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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053556
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】液体柔軟剤組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/647 20060101AFI20240408BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20240408BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20240408BHJP
   D06M 13/144 20060101ALI20240408BHJP
   D06M 13/165 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
D06M15/647
D06M13/00
D06M15/53
D06M13/144
D06M13/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171353
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2022159472
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】桶田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亮
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 美佳
(72)【発明者】
【氏名】天谷 友彦
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA00
4L033BA11
4L033BA14
4L033CA48
4L033CA60
(57)【要約】
【課題】繊維製品にサラっとした感触を付与することができ、更に、香気の悪化を抑制しつつ香料を安定して可溶化できる液体柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ポリエーテル変性シリコーン、(B)香料組成物、(C)ノニオン界面活性剤、及び(D)溶剤を含有し;液体柔軟剤組成物の総質量に対して、(A)成分の含量が0.6質量%以上5質量%未満であり、(D)成分の含量が1.0質量%以上10質量%未満であり;更に(C)成分と(D)成分との質量比(C/D)が0.5~10であることを特徴とする、透明又は半透明な液体柔軟剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体柔軟剤組成物であって、下記(A)~(D)成分:
(A)ポリエーテル変性シリコーン、
(B)香料組成物、
(C)ノニオン界面活性剤、及び
(D)溶剤
を含有し、
(A)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.6質量%以上5質量%未満であり、
(D)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して1.0質量%以上10質量%未満であり、
(C)成分と(D)成分との質量比(C/D)が0.5~10であり、
液体柔軟剤組成物が、透明又は半透明である
ことを特徴とする、液体柔軟剤組成物。
【請求項2】
(C)成分が、下記の(C1)及び/又は(C2)である、請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。

(C1)一般式(C1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
1-O-(C24O)r-H (C1)
(式中、
1は、炭素数10~18のアルキル基又はアルケニル基であり、
rは、平均付加モル数であり、30~100である。)

(C2)一般式(C2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
1-O-(C24O)q-H (C2)
(式中、
1は、炭素数10~18のアルキル基又はアルケニル基であり、
qは、平均付加モル数であり、1~20である。)
【請求項3】
(D)成分が、下記の(D1)及び/又は(D2)である、請求項1又は2に記載の液体柔軟剤組成物。

(D1)低級アルコール、グリコールエーテル系溶剤、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の水溶性溶剤(但し、(D2)を除く)

(D2)一般式(D2)で表される化合物:
(式中、
1~R3は、独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、
4は、水素原子又はアセチル基である)
【請求項4】
更に、(E)水溶性カチオンポリマーを含む、請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項5】
(C1)と(C2)との質量比(C1/C2)が0.1~5である、請求項2に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項6】
(D1)と(D2)との質量比(D1/D2)が0.1~3.0である、請求項3に記載の液体柔軟剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、審美的観点から、透明又は半透明の外観を有する液体柔軟剤が開発されている。具体例として、水溶性カチオンポリマーとポリエーテル変性シリコーンとを含有する透明又は半透明の液体柔軟剤組成物が知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/025017号
【特許文献2】特開2007-63741号公報
【特許文献3】特開2007-31900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、液体柔軟剤組成物においてポリエーテル変性シリコーンの含量を高めると、柔軟処理後の繊維製品は、柔軟性は高まるものの、油っぽいぬるつき感を呈してしまい、サラッとした感触が損なわれることを見いだした。
そこで、ポリエーテル変性シリコーンの含量を低減させて液体柔軟剤組成物を製造したところ、配合した香料が(1)溶解(可溶化)しないか、(2)製造直後は可溶化していても、その後、香料が分離してしまう(換言すれば、液体柔軟剤組成物の安定性が低下する)ことが見いだされた。更に、香料を可溶化するために溶剤の含量を高めたところ、今度は、液体柔軟剤組成物の香気が溶剤により損なわれてしまうことが見いだされた。
そこで、繊維製品にサラっとした感触を付与することができ、更に、香気の悪化を抑制しつつ香料を安定して可溶化できる液体柔軟剤組成物の提供を課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意検討した結果、ポリエーテル変性シリコーン((A)成分)と溶剤((D)成分)の含量をそれぞれ特定範囲に限定しつつ、ノニオン界面活性剤((C)成分)と溶剤((D)成分)との配合比を特定範囲に設定すると、前記課題を解決できることを見いだした。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔6〕に関するものである。
〔1〕液体柔軟剤組成物であって、下記(A)~(D)成分:
(A)ポリエーテル変性シリコーン、
(B)香料組成物、
(C)ノニオン界面活性剤、及び
(D)溶剤
を含有し、
(A)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して0.6質量%以上5質量%未満であり、
(D)成分の含量が、液体柔軟剤組成物の総質量に対して1.0質量%以上10質量%未満であり、
(C)成分と(D)成分との質量比(C/D)が0.5~10であり、
液体柔軟剤組成物が、透明又は半透明である
ことを特徴とする、液体柔軟剤組成物。
〔2〕(C)成分が、下記の(C1)及び/又は(C2)である、前記〔1〕に記載の液体柔軟剤組成物。
(C1)一般式(C1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
1-O-(C24O)r-H (C1)
(式中、
1は、炭素数10~18のアルキル基又はアルケニル基であり、
rは、平均付加モル数であり、30~100である。)
(C2)一般式(C2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
1-O-(C24O)q-H (C2)
(式中、
1は、炭素数10~18のアルキル基又はアルケニル基であり、
qは、平均付加モル数であり、1~20である。)
〔3〕(D)成分が、下記の(D1)及び/又は(D2)である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の液体柔軟剤組成物。
(D1)低級アルコール、グリコールエーテル系溶剤、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の水溶性溶剤(但し、(D2)を除く)
(D2)一般式(D2)で表される化合物:
(式中、
1~R3は、独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、
4は、水素原子又はアセチル基である)
〔4〕更に、(E)水溶性カチオンポリマーを含む、前記〔1〕に記載の液体柔軟剤組成物。
〔5〕(C1)と(C2)との質量比(C1/C2)が0.1~5である、前記〔2〕に記載の液体柔軟剤組成物。
〔6〕(D1)と(D2)との質量比(D1/D2)が0.1~3.0である、前記〔3〕に記載の液体柔軟剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
後述の実施例で示されるように、本発明の液体柔軟剤組成物は、繊維製品にサラっとした感触を付与することができる。更に、本発明の液体柔軟剤組成物では、香気の悪化は抑制されつつ、香料は安定して可溶化されている。したがって、本発明は、従来製品にはない付加価値を有する液体柔軟剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔(A)成分:ポリエーテル変性シリコーン〕
(A)成分は、繊維製品に柔軟性を与えるために配合する。
【0009】
(A)成分の例としては、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体等が挙げられる。アルキルシロキサンを構成するアルキル基の炭素数は1~3が好ましい。ポリオキシアルキレンを構成するアルキレン基の炭素数は2~5が好ましい。
好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンや、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が挙げられる。具体例としては、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0010】
【化1】
(式中、M、N、a及びbは、それぞれ平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基である)
一般式(I)中、Mは、10~10000、好ましくは50~1000、より好ましくは100~300である。
Nは、1~1000、好ましくは5~300、より好ましくは5~100である。更に、M>Nであることが好ましい。
aは、2~100、好ましくは5~50、より好ましくは5~20である。
bは、0~50、好ましくは0~10である。
Rは、好ましくは水素又は炭素数1~4のアルキル基、より好ましくは水素である。
一般式(I)のポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素-炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを付加反応させることで製造できる。
【0011】
好ましいポリエーテル変性シリコーンとして、下記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体も挙げられる。
【化2】
(式中、A、B、h、及びiは、それぞれ平均重合度であり、Rはアルキレン基であり、R’は水素又はアルキル基である)
一般式(II)中、Aは5~10000であり、
Bは、2~10000であり、
hは、2~100であり、
iは、0~50である。
Rは、好ましくは炭素数1~5のアルキレン基である
R’は、好ましくは水素又は炭素数1~4のアルキル基である。
一般式(II)の共重合体の重量平均分子量は、好ましくは15,000~100,000,000である。
一般式(II)の共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることで製造できる。
【0012】
ポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、
ダウ・東レ(株)製のCF1188N、BY22-029、SH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22-008、SF8421、SILWET L-7001、SILWET L-7002、SILWET L-7602、SILWET L-7604、SILWET FZ-2104、SILWET FZ-2120、SILWET FZ-2161、SILWET FZ-2162、SILWET FZ-2164、SILWET FZ-2171、SILWET FZ2222、ABN SILWET FZ-F1-009-01、ABN SILWET FZ-F1-009-02、ABN SILWET FZ-F1-009-03、ABN SILWET FZ-F1-009-05、ABN SILWET FZ-F1-009-09、ABN SILWET FZ-F1-009-11、ABN SILWET FZ-F1-009-13、ABN SILWET FZ-F1-009-54、ABN SILWET FZ-2222や、
信越化学工業(株)製のX-20-8010N、KF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017や、
GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられる。
【0013】
(A)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
【0014】
(A)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0015】
(A)成分の含量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、0.6質量%以上5質量%未満、好ましくは1~4質量%、さらに好ましくは1~3質量%である。前記の含量範囲であると、繊維製品にサラっとした感触を付与できる。
【0016】
〔(B)成分:香料組成物〕
(B)成分は、液体柔軟剤組成物自体の香り付け、及び/又は、同組成物による処理後の繊維製品の香り付けのために配合する。
(B)成分の香料としては、液体柔軟剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。
香料は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
香料の例としては、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料や、動物性香料等が挙げられる。各香料の具体例は以下の通りである。
アルデヒド類の例としては、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリンや、ヘリオナール等が挙げられる。
フェノール類の例としては、オイゲノールや、イソオイゲノール等が挙げられる。
アルコール類の例としては、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、メントール、ボルネオール、1-デカナール、バクダノールや、フェニルエチルアルコール等が挙げられる。
エーテル類の例としては、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノールや、メチルイソオイゲノール等が挙げられる。
エステル類の例としては、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルプロピオネート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、p-クレジルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ-β-ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β-フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネートや、アリルヘプタノエート等が挙げられる。
ハイドロカーボン類の例としては、リモネン(特に、d-リモネン)、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェンや、テルピノーレン等が挙げられる。
ケトン類の例としてはα-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、シス-ジャスモン、メチルヨノン、アリルヨノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、カルボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンやマルトール等が挙げられる。
ラクトン類の例としては、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-ドデカラクトン、クマリンや、アンブロキサン等が挙げられる。
ムスク類の例としては、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、トナライドや、ニトロムスク類等が挙げられる。
テルペン骨格を有する香料の例としては、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン(例えばβ-ヨノン)、カンフェンや、ボルネオール等が挙げられる。
天然香料の例としては、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油や、タイム油等の精油が挙げられる。
動物性香料の例としては、じゃ香、霊猫香、海狸香や、竜涎香等が挙げられる。
【0017】
(B)成分は、好ましくはアルデヒド類、ケトン類又はハイドロカーボン類の香料、更に好ましくは下記の香料を含有する。

〔アルデヒド類〕
ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリン、エチルバニリン、及びヘリオナールからなる群より選ばれる1種以上

〔ケトン類〕
α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、シス-ジャスモン、メチルヨノン(メチルイオノン)、アリルヨノン(アリルイオノン)、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコン、及びマルトールからなる群より選ばれる1種以上

〔ハイドロカーボン類〕
リモネン、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、及びテルピノーレンからなる群より選ばれる1種以上
【0018】
(B)成分が、香料成分としてアルデヒド類と、ケトン類と、ハイドロカーボン類とを含む場合、香り立ちの観点で、これらの香料成分の合計の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
【0019】
(B)成分は、液体柔軟剤に一般的に使用されている香料用溶剤を含んでいてもよい。香料用溶剤としては、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル(BB)、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト-5(1,2-ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA-2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA-4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)や、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
香料用溶剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.1~30質量%、好ましくは1~20質量%である。
【0020】
(B)成分の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.5~5.0質量%、より好ましくは0.8~3.0質量%、さらに好ましくは0.8~2.0質量%である。前記の含量範囲であると、より優れた配合効果が得られる。
【0021】
〔(C)成分:ノニオン界面活性剤〕
(C)成分は、(D)成分と併用することで、香気の悪化を抑制しつつ(B)成分を安定して可溶化するために配合する。
【0022】
(C)成分としては、液体柔軟剤分野で公知のノニオン界面活性剤を特に制限なく使用できる。例として、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
「アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物」を構成するアルコール及び脂肪酸の炭素鎖部分は分岐及び直鎖のいずれでもよく、不飽和基を含んでいてもよい。炭素鎖には分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は好ましくは6~20、更に好ましくは8~18である。炭素鎖が直鎖である場合、その炭素数は好ましくは6~14、更に好ましくは8~12、特に好ましくは10~12である。炭素鎖が分岐鎖である場合、その炭素数は好ましくは6~18、更に好ましくは9~18、特に好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソンモービル社製エクサール、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコールや、Shell社製DOBANOLシリーズ等を使用できる。(C)成分がアルコールのアルキレンオキシド付加物である場合、その原料として1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用できる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンから製造されるが、その出発原料はブチレン及びプロピレンのいずれでもよい。
炭素鎖が不飽和基を含む場合、その炭素数は18が特に好ましい。不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体のいずれかであってもよく、両者の混合物であってもよいが、シス体/トランス体の比率が25/75~100/0(質量比)であることが特に好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOに加えてプロピレンオキサイド(PO)又はブチレンオキサイド(BO)を更に付加してもよい。EOの平均付加モル数は好ましくは10~100モル、更に好ましくは20~80モル、特に好ましくは40~70モルである。EOとともに付加するPO又はBOの平均付加モル数は、好ましくは1~5、更に好ましくは1~3モルである。この態様では、EOを付加した後にPO又はBOを付加してもよく、PO又はBOを付加した後にEOを付加してもよい。
「アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物」の好ましい例としては、ノニルアルコールのEO及びPO付加物(平均付加モル数:EO:9モル。PO:1モル)、一級イソノニルアルコールのEO付加物(EOの平均付加モル数:40モル)、一級イソデシルアルコールのEO付加物(EOの平均付加モル数:20モル)、ラウリルアルコールのEO付加物(EOの平均付加モル数:20モル)、一級イソへキサデシルアルコールのEO付加物(EOの平均付加モル数:60モル)、一級イソトリデシルアルコールのEO付加物(EOの平均付加モル数:40モル又は60モル)、トリデシルアルコールのEO付加物(EOの平均付加モル数:50モル)や、ラウリン酸のEO付加物(EOの平均付加モル数:20モル)等が挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズや、日光ケミカルズ製NIKKOLシリーズ等を使用できる。
【0023】
(C)成分の他の例としては、EOの平均付加モル数が10~100モルであるポリオキシエチレン(以下、POE)基を付加した硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POEソルビット脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステルや、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。なかでも、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油及びPOEソルビット脂肪酸エステルが好ましく、EOの平均付加モル数が30~70モルのPOE硬化ヒマシ油が好ましい。
【0024】
(C)成分としては「アルコールのアルキレンオキサイド付加物」が好ましい。
好ましい「アルコールのアルキレンオキサイド付加物」の例としては、下記の(C1)と(C2)が挙げられる。
【0025】
(C1)一般式(C1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
1-O-(C24O)r-H (C1)
(式中、
1は、炭素数10~18(好ましくは12~18)のアルキル基又はアルケニル基であり、
rは、平均付加モル数であり、30~100(好ましくは40~80)である。)
(C1)のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)は、好ましくは16~20である。
【0026】
(C2)一般式(C2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
1-O-(C24O)q-H (C2)
(式中、
1は、炭素数10~18(好ましくは12~18)のアルキル基又はアルケニル基であり、
qは、平均付加モル数であり、1~20(好ましくは2~15)である。)
(C2)のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)は、好ましくは5~15である。
【0027】
(C)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
【0028】
(C)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
(C1)と(C2)とを併用すると、より優れた配合目的を達成できるので好ましい。
(C1)と(C2)との質量比(C1/C2)は、好ましくは0.1~5、より好ましくは0.2~3、さらに好ましくは0.4~2である。
【0029】
(C)成分の含量((C1)と(C2)とを併用する場合は、(C1)と(C2)の合計の含量)は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは1~15質量%、好ましくは2.0~10.0質量%、より好ましくは3.0~7.0質量%である。前記の含量範囲であると、液体柔軟剤組成物の粘度上昇によるハンドリング性の低下を抑制しつつ、より優れた配合効果が得られる。
【0030】
〔(D)成分:溶剤〕
(D)成分は、(C)成分と併用することで、香気の悪化を抑制しつつ(B)成分を安定して可溶化するために配合する。
【0031】
溶剤としては、液体柔軟剤分野で公知の溶剤を特に制限なく使用できるが、水混和性有機溶剤が好ましい。
水混和性有機溶剤とは、25℃の水1Lに25g以上溶解する有機溶剤をいう。
水混和性有機溶剤としては、例えばエタノール、グリセリン、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール(ソルフィット、商品名)等のアルコール類;プロピレングリコール(PG)、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量約200~1000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などが挙げられる。これらの中でも、臭気の少なさ、入手のしやすさ、液体洗浄剤の流動性の観点等から、エタノール、グリセリン、3-メトキシ-3-メチルブタノール、プロピレングリコール、分子量約200~1000のポリエチレングリコール、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)が好ましく、エタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)がより好ましい。
水混和性有機溶剤の例としては、下記の(D1)と(D2)が挙げられる。
【0032】
〔(D1)〕
D1は、低級(炭素数1~5)アルコール、グリコールエーテル系溶剤、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の水溶性溶剤(但し、後述の(D2)は除く)である。
(D1)の例としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールやポリオキシエチレンフェニルエーテル等が挙げられる。
【0033】
好ましい(D1)としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、や、下記一般式(D1)で表わされる水溶性溶剤が挙げられる。
3-O-(C36O)z-(C24O)y-H (D1)
(式中、
3は、炭素数1~8(好ましくは2~6)のアルキル基又はアルケニル基であり、
yは平均付加モル数であり、2~50(好ましくは2~30)であり、
zは平均付加モル数であり、0~50(好ましくは0~20)である。)
【0034】
より好ましい(D1)としては、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)[C49O(C24O)2H]や、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49O(C36O)(C24O)2H]等が挙げられる。
【0035】
〔(D2)〕
(D2)は、以下の一般式(D2)で表される化合物である。
(式中、
1~R3は、独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、
4は、水素原子又はアセチル基である)
【0036】
式(D2)中、R1~R3は、全てが水素原子であるか、又は1つがアルキル基であり、他の2つが水素原子であることが好ましい。すなわち、R1~R3の内、2つ以上が水素原子であることが好ましい。R1~R3のうち、2つ以上が水素原子であると、高い配合効果が得られる。
1~R3のいずれかがアルキル基である場合、その炭素数は1~2が好ましく、1がより好ましい。前記の炭素数範囲であると、高い配合効果が得られる。
4は、水素原子が好ましい。
【0037】
(D2)成分としては、
一般式(D2)のR4が水素原子であるもの、例えば3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-3-エチルブタノール、3-メトキシ-3-プロピルブタノール、3-メトキシ-2-メチルブタノール、3-メトキシ-2-エチルブタノール、3-メトキシ-2-プロピルブタノール、3-メトキシ-1-メチルブタノール、3-メトキシ-1-エチルブタノール、3-メトキシ-1-プロピルブタノール等や;
一般式(D2)のR4がアセチル基であるもの、例えば、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-2-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-1-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-プロピルブチルアセテート等が挙げられる。
なかでも、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-2-メチルブタノール、3-メトキシ-1-メチルブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテートが好ましく、3-メトキシ-3-メチルブタノールがより好ましい。
【0038】
(D)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
【0039】
(D)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。例えば、複数種類の(D1)又は複数種類の(D2)を用いてもよく、(D1)と(D2)とを併用してもよい。
(D1)と(D2)とを併用すると、より優れた配合目的を達成できるので好ましい。
(D1)と(D2)との質量比(D1/D2)は、好ましくは0.1~3.0、より好ましくは0.2~2.0、さらに好ましくは0.4~1.5である。
【0040】
(D)成分の含量は、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、1.0質量%以上~10質量%未満、好ましくは2.0~8.5質量%、より好ましくは3.0~7.0質量%である。
【0041】
〔(A)成分と(B)成分との質量比〕
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)は、好ましくは0.3~10、さらに好ましくは0.6~7、より好ましくは1~5である。
前記の質量比範囲であると、繊維製品にサラッとした感触を更に付与しつつ、(B)成分を更に安定して可溶化できる。
【0042】
〔(A)成分と(D)成分との質量比〕
(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)は、好ましくは0.1~1.5、さらに好ましくは0.15~1、より好ましくは0.2~0.8である。
前記の質量比範囲であると、繊維製品にサラッとした感触を更に付与しつつ、液体柔軟剤組成物の透明又は半透明な外観を更に維持できる。
【0043】
〔(C)成分と(D)成分との質量比〕
(C)成分と(D)成分との質量比(C/D)は、0.5~10、好ましくは0.6~5、より好ましくは0.6~2である。
前記の質量比範囲であると、(D)成分に起因する香気の悪化を抑制しつつ、(B)成分を安定して可溶化できる。
【0044】
〔液体柔軟剤組成物の透明性〕
液体柔軟剤組成物は透明又は半透明である。「透明」とは、測定セル(光路長10mmのガラスセル)に液体柔軟剤組成物を入れ、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に、660nmの波長の光透過率が95%以上であることを意味し、「半透明」とは、前記透過率が30%以上95%未満であることを意味する。
【0045】
〔任意成分〕
必須の(A)~(D)成分の配合効果を損なわない範囲で、下記の任意成分を配合してもよい。
【0046】
〔(E)成分:水溶性カチオンポリマー〕
(E)成分は、(A)成分の繊維製品への吸着性を高めて、繊維製品のサラっとした感触をより良好にするために配合する。
【0047】
(E)成分は水溶性である。「水溶性」とは、被験物質1gを25℃の水100gに加えて得られた溶液が無色透明であることをいう。
(E)成分は、水に溶解したときにカチオン性を有する。
(E)成分は、後述するカチオン化度が、好ましくは0.1%以上(例えば0.1~35%)であり、より好ましくは2.5%以上(例えば2.5~15%)である。カチオン化度が前記の範囲であると、共存する(A)成分の繊維製品への吸着性をより高めることができ、かつ多量配合によるコスト増加を防止できる。
【0048】
(E)成分が、(i)カチオン性モノマーの重合体、(ii)カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、又は(iii)ノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)である場合、カチオン化度は、下記式(1)により算出される値として定義される。
カチオン化度(%)=X×Y×100 式(1)
[X:ポリマーのカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:ポリマー1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
【0049】
(E)成分が(i)カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、又は(ii)カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体である場合、カチオン化度は、下記式(2)により算出される値として定義される。
カチオン化度(%)=X×(Y-Z)×100 式(2)
[X:ポリマーのカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:ポリマー1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:ポリマー1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基としては、ポリマー鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基や、スルホン酸基など(例えば、アクリル酸中のカルボン酸基)が挙げられる。但し、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
【0050】
例示として、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合体である、下記式(III)で表されるMERQUAT280(塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20。式(III)では、m:n=65:35)(日本ルーブリゾール社製)のカチオン化度の計算手順を示す。
【0051】
【化3】
【0052】
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3-2.78×10-3)×100=3.0である。
【0053】
前記の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0となる。
【0054】
(E)成分の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定したとき、好ましくは1,000~5,000,000であり、より好ましくは3,000~2,000,000であり、さらに好ましくは5,000~500,000である。
前記の重量平均分子量範囲であると、(A)成分の繊維製品への吸着を高め、かつ液体柔軟剤組成物の粘度上昇が抑制され、優れた使用性が得られる。
【0055】
(E)成分としては、前述した水溶性及びカチオン性を有するポリマーを特に制限なく使用し得るが、好ましくは、アミノ基、アミン基及び第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性ポリマーである。
(E)成分の例としては、
MERQUAT100(日本ルーブリゾール社製)、アデカカチオエースPD-50((株)アデカ)、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、
MERQUAT550 JL5(日本ルーブリゾール社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、
MERQUAT280(日本ルーブリゾール社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、
レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、
LUVIQUAT-FC905(BASF社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、
LUGALVAN-G15000(BASF社製)等のポリエチレンイミン、
ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、
キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体や、
ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
特に好ましい(E)成分は、下記一般式(IV)で表されるジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーである。このポリマーの構造は、通常、下記の一般式(V)又は(VI)で表わされる。
なお、1つのポリマー鎖に、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位とが共に含まれていてもよい。
【0056】
【化4】
(式中、X-は、塩化物イオン、臭化物イオンなどの任意のマイナスイオンを示す。)
【0057】
【化5】
【0058】
【化6】
(各式中、c及びdは平均重合度を表し、各々、好ましくは6~30000、より好ましくは20~6000、さらに好ましくは30~3000である。)
【0059】
一般式(IV)のジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーの例としては、MERQUAT100(日本ルーブリゾール社製)、アデカカチオエースPD-50((株)アデカ社製)や、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0060】
(E)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
【0061】
(E)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0062】
(E)成分の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1.0~5.0質量%である。前記の含量範囲であると、より優れた配合効果が得られる。
【0063】
〔(F)成分:消泡剤〕
(F)成分は、泡立ちを抑制することで柔軟剤の計量性を向上させるために配合する。
(F)成分の例としては、シリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤及び合成油系消泡剤等が挙げられ、シリコーン系又はアルコール系の消泡剤が好ましい。
シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられる。なかでも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましく、エマルション型消泡剤がさらに好ましい。
【0064】
(F)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
市販品の例としては、
ダウ・東レ(株)製のFSアンチフォームシリーズのDKQ1-071、DKQ1-1208、DKQ1-1086、544、001、80、81、026A、545、013B、DK Q1-072、AFE、BE、DB-31、DB-110N、H-10、025、EPL、F-18、F-20、F-51、CE、90、91、92、1122、DK Q1-1089、DK Q1-1056、DK Q1-1014、DK Q1-1074や、
信越化学工業(株)製のKS496A、KS502,KS506、KS508、KS530、KS531、KS536、KS537、KS538、KM73、KM73A、KM73B、KM73E、KM72、KM72A、KM72F、KM70、KM71、KM75、KM80、KM83、KM83A、KM85、KM87A、KM89、KM90、KM93、KM68-1F、KM68-2Fや、
ダウ・東レ(株)製のQ2-3183A、BY28-503、SD5591、SH7PA、SH5503、SH5510、SM5513、SH5561、SH5507、BY22-517、SM5511、SM5512、SM5515、SM5517、SM5571、SM5572F、SM5573や、
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のYSA6406、TSA780、TSA7341、TSA7343、TSA739、TSA732、TSA732A、TSA772、TSA730、TSA770、TSA775、TSA776、YMA6509、TSA737、TSA737B、TSA737S、TSA737F、TSA737K等が挙げられる。
【0065】
(F)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0066】
(F)成分の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.001~0.1質量%、より好ましくは0.005~0.02質量%である。
【0067】
〔水〕
液体柔軟剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、精製水、純水、蒸留水や、イオン交換水を使用できる。なかでもイオン交換水が好適である。
水の含量は特に限定されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。水の含量が50質量%以上であると、液体柔軟剤組成物のハンドリング性がより良好となる。
【0068】
〔抗菌剤〕
抗菌剤は液体柔軟剤組成物の抗菌性を向上するために配合する。
抗菌剤の具体例としては、
塩化セチルトリメチルアンモニウム(例えば、クラリアント社製「GenaminCTAC」)、
塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「リポカード12-37W」)、
塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、
塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ライオン・アクゾ株式会社製「アーカード16-50」)、
塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ライオン・アクゾ株式会社製「アーカードT-800」)、
塩化ヤシアルキルジ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム(例えば、ライオン・アクゾ株式会社製「エソカードC/12」)、
塩化ジデシルジメチルアンモニウム(例えば、ライオン・アクゾ株式会社製「アーカード210-80E」)、
塩化ジヤシアルキルジメチルアンモニウム(例えば、ライオン・アクゾ株式会社製「アーカード2C-75」)や、
塩化ベンザルコニウム(例えば、ライオン・アクゾ株式会社製「アーカードCB-50」)等が挙げられる。
なかでも、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム及び塩化ベンザルコニウムが好ましい。
抗菌剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
抗菌剤の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.01~5.0質量%、より好ましくは0.1~2.0質量%、更に好ましくは0.2~1.0質量%である。
【0069】
〔防腐剤〕
防腐剤は、主に、液体柔軟剤組成物の防腐力や殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために配合する。
防腐剤としては、液体柔軟剤分野で公知の成分を特に制限なく使用できる。
具体例としてはイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
防腐剤の含量は、配合目的を達成できる限り特に制限されないが、液体柔軟剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。含量が0.0001質量%以上であると、防腐剤の配合効果が十分に得られる。含量が1質量%以下であると、液体柔軟剤組成物の高い保存安定性を十分に維持することができる。
【0070】
〔その他の任意成分〕
前述の成分以外にも、液体柔軟剤組成物の香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、乳濁剤(ポリスチレンエマルジョンなど)、不透明剤、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、移染防止剤(ポリビニルピロリドンなど)、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤(4,4-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS-X)など)、染料固定剤、退色防止剤(1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンなど)、染み抜き剤、繊維表面改質剤(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼや、ケラチナーゼなどの酵素)、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与する成分(シルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK-50、K-30、K-10、A-705、S-702、L-710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス))や、汚染防止剤(アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位とからなる非イオン性高分子化合物。例えば、互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC-1など)等を適宜配合できる。
【0071】
〔液体柔軟剤組成物のpH〕
液体柔軟剤組成物のpHは特に制限されないが、保存経日に伴う液外観の変色を抑制する観点から、25℃におけるpHを、好ましくは2~9、更に好ましくは3~7の範囲に調整する。
pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩等を使用できる。pH調整剤としては、クエン酸が好ましい。
【0072】
〔液体柔軟剤組成物の製造方法〕
液体柔軟剤組成物は、公知の方法、例えば、シリコーン化合物を主剤とする液体柔軟剤組成物と同様の工程にしたがい製造できる。
例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む油相と、水溶性成分(例えば、(E)成分)を含む水相とを混合し、攪拌することで、液体柔軟剤組成物を製造できる。
【0073】
〔液体柔軟剤組成物の使用方法〕
液体柔軟剤組成物を用いた繊維製品の処理方法は特に制限されず、従来の液体柔軟剤と同様に使用できる。例えば、洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に液体柔軟剤組成物を溶解させて処理を行う、又はたらいのような容器中で液体柔軟剤組成物を水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法がある。いずれも場合も適度な濃度に希釈して使用するが、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3~100倍、特に5~50倍であることが好ましい。
液体柔軟剤組成物で処理可能な繊維製品の種類は特に制限されず、例えば、衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツや、マクラカバー等が挙げられる。その素材も、綿や絹、ウール等の天然繊維でもよいし、ポリエステル等の化学繊維でもよい。
【実施例0074】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例における各成分の配合量は全て質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0075】
〔(A)成分:ポリエーテル変性シリコーン〕
以下のA-1~A-3を使用した。

A-1:ポリエーテル変性シリコーン(ダウ・東レ(株)製「CF1188N」)
A-2:ポリエーテル変性シリコーン(ダウ・東レ(株)製「SH3775M」)
A-3:ポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製「X-20-8010N」)
【0076】
〔(B)成分:香料組成物〕
以下に示す組成の香料組成物B-1を使用した。


【0077】
〔(C)成分:ノニオン界面活性剤〕
以下のC-1及びC-2並びにC-3及びC-4を使用した。

C-1:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(BASF社製「ルテンゾールTO3」にエチレンオキサイド(EO)を付加させたもの)。C-1は、一般式(C1)(R1は、炭素数13のアルキル基であり、rは60である)で表される化合物である。C-1のHLBは18.59であった。

C-2:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO7モル(ライオンケミカル(株)製「TAG-90」)。C-2は、一般式(C2)(R1は、炭素数13のアルキル基であり、qは7である)で表される化合物である。C-2のHLBは12.52であった。

C-3:ポリオキシエチレンアルキルエーテルEO10モル(BASF社製「ルテンゾール XP100」)。C-3は、ペンタノールをガーベット反応に供して得られたC10のアルコールに対し、10モル相当のエチレンオキシドを付加したものである。C-3は、一般式(C2)(R1は、炭素数10のアルキル基であり、qは10である)で表される化合物である。C-3のHLBは14.72であった。

C-4:ポリオキシエチレンアルキルエーテルEO7モル(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製「レオックスCL-70」)。C-4は、一般式(C2)(R1は、炭素数12及び14のアルキル基(質量比はC12:C14=70:30)であり、qは7である)で表される化合物である。C-4のHLBは12.27であった。
【0078】
〔(D)成分〕
以下のD1-1、D1-2及びD2-1を使用した。

D1-1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤(株)社製「ブチルジグリコール(84)」)

D1-2:エタノール(日本合成アルコール(株)製「特定アルコール95度合成」)

D2-1:3-メトキシ-3-メチルブタノール((株)クラレ社製「ソルフィット」)。D2-1は、一般式(D2)(式中、R1はメチル基であり、R2~R4はいずれも水素原子である)で表される化合物である。
【0079】
〔(E)成分:水溶性カチオンポリマー〕
以下のE-1を使用した。

E-1:塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合物(日本ルーブリゾール社製「MERQUAT100」)。E-1は、一般式(IV)で表されるジメチルジアリルアンモニウム塩(X-は、塩化物イオン)を重合して得られる水溶性カチオン性ポリマーである(計算式(1)によるカチオン化度:10.5%。重量平均分子量:1.5×105)。また、1gのE-1を25℃の水100gに加えて得られた溶液は無色透明であった。
【0080】
〔(F)成分:消泡剤〕
以下のF-1を使用した。

F-1:シリコーンエマルション型消泡剤(信越化学工業(株)製「KM-90」)
【0081】
〔液体柔軟剤組成物の調製〕
まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分((C1)及び/又は(C2))、(D)成分((D1)及び/又は(D2))及び(E)成分を1000mlビーカーにとり、攪拌羽根を用いて充分に攪拌し、油相混合物を得た。
他方、(E)成分をイオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。
次に、油相混合物を攪拌しながら、水相混合物を添加し、さらに(F)成分を添加し、均一になるまで充分に攪拌して、1000gの液体柔軟剤組成物(pH5.0)を調製した。
なお、実施例26~29では、(F)成分を添加し、均一になるまで充分に攪拌した後に、クエン酸(一方社油脂工業株式会社製、商品名「液体クエン酸」)を適量添加して、全体質量1000gの液体柔軟剤組成物(pH5.0)を調製した。
各液体柔軟剤組成物の組成を後記の表1及び表2に示す。
表1及び表2中の含量の値は、液体柔軟剤組成物の総質量に対する含量(質量%)である。
表1及び表2中の「C/D」は、(C)成分と(D)成分との質量比を示す。
表1中の「C1/C2」は、(C1)成分と(C2)成分との質量比を示す。
表2中の「C1/C2」は、(C1)成分と(C3)成分との質量比、又は、(C1)成分と(C4)成分との質量比を示す。
表1及び表2中の「D1/D2」は、(D1)成分と(D2)成分との質量比を示す。
表1及び表2中の「A/B」は、(A)成分と(B)成分との質量比を示す。
表1及び表2中の「A/D」は、(A)成分と(D)成分との質量比を示す。
【0082】
〔調製直後の液体柔軟剤組成物の外観(透明性)評価〕
各実施例の液体柔軟剤組成物を測定セル(光路長10mmのガラスセル)に入れ、対照側セルにイオン交換水を入れたとき、660nmの波長の光透過率はいずれも95%以上であった。したがって、実施例の液体柔軟剤組成物は透明であった。
【0083】
〔液体柔軟剤組成物で処理された繊維製品の感触(サラッとした感触)の評価〕
1.評価布の調製
市販の綿タオル(綿100%、泉州タオル)を、主要洗浄基材としてアニオン界面活性剤を含む市販洗剤「トップ プラチナクリア」(ライオン(株)社製)と二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)とを用いて、以下の前処理に2回供した。
前処理:標準使用量(浴比30倍)の洗剤及び水道水(45℃)による洗浄(10分間)と、続く注水すすぎ(10分間)とのサイクルを2回。
前処理後、恒温恒湿条件(20℃、45%RH)下で20時間乾燥したものを評価布とした。
【0084】
2.柔軟処理
評価布を、ドラム式洗濯機(HITACHI BD-V1、標準コース)における市販洗剤「トップ プラチナクリア」(ライオン(株)社製、標準使用量)を用いた洗浄処理と液体柔軟剤組成物(使用量:評価布1.5Kgに対し10mL)を用いた柔軟処理に供した。洗浄工程~すすぎ工程(柔軟処理)の浴比(評価布の質量に対する水の質量の比率)は10倍であった。柔軟処理後、恒温恒湿条件(20℃、45%RH)下で20時間乾燥した後、以下の方法で評価布の感触を評価した。
【0085】
3.柔軟処理後の評価布の感触の評価
柔軟処理後の評価布を、下記の評価基準に従う官能一対比較に供した。対照として、市販の液体柔軟剤「ソフラン アロマリッチ」(ライオン(株)社製)で柔軟処理(前記「2.柔軟処理」と同様)した評価布を用いた。専門パネラー(8名)平均点(小数点第1位まで算出)を下記の判定基準に適用して、評価布の感触の評価とした。
結果を、表1及び表2の「評価布の感触」欄に示す。商品価値上、○以上を合格であると判定した。

<評価基準>
4:対照と比較して、非常にサラっとしている
3:対照と比較して、サラっとしている
2:対照と比較して、わずかにサラっとしている。
1:対照と比較して、油っぽくサラっとしていない

<判定基準>
◎◎:4点
◎ :3.5点以上、4点未満
○ :3点以上、3.5点未満
△ :2点以上、3点未満
× :2点未満
【0086】
〔香料の可溶化の評価〕
調製直後の液体柔軟剤組成物における香料の可溶化の程度を、下記の評価基準に従い、目視で外観評価した。
更に、80mLの液体柔軟剤組成物を軽量ガラス容器(田沼硝子工業所製「PS-No.11」)に入れて密栓し、50℃下で1日間保存した後、香料の可溶化の安定性を、下記の評価基準に従い、目視で外観評価した。
専門パネラー(5名)平均点(小数点第1位まで算出)を下記の判定基準に適用して、香料の可溶化の評価とした。
結果を、表1及び表2の「香料の可溶化」欄に示す。商品価値上、○以上を合格であると判定した。

<評価基準>
4点:香料を容易に可溶化でき、保存後の組成物の安定性も良好
3点:香料を容易に可溶化できるが、保存後にわずかに香料の分離が見られる
2点:香料をなんとか可溶化できるが、保存後に香料の分離が見られる
1点:香料を可溶化できず白濁が生じ、均一な組成物にできない

<判定基準>
◎◎:4点
◎ :3.5点以上、4点未満
○ :3点以上、3.5点未満
△ :2点以上、3点未満
× :2点未満
【0087】
〔液体柔軟剤組成物の香気の評価〕
80mLの液体柔軟剤組成物を軽量ガラス容器(田沼硝子工業所製「PS-No.11」)に入れて密栓し、25℃に調温した後、開栓したときの瓶口の香りの質を、下記の5段階基準に準拠して官能評価した。基準品として、比較例4と同一組成の液体柔軟剤組成物を用いた。
専門パネラー(5名)の平均点を下記の判定基準に適用して、液体柔軟剤組成物の香気の評価とした。
結果を、表1及び表2の「香気」欄に示す。商品価値上、○以上を合格と判定した。

<評価基準>
5点:基準品と同等
4点:基準品との間で、わずかに悪化がみられる
3点:基準品との間で、比較的悪化がみられる
2点:基準品との間で、かなり悪化がみられる
1点:基準品との間で、非常に悪化がみられる

<判定基準>
◎◎:5点
◎ :4点
○ :3点
△ :2点
× :1点
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、液体柔軟剤の分野で利用可能である。
【0089】
【表1】
【表2】