(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053585
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A61M25/00 532
A61M25/00 504
A61M25/00 620
A61M25/00 624
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159898
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100195659
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 慧
(72)【発明者】
【氏名】大塚 極
(72)【発明者】
【氏名】前田 真衣
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB16
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
4C267HH17
(57)【要約】
【課題】生体管腔内におけるカテーテルの進入性を高めつつ、生体管腔内の湾曲形状部分に沿ったカテーテルの先端部の変形挙動の向上を図るための技術を提供する。
【解決手段】カテーテルは、中空シャフトと、第1部位と、第1部位よりも先端側に位置し、第1部位よりも剛性が高い第2部位と、を含む補強部材と、補強部材の少なくとも一部が埋設されていると共に、中空シャフトの先端部に接合された先端チップであって、先端チップの基端が補強部材の先端よりも基端側に位置する先端チップと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
中空シャフトと、
第1部位と、前記第1部位よりも先端側に位置し、前記第1部位よりも剛性が高い第2部位と、を含む補強部材と、
前記補強部材の少なくとも一部が埋設されていると共に、前記中空シャフトの先端部に接合された先端チップであって、先端チップの基端が前記補強部材の先端よりも基端側に位置する先端チップと、を備える、カテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルであって、
前記補強部材はコイルである、カテーテル。
【請求項3】
請求項2に記載のカテーテルであって、
前記第2部位のピッチは、前記第1部位のピッチよりも小さい、カテーテル。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカテーテルであって、
前記補強部材は、さらに、前記第1部位よりも基端側に位置し、前記第2部位よりも剛性が高い第3部位を含む、カテーテル。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカテーテルであって、
前記補強部材は、第1コイルであり、さらに、
前記中空シャフトに少なくとも一部が埋設されていると共に、前記第1コイルの基端部に接合された第2コイルを備える、カテーテル。
【請求項6】
請求項5に記載のカテーテルであって、
前記第1コイルの基端部の剛性は、前記第1部位の剛性よりも高い、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、補強部材を備えたカテーテルが知られている。例えば、特許文献1には、補強部材として、内側コイルと、その内側コイルを覆う外側コイルと、をチューブ壁内に備えたカテーテルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたカテーテルでは、先端部においても内側コイルと外側コイルとが積層されているため、カテーテルが生体管腔内の湾曲形状部分を押し進められる際、その湾曲形状部分に沿ってカテーテルの先端部が変形しにくい場合があった。一方、このようなカテーテルの先端部において内側コイルと外側コイルとのうちいずれかを除くことにより、先端部の柔軟性を上昇させると先端部は変形しやすくなるが、その反面、生体管腔内での進入性が低下する虞がある。このような課題は、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入されるカテーテル全般に共通する。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、カテーテルにおいて、生体管腔内におけるカテーテルの進入性を高めつつ、生体管腔内の湾曲形状部分に沿ったカテーテルの先端部の変形挙動の向上を図る技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、カテーテルが提供される。このカテーテルは、中空シャフトと、第1部位と、前記第1部位よりも先端側に位置し、前記第1部位よりも剛性が高い第2部位と、を含む補強部材と、前記補強部材の少なくとも一部が埋設されていると共に、前記中空シャフトの先端部に接合された先端チップであって、先端チップの基端が前記補強部材の先端よりも基端側に位置する先端チップと、を備える。
【0008】
この構成によれば、補強部材は、第1部位と、第1部位よりも先端側に、第1部位よりも剛性が高い第2部位と、を含む。このため、補強部材において第1部位よりも剛性が高い第2部位が第1部位よりも先端側に含まれることにより、生体管腔内におけるカテーテルの進入性を高めることができる。また、補強部材において第2部位よりも剛性の低い第1部位が含まれることにより、カテーテルが生体管腔内の湾曲形状部分を押し進められる際、その湾曲形状部分に沿って先端チップを湾曲しやすくすることができる。すなわち、この構成のカテーテルによれば、第1部位と第2部位とが補強部材に含まれることにより、生体管腔内におけるカテーテルの進入性を高めつつ、生体管腔内の湾曲形状部分に沿ったカテーテルの先端部(先端チップ)の変形挙動を向上することができる。また、先端チップの内部に補強部材が含まれていることによって、引張による先端チップの破断を抑制することもできる。
【0009】
(2)上記形態のカテーテルにおいて、前記補強部材はコイルであってもよい。
この構成によれば、先端チップに埋設されている補強部材がコイルであることから、カテーテルの先端部(先端チップ)における柔軟性およびトルク伝達性を向上することができる。また、カテーテルの回転操作により先端チップの外表面が周方向に変形して潰れるのを抑制できることから、カテーテルが生体管腔の奥側に押し進められる際に、カテーテルの先端部(先端チップ)の摺動抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0010】
(3)上記形態のカテーテルにおいて、前記第2部位のピッチは、前記第1部位のピッチよりも小さくてもよい。
この構成によれば、第2部位のピッチを第1部位のピッチよりも小さくすることによって、第2部位の剛性を第1部位の剛性よりも高くしている。このように補強部材であるコイルのピッチが調整されているため、生体管腔内におけるカテーテルの進入性を高めつつ、生体管腔内の湾曲形状部分に沿ったカテーテルの先端部(先端チップ)の変形挙動を向上することができる。
【0011】
(4)上記形態のカテーテルにおいて、前記補強部材は、さらに、前記第1部位よりも基端側に位置し、前記第2部位よりも剛性が高い第3部位を含んでいてもよい。
この構成によれば、第1部位よりも基端側には第3部位が位置し、第1部位よりも先端側には第3部位よりも剛性が低い第2部位が位置している。すなわち、補強部材のうち第2部位および第3部位は、基端側から先端側に向けて剛性が低くなるように並べられている。したがって、補強部材のうち基端側の剛性は比較的高くなっていることからカテーテルの操作性を向上できるとともに、補強部材のうち先端側の剛性は比較的低くなっていることからカテーテルの先端側の柔軟性を確保することができる。
【0012】
(5)上記形態のカテーテルにおいて、前記補強部材は、第1コイルであり、さらに、前記中空シャフトに少なくとも一部が埋設されていると共に、前記第1コイルの基端部に接合された第2コイルを備えていてもよい。
この構成によれば、第1コイルと第2コイルとは接合されているため、カテーテルの回転操作時に第1コイルの回転と第2コイルの回転とが同期することから、第1コイルを埋設している先端チップと第2コイルを埋設している中空シャフトとが、カテーテルの回転操作によって離断されるのを抑制することができる。
【0013】
(6)上記形態のカテーテルにおいて、前記第1コイルの基端部の剛性は、前記第1部位の剛性よりも高くてもよい。
この構成によれば、第2コイルの先端が接合される第1コイルの基端部の剛性は、第1部位の剛性よりも高いことから、第2コイルの基端側から先端へと伝達されてきたトルクを、第1コイルの基端から先端側へと効率よく伝達することができる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カテーテル、カテーテル用の医療用チューブ、カテーテルや医療用チューブの製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のカテーテルの縦断面を例示した説明図である。
【
図2】第1実施形態のカテーテルの外観を示した説明図である。
【
図3】第2実施形態のカテーテルの縦断面を例示した説明図である。
【
図4】第2実施形態のカテーテルの外観を示した説明図である。
【
図5】第3実施形態のカテーテルの縦断面を例示した説明図である。
【
図6】第3実施形態のカテーテルの外観を示した説明図である。
【
図7】第4実施形態のカテーテルの縦断面を例示した説明図である。
【
図8】第4実施形態のカテーテルの外観を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のカテーテル1の縦断面を例示した説明図である。本実施形態のカテーテル1は、心血管や脳血管をはじめとする血管のほか、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった生体管腔内に挿入され、治療や検査に用いられる医療器具である。
【0017】
図1では、カテーテル1の中心を通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。
図1の例では、カテーテル1の中心を通る軸は、カテーテル1を構成する各部材の各中心を通る軸と一致している。しかし、カテーテル1の中心を通る軸は、カテーテル1を構成する各部材の中心を通る軸と相違していてもよい。また、
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸はカテーテル1の軸線方向(カテーテル1の挿入方向)に対応し、Y軸はカテーテル1の幅方向に対応し、Z軸はカテーテル1の高さ方向に対応する。
図1の左側(+X軸方向)をカテーテル1及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側(-X軸方向)をカテーテル1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、カテーテル1及び各構成部材について、先端側に位置する端部及びその近傍を「先端部」または単に「先端」と呼び、基端側に位置する端部及びその近傍を「基端部」または単に「基端」と呼ぶ。カテーテル1のうち、先端側は、生体内部へ挿入される部分であり、基端側は、医師等の術者により操作される部分である。これらの点は、
図1以降においても共通する。
【0018】
カテーテル1は、インナーシャフト10と、補強体20と、第1コイル30と、先端チップ40と、中空シャフト50と、第2コイル60と、を備えている。
【0019】
インナーシャフト10は、カテーテル1の長手方向(X軸方向)に延びる管状部材である。本実施形態では、インナーシャフト10の中心を通る軸は、軸線Oと一致している。インナーシャフト10は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴム類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチック等の可撓性材料であって、生体適合性を有する材料であれば、任意の材料で形成することができる。
【0020】
補強体20は、素線が網状(メッシュ状)に編み込まれた編組体(金属補強体)であり、インナーシャフト10を被覆している。補強体20を構成する素線は、金属材料で形成され、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、X線不透過材料である金、白金、タングステンを含む合金等で形成することができる。補強体20を構成する素線は、これら以外の公知の金属材料で形成されてもよい。
【0021】
第1コイル30は、略円筒形状のコイルである。第1コイル30のうち基端を含む一部は、補強体20の先端側の外周面を覆っている。詳細には、第1コイル30の基端は、補強体20の先端よりも基端側に位置し、第1コイル30の先端は、補強体20の先端よりも先端側に位置している。第1コイル30は、補強体20と同様の金属材料で形成されている。第1コイル30の先端部には、第1コイル30を構成している素線がばらけるのを防ぐために、YAG溶接により素線同士が溶接された溶接部35が形成されている。第1コイル30を構成する素線は、補強体20と同様の金属材料で形成されている。本実施形態では、第1コイル30は、複数本の素線を多条に巻回して形成した多条コイルから、一部の素線を間引くことにより形成されたコイルである。後述する部位P2,部位P4,部位P6は、第1コイル30のうち素線が間引かれた位置を含む部位である。なお、第1コイル30は、複数本の素線を撚り合せた撚線を複数用い、各撚線を多条に巻回して形成した多条撚線コイルから、一部の撚線を間引くことにより形成されたコイルであってもよく、この場合、後述する部位P2,部位P4,部位P6は、第1コイル30のうち撚線が間引かれた位置を含む部位となる。本実施形態において、第1コイル30は、「補強部材」に相当する。第1コイル30の詳細(部位P1~P7等)は、後述の
図2を用いて説明する。
【0022】
先端チップ40は、後述する中空シャフト50の先端部に接合され、カテーテル1を構成する他の部材よりも先行して生体管腔内を進行する部材である。先端チップ40は、基端側から先端側に向かって略一定の外径を有する略円筒状の基端側部分40rと、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台状の先端側部分40fと、から構成されている。先端チップ40には、
図1に示すように、第1コイル30全体が埋設されているとともに、補強体20のうち先端を含む一部が埋設されている。また、先端チップ40の基端は、第1コイル30の先端よりも基端側に位置している。先端チップ40は、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤によって形成できる。また、先端チップ40は、柔軟性を有することが好ましいため、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等の樹脂材料によって形成されてもよい。
【0023】
中空シャフト50は、先端チップ40の基端部に接合され、カテーテル1の長手方向(X軸方向)に延びる管状部材である。中空シャフト50は、内層52と、内層52を覆う外層54と、を含んでいる。内層52および外層54は、樹脂によって形成された層である。内層52には、補強体20のうち先端チップ40に埋設された一部よりも基端側の部分が埋設されている。外層54には、後述する第2コイル60全体が埋設されている。
【0024】
第2コイル60は、基端側から先端側に向かって略一定の外径を有する略円筒形状のコイルである。第2コイル60は、第1コイル30の基端部に接合されている。詳細には、第2コイル60の先端部と、第2コイル60の先端部の内側に配置された第1コイル30の基端部とは、YAG溶接により溶接部65を形成することによって接合されている。本実施形態では、第2コイル60は、第1コイル30と同様の金属材料で形成された素線を多条に巻回して形成した多条コイルである。なお、第2コイル60は、多条撚線コイルであってもよく、または、1本の素線を単条に巻回して形成した単条コイルであってもよく、複数本の素線を撚り合せた撚線を単条に巻回して形成した単条撚線コイルであってもよい。
【0025】
図2は、第1実施形態のカテーテル1の外観を示した説明図である。なお、
図2において、先端チップ40および中空シャフト50に覆われている第1コイル30および第2コイル60は、カテーテル1の外側からは本来見えないため破線で表している。第1コイル30を構成している素線の径は、
図1,2に示すように、基端側から先端側に向かって減少している。このような第1コイル30の加工は、電解研磨によって行われる。第1コイル30は、基端側から先端側に向かって順に、部位P1,部位P2,部位P3,部位P4,部位P5,部位P6,部位P7を含む。
【0026】
部位P2は、部位P1と部位P3との間に位置し、素線が間引かれた位置を含む部位である。部位P3は、部位P2よりも先端側に位置し、素線が間引かれていない部位である。そのため、部位P3のピッチは、部位P2のピッチよりも小さいことから、部位P3は、部位P2よりも剛性が高い。なお、ここでいうピッチとは、第1コイル30を構成している素線のうち隣り合う素線の横断面における中心同士の間の距離である。
【0027】
部位P1は、部位P2よりも基端側に位置する部位である。部位P1は、第1コイル30のうち素線が間引かれていない部位であって、且つ、部位P3よりも基端側の部位である(部位P3を形成している素線の径よりも部位P1を形成している素線の径は大きい)ため、部位P3よりも剛性が高い。したがって、部位P1~P3の中では、部位P1の剛性が最も高く、部位P2の剛性が最も低い。
【0028】
部位P4は、部位P3と部位P5との間に位置し、素線が間引かれた位置を含む部位である。部位P5は、部位P4よりも先端側に位置し、素線が間引かれていない部位である。そのため、部位P5のピッチは、部位P4のピッチよりも小さいことから、部位P5は、部位P4よりも剛性が高い。部位P3は、素線が間引かれていない部位であって、且つ、部位P5よりも基端側の部位である(部位P5を形成している素線の径よりも部位P3を形成している素線の径は大きい)ため、部位P5の剛性よりも剛性が高い。したがって、部位P3~P5の中では、部位P3の剛性が最も高く、部位P4の剛性が最も低い。
【0029】
部位P6は、部位P5と部位P7との間に位置し、素線が間引かれた位置を含む部位である。部位P7は、部位P6よりも先端側に位置し、素線が間引かれていない部位である。そのため、部位P7のピッチは、部位P6のピッチよりも小さいことから、部位P7は、部位P6よりも剛性が高い。部位P5は、素線が間引かれていない部位であって、且つ、部位P7よりも基端側の部位である(部位P7を形成している素線の径よりも部位P5を形成している素線の径は大きい)ため、部位P7の剛性よりも剛性が高い。したがって、部位P5~P7の中では、部位P5の剛性が最も高く、部位P6の剛性が最も低い。
【0030】
部位P1~P7間における剛性の関係について、さらに説明する。第1コイル30を構成している素線の径は基端側から先端側に向かって減少していることから、第1コイル30のうち素線が間引かれていない部位である部位P1,部位P3,部位P5,部位P7の剛性は、部位P1>部位P3>部位P5>部位P7の順で低くなっている。また、第1コイル30のうち素線が間引かれた位置を含む部位である部位P2,部位P4,部位P6の剛性は、部位P2>部位P4>部位P6の順で低くなっている。このように、部位P1,部位P3,部位P5,部位P7および部位P2,部位P4,部位P6は、それぞれ基端側から先端側に向けて剛性が低くなるように並べられている。また、部位P1>部位P2であることから、第1コイル30の基端部である部位P1の剛性は、部位P2,部位P4,部位P6の剛性よりも高くなっている。
【0031】
第1コイル30においては、部位P1~P3間における剛性の関係は、部位P2<部位P3<部位P1で表される。ここで、部位P2を「第1部位」とみなしたとき、部位P3は、「第1部位」よりも先端側に位置し、「第1部位」よりも剛性が高い「第2部位」に相当し、部位P1は、「第1部位」よりも基端側に位置し、「第2部位」よりも剛性が高い「第3部位」に相当する。また、カテーテル1において、部位P2の剛性よりも部位P5の剛性や部位P7の剛性の方が高いのであれば、部位P2にとって、部位P5や部位P7も「第2部位」に相当する。
【0032】
部位P3~P5間における剛性の関係は、部位P4<部位P5<部位P3で表される。ここで、部位P4を「第1部位」とみなしたとき、部位P4にとって、部位P5は「第2部位」に相当し、部位P3は「第3部位」に相当する。さらに、部位P3の剛性よりも部位P1の剛性は高いことから、部位P4にとって、部位P1も「第3部位」に相当する。また、カテーテル1において、部位P4の剛性よりも部位P7の剛性の方が高いのであれば、部位P4にとって、部位P7も「第2部位」に相当する。
【0033】
部位P5~P7間における剛性の関係は、部位P6<部位P7<部位P5で表される。ここで、部位P6を「第1部位」とみなしたとき、部位P6にとって、部位P7は「第2部位」に相当し、部位P5は「第3部位」に相当する。また、部位P5の剛性よりも部位P3の剛性および部位P1の剛性の方が高いことから、部位P6にとって、部位P3および部位P1も「第3部位」に相当する。
【0034】
以上説明したように、第1実施形態のカテーテル1によれば、第1コイル30において第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)よりも剛性が高い第2部位(部位P3,部位P5,部位P7)が第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)よりも先端側に含まれることにより、生体管腔内におけるカテーテル1の進入性を高めることができる。また、第1コイル30において第2部位(部位P3,部位P5,部位P7)よりも剛性の低い第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)が含まれることにより、カテーテル1が生体管腔内の湾曲形状部分を押し進められる際、その湾曲形状部分に沿って先端チップ40を湾曲しやすくすることができる。すなわち、第1実施形態のカテーテル1によれば、第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)と第2部位(部位P3,部位P5,部位P7)とが第1コイル30に含まれることにより、生体管腔内におけるカテーテル1の進入性を高めつつ、生体管腔内の湾曲形状部分に沿ったカテーテル1の先端部(先端チップ40)の変形挙動を向上することができる。また、先端チップ40の内部に第1コイル30が含まれていることによって、引張による先端チップ40の破断を抑制することもできる。
【0035】
第1実施形態のカテーテル1では、第1コイル30の先端部には、部位P6にとって「第2部位」に相当する部位P7が配置されている。生体管腔内におけるカテーテル1の進入性を高める観点から、カテーテル1の先端部に「第2部位」に相当する部位が配置されている方が好ましい。
【0036】
また、第1実施形態のカテーテル1では、先端チップ40に埋設されている「補強部材」が第1コイル30であることから、カテーテル1の先端部(先端チップ40)における柔軟性およびトルク伝達性を向上することができる。また、カテーテル1の回転操作により先端チップ40の外表面が周方向に変形して潰れるのを抑制できることから、カテーテル1が生体管腔の奥側に押し進められる際に、カテーテル1の先端部(先端チップ40)の摺動抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
【0037】
また、第1実施形態のカテーテル1では、第2部位(部位P3,部位P5,部位P7)のピッチを第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)のピッチよりも小さくすることによって、第2部位(部位P3,部位P5,部位P7)の剛性を第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)の剛性よりも高くしている。このように第1コイル30のピッチが調整されているため、生体管腔内におけるカテーテル1の進入性を高めつつ、生体管腔内の湾曲形状部分に沿ったカテーテル1の先端部(先端チップ40)の変形挙動を向上することができる。
【0038】
また、第1実施形態のカテーテル1では、第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)よりも基端側には第3部位(部位P1,部位P3,部位P5)が位置し、第1部位(部位P2,部位P4,部位P6)よりも先端側には、第3部位(部位P1,部位P3,部位P5)よりも剛性が低い第2部位(部位P3,部位P5,部位P7)が位置している。すなわち、第1コイル30のうち部位P1,部位P3,部位P5,部位P7(第2部位もしくは第3部位の少なくとも一方に相当する部位)は、基端側から先端側に向けて剛性が低くなるように並べられている。したがって、第1コイル30のうち基端側の剛性は比較的高くなっていることからカテーテル1の操作性を向上できるとともに、第1コイル30のうち先端側の剛性は比較的低くなっていることからカテーテル1の先端側の柔軟性を確保することができる。
【0039】
また、第1実施形態のカテーテル1では、第1コイル30と第2コイル60とは接合されているため、カテーテル1の回転操作時に第1コイル30の回転と第2コイル60の回転とが同期することから、第1コイル30を埋設している先端チップ40と第2コイル60を埋設している中空シャフト50とが、カテーテル1の回転操作によって離断されるのを抑制することができる。
【0040】
また、第1実施形態のカテーテル1では、第1コイル30の基端部である部位P1の剛性は、部位P1にとって第1部位に相当する部位(部位P2,部位P4,部位P6)の剛性よりも高いことから、第2コイル60の基端側から先端へと伝達されてきたトルクを、第1コイル30の基端から先端側へと効率よく伝達することができる。
【0041】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態のカテーテル1Aの縦断面を例示した説明図である。
図4は、第2実施形態のカテーテル1Aの外観を示した説明図である。なお、
図4においても、先端チップ40および中空シャフト50に覆われている第1コイル30aおよび第2コイル60は、カテーテル1Aの外側からは本来見えないため破線で表している。第2実施形態のカテーテル1Aは、第1実施形態のカテーテル1の第1コイル30とは異なる第1コイル30aを備えている点を除いて、第1実施形態のカテーテル1と同じである。
【0042】
第1コイル30aは、基端側から先端側に向かって順に、部位P1a,部位P2a,部位P3a,部位P4a,部位P5a,部位P6a,部位P7aを含む。部位P2a,部位P4a,部位P6aは、第1コイル30aのうち素線が間引かれた位置を含む部位である。第1コイル30aを構成している素線の径は、第1実施形態の第1コイル30とは異なり、
図3,4に示すように、基端側から先端側に向かって減少しておらず、基端側から先端側に向かって略一定である。なお、第1実施形態と同様に、第1コイル30aの先端部には、YAG溶接により素線同士が溶接された溶接部35aが形成されている。
【0043】
部位P2aは、部位P1aと部位P3aとの間に位置し、素線が間引かれた位置を含む部位である。部位P3aは、部位P2aよりも先端側に位置し、素線が間引かれていない部位である。そのため、部位P3aのピッチは、部位P2aのピッチよりも小さいことから、部位P3aは、部位P2よりも剛性が高い。部位P1aは、部位P2aよりも基端側に位置し、部位P3aと同様、素線が間引かれていない部位である。第2実施形態のカテーテル1Aにおいては、第1コイル30aを構成している素線の径は、基端側から先端側に向かって略一定であることから、部位P1aの剛性は、部位P3aの剛性と略同じである。したがって、部位P1a~P3aの中では、部位P1a,部位P3aの剛性が略同じであり、部位P2aの剛性が最も低い。同様に、部位P3a~P5aの中では、部位P3a,部位P5aの剛性が略同じであり、部位P4aの剛性が最も低く、部位P5a~P7aの中では、部位P5a,部位P7aの剛性が略同じであり、部位P6aの剛性が最も低い。
【0044】
部位P1a~P7a間における剛性の関係について、さらに説明する。第1コイル30aを構成している素線の径は基端側から先端側に向かって略一定であることから、第1コイル30aのうち素線が間引かれていない部位である部位P1a,部位P3a,部位P5a,部位P7aの剛性は略同じである。また、第1コイル30のうち素線が間引かれた位置を含む部位である部位P2a,部位P4a,部位P6aの剛性も略同じである。また、部位P1a>部位P2aであることから、部位P1a~P7aは、比較的剛性が高い部位(部位P1a,部位P3a,部位P5a,部位P7a)と比較的剛性が低い部位(部位P2a,部位P4a,部位P6a)とが交互に並べられている。なお、第2実施形態においても、第1コイル30aの基端部(部位P1a)の剛性は、部位P2a,部位P4a,部位P6aの剛性よりも高くなっている。
【0045】
第1コイル30aにおいては、部位P1a~P3a間における剛性の関係は、部位P2a<部位P3a=部位P1aで表される。ここで、部位P2aを「第1部位」とみなしたとき、部位P3aが、「第1部位」よりも先端側に位置し、「第1部位」よりも剛性が高い「第2部位」に相当する。さらに、部位P3aの剛性と、部位P5aの剛性および部位P7aの剛性は略同じであることから、部位P2aにとって、部位P5aおよびおよび部位P7aも「第2部位」に相当する。
【0046】
部位P3a~P5a間における剛性の関係は、部位P4a<部位P5a=部位P3aで表される。ここで、部位P4aを「第1部位」とみなしたとき、部位P4aにとって、部位P5aは「第2部位」に相当する。さらに、部位P5aの剛性と部位P7aの剛性とは略同じであることから、部位P4aにとって、部位P7aも「第2部位」に相当する。
【0047】
部位P5a~P7a間における剛性の関係は、部位P6a<部位P7a=部位P5aで表される。ここで、部位P6aを「第1部位」とみなしたとき、部位P6aにとって、部位P7aは「第2部位」に相当する。
【0048】
以上のような第2実施形態のカテーテル1Aによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態のカテーテル1Aでは、第1コイル30aを構成している素線の径は基端側から先端側に向かって略一定であることから、生体管腔内におけるカテーテル1Aの進入性が一層向上されている。
【0049】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態のカテーテル1Bの縦断面を例示した説明図である。
図6は、第3実施形態のカテーテル1Bの外観を示した説明図である。なお、
図6においても、先端チップ40および中空シャフト50に覆われている第1コイル30bおよび第2コイル60は、カテーテル1Bの外側からは本来見えないため破線で表している。第3実施形態のカテーテル1Bは、第2実施形態のカテーテル1Aの第1コイル30aとは異なる第1コイル30bを備えている点を除いて、第2実施形態のカテーテル1Aと同じである。
【0050】
第1コイル30bは、第2実施形態の第1コイル30aの部位P2a,部位P4a,部位P6aの代わりに、部位P2b,部位P4b,部位P6bを含む点を除いて、第1コイル30aと同じである。換言すれば、第1コイル30bは、基端側から先端側に向かって順に、部位P1a,部位P2b,部位P3a,部位P4b,部位P5a,部位P6b,部位P7aを含む。部位P2b,部位P4b,部位P6bは、部位P1a,部位P3a,部位P5a,部位P7aを構成している素線よりも弾性率が低い素線で構成されている。すなわち、第1コイル30bは、弾性率の異なる2種類の素線を複数用い、この2種類の素線を多条に巻回して形成した多条コイルである。第1コイル30bを構成している2種類の素線の径は略同一である。また、第1コイル30bを構成している2種類の素線の径は、第2実施形態の第1コイル30a(
図3,4参照)と同様、
図5,6に示すように、基端側から先端側に向かって略一定である。
【0051】
部位P2bを構成している素線は、部位P1a,部位P3aを構成している素線よりも弾性率が低いことから、部位P2bは、部位P1a,部位P3aよりも剛性が低い。また、第3実施形態のカテーテル1Bにおいては、第1コイル30bを構成している2種類の素線の径は、基端側から先端側に向かって略一定であることから、部位P1aの剛性は、部位P3aの剛性と略同じである。したがって、部位P1a,部位P2b,部位P3aの中では、部位P1a,部位P3aの剛性が略同じであり、部位P2bの剛性が最も低い。同様に、部位P3a,部位P4b,部位P5aの中では、部位P3a,部位P5aの剛性が略同じであり、部位P4bの剛性が最も低く、部位P5a,部位P6b,部位P7aの中では、部位P5a,部位P7aの剛性が略同じであり、部位P6bの剛性が最も低い。
【0052】
第1コイル30bに含まれる部位間の剛性の関係について、さらに説明する。第1コイル30bを構成している2種類の素線の径は基端側から先端側に向かっていずれも略一定であることから、部位P1a,部位P3a,部位P5a,部位P7aの剛性は略同じであり、部位P2b,部位P4b,部位P6bの剛性も略同じである。また、部位P1a>部位P2bであることから、第1コイル30bにおいても、第2実施形態の第1コイル30aと同様に、比較的剛性が高い部位(部位P1a,部位P3a,部位P5a,部位P7a)と比較的剛性が低い部位(部位P2b,部位P4b,部位P6b)とが交互に並べられている。なお、第3実施形態においても、第1コイル30aの基端部(部位P1a)の剛性は、部位P2b,部位P4b,部位P6bの剛性よりも高くなっている。以上のような第3実施形態のカテーテル1Bによっても、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0053】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態のカテーテル1Cの縦断面を例示した説明図である。
図8は、第4実施形態のカテーテル1Cの外観を示した説明図である。なお、
図8においても、先端チップ40および中空シャフト50に覆われている第1コイル30cおよび第2コイル60は、カテーテル1Cの外側からは本来見えないため破線で表している。第4実施形態のカテーテル1Cは、第1実施形態のカテーテル1の第1コイル30とは異なる第1コイル30cを備えている点を除いて、第1実施形態のカテーテル1と同じである。
【0054】
第1実施形態(
図1参照)では、第1コイル30の基端部は、第2コイル60の先端部の内側に配置されて第2コイル60の先端部と溶接されていたが、第3実施形態(
図7参照)では、第1コイル30cの基端部は第2コイル60の先端部の内側には配置されておらず、第1コイル30cの基端が第2コイル60の先端と向き合うように配置されつつ、第1コイル30cの基端部と第2コイル60の先端部とが溶接されている。すなわち、第1コイル30cは、第1実施形態の第1コイル30と比べて、その基端(基端部)の配置が異なる点を除いて、第1実施形態の第1コイル30と同じである。第2コイル60の先端と向き合うように第1コイル30cの基端が配置された状態において、第1コイル30cの基端部と第2コイル60の先端部とは、YAG溶接により溶接部65cを形成することによって接合されている。
【0055】
以上のような第4実施形態のカテーテル1Cによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第4実施形態のカテーテル1Cでは、第2コイル60の先端と向き合うように第1コイル30cの基端が配置されていることによって、溶接部65cが過剰に硬化するのを抑制することができる。
【0056】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0057】
[変形例1]
上記第1~4実施形態では、カテーテル1,1A~1Cの構成を例示した。しかし、カテーテルの構成は種々の変更が可能である。例えば、第1~4実施形態のカテーテル1,1A~1Cでは、第1コイル30(30a~30c)全体が先端チップ40に埋設されていると共に、第2コイル60の全体が中空シャフト50に埋設されていたが、これに限られない。例えば、第1コイル30(30a~30c)の一部が先端チップ40に埋設されていてもよいし、第2コイル60の一部が中空シャフト50に埋設されていてもよい。具体的には、第1コイル30(30a~30c)のうち基端部は中空シャフト50に埋設されつつ基端部よりも先端側の部分は先端チップ40に埋設されていてもよいし、第2コイル60のうち先端部は先端チップ40に埋設されつつ先端部よりも基端側の部分は中空シャフト50に埋設されていてもよい。また、第1コイル30(30a~30c)のうち先端部が、先端チップ40から露出していてもよい。
【0058】
[変形例2]
第1~4実施形態のカテーテル1,1A~1Cでは、2本のコイルとして、第1コイル30(30a~30c)および第2コイル60を備えていたが、これに限られない。例えば、カテーテルは、第1コイル30(30a~30c)および第2コイル60の代わりに、先端チップ40および中空シャフト50に埋設された1本のコイルを備えていてもよい。このコイルのうち先端チップ40に埋設された部分には、第1コイル30(30a~30c)と同様に、第1部位に相当する部位および第2部位に相当する部位(さらには第3部位に相当する部位)が含まれているものとする。また、カテーテルは、第2コイル60を備えておらず(中空シャフト50に第2コイル60が埋設されておらず)、第1コイル30(30a~30c)のみを備えていてもよい。また、例えば、第2コイル60は、第1コイル30の基端部にYAG溶接により接合されている構成を例示した。しかし、第2コイル60は、YAG溶接とは異なる接合方法によって、第1コイル30(30a~30c)の基端部(基端及びその近傍)に接合されていてもよい。
【0059】
[変形例3]
第1~4実施形態のカテーテル1,1A~1Cでは、「補強部材」は第1コイル30(30a~30c)であったが、これに限らず、第1部位に相当する部位および第2部位に相当する部位(さらには第3部位に相当する部位)を含ませることが可能である限り、任意の管状部材であってもよい。例えば、網状(メッシュ状)に編み込まれた編組体を巻くことで形成された管状部材であってもよい。そのような場合、編組体を構成する線材間のピッチを予め調整しておくことによって、編組体を巻いて形成された管状部材に、第1部位に相当する部位および第2部位に相当する部位(さらには第3部位に相当する部位)を含ませることが可能である。その他の例としては、「補強部材」は蛇腹状の管状部材であってもよい。
【0060】
[変形例4]
第1,2,4実施形態のカテーテル1,1A,1Cでは、第1コイル30(30a,30c)のうち第1部位に相当する部位において一部の素線が間引かれていることによって、第1部位に相当する部位のピッチは、第2部位に相当する部位のピッチよりも大きくなっていたが、これに限られない。例えば、第1コイルのうち第1部位に相当する部位のみを軸線O方向に沿って伸ばすことによって、第1部位に相当する部位のピッチは、第2部位に相当する部位のピッチよりも大きくなっていてもよい。また、このようにして、ピッチを調整する場合には、第1コイルは、多条コイルや多条撚線コイルに限られず、単条コイルや単条撚線コイルであってもよい。
【0061】
[変形例5]
第1~4実施形態のカテーテル1,1A~1Cにおいて、第1コイル30(30a~30c)には、例えば、第1部位に相当する部位が3つ含まれていたように(第1実施形態では、部位P2,部位P4,部位P6の3つの部位)、複数の第1部位に相当する部位および複数の第2部位に相当する部位(さらには複数の第3部位に相当する部位)が含まれていたが、これに限られない。例えば、第1コイルには、1つの第1部位に相当する部位および1つの第2部位に相当する部位(さらには1つの第3部位に相当する部位)のみが含まれていてもよい。
【0062】
[変形例6]
第1~4実施形態のカテーテル1,1A~1Cの構成、及び上記変形例1~5の各構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態のカテーテル1Aでは、第4実施形態で説明したように、第1コイル30aの基端は、第2コイル60の先端と向き合うように配置されて第2コイル60の先端と溶接されていてもよい。また、第3実施形態のカテーテル1Bでは、第1実施形態で説明したように、第1コイル30bを構成している素線の径が基端側から先端側に向かって減少していてもよく、また、第4実施形態で説明したように、第1コイル30bの基端は、第2コイル60の先端と向き合うように配置されて第2コイル60の先端と溶接されていてもよい。
【0063】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1A~1C…カテーテル
10…インナーシャフト
20…補強体
30,30a~30c…第1コイル
35,35a…溶接部
40…先端チップ
40f…先端側部分
40r…基端側部分
50…中空シャフト
52…内層
54…外層
60…第2コイル
65,65c…溶接部