD4細胞の選択に供し、
ここで、陰性画分および陽性画分の両方が保持される。陰性画分は、次いで、CD14お
よびCD45RAまたはROR1の発現に基づく陰性選択、ならびにセントラルメモリー
T細胞の特徴であるマーカー、たとえば、CD62LまたはCCR7に基づく陽性選択に
供され、ここで、陽性選択および陰性選択は、いずれかの順序で行われる。
【0074】
CD4ヘルパーT細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによって、
ナイーブ、セントラルメモリー、およびエフェクター細胞に分類される。CD4リンパ
球は、標準的な方法によって得ることができる。一部の実施形態では、ナイーブCD4
Tリンパ球は、CD45RO、CD45RA、CD62L、CD4T細胞である
。一部の実施形態では、セントラルメモリーCD4細胞は、CD62LおよびCD4
5ROである。一部の実施形態では、エフェクターCD4細胞は、CD62Lおよ
びCD45ROである。
【0075】
1つの例では、陰性選択によってCD4細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体
カクテルは、典型的に、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、お
よびCD8に対する抗体を含む。一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、陽
性選択および/または陰性選択による細胞の分離を可能にするために、固体支持体または
基質、たとえば、磁性ビーズまたは常磁性ビーズに結合されている。たとえば、一部の実
施形態では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(たとえば、親和性磁気)分離技法(Me
thods in Molecular Medicine、58巻:Metastas
is Research Protocols、2巻:Cell Behavior I
n Vitro and In Vivo、17~25頁:S. A. Brooks
and U. Schumacher編(著作権)Humana Press Inc.
、Totowa、NJにおいて考察されている)を使用して、分離または単離される。
【0076】
一部の態様では、2つまたはそれを上回る選択ステップが、順次行われ得る。たとえば
、分離しようとする細胞の試料または組成物は、CD8細胞の選択に供され、ここで、
陰性画分および陽性画分の両方が、保持される。CD8陰性画分を、さらに、CD4
胞の選択に供してもよい。一部の態様では、分離しようとする細胞の試料または組成物は
、CD4細胞の選択に供され、ここで、陰性画分および陽性画分の両方が保持され、C
D4陰性画分は、CD8細胞の選択に供され得る。細胞選択のための例示的な方法は、
PCT特許出願公開第2015/157384号および/または同第2015/1646
75号に記載されており、これらは、参照によりその全体が組み込まれ、そのすべてまた
は一部分が、本明細書に記載される方法と併せて使用され得る。
【0077】
一部の態様では、分離しようとする細胞の試料または組成物は、小さな磁化可能または
磁気応答性の材料、たとえば、磁気応答性粒子またはマイクロ粒子、たとえば、常磁性ビ
ーズ(たとえば、DynalbeadsまたはMACSビーズなど)とともに、インキュ
ベートされる。磁気応答性材料、たとえば、粒子は、一般に、分離することが所望される
、たとえば、陰性選択または陽性選択することが所望される細胞、複数の細胞、または細
胞集団に存在する分子、たとえば、表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、た
とえば、抗体に、直接的または間接的に結合されている。
【0078】
一部の実施形態では、磁性粒子またはビーズは、特定の結合メンバー、たとえば、抗体
または他の結合パートナーに結合された、磁気応答性材料を含む。磁気分離方法において
使用される周知の磁気応答性材料が、多数存在する。好適な磁性粒子としては、Mold
ay、米国特許第4,452,773号および欧州特許明細書第452342号Bに記載
されているものが挙げられ、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。コロイドサ
イズ粒子、たとえば、Owenの米国特許第4,795,698号およびLiberti
らの米国特許第5,200,084号に記載されているものは、他の例であり、これらは
、参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
インキュベーションは、一般に、抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体
または結合パートナーに特異的に結合する磁性粒子またはビーズに結合した分子、たとえ
ば、二次抗体もしくは他の試薬が、試料内の細胞に存在する場合に細胞表面分子に特異的
に結合する条件下において、行われる。
【0080】
一部の態様では、試料は、磁場に置かれ、磁気応答性または磁化可能粒子が結合した細
胞が、磁石に引き寄せられ、未標識細胞から分離される。陽性選択については、磁石に引
き寄せられた細胞が保持され、陰性選択については、引き寄せられていない細胞(未標識
細胞)が保持される。一部の態様では、陽性選択および陰性選択の組合せが、同じ選択ス
テップの間に行われ、ここで、陽性画分および陰性画分が保持され、さらに処理されるか
、またはさらなる分離ステップに供される。
【0081】
ある特定の実施形態では、磁気応答性粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二
次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の
実施形態では、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティン
グを介して、細胞に結合する。ある特定の実施形態では、ビーズというよりは細胞が、一
次抗体または結合パートナーで標識され、次いで、細胞型特異的な二次抗体または他の結
合パートナー(たとえば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子が、添加
される。ある特定の実施形態では、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子は
、ビオチン化一次または二次抗体とともに使用される。
【0082】
一部の実施形態では、磁気応答性粒子は、続いて、インキュベート、培養、および/ま
たは操作しようとする細胞に結合したままであり、一部の態様では、粒子は、患者への投
与のために細胞に結合したままである。一部の実施形態では、磁化可能または磁気応答性
粒子は、細胞から除去される。磁化可能粒子を細胞から除去するための方法は、公知であ
り、たとえば、競合する非標識抗体、切断可能なリンカーにコンジュゲートした磁化可能
粒子または抗体などの使用が挙げられる。一部の実施形態では、磁化可能粒子は、生体分
解性である。
【0083】
一部の実施形態では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞分類(MACS)(Mi
ltenyi Biotech、Auburn、CA)によるものである。磁気活性化細
胞分類(MACS)システムは、磁化した粒子が結合している細胞の高純度での選択が可
能である。ある特定の実施形態では、MACSは、非標的種および標的種が、外部磁場の
適用後に、順に溶出される形態で、動作する。すなわち、磁化した粒子に結合した細胞は
、その場所に保持されるが、未結合の種は、溶出される。次いで、この第1の溶出ステッ
プが完了した後に、磁場に捕捉された種および溶出が防止された種が溶出され、回収され
得るような何らかの様式で、これらの種は、解放される。ある特定の実施形態では、非標
的細胞は、標識され、不均一な細胞集団から枯渇される。
【0084】
ある特定の実施形態では、単離または分離は、方法のなかの単離、細胞の調製、分離、
処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化のステップのうちの1つまたは
複数を行うシステム、デバイス、または装置を使用して、行われる。一部の態様では、シ
ステムは、これらのステップのそれぞれを、たとえば、エラー、ユーザの取扱い、および
/または汚染を最小限に抑えるために、閉鎖または滅菌の環境において行うために使用さ
れる。1つの例では、システムは、PCT特許出願公開第2009/072003号、ま
たは米国特許出願公開第2011/0003380号A1に記載されているシステムであ
り、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、PCT特許出願公
開第2016/073602号または米国特許出願公開第2016/0122782号に
記載されているシステム、デバイス、装置、および/または方法を使用して、アフェレー
シスもしくは白血球アフェレーシス産物、またはそれらに由来する試料が処理される、な
らびに/あるいはこれらを使用して、単離または選択が行われ、これらの文献の内容は、
参照によりその全体が組み込まれる。一部の実施形態では、単離または分離は、PCT特
許出願公開第2015/164675号に記載されている方法に従って行われ、この内容
は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0085】
一部の実施形態では、システムまたは装置は、単離、処理、操作、および製剤化のステ
ップのうちの1つまたは複数、たとえば、すべてを、統合もしくは内蔵型システムにおい
て、および/または自動化もしくはプログラム可能な様式で、行う。一部の態様では、シ
ステムまたは装置は、システムまたは装置と通信状態にあり、ユーザが、処理、単離、操
作、および製剤化のステップの様々な側面をプログラム、制御、その結果を評価、および
/または調整するのを可能にする、コンピュータおよび/またはコンピュータプログラム
を含む。
【0086】
一部の態様では、分離および/または他のステップは、たとえば、閉鎖および滅菌シス
テムにおける臨床規模レベルでの細胞の自動化された分離のために、CliniMACS
システム(Miltenyi Biotic)を使用して、行われる。構成要素には、統
合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブが
含まれ得る。統合コンピュータは、一部の態様では、機器のすべての構成要素を制御し、
標準的な順序で反復される手順を行うように、システムに指示する。磁気分離ユニットは
、一部の態様では、可動性永久磁石および選択カラムのホルダを含む。蠕動ポンプは、チ
ュービングセット全体の流速を制御し、ピンチバルブとともに、システムを流れる緩衝液
の流動の制御および細胞の継続的な懸濁を確実にする。
【0087】
CliniMACSシステムは、一部の態様では、滅菌の非発熱性溶液で供給される、
抗体にカップリングされた磁化可能粒子を使用する。一部の実施形態では、細胞を磁性粒
子で標識した後、細胞を、洗浄して、過剰な粒子を除去する。細胞調製バッグを、次いで
、チュービングセットに接続し、これが、緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグ
に接続される。チュービングセットは、前カラムおよび分離カラムを含む、事前にアセン
ブルされた滅菌チュービングからなり、単回使用に限られる。分離プログラムの開始後に
、システムは、自動的に、細胞試料を分離カラムに適用する。標識された細胞が、カラム
内に保持され、一方で、未標識細胞は、一連の洗浄ステップによって除去される。一部の
実施形態では、本明細書に記載される方法で使用するための細胞集団は、未標識であり、
カラムに保持されない。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法で使用するため
の細胞集団は、標識されており、カラムに保持される。一部の実施形態では、本明細書に
記載される方法で使用するための細胞集団は、磁場を除去した後にカラムから溶出され、
細胞収集バッグ内に収集される。
【0088】
ある特定の実施形態では、分離および/または他のステップは、CliniMACS
Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。Cl
iniMACS Prodigyシステムは、一部の態様では、自動化された細胞の洗浄
および遠心分離による分画を可能にする細胞処理ユニティ(unity)が装備されてい
る。CliniMACS Prodigyシステムにはまた、搭載されたカメラおよび画
像認識ソフトウェアも含まれ得、これは、肉眼で見える源細胞産物の層を認識することに
よって、最適な細胞分画のエンドポイントを判定する。たとえば、末梢血は、赤血球、白
血球、および血漿の層に自動的に分離され得る。CliniMACS Prodigyシ
ステムにはまた、細胞培養プロトコール、たとえば、細胞の分化および増大、抗原の負荷
、および長期細胞培養などを達成する、一体型細胞培養チャンバも含まれ得る。入力ポー
トは、媒体の滅菌除去および補充を可能にすることができ、細胞は、組み込まれた顕微鏡
を使用して監視することができる。たとえば、Klebanoffら(2012年)、J
Immunother.、35巻(9号):651~660頁、Terakuraら(
2012年)、Blood.、1巻:72~82頁、およびWangら(2012年)、
J Immunother.、35巻(9号):689~701頁を参照されたい。
【0089】
一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーに関
して染色した細胞を、流体流に流す、フローサイトメトリーを介して収集および濃縮(ま
たは枯渇)される。一部の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、分取規模の
(FACS)分類を介して収集および濃縮(または枯渇)される。ある特定の実施形態で
は、本明細書に記載される細胞集団は、微小電気機械システム(MEMS)チップをFA
CSに基づく検出システムと組み合わせて使用することによって、収集および濃縮(また
は枯渇)される。たとえば、国際公開第2010/033140号、Choら(2010
年)、Lab Chip、10巻、1567~1573頁、およびGodinら(200
8年)、J Biophoton.、1巻(5号):355~376頁を参照されたい。
いずれの事例においても、細胞は、複数のマーカーで標識することができ、十分に定義さ
れたT細胞サブセットを高純度で単離することが可能である。
【0090】
一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択
のための分離を促進するために、1つまたは複数の検出可能なマーカーで標識される。た
とえば、分離は、蛍光標識した抗体への結合に基づくものであってもよい。一部の例では
、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に
基づく細胞の分離は、流体流において、たとえば、分取規模の(FACS)を含む蛍光活
性化細胞分類(FACS)、および/またはたとえばフローサイトメトリー検出システム
と組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって、行われる。そのよう
な方法は、複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を同時に可能にする。
【0091】
一部の実施形態では、調製方法には、単離、インキュベーション、および/または操作
の前または後のいずれかで、細胞を凍結、たとえば、極低温保存するためのステップが含
まれる。一部の実施形態では、凍結およびそれに続く解凍のステップにより、細胞集団に
おける顆粒球、およびある程度の単球が、除去される。一部の実施形態では、細胞は、た
とえば、血漿および血小板を除去するための洗浄ステップの後に、凍結溶液中に懸濁され
る。様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかを、一部の態様では、使用するこ
とができる。1つの例には、およそ20%のジメチルスルホキシド(DMSO)およびお
よそ8%のヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の好適な細胞凍結
媒体を使用することが含まれる。一部の態様では、溶液は、次いで、DMSOおよびHS
Aの最終濃度が、それぞれ、10%および4%となるように、媒体で1:1希釈される。
細胞は、次いで、1分間につき1℃の速度で、-80℃に凍結され、液体窒素保管タンク
の気相で保管される。
【0092】
様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかを、一部の態様では、使用すること
ができる。一部の実施形態では、細胞試料は、極低温保護剤を含有する極低温保存または
ガラス化媒体または溶液を含有し得る。好適な極低温保護剤としては、DMSO、グリセ
ロール、グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、
ポリエチレングリコール(PEG)、1,2-プロパンジオール(PROH)、またはこ
れらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、極低温保存溶液は
、ポリビニルピロリジオン、ヒドロキシエチルデンプン、多糖類、単糖類、アルギン酸塩
、トレハロース、ラフモース(raffmose)、デキストラン、ヒト血清アルブミン
、Ficoll、リポタンパク質、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルデンプン、
自家血漿、またはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない、1つまたは複数
の非細胞透過性極低温保存剤を含有し得る。一部の実施形態では、細胞は、約1体積%~
約20体積%、約3体積%~約9体積%、または約6体積%~約9体積%の最終濃度の極
低温保護剤を有する凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、凍結溶液中の極
低温保護剤の最終濃度は、約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6
体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、
約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%である。
【0093】
特定の実施形態では、細胞は、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、
または約6体積%~約9体積%の最終濃度のDMSOを有する凍結溶液中に懸濁される。
ある特定の実施形態では、凍結溶液中のDMSOの最終濃度は、約3体積%、約4体積%
、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体
積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%
である。
【0094】
一部の実施形態では、組成物は、極低温保存に好適な1つまたは複数のバッグに封入さ
れる(たとえば、CryoMacs(登録商標)Freezing Bags、Milt
enyi Biotec)。一部の実施形態では、組成物は、極低温保存に好適な1つま
たは複数のバイアルに封入される(たとえば、CellSeal(登録商標)Vials
、Cook Regentec)。
【0095】
一部の実施形態では、提供される方法は、極低温保存ステップの前または後のいずれか
に、培養(cultivation)、インキュベーション、培養(culture)、
および/または遺伝子操作のステップを含む。一部の実施形態では、少なくとも遺伝子操
作ステップが、極低温保存ステップの後に行われる。たとえば、一部の実施形態では、極
低温保存された細胞集団をインキュベートおよび/または操作するための方法が、提供さ
れる。
【0096】
したがって、一部の実施形態では、細胞集団は、培養開始組成物中でインキュベートさ
れる。インキュベーションおよび/または操作は、培養容器、たとえば、ユニット、チャ
ンバ、ウェル、カラム、チューブ、チュービングセット、バルブ、バイアル、培養皿、バ
ッグ、または細胞を培養(culture)または培養(cultivate)するため
の他の容器において行われ得る。
【0097】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれとともに、インキュベートお
よび/または培養される。インキュベーションステップには、培養(culture)す
ること、培養(cultivation)すること、刺激すること、活性化すること、お
よび/または増やすことが含まれ得る。一部の実施形態では、組成物または細胞は、刺激
条件または刺激性薬剤の存在下において、インキュベートされる。そのような条件には、
集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/または生存を誘導し、抗原曝露を模倣し、
および/または遺伝子操作、たとえば、組換え抗原受容体の導入のために細胞を予備刺激
するように、設計されるものが含まれる。
【0098】
条件には、特定の媒体、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、たとえば
、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、たとえば、サイトカ
イン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、なら
びに細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つまたは複数が含
まれ得る。一部の態様では、細胞は、1つまたは複数のサイトカインの存在下においてイ
ンキュベートされ、一部の実施形態では、サイトカインカクテル、たとえば、PCT特許
出願公開第2015/157384号に記載されるものを利用することができ、これは、
参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、細胞は、形質導入の前、同時
、または後に、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはサイトカインカクテルとと
もにインキュベートされる。
【0099】
一部の実施形態では、刺激条件または刺激剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達
ドメインを活性化することができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、リガンドが
含まれる。一部の態様では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル
伝達カスケードを作動させるかまたは開始する。そのような作用物質としては、抗体、た
とえば、TCRに特異的なもの、たとえば、抗CD3を挙げることができる。一部の実施
形態では、刺激条件には、共刺激性受容体を刺激することができる、1つまたは複数の作
用物質、たとえば、リガンド、たとえば、抗CD28が含まれる。一部の実施形態では、
そのような作用物質および/またはリガンドは、固体支持体、たとえば、ビーズ、および
/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。必要に応じて、増大方
法は、さらに、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を、培養媒体に(たとえば、
少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加するステップを含み得る。一部の実施形態
では、刺激剤は、IL-2、IL-15、および/またはIL-7を含む。一部の態様で
は、IL-2の濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
【0100】
一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040
,177号、Klebanoffら(2012年)、J Immunother.、35
巻(9号):651~660頁;Terakuraら(2012年)、Blood.、1
巻:72~82頁;および/またはWangら(2012年)、J Immunothe
r.、35巻(9号):689~701頁に記載されているものなどの技法に従って行わ
れる。一部の態様では、インキュベーションは、PCT特許出願公開第2016/073
602号または米国公開第2016/0122782号に記載されているシステム、デバ
イス、装置、および/または方法を使用して行われ、これらの内容は、参照によりその全
体が組み込まれる。一部の実施形態では、インキュベーションおよび/または培養は、P
CT特許出願公開第2015/164675号に記載されている方法に従って行われ、こ
の内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0101】
一部の実施形態では、T細胞は、培養開始組成物に、フィーダー細胞、たとえば、非分
裂末梢血単核細胞(PBMC)を添加し(たとえば、結果として得られる細胞集団が、増
大させようとする初期集団中のTリンパ球それぞれに対して少なくとも約5個、10個、
20個、もしくは40個、またはそれを上回るPBMCフィーダー細胞を含有するように
)、培養物をインキュベートすること(たとえば、T細胞の数を増大させるのに十分な時
間)によって、増大される。一部の態様では、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PB
MCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCに、約3000~360
0ラドの範囲でガンマ線を照射して、細胞分裂を防止する。一部の態様では、フィーダー
細胞は、T細胞集団の添加前に、培養媒体に添加される。
【0102】
一部の実施形態では、刺激条件としては、ヒトTリンパ球の成長に好適な温度、たとえ
ば、少なくとも摂氏約25度、一般に、少なくとも約30度、および一般に、摂氏37度
または約37度が挙げられる。必要に応じて、インキュベーションは、フィーダー細胞と
して非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)を添加することをさらに含み得る
。LCLには、約6000~10,000ラドの範囲でガンマ線を照射してもよい。LC
Lフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の好適な量、たとえば、LCLフィーダー細
胞の初期Tリンパ球に対する比が少なくとも約10:1で、提供される。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗原特異的T細胞、たとえば、抗原特異的CD4T細胞お
よび/またはCD8T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激する
ことによって得られる。たとえば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞
株またはクローンは、T細胞を、感染した対象から単離し、細胞をin vitroにお
いて同じ抗原で刺激することによって、生成することができる。
【0104】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で凍結および/または保管される前に、濃縮され
る。細胞を極低温で凍結および/または保管する前に細胞を濃縮する利点には、時間の節
約が含まれ得る。たとえば、レシピエントが、細胞置換え療法の一部として細胞を必要と
したときに、細胞を、極低温保管から解凍し、さらなる操作なしにレシピエントに投与す
ることができる。一部の実施形態では、方法は、1種または複数種の細胞の濃縮を含む。
一部の実施形態では、濃縮される細胞は、T細胞である。一部の実施形態では、CD4
T細胞が、濃縮される。一部の実施形態では、CD8T細胞が、濃縮される。一部の実
施形態では、CD4T細胞およびCD8T細胞の両方が、濃縮される。一部の実施形
態では、CD4T細胞およびCD8T細胞は、別個のプロセスで濃縮される。一部の
実施形態では、CD4T細胞およびCD8T細胞は、単一のプロセスで濃縮される。
CD4T細胞および/またはCD8T細胞の濃縮は、たとえば、PCT出願公開第2
015/164675号に記載される通りであってもよく、これは、その全体が本細書に
組み込まれる。
【0105】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で保管される前に、分析される。一部の実施形態
では、細胞は、細胞の活性を測定するために分析され得る。一部の実施形態では、活性は
、細胞の生物学的機能である。一部の実施形態では、活性は、B細胞の形質細胞および/
もしくはメモリーB細胞への成熟、細胞傷害性T細胞および/もしくはマクロファージの
活性化などを含む、免疫学的プロセスを補助する細胞の能力である。一部の実施形態では
、活性は、受容体、受容体様分子、抗体、または抗体様分子を使用して、特定のリガンド
または抗原に結合する、細胞の能力である。一部の実施形態では、活性は、ウイルスに感
染した細胞および腫瘍細胞を認識し、それを破壊する、細胞の能力である。一部の実施形
態では、細胞は、細胞の活性に関連するかまたはそれに影響を及ぼす、細胞の別の生物学
的機能を測定するために、分析される。
【0106】
細胞の選択および/または処理のステップはまた、たとえば、国際公開第201721
4207号に記載される通りであってもよく、その内容は参照によりその全体が本明細書
に組み込まれる、および/または同第2016073602号に記載される通りであって
もよく、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0107】
極低温での凍結方法
【0108】
一部の実施形態では、細胞は、たとえば、特定の細胞密度、たとえば、公知または制御
された細胞密度で、凍結される。ある特定の実施形態では、凍結プロセスの間の細胞密度
は、凍結プロセスの間に生じるおよび/またはそれに起因して生じる、細胞の死および/
または細胞の損傷に影響を及ぼし得る。
【0109】
たとえば、特定の実施形態では、細胞密度は、平衡、たとえば、凍結プロセスの間の周
囲との浸透平衡に影響を及ぼす。一部の実施形態では、この平衡は、脱水である、脱水を
含む、および/または脱水をもたらす。ある特定の実施形態では、脱水は、凍結溶液、た
とえば、DMSOおよび/またはDMSO含有溶液との接触、組合せ、および/またはイ
ンキュベーションにより生じる細胞の脱水であるか、またはそれを含む。特定の実施形態
では、脱水は、たとえば、細胞に曝露される有効液状水分濃度を低減することによって、
細胞外空間における氷結晶の核形成および成長により生じる脱水であるか、またはそれを
含む。一部の実施形態では、細胞は、異なる細胞密度、たとえば、高いかまたは低い細胞
密度で凍結される細胞よりも、ゆっくりおよび/または低速な脱水をもたらす細胞密度で
、凍結される。一部の実施形態では、細胞は、同じかまたは類似の条件下において、異な
る細胞密度、たとえば、より高いかまたは低い細胞密度で凍結される細胞よりも、およそ
以下の値、少なくとも以下の値、または以下の値だけ遅い脱水をもたらす細胞密度で、凍
結される:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、
80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、1倍、2倍、3
倍、4倍、5倍、10倍、50倍、または100倍。
【0110】
ある特定の実施形態では、細胞は、それぞれ、両端の値を含め、1×10個の細胞/
mL~1×10個の細胞/mLもしくは約1×10個の細胞/mL~約1×10
の細胞/mL、約1×10個の細胞/mL~約2×10個の細胞/mL、約1×10
個の細胞/mL~約5×10個の細胞/mL、または約1×10個の細胞/mL~
5×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では
、細胞は、それぞれの値を含め、約1×10個の細胞/mL、約2×10個の細胞/
mL、約5×10個の細胞/mL、約1×10個の細胞/mL、約1.5×10
の細胞/mL、約2×10個の細胞/mL、約2.5×10個の細胞/mL、約2.
5×10個の細胞/mL、約2.5×10個の細胞/mL、約3×10個の細胞/
mL、約3.5×10個の細胞/mL、約4×10個の細胞/mL、約4.5×10
個の細胞/mL、または約5×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁され
る。ある特定の実施形態では、細胞は、両端の値を含め、約1.5×10個の細胞/m
L~約6×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形
態では、細胞は、少なくとも約1×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁さ
れる。ある特定の実施形態では、細胞は、両端の値を含め、約5×10個の細胞/mL
~約150×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。特定の実施形態
では、細胞は、少なくとも約1.5×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁
される。一部の実施形態では、細胞は、生存細胞である。一部の実施形態では、細胞密度
は、T細胞の直径によって判定される。
【0111】
一部の実施形態では、細胞は、1つまたは複数の容器において、凍結される。ある特定
の実施形態では、容器は、凍結容器および/または極低温保護容器である。極低温凍結に
好適な容器としては、バイアル、バッグ、たとえばプラスチックバッグ、およびケーン(
cane)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、細胞、たとえ
ば、同じ細胞組成物、たとえば、CARを発現する細胞を含有する細胞組成物中の細胞は
、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上
回る別個の容器において、凍結される。たとえば、一部の実施形態では、細胞および/ま
たは細胞の組成物は、たとえば、溶液、凍結溶液、および/または極低温保護剤などに、
容器に好適な体積よりも大きい体積で懸濁され、そのため、体積は、2つまたはそれを上
回る容器に入れられる。一部の実施形態では、体積は、以下の値であるか、およそ以下の
値であるか、または以下の値を下回る:100mL、50mL、25mL、20mL、1
5mL、10mL、5mL、または5mLを下回る。細胞は、2個、3個、4個、5個、
6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個のバイアルにおいて凍結さ
れる。特定の実施形態では、同じ体積の細胞が、それぞれのバイアルに入れられる。一部
の実施形態では、バイアルは、同一のバイアル、たとえば、同じ製造業者、モデル、およ
び/または製造ロットのバイアルである。特定の実施形態では、体積は、以下の値である
か、およそ以下の値であるか、または以下の値を上回る:10mL、15mL、20mL
、25mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL
、100mL、120mL、150mL、200mL、または200mLを上回る。細胞
は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個を上回る
別個のバッグにおいて凍結される。特定の実施形態では、同じ体積の細胞が、それぞれの
バッグに入れられる。一部の実施形態では、バッグは、同一のバッグ、たとえば、同じ製
造業者、モデル、および/または製造ロットのバッグである。
【0112】
一部の実施形態では、容器は、バイアルである。ある特定の実施形態では、容器は、以
下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値の充填容積を有するバイアルである
:0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9
mL、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17
mL、18mL、19mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45
mL、または50mL。一部の実施形態では、バイアルは、それぞれ、両端の値を含め、
1mL~120mL、1mL~20mL、1mL~5mL、1mL~10mL、1mL~
40mL、または20mL~40mLの充填容積を有する。一部の実施形態では、バイア
ルは、凍結用バイアル、極低温保護バイアル、および/または極低温バイアルである。好
適なバイアルは、公知であり、CellSeal(登録商標)Vials(Cook R
egentec)、ならびに米国特許第8,936,905号、同第9,565,854
号、および同第8,709,797号に記載されているバイアルが挙げられるがこれらに
限定されず、これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0113】
特定の実施形態では、容器は、バッグである。ある特定の実施形態では、容器は、以下
の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値の充填容積を有するバッグである:0
.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL
、10mL、11mL、12mL、13mL、14mL、15mL、16mL、17mL
、18mL、19mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL
、または50mL。一部の実施形態では、バッグは、それぞれ、両端の値を含め、1mL
~120mL、1mL~20mL、1mL~5mL、1mL~40mL、20mL~40
mL、1mL~70mL、または50mL~70mLの充填容積を有する。一部の実施形
態では、バッグには、以下の値、およそ以下の値、または以下の値を下回る体積が、充填
される:100mL、75mL、70mL、50mL、25mL、20mL、または10
mL。好適なバッグは、公知であり、CryoMacs(登録商標)Freezing
Bags(Miltenyi Biotec)が挙げられるが、これに限定されない。あ
る特定の実施形態では、体積は、室温での体積である。一部の実施形態では、体積は、両
端の値を含め、37℃~4℃、16℃~27℃での体積であるか、または以下の温度、お
よそ以下の温度、もしくは少なくとも以下の温度での体積である:16℃、17℃、18
℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28
℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、もしくは37
℃。一部の実施形態では、体積は、25℃での体積である。
【0114】
一部の実施形態では、両端の値を含め、1mL~20mLの体積の媒体または溶液、た
とえば、凍結溶液中の細胞は、1つまたは複数のバイアルにおいて、凍結される。一部の
実施形態では、1つまたは複数のバイアルは、両端の値を含め、1mL~5mLの充填容
積を有する。ある特定の実施形態では、両端の値を含め、20mL~120mLの体積の
媒体または溶液、たとえば、凍結溶液中の細胞は、1つまたは複数のバッグにおいて、凍
結される。特定の実施形態では、1つまたは複数のバッグは、両端の値を含め、20mL
~40mLの充填容積を有する。一部の実施形態では、120mLまたはそれを上回る体
積の媒体または溶液、たとえば、凍結溶液中の細胞は、1つまたは複数のバッグにおいて
、凍結される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のバッグは、両端の値を含め、
50mL~70mLの充填容積を有する。
【0115】
ある特定の実施形態では、細胞は、容器、たとえば、バッグまたはバイアルに入れられ
た溶液、たとえば、凍結溶液において、表面積対体積の比で、凍結される。特定の実施形
態では、表面積対体積の比は、それぞれ、両端の値を含め、以下の値であるかまたはおよ
そ以下の値である:0.1cm-1~100cm-1、1cm-1~50cm-1、1c
-1~20cm-1、1cm-1~10cm-1、2cm-1~10cm-1、3cm
-1~7cm-1、または3cm-1~6cm-1。特定の実施形態では、表面積対体積
の比は、3cm-1~6cm-1または約3cm-1~約6cm-1である。一部の実施
形態では、表面積対体積の比は、以下の値であるか、およそ以下の値であるか、または少
なくとも以下の値である:3cm-1、4cm-1、5cm-1、6cm-1、または7
cm-1
【0116】
一部の実施形態では、細胞は、1分間につき1℃または約1℃の速度で、-80℃に凍
結される。一部の実施形態では、細胞は、制御された速度の凍結装置を使用して、1分間
につき1℃または約1℃の速度で、能動的および/または効果的に冷却される。一部の実
施形態では、細胞は、制御された速度の凍結装置を用いて凍結させることができる。一部
の態様では、制御された速度の凍結装置は、プログラムされた冷却プロファイル、たとえ
ば、複数の冷却および/または加熱速度を有するプロファイルで、細胞を凍結させるため
に使用される。そのような凍結プロファイルは、たとえば、細胞内での氷の形成を低減さ
せるために、核形成、たとえば、氷の形成を制御するようにプログラムすることができる
。一部の実施形態では、急速冷却プロファイルを開始するように選択される温度および終
了温度は、容器の種類および凍結される体積に関連する。一部の実施形態では、体積が小
さすぎるか、または容器が高すぎる表面積対体積の比を有する場合、試料は、温度の低下
に対して高速で応答しすぎて、凍結するのが急速すぎるため、細胞内での氷の形成のリス
クがある。他の実施形態では、体積が大きすぎるか、または容器の直径が低すぎる表面積
対体積の比を有する場合、試料は、温度の低下に対して応答せず、凍結が起こるのが遅す
ぎて、試料はプロファイルの後半で核形成が制御されないリスクがあり、溶液は、氷結晶
が形成される前に、極低温保存剤、たとえば、DMSOへの長時間の曝露による損傷が生
じる。
【0117】
一部の実施形態では、細胞は、以下のプロファイルを使用して、凍結される:4.0℃
での保持ステップ、続いて、試料が-6℃の温度に達するまで、1分間につき1.2℃の
冷却ステップ。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-65℃に
達するまで、1分間につき25℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで
、試料を含有するチャンバが-30℃に達するまで、1分間につき15℃の速度で加熱さ
れる。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-40℃に達するま
で、1分間につき1℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含
有するチャンバが-90℃に達するまで、1分間につき1℃の速度で冷却される。一部の
態様では、試料は、次いで、制御された速度の凍結装置から取り出すまで、-90℃で保
持される。
【0118】
一部の実施形態では、細胞は、以下のプロファイルを使用して、凍結される:4.0℃
での保持ステップ、続いて、試料が-6℃の温度に達するまで、1分間につき1.2℃の
冷却ステップ。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-65℃に
達するまで、1分間につき25℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで
、試料を含有するチャンバが-30℃に達するまで、1分間につき15℃の速度で加熱さ
れる。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含有するチャンバが-40℃に達するま
で、1分間につき1℃の速度で冷却される。一部の態様では、試料は、次いで、試料を含
有するチャンバが-90℃に達するまで、1分間につき10℃の速度で冷却される。一部
の態様では、試料は、次いで、制御された速度の凍結装置から取り出すまで、-90℃で
保持される。
【0119】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で凍結および/または保管される前に、-80℃
を上回る温度から0℃の温度に冷却される。たとえば、細胞は、-20℃、または-80
℃を上回るかもしくは-20℃を下回る温度に、冷却され得る。
【0120】
一部の実施形態では、細胞は、極低温で保管される前に、-210℃~-80℃の温度
に、極低温で凍結される。たとえば、細胞は、-210℃、または-196℃、または-
80℃に、極低温で凍結され得る。
【0121】
一部の実施形態では、細胞は、1分間につき0.1℃~5℃の速度で、冷却および/ま
たは極低温で凍結される。一部の実施形態では、細胞は、1分間につき0.2℃~4℃の
速度で、冷却および/または極低温で凍結される。一部の実施形態では、細胞は、1分間
につき0.5℃~3℃の速度で、冷却および/または極低温で凍結される。一部の実施形
態では、細胞は、1分間につき0.5℃~2℃の速度で、冷却および/または極低温で凍
結される。一部の実施形態では、細胞は、1分間につき1℃の速度で、冷却および/また
は極低温で凍結される。たとえば、細胞を、上述の速度で冷却および/または極低温で凍
結させる方法としては、細胞を、中の温度をそのような速度で低下させるプログラム可能
な冷蔵庫に入れることが挙げられる。それを行う別の方法としては、細胞のバイアルを容
器に入れ、そこで、バイアルを、イソプロピルアルコールで包囲し、容器を、低温環境ま
たは極低温で凍結される環境に置くことが挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、段
階的なアプローチを使用して細胞が凍結される場合の温度よりも低い温度において、保管
される。たとえば、一部の実施形態では、保管は、-80℃を下回る温度、たとえば、-
100、-110、-120、-130、-140、-150、-160℃を下回る温度
、またはそれよりも低い温度において、行われる。一部の態様では、そのような保管は、
細胞または細胞の生物学的活性を、より多くの程度および/またはより長い期間、維持す
ることをもたらす。
【0122】
一部の実施形態では、冷却または極低温で凍結させる前に、細胞は、細胞が存在する試
料中のある特定の成分を除去するために、洗浄される。たとえば、細胞は、血漿および/
または血小板を除去するために、洗浄され得る。細胞は、たとえば、PCT出願公開第2
015/164675号に記載されているように洗浄され得、これは、参照によりその全
体が本明細書に組み込まれる。
【0123】
一部の実施形態では、細胞は、冷却、極低温での凍結、および/または極低温での保管
の前に、凍結溶液と合わされる。一部の実施形態では、凍結溶液は、冷却、極低温での凍
結、または極低温保管の後、および細胞を解凍した後に、凍結溶液なしで冷却、極低温で
凍結、または極低温で保管した細胞と比較して、細胞の1つまたは複数の生物学的機能の
より優れた保持をもたらす。
【0124】
一部の実施形態では、凍結溶液は、0.1体積%~50体積%のDMSO、および0.
1重量%~20重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、0.5体積%
~40体積%のDMSO、および0.2重量%~15重量%のHSAを含む。一部の実施
形態では、凍結溶液は、1体積%~30体積%のDMSO、および0.5重量%~10重
量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、1体積%~20体積%のDMS
O、および2重量%~7.5重量%のHSAを含む。一部の実施形態では、凍結溶液は、
5体積%~20体積%のDMSO、および1重量%~5重量%のHSAを含む。一部の実
施形態では、凍結溶液は、10体積%のDMSO、または7もしくは7.5もしくは8体
積%もしくはおよそこれらの割合のDMSO、ならびに4重量%のHSAを含む。一部の
実施形態では、上述の濃度は、凍結溶液を細胞と合わせる前のDMSOおよびHSAの濃
度である。一部の実施形態では、上述の濃度は、凍結溶液を細胞と合わせた後のDMSO
およびHSAの濃度である。
【0125】
一部の実施形態では、細胞は、-210℃~-80℃の温度において、極低温で保管さ
れる。一部の実施形態では、細胞は、-210℃~-196℃の温度において、極低温で
保管される。一部の実施形態では、細胞は、-196℃~-80℃の温度において、極低
温で保管される。一部の実施形態では、細胞は、液体窒素保管タンクの気相において、極
低温で保管される。
【0126】
一部の実施形態では、細胞は、1日~12年間の期間、極低温で保管される。たとえば
、細胞は、細胞療法において使用するための生存性を失う前、かつレシピエントの処置が
必要となるまでの期間、保管され得る。レシピエントの処置が必要となるまで、細胞をそ
のように保管することにより、ある特定の実施形態では、本開示の方法により、レシピエ
ントが細胞療法のために細胞を必要とした場合に、細胞が容易に利用可能となるという利
点が提供される。一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間
:12時間、24時間、36時間、または48時間、保管もしくは貯蔵される。一部の実
施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:1週間、2週間、3週間
、または4週間、保管または貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、「長期保管」ま
たは「長期貯蔵」される。一部の態様では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に等しい
期間:1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ
月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、
6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間
、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間
、35年間、40年間、またはそれを上回る期間、保管される。
【0127】
一部の実施形態では、保管期間の後に、細胞は、解凍される。一部の実施形態では、細
胞は、細胞の生物学的機能の少なくとも一部分を回復させるように、細胞の温度を、0℃
または0℃よりも高くに上昇させることによって、解凍される。一部の実施形態では、細
胞は、細胞の生物学的機能の少なくとも一部分を回復させるように、細胞の温度を、37
℃に上昇させることによって、解凍される。ある特定の実施形態によると、解凍すること
は、細胞を、容器に入れ、37℃の水浴に、60~90秒間入れることを含む。
【0128】
一部の実施形態では、細胞は、解凍される。特定の実施形態では、細胞は、急速に、た
とえば、細胞を過熱することも細胞を37℃を上回るなどの高温に曝露することもなく、
可能な限り急速に、解凍される。一部の実施形態では、急速な解凍により、細胞が高濃度
の極低温保護剤および/またはDMSOに曝露されるのが低減および/または予防される
。特定の実施形態では、解凍が起こる速度は、容器、たとえば、中で細胞が凍結および解
凍されるバイアルおよび/またはバッグの性質に影響を受け得る。
【0129】
特定の実施形態では、細胞は、以下の温度、およそ以下の温度、または以下を下回る温
度において、解凍される:37℃、35℃、32℃、30℃、29℃、28℃、27℃、
26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、もしくは15℃、またはそ
れぞれ両端の値を含め、15℃~30℃、23℃~28℃、もしくは24℃~26℃。
【0130】
一部の実施形態では、細胞は、熱ブロック、乾燥解凍装置、または水浴で、解凍される
。ある特定の実施形態では、細胞は、熱ブロックでも、乾燥解凍装置でも、水浴でも解凍
されない。一部の実施形態では、細胞は、室温で解凍される。
【0131】
一部の実施形態では、容器壁の厚さは、細胞解凍の速度に影響を及ぼし、たとえば、例
として、厚い壁を有する容器内の細胞は、より薄い壁を有する容器内よりもゆっくりと解
凍され得る。一部の実施形態では、表面積対体積の比が低い容器は、解凍の速度がゆっく
りおよび/または不均一であり得る。一部の実施形態では、極低温凍結された細胞は、表
面積対体積の比が以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値である容器にお
いて、急速に解凍される:1cm-1、2cm-1、3cm-1、4cm-1、5cm
、6cm-1、または7cm-1、8cm-1、9cm-1、または10cm-1。特
定の実施形態では、細胞は、以下の時間以内、およそ以下の時間以内、または以下を下回
る時間以内に、解凍される:120分間、90分間、60分間、45分間、30分間、2
5分間、20分間、15分間、または10分間。一部の実施形態では、細胞は、それぞれ
、両端の値を含め、10分間~60分間、15分間~45分間、または15分間~25分
間、解凍される。特定の実施形態では、細胞は、20分以内、約20分以内、または20
分間を下回る時間以内に、解凍される。
【0132】
ある特定の実施形態では、解凍された細胞は、投与の前に、または任意の後続の操作お
よび/もしくは処理ステップの前に、静置、たとえば、インキュベートまたは培養される
。一部の実施形態では、細胞は、低いおよび/もしくは検出不可能な量の極低温保護剤下
において、または極低温保護剤、たとえばDMSOの非存在下において、静置される。特
定の実施形態では、解凍された細胞は、洗浄ステップの後または直後に、たとえば、極低
温保護剤および/またはDMSOを除去するために、静置される。一部の実施形態では、
静置は、37℃または約37℃での培養および/またはインキュベーションであるか、ま
たはそれを含む。一部の実施形態では、静置は、任意の処理または操作ステップで使用さ
れるおよび/またはそれと関連する、任意の試薬、たとえば、刺激性試薬、ビーズ試薬、
または組換えサイトカインの非存在下において、行われる。一部の実施形態では、細胞は
、以下の時間、およそ以下の時間、または少なくとも以下の時間、静置される:5分間、
10分間、15分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8
時間、12時間、18時間、または24時間。ある特定の実施形態では、細胞は、2時間
、約2時間、または少なくとも2時間、静置される。
【0133】
一部の実施形態では、保管期間の後、生存細胞の割合は、24%~100%である。生
存細胞の割合は、たとえば、例として、Schulzら、Towards a xeno
-free and fully chemically defined cryop
reservation medium for maintaining viabi
lity, recovery, and antigen-specific fun
ctionality of PBMC during long-term stor
age、382巻、J. Immu. Methods、24、26頁に記載されている
、トリパンブルー色素排除技法を使用して、判定することができ、この文献は、ViCe
ll(商標)細胞生存性分析装置(Beckman Coulter、Krefeld、
Germany)を使用してトリパンブルー排除を行うことを開示している。トリパンブ
ルー色素排除技法下では、たとえば、死細胞は、青色に見え、したがって、生存細胞と区
別することができる。生存細胞の割合はまた、たとえば、フローサイトメーターまたは別
の技法もしくは機器を使用することによって、判定することができる。
【0134】
試料または細胞の冷却、極低温での凍結、および/または極低温での保管のプロセスの
間、細胞の1つまたは複数の生物学的機能は、保存される。凍結溶液の使用により、これ
らの生物学的機能を保存するのが補助される。細胞を解凍すると、これらの生物学的機能
は、回復される。生存性に加えて、上述の生物学的機能、他の生物学的機能には、細胞の
複製能力、遺伝子修飾に対する受容性、ならびにB細胞の形質細胞および/もしくはメモ
リーB細胞への成熟、ならびに細胞傷害性T細胞および/もしくはマクロファージの活性
化などを含め、免疫学的プロセスを補助する能力が含まれ得る。
【0135】
一部の実施形態では、記載される細胞および組成物、たとえば、特定の濃度または細胞
密度の細胞組成物、極低温保護剤の存在下において凍結されたもの、および/または特定
の体積もしくは表面積対体積の比で容器に充填されたもののうちのいずれかを含む、凍結
された細胞の特徴としては、解凍した後、代替的な手段によって凍結された細胞よりも、
改善された、増加した、および/もしくはより高速な増大;改善された、増加した、およ
び/もしくは強化された細胞生存、ならびに低減された細胞死、たとえば、壊死、プログ
ラム細胞死、および/もしくはアポトーシスの事象;改善された、強化された、および/
もしくは増加した活性、たとえば、細胞溶解活性;ならびに/または低減された老化もし
くは休止の事象が挙げられる。
【0136】
特定の実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞密度および/または表面積対
体積の比で、凍結され、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞密度および/ま
たは異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、凍結、極低温凍結、および/
または極低温保存の間、および/またはそれによって生じる、細胞死、たとえば、壊死お
よび/またはアポトーシスが、低減されている。特定の実施形態では、細胞は、本明細書
に提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で、凍結され、凍結、極低温凍結
、および/または極低温保存後48時間以内、たとえば、凍結した細胞の解凍後の、遅延
細胞死の低減、たとえば、壊死、プログラム細胞死、またはアポトーシスによって死滅す
る細胞の量の低減を有する。ある特定の実施形態では、同じかまたは類似の条件下におい
て、異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して
、少なくとも以下の値またはおよそ以下の値だけ少ない細胞が、凍結および/または極低
温保存の間および/またはその結果として、死滅する:5%、10%、20%、25%、
30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または99%。ある特定の
実施形態では、提供される細胞密度および/または表面積対体積の比で凍結させた細胞の
うちの40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5
%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満が、凍結、極低温凍結、および
/または極低温保存の間またはその結果として、死滅する。
【0137】
一部の実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞密度および/または表面積対
体積の比で凍結され、同じかまたは類似の条件下において異なる細胞密度および/または
異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、凍結、極低温凍結、および/また
は極低温保存に起因するおよび/またはその結果として生じる老化または休止の事象が、
低減されている。特定の実施形態では、同じかまたは類似の条件下において、異なる細胞
密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、少なくとも以
下の値またはおよそ以下の値だけ少ない細胞が、老化および/または休止した細胞である
:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、
90%、または99%。ある特定の実施形態では、細胞は、提供される細胞密度および/
または表面積対体積の比で凍結され、細胞のうちの40%未満、30%未満、25%未満
、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0
.01%未満が、凍結、極低温凍結、および/または極低温保存の結果として、老化およ
び/または休止した状態となる。
【0138】
ある特定の実施形態では、細胞は、本明細書に提供される細胞密度および/または表面
積対体積の比で、凍結、たとえば、極低温凍結され、同じかまたは類似の条件下において
、異なる細胞密度および/または表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、細胞が
解凍された後に、たとえば、本明細書に記載される刺激性試薬とのインキュベーションな
どによる刺激条件下において、改善された、より高速な、および/またはより急速な、増
大を有する。特定の実施形態では、細胞は、同じかまたは類似の条件下において、異なる
細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結させた細胞と比較して、以下の値
、およそ以下の値、または少なくとも以下の値だけ高速および/またはより急速な速度で
、増大する:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%
、80%、90%、100%、150%、200%、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍
、5倍、または10倍。たとえば、一部の実施形態では、解凍された細胞は、同じかまた
は類似の条件下において、異なる細胞密度および/または異なる表面積対体積の比で凍結
させた細胞を解凍したものよりも、以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の
値だけ短い時間で、閾値の増大、たとえば、所定の細胞数、密度、または係数、たとえば
、2倍の増大に達する:5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60
%、70%、80%、90%、95%、または99%。
【0139】
一部の実施形態では、細胞は、その細胞密度で凍結、たとえば、極低温凍結され、同じ
かまたは類似の条件下において、異なる細胞密度、たとえば、より高いかまたはより低い
密度で凍結させた細胞と比較して、細胞を解凍した後に、改善された、増加した、および
/またはより高い、細胞溶解活性、たとえば、本明細書に記載される細胞溶解活性を測定
するための任意のアッセイによって測定されるものなどを有する。特定の実施形態では、
細胞溶解活性は、同じかまたは類似の条件下において、異なる密度で凍結させた細胞と比
較して、以下の値、およそ以下の値、または少なくとも以下の値増加する:5%、10%
、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100
%、150%、200%、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍。
【0140】
細胞の修飾
【0141】
一部の実施形態では、細胞は、たとえば、新しい、強化された、改変された、増加した
、または減少した活性のうちの1つまたは複数を細胞に付与するように、修飾され得る。
一部の実施形態では、細胞は、収集の後、かつ極低温での凍結および/または保管の前に
、修飾される。一部の実施形態では、細胞は、極低温保管後の解凍の後に、修飾される。
例示的な細胞修飾方法は、PCT出願公開第2016/033570号および同第201
6/115559号に記載されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み
込まれる。例示的な細胞修飾方法はまた、国際公開第2017214207号および/ま
たは同第2016073602号にも記載されており、これらの内容は、参照によりその
全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
一部の実施形態では、活性は、細胞の生物学的機能、たとえば、例として、B細胞の形
質細胞および/もしくはメモリーB細胞への成熟、細胞傷害性T細胞および/もしくはマ
クロファージの活性化などを含む、免疫学的プロセスを補助する細胞の能力である。一部
の実施形態では、活性は、受容体、受容体様分子、抗体、または抗体様分子を使用して、
特定のリガンドまたは抗原に結合する、細胞の能力である。一部の実施形態では、活性は
、ウイルスに感染した細胞および腫瘍細胞を認識し、それを破壊する、細胞の能力である
【0143】
細胞の遺伝子修飾
【0144】
一部の実施形態では、細胞の修飾には、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。たとえ
ば、遺伝子修飾は、PCT出願公開第2016/033570号および同第2016/1
15559号に記載されている通りであってもよく、これらは、その全体が本明細書に組
み込まれる。例示的な遺伝子修飾方法はまた、国際公開第2017214207号および
/または同第2016073602号にも記載されており、これらの内容は、参照により
その全体が本明細書に組み込まれる。
【0145】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、細胞が、タンパク質を認識する一本鎖可変断片
(「scFv」)を含むキメラ分子を発現することを可能にする様式で、細胞を遺伝子修
飾することが含まれる。一部の実施形態では、scFvは、特定のタンパク質に結合する
。一部の実施形態では、scFvは、特定のタンパク質に結合する抗体の一部分に由来す
る。一部の実施形態では、scFvが細胞によって発現されると、細胞は、がん細胞を認
識し、細胞自身を活性化することができる。一部の実施形態では、scFvは、オーファ
ンチロシンキナーゼ受容体RORI、tEGFR、Her2、LI-CAM、CD19、
CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、C
D23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、
EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン
受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-ア
ルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソ
テリン、MUC1、MUC16、BCMA、IL-13Ra2、FCRL5/FCRH5
、GPRC5D、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、g
p100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(C
EA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲ
ステロン受容体、エフリンB2、CD123、CS-1、c-Met、GD-2、および
MAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、たとえば、サイ
クリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV
、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子のうちの少なくとも1つ
に結合する。一部の実施形態では、scFvは、CD19に結合する。一部の実施形態で
は、scFvは、BCMAに結合する。
【0146】
CAR
【0147】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)
を発現するように、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。CARを含め、例示的な抗原
受容体、およびそのような受容体を操作し、細胞に導入するための方法としては、たとえ
ば、PCT特許出願公開第2000/14257号、同第2013/126726号、同
第2012/129514号、同第2014/031687号、同第2013/1663
21号、同第2013/071154号、同第2013/123061号、米国特許出願
公開第2002/131960号、同第2013/287748号、同第2013/01
49337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,
252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,4
46,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,26
5,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324
,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許第2537416号に
記載されているもの、ならびに/またはSadelainら、Cancer Disco
v.、3巻(4号):388~398頁(2013年);Davilaら、PLoS O
NE、8巻(4号):e61338頁(2013年);Turtleら、Curr. O
pin. Immunol.、24巻(5号):633~39頁(2012年);Wuら
、Cancer、18巻(2号):160~75頁(2012年)に記載されているもの
が挙げられる。一部の態様では、抗原受容体としては、米国特許第7,446,190号
に記載されているCAR、およびPCT特許出願公開第2014/055668号A1に
記載されているものが挙げられる。CARの例としては、前述の刊行物、たとえば、国際
公開第2014/031687号、米国特許第8,339,645号、同第7,446,
179号、米国公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、
同第8,389,282号、Kochenderferら、Nature Review
s Clinical Oncology、10巻、267~276頁(2013年);
Wangら、J. Immunother.、35巻(9号):689~701頁(20
12年);ならびにBrentjensら、Sci Transl Med.、5巻(1
77頁)(2013年)のいずれかに開示されているCARが挙げられる。国際公開第2
014/031687号、米国特許第8,339,645号、同第7,446,179号
、米国公開第2013/0149337号、米国特許第7,446,190号、および同
第8,389,282号もまた、参照されたい。キメラ受容体、たとえば、CARは、一
般に、細胞外抗原結合性ドメイン、たとえば、抗体分子の一部分、一般に、抗体の重鎖可
変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域、たとえば、scFv抗体断片を含
む。一部の実施形態では、キメラ受容体は、抗体分子に由来しない細胞外抗原結合性ドメ
イン、たとえば、リガンドまたは他の結合性部分を含む。
【0148】
一部の実施形態では、受容体によって標的とされる抗原は、ポリペプチドである。一部
の実施形態では、それは、炭水化物または他の分子である。一部の実施形態では、抗原は
、正常であるかまたは標的とされない細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞
、たとえば、腫瘍細胞または病原性細胞に、選択的に発現されるかまたは過剰発現される
。他の実施形態では、抗原は、正常細胞に発現される、および/または操作細胞に発現さ
れる。
【0149】
受容体によって標的とされる抗原としては、一部の実施形態では、オーファンチロシン
キナーゼ受容体RORI、tEGFR、Her2、LI-CAM、CD19、CD20、
CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、C
D24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4
、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、G
D2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、
kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、M
UC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1
、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原
(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プ
ロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、およびMAG
E A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、たとえば、サイクリン
A1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、ならびに/またはHIV、HC
V、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子が挙げられる。
【0150】
一部の実施形態では、CARは、病原体特異的抗原に結合する。一部の実施形態では、
CARは、ウイルス抗原(たとえば、HIV、HCV、HBVなど)、細菌抗原、および
/または寄生虫抗原に特異的である。
【0151】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの抗体部分は、さらに、免疫グ
ロブリン定常領域の少なくとも一部分、たとえば、ヒンジ領域、たとえば、IgG4ヒン
ジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域を含む。一部の実施形
態では、定常領域または部分は、ヒトIgG、たとえば、IgG4またはIgG1のもの
である。一部の態様では、定常領域の部分は、抗原認識要素、たとえば、scFvと、膜
貫通ドメインとの間のスペーサー領域としての機能を果たす。スペーサーは、スペーサー
の非存在下と比較して、抗原結合後の細胞の応答性の増加をもたらす長さのものであり得
る。例示的なスペーサー、たとえば、ヒンジ領域としては、国際特許出願公開第2014
/031687号に記載されているものが挙げられる。一部の例では、スペーサーは、1
2個もしくは約12個のアミノ酸の長さであるか、または12個を上回らないアミノ酸の
長さである。例示的なスペーサーとしては、少なくとも約10~229個のアミノ酸、約
10~200個のアミノ酸、約10~175個のアミノ酸、約10~150個のアミノ酸
、約10~125個のアミノ酸、約10~100個のアミノ酸、約10~75個のアミノ
酸、約10~50個のアミノ酸、約10~40個のアミノ酸、約10~30個のアミノ酸
、約10~20個のアミノ酸、または約10~15個のアミノ酸を有するものが挙げられ
、列挙された範囲のうちのいずれかの両端の間の任意の整数が含まれる。一部の実施形態
では、スペーサー領域は、約12個もしくはそれを下回るアミノ酸、約119個もしくは
それを下回るアミノ酸、または約229個もしくはそれを下回るアミノ酸を有する。例示
的なスペーサーとしては、IgG4ヒンジ単独、IgG4ヒンジがCH2およびCH3ド
メインに連結されたもの、またはIgG4ヒンジがCH3ドメインに連結されたものが挙
げられる。例示的なスペーサーとしては、Hudecekら、Clin. Cancer
Res.、19巻:3153頁(2013年)、国際特許出願公開第20140316
87号、米国特許第8,822,647号、または米国特許出願公開第2014/027
1635号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
一部の実施形態では、定常領域または部分は、ヒトIgG、たとえば、IgG4または
IgG1のものである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列ESKYGPPCPP
CPを有する。一部の実施形態では、定常領域または部分は、IgDのものである。
【0153】
抗原認識ドメインは、一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達要素、たとえば、
CARの場合には、抗原受容体複合体、たとえば、TCR複合体を通じた活性化を模倣す
る、および/または別の細胞表面受容体を介してシグナル伝達する、シグナル伝達要素に
、連結される。したがって、一部の実施形態では、抗原結合性要素(たとえば、抗体)は
、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。一
部の実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインに融合されている。一実施形態で
は、受容体、たとえば、CARにおけるドメインのうちの1つと天然に会合している膜貫
通ドメインが、使用される。一部の事例では、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメ
ンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、そのようなドメインが同じかまたは異なる
表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに結合することを回避するように、選択されるか、ア
ミノ酸置換によって修飾される。
【0154】
膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、天然の供給源または合成の供給源のいずれか
に由来する。供給源が天然である場合、ドメインは、一部の態様では、任意の膜結合タン
パク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域としては、T細胞受容体のアルフ
ァ鎖、ベータ鎖、またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、C
D5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80
、CD86、CD134、CD137、CD154に由来するものが挙げられる(すなわ
ち、少なくとも、これらの膜貫通領域を含む)。あるいは、膜貫通ドメインは、一部の実
施形態では、合成である。一部の態様では、合成の膜貫通ドメインは、主として、疎水性
残基、たとえば、ロイシンおよびバリンを含む。一部の態様では、フェニルアラニン、ト
リプトファン、およびバリンのトリプレットが、合成の膜貫通ドメインのそれぞれの末端
に見出されるであろう。一部の実施形態では、連結は、リンカー、スペーサー、および/
または膜貫通ドメインによるものである。
【0155】
細胞内シグナル伝達ドメインには、天然の抗原受容体によるシグナル、共刺激性受容体
と組み合わせたそのような受容体によるシグナル、および/または共刺激性受容体単独に
よるシグナルを模倣するかまたはそれらに近似するものがある。一部の実施形態では、短
いオリゴペプチドまたはポリペプチドリンカー、たとえば、長さが2~10個のアミノ酸
のリンカー、たとえば、グリシンおよびセリンを含有するもの、たとえば、グリシン-セ
リンダブレットが、存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの
間の連結を形成している。
【0156】
受容体、たとえば、CARは、一般に、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達要素を含
む。一部の実施形態では、受容体は、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介する、TCR
複合体、たとえば、TCR CD3鎖の細胞内構成要素、たとえば、CD3ゼータ鎖を含
む。したがって、一部の態様では、抗原結合性部分は、1つまたは複数の細胞シグナル伝
達モジュールに連結される。一部の実施形態では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD
3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通
ドメインを含む。一部の実施形態では、受容体、たとえば、CARは、さらに、1つまた
は複数の追加の分子の一部分、たとえば、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、ま
たはCD16を含む。たとえば、一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体は、C
D3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γと、CD8、CD4、CD25、または
CD16との間のキメラ分子を含む。
【0157】
一部の実施形態では、CARまたは他のキメラ受容体のライゲーション時に、受容体の
細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、たとえば、CARを発
現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答のうちの少なくとも
1つを活性化する。たとえば、一部の状況では、CARは、T細胞の機能、たとえば、細
胞溶解活性またはTヘルパー活性、たとえば、サイトカインもしくは他の因子の分泌を誘
導する。一部の実施形態では、抗原受容体要素または共刺激性分子の細胞内シグナル伝達
ドメインの短縮された部分は、たとえば、エフェクター機能シグナルを伝達する場合、イ
ンタクトな免疫刺激性鎖の代わりに使用される。一部の実施形態では、1つまたは複数の
細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、一部の態
様ではまた、天然の状況において、そのような受容体と一緒に、抗原受容体の結合後にシ
グナル伝達を開始するように作用する共受容体のものも含む。
【0158】
天然のTCRの状況では、完全な活性化は、一般に、TCRを通じたシグナル伝達だけ
でなく、共刺激性シグナルも必要とする。したがって、一部の実施形態では、完全な活性
化を促進するために、二次的なまたは共刺激性のシグナルを生成するための構成要素もま
た、CARに含まれる。他の実施形態では、CARは、共刺激性シグナルを生成するため
の構成要素を含まない。一部の態様では、さらなるCARが、同じ細胞において発現され
、二次的なまたは共刺激性のシグナルを生成するための構成要素を提供する。
【0159】
T細胞活性化は、一部の態様では、以下の2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列によ
って媒介されると説明される:TCRを通じて抗原依存性の一次活性化を開始するもの(
一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的様式で、二次的なまたは共刺激性の
シグナルを提供するように作用するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)。一部の態様で
は、CARは、そのようなシグナル伝達要素のうちの一方または両方を含む。
【0160】
一部の態様では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する、一次細胞質シグナ
ル伝達配列を含む。刺激性様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体活
性化チロシンモチーフまたはITAMとして公知のシグナル伝達モチーフを含み得る。I
TAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、CD3ゼータ鎖、FcRガンマ
、CD3ガンマ、CD3デルタ、およびCD3イプシロンに由来するものが挙げられる。
一部の実施形態では、CARにおける細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータに由来す
る、細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部分、または配列を含む。
【0161】
一部の実施形態では、CARは、共刺激性受容体、たとえば、CD28、4-1BB、
OX40、DAP10、およびICOSのシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部
分を含む。一部の態様では、同じCARに、活性化構成要素および共刺激性構成要素の両
方が含まれる。
【0162】
一部の実施形態では、活性化ドメインは、1つのCARに含まれ、共刺激性構成要素は
、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。一部の実施形態では、CARには
、活性化または刺激性CAR、共刺激性CARが含まれるが、いずれも、同じ細胞に発現
される(国際公開第2014/055668号を参照されたい)。一部の態様では、細胞
は、1つまたは複数の刺激性もしくは活性化CARならびに/または共刺激性CARを含
む。一部の実施形態では、細胞は、阻害性CAR(iCAR、Fedorovら、Sci
. Transl. Medicine、5巻(215号)(2013年)を参照された
い)、たとえば、疾患または状態と関連するものおよび/またはそれに特異的なものでは
ない抗原を認識し、それによって、疾患を標的とするCARを通じて送達される活性化シ
グナルが、阻害性CARがそのリガンドに結合することによって減少または阻害されて、
たとえば、標的外作用が低減される、CARをさらに含む。
【0163】
ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(たとえば、CD3
-ゼータ)細胞内ドメインに連結された、CD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを
含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメイ
ンに連結された、キメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺
激性ドメインを含む。
【0164】
一部の実施形態では、CARは、1つまたは複数の、たとえば、2つまたはそれを上回
る、共刺激性ドメインおよび活性化ドメイン、たとえば、一次活性化ドメインを、細胞質
部分に含む。例示的なCARには、CD3-ゼータ、CD28、および4-1BBの細胞
内構成要素が含まれる。
【0165】
一部の実施形態では、CARまたは他の抗原受容体は、さらに、マーカー、たとえば、
細胞表面マーカーを含み、このマーカーは、受容体、たとえば、細胞表面受容体の短縮バ
ージョン、たとえば、短縮型EGFR(tEGFR)を発現する細胞の形質導入または操
作を確認するために使用することができる。一部の態様では、マーカーとしては、PSM
A、Her2、CD34、NGFR、または上皮成長因子受容体(たとえば、tEGFR
)のすべてまたは一部(たとえば、短縮形態)が挙げられる。一部の実施形態では、マー
カーをコードする核酸は、リンカー配列、たとえば、切断可能なリンカー配列、たとえば
、T2Aをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されている。たとえば、マーカ
ー、および必要に応じてリンカーの配列は、PCT特許出願公開第2014031687
号に開示されているように、任意のものであってもよく、これは、参照により本明細書に
組み込まれる。一部の実施形態では、マーカーは、PCT特許出願公開第2011/05
6894号に記載されている通りであってもよく、この内容は、その全体が組み込まれる
。たとえば、マーカーは、必要に応じて、リンカー配列、たとえば、T2A切断可能なリ
ンカー配列に連結された、短縮型EGFR(tEGFR)であり得る。
【0166】
一部の実施形態では、マーカーは、T細胞に天然に見出されない、またはT細胞の表面
に天然に見出されない、分子、たとえば、細胞表面タンパク質、またはその一部分である
。一部の実施形態では、分子は、非自己分子、たとえば、非自己タンパク質、すなわち、
細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。
【0167】
一部の実施形態では、マーカーは、治療的機能を果たさず、および/または遺伝子操作
のため、たとえば、操作が成功した細胞を選択するためのマーカーとして使用すること以
外の作用をもたらさない。他の実施形態では、マーカーは、治療用分子、または別の形で
何らかの所望される作用を発揮する分子、たとえば、in vivoで遭遇する細胞のリ
ガンド、たとえば、養子移入およびリガンドとの遭遇の際に細胞の応答を強化および/も
しくは低下させる共刺激性もしくは免疫チェックポイント分子であってもよい。
【0168】
一部の事例では、CARは、第1世代、第2世代、および/または第3世代のCARと
称される。一部の態様では、第1世代のCARは、単に、抗原結合時にCD3鎖に誘導さ
れるシグナルを提供するものであり、一部の態様では、第2世代のCARは、そのような
シグナルおよび共刺激性シグナルを提供するもの、たとえば、共刺激性受容体、たとえば
、CD28またはCD137に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含むものであり、
一部の態様では、第3世代のCARは、異なる共刺激性受容体の複数の共刺激性ドメイン
を含むものである。
【0169】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含む細胞外部分を含
む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含む細胞外部分、ならびに
細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、抗体または断片は、scFv
を含み、細胞内ドメインは、ITAMを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメ
インは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。一部
の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインと
を連結する膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫
通部分を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激性分子の細胞内
ドメインを含む。細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、直接的または間接的に連結さ
れ得る。一部の実施形態では、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、スペーサー、た
とえば、本明細書に記載される任意のものによって、連結される。一部の実施形態では、
受容体は、膜貫通ドメインが由来する分子の細胞外部分、たとえば、CD28細胞外部分
を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激性分子またはその機能
性バリアントに由来する細胞内ドメインを、たとえば、膜貫通ドメインと細胞内シグナル
伝達ドメインの間に、含む。一部の態様では、T細胞共刺激性分子は、CD28または4
1BBである。
【0170】
たとえば、一部の実施形態では、CARは、抗体、たとえば、抗体断片、CD28の膜
貫通部分またはその機能性バリアントであるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならび
にCD28のシグナル伝達部分またはその機能性バリアントおよびCD3ゼータのシグナ
ル伝達部分またはその機能性バリアントを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部
の実施形態では、CARは、抗体、たとえば、抗体断片、CD28の膜貫通部分またはそ
の機能性バリアントであるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシ
グナル伝達部分またはその機能性バリアントおよびCD3ゼータのシグナル伝達部分また
はその機能性バリアントを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部のそのような実
施形態では、受容体は、さらに、Ig分子、たとえば、ヒトIg分子の一部分、たとえば
、Igヒンジ、たとえば、IgG4ヒンジを含むスペーサー、たとえば、ヒンジのみのス
ペーサーを含む。
【0171】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの膜貫通ドメインは、ヒトCD
28の膜貫通ドメイン(たとえば、受託番号P01747.1)またはそのバリアントで
あるか、またはそれを含む。
【0172】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの細胞内シグナル伝達要素は、
ヒトCD28の細胞内共刺激性シグナル伝達ドメインまたはその機能性バリアントもしく
は一部分、たとえば、天然のCD28タンパク質の186位~187位に、LLからGG
の置換を有するドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、4-1BBの
細胞内共刺激性シグナル伝達ドメイン(たとえば、受託番号Q07011.1)またはそ
の機能性バリアントもしくは一部分を含む。
【0173】
一部の実施形態では、組換え受容体、たとえば、CARの細胞内シグナル伝達ドメイン
は、ヒトCD3ゼータ刺激性シグナル伝達ドメイン、またはその機能性バリアント、たと
えば、ヒトCD3ζ(受託番号P20963.2)のアイソフォーム3の112 AA細
胞質ドメイン、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,
993号に記載されているCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。
【0174】
一部の態様では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、たとえば、IgG4または
IgG1のヒンジのみを含む。他の実施形態では、スペーサーは、必要に応じてCH2ド
メインおよび/またはCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、たとえば、IgG4由
来のヒンジであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、スペーサーは、CH2ド
メインおよびCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、たとえば、IgG4ヒンジであ
る。一部の実施形態では、スペーサーは、CH3ドメインのみに連結された、Igヒンジ
、たとえば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、グリシン-セ
リンリッチ配列または他の可動性リンカー、たとえば、公知の可動性リンカーであるか、
またはそれを含む。
【0175】
たとえば、一部の実施形態では、CARは、抗体、たとえば、scFvを含む、抗体断
片、スペーサー、たとえば、免疫グロブリン分子の一部分、たとえば、重鎖分子のヒンジ
領域および/または1つもしくは複数の定常領域を含むスペーサー、たとえば、Igヒン
ジを含むスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメインのすべてまたは一部分を含む膜貫通
ドメイン、CD28由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにCD3ゼータシグナル
伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、抗体または断片、たとえば、sc
Fv、スペーサー、たとえば、Igヒンジを含むスペーサーのうちの任意のもの、CD2
8由来の膜貫通ドメイン、4-1BB由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3
ゼータ由来のシグナル伝達ドメインを含む。
【0176】
一部の実施形態では、そのようなCAR構築物をコードする核酸分子は、さらに、T2
Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列をコードする配列を、た
とえば、CARをコードする配列の下流に含む。一部の実施形態では、抗原受容体(たと
えば、CAR)を発現するT細胞はまた、短縮型EGFR(EGFRt)を非免疫原性選
択エピトープとして発現するように生成することができ(たとえば、同じ構築物から2つ
のタンパク質を発現するように、T2Aリボソームスイッチによって分離されたCARお
よびEGFRtをコードする構築物を導入することによって)、これを、次いで、そのよ
うな細胞を検出するためのマーカーとして使用することができる(たとえば、米国特許第
8,802,374号を参照されたい)。
【0177】
対象に投与された細胞によって発現される組換え受容体、たとえば、CARは、一般に
、処置されている疾患もしくは状態またはその細胞に発現される、それらと関連する、お
よび/またはそれらに特異的である分子を認識するか、またはそれに特異的に結合する。
分子、たとえば、抗原に特異的に結合すると、受容体は、一般に、免疫刺激性シグナル、
たとえば、ITAMにより伝達されるシグナルを、細胞に送達し、それによって、疾患ま
たは状態を標的とする免疫応答を促進する。たとえば、一部の実施形態では、細胞は、疾
患もしくは状態の細胞もしくは組織によって発現されるかまたは疾患もしくは状態と関連
する抗原に特異的に結合するCARを発現する。
【0178】
TCR
【0179】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたは
T細胞エピトープ、たとえば、腫瘍、ウイルス、または自己免疫タンパク質の抗原を認識
する、1つまたは複数のT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合性部分を発現するよ
うに、細胞を遺伝子修飾することが含まれる。
【0180】
一部の実施形態では、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(そ
れぞれ、TCRαおよびTCRβとして公知である)または可変γ鎖およびδ鎖(それぞ
れ、TCRγおよびTCRδとして公知である)、またはその抗原結合性部分を含む、分
子であり、これは、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる。一
部の実施形態では、TCRは、αβ形態である。典型的には、αβ形態およびγδ形態で
存在するTCRは、一般に、構造が類似しているが、それらを発現するT細胞は、異なる
解剖学的位置または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上に見出すことができるか、
または可溶性形態で見出すことができる。一般に、TCRは、T細胞(またはTリンパ球
)の表面上に見出され、ここで、TCRは、一般に、主要組織適合複合体(MHC)分子
に結合した抗原を認識することを担う。
【0181】
別途言及されない限り、「TCR」という用語は、完全TCR、ならびにその抗原結合
性部分または抗原結合性断片を包含すると理解されるものとする。一部の実施形態では、
TCRは、インタクトまたは全長TCRであり、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む
。一部の実施形態では、TCRは、全長TCRよりも短いが、MHC分子に結合した特定
のペプチドに結合する、たとえば、MHC-ペプチド複合体に結合する、抗原結合性部分
である。一部の事例では、TCRの抗原結合性部分または断片は、全長またはインタクト
なTCRの構造ドメインの一部分のみしか含まない場合があるが、依然として、完全TC
Rが結合する、ペプチドエピトープ、たとえば、MHC-ペプチド複合体に結合すること
ができる。一部の事例では、抗原結合性部分は、TCRの可変ドメイン、たとえば、TC
Rの可変α鎖および可変β鎖を含み、これは、特定のMHC-ペプチド複合体に結合する
ための結合部位を形成するのに十分である。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MH
C、および/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含む。
【0182】
一部の実施形態では、TCRの可変ドメインは、超可変性ループ、または相補性決定領
域(CDR)を含み、これらは、一般に、抗原認識ならびに結合能力および特異性への主
要な寄与因子である。一部の実施形態では、TCRのCDRまたはその組合せにより、所
与のTCR分子の抗原結合性部位のすべてまたは実質的にすべてが形成される。TCR鎖
の可変領域内の様々なCDRは、一般に、フレームワーク領域(FR)によって分離され
ており、この領域は、一般に、CDRと比較して、TCR分子間で低い変動性を呈する(
たとえば、Joresら、Proc. Nat’l Acad. Sci. U.S.A
.、87巻:9138頁、1990年、Chothiaら、EMBO J.、7巻:37
45頁、1988年を参照されたく、また、Lefrancら、Dev. Comp.
Immunol.、27巻:55頁、2003年も参照されたい)。一部の実施形態では
、CDR3は、抗原結合もしくは特異性を担う主要なCDRであるか、または所与のTC
R可変領域における3つのCDRのなかで、抗原認識および/もしくはペプチド-MHC
複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用に最も重要なものである。一部の
状況では、アルファ鎖のCDR1は、ある特定の抗原性ペプチドのN末端部分と相互作用
し得る。一部の状況では、ベータ鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部分と相互作用し得
る。一部の状況では、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用ま
たはその認識に最も強力に寄与するか、またはそれを担う主要なCDRである。一部の実
施形態では、β鎖の可変領域は、さらに、超可変領域(CDR4またはHVR4)を含み
得、この領域は、一般に、スーパー抗原結合には関与するが、抗原認識には関与しない(
Kotb(1995年)、Clinical Microbiology Review
s、8巻:411~426頁)。
【0183】
一部の実施形態では、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または
短い細胞質側尾部を含み得る(たとえば、Janewayら、Immunobiolog
y: The Immune System in Health and Disea
se、第3版、Current Biology Publications、p.4:
33頁、1997年を参照されたい)。一部の態様では、TCRのそれぞれの鎖は、1つ
のN末端側免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領
域、およびC末端側の短い細胞質側尾部を有し得る。一部の実施形態では、TCRは、シ
グナル伝達を媒介することに関与する、CD3複合体の不変タンパク質と会合している。
【0184】
一部の実施形態では、TCR鎖は、1つまたは複数の定常ドメインを含む。たとえば、
所与のTCR鎖(たとえば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様
ドメイン、たとえば、可変ドメイン(たとえば、VαまたはVβ、典型的には、Kaba
tの番号付けに基づいて、アミノ酸1~116(Kabatら、「Sequences
of Proteins of Immunological Interest、US
Dept. Health and Human Services, Public
Health Service National Institutes of H
ealth、1991年、第5版))および細胞膜に隣接する定常ドメイン(たとえば、
α鎖定常ドメインもしくはCα、典型的には、Kabatの番号付けに基づいて鎖の11
7位~259位、またはβ鎖定常ドメインもしくはCβ、典型的にはKabatに基づい
て鎖の117位~295位)を含み得る。たとえば、一部の事例では、2つの鎖によって
形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近傍定常ドメイン、および2つの膜遠位可変
ドメインを含み、これらの可変ドメインは、それぞれがCDRを含む。TCRの定常ドメ
インは、短い接続配列を含み得、そこで、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、
それによってTCRの2つの鎖が連結される。一部の実施形態では、TCRは、TCRが
、定常ドメインに2つのジスルフィド結合を含むように、α鎖およびβ鎖のそれぞれにさ
らなるシステイン残基を有してもよい。
【0185】
一部の実施形態では、TCR鎖は、膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫
通ドメインは、正に荷電している。一部の事例では、TCR鎖は、細胞質側尾部を含む。
一部の事例では、この構造により、TCRは、CD3およびそのサブユニットなど、他の
分子と会合することが可能である。たとえば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含むT
CRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体の不変サブ
ユニットと会合することができる。CD3シグナル伝達サブユニット(たとえば、CD3
γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖、およびCD3ζ鎖)の細胞内尾部は、TCR複合体のシ
グナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体活性化チロシンモチーフまたはI
TAMを含む。
【0186】
一部の実施形態では、TCRは、αおよびβ(または必要に応じてγおよびδ)の2つ
の鎖のヘテロ二量体であってもよく、または一本鎖TCR構築物であってもよい。一部の
実施形態では、TCRは、たとえば、1つまたは複数のジスルフィド結合によって連結さ
れた、2つの別個の鎖(α鎖およびβ鎖またはγ鎖およびδ鎖)を含む、ヘテロ二量体で
ある。
【0187】
一部の実施形態では、TCRは、公知のTCR配列、たとえば、Vα、β鎖の配列から
生成することができ、これらの鎖の実質的に全長のコード配列は、容易に入手可能である
。V鎖配列を含め、全長TCR配列を、細胞源から得るための方法は、周知である。一部
の実施形態では、TCRをコードする核酸は、様々な源から、たとえば、所与の1つまた
は複数の細胞内にある、もしくは所与の1つまたは複数の細胞から単離されたTCRをコ
ードする核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公的に入手可能なTCR
DNA配列の合成によって、得ることができる。
【0188】
一部の実施形態では、TCRは、生物学的源から、たとえば、細胞から、たとえば、T
細胞(たとえば、細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公的に入手可
能な源から、得られる。一部の実施形態では、T細胞は、in vivoで単離された細
胞から得ることができる。一部の実施形態では、TCRは、胸腺選択されたTCRである
。一部の実施形態では、TCRは、ネオエピトープ制限TCRである。一部の実施形態で
は、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであってもよい。一部の
実施形態では、TCRまたはその抗原結合性部分は、TCRの配列の知識から合成で生成
することができる。
【0189】
一部の実施形態では、TCRは、候補TCRライブラリーを、標的ポリペプチド抗原ま
たはその標的T細胞エピトープに対してスクリーニングすることにより特定または選択さ
れたTCRから生成される。TCRライブラリーは、PBMC、脾臓、または他のリンパ
系器官に存在する細胞を含め、対象から単離したT細胞からのVαおよびVβのレパート
リーの増幅によって生成することができる。一部の事例では、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ
球(TIL)から増幅することができる。一部の実施形態では、TCRライブラリーは、
CD4細胞またはCD8細胞から生成することができる。一部の実施形態では、TC
Rは、正常または健常な対象のT細胞源から、すなわち、正常なTCRライブラリーから
増幅することができる。一部の実施形態では、TCRは、罹患した対象のT細胞源から、
すなわち、罹患TCRライブラリーから増幅することができる。一部の実施形態では、た
とえば、ヒトから得られた試料、たとえば、T細胞におけるRT-PCRによって、Vα
およびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために、縮重プライマーが使用される。一部
の実施形態では、scTvライブラリーを、ナイーブVαおよびVβライブラリーからア
センブルしてもよく、ここで、増幅された産物は、リンカーによって分離されるようにク
ローニングまたはアセンブルされる。対象および細胞の源に応じて、ライブラリーは、H
LAアレル特異的となり得る。あるいは、一部の実施形態では、TCRライブラリーは、
親または足場TCR分子の変異生成または多様化によって、生成することができる。一部
の態様では、TCRは、たとえば、α鎖またはβ鎖の変異生成などによって、指向型進化
に供される。一部の態様では、TCRのCDR内の特定の残基が、改変される。一部の実
施形態では、選択されたTCRは、親和性成熟によって修飾され得る。一部の実施形態で
は、抗原特異的T細胞は、たとえば、ペプチドに対するCTL活性を評価するスクリーニ
ングによって、選択され得る。一部の態様では、TCR、たとえば、抗原特異的T細胞に
存在するものは、結合活性、たとえば、抗原に対する特定の親和性または結合力などによ
って、選択され得る。
【0190】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性部分は、修飾または操作が行われた
ものである。一部の実施形態では、指向型進化方法は、改変された特性を有する、たとえ
ば、特定のMHC-ペプチド複合体に対して高い親和性を有する、TCRを生成するため
に使用される。一部の実施形態では、指向型進化は、酵母ディスプレイ(Hollerら
(2003年)、Nat Immunol、4巻、55~62頁;Hollerら(20
00年)、Proc Natl Acad Sci U S A、97巻、5387~9
2頁)、ファージディスプレイ(Liら(2005年)、Nat Biotechnol
、23巻、349~54頁)、またはT細胞ディスプレイ(Chervinら(2008
年)、J Immunol Methods、339巻、175~84頁)を含むがこれ
らに限定されない、ディスプレイ方法によって達成される。一部の実施形態では、ディス
プレイアプローチは、公知の親または参照TCRの操作または修飾を伴う。たとえば、一
部の事例では、野生型TCRが、変異生成されたTCRを産生するための鋳型として使用
され得、ここで、CDRの1つまたは複数の残基が変異され、所望される改変された特性
、たとえば、所望される標的抗原に対する高い親和性を有する変異体が、選択される。
【0191】
一部の実施形態では、目的のTCRを産生または生成する際に使用される標的ポリペプ
チドのペプチドは、当業者に公知であるか、または当業者によって容易に特定することが
できる。一部の実施形態では、TCRまたは抗原結合性部分の生成に使用するのに好適な
ペプチドは、目的の標的ポリペプチド、たとえば、以下に記載される標的ポリペプチドに
おけるHLA制限モチーフの存在に基づいて判定することができる。一部の実施形態では
、HLA-A0201結合モチーフ、プロテアソームおよび免疫プロテアソームの切断部
位、ならびにペプチドは、当業者に公知のコンピュータ予測モデルを使用して特定される
。一部の実施形態では、MHCクラスI結合部位の予測に関して、そのようなモデルとし
ては、ProPred1(SinghおよびRaghava(2001年)、Bioin
formatics、17巻(12号):1236~1237頁)、およびSYFPEI
THI(Schulerら(2007年)、Immunoinformatics Me
thods in Molecular Biology、409巻(1号):75~9
3頁、2007年を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施
形態では、MHC制限エピトープは、HLA-A0201であり、これは、全コーカソイ
ド人類のおよそ39~46%に発現され、したがって、TCRまたは他のMHC-ペプチ
ド結合性分子の調製に使用するのに好適なMHC抗原の選択肢を表す。
【0192】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性部分は、組換えで産生された天然の
タンパク質またはその変異形態であり得、ここで、1つまたは複数の特性、たとえば、結
合特性が、改変されている。一部の実施形態では、TCRは、様々な動物種、たとえば、
ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物のうちの1つに由来し得る。TCRは、細胞
結合型または可溶性形態であり得る。一部の実施形態では、提供される方法の目的では、
TCRは、細胞の表面に発現される細胞結合型の形態である。
【0193】
一部の実施形態では、TCRは、全長TCRである。一部の実施形態では、TCRは、
抗原結合性部分である。一部の実施形態では、TCRは、二量体TCR(dTCR)であ
る。一部の実施形態では、TCRは、一本鎖TCR(sc-TCR)である。一部の実施
形態では、dTCRまたはscTCRは、国際公開第03/020763号、同第04/
033685号、同第2011/044186号に記載されている構造を有し、これらは
、参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
一部の実施形態では、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含む。一部の実施形態で
は、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含む。一部の実施形態では、TCRは、CD
3とTCR複合体を形成することができる。一部の実施形態では、dTCRまたはscT
CRを含め、TCRのいずれも、T細胞の表面に活性なTCRをもたらす、シグナル伝達
ドメインに連結され得る。一部の実施形態では、TCRは、細胞の表面上に発現される。
【0195】
一部の実施形態では、dTCRは、TCRα鎖の可変領域配列に対応する配列が、TC
Rα鎖の定常領域の細胞外配列に対応する配列のN末端に融合された、第1のポリペプチ
ドと、TCRβ鎖の可変領域配列に対応する配列が、TCRβ鎖の定常領域の細胞外配列
に対応する配列のN末端に融合された、第2のポリペプチドと、を含み、第1および第2
のポリペプチドは、ジスルフィド結合によって連結されている。一部の実施形態では、結
合は、天然の二量体αβ TCRに存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。
一部の実施形態では、鎖間ジスルフィド結合は、天然のTCRには存在しない。たとえば
、一部の実施形態では、1つまたは複数のシステインが、dTCRポリペプチド対の定常
領域細胞外配列に組み込まれ得る。一部の事例では、天然および非天然の両方のジスルフ
ィド結合が、所望され得る。一部の実施形態では、TCRは、膜に固定するために、膜貫
通配列を含む。
【0196】
一部の実施形態では、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αド
メインのC末端に結合した第1の二量体化モチーフを含むTCRα鎖、ならびに可変βド
メイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端に結合した第1の二量体化モチ
ーフを含むTCRβ鎖を含み、ここで、第1および第2の二量体化モチーフは、容易に相
互作用して、第1の二量体化モチーフ内のアミノ酸と、第2の二量体化モチーフ内のアミ
ノ酸との間で共有結合を形成し、TCRα鎖およびTCRβ鎖同士を連結する。
【0197】
一部の実施形態では、TCRは、scTCRである。典型的には、scTCRは、当業
者に公知の方法を使用して生成することができ、たとえば、Soo Hoo, W. F
.ら、PNAS (USA)、89巻、4759頁(1992年);Wulfing,
C.およびPluckthun, A.、J. Mol. Biol.、242巻、65
5頁(1994年);Kurucz, I.ら、PNAS (USA)、90巻、383
0頁(1993年);PCT出願公開第96/13593号、同第96/18105号、
同第99/60120号、同第99/18129号、同第03/020763号、同第2
011/044186号、およびSchlueter, C. J.ら、J. Mol.
Biol.、256巻、859頁(1996年)を参照されたい。一部の実施形態では
、scTCRは、TCR鎖の会合を促進するために、導入された非天然の鎖間ジスルフィ
ド結合を含む(たとえば、PCT出願公開第03/020763号を参照されたく、これ
は、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、scTCRは、そのC
末端に融合された異種ロイシンジッパーにより、鎖の会合が促進される、非ジスルフィド
結合の短縮型TCRである(たとえば、PCT出願公開第99/60120号を参照され
たく、これは、参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、scTCR
は、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合した、TCRα可変ドメ
インを含む(たとえば、PCT出願公開第99/18129号を参照されたく、これは、
参照により本明細書に組み込まれる)。
【0198】
一部の実施形態では、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によ
って構築される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ
酸配列のN末端に融合されたTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構
築される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末
端に連結するリンカー配列を含む。
【0199】
一部の実施形態では、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合され
たα鎖可変領域配列によって構築される第1のセグメント、ならびにβ鎖細胞外定常配列
のN末端および膜貫通配列に融合されたβ鎖可変領域配列によって構築される第2のセグ
メント、ならびに必要に応じて、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端
に連結するリンカー配列を含む。
【0200】
一部の実施形態では、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合され
たTCRβ鎖可変領域配列によって構築される第1のセグメント、ならびにα鎖細胞外定
常配列のN末端および膜貫通配列に融合されたα鎖可変領域配列によって構築される第2
のセグメント、ならびに必要に応じて、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントの
N末端に連結するリンカー配列を含む。
【0201】
一部の実施形態では、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリン
カーは、TCR結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成することができ
る、任意のリンカーであり得る。一部の実施形態では、リンカー配列は、たとえば、式-
P-AA-P-を有し得、ここで、Pは、プロリンであり、AAは、アミノ酸配列を表し
、アミノ酸は、グリシンおよび/またはセリンである。一部の実施形態では、第1および
第2のセグメントは、それらの可変領域配列が、そのような結合のための配向となるよう
に、対合される。したがって、一部の事例では、リンカーは、第1のセグメントのC末端
と第2のセグメントのN末端との間の距離、または逆も同様である距離に及ぶのに十分で
あるが、scTCRの標的リガンドへの結合を遮断または低減するほど長くはない、長さ
を有する。一部の実施形態では、リンカーは、10個~45個もしくは約10個~約45
個のアミノ酸、たとえば、10個~30個のアミノ酸、または26個~41個のアミノ酸
残基、たとえば、29個、30個、31個、または32個のアミノ酸を含み得る。一部の
実施形態では、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-を有し、ここで、P
は、プロリンであり、Gは、グリシンであり、Sは、セリンである。一部の実施形態では
、リンカーは、配列GSADDAKKDAAKKDGKSを有する。
【0202】
一部の実施形態では、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基
を、β鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結させる、共有結合のジスルフ
ィド結合を含む。一部の実施形態では、天然のTCRにおける鎖間ジスルフィド結合は、
存在しない。たとえば、一部の実施形態では、1つまたは複数のシステインが、scTC
Rポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列に組み込まれ得る。
一部の事例では、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が、所望され得る。
【0203】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含むdTCRまたはscTCRの一部の実施形態で
は、天然のジスルフィド結合は、存在しない。一部の実施形態では、天然の鎖間ジスルフ
ィド結合を形成している天然のシステインのうちの1つまたは複数は、別の残基、たとえ
ば、セリンまたはアラニンに置換されている。一部の実施形態では、導入されたジスルフ
ィド結合は、第1および第2のセグメントにおける非システイン残基を、システインに変
異させることによって、形成され得る。TCRの例示的な非天然のジスルフィド結合は、
PCT出願公開第2006/000830号に記載されており、これは、参照により本明
細書に組み込まれる。
【0204】
一部の実施形態では、TCRまたはその抗原結合性断片は、標的抗原に対して、10-
5M~10-12Mまたは約10-5M~約10-12Mならびにその中に含まれるすべ
ての個々の値および範囲の平衡結合定数で、親和性を呈する。一部の実施形態では、標的
抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0205】
一部の実施形態では、TCR、たとえば、α鎖およびβ鎖をコードする1つまたは複数
の核酸は、PCRまたは他の好適な手段によって増幅させ、1つまたは複数の好適な発現
ベクターにクローニングすることができる。発現ベクターは、任意の好適な組換え発現ベ
クターであり得、任意の好適な宿主に形質転換またはトランスフェクションを行うために
使用することができる。好適なベクターとしては、増やす、および増大させること、また
は発現させること、またはその両方のために設計されたもの、たとえば、プラスミドおよ
びウイルスが挙げられる。
【0206】
一部の実施形態では、ベクターは、pUC系列(Fermentas Life Sc
iences)、pBluescript系列(Stratagene、LaJolla
、Calif.)、pET系列(Novagen、Madison、Wis.)、pGE
X系列(Pharmacia Biotech、Uppsala、Sweden)、また
はpEX系列(Clontech、Palo Alto、Calif.)のベクターであ
り得る。一部の事例では、バクテリオファージベクター、たとえば、λG10、λGT1
1、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149もま
た、使用することができる。一部の実施形態では、植物発現ベクターを使用することがで
き、これには、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、およ
びpBIN19(Clontech)が含まれる。一部の実施形態では、動物発現ベクタ
ーとしては、pEUK-Cl、pMAM、pMAMneo(Clontech)が挙げら
れる。一部の実施形態では、ウイルスベクター、たとえば、レトロウイルスベクターが使
用される。
【0207】
一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技法を使用して、
調製することができる。一部の実施形態では、ベクターは、調節配列、たとえば、転写お
よび翻訳開始および終結コドンを含み得るが、これらは、適宜、ベクターを導入しようと
する宿主の種類(たとえば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的であり、ベクター
がDNAに基づくかRNAに基づくかが考慮される。一部の実施形態では、ベクターは、
TCRまたは抗原結合性部分(または他のMHC-ペプチド結合性分子)をコードするヌ
クレオチド配列に作動可能に連結された、非天然のプロモーターを含み得る。一部の実施
形態では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、たと
えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプ
ロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復に見出されるプロモーターであ
り得る。当業者に公知の他のプロモーターもまた、企図される。
【0208】
一部の実施形態では、TCRをコードするベクターを生成するために、α鎖およびβ鎖
が、目的のTCRを発現するT細胞クローンから単離した全cDNAからPCR増幅され
、発現ベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、α鎖およびβ鎖は、同じベ
クターにクローニングされる。一部の実施形態では、α鎖およびβ鎖は、異なるベクター
にクローニングされる。一部の実施形態では、生成されたα鎖およびβ鎖は、レトロウイ
ルスベクター、たとえば、レンチウイルスベクターに組み込まれる。
【0209】
多重標的化
【0210】
一部の実施形態では、遺伝子修飾には、それぞれが、同じかまたは異なる抗原を認識し
、一部の実施形態では、それぞれが、異なる細胞内シグナル伝達要素を含む、2つまたは
それを上回る遺伝子操作された受容体を細胞上に発現するように、細胞を遺伝子修飾する
ことが含まれる。そのような多重標的化戦略は、たとえば、PCT特許出願公開第201
4/055668号A1およびFedorovら、Sci. Transl. Medi
cine、5巻(215頁)(2013年)に記載されている。
【0211】
たとえば、一部の実施形態では、細胞は、一般に、第1の受容体によって認識される抗
原、たとえば、第1の抗原に特異的に結合したときに、細胞に活性化シグナルを誘導する
ことができる、第1の遺伝子操作された抗原受容体(たとえば、CARまたはTCR)を
発現する受容体を含む。一部の実施形態では、細胞は、一般に、第2の受容体によって認
識される第2の抗原に特異的に結合したときに、免疫細胞に共刺激性シグナルを誘導する
ことができる、第2の遺伝子操作された抗原受容体(たとえば、CARまたはTCR)、
たとえば、キメラ共刺激性受容体をさらに含む。一部の実施形態では、第1の抗原および
第2の抗原は、同じである。一部の実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は、異な
る。
【0212】
一部の実施形態では、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(たとえ
ば、CARまたはTCR)は、細胞に活性化シグナルを誘導することができる。一部の実
施形態では、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含む、細胞内シグナル伝達
要素を含む。一部の実施形態では、第1の受容体によって誘導される活性化は、ITAM
リン酸化および/もしくはITAMにより媒介されるシグナル伝達カスケードの開始、免
疫シナプスの形成および/もしくは結合した受容体の近傍の分子(たとえば、CD4また
はCD8など)のクラスタリング、1つまたは複数の転写因子、たとえば、NF-κBお
よび/もしくはAP-1の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発
現、増殖、および/もしくは生存の誘導など、免疫応答の開始をもたらすシグナル伝達ま
たは細胞におけるタンパク質発現の変化を含む。
【0213】
一部の実施形態では、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4
-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激性受容体の細胞内シグナル
伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、第1および第2の受容体は、異なる共刺激性
受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、第1の受容体が、C
D28共刺激性シグナル伝達領域を含み、第2の受容体が、4-1BB共刺激性シグナル
伝達領域を含むか、または逆も同様である。
【0214】
一部の実施形態では、第1および/または第2の受容体は、ITAMまたはITAM様
モチーフを含む細胞内シグナル伝達ドメイン、および共刺激性受容体の細胞内シグナル伝
達ドメインの両方を含む。
【0215】
一部の実施形態では、第1の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含む細胞
内シグナル伝達ドメインを含み、第2の受容体は、共刺激性受容体の細胞内シグナル伝達
ドメインを含む。同じ細胞において誘導される活性化シグナルと組み合わせた共刺激性シ
グナルは、免疫応答、たとえば、強力かつ持続的な免疫応答、たとえば、遺伝子発現の増
加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞殺滅などのT細胞により媒介され
るエフェクター機能をもたらすものである。
【0216】
一部の実施形態では、第1の受容体単独のライゲーションも、第2の受容体単独のライ
ゲーションも、強力な免疫応答を誘導しない。一部の態様では、1つの受容体のみがライ
ゲーションされる場合、細胞は、抗原に耐性もしくは非応答性となるか、または阻害され
るようになる、ならびに/あるいは増殖するようにも、因子を分泌するようにも、エフェ
クター機能を実行するようにも誘導されない。一部のそのような実施形態では、しかしな
がら、複数の受容体がライゲーションされる場合、たとえば、第1および第2の抗原を発
現する細胞の遭遇時に、たとえば、1つまたは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続、
および/または標的細胞の細胞傷害性殺滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示
される、所望される応答、たとえば、完全な免疫活性化または刺激が達成される。
【0217】
一部の実施形態では、2つの受容体は、それぞれ、細胞に、活性化シグナルおよび阻害
性シグナルを誘導し、結果として、受容体のうちの一方がその抗原に結合することにより
、細胞が活性化されるか、または応答が誘導されるが、第2の阻害性受容体がその抗原に
結合することにより、その応答を抑制または低下させるシグナルが誘導されることになる
。例は、活性化CARおよび阻害性CARまたはiCARの組合せである。たとえば、活
性化CARが、疾患または状態に発現されるが正常細胞にも発現される抗原に結合し、阻
害性受容体が、正常細胞に発現されるが疾患または状態の細胞には発現されない別の抗原
に結合するような戦略を、使用することができる。
【0218】
一部の実施形態では、多重標的化戦略は、特定の疾患または状態と関連する抗原が、非
罹患細胞に発現される、および/または一過的(たとえば、遺伝子操作と関連する刺激の
際に)もしくは恒久的に操作細胞自体に発現される場合に、利用される。そのような事例
では、2つの別個および個々の特定の抗原受容体のライゲーションを必要とすることによ
って、特異性、選択性、および/または有効性が、改善され得る。
【0219】
一部の実施形態では、複数の抗原、たとえば、第1および第2の抗原は、標的とされる
細胞、組織、または疾患もしくは状態、たとえば、がん細胞に、発現される。一部の態様
では、細胞、組織、疾患、または状態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。
一部の実施形態では、複数の抗原のうちの1つまたは複数はまた、一般に、細胞療法で標
的とすることが所望されない細胞、たとえば、正常もしくは非罹患の細胞もしくは組織、
および/または操作細胞自体に発現される。そのような実施形態では、細胞の応答を達成
するために複数の受容体のライゲーションを必要とすることにより、特異性および/また
は有効性が達成される。
【0220】
一部の実施形態では、細胞の修飾は、収集後かつ極低温で凍結および/または保管する
前に、細胞の分析に基づいて行われる。細胞は、極低温保管の前および/または後に、分
析に基づいて修飾してもよい。一部の実施形態では、細胞の修飾は、極低温保管後の解凍
の後に、細胞の分析に基づいて行われる。一部の実施形態では、分析は、CD4細胞の
CD8細胞に対する比を判定することを含む。一部の実施形態では、極低温後の修飾の
条件、たとえば、細胞をインキュベートするための時間、細胞をインキュベートするため
の温度、細胞刺激物質の使用および濃度、ならびに細胞を遺伝子修飾するためのステップ
は、分析に基づいて選択され得るか、またはCD4細胞のCD8細胞に対する比に基
づいて選択され得る。
【0221】
細胞を操作するためのベクター
【0222】
組換え受容体および/またはTCRをコードするポリヌクレオチド(核酸分子)は、そ
のような受容体を発現するように細胞を遺伝子操作するためのベクターに含まれ得る。一
部の実施形態では、ベクターまたは構築物は、ポリペプチドまたは受容体の発現を作動さ
せるために、それらをコードするヌクレオチドに作動可能に連結された1つまたは複数の
プロモーターを含む。一部の実施形態では、プロモーターは、1つまたは1つを上回る核
酸分子に作動可能に連結されている。一部の事例では、ベクターは、ウイルスベクター、
たとえば、レトロウイルスベクター、たとえば、レンチウイルスベクターまたはガンマレ
トロウイルスベクターである。一部の実施形態では、組換え受容体をコードするポリヌク
レオチド、たとえば、ベクターは、たとえば、レトロウイルス形質導入、トランスフェク
ション、または形質転換によって、培養された細胞を含む組成物に導入される。
【0223】
遺伝子操作された構成要素、たとえば、組換え受容体、たとえば、CARまたはTCR
の導入のための様々な方法は、周知であり、提供される方法および組成物で使用すること
ができる。例示的な方法としては、ウイルスベクター、たとえば、レトロウイルスまたは
レンチウイルス、非ウイルスベクターまたはトランスポゾン、たとえば、スリーピングビ
ューティートランスポゾンシステムによるものを含む、ポリペプチドまたは受容体をコー
ドする核酸の移入のためのものが挙げられる。遺伝子移入の方法としては、形質導入、エ
レクトロポレーション、または細胞内への遺伝子の移入をもたらす他の方法を挙げること
ができる。
【0224】
一部の実施形態では、遺伝子移入は、たとえば、サイトカインまたは活性化マーカーの
発現によって測定されるように、まず、細胞を、たとえば増殖、生存、および/または活
性化の応答を誘導する刺激と合わせることなどによって、細胞を刺激すること、続いて、
活性化された細胞の形質導入、ならびに培養における臨床適用に十分な数への増大によっ
て、達成される。
【0225】
一部の状況では、刺激因子(たとえば、リンホカインまたはサイトカイン)、たとえば
、対象における毒性と関連する因子の過剰発現が、潜在的に対象において望ましくない予
後または有効性の低下をもたらし得る可能性に対して防御することが、望ましい場合があ
る。したがって、一部の状況では、操作細胞は、たとえば、養子免疫療法での投与の際に
、細胞をin vivoでの陰性選択を受けやすくさせる、遺伝子セグメントを含む。た
とえば、一部の態様では、細胞は、細胞を投与する患者のin vivo条件の変化の結
果として、細胞が排除され得るように、操作される。陰性選択可能な表現型は、投与され
る薬剤、たとえば、化合物に対する選択性を付与する遺伝子の挿入により生じ得る。陰性
選択可能な遺伝子としては、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型
チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wiglerら、Cell 11巻、:
223頁、1977年)、細胞内ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(p
hosphribosyltransferase)(HPRT)遺伝子、細胞内アデニ
ンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼ(
Mullenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、89巻:
33頁(1992年))などが挙げられる。
【0226】
一部の実施形態では、組換え核酸は、組換え感染性ウイルス粒子、たとえば、シミアン
ウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)などに由来
するベクターを使用して、細胞に移入される。一部の実施形態では、組換え核酸は、組換
えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、たとえば、ガンマレトロウイ
ルスベクターを使用して、T細胞に移入される(たとえば、Kosteら(2014年)
、Gene Therapy、2014年4月3日、doi: 10.1038/gt.
2014.25;Carlensら(2000年)、Exp Hematol、28巻(
10号):1137~46頁;Alonso-Caminoら(2013年)、Mol
Ther Nucl Acids、2巻、e93頁;Parkら、Trends Bio
technol.、2011年11月29日(11巻):550~557頁を参照された
い)。
【0227】
一部の実施形態では、レトロウイルスベクター、たとえば、モロニーマウス白血病ウイ
ルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス
(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFF
V)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターは、長い
末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロ
ウイルスに由来する。一部の実施形態では、レトロウイルスとしては、任意の鳥類または
哺乳動物の細胞源に由来するものが挙げられる。レトロウイルスは、典型的に、広宿主性
である、すなわち、レトロウイルスは、ヒトを含む複数の種の宿主細胞に感染することが
できる。一実施形態では、発現させようとする遺伝子が、レトロウイルスgag、pol
、および/またはenv配列に置き換わる。いくつかの例示的なレトロウイルス系が、説
明されている(たとえば、米国特許第5,219,740号、同第6,207,453号
、同第5,219,740号、MillerおよびRosman(1989年)、Bio
Techniques、7巻:980~990頁;Miller, A. D.(199
0年)、Human Gene Therapy、1巻:5~14頁;Scarpaら(
1991年)、Virology、180巻:849~852頁;Burnsら(199
3年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:8033~
8037頁;ならびにBoris-LawrieおよびTemin(1993年)、Cu
r. Opin. Genet. Develop.、3巻:102~109頁)。
【0228】
レンチウイルス形質導入の方法は、公知である。例示的な方法は、たとえば、Wang
ら(2012年)、J. Immunother.、35巻(9号):689~701頁
;Cooperら(2003年)、Blood.、101巻:1637~1644頁;V
erhoeyenら(2009年)、Methods Mol Biol.、506巻:
97~114頁;およびCavalieriら(2003年)、Blood.、102巻
(2号):497~505頁に記載されている。
【0229】
一部の実施形態では、組換え核酸は、エレクトロポレーションによって、T細胞に移入
される(たとえば、Chicaybamら(2013年)、PLoS ONE、8巻(3
号):e60298頁およびVan Tedelooら(2000年)、Gene Th
erapy、7巻(16号):1431~1437頁を参照されたい)。一部の実施形態
では、組換え核酸は、トランスポジション(transposition)によって、T
細胞に移入される(たとえば、Manuriら(2010年)、Hum Gene Th
er、21巻(4号):427~437頁;Sharmaら(2013年)、Molec
Ther Nucl Acids、2巻、e74頁;およびHuangら(2009年
)、Methods Mol Biol、506巻:115~126頁を参照されたい)
。遺伝子材料を免疫細胞に導入し、そこで発現させる他の方法としては、リン酸カルシウ
ムトランスフェクション(たとえば、Current Protocols in Mo
lecular Biology、John Wiley & Sons、New Yo
rk、N.Y.に記載されている)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介ト
ランスフェクション;タングステン粒子により促進される微粒子衝撃(tungsten
particle-facilitated microparticle bomb
ardment)(Johnston、Nature、346巻:776~777頁(1
990年));およびストロンチウムリン酸DNA共沈降(Brashら、Mol. C
ell Biol.、7巻:2031~2034頁(1987年))が挙げられる。一部
の態様では、洗浄ステップは、遠心分離チャンバ、たとえば、A-200/FおよびA-
200遠心分離チャンバを含め、Sepax(登録商標)およびSepax(登録商標)
2システムで使用するためのものを含む、Biosafe SAによって製造および販売
されているものにおいて、製造業者の説明書に従って、行われる。
【0230】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、たとえ
ば、PCT特許出願公開第2014055668号および米国特許第7,446,190
号に記載されているものであり、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0231】
一部の実施形態では、細胞、たとえば、T細胞には、増大の間または後のいずれかで、
たとえば、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)がトランスフェク
トされ得る。所望されるポリペプチドまたは受容体の遺伝子の導入のためのこのトランス
フェクションは、たとえば、任意の好適なレトロウイルスベクターを用いて実行すること
ができる。遺伝子修飾された細胞集団は、次いで、初回刺激(たとえば、CD3/CD2
8刺激)から解放され、続いて、第2の種類の刺激(たとえば、de novoで導入し
た受容体を介して)で刺激され得る。この第2の種類の刺激には、ペプチド/MHC分子
、遺伝子導入受容体の同種(架橋)リガンド(たとえば、CARの天然のリガンド)、ま
たは新しい受容体のフレームワーク内に直接的に結合する(たとえば、受容体内の定常領
域を認識することによって)任意のリガンド(たとえば、抗体)の形態での抗原性刺激が
含まれ得る。たとえば、Cheadleら、「Chimeric antigen re
ceptors for T-cell based therapy」、Method
s Mol Biol.、2012年;907巻:645~66頁またはBarrett
ら、Chimeric Antigen Receptor Therapy for
Cancer Annual Review of Medicine、第65巻:33
3~347頁(2014年)を参照されたい。
【0232】
さらなる核酸、たとえば、導入のための遺伝子には、治療法の有効性を、たとえば、移
入される細胞の生存性および/もしくは機能を促進することによって改善するもの;細胞
の選択および/もしくは評価のため、たとえば、in vivoでの生存もしくは局在化
を評価するための遺伝子マーカーを提供する遺伝子;ならびにLupton S. D.
ら、Mol. and Cell Biol.、11巻:6頁(1991年);およびR
iddellら、Human Gene Therapy、3巻:319~338頁(1
992年)に記載されているように、たとえば、細胞をin vivoでの陰性選択を受
けやすくすることによって、安全性を改善するための遺伝子がある。ドミナント陽性選択
可能なマーカーを陰性選択可能なマーカーと融合することによって導出される二官能性の
選択可能な融合遺伝子の使用について記載している、LuptonらによるPCT/US
第91/08442号およびPCT/US第94/05601号の刊行物もまた参照され
たい。たとえば、Riddellら、米国特許第6,040,177号のカラム14~1
7を参照されたい。
【0233】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれとともに、インキュベートお
よび/または培養される。インキュベーションステップには、培養(culture)す
ること、培養(cultivation)すること、刺激すること、活性化すること、お
よび/または増やすことが含まれ得る。インキュベーションおよび/または操作は、培養
容器、たとえば、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チュービングセット
、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養(culture)または培養
(cultivate)するための他の容器において行われ得る。一部の実施形態では、
組成物または細胞は、刺激条件または刺激性薬剤の存在下において、インキュベートされ
る。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、増大、活性化、および/または生存を誘
導し、抗原曝露を模倣し、および/または遺伝子操作、たとえば、組換え抗原受容体の導
入のために細胞を予備刺激するように、設計されるものが含まれる。一部の実施形態では
、インキュベーションステップのうちの1つまたは複数は、ロッキングバイオリアクター
、たとえば、WAVE(商標)Bioreactor(GE Healthcare)ま
たはBIOSTAT(登録商標)RM(Sartorius)を使用して、実行され得る
。一部の実施形態では、インキュベーションステップのうちの1つまたは複数は、静式バ
イオリアクターまたはインキュベーションチャンバを使用して、実行され得る。特定の実
施形態では、1つまたは複数のインキュベーションステップにロッキングバイオリアクタ
ーを使用する場合には、抗せん断剤、たとえば、ポロキサマーが、組成物に添加され得る
【0234】
条件には、特定の媒体、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、たとえば
、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、たとえば、サイトカ
イン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、なら
びに細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つまたは複数が含
まれ得る。一部の態様では、細胞は、1つまたは複数のサイトカインの存在下においてイ
ンキュベートされ、一部の実施形態では、サイトカインカクテル、たとえば、PCT特許
出願公開第2015/157384号に記載されるものを利用することができ、これは、
参照により組み込まれる。一部の実施形態では、細胞は、形質導入の前、同時、または後
に、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはサイトカインカクテルとともにインキ
ュベートされる。
【0235】
一部の実施形態では、刺激条件または刺激剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達
ドメインを活性化することができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、リガンドが
含まれる。一部の態様では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル
伝達カスケードを作動させるかまたは開始する。そのような作用物質としては、抗体、た
とえば、TCR構成要素に特異的なもの、たとえば、抗CD3を挙げることができる。一
部の実施形態では、刺激条件には、共刺激性受容体を刺激することができる、1つまたは
複数の作用物質、たとえば、リガンド、たとえば、抗CD28が含まれる。一部の実施形
態では、そのような作用物質および/またはリガンドは、固体支持体、たとえば、ビーズ
、および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。必要に応じて
、増大方法は、さらに、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を、培養媒体に(た
とえば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加するステップを含み得る。一部の
実施形態では、刺激剤としては、IL-2、および/またはIL-15、たとえば、少な
くとも約10単位/mLの濃度のIL-2が挙げられる。
【0236】
一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040
,177号、Klebanoffら(2012年)、J Immunother.、35
巻(9号):651~660頁;Terakuraら(2012年)、Blood.、1
巻:72~82頁;および/またはWangら(2012年)、J Immunothe
r.、35巻(9号):689~701頁に記載されているものなどの技法に従って行わ
れる。一部の態様では、形質導入は、PCT特許出願公開第2016/073602号ま
たは米国公開第2016/0122782号に記載されているシステム、デバイス、装置
、および/または方法を使用して行われ、これらの内容は、参照によりその全体が組み込
まれる。一部の実施形態では、形質導入は、PCT特許出願公開第2015/16467
5号に記載されている方法に従って行われ、この内容は、参照によりその全体が組み込ま
れる。
【0237】
一部の実施形態では、T細胞は、培養開始組成物に、フィーダー細胞、たとえば、非分
裂末梢血単核細胞(PBMC)を添加し(たとえば、結果として得られる細胞集団が、増
大させようとする初期集団中のTリンパ球それぞれに対して少なくとも約5個、10個、
20個、もしくは40個、またはそれを上回るPBMCフィーダー細胞を含有するように
)、培養物をインキュベートすること(たとえば、T細胞の数を増大させるのに十分な時
間)によって、増大される。一部の態様では、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PB
MCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCに、約3000~360
0ラドの範囲でガンマ線を照射して、細胞分裂を防止する。一部の態様では、フィーダー
細胞は、T細胞集団の添加前に、培養媒体に添加される。
【0238】
一部の実施形態では、刺激条件としては、ヒトTリンパ球の成長に好適な温度、たとえ
ば、少なくとも摂氏約25度、一般に、少なくとも約30度、および一般に、摂氏37度
または約37度が挙げられる。必要に応じて、インキュベーションは、フィーダー細胞と
して非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)を添加することをさらに含み得る
。LCLには、約6000~10,000ラドの範囲でガンマ線を照射してもよい。LC
Lフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の好適な量、たとえば、LCLフィーダー細
胞の初期Tリンパ球に対する比が少なくとも約10:1で、提供される。
【0239】
試料を処理するための方法
【0240】
一部の実施形態では、方法は、アフェレーシス試料を処理するための方法であって、(
a)ドナーから取得されたアフェレーシス試料を、低温環境で、保管施設に輸送すること
、および(b)保管施設において、アフェレーシス試料を極低温で保管することを含む、
方法を含む。方法は、ある特定の実施形態によると、複数のアフェレーシス試料を処理す
ることであって、(a)それぞれが同じかまたは異なるドナーから取得され、同じかまた
は異なる時点のいずれかで輸送された、複数のアフェレーシス試料を、低温環境で、保管
施設に輸送すること、および(b)保管施設において、アフェレーシス試料のそれぞれを
極低温で保管することを含む、処理することをさらに含み得る。
【0241】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、上述の実施形態に従ってドナーから収集
された血液である。
【0242】
一部の実施形態では、低温輸送環境の温度は、-80℃よりも高い温度から0℃である
。一部の実施形態では、低温輸送環境の温度は、-80℃よりも高い温度から-20℃で
ある。一部の実施形態では、低温輸送環境の温度は、-20℃~0℃である。
【0243】
一部の実施形態では、ドナーのアフェレーシス試料が収集される施設および保管施設は
、互いに提携しているが、これは、すべての実施形態で必要とされるわけではない。一部
の実施形態では、施設は、ドナーまたは別の実体が、収集施設においてアフェレーシス試
料を収集し、保管施設においてアフェレーシス試料を保管するよう選択することにより、
互いに提携される。一部の実施形態では、収集施設および保管施設は、同じ物理的位置を
共有していてもよい。一部の実施形態では、収集施設および保管施設は、異なる位置、た
とえば、異なる国または異なる州に位置していてもよい。
【0244】
一部の実施形態では、保管施設は、中央または共通のリポジトリの保管施設であり、こ
こで、異なる収集施設で得られた様々な患者のアフェレーシス試料が、保管される。一部
の実施形態では、中央または共通のリポジトリの保管施設は、アフェレーシス試料を、1
つまたは複数の製造施設に送る前に、これらの試料を極低温で保管する。一部の実施形態
では、中央または共通のリポジトリの施設ならびに製造施設は、互いに提携している。一
部の実施形態では、中央または共通のリポジトリの施設ならびに製造施設は、互いに提携
していない。一部の実施形態では、ドナーから得られた試料のすべてが、中央または共通
のリポジトリの施設から、製造施設へと送られる。他の実施形態では、ドナーから得られ
た試料の一部は、製造施設へと送られ、他の試料は、中央または共通のリポジトリの施設
で保持される。一部の実施形態では、ドナーから得られた試料のすべてが、中央または共
通のリポジトリの施設から、同じ製造施設へと送られる。他の実施形態では、ドナーから
得られた試料の一部は、中央または共通のリポジトリの施設から、1つの製造施設へと送
られ、ドナーから得られた他の試料は、別の製造施設へと送られる。
【0245】
一部の実施形態では、1種または複数種の細胞が、輸送する前に、アフェレーシス試料
から濃縮および/または単離される。別の事例では、細胞は、輸送の後に、アフェレーシ
ス試料から濃縮および/または単離され得る。たとえば、細胞は、上述の実施形態に従っ
て、濃縮および/または単離され得る。
【0246】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮および/もしくは単離された細胞
は、輸送される前に、分析される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮
および/もしくは単離された細胞は、輸送された後かつ極低温で保管される前に、分析さ
れる。アフェレーシス試料または濃縮および/もしくは単離された細胞は、上述の実施形
態に従って、分析され得る。
【0247】
一部の実施形態では、アフェレーシス、または濃縮および/もしくは単離された細胞集
団、または操作T細胞集団もしくは組成物の、一部分または複数の部分は、アフェレーシ
ス、または濃縮および/もしくは単離された細胞集団、または操作されたT細胞集団もし
くは組成物の極低温凍結の前に、取り出される。一部の実施形態では、取り出された一部
分または複数の部分は、たとえば、アフェレーシス、または濃縮および/もしくは単離さ
れた細胞集団、または操作T細胞集団もしくは組成物の極低温凍結の前または後を含め、
任意の時点で、分析される。
【0248】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送される前に、凍結溶液と
合わされる。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送された後かつ
極低温で保管される前に、凍結溶液と合わされる。凍結溶液は、上述の実施形態における
凍結溶液と同じであってもよい。
【0249】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、極低温で凍結させようとする凍結溶液と
合わせる前または後に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10
個、または10個を上回る別個の容器に分割される。一部の実施形態では、アフェレーシ
ス試料は、輸送される前に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、
10個、または10個を上回る別個の容器に分割される。一部の実施形態では、アフェレ
ーシス試料は、輸送された後に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9
個、10個、または10個を上回る別個の容器に分割される。一部の実施形態では、分割
されたアフェレーシスを含む任意の数の別個の容器は、輸送される前または輸送された後
に、極低温で凍結される。
【0250】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、
7個、8個、9個、10個、または10個を上回る別個の容器に分割され、これらは、保
管施設において、極低温で保管される。一部の実施形態では、保管施設は、中央または共
通のリポジトリの保管施設である。一部の実施形態では、保管施設は、分割されたアフェ
レーシスを含む任意の数の別個の容器を、1つまたは複数の製造施設に送る。
【0251】
一部の実施形態では、中にアフェレーシス試料が極低温で保管されている1つまたは複
数の容器は、極低温保管から取り出され、一方で、残りの容器は、極低温保管で保持され
る。一部の実施形態では、極低温保管から取り出された1つまたは複数の容器内の細胞は
、解凍される。一部の実施形態では、解凍された細胞は、操作される。一部の実施形態で
は、解凍された細胞は、CAR分子を発現するように操作される。一部の実施形態では、
中にアフェレーシス試料が極低温で保管されている1つまたは複数の後続の容器が、極低
温保管から取り出され、一方で、残りの容器は、極低温保管で保持される。一部の実施形
態では、極低温保管から取り出された1つまたは複数の後続の容器内の細胞は、解凍され
る。一部の実施形態では、解凍された細胞は、操作される。一部の実施形態では、解凍さ
れた細胞は、以前に解凍された細胞と類似または異なるCAR分子を発現する細胞を産生
するように、操作される。一部の実施形態では、中にアフェレーシス試料が極低温で保管
されている容器は、異なる長さの時間の間、極低温保管で保持される。
【0252】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送される前に、-80℃を
上回る温度から0℃の温度に冷却される。アフェレーシス試料または細胞は、上述の実施
形態に従った様式で、冷却され得る。一部の実施形態では、細胞の冷却の前に、細胞は、
上述の実施形態に従った様式で、洗浄される。
【0253】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、輸送される前に、-210℃
~-80℃の温度に、極低温で凍結される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料ま
たは細胞は、輸送された後に、極低温で凍結される。アフェレーシス試料または細胞は、
上述の実施形態に従った様式で、極低温で凍結され得る。一部の実施形態では、細胞の極
低温凍結の前に、細胞は、上述の実施形態に従った様式で、洗浄される。
【0254】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、-210℃~-80℃の温度
において、極低温で保管される。たとえば、アフェレーシス試料または細胞は、上述の実
施形態に従った様式で、たとえば、液体窒素保管タンクの気相において、たとえば、1日
間~12年間の保管期間の間、極低温で保管され得る。一部の実施形態では、細胞は、以
下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、または48時間
、保管もしくは貯蔵される。一部の実施形態では、細胞は、以下を上回るかまたは以下に
等しい期間:1週間、2週間、3週間、または4週間、保管または貯蔵される。一部の実
施形態では、細胞は、長期保管または長期貯蔵される。一部の態様では、細胞は、以下を
上回るかまたは以下に等しい期間:1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間
、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間
、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、1
2年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、2
0年間、25年間、30年間、35年間、40年間、またはそれを上回る期間、保管され
る。
【0255】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または細胞は、-210℃~-80℃の温度
において、極低温で保管される。一部の実施形態では、細胞が保管される温度は、約-1
00℃、または-95℃、または-90℃、または-85℃、または-80℃、または-
75℃、または-70℃、または-65℃、または-60℃を上回らない。
【0256】
一部の実施形態では、保管期間の後に、アフェレーシス試料または細胞は、解凍される
。たとえば、アフェレーシス試料または細胞は、上述の実施形態に従った様式で、解凍さ
れ得る。また、ある特定の実施形態によると、保管期間の後、生存細胞の割合は、24%
~100%である。生存細胞の割合は、たとえば、上述の実施形態に従って、判定するこ
とができる。
【0257】
一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮された細胞は、収集の後かつ輸送
の前に、分析される。一部の実施形態では、アフェレーシス試料または濃縮された細胞は
、輸送の後かつ極低温保管の前に、分析される。一部の実施形態では、アフェレーシス試
料または濃縮された細胞は、保管期間の後に、分析される。一部の実施形態では、分析の
後に、アフェレーシス試料または細胞は、修飾され得る。一部の実施形態では、修飾は、
輸送する前に生じる。一部の実施形態では、修飾は、輸送した後かつ極低温で保管する前
に、生じる。一部の実施形態では、修飾は、極低温で保管した後に、生じる。そのような
実施形態では、修飾は、「極低温後の修飾」と称される。アフェレーシス試料または細胞
の分析および/または修飾は、上述の実施形態に従って行われ得る。
【0258】
組成物および製剤
【0259】
細胞を含む組成物もまた、提供され、これには、医薬組成物および製剤、たとえば、所
与の用量またはその画分での投与のための細胞数を含む単位用量形態の組成物が含まれる
。医薬組成物および製剤は、一般に、1つまたは複数の必要に応じた薬学的に許容される
担体または賦形剤を含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの追加の治療
剤を含む。
【0260】
「医薬製剤」という用語は、中に含まれる活性成分の生物学的活性が有効となるのを許
容するような形態にあり、製剤が投与されるであろう対象にとって、許容できないほどに
毒性である追加の成分を含まない、調製物を指す。
【0261】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、医薬製剤中の活性成分
以外の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または
保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0262】
一部の態様では、担体の選択は、部分的に、特定の細胞および/または投与の方法によ
って決定される。したがって、様々な好適な製剤が存在する。たとえば、医薬組成物は、
保存剤を含有し得る。好適な保存剤としては、たとえば、メチルパラベン、プロピルパラ
ベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムを挙げることができる。一部の
態様では、2つまたはそれを上回る保存剤の混合物が、使用される。保存剤またはその混
合物は、典型的に、全組成物の重量を基準として、約0.0001%~約2%の量で存在
する。担体は、たとえば、Remington’s Pharmaceutical S
ciences、第16版、Osol, A.編(1980年)によって説明されている
。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量および濃度で、レシピエントに
とって非毒性であり、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:緩衝剤、たと
えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含
む、抗酸化剤;保存剤(たとえば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド
;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブ
チル、もしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、たとえば、メチルもしくはプロ
ピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;
およびm-クレゾール);低分子量(約10残基よりも少ない)ポリペプチド;タンパク
質、たとえば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、
たとえば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、たとえば、グリシン、グルタミン、アスパ
ラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシン;単糖類、二糖類、およびグルコース
、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、たとえば、ED
TA;糖類、たとえば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトー
ル;塩形成対イオン、たとえば、ナトリウム;金属錯体(たとえば、Zn-タンパク質錯
体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、たとえば、ポリエチレングリコール(P
EG)。
【0263】
一部の態様では、緩衝剤が、組成物に含まれる。好適な緩衝剤としては、たとえば、ク
エン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩
が挙げられる。一部の態様では、2つまたはそれを上回る緩衝剤の混合物が、使用される
。緩衝剤またはその混合物は、典型的に、全組成物の重量を基準として、約0.001%
~約4%の量で存在する。投与可能な医薬組成物を調製するための方法は、公知である。
例示的な方法は、たとえば、Remington: The Science and
Practice of Pharmacy, Lippincott William
s & Wilkins、第21版(2005年5月1日)により詳細に記載されている
【0264】
製剤には、水溶液が含まれ得る。製剤または組成物はまた、細胞を用いて処置されてい
る特定の適応症、疾患、または状態にとって有用な1つを上回る活性成分、好ましくは、
細胞に相補的な活性を有するものを含有してもよく、ここで、それぞれの活性は、互いに
悪影響を及ぼさない。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量での組合せで存
在することが、好適である。したがって、一部の実施形態では、医薬組成物は、他の薬学
的に活性な薬剤または薬物、たとえば、化学療法剤、たとえば、アスパラギナーゼ、ブス
ルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロ
ウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキ
シマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンをさらに含む。
【0265】
一部の実施形態では、組成物は、疾患もしくは状態の負荷を低減するのに有効な量、な
らびに/または対象にCRSもしくは重篤なCRSをもたらさない、および/もしくは本
明細書に記載される方法の他の結果のいずれにも影響を及ぼさない量で、細胞を含む。
【0266】
医薬組成物は、一部の実施形態では、疾患または状態を処置または予防するのに有効な
量、たとえば、治療有効量または予防的有効量で、細胞を含有する。治療的または予防的
な有効性は、一部の実施形態では、処置される対象の周期的な評価によって監視される。
所望される投薬量は、細胞の単回ボーラス投与によって、細胞の複数回ボーラス投与によ
って、または細胞の連続的な注入投与によって、送達することができる。
【0267】
細胞および組成物は、標準的な投与技法、製剤、および/またはデバイスを使用して、
投与することができる。細胞の投与は、自家であっても異種であってもよい。たとえば、
免疫応答性細胞または前駆体を、1人の対象から得て、それを同じ対象または適合性のあ
る別の対象に投与することができる。末梢血由来の免疫応答性細胞またはそれらの子孫(
たとえば、in vivo、ex vivo、またはin vitroに由来する)は、
カテーテル投与を含む、局所注射、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与
によって、投与することができる。治療用組成物(たとえば、遺伝子修飾された免疫応答
性細胞を含有する医薬組成物)を投与する場合、それは、一般に、単位投薬量の注射用形
態(溶液、懸濁液、エマルジョン)で製剤化されることになる。
【0268】
製剤には、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺内、経皮、筋肉内、鼻内、頬内、舌下、ま
たは坐剤での投与のためのものが含まれる。一部の実施形態では、細胞集団は、非経口で
投与される。「非経口」という用語には、本明細書において使用されるとき、静脈内、筋
肉内、皮下、直腸内、膣内、および腹腔内の投与が含まれる。一部の実施形態では、細胞
は、静脈内、腹腔内、または皮下の注射による末梢全身送達を使用して、対象に投与され
る。
【0269】
組成物は、一部の実施形態では、滅菌液体調製物、たとえば、等張水溶液、懸濁液、エ
マルジョン、分散液、または粘性組成物として提供され、これらは、一部の態様では、選
択されたpHに緩衝され得る。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体
組成物よりも、調製が容易である。加えて、液体組成物は、特に注射によって、投与する
のがいくらかより便利である。粘性組成物は、一方で、特定の組織とのより長い接触期間
をもたらすように、適切な粘度範囲内で製剤化することができる。液体または粘性の組成
物は、たとえば、水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(たとえば、グリセロ
ール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびこれらの好適な混
合物を含有する溶媒または分散媒であり得る、担体を含み得る。
【0270】
滅菌注射用溶液は、細胞を、溶媒に、たとえば、好適な担体、希釈剤、または賦形剤、
たとえば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物として、組
み込むことによって、調製することができる。組成物は、所望される投与経路および調製
物に応じて、補助物質、たとえば、湿潤剤、分散剤、もしくは乳化剤(たとえば、メチル
セルロース)、pH緩衝剤、ゲル化もしくは増粘添加剤、保存剤、香味剤、および/また
は着色剤を含有し得る。好適な調製物を調製するために、一部の態様では、標準的な文書
が参照され得る。
【0271】
抗菌保存剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および滅菌
性を強化する様々な添加剤を、添加することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗
細菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソ
ルビン酸によって確実にすることができる。注射用医薬品形態の長期吸収は、吸収を遅延
する薬剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって、も
たらすことができる。
【0272】
in vivoでの投与に使用しようとする製剤は、一般に、滅菌である。滅菌性は、
たとえば、滅菌濾過膜を通じた濾過によって、容易に達成することができる。
【0273】
一部の実施形態では、治療用T細胞組成物は、1ml当たり約1000万個の細胞~1
ml当たり約7000万個の細胞、または1mL当たり約1000万個の生存細胞~1m
L当たり約7000万個の生存細胞を含む。一部の実施形態では、治療用T細胞組成物は
、1ml当たり約1500万個の細胞または生存細胞~1ml当たり約6000万個の細
胞または生存細胞を含む。一部の実施形態では、T細胞組成物は、1ml当たり1000
万個を上回る細胞または生存細胞を含む。一部の実施形態では、治療用T細胞組成物は、
1ml当たり1500万個を上回る細胞または1500万個を上回る細胞を含む。
【0274】
一部の実施形態では、本出願は、治療用T細胞組成物を含む容器を含む、製品を提供す
る。一部の実施形態では、製品は、容器が、標的単位数の治療用T細胞組成物を含むこと
を示す情報をさらに含む。一部の実施形態では、製品は、複数の容器を含み、ここで、容
器のそれぞれは、標的単位数のT細胞組成物を含む単位用量を含む。一部の実施形態では
、容器は、1mL当たり約1000万個の細胞もしくは生存細胞~1mL当たり約700
0万個の細胞もしくは生存細胞、1mL当たり約1500万個の細胞もしくは生存細胞~
約6000万個の細胞もしくは生存細胞、1mL当たり1000万個を上回る細胞もしく
は生存細胞、1mL当たり1500万個を上回る細胞もしくは生存細胞、またはこれらの
組合せを含む。一部の実施形態では、組成物は、極低温保護剤をさらに含む、および/ま
たは製品は、対象に投与する前に組成物を解凍するための説明書をさらに含む。
【0275】
一部の実施形態では、細胞は、たとえば、血漿および血小板を除去するための洗浄ステ
ップの後に、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれ
かを、一部の態様では、使用することができる。1つの例には、20%のDMSOおよび
8%のHSAを含有するPBS、または他の好適な細胞凍結媒体を使用することが含まれ
る。これは、次いで、DMSOおよびHSAの最終濃度が、それぞれ、10%および4%
となるように、媒体で1:1希釈される。
【0276】
様々な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれかを、一部の態様では、使用すること
ができる。一部の実施形態では、細胞試料は、極低温保護剤を含有する極低温保存または
ガラス化媒体または溶液を含有し得る。好適な極低温保護剤としては、DMSO、グリセ
ロール、グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、
ポリエチレングリコール(PEG)、1,2-プロパンジオール(PROH)、またはこ
れらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、極低温保存溶液は
、ポリビニルピロリジオン、ヒドロキシエチルデンプン、多糖類、単糖類、アルギン酸塩
、トレハロース、ラフモース、デキストラン、ヒト血清アルブミン、Ficoll、リポ
タンパク質、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルデンプン、自家血漿、またはこれ
らの混合物が挙げられるがこれらに限定されない、1つまたは複数の非細胞透過性極低温
保存剤を含有し得る。一部の実施形態では、細胞は、約1体積%~約20体積%、約3体
積%~約9体積%、または約6体積%~約9体積%の最終濃度の極低温保護剤を有する凍
結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、凍結溶液中の極低温保護剤の最終濃度
は、約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積
%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5
体積%、または約10体積%である。
【0277】
一部の実施形態では、極低温保護剤は、DMSOである。特定の実施形態では、細胞は
、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、または約6体積%~約9体積%
の最終濃度のDMSOを有する凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、凍結
溶液中のDMSOの最終濃度は、約3体積%、約4%体積%、約5体積%、約5.5体積
%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5
体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%である。
【0278】
ある特定の実施形態では、細胞は、約1×10個の細胞/ml~約1×10個の細
胞/mL、約1×10個の細胞/mL~約2×10個の細胞/mL、約1×10
の細胞/mL~約5×10個の細胞/mL、または約1×10個の細胞/mL~5×
10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細
胞は、約1×10個の細胞/mL、約2×10個の細胞/mL、約5×10個の細
胞/mL、約1×10個の細胞/mL、約1.5×10個の細胞/mL、約2×10
個の細胞/mL、約2.5×10個の細胞/mL、約2.5×10個の細胞/mL
、約2.5×10個の細胞/mL、約3×10個の細胞/mL、約3.5×10
の細胞/mL、約4×10個の細胞/mL、約4.5×10個の細胞/mL、または
約5×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態で
は、細胞は、約1.5×10個の細胞/mL~約6×10個の細胞/mLの密度で、
凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形態では、細胞は、約5×10個の細胞/m
L~約150×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実
施形態では、細胞は、少なくとも約1×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸
濁される。特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1.5×10個の細胞/mLの
密度で、凍結溶液中に懸濁される。一部の実施形態では、細胞は、生存細胞である。
【0279】
特定の実施形態では、細胞は、それぞれ、両端の値を含め、0.1×10個の細胞/
mL~5,000×10個の細胞/mLもしくは約0.1×10個の細胞/mL~約
5,000×10個の細胞/mL、1×10個の細胞/mL~500×10個の細
胞/mLもしくは約1×10個の細胞/mL~約500×10個の細胞/mL、5×
10個の細胞/mL~150×10個の細胞/mLもしくは約5×10個の細胞/
mL~約150×10個の細胞/mL、10×10個の細胞/mL~70×10
の細胞/mLもしくは約10×10個の細胞/mL~約70×10個の細胞/mL、
または15×10個の細胞/mL~60×10個の細胞/mLもしくは約15×10
個の細胞/mL~約60×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。
ある特定の実施形態では、細胞は、それぞれ、両端の値を含め、約1×10個の細胞/
mL~約1×10個の細胞/mL、約1×10個の細胞/mL~約2×10個の細
胞/mL、約1×10個の細胞/mL~約5×10個の細胞/mL、または約1×1
個の細胞/mL~5×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。あ
る特定の実施形態では、細胞は、約1×10個の細胞/mL、約2×10個の細胞/
mL、約5×10個の細胞/mL、約1×10個の細胞/mL、約1.5×10
の細胞/mL、約2×10個の細胞/mL、約2.5×10個の細胞/mL、約2.
5×10個の細胞/mL、約2.5×10個の細胞/mL、約3×10個の細胞/
mL、約3.5×10個の細胞/mL、約4×10個の細胞/mL、約4.5×10
個の細胞/mL、または約5×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁され
る。ある特定の実施形態では、細胞は、両端の値を含め、約1.5×10個の細胞/m
L~約6×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁される。ある特定の実施形
態では、細胞は、少なくとも約1×10個の細胞/mLの密度で、凍結溶液中に懸濁さ
れる。特定の実施形態では、細胞は、少なくとも約1.5×10個の細胞/mLの密度
で、凍結溶液中に懸濁される。一部の実施形態では、細胞は、生存細胞である。
【0280】
一部の実施形態では、極低温保存媒体への移入には、たとえば、媒体を除去するための
試料、たとえば、細胞および/もしくは操作細胞組成物の洗浄、ならびに/または後続の
凍結のための適切な極低温保存緩衝液もしくは媒体における細胞の置換えを伴い得る1つ
または複数の処理ステップが付随する。ある特定の実施形態では、極低温保存媒体への移
入は、閉鎖および滅菌システムにおいて臨床規模レベルで完全に自動化されている。ある
特定の実施形態では、極低温保存媒体への移入は、CliniMACSシステム(Mil
tenyi Biotec)を使用して行った。
【0281】
一部の実施形態では、細胞は、細胞を処理および/または操作するための前記方法の前
、最中、または後のいずれかで、凍結、たとえば、極低温保存される。一部の実施形態で
は、凍結およびそれに続く解凍のステップにより、細胞集団における顆粒球、およびある
程度の単球が、除去される。細胞は、1分間につき1℃の速度で、-80℃に凍結され、
液体窒素保管タンクの気相で保管され得る。一部の実施形態では、組成物は、極低温保存
に好適なバッグに封入される(たとえば、CryoMacs(登録商標)Freezin
g Bags、Miltenyi Biotec)。一部の実施形態では、組成物は、極
低温保存に好適なバイアルに封入される(たとえば、CellSeal(登録商標)Vi
als、Cook Regentec)。
【0282】
好適な容器としては、たとえば、ボトル、バイアル、シリンジ、および可撓性バッグ、
たとえば、注入バッグが挙げられる。特定の実施形態では、容器は、バッグ、たとえば、
可撓性バッグ、たとえば、対象への細胞の注入に好適なもの、たとえば、可撓性プラスチ
ックもしくはPVCバッグ、および/またはIV溶液バッグである。バッグは、一部の実
施形態では、細胞および組成物の滅菌溶液および送達を提供することができるように、封
止可能である、および/または滅菌することができる。一部の実施形態では、容器、たと
えば、バッグは、以下の値もしくはおよそ以下の値、または少なくとも以下の値もしくは
少なくともおよそ以下の値の容量を有する:10、20、30、40、50、60、70
、80、90、100、200、300、400、500、または1000mLの容量、
たとえば、それぞれ、両端の値を含め、10もしくは約10~100もしくは約100m
L、または10もしくは約10~500もしくは約500mLの容量。一部の実施形態で
は、容器、たとえば、バッグは、様々な温度、たとえば、低温、たとえば、以下の温度も
しくはおよそ以下の温度を下回るか、または以下の温度もしくはおよそ以下の温度:-2
0℃、-80℃、-120℃、135℃、および/または極低温保存に好適な温度、なら
びに/または他の温度、たとえば、例として、対象の場所または処置の場所、たとえば、
ベッドのそばで、処置の直前に解凍するのを許容するために、細胞の解凍に好適な温度お
よび体温、たとえば、37℃もしくは約37℃のうちの1つまたは複数において、安定な
材料である、および/もしくはそのような材料から作製される、ならびに/または細胞の
安定な保管および/もしくは維持を提供する。
【0283】
容器は、ガラスまたはプラスチックなど、様々な材料から形成することができる。一部
の実施形態では、容器は、たとえば、チュービングの接続または1つもしくは複数のチュ
ーブへのカニューレ挿入のため、たとえば、静脈内もしくは他の注入のため、ならびに/
または他の容器、たとえば、細胞培養および/もしくは保管バッグまたは他の容器へおよ
びこれらからの移入を目的とする接続のための、1つまたは複数のポート、たとえば、滅
菌アクセスポートを有する。例示的な容器としては、注入バッグ、静脈内溶液バッグ、お
よび注射用ニードルによる穿刺可能なストッパを有するものを含むバイアルが挙げられる
【0284】
本発明は、本発明の個々の態様の1つの例示を意図している本明細書において開示され
る実施形態によって範囲が限定されるものではなく、機能的に同等であるものはすべて、
本発明の範囲内に含まれる。本発明のモデルおよび方法に対する様々な修正形は、本明細
書に記載されるものに加えて、前述の説明および教示から、当業者には明らかであり、同
様に、本発明の範囲内に含まれることが意図される。そのような修正形または他の実施形
態は、本発明の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、実施することができる。
【0285】
刺激性試薬
【0286】
一部の実施形態では、濃縮された細胞の組成物を、刺激条件下においてインキュベート
することは、濃縮された細胞の組成物を、T細胞を活性化および/または増大させること
ができる刺激性試薬とともにインキュベートすることおよび/またはそれと接触させるこ
とであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、刺激性試薬は、細胞において1つ
または複数のシグナルを刺激および/または活性化することができる。一部の実施形態で
は、1つまたは複数のシグナルは、受容体によって媒介される。特定の実施形態では、1
つまたは複数のシグナルは、シグナル伝達および/または二次メッセンジャー、たとえば
、cAMPおよび/もしくは細胞内カルシウムのレベルもしくは量における変化、1つま
たは複数の細胞内タンパク質の量、細胞内局在化、確認、リン酸化、ユビキチン化、およ
び/または短縮の変化、ならびに/または細胞活性、たとえば、転写、翻訳、タンパク質
分解、細胞形質学、活性化状態、および/もしくは細胞分裂における変化であるか、また
はこれらと関連している。特定の実施形態では、刺激性試薬は、TCR複合体の1つもし
くは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または
1つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活
性化する、および/または活性化することができる。
【0287】
ある特定の実施形態では、刺激性試薬は、細胞、たとえば、T細胞を活性化および/ま
たは増大させることができる、1つまたは複数の作用物質、たとえば、生体分子にコンジ
ュゲートまたは連結された粒子、たとえば、ビーズを含む。一部の実施形態では、1つま
たは複数の作用物質は、ビーズに結合される。一部の実施形態では、ビーズは、生体適合
性である、すなわち、生物学的使用に好適である材料から構成される。一部の実施形態で
は、ビーズは、培養された細胞、たとえば、培養されたT細胞に対して、非毒性である。
一部の実施形態では、ビーズは、作用物質と細胞との間の相互作用を許容する様式で、作
用物質に結合することができる、任意の粒子であり得る。
【0288】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、ビーズ、たとえば、ビーズの表面に結合している
か、またはそうでなければ付着している、細胞、たとえば、T細胞を活性化および/また
は増大させることができる、1つまたは複数の作用物質を含有する。ある特定の実施形態
では、ビーズは、非細胞粒子である。特定の実施形態では、ビーズとしては、コロイド粒
子、マイクロスフェア、ナノ粒子、磁性ビーズなどを挙げることができる。一部の実施形
態では、ビーズは、アガロースビーズである。ある特定の実施形態では、ビーズは、セフ
ァロースビーズである。
【0289】
特定の実施形態では、刺激性試薬は、単分散性のビーズを含有する。ある特定の実施形
態では、単分散性であるビーズは、直径の標準偏差が互いに5%未満であるサイズ分散を
含む。
【0290】
一部の実施形態では、ビーズは、1つまたは複数の作用物質、たとえば、ビーズの表面
にカップリング、コンジュゲート、または連結(直接的もしくは間接的)された作用物質
を含む。一部の実施形態では、本明細書において企図される作用物質としては、RNA、
DNA、タンパク質(たとえば、酵素)、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗
体、抗体断片、炭水化物、脂質、レクチン、または所望される標的に対する親和性を有す
る任意の他の生体分子を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態
では、所望される標的は、T細胞受容体および/またはT細胞受容体の構成要素である。
ある特定の実施形態では、所望される標的は、CD3である。ある特定の実施形態では、
所望される標的は、T細胞共刺激性分子、たとえば、CD28、CD137(4-1-B
B)、OX40、またはICOSである。1つまたは複数の作用物質は、当該技術分野に
おいて公知であり利用可能である様々な方法によって、ビーズに直接的または間接的に結
合することができる。結合は、共有結合、非共有結合、静電、または疎水性のものであり
得、たとえば、化学的手段、機械的手段、または酵素的手段を含む、様々な結合手段によ
って、達成され得る。一部の実施形態では、生体分子(たとえば、ビオチン化抗CD3抗
体)は、ビーズに直接的に結合している別の生体分子(たとえば、抗ビオチン抗体)を介
して、ビーズに間接的に結合され得る。
【0291】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、ビーズ、および細胞の表面上の巨大分子と直接的
に相互作用する1つまたは複数の作用物質を含有する。ある特定の実施形態では、ビーズ
(たとえば、常磁性ビーズ)は、細胞上の1つまたは複数の巨大分子(たとえば、1つま
たは複数の細胞表面タンパク質)に特異的な1つまたは複数の作用物質(たとえば、抗体
)を介して、細胞と相互作用する。ある特定の実施形態では、ビーズ(たとえば、常磁性
ビーズ)は、本明細書に記載される第1の作用物質、たとえば、一次抗体(たとえば、抗
ビオチン抗体)または他の生体分子で標識され、次いで、第2の作用物質、たとえば、二
次抗体(たとえば、ビオチン化抗CD3抗体)または他の第2の生体分子(たとえば、ス
トレプトアビジン)が添加され、それによって、二次抗体または他の第2の生体分子は、
粒子上のそのような一次抗体または他の生体分子に特異的に結合する。
【0292】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、ビーズ(たとえば、常磁性ビーズ)に結合してお
り、細胞(たとえば、T細胞)上の以下の巨大分子のうちの1つまたは複数に特異的に結
合する、1つまたは複数の作用物質(たとえば、抗体)を含有する:CD2、CD3、C
D4、CD5、CD8、CD25、CD27、CD28、CD29、CD31、CD44
、CD45RA、CD45RO、CD54(ICAM-1)、CD127、MHCI、M
HCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L(CD70)、4
-1BB(CD137)、4-1BBL、CD30L、LIGHT、IL-2R、IL-
12R、IL-1R、IL-15R;IFN-ガンマR、TNF-アルファR、IL-4
R、IL-10R、CD18/CDl la(LFA-1)、CD62L(L-セレクチ
ン)、CD29/CD49d(VLA-4)、ノッチリガンド(たとえば、デルタ様1/
4、Jagged 1/2など)、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5
、CCR7、およびCXCR3、またはこれらの断片(これらの巨大分子もしくはその断
片に対応するリガンドを含む)。一部の実施形態では、ビーズに結合した作用物質(たと
えば、抗体)は、細胞(たとえば、T細胞)上の以下の巨大分子のうちの1つまたは複数
に特異的に結合する:CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3
、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45RO。
【0293】
一部の実施形態では、ビーズに結合される作用物質のうちの1つまたは複数は、抗体で
ある。抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領
域を有する全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗
体(たとえば、二重特異性抗体、ダイアボディ、および一本鎖分子、ならびに抗体断片(
たとえば、Fab、F(ab’)2、およびFv)を挙げることができる。一部の実施形
態では、刺激性試薬は、抗体断片(抗原結合性断片を含む)、たとえば、Fab、Fab
’-SH、Fv、scFv、または(Fab’)2断片である。IgG、IgM、IgA
、IgD、およびIgE定常領域を含め、任意のアイソタイプの定常領域が、本明細書に
おいて企図される抗体に使用され得ること、ならびにそのような定常領域が、任意のヒト
または動物種(たとえば、マウス種)から得ることができることが、理解される。一部の
実施形態では、作用物質は、T細胞受容体の1つまたは複数の構成要素に結合する、およ
び/またはそれを認識する、抗体である。特定の実施形態では、作用物質は、抗CD3抗
体である。ある特定の実施形態では、作用物質は、共受容体に結合する、および/または
それを認識する、抗体である。一部の実施形態では、共刺激性試薬は、抗CD28抗体を
含む。一部の実施形態では、ビーズは、約0.001μmを上回る、約0.01μmを上
回る、約0.1μmを上回る、約1.0μmを上回る、約10μmを上回る、約50μm
を上回る、約100μmを上回る、または約1000μmを上回る、かつ約1500μm
を上回らない、直径を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約1.0μm~約500
μm、約1.0μm~約150μm、約1.0μm~約30μm、約1.0μm~約10
μm、約1.0μm~約5.0μm、約2.0μm~約5.0μm、または約3.0μm
~約5.0μmの直径を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約3μm~約5μmの
直径を有する。一部の実施形態では、ビーズは、少なくとも以下の値、または少なくとも
およそ以下の値、またはおよそ以下の値の直径を有する:0.001μm、0.01μm
、0.1μm、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0
μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm、5.5μm、6.0μm、6
.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0μm、9.5μm
、10μm、12μm、14μm、16μm、18μm、または20μm。ある特定の実
施形態では、ビーズは、4.5μmまたは約4.5μmの直径を有する。ある特定の実施
形態では、ビーズは、2.8μmまたは約2.8μmの直径を有する。
【0294】
一部の実施形態では、ビーズは、0.001g/cmを上回る、0.01g/cm
を上回る、0.05g/cmを上回る、0.1g/cmを上回る、0.5g/cm
を上回る、0.6g/cmを上回る、0.7g/cmを上回る、0.8g/cm
上回る、0.9g/cmを上回る、1g/cmを上回る、1.1g/cmを上回る
、1.2g/cmを上回る、1.3g/cmを上回る、1.4g/cmを上回る、
1.5g/cmを上回る、2g/cmを上回る、3g/cmを上回る、4g/cm
を上回る、または5g/cmを上回る密度を有する。一部の実施形態では、ビーズは
、約0.001g/cm~約100g/cm、約0.01g/cm~約50g/c
、約0.1g/cm~約10g/cm、約0.1g/cm~約.5g/cm
、約0.5g/cm~約1g/cm、約0.5g/cm~約1.5g/cm、約
1g/cm~約1.5g/cm、約1g/cm~約2g/cm、または約1g/
cm~約5g/cmの密度を有する。一部の実施形態では、ビーズは、約0.5g/
cm、約0.5g/cm、約0.6g/cm、約0.7g/cm、約0.8g/
cm、約0.9g/cm、約1.0g/cm、約1.1g/cm、約1.2g/
cm、約1.3g/cm、約1.4g/cm、約1.5g/cm、約1.6g/
cm、約1.7g/cm、約1.8g/cm、約1.9g/cm、または約2.
0g/cmの密度を有する。ある特定の実施形態では、ビーズは、約1.6g/cm
の密度を有する。特定の実施形態では、ビーズまたは粒子は、約1.5g/cmの密度
を有する。ある特定の実施形態では、粒子は、約1.3g/cmの密度を有する。
【0295】
ある特定の実施形態では、複数のビーズが、一様な密度を有する。ある特定の実施形態
では、一様な密度は、平均ビーズ密度の10%未満、5%未満、または1%未満の密度標
準偏差を含む。
【0296】
一部の実施形態では、ビーズは、粒子1グラム当たり約0.001m(m/g)~
約1,000m/g、約.010m/g~約100m/g、約0.1m/g~約
10m/g、約0.1m/g~約1m/g、約1m/g~約10m/g、約1
0m/g~約100m/g、約0.5m/g~約20m/g、約0.5m/g
~約5m/g、または約1m/g~約4m/gの表面積を有する。一部の実施形態
では、粒子またはビーズは、約1m/g~約4m/gの表面積を有する。
【0297】
一部の実施形態では、ビーズは、ビーズの表面またはその近傍に、作用物質にカップリ
ング、連結、またはコンジュゲートすることができる少なくとも1つの材料を含む。一部
の実施形態では、ビーズは、表面官能化されている、すなわち、結合分子、たとえば、ポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドと共有結合を形成することができる官能基を含む。特
定の実施形態では、ビーズは、表面に露出したカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル
基、トシル基、エポキシ基、および/またはクロロメチル基を含む。特定の実施形態では
、ビーズは、表面に露出したアガロースおよび/またはセファロースを含む。ある特定の
実施形態では、ビーズの表面は、結合分子に結合または付着することができる結合型刺激
性試薬を含む。特定の実施形態では、生体分子は、ポリペプチドである。一部の実施形態
では、ビーズは、表面に露出したプロテインA、プロテインG、またはビオチンを含む。
【0298】
一部の実施形態では、ビーズは、磁場で反応する。一部の実施形態では、ビーズは、磁
性ビーズである。一部の実施形態では、磁性ビーズは、常磁性である。特定の実施形態で
は、磁性ビーズは、超常磁性である。ある特定の実施形態では、ビーズは、磁場に曝露さ
れない限り、いずれの磁気特性も示さない。
【0299】
特定の実施形態では、ビーズは、磁性コア、常磁性コア、または超常磁性コアを含む。
一部の実施形態では、磁性コアは、金属を含有する。一部の実施形態では、金属は、鉄、
ニッケル、銅、コバルト、ガドリニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、ジルコニウム、ま
たはこれらの任意の組合せであり得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態で
は、磁性コアは、金属酸化物(たとえば、酸化鉄)、フェライト(たとえば、マンガンフ
ェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライトなど)、ヘマタイト、ならびに金属
合金(たとえば、CoTaZn)を含む。一部の実施形態では、磁性コアは、フェライト
、金属、金属合金、酸化鉄、または二酸化クロムのうちの1つまたは複数を含む。一部の
実施形態では、磁性コアは、元素鉄またはその化合物を含む。一部の実施形態では、磁性
コアは、マグネタイト(Fe3O4)、マグへマイト(γFe2O3)、またはグレイジ
ャイト(Fe3S4)のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、内部コアは
、酸化鉄(たとえば、Fe)を含む。
【0300】
ある特定の実施形態では、ビーズは、表面官能化コート(coat)またはコーティン
グ(coating)によって被覆された磁性コア、常磁性コア、および/または超常磁
性コアを含有する。一部の実施形態では、コートは、ポリマー、多糖類、シリカ、脂肪酸
、タンパク質、炭素、アガロース、セファロース、またはこれらの組合せが含まれ得るが
これらに限定されない材料を含有し得る。一部の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレ
ングリコール、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリグルタルアルデヒド、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、またはポリビニルアルコールであり得る。ある特定の実施形態では、
外側のコートまたはコーティングは、ポリスチレンを含む。特定の実施形態では、外側の
コーティングは、表面官能化されている。
【0301】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、金属酸化物コア(たとえば、酸化鉄コア)および
コートを含有するビーズを含み、ここで、金属酸化物コアは、少なくとも1つの多糖類(
たとえば、デキストラン)を含み、コートは、少なくとも1つの多糖類(たとえば、アミ
ノデキストラン)、少なくとも1つのポリマー(たとえば、ポリウレタン)、およびシリ
カを含む。一部の実施形態では、金属酸化物コアは、コロイド状酸化鉄コアである。ある
特定の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合性断片を含
む。特定の実施形態では、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28
抗体を含む。一部の実施形態では、刺激性試薬は、抗CD3抗体、抗CD28抗体、およ
び抗ビオチン抗体を含む。一部の実施形態では、刺激性試薬は、抗ビオチン抗体を含む。
一部の実施形態では、ビーズは、約3μm~約10μmの直径を有する。一部の実施形態
では、ビーズは、約3μm~約5μmの直径を有する。ある特定の実施形態では、ビーズ
は、約3.5μmの直径を有する。
【0302】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、金属酸化物コア(たとえば、酸化鉄内部コア)お
よびコート(たとえば、保護コート)を含むビーズに結合した、1つまたは複数の作用物
質を含み、ここで、コートは、ポリスチレンを含む。ある特定の実施形態では、ビーズは
、常磁性(たとえば、超常磁性)鉄コア、たとえば、マグネタイト(Fe)および
/またはマグへマイト(γFe)cを含むコア、ならびにポリスチレンコートまた
はコーティングを含む、単分散性の常磁性(たとえば、超常磁性)ビーズである。一部の
実施形態では、ビーズは、非多孔性である。一部の実施形態では、ビーズは、1つまたは
複数の作用物質が付着する、官能化された表面を含む。ある特定の実施形態では、1つま
たは複数の作用物質は、表面で、ビーズに共有結合する。一部の実施形態では、1つまた
は複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、1つ
または複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む。一部の実施形態で
は、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体、ならび
に標識された抗体(たとえば、ビオチン化抗体)、たとえば、標識された抗CD3抗体ま
たは抗CD28抗体に結合することができる抗体またはその抗原断片を含む。ある特定の
実施形態では、ビーズは、約1.5g/cmの密度および約1m/g~約4m/g
の表面積を有する。特定の実施形態では、ビーズは、約4.5μmの直径および約1.5
g/cmの密度を有する、単分散性の超常磁性ビーズである。一部の実施形態では、ビ
ーズは、約2.8μmの平均直径および約1.3g/cmの密度を有する、単分散性の
超常磁性ビーズである。
【0303】
一部の実施形態では、濃縮されたT細胞の組成物は、ビーズの細胞に対する比が以下の
比またはおよそ以下の比で、刺激性試薬とともにインキュベートされる:3:1、2.5
:1、2:1、1.5:1、1.25:1、1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:
1、0.8:1、0.75:1、0.67:1、0.5:1、0.3:1、または0.2
:1。特定の実施形態では、ビーズの細胞に対する比は、2.5:1~0.2:1、2:
1~0.5:1、1.5:1~0.75:1、1.25:1~0.8:1、1.1:1~
0.9:1である。特定の実施形態では、刺激性試薬の細胞に対する比は、約1:1であ
るか、または1:1である。
【0304】
細胞からの刺激性試薬の除去
【0305】
ある特定の実施形態では、刺激性試薬は、細胞から除去および/または分離される。理
論に束縛されることを望むものではないが、特定の実施形態では、刺激性試薬と細胞との
間の結合および/または会合が、一部の状況では、インキュベーションの間に、経時的に
低減され得ることが企図される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の作用物質が
、刺激性試薬と細胞との間の結合および/または会合を低減するために、添加され得る。
特定の実施形態では、細胞培養条件、たとえば、媒体の温度またはpHの変化により、刺
激性試薬と細胞との間の結合および/または会合が低減され得る。したがって、一部の実
施形態では、刺激性試薬は、同様に、たとえば、インキュベーション、細胞培養システム
、および/または溶液から細胞を取り出すことなしに、細胞とは別個に、インキュベーシ
ョン、細胞培養システム、および/または溶液から除去することができる。
【0306】
刺激性試薬(たとえば、ビーズ粒子または磁化可能粒子などの粒子であるか、またはそ
れを含む、刺激性試薬)を細胞から除去するための方法は、公知である。一部の実施形態
では、たとえば、刺激性試薬の一次抗体に結合し、細胞上のその抗原に対するそれの親和
性を改変させ、それによって、緩徐な脱離を可能にする、競合抗体、たとえば、非標識抗
体の使用が、使用され得る。一部の事例では、脱離後に、競合抗体は、粒子(たとえば、
ビーズ粒子)と会合したままであり得るが、未反応の抗体は、洗い流すかまたは洗い流し
てもよく、細胞は、単離、選択、濃縮、および/または活性化抗体が含まれない。例示的
なそのような試薬は、DETACaBEADである(Friedlら、1995年;En
tschladenら、1997年)。一部の実施形態では、粒子(たとえば、ビーズ粒
子)は、切断可能なリンカー(たとえば、DNAリンカー)の存在下において除去するこ
とができ、それによって、粒子が結合した抗体が、リンカーにコンジュゲートされる(た
とえば、CELLection、Dynal)。一部の事例では、リンカー領域は、単離
後に、たとえば、DNaseまたは他の剥離緩衝剤の添加によって、粒子(たとえば、ビ
ーズ粒子)を細胞から除去するための切断可能な部位を提供する。一部の実施形態では、
他の酵素的方法もまた、細胞からの粒子(たとえば、ビーズ粒子)の剥離に利用すること
ができる。一部の実施形態では、粒子(たとえば、ビーズ粒子または磁化可能粒子)は、
生体分解性である。
【0307】
一部の実施形態では、刺激性試薬は、磁性、常磁性、および/もしくは超常磁性である
、かつ/または磁性、常磁性、および/もしくは超常磁性であるビーズを含み、刺激性試
薬は、細胞を磁場に曝露することによって、細胞から除去することができる。磁場を生成
するための磁石を含む好適な機器の例としては、DynaMag CTS(Thermo
Fisher)、Magnetic Separator(Takara)、およびE
asySepMagnet(Stem Cell Technologies)が挙げら
れる。
【0308】
特定の実施形態では、刺激性試薬は、本明細書に提供される方法によって産生される操
作細胞を採取、収集、および/または製剤化する前に、細胞から除去または分離される。
一部の実施形態では、刺激性試薬は、細胞に操作、たとえば、形質導入またはトランスフ
ェクトを行う前に、細胞から除去および/または分離される。特定の実施形態では、刺激
性試薬は、細胞を操作するステップの後に、細胞から除去および/または分離される。あ
る特定の実施形態では、刺激性試薬は、細胞の培養の前、たとえば、増殖および/または
増大を促進する条件下における、操作、たとえば、トランスフェクトまたは形質導入を行
った細胞の培養の前に、除去される。
【実施例0309】
目的の細胞集団の選択または単離の前に、アフェレーシスを極低温保存することの効果
を評価するために、アフェレーシス試料を、操作T細胞を産生するように設計されたプロ
セスの様々なステップから、取得した。試料を、様々な時点で、細胞生存性、細胞数収率
、細胞表現型、および細胞活性に関して、評価した。これらの研究は、アフェレーシス材
料の極低温保存が、(1)関連するCD4+T細胞およびCD8+T細胞の集団の表現型
比率に影響を及ぼしたかどうか、(2)解凍後の関連するT細胞集団を分類および選択す
る能力に影響を及ぼしたかどうか、ならびに/または(3)細胞の健康状態および/もし
くは機能性に影響を及ぼしたかどうかを判定するように、設計した。
【0310】
以下の例では、アフェレーシスは、ドナーから収集されたアフェレーシスを指す。極低
温保存したアフェレーシスは、収集後ではあるが、試料内の目的の任意の細胞集団の選択
の前に、アフェレーシス試料の極低温保存により得られた細胞産物を指す。静置したアフ
ェレーシスは、極低温保存したアフェレーシスを解凍した後に、任意のさらなる処理ステ
ップの前に所定の時間静置させたステップにより得られた細胞産物を指す。極低温保存し
選択した材料は、目的の細胞(これらの例では、CD4+T細胞およびCD8+T細胞)
を単離した後に、それらに、単離後の極低温保存ステップを受けさせたステップにより得
られた細胞産物を指す。
【0311】
(実施例1)
抗CD19 CARを発現するCD4+細胞およびCD8+細胞の治療用組成物を生成
するためのプロセス
【0312】
それぞれ、同じ抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作CD4+T細胞
および操作CD8+T細胞を、本明細書に概説されるようなプロセスによって、産生させ
た。以下の実施例2に記載されるように、細胞は、CD4+細胞およびCD8+細胞の別
個の組成物を、ヒト白血球アフェレーシス試料から単離したPBMCから選択し、極低温
凍結させるプロセスによって、産生させた。選択したCD4+組成物およびCD8+組成
物を、続いて、解凍させ、別個に、刺激、形質導入、および増大のステップを受けさせた
。第2の例示的なプロセスには、選択ステップの前に、追加の極低温保存ステップが含ま
れた。
【0313】
単離したCD4+細胞およびCD8+細胞を、別個に、ビーズの細胞に対する比が1:
1で、抗CD3抗体および抗CD28抗体が結合した常磁性ポリスチレンコーティングビ
ーズの存在下において、刺激した。細胞を、IL-2、IL-15、およびN-アセチル
システイン(NAC)を含有する媒体において、刺激した。CD4+細胞の媒体は、IL
-7もまた含んでいた。
【0314】
ビーズの導入の後に、CD4+細胞およびCD8+細胞に、同じ抗CD19 CARを
コードするレンチウイルスベクターを別個に形質導入した。CARは、マウス抗体に由来
する抗CD19 scFv、免疫グロブリンスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメ
イン、4-1BBに由来する共刺激性領域、およびCD3-ゼータ細胞内シグナル伝達ド
メインを含んでいた。
【0315】
形質導入の後に、ビーズを、磁場への曝露によって、細胞組成物から除去した。CD4
+細胞およびCD8+細胞を、次いで、バイオリアクター(Xuri W25 Bior
eactor)による継続的な混合および酸素移動を伴う増大のために、別個に培養した
。ポロキサマーを、媒体に添加した。いずれの細胞組成物も、IL-2およびIL-15
の存在下において培養した。CD4+細胞の媒体は、IL-7もまた含んでいた。CD4
+細胞およびCD8+細胞は、それぞれ、採取の前に、所望される細胞数および/または
濃度まで、培養した。閾値に達した1日後に、それぞれの組成物から細胞を別個に採取し
、製剤化し、極低温凍結させた。
【0316】
段階的な凍結プロファイルを利用する制御された速度の凍結装置を、以下の実施例に記
載される極低温保存ステップに使用した。
【0317】
(実施例2)
研究の設計
【0318】
2人の健常なドナー(すなわち、ドナー1およびドナー2)を、この研究に使用し、初
回入手アフェレーシス(APH)材料を、それぞれのドナーについて、5つの異なるアー
ムに分割した。入手アフェレーシス量の5分の1(対照アームまたはアーム5および10
)を、洗浄し、単離ステップに供して、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を単離し、
この時点で、選択した細胞を、2週間極低温保存した。それぞれのドナーに由来する残り
のアフェレーシスを、4つの試料に分割した後、極低温保存した(アーム1~4およびア
ーム6~9)。それぞれの極低温保存した試料を、解凍し、洗浄し、37℃で2時間静置
した後に選択したか、または解凍および洗浄の直後に選択ステップに供したかのいずれか
であった。アームの半数は、選択後に凍結させ、もう半数は、直接、活性化へと進めた。
【0319】
アーム1、2、6、および7の試料は、2週間極低温保存した後に、細胞を解凍してC
D4+T細胞およびCD8+T細胞の集団の単離を行い、細胞活性化方法に供した。アー
ム1および6には、追加のステップである、解凍した後に細胞を、任意のさらなる処理の
前にインキュベーターにおいて2時間静置させる静置ステップが、含まれた。アーム3、
4、8、および9の試料は、2~4日間極低温保存した後に、解凍してCD4+T細胞お
よびCD8+T細胞の集団の選択を受けさせ、その時点で、選択した集団を、1週間極低
温保存した後に、細胞を解凍し、続いて、刺激に供した。アーム3および8には、追加の
ステップである解凍した後に細胞を、任意のさらなる処理の前にインキュベーターにおい
て2時間静置させる静置ステップが、含まれた。
【0320】
細胞に、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を単離する選択ステップを含む様々な処
理ステップを行った。この選択ステップにおいて、それぞれのアームを、部分アーム(す
なわち、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の部分アーム)に分割し、この時点で、選
択した細胞を、残りの処理ステップへと進めた。表1は、それぞれのアームが受けた極低
温保存ステップを含む研究設計を示す。
【0321】
【表1】
【0322】
(実施例3)
アフェレーシス材料の極低温保存は、細胞の表現型に、意味がある影響を及ぼさない
【0323】
凍結が異なる表現型の細胞の分布に対して与える影響を評価するために、アフェレーシ
ス試料の極低温保存前および極低温保存後に、フロー分析を行った。T細胞、B細胞、N
K細胞、NK-T細胞、単球、樹状細胞、およびメモリーT細胞の表現型の分布を評価す
るために、特注のフローパネルを開発した。結果により、異なる表現型の細胞の分布は、
極低温保存前の試料と極低温保存後の試料で、同等であったことが示唆される。
【0324】
極低温保存したアフェレーシス試料および新しいアフェレーシス試料の両方を、フロー
サイトメトリーを使用して、細胞表面上のCD4分子およびCD8分子の存在について、
分析した。このアッセイの結果は、表面のCD4分子およびCD8分子のレベルが、極低
温保存によって影響を受けないことを示した。また、これらの結果により、アフェレーシ
スの極低温保存は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の割合が、両方のドナーについ
て、極低温凍結前および極低温凍結後で、同程度であったため、試料中のこれらの細胞の
相対的な比率に影響を及ぼさなかったことが示唆される。
【0325】
(実施例4)
CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の集団の単離に対する極低温保存の影響
【0326】
さらに、アフェレーシスを極低温保存することが、CD4+T細胞およびCD8+T細
胞の処理に影響を及ぼすかどうかを評価するために、生存性アッセイを、目的の細胞の選
択に至る様々なステップにおいて、行った。細胞生存性を、極低温保存後の静置期間なし
で選択ステップの前に極低温保存に供した細胞(アーム2、4、7、および9)、極低温
保存後の静置期間ありで選択ステップの前に極低温保存に供した細胞(アーム1、3、6
、および8)、ならびに単離ステップの後に極低温保存に供した細胞(アーム5および1
0、または対照アーム)について、プロセスの様々なステップにおいて、評価した。具体
的には、アフェレーシスを収集した後、アフェレーシスを極低温保存用に製剤化した後、
アフェレーシスを所定の期間極低温保存し、解凍および希釈を行った後、解凍し希釈した
アフェレーシスを洗浄した後、洗浄したアフェレーシスをインキュベーターにおいて2時
間静置させた後、抗体をコーティングしたビーズを試料に添加した後、ならびにCD8+
T細胞および/またはCD4+T細胞を単離した後に、生存性を評価した。すべてのアー
ムにわたる細胞生存性の値は、それぞれの処理ステップにおいて、対照アームの細胞生存
性の値と同程度であった。
【0327】
全有核細胞数(TNC)もまた、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞の単離
に至る様々なステップの間に、すべての試料について、判定した。細胞喪失は、大部分が
、製剤化ステップ中に生じることが見出された。単離後の細胞数の値を、単離前の細胞数
の値に対して正規化することによって得られた細胞収率比は、極低温保存したアフェレー
シス試料における細胞喪失は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の集団の単離前に生
じていたこと、ならびに単離プロセス内でのステップごとの細胞収率は、影響を受けなか
ったことを示した。しかしながら、この実験において、選択した細胞に対応する最終的な
TNCの値は、それぞれのドナーについて、それぞれの細胞型の、一部の極低温保存した
アフェレーシスのアームと対照アームとの間で、おそらくは単離前に生じる細胞喪失に起
因して、わずかに異なることが見出された。しかしながら、1人のドナーのCD4+T細
胞の収率は、極低温保存したアフェレーシスと対照アームとの間で、同程度であることが
見出された。
【0328】
(実施例5)
単離ステップおよび凍結ステップの後の細胞の表現型および生存性の評価
【0329】
単離ステップの後に、極低温保存ステップを要した細胞(アーム3、4、5、8、9、
および10)を、極低温保存し、次いで、さらなる分析のために解凍した。アーム3、4
、8、および9の細胞は、1.5~2週間、極低温で保管した後、さらなる分析および処
理のために解凍した。アーム5および10(または対照アーム)の細胞は、2週間、極低
温で保管した後、さらなる分析および処理のために解凍した。この時点で、それぞれのド
ナーのすべてのアームから得られたすべての単離T細胞集団について、任意の細胞活性化
ステップの前に、アッセイを行った。TMEMアッセイにより、それぞれのドナーの異な
るアームから選択した細胞集団にわたって、様々なT細胞マーカーの存在を評価した。細
胞表現型分布(選択したマーカーの検出に基づく)は、それぞれのドナーについて、それ
ぞれの細胞型の、極低温保存したアフェレーシスのアームと対照のアームとの間で、大き
な差はなかった。単離後の凍結ステップを受けなかったアームの細胞は、ナイーブ様細胞
(CD45RA+/CCR7+、CD27+/CD28+)への傾向が強く、最終エフェ
クター細胞(CD45RA+、CCR7-)は少なかった。CD62Lは、単離後の凍結
ステップに供した試料では、わずかに低減された。
【0330】
細胞生存性を、細胞活性化の前に、それぞれのドナーに由来するそれぞれの細胞型のす
べてのアームについて評価した。細胞生存性は、それぞれのドナーに由来するそれぞれの
細胞型の、極低温保存したアフェレーシスのアームと対照アームとの間で、大きな差はな
かった。加えて、単離後の凍結ステップの作用を評価するために、単離後の凍結ステップ
の後に得られた細胞数を、単離直後、凍結前に得られた細胞数に対して正規化することに
よって、細胞収率比を得た。細胞収率比は、極低温保存したアフェレーシスのアームと、
対照アームとの間で、同様であった。
【0331】
カスパーゼ3のレベルは、アーム全体で、低いことが見出された(5%未満または約5
%)。
【0332】
(実施例6)
活性化、形質導入、および増大の間の細胞生存性および細胞収率の評価
【0333】
既に考察したように、単離ステップの後に、単離後の凍結ステップを受ける必要のある
研究アームは、所定の時間、極低温で保管した後に、解凍し、続けて活性化、形質導入、
および増大のステップを行った。細胞生存性およびTNCの値は、極低温保存した材料を
解凍した後、解凍した材料を、抗CD3抗体および抗CD28抗体が結合した常磁性ポリ
スチレンコーティングビーズの存在下において刺激した後、活性化した細胞が形質導入を
受けた後、ビーズを細胞から除去した後、ならびに細胞を2または3日間増大させた後に
、判定した。細胞生存性は、それぞれのドナーについて、それぞれの細胞型の、極低温保
存したアフェレーシスのアームと対照アームとの間で、同程度であることが見出された。
刺激ステップにおいて、極低温保存したアフェレーシスのアームの細胞生存性の値は、対
応する対照アームの値と比較して、20%未満の差を示した。このパーセント差は、すべ
ての他のステップでは、10%よりも低かった。加えて、これらのステップのそれぞれに
おいて得られたTNCの値は、極低温保存したアフェレーシスのアームと、それらの対応
する対照アームとの間で、同等であった。さらに、それぞれのステップにおいて計算した
増大倍数もまた、極低温保存したアフェレーシスのアームと、それらの対応する対照アー
ムとの間で、同等であることが見出された。
【0334】
これらの結果により、この実験において、静置も単離直後のさらなる極低温保存ステッ
プもなしの極低温保存したアフェレーシス試料、および静置ステップはあるが、単離直後
のさらなる極低温保存ステップはなしの極低温保存したアフェレーシス試料が、それらの
対応する対照アームと比較して、類似かまたは高い最終細胞収率を有することが示された
【0335】
(実施例7)
極低温保存した組成物の製剤化の間の細胞生存性、細胞収率、および細胞活性の評価
【0336】
増大ステップの後に得られたそれぞれのアームからの細胞を、極低温保存媒体において
製剤化し、凍結させた。試料を、次いで、さらなる分析のために解凍した。細胞生存性お
よび細胞収率の値を、このステップの時点で、研究のすべてのアームにおける細胞につい
て、判定した。平均の生存性および細胞数収率は、このステップの時点で、極低温保存し
たアフェレーシスのアームと、それらの対応する対照アームとの間で、同等であった。
【0337】
さらに、すべてのアームについて、細胞表現型分布を評価するために、アッセイを行っ
た。細胞表現型は、極低温保存したアフェレーシスのアームと、それらの対応する対照ア
ームとの間で、統計学的に同等であることが見出された。単離後の凍結ステップを受けな
かったアームは、CD45RA+/CCR7+細胞およびCD27+/CD28+細胞を
より高い割合で含み、CD45RA+細胞、CCR7-細胞は少ない傾向にあった。加え
て、この実験において、カスパーゼ3のレベルは、CD8+T細胞のアームでは、CD4
+T細胞のアームと比較して、わずかに高いことが見出され、単離後の凍結ステップを含
んでいたアームは、このステップを含んでいなかったアームよりも高いカスパーゼレベル
を示した。
【0338】
インターフェロンガンマ(IFNγ)分泌を使用して、処理後のT細胞機能性を評価し
た。それぞれのアームからのT細胞を、IFNγを産生するように刺激した。刺激後に、
上清を収集し、上清中に分泌されたIFNγを測定した。すべての実験条件について、値
は、それらの対応する対照の値と一致しており、最終的な細胞産物の細胞活性が、初期の
極低温保存ステップによって影響を受けなかったことが示された。
【0339】
さらに、産生されたCD8+T細胞の細胞溶解活性を評価するために、細胞溶解アッセ
イも行った。細胞溶解活性を、様々なエフェクター細胞:標的細胞の比で測定して、EC
50(標的細胞の50%を殺滅するのに必要な比率)を判定した。極低温保存したアフェ
レーシスのアームの、それらの対応する対照アームと比較した、細胞溶解EC50の差異
倍数は、2倍未満の差異であることが見出され、異なるアーム条件が、結果として得られ
る細胞の細胞溶解EC50に、意味がある変化を及ぼすことはなかったことが示唆された

例示的な実施形態
【0340】
1.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法で
あって、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断された後であり、かつド
ナーが以下の:疾患もしくは状態の任意の初回処置、疾患もしくは状態の処置のための任
意の標的化処置もしくはそれを対象とする任意の処置、または放射線照射および/もしく
は化学療法以外の任意の処置のうちの1つまたは複数を受ける前である時点、(ii)ド
ナーにおける、疾患もしくは状態の初回処置の後の疾患もしくは状態の1回目の再発の後
であり、かつドナーが疾患もしくは状態の再発後の処置を受ける前である時点、あるいは
(iii)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されていないか、または疾患もしくは
状態を有することが判明していないか、または疾患もしくは状態を有することが疑われて
いない時点において、ドナーから得られている、方法。
【0341】
2.生物学的試料が、ドナーの血液試料であるか、またはそれに由来する、実施形態1
に記載の方法。
【0342】
3.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞集団および/またはT細胞集団および
/またはT細胞サブセットの選択ステップに供されていない、および/またはそれが濃縮
されていない、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
【0343】
4.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞および/またはT細胞集団の選択ステ
ップおよび/または濃縮に供されており、必要に応じて、前記極低温保管の前に、生物学
的試料から細胞集団を選択または濃縮することをさらに含む、実施形態1または実施形態
2に記載の方法。
【0344】
5.選択ステップおよび/または濃縮が、免疫親和性に基づく選択を含む、および/ま
たは陽性選択もしくは陰性選択を含む、実施形態4に記載の方法。
【0345】
6.選択ステップおよび/または濃縮が、CD4細胞もしくはそのサブセットおよび
/またはCD8+細胞もしくはそのサブセットの濃縮および/または単離を含み、CD4
細胞またはそのサブセットの濃縮または単離が、CD8細胞またはそのサブセットの
選択および/または単離とは別個にまたはそれと組み合わせてのいずれかで行われ、必要
に応じて、CD8細胞のサブセットおよび/またはCD4細胞のサブセットが、必要
に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー
細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(T
細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(T)細胞、お
よび/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態2~5のい
ずれかに記載の方法。
【0346】
7.細胞が、T細胞を含むか、またはT細胞が濃縮されている、実施形態1~6のいず
れか1つに記載の方法。
【0347】
8.T細胞が、CD4T細胞もしくはそのサブセット、CD8T細胞もしくはその
サブセット、またはこれらの混合物を含むか、またはそれらが濃縮されており、CD8
細胞のサブセットおよび/またはCD4細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリー
細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、ス
テムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(T)細胞、エフェクター
メモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(T)細胞、および/または調節性
T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
【0348】
9.細胞を極低温で保管する前に、細胞を、0℃よりも低いかまたは0℃に等しい温度
に冷却することをさらに含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0349】
10.細胞を保管する前および/または冷却する前に、細胞を、凍結溶液と合わせるこ
とをさらに含む、実施形態8に記載の方法。
【0350】
11.凍結溶液が、約10%のジメチルスルホキシド(DMSO)および血清タンパク
質、必要に応じて、ヒト血清アルブミン、必要に応じて、約4%のヒト血清アルブミンを
含む、ならびに/または凍結溶液、および/もしくは細胞が極低温保存および保管される
最終濃度の組成物が、約1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、もしくは約
6体積%~約9体積%のDMSOを含む、および/または約3体積%、約4体積%、約5
体積%、約5.5体積%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、
約8体積%、約8.5体積%、約9体積%、約9.5体積%、もしくは約10体積%のD
MSOを含む、実施形態10に記載の方法。
【0351】
12.細胞を冷却することが、1分間につき1℃または約1℃の速度で、必要に応じて
、温度が-80℃または約-80℃に達するまで、温度を低下させることを含む、実施形
態9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0352】
13.細胞が、液体窒素の気相に入れた容器において極低温で保管され、容器が、必要
に応じて、極低温保存に好適なバッグまたはバイアルである、実施形態1~11のいずれ
か1つに記載の方法。
【0353】
14.細胞が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時
間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月
間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11
カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、
10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、
18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、極低
温で保管される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0354】
15.細胞が、ある期間保管され、期間の後、組成物中の生存細胞もしくは生存T細胞
またはそれらのサブタイプもしくはサブセットの割合が、約24%~約100%であるか
、または少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、
65、70、75、80、85、もしくは90%である、実施形態1~14のいずれかに
記載の方法。
【0355】
16.疾患が、がん、炎症性疾患もしくは状態、自己免疫性疾患もしくは状態、または
感染性疾患もしくは状態である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0356】
17.がんが、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、
有毛細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、null型急性リンパ芽球性白血病、ホジキ
ンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、濾
胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、また
は急性骨髄性白血病である、実施形態16に記載の方法。
【0357】
18.がんが、ROR1、EGFR、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、
CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、C
D24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4
、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、G
D2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、
kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、MUC1、MU
C16、B細胞成熟抗原(BCMA)、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSC
A、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗
原、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSM
A、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、C
D123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルム
ス腫瘍1(WT-1)、およびサイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)の
うちの少なくとも1つを発現する細胞を含む、実施形態16または17に記載の方法。
【0358】
19.初回処置または後続の処置が、化学療法、放射線照射、および/もしくは外科手
術である、ならびに/またはデバルキング処置である、実施形態1~18のいずれか1つ
に記載の方法。
【0359】
20.初回処置または後続の処置が、化学療法の組合せであるか、またはそれを含む、
実施形態19に記載の方法。
【0360】
21.ドナーが、ヒトである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0361】
22.極低温保管の前に、細胞を、必要に応じて、1つまたは複数の表現型マーカーに
ついて、細胞の表面発現を評価することによって、分析することをさらに含む、実施形態
1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0362】
23.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態1~21のいずれ
か1つに記載の方法。
【0363】
24.細胞の活性を増加させるために、極低温後修飾を行うことをさらに含む、実施形
態23に記載の方法。
【0364】
25.極低温後修飾が、極低温保管の前に細胞を分析することに基づく、実施形態24
に記載の方法。
【0365】
26.細胞の極低温保管および/または解凍の後に、組換えまたは外因性分子を発現す
るように細胞を操作することをさらに含み、これが、必要に応じて、組換えタンパク質、
必要に応じて、組換え受容体であり、これが、必要に応じて、T細胞受容体(TCR)、
キメラ受容体、および/またはキメラ抗原受容体であるか、またはそれらを含む、実施形
態23~25のいずれかに記載の方法。
【0366】
27.組換え分子が、疾患または状態によって発現されるか、それらによって特異的に
発現されるか、またはそれらと関連する抗原を特異的に認識するか、またはそれに特異的
に結合する組換え受容体である、実施形態26に記載の方法。
【0367】
28.ドナーから収集されたとき、および/またはアフェレーシス試料中の合計の、細
胞の数が、以下の数もしくはおよそ以下の数であるか、または以下の数もしくはおよそ以
下の数を上回らない、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法:500×10
、1000×10個、2000×10個、3000×10個、4000×10
、もしくは5000×10個、またはそれよりも多くの合計細胞もしくは合計有核細胞
【0368】
29.アフェレーシス試料を処理するための方法であって、(a)ドナーから得られた
アフェレーシス試料を、低温環境で、保管施設に輸送すること、および(b)必要に応じ
て保管施設において、アフェレーシス試料を極低温で保管することを含む、方法。
【0369】
30.試料を輸送する前および/または試料を極低温で保管する前に、アフェレーシス
試料からT細胞を濃縮することをさらに含む、実施形態29に記載の方法。
【0370】
31.T細胞が、CD4T細胞もしくはそのサブセット、CD8T細胞もしくはそ
のサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが
濃縮されており、必要に応じて、CD8細胞のサブセットおよび/またはCD4細胞
のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、
エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エ
フェクターT(T)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイー
ブT(T)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される
、ならびに/または試料が、バルクT細胞が濃縮されている、実施形態30に記載の方法
【0371】
32.輸送する前に、アフェレーシス試料を分析することをさらに含む、実施形態29
~31のいずれか1つに記載の方法。
【0372】
33.輸送する前に、アフェレーシス試料に凍結溶液を添加することをさらに含む、実
施形態29~32のいずれか1つに記載の方法。
【0373】
34.輸送する前に、アフェレーシス試料に凍結溶液を添加することをさらに含み、凍
結溶液が、輸送する前にアフェレーシス試料を分析することに基づいて選択される、実施
形態32に記載の方法。
【0374】
35.輸送する前に、アフェレーシス試料を極低温で凍結させることをさらに含む、実
施形態29~34のいずれか1つに記載の方法。
【0375】
36.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料からT細胞
を濃縮することをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0376】
37.T細胞が、CD4T細胞もしくはそのサブセット、CD8T細胞もしくはそ
のサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが
濃縮されており、必要に応じて、CD8細胞のサブセットおよび/またはCD4細胞
のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、
エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エ
フェクターT(T)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイー
ブT(T)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される
、ならびに/またはバルクT細胞を含む、実施形態36に記載の方法。
【0377】
38.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細
胞を分析することをさらに含む、実施形態36~37のいずれか1つに記載の方法。
【0378】
39.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細
胞に、凍結溶液を添加することをさらに含む、実施形態36~38のいずれか1つに記載
の方法。
【0379】
40.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細
胞に、凍結溶液を添加することをさらに含み、凍結溶液が、必要に応じて、輸送した後、
かつ細胞を極低温で保管する前に、アフェレーシス試料またはT細胞を分析することに基
づいて選択される、実施形態38に記載の方法。
【0380】
41.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態29~40のいず
れか1つに記載の方法。
【0381】
42.解凍の後に、細胞を分析することをさらに含む、実施形態41に記載の方法。
【0382】
43.解凍の後の分析に基づいて、細胞のさらなる修飾のための条件を選択することを
さらに含む、実施形態42に記載の方法。
【0383】
44.処置の方法であって、必要に応じて対象に由来するT細胞を含む、極低温で凍結
された細胞の試料を得て、必要に応じて解凍することであって、前記得ることの前に、細
胞が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間、また
は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年間の期間、極低温で
凍結されていることと、組換え抗原受容体を発現するように、細胞を修飾することと、細
胞を対象に投与することとを含む、方法。
【0384】
45.試料が、実施形態1~43のいずれかに記載の方法に従って凍結および/または
保管されている、実施形態44に記載の方法。
さらなる例示的な実施形態I
【0385】
1.操作細胞の組成物を産生するための方法であって、(a)(i)TCR複合体の1
つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/ま
たは1つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメイン
を活性化することができる刺激性試薬、ならびに(ii)1つまたは複数のサイトカイン
の存在を含む刺激条件下において、CD4+初代ヒトT細胞が濃縮されたT細胞を含むイ
ンプット組成物をインキュベートし、それによって、刺激された組成物を生成することと
、(b)組換え受容体を、刺激された組成物に導入し、それによって、操作T細胞を含む
、操作組成物を生成することとを含み、インプット組成物が、少なくとも1、2、3、4
、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間、または少なくとも1、2、3、4、5
、6、7、8、9、もしくは10年間の期間、極低温で保管されている試料であるか、ま
たはそれに由来する、方法。
【0386】
2.刺激性試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合し、必要に応じてCD3に
特異的に結合する一次作用物質を含む、実施形態1に記載の方法。
【0387】
3.刺激性試薬が、T細胞共刺激性分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含み
、必要に応じて、共刺激性分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、
またはICOSから選択される、実施形態2に記載の方法。
【0388】
4.一次および/または二次作用物質が、抗体を含み、必要に応じて、刺激性試薬が、
抗CD3抗体および抗CD28抗体またはそれらの抗原結合性断片とのインキュベーショ
ンを含む、実施形態2または実施形態3に記載の方法。
【0389】
5.一次作用物質および/または二次作用物質が、固体支持体の表面上に存在する、実
施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
【0390】
6.固体支持体が、ビーズであるか、またはビーズを含む、実施形態5に記載の方法。
【0391】
7.ビーズが、3.5μmを上回るかまたは約3.5μmを上回るが、約9μmを上回
らない、または約8μmを上回らない、または約7μmを上回らない、または約6μmを
上回らない、または約5μmを上回らない直径を含む、実施形態6に記載の方法。
【0392】
8.ビーズが、4.5μmまたは約4.5μmの直径を含む、実施形態6または実施形
態7に記載の方法。
【0393】
9.ビーズが、不活性である、実施形態6~8のいずれか1つに記載の方法。
【0394】
10.ビーズが、ポリスチレン表面であるか、またはそれを含む、実施形態6~9のい
ずれか1つに記載の方法。
【0395】
11.ビーズが、磁性または超常磁性である、実施形態6~10のいずれか1つに記載
の方法。
【0396】
12.ビーズの細胞に対する比が、3未満:1である、実施形態6~11のいずれか1
つに記載の方法。
【0397】
13.ビーズの細胞に対する比が、2:1または約2:1~0.5:1である、実施形
態6~12のいずれか1つに記載の方法。
【0398】
14.ビーズの細胞に対する比が、1:1または約1:1である、実施形態6~13の
いずれか1つに記載の方法。
【0399】
15.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌ
クレオチドを含むウイルスベクターを形質導入することを含む、実施形態1~14のいず
れか1つに記載の方法。
【0400】
16.ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態15に記載の方
法。
【0401】
17.ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベク
ターである、実施形態15または実施形態16に記載の方法。
【0402】
18.導入することが、形質導入アジュバントの存在下において行われる、実施形態1
5~17のいずれか1つに記載の方法。
【0403】
19.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌ
クレオチドを含むベクターをトランスフェクトすることを含む、実施形態1~18のいず
れか1つに記載の方法。
【0404】
20.ベクターが、トランスポゾン、必要に応じて、スリーピングビューティー(SB
)トランスポゾンまたはピギーバックトランスポゾンである、実施形態19に記載の方法
【0405】
21.操作細胞の増殖または増大を促進する条件下において、操作組成物を培養し、そ
れによって、操作T細胞を含むアウトプット組成物を産生することをさらに含む、実施形
態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0406】
22.刺激性試薬が、培養する前に、操作組成物から除去される、実施形態21に記載
の方法。
【0407】
23.ビーズを除去することが、操作組成物の細胞を、磁場に曝露することを含む、実
施形態22に記載の方法。
【0408】
24.培養することの少なくとも一部分が、継続的な混合および/または灌流によって
行われる、実施形態21~23のいずれか1つに記載の方法。
【0409】
25.操作細胞組成物を産生する方法であって、(a)(i)TCR複合体の1つもし
くは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1
つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性
化することができる刺激性試薬、ならびに(ii)1つまたは複数のサイトカインの存在
を含む刺激条件下において、CD4+およびCD8+初代ヒトT細胞のうちの一方または
両方が濃縮された、初代T細胞を含むインプット組成物をインキュベートし、それによっ
て、刺激された組成物を生成することと、(b)組換え受容体を、刺激された組成物に導
入し、それによって、操作T細胞を含む、操作組成物を生成することとを含み、インプッ
ト組成物が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月間
、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年間の期間、極
低温で保管されている試料であるか、またはそれに由来する、方法。
【0410】
26.刺激性試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合し、必要に応じてCD3
に特異的に結合する一次作用物質を含む、実施形態24または実施形態35に記載の方法
【0411】
27.刺激性試薬が、T細胞共刺激性分子に特異的に結合する二次作用物質をさらに含
み、必要に応じて、共刺激性分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40
、またはICOSから選択される、実施形態26に記載の方法。
【0412】
28.一次および/または二次作用物質が、抗体を含み、必要に応じて、刺激性試薬が
、抗CD3抗体および抗CD28抗体またはそれらの抗原結合性断片とのインキュベーシ
ョンを含む、実施形態26または実施形態27に記載の方法。
【0413】
29.一次作用物質および/または二次作用物質が、固体支持体の表面上に存在する、
実施形態26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0414】
30.固体支持体が、ビーズであるか、またはビーズを含む、実施形態29に記載の方
法。
【0415】
31.ビーズが、3.5μmを上回るかまたは約3.5μmを上回るが、約9μmを上
回らない、または約8μmを上回らない、または約7μmを上回らない、または約6μm
を上回らない、または約5μmを上回らない直径を含む、実施形態30に記載の方法。
【0416】
32.ビーズが、4.5μmまたは約4.5μmの直径を含む、実施形態30または実
施形態31に記載の方法。
【0417】
33.ビーズが、不活性である、実施形態30~32のいずれか1つに記載の方法。
【0418】
34.ビーズが、ポリスチレン表面であるか、またはそれを含む、実施形態30~33
のいずれか1つに記載の方法。
【0419】
35.ビーズが、磁性または超常磁性である、実施形態30~34のいずれか1つに記
載の方法。
【0420】
36.ビーズの細胞に対する比が、3未満:1である、実施形態30~35のいずれか
1つに記載の方法。
【0421】
37.ビーズの細胞に対する比が、2:1または約2:1~0.5:1である、実施形
態30~36のいずれか1つに記載の方法。
【0422】
38.ビーズの細胞に対する比が、1:1または約1:1である、実施形態30~37
のいずれか1つに記載の方法。
【0423】
39.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌ
クレオチドを含むウイルスベクターを形質導入することを含む、実施形態24~38のい
ずれか1つに記載の方法。
【0424】
40.ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態39に記載の方
法。
【0425】
41.ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベク
ターである、実施形態39または実施形態40に記載の方法。
【0426】
42.導入することが、形質導入アジュバントの存在下において行われる、実施形態2
4~41のいずれか1つに記載の方法。
【0427】
43.導入することが、刺激された組成物の細胞に、組換え受容体をコードするポリヌ
クレオチドを含むベクターをトランスフェクトすることを含む、実施形態24~38のい
ずれか1つに記載の方法。
【0428】
44.ベクターが、トランスポゾン、必要に応じて、スリーピングビューティー(SB
)トランスポゾンまたはピギーバックトランスポゾンである、実施形態43に記載の方法
【0429】
45.操作細胞組成物が、刺激性試薬を含まない、および/または刺激性試薬が、培養
の前に組成物から実質的に除去されており、前記刺激性試薬が、TCR複合体の1つもし
くは複数の構成要素の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1
つもしくは複数の共刺激性分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性
化することができる試薬を含む、実施形態24または実施形態25に記載の方法。
【0430】
46.培養することが、少なくとも、アウトプット組成物が閾値数のT細胞を含むまで
行われる、実施形態21~45のいずれか1つに記載の方法。
【0431】
47.培養することが、閾値数のT細胞が達成された後、少なくとも1日間、継続され
る、実施形態46に記載の方法。
【0432】
48.培養に続いて、アウトプット組成物の細胞を収集する、実施形態21~47のい
ずれか1つに記載の方法。
【0433】
49.アウトプット組成物の細胞を、極低温保存および/または対象への投与のために
、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤の存在下において、製剤化することをさらに含
む、実施形態21~48のいずれかに記載の方法。
【0434】
50.アウトプット組成物の細胞が、極低温保護剤の存在下において製剤化される、実
施形態49に記載の方法。
【0435】
51.極低温保護剤が、DMSOを含む、実施形態50に記載の方法。
【0436】
52.アウトプット組成物の細胞が、容器、必要に応じてバイアルまたはバッグにおい
て、製剤化される、実施形態49~51のいずれかに記載の方法。
【0437】
53.インキュベートする前に、生物学的試料からCD4+T細胞および/またはCD
8+T細胞を単離することをさらに含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法
【0438】
54.単離することが、CD4および/またはCD8の表面発現に基づいて、必要に応
じて陽性選択または陰性選択によって、細胞を選択することを含む、実施形態53に記載
の方法。
【0439】
55.単離することが、免疫親和性に基づく選択を実行することを含む、実施形態53
または実施形態54に記載の方法。
【0440】
56.生物学的試料が、対象から得られた初代T細胞を含む、実施形態53~55のい
ずれか1つに記載の方法。
【0441】
57.対象が、ヒト対象である、実施形態56に記載の方法。
【0442】
58.生物学的試料が、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)
試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物、または白血
球アフェレーシス産物であるか、またはそれらを含む、実施形態53~55のいずれか1
つに記載の方法。
【0443】
59.生物学的試料が、極低温保存されたアフェレーシス産物または極低温保存された
白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれらを含む、実施形態53~55のいずれ
か1つに記載の方法。
【0444】
60.組換え受容体が、疾患、障害、または状態の細胞または組織と関連する、それに
特異的である、および/またはそこに発現される標的抗原に結合することができる、実施
形態1~59のいずれか1つに記載の方法。
【0445】
61.疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫性疾患、炎症性
疾患、または腫瘍もしくはがんである、実施形態60に記載の方法。
【0446】
62.標的抗原が、腫瘍抗原である、実施形態60または実施形態61に記載の方法。
【0447】
63.標的抗原が、5T4、8H9、avb6インテグリン、B7-H6、B細胞成熟
抗原(BCMA)、CA9、がん-精巣抗原、炭酸脱水酵素9(CAIX)、CCL-1
、CD19、CD20、CD22、CEA、B型肝炎表面抗原、CD23、CD24、C
D30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123
、CD138、CD171、癌胎児性抗原(CEA)、CE7、サイクリン、サイクリン
A2、c-Met、二重抗原、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タ
ンパク質40(EPG-40)、EPHa2、エフリンB2、erb-B2、erb-B
3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、エストロゲン受容体、胎児性
AchR、葉酸受容体アルファ、葉酸結合性タンパク質(FBP)、FCRL5、FCR
H5、胎児性アセチルコリン受容体、G250/CAIX、GD2、GD3、gp100
、Gタンパク質共役型受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体チロシン
キナーゼerbB2)、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13受容体ア
ルファ2(IL-13Ra2)、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ
軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子(L1-CAM)、黒色腫関連抗原(MAGE)-
A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1、メソテリン、マウスCMV、ム
チン1(MUC1)、MUC16、NCAM、NKG2D、NKG2Dリガンド、NY-
ESO-1、O-アセチル化GD2(OGD2)、癌胎児性抗原、優先的に発現される黒
色腫の抗原(PRAME)、PSCA、プロゲステロン受容体、サバイビン、ROR1、
TAG72、tEGFR、VEGF受容体、VEGF-R2、ウィルムス腫瘍1(WT-
1)、病原体特異的抗原、およびユニバーサルタグと関連する抗原の中から選択される、
実施形態60~62のいずれか1つに記載の方法。
【0448】
64.組換え受容体が、機能性非TCR抗原受容体、またはTCR、またはその抗原結
合性断片であるか、またはそれらを含む、実施形態1~63のいずれか1つに記載の方法
【0449】
65.組換え受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態1~64のいず
れか1つに記載の方法。
【0450】
66.組換え受容体が、抗CD19 CARである、実施形態1~65のいずれか1つ
に記載の方法。
【0451】
67.キメラ抗原受容体が、抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含む、実施形
態65に記載の方法。
【0452】
68.抗原結合性ドメインが、抗体またはその抗体断片であるか、またはそれを含み、
断片が、必要に応じて、一本鎖断片である、実施形態67に記載の方法。
【0453】
69.断片が、可動性リンカーによって接合された抗体可変領域を含む、実施形態68
に記載の方法。
【0454】
70.断片が、scFvを含む、実施形態68または実施形態69に記載の方法。
【0455】
71.キメラ抗原受容体が、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む、実施
形態67~70のいずれか1つに記載の方法。
【0456】
72.キメラ抗原受容体が、細胞内シグナル伝達領域を含む、実施形態67~71のい
ずれかに記載の方法。
【0457】
73.細胞内シグナル伝達領域が、細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態72
に記載の方法。
【0458】
74.細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一
次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR
)構成要素のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体活性化チロシンモチーフ
(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれらを含む、実施形態73
に記載の方法。
【0459】
75.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、必要
に応じて、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖、またはそのシグナル伝達部分であるか、また
はそれを含む、実施形態74に記載の方法。
【0460】
76.キメラ抗原受容体が、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置さ
れる、膜貫通ドメインをさらに含む、実施形態72~75のいずれか1つに記載の方法。
【0461】
77.細胞内シグナル伝達領域が、共刺激性シグナル伝達領域をさらに含む、実施形態
72~76のいずれか1つに記載の方法。
【0462】
78.共刺激性シグナル伝達領域が、T細胞共刺激性分子の細胞内シグナル伝達ドメイ
ンまたはそのシグナル伝達部分を含む、実施形態77に記載の方法。
【0463】
79.共刺激性シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞
内シグナル伝達ドメイン、またはこれらのシグナル伝達部分を含む、実施形態77または
請求項78に記載の方法。
【0464】
80.共刺激性シグナル伝達領域が、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間
にある、実施形態77~79のいずれか1つに記載の方法。
【0465】
81.閾値数またはそれを上回る数の細胞を含むアウトプット組成物が、方法の反復の
うちの85%を上回るかもしくは約85%を上回る、90%を上回るかもしくは約90%
を上回る、または95%を上回るかもしくは約95%を上回る割合において産生される、
実施形態46~47のいずれか1つに記載の方法。
【0466】
82.実施形態1~79のいずれか1つに記載の方法によって産生される操作細胞を含
む、組成物。
【0467】
83.薬学的に許容される担体をさらに含む、実施形態82に記載の組成物。
【0468】
84.極低温保護剤、必要に応じてDMSOを含む、実施形態82または実施形態83
に記載の組成物。
【0469】
85.実施形態80~82のいずれかに記載の組成物と、アウトプット組成物を対象に
投与するための説明書とを含む製品。
【0470】
86.対象が、疾患または状態を有し、必要に応じて、組換え受容体が、疾患もしくは
状態と関連するか、または疾患もしくは状態の細胞上に発現もしくは存在する抗原を特異
的に認識するか、またはそれに特異的に結合する、実施形態85に記載の製品。
【0471】
87.アウトプット組成物が、操作CD4+T細胞の組成物である、実施形態85また
は実施形態86に記載の製品。
【0472】
88.アウトプット組成物が、CD8+T細胞の操作組成物である、実施形態85また
は実施形態86に記載の製品。
【0473】
89.実施形態1~25または26~81のいずれか1つに記載の方法によって産生さ
れた、操作CD4+T細胞の組成物と、請求項2~23、25、または26~81のいず
れかに記載の方法によって産生された、操作CD8+T細胞の組成物と、操作CD4+T
細胞および操作CD8+T細胞を対象に投与するための説明書とを含む製品。
【0474】
90.説明書により、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を、別個に対象に投与する
ことが指定される、実施形態89に記載の製品。
【0475】
91.説明書により、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を、所望される比で対象に
投与することが指定される、実施形態89または実施形態90に記載の製品。
さらなる例示的な実施形態II
【0476】
1.生物学的試料を保管する方法であって、対象から生物学的試料を得ること、生物学
的試料を2つまたはそれを上回る別個の容器に分割すること、生物学的試料を極低温保存
すること、極低温保存した生物学的試料を保管することを含む、方法。
【0477】
2.対象が、ヒト対象である、実施形態1に記載の方法。
【0478】
3.生物学的試料が、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物である、実
施形態1~2のいずれか1つに記載の方法。
【0479】
4.2つまたはそれを上回る別個の容器が、それぞれ、極低温バッグおよび/または極
低温バイアルからなる群から選択される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0480】
5.2つまたはそれを上回る別個の容器が、固有の識別子をそこに含む、実施形態1~
4のいずれか1つに記載の方法。
【0481】
6.固有の識別子が、文字情報、RFIDタグ、QRコード(登録商標)、および/ま
たはバーコードのうちの任意の1つまたは複数を含む、実施形態5に記載の方法。
【0482】
7.固有の識別子情報が、以下のカテゴリー:対象の識別、試料保管の場所、保管およ
び/または取扱いの説明、受領の日付、極低温保存の日付、消費期限、ならびに意図され
る使用のうちの任意の1つまたは複数に関する情報を含む、実施形態5~6のいずれか1
つに記載の方法。
【0483】
8.生物学的試料が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、
36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、
3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間
、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9
年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17
年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間
、保管される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0484】
9.生物学的試料を保管する方法であって、(a)対象から生物学的試料を得ることと
、(b)生物学的試料を、1つまたは複数の容器において極低温保存することと、(c)
極低温保存した生物学的試料を、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、2
4時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2
カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、1
0カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8
年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年
間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または
40年間、保管することとを含む、方法。
【0485】
10.対象が、ヒト対象である、実施形態9に記載の方法。
【0486】
11.生物学的試料が、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物である、
実施形態9~10のいずれか1つに記載の方法。
【0487】
12.1つまたは複数の容器が、それぞれ、極低温バッグおよび/または極低温バイア
ルからなる群から選択される、実施形態9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0488】
13.1つまたは複数の別個の容器が、固有の識別子をそこに含む、実施形態9~12
のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
14.固有の識別子が、文字情報、RFIDタグ、QRコード(登録商標)、および/
またはバーコードのうちの任意の1つまたは複数を含む、実施形態13に記載の方法。
【0490】
15.固有の識別子情報が、以下のカテゴリー:対象の識別、試料保管の場所、保管お
よび/または取扱いの説明、受領の日付、極低温保存の日付、消費期限、ならびに意図さ
れる使用のうちの任意の1つまたは複数に関する情報を含む、実施形態13~14のいず
れか1つに記載の方法。
【0491】
16.対象に対応する生物学的試料を得る方法であって、(a)試料を対象と関連付け
ている固有の識別子に基づいて、中央施設における極低温保存された試料の位置を特定す
ることと、(b)極低温保存された試料を得ることとを含む、方法。
【0492】
17.生物学的試料が、遺伝子的に対象に適合する、対象の自家産物を産生するのに好
適である、および/または対象の細胞を含んでいる、実施形態16に記載の方法。
さらなる例示的な実施形態III
【0493】
1.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法で
あって、細胞が、ドナーが疾患または状態であると診断された後、またはそれを有するか
もしくはそれを有する疑いがあるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の
1つまたは複数の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られ、細胞が、試料および
/またはチャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステッ
プを含む、段階的な凍結プロファイルを使用して、制御された速度の凍結装置において、
凍結される、方法。
【0494】
2.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法で
あって、細胞が、ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされた後
、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または状態の後
続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られている、方法。
【0495】
3.ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で保管することを含む方法で
あって、細胞が、ドナーが疾患もしくは状態であると診断されていないか、またはそれを
有することが判明していないか、またはそれを有することが疑われていない時点で、ドナ
ーから得られており、細胞が、試料および/またはチャンバが1分間につき1℃を上回る
速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用し
て、制御された速度の凍結装置において、凍結される、方法。
【0496】
4.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、
(b)極低温で凍結させた細胞を、ある期間保管することとを含む方法であって、細胞が
、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしく
はそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処
置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不
応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつド
ナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られるかまた
は得られたものであり、保管の期間中に、ドナーが、疾患または状態の少なくとも1つの
処置を受けるか、または受けた、方法。
【0497】
5.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、
(b)極低温で凍結させた細胞を、ある期間保管することとを含む方法であって、細胞が
、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしく
はそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処
置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不
応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつド
ナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られるかまた
は得られたものであり、細胞が、以下を上回るかもしくは以下に等しい期間:12時間、
24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、
2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、
10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、
8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16
年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、もし
くは40年間、またはドナーが細胞を必要とするまで、極低温で保管される、方法。
【0498】
6.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させることと、
(b)極低温で凍結させた細胞から生成された操作T細胞を含む、治療有効量の組成物を
、それを必要とする対象に投与することとを含む方法であって、細胞が、(i)ドナーが
疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有するこ
とが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または状態の処置を受ける前であ
る時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみな
されたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつドナーが疾患または
状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られるかまたは得られたもので
あり、凍結と投与との間に、ドナーが、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受ける
か、または受けた、方法。
【0499】
7.(a)ドナーに由来する生物学的試料からの細胞を、極低温で凍結させ、それによ
って、極低温で凍結させた細胞組成物を生成することと、(b)極低温で凍結させた細胞
組成物の細胞を操作して、操作T細胞を含む組成物を生成することとを含む方法であって
、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有する
かもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または
状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジ
メンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり
、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから得られ
るかまたは得られたものであり、凍結と操作との間に、ドナーが、疾患または状態の少な
くとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【0500】
8.治療有効量の操作T細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む、処置の
方法であって、細胞が、(i)対象が疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそ
れを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ対象が疾
患または状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)対象が疾患または状態の処
置レジメンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後
であり、かつ対象が疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、対象から得ら
れるかまたは得られたものであり、細胞が、対象から得られるかもしくは得られた後、か
つ操作T細胞の投与の前に、対象が、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか
、または受けた、方法。
【0501】
9.操作細胞の組成物を産生するための方法であって、(a)極低温で保管した細胞を
得て、必要に応じて解凍することと、(b)極低温で保管した細胞に、組換え受容体を導
入し、それによって、操作T細胞を含む操作組成物を生成することとを含む方法であって
、細胞が、(i)ドナーが疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有する
かもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつドナーが疾患または
状態の処置を受ける前である時点、あるいは(ii)ドナーが疾患または状態の処置レジ
メンに不応性であるとみなされたか、または処置レジメンの後に再発を経験した後であり
、かつドナーが疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、ドナーから採取し
た後に、極低温で保管され、極低温保管の後および極低温で保管した細胞を得る前に、ド
ナーが、疾患または状態の少なくとも1つの処置を受けるか、または受けた、方法。
【0502】
10.生物学的試料が、アフェレーシス試料であるかまたはそれに由来し、必要に応じ
て白血球アフェレーシス試料であるかまたはそれに由来し、かつ/または試料が、白血球
および/またはリンパ球を含有し、かつ/または試料中の細胞または血液細胞が、白血球
から本質的になるか、または試料中の細胞のうちの少なくとも80%、85%、90%、
95%、96%、97%、98%、もしくは99%、または試料中の血液細胞のうちの少
なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%が
、白血球である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0503】
11.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞集団および/またはT細胞集団およ
び/またはT細胞サブセットの、免疫親和性に基づくおよび/または標的特異的な選択お
よび/または濃縮のステップに供されていない、実施形態1~10のいずれか1つに記載
の方法。
【0504】
12.細胞が、極低温で保管される前に、血液細胞および/またはT細胞集団の、免疫
親和性に基づくおよび/または標的特異的な選択および/または濃縮ステップに供されて
おり、必要に応じて、前記極低温保管の前に、前記選択または濃縮を行うことをさらに含
む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0505】
13.選択ステップおよび/または濃縮が、免疫親和性に基づく選択を含む、および/
または陽性選択もしくは陰性選択を含む、実施形態12に記載の方法。
【0506】
14.選択ステップおよび/または濃縮が、CD4+細胞もしくはそのサブセットおよ
び/またはCD8+細胞もしくはそのサブセットの濃縮および/または単離を含み、CD
4+細胞またはそのサブセットの濃縮または単離が、CD8+細胞またはそのサブセット
の選択および/または単離とは別個にまたはそれと組み合わせてのいずれかで行われ、必
要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必
要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリ
ー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE
)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、
および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態12~1
3のいずれか1つに記載の方法。
【0507】
15.細胞が、T細胞を含むか、またはT細胞が濃縮されている、実施形態1~14の
いずれか1つに記載の方法。
【0508】
16.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそ
のサブセット、またはこれらの混合物を含むか、またはそれらが濃縮されており、CD8
+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞のサブセットが、必要に応じて、メモリ
ー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリー細胞(TEM)、
ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エフェクターT(TE)細胞、エフェクタ
ーメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイーブT(TN)細胞、および/または調節
性T(TREG)細胞からなる群から選択される、実施形態15に記載の方法。
【0509】
17.細胞を極低温で保管する前に、細胞を、極低温保存媒体と合わせることをさらに
含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0510】
18.極低温保存媒体が、約10%のジメチルスルホキシド(DMSO)および血清タ
ンパク質、必要に応じて、ヒト血清アルブミン、必要に応じて、約4%のヒト血清アルブ
ミンを含む、ならびに/または凍結溶液および/もしくは最終濃度の生物学的試料が、約
1体積%~約20体積%、約3体積%~約9体積%、もしくは約6体積%~約9体積%の
DMSOを含む、および/もしくは約3体積%、約4体積%、約5体積%、約5.5体積
%、約6体積%、約6.5体積%、約7体積%、約7.5体積%、約8体積%、約8.5
体積%、約9体積%、約9.5体積%、または約10体積%のDMSOを含む、実施形態
17に記載の方法。
【0511】
19.極低温保管が、1分間につき1℃または約1℃の速度で、必要に応じて、温度が
-80℃または約-80℃に達するまで、温度を低下させることを含む、実施形態2また
は4~18のいずれか1つに記載の方法。
【0512】
20.細胞が、液体窒素の気相に入れた容器において極低温で保管され、容器が、必要
に応じて、バッグまたはバイアルである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法
【0513】
21.細胞が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時
間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月
間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11
カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、
10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、
18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、極低
温で保管される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0514】
22.細胞が、ある期間保管され、期間の後、組成物中の生存細胞もしくは生存T細胞
またはそれらのサブタイプもしくはサブセットの割合が、約24%~約100%であるか
、または少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、
65、70、75、80、85、もしくは90%である、実施形態1~21のいずれか1
つに記載の方法。
【0515】
23.疾患が、がん、炎症性疾患もしくは状態、自己免疫性疾患もしくは状態、または
感染性疾患もしくは状態である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0516】
24.がんが、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、前リンパ球性白血病、
有毛細胞性白血病、急性リンパ球性白血病、null型急性リンパ芽球性白血病、ホジキ
ンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、濾
胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、遅発性B細胞リンパ腫、また
は急性骨髄性白血病である、実施形態23に記載の方法。
【0517】
25.がんが、ROR1、EGFR、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、
CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、C
D24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4
、EPHa2、ErbB2、3、もしくは4、FBP、胎児性アセチルコリン受容体、G
D2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、
kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、MUC1、MU
C16、B細胞成熟抗原(BCMA)、FCRL5/FCRH5、GPRC5D、PSC
A、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗
原、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSM
A、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、C
D123、CS-1、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルム
ス腫瘍1(WT-1)、およびサイクリン、たとえば、サイクリンA1(CCNA1)の
うちの少なくとも1つを発現する細胞を含む、実施形態23または24に記載の方法。
【0518】
26.処置が、化学療法、放射線照射、外科手術、細胞療法である、および/またはデ
バルキング処置である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0519】
27.処置が、以下の処置:シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウ
ラシル、ドキソルビシン、ムスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾロン
、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン、エトポシド、シスプラチン、エピル
ビシン、カペシタビン、フォリン酸、オキサリプラチン、小分子阻害剤、免疫細胞、ナチ
ュラルキラー細胞、リンホカイン活性化キラー細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、40
00cGy照射、自家幹細胞救援、幹細胞移植、骨髄移植、造血幹細胞移植(HSCT)
、CAR T細胞療法、チサゲンレクロイセル、アキシカブタゲンシロロイセル、シタラ
ビン、高用量シタラビン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、クラドリ
ビン、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイ
ド、コルチコステロイド、プレドニゾン、デキサメタゾン、アルキル化剤、クロラムブシ
ル、ベンダムスチン、イホスファミド、白金薬物、シスプラチン、カルボプラチン、オキ
サリプラチン、プリン類似体、フルダラビン、ペントスタチン、クラドリビン、抗代謝薬
、ゲムシタビン、メトトレキサート、プララトレキサート、ビンクリスチン、ドキソルビ
シン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プロテアソーム阻害剤、ヒストンデアセチラ
ーゼ阻害剤、ロミデプシン、ベリノスタット、キナーゼ阻害剤、イブルチニブ、イデラリ
シブ、抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、イブリ
ツモマブチウキセタン、抗CD52抗体、アレムツズマブ、抗CD30抗体、ブレンツキ
シマブ、ベドチン、インターフェロン、免疫調節剤、サリドマイド、CHOP、CHOP
+R(もしくはR-CHOP)、CVP、EPOCH、EPOCH+R、DHAP、DH
AP+R(もしくはR-DHAP)、ベネトクラックス、メチルプレドニゾロン、または
ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)のうちの1つまたは複数を、単独または
組合せで含む、実施形態26に記載の方法。
【0520】
28.ドナーまたは対象が、ヒトである、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方
法。
【0521】
29.極低温保管の前に、細胞を、必要に応じて、1つまたは複数の表現型マーカーに
ついて、細胞の表面発現を評価することによって、分析することをさらに含む、実施形態
1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0522】
30.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態1~29のいずれ
か1つに記載の方法。
【0523】
31.細胞の極低温保管および/または解凍の後に、組換えまたは外因性分子を発現す
るように細胞を操作することをさらに含み、これが、必要に応じて、組換えタンパク質、
必要に応じて、組換え受容体であり、これが、必要に応じて、T細胞受容体(TCR)、
キメラ受容体、および/またはキメラ抗原受容体であるか、またはそれらを含む、実施形
態1~30のいずれかに記載の方法。
【0524】
32.組換え分子が、疾患または状態と関連する細胞によって発現されるか、またはそ
れによって特異的に発現される抗原を、特異的に認識するか、またはそれに特異的に結合
する組換え受容体である、実施形態31に記載の方法。
【0525】
33.ドナーもしくは対象から収集されたとき、および/またはアフェレーシス試料中
の合計の、細胞の数が、以下の数もしくはおよそ以下の数であるか、または以下の数もし
くはおよそ以下の数を上回らない、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法:50
0×10個、1000×10個、2000×10個、3000×10個、400
0×10個、もしくは5000×10個、またはそれよりも多くの合計細胞もしくは
合計有核細胞。
【0526】
34.試料を極低温で保管する前に、試料からT細胞を濃縮することをさらに含む、実
施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0527】
35.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそ
のサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが
濃縮されており、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞
のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、
エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エ
フェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイー
ブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される
、ならびに/または試料が、バルクT細胞が濃縮されている、実施形態34に記載の方法
【0528】
36.試料を極低温で保管する前に、試料を極低温媒体において製剤化することをさら
に含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0529】
37.細胞を、極低温で凍結する前または凍結した後のいずれかで、保管施設に輸送す
ることをさらに含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0530】
38.保管施設が、中央または共通のリポジトリの保管施設である、実施形態37に記
載の方法。
【0531】
39.試料が、低温環境において、保管施設に輸送される、実施形態37または38に
記載の方法。
【0532】
40.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、試料からT細胞を濃縮すること
をさらに含む、実施形態36~39のいずれか1つに記載の方法。
【0533】
41.T細胞が、CD4+T細胞もしくはそのサブセット、CD8+T細胞もしくはそ
のサブセット、またはこれらの混合物であるか、またはそれらを含むか、またはそれらが
濃縮されており、必要に応じて、CD8+細胞のサブセットおよび/またはCD4+細胞
のサブセットが、必要に応じて、メモリー細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、
エフェクターメモリー細胞(TEM)、ステムセントラルメモリー(TSCM)細胞、エ
フェクターT(TE)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞、ナイー
ブT(TN)細胞、および/または調節性T(TREG)細胞からなる群から選択される
、ならびに/またはバルクT細胞を含む、実施形態40に記載の方法。
【0534】
42.輸送した後、かつ細胞を極低温で保管する前に、試料および/またはT細胞を、
極低温媒体において製剤化することをさらに含む、実施形態40または実施形態41に記
載の方法。
【0535】
43.極低温で保管した細胞を解凍することをさらに含む、実施形態1~42のいずれ
か1つに記載の方法。
【0536】
44.試料が、処理、極低温保存、および/または保管の間、細胞を分類するために、
1つまたは複数のコードまたは識別子で印を付けた容器に入れられる、実施形態1~43
のいずれか1つに記載の方法。
【0537】
45.1つまたは複数のコードまたは識別子が、文字識別子、バーコード、QRコード
(登録商標)、RFID、またはトランスポンダを含む、実施形態44に記載の方法。
【0538】
46.1つまたは複数のコードまたは識別子が、ドナー、試料、バイアル、容器、疾患
、および/または保管施設のうちの1つまたは複数の識別に対応するか、またはそれを示
す、実施形態44または実施形態45に記載の方法。
【0539】
47.1つまたは複数のコードまたは識別子が、患者識別のブレスレットまたは病院も
しくは医療施設もしくは収集施設のシステムもしくは書類に出現するコードに対応する、
実施形態44~46のいずれか1つに記載の方法。
【0540】
48.処置の方法であって、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法によって、
極低温で保管された細胞を得て、必要に応じて解凍することであって、前記得ることの前
に、細胞が、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3
週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間
、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、
4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、1
3年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、2
5年間、30年間、35年間、または40年間の期間、極低温で保管されていることと、
組換え受容体を、刺激した組成物に導入し、それによって、操作T細胞を含む操作組成物
を生成することと、細胞を対象に投与することとを含む、方法。
【0541】
49.処置が、操作T細胞または極低温で凍結した組成物の細胞を含まない、実施形態
1~48のいずれか1つに記載の方法。
【配列表】
2024053541000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を含む操作T細胞の組成物を産生するための方法:
(a)組換え受容体を発現するように操作されたT細胞の集団を、3v/v%~9v/v%のジメチルスルホキシド(DMSO)および1w/v%~5w/v%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む極低温保存媒体中に懸濁して、約0.1x10 個の細胞/mLと約5000x10 個の細胞/mLとの間の密度の懸濁組成物を形成すること、ここで、操作T細胞の集団が、少なくとも80%T細胞を含む;
(b)前記T細胞を含む懸濁組成物を、チャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用するチャンバを含む、制御された速度の凍結装置において、極低温で凍結すること;および
(c)極低温で凍結した細胞を保管すること。
【請求項2】
下記工程を含む操作T細胞の組成物を産生するための方法:
(a)ドナーに由来する生物学的試料から得られた濃縮T細胞の集団を、3v/v%~9v/v%のジメチルスルホキシド(DMSO)および1w/v%~5w/v%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む凍結保存媒体中に懸濁して、約10x10 個の細胞/mLと約150x10 個の細胞/mLとの間の密度の懸濁組成物を形成すること、ここで、濃縮T細胞の集団が、少なくとも80%T細胞を含む;
(b)前記T細胞を含む懸濁組成物を、前記チャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用するチャンバを含む、制御された速度の凍結装置において、極低温で凍結すること;
(c)極低温で凍結したT細胞を保管すること;
(d)極低温で保管したT細胞を解凍すること;
(e)解凍T細胞に、組換え受容体を導入し、それによって、操作T細胞を生成すること、ここで、前記操作T細胞は、ドナーの疾患または状態を処置するためである;
(f)操作T細胞を、3v/v%~9v/v%のDMSOおよび1w/v%~5w/v%のHSAを含む極低温保存媒体中に懸濁して、約0.1x10 個の細胞/mLと約5000x10 個の細胞/mLとの間の密度の懸濁組成物を形成すること;
(g)前記操作T細胞の組成物を、チャンバが1分間につき1℃を上回る速度で冷却される少なくとも1つのステップを含む、段階的な凍結プロファイルを使用するチャンバを含む、制御された速度の凍結装置において、極低温で凍結すること;および
(h)極低温で凍結した操作T細胞を保管すること。
【請求項3】
前記T細胞の集団が、ドナーに由来する生物学的試料から得られている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物学的試料が、前記ドナーが前記疾患もしくは状態であると診断されたか、またはそれを有するかもしくはそれを有することが疑われるとみなされた後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の1つ以上の処置を受ける前である時点で、前記ドナーから得られるものである、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的試料が、前記ドナーが前記疾患または状態の処置レジメンに不応性であるとみなされたか、または前記処置レジメンの後に再発を経験した後であり、かつ前記ドナーが前記疾患または状態の後続の処置を受ける前である時点で、前記ドナーから得られる、請求項2から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的試料が、前記ドナーが前記疾患または状態であると診断されていないか、またはそれを有することが判明していないか、またはそれを有することが疑われていない時点で、前記ドナーから得られる、請求項2または3に記載の方法。
【請求項7】
前記生物学的試料が、アフェレーシス試料を含み、前記生物学的試料中の前記細胞のうちの少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%が、白血球である、請求項3から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記T細胞が、極低温で凍結される前に、(a)免疫親和性に基づくまたは標的特異的な選択ステップおよび/または(b)血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団の濃縮ステップに供されていない、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記T細胞が、極低温で凍結される前に、(a)免疫親和性に基づくまたは標的特異的な選択ステップおよび/または(b)血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団の濃縮ステップに供されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団が、CD4 細胞もしくはそのサブセットおよび/またはCD8 細胞もしくはそのサブセットを含み、CD4 細胞またはそのサブセットの選択または濃縮が、CD8 細胞またはそのサブセットの選択または濃縮とは別個にまたはそれと組み合わせてのいずれかで行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記血液細胞集団、T細胞集団またはT細胞サブセット集団が、メモリー細胞、セントラルメモリーT(T CM )細胞、エフェクターメモリー細胞(T EM )、ステムセントラルメモリー(T SCM )細胞、エフェクターT(T )細胞、エフェクターメモリーRA T(T EMRA )細胞、ナイーブT(T )細胞、および/または調節性T(T REG )細胞を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記T細胞が、少なくとも約1.5x10 個の細胞/mLの密度で懸濁される、請求項2から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記操作T細胞が、少なくとも約5x10 個の細胞/mLと約150x10 個の細胞/mLとの間の密度で懸濁される、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記操作T細胞が、少なくとも約0.1x10 個の細胞/mLの密度で懸濁される、請求項1から11及び13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記操作T細胞が、少なくとも約0.2x10 個の細胞/mLの密度で懸濁される、請求項1から11及び13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記操作T細胞が、少なくとも約0.5x10 個の細胞/mLの密度で懸濁される、請求項1から11及び13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記操作T細胞が、少なくとも約0.6x10 個の細胞/mLの密度で懸濁される、請求項1から11及び13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記操作T細胞が、少なくとも約0.7x10 個の細胞/mLの密度で懸濁される、請求項1から11及び13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記極低温保存媒体が、約7.5%のDMSOを含む、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記極低温保存媒体が、約5%のDMSOを含む、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記操作T細胞の保管が、-80℃を下回る温度においてである、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
段階的な凍結プロファイルが、極低温で凍結したT細胞を保管する前に、-80℃を上回るかまたは-20℃を下回る温度まで前記チャンバを冷却することを含む、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
段階的な凍結プロファイルが、一連の複数の冷却および加熱プロファイルを含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
段階的な凍結プロファイルが、下記ステップを含む、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法:
(a)4.0℃での保持ステップ;
(b)T細胞の組成物を含有するチャンバを、-6℃の温度に達するまで1分間につき1.2℃の冷却ステップ;
(c)T細胞の組成物を含有するチャンバを、-65℃の温度に達するまで1分間につき25℃の冷却ステップ;
(d)T細胞の組成物を含有するチャンバを、-30℃の温度に達するまで1分間につき15℃の加熱ステップ;
(e)T細胞の組成物を含有するチャンバを、-40℃の温度に達するまで1分間につき1℃の冷却ステップ;
(f)T細胞の組成物を含有するチャンバを、-90℃の温度に達するまで1分間につき10℃の冷却ステップ;および
(g)-90℃での保持ステップ。
【請求項25】
極低温で凍結された操作T細胞の保管が、液体窒素の気相に入れた容器においてである、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記操作T細胞が、以下を上回るかまたは以下に等しい期間:12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、20年間、25年間、30年間、35年間、または40年間、極低温で保管されていた、請求項1から25のいずれか1項に方法。
【請求項27】
前記操作T細胞が、ある期間極低温で保管された後、生存細胞もしくは生存操作T細胞またはそれらのサブタイプもしくはサブセットの割合が、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、もしくは90%である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記疾患もしくは状態が、がん、炎症性疾患もしくは状態、自己免疫性疾患もしくは状態、または感染性疾患もしくは状態である、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
極低温保管の前に、前記操作T細胞を、1つまたは複数の表現型マーカーについて、前記細胞の表面発現を評価することによって、分析することをさらに含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
組換え受容体が、T細胞受容体(TCR)、またはキメラ受容体を含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)を含む、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記操作T細胞を、極低温で凍結する前または凍結した後のいずれかで、保管施設に輸送することをさらに含み、 前記保管施設が、中央または共通のリポジトリの保管施設である、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記操作T細胞または生物学的試料が、処理、極低温保存、および/または保管の間、前記細胞を分類するために、1つまたは複数のコードまたは識別子で印を付けた容器に入れられ、 前記1つまたは複数のコードまたは識別子が、文字識別子、バーコード、QRコード(登録商標)、RFID、またはトランスポンダを含み、前記1つまたは複数のコードまたは識別子が、ドナー、試料、バイアル、容器、疾患、および/または保管施設のうちの1つまたは複数の識別に対応するか、またはそれを示す、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】