(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053557
(43)【公開日】2024-04-15
(54)【発明の名称】カートリッジシステム、カートリッジおよびクリップユニットの装填方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61B17/122 100
A61B17/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171376
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】63/378,169
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】上阪 健輔
(72)【発明者】
【氏名】金子 能久
(72)【発明者】
【氏名】南 拓志
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD16
4C160DD26
4C160DD70
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】内部に格納されたクリップユニットのクリップを視認することができるカートリッジシステム、カートリッジおよびクリップユニットの装填方法を提供する。
【解決手段】カートリッジシステムは、開閉可能なアームを有するクリップユニットと、前記クリップユニットが長手方向に沿って移動可能な格納領域を有するケースと、を備え、前記ケースは、前記格納領域に格納されたクリップユニットが所定位置に位置決めされたとき、前記アームの少なくとも一部が露出する開口部を有する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なアームを有するクリップユニットと、
前記クリップユニットが長手方向に沿って移動可能な格納領域を有するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記格納領域に格納されたクリップユニットが所定位置に位置決めされたとき、前記アームの少なくとも一部が露出する開口部を有する、
カートリッジシステム。
【請求項2】
前記アームに把持された状態で前記格納領域に格納可能な規制部材をさらに有し、
前記所定位置は、前記格納領域に格納された前記クリップユニットが把持する規制部材が前記長手方向の先端側において前記ケースと係合する先端側位置である、
請求項1に記載のカートリッジシステム。
【請求項3】
前記所定位置は、前記格納領域に格納された前記クリップユニットが前記長手方向の基端側において前記ケースと係合する基端側位置である、
請求項1に記載のカートリッジシステム。
【請求項4】
前記開口部は、前記格納領域のいずれの位置に配置されたクリップユニットの前記アームの少なくとも一部が露出する位置に形成されている、
請求項1に記載のカートリッジシステム。
【請求項5】
前記開口部は、前記長手方向と交差する高さ方向に前記ケースを貫通して前記格納領域に連通する、
請求項1に記載のカートリッジシステム。
【請求項6】
前記開口部は、前記高さ方向の一方側に設けられた上側開口部と、前記高さ方向の他方側に設けられて下側開口部と、を有し、
前記高さ方向から見て、前記上側開口部と前記下側開口部とは、少なくとも一部が重なる、
請求項5に記載のカートリッジシステム。
【請求項7】
前記アームに把持された状態で前記格納領域に格納可能な規制部材をさらに有し、
前記規制部材は、前記長手方向と交差する高さ方向に貫通し、前記高さ方向からみて前記規制部材を把持した前記アームの少なくとも一部と重なる貫通空間を有し、
前記格納領域に格納されたクリップユニットが前記所定位置に位置決めされたとき、前記高さ方向から見て、前記開口部は前記貫通空間と重なっている、
請求項1に記載のカートリッジシステム。
【請求項8】
前記貫通空間は、前記高さ方向と垂直な幅方向において前記アームより外側の外側貫通空間と、前記幅方向において前記アームより内側の内側貫通空間と、に区分される、
請求項7に記載のカートリッジシステム。
【請求項9】
前記アームは、前記クリップユニットが前記格納領域に格納されたときに、前記長手方向と交差する高さ方向から見て前記開口部と重なる位置に凹部を有する、
請求項1に記載のカートリッジシステム。
【請求項10】
開閉可能なアームを有するクリップユニットと、
前記クリップユニットが長手方向に沿って移動可能な格納領域を有するケースと、
一端が前記アームに結び付けられた糸と、
を備える、
カートリッジシステム。
【請求項11】
前記糸の他の部分は、前記ケースの開口を通過して前記ケースの外部に配される、
請求項10に記載のカートリッジシステム。
【請求項12】
前記糸が結び付けられた前記クリップユニットを格納した前記ケースを収容するパッケージをさらに備える、
請求項10に記載のカートリッジシステム。
【請求項13】
前記ケースは、前記糸の他の部分が前記ケースに固定された状態で前記パッケージに収容されている、
請求項12に記載のカートリッジシステム。
【請求項14】
開閉可能な複数のアームを有するクリップユニットと、
前記クリップユニットを長手方向に沿って格納する格納領域を有するケースと、
前記クリップユニットと共に前記格納領域に格納可能なブロックと、
を備え、
前記アームは、前記アームの先端に設けられた爪と、前記爪を支持するアーム本体と、
前記アーム本体と前記爪とを連結し内側に屈曲する屈曲部と、を有し、
前記ブロックと共に前記クリップユニットが前記格納領域に格納されたとき、
前記ブロックは、前記複数のアームの前記内側に配置され、
前記屈曲部は、前記ブロックから離れて配置される、
カートリッジシステム。
【請求項15】
前記クリップユニットは、前記屈曲部が前記ケースに接触した状態で、前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項16】
前記クリップユニットは、前記ブロックにおいて前記爪の先端と対向する対向面と前記爪の先端が向く方向とがなす角度が0度より大きい状態で、前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項17】
前記ブロックは、前記複数のアームの開閉方向の両側に突出する突出部を有し、
前記開閉方向において、前記突出部の最大突出点の間の長さは、前記格納領域の格納されたクリップユニットにおける複数のアームの前記爪の先端の間の長さより長い、
請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項18】
前記クリップユニットは、前記屈曲部が前記突出部の前記最大突出点より先端側に配置された状態で、前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項17に記載のカートリッジシステム。
【請求項19】
前記ブロックは、前記クリップユニットと共に前記格納領域を前記長手方向に移動可能に前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項20】
前記ブロックは、前記クリップユニットと分離可能に係合した状態で前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項21】
前記複数のアームは、第一アームと前記第一アームより短い第二アームとを有し、
前記ブロックと共に前記クリップユニットが前記格納領域に格納されたとき、前記第一アームの前記爪の先端と前記ブロックとの距離は、前記第二アームの前記爪の先端と前記ブロックとの距離より長い、
請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項22】
第一アームと前記第一アームより短い第二アームとを有するクリップユニットと、
前記クリップユニットを長手方向に沿って格納する格納領域を有するケースと、
前記クリップユニットと共に前記格納領域に格納可能なブロックと、
を備え、
前記ブロックと共に前記クリップユニットが前記格納領域に格納されたとき、
前記ブロックは、前記第一アームと前記第二アームとの間に配置される、
カートリッジシステム。
【請求項23】
前記第一アームは、前記第一アームの先端に設けられた第一爪と、前記第一爪を支持する第一アーム本体と、を有し、
前記第二アームは、前記第二アームの先端に設けられた第二爪と、前記第二爪を支持する第二アーム本体と、を有し、
前記ブロックと共に前記クリップユニットが前記格納領域に格納されたとき、
前記第一アームの前記第一爪の先端は、前記ブロックから離れて、
前記第二アームの前記第二爪の先端は、前記ブロックから離れている、
請求項22に記載のカートリッジシステム。
【請求項24】
前記第二アームは、前記第二アーム本体と前記第二爪とを連結し、内側に屈曲する第二屈曲部を有し、
前記クリップユニットは、前記第二屈曲部が前記ケースに接触した状態で、前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項23に記載のカートリッジシステム。
【請求項25】
前記クリップユニットは、前記第二屈曲部が前記ブロックから離れた状態で、前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項24に記載のカートリッジシステム。
【請求項26】
前記クリップユニットは、前記ブロックにおいて前記第二爪の先端と対向する対向面と前記第二爪の先端が向く方向とがなす角度が0度より大きい状態で、前記ケースの前記格納領域に格納される、
請求項23に記載のカートリッジシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2022年10月03日に出願された米国仮出願第63/378,169号の利益を主張し、その全文が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、内視鏡用クリップユニットを収容したカートリッジシステム、内視鏡用クリップユニットを収容するカートリッジおよび内視鏡用クリップユニットの装填方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡的治療において、処置後の切除部等を結紮して止血等が可能なクリップユニットが使用されている。クリップユニットは、切除部等を挟み込むクリップと、クリップを収容して閉状態にロックする押さえ管等を備えている。クリップユニットは、内視鏡のチャンネルを挿通可能なクリップ導入装置によって処置位置に導入される。
【0004】
クリップユニットをクリップ導入装置に装填する際は、専用の取付具が使用されている。例えば特許文献1には、貫通窓が設けられた取付具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の取付具において、クリップが取付具の内部で移動すると、術者は貫通窓からクリップを視認できなくなることがある。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、内部に格納されたクリップユニットのクリップを視認することができるカートリッジシステム、カートリッジおよびクリップユニットの装填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るカートリッジシステムは、カートリッジシステムは、開閉可能なアームを有するクリップユニットと、前記クリップユニットが長手方向に沿って移動可能な格納領域を有するケースと、を備え、前記ケースは、前記格納領域に格納されたクリップユニットが所定位置に位置決めされたとき、前記アームの少なくとも一部が露出する開口部を有する。
【0009】
本発明の第二の態様に係るカートリッジシステムは、開閉可能なアームを有するクリップユニットと、前記クリップユニットが長手方向に沿って移動可能な格納領域を有するケースと、一端が前記アームに結び付けられた糸と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカートリッジシステム、カートリッジおよびクリップユニットの装填方法は、内部に格納されたクリップユニットのクリップを視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】第一実施形態に係るカートリッジシステムのクリップユニットの斜視図である。
【
図3】押さえ部材を透過表示させた同クリップユニットの斜視図である。
【
図4】同押さえ部材の長手方向における断面図である。
【
図5】同クリップユニットの連結部材の斜視図である。
【
図6】同クリップユニットを格納したカートリッジの斜視図である。
【
図7】同クリップユニットを格納した同カートリッジの断面図である。
【
図8】同クリップユニットを格納する前の同カートリッジの断面図である。
【
図9】同クリップユニットを格納していない同カートリッジのケースの斜視図である。
【
図11】
図9に示す矢印の方向から見た同ケースの正面図である。
【
図12】同カートリッジの規制部材の斜視図である。
【
図14】一対のアームに把持される同規制部材の中層部材を示す図である。
【
図15】同クリップユニットが格納された同カートリッジを示す図である。
【
図16】一対のアームに糸をかけた同カートリッジを示す図である。
【
図17】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図18】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図19】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図20】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図21】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図22】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図23】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図24】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図25】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図26】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
【
図27】同クリップユニットを同カートリッジに格納する方法を説明する図である。
【
図28】同クリップユニットを同カートリッジに格納する方法を説明する図である。
【
図29】同クリップユニットを同カートリッジに格納する方法を説明する図である。
【
図30】同クリップユニットを同カートリッジに格納する方法を説明する図である。
【
図31】同カートリッジが収容されたパッケージを示すである。
【
図32】同カートリッジが収容されたパッケージを示すである。
【
図33】同カートリッジが収容されたパッケージを示すである。
【
図34】同カートリッジが収容されたパッケージを示すである。
【
図35】開口部を有さないカートリッジが収容されたパッケージを示すである。
【
図36】開口部を有さないカートリッジが収容されたパッケージを示すである。
【
図37】同クリップユニットのクリップの変形例を示す図である。
【
図38】同クリップユニットのクリップの他の変形例を示す図である。
【
図39】同クリップユニットのクリップの他の変形例を示す図である。
【
図44】第二実施形態に係るカートリッジシステムを示す図である。
【
図45】同カートリッジシステムのクリップユニットの斜視図である。
【
図46】同カートリッジシステムの規制部材の中層部材を示す図である。
【
図47】同クリップユニットの第二アームの先端の拡大図である。
【
図48】基端側に牽引された同クリップユニットの一対のアームを示す図である。
【
図49】先端が同規制部材に接触した同一対のアームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係るカートリッジシステム100について、
図1から
図36を参照して説明する。カートリッジシステム100は、クリップユニット1と、クリップユニット1を収容するカートリッジ5と、を備える。カートリッジシステム100は、クリップ導入装置200にクリップユニット1を容易に装填するための支援システムである。
【0013】
[クリップ導入装置200]
図1は、クリップ導入装置200の斜視図である。
クリップ導入装置(アプリケータ)200は、シース220と、操作ワイヤ230と、操作部240と、を備える。クリップ導入装置200は、例えば内視鏡300の処置具挿通チャンネル310に挿通され、内視鏡300と組み合わせて使用される(
図27)。そのため、シース220は、内視鏡300の処置具挿通チャンネル310の長さよりも十分に長く形成されている。シース220は、可撓性を有しており、内視鏡300の挿入部の湾曲に合わせて湾曲する。
【0014】
シース220は、先端チップ221と、先端側コイル222と、手元側コイル224と、を備え、全体として細長い管状に形成されている。先端側コイル222は、シース220の先端部側に配置されている。先端チップ221は、先端側コイル222の先端部に配置されている。
【0015】
操作ワイヤ(動力伝達部)230は、
図1に示すように、クリップユニット1に接続される矢尻フック部(接続部)231と、矢尻フック部231を操作するワイヤ232と、を備える。
【0016】
矢尻フック部231は、クリップユニット1と係合する略円錐形状の係合部231aと、係合部231aの基端に設けられたワイヤ接続部231bと、を備える。矢尻フック部231は、例えばステンレス鋼材等の金属材により形成されている。
【0017】
ワイヤ232は、シース220に対して進退自在に挿通されている。ワイヤ232の先端部は、ワイヤ接続部231bの基端に例えば溶接によって固定されている。
【0018】
操作部240は、
図1に示すように、操作部本体241と、スライダ242と、サムリング248と、を備える。操作部本体241は、例えば樹脂材によって射出成型されている。操作部本体241は、スリット部241aと、先端側に回転グリップ241bとを備える。スリット部241aは、スライダ242を進退可能に支持する。
【0019】
スライダ242は、操作部本体241の長手軸方向に進退可能に取り付けられており、ワイヤ232の基端が取り付けられている。スライダ242が操作部本体241に沿って進退することで、ワイヤ232がシース220に対して進退し、矢尻フック部231が進退する。
【0020】
サムリング248は、操作部本体241の基端に、操作部本体241の長手軸周りに回転可能に取り付けられている。
【0021】
[クリップユニット1]
図2は、クリップユニット1の斜視図である。
図3は、押さえ部材3を透過表示させたクリップユニット1の斜視図である。クリップユニット1は、クリップ2と、押さえ部材3と、連結部材4と、を備える。以降の説明において、クリップユニット1の長手方向Aにおけるクリップ2側をクリップユニット1の先端側(遠位側)A1とし、連結部材4側をクリップユニット1の基端側(近位側)A2とする。
【0022】
クリップ2は、金属製板材を中央部で折り曲げて形成されている。クリップ2は、開閉可能な一対のアーム21と、一対のアーム21を接続する基端部28と、を有する。クリップ2の基端側A2は、押さえ部材3の内部空間38に挿入されている。
【0023】
一対のアーム21は、第一アーム211と第二アーム212とを有する。第一アーム211と第二アーム212とは、クリップユニット1の長手方向Aにおける中心軸線O1を挟んで両側に配置される。なお、クリップ2は3つ以上のアームを有してもよい。
【0024】
第一アーム211は、先端側A1から基端側A2に向かって組織把持部22と、平板状の把持部23と、摺動部24と、係合部25と、を有する。組織把持部22は、第一アーム211の先端を内側に向かって折り曲げられて形成されている。摺動部24は、一対のアーム21が押さえ部材3に引き込まれる際に弾性変形する部分である。
【0025】
第二アーム212は、先端側A1から基端側A2に向かって組織把持部22と、平板状の把持部23と、摺動部24と、係合部25と、を有する。
【0026】
第一アーム211の組織把持部22と第二アーム212の組織把持部22とは、中心軸線O1に対して非対称な形状に形成されている。そのため、使用者は、クリップ2を連結部材4に取り付ける際に、連結部材4に対してクリップ2を取り付ける向きを把握しやすい。なお、第一アーム211の組織把持部22と第二アーム212の組織把持部22とは、中心軸線O1に対して対称な形状に形成されていてもよい。
【0027】
係合部25は、押さえ部材3の締付部材32と係合可能な部材である。係合部25の先端側A1は長手方向Aに対して鈍角な斜面、基端側A2は長手方向Aに対して鋭角な斜面に形成されている。
【0028】
基端部28は、第一アーム211と第二アーム212とを連結する。基端部28により連結された第一アーム211と第二アーム212とは、先端側A1に向かって開閉自在に設けられている。基端部28は、折り曲げられてU字状に形成されており、連結部材4のフック41fと連結される。基端部28は一対のアーム21が開状態になるように付勢されている。そのため、クリップ2の一対のアーム21は開閉方向Pに対する自己拡開力を有する。
【0029】
基端部28と連結部材4のフック41fとは、
図4に示すように、U字状に形成された基端部28に連結部材4のフック41fが挿入されて連結される。
【0030】
図4は、押さえ部材3の長手方向Aにおける断面図である。
押さえ部材(管状部材)3は、クリップ2の少なくとも一部を格納可能な円管状の部材である。押さえ部材3は、クリップ2が長手方向Aに進退する内部空間38を有する。押さえ部材3は、内部空間38に引き込んだクリップ2を閉じた状態に固定できる。押さえ部材3は、基端側A2に設けられた押さえ管3Aと、先端側A1に設けられた押さえパイプ3Bと、を有する。
【0031】
押さえ管(第二管状部材)3Aは、筒状に形成された押さえ管本体30と、突没ウイング31と、締付部材32と、を有する。
【0032】
押さえ管本体30は、クリップ2よりも柔らかい材質、例えば、PPA(ポリフタルアミド)、PA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)等の適度な弾性を有する熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成されている。なお、押さえ管本体30は、熱可塑性樹脂ではなく、金属によって形成されていてもよい。
【0033】
突没ウイング31は、押さえ管本体30の外周面30aに対して突没する一対の凸部である。突没ウイング31は、中心軸線O1を挟んで両側に設けられている。突没ウイング31は、外周面30aに対して径方向Rの外側に突出する突状態を基本姿勢とする。突没ウイング31は、径方向Rの外側から内側に向かう力を受けることで、外周面30aに対して没入する没状態となる。上記の力が解除されることで、突没ウイング31は没状態から突状態に戻る。
【0034】
締付部材32は、押さえ管3Aの内部空間38に設けられた、リング状の部材である。締付部材32は、金属により形成されている。なお、締付部材32は、押さえ管本体30よりも硬くなるように形成されていればよく、例えば金属ではなく熱可塑性樹脂によって形成されていてもよい。
【0035】
締付部材32は、締付部材32の中心軸が中心軸線O1と一致するように配置されている。締付部材32は突没ウイング31よりも基端側A2に配置されている。締付部材32は、例えばインサート成形により、押さえ管本体30に組み込まれている。締付部材32は、押さえ管本体30の内周面から径方向Rの内側に突出する位置に配置されている。
【0036】
押さえパイプ(第一管状部材)3Bは、金属製の円筒部材である。押さえパイプ3Bは、押さえ管3Aの先端部に圧入されている。押さえ管3Aと押さえパイプ3Bとは、熱溶着、接着またはねじ止めにより連結されていてもよい。
【0037】
図5は、連結部材4の斜視図である。
連結部材4は、クリップ2の基端部28に分離可能に連結される。また、連結部材4は、シース220内を挿通する矢尻フック部231に分離可能に連結される。すなわち、連結部材4は、クリップ2と矢尻フック部231とを連結する。連結部材4は、押さえ部材3の内部空間38に挿入される挿入部41と、挿入部41の基端に設けられた連結部42と、を備える。
【0038】
挿入部41は、先端部にフック41fを有する。フック41fは、中心軸線O1と垂直な方向に延びるフックであり、略円柱棒状に形成されている。フック41fには、クリップ2の基端部28が引っ掛けられる。フック41fは、基端部28が基端側に牽引されることによって所定の破断力量が加えられたときに破断する。
【0039】
連結部42は、クリップ導入装置200の矢尻フック部231が係合(連結)される係合部である。連結部42は、連結部本体43と、弾性アーム部44と、を有する。
【0040】
弾性アーム部44は、連結部本体43の基端に設けられており、二股状に分岐している。弾性アーム部44は、連結部本体43に対して弾性変形可能であり、連結部本体43に対して開閉可能である。弾性アーム部44には、矢尻フック部231の係合部231aを把持して収納する切欠部44mが形成されている。切欠部44mは、矢尻フック部231の係合部231aの外周面に密着する形状に形成されている。
【0041】
次にクリップユニット1の作用について説明する。
押さえ部材3の内部空間には、先端開口3aからクリップ2の基端部28が挿入され、連結部材4と連結される。連結部材4により基端部28が押さえ部材3の基端側A2に牽引されることで、一対のアーム21が押さえ部材3に引き込まれ、一対のアーム21が徐々に閉じる。この状態で基端部28の牽引力が解除されると、一対のアーム21の自己拡開力を復元力として、クリップ2は先端側A1に移動しながら開状態に戻る。
【0042】
基端部28が押さえ部材3の基端側A2にさらに牽引されることで、係合部25が締付部材32より基端側A2まで引き込まれる。係合部25の基端側A2は鈍角な斜面に形成されているため、係合部25は締付部材32より基端側まで引き込みやすい。一方、係合部25の先端側A1は鋭角な斜面に形成されているため、係合部25が締付部材32より基端側A2まで引き込まれると、係合部25と締付部材32とが係合する。その結果、クリップ2は先端側A1に移動できず、一対のアーム21が閉状態にロックされる。一対のアーム21が閉状態にロックされると、一対のアーム21は開状態に戻ることはできない。
【0043】
[カートリッジ5]
図6は、クリップユニット1を格納したカートリッジ5の斜視図である。
図7は、クリップユニット1を格納したカートリッジ5の断面図である。カートリッジ5は、ケース6と、規制部材7と、を有する。カートリッジ5の長手方向Lの長さは50mm程度、幅は10mmから20mm程度、厚さ(高さ)は5mm程度であり、手に持ち易い大きさに形成されている。
【0044】
図6に示すように、カートリッジ5の長手方向Lに対して垂直であって互いに垂直な二方向のうち、一方を「幅方向W」、他方を「高さ方向H」とする。また、長手方向Lおよび幅方向Wに水平な面を、「水平面HP」とする。長手方向Lおよび高さ方向Hに水平な面を「垂直面VP」とする。また、クリップユニット1を格納したカートリッジ5において、一対のアーム21側をカートリッジ5の先端側とし、連結部材4側をカートリッジ5の基端側とする。
【0045】
ケース6は、ケース本体60と、圧搾部65と、シース接続部66と、を有する。ケース6は、例えば、ABS、PC、PP、PS、アクリル、シクロオレフィンポリマー等の適度な硬さがあり、かつ透明な樹脂材により射出成形されて製造されている。透明な樹脂材を用いてケース6が形成されており、使用者はクリップユニット1が内部に存在しているか否かを判断しやすい。
【0046】
ケース本体60は、矩形箱状に形成されている。ケース本体60の幅方向Wの長さは、ケース本体60の高さ方向Hの長さより長い。
【0047】
ケース本体60には、クリップユニット1が長手方向Lにおいて移動可能に格納される格納領域6Sが形成されている。格納領域6Sは、第一領域61と、第二領域62と、畳み部63と、を有する。
図7に示すように、第一領域61と、第二領域62と、畳み部63とは、長手方向Lにおいて先端から基端に向かって配列している。第一領域61、第二領域62および畳み部63は、カートリッジ5の長手方向Lにおける中心軸線O2を含む垂直面VPに対して対称に形成された内部空間である。
【0048】
図8は、クリップユニット1を格納する前のカートリッジ5の断面図である。
クリップユニット1は、ケース本体60の格納領域6Sの先端側に形成された先端開口60bから格納領域6Sに格納される。クリップユニット1は、連結部材4側からカートリッジ5に格納される。
【0049】
クリップユニット1は、
図8に示すように、クリップユニット1の中心軸線O1を長手方向Lに沿わせて格納領域6Sに格納される。クリップユニット1は、一対のアーム21の開閉方向Pをケース6の幅方向Wに一致させて格納領域6Sに格納される。
【0050】
第一領域61は、クリップユニット1が長手方向Lにおいて移動可能に格納される内部空間である。第一領域61は、第二領域62と連通している。第一領域61は、係止部64と、開口部68と、を有する。
【0051】
図9は、クリップユニット1を格納していないケース6の斜視図である。
係止部64は、第一領域61の先端側であって、高さ方向Hの一方側(上側)および他方側(下側)に形成されている。二つの係止部64は、中心軸線O2を含む水平面HPに対して対称に形成されている。なお、係止部64は、ケース本体60における第一領域61の一方側(上側)と他方側(下側)のいずれか一方のみに形成されていてもよい。
【0052】
図10は、係止部64を示す斜視図である。
係止部64は、弾性変形部64aと、係止凸部64bと、を有する。弾性変形部64aは、平板状に形成されており、長手方向Lの先端側の端部64cのみがケース本体60に固定されている。弾性変形部64aは、ケース本体60に固定された端部64cを固定端とした片持ち梁として弾性変形する。
【0053】
図11は、
図9に示す矢印の方向から見たケース6の正面図である。
係止凸部64bは、弾性変形部64aにおける長手方向Lの基端側の端部64dに設けられている。係止凸部64bは、
図11に示すように、外力が作用しない状態において、格納領域6Sの第一領域61側に突出している(初期状態)。係止凸部64bは、傾斜面64sと、係止面64tと、を有する。
【0054】
傾斜面64sは、係止凸部64bにおける長手方向Lの先端側に形成されている。傾斜面64sは、中心軸線O2に対して傾斜しており、傾斜面64sの法線は、長手方向Lの先端側を向いている。
【0055】
係止面64tは、係止凸部64bにおける長手方向Lの基端側に形成されている。係止面64tは、中心軸線O2に対して略垂直な平面に形成されており、傾斜面64sの法線は長手方向Lの基端側を向いている。
【0056】
開口部68は、ケース本体60に設けられた高さ方向Hに貫通する開口であって、第一領域61に連通する。開口部68は、係止部64よりも基端側に設けられている。開口部68は、一対の第一開口部681と、一対の第二開口部682と、を有する。
【0057】
一対の第一開口部681は、高さ方向Hの一方側(上側)に設けられて上側第一開口部681Uと、高さ方向Hの他方側(下側)に設けられた下側第一開口部681Lと、を有する。上側第一開口部681Uと下側第一開口部681Lとは、中心軸線O2を含む水平面HPに対して対称に形成されている。なお、上側第一開口部681Uと下側第一開口部681Lとは、高さ方向Hから見て、少なくとも一部が重なっていればよい。
【0058】
一対の第二開口部682は、高さ方向Hの一方側(上側)に設けられて上側第二開口部682Uと、高さ方向Hの他方側(下側)に設けられた下側第二開口部682Lと、を有する。上側第二開口部682Uと下側第二開口部682Lとは、中心軸線O2を含む水平面HPに対して対称に形成されている。なお、上側第二開口部682Uと下側第二開口部682Lとは、高さ方向Hから見て、少なくとも一部が重なっていればよい。
【0059】
一対の第一開口部681と一対の第二開口部682とは、中心軸線O2を含む垂直面VPに対して対称に形成されている。
【0060】
第二領域62は、クリップユニット1が長手方向Lにおいて移動可能に格納される内部空間である。第二領域62の長手方向Lの長さは、第一領域61の長手方向Lの長さより短い。第二領域62は畳み部63と連通している。
【0061】
図8に示すように、第一領域61の幅方向Wの長さW1は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より小さい。また、第二領域62の幅方向Wの長さW2は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より大きい。
【0062】
第二領域62は、幅方向Wの両側に開口62bを有する。開口62bの縁は、矩形状に形成されており、高さ方向Hおよび長手方向Lに延びている。
【0063】
畳み部63は、拡径部63aと、テーパ部63bと、縮径部63cと、を有する。拡径部63aと、テーパ部63bと、縮径部63cとは先端から基端に向かって配列している。
【0064】
拡径部63aは、連結部材4の弾性アーム部44が弾性的に広がる(開閉する)ことを許容する領域である。拡径部63aでは、クリップ導入装置200の矢尻フック部231とクリップユニット1の連結部材4とが係合するとき、連結部材4の弾性アーム部44は中心軸線O1と垂直な方向に開閉可能である。
【0065】
テーパ部63bは、拡径部63aの基端側に設けられ、テーパ状に形成されている。テーパ部63bは、基端側から先端側に向かって拡径されている。このため、押さえ部材3が先端側から基端側に向かって摺動されるとき、押さえ部材3の突没ウイング31は押さえ管本体30の内側に収納される。
【0066】
縮径部63cは、突没ウイング31を没状態に保持する領域である。縮径部63cは、連結部材4の弾性アーム部44が弾性的に広がる(開閉する)ことを許容しない領域である。
【0067】
押さえ部材3がテーパ部63bを先端側から基端側に向かって摺動されるとき、押さえ部材3の突没ウイング31が押さえ部材3の内側に収納される。このため、テーパ部63bと滑らかに接続された縮径部63cは、押さえ部材3の突没ウイング31を収納した状態(没状態)で保持できる。
【0068】
圧搾部65は、
図6に示すように、ケース本体60の基端に設けられた板状部材である。圧搾部65は、第一圧搾部651と第二圧搾部652とを有する。第一圧搾部651と第二圧搾部652とはケース6の高さ方向Hに対向して設けられている。
【0069】
圧搾部65は、ケース本体60と連結する連結部65aを有する。連結部65aは、第一圧搾部651と第二圧搾部652とを別々にケース本体60に連結する。連結部65aは、第一圧搾部651と第二圧搾部652とが互いに対して離間するように屈曲している。このため、第一圧搾部651と第二圧搾部652との間には、間隔65bが形成されている。第一圧搾部651と第二圧搾部652とは、先端側より基端側の方がより離間している。
【0070】
第一圧搾部651および第二圧搾部652は、例えば20mm四方程度で、手指で摘むのに適した大きさに形成されている。第一圧搾部651および第二圧搾部652の外面には、圧搾時の滑り止めとして例えば半球状の複数個の凹部65cが形成されている。
【0071】
シース接続部66は、シース220を挿入可能な挿入溝である。シース接続部66は、第一圧搾部651と第二圧搾部652の内面に形成された円弧状の溝であり、格納領域6Sにおける畳み部63の縮径部63cに連通している。
【0072】
使用者は、シース220を基端開口67からシース接続部66に挿入した状態で、第一圧搾部651と第二圧搾部652と圧搾することにより、シース220をケース6に対して固定できる。
【0073】
図12は、規制部材7の斜視図である。
図13は、規制部材7の平面図である。
規制部材(スライダ)7は、クリップユニット1とともに、第一領域61および第二領域62に移動可能に格納される。規制部材7は、例えばケース6と同様の樹脂によって形成されている。規制部材7は、ケース6のように透明の樹脂で形成されていなくてもよい。規制部材7は、
図12に示すように、規制部材7の長手方向Lにおける中心軸線O3を含む垂直面VPおよび水平面HPに対して対称な形状に形成されている。
【0074】
規制部材7は、中層部材70と、ガイド部材8と、を有する。中層部材70は、先端部71と、突出部72と、テーパ部73と、基端部74と、を有する。先端部71と突出部72とテーパ部73と基端部74とは、規制部材7の中心軸線O3方向に沿って先端から基端に向かって配列している。
【0075】
図14は、一対のアーム21に把持される規制部材7の中層部材70を示す図である。
中層部材70は、中心軸線O3をクリップユニット1の中心軸線O1に略一致させて、クリップ2に把持される。クリップユニット1は、
図7に示すように、クリップ2が規制部材7を把持した状態で格納領域6Sに格納される。このとき、中心軸線O1と中心軸線O2と中心軸線O3とは一致していることが望ましい。
【0076】
先端部71は、突出部72から先端側に突出して設けられている。先端部71の先端は、規制部材7を把持するクリップ2の組織把持部22より先端に位置する。また、先端部71の先端は、中心軸線O3に対して垂直な平面に形成されている。
【0077】
突出部72は、中心軸線O3に対して略垂直な方向(以降、「突出方向P」ともいう)に突出する部材である。突出部72は、中心軸線O3を挟んで両側に設けられている。突出部72は、第一アーム211と第二アーム212に把持される。突出部72を把持する一対のアーム21の開閉方向Pは、突出部72の突出方向Pと略一致する。第一アーム211と第二アーム212とは、中心軸線O1に対して非対称な形状に形成されている。そのため、
図14に示すように、突出部72を把持する第一アーム211と第二アーム212とは、中心軸線O3に対して非対称な位置に配置される。
【0078】
突出部72において、中心軸線O3から突出方向Pに最も突出した部分を最大突出点72bとする。最大突出点72bの間の長さW4は、第一領域61の幅方向Wの長さW1よりわずかに小さい。そのため、規制部材7は、第一領域61において、一対のアーム21に把持された状態が維持される。
【0079】
テーパ部73は、テーパ形状に形成された部材である。テーパ部73は、中心軸線O3を挟んで両側に設けられている。テーパ部73は、突出部72に対して突出方向Pにおける長さが短い。テーパ部73は、先端側から基端側に向かうほど、突出方向Pにおける長さが短くなる。
【0080】
基端部74は、テーパ部73から基端側に突出して形成された部材である。
【0081】
ガイド部材8は、突出部72が一対のアーム21に把持されるように、規制部材7の高さ方向Hの位置を調整する。また、ガイド部材8は、規制部材7が第一領域61を長手方向Lに沿って移動するように規制部材7を案内する。ガイド部材8は、高さ方向Hの一方側(上側)に設けられた上層ガイド部材8Uと、高さ方向Hの他方側(下側)に設けられた下層ガイド部材8Lと、を有する。中層部材70は、高さ方向Hにおいて上層ガイド部材8Uと下層ガイド部材8Lとによって挟み込まれている。上層ガイド部材8Uと下層ガイド部材8Lとは、中心軸線O3を含む水平面HPに対して対称な形状に形成されている。
【0082】
上層ガイド部材8Uは、係合部80と、ウイング部87と、押え部89と、を有する。係合部80とウイング部87と押え部89とは、規制部材7の中心軸線O3方向に沿って先端から基端に向かって配列している。
【0083】
上層ガイド部材8Uの係合部80には、高さ方向Hの一方側(上側)に係合凹部83が形成されている。係合凹部は、係止部64の係止凸部64bと係合する凹部である。
【0084】
係合凹部83は、高さ方向Hから見た平面視において略矩形状の形成されている。係合部80において係合凹部83が形成されていない領域は、上記平面視においてU字形形状に形成されている。
【0085】
図12に示すように、係合凹部83は、長手方向Lの基端側に係止部64の係止凸部64bと係合する係止面84を有する。係止面84は、中心軸線O3に対して略垂直な平面に形成されている。一方、係合凹部83は、長手方向Lの先端側に切り欠き部85が形成されている。そのため、係合凹部83の凹空間86は、先端側の空間と長手方向Lにおいて連通している。
【0086】
規制部材7が第一領域61を基端側から先端側に移動した場合、係止部64の係止面64tは、切り欠き部85および凹空間86を通過して係止面84に突き当たる。
【0087】
ウイング部87は、係合部80よりも基端側に設けられており、幅方向Wの両側に延びる一対のウイング状の部材である。
図13に示すように、幅方向Wの両側に延びるウイング部87の幅方向Wの長さは、係合部80の幅方向Wの長さと略等しい。ウイング部87と係合部80との間には、幅方向Wの内側に向かって切り欠かれた切欠き部88が形成されている。切欠き部88は、上層ガイド部材8Uを高さ方向Hに貫通する貫通空間8Sを形成する。
【0088】
図14に示すように、高さ方向Hから見た平面視において、中層部材70の突出部72を把持した一対のアーム21の少なくとも一部は、切欠き部88によって形成される貫通空間8Sと重なっている。貫通空間8Sは、高さ方向Hから見た平面視において、幅方向Wにおいて一対のアーム21より外側の外側貫通空間8Xと、幅方向Wにおいて一対のアーム21より内側の内側貫通空間8Yと、に区分される。
【0089】
高さ方向Hから見た平面視において、中層部材70の突出部72を把持した第一アーム211の少なくとも一部と重なる貫通空間8Sを第一貫通空間81ともいう。高さ方向Hから見た平面視において、中層部材70の突出部72を把持した第二アーム212の少なくとも一部と重なる貫通空間8Sを第二貫通空間82ともいう。
【0090】
押え部89は、クリップ2と押さえ部材3との最小接近距離を規制する部材である。押え部89は、ウイング部87の基端側に設けられている。
図7に示すように、押え部89は、押さえ部材3の先端開口3aの縁と係合するため、先端開口3aから押さえ部材3の内部空間に侵入できない。そのため、クリップ2が押さえ部材3に近づく方向に牽引された場合であっても、押え部89は先端開口3aの縁と係合することで、クリップ2と押さえ部材3との最小接近距離を規制する。
【0091】
下層ガイド部材8Lは、上層ガイド部材8Uと同様に、係合部80と、ウイング部87と、押え部89と、を有する。下層ガイド部材8Lは、中心軸線O3を含む水平面HPに対して上層ガイド部材8Uと対称な形状に形成されている。
【0092】
規制部材7は、第一領域61において、一対のアーム21に把持された状態で格納される。
図8に示すように、第一領域61の幅方向Wの長さW1は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より小さい。そのため、一対のアーム21は、開状態から閉じた状態で規制部材7を把持する。一対のアーム21の開き幅は、第一領域61の幅方向Wの長さW1程度となる。一対のアーム21は、開閉方向Pにおいてケース本体60に当接する。
【0093】
[クリップユニット1を装填する方法]
次に、カートリッジシステム100の作用について説明する。
図15から
図26は、カートリッジ5を用いてクリップユニット1をクリップ導入装置200に装填する方法を説明する図である。
【0094】
図15は、クリップユニット1が格納されたカートリッジ5を示す図である。
高さ方向Hから見た平面視において、開口部68(一対の第一開口部681、一対の第二開口部682)は、所定位置に位置決めされたクリップユニット1の一対のアーム21の少なくとも一部が露出する位置に形成されている。本実施形態では、高さ方向Hから見た平面視において、開口部68は、所定位置に位置決めされたクリップユニット1が把持する規制部材7の貫通空間8S(第一貫通空間81、第二貫通空間82)と重なる位置に形成されている。具体的には、一対の第一開口部681は、所定位置に位置決めされたクリップユニット1が把持する規制部材7の第一貫通空間81と重なる位置に形成されている。一対の第二開口部682は、所定位置に位置決めされたクリップユニット1が把持する規制部材7の第二貫通空間82と重なる位置に形成されている。
【0095】
所定位置は、例えば
図18に示すように、クリップユニット1が把持する規制部材7が格納領域6Sにおける長手方向Aの先端側においてケース6の係止部64と係合する先端側位置P1(最も基端側の位置)である。
【0096】
所定位置は、例えば
図20に示すように、クリップユニット1が格納領域6Sにおける長手方向Aの基端側においてケース6と係合する基端側位置P2(最も基端側の位置)である。具体的には、基端側位置P2は、突没ウイング31がケース6の畳み部63と係合する位置である。
【0097】
高さ方向Hから見た平面視において、開口部68(一対の第一開口部681、一対の第二開口部682)は、いずれの位置に配置されたクリップユニット1の一対のアーム21の少なくとも一部が露出する位置に形成されていることが望ましい。本実施形態では、高さ方向Hから見た平面視において、開口部68は、いずれの位置に配置されたクリップユニット1が把持する規制部材7の貫通空間8S(第一貫通空間81、第二貫通空間82)とも重なる位置に形成されていることが望ましい。この場合、カートリッジ5に格納されたクリップユニット1がどの位置に配置されていても、開口部68から一対のアーム21の少なくとも一部が露出する。
【0098】
図16は、カートリッジ5の外観を示す図である。
使用者は、開口部68から一対のアーム21の少なくとも一部が露出させる。このとき、使用者は開口を利用して糸Sを一対のアーム21に取り付けてもよい。その場合、使用者は、上側第一開口部681Uから糸Sを挿入し、第一貫通空間81の内側貫通空間8Yを通過して、下側第一開口部681Lから糸Sを出す。次に、使用者は、下側第一開口部681Lから糸Sを挿入し、第一貫通空間81の外側貫通空間8Xを通過して、上側第一開口部681Uから糸Sを出す。使用者を、これを繰り返して糸Sを第一アームに211を巻き付け、上側第一開口部681U側において糸Sを結ぶ。
【0099】
または、使用者は、上側第一開口部681Uから糸Sを挿入し、第一貫通空間81の外側貫通空間8Xを通過して、下側第一開口部681Lから糸Sを出す。次に、使用者は、下側第一開口部681Lから糸Sを挿入し、第一貫通空間81の内側貫通空間8Yを通過して、上側第一開口部681Uから糸Sを出す。使用者を、これを繰り返して糸Sを第一アームに211を巻き付け、上側第一開口部681U側において糸Sを結ぶ。
【0100】
第一貫通空間81には、内側貫通空間8Yと外側貫通空間8Xとが形成されており、使用者は糸Sを第一アーム211に結び付けやすい。
【0101】
なお、使用者は、一対の第一開口部681ではなく一対の第二開口部682に糸Sを挿通して、糸Sを第二アーム212に結び付けてもよい。
【0102】
図17に示すように、使用者は、クリップ導入装置200のシース220を、基端開口67からケース6のシース接続部66に挿入する。使用者は、圧搾部65でシース220を圧搾し、シース220をケース6に対して固定する。
【0103】
図18に示すように、使用者は、操作部240を操作して、操作ワイヤ230をシース220に対して前進させることにより、矢尻フック部231を前進させる。矢尻フック部231が連結部材4を前進させることにより、規制部材7およびクリップユニット1は前進する。規制部材7が基端側から先端側に移動することにより、規制部材7の係止面84が係止部64の係止面64tと突き当たって係合する。その結果、クリップユニット1はその位置より先端側に前進できなくなる。すなわち、係止部64は、先端側に移動するクリップユニット1の通過を規制する。
図19に示すように、前進する矢尻フック部231は、クリップユニット1の連結部材4の弾性アーム部44に挟み込まれて、連結部材4と接続される。
【0104】
規制部材7の係止面84は、中心軸線O3に対して略垂直な平面に形成されている。また、係止部64の係止面64tは、中心軸線O2に対して略垂直な平面に形成されている。そのため、基端側から先端側に移動する規制部材7は、係止部64を高さ方向Hの一方側(上側)に押しのけにくい。また、規制部材7の係止面84が係止部64の係止面64tと突き当たって係合した場合であっても、クリップユニット1の中心軸線O1が格納領域6Sの中心軸線O2に対してずれにくい。
【0105】
なお、規制部材7が係合凹部83を有さない場合であっても、規制部材7は基端側から先端側に移動することにより、係止部64の係止面64tと突き当たって係合する。その結果、上記と同様に、前進する矢尻フック部231は、連結部材4と接続される。
【0106】
図20に示すように、使用者は、操作ワイヤ230を牽引する。クリップユニット1のクリップ2は、矢尻フック部231と接続された連結部材4によって基端側に牽引される。連結部材4のフック41fは破断せずに、クリップ2の基端部28を牽引する。規制部材7は、一対のアーム21と接触した状態で格納領域6Sの第一領域61を移動する。規制部材7の押え部89が押さえ部材3の先端開口3aの縁と係合するため、クリップ2とともに押さえ部材3も基端側に牽引される。
【0107】
一対のアーム21は、第一領域61において、開閉方向Pにおいてケース本体60に当接する。一対のアーム21とケース本体60とが当接することにより発生する摩擦力により、クリップ2が押さえ部材3の内部空間に引き込まれ、クリップ2が押さえ部材3により閉状態にロックされてしまうことを好適に防止できる。
【0108】
クリップ2が基端側に牽引されたとき、規制部材7の押え部89が押さえ部材3の先端開口3aの縁と係合するため、クリップ2と押さえ部材3との最小接近距離は規制される。押え部89は、操作ワイヤ230の牽引により一対のアーム21と接触した状態で押さえ部材3と当接し、押さえ部材3に対する規制部材7の相対移動を規制する。これによっても、連結部材4によって基端側に牽引されるクリップ2が、押さえ部材3の内部空間に引き込まれ、押さえ部材3により閉状態にロックされてしまうことを好適に防止できる。
【0109】
使用者は、クリップユニット1をさらに基端側に牽引する。
図21に示すように、押さえ部材3が畳み部63を通過する。押さえ部材3は縮径部63cを先端側から基端側に向かって摺動され、押さえ部材3の突没ウイング31は押さえ管本体30の内側に収納される。突没ウイング31が押さえ管本体30の内側に収納された押さえ部材3は、シース220の中に引き込まれる。
【0110】
図22に示すように、押さえ部材3の突没ウイング31が押さえ部材3の内側に収納されたとき、一対のアーム21とケース本体60との接触箇所は第一領域61に位置する。すなわち、突没ウイング31が押さえ部材3の内側に収納されるまでは、一対のアーム21は規制部材7を把持しており、押さえ部材3の内部空間に引き込まれない。
【0111】
図23に示すように、使用者は、操作ワイヤ230をさらに牽引して、規制部材7を第二領域62まで牽引する。第二領域62の幅方向Wの長さW2は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より大きい。そのため、規制部材7は第二領域62において、一対のアーム21に把持されない。
【0112】
図24に示すように、使用者は、操作ワイヤ230をさらに牽引する。規制部材7のウイング部87は、第二領域62の基端側の端面と係合する。その結果、規制部材7はさらに基端側に牽引されない。
【0113】
図25に示すように、使用者は、操作ワイヤ230をさらに牽引する。クリップ2は、規制部材7と分離して基端側に牽引される。規制部材7は、一対のアーム21によって把持されていた突出部72の基端側にテーパ部73が形成されている。そのため、規制部材7が基端側に牽引されたときに、一対のアーム21が規制部材7に引っかかりにくい。
【0114】
図26に示すように、使用者は、操作ワイヤ230をさらに牽引する。一対のアーム21は規制部材7を把持しないため、クリップ2と押さえ部材3との最小接近距離は規制されない。基端側に牽引されたクリップ2は、押さえ部材3の内部空間に引き込まれつつ、シース220の中に引き込まれる。クリップ2は、押さえ部材3の内部空間に引き込まれることなく、シース220の中に引き込まれてもよい。使用者が開口を利用して糸Sを一対のアーム21に取り付けた場合は、この動作により、糸Sがクリップ2に結び付けられたクリップユニット1のクリップ導入装置200への装填が完了する。使用者は、圧搾部65によるシース220の圧搾を解除し、シース220をケース6から引き出す。シース220をケース6から引き出すことで、ケース6の基端開口67を通して糸Sが引き抜かれる。
【0115】
[クリップユニット1を格納する方法]
次に、クリップユニット1をカートリッジ5に格納する方法について説明する。
図27から
図30は、クリップユニット1をカートリッジ5に格納する方法を説明する図である。
【0116】
図27に示すように、使用者は、手などで一対のアーム21を閉じて、一対のアーム21に規制部材7を把持させる。次に、使用者は、規制部材7を把持したクリップユニット1を先端開口60bからカートリッジ5の格納領域6Sに挿入する。
【0117】
図28に示すように、使用者は、規制部材7を基端側に押し込むことにより、クリップユニット1を基端側に移動させる。第一領域61の幅方向Wの長さW1は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より小さい。そのため、規制部材7を把持した一対のアーム21を第一領域61に挿入するとき、第一アーム211は先端開口60bの幅方向Wの一方の端部に接触し、第二アーム212は先端開口60bの幅方向Wの他方の端部に接触する。使用者が規制部材7をさらに基端側に押し込むことにより、先端開口60bに接触した一対のアーム21はさらに閉じた状態となって第一領域61に挿入される。
【0118】
図29に示すように、規制部材7は、ケース6の係止部64付近を先端側から基端側に向かって移動するとき、係止部64を高さ方向Hの一方側(上側)に押しのけて通過する。
図10に示すように、係止部64は、長手方向Lの先端側の端部64cを固定端とし、長手方向Lの基端側の端部64dを自由端した片持ち梁として弾性変形する。そのため、先端側から基端側に移動する規制部材7は、係止部64を弾性変形させて押しのけやすい。
【0119】
図10に示すように、係止凸部64bの長手方向Lの先端側には、傾斜面64sが形成されている。先端側から基端側に移動する規制部材7が係止部64の係止凸部64bと接触するとき、規制部材7は傾斜面64sに接触する。そのため、先端側から基端側に移動する規制部材7は、係止部64を高さ方向Hの一方側(上側)に押しのけやすい。
【0120】
なお、規制部材7が係合凹部83を有さない場合であっても、規制部材7は先端側から基端側に移動することにより、係止部64を高さ方向Hの一方側(上側)に押しのけて通過できる。しかしながら、規制部材7が係合凹部83を有するため、係止部64を上側に押しのけながら規制部材7を通過させる距離が短く、使用者が操作しやすい。
【0121】
図30に示すように、規制部材7がケース6の係止部64付近を通過した後、係止部64は初期状態に戻る。
【0122】
[カートリッジ5の出荷態様]
図31から
図34は、カートリッジ5が収容されたパッケージPAを示すである。
カートリッジシステム100(クリップユニット1およびカートリッジ5)は、半透明の素材で形成されたパッケージPAに収容されて出荷される。カートリッジ5は、糸Sが結び付けられたクリップユニット1が格納された状態でパッケージPに収容されていてもよい。
【0123】
図31に示すカートリッジシステム100は、糸Sの一方の端部が第一アーム211に結び付けられて、糸Sの他の部分がカートリッジ5のケース6の連結部65aに巻き付けられた状態で、パッケージPAに収容されている。糸Sの他の部分は、ケース6の他の部分に巻き付けられていてもよい。
【0124】
図32に示すカートリッジシステム100は、糸Sの一方の端部が第一アーム211に結び付けられて、糸Sの他の部分がカートリッジ5のケース6の上に置かれた状態で、パッケージPAに収容されている。
【0125】
図33に示すカートリッジシステム100は、糸Sの一方の端部が第一アーム211に結び付けられて、糸Sの他の部分がカートリッジ5のケース6に形成された突起6Pに巻き付けられた状態で、パッケージPAに収容されている。
【0126】
図34に示すカートリッジシステム100は、糸Sの一方の端部が第一アーム211に結び付けられて、糸Sの他の部分がパッケージPAの内部に設けられた滅菌パックPA1に格納された状態で、パッケージPAに収容されている。
【0127】
図35から
図36は、開口部68を有さないカートリッジ5Aが収容されたパッケージPAを示すである。カートリッジ5Aは、開口部68を有さないことを除いて、カートリッジ5と同様の部材である。カートリッジ5Aは、開口部68を有さなくとも、糸Sが結び付けられたクリップユニット1が格納した状態で、パッケージPAに収容され得る。
【0128】
図35に示すカートリッジ5Aは、糸Sが結び付けられたクリップユニット1が格納され、糸Sが基端開口67から出た状態で、パッケージPAに収容されている。
【0129】
図36に示すカートリッジ5Aは、糸Sが結び付けられたクリップユニット1が格納され、糸Sが先端開口60bから出た状態で、パッケージPAに収容されている。
【0130】
本実施形態のカートリッジシステム100によれば、カートリッジ5に格納されたクリップユニット1のクリップ2を視認することができ、例えばクリップ2に容易に糸Sを結び付けることができる。使用者は、クリップユニット1をカートリッジ5から出さずに、クリップユニット1のクリップ2に容易に糸Sを結び付けることができる。
【0131】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0132】
(変形例1)
図37は、クリップ2の変形例であるクリップ2Aを示す図である。
クリップ2Aは、結び付けた糸Sが引っ掛かる凹部2gを有する。凹部2gは高さ方向から見て開口部68と重なる位置にあることが望ましい。凹部2gに引っかけて結び付けられた糸Sは、クリップ2Aから外れにくい。クリップ2は、凹部2gのような糸Sが引掛りやすい部分を有していることが望ましい。
【0133】
(変形例2)
図38は、ケース6の変形例であるケース6Aを示す図である。
ケース6Aは、開口部68A(一対の第一開口部681A、一対の第二開口部682A)を有する。開口部68Aは、ケース本体60において幅方向Wの内側に向かった切り欠かれた切欠き状に形成されている。
【0134】
(変形例3)
図39は、ケース6の変形例であるケース6Bを示す図である。
ケース6Bは、開口部68B(一対の第一開口部681B、一対の第二開口部682)を有する。一対の第一開口部681Bは、ケース本体60に設けられた高さ方向Hに貫通する開口であって、第一領域61に連通する。一対の第一開口部681Bは、長手方向Lの一部にケース6Bの外部と連通する経路61Bを有する。
【0135】
(変形例4)
図40は、ケース6の変形例であるケース6Cを示す図である。
ケース6Cは、開口部68C(一対の第一開口部681B、一対の第二開口部682)を有する。開口部68Cは、高さ方向Hから見た平面視において、長円状に形成されている。
【0136】
(変形例5)
図41は、規制部材7の変形例である規制部材7Aを示す図である。
規制部材7Aの貫通空間8Sは、高さ方向Hに貫通する略四角形状の貫通孔によって形成さている。
【0137】
(変形例6)
図42は、規制部材7の変形例である規制部材7Bを示す図である。
規制部材7Bは、規制部材7と比較して、ウイング部87を有していない。
【0138】
(変形例7)
図43は、規制部材7の変形例である規制部材7Cを示す図である。
規制部材7Cの貫通空間8Sは、高さ方向Hに貫通する円形状の貫通孔によって形成さている。
【0139】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、
図44から
図49を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。第二実施形態に係るカートリッジシステム100Bは、一対のアーム21と規制部材7の形状がより詳細に規定されていることを除いて、第一実施形態に係るカートリッジシステム100と同じである。
【0140】
図44は、クリップユニット1Bを格納したカートリッジ5Bの斜視図である。
カートリッジシステム100Bは、クリップユニット1Bと、クリップユニット1Bを収容するカートリッジ5Bと、を備える。カートリッジシステム100Bは、クリップ導入装置200にクリップユニット1Bを容易に装填するための支援システムである。
【0141】
図45は、クリップユニット1Bの斜視図である。
クリップユニット1Bは、クリップ2Bと、押さえ部材3と、連結部材4と、を備える。以降の説明において、クリップユニット1Bの長手方向Aにおけるクリップ2B側をクリップユニット1Bの先端側(遠位側)A1とし、連結部材4側をクリップユニット1Bの基端側(近位側)A2とする。
【0142】
クリップ2Bは、金属製板材を中央部で折り曲げて形成されている。クリップ2Bは、開閉可能な一対のアーム21Bと、一対のアーム21Bを接続する基端部28Bと、を有する。クリップ2Bの基端側A2は、押さえ部材3の内部空間38に挿入されている。
【0143】
一対のアーム21Bは、第一アーム21Fと、第一アーム21Fより短い第二アーム21Sとを有する。第一アーム21Fと第二アーム21Sとは、クリップユニット1Bの長手方向Aにおける中心軸線O1を挟んで両側に配置される。
【0144】
第一アーム21Fは、先端側A1から基端側A2に向かって第一爪22Fと、平板状の第一アーム本体23Fと、第一摺動部24Fと、第一係合部25Fと、を有する。第一爪22Bは、内側(開閉方向Pの閉側)に向かって屈曲する第一屈曲部26Fを介して第一アーム本体23Fに支持されている。第一摺動部24Fは、一対のアーム21Bが押さえ部材3に引き込まれる際に弾性変形する部分である。
【0145】
第二アーム21Sは、先端側A1から基端側A2に向かって第二爪22Sと、平板状の第二アーム本体23Sと、第二摺動部24Sと、第二係合部25Sと、を有する。第二爪22Sは、内側(開閉方向Pの閉側)に向かって屈曲する第二屈曲部26Sを介して第二アーム本体23Sに支持されている。第二摺動部24Sは、一対のアーム21Bが押さえ部材3に引き込まれる際に弾性変形する部分である。
【0146】
第一アーム211の組織把持部22と第二アーム212の組織把持部22とは、中心軸線O1に対して非対称な形状に形成されている。そのため、使用者は、クリップ2Bを連結部材4に取り付ける際に、連結部材4に対してクリップ2Bを取り付ける向きを把握しやすい。
【0147】
第一係合部25Fおよび第二係合部25Sは、押さえ部材3の締付部材32と係合可能な部材である。第一係合部25Fおよび第二係合部25Sの先端側A1は長手方向Aに対して鈍角な斜面、基端側A2は長手方向Aに対して鋭角な斜面に形成されている。
【0148】
基端部28Bは、第一アーム21Fと第二アーム21Sとを連結する。基端部28Bにより連結された第一アーム21Fと第二アーム21Sとは、先端側A1に向かって開閉自在に設けられている。基端部28Bは、折り曲げられてU字状に形成されており、連結部材4のフック41fと連結される。基端部28Bは一対のアーム21Bが開状態になるように付勢されている。そのため、クリップ2Bの一対のアーム21Bは開閉方向Pに対する自己拡開力を有する。
【0149】
基端部28Bと連結部材4のフック41fとは、第一実施形態の基端部28と連結部材4のフック41fとの連結態様同様に、U字状に形成された基端部28Bに連結部材4のフック41fが挿入されて連結される。
【0150】
カートリッジ5Bは、
図6に示すように、第一実施形態のカートリッジ5と同様に、格納されたクリップユニット1Bをクリップ導入装置200に装填するために使用される。カートリッジ5Bは、ケース6と、規制部材7Bと、を有する。
【0151】
規制部材(ブロック)7Bは、第一実施形態の規制部材7と同様に、クリップユニット1Bとともに、格納領域6Sにおける第一領域61および第二領域62に移動可能に格納される。規制部材7Bは、クリップユニット1Bと共に第一領域61および第二領域62を長手方向Lに移動可能に格納領域6Sに格納される。また、規制部材7Bは、クリップユニット1Bと分離可能に係合した状態で格納領域6Sに格納される。
【0152】
図46は、規制部材7Bの中層部材70Bを示す図である。
規制部材7Bは、中層部材70Bと、ガイド部材8と、を有する。中層部材70Bは、先端部71と、突出部72Bと、テーパ部73と、基端部74と、を有する。先端部71と突出部72Bとテーパ部73と基端部74とは、規制部材7Bの中心軸線O3方向に沿って先端から基端に向かって配列している。
【0153】
突出部72Bは、中心軸線O3に対して略垂直な突出方向Pに突出する部材である。突出部72Bは、中心軸線O3を挟んで両側に設けられている。突出部72Bを挟んで両側に配置される一対のアーム21の開閉方向Pは、突出部72Bの突出方向Pと略一致する。第一アーム21Fと第二アーム21Sとは、中心軸線O1に対して非対称な形状に形成されている。そのため、突出部72を挟んで両側に配置される第一アーム21Fと第二アーム21Sとは、中心軸線O3に対して非対称な位置に配置される。
【0154】
中層部材70Bは、第一実施形態の中層部材70と同様に、高さ方向Hにおいて上層ガイド部材8Uと下層ガイド部材8Lとによって挟み込まれている。
【0155】
規制部材7Bは、一対のアーム21Bの内側(開閉方向Pの閉側)に配置された状態で、格納領域6Sに格納される。規制部材7Bと共にクリップユニット1Bが格納領域6Sに格納されたとき、規制部材7Bは第一アーム21Fと第二アーム21Sとの間に配置され、一対のアーム21Bの爪(第一爪22F、第二爪22S)の先端は規制部材7Bから離れている。そのため、カートリッジシステム100Bを組み立てるときに、一対のアーム21Bの爪の先端が規制部材7Bと食い込むことを防止できる。
【0156】
規制部材7Bと共にクリップユニット1Bが格納領域6Sに格納されたとき、第一アーム21Fの第一爪22Fの先端と規制部材7Bとの最短距離D1は、第二アーム21Sの第二爪22Sの先端と規制部材7Bとの最短距離D2より長い。
【0157】
規制部材7Bと共にクリップユニット1Bが格納領域6Sに格納されたとき、一対のアーム21Bの屈曲部(第一屈曲部26Fおよび第二屈曲部26S)は、開閉方向Pにおいてケース本体60の第一領域61の内面61uに接触している。また、規制部材7Bと共にクリップユニット1Bが格納領域6Sに格納されたとき、第一屈曲部26Fおよび第二屈曲部26Sは規制部材7Bから離れている。
【0158】
突出部72Bにおいて、中心軸線O3から突出方向Pに最も突出した部分を最大突出点72bとする。規制部材7Bと共にクリップユニット1Bが格納領域6Sに格納されたとき、一対のアーム21Bの爪(第一爪22F、第二爪22S)および屈曲部(第一屈曲部26Fおよび第二屈曲部26S)は、最大突出点72bよりも先端側に配置される。
【0159】
突出部72Bの最大突出点72bの間の長さW4は、第一領域61の幅方向Wの長さW1よりわずかに小さい。また、突出方向Pにおいて、突出部72Bの最大突出点72bの間の長さW4は、格納領域6Sの格納されたクリップユニット1における一対のアーム21Bの爪(第一爪22F、第二爪22S)の先端の間の長さW5より長い。そのため、第一領域61において一対のアーム21Bが基端側に牽引されたとき、一対のアーム21Bは規制部材7Bから外れず、規制部材7Bは一対のアーム21の内側に配置された状態が維持される。
【0160】
図47は、第二アーム21Sの先端の拡大図である。
規制部材7Bと共にクリップユニット1Bが格納領域6Sに格納されたとき、規制部材7Bにおいて第二アーム21Sの第二爪22Sの先端と対向する対向面72fと、第二アーム21Sの第二爪22Sの先端が向く方向とがなす角度θ
1は0度より大きい。
【0161】
図48は、基端側に牽引された一対のアーム21Bを示す図である。
第一領域61において一対のアーム21Bが基端側に牽引されると、第二アーム21Sの第二爪22Sは、中層部材70Bの対向面72fと接触する。最短距離D1は最短距離D2より長いため、第二アーム21Sの第二爪22Sが中層部材70Bと接触したとき、第一アーム21Fの第一爪22Fは中層部材70Bと接触しない。
【0162】
第二爪22Sが対向面72fと接触したときに第二爪22Sと対向面72fとの間に発生する摩擦力F1は角度θ2が大きいほど小さくなる(式1参照)。ここで、μは摩擦係数であり、F2は規制部材7Bを牽引したときに生じる反力である。
【0163】
【0164】
角度θ
2を大きくして摩擦力F1を減らすことで、
図23に示すように規制部材7Bが第二領域62まで牽引されたときに、一対のアーム21が摩擦力F1により中層部材70Bに引っ掛かり開きにくくなることを防止できる。このとき、第一アーム21Fの第一爪22Fは中層部材70Bと接触していないため、第一爪22Fと中層部材70Bとの間に摩擦力は発生しない。
【0165】
図49は、先端が規制部材7Bに接触した一対のアーム21Bを示す図である。
クリップユニット1Bをクリップ導入装置200に装填するとき、
図49に示すように一対のアーム21Bが変形して、一対のアーム21Bの爪の先端がどちらも規制部材7Bの中層部材70Bと接触する場合がある。この場合であっても、角度θ
2が大きければ、一対のアーム21Bの爪の先端と中層部材70Bとの間に発生する摩擦力が小さくなる。
【0166】
本実施形態のカートリッジシステム100Bによれば、カートリッジ5Bに格納されたクリップユニット1をクリップ導入装置200に装填するために一対のアーム21Bを牽引したとき、一対のアーム21Bの爪(第一爪22F、第二爪22S)の先端が中層部材70Bに引っ掛かり開きにくくなることを防止できる。
【0167】
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0168】
(変形例2-1)
上記実施形態において一対のアーム21、21Bは中心軸線O1に対して非対称な形状に形成されている。しかしながら、
図50に示すように、一対のアームは中心軸線O1に対して対称な形状に形成されていてもよい。
図50に示す一対のアームは、第一アーム21Gと第二アーム21Sと、を有する。第一アーム21Gと第二アーム21Sとは、クリップユニット1の中心軸線O1に対して対称に配置され、中心軸線O1に対して対称な形状に形成されている。この場合であって、一対のアームの爪(第一爪22G、第二爪22S)の先端と中層部材70Bとの間に発生する摩擦力が小さくなり、一対のアームの爪の先端が中層部材70Bに引っ掛かり開きにくくなることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、クリップユニットを格納するカートリッジ等に適用することができる。
【符号の説明】
【0170】
200 クリップ導入装置(アプリケータ)
100,100B カートリッジシステム
1,1B クリップユニット
2,2A,2B クリップ
21,21B アーム
211,21F,21G 第一アーム
212,21S 第二アーム
22 組織把持部
22B,22F,22G 第一爪
22S 第二爪
25F 第一係合部
25S 第二係合部
26F 第一屈曲部
26S 第二屈曲部
3 押さえ部材(管状部材)
3a 先端開口
3A 押さえ管(第二管状部材)
3B 押さえパイプ(第一管状部材)
31 突没ウイング
32 締付部材
38 内部空間
4 連結部材
41 挿入部
41f フック
42 連結部
43 連結部本体
44 弾性アーム部
5,5A,5B カートリッジ
6,6A,6B,6C ケース
6S 格納領域
60 ケース本体
61 第一領域
62 第二領域
63 畳み部
64 係止部
65 圧搾部
66 シース接続部
67 基端開口
68,68A,68B,68C 開口部
681,681A,681B 第一開口部
681U 上側第一開口部
681L 下側第一開口部
682,682A 第二開口部
682U 上側第二開口部
682L 下側第二開口部
7,7A 規制部材(スライダ)
7B 規制部材(ブロック)
7C 規制部材
8 ガイド部材
8U 上層ガイド部材
8L 下層ガイド部材
8S 貫通空間
8X 外側貫通空間
8Y 内側貫通空間
80 係合部
81 第一貫通空間
82 第二貫通空間
83 係合凹部
84 係止面
85 欠き部
86 凹空間
87 ウイング部
88 切欠き部
89 押え部