(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053599
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】マグネットスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/58 20140101AFI20240409BHJP
【FI】
G03B21/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159918
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】397003530
【氏名又は名称】株式会社近畿エデュケーションセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】川村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】東 誠
【テーマコード(参考)】
2H021
【Fターム(参考)】
2H021AA03
2H021AA04
(57)【要約】
【課題】黒板などの被磁着体の外周に設けられている枠体に干渉することなく、従来よりも大きいサイズのスクリーン本体を被磁着体に展開することができ、被磁着体の磁着可能領域を最大限に有効活用できるマグネットスクリーン装置を提供する。
【解決手段】ケース1と、スクリーン本体3と、ケース1内で回動自在に支持され、スクリーン本体3を巻き取る巻取ロール2とを備え、ケース1は、磁力によって黒板MBに当接する当接面を有する底壁部11と、巻取ロール3を支持する、巻取ロール3の回動軸方向両側に位置する一対の側壁部12a,12bとを少なくとも有し、一対の側壁部12a,12bの、回動軸方向最外側面間の距離Ldが、当接面の、回動軸方向の最も外側端間の距離Lmよりも20mm以上長く、一対の側壁部12a,12bの、回動軸方向最外側面の黒板MB側の外端部と、当接面との、当接面に対して垂直方向の離間距離dが5mm以上である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被磁着体に磁着可能なマグネットスクリーン装置において、
ケースと、
スクリーン本体と、
前記ケース内で回動自在に支持され、前記スクリーン本体を巻き取る巻取ロールと、
を備え、
前記ケースが、
磁力によって被磁着体に当接する当接面を有する底壁部と、
前記巻取ロールを支持する、前記巻取ロールの回動軸方向両側に位置する一対の側壁部と
を少なくとも有し、
前記一対の側壁部の、前記回動軸方向最外側面間の距離が、前記当接面の、前記回動軸方向の最も外側端間の距離よりも20mm以上長く、
前記一対の側壁部の、前記回動軸方向最外側面の被磁着体側の外端部と、前記当接面との、前記当接面に対して垂直方向の離間距離が5mm以上である
ことを特徴とするマグネットスクリーン装置。
【請求項2】
前記一対の側壁部が、
前記巻取ロールを回動自在に支持する第1側壁部と、
前記底壁部の前記回動軸方向両端部に接続する第2側壁部と
を有し、
第1側壁部間の前記回動軸方向の長さが、第2側壁部間の前記回動軸方向の長さよりも20mm以上長い
請求項1記載のマグネットスクリーン装置。
【請求項3】
第1側壁部の被磁着体側の外端部と、前記当接面との、前記当接面に対して垂直方向の離間距離が5mm以上である
請求項2記載のマグネットスクリーン装置。
【請求項4】
前記底壁部が、底壁部材と、前記底壁部材に取り付けられたマグネット部材とを有する請求項1~3のいずれかに記載のマグネットスクリーン装置。
【請求項5】
前記マグネット部材が、前記底壁部材の前記回動軸方向に所定間隔で複数個取り付けられている請求項4記載のマグネットスクリーン装置。
【請求項6】
前記マグネット部材の、前記底壁部材の表面から被磁着体方向への突出量が5mm以上である請求項4記載のマグネットスクリーン装置。
【請求項7】
前記ケースが、前記巻取ロールの半径方向外方を覆い、前記一対の側壁部と前記底壁部とに接続する周壁部をさらに備える請求項1~3のいずれかに記載のマグネットスクリーン装置。
【請求項8】
前記ケースが、前記スクリーン本体の前記ケースへの出入を可能とする、前記回動軸方向の長さが前記スクリーン本体の前記回動軸方向の長さ以上である開口部を有する請求項1~3のいずれかに記載のマグネットスクリーン装置。
【請求項9】
前記開口部から少なくとも一部が外方に突出する、前記回動軸方向に延在する棒状の押さえ部材をさらに備える請求項8記載のマグネットスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマグネットスクリーン装置に関し、より詳細にはホワイトボードや黒板などの被磁着体に磁着可能なマグネットスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
必要なときにスクリーン本体をケースから展開してホワイトボードや黒板などの被磁着体に磁着し、スクリーン本体に画像を映写可能とするマグネットスクリーン装置がこれまでから種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、黒板の上下端部にガイドレールを設けてスクリーン収納枠をガイドレールに沿って移動させながらスクリーン本体を黒板に展開し磁着させる据付式のマグネットスクリーン装置が提案されている。
【0004】
このような据付式のマグネットスクリーン装置では、スクリーン本体を黒板にずれることなく所定位置に確実に展開することができるが、マグネットスクリーン装置は黒板から基本的に分離することはできないため、スクリーン本体を他の黒板に展開して使用することはできない。
【0005】
そこで、所望の黒板に対して展開磁着可能な可搬式のマグネットスクリーン装置も提案されている(例えば特許文献2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-217642号公報
【特許文献2】特開2016-167025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6に示すように、可搬式のマグネットスクリーン装置S0の場合、通常、スクリーン本体3が黒板MBに展開された後、ケース1は、ケース1の底壁部11に設けられた3つのマグネット部材11bで黒板MBに磁着固定される。マグネット部材11bは厚み数mmのシート形状であって、底壁部11の下面に形成された上方に凹んだ凹溝内に取り付けられている。マグネット部材11bの下面と底壁部11の下面とはほぼ面一とされており、マグネット部材11bの下面と底壁部11の下面が黒板MBとの当接面となる。黒板MBに磁着するケース1の当接面の長手方向長さLmは、通常、マグネットスクリーン装置S0の一対の側壁部16aと側壁部16bとの長手方向長さLdと等しく設定されている。
【0008】
被磁着体である黒板MBは、通常、外周縁に枠体Fを有している。枠体Fは黒板本体MBから高さ方向上方に突出している。このため、マグネットスクリーン装置S0の長手方向の長さLdは、黒板MBの枠体Fに当たらないように、枠体Fの内側面間の長さLf以下に設定されていた。マグネットスクリーン装置S0内には、スクリーン本体3を巻取ロール2から巻き取り及び巻き出すための装置部が必要であるため、スクリーン本体3の長手方向長さLsはマグネットスクリーン装置S0の長手方向の長さLdよりも必然的に短くなる。その結果、スクリーン本体3の長さLsは、黒板MBの長さLfよりもかなり短いものとなっていた。
【0009】
具体的には、黒板MBの有効面長さは、一般に、縦長さ(長さLf)が1150mm、横長さが3600mmであるところ、マグネットスクリーン装置S0が黒板MBの枠体Fと干渉しないようにするため、現在市販されているマグネットスクリーン装置のスクリーン本体3の長手方向長さLsは、本発明者らが知る限りにおいて、1077mmが最大である。
【0010】
これまでから、少しでも大きく画像を映写したいという市場の要求があった。近年、この要求は益々高いものとなってきている。
【0011】
そこで、本発明の目的は、黒板などの被磁着体の外周に設けられている枠体に干渉することなく、被磁着体の磁着可能領域を最大限に有効活用して、長手方向長さが従来よりも長いスクリーン本体を被磁着体に展開可能なマグネットスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成する本発明の実施形態に係るマグネットスクリーン装置は、被磁着体に磁着可能なマグネットスクリーン装置であって、ケースと、スクリーン本体と、前記ケース内で回動自在に支持され、前記スクリーン本体を巻き取る巻取ロールとを備え、前記ケースが、磁力によって被磁着体に当接する当接面を有する底壁部、前記巻取ロールを支持する、前記巻取ロールの回動軸方向両側に位置する一対の側壁部とを少なくとも有し、前記一対の側壁部の、前記回動軸方向最外側面間の距離が、前記当接面の、前記回動軸方向の最も外側端間の距離よりも20mm以上長く、前記一対の側壁部の、前記回動軸方向最外側面の被磁着体側の外端部と、前記当接面との、前記当接面に対して垂直方向の離間距離が5mm以上であることを特徴とする。
【0013】
また前記実施形態のマグネットスクリーン装置において、前記一対の側壁部が、前記巻取ロールを回動自在に支持する第1側壁部と、前記底壁部の前記回動軸方向両端部に接続する第2側壁部とを有し、第1側壁部間の前記回動軸方向の長さが、第2側壁部間の前記回動軸方向の長さよりも20mm以上長い構成とするのが好ましい。
ここで、第1側壁部の被磁着体側の外端部と、前記当接面との、前記当接面に対して垂直方向の離間距離が5mm以上である構成とするのが好ましい。
【0014】
また前記実施形態のマグネットスクリーン装置において、前記底壁部が、底壁部材と、前記底壁部材に取り付けられたマグネット部材とを有する構成としてもよい。
【0015】
ここで、前記マグネット部材が、前記底壁部材の前記回動軸方向に所定間隔で複数個取り付けられている構成としてもよい。
【0016】
また前記実施形態のマグネットスクリーン装置において、前記マグネット部材の、前記底壁部材の表面から被磁着体方向への突出量が5mm以上である構成としてもよい。
【0017】
また前記実施形態のマグネットスクリーン装置において、前記ケースが、前記巻取ロールの半径方向外方を覆い、前記一対の側壁部と前記底壁部とに接続する周壁部をさらに備える構成としてもよい。
【0018】
また前記実施形態のマグネットスクリーン装置において、前記ケースが、前記スクリーン本体の前記ケースへの出入を可能とする、前記回動軸方向の長さが前記スクリーン本体の前記回動軸方向の長さ以上である開口部を有する構成としてもよい。
【0019】
また前記実施形態のマグネットスクリーン装置において、前記開口部から少なくとも一部が外方に突出する、前記回動軸方向に延在する棒状の押さえ部材をさらに備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のマグネットスクリーン装置によれば、黒板などの被磁着体の外周に設けられている枠体に干渉することなく、従来よりも大きいサイズのスクリーン本体を被磁着体に展開することができ、被磁着体の磁着可能領域を最大限に有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るマグネットスクリーン装置S1の全体斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るマグネットスクリーン装置S1の寸法関係を示す説明図である。
【
図5】第2実施形態に係るマグネットスクリーン装置S2の寸法関係を示す説明図である。
【
図6】従来のマグネットスクリーン装置S0を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るマグネットスクリーン装置を図に基づきさらに詳しく説明するが本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
また、本明細書における「長手方向」、「短手方向」、「高さ方向」は、
図1に示す「長手方向」、「短手方向」、「高さ方向」をいうものとし、「長手方向」は「回動軸方向」を意味ものとする。また本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るマグネットスクリーン装置S1の全体斜視図であり、
図2は
図1のA-A線断面図である。
図3はケース1の組立斜視図である。これらの図に示すマグネットスクリーン装置S1は、長手方向に長い筒状のケース1と、ケース1内に回動自在に取り付けられた巻取ロール2と、引き出し方向後端部が巻取ロール2に接合されて、巻取ロール2に巻き取られるスクリーン本体3と、スクリーン本体3の引き出し方向先端部に接合された固定用バー4と、スクリーン本体3を黒板MBに展開する際に、スクリーン本体3を黒板MBに押さえ込む押さえロール(押さえ部材)5とを有する。
【0024】
(ケース)
図3に示すように、ケース1は、一対の側壁部12a,12bと、底壁部11と、周壁部13とを有する。以下、各部について説明する。なお、
図3の左下に丸枠に側壁部12bの内側面の斜視図を示す。
【0025】
(一対の側壁部)
一対の側壁部12a,12bは、巻取ロール2を支持する第1ボス部122a,122bの形状を除き左右対称の形状を有する。すなわち、一対の側壁部12a,12bは、巻取ロール5を支持する第1側壁部61a,61bと、底壁部11の長手方向両端部に接続する第2側壁部62a,62bと、第1側壁部61a,61bの下端と第2側壁部62a,62bの上端とを接続する長手方向に平行な接続部63a,63bとを有し、第2側壁部62a,62bは第1側壁部61a,61bよりも長手方向内方に位置している。第1側壁部61a,61bと第2側壁部62a,62b、接続部63a,63bとは一体に形成されている。
【0026】
側壁部12aの第1側壁部61aは、内側面に、巻取ロール2を支持するための四角筒形状の第1ボス122aを有しているのに対して、側壁部12bの第1側壁部61bは、内側面に、巻取ロール2を支持するための円筒形状の第1ボス122bを有している。これは、巻取ロール2に設けられた一方の軸部材を側壁部12aの第1ボス部122aで回転不能に支持し、巻取ロール2に設けられた他方の軸部材を側壁部12bの第1ボス部122bで回動可能に支持するためである。
【0027】
第1側壁部61a,61bの第1ボス122a,122bの外周には、第1ボス122a,122bと同心円状のリブおよび第1ボス122a,122bから放射状の延出したリブが設けられている。また、第1側壁部61a,61bの第1ボス122a,122bの上方および後方には、側壁部12a,12bと周壁部13とを接続したときに、周壁部13の内周面と接触して位置決めするための突出部125a,125bおよび突出部126a,126bが第1側壁部61a,61bの内側面から内方に垂直に形成されている。突出部126a,126bの突出方向に垂直な断面形状は四角形であり、突出部125a,125bの断面形状は周壁部13の円弧形状の上壁部に対応する曲率の円弧形状とされている。
【0028】
そしてまた、第1側壁部61a,61bのそれぞれにおける周壁部13の溝部119に対応する位置には、側壁部12a,12bと周壁部13とを固定するためのネジ部材18のネジ部が挿通する貫通孔128aが形成されている。
【0029】
一方、第2側壁部62a,62bの前方端部の内側面には、押さえロール5を支持するための円筒形状の第2ボス129a,129bが形成されている。この第2ボス129a,129bによって押さえロール5の長手方向両端部の支持軸(不図示)が回動自在に支持される。また、第2側壁部62a,62bの各々における下部には、底壁部11の溝部115a,115bに対応する位置に、第2側壁部62a,62bと底壁部11とを固定するためのネジ部材18のネジ部が挿通する貫通孔128a,128bが短手方向に離隔して2つ形成されている。
【0030】
(底壁部)
底壁部11は、長手方向に延在する略板状の底壁部材11aと、底壁部材11aの下面に取り付けられた3つのマグネット部材11b1~11b3(以下、「マグネット部材11b」と総称することがある。)とを有する。底壁部材11aは、短手方向両端部に、上方に突出し長手方向に延在する一対の第1突条113a,113bと、下方に突出し長手方向に延在する一対の第2突条114a,114bとを有する。一対の第1突条113a,113bの各々の先端には断面円弧形状の溝部115a,115bが長手方向に連続して形成されている。後述するように、この溝部115a,115bの長手方向両端部には、一対の側壁部12a,12bと底壁部材11aとがネジ部材18によって固定される際にネジ部材18のネジ部が螺入する。底壁部材11aの材質はアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料など従来公知の材料を用いることができる。
【0031】
一対の第2突条114aと第2突条114bとの間には、第2突条114a,114bの高さと略同一の高さを有するシート状の3つのマグネット部材11b1~11b3が取り付けられる。マグネット部材11bの長手方向の長さ及び取り付け位置は、底壁部材11aの長手方向両端部及び中央部とされている。勿論、マグネット部材11bの長手方向の長さ及び底壁部材11aへの取り付け位置は、マグネットスクリーン装置S1が被磁着体に安定して磁着できる限りにおいて、これに限定されるものではない。例えばマグネット部材11bの長手方向長さは底壁部材11aの長手方向の略全体であっても構わない。またマグネット部材11bの底壁部材11aへの取り付け位置は、底壁部材11aの長手方向の両端部のみ、あるいは中央部のみなどいずれの位置であってもよい。
【0032】
マグネット部材11bの厚みは、第2突条114a,114bの高さと略同一に設定されている。この場合、マグネット部材11bの下面と底壁部11の下面とはほぼ面一となり、マグネット部材11bおよび底壁部11の下面が黒板MBとの当接面となる。マグネット部材11bの厚みおよび第2突条114a,114bの高さは2mm~6mmの範囲が好ましい。
【0033】
(周壁部)
図3に示すように、周壁部13は、長手方向に垂直な断面形状が略円弧形状で、長手方向に延在する。周壁部13の長手方向の長さは底壁部11よりも長く設定されている。具体的には、周壁部13の長手方向の長さは、一対の側壁部12a,12bにおける接続部63a,63bの各々の長手方向長さの和だけ底壁部11よりも長く設定されている。
【0034】
周壁部13は、前方先端部に、内側に向かって突出し長手方向に延在する第3突条117を有する。第3突条117の突出方向先端には断面円弧形状の溝部119が長手方向に連続して形成されている。この溝部119の長手方向両端部には、一対の側壁部12a,12bと周壁部13とがネジ部材18によって固定される際にネジ部材18のネジ部が螺入する。
【0035】
また、周壁部13の断面略円弧形状の頂部よりも後方には、断面四角形状の2本の線状リブ110a,110bが長手方向に連続して形成されている。これらの線状リブ110a,110bによって周壁部13の長手方向の剛性が高められる。周壁部13の材質はアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料など従来公知の材料を用いることができる。また、周壁部13の長手方向中央部には把持部19(
図1および
図2に図示)が設けられている。
【0036】
(巻取ロール)
巻取ロール2は、長手方向一方端側に設けられた四角柱形状の軸部材と長手方向他方端に設けられた円柱形状の軸部材とが、側壁部12a,12bの第1ボス122a,122bにそれぞれ取り付けられることによってケース1に回動可能に軸支されている。
【0037】
(押さえロール)
図1及び
図2に示すように、押さえロール5は円筒形状を有し、長手方向の長さはスクリーン本体3の長さ以上である。押さえロール5の一部はケース1の開口部14から外に突出して露出している。押さえロール5の長手方向両端部には、押さえロール5の軸中心を通り外方に突出する支持軸(不図示)が設けられている。そして、支持軸が側壁部12a,12bの第2ボス129a,129b内に係入することによって、押さえロール5は軸中心が巻取ロール2の軸中心と平行で且つケース1に回動自在に取り付けられる。押さえロール5の直径は小さくする方がマグネットスクリーン装置S1の小型・軽量化が図れるが、極度に小さくすると長手方向において押さえロール5が撓むおそれがある。押さえロール5の好適な直径は10mm以上20mm以下の範囲である。また、押さえロール5の断面形状は円形でなくてもよく、また回動不能に取り付けられていてもよいが、ケース1からスクリーン本体3を引き出し・巻き取る際の押さえロール5とスクリーン本体3との摺擦を低減する観点からは、押さえロール5は断面形状が円形で且つ回動可能であるのが望ましい。
【0038】
(スクリーン本体)
スクリーン本体3は正面視において四角形状であり、使用時における上面側にスクリーン層31を有し、使用時における下面側にマグネット層32を有する(
図2の拡大図を参照)。もちろん、スクリーン層31及びマグネット層32の外にコート層など他の層を有していても構わない。スクリーン本体3の引き出し方向後端部は、巻取ロール2に接合されている。具体的には、スクリーン本体3の引き出し方向後端部におけるマグネット層32側の面(下面側)が巻取ロール2に接合されている。これにより、スクリーン本体3はマグネット層32側を内側として巻取ロール2にロール状に巻き取られて、スクリーン本体3をケース1から引き出して展開した際の長手方向端部の捲れ上がりが抑制される。
【0039】
(固定用バー)
図1及び
図2に示すように、固定用バー4はスクリーン本体3の引き出し方向先端部に接合される。固定用バー4の長手方向に対して垂直な断面外形は略三角形状で、長手方向の長さはスクリーン本体3よりも長く、ケース1と略同一である。そして長手方向略中央部に把持部42が設けられている。また
図2に示すように、固定用バー4の被着磁体と当接する下面の長手方向の両端部及び中央部にはマグネット部材41が取り付けられている。これらのマグネット部材41によって固定用バー4は黒板などの被磁着体に固定することができる。また、スクリーン本体3がケース1に巻き取られる際には、固定用バー4は開口部14からケース1内に進入することはできず、固定用バー4がケース1の側壁部12a,12bあるいは押さえロール5に当接することでスクリーン本体3の巻き取りが完了する。
【0040】
巻取ロール2の軸中心と押さえロール5の軸中心とのスクリーン本体3の短手方向の距離は30mm~45mmの範囲が好ましい。当該距離が前記範囲であることにより、装置の大型化を抑えながら押さえロール5によるスクリーン本体3の屈曲劣化や摩耗を抑えることができる。また、ケース1を被磁着体に磁着したときの被磁着体から押さえロール5の下端までの距離は3mm~5mmの範囲が好ましい。当該距離が前記範囲であることにより、スクリーン本体3をケース1から引き出して被磁着体に磁着させたときに、巻取ロール2の近傍位置までスクリーン本体3を被磁着体に磁着させることできると共にスクリーン本体3のケース1への円滑な巻き取り及び引き出しが維持される。
【0041】
(装置の組立)
周壁部13の長手方向両端部の内周面が、一対の側壁部12a,12bの突出部125a,125b、突出部126a,126bに接触するように、一対の側壁部12a,12bに対して位置付けされる。これにより底壁部11aの溝部119の長手方向両端部が、第1側壁部61a,61bの各々の貫通孔128a,128bと対向するように位置される。また、底壁部11の溝部115a,115bの長手方向両端部が、第2側壁部62a,62bの各々の貫通孔128a,128bと対向するように位置される。
そして、ネジ部材18が側壁部12a,12bの外側から側壁部12a,12bの貫通孔128a,128bを通って溝部115a,115b,119の端部開口に螺入されることによってケース1が組み立てられる。
図1及び
図3に示されているように、組み立てられたケース1における底壁部11と周壁部13の先端側の端部間は高さ方向に離間し、スクリーン本体3の引き出し及び巻き取りのための開口部14が形成される。
【0042】
なお、ケース1の組立の際には同時に、一対の側壁部12a,12bの第1ボス122a,122bに巻取ロール2の長手方向両端部の軸部が挿入して支持され、第2ボス部129a,129bに押さえロール5の長手方向両端部の支持軸が挿入して軸支される。
【0043】
図4に示すように、マグネットスクリーン装置S1では、一対の側壁部12a,12bの第1側壁部61a,61b間の長手方向間の長さLdは、第2側壁部間の長手方向の長さLmよりも20mm以上長く設定されている。ケース1が、巻取ロール2を回動可能に支持するための構造(第1側壁部61a,61bの第1ボス122a,122bなど)を備えるためには、ケース1内の長手方向両側の各々に少なくとも長手方向長さが10mm以上の空間が必要とされるからである。
これにより、黒板MBの長手方向の磁着可能長さLfに合わせて、マグネットスクリーン装置S1のスクリーン本体3の長手方向長さLsは最大に設定することが可能となる。
【0044】
また、第1側壁部61a,61bの下端部と底壁部11の下面(当接面)との高さ方向の距離dは5mm以上に設定されている。黒板MBの枠体Fの黒板MBの表面からの突出量Hfは、少なくとも5mm程度あり、黒板MBの枠体Fに干渉することなくマグネットスクリーン装置S1を黒板MBに磁着するには、第1側壁部61a,61bの下端部と底壁部11の下面(当接面)との高さ方向の距離dは、枠体Fの黒板MBの表面からの突出量Hf以上とする必要とされるからである。
【0045】
このような構成のマグネットスクリーン装置S1は、黒板MBの枠体Fに干渉することなく黒板MBに磁着できるとともに、黒板MBの磁着可能領域を最大限に有効活用でき、長手方向長さLsが従来よりも長いスクリーン本体を黒板MBに展開可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るマグネットスクリーン装置S2について
図5を参照して説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第2実施形態に係るマグネットスクリーン装置S2は、第1実施形態に係るマグネットスクリーン装置S1と、一対の側壁部の形状とマグネット部材11b
1,11b
2,11b
3(「マグネット部材11b」と総称することがある。)の高さ方向の厚みが相違する。
【0047】
第2実施形態の一対の側壁部15a,15bは、接続部を有さず、第1側壁部と第2側壁部とが段差なく連続して略平板状である。そして、マグネット部材11bは、高さ方向の厚みが厚く、底壁部11の下面から下方に突出している。マグネット部材11bの下面が黒板MBとの当接面となる。
【0048】
一対の側壁部15a,15bの長手方向最外側面間の距離Ldは、当接面の長手方向の最外端(マグネット部材11b1の外端とマグネット部材11b3の外端)間の距離Lmよりも20mm以上長く設定されている。また、一対の側壁部15a,15bの下端部からマグネット部材11bの下面(当接面)までの高さ方向の距離dは5mm以上に設定されている。
【0049】
このような構成のマグネットスクリーン装置S2でも、黒板MBの枠体Fに干渉することなく黒板MBに磁着できるとともに、黒板MBの磁着可能領域を最大限に有効活用でき、長手方向長さLsが従来よりも長いスクリーン本体を黒板MBに展開可能となる。
【0050】
(その他)
以上説明した実施形態では、スクリーン本体3はマグネット層32側を内側として巻取ロール2に巻き取られていたが、スクリーン層31を内側として巻取ロール2に巻き取られる形態としても構わない。ただし、このような形態の場合、巻取ロール2に巻き取られている間の癖によってスクリーン本体3を展開したときに長手方向両端部が捲れ上がるおそれがあるので、スクリーン本体3はマグネット層32側を内側として巻取ロール2に巻き取られる形態が推奨される。
【0051】
また、前記実施形態では、押さえロール5の長手方向長さはスクリーン本体3の幅以上であったが、押さえロール5の長手方向長さはスクリーン本体3の幅未満であっても構わない。例えば、スクリーン本体3の幅よりの短い複数本の押さえロール5が、スクリーン本体3の長手方向両端部及び必要により長手方向中央部を押圧するように設けられた形態としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のマグネットスクリーン装置は、黒板などの被磁着体の外周に設けられている枠体に干渉することなく、従来よりも大きいサイズのスクリーン本体を被磁着体に展開することができ、被磁着体の磁着可能領域を最大限に有効活用できる。
【符号の説明】
【0053】
S0,S1,S2 マグネットスクリーン装置
1 ケース
2 巻取ロール
3 スクリーン本体
4 固定用バー
5 押さえロール(押さえ部材)
11 底壁部
11a 底壁部材
11b マグネット部材
12a,12b 側壁部
13 周壁部
14 開口部
15a,15b 側壁部
16a,16b 側壁部
61a,61b 第1側壁部
62a,62b 第2側壁部
63a,63b 接続部
F 枠体
MB 黒板(被磁着体)