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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053578
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】人体測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0537 20210101AFI20240409BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B5/0537
A61B5/22 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159885
(22)【出願日】2022-10-04
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖也
(72)【発明者】
【氏名】福岡 三恵
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕一
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127BB05
4C127EE03
(57)【要約】
【課題】 一つの測定装置で人体のインピーダンスと握力を測定可能とする、人体測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】 測定システム10は、上半身測定装置12、上半身測定装置12を操作可能とする携帯端末装置14、及びサーバ18を備える。上半身測定装置12は、電極部26が設けられ、電極部26を把持したユーザの身体のインピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定部22R,22L、ユーザが手で把持することで変位するグリップ34が設けられ、グリップ34を把持したユーザの握力を測定する握力測定部30を備える。インピーダンス測定部22R,22L及び握力測定部30は、本体筐体20に設けられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極部が設けられ、前記電極部を把持したユーザの身体のインピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定手段である第1インピーダンス測定手段及び第2インピーダンス測定手段と、
ユーザが手で把持することで変位する変位部が設けられ、前記変位部を把持したユーザの握力を測定する握力測定手段と、
前記第1インピーダンス測定手段、前記第2インピーダンス測定手段、及び前記握力測定手段が設けられる筐体と、
を備える人体測定装置。
【請求項2】
前記第1インピーダンス測定手段及び前記第2インピーダンス測定手段は、ユーザが把持可能な柱状であり、前記筐体の対向する2つの面の一方の面である第1面に前記第1インピーダンス測定手段が設けられ、他方の面である第2面に前記第2インピーダンス測定手段が設けられ、
前記第1インピーダンス測定手段は、前記筐体の前記第1面と前記第2面との間を移動可能に前記筐体に設けられる、
請求項1に記載の人体測定装置。
【請求項3】
前記握力測定手段は、ユーザが把持可能な柱状であり、前記第2インピーダンス測定手段に対して平行に前記筐体の前記第2面に設けられる、
請求項2に記載の人体測定装置。
【請求項4】
前記第1インピーダンス測定手段及び前記第2インピーダンス測定手段は、前記筐体の所定方向における一端側に設けられ、
前記握力測定手段は、前記筐体の前記所定方向における他端側に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の人体測定装置。
【請求項5】
前記握力測定手段の所定の面と前記筐体の所定の面とを含み、前記ユーザの腹部に接触する接触部を備え、
前記接触部がユーザの腹部に接触した状態で、ユーザが前記第1インピーダンス測定手段の前記電極部及び前記第2インピーダンス測定手段の前記電極部を把持した場合に、ユーザの胴体と腕とのなす角度が一定になるように構成される、請求項1又は請求項2に記載の人体測定装置。
【請求項6】
前記握力測定手段は、前記変位部の変位方向に直交するように第1部材及び第2部材が設けられ、前記第1部材と前記第2部材とに挟まれて荷重センサーが設けられる、請求項1又は請求項2に記載の人体測定装置。
【請求項7】
情報処理装置との間で情報の送受信が可能とされ、
前記情報処理装置からの制御指示に基づいて、前記インピーダンス測定手段による測定と前記握力測定手段による測定との切り替えを行う切替手段を備える、請求項1に記載の人体測定装置。
【請求項8】
前記一対のインピーダンス測定手段による測定と前記握力測定手段による測定とを切り替えるための前記制御指示を、ユーザが前記情報処理装置を操作することで前記情報処理装置が送信する、請求項7に記載の人体測定装置。
【請求項9】
前記第1インピーダンス測定手段の位置に基づいて、前記一対のインピーダンス測定手段による測定と前記握力測定手段による測定との切り替えを行う切替手段を備える、請求項2に記載の人体測定装置。
【請求項10】
前記一対のインピーダンス測定手段及び前記握力測定手段に測定のための電力を供給する電力供給手段を備え、
前記電力供給手段は、前記切替手段が一方の測定手段から他方の測定手段に測定の切り替えを行ったとき、前記一方の測定手段への電力供給を停止し、前記他方の測定手段に電力供給を行う、請求項7又は請求項9に記載の人体測定装置。
【請求項11】
情報処理装置との間で情報の送受信が可能とされ、
前記情報処理装置は、前記インピーダンス測定手段による測定結果と前記握力測定手段による測定結果とに基づいてユーザの身体を評価する評価手段を備える、請求項1又は請求項2に記載の人体測定装置。
【請求項12】
電極部が設けられ、前記電極部を把持したユーザの身体のインピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定手段と、ユーザが手で把持することで変位する変位部が設けられ、前記変位部を把持したユーザの握力を測定する握力測定手段と、を備える人体測定装置による測定方法であって、
前記インピーダンス測定手段又は前記握力測定手段のうち一方の測定手段に電力供給を行う第1工程と、
前記一方の測定手段による測定を行う第2工程と、
前記一方の測定手段への電力供給を停止し、他方の測定手段に電力供給を行う第3工程と、
前記他方の測定手段による測定を行う第4工程と、
を有する測定方法。
【請求項13】
電極部が設けられ、前記電極部を把持したユーザの身体のインピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定手段と、ユーザが手で把持することで変位する変位部が設けられ、前記変位部を把持したユーザの握力を測定する握力測定手段と、前記インピーダンス測定手段及び前記握力測定手段が設けられる筐体と、を備える人体測定装置による測定方法であって、
ユーザは、前記インピーダンス測定手段をユーザの前方に向けて把持し、前記握力測定手段の側面と前記筐体の端面とをユーザの腹部に接触させて、前記インピーダンスを測定する、測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの体組成値を測定するために、手電極と足電極を備える体組成測定装置がある。このような体組成測定装置は、手電極を有する把持部と足電極を有する本体部とが電気的に接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、手電極測定器と足電極測定器とを備え、手電極測定器と足電極測定器間は無線通信が可能になっている体組成測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登3110829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の体組成測定装置は、体組成の測定機能及び体重の測定機能を有しているのみであり、その他の人体の指標を測定できない。しかしながら近年、人体に関する様々な指標の測定を可能とすることが望まれており、その一つとして握力の測定がある。
【0006】
そこで、本発明は、一つの測定装置で人体のインピーダンスと握力を測定できる、人体測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様の人体測定装置は、電極部が設けられ、前記電極部を把持したユーザの身体のインピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定手段である第1インピーダンス測定手段及び第2インピーダンス測定手段と、ユーザが手で把持することで変位する変位部が設けられ、前記変位部を把持したユーザの握力を測定する握力測定手段と、前記第1インピーダンス測定手段、前記第2インピーダンス測定手段、及び前記握力測定手段が設けられる筐体と、を備える。
【0008】
本構成によれば、筐体にインピーダンス測定手段と握力測定手段とが設けられる形態であるので、一つの測定装置で人体のインピーダンスと握力とを測定できる。
【0009】
第2態様の人体測定装置は第1態様の人体測定装置において、前記第1インピーダンス測定手段及び前記第2インピーダンス測定手段は、ユーザが把持可能な柱状であり、前記筐体の対向する2つの面の一方の面である第1面に前記第1インピーダンス測定手段が設けられ、他方の面である第2面に前記第2インピーダンス測定手段が設けられ、前記第1インピーダンス測定手段は、前記筐体の前記第1面と前記第2面との間を移動可能に前記筐体に設けられてもよい。
【0010】
本構成によれば、インピーダンス測定を行わない場合に、第1インピーダンス測定手段を第2インピーダンス測定手段側に移動させることで、人体測定装置の大きさを小さくできる。
【0011】
第3態様の人体測定装置は第2態様の人体測定装置において、前記握力測定手段は、ユーザが把持可能な柱状であり、前記第2インピーダンス測定手段に対して平行に前記筐体の前記第2面に設けられてもよい。本構成によれば、第1インピーダンス測定手段を第2インピーダンス測定手段側に移動させた場合に人体測定装置の大きさが小さくなる。
【0012】
第4態様の人体測定装置は第1態様から第3態様の何れか1つの人体測定装置において、前記第1インピーダンス測定手段及び前記第2インピーダンス測定手段は、前記筐体の所定方向における一端側に設けられてもよい。本構成によれば、ユーザは、筐体の握力測定手段側と握力測定手段の側面とを腹部に押し当ててインピーダンス測定手段を把持できる。
【0013】
第5態様の人体測定装置は第1態様から第4態様の何れか1つの人体測定装置において、前記握力測定手段の所定の面と前記筐体の所定の面とを含み、前記ユーザの腹部に接触する接触部を備え、前記接触部がユーザの腹部に接触した状態で、ユーザが前記第1インピーダンス測定手段の前記電極部及び前記第2インピーダンス測定手段の前記電極部を把持した場合に、ユーザの胴体と腕とのなす角度が一定になるように構成されてもよい。本構成によれば、インピーダンス測定におけるユーザの測定姿勢が安定する。これにより、常に同じ測定姿勢でインピーダンス測定を行うこととなり、生体インピーダンスの測定誤差を小さくできる。
【0014】
第6態様の人体測定装置は第1態様から第5態様の何れか1つの人体測定装置において、前記握力測定手段は、前記変位部の変位方向に直交するように第1部材及び第2部材が設けられ、前記第1部材と前記第2部材に挟まれて荷重センサーが設けられてもよい。本構成によれば、精度よく握力を測定できる。
【0015】
第7態様の人体測定装置は第1態様から第6態様の何れか1つの人体測定装置において、情報処理装置との間で情報の送受信が可能とされ、前記情報処理装置からの制御指示に基づいて、前記インピーダンス測定手段による測定と前記握力測定手段による測定との切り替えを行う切替手段を備えてもよい。本構成によれば、人体測定装置に操作部を設けることなく、測定の切り替えができる。
【0016】
第8態様の人体測定装置は第7態様の人体測定装置において、前記一対のインピーダンス測定手段による測定と前記握力測定手段による測定とを切り替えるための前記制御指示を、ユーザが前記情報処理装置を操作することで前記情報処理装置が送信してもよい。本構成によれば、ユーザが好ましいと思う任意のタイミングで測定の切り替えができる。
【0017】
第9態様の人体測定装置は第2態様の人体測定装置において、前記第1インピーダンス測定手段の位置に基づいて、前記一対のインピーダンス測定手段による測定と前記握力測定手段による測定との切り替えを行う切替手段を備えてもよい。本構成によれば、容易に測定の切り替えができる。
【0018】
第10態様の人体測定装置は第7態様から第9態様の何れか一つの人体測定装置において、前記一対のインピーダンス測定手段及び前記握力測定手段に測定のための電力を供給する電力供給手段を備え、前記電力供給手段は、前記切替手段が一方の測定手段から他方の測定手段に測定の切り替えを行ったとき、前記一方の測定手段への電力供給を停止し、前記他方の測定手段に電力供給を行ってもよい。本構成によれば、人体測定装置を省電力化できる。
【0019】
第11態様の人体測定装置は第1態様から第10態様の何れか1つの人体測定装置において、情報処理装置との間で情報の送受信が可能とされ、前記情報処理装置は、前記インピーダンス測定手段による測定結果と前記握力測定手段による測定結果とに基づいてユーザの身体を評価する評価手段を備えてもよい。本構成によれば、ユーザは自身の身体の状態を認識できる。
【0020】
本発明の第12態様の測定方法は、電極部が設けられ、前記電極部を把持したユーザの身体のインピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定手段と、ユーザが手で把持することで変位する変位部が設けられ、前記変位部を把持したユーザの握力を測定する握力測定手段と、を備える人体測定装置による測定方法であって、前記インピーダンス測定手段又は前記握力測定手段のうち一方の測定手段に電力供給を行う第1工程と、前記一方の測定手段による測定を行う第2工程と、前記一方の測定手段への電力供給を停止し、他方の測定手段に電力供給を行う第3工程と、前記他方の測定手段による測定を行う第4工程と、を有する。
【0021】
本発明の第13態様の測定方法は、前記電極部を把持したユーザの身体のインピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定手段と、ユーザが手で把持することで変位する変位部が設けられ、前記変位部を把持したユーザの握力を測定する握力測定手段と、前記インピーダンス測定手段及び前記握力測定手段が設けられる筐体と、を備える人体測定装置による測定方法であって、ユーザは、前記インピーダンス測定手段をユーザの前方に向けて把持し、前記握力測定手段の側面と前記筐体の端面とをユーザの腹部に接触させて、前記インピーダンスを測定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、一つの測定装置で人体のインピーダンスと握力を測定可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態の測定システムの概略構成図である。
図2図2は、実施形態の上半身測定装置の外観図であり、(A)はインピーダンス測定部を伸展した状態を示し、(B)はインピーダンス測定部を屈曲した状態を示す。
図3図3は、実施形態のインピーダンス測定部を用いた測定姿勢を示す図であり、(A)は上視図であり、(B)は側面図である。
図4図4は、実施形態の握力測定部の内部構成を示す概略図である。
図5図5は、実施形態の上半身測定装置の機能ブロック図である。
図6図6は、実施形態の携帯端末装置の機能ブロック図である。
図7図7は、実施形態の上半身測定装置による測定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0025】
図1は、本実施形態の測定システム10の概略構成図である。
【0026】
本実施形態の測定システム10は、上半身測定装置12、携帯端末装置14、サーバ18を備える。なお、測定システム10には、これらに加え、例えば体重や下半身の生体インピーダンスを測定する下半身測定装置、ユーザの歩数を測定する歩数計等、他の測定機器が含まれてもよい。
【0027】
上半身測定装置12は、ユーザの上半身のインピーダンス(以下「生体インピーダンス」という。)を測定する装置である。本実施形態の上半身測定装置12の本体筐体20には、インピーダンス測定部22R,インピーダンス測定部22L、及び握力測定部30が設けられる。なお、詳細を後述するように、本実施形態の上半身測定装置12は、本体筐体20の側面20Rにインピーダンス測定部22R及び握力測定部30が設けられ、本体筐体20の側面20Lにインピーダンス測定部22Lが設けられる。
【0028】
インピーダンス測定部22R及びインピーダンス測定部22Lは、各々に電極部26が設けられ、電極部26を把持したユーザの身体の生体インピーダンスを測定する一対のインピーダンス測定部22である。なお、電極部26は、電流を流すための電流電極と電圧を測定する電圧電極を有する。
【0029】
本実施形態のインピーダンス測定部22R,22Lを構成する筐体24R,24Lは、各々ユーザが把持可能な柱状であり、本体筐体20の側面20R,20Lに一対が設けられる。筐体24R,24Lの表面には、ユーザが筐体24R,24Lを把持した場合に、ユーザの掌に接触するように電極部26が設けられる。ここで、国立研究開発法人産業技術総合研究所が行った日本人の手の寸法データの調査によれば、手幅(人差し指と小指の付け根の関節間の長さ)は男性平均で83.3mm、女性平均で74.4mmである。また、指を掌に握り込んだ状態(いわゆる握りこぶしの状態)の手幅は、開いているときの手幅より広くなることから、例えば、電極部26の長手方向の長さを約10cmにすることによって、様々なユーザの掌に好適に接触できることが考えられる。
【0030】
本実施形態の筐体24R,24Lは、一例として、断面を円形とする円柱状であるが、これに限らず、ユーザが把持可能な柱状であれば他の形状でもよい。
【0031】
インピーダンス測定を行う場合にユーザは、右手でインピーダンス測定部22Rの筐体24Rを握り、左手でインピーダンス測定部22Lの筐体24Lを握る。そして、上半身測定装置12は電流電極に電流を流して電圧電極で電圧(電位差)を測定することで、ユーザの上半身の生体インピーダンスを取得する。本実施形態の測定システム10は、インピーダンス測定部22R,22Lによって取得した生体インピーダンスからユーザの腕の筋肉量等の体組成値を算出する。
【0032】
以下の説明において、インピーダンス測定部22Rとインピーダンス測定部22Lとを区別して説明しない場合には、インピーダンス測定部22という。また、筐体24Rと筐体24Lとを区別して説明しない場合には、筐体24という。
【0033】
握力測定部30は、ユーザが手で把持することで変位する変位部であるグリップ34が設けられ、グリップ34を把持したユーザの握力を測定する。本実施形態の握力測定部30を構成する筐体32は、ユーザが把持可能な柱状であり、インピーダンス測定部22Rに対して平行に本体筐体20の側面20Rに設けられる。ユーザは、指がグリップ34に位置するように握力測定部30の筐体32を片手で把持して力を込めて握り絞める。これにより、グリップ34は筐体32の内側方向(把持した時に力が作用する方向)に変位し、これにより上半身測定装置12はユーザの握力を測定する。
【0034】
本実施形態の筐体32は、一例として、断面を楕円形状とする円柱状であるが、これに限らず、ユーザが把持可能な柱状であれば他の形状でもよい。
【0035】
また、本実施形態の筐体32の端部は、インピーダンス測定部22Rの筐体24Rの端部と補強部材36によって接続される。補強部材36は、後述のように、握力測定部30の側面32Aをユーザの腹部に接触させて、インピーダンス測定を行う場合に上半身測定装置12の剛性を保ち、上半身測定装置12の破損を防止する。
【0036】
このように、本実施形態の上半身測定装置12は、中央に位置する本体筐体20にインピーダンス測定部22と握力測定部30とが設けられるので、一つの測定装置で人体のインピーダンスと握力とを測定できる。
【0037】
また、上述のように本実施形態のインピーダンス測定部22R,22Lは、ユーザが把持可能な柱状である。そして、本体筐体20の対向する2つの面の一方の面である側面20Rにインピーダンス測定部22Rが設けられ、他方の面である側面20Lにインピーダンス測定部22Lが設けられる。インピーダンス測定部22Lは、本体筐体20の側面20Lと側面20Rとの間を移動可能に本体筐体20に設けられる。
【0038】
すなわち、インピーダンス測定は、図2(A)のように、本体筐体20の側面20R,20Lにインピーダンス測定部22R,22Lが伸展(展開)された状態で行われる。また、インピーダンス測定部22Lは、図2(B)のように、本体筐体20の側面20Lから側面20Rに向かって180°回動可能とされる。なお、図2(B)に示す屈曲状態では、一例として、インピーダンス測定部22Rの側面とインピーダンス測定部22Lの側面とが当接する。
【0039】
このように、ユーザがインピーダンス測定を行わない場合に、他方のインピーダンス測定部22Lを一方のインピーダンス測定部22R側に移動させることで、上半身測定装置12の大きさを小さくできる。これにより、上半身測定装置12の収納スペースを小さくでき、また、上半身測定装置12の持ち運びが容易となる。
【0040】
また、一対のインピーダンス測定部22R,22Lは、本体筐体20の所定方向における一端側(端面20B側)に設けられる。一方で、握力測定部30は、本体筐体20の所定方向における他端側(端面20A側)に設けられる。ここでいう所定方向とは、後述する図3に示すように、インピーダンス測定を行う場合にユーザの腹部に対して垂直となる方向であり、本実施形態では本体筐体20の長軸方向である。
【0041】
また、本実施形態の握力測定部30は、筐体32の側面32Aと本体筐体20の端面20Aとが同一の水平面を形成するように、本体筐体20に設けられる。
【0042】
ここで、図3は、本実施形態のインピーダンス測定部22を用いる場合の測定姿勢を示す図である。図3(A)に示すように、ユーザは、インピーダンス測定部22をユーザの前方に向けて把持し、握力測定部30の側面32A(図1,2参照)と本体筐体20の端面20A(図1,2参照)とをユーザの腹部(大腿部や腰部も含む)に接触させる。握力測定部30の側面32Aと本体筐体20の端面20Aとを含み、ユーザの腹部に接触する部位を接触部39という。
【0043】
上半身測定装置12は、接触部39がユーザの腹部に接触した状態で、ユーザがインピーダンス測定部22Rの電極部26及びインピーダンス測定部22Lの電極部26を把持した場合に、ユーザの胴体と腕とのなす角度θが一定になるように構成される。これにより、インピーダンス測定におけるユーザの測定姿勢が安定し、図3(B)に示すように、ユーザの胴体と腕とのなす角度θ、すなわち脇の開き角度θが測定時に常に一定となる。
【0044】
仮に、脇の開き角度θが測定毎に異なると、これに起因する誤差が生体インピーダンスに生じる可能性がある。このため、本実施形態の上半身測定装置12は、上記のようにユーザは常に同じ測定姿勢で生体インピーダンスを測定することが可能となるので、生体インピーダンスの測定誤差を小さくできる。
【0045】
ここで、握力測定部30の側面32Aとインピーダンス測定部22の中心軸線との距離をL1(図2参照)とする。ユーザが生体インピーダンスを測定する場合に一定程度の開き角度θを生じさせるために、距離L1を一例として約10cmとする。このとき、本体筐体20の中心軸線と握力測定部30の左端部との距離L2を一例として、約18cmとし、本体筐体20の長軸方向の長さL3を14cmとする。なお、距離L1と距離L2との比は、例えば、1:1.5~2としてもよく、距離L1と長さL3との比は、例えば、1:1.2~1.5としてもよい。また、距離L1は、インピーダンス測定部22R,22Lの電極部26の長手方向の長さと略同じとしてもよい。
【0046】
図4は、本実施形態の握力測定部30の内部構成を示す概略図である。
【0047】
本実施形態の握力測定部30は、グリップ34の変位方向(図4の矢印方向)に直交するように部材40A,40Bが設けられる。また、部材40Aと部材40Bとに挟まれて荷重センサー42が設けられる。部材40A,40Bは、一例として、剛性が高い長尺状又は棒状の金属部材であり、その長さはグリップ34よりも長い。また、本実施形態の荷重センサー42は、二つであり、部材40Aと部材40Bとの両端部に設けられる。なお、部材40A,40Bは、必ずしも長尺状でなくてもよく、グリップ34の形状に応じて円形状等、他の形状でもよい。
【0048】
本実施形態の荷重センサー42は、部材40Aの両端に固定される一方で、部材40Bには固定されず、部材40Bに接触した状態で位置決めされている。また、部材40Aは、力が加えられても変位しないように、握力測定部30の筐体32に固定されている。一方で、部材40Bは、グリップ34の変位に応じて筐体32の内側(部材40Aと部材40Bが近づく方向)へ変位する。
【0049】
そして、握力の測定するためにユーザがグリップ34に指をかけて図4の矢印方向に力を加えると、グリップ34及び部材40Bに力が加わる。これにより、グリップ34及び部材40Bは、加えられた力に追随して変位し、荷重センサー42に力を伝達する。これによってユーザの握力が測定される。
【0050】
ここで、本実施形態の握力測定部30は、荷重センサー42を金属製の部材40A,40B、すなわち剛性を持った構造物で挟み込むことによって力を荷重として検出している。これは、例えば体重計が荷重センサーを床と剛性を持った構造物とで挟み込むことによる効果と同様の効果を得るためである。すなわち、握力測定部30において、部材40Aが体重計における床と同様の効果を有し、精度の良い握力測定が可能となる。
【0051】
また、例えば体重計は4つの荷重センサー42を用いているのに対して、本実施形態の握力測定部30は2つの荷重センサー42を用いている。この理由は、使い勝手や収納を考慮して、上半身測定装置12をコンパクトかつ軽量にするためである。一方で、荷重センサー42が一つでない理由は、物理的に安定して力を受けられなくなるためである。なお、上記理由にかかわらず、荷重センサー42は一つ又は三つ以上とされてもよい。
【0052】
次に、図1に示される携帯端末装置14は、例えばタッチパネルディスプレイ16を備えるスマートフォンやタブレット端末等情報処理装置である。携帯端末装置14は、上半身測定装置12との間で無線通信を行ない情報の送受信が可能とされる。例えば、携帯端末装置14は、上半身測定装置12に対する制御指示の送信を行なったり、上半身測定装置12による測定結果を受信してタッチパネルディスプレイ16に表示する。
【0053】
このように、本実施形態の携帯端末装置14は、上半身測定装置12を操作可能とする。具体的には、携帯端末装置14は、上半身測定装置12の電源のオン又はオフを示す制御信号、インピーダンス測定と握力測定の切り替え等の制御指示を上半身測定装置12へ送信する。
【0054】
なお、携帯端末装置14には、測定用のアプリケーションソフト(以下「測定アプリ」という)がインストールされる。携帯端末装置14は、測定アプリによって、上半身測定装置12への操作指示や測定結果の表示を行う。
【0055】
サーバ18は、携帯端末装置14との間でデータの送受信を行ない、携帯端末装置14から受信したデータを記憶する。具体的には、サーバ18は、上半身測定装置12による測定結果等を、携帯端末装置14から受信してユーザ毎に時系列で記憶する。また、サーバ18は、記憶している測定結果等を携帯端末装置14へ送信し、測定アプリによってタッチパネルディスプレイ16に表示させてもよい。
【0056】
図5は、本実施形態の上半身測定装置12の機能ブロック図である。
【0057】
上半身測定装置12は、電極部26及び荷重センサー42と共に、電力供給部48、インピーダンス算出部50、握力算出部52、測定切替部54、記憶部56、及び短距離通信部58を備える。インピーダンス算出部50、握力算出部52、測定切替部54によって実行される各機能は、一例としてプログラムが起動することによって上半身測定装置12が備える演算装置で実行されるが、これに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアによって実現されてもよい。
【0058】
電力供給部48は、一対のインピーダンス測定部22R,22L及び握力測定部30に測定のための電力を供給する。具体的には、電力供給部48は、電極部26及び荷重センサー42等のインピーダンス測定及び握力測定に用いる測定手段に電力を供給する。
【0059】
インピーダンス算出部50は、インピーダンス測定部22に電流を流して得られる電位差に基づいて、ユーザの生体インピーダンスを算出する。
【0060】
握力算出部52は、荷重センサー42から出力される検出値に基づいて、ユーザの握力を算出する。
【0061】
測定切替部54は、携帯端末装置14からの制御指示(以下「切替指示」という。)に基づいて、インピーダンス測定と握力測定との切り替えを行う。ここで言う切り替えとは、インピーダンス測定部22と握力測定部30に対する電力供給の切り替えである。一方の測定部に電力供給が行われる場合には、他方の測定部には電力が供給されない。すなわち、電力供給部48は、測定切替部54が一方の測定部から他方の測定部に測定の切り替えを行ったとき、一方の測定部への電力供給を停止し、他方の測定部に電力供給を行う。これにより、上半身測定装置12は省電力化される。
【0062】
なお、本実施形態では、一例として、ユーザが携帯端末装置14を操作することで、切替指示を携帯端末装置14が送信する。これにより、上半身測定装置12に操作部を設けることなく、測定の切り替えができる。また、ユーザが好ましいと思う任意のタイミングで測定の切り替えができる。
【0063】
記憶部56は、インピーダンス算出部50が算出した生体インピーダンス及び握力算出部52が算出した握力を、ユーザ及び測定日時に関連付けて記憶する。
【0064】
短距離通信部58は、通信領域が狭い無線通信規格によって携帯端末装置14との通信を行う。本実施形態の短距離通信部58は、一例として、BLE(Bluetooth Low Energy)によって携帯端末装置14との通信を行うが、これに限られず、他の規格によって無線通信を行ってもよい。
【0065】
図6は、本実施形態の携帯端末装置14の機能ブロック図である。携帯端末装置14は、体組成値算出部60、評価部62、操作入力受付部64、モニタ制御部66、記憶部68、短距離通信部70、及び広域通信部72を備える。体組成値算出部60、評価部62、操作入力受付部64、及びモニタ制御部66によって実行される各機能は、一例としてプログラムが起動することによって携帯端末装置14が備える演算装置で実行される。
【0066】
また、体組成値算出部60及び評価部62は、携帯端末装置14が有する測定アプリの機能の一つである。
【0067】
体組成値算出部60は、上半身測定装置12から送信された生体インピーダンスに基づいて、ユーザの体組成値を算出する。体組成値の算出にはユーザ情報が用いられる。ユーザ情報は、体組成値の算出に必要とするユーザの性別、体重、身長、及び年齢等である。ユーザ情報は、測定アプリを介して入力され、記憶部68に記憶される。
【0068】
体組成値算出部60が算出する体組成値は、例えば、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内臓脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量等である。本実施形態の体組成値算出部60は、少なくともユーザの腕の筋肉量を算出する。
【0069】
評価部62は、インピーダンス測定部22による測定結果と握力測定部30による測定結果とに基づいてユーザの身体を評価する。本実施形態の評価部62は、一例として、ユーザの腕の筋肉量と握力とを比較する。そして、評価部62は、筋肉量と握力との関係をユーザ毎にタイプ分けし、タイプに応じたアドバイスをタッチパネルディスプレイ16を介してユーザに示す。なお、筋肉量と握力との関係とは、例えば、筋肉量に対する握力であり、筋肉量が多いものの握力が弱い、筋肉量に対する握力が平均的、筋肉量が少ないものの握力が強い等であり、これらがタイプとされる。
【0070】
また、評価部62は、上半身測定装置12の測定結果やユーザの下半身の生体インピーダンス等に基づいて、ユーザのフレイルを評価してもよい。フレイルは、加齢に伴って弱る身体の状態を意味し、本実施形態では一例としてJ-CHS基準に基づいてユーザのフレイルが評価される。
【0071】
操作入力受付部64は、ユーザが行ったタッチパネルディスプレイ16に対するタッチ動作を携帯端末装置14に対する操作入力として受け付ける。携帯端末装置14は、この操作入力に基づいて、各種制御を実行する。なお、本実施形態の携帯端末装置14は、タッチパネルディスプレイ16を介して、上半身測定装置12の電源のオンとオフ、インピーダンス測定と握力測定の切り替え等の操作指示を受け付ける。
【0072】
モニタ制御部66は、各種画像を表示するようにタッチパネルディスプレイ16を制御する。例えば、モニタ制御部66は、体組成値算出部60によって算出されたユーザの体組成値、評価部62による評価結果等をタッチパネルディスプレイ16に表示させる。
【0073】
さらに、モニタ制御部66は、測定アプリによって設定された各種情報を表示するようにタッチパネルディスプレイ16を制御する。
【0074】
記憶部68は、例えば、不揮発性メモリであり、各種データ、設定値、及びアプリケーションプログラム等を保存する。なお、記憶部68に記憶されるデータとしては、例えば、ユーザ情報、上半身測定装置12から送信された測定結果、体組成値算出部60で算出された体組成値、評価部62による評価結果等が含まれる。
【0075】
短距離通信部70は、通信領域が狭い無線通信規格によって上半身測定装置12との通信を行う。本実施形態の短距離通信部70は、一例として、BLEによって上半身測定装置12と通信を行うが、これに限らず、他の規格によって無線通信を行ってもよい。なお、短距離通信部70は、タッチパネルディスプレイ16を介して入力された上半身測定装置12の操作指示を上半身測定装置12へ送信する。
【0076】
広域通信部72は、短距離通信部70よりも通信領域が広い無線通信規格によってサーバ18等の他の情報処理装置と通信を行う。本実施形態の広域通信部72は、一例として、Wi-Fi(登録商標)によってサーバ18と通信を行うが、これに限られず、他の規格によって無線通信を行ってもよい。
【0077】
図7は、本実施形態の上半身測定装置12による測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、図7の例では、インピーダンス測定の後に握力測定が行われるが、これに限らず、握力測定の後にインピーダンス測定が行われてもよい。
【0078】
まず、ステップS100では、携帯端末装置14の測定アプリにユーザがログインする。
【0079】
次のステップS102では、ユーザが測定アプリを操作することで、上半身測定装置12を起動させるための起動指示が携帯端末装置14から上半身測定装置12へ送信される。
【0080】
次のステップS104では、ユーザが測定アプリを操作することで、インピーダンス測定の開始指示が携帯端末装置14から上半身測定装置12へ送信される。これにより、上半身測定装置12の電力供給部48は、インピーダンス測定部22に電力を供給する。また、測定アプリは、ユーザに対して上半身測定装置12のインピーダンス測定部22Rを右手で握り、インピーダンス測定部22Lを左手で握ることを促す表示を行う。
【0081】
次のステップS106では、インピーダンス測定部22によるインピーダンス測定が行われる。具体的には、インピーダンス測定部22の電極部26に電流を流して得られる電位差に基づいて、インピーダンス算出部50が生体インピーダンスを算出する。
【0082】
次のステップS108では、ユーザが測定アプリを操作することで、インピーダンス測定から握力測定への切替指示が携帯端末装置14から上半身測定装置12へ送信される。これにより、上半身測定装置12の測定切替部54は、インピーダンス測定から握力測定への切り替えを行う。これに伴い、電力供給部48は、握力測定部30に電力を供給し、インピーダンス測定部22への電力供給を停止する。また、測定アプリは、ユーザに対して握力測定部30を握ることを促す表示を行う。
【0083】
次のステップS110では、上半身測定装置12による握力の測定が行われる。具体的には、握力算出部52が、荷重センサー42から出力される検出値に基づいて、ユーザの握力を算出する。なお、本実施形態では、ユーザは右手と左手の握力を各々所定回数測定し、その平均値又は最大値をユーザの握力とする。
【0084】
次のステップS112では、上半身測定装置12による測定結果(生体インピーダンス、握力)を携帯端末装置14へ送信し、携帯端末装置14は当該測定結果を受信する。なお、上半身測定装置12による測定結果は、上半身測定装置12が備える記憶部56にも記憶されてもよい。
【0085】
次のステップS114では、携帯端末装置14の体組成値算出部60が上半身測定装置12から受信した測定結果に基づいて、ユーザの体組成値(筋肉量等)を算出する。
【0086】
次のステップS116では、携帯端末装置14のタッチパネルディスプレイ16に上半身測定装置12の測定結果(体組成値、握力)を表示するように、モニタ制御部66がタッチパネルディスプレイ16を制御する。この測定結果には、評価部62による評価結果も含まれる。
【0087】
次のステップS118では、携帯端末装置14の記憶部68が上半身測定装置12の測定結果を記憶する。
【0088】
次のステップS120では、携帯端末装置14がサーバ18へ上半身測定装置12の測定結果を送信し、サーバ18に測定結果を記憶させる。
【0089】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0090】
上記実施形態では、インピーダンス測定と握力測定との切り替えを携帯端末装置14からの制御指示に基づいて行う形態について説明したが、本発明はこれに限られない。測定切替部54は、例えば、本体筐体20の側面20Rと側面20Lとの間を移動するインピーダンス測定部22Lの位置に基づいて、インピーダンス測定と握力測定との切り替えを行ってもよい。
【0091】
この形態の場合、例えば、上半身測定装置12の本体筐体20内にスイッチ機構が設けられ、インピーダンス測定部22の伸展、屈曲によってインピーダンス測定と握力測定とが切り替えられてもよい。すなわち、インピーダンス測定部22が伸展状態の場合(図2(A)の状態)には、インピーダンス測定部22への電力供給がオンとされ、握力測定部30への電力供給がオフとされる。一方、インピーダンス測定部22が屈曲状態の場合(図2(B)の状態)には、インピーダンス測定部22への電力供給がオフとされ、握力測定部30への電力供給がオンとされる。
【0092】
また、伸展・屈曲するインピーダンス測定部22Lの姿勢を測定し、この姿勢に基づいてインピーダンス測定と握力測定との切り替えが行われてもよい。具体的には、インピーダンス測定部22Lの内部に加速度センサー等のセンサーが設けられる。このセンサーにより、インピーダンス測定部22Lの姿勢や重力が検知される。そして、予め伸展状態と屈曲状態とのセンサー出力値が上半身測定装置12の記憶部56Aに記憶される。上半身測定装置12は、定期的に計測されるセンサーの出力値と記憶された出力値とを比較することで、インピーダンス測定部22Lの姿勢を判定する。インピーダンス測定部22Lの姿勢が伸展状態の場合には、インピーダンス測定部22への電力供給がオンとされ、握力測定部30への電力供給がオフとされる。一方、インピーダンス測定部22Lの姿勢が屈曲状態の場合には、インピーダンス測定部22への電力供給がオフとされ、握力測定部30への電力供給がオンとされる。
【0093】
また、上記実施形態では、ユーザが携帯端末装置14を操作して切替指示を上半身測定装置12へ送信する形態について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、インピーダンス測定が終了した後に、携帯端末装置14から上半身測定装置12へ切替指示が自動的に送信され、握力測定が開始されてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、インピーダンス測定部22と握力測定部30とが異なる測定部材となっている形態について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、インピーダンス測定部22と握力測定部30とが一体化してもよい。この形態の場合、例えば、インピーダンス測定部22少なくとも一方の電極部26がグリップ34の機能も備える。そして、インピーダンス測定部22に図4を参照して説明した握力測定部30の構成が内蔵される。
【0095】
また、上記実施形態では、スマートフォン等の携帯端末装置14を測定結果の表示手段、体組成値算出部60、及び評価部62等を備える情報処理装置として説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、表示手段、体組成値算出部60、及び評価部62等を備える情報処理装置として、これらの機能に特化した専用の携帯端末装置が測定システム10に加えられてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、体組成値算出部60及び評価部62を携帯端末装置14が備える形態について説明したが、本発明はこれに限られない。サーバ18が体組成値算出部60及び評価部62を備え、ユーザの体組成値の算出及びユーザの身体の評価を行ってもよい。この形態の場合、携帯端末装置14は、サーバ18から体組成値及び評価結果を取得してタッチパネルディスプレイ16に表示する。
【0097】
また、上記実施形態では、握力測定部30がインピーダンス測定部22Rに対して平行に本体筐体20の側面20Rに設けられる形態について説明したが、本発明はこれに限られない。握力測定部30がインピーダンス測定部22Lに対して平行に本体筐体20の側面20Lに設けられてもよい。この形態の場合、インピーダンス測定部22Rは、本体筐体20の側面20Rと側面20Lとの間を移動可能とされる。
【0098】
また、測定システム10には、上半身測定装置12及び携帯端末装置14の他に、他の機器が含まれてもよい。他の機器としては、例えば、上述の歩数計又は活動量計等である。これらの他の機器は、BLE等の短距離通信によって携帯端末装置14とデータの送受信が可能とされる。そして、携帯端末装置14は他の機器の測定結果及びこの測定結果等に基づいて算出された評価結果をタッチパネルディスプレイ16に表示する。
【0099】
また、上半身測定装置12に測定結果等を表示するための表示手段(ディスプレイ)が備えられてもよい。
【0100】
また、上半身測定装置12に広域通信装置が備えられてもよい。この形態の場合、上半身測定装置12が測定結果をサーバ18に送信する。そして、携帯端末装置14はサーバ18から当該測定結果を受信し、体組成の算出やユーザの身体の評価を行う。
【符号の説明】
【0101】
10 測定システム
12 上半身測定装置
14 携帯端末装置(情報処理装置)
20 本体筐体(筐体)
22 インピーダンス測定部(インピーダンス測定手段)
30 握力測定装部(握力測定手段)
40A 部材
40B 部材
42 荷重センサー
48 電力供給部(電力供給手段)
54 測定切替部(切替手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7