(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053600
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ポート付地下式消火栓
(51)【国際特許分類】
E03B 9/02 20060101AFI20240409BHJP
A62C 35/68 20060101ALI20240409BHJP
A62C 35/20 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
E03B9/02 A
A62C35/68
A62C35/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159919
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100139516
【弁理士】
【氏名又は名称】藤浪 一郎
(72)【発明者】
【氏名】及川 政弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崚
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189EA01
2E189EA05
2E189MA03
2E189MB04
(57)【要約】
【課題】計測作業と消火作業を同時に行うことができるとともに小型化を図ることができるポート付地下式消火栓を提供することを提供することを課題とする。
【解決手段】立上げ管11及び当該立上げ管11から垂直に延設された分岐管12を備えたポート10と、鉛直方向に延設され水が放出される放水部20と、分岐管12と放水部20との間に設けられ流路を開閉するボール弁30と、外力の入力によりボール弁30を開閉する減速機構部40と、立上げ管11に挿入されるセンサ53を備えた計測部50と、を有し、ボール弁30の弁体32に略L字状の流路が形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立上げ管及び当該立上げ管から垂直に延設された分岐管を備えたポートと、
鉛直方向に延設され水が放出される放水部と、
前記分岐管と前記放水部との間に設けられ流路を開閉するボール弁と、
外力の入力により前記ボール弁を開閉する減速機構部と、
前記立上げ管に挿入されるセンサを備えた計測部と、を有し、
前記ボール弁の弁体に略L字状の流路が形成されていることを特徴とするポート付地下式消火栓。
【請求項2】
前記ボール弁は、前記分岐管側に開口する第一開口部及び前記放水部側に開口する第二開口部を備えた弁箱と、前記弁箱に収容される略球状の前記弁体と、を有し、
閉弁時は、前記第二開口部が前記弁体によって塞がれており、
開弁時は、前記弁体の流路、前記弁箱の前記第一開口部及び前記第二開口部が連通することを特徴とする請求項1に記載のポート付地下式消火栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポート付地下式消火栓に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1,2には、水道管の水を放水する地下式消火栓が開示されている。これらの消火栓の直立管・主短管の部位には計測部のセンサが挿入可能になっている。これにより、センサで各種計測を行いつつ、放水作業も可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-140625号公報
【特許文献2】実開平02-89053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係る消火栓では、リフト弁を用いているため高さ方向が大きくなるという問題がある。また、特許文献2に係る消火栓では、リフト弁を用いつつ、水平方向に延設された接続用口金が設けられている。これにより、消火栓が全体的に大型化するという問題がある。消火栓が大型化すると、埋設作業が煩雑になるともに、施工コストも増加するという問題がある。
【0005】
このような課題を踏まえ、本発明は、計測作業と消火作業を同時に行うことができるとともに小型化を図ることができるポート付地下式消火栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、立上げ管及び当該立上げ管から垂直に延設された分岐管を備えたポートと、鉛直方向に延設され水が放出される放水部と、前記分岐管と前記放水部との間に設けられ流路を開閉するボール弁と、外力の入力により前記ボール弁を開閉する減速機構部と、前記立上げ管に挿入されるセンサを備えた計測部と、を有し、前記ボール弁の弁体に略L字状の流路が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ボール弁内で流路を曲げることができるため、高さ方向及び水平方向の大きさを抑え、小型化を図ることができる。また、ポートの立上げ管にセンサを挿入できるため計測部を常設させることができ、計測作業と消火作業を同時に行うことができる。
【0008】
また、前記ボール弁は、前記分岐管側に開口する第一開口部及び前記放水部側に開口する第二開口部を備えた弁箱と、前記弁箱に収容される略球状の前記弁体と、を有し、閉弁時は、前記第二開口部が前記弁体によって塞がれており、開弁時は、前記弁体の流路、前記弁箱の前記第一開口部及び前記第二開口部が連通することが好ましい。
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で閉弁又は開弁を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポート付地下式消火栓によれば、計測作業と消火作業を同時に行うことができるとともに小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るポート付地下式消火栓を示す一部破断側面図である。
【
図2】本実施形態に係るポート付地下式消火栓を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係るポート付地下式消火栓を示す断面図である。
【
図4】本実施形態に係るポート付地下式消火栓の開状態を示す
図2のIV-IV矢視側断面図である。
【
図5】本実施形態に係るポート付地下式消火栓の閉状態を示す
図2のIV-IV矢視側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照し、本発明のポート付地下式消火栓に係る実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は、適宜省略する。
【0013】
図1に示すように、ポート付地下式消火栓1は、水道管Sに補修弁Hを介して取り付けられるとともに、地下に配設される消火栓である。ポート付地下式消火栓1は、水道管S内を流れる水の各種計測を行いつつ、並行して放水作業も行うことができる。水道管Sは、本管S1と、本管S1から立ち上がる分岐管S2とを備えている。補修弁Hは、分岐管S2と後記する立上げ管11のとの間に接続されている。補修弁Hは、例えば、ボール弁であって、補修する際に閉弁し、水道管Sからの水の流出を防ぐ器具である。
【0014】
ポート付地下式消火栓1は、ポート10と、放水部20と、ボール弁30と、減速機構部40と、計測部50とを備えている。ポート10は、立上げ管11と、分岐管12とを備えている。立上げ管11は、高さ方向(鉛直方向)に延設された短管である。分岐管12は、立上げ管11に対して垂直方向(水平方向)に延設された短管である。
【0015】
放水部20は、
図3にも示すように、接続金具21と、カバー22とを備えている。接続金具21は、先端にホースが接続される金属製の円筒部材である。接続金具21の下端はボール弁30に開口し、上端は上方に開口している。カバー22は、接続金具21の上端側の開口(放水口)を覆う部材である。放水する際は、カバー22を外してホースを接続する。
【0016】
ボール弁30は、
図1及び
図3に示すように、弁箱31と、弁体32と、複数のシール部材33と、を備えている。弁箱31は、
図4に示すように、弁体32を収容する筐体である。弁箱31は、分岐管12側(側方)に開口する第一開口部34と、接続金具21側(上方)に開口する第二開口部35を備えている。
【0017】
弁体32は、
図4に示すように、略球状を呈し、内部に略L字状を呈する流路32aを備えている。流路32aは、弁体32の内部で水が流れる方向が約90°曲がるように形成されている。
【0018】
流路32aは、一端側に開口する第一開口部32bと、他端側に開口する第二開口部32cを備えている。放水する場合、第一開口部32bと第一開口部34とを連通させるとともに、第二開口部32cと第二開口部35とを連通させ開弁状態となる。
【0019】
一方、放水しない場合、
図5に示すように、第二開口部35の全体を弁体32で塞ぐため閉弁状態となる。この時、第二開口部32cと第一開口部34とは連通しているが、第一開口部32bは弁箱31の底部に位置されており、その全体が塞がれた状態になっている。これにより、水が放水されない状態になっている。なお、閉弁状態においては、第二開口部35の全体が弁体32で塞がれて放水されない状態であれば、第一開口部32b及び第二開口部32cはどこに位置してもよい。
【0020】
シール部材33は、
図3に示すように、弁箱31と弁体32との間において複数個配置されている。シール部材33は、弁体32の円滑な回動を許容しつつ、水が漏れないようにシールする部材である。
【0021】
減速機構部40は、
図3に示すように、キャップ41と、操作軸42と、接続部43と、ステム44とを備えている。キャップ41は、開栓器(図示省略)と係合する角柱状の部位である。操作軸42は、キャップ41の回動に伴って、鉛直方向軸回りに回転する軸部材である。接続部43は、鉛直方向軸回りの回転を、水平方向軸回りの回転に変換する部位である。ステム44は、水平方向軸回りの回転に基づいて弁体32を開弁位置又は閉弁位置となるように回動させる部材である。
【0022】
つまり、減速機構部40は、開栓器(図示省略)を用いてキャップ41を回転させた際に、回転速度を減速させつつ、一方側に回すと弁体32が回動して開弁し、他方側に回すと閉弁するようになっている。
【0023】
計測部50は、
図1に示すように、蓋部材51と、計測器本体52と、センサ53と、を備えている。蓋部材51は、板状を呈し、立上げ管11の上部を覆っている。計測器本体52は、蓋部材51の上に配置され、各種計測が可能な機器である。センサ53は、計測器本体52から立上げ管11、補修弁H及び分岐管S2に挿通されるとともに、本管S1に達するように配置されている。計測部50は、例えば、流量、水圧、水質等を計測することができる。
【0024】
以上説明した本実施形態に係るポート付地下式消火栓1によれば、ボール弁30内で流路32aが曲がっているため、高さ方向及び水平方向の大きさを抑えつつ、小型化を図ることができる。換言すると、従来技術であると、別途配管などを設けて流れ方向を変えていたが、本実施形態では当該配管などを省略し、弁体32内で水の流れ方向を変えることができるため、コンパクトにすることができる。これにより、本実施形態によれば、土被りが小さい場合にもポート付地下式消火栓1を設置することができる。
【0025】
また、本実施形態によれば、ポート10の立上げ管11にセンサ53を挿入できるため計測部50を常設させることができ、常時計測作業を行うことができる。これにより、計測作業と消火作業を同時に行うことができる。
【0026】
また、ボール弁30は、分岐管12側に開口する第一開口部34及び放水部20側に開口する第二開口部35を備えた弁箱31と、弁箱31に収容される略球状の弁体32と、を有し、閉弁時は、第二開口部35が弁体32によって塞がれており、開弁時は、弁体32の流路32a、弁箱31の第一開口部34及び第二開口部35が連通することが好ましい。これにより、簡易な構成で閉弁又は開弁を行うことができる。
【0027】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ポート付地下式消火栓
10 ポート
11 立上げ管
12 分岐管
20 放水部
21 接続金具
22 カバー
30 ボール弁
31 弁箱
32 弁体
33 シール部材
40 減速機構部
50 計測部