(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053579
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電子時計、時刻表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G04B 19/30 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G04B19/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159886
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 文宣
(57)【要約】
【課題】発光面を指針による時刻表示に対してより効果的に利用することのできる電子時計、時刻表示方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】電子時計(1)は、回転動作が可能な指針(541~543)と、平面視において、指針(541~543)の回転面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、発光表示が可能な表示画面(461)を有する表示部と、制御部と、を備える。制御部は、表示画面(461)のうち指針(541~543)の指示方向と対応関係を有する位置(61、62)を発光させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動作が可能な指針と、
平面視において前記指針の回転面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、発光表示が可能な表示部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記表示部のうち前記指針の指示方向と対応関係を有する位置を発光させる
電子時計。
【請求項2】
前記表示部は、前記指針の回転面の下方に配置され、発光範囲の前記指針の回転角度方向についての位置に応じて時分秒のうち少なくともいずれかを示すことが可能であり、
前記制御部は、前記指針の指示方向によりある時刻を表示させ、かつ前記表示部により前記ある時刻の時分秒のうち少なくともいずれかとある対応関係を有する前記回転角度方向についての位置を発光させる
請求項1記載の電子時計。
【請求項3】
複数本の前記指針を備え、
前記指針のうち少なくとも一部は、当該指針の回転軸から離隔した位置に貫通孔を有し、
前記制御部は、前記表示部のうち前記回転面を上方から見た平面視で前記貫通孔に含まれる範囲を発光させる
請求項2記載の電子時計。
【請求項4】
前記指針のうち少なくとも一部は、当該指針の回転軸から離隔した位置に貫通孔を有し、
前記制御部は、第1の地域の第1時刻と、第2の地域の第2時刻とのうちいずれかを前記指針により選択的に表示させ、前記表示部のうち前記回転面を上方から見た平面視で前記貫通孔に含まれる範囲を、前記第1時刻と前記第2時刻とのうち表示されているものに応じた異なる色で発光させる
請求項2記載の電子時計。
【請求項5】
前記貫通孔の内部には、光透過部材が位置している請求項3又は4記載の電子時計。
【請求項6】
前記光透過部材は、半透明な部材である請求項5記載の電子時計。
【請求項7】
前記指針は秒針を含み、
前記制御部は、前記秒針を回転動作させたタイミングからある時間が経過するまでの間、前記表示部のうち前記回転面を上方から見た平面視で前記秒針が前記回転動作する前の位置と前記秒針が前記回転動作した後の位置との間の範囲のうち少なくとも一部を発光させる
請求項1記載の電子時計。
【請求項8】
前記制御部は、前記指針により第1の地域の第1時刻を表示させ、前記表示部により第2の地域の第2時刻を表示させるように発光させる請求項1記載の電子時計。
【請求項9】
前記制御部は、表示させる時刻の少なくとも一部に応じて、前記表示部に前記指針の回転軸からある長さで放射状に伸びる範囲を含んで発光させる請求項7又は8記載の電子時計。
【請求項10】
前記表示部は、前記指針の回転軸を取り囲む環状の範囲を発光可能である請求項1記載の電子時計。
【請求項11】
回転動作が可能な指針と、平面視において前記指針の回転面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、発光表示が可能な表示部と、を備える電子時計の時刻表示方法であって、
前記表示部のうち、前記指針の指示方向と対応関係を有する位置を発光させる
時刻表示方法。
【請求項12】
回転動作が可能な指針と、平面視において前記指針の回転面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、発光表示が可能な表示部と、を備える電子時計のコンピュータを、
前記表示部のうち、前記指針の指示方向と対応関係を有する位置を発光させる表示制御手段
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子時計、時刻表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
指針の回転動作に応じて時刻を示すアナログ表示と、デジタル表示画面による表示とを併用する電子時計がある。デジタル表示画面では、文字などをデジタル表示するものに加えて、照明としての機能を有する場合がある。特許文献1では、指針の回転面の下方に位置する化粧板、有機EL素子及び時字フィルムを積層配置し、暗所では有機EL素子を発光させることで、時字フィルムの時字や指針を見やすくさせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、発光面を指針による時刻の表示に対して効果的に利用できていなかった。
【0005】
この発明の目的は、発光面を指針による時刻表示に対してより効果的に利用することのできる電子時計、時刻表示方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
回転動作が可能な指針と、
平面視において前記指針の回転面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、発光表示が可能な表示部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記表示部のうち前記指針の指示方向と対応関係を有する位置を発光させる
電子時計である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、発光面を指針による時刻表示に対してより効果的に利用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子時計の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の電子時計の表示面の概略構成を説明する図である。
【
図3】第1実施形態の電子時計で実行される時刻表示制御処理のフローチャートである。
【
図4】電子時計における発光動作の変形例を示す平面図である。
【
図5】変形例の表示に係る時刻表示制御処理のフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の電子時計の表示面の構成を示す平面図である。
【
図7】第3実施形態の電子時計の表示状態を示す図である。
【
図8】第3実施形態の電子時計で実行される時刻表示制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】第4実施形態の電子時計の表示状態を示す図である。
【
図10】第4実施形態の電子時計で実行される時刻表示制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
【0010】
電子時計1は、例えば、腕時計型のものであるが、これに限られるものではない。電子時計1は、CPU41(Central Processing Unit)(制御部)と、RAM42(Random Access Memory)と、記憶部43と、発振回路44と、分周回路45と、発光表示部46(表示部)と、操作受付部47と、計測部48と、駆動回路51と、ステッピングモータ52と、輪列機構と53、指針54などを備える。
【0011】
CPU41は、演算処理を行い、電子時計1の各種動作を統括制御するプロセッサである。CPU41は、単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサが並列処理を行い又は独立に用途などに応じて並行して処理を行ってもよい。CPU41は、汎用のものに限られず、時計の用途に特化したもの(マイコンなど)であってもよい。
【0012】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM42は、DRAM及び/又はSRAMであってもよいし、その他のRAMとして利用可能な各種メモリであってもよい。
少なくともCPU41及びRAM42は、本実施形態のコンピュータに含まれる。
【0013】
記憶部43は、プログラム431や設定データなどを記憶する不揮発性メモリである。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリであるが、これに限られるものではない。設定データには、ワールドタイム(WT)の情報(WT情報433)及び現在の基本時刻に係る地方時設定432などが含まれる。WT情報433には、基本情報として、世界各地のタイムゾーン(タイムゾーンを代表する都市など)と国際標準時などからの時差の情報とが対応付けられて保持されている。また、WT情報433には、現在ユーザにより表示対象のWTとして選択されているタイムゾーンの設定が含まれる。地方時設定432では、現在ユーザにより表示対象の基本時刻(ベースタイム;BT)として選択されているタイムゾーンの設定が含まれる。
【0014】
発振回路44は、ある周波数での発振信号を生成して分周回路45に出力する。
分周回路45は、入力された発振信号を分周して、CPU41などが利用する周波数のクロック信号を生成し、当該クロック信号をCPU41などへ出力する。クロック信号の周波数は、一種類でなくてもよい。例えば、クロック信号の周波数には、CPU41の動作用の周波数信号のものと、時刻を計数するための周波数信号のものとが含まれていてもよい。
【0015】
発光表示部46は、光を発する画素を制御することで発光表示を行う表示画面を有する。ここでは、表示画面は、有機EL(Electro-Luminescent)画面である。この画面は、例えば、ドットマトリクス状に画素が配置されて電子時計1の表示面の略全面に並んでいる。なお、画面は、表示面において指針の軸となる部分や指針の指示方向を特定するための時字などに対応する部分を除外して広がっていてもよい。この有機EL画面は、CPU41による制御に応じて画素単位でカラー表示が可能である。
【0016】
操作受付部47は、外部からの入力操作を受け付けて、受け付けた内容に応じた操作信号をCPU41へ出力する。操作受付部47は、ユーザなどが操作する対象となる操作受付部材として、例えば、押しボタンスイッチやりゅうずなどを有する。
【0017】
計測部48は、例えば、照度センサと加速度センサとを有し、計測結果のデータをCPU41へ出力する。計測の有無及び計測頻度はCPU41により設定可能であってもよい。
【0018】
照度センサは、電子時計1の表示面への外光の入射に係る照度を計測する。照度センサの計測値は、昼間の屋外などで高く、屋内などでは照明に依存した程度の明るさとなり、夜間の屋外や屋内での就寝時、不使用での収容保存時などには照度が低くなる。
【0019】
加速度センサは、3軸方向、例えば、時計の表示面に沿った2軸と当該表示面に垂直な1軸とにそれぞれ沿った方向の加速度を計測する。加速度の計測値は、移動時には移動状況に応じて変動し、不使用時や机などの上に載置された状態では重力加速度で略一定となる。
【0020】
これら計測部48の計測結果を組み合わせることで、ユーザの使用状態が推測され得る。計測部48は、上記に加えて地磁場を計測する磁気センサや気圧センサ、及び脈拍を計測するバイタルセンサなどを有していてもよい。
【0021】
駆動回路51は、CPU41の制御に基づいて指針54を回転動作させるためのステッピングモータ52への駆動信号を出力する。
ステッピングモータ52は、印加電圧(電流)向きを切り替えることで、予め定められた角度の回転動作を輪列機構53に対して出力する。
輪列機構53は、複数の歯車列であり、ステッピングモータ52による回転動作を受けて、各指針54を所望の角度回転させる。
【0022】
指針54は、輪列機構53の歯車列に含まれるある歯車の回転に応じた角度だけ軸位置に対して回転動作する。指針54は、後述のように秒針541、分針542及び時針543(
図2など参照)(複数本)を含む。特には限られないが、各指針54は、各々独立して別個の輪列機構53及びステッピングモータ52につながっている。したがって、各指針54は、CPU41の制御に基づいて独立して回転動作が可能である。例えば、秒針541は、1秒ごとに6度回転して、1分間に60回の回転移動で一周する。分針542は、10秒ごとに1度回転して、1時間に360回の回転移動で1周する。時針543は、2分ごとに1度回転して、12時間に360回の回転移動で1周する。CPU41の制御に基づく指針54の指示方向の組み合わせによって時刻(時分秒)(ある時刻)が特定可能に表示される。
【0023】
[第1実施形態]
図2は、第1実施形態の電子時計1の表示面の概略構成を説明する図である。
図2(a)に示す平面図において、電子時計1は、略円状に発光表示部46の表示画面461を有し、その周囲がケーシング11(筐体の他、ベゼルなどの外装部材を含み得る)に囲まれている。表示画面461の中央を共通の回転軸として、秒針541、分針542及び時針543が回転可能に位置している。表示画面461は、指針54の回転面の下方でありかつ当該回転面と平行である。すなわち、表示画面461は、指針54の回転範囲(回転動作により通過する平面視範囲)と平面視で重なっている。上記のように、表示画面461は、カラー表示が可能な有機EL表示画面である。
【0024】
ケーシング11の側面には、操作受付部47の押しボタンスイッチ47aがここでは4個突出している。押しボタンスイッチ47aの数はこれに限られない。
【0025】
分針542及び時針543は、それぞれ指針の途中に光透過部材61、62が位置している。
図2(b)には、時針543を拡大、分解して示した斜視図を示している。分針542も同一の構造を有する(サイズなどは異なっていてよい)。
【0026】
時針543の延在方向に沿って(回転軸から離隔した位置に)上下方向に貫通する貫通孔543aが位置している。光透過部材62は、この貫通孔543aに埋め込まれて位置している。光透過部材62は、透明である必要はない。光透過部材62は、光が透過可能である(光量としての透過率は十分にある)が、内部で光が散乱するなどで上方から表示画面461が直接見えないもの(半透明)であってもよい。また、ここでは、光透過部材62は、時針543の上面から若干突出して角を落とした形状を有することで、当該上面から光が出射する際に光が拡散反射されやすくなっている。この上面からの突出高さは、他の指針54及び指針54の回転面上を覆う図示略の風防ガラスなどと接触しない範囲で定められる。
【0027】
上記構成により、貫通孔543aの下方(指針54による表示時刻のうち「時」(少なくともいずれか)と、時針543の回転角度方向について同一(ある対応関係)の位置(発光範囲、平面視で貫通孔に含まれる範囲))で表示画面461が発光すると、その光が光透過部材62を透過して上方に出射することで、当該光透過部材62が光って見える。上記のように、材質や構造上光の拡散が多い場合には、光透過部材62の出射光が間接光となって柔らかい表示になる。これにより、表示画面461の発光によっても「時」が特定可能に示される。
【0028】
電子時計1では、分針542と時針543との移動に応じて、これら光透過部材61、62の下方に位置する(平面視で重なる位置の)画素が発光するように画素の点灯制御がなされる。これにより、分針542及び時針543の指示方向が継続的に発光することになる。なお、この実施形態では、光透過部材61、62の回転軸からの距離は若干異なっている。したがって、分針542と時針543とが重なった場合には情報から光透過部材61、62を介した発光は見られない。
【0029】
図3は、本実施形態の電子時計1で実行される時刻表示制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。本実施形態の時刻表示方法を含む時刻表示に伴う動作は、時刻切替タイミング(毎秒)での割込み処理に応じてプログラム431(本実施形態の表示制御手段として機能)が起動されることで開始される。
【0030】
CPU41は、変更後の時刻を取得する(ステップS101)。CPU41は、取得した時刻から移動対象の指針を特定する(ステップS102)。上記のように、秒針541は毎秒移動対象とされる。分針542は10秒ごと(秒の1の位が0のタイミング)に移動対象とされる。時針543は、2分ごと(秒がゼロかつ分の値が偶数のタイミング)に移動対象とされる。したがって、分針542の移動時には必ず秒針541も移動対象となっており、時針543の移動時には、必ず分針542及び秒針541も移動対象となっている。
【0031】
CPU41は、移動対象の指針54を回転移動させるステッピングモータ52を駆動する制御信号を駆動回路51へ出力する(ステップS103)。
【0032】
CPU41は、分針542が移動対象に含まれているか否かを判別する(ステップS104)。上記の通り、時針543が移動対象の場合には、必ず分針542も移動対象に含まれる。分針542が移動対象に含まれていない場合には(ステップS104で“NO”)、CPU41は、時刻表示制御処理を終了する。
【0033】
分針が移動対象に含まれている場合には(ステップS104で“YES”)、CPU41は、移動先の分針542及び時針543の位置に応じた表示画面461の発光(点灯)位置を定める(ステップS105)。CPU41は、設定された発光位置を発光させる(ステップS106)。これにより、指針54の移動後も、継続して光透過部材61、62と指針54の回転面上方から見た平面視で重なる位置が発光する。そして、CPU41は、時刻表示制御処理を終了する。
【0034】
なお、上記のように、計測部48の照度センサの計測値に基づき、周囲が明るすぎて発光効果が得られにくい場合には、発光表示部46による発光表示を行わせなくてもよい。また、照度センサによる計測照度がゼロに近いレベルであって、かつ加速度センサによる計測値が一定である場合には、不使用状態、特に睡眠時間や収容状態などと判断して、発光表示部46による発光表示を行わせなくてもよい。あるいは、CPU41は、これら計測部48の計測値の変化などに基づいて、発光強度を複数段階で変化させてもよい。
【0035】
図4は、上記第1の実施形態の電子時計1における発光動作の変形例を示す平面図である。電子時計1では、操作受付部47へのある操作に応じて指針54による表示を基本時刻BT(第1時刻)とワールドタイムWT(第2時刻)との間で選択的に切り替えることができる。基本時刻BTは、通常電子時計1が位置する地域(第1の地域)の時刻である。ワールドタイムWTは、電子時計1のユーザが参照するために設定する任意の地域(第2の地域)の時刻(地方時)である。このような地域は、例えば、ビジネス上やり取りが必要な地域、出張や旅行などで今後移動する予定の地域、友人や家族などが居住する地域などである。このとき、平面視で光透過部材61、62と重なる位置での表示画面461の発光色は、表示されている時刻(BT、WT)に応じて異なる色に切り替えられてもよい。ワールドタイムWTの表示時には、日常の多くの場面での発光色とは異なる色で光透過部材61、62の範囲が発光されることを、ユーザが容易に認識可能な色の組み合わせであればよい。具体的な発光色は、特には限られない。
【0036】
図5は、この変形例の表示に係る時刻表示制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。この時刻表示制御処理は、ステップS101、S106の処理が、それぞれステップS101a、S106aにそれぞれ置き換えられている。また、ステップS111~S115の処理が追加されている。その他の処理は同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0037】
この時刻表示制御処理の開始は、指針位置の変更タイミングだけではなく、時刻表示対象を基本時刻BTと世界時刻WTとの間で切り替える命令を取得した場合を含む。また、表示中の基本時刻BTのタイムゾーン(第1の地域)又は世界時刻WTのタイムゾーン(第2の地域)を変更する命令を取得した場合も時刻表示制御処理の開始トリガーとして含まれ得る。
【0038】
CPU41は、現在の時刻を取得し、BT、WTのうち表示対象の時刻に換算する(ステップS101a)。CPU41は、表示対象をBT、WTの間で切り替える(又はBT、WT内でタイムゾーンを切り替える)命令を取得したか否かを判別する(ステップS111)。
【0039】
表示対象を切り替える命令を取得していないと判別された場合には(ステップS111で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS102へ移行する。ステップS102~S105の処理の後、CPU41は、表示対象に応じて設定された色で、ステップS105で設定された発光位置の画素を点灯、発光させる(ステップS106a)。そして、CPU41は、時刻表示制御処理を終了する。
【0040】
表示対象を切り替える命令を取得したと判別された場合には(ステップS111で“YES”)、CPU41は、表示対象の時刻を換算、取得する(ステップS112)。CPU41は、各指針54の位置を早送りで移動させる(ステップS113)。なお、時針543や分針542の移動角度(ステップ数)によっては、早送りに1秒以上を有する場合があるので、早送りの終了位置は、当該終了時点での表示対象時刻となる。
【0041】
CPU41は、移動先位置に応じた表示画面461の発光表示位置(画素)を設定する。CPU41は、設定された発光表示位置の発光色の設定を表示対象時刻の種別(BT、WT)に応じた色に変更する(ステップS114)。CPU41は、設定された発光表示位置及び発光色で発光表示部46により表示画面を発光表示させる(ステップS115)。そして、CPU41は、時刻表示制御処理を終了する。
【0042】
なお、ステップS113における指針54の早送り動作中は、CPU41は、発光表示部46による光透過部材61、62の位置に合わせた発光を中断させてもよい。あるいは、CPU41は、早送り移動に追従させて発光位置を移動させてもよい。また、ここでは、移動が終了するまでは変更前の表示対象時刻の種別に応じた色が維持される制御となっているが、これに限られない。例えば、移動開始時点で発光色が切り替えられてもよいし、早送り中に発光色が早送り前後の発光色の間で漸次変化されてもよい。
【0043】
また、表示画面461には、上記光透過部材61、62の位置に合わせた発光表示以外の表示がなされてもよい。例えば、通常のデジタル表示のように日付、曜日やその他の情報が文字及び/又は図形により表示されてもよい。これらの表示色は、上記発光色とは異なっていてもよい。また、表示画面461上には、時字や目盛などが位置していてもよい。
【0044】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の電子時計1aの表示面の構成を示す平面図である。
この第2実施形態の電子時計1aは、発光表示部46の表示画面461aがケーシング11の内側全体に広がっていない。ここでは、表示画面461aは、指針54の回転軸を中心として当該回転軸からある距離以上離隔して(少なくとも軸部材との間にユーザが視認可能な隙間を有する)、これを取り囲む環状の範囲に位置している。この表示画面461aの回転軸からの距離範囲は、分針542及び時針543の光透過部材61、62の回転軸からの距離と略同一範囲となっている。
【0045】
なお、ここでは、回転軸から光透過部材61までの距離と、回転軸から光透過部材62までの距離とは、略等しくなっている。これにより、表示画面461aの幅は、光透過部材61、62の共通の上記距離に応じて狭められる。また、分針542と時針543とが重なった場合でも、光はこれらの光透過部材61、62を透過し得る。この場合、2つの光透過部材61、62を通過する分だけ出射光量が低下するので、発光表示部46による発光量が増加されてもよい。
【0046】
平面視でケーシング11内の表示画面461a以外の部分は、通常の文字盤12となっている。ここでは、文字盤12上に1時間ごと(30度)ごとに時刻を特定するための指標である時字が位置している。
【0047】
このような電子時計1aであっても、上記電子時計1と同じように光透過部材61、62の位置に合わせた継続的な発光動作を行わせることができる。時刻表示動作に係る制御内容は、
図3及び
図5に示したものと同一であってもよい。
【0048】
[第3実施形態]
次に第3実施形態の電子時計1について説明する。この電子時計1の構成は、第1実施形態の電子時計1と同一であるので説明を省略する。
【0049】
図7は、この電子時計1の表示状態を示す図である。
この電子時計1では、指針54が上記第1実施形態と同一の動作制御により基本時刻BT(第1の地域の第1時刻)を示す。電子時計1では、これに加えて表示画面461に指針T1を描画することで、発光表示部46が世界時刻WT(第2の地域の第2時刻)を示す。指針T1は、時刻を特定可能に指針54の回転軸から放射状に伸びる直線部分(範囲)を含んでいれば、その周囲に細かい装飾形状に応じた凹凸(幅の変化)などを有していてもよい。例えば、指針T1は、時針543などと平面視同一形状であってもよいし、より見分けやすいように異なる形状であってもよい。
【0050】
例えば、
図7(a)には、基本時刻BTが日本時間(UTC+9)であり、世界時刻WTがアメリカ東部夏時間(UTC-4)である場合の表示例を示す。アメリカ東部夏時間は日本時間に対して13時間遅れである。したがって、12時間表示では、指針T1の描画により、1時間遅い時刻が示される。多くのタイムゾーンでは、時差は時間単位であるので、時針のみが、時針543と常に時差分のずれを有する位置関係(対応関係)で表示画面461に描画されればよい。
【0051】
一方で、
図7(b)には、世界時刻WTとしてオーストラリア中部時間(UTC+9:30)が選択されている場合の表示例を示す。オーストラリア中部時間は日本時間に対して30分早い。したがって、表示画面461では、時針に対応する指針T1に加えて分針に対応する指針T2が、指針54による表示時刻より30分早い時刻を示して描画される。
【0052】
指針T1、T2の表示色や輝度などは、適宜定められてよい。これらは、指針54と明確に区別が付けられればよい。なお、表示画面461に指針T1、T2以外の文字などのデジタル表示がなされている場合には、これらのデジタル表示は、指針T1、T2と重ねられてもよい。この場合には、重なった部分でも文字などが分かるようにコントラストの明確な色などに調整されてもよい。あるいは、指針T1、T2の移動に合わせてデジタル表示の位置なども調整移動されてもよい。
【0053】
なお、世界時刻WTの表示有無は、操作受付部47への入力操作により変更設定が可能であってもよい。
【0054】
図8は、本実施形態の電子時計1で実行される時刻表示制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この時刻表示制御処理は、第1実施形態の電子時計1における時刻表示制御処理のステップS101~S106の処理に加えてステップS121~S123の処理が追加されている。ステップS101~S106の処理については、両実施形態で同一であるので、詳しい説明を省略する。
【0055】
ステップS105の処理の後、CPU41は、世界時刻WTを表示する設定がなされているか否かを判別する(ステップS121)。世界時刻WTを表示する設定がなされていないと判別された場合には(ステップS121で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS106へ移行する。
【0056】
世界時刻WTを表示する設定がなされていると判別された場合には(ステップS121で“YES”)、CPU41は、設定されている世界時刻WTを、そのタイムゾーンに基づいて取得済の現在時刻から換算取得する(ステップS122)。CPU41は、世界時刻WTに応じた時刻を指針T1(T2)により描画するための発光位置を設定する(ステップS123)。それから、CPU41の処理は、ステップS106へ移行する。
【0057】
なお、表示画面461上の発光位置のうち、平面視で光透過部材61、62と重なる位置の色及び輝度と、指針T1(T2)の描画位置の色及び輝度とは、異なるものであってもよい。
【0058】
[第4実施形態]
次に第4実施形態の電子時計1bについて説明する。この電子時計1bの機能構成は、第1実施形態の電子時計1と同一であるので説明を省略する。
【0059】
図9は、この電子時計1bの表示状態を示す図である。
図9(a)に示すように、この電子時計1bでは、分針542b及び時針543bには、通常の指針と差異がない。すなわち、指針542b、543bは、貫通孔543a及びその内部に埋め込まれる光透過部材62などを有しない。
【0060】
指針54は、従来通り、時刻の経過とともに回転移動される。分針542b及び時針543bの回転移動に対しては、表示画面461の表示動作は行われない。
【0061】
一方、電子時計1bでは、
図9(b)に示すように、秒針541が移動するごとに、表示画面461の平面視で移動前の位置と移動後の位置との間の領域T3(同範囲のうち少なくとも一部)を発光表示させる。発光は、上記移動したタイミングからある発光時間が経過するまでの間になされる。発光時間は、秒針541の移動間隔である1秒よりも短く、かつユーザが容易に認識可能な範囲であり、例えば、数百msec(数は1~5など)である。これにより、電子時計1では、秒針541の移動に取り残され、若干遅れて追従するような表示が得られる。
【0062】
また、この発光時間の間の輝度は、時間経過とともに漸減されてもよい。輝度を複数段階に設定し、上記発光時間をこの段階数で除した時間ずつ徐々に小さい輝度に変化させていけばよい。
すなわち、この実施形態では、領域T3は、秒針541が示す位置に対して常に1秒遅れた位置関係に定められる。
【0063】
図10は、本実施形態の電子時計1で実行される時刻表示制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この時刻表示制御処理では、第1実施形態の電子時計1における時刻表示制御処理のステップS104を削除し、ステップS105がステップS105aに置き換えられ、また、ステップS131、S132の処理が追加されている。その他の処理は両実施形態の間で同一であり、同一の内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
ステップS103の処理後、CPU41は、秒針541の移動元位置と移動先位置との間の角度範囲であって、かつ回転軸から当該秒針541の長さの範囲を発光位置として設定する(ステップS105a)。それから、CPU41の処理は、ステップS106へ移行する。
【0065】
ステップS106の処理の後、CPU41は、指針54の移動タイミングから発光時間が経過したか否かを判別する(ステップS131)。発光時間が経過していないと判別された場合には(ステップS131で“NO”)、CPU41は、ステップS131の処理を繰り返す。CPU41は、処理を繰り返す前に発光時間以下の待機時間を設けてもよい。
【0066】
指針54の移動タイミングから発光時間が経過したと判別された場合には(ステップS131で“YES”)、CPU41は、発光位置として設定された範囲の発光を停止させる(ステップS132)。そして、CPU41は、時刻表示制御処理を終了する。
【0067】
以上のように、本実施形態の電子時計1は、回転動作が可能な指針54と、平面視において指針54の回転面(特にその回転範囲)の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、発光表示が可能な発光表示部46と、CPU41と、を備える。CPU41は、発光表示部46により表示画面461のうち指針54の指示方向と対応関係を有する位置を発光させる。すなわち、電子時計1は、表示画面461上で、指針54による時刻表示に対応した内容をアナログ的な表示効果を有する態様で発光表示させることができる。これにより、電子時計1は、表示画面461を指針54による時刻表示に対してより効果的に利用することができる。
【0068】
また、発光表示部46は、発光範囲の指針54の回転角度方向についての位置に応じて時分秒のうち少なくともいずれかを示すことが可能である。CPU41は、指針54の指示方向によりある時刻を表示させ、かつ発光表示部46によりこのある時刻の時分秒のうち少なくともいずれかとある対応関係を有する回転角度方向についての位置を発光させる。
このように、発光表示部46の動作により、電子時計1は、指針54の表示位置をより明確に示し得る。また、電子時計1は、指針54と異なる日時表示を容易に識別可能に視認させ得る。あるいは、電子時計1では、指針指示位置などをより装飾的に示すことも可能になる。よって、この電子時計1は、発光面を指針による時刻の表示に対してより効果的に利用することができる。
【0069】
また、電子時計1は、指針54を複数本備える。指針54のうち少なくとも一部(例えば、時針543)は、当該指針54(時針543)の回転軸から離隔した位置に貫通孔(例えば、貫通孔543a)を有する。CPU41は、発光表示部46のうち指針54の回転面を上方から見た平面視で貫通孔543aなどに含まれる範囲を発光させる。
このように、見かけ上指針54の一部を光らせるようにその下方の表示画面461を発光表示させることで、指針54による時刻の表示効果を向上させることができる。また、暗所での指針54の位置を蛍光塗料などと比較してもより明確かつ継続的にユーザに示すことができる。
【0070】
また、CPU41は、第1の地域の第1時刻(基本時刻BT)と、第2の地域の第2時刻(ワールドタイムWT)とのうちいずれかを指針54により選択的に表示させてもよい。そして、CPU41は、発光表示部46のうち平面視で貫通孔543aなどに含まれる範囲を、第1時刻と第2時刻とのうち表示されているものに応じた異なる色で発光させてもよい。すなわち、このような発光色の切り替えにより、電子時計1では、ユーザが視覚的に容易に通常の時刻表示とは異なる時刻表示がなされていることを知得することができる。
【0071】
また、貫通孔543aなどの内部には、光透過部材61、62などが位置していてもよい。当該光透過部材61、62の上面からの出射光としてユーザに認識されるので、指針54の上面との高さの差異が小さくなり、視認されやすい。また、光透過部材61、62のカット形状などによって、効果的に光を出射させることが可能となる。
【0072】
また、光透過部材61、62は、半透明な部材であってもよい。これにより、貫通孔543aを介して表示画面461の発光を直接見えにくくすることができる。したがって、この電子時計1では、指針54から間接光のように柔らかい光を出射させることができる。
【0073】
また、指針54には秒針541が含まれる。CPU41は、秒針541を回転動作させたタイミングからある時間が経過するまでの間、発光表示部46のうち平面視で秒針541が回転動作する前の位置と秒針541が回転動作した後の位置との間の範囲のうち少なくとも一部(領域T3)を発光させる。このような発光制御により、視覚上、秒針541の移動からワンテンポ遅れて発光部分が秒針541を追いかけていくような効果が得られる。よって、電子時計1では、時計表示の視覚効果を向上させることができる。また従来、外光の強度や向きによっては見づらいこともある秒針541の位置をより認識しやすくすることができる。
【0074】
また、CPU41は、指針54により第1の地域の第1時刻(基本時刻BT)を表示させ、発光表示部46により第2の地域の第2時刻(ワールドタイムWT)を表示させるように発光させてもよい。第2時刻も指針風に描画することで、アナログ表示的な雰囲気を残しつつ、指針54自体を移動させずに容易にワールドタイムWTを表示させることができる。また、ワールドタイムWTの表示が不要な場合には消去できるので、邪魔になりにくい。さらに、ワールドタイムWTは整数時間差のタイムゾーンが多いので、分針が必要になる場合が少ない。表示画面461に必要な指針だけを描画することで適切な第2時刻を示すことができるので、表示が煩雑にならない。
【0075】
また、CPU41は、表示させる時刻の少なくとも一部に応じて、発光表示部46に指針54の回転軸からある長さで放射状に伸びる範囲を含んで発光させる。すなわち、発光表示部46により指針状の描画を行わせることで、この電子時計1では、容易に時刻を知得することが可能になる。
【0076】
また、発光表示部46は、指針54の回転軸を取り囲む環状の範囲を発光可能であってもよい。第1実施形態のように、貫通孔543aなどに対応する位置だけで発光表示が可能であればよいのであれば、表示画面461aが表示面全体に広がっている必要はない。必要な範囲に限定された表示画面461aを備えることで、表示画面461aの面積を縮小することができる。また、これにより空いた領域に他の構成(時字、目盛、標識、商標など)を配置することが可能となる。これにより電子時計1は、そのデザインの幅を広げることができる。
【0077】
また、本実施形態の電子時計1の時刻表示方法は、指針54の指示方向によりある時刻を表示させ、かつ発光表示部46によりこのある時刻の時分秒のうち少なくともいずれかとある対応関係を有する回転角度方向についての位置を発光させる。
この時刻表示方法によれば、指針54の表示位置をより明確に示したり、又は指針54と異なる日時表示を容易に識別可能に表示させたりすることができる。また、この時刻表示方法では、電子時計1における指針指示位置などをより装飾的に示すことが可能になる。よって、この時刻表示方法によれば、発光面を指針による時刻の表示に対してより効果的に利用することができる。
【0078】
また、上記時刻表示方法に係るプログラム431をコンピュータにインストールして実行することで、容易に時刻表示に係る制御を行うことができる。そして、当該制御において、指針54の表示位置をより明確に示したり、又は指針54と異なる日時表示を容易に識別可能に表示させたりすることができる。また、このプログラム431によれば、電子時計1における指針指示位置などをより装飾的に示すことが可能になる。よって、このプログラム431によれば、発光面を指針による時刻の表示に対してより効果的に利用することができる。
【0079】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記第1~第3実施形態では、時針543及び分針542に貫通孔を設けることとしたが、いずれか一方であってもよい。あるいは、可能であれば、秒針541に貫通孔を設けてもよい。また、本実施形態でいう貫通孔には、その一部が開放された切り欠き形状となっているものを含む。また、貫通孔(切り欠き)の形状は平面視方形ではなくてもよい。例えば、円形、楕円形、頂角が90度ではない多角形、多角形の角を丸めたり落としたりした形状であってもよい。
【0080】
また、指針54には秒針541が含まれなくてもよいし、反対に他の追加の指針が含まれていてもよい。他の追加の指針が時刻に関係する方向を指し示している場合には、CPU41は、発光表示部46により表示画面461の上記方向と時刻表示上の対応関係を有する位置を発光させてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、3本の指針54を独立に回転駆動させるものとして説明したが、これに限られない。例えば、時針543が分針542に連動してその1/12の回転速度で回転するのであってもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、表示画面461が少なくとも回転方向には連続的であるものとして説明したが、これに限られない。対象の指針の移動ステップ(時針543及び分針542で1度、秒針541で6度)などに応じた間隔で離散的に放射状に発光可能位置が並んでいてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、光透過部材61、62が半透明であるものとして説明したが、透明な部材であってもよい。この場合でも上面のカット形状などに応じて多様な方向に光を拡散させて出射させることが可能であってもよい。反対に、光透過部材61、62の上面は指針54の上面から突出せず平坦であってもよい。また、光透過部材61、62が色付きの部材であってもよい。この場合には、表示画面461からの出射光が当該光透過部材61、62の色に応じたフィルタリングがなされて出射される。
【0084】
あるいは、より単純に貫通孔543aや切り欠きなどの内部に光透過部材が位置していなくてもよい。この場合、貫通孔543aが完全に空洞であってもよいし、貫通孔543aの上端及び/又は下端に光透過性のフィルムなどが貼付されていてもよい。
【0085】
また、上記各実施形態及び変形例の構成及び制御内容は、互いに矛盾、相反しない限りにおいて、任意に組み合わされてもよい。例えば、第3実施形態の電子時計1における時針543及び分針542は、貫通孔及び光透過部材61、62を有していなくてもよい。単純に指針のみで基本時刻BTの時刻表示がなされてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、発光表示部46が有機ELディスプレイを有するものとして説明したが、これに限られない。バックライトを発光させて選択的に当該光を透過させる液晶ディスプレイも発光表示部に含まれる。また、LEDが二次元配列された表示部であってもよい。
【0087】
また、第3実施形態では、指針54により基本時刻BTが表示され、表示画面461にワールドタイムWTを示す指針T1が描画表示されるものとして説明したが、この表示は入れ替えが可能であってもよい。この場合、入れ替え時には発光色も併せて入れ替え変更されればよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、表示画面461の指針54の位置に対応した発光箇所以外については、必要に応じて文字や標識などが表示され得る点について説明したが、このような使用に限られない。すなわち、上記発光箇所以外も他の発光色や発光強度などでの背景表示として発光動作がなされてもよい。また、時針543に対応する発光色と分針542に対応する発光色とが異なっていてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、時針543及び分針542が1度ずつ回転移動するものとしたが、これに限られない。これらの指針54は、2度又は3度ずつの回転移動であってもよい。
【0090】
また、上記第4実施形態では、秒針541の移動前の位置と移動後の位置との間全体を発光させるものとして説明したが、これに限られない。移動前の秒針541の位置のみを発光させるのであってもよい。あるいは、当該秒針541の形状の発光表示を、発光時間の間に複数段階で移動後の位置へ近づけるように移動させてもよい。また、このような指針の移動後の発光表示は、秒針541の移動時に限られない。他の指針の移動時にも同じような表示が行われてもよい。
【0091】
また、貫通孔や切り欠きの下方から位置を合わせて発光させるのでなければ、特に有機ELディスプレイの容易透明な表示画面は、指針54よりも上方に位置していてもよい。また、不透明な表示画面の下方に位置し、当該表示画面の開口部から部分的に露出される指針があってもよい。
【0092】
また、上記の発光表示について、照度や加速度などに応じて発光表示を行わない場合があってもよい旨説明したが、更に基本時刻BTの範囲などに応じて発光表示を行わない期間を限定してもよい。また、操作受付部47への入力操作に応じてこのような発光表示を可能とするか否かを切り替え設定可能であってもよい。
【0093】
また、以上の説明では、本発明の時刻表示制御に係るプログラム431を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどからなる記憶部43を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD,MRAMなどの他の不揮発性メモリや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記憶媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0094】
1、1a 電子時計
11 ケーシング
12 文字盤
41 CPU
42 RAM
43 記憶部
431 プログラム
432 地方時設定
433 WT情報
44 発振回路
45 分周回路
46 発光表示部
461、461a 表示画面
47 操作受付部
47a 押しボタンスイッチ
48 計測部
51 駆動回路
52 ステッピングモータ
53 輪列機構
54 指針
541 秒針
542、542b 分針
543、543b 時針
543a 貫通孔
61、62 光透過部材
T1、T2 指針
T3 領域